位置合わせ方法及び基板
【課題】フロー半田付けの際に基板の反りを防止する反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法及び基板を提供する。
【解決手段】基板11には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Aを有するスリット13を備えた幅Bのマーク12が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。ここで、マーク12の幅Bは、位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさにする。また、スリット13は、反り防止レールの上方面が基板11を支持する支持帯の反対面上に来るようにし、その幅Aは、反り防止レールの上方面の幅と略等しい大きさにする。
【解決手段】基板11には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Aを有するスリット13を備えた幅Bのマーク12が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。ここで、マーク12の幅Bは、位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさにする。また、スリット13は、反り防止レールの上方面が基板11を支持する支持帯の反対面上に来るようにし、その幅Aは、反り防止レールの上方面の幅と略等しい大きさにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に基板の下反りを防止するために基板を下方より支持する反り防止レールの位置を合わせる位置合わせ方法、及びこの反り防止レールによって下方より支持される基板に関し、詳しくは、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板に関する。
【背景技術】
【0002】
各種部品を基板に半田付けする方法に、フロー半田付けがある。これは、部品を基板上に接着剤で固定し、この基板を半田付けを行う面を下にして溶融半田槽を通過させて半田付けを行う方法である。
【0003】
ところで、フロー半田付けでは、基板が溶融半田槽を通過する際に、熱により基板の略中央部が下方に反る。このため、噴流半田が基板に均一に接触できなくなり、半田付け不良を起こすことがあるという問題があった。
【0004】
特許文献1及び2は、基板搬送レールの間に、基板を支持するレール(反り防止レール)を設けることで、基板の略中央部の下方への反りを防止する技術を開示している。図9は、反り防止レールの一例を示す斜視図であり、図10は、この反り防止レールを長手方向に垂直な面で切った断面を示す断面図である。この反り防止レール61の上方面62が、基板に接触し、基板を支持する。基板の半田付けを行う面は、反り防止レールで支持されながら、溶融半田槽を通過できる構造になっている必要がある。即ち、反り防止レールが、部品やランドに接触しないように、基板を設計する必要がある。
【0005】
図11は、溶融半田槽を通過する際に、図9及び図10に示した反り防止レールによって支持することができる基板91の半田付けを行う面(即ち、溶融半田槽を通過する際に下方になる面)を示す底面図であり、矢印71はディップ方向を示す。支持帯51は、基板91の半田付けを行う面において反り防止レールと接触する箇所である。即ち、反り防止レールの上方面が支持帯51を支持することで、基板91の下反りを防止する。
【0006】
この支持帯51は、反り防止レールの基板を支持する面(即ち、上方面)のディップ方向に垂直な方向の幅(図10及び図11に示す反り防止レールの例では、1mm)と等しい幅を有する。支持帯51は、反り防止レールが直接接触するため、部品やランドを配置することはできない。また、支持帯51の近傍においては、噴流半田の流れが乱れ、半田付け不良が発生する可能性が高いため、この部分(禁止帯52)にも部品を配置することはできない。即ち、支持帯51と禁止帯52(図11では、4mm幅)には、部品やランドを配置しないように基板を設計しなければならない。
【0007】
さて、フロー半田付けを行う基板の種類が変われば、当然、支持帯51及び禁止帯52の位置は変わってくる。従って、フロー半田付けを行う基板の種類が変わる毎に、反り防止レールの位置を合わせなければならない。しかし、半田付け装置の電源を切り、溶融半田槽が冷えてから反り防止レールの位置を合わせる方法では、冷却のために半田付け作業が長時間停止することになり、作業効率が悪い。このため、半田付け装置の電源は切らずに、高温のまま、反り防止レールの位置合わせが行われる。
【0008】
溶融半田槽の温度は、高温(例えば、摂氏250度)で管理されるため、半田付け装置の内部も高温である。作業者は、この狭くて高温である半田付け装置の内部に上半身を入れて反り防止レールの位置合わせを行う。半田付け装置の内部に上半身を入れていられる時間は、30秒から45秒程度であり、反り防止レールの位置合わせ作業は、迅速に行わなければならない。このため、基板の半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)にマークを形成し、これを目印にして反り防止レールの位置を合わせる。
【0009】
図12は、このマーク92を形成した基板91と、反り防止レール61の位置を説明する上面図である。一般に、基板には、種々の基板情報が印刷されている。半田付け装置の内部で、迅速に作業を行うため、反り防止レールの位置を合わせるためのマークは、これら種々の印刷された基板情報の中から容易に認識できる大きさ(例えば、4mm幅)でなければならない。
【0010】
【特許文献1】特開平6−302943号公報
【特許文献2】特開平5−92258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
反り防止レールの位置を合わせるためのマークは、容易に認識できる大きさ(例えば、4mm幅)に形成されているが、一般に、反り防止レールの上方面の幅は、これに比べて小さい(例えば、1mm)。このため、反り防止レールの位置を合わせる際に、反り防止レールの上方面がマークの中央に来るように合わせることになるため、作業が煩わしく、また位置合わせの精度も悪いという問題があった。更に、反り防止レールの位置合わせの精度が悪い場合、禁止帯近傍の部品においては、噴流半田の流れが乱れ、半田付け不良が発生し易くなるという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、フロー半田付けの際に基板の反りを防止する反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の位置合わせ方法は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、前記反り防止レールの位置を前記スリットに合わせるステップとから成ることを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の位置合わせ方法によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができる。
【0015】
請求項2に記載の位置合わせ方法は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、前記切り欠きの周囲にマークを形成するステップと、前記反り防止レールの位置を前記切り欠きに合わせるステップとから成ることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の位置合わせ方法によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができる。
【0017】
請求項3に記載の位置合わせ方法は、請求項1又は2において、前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の位置合わせ方法によれば、マークをシルク印刷によって形成することができる。
【0019】
請求項4に記載の基板は、溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを形成したことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の基板によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができる。
【0021】
請求項5に記載の基板は、溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを形成し、前記切り欠きの周囲にマークを形成したことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の基板によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができる。
【0023】
請求項6に記載の基板は、請求項4又は5において、前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の基板によれば、マークをシルク印刷によって形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリット又は切り欠きを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。尚、以下の実施例は本発明の具体例に過ぎず、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
図1は、本実施例における基板の、フロー半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)を示す図である。基板11には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Aを有するスリット13を備えた幅Bのマーク12が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。
【0028】
図2及び3は、それぞれ、図1に示した基板11と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。幅Wの反り防止レール61は、その上方に、基板11と相対する、幅Vの上方面62を有する。なお、図1と同一の符号を付したものは、図1と同一のものを示す。フロー半田付けの際は、上方面62が基板11の略中央部を支持することで、下反りを防止する。
【0029】
ここで、マーク12の幅Bは、反り防止レール61の位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさ(例えば、4mm)にする。また、スリット13は、反り防止レール61の上方面62が基板11を支持する支持帯の反対面上に来るようにし、その幅Aは、上方面62の幅Vと略等しい大きさにする。例えば、上方面62の幅Vが1mmであった場合、スリット13の幅Aは略1mmにする。このような値にすると、上方面62をスリット13と揃えることで、レール61の位置合わせを容易に行うことができるようになる。
【0030】
以上述べたように、本発明の本実施例は、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【0031】
更に、本発明の本実施例は、基板には切り欠きを形成する必要がないため、パターンが基板の端部近傍にも密集するような小さい基板においても、適用することができる。更に、過去に生産された基板に対しても、シルク印刷のためのフィルムにおいて、マークに対応する部分を変更するだけで実現できるため、コストを低減することができる。
【実施例2】
【0032】
図4は、本実施例における基板の、フロー半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)を示す図である。基板21には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Cを有する切り欠き23を備えた幅Dのマーク22が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。
【0033】
図5及び6は、それぞれ、図4に示した基板21と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。なお、図4と同一の符号を付したものは、図4と同一のものを示す。また、反り防止レール61は、実施例1で説明したものと同一である。フロー半田付けの際は、上方面62が基板21の略中央部を支持することで、下反りを防止する。
【0034】
ここで、マーク22の幅Dは、反り防止レール61の位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさ(例えば、4mm)にする。また、切り欠き23は、反り防止レール61の上方面62が基板21を支持する支持帯の反対面上に来るように形成し、その幅Cは、上方面62の幅Vと略等しい大きさにする。例えば、上方面62の幅Vが1mmであった場合、切り欠き23の幅Cは略1mmにする。このような値にすると、上方面62を切り欠き23と揃えることで、レール61の位置合わせを容易に行うことができるようになる。
【0035】
図7及び8は、それぞれ、反り防止レール61の上方面62が切り欠き23とずれている場合の、基板21と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。半田付け装置よっては、構造上、作業者は反り防止レール61の位置合わせの際に基板21を真上から見ることができず、斜めからしか見ることができない場合がある。このような場合においても、図7及び8から明らかなように、切り欠き23を通して、上方面62の位置を認識することができるため、容易に位置合わせを行うことができる。
【0036】
以上述べたように、本発明の本実施例は、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【0037】
更に、本発明の本実施例は、基板を真上から見ることができない場合にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1における基板を示す図である。
【図2】本発明の実施例1における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図3】本発明の実施例1における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図4】本発明の実施例2における基板を示す図である。
【図5】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図6】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図7】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図8】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図9】反り防止レールを示す斜視図である。
【図10】反り防止レールの長手方向に垂直な面で切った断面を示す断面図である。
【図11】従来技術における基板を示す底面図である。
【図12】従来技術における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【符号の説明】
【0039】
11 基板
12 マーク
13 スリット
21 基板
22 マーク
23 切り欠き
51 支持帯
52 禁止帯
61 反り防止レール
62 反り防止レールの上方面
71 ディップ方向を示す矢印
91 基板
92 マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に基板の下反りを防止するために基板を下方より支持する反り防止レールの位置を合わせる位置合わせ方法、及びこの反り防止レールによって下方より支持される基板に関し、詳しくは、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板に関する。
【背景技術】
【0002】
各種部品を基板に半田付けする方法に、フロー半田付けがある。これは、部品を基板上に接着剤で固定し、この基板を半田付けを行う面を下にして溶融半田槽を通過させて半田付けを行う方法である。
【0003】
ところで、フロー半田付けでは、基板が溶融半田槽を通過する際に、熱により基板の略中央部が下方に反る。このため、噴流半田が基板に均一に接触できなくなり、半田付け不良を起こすことがあるという問題があった。
【0004】
特許文献1及び2は、基板搬送レールの間に、基板を支持するレール(反り防止レール)を設けることで、基板の略中央部の下方への反りを防止する技術を開示している。図9は、反り防止レールの一例を示す斜視図であり、図10は、この反り防止レールを長手方向に垂直な面で切った断面を示す断面図である。この反り防止レール61の上方面62が、基板に接触し、基板を支持する。基板の半田付けを行う面は、反り防止レールで支持されながら、溶融半田槽を通過できる構造になっている必要がある。即ち、反り防止レールが、部品やランドに接触しないように、基板を設計する必要がある。
【0005】
図11は、溶融半田槽を通過する際に、図9及び図10に示した反り防止レールによって支持することができる基板91の半田付けを行う面(即ち、溶融半田槽を通過する際に下方になる面)を示す底面図であり、矢印71はディップ方向を示す。支持帯51は、基板91の半田付けを行う面において反り防止レールと接触する箇所である。即ち、反り防止レールの上方面が支持帯51を支持することで、基板91の下反りを防止する。
【0006】
この支持帯51は、反り防止レールの基板を支持する面(即ち、上方面)のディップ方向に垂直な方向の幅(図10及び図11に示す反り防止レールの例では、1mm)と等しい幅を有する。支持帯51は、反り防止レールが直接接触するため、部品やランドを配置することはできない。また、支持帯51の近傍においては、噴流半田の流れが乱れ、半田付け不良が発生する可能性が高いため、この部分(禁止帯52)にも部品を配置することはできない。即ち、支持帯51と禁止帯52(図11では、4mm幅)には、部品やランドを配置しないように基板を設計しなければならない。
【0007】
さて、フロー半田付けを行う基板の種類が変われば、当然、支持帯51及び禁止帯52の位置は変わってくる。従って、フロー半田付けを行う基板の種類が変わる毎に、反り防止レールの位置を合わせなければならない。しかし、半田付け装置の電源を切り、溶融半田槽が冷えてから反り防止レールの位置を合わせる方法では、冷却のために半田付け作業が長時間停止することになり、作業効率が悪い。このため、半田付け装置の電源は切らずに、高温のまま、反り防止レールの位置合わせが行われる。
【0008】
溶融半田槽の温度は、高温(例えば、摂氏250度)で管理されるため、半田付け装置の内部も高温である。作業者は、この狭くて高温である半田付け装置の内部に上半身を入れて反り防止レールの位置合わせを行う。半田付け装置の内部に上半身を入れていられる時間は、30秒から45秒程度であり、反り防止レールの位置合わせ作業は、迅速に行わなければならない。このため、基板の半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)にマークを形成し、これを目印にして反り防止レールの位置を合わせる。
【0009】
図12は、このマーク92を形成した基板91と、反り防止レール61の位置を説明する上面図である。一般に、基板には、種々の基板情報が印刷されている。半田付け装置の内部で、迅速に作業を行うため、反り防止レールの位置を合わせるためのマークは、これら種々の印刷された基板情報の中から容易に認識できる大きさ(例えば、4mm幅)でなければならない。
【0010】
【特許文献1】特開平6−302943号公報
【特許文献2】特開平5−92258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
反り防止レールの位置を合わせるためのマークは、容易に認識できる大きさ(例えば、4mm幅)に形成されているが、一般に、反り防止レールの上方面の幅は、これに比べて小さい(例えば、1mm)。このため、反り防止レールの位置を合わせる際に、反り防止レールの上方面がマークの中央に来るように合わせることになるため、作業が煩わしく、また位置合わせの精度も悪いという問題があった。更に、反り防止レールの位置合わせの精度が悪い場合、禁止帯近傍の部品においては、噴流半田の流れが乱れ、半田付け不良が発生し易くなるという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、フロー半田付けの際に基板の反りを防止する反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の位置合わせ方法は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、前記反り防止レールの位置を前記スリットに合わせるステップとから成ることを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の位置合わせ方法によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができる。
【0015】
請求項2に記載の位置合わせ方法は、溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、前記切り欠きの周囲にマークを形成するステップと、前記反り防止レールの位置を前記切り欠きに合わせるステップとから成ることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の位置合わせ方法によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができる。
【0017】
請求項3に記載の位置合わせ方法は、請求項1又は2において、前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の位置合わせ方法によれば、マークをシルク印刷によって形成することができる。
【0019】
請求項4に記載の基板は、溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを形成したことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の基板によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができる。
【0021】
請求項5に記載の基板は、溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを形成し、前記切り欠きの周囲にマークを形成したことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の基板によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができる。
【0023】
請求項6に記載の基板は、請求項4又は5において、前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の基板によれば、マークをシルク印刷によって形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリット又は切り欠きを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。尚、以下の実施例は本発明の具体例に過ぎず、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
図1は、本実施例における基板の、フロー半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)を示す図である。基板11には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Aを有するスリット13を備えた幅Bのマーク12が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。
【0028】
図2及び3は、それぞれ、図1に示した基板11と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。幅Wの反り防止レール61は、その上方に、基板11と相対する、幅Vの上方面62を有する。なお、図1と同一の符号を付したものは、図1と同一のものを示す。フロー半田付けの際は、上方面62が基板11の略中央部を支持することで、下反りを防止する。
【0029】
ここで、マーク12の幅Bは、反り防止レール61の位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさ(例えば、4mm)にする。また、スリット13は、反り防止レール61の上方面62が基板11を支持する支持帯の反対面上に来るようにし、その幅Aは、上方面62の幅Vと略等しい大きさにする。例えば、上方面62の幅Vが1mmであった場合、スリット13の幅Aは略1mmにする。このような値にすると、上方面62をスリット13と揃えることで、レール61の位置合わせを容易に行うことができるようになる。
【0030】
以上述べたように、本発明の本実施例は、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しいスリットを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【0031】
更に、本発明の本実施例は、基板には切り欠きを形成する必要がないため、パターンが基板の端部近傍にも密集するような小さい基板においても、適用することができる。更に、過去に生産された基板に対しても、シルク印刷のためのフィルムにおいて、マークに対応する部分を変更するだけで実現できるため、コストを低減することができる。
【実施例2】
【0032】
図4は、本実施例における基板の、フロー半田付けを行う面の反対面(フロー半田付けの際に上方になる面)を示す図である。基板21には、矢印71で示されるディップ方向に垂直な方向に幅Cを有する切り欠き23を備えた幅Dのマーク22が、フロー半田付けを行う面の反対面の端部に、シルク印刷されている。
【0033】
図5及び6は、それぞれ、図4に示した基板21と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。なお、図4と同一の符号を付したものは、図4と同一のものを示す。また、反り防止レール61は、実施例1で説明したものと同一である。フロー半田付けの際は、上方面62が基板21の略中央部を支持することで、下反りを防止する。
【0034】
ここで、マーク22の幅Dは、反り防止レール61の位置合わせを行う作業者が容易に認識できる大きさ(例えば、4mm)にする。また、切り欠き23は、反り防止レール61の上方面62が基板21を支持する支持帯の反対面上に来るように形成し、その幅Cは、上方面62の幅Vと略等しい大きさにする。例えば、上方面62の幅Vが1mmであった場合、切り欠き23の幅Cは略1mmにする。このような値にすると、上方面62を切り欠き23と揃えることで、レール61の位置合わせを容易に行うことができるようになる。
【0035】
図7及び8は、それぞれ、反り防止レール61の上方面62が切り欠き23とずれている場合の、基板21と反り防止レール61の位置を説明する上面図及び斜視図である。半田付け装置よっては、構造上、作業者は反り防止レール61の位置合わせの際に基板21を真上から見ることができず、斜めからしか見ることができない場合がある。このような場合においても、図7及び8から明らかなように、切り欠き23を通して、上方面62の位置を認識することができるため、容易に位置合わせを行うことができる。
【0036】
以上述べたように、本発明の本実施例は、マークを容易に認識することができるとともに、反り防止レールの幅と略等しい切り欠きを基板に形成することができるため、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。また、マークを、他の基板情報と同様に、シルク印刷によって形成することができるため、低コストで、反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせる位置合わせ方法、及び反り防止レールの位置を迅速且つ正確に合わせるための基板を提供することができる。
【0037】
更に、本発明の本実施例は、基板を真上から見ることができない場合にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1における基板を示す図である。
【図2】本発明の実施例1における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図3】本発明の実施例1における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図4】本発明の実施例2における基板を示す図である。
【図5】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図6】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図7】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【図8】本発明の実施例2における基板と反り防止レールの位置を説明する斜視図である。
【図9】反り防止レールを示す斜視図である。
【図10】反り防止レールの長手方向に垂直な面で切った断面を示す断面図である。
【図11】従来技術における基板を示す底面図である。
【図12】従来技術における基板と反り防止レールの位置を説明する上面図である。
【符号の説明】
【0039】
11 基板
12 マーク
13 スリット
21 基板
22 マーク
23 切り欠き
51 支持帯
52 禁止帯
61 反り防止レール
62 反り防止レールの上方面
71 ディップ方向を示す矢印
91 基板
92 マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、
前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、
前記反り防止レールの位置を前記スリットに合わせるステップとから成ることを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項2】
溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、
前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、
前記切り欠きの周囲にマークを形成するステップと、
前記反り防止レールの位置を前記切り欠きに合わせるステップとから成ることを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項3】
前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置合わせ方法。
【請求項4】
溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、
フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを形成したことを特徴とする基板。
【請求項5】
溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、
フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを形成し、
前記切り欠きの周囲にマークを形成したことを特徴とする基板。
【請求項6】
前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の基板。
【請求項1】
溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、
前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、
前記反り防止レールの位置を前記スリットに合わせるステップとから成ることを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項2】
溶融半田槽で基板に部品をフロー半田付けする際に前記基板の下反りを防止するために前記基板を下方より支持する反り防止レールの位置合わせ方法であって、
前記反り防止レールの前記基板に相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを前記基板のフロー半田付けする面の反対面の端部に形成するステップと、
前記切り欠きの周囲にマークを形成するステップと、
前記反り防止レールの位置を前記切り欠きに合わせるステップとから成ることを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項3】
前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置合わせ方法。
【請求項4】
溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、
フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有するスリットを備えたマークを形成したことを特徴とする基板。
【請求項5】
溶融半田槽で部品をフロー半田付けする際に下反りを防止するための反り防止レールによって下方より支持される基板であって、
フロー半田付けする面の反対面の端部に、前記反り防止レールの相対する面のディップ方向に垂直な方向の幅と略等しい幅を有する切り欠きを形成し、
前記切り欠きの周囲にマークを形成したことを特徴とする基板。
【請求項6】
前記マークは、シルク印刷によって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−266048(P2007−266048A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85234(P2006−85234)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]