位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置
【課題】移動体通信端末の位置を固定基地局またはアクセスポイントから受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができるようにする。
【解決手段】本実施形態に係る位置探索方法において、移動体通信端末は通信可能な基地局等から受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局等を識別する識別情報を検出し、複数の基地局等からの電界強度と識別情報とを対応付けて情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、各基地局等に関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、識別情報により識別される複数の基地局等に関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局等からの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、複数の測定地点候補に基づいて移動体通信端末の位置を決定することができる。
【解決手段】本実施形態に係る位置探索方法において、移動体通信端末は通信可能な基地局等から受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局等を識別する識別情報を検出し、複数の基地局等からの電界強度と識別情報とを対応付けて情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、各基地局等に関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、識別情報により識別される複数の基地局等に関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局等からの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、複数の測定地点候補に基づいて移動体通信端末の位置を決定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置に係り、特に、移動体通信端末の位置を固定基地局またはアクセスポイントから受信する信号の電界強度を用いて特定することができるようにした位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handy-phone system)や携帯電話機に代表される移動体通信端末は、移動体通信端末の位置をカバーする基地局を介して既設の公衆回線網に接続される。各基地局がカバーするエリアはセルと呼ばれ、予め区分される各エリアごとに基地局が設置される。移動体通信端末が接続する基地局は、移動体通信端末が位置するエリア内をカバーする基地局である。換言すれば、移動体通信端末が接続する基地局は、移動体通信端末に最も近接する基地局である。
【0003】
移動体通信端末の位置を検出することによる位置情報提供サービスが、近年急速に普及している。移動体通信端末の位置を検出する技術として、次のような技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に提案される技術によれば、移動体通信端末は、待ち受け時に移動体通信端末の周辺の基地局からの電波の受信レベルを記憶し、接続する基地局として、通信するのに際に用いることが可能な受信レベルが最大の基地局を選択し、移動体通信端末の現在位置を検出する移動管理局は、移動体通信端末から基地局を介して伝送される基地局の識別符号とその受信電界値をデータ対とする位置情報を基に、基地局の地理的位置情報を蓄積するデータベースを参照して、移動体通信端末の位置を正確に特定するために適切な位置情報を選択し、選択される位置情報の受信電界値から計算式により求めた第1の軌跡、選択される基地局が生成する等電界曲線から求めた第2の軌跡の少なくとも一方の軌跡から移動体通信端末の現在位置を特定することができる。これにより、移動体通信端末の位置精度を高めることが可能である。
【0004】
基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法は、GPS測位に基づく位置情報を用いた移動体通信端末の位置検出方法と比較して位置情報の精度の点で劣るものの、GPS波(GPS情報)が届かない建造物内や地下鉄の構内などにおいても移動体通信端末の位置を検出することができるメリットを有する。さらに、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法は、消費電力を低減することができ、また、移動体通信端末の大まかな位置を絞り込むのに有用である。
【0005】
特に、移動体通信端末がPHSである場合、PHSの各基地局がカバーするエリアは大きくても数100mであることから、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法により、PHSである移動体通信端末の位置を、移動体通信端末がPHS以外のものである場合に比べてより高精度に検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−252622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法の場合、移動体通信端末が受信する基地局からの電波の受信レベルによっては、検出される移動体通信端末の位置の誤差が数百m乃至数kmとなることもあり、移動体通信端末の位置の計算精度(検出精度)を高めるために種々の研究が行われている。
【0008】
例えば移動体通信端末がPHSである場合であっても、検出される移動体通信端末の位置の誤差が数百mとなる地域も少なくない。すなわち、移動体通信端末の位置を測定(検出)するエリアの環境によっても、基地局が送信する電波の伝搬特性が異なるために、測定地区の電波伝搬特性を考慮して移動体通信端末の位置を測定(検出)する必要がある。特に、電波伝搬特性を考慮するべき測定地区として、基地局が偏在する地区、建物が偏在する地区、土地の起伏が大きい地区、および湖畔や湾岸地区などが挙げられる。このような地区では、移動体通信端末の位置の測定(検出)に大きな誤差が生じうる。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、移動体通信端末の位置を固定基地局またはアクセスポイントから受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の位置探索方法は、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムの位置探索方法において、移動体通信端末は、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信し、移動体通信端末が通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出し、移動体通信端末が通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信し、等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする。
【0011】
本発明の情報処理システムは、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムにおいて、移動体通信端末は、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように通信手段を制御する通信制御手段とを備え、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信する受信手段と、等値線マップ作成手段により作成される等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳する重畳手段と、重畳手段により重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、決定手段により決定される移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の移動体通信端末は、上述した課題を解決するために、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置に送信するように通信手段を制御する通信制御手段とを備えることを特徴とする。 本発明の情報管理装置は、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信する受信手段と、等値線マップ作成手段により作成される等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳する重畳手段と、重畳手段により重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、決定手段により決定される移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動体通信端末の位置を固定基地局から受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末の内部の構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態に係る位置計算サーバの内部の構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態に係る情報処理装置に適用可能なパーソナルコンピュータの内部の構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態にPHS通信端末の位置検出方法の概念図。
【図6】1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図7】PHS通信端末の記憶部に記憶される、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末の周辺の各基地局からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブルの構成例を示す図。
【図8】図3の位置計算サーバにおける等値線マップ作成処理を説明するフローチャート。
【図9】位置計算サーバの記憶部に記憶される緯度経度テーブルの構成例を示す図。
【図10】図5に示される基地局12−2に関する等値線マップを作成する場合に各事前測定地点α−1乃至α−14で測定される基地局12−2からのRSSI値を各事前測定地点α−1乃至α−14にプロットした図。
【図11】位置計算サーバの制御部により作成される基地局に関する等値線マップを示す図。
【図12】位置計算サーバの記憶部に格納される基地局位置データベースの構成例を示す図。
【図13】測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図14】図3の位置計算サーバにおけるPHS通信端末の位置検出処理を説明するフローチャート。
【図15】各基地局IDにより示される基地局に関する各等値線マップを重畳したマップ(重畳等値線マップ)を示す図。
【図16】基地局12−1乃至12−3からのRSSI値に基づく測定地点候補の抽出方法を示す図。
【図17】測定地点候補を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第1の決定方法)を説明する説明図。
【図18】(A)と(B)は、2つの基地局からの電界強度の値のうちいずれかの基地局に関する電界強度がずれた場合に生ずる、2つの基地局の等値線により形成される交点のずれを示す図。
【図19】測定地点に位置するPHS通信端末の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合において測定地点候補γ−1乃至γ−4で交差する等値線同士がなす角度を示す図。
【図20】抽出された測定地点候補のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外した上で残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第2の決定方法)を説明する説明図。
【図21】複数の等値線の交点(測定地点候補)のうち、PHS通信端末が位置する真の位置を示す交点P、Q、およびRが近接する様子を示す図。
【図22】互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第3の決定方法)を説明する説明図。
【図23】従来のPHS通信端末の位置検出方法による測定結果と、本実施形態に係る位置検出方法による測定結果との対比を示す図。
【図24】図3の位置計算サーバと図4のパーソナルコンピュータにおける一連の処理を説明するフローチャート。
【図25】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能な携帯電話機の内部の構成を示すブロック図。
【図26】1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末における他の基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図27】測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の全体の構成を表している。情報処理システム1には、通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割したセル内にそれぞれ固定無線局である基地局12−1乃至12−nが設置されている。なお、本発明の実施形態の場合、基地局12がn個である場合について記載したが、基地局の数nは1つ以上であればよい。また、基地局12−1乃至12−nは、以下においてそれぞれを個々に区別する必要がない場合、「基地局12」と総称する。
【0016】
これらの基地局12−1乃至12−nには、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11が無線接続される。PHS通信端末11は、PHS通信端末11と送受信可能な複数(例えば10乃至20箇所程度でもよいし、あるいは10箇所以下でもよい)の基地局12に関する基地局情報(基地局12を識別するための基地局IDなど)を保持しており、また、PHS通信端末11と送受信可能な複数の基地局12からの電波の電界強度に関する情報を保持し、保持される基地局情報と電界強度に関する情報をPHS網13に対して基地局12を介して送信する。基地局12−1乃至12−nは、有線回線を介して公衆電話回線網としてのPHS網13に接続する。PHS網13には、PHS回線を制御するためのPHS回線制御サーバ14が接続される。PHS回線制御サーバ14には、PHS通信端末11からPHS網13を介して適宜送信されるPHS通信端末11に関する位置情報を管理する位置計算サーバ15(本実施形態に係る情報管理装置)が接続される。位置計算サーバ15は、PHS通信端末11からの基地局情報と電界強度に関する情報をPHS網13を介して受信し、受信されたこれらの情報に基づいて、基地局位置データベース(図3の基地局位置データベース71)を参照して基地局IDによるマッチングをしてPHS通信端末11の周囲の基地局12を特定するとともに、位置計算サーバ15内の測位アルゴリズム(測定アルゴリズム)に関するプログラムを実行して移動体通信端末としてのPHS通信端末11の位置を計算する。なお、PHS回線制御サーバ14と位置計算サーバ15は、位置情報センターを構成する。
【0017】
位置計算サーバ15には、ネットワーク16(例えば、インターネット(IP)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の各種のネットワークを含む)が接続される。ネットワーク16には、PHS通信端末11の位置の検出を所望するユーザが管理するパーソナルコンピュータ17(本実施形態に係る情報処理装置)が接続される。位置計算サーバ15は、例えばパーソナルコンピュータ17からの取得要求(リクエスト)を根とワーク16を介して受信すると、PHS通信端末11の位置に関する計算結果をパーソナルコンピュータ17にネットワーク16を介して送信する。
【0018】
図2は、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11の内部の構成を表している。図2が示すように、PHS通信端末1は、アンテナ31、無線送受信部32、信号処理部33、RSSI測定部34、制御部35、記憶部36、表示部37、相サブ38、バッテリ39、電源回路40、および時計回路41を備える。
【0019】
アンテナ31は、基地局12からPHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で送信される無線信号を空間から受信する。また、アンテナ31は、基地局12との間で無線通信することができるように空間に、PHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で無線信号を放射する。無線送受信部32は、アンテナ31を介して、基地局12との間で無線通信する。無線送受信部32は、信号処理部33にて生成された変調信号に基づいて、制御部35から指示されるキャリア周波数の無線信号を生成する。また、無線送受信部32は、制御部35から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、受信された無線信号に対して復調処理を施す。そして、無線送受信部32は、復調処理後の受信結果を、信号処理部33と制御部35に出力する。信号処理部33は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、無線送受信部32からの信号に対して所定の信号処理を施す。なお、信号処理部33は、復調処理後の受信結果から、PHS通信端末11の周囲に存在する基地局12を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を検出し、検出された基地局IDを制御部35に出力する。RSSI測定部34は、無線送受信部32が基地局12から受信する信号の電界強度を測定し、測定された受信信号のRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)に関する情報を制御部35に出力する。
【0020】
制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部36からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより移動無線端末1を統括的に制御する。具体的には、制御部35は、種々の通信処理システムによるデータ通信を実現する制御機能を備えており、無線送受信部32が用いるキャリア周波数を制御し、無線送受信部32での受信結果に基づいて基地局から送信される無線フレームとの同期の確立を行う。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0021】
記憶部36は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部35のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、PHS通信端末11の制御プログラムや制御データ、PHS通信端末11に固有に割り当てられた端末識別情報を格納する。この他にも、記憶部36は、データ通信により取得したデータやダウンロードしたデータを適宜記憶する。表示部37は、例えばLCDや有機ELなどからなる。操作部38は、操作キーやボタンなどからなる。電源回路40は、バッテリ39の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。PHS通信端末11は、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)41を備える。
【0022】
なお、図2の表示部37と操作部38は省略するようにしてもよい。
【0023】
図3は、本実施形態に係る位置計算サーバ15の内部の構成を表している。図3が示すように、位置計算サーバ15は、制御部50、入出力インタフェース55、入力部56、出力部57、記憶部58、通信部59、およびドライブ60により構成される。これらは、バス54を介して相互に接続される。制御部50は、CPU51、ROM52、およびRAM53を備える。制御部50のCPU51は、ROM52が記憶するプログラム、または記憶部58からRAM53にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM53にはまた、CPU51が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。CPU51、ROM52、およびRAM53には、バス54を介して相互に接続されている。バス54にはまた、入出力インタフェース55が接続される。入出力インタフェース55には、キーボード、マウスなどによりなる入力部56、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ並びにスピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクなどより構成される記憶部58、モデム、ターミナルアダプタ、およびネットワークインタフェースなどより構成される通信部59が接続される。通信部59は、ネットワーク16などを介しての通信処理を行う。記憶部58は、緯度経度により示される基地局12の位置と基地局IDとが対応付けられて登録される基地局位置データベース71を有する。
【0024】
入出力インタフェース55には、必要に応じてドライブ60が接続され、磁気ディスク61(フロッピディスクを含む)、光ディスク62(CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク63(MD(Mini-Disk)を含む)、あるいは半導体メモリ64などが適宜装着され、それから読み出しコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部58にインストールされる。
【0025】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置に適用可能なパーソナルコンピュータ17の内部の構成を表している。なお、図4を用いて説明するパーソナルコンピュータ17の内部の構成は、図3を用いて説明した位置計算サーバ15の内部の構成と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11が取得する周辺の基地局12からの電波レベルとその基地局12の基地局IDを用いて、PHS通信端末11の位置を特定する。これにより、本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末の位置の測定(検出)に大きな誤差が生じうる測定地区(電波伝搬特性を考慮するべき測定地区)であっても、PHS通信端末11の位置を高精度に特定することが可能となる。図5は、本実施形態にPHS通信端末11の位置検出方法の概念を表している。図5が示すように、本実施形態は、PHS通信端末11の位置を測定(検出)する測定地域内に含まれる複数の地点(事前測定地点)で予め周辺の基地局12からの電波強度(電界強度)を測定しておき、測定結果を基に、測定地域内における周辺基地局12からの電波の伝搬特性を等値線によって表す。図5の場合、3つの基地局12(基地局12−1乃至12−3)が近接する測定地域において、事前測定地点α−1乃至α−14で予め周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度をそれぞれ測定しておき、その測定結果を基に、測定地域内における周辺基地局12−1乃至12−3からの電波の伝搬特性を等値線によってそれぞれ表す。
【0027】
次に、情報処理システム1が特定しようとするPHS通信端末11の位置が測定地点(未知の測定地点)βである場合、情報処理システム1は、PHS通信端末11が取得する周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度とその基地局12−1乃至12−3の基地局IDを用いて、測定地域内における周辺基地局12−1乃至12−3からの電波の伝搬特性を示す等値線を参照して、PHS通信端末11の現在の位置(新規測定地点β)を特定する。すなわち、情報処理システム1は、PHS通信端末11が取得する周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度を示す等値線の交点を用いて、PHS通信端末11の現在の位置を特定する。
【0028】
このように、本実施形態に係る移動体通信端末の位置検出方法は、基地局12の位置と基地局地点での想定される基地局12からの電界強度と、予め各基地局12からの電界強度を測定した事前測定地点の位置とその測定値を用いて測定値の補間を行うことにより、基地局12ごとに描いた基地局12からの電界強度の等値線図を用いた移動体通信端末の位置検出方法である。以下、この移動体通信端末の位置検出方法を用いた処理の詳細について説明する。まず、位置計算サーバ15が測定地域内における周辺基地局12からの電波の伝搬特性を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成処理の前提として行われる、事前測定地点に位置するPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。なお、事前測定地点に位置するPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理が実行される場合、測定地域内の各事前測定地点にそれぞれPHS通信端末11が予め配置されているものとする。
【0029】
図6のフローチャートを参照して、1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。PHS通信端末11は、いずれかの基地局12に対して待ち受けているものとする。また、PHS通信端末11は、測定地域内のいずれかの事前測定地点に配置される。位置計算サーバ15は、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとする。
【0030】
ステップS1において、PHS通信端末11の制御部35は、オペレータが操作部38を操作することにより基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。ステップS1においてPHS通信端末11が、基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、PHS通信端末11の制御部35はステップS2で、無線送受信部32およびRSSI測定部34を制御し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12(PHS通信端末11が信号を送受信可能な基地局12であり、待ち受けしている基地局12以外の他の複数の基地局12であっても信号が送受信可能であれば含まれる)からの所定の周波数のRSSI値を測定する。すなわち、制御部35は、PHSの通信周波数帯域に存在するキャリア周波数を無線送受信部32に順次割り当て、割り当てられたキャリア周波数を有する信号を無線送受信部32に順次受信させる。無線送受信部32は、制御部35によって割り当てられたキャリア周波数を有する信号を順次受信し、受信信号をRSSI測定部34に出力する。RSSI測定部34は、無線送受信部32からの各周波数の受信信号に関するRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)を測定し、測定されたRSSI値に関する情報を制御部35に出力する。また、このとき、無線送受信部32が割り当てられたキャリア周波数を有する信号を受信する場合に、無線送受信部32は、PHS網13に接続される基地局12からの制御チャネル情報を含む信号を受信し、受信された制御チャネル情報を含む信号に対して復調処理を施し、復調処理後の受信結果を制御部35に出力する。制御部35は、受信結果に含まれる制御チャネル情報に基づいて、受信信号がPHS網13に接続される基地局12からの信号であると認識する。
【0031】
ステップS3において、信号処理部33は、制御部35の制御に従い、復調処理後の受信結果に対して所定の信号処理を施し、受信結果に含まれる制御チャネル情報から、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周囲に存在する基地局12を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を順次検出し、検出された基地局IDを順次制御部35に出力する。なお、ステップS2とステップS3の処理は本実施系において時系列的に記載しているが、基本的には並列的な処理である。
【0032】
ステップS4において、制御部35は、ステップS2とステップS3の処理によって順次取得される、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを対応付けて記憶部36に記憶する。図7は、記憶部36に記憶される、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブルである。図7が示すように、「基地局ID1」と基地局ID1によって識別される基地局12からの信号のRSSI値「a」とが対応付けられて記憶される。「基地局ID2」と基地局ID1によって識別される基地局12からの信号のRSSI値「b」とが対応付けられて記憶される。その他についても同様である。
【0033】
ステップS5において、制御部35は、記憶部36に記憶される対応関係テーブルを読み出し、無線送受信部32および信号処理部33を制御し、読み出された対応関係テーブルを用いて、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信する。その後、処理は終了する。
【0034】
なお、図6の基地局電界強度送信処理の場合、PHS通信端末11が基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合に、PHS通信端末11が、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に逐次送信するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図26が示すように、PHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)ごとに、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定しつつ(ステップS301乃至S302)、その後、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから所定の時間(例えば10分から1日)経過した場合に、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSIちと基地局IDのデータ群をまとめて位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい(ステップS305乃至S306)。これにより、PHS通信端末11における送信処理よる電力消費を抑えることができるとともに、後述する基地局12の等値線を示す等値線マップをより効率的に更新することができる。また、PHS通信端末11は、例えば位置計算サーバ15からの取得要求に従い、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0035】
なお、図6の基地局電界強度送信処理の場合、位置計算サーバ15は、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとしたが、このような場合に限られず、例えばPHS通信端末11がGPS受信部を備え、GPS受信部を用いてPHS通信端末11の経度緯度に関する情報を取得した上で、PHS通信端末11の経度緯度に関する情報を、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局ID、およびPHS通信端末11を識別するための端末識別情報ととともに位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0036】
また、ある測定地域内に設けられる他の複数の事前測定地点に位置する他の複数のPHS通信端末11もそれぞれ、同様の基地局電界強度送信処理を行って、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、位置計算サーバ15に送信する。なお、本実施形態は、測定地域内の各事前測定地点に位置するPHS通信端末11を用いて、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を測定し、各事前測定地点における各RSSI値を位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られず、例えばPHS通信端末11以外の専用の端末を用いて、予め、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を測定し、各事前測定地点における各RSSI値を位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0037】
図8のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15における等値線マップ作成処理について説明する。なお、位置計算サーバ15は、等値線マップ作成処理に際し、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとする。
【0038】
ステップS21において、位置計算サーバ15の通信部59は、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11の端末識別情報とともに順次受信し、受信されたこれらの情報を制御部50に順次供給する。ステップS22において、制御部50は、各基地局からのRSSI値と基地局IDを送信する各PHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、予めPHS通信端末11の端末識別情報とPHS通信端末11が位置する事前測定地点における経度緯度が対応付けられて登録される経度緯度テーブルを参照して、PHS通信端末11の位置する事前測定地点における経度緯度を抽出する。制御部50は、図9は、位置計算サーバ15の記憶部58に記憶される緯度経度テーブルの構成例を表している。図9が示すように、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の端末識別情報と、各事前測定地点における経度緯度が対応付けられて登録されている。例えば事前測定地点α−1に位置するPHS通信端末11の「端末識別情報1」、事前測定地点α−1における経度緯度「経度m1緯度n1」が対応付けられて登録されている。以下、同様である。
【0039】
ステップS23において、制御部50は、抽出された各PHS通信端末11が位置する各事前測定地点における経度緯度と、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDに基づいて、特定の基地局に関する等値線マップを作成する。このとき、特定の基地局に関する等値線マップを作成する際に、制御部50は、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を各事前測定地点にプロットする。図10は、図5に示される基地局12−2に関する等値線マップを作成する場合に各事前測定地点α−1乃至α−14で測定される基地局12−2からのRSSI値を各事前測定地点α−1乃至α−14にプロットした図である。図10の場合、事前測定地点α−1でPHS通信端末11(端末識別情報1により識別されるPHS通信端末11)により予め測定されたRSSI値は「21(dBμV/m)」である。また、事前測定地点α−2でPHS通信端末11(端末識別情報2により識別されるPHS通信端末11)により予め測定されたRSSI値は「24(dBμV/m)」である。他の事前測定地点についても同様である。なお、図10の場合、事前測定地点α−8においては、基地局12−2からのRSSI値が測定できていない。
【0040】
なお、基地局12の位置における基地局からの電波の電界強度を測定することは不可能であることから、制御部50は、基地局12の位置における基地局からの電波に関する仮想のRSSI値(電界強度を示す値)として、PHS通信端末11において測定可能な最大値に設定する。図10の場合、基地局12−2の位置における基地局からの電波に関する仮想のRSSI値は「40(dBμV/m)」である。
【0041】
次に、制御部50は、各事前測定地点にプロットされる、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を用いて、特定の基地局12に関する等値線マップを作成する。具体的には、制御部50は、各事前測定地点にプロットされるRSSI値をスプライン補間法、または距離と電界強度の関係式E=k/D(k:電荷、D:距離)が形成する勾配を有するように補間する方法を用いて各事前測定地点間で補間し、特定の基地局12に関する電界強度の等値線を作成し、特定の基地局12に関する等値線マップを作成する。図11は、位置計算サーバ15の制御部50により作成される基地局12−2に関する等値線マップを表している。
【0042】
ステップS24において、制御部50は、作成された特定の基地局12に関する等値線マップを記憶部59の基地局位置データベース71に基地局IDに対応付けて記憶させる。記憶部59は、制御部50の制御に従い、作成された特定の基地局12に関する等値線マップを基地局位置データベース71に基地局IDに対応付けて記憶する。図12は、位置計算サーバ15の記憶部59に格納される基地局位置データベース71の構成例を表している。図12が示すように、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、および基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ」が対応付けられて登録される。図12の場合、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、および基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ」が対応付けられて登録される。例えば「基地局ID1」、基地局ID1により識別される基地局12の位置を示す「緯度ma経度na」、および基地局ID1により識別される基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ1」が対応付けられて登録される。他の基地局についても同様である。ステップS25において、制御部50は、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDに基づいて、すべての基地局に関する等値線マップを作成したか否かを判定する。ステップS25において制御部50が、すべての基地局に関する等値線マップを作成したと判定した場合、等値線マップ作成処理は終了する。一方、ステップS25において制御部50が、すべての基地局に関する等値線マップを作成していないと判定した場合、処理はステップS23に戻り、他の基地局12に関する等値線マップが作成される。
【0043】
なお、図8の等値線マップ作成処理により一旦作成された等値線マップは、各事前測定地点で新たに測定されたRSSI値または新たに設置された事前測定地点で測定されたRSSI値に基づいて適宜更新される。これにより、測定地域内で新たに建造物などが建造された場合であっても、その建造物の存在による測定地域内の基地局12に関する電界強度の等値線への影響を考慮して、基地局12に関する等値線マップを更新することができる。
【0044】
また、本実施形態における基地局位置データベース71は、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、基地局12ごとの電界強度の各事前測定地点における「経度緯度」、および基地局ごとの各事前測定地点に関する電界強度の値(RSSI値)が対応付けられて登録されるようにしてもよい。
【0045】
次に、図13のフローチャートを参照して、測定地点に位置する図2のPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。PHS通信端末11は、いずれかの基地局12に対して待ち受けているものとする。また、PHS通信端末11は、コンテナなどに取り付けられた上で車などによって測定地域内で移動していたり、あるいは、測定地域内の建造物内または地下鉄構内などに停止しているものとする。なお、図13のステップS102乃至S105の処理は図6のステップS2乃至ステップS5の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
【0046】
ステップS101において、PHS通信端末11の制御部35は、時計回路41を用いて、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局からのRSSI値とその基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したか否かを判定し、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したと判定するまで待機する。ステップS101においてPHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したと判定した場合、処理はステップS102に進む。
【0047】
ステップS105において、制御部35は、記憶部36に記憶される対応関係テーブルを読み出し、無線送受信部32および信号処理部33を制御し、読み出された対応関係テーブルを用いて、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに、待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信する。その後、処理はステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。これにより、位置計算サーバ15は、PHS通信端末11から送信されてくるPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを所定の時間ごとに受信することができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、タイマを用いて定期的にPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られず、例えば位置計算サーバ15からの取得要求に従い、これらの情報を位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。また、図13の基地局電界強度送信処理の場合、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したときに、PHS通信端末11が、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図27が示すように、PHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)ごとに、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定しつつ(ステップS311乃至S312)、その後、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから所定の時間(例えば10分から1日)経過した場合に、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSIちと基地局IDのデータ群をまとめて位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい(ステップS315乃至S316)。これにより、PHS通信端末11は、PHS通信端末11の位置情報を位置計算サーバ15にまとめて送信することができ、PHS通信端末11における送信処理よる電力消費を抑えることができる。
【0049】
図14のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15におけるPHS通信端末11の位置検出処理について説明する。
【0050】
ステップS121において、位置計算サーバ15の通信部59は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11の端末識別情報とともに受信し、受信されたこれらの情報を制御部50供給する。例えば位置計算サーバ15の通信部59は、図7に示されるような基地局IDとRSSI値とが1対となるデータ群を、PHS通信端末11の端末識別情報とともに受信する。ステップS122において、制御部50は、通信部59からのPHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、位置を検出するPHS通信端末11を特定する。ステップS123において、制御部50は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12の基地局IDに基づいて、記憶部58の基地局位置データベース71から、受信された各基地局IDに関する各等値線マップを読み出す。例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12の基地局IDに「基地局ID1」乃至「基地局ID3」が含まれる場合、制御部50は、基地局位置データベース71から、「基地局ID1」乃至「基地局ID3」により示される基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップを読み出す。
【0051】
ステップS124において、制御部50は、読み出された各基地局IDにより示される基地局12に関する各等値線マップを重畳する。図15は、各基地局IDにより示される基地局12に関する各等値線マップを重畳したマップ(重畳等値線マップ)を表している。例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれる場合、基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップが重畳される。なお、本実施形態の場合、説明を簡略化するために、基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップが重畳される場合について明示的に説明するが、このような場合に限られない。勿論、位置計算サーバ15は、基地局識別情報により識別される複数の基地局12のうち、PHS通信端末11と通信可能な基地局12からの無線信号に関する電界強度が基準値以上の基地局12に関する複数の等値線マップを重畳するようにしてもよい。
【0052】
ステップS125において、制御部50は、重畳された等値線マップを用いて、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する。具体的には、例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合、制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する。図16は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値に基づく測定地点候補の抽出方法を表している。図16が示すように、制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の4つの交点を測定地点候補γ−1乃至γ−4として抽出する。
【0053】
ステップS126において、制御部50は、抽出された複数の測定地点候補を用いて、PHS通信端末11が位置する測定地点を決定する。図17は、測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第1の決定方法)を説明する説明図である。図17の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4が含まれている。そして、図17の場合、制御部50は、これら4つの測定地点候補の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は28.0mであった。なお、御部50は、これら4つの測定地点候補の重心以外の点をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定するようにしてもよい。また、例えば測定地点候補に重み度合いを付けた上で重心を算出するようにしてもよい。
【0054】
ステップS127において、制御部50は、決定されたPHS通信端末11の位置の測定結果(経度緯度により表される位置情報)をPHS通信端末11の端末識別情報とともに対応付けて記憶部58に記憶させる。その後、位置検出処理は終了する。
【0055】
なお、図17の場合、制御部50は、これら4つの測定地点候補の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図16が示すように制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の4つの交点を測定地点候補γ−1乃至γ−4として抽出するが、抽出された測定地点候補γ−1乃至γ−4のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補(等値線同士がなす角度が直角に近くない角度を有する測定地点候補)を除外した上で、残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果を決定するようにしてもよい。ここで、等値線の交点である測定地点候補のうち等値線同士がなす角度が基準値より低い測定地点候補を除外する理由を以下に説明する。すなわち、PHS通信端末11が測定する各基地局12からの電界強度はある程度の誤差を含み、測定される電界強度により等値線がずれる場合がありうる。そのため、図18(A)と(B)が示すように、基地局Aと基地局Bの2つの基地局12からの電界強度の値のうち基地局Bに関する電界強度がずれた場合、基地局AとBの等値線により形成される交点もずれる。その交点のずれの大きさは、図18(A)が示すように等値線同士がなす角度が低い場合よりも、図18(B)が示すように等値線同士がなす角度が高い場合の方が小さいからである。
【0056】
図19は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合において測定地点候補γ−1乃至γ−4で交差する等値線同士がなす角度を表している。図19が示すように、測定地点候補γ−1で交差する等値線同士がなす角度「71°」であり、測定地点候補γ−2で交差する等値線同士がなす角度「62°」であり、測定地点候補γ−3で交差する等値線同士がなす角度「68°」であり、測定地点候補γ−1で交差する等値線同士がなす角度「13°」である。このとき、測定地点候補を除外する際の等値線同士がなす角度に関する基準値を60°とすると、図19の場合、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−4が除外される。なお、この基準値は設定可能であり、適宜変更するようにしてもよい。例えば基地局12の間隔が十分に小さい場合には、測定地点候補を除外する際の等値線同士がなす角度に関する基準値を低くして、測定地点候補を実質的に除外しないようにしてもよい。図20は、抽出された測定地点候補のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外した上で残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第2の決定方法)を説明する説明図である。図20の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4が含まれているが、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−4が除外される。そして、制御部50は、残りの3つの測定地点候補γ−1乃至γ−3の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は74.8mであった。
【0057】
また、2つの基地局12からの電界強度のRSSI値による等値線は、基本的に2つの交点を持つことになる。ここで、図21が示すように、複数の等値線の交点(測定地点候補)のうち、PHS通信端末11が位置する真の位置を示す交点P、Q、およびRは交点同士互いに接近し、それ以外は遠く離れる。このとき、交点(測定地点)P、Q、およびRでは、交差する等値線同士がなす角度は直角に近いものとなる。そこで、等値線同士がなす角度が基準値以上である交点(測定地点候補)が複数ある場合、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)以外の交点を除外しつつ、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果を決定するようにしてもよい。図22は、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第3の決定方法)を説明する説明図である。図22の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4などが含まれているが、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−1とγ−4などが除外される。そして、制御部50は、互いに所定の距離内に近接する残りの2つの測定地点候補γ−2乃至γ−3の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は17.3mであった。なお、図22の場合、測定地点候補γ−1乃至γ−4以外で除外される測定地点候補は図22上に表されていない。
【0058】
図23は、従来のPHS通信端末の位置検出方法による測定結果と、本実施形態に係る位置検出方法による測定結果との対比を表している。図23が示すように、複数の測定地点候補を用いた第1の決定方法による測位結果はδ−1により示される地点であり、複数の測定地点候補を用いた第2の決定方法による測位結果はδ−2により示される地点であり、複数の測定地点候補を用いた第3の決定方法による測位結果はδ−3により示される地点である。そして、上述したように、第1の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は28.0mであり、第2の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は74.8mであり、第3の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は17.3mである。一方、測定地点に位置するPHS通信端末11が待ち受けしている基地局12−2の位置(緯度経度)をPHS通信端末11の位置の測定結果とする従来の方法では、実際の測定地点との測位結果の誤差は224mであり、また、送受信可能な基地局12−1乃至12−3の位置の重心をPHS通信端末11の位置の測定結果とする従来の方法であっても、測位結果の誤差は216mである。従って、本実施形態に係る第1乃至第3の決定方法による位置検出の場合、従来に比べて高精度にPHS通信端末11の位置を検出することができる。
【0059】
また、第2の決定方法を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する場合に、等値線同士がなす角度が最も高い交点(図20の場合、測定地点候補γ−1)をPHS通信端末11の位置とするようにしてもよい。
【0060】
図24のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15と図4のパーソナルコンピュータ17における一連の処理について説明する。
【0061】
ステップS211において、パーソナルコンピュータ17の制御部90は、ユーザによりPHS通信端末11の位置情報を取得するとの指示を受け付けると、通信部99を制御し、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに、位置情報取得要求を位置計算サーバ15にネットワーク16を介して送信させる。通信部99は、制御部90の制御に従い、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに、位置情報取得要求を位置計算サーバ15にネットワーク16を介して送信する。ステップS201において、位置計算サーバ15の通信部59は、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに位置情報取得要求をネットワーク15を介して受信し、受信されたPHS通信端末11の端末識別情報とともに位置情報取得要求を制御部50に供給する。ステップS202において、位置計算サーバ15の制御部50は、PHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、位置情報の取得が要求されるPHS通信端末11を特定する。ステップS203において、位置計算サーバ15の制御部50は、特定されたPHS通信端末11の位置情報を記憶部58から読み出す。ステップS204において、位置計算サーバ15の制御部50は、通信部59を制御し、PHS通信端末の位置情報をパーソナルコンピュータ17にネットワーク15を介して送信する。ステップS212において、パーソナルコンピュータ17の通信部99は、PHS通信端末11の位置情報(経度緯度により表される位置情報)を受信し、受信されたPHS通信端末11の位置情報を制御部90に供給する。ステップS213において、制御部90は、PHS通信端末11の位置情報を出力部97に出力させる。これにより、ユーザは、PHS通信端末11の現在の高精度な位置を把握することができる。
【0062】
なお、本実施形態に係る移動体通信端末としてPHS通信端末11を適用するようにしたが、このような場合に限られず、例えば携帯電話機を用いて携帯電話機用の基地局を介して位置計算サーバ15と通信するようにしもよい。また、本実施形態に係る移動体通信端末として、WLAN(Wireless Local Area Network)やWiMAXなどの無線通信方法により通信可能な端末を使用し、移動体通信端末が、これらの無線通信方法によるアクセスポイントなどを介して位置計算サーバ15と通信するようにしもよい。このとき、基地局の場合と同様に、アクセスポイントごとに等値線マップが作成される。
【0063】
図25は、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能な携帯電話機130の内部の構成を表している。なお、図25の場合、例えばW-CDMAと呼ばれる符号分割多元接続方式によって無線接続される場合を想定した携帯電話機の内部の構成を示しているが、勿論、他の無線接続方式を用いるようにしてもよい。例えばGSMの接続方式を用いた場合、ディジタル変調方式としてGMSK(Gaussian Filtered Minimum Shift Keying)が用いられる。また、W-CDMAの無線接続方式やGSMの無線接続方式などのいずれの接続方式による処理も行うことができるようにしておき、適宜、W-CDMAの無線接続方式やGSMの無線接続方式などのいくつかの無線接続方式を選択的に使用するようにしてもよい。
【0064】
図25に示されるように、基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ131で受信された後、アンテナ共用器(DUP)132を介して受信回路(RX)133に入力される。受信回路133は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)134から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路133は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ134から発生される局部発振信号の周波数は、制御部138から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0065】
受信回路133からの受信ベースバンド信号は、信号処理部136に入力される。信号処理部136は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調整された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部137に入力される。
【0066】
圧縮伸張処理部137は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、信号処理部136から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によってメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのデータに対してそれぞれ復号処理を行う。
【0067】
圧縮伸張処理部137は、制御部138からのGPS測位に基づく位置情報を含むデータを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータを信号処理部136に出力する。
【0068】
信号処理部136は、圧縮伸張処理部137から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)135に出力する。送信回路135は、制御部138の制御に従い、スペクトラム拡散処理後の信号を例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路135は、ディジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路135は、制御部138により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器132を介してアンテナ131に供給され、このアンテナ131から基地局に向けて送信される。
【0069】
制御部138は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部139からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより通信端末2を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0070】
記憶部139は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部138のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。記憶部139は、コマンドにより構成されるコマンドプログラムや各種ファームウェアなどをそれぞれのメモリ領域に記憶している。また、記憶部139は、各携帯電話機130に一意に割り当てられた各識別情報(例えば識別番号)を記憶している。さらに、携帯電話機130には、現在の正確な現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)144が設けられている。表示部140は、例えばLCDや有機ELなどからなる。操作部141は、操作キーやボタンなどからなる。電源回路143は、バッテリ142の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。なお、図2の表示部140と操作部141は省略するようにしてもよい。
【0071】
なお、図5乃至図24において説明した概念および処理については、本実施形態に係る移動体通信端末が携帯電話機130であっても基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0072】
本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末(PHS通信端末11または携帯電話機130)と、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置(位置計算サーバ15)とを備える情報処理システム1において、移動体通信端末は、基地局12との間で無線通信し、移動体通信端末が通信可能な基地局12から受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局12から受信する無線信号の中から基地局を識別する基地局識別情報を検出し、移動体通信端末が通信可能な複数の基地局12から受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局12に関する基地局識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局12に関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局12からの無線信号の電界強度と複数の基地局12の基地局識別情報を、移動体通信端末から受信し、作成される等値線マップのうち、基地局識別情報により識別される複数の基地局12に関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局12からの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定し、決定される移動体通信端末の位置を記憶することができる。これにより、移動体通信端末や基地局12の種類や特性、および建造物などによる基地局からの電波の伝搬特性の変化によらず、高精度に移動体通信端末の位置を測定することができ、移動体通信端末の位置を固定基地局から受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる。
【0073】
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0074】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0075】
1…情報処理システム、11…PHS通信端末、12(12−1乃至12−n)…基地局、13…PHS網、14…PHS回線制御サーバ、15…位置計算サーバ、16…ネットワーク、17…パーソナルコンピュータ、31…アンテナ、32…無線送受信部、33…信号処理部、34…RSSI測定部、35…制御部、36…記憶部、37…表示部、38…操作部、39…バッテリ、40…電源回路、41…時計回路、50…制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…バス、55…入出力インタフェース、56…入力部、57…出力部、58…記憶部、59…通信部、60…ドライブ、61…磁気ディスク、62…光ディスク、63…光磁気ディスク、64…半導体メモリ、71…基地局位置データベース、90…制御部、91…CPU、92…ROM、93…RAM、94…バス、95…入出力インタフェース、96…入力部、97…出力部、98…記憶部、99…通信部、100…ドライブ、101…磁気ディスク、102…光ディスク、103…光磁気ディスク、104…半導体メモリ、131…アンテナ、132…アンテナ共用器(DUP)、133…受信回路(RX)、134…周波数シンセサイザ(SYN)、135…送信回路(TX)、136…信号処理部、137…圧縮伸張処理部、138…制御部、139…記憶部、140…表示部、141…操作部、142…バッテリ、143…電源回路、144…時計回路、145…RSSI測定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置に係り、特に、移動体通信端末の位置を固定基地局またはアクセスポイントから受信する信号の電界強度を用いて特定することができるようにした位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handy-phone system)や携帯電話機に代表される移動体通信端末は、移動体通信端末の位置をカバーする基地局を介して既設の公衆回線網に接続される。各基地局がカバーするエリアはセルと呼ばれ、予め区分される各エリアごとに基地局が設置される。移動体通信端末が接続する基地局は、移動体通信端末が位置するエリア内をカバーする基地局である。換言すれば、移動体通信端末が接続する基地局は、移動体通信端末に最も近接する基地局である。
【0003】
移動体通信端末の位置を検出することによる位置情報提供サービスが、近年急速に普及している。移動体通信端末の位置を検出する技術として、次のような技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に提案される技術によれば、移動体通信端末は、待ち受け時に移動体通信端末の周辺の基地局からの電波の受信レベルを記憶し、接続する基地局として、通信するのに際に用いることが可能な受信レベルが最大の基地局を選択し、移動体通信端末の現在位置を検出する移動管理局は、移動体通信端末から基地局を介して伝送される基地局の識別符号とその受信電界値をデータ対とする位置情報を基に、基地局の地理的位置情報を蓄積するデータベースを参照して、移動体通信端末の位置を正確に特定するために適切な位置情報を選択し、選択される位置情報の受信電界値から計算式により求めた第1の軌跡、選択される基地局が生成する等電界曲線から求めた第2の軌跡の少なくとも一方の軌跡から移動体通信端末の現在位置を特定することができる。これにより、移動体通信端末の位置精度を高めることが可能である。
【0004】
基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法は、GPS測位に基づく位置情報を用いた移動体通信端末の位置検出方法と比較して位置情報の精度の点で劣るものの、GPS波(GPS情報)が届かない建造物内や地下鉄の構内などにおいても移動体通信端末の位置を検出することができるメリットを有する。さらに、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法は、消費電力を低減することができ、また、移動体通信端末の大まかな位置を絞り込むのに有用である。
【0005】
特に、移動体通信端末がPHSである場合、PHSの各基地局がカバーするエリアは大きくても数100mであることから、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法により、PHSである移動体通信端末の位置を、移動体通信端末がPHS以外のものである場合に比べてより高精度に検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−252622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基地局と移動体通信端末との関係を利用する移動体通信端末の位置検出方法の場合、移動体通信端末が受信する基地局からの電波の受信レベルによっては、検出される移動体通信端末の位置の誤差が数百m乃至数kmとなることもあり、移動体通信端末の位置の計算精度(検出精度)を高めるために種々の研究が行われている。
【0008】
例えば移動体通信端末がPHSである場合であっても、検出される移動体通信端末の位置の誤差が数百mとなる地域も少なくない。すなわち、移動体通信端末の位置を測定(検出)するエリアの環境によっても、基地局が送信する電波の伝搬特性が異なるために、測定地区の電波伝搬特性を考慮して移動体通信端末の位置を測定(検出)する必要がある。特に、電波伝搬特性を考慮するべき測定地区として、基地局が偏在する地区、建物が偏在する地区、土地の起伏が大きい地区、および湖畔や湾岸地区などが挙げられる。このような地区では、移動体通信端末の位置の測定(検出)に大きな誤差が生じうる。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、移動体通信端末の位置を固定基地局またはアクセスポイントから受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる位置探索方法、情報処理システム、移動体通信端末、および情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の位置探索方法は、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムの位置探索方法において、移動体通信端末は、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信し、移動体通信端末が通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出し、移動体通信端末が通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信し、等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする。
【0011】
本発明の情報処理システムは、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムにおいて、移動体通信端末は、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように通信手段を制御する通信制御手段とを備え、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信する受信手段と、等値線マップ作成手段により作成される等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳する重畳手段と、重畳手段により重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、決定手段により決定される移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の移動体通信端末は、上述した課題を解決するために、基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、移動体通信端末が通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する識別情報とを対応付けて、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置に送信するように通信手段を制御する通信制御手段とを備えることを特徴とする。 本発明の情報管理装置は、上述した課題を解決するために、移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と複数の基地局または複数のアクセスポイントの識別情報を、移動体通信端末から受信する受信手段と、等値線マップ作成手段により作成される等値線マップのうち、識別情報により識別される複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する複数の等値線マップを重畳する重畳手段と、重畳手段により重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、決定手段により決定される移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動体通信端末の位置を固定基地局から受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末の内部の構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態に係る位置計算サーバの内部の構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態に係る情報処理装置に適用可能なパーソナルコンピュータの内部の構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態にPHS通信端末の位置検出方法の概念図。
【図6】1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図7】PHS通信端末の記憶部に記憶される、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末の周辺の各基地局からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブルの構成例を示す図。
【図8】図3の位置計算サーバにおける等値線マップ作成処理を説明するフローチャート。
【図9】位置計算サーバの記憶部に記憶される緯度経度テーブルの構成例を示す図。
【図10】図5に示される基地局12−2に関する等値線マップを作成する場合に各事前測定地点α−1乃至α−14で測定される基地局12−2からのRSSI値を各事前測定地点α−1乃至α−14にプロットした図。
【図11】位置計算サーバの制御部により作成される基地局に関する等値線マップを示す図。
【図12】位置計算サーバの記憶部に格納される基地局位置データベースの構成例を示す図。
【図13】測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図14】図3の位置計算サーバにおけるPHS通信端末の位置検出処理を説明するフローチャート。
【図15】各基地局IDにより示される基地局に関する各等値線マップを重畳したマップ(重畳等値線マップ)を示す図。
【図16】基地局12−1乃至12−3からのRSSI値に基づく測定地点候補の抽出方法を示す図。
【図17】測定地点候補を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第1の決定方法)を説明する説明図。
【図18】(A)と(B)は、2つの基地局からの電界強度の値のうちいずれかの基地局に関する電界強度がずれた場合に生ずる、2つの基地局の等値線により形成される交点のずれを示す図。
【図19】測定地点に位置するPHS通信端末の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合において測定地点候補γ−1乃至γ−4で交差する等値線同士がなす角度を示す図。
【図20】抽出された測定地点候補のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外した上で残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第2の決定方法)を説明する説明図。
【図21】複数の等値線の交点(測定地点候補)のうち、PHS通信端末が位置する真の位置を示す交点P、Q、およびRが近接する様子を示す図。
【図22】互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末が位置する測定地点を決定する方法(第3の決定方法)を説明する説明図。
【図23】従来のPHS通信端末の位置検出方法による測定結果と、本実施形態に係る位置検出方法による測定結果との対比を示す図。
【図24】図3の位置計算サーバと図4のパーソナルコンピュータにおける一連の処理を説明するフローチャート。
【図25】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能な携帯電話機の内部の構成を示すブロック図。
【図26】1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末における他の基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【図27】測定地点に位置する図2のPHS通信端末における基地局電界強度送信処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の全体の構成を表している。情報処理システム1には、通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割したセル内にそれぞれ固定無線局である基地局12−1乃至12−nが設置されている。なお、本発明の実施形態の場合、基地局12がn個である場合について記載したが、基地局の数nは1つ以上であればよい。また、基地局12−1乃至12−nは、以下においてそれぞれを個々に区別する必要がない場合、「基地局12」と総称する。
【0016】
これらの基地局12−1乃至12−nには、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11が無線接続される。PHS通信端末11は、PHS通信端末11と送受信可能な複数(例えば10乃至20箇所程度でもよいし、あるいは10箇所以下でもよい)の基地局12に関する基地局情報(基地局12を識別するための基地局IDなど)を保持しており、また、PHS通信端末11と送受信可能な複数の基地局12からの電波の電界強度に関する情報を保持し、保持される基地局情報と電界強度に関する情報をPHS網13に対して基地局12を介して送信する。基地局12−1乃至12−nは、有線回線を介して公衆電話回線網としてのPHS網13に接続する。PHS網13には、PHS回線を制御するためのPHS回線制御サーバ14が接続される。PHS回線制御サーバ14には、PHS通信端末11からPHS網13を介して適宜送信されるPHS通信端末11に関する位置情報を管理する位置計算サーバ15(本実施形態に係る情報管理装置)が接続される。位置計算サーバ15は、PHS通信端末11からの基地局情報と電界強度に関する情報をPHS網13を介して受信し、受信されたこれらの情報に基づいて、基地局位置データベース(図3の基地局位置データベース71)を参照して基地局IDによるマッチングをしてPHS通信端末11の周囲の基地局12を特定するとともに、位置計算サーバ15内の測位アルゴリズム(測定アルゴリズム)に関するプログラムを実行して移動体通信端末としてのPHS通信端末11の位置を計算する。なお、PHS回線制御サーバ14と位置計算サーバ15は、位置情報センターを構成する。
【0017】
位置計算サーバ15には、ネットワーク16(例えば、インターネット(IP)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の各種のネットワークを含む)が接続される。ネットワーク16には、PHS通信端末11の位置の検出を所望するユーザが管理するパーソナルコンピュータ17(本実施形態に係る情報処理装置)が接続される。位置計算サーバ15は、例えばパーソナルコンピュータ17からの取得要求(リクエスト)を根とワーク16を介して受信すると、PHS通信端末11の位置に関する計算結果をパーソナルコンピュータ17にネットワーク16を介して送信する。
【0018】
図2は、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11の内部の構成を表している。図2が示すように、PHS通信端末1は、アンテナ31、無線送受信部32、信号処理部33、RSSI測定部34、制御部35、記憶部36、表示部37、相サブ38、バッテリ39、電源回路40、および時計回路41を備える。
【0019】
アンテナ31は、基地局12からPHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で送信される無線信号を空間から受信する。また、アンテナ31は、基地局12との間で無線通信することができるように空間に、PHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で無線信号を放射する。無線送受信部32は、アンテナ31を介して、基地局12との間で無線通信する。無線送受信部32は、信号処理部33にて生成された変調信号に基づいて、制御部35から指示されるキャリア周波数の無線信号を生成する。また、無線送受信部32は、制御部35から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、受信された無線信号に対して復調処理を施す。そして、無線送受信部32は、復調処理後の受信結果を、信号処理部33と制御部35に出力する。信号処理部33は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、無線送受信部32からの信号に対して所定の信号処理を施す。なお、信号処理部33は、復調処理後の受信結果から、PHS通信端末11の周囲に存在する基地局12を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を検出し、検出された基地局IDを制御部35に出力する。RSSI測定部34は、無線送受信部32が基地局12から受信する信号の電界強度を測定し、測定された受信信号のRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)に関する情報を制御部35に出力する。
【0020】
制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部36からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより移動無線端末1を統括的に制御する。具体的には、制御部35は、種々の通信処理システムによるデータ通信を実現する制御機能を備えており、無線送受信部32が用いるキャリア周波数を制御し、無線送受信部32での受信結果に基づいて基地局から送信される無線フレームとの同期の確立を行う。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0021】
記憶部36は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部35のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、PHS通信端末11の制御プログラムや制御データ、PHS通信端末11に固有に割り当てられた端末識別情報を格納する。この他にも、記憶部36は、データ通信により取得したデータやダウンロードしたデータを適宜記憶する。表示部37は、例えばLCDや有機ELなどからなる。操作部38は、操作キーやボタンなどからなる。電源回路40は、バッテリ39の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。PHS通信端末11は、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)41を備える。
【0022】
なお、図2の表示部37と操作部38は省略するようにしてもよい。
【0023】
図3は、本実施形態に係る位置計算サーバ15の内部の構成を表している。図3が示すように、位置計算サーバ15は、制御部50、入出力インタフェース55、入力部56、出力部57、記憶部58、通信部59、およびドライブ60により構成される。これらは、バス54を介して相互に接続される。制御部50は、CPU51、ROM52、およびRAM53を備える。制御部50のCPU51は、ROM52が記憶するプログラム、または記憶部58からRAM53にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM53にはまた、CPU51が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。CPU51、ROM52、およびRAM53には、バス54を介して相互に接続されている。バス54にはまた、入出力インタフェース55が接続される。入出力インタフェース55には、キーボード、マウスなどによりなる入力部56、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ並びにスピーカなどよりなる出力部57、ハードディスクなどより構成される記憶部58、モデム、ターミナルアダプタ、およびネットワークインタフェースなどより構成される通信部59が接続される。通信部59は、ネットワーク16などを介しての通信処理を行う。記憶部58は、緯度経度により示される基地局12の位置と基地局IDとが対応付けられて登録される基地局位置データベース71を有する。
【0024】
入出力インタフェース55には、必要に応じてドライブ60が接続され、磁気ディスク61(フロッピディスクを含む)、光ディスク62(CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク63(MD(Mini-Disk)を含む)、あるいは半導体メモリ64などが適宜装着され、それから読み出しコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部58にインストールされる。
【0025】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置に適用可能なパーソナルコンピュータ17の内部の構成を表している。なお、図4を用いて説明するパーソナルコンピュータ17の内部の構成は、図3を用いて説明した位置計算サーバ15の内部の構成と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末11が取得する周辺の基地局12からの電波レベルとその基地局12の基地局IDを用いて、PHS通信端末11の位置を特定する。これにより、本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末の位置の測定(検出)に大きな誤差が生じうる測定地区(電波伝搬特性を考慮するべき測定地区)であっても、PHS通信端末11の位置を高精度に特定することが可能となる。図5は、本実施形態にPHS通信端末11の位置検出方法の概念を表している。図5が示すように、本実施形態は、PHS通信端末11の位置を測定(検出)する測定地域内に含まれる複数の地点(事前測定地点)で予め周辺の基地局12からの電波強度(電界強度)を測定しておき、測定結果を基に、測定地域内における周辺基地局12からの電波の伝搬特性を等値線によって表す。図5の場合、3つの基地局12(基地局12−1乃至12−3)が近接する測定地域において、事前測定地点α−1乃至α−14で予め周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度をそれぞれ測定しておき、その測定結果を基に、測定地域内における周辺基地局12−1乃至12−3からの電波の伝搬特性を等値線によってそれぞれ表す。
【0027】
次に、情報処理システム1が特定しようとするPHS通信端末11の位置が測定地点(未知の測定地点)βである場合、情報処理システム1は、PHS通信端末11が取得する周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度とその基地局12−1乃至12−3の基地局IDを用いて、測定地域内における周辺基地局12−1乃至12−3からの電波の伝搬特性を示す等値線を参照して、PHS通信端末11の現在の位置(新規測定地点β)を特定する。すなわち、情報処理システム1は、PHS通信端末11が取得する周辺の基地局12−1乃至12−3からの電界強度を示す等値線の交点を用いて、PHS通信端末11の現在の位置を特定する。
【0028】
このように、本実施形態に係る移動体通信端末の位置検出方法は、基地局12の位置と基地局地点での想定される基地局12からの電界強度と、予め各基地局12からの電界強度を測定した事前測定地点の位置とその測定値を用いて測定値の補間を行うことにより、基地局12ごとに描いた基地局12からの電界強度の等値線図を用いた移動体通信端末の位置検出方法である。以下、この移動体通信端末の位置検出方法を用いた処理の詳細について説明する。まず、位置計算サーバ15が測定地域内における周辺基地局12からの電波の伝搬特性を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成処理の前提として行われる、事前測定地点に位置するPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。なお、事前測定地点に位置するPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理が実行される場合、測定地域内の各事前測定地点にそれぞれPHS通信端末11が予め配置されているものとする。
【0029】
図6のフローチャートを参照して、1つの事前測定地点に位置する図2のPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。PHS通信端末11は、いずれかの基地局12に対して待ち受けているものとする。また、PHS通信端末11は、測定地域内のいずれかの事前測定地点に配置される。位置計算サーバ15は、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとする。
【0030】
ステップS1において、PHS通信端末11の制御部35は、オペレータが操作部38を操作することにより基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。ステップS1においてPHS通信端末11が、基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、PHS通信端末11の制御部35はステップS2で、無線送受信部32およびRSSI測定部34を制御し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12(PHS通信端末11が信号を送受信可能な基地局12であり、待ち受けしている基地局12以外の他の複数の基地局12であっても信号が送受信可能であれば含まれる)からの所定の周波数のRSSI値を測定する。すなわち、制御部35は、PHSの通信周波数帯域に存在するキャリア周波数を無線送受信部32に順次割り当て、割り当てられたキャリア周波数を有する信号を無線送受信部32に順次受信させる。無線送受信部32は、制御部35によって割り当てられたキャリア周波数を有する信号を順次受信し、受信信号をRSSI測定部34に出力する。RSSI測定部34は、無線送受信部32からの各周波数の受信信号に関するRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)を測定し、測定されたRSSI値に関する情報を制御部35に出力する。また、このとき、無線送受信部32が割り当てられたキャリア周波数を有する信号を受信する場合に、無線送受信部32は、PHS網13に接続される基地局12からの制御チャネル情報を含む信号を受信し、受信された制御チャネル情報を含む信号に対して復調処理を施し、復調処理後の受信結果を制御部35に出力する。制御部35は、受信結果に含まれる制御チャネル情報に基づいて、受信信号がPHS網13に接続される基地局12からの信号であると認識する。
【0031】
ステップS3において、信号処理部33は、制御部35の制御に従い、復調処理後の受信結果に対して所定の信号処理を施し、受信結果に含まれる制御チャネル情報から、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周囲に存在する基地局12を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を順次検出し、検出された基地局IDを順次制御部35に出力する。なお、ステップS2とステップS3の処理は本実施系において時系列的に記載しているが、基本的には並列的な処理である。
【0032】
ステップS4において、制御部35は、ステップS2とステップS3の処理によって順次取得される、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを対応付けて記憶部36に記憶する。図7は、記憶部36に記憶される、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブルである。図7が示すように、「基地局ID1」と基地局ID1によって識別される基地局12からの信号のRSSI値「a」とが対応付けられて記憶される。「基地局ID2」と基地局ID1によって識別される基地局12からの信号のRSSI値「b」とが対応付けられて記憶される。その他についても同様である。
【0033】
ステップS5において、制御部35は、記憶部36に記憶される対応関係テーブルを読み出し、無線送受信部32および信号処理部33を制御し、読み出された対応関係テーブルを用いて、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信する。その後、処理は終了する。
【0034】
なお、図6の基地局電界強度送信処理の場合、PHS通信端末11が基地局電界強度送信処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合に、PHS通信端末11が、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に逐次送信するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図26が示すように、PHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)ごとに、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定しつつ(ステップS301乃至S302)、その後、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから所定の時間(例えば10分から1日)経過した場合に、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSIちと基地局IDのデータ群をまとめて位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい(ステップS305乃至S306)。これにより、PHS通信端末11における送信処理よる電力消費を抑えることができるとともに、後述する基地局12の等値線を示す等値線マップをより効率的に更新することができる。また、PHS通信端末11は、例えば位置計算サーバ15からの取得要求に従い、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0035】
なお、図6の基地局電界強度送信処理の場合、位置計算サーバ15は、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとしたが、このような場合に限られず、例えばPHS通信端末11がGPS受信部を備え、GPS受信部を用いてPHS通信端末11の経度緯度に関する情報を取得した上で、PHS通信端末11の経度緯度に関する情報を、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局ID、およびPHS通信端末11を識別するための端末識別情報ととともに位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0036】
また、ある測定地域内に設けられる他の複数の事前測定地点に位置する他の複数のPHS通信端末11もそれぞれ、同様の基地局電界強度送信処理を行って、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、位置計算サーバ15に送信する。なお、本実施形態は、測定地域内の各事前測定地点に位置するPHS通信端末11を用いて、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を測定し、各事前測定地点における各RSSI値を位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られず、例えばPHS通信端末11以外の専用の端末を用いて、予め、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を測定し、各事前測定地点における各RSSI値を位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。
【0037】
図8のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15における等値線マップ作成処理について説明する。なお、位置計算サーバ15は、等値線マップ作成処理に際し、基地局電界強度送信処理を実行するPHS通信端末11が位置する事前測定地点を示す経度緯度に関する情報を、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに予め取得しているものとする。
【0038】
ステップS21において、位置計算サーバ15の通信部59は、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11の端末識別情報とともに順次受信し、受信されたこれらの情報を制御部50に順次供給する。ステップS22において、制御部50は、各基地局からのRSSI値と基地局IDを送信する各PHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、予めPHS通信端末11の端末識別情報とPHS通信端末11が位置する事前測定地点における経度緯度が対応付けられて登録される経度緯度テーブルを参照して、PHS通信端末11の位置する事前測定地点における経度緯度を抽出する。制御部50は、図9は、位置計算サーバ15の記憶部58に記憶される緯度経度テーブルの構成例を表している。図9が示すように、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の端末識別情報と、各事前測定地点における経度緯度が対応付けられて登録されている。例えば事前測定地点α−1に位置するPHS通信端末11の「端末識別情報1」、事前測定地点α−1における経度緯度「経度m1緯度n1」が対応付けられて登録されている。以下、同様である。
【0039】
ステップS23において、制御部50は、抽出された各PHS通信端末11が位置する各事前測定地点における経度緯度と、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDに基づいて、特定の基地局に関する等値線マップを作成する。このとき、特定の基地局に関する等値線マップを作成する際に、制御部50は、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を各事前測定地点にプロットする。図10は、図5に示される基地局12−2に関する等値線マップを作成する場合に各事前測定地点α−1乃至α−14で測定される基地局12−2からのRSSI値を各事前測定地点α−1乃至α−14にプロットした図である。図10の場合、事前測定地点α−1でPHS通信端末11(端末識別情報1により識別されるPHS通信端末11)により予め測定されたRSSI値は「21(dBμV/m)」である。また、事前測定地点α−2でPHS通信端末11(端末識別情報2により識別されるPHS通信端末11)により予め測定されたRSSI値は「24(dBμV/m)」である。他の事前測定地点についても同様である。なお、図10の場合、事前測定地点α−8においては、基地局12−2からのRSSI値が測定できていない。
【0040】
なお、基地局12の位置における基地局からの電波の電界強度を測定することは不可能であることから、制御部50は、基地局12の位置における基地局からの電波に関する仮想のRSSI値(電界強度を示す値)として、PHS通信端末11において測定可能な最大値に設定する。図10の場合、基地局12−2の位置における基地局からの電波に関する仮想のRSSI値は「40(dBμV/m)」である。
【0041】
次に、制御部50は、各事前測定地点にプロットされる、各事前測定地点に位置する各PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値を用いて、特定の基地局12に関する等値線マップを作成する。具体的には、制御部50は、各事前測定地点にプロットされるRSSI値をスプライン補間法、または距離と電界強度の関係式E=k/D(k:電荷、D:距離)が形成する勾配を有するように補間する方法を用いて各事前測定地点間で補間し、特定の基地局12に関する電界強度の等値線を作成し、特定の基地局12に関する等値線マップを作成する。図11は、位置計算サーバ15の制御部50により作成される基地局12−2に関する等値線マップを表している。
【0042】
ステップS24において、制御部50は、作成された特定の基地局12に関する等値線マップを記憶部59の基地局位置データベース71に基地局IDに対応付けて記憶させる。記憶部59は、制御部50の制御に従い、作成された特定の基地局12に関する等値線マップを基地局位置データベース71に基地局IDに対応付けて記憶する。図12は、位置計算サーバ15の記憶部59に格納される基地局位置データベース71の構成例を表している。図12が示すように、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、および基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ」が対応付けられて登録される。図12の場合、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、および基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ」が対応付けられて登録される。例えば「基地局ID1」、基地局ID1により識別される基地局12の位置を示す「緯度ma経度na」、および基地局ID1により識別される基地局12に関する電界強度の等値線を示す「等値線マップ1」が対応付けられて登録される。他の基地局についても同様である。ステップS25において、制御部50は、各事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDに基づいて、すべての基地局に関する等値線マップを作成したか否かを判定する。ステップS25において制御部50が、すべての基地局に関する等値線マップを作成したと判定した場合、等値線マップ作成処理は終了する。一方、ステップS25において制御部50が、すべての基地局に関する等値線マップを作成していないと判定した場合、処理はステップS23に戻り、他の基地局12に関する等値線マップが作成される。
【0043】
なお、図8の等値線マップ作成処理により一旦作成された等値線マップは、各事前測定地点で新たに測定されたRSSI値または新たに設置された事前測定地点で測定されたRSSI値に基づいて適宜更新される。これにより、測定地域内で新たに建造物などが建造された場合であっても、その建造物の存在による測定地域内の基地局12に関する電界強度の等値線への影響を考慮して、基地局12に関する等値線マップを更新することができる。
【0044】
また、本実施形態における基地局位置データベース71は、「基地局ID」、基地局12の位置を示す「緯度経度」、基地局12ごとの電界強度の各事前測定地点における「経度緯度」、および基地局ごとの各事前測定地点に関する電界強度の値(RSSI値)が対応付けられて登録されるようにしてもよい。
【0045】
次に、図13のフローチャートを参照して、測定地点に位置する図2のPHS通信端末11における基地局電界強度送信処理について説明する。PHS通信端末11は、いずれかの基地局12に対して待ち受けているものとする。また、PHS通信端末11は、コンテナなどに取り付けられた上で車などによって測定地域内で移動していたり、あるいは、測定地域内の建造物内または地下鉄構内などに停止しているものとする。なお、図13のステップS102乃至S105の処理は図6のステップS2乃至ステップS5の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
【0046】
ステップS101において、PHS通信端末11の制御部35は、時計回路41を用いて、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局からのRSSI値とその基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したか否かを判定し、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したと判定するまで待機する。ステップS101においてPHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したと判定した場合、処理はステップS102に進む。
【0047】
ステップS105において、制御部35は、記憶部36に記憶される対応関係テーブルを読み出し、無線送受信部32および信号処理部33を制御し、読み出された対応関係テーブルを用いて、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに、待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信する。その後、処理はステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。これにより、位置計算サーバ15は、PHS通信端末11から送信されてくるPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを所定の時間ごとに受信することができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、タイマを用いて定期的にPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られず、例えば位置計算サーバ15からの取得要求に従い、これらの情報を位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい。また、図13の基地局電界強度送信処理の場合、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)が経過したときに、PHS通信端末11が、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定し、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局12を介してPHS網13を経由して位置計算サーバ15に送信するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図27が示すように、PHS通信端末11が、予め設定された所定の時間(例えば1.2秒間など)ごとに、1つの事前測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の基地局12からの所定の周波数のRSSI値を測定しつつ(ステップS311乃至S312)、その後、前回PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを位置計算サーバ15に送信してから所定の時間(例えば10分から1日)経過した場合に、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSIちと基地局IDのデータ群をまとめて位置計算サーバ15に送信するようにしてもよい(ステップS315乃至S316)。これにより、PHS通信端末11は、PHS通信端末11の位置情報を位置計算サーバ15にまとめて送信することができ、PHS通信端末11における送信処理よる電力消費を抑えることができる。
【0049】
図14のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15におけるPHS通信端末11の位置検出処理について説明する。
【0050】
ステップS121において、位置計算サーバ15の通信部59は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末11の端末識別情報とともに受信し、受信されたこれらの情報を制御部50供給する。例えば位置計算サーバ15の通信部59は、図7に示されるような基地局IDとRSSI値とが1対となるデータ群を、PHS通信端末11の端末識別情報とともに受信する。ステップS122において、制御部50は、通信部59からのPHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、位置を検出するPHS通信端末11を特定する。ステップS123において、制御部50は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12の基地局IDに基づいて、記憶部58の基地局位置データベース71から、受信された各基地局IDに関する各等値線マップを読み出す。例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12の基地局IDに「基地局ID1」乃至「基地局ID3」が含まれる場合、制御部50は、基地局位置データベース71から、「基地局ID1」乃至「基地局ID3」により示される基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップを読み出す。
【0051】
ステップS124において、制御部50は、読み出された各基地局IDにより示される基地局12に関する各等値線マップを重畳する。図15は、各基地局IDにより示される基地局12に関する各等値線マップを重畳したマップ(重畳等値線マップ)を表している。例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれる場合、基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップが重畳される。なお、本実施形態の場合、説明を簡略化するために、基地局12−1乃至12−3に関する各等値線マップが重畳される場合について明示的に説明するが、このような場合に限られない。勿論、位置計算サーバ15は、基地局識別情報により識別される複数の基地局12のうち、PHS通信端末11と通信可能な基地局12からの無線信号に関する電界強度が基準値以上の基地局12に関する複数の等値線マップを重畳するようにしてもよい。
【0052】
ステップS125において、制御部50は、重畳された等値線マップを用いて、PHS通信端末11の周辺の各基地局12からのRSSI値に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する。具体的には、例えば測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合、制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する。図16は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値に基づく測定地点候補の抽出方法を表している。図16が示すように、制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の4つの交点を測定地点候補γ−1乃至γ−4として抽出する。
【0053】
ステップS126において、制御部50は、抽出された複数の測定地点候補を用いて、PHS通信端末11が位置する測定地点を決定する。図17は、測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第1の決定方法)を説明する説明図である。図17の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4が含まれている。そして、図17の場合、制御部50は、これら4つの測定地点候補の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は28.0mであった。なお、御部50は、これら4つの測定地点候補の重心以外の点をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定するようにしてもよい。また、例えば測定地点候補に重み度合いを付けた上で重心を算出するようにしてもよい。
【0054】
ステップS127において、制御部50は、決定されたPHS通信端末11の位置の測定結果(経度緯度により表される位置情報)をPHS通信端末11の端末識別情報とともに対応付けて記憶部58に記憶させる。その後、位置検出処理は終了する。
【0055】
なお、図17の場合、制御部50は、これら4つの測定地点候補の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定するようにしたが、このような場合に限られない。例えば図16が示すように制御部50は、基地局12−1乃至12−3からのRSSI値(「18」、「22」、および「21」)に基づく各等値線の4つの交点を測定地点候補γ−1乃至γ−4として抽出するが、抽出された測定地点候補γ−1乃至γ−4のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補(等値線同士がなす角度が直角に近くない角度を有する測定地点候補)を除外した上で、残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果を決定するようにしてもよい。ここで、等値線の交点である測定地点候補のうち等値線同士がなす角度が基準値より低い測定地点候補を除外する理由を以下に説明する。すなわち、PHS通信端末11が測定する各基地局12からの電界強度はある程度の誤差を含み、測定される電界強度により等値線がずれる場合がありうる。そのため、図18(A)と(B)が示すように、基地局Aと基地局Bの2つの基地局12からの電界強度の値のうち基地局Bに関する電界強度がずれた場合、基地局AとBの等値線により形成される交点もずれる。その交点のずれの大きさは、図18(A)が示すように等値線同士がなす角度が低い場合よりも、図18(B)が示すように等値線同士がなす角度が高い場合の方が小さいからである。
【0056】
図19は、測定地点に位置するPHS通信端末11の周辺の各基地局12に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局12−1乃至12−3が含まれており、かつ基地局12−1乃至12−3からのRSSI値が「18」、「22」、および「21」である場合において測定地点候補γ−1乃至γ−4で交差する等値線同士がなす角度を表している。図19が示すように、測定地点候補γ−1で交差する等値線同士がなす角度「71°」であり、測定地点候補γ−2で交差する等値線同士がなす角度「62°」であり、測定地点候補γ−3で交差する等値線同士がなす角度「68°」であり、測定地点候補γ−1で交差する等値線同士がなす角度「13°」である。このとき、測定地点候補を除外する際の等値線同士がなす角度に関する基準値を60°とすると、図19の場合、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−4が除外される。なお、この基準値は設定可能であり、適宜変更するようにしてもよい。例えば基地局12の間隔が十分に小さい場合には、測定地点候補を除外する際の等値線同士がなす角度に関する基準値を低くして、測定地点候補を実質的に除外しないようにしてもよい。図20は、抽出された測定地点候補のうち、等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外した上で残りの測定地点候補を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第2の決定方法)を説明する説明図である。図20の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4が含まれているが、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−4が除外される。そして、制御部50は、残りの3つの測定地点候補γ−1乃至γ−3の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は74.8mであった。
【0057】
また、2つの基地局12からの電界強度のRSSI値による等値線は、基本的に2つの交点を持つことになる。ここで、図21が示すように、複数の等値線の交点(測定地点候補)のうち、PHS通信端末11が位置する真の位置を示す交点P、Q、およびRは交点同士互いに接近し、それ以外は遠く離れる。このとき、交点(測定地点)P、Q、およびRでは、交差する等値線同士がなす角度は直角に近いものとなる。そこで、等値線同士がなす角度が基準値以上である交点(測定地点候補)が複数ある場合、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)以外の交点を除外しつつ、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果を決定するようにしてもよい。図22は、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の交点(測定地点候補)を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する方法(第3の決定方法)を説明する説明図である。図22の場合、PHS通信端末11が位置する測定地点の候補には、測定地点候補γ−1乃至γ−4などが含まれているが、測定地点候補γ−1乃至γ−4の中から測定地点候補γ−1とγ−4などが除外される。そして、制御部50は、互いに所定の距離内に近接する残りの2つの測定地点候補γ−2乃至γ−3の重心をPHS通信端末11が位置する測定地点の測定結果に決定する。このとき、PHS通信端末11が実際に位置する測定地点と、ステップS126により決定されるPHS通信端末11の測定結果との誤差は17.3mであった。なお、図22の場合、測定地点候補γ−1乃至γ−4以外で除外される測定地点候補は図22上に表されていない。
【0058】
図23は、従来のPHS通信端末の位置検出方法による測定結果と、本実施形態に係る位置検出方法による測定結果との対比を表している。図23が示すように、複数の測定地点候補を用いた第1の決定方法による測位結果はδ−1により示される地点であり、複数の測定地点候補を用いた第2の決定方法による測位結果はδ−2により示される地点であり、複数の測定地点候補を用いた第3の決定方法による測位結果はδ−3により示される地点である。そして、上述したように、第1の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は28.0mであり、第2の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は74.8mであり、第3の決定方法による実際の測定地点との測位結果の誤差は17.3mである。一方、測定地点に位置するPHS通信端末11が待ち受けしている基地局12−2の位置(緯度経度)をPHS通信端末11の位置の測定結果とする従来の方法では、実際の測定地点との測位結果の誤差は224mであり、また、送受信可能な基地局12−1乃至12−3の位置の重心をPHS通信端末11の位置の測定結果とする従来の方法であっても、測位結果の誤差は216mである。従って、本実施形態に係る第1乃至第3の決定方法による位置検出の場合、従来に比べて高精度にPHS通信端末11の位置を検出することができる。
【0059】
また、第2の決定方法を用いてPHS通信端末11が位置する測定地点を決定する場合に、等値線同士がなす角度が最も高い交点(図20の場合、測定地点候補γ−1)をPHS通信端末11の位置とするようにしてもよい。
【0060】
図24のフローチャートを参照して、図3の位置計算サーバ15と図4のパーソナルコンピュータ17における一連の処理について説明する。
【0061】
ステップS211において、パーソナルコンピュータ17の制御部90は、ユーザによりPHS通信端末11の位置情報を取得するとの指示を受け付けると、通信部99を制御し、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに、位置情報取得要求を位置計算サーバ15にネットワーク16を介して送信させる。通信部99は、制御部90の制御に従い、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに、位置情報取得要求を位置計算サーバ15にネットワーク16を介して送信する。ステップS201において、位置計算サーバ15の通信部59は、位置を取得するPHS通信端末11の端末識別情報とともに位置情報取得要求をネットワーク15を介して受信し、受信されたPHS通信端末11の端末識別情報とともに位置情報取得要求を制御部50に供給する。ステップS202において、位置計算サーバ15の制御部50は、PHS通信端末11の端末識別情報に基づいて、位置情報の取得が要求されるPHS通信端末11を特定する。ステップS203において、位置計算サーバ15の制御部50は、特定されたPHS通信端末11の位置情報を記憶部58から読み出す。ステップS204において、位置計算サーバ15の制御部50は、通信部59を制御し、PHS通信端末の位置情報をパーソナルコンピュータ17にネットワーク15を介して送信する。ステップS212において、パーソナルコンピュータ17の通信部99は、PHS通信端末11の位置情報(経度緯度により表される位置情報)を受信し、受信されたPHS通信端末11の位置情報を制御部90に供給する。ステップS213において、制御部90は、PHS通信端末11の位置情報を出力部97に出力させる。これにより、ユーザは、PHS通信端末11の現在の高精度な位置を把握することができる。
【0062】
なお、本実施形態に係る移動体通信端末としてPHS通信端末11を適用するようにしたが、このような場合に限られず、例えば携帯電話機を用いて携帯電話機用の基地局を介して位置計算サーバ15と通信するようにしもよい。また、本実施形態に係る移動体通信端末として、WLAN(Wireless Local Area Network)やWiMAXなどの無線通信方法により通信可能な端末を使用し、移動体通信端末が、これらの無線通信方法によるアクセスポイントなどを介して位置計算サーバ15と通信するようにしもよい。このとき、基地局の場合と同様に、アクセスポイントごとに等値線マップが作成される。
【0063】
図25は、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能な携帯電話機130の内部の構成を表している。なお、図25の場合、例えばW-CDMAと呼ばれる符号分割多元接続方式によって無線接続される場合を想定した携帯電話機の内部の構成を示しているが、勿論、他の無線接続方式を用いるようにしてもよい。例えばGSMの接続方式を用いた場合、ディジタル変調方式としてGMSK(Gaussian Filtered Minimum Shift Keying)が用いられる。また、W-CDMAの無線接続方式やGSMの無線接続方式などのいずれの接続方式による処理も行うことができるようにしておき、適宜、W-CDMAの無線接続方式やGSMの無線接続方式などのいくつかの無線接続方式を選択的に使用するようにしてもよい。
【0064】
図25に示されるように、基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ131で受信された後、アンテナ共用器(DUP)132を介して受信回路(RX)133に入力される。受信回路133は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)134から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路133は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ134から発生される局部発振信号の周波数は、制御部138から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0065】
受信回路133からの受信ベースバンド信号は、信号処理部136に入力される。信号処理部136は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調整された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部137に入力される。
【0066】
圧縮伸張処理部137は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、信号処理部136から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によってメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのデータに対してそれぞれ復号処理を行う。
【0067】
圧縮伸張処理部137は、制御部138からのGPS測位に基づく位置情報を含むデータを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータを信号処理部136に出力する。
【0068】
信号処理部136は、圧縮伸張処理部137から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)135に出力する。送信回路135は、制御部138の制御に従い、スペクトラム拡散処理後の信号を例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路135は、ディジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路135は、制御部138により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器132を介してアンテナ131に供給され、このアンテナ131から基地局に向けて送信される。
【0069】
制御部138は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部139からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより通信端末2を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0070】
記憶部139は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部138のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。記憶部139は、コマンドにより構成されるコマンドプログラムや各種ファームウェアなどをそれぞれのメモリ領域に記憶している。また、記憶部139は、各携帯電話機130に一意に割り当てられた各識別情報(例えば識別番号)を記憶している。さらに、携帯電話機130には、現在の正確な現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)144が設けられている。表示部140は、例えばLCDや有機ELなどからなる。操作部141は、操作キーやボタンなどからなる。電源回路143は、バッテリ142の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。なお、図2の表示部140と操作部141は省略するようにしてもよい。
【0071】
なお、図5乃至図24において説明した概念および処理については、本実施形態に係る移動体通信端末が携帯電話機130であっても基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0072】
本実施形態に係る情報処理システム1は、移動体通信端末(PHS通信端末11または携帯電話機130)と、移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置(位置計算サーバ15)とを備える情報処理システム1において、移動体通信端末は、基地局12との間で無線通信し、移動体通信端末が通信可能な基地局12から受信する無線信号の電界強度を測定し、基地局12から受信する無線信号の中から基地局を識別する基地局識別情報を検出し、移動体通信端末が通信可能な複数の基地局12から受信する無線信号の電界強度と、複数の基地局12に関する基地局識別情報とを対応付けて、情報管理装置に送信するように制御し、情報管理装置は、移動体通信端末と接続する各基地局12に関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局12からの無線信号の電界強度と複数の基地局12の基地局識別情報を、移動体通信端末から受信し、作成される等値線マップのうち、基地局識別情報により識別される複数の基地局12に関する複数の等値線マップを重畳し、重畳される複数の等値線マップを用いて、移動体通信端末と通信可能な複数の基地局12からの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、抽出される複数の測定地点候補に基づいて、移動体通信端末の位置を決定し、決定される移動体通信端末の位置を記憶することができる。これにより、移動体通信端末や基地局12の種類や特性、および建造物などによる基地局からの電波の伝搬特性の変化によらず、高精度に移動体通信端末の位置を測定することができ、移動体通信端末の位置を固定基地局から受信する信号の電界強度を用いて高精度に特定することができる。
【0073】
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0074】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0075】
1…情報処理システム、11…PHS通信端末、12(12−1乃至12−n)…基地局、13…PHS網、14…PHS回線制御サーバ、15…位置計算サーバ、16…ネットワーク、17…パーソナルコンピュータ、31…アンテナ、32…無線送受信部、33…信号処理部、34…RSSI測定部、35…制御部、36…記憶部、37…表示部、38…操作部、39…バッテリ、40…電源回路、41…時計回路、50…制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…バス、55…入出力インタフェース、56…入力部、57…出力部、58…記憶部、59…通信部、60…ドライブ、61…磁気ディスク、62…光ディスク、63…光磁気ディスク、64…半導体メモリ、71…基地局位置データベース、90…制御部、91…CPU、92…ROM、93…RAM、94…バス、95…入出力インタフェース、96…入力部、97…出力部、98…記憶部、99…通信部、100…ドライブ、101…磁気ディスク、102…光ディスク、103…光磁気ディスク、104…半導体メモリ、131…アンテナ、132…アンテナ共用器(DUP)、133…受信回路(RX)、134…周波数シンセサイザ(SYN)、135…送信回路(TX)、136…信号処理部、137…圧縮伸張処理部、138…制御部、139…記憶部、140…表示部、141…操作部、142…バッテリ、143…電源回路、144…時計回路、145…RSSI測定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信端末と、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムの位置探索方法において、
前記移動体通信端末は、
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信し、
前記移動体通信端末が通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定し、
基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出し、
前記移動体通信端末が通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記情報管理装置に送信するように制御し、
前記情報管理装置は、
前記移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの前記識別情報を、前記移動体通信端末から受信し、
前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳し、
重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、
抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする位置探索方法。
【請求項2】
移動体通信端末と、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムにおいて、
前記移動体通信端末は、
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、
前記通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御する通信制御手段と
を備え、
前記情報管理装置は、
前記移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの前記識別情報を、前記移動体通信端末から受信する受信手段と、
前記等値線マップ作成手段により作成される前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳する重畳手段と、
前記重畳手段により重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、
移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、
前記通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御する通信制御手段とを備えることを特徴とする移動体通信端末。
【請求項4】
前記通信制御手段は、予め設定された所定の時間ごとに、前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の移動体通信端末。
【請求項5】
前記通信制御手段は、前記情報管理装置からの取得要求に従い、前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の移動体通信端末。
【請求項6】
移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの識別情報を、前記移動体通信端末から受信する受信手段と、
前記等値線マップ作成手段により作成される前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳する重畳手段と、
前記重畳手段により重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項7】
前記等値線マップ作成手段は、緯度経度により示される複数の測定地点で測定される基地局またはアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づいて、前記等値線マップを作成することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補の重心を、前記移動体通信端末の位置として決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補のうち、異なる2つの基地局またはアクセスポイントの電界強度に関する等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外し、残りの前記測定地点候補を用いて前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に、異なる2つの基地局またはアクセスポイントの電界強度に関する等値線同士がなす角度が基準値以上の測定地点候補が複数含まれる場合、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の前記測定地点候補を用いて、前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項11】
前記記憶手段により記憶される前記移動体通信端末の位置を、前記情報管理装置にネットワークを介して接続される情報処理装置に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項12】
前記重畳手段は、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントのうち、前記移動体通信端末と通信可能な基地局またはアクセスポイントからの無線信号に関する電界強度が基準値以上の基地局またはアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項1】
移動体通信端末と、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムの位置探索方法において、
前記移動体通信端末は、
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信し、
前記移動体通信端末が通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定し、
基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出し、
前記移動体通信端末が通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記情報管理装置に送信するように制御し、
前記情報管理装置は、
前記移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成し、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの前記識別情報を、前記移動体通信端末から受信し、
前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳し、
重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出し、
抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする位置探索方法。
【請求項2】
移動体通信端末と、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置とを備える情報処理システムにおいて、
前記移動体通信端末は、
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、
前記通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御する通信制御手段と
を備え、
前記情報管理装置は、
前記移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの前記識別情報を、前記移動体通信端末から受信する受信手段と、
前記等値線マップ作成手段により作成される前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳する重畳手段と、
前記重畳手段により重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
基地局またはアクセスポイントとの間で無線通信する通信手段と、
移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の電界強度を測定する測定手段と、
前記通信手段が基地局またはアクセスポイントから受信する無線信号の中から基地局またはアクセスポイントを識別する識別情報を検出する検出手段と、
前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて、前記移動体通信端末の位置を管理する情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御する通信制御手段とを備えることを特徴とする移動体通信端末。
【請求項4】
前記通信制御手段は、予め設定された所定の時間ごとに、前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の移動体通信端末。
【請求項5】
前記通信制御手段は、前記情報管理装置からの取得要求に従い、前記移動体通信端末が前記通信手段を用いて通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントから受信する無線信号の前記電界強度と、前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する前記識別情報とを対応付けて前記情報管理装置に送信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の移動体通信端末。
【請求項6】
移動体通信端末と接続する各基地局または各アクセスポイントに関する電界強度の等値線を示す等値線マップを作成する等値線マップ作成手段と、
前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度と前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントの識別情報を、前記移動体通信端末から受信する受信手段と、
前記等値線マップ作成手段により作成される前記等値線マップのうち、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳する重畳手段と、
前記重畳手段により重畳される複数の前記等値線マップを用いて、前記移動体通信端末と通信可能な複数の基地局または複数のアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に基づいて、前記移動体通信端末の位置を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記移動体通信端末の位置を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項7】
前記等値線マップ作成手段は、緯度経度により示される複数の測定地点で測定される基地局またはアクセスポイントからの無線信号の電界強度に基づいて、前記等値線マップを作成することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補の重心を、前記移動体通信端末の位置として決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補のうち、異なる2つの基地局またはアクセスポイントの電界強度に関する等値線同士がなす角度が基準値よりも低い測定地点候補を除外し、残りの前記測定地点候補を用いて前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記抽出手段により抽出される複数の前記測定地点候補に、異なる2つの基地局またはアクセスポイントの電界強度に関する等値線同士がなす角度が基準値以上の測定地点候補が複数含まれる場合、互いに所定の距離内に近接する2つ以上の前記測定地点候補を用いて、前記移動体通信端末の位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項11】
前記記憶手段により記憶される前記移動体通信端末の位置を、前記情報管理装置にネットワークを介して接続される情報処理装置に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【請求項12】
前記重畳手段は、前記識別情報により識別される前記複数の基地局または前記複数のアクセスポイントのうち、前記移動体通信端末と通信可能な基地局またはアクセスポイントからの無線信号に関する電界強度が基準値以上の基地局またはアクセスポイントに関する複数の前記等値線マップを重畳することを特徴とする請求項6に記載の情報管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−71599(P2011−71599A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218734(P2009−218734)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(507298164)ロケーション株式会社 (2)
【出願人】(502369573)ユーピーアール株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(507298164)ロケーション株式会社 (2)
【出願人】(502369573)ユーピーアール株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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