説明

位置教示機能通信周波数切換システム及び位置教示機能通信周波数切換方法

【課題】受信機の待ち受け動作に要する消費電力を低く抑えることができる位置教示機能通信周波数切換システム及び位置教示機能通信周波数切換方法を提供する。
【解決手段】車両1には、電子キー2のカーファインダボタン26が操作されたときに、車両1と電子キー2とが通信し合い、車両の位置を電子キー2に表示することにより車両位置をユーザに教示するカーファインダシステム21が設けられている。カーファインダシステム21の車両側受信機である車載受信機23は、通常時は低い周波数で待ち受け状態をとり、電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scf(位置推定要求)を受信すると、高い周波数での待ち受け状態に切り換わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば物品(対象物)の位置を見失ったユーザに、携帯端末により物品位置を教示する位置教示機能に係り、詳しくはその機能で使用される通信周波数が可変式をとる位置教示機能通信周波数切換システム及び位置教示機能通信周波数切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各地において郊外型の大型ショッピング施設が多く建設され、このような郊外型の大型ショッピング施設では、多数の客が訪れる関係上、非常に広大な敷地面積の駐車場を完備しているところが多い。よって、このショッピング施設に車両で訪れた客の中には、買い物を終えて帰宅の途に付く際に、駐車場に駐車しておいた車両の位置を忘れてしまう人もいる。よって、このような状況になっても簡単に車両を見つけ出せるようにするために、駐車車両の位置の発見を手助けするシステムとして、今日ではカーファインダシステムというものが開発されている。このカーファインダシステムの一例は、例えば特許文献1,2等に開示されている。
【0003】
これら文献に開示される一般的なカーファインダシステムでは、ユーザが所持する携帯端末として車両キーや携帯電話等が使用される。そして、カーファインダシステムを動作させる要求操作が携帯端末で行われると、その操作に対応した操作信号が携帯端末から車両に無線発信され、車両がこの操作信号を受信すると、車両と携帯端末との間の位置関係を割り出し、携帯端末に車両の駐車位置を表示させる。よって、ユーザは携帯端末の表示位置を見れば車両の駐車位置が確認可能となるので、広大な敷地面積の駐車場において自車両の位置が分からなくなっても、携帯端末の案内によって自車両を簡単に発見することが可能となる。
【0004】
ところで、車両キーと車両との間の位置関係の割り出しには、車両が車両キーから受信した操作信号を基に、車両キーの位置や方向を推定するキー位置推定方式を使用する場合が多い。このキー位置推定方式では、高い位置算出精度を持つ関係上、車載受信機の受信アンテナとしてアダプティブアレイアンテナを使用することが一般的である。アダプティブアレイアンテナは、複数のアンテナ素子を持ち、これら各アンテナ素子から得る受信電波を基にキー位置推定を行うものである。ここで、アンテナには受信対象の電波周波数が低いと、その分だけアンテナサイズが大きくなってしまう特性があるので、アダプティブアレイアンテナのような複数のアンテナ素子を持つアンテナでは、アンテナサイズを極力小さく抑えるためにも、電波は高い周波数が使用される。
【特許文献1】特開2006−347291号公報
【特許文献2】特開2007−241472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車載受信機は、車両キーから発信された操作信号を自身の受信アンテナで受信するための動作として、通常時は待ち受け動作をとっている。しかし、受信機の待ち受け動作は、受信対象の電波が高い周波数の場合、受信機のICで必要となる電力が多量に必要となる関係上、消費電力が大きくなる欠点がある。よって、キー位置推定を高精度で行うために、例えば受信アンテナとしてアダプティブアレイアンテナを使用しなければならない前提がある場合、アダプティブアレイアンテナは使用電波が高い周波数であることから、受信機の待ち受け動作で要する消費電力を大きく要してしまう問題があった。
【0006】
本発明の目的は、受信機の待ち受け動作に要する消費電力を低く抑えることができる位置教示機能通信周波数切換システム及び位置教示機能通信周波数切換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示機能通信周波数切換システムにおいて、前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号を用いて当該他方の位置を推定することにより互いの前記位置関係を割り出し、前記物品及び前記携帯端末のうち位置推定を行う側の受信機は、通常は低い周波数の待ち受け動作をとり、前記位置推定を行う際に、高い周波数に待ち受け動作が切り換わることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、ユーザが物品の配置位置を忘れてしまった場合には、携帯端末に備え付けられた位置教示機能により物品位置を確認するために、ユーザは位置教示機能を実行させる要求操作を携帯端末で行う。このとき、携帯端末が物品と無線通信を開始し、この通信の過程において物品及び携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号を用いて他方の位置推定を求める。これにより、物品及び携帯端末の互いの位置関係が割り出され、携帯端末上に物品の配置位置が通知される。よって、ユーザは携帯端末により物品の配置位置を確認可能となることから、ユーザはもし仮に物品の配置位置を忘れてしまった場合でも、位置教示機能を使用すれば物品位置を知ることが可能となる。
【0009】
また、本構成の場合、物品及び携帯端末のうち位置推定を行う側の受信機は、通常時の際、低い周波数で待ち受け動作をとり、位置推定を行うときにのみ、高い周波数での待ち受け動作をとるようにした。このため、例えば高い精度で位置推定を行うことを目的として、高い周波数の信号で位置推定を行う場合であっても、受信機は位置推定を行うときにのみ高い周波数での待ち受け動作をとる。ところで、この種の受信機は高い周波数で待ち受け動作をとるときに消費電力が大きくなってしまう特性がある。しかし、本構成においては、受信機の待ち受け動作を常時、高い周波数のもので行わずに済むので、その分だけ待ち受け動作に要する消費電力を低く抑えることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末のうち前記位置推定を行う側に前記受信機として複数のアンテナ素子が設けられ、これらアンテナ素子が前記信号として受信する各々の電波が持つ受信パラメータを基に、前記他方の位置推定を行うことを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、位置推定の方式としては、高い位置推定結果を取得するために、複数のアンテナ素子からなる受信機を使用し、これらアンテナ素子の各々で受信する電波の受信パラメータ(例えば電波波形の位相)を使用して位置を推定する方式が採用される。ところで、この種のアンテナにおいては、隣同士のアンテナ素子の間隔を例えば受信電波のλ/2に設定するなどの諸条件が必要となるが、ここでもし仮に受信電波に低い周波数のものを採用すると、その分だけアンテナ素子を大きな間隔を開けて配置しなくてはならなくなり、受信機(アンテナサイズ)が大型化してしまう問題に繋がる。しかし、本構成では、受信信号に高い周波数の信号を使用するので、隣同士のアンテナ素子の間隔が狭く済むことになり、その分だけ受信機の小型化を図ることが可能となる。
【0012】
本発明では、前記位置教示機能は、前記物品が前記位置推定として前記携帯端末の位置を推定し、その推定結果を前記携帯端末に送って、前記携帯端末に前記物品との間の位置関係を割り出させて前記位置教示を行うことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、位置推定を物品側で行うので、この種の位置推定の機能を携帯端末に搭載せずに済む。よって、携帯端末の部品構造の簡素化を図ることが可能となり、例えば携帯端末が大型化してしまうなどの諸問題が発生しない。
【0014】
本発明では、前記信号には、前記位置推定の実行を要求する位置推定要求と、前記位置推定の際に必要となる位置推定信号とが含まれ、前記位置教示機能は、通信相手から前記受信機が前記位置推定要求を受け付けたとき、当該受信機の待ち受け動作の周波数を、それまでの低い周波数から高い周波数に切り換えることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、物品及び携帯端末のうち位置推定を行う側が受信機で位置推定要求を受信すると、位置教示機能の動作を開始する状態に入るとともに、受信機を高周波の待ち受け動作に切り換え、この位置推定要求の後に通信相手から続いて送られてくる高周波数の位置推定信号を使用して、通信相手の位置を推定する。このため、受信機が位置推定要求を受け付けたときに受信機の待ち受け動作が高い周波数のものに切り換えられるので、位置推定要求の後に続いて送られてくる位置推定信号により位置推定を行う本構成の場合において、好適なタイミングで受信機の待ち受け動作の周波数切り換えを行うことが可能となる。
【0016】
本発明では、物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能に使用される位置教示機能通信周波数切換方法において、前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号を用いて当該他方の位置を推定することにより互いの前記位置関係を割り出し、前記物品及び前記携帯端末のうち位置推定を行う側の受信機は、通常は低い周波数の待ち受け動作をとり、前記位置推定を行う際に、高い周波数に待ち受け動作が切り換わることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、受信機の待ち受け動作に要する消費電力を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した位置教示機能通信周波数切換システム及び位置教示機能通信周波数切換方法の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両キーとして使用される電子キー2との間でキー照合を行う電子キーシステム3と、車両ドア(座席ドア及びラッゲージドアも含む)のドアロックを施解錠するドアロックシステム4と、エンジンの動作状態を管理するエンジンシステム5とが設けられている。なお、電子キー2は、車両1との間で狭域無線通信が可能であって、電子キー2が固有に持つIDコードを無線通信により車両1に発信して車両1にキー照合を行わせるキーである。なお、車両1が物品に相当し、電子キー2が携帯端末に相当する。
【0019】
電子キーシステム3には、電子キー2がIDコードを発信するときに個別のキー操作が不要であるキー操作フリーシステム6がある。キー操作フリーシステム6には、ドアロック施解錠操作の際にキー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステムがある。このスマートエントリーシステムでは、車両1に、電子キー2との間でキー照合(ID照合)を行う照合ECU7が設けられている。照合ECU7には、車外にLF帯(約130KHz)の信号を発信する車外LF発信機8と、車内に同じLF帯の信号を発信する車内LF発信機9と、低RF帯(約312MHz)の信号を受信可能なRF受信機10とが接続されている。また、照合ECU7は、車内の一ネットワークである車内LAN11を介してドアロックシステム4及びエンジンシステム5に接続されている。
【0020】
また、電子キー2には、電子キー2の各種動作を統括制御する通信制御部12が設けられている。この通信制御部12は、CPU13やメモリ14等の各種デバイスを持ち、電子キー2が持つ固有のキーコードとしてIDコードがメモリ14に登録されている。通信制御部12には、LF帯の信号を受信可能なLF受信機15と、低RF帯(約312MHz)の信号を発信可能なRF発信機16とが接続されている。通信制御部12は、LF受信機15でどの種の信号を受け付けたか否かを逐次監視するとともに、RF発信機16からの信号発信の動作を管理する。
【0021】
車両1が駐車状態の際、照合ECU7は、車外LF発信機8からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺にリクエスト信号Srqの車外通信エリアを形成して、狭域無線通信(以降、スマート通信と記す)の成立を試みる。電子キー2がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、電子キー2はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ14に登録されたIDコードを乗せたID信号Sidを低RF帯の信号で返信する。照合ECU7は、RF受信機10でID信号Sidを受信してスマート通信が確立すると、自身のメモリ17に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車外照合)を行う。照合ECU7は、この車外照合が成立したことを確認すると、ドアロックシステム4によるドアロック施解錠動作を許可又は実行する。
【0022】
また、キー操作フリーシステム6には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン(図示略)の始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。このワンプッシュエンジンスタートシステムでは、例えばカーテシスイッチ(図示略)により運転者の車内への乗車が確認されると、照合ECU7はそれまでの車外LF発信機8からではなく、今度は車内LF発信機9からリクエスト信号Srqを発信して、車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU7は、電子キー2がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号SidをRF受信機10で受信すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車内照合)を行う。照合ECU7は、この車内照合が成立したことを確認すると、エンジンシステム5によるエンジン始動動作を許可する。
【0023】
電子キーシステム3には、ドアロック施解錠を電子キー2のボタン操作により行うワイヤレスキーシステム18がある。このワイヤレスキーシステム18では、電子キー2に設けられたロックボタン19やアンロックボタン20が操作されると、各操作ボタンに応じた信号内容を持つワイヤレス信号Swlが狭域無線通信(ワイヤレス通信)によりRF発信機16から車両1に向かって低RF帯の信号で発信される。このワイヤレス信号Swlには、電子キー2のキーコードであるIDコードと、車両1への要求がドアロックの施錠及び解錠のどちらであるのかを指示する機能コードとが含まれている。
【0024】
電子キー2でアンロックボタン20が操作されると、電子キー2からワイヤレス信号Swlとして解錠要求が低RF帯の信号で発信される。照合ECU7は、この解錠要求をRF受信機10で受信すると、解錠要求内のIDコードが正しければ、同じ解錠要求内に含まれる解錠を指示する機能コードに従い、ドアロックシステム4にドアロックを解錠させる。また、電子キー2でロックボタン19が操作されると、電子キー2からワイヤレス信号Swlとして施錠要求が低RF帯の信号で発信される。照合ECU7は、この施錠要求をRF受信機10で受信すると、施錠要求内のIDコードが正しければ、同じ施錠要求内に含まれる施錠を指示する機能コードに従い、ドアロックシステム4にドアロックを施錠させる。
【0025】
車両1には、電子キー2を持つ車両ユーザに車両1の位置(駐車位置)を教示するシステムとしてカーファインダシステム21が設けられている。本例のカーファインダシステム21は、電子キー2から発信される電波(以降、カーファインダ機能トリガ電波Scfと記す)を基に車両1が電子キー2の位置を推定し、その推定位置を電子キー2に送り返して、電子キー2に車両位置を通知させるシステムである。このカーファインダシステム21では、車両1に、カーファインダシステム21のコントロールユニットとしてカーファインダECU22が設けられている。また、カーファインダECU22は、車内LAN11を介して照合ECU7等の他ECUに接続され、これらECUとデータやり取りが可能となっている。なお、カーファインダ機能トリガ電波Sc fが信号に相当する。
【0026】
また、カーファインダECU22には、カーファインダシステム21の車両側受信機としてカーファインダ車載受信機23が接続されている。カーファインダ車載受信機23は、各々受信周波数が異なる複数の受信回路(受信ユニット)を持ち、これら受信回路の中の1つを選択的に動作させることにより、受信周波数が選択的に切り換え可能となっている。本例のカーファインダ車載受信機23は、高RF帯の電波(数GHz)と低RF帯の電波(約312MHz)との2種類を受信可能となっている。カーファインダ車載受信機23の受信周波数切り換えは、カーファインダECU22によって管理されている。なお、カーファインダ車載受信機23が受信機に相当する。
【0027】
また、カーファインダ車載受信機23は、電波を受信するときの実行動作、つまり受信できる電波を探査する動作として待ち受け動作をとり、この待ち受け動作をとっているときに電波を受信可能である。本例のようにカーファインダ車載受信機23が2種類の周波数の電波を受信可能な場合、カーファインダ車載受信機23は、一方の周波数の電波を受信する状態に入るとき、その周波数の電波受信を待つ待ち受け動作をとり、他方の周波数の電波を受信する状態に入るとき、その周波数の電波受信を待つ待ち受け動作に切り換わる。また、この待ち受け動作は、対応する周波数の受信機を動作状態に切り換えるスタートアップと、このスタートアップの後に実際に電波受信可能な状態に入る受信準備動作とからなる。さらに、待ち受け動作は、受信電波が正常に読み取れて受信が完了すると、その時点で動作が終了する。
【0028】
カーファインダECU22には、カーファインダシステム21の車両側発信機としてカーファインダ車載発信機24が接続されている。このカーファインダ車載発信機24は、低RF帯(312MHz)の信号を発信可能であって、信号発信動作がカーファインダECU22によって管理されている。また、車両1には、車両1の進行向きを割り出す車両用コンパス25が搭載されている。車両用コンパス25は、車両1がその都度とる方位に関連する情報としてコンパス情報をカーファインダECU22に出力する。
【0029】
一方、電子キー2には、カーファインダシステム21のカーファインダ機能を動作させるときに操作するカーファインダボタン26が設けられている。カーファインダボタン26は、プッシュモーメンタリ式のボタンからなり、電気配線を介して通信制御部12に接続されている。また、電子キー2には、高RF帯(約数GHz)の信号を送信可能なRF発信機27と、低RF帯(312MHz)の信号を受信可能なRF受信機32とが通信制御部12に接続された状態で設けられている。このRF発信機27は、カーファインダシステム21用の高いRF電波を発信可能な高周波数電波発信回路が組み込まれている。通信制御部12は、カーファインダボタン26が操作されたことを検出すると、カーファインダボタン26が操作されたことを車両1に伝える通知としてカーファインダ機能トリガ電波Scfを発信させる。このとき、図3に示すように、まずは位置推定要求DaがRF発信機16から低RF帯の信号で発信され、位置推定信号DbがRF発信機27から高RF帯の信号で位置推定要求Daより所定時間遅延させて発信される。なお、カーファインダ機能が位置教示機能に相当し、カーファインダ機能の実行が位置教示に相当し、カーファインダボタン26の操作が要求操作に相当する。
【0030】
また、電子キー2には、電子キー2の方位を検出するキー用コンパス28が搭載されている。キー用コンパス28は、電子キー2がその都度とる方位に関連する情報をコンパス情報として通信制御部12に出力する。電子キー2には、車両1の位置をユーザに通知する表示系として表示部29が設けられている。表示部29は、通信制御部12によって表示が管理され、電子キー2から見た車両1の位置(方向や距離)を画面表示する。
【0031】
図2に示すように、電子キー2の通信制御部12には、車両1とカーファインダ機能に準ずる無線通信を行う際に、そのときの発信電波の発信周波数を切り換え可能な発信周波数切換部30が設けられている。一方、車両1のカーファインダECU22には、カーファインダ車載受信機23の受信周波数を切り換え可能な受信周波数切換部31が設けられている。なお、発信周波数切換部30及び受信周波数切換部31は、各々のCPUがプログラムを実行することにより機能的に生成されるもので、同図ではこれらをブロック図で図示する。
【0032】
次に、本例のカーファインダシステム21の動作を図3〜図5に従って説明する。
例えば、ユーザが広大な敷地スペースの駐車場に車両1を停め、その駐車車両1から一旦離れて用事を済ませた後に駐車車両1に戻ろうとしたときに、駐車位置を忘れてしまった場合を想定する。このとき、電子キー2に備え付けのカーファインダ機能で車両位置を知ろうとした場合、ユーザは電子キー2のカーファインダボタン26を操作する。通信制御部12は、カーファインダボタン26が操作されたことを検出すると、カーファインダ機能トリガ電波ScfをRF発信機16及びRF発信機27からRF帯の信号で発信させる。
【0033】
このカーファインダ機能トリガ電波Scfには、図3に示すように、カーファインダ機能の動作開始を車両1に要求する位置推定要求Daと、車両1が電子キー2の位置を算出する際に必要となる位置推定信号Dbとが含まれている。位置推定要求Daには、電子キー2のIDコードと、カーファインダ機能を実行させることを要求する機能コードとしてカーファインダ機能実行要求とが含まれている。また、位置推定信号Dbは、特に決められたデータ内容を持つものではなく、車両1が電子キー2の位置を推定するときに使用するための電波である。
【0034】
このカーファインダ機能トリガ電波Scfの発信の際、発信周波数切換部30は、図5に示すように、まずは最初に位置推定要求DaをRF発信機16から低RF帯(約312MHz)の信号で発信させる。そして、位置推定要求Daの発信が完了した後、発信周波数切換部30は、位置推定信号Dbを今度はRF発信機27から高RF帯(約2数GHz)の信号で発信させる。また、発信周波数切換部30は、位置推定信号Dbを発信させた後、車両1(カーファインダECU22)から位置推定の演算結果が発信されるタイミングで、RF受信機32を電波の待ち受け動作に入らせる。なお、このときにRF受信機32がとる待ち受け動作は、カーファインダ車載受信機23が実行する待ち受け動作と同様の動作内容をとる。
【0035】
ところで、カーファインダ車載受信機23は、通常時において低い周波数、つまり低RF帯の電波受信を待つ待ち受け動作をとっている。電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scf、つまり位置推定要求Daが発信された際、通常時のカーファインダ車載受信機23は低い周波数の待ち受け動作をとることから、この待ち受け動作時に位置推定要求Daを受信する状態をとって位置推定要求Daを受け付ける。カーファインダ車載受信機23が位置推定要求Daを受信すると、カーファインダECU22はこの位置推定要求Daの読み取りに入り、まずはこの位置推定要求Daに含まれるIDコードを、車内LAN11を介して照合ECU7に転送する。照合ECU7は、カーファインダECU22からIDコードを受け付けると、このIDコードに関してID照合を行い、このID照合が成立することを確認すると、ID照合成立の確認結果を、車内LAN11を介してカーファインダECU22に出力する。
【0036】
カーファインダECU22は、照合ECU7からID照合成立の確認結果を受け付けると、同じ位置推定要求Da内に含まれるカーファインダ機能実行要求を指令として、カーファインダ機能の実行を開始する。このとき、受信周波数切換部31は、カーファインダ車載受信機23の待ち受け動作を、高RF帯での待ち受け動作に切り換える。よって、電子キー2からは位置推定要求Daの後、高RF帯で位置推定信号Dbが発信されてくるが、この位置推定信号Dbを高RF帯での待ち受け動作のときに受信する状態をとる。これにより、カーファインダECU22は、問題なく位置推定信号Dbを受信できる状態をとる。
【0037】
そして、カーファインダECU22は、カーファインダ車載受信機23で受け付ける位置推定信号Dbを基に、車両1から見た電子キー2の位置を割り出すキー位置算出を開始する。このキー位置算出として、まずカーファインダECU22は、車載受信機23で受信した位置推定信号Dbを基に、カーファインダ機能トリガ電波Scfの電波到来方向、即ち車両1から見た東西南北が対応付けられていない電子キー2の方向(相対方向)を演算する。なお、この絶対位置方向演算は、カーファインダシステム21の電波受信機である車載受信機23としてアダプティブアレイアンテナを使用する方式(アダプティブアレイアンテナ方式)が採用されている。アダプティブアレイアンテナ方式は、複数のアンテナ素子が配列されたアレーアンテナを用い、各々のアンテナ素子で受信した受信電波の振幅と位相の差により、受信電波の電波到来方向を割り出す方式である。この演算には、例えばビームフォーマ法、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、MUSIC法、ESPRIT法等がある。なお、受信電波の振幅や位相が受信パラメータに相当する。
【0038】
ところで、位置推定信号Dbに高RF帯の電波を使用するのは、以下の理由からである。アダプティブアレイアンテナは、複数のアンテナ素子を使用しつつ、しかも隣同士のアンテナ素子を受信電波のλ/2ずつ間隔を開けて配置する必要がある。よって、位置推定に使用される位置推定信号Dbに低RF帯のものを使用すると、その分だけ隣同士のアンテナ素子の間隔を広くとる必要が出てくるので、アダプティブアレイアンテナのアンテナサイズ、つまり車載受信機23のサイズが相対的に大きくなってしまう問題が発生する。よって、本例の場合は、位置推定信号Dbを高RF帯の電波で発信するようにして、車載受信機23のサイズを極力小さく抑えるようにしている。なお、車載受信機23は位置推定要求Daを低RF帯で受信するようになっているが、位置推定要求Daはアダプティブアレイアンテナの1つのアンテナ素子で受け付けられればよいので、何ら問題はない。
【0039】
カーファインダECU22は、以上のようにして電子キー2の相対方向を割り出すと、電子キー2の相対方向情報と、車両用コンパス25から取得する方位情報とを基に、車両1から見た東西南北が対応付けられた電子キー2の方向(絶対方向)を算出する。また、カーファインダECU22は、カーファインダ車載受信機23で受け付けた位置推定信号を基に、車両1及び電子キー2との間の距離も演算する。この距離演算は、アダプティブアレイアンテナで受信した受信電波を逆フーリエ変換することによって割り出す演算方式が採用されている。カーファインダECU22は、先のキー位置算出として、このようにして電子キー2の絶対方向と、車両1及び電子キー2間の距離との算出を実行する。
【0040】
カーファインダECU22は、このようにして電子キー2の絶対方向と、車両1及び電子キー2間の距離とを割り出すと、これら絶対方向及び距離を電子キー2に伝える通知として推定結果通知Spsをカーファインダ車載発信機24から車両1に向けて発信する。この推定結果通知Spsには、図4に示すように、車両1に登録された電子キー2に対応したIDコードと、絶対方向及び距離に関連する情報としてキー位置関連情報とが含まれている。この推定結果通知Spsは、例えば312MHzの低RF帯の信号により、カーファインダ車載発信機24から電子キー2に向けて発信される。また、キー位置関連情報には、絶対方向に関連する情報として絶対方向情報と、距離に関連する情報として距離情報とが含まれている。また、カーファインダECU22は、カーファインダ車載発信機24から推定結果通知Spsの発信を完了すると、カーファインダ車載発信機24をこれまでの高RF帯の待ち受け状態から、元の低RF帯の待ち受け状態に戻す。
【0041】
通信制御部12は、カーファインダ車載発信機24から発信された推定結果通知SpsをRF受信機32で受信すると、まずはこの推定結果通知Spsに含まれるIDコードについてID照合を行う。通信制御部12は、このID照合が成立したことを認識すると、続いてはこの推定結果通知Sps内に含まれるキー位置関連情報の読み取りに移行する。このとき、通信制御部12は、推定結果通知Spsのキー位置関連情報に含まれる絶対方向情報を基に、電子キー2から見た東西南北が対応付けられた車両1の方向(相対方向)を算出する。なお、電子キー2から見た車両1の方向は、車両1から見た電子キー2の絶対方向の180度逆向きの値で算出される。
【0042】
通信制御部12は、電子キー2から見た車両1の相対方向を算出すると、この相対方向を表示部29に矢印で表示する。また、通信制御部12は、キー位置関連情報の読み取りの際、推定結果通知Spsのキー位置関連情報に含まれる距離情報を基に、車両1及び電子キー2の間の距離も確認し、この距離も表示部29に数字で表示する。これにより、表示部29には、電子キー2から見た車両1の方向と、車両1及び電子キー2の間の距離とが表示されることから、ユーザは車両1の位置を見失っても、表示部29の案内により所有車両1を簡単に見つけることが可能となる。
【0043】
ところで、本例においては、車両1(カーファインダECU22)が電子キー2の位置を推定するときの演算方式としてアダプティブアレイアンテナ方式を採用しているが、このように位置推定の演算方式としてアダプティブアレイアンテナ方式を採用するのは、位置推定結果が高い精度で得られるからである。ここで、もし仮に位置推定に必要な電波(位置推定信号Db)が低RF帯の場合を想定すると、この種のアダプティブアレイアンテナは複数のアンテナ素子が必要で、しかもこれらアンテナ素子を受信電波のλ/2の間隔ずつ開けて配置配する必要があるので、もし仮に位置推定信号Dbが低RF帯をとると、その分だけアンテナ素子の間隔を広く取る必要が生じ、アダプティブアレイアンテナのアンテナサイズ、つまり車載受信機23のサイズが大型化する懸念に繋がる。このため、位置推定の演算方式としてアダプティブアレイアンテナ方式を使用した場合には、アンテナサイズの小型化を図るためにも高RF帯の電波を使用する必要性が生じてくる。
【0044】
また、この種の車載受信機23は、大気中に浮遊する電波を捕らえるために、前述したような待ち受け動作をとらなければならない現状がある。ここで、本例のように車載受信機23にアダプティブアレイアンテナを使用して電波を高RF帯のものとしなければならない場合、車載受信機23には高RF帯での待ち受け動作をとらせなければならなくなる。しかし、この種の車載受信機23は、待ち受け動作のときに扱う電波の周波数が高いと、受信回路内のICで消費する電力が高くなる傾向があるので、車載受信機23が高い周波数の待ち受け動作をとるときには、待ち受け動作時に要する消費電力が大きくなる。よって、もし仮に車載受信機23が高い周波数の待ち受け動作を常時とってしまうと、電力を浪費する状態が長く続くので、消費電力が増大してしまう懸念に繋がってしまう。
【0045】
しかし、本例においては、カーファインダ車載受信機23の待ち受け動作を、通常は低RF帯の動作で行い、電子キー2から位置推定要求Daを受信して電子キー2の位置推定の演算を行うときにのみ、高RF帯の待ち受け動作に切り換える。よって、高い周波数電波が必要なときにのみ、車載受信機23の待ち受け動作が高周波数のものに切り換えられるので、待ち受け動作が高い周波数を常時とるときに比べて、消費電力を少なく抑えることが可能となる。このため、位置推定演算方式としてアダプティブアレイアンテナを使用することによる高い精度での位置推定結果の取得と、車載受信機23の待ち受け動作に係る消費電力の抑制との両立を図ることが可能となる。
【0046】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)カーファインダ車載受信機23は、通常は低RF帯の待ち受け動作をとり、電子キー2から位置推定要求Daを受信して電子キー2の位置推定の演算を行うときにのみ、高RF帯の待ち受け動作をとる。このため、高い精度での位置推定結果の取得と、車載受信機23の待ち受け動作に要する消費電力の抑制との両立を図ることができる。
【0047】
(2)カーファインダ車載受信機23のアンテナとしてアダプティブアレイアンテナを使用し、このときにアンテナで受け付ける受信電波に高い周波数の電波を採用した。よって、この種のアダプティブアレイアンテナには複数のアンテナ素子が必要で、しかも隣同士のアンテナ素子の配置間隔は電波のλ/2が必要となるが、受信電波に高い周波数のものを使用すれば、隣同士のアンテナ素子の配置間隔は小さく済むので、カーファインダ車載受信機23の装置サイズを大型化させずに済む。
【0048】
(3)電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scfを発信させて、このカーファインダ機能トリガ電波Scfを車両1に受け取らせ、車両1がカーファインダ機能トリガ電波Scf(位置推定信号Db)を基にこの電波到来方向を求めて電子キー2の位置推定を行い、この位置推定結果を電子キー2に返して、電子キー2に互いの位置関係を求めさせることで、車両1及び電子キー2の間の位置関係が求められる。よって、位置推定の演算は車両1側で行うことになるので、この種の演算機能(アンテナも含む)を電子キー2に搭載せずに済む。このため、電子キー2の部品構造の簡素化を図ることができ、例えば電子キー2が大型化してしまうなどの諸問題が発生しない。
【0049】
(4)カーファインダECU22は、受信機23で位置推定要求Daを受信すると、カーファインダ機能の動作を開始する状態に入るとともに、自身の待ち受け動作の周波数を、それまでの低RF帯の動作から高RF帯の動作に切り換え、この位置推定要求Daの後に続いて送られてくる位置推定信号Dbを受け付けて、電子キー2の配置位置を推定する。このため、位置推定要求Daの後に続けて送られてくる位置推定信号Dbにより位置推定を行う本例の場合において、好適なタイミングで受信機23の待ち受け動作の周波数切り換えを行うことができる。
【0050】
(5)カーファインダ機能は、アダプティブアレイアンテナ式の受信機23、車両用コンパス25及びキー用コンパス28を用い、これら部品群から取得する各種情報を基に、電子キー2から見た車両1の方向や距離を割り出す方式である。ところで、車両1や電子キー2の位置算出は例えばGPS(Global Positioning System)を使用して割り出すことも可能であるが、GPSではビルなどの大きな建造物に影響を受け易いという欠点があるので、細かな位置算出精度を確保できない問題がある。しかし、本例のような割り出し方式を用いれば、この種のコンパス式はGPS式に比べて高い位置算出精度を持つ特性があるので、電子キー2から見た車両1の方向や距離を精度よく算出することができる。
【0051】
(6)カーファインダ機能トリガ電波Scfの位置推定要求Daと推定結果通知Spsとは312MHzという同じ周波数の信号で発信されるので、例えば車両1が位置推定は実行できたものの、その推定結果を電子キー2に伝えることができないという状況を生じ難くすることができる。
【0052】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ カーファインダ車載受信機23が待ち受け動作時にとる周波数は、必ずしも312MHzや数GHzに限定されず、位置推定要求Daや位置推定信号Dbで使用する周波数に合わせて、どのような値をとってもよい。
【0053】
・ カーファインダ車載受信機23の待ち受け動作の周波数を切り換えるタイミングは、必ずしも車載受信機23が電子キー2から位置推定要求Daを受け付けたときであることに限定されない。例えば、待ち受け動作の周波数が一定の規則性を以て、交互に自動で切り換わるものでもよい。
【0054】
・ カーファインダ機能は、アダプティブアレイアンテナ式の受信機23、車両用コンパス25及びキー用コンパス28を用い、これら部品群から取得する各種情報を基に、電子キー2から見た車両1の方向や距離を割り出す方式に限定されない。例えば、複数のアンテナ素子で受信したそれぞれの電波強度(受信強度)から位置推定を行う方式を採用してもよい。
【0055】
・ 電子キー2の車両1の位置表示は、必ずしも矢印に限定されない。例えば、車両1は電子キー2の位置(方向及び距離)を算出するとともに、車両1の現在位置を車載GPS等から算出しつつ、車両1及び電子キー2の位置関係を表したマップデータを作成する。そして、車両1がこのマップデータを電子キー2に発信し、このマップデータ基づく地図が電子キー2の表示部29に表示されるものでもよい。
【0056】
・ 電子キー2は、例えばGPSを搭載していれば、キー位置情報を車両1に送って、キー位置を車両1に通知する形式のものでもよい。
・ 電子キーシステム3のRF受信機10と、カーファインダシステム21の車載受信機23とは、1つに統合されてもよい。
【0057】
・ 電子キーシステム3とカーファインダシステム21との通信エリアは、各々異なることに限定されず、これらが同じ領域をとっていてもよい。また、信号周波数は、種々の周波数を使用できることは言うまでもない。
【0058】
・ カーファインダ機能で使用する車両1及び電子キー2の間の無線通信網(カーファインダ機能無線通信網)の通信エリアは、スマート通信やワイヤレス通信の通信範囲と同じであってもよいし、或いは異なっていてもどちらでもよい。
【0059】
・ カーファインダシステム21は、電子キーシステム3に属する一機能をとることに限定されず、例えば電子キーシステム3から独立したシステムとなっていてもよい。
・ 位置推定(アダプティブアレイアンテナ方式に準ずる位置算出)は、必ずしも車両1側で行われることに限定されず、電子キー2側で行ってもよい。即ち、電子キー2にアダプティブアレイアンテナを組み込み、車両1から受け付けた電波を基に車両1の位置を推定して、この推定結果を矢印等でユーザに教示するものでもよい。
【0060】
・ 位置推定は、必ずしも位置推定信号で行うことに限定されず、IDコードや機能コードの電波で行ってもよい。
・ 携帯端末は、電子キー2(要はキー部品)であることに限定されず、例えば携帯電話や携帯型パーソナルコンピュータを用いてもよい。
【0061】
・ 車両位置の教示形式は、必ずしも単なる矢印に限らず、例えば地図画面により車両位置を表すものでもよい。
・ 表示部29における車両位置の表示(矢印及び距離表示)は、例えば一定時間において表示が行われた後に自動で消去されるものでもよいし、或いは例えばカーファインダボタン26が押されるなどの所定操作が行われると消去されるものでもよい。
【0062】
・ 位置教示は、必ずしも方向及び距離の両方を表示することに限らず、一方のみが表示されればよい。また、位置教示は、必ずしも画面表示をとることに限定されず、例えば音声報知を採用してもよい。
【0063】
・ カーファインダ車載受信機23をRF受信機10で共用してもよい。この場合、カーファインダ車載受信機23を省略することができる。
・ カーファインダシステム21は、必ずしも車両1に適用されることに限らず、使用時において照合を必要とする各種機器や装置に適用可能である。
【0064】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜4のいずれかにおいて、前記携帯端末は、物品に対するキー位置付けの端末である。この構成によれば、物品を使用する際に必要となるキーと、位置教示機能用の端末とで別々の部品を用意せずに済むので、部品点数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一実施形態におけるカーファインダシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】カーファインダシステムの周波数切換機能を機能ブロックで表すブロック図。
【図3】カーファインダ機能トリガ電波のデータ構造を示すデータ概念図。
【図4】推定結果通知のデータ構造を示すデータ概念図。
【図5】受信機の待ち受け動作の周波数切り換わりの変化を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0066】
1…物品としての車両、2…携帯端末としての電子キー、23…受信機としてのカーファインダ車載受信機、Scf…信号としてのカーファインダ機能トリガ電波、Da…位置推定要求、Db…位置推定信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示機能通信周波数切換システムにおいて、
前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号を用いて当該他方の位置を推定することにより互いの前記位置関係を割り出し、
前記物品及び前記携帯端末のうち位置推定を行う側の受信機は、通常は低い周波数の待ち受け動作をとり、前記位置推定を行う際に、高い周波数に待ち受け動作が切り換わることを特徴とする位置教示機能通信周波数切換システム。
【請求項2】
前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末のうち前記位置推定を行う側に前記受信機として複数のアンテナ素子が設けられ、これらアンテナ素子が前記信号として受信する各々の電波が持つ受信パラメータを基に、前記他方の位置推定を行うことを特徴とする請求項1に記載の位置教示機能通信周波数切換システム。
【請求項3】
前記位置教示機能は、前記物品が前記位置推定として前記携帯端末の位置を推定し、その推定結果を前記携帯端末に送って、前記携帯端末に前記物品との間の位置関係を割り出させて前記位置教示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置教示機能通信周波数切換システム。
【請求項4】
前記信号には、前記位置推定の実行を要求する位置推定要求と、前記位置推定の際に必要となる位置推定信号とが含まれ、
前記位置教示機能は、通信相手から前記受信機が前記位置推定要求を受け付けたとき、当該受信機の待ち受け動作の周波数を、それまでの低い周波数から高い周波数に切り換えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置教示機能通信周波数切換システム。
【請求項5】
物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能に使用される位置教示機能通信周波数切換方法において、
前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号を用いて当該他方の位置を推定することにより互いの前記位置関係を割り出し、前記物品及び前記携帯端末のうち位置推定を行う側の受信機は、通常は低い周波数の待ち受け動作をとり、前記位置推定を行う際に、高い周波数に待ち受け動作が切り換わることを特徴とする位置教示機能通信周波数切換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−39777(P2010−39777A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202119(P2008−202119)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】