説明

位置特定装置および位置特定プログラム

【課題】地図上の位置特定を容易にしかつ利便性を高くすること。
【解決手段】(A)において、紙媒体地図Mと携帯端末100を用意する。紙媒体地図Mの適当なページを開き、携帯端末100のカメラにより紙媒体地図Mを撮像する。携帯端末100のカメラにより紙媒体地図Mを撮像してその中のグリッドG0を検出して地図画像Im0を取り込む。地図画像Im0には印刷型ステガノグラフィが埋め込まれているため、印刷型ステガノグラフィから得られるコード(階調数の数列)をデコードすることで、グリッドG0の位置情報が抽出される。一方、携帯端末100はGPSレシーバにより現在位置の座標値を取得する。(B)において、グリッドG0の位置情報と現在位置の座標値とを比較して、グリッドG0から携帯端末100が存在するグリッドへの方向を特定し、その指し示す方向となる表示情報rを携帯端末100の表示画面101に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図上の特定の位置(たとえば現在位置)を特定する位置特定装置および位置特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインターネットにより電子地図を提供したり、電子地図を用いて経路の探索/誘導をおこなうGIS(Geographic Information Survice)が各種存在する。このGISでは、所望の電子地図を携帯電話機などの携帯端末にダウンロードし、その電子地図を携帯端末の表示画面に表示する。また、電子地図は表示画面上で拡大したり縮小したりすることができる。また、携帯端末により取得された現在位置により、その現在位置に相当する紙媒体の地図帳のページ番号を表示画面に表示する技術も開示されている(下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−27680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザの中には、上述したGISを使用したくない者または使用できない者がいる。たとえば、携帯端末上で電子地図を表示する場合、携帯端末の表示画面の大きさには限界があるため、どの場所を表示しているかがわからないという問題がある。また、縮小した電子地図を表示している場合に、拡大した電子地図をダウンロードすると、どの領域を拡大したかが直感的にわかりづらいという問題がある。このように、GISでは、地図全体を俯瞰して見ることが困難であるという問題がある。また、電子地図をダウンロードするとパケット量が増大するため、通信コストが増大するという問題もある。
【0005】
一方、上述した特許文献1などの従来技術では、地図帳のページ番号を表示するため、ユーザ自身が該当ページを地図帳から探さなくてはならず、面倒であるという問題がある。また、地図帳によっては、同じ地図でも掲載ページが異なるため、汎用性が低いという問題もある。
【0006】
このように、GISや特許文献1の技術があっても、これらから得られた情報は結局紙媒体の地図とリンクしない、またはリンクしてもページ番号という不便な情報である。したがって、GISや特許文献1の技術から得られた情報が活用できず、結局、紙媒体地図に頼ってしまうこととなる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、地図上の位置特定が容易かつ利便性の高い位置特定装置および位置特定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この位置特定装置および位置特定プログラムは、グリッドごとに領域分割された紙媒体地図の撮像画像を取得し、前記紙媒体地図の撮像画像を表示する表示画面に表示された前記紙媒体地図の撮像画像の中からグリッドを検出し、検出されたグリッドの位置情報を取得し、特定位置を示す位置情報を取得し、取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記特定位置への方向を特定し、特定された方向に関する表示情報を、前記表示画面に表示させることを要件とする。
【0009】
この位置特定装置および位置特定プログラムによれば、紙媒体地図を撮像するだけで、検出されたグリッドから対象位置の紙媒体地図上のグリッドを指し示す方向がわかる。したがって、ユーザがその指し示す方向に撮像装置を移動させることで、紙媒体地図上の現在位置を含むグリッドを検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
この位置特定装置および位置特定プログラムによれば、地図上の位置特定が容易かつ利便性が高いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態にかかる位置特定の利用例(その1)を示す説明図である。
【図2】本実施の形態にかかる位置特定の利用例(その2)を示す説明図である。
【図3】本実施の形態にかかる位置特定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態にかかる位置特定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】紙媒体地図Mにおけるグリッドと座標との関係を示す説明図である。
【図6】表示情報指定テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図7】グリッド/領域と表示情報との対応関係を示す説明図である。
【図8】本実施の形態にかかる位置特定装置による位置特定処理手順を示すフローチャートである。
【図9】グリッド特定処理(ステップS810)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図10】縦方向特定処理(ステップS902)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】横方向特定処理(ステップS903)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】斜め方向特定処理手順を示すフローチャートである。
【図13】左上方向特定処理(ステップS1203)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図14】左下方向特定処理(ステップS1204)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図15】左上方向特定処理(ステップS1206)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図16】右下方向特定処理(ステップS1207)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この位置特定装置および位置特定プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(本実施の形態の概要)
本実施の形態で用いる紙媒体地図は、一般の地図帳と同様、グリッドごとに領域分割されている。紙媒体地図の縦のグリッド線と横のグリッド線で囲まれた矩形やその内部の地図をグリッドと称す。この各グリッド内の地図には、印刷型ステガノグラフィが埋め込まれている。
【0014】
印刷型ステガノグラフィとは、人間の目の特性とカメラ,スキャナなどの画像読取装置の色識別(階調数)や解像力の違いを利用した技術である(http://jp.fujitsu.com/group/labs/techinfo/techguide/list/steganography_p05.html)。人間の目は黄色の明るさの変化に鈍感だが、画像読取装置は人間の目より黄色の変化を認識するため、黄色の階調変化を意図的に操作してカラー用紙にデータを埋め込んでおく。この埋め込んだデータを画像読取装置が読み取ることで埋め込んだデータをカラー用紙から取り出すことができる。印刷型ステガノグラフィ技術は既存技術であるため、詳細は省略する。
【0015】
本実施の形態では、この印刷型ステガノグラフィ技術を紙媒体地図に適用する。具体的には、紙媒体地図の各グリッド内の地図に印刷型ステガノグラフィを埋め込む。埋め込む印刷型ステガノグラフィは、各グリッドに固有な位置情報(緯度経度情報)に応じて黄色の階調数が操作されている。
【0016】
図1および図2は、本実施の形態にかかる位置特定の利用例を示す説明図である。図1の(A)において、紙媒体地図Mと携帯端末100を用意する。この位置特定装置となる携帯端末100には、カメラおよびGPS(Global Positioning System)レシーバが内蔵されているものとする。なお、これらは外付けでもよい。
【0017】
そして、紙媒体地図Mの適当なページを開き、携帯端末100のカメラにより紙媒体地図Mを撮像する。携帯端末100のカメラにより紙媒体地図Mを撮像してその中のグリッドG0を検出することで、グリッドG0内の地図画像Im0を取り込む。グリッドG0内の地図画像Im0には印刷型ステガノグラフィが埋め込まれているため、印刷型ステガノグラフィから得られるコード(階調数の数列)をデコードすることで、グリッドG0の位置情報が抽出される。グリッドG0の位置情報は、グリッドG0の4頂点によりあらわすことができる。
【0018】
たとえば、頂点gaの座標値に応じた印刷型ステガノグラフィを埋め込んでおき、その印刷型ステガノグラフィから得られるコードをデコードすることで、頂点gaの座標値が抽出される。各グリッドの縦幅ydおよび横幅xdは共通であるため、他の頂点gb〜gdの座標値は、縦幅ydまたは/および横幅xdを加算することで算出される。これにより、グリッドG0の位置情報(ga〜gdの座標値)が得られる。一方、携帯端末100はGPSレシーバにより現在位置の座標値を取得する。
【0019】
そして、(B)において、グリッドG0の位置情報と現在位置の座標値とを比較することで、グリッドG0から携帯端末100が存在するグリッドへの方向を特定し、その指し示す方向となる表示情報rを携帯端末100の表示画面101に表示する。本例では、左下方向の矢印を表示している。これにより、紙媒体地図M上では、グリッドG0から左下方向に存在するグリッドに現在位置があることがわかる。
【0020】
図2は、図1の(B)の状態(図2中左側)から、表示画面101に表示された表示情報rが示す方向へ携帯端末100を移動させた場合(図2中右側)を示している。具体的には、グリッドG0から左下のグリッドG6への方向に携帯端末100を移動させてグリッドG7を撮像する。表示画面101にはグリッドG7の地図画像Im6が表示される。これにより、グリッドG0の位置情報を取得した場合と同じ手法によりグリッドG7の位置情報を取得する。
【0021】
そして、グリッドG6の位置情報と現在位置の座標値とを比較することで、グリッドG6から携帯端末100が存在するグリッドへの方向を特定し、その指し示す方向となる表示情報Rを携帯端末100の表示画面101に表示する。本例では、現在位置はグリッドG7内にあるため、矢印ではなく、グリッドG6に現在位置が包含されていることを示す表示情報Rを携帯端末100の表示画面101に表示する。本例では、星印を表示している。これにより、紙媒体地図M上では、グリッドG6内に現在位置があることがわかる。
【0022】
(位置特定装置のハードウェア構成)
図3は、本実施の形態にかかる位置特定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。位置特定装置100は、CPU(Central Processing Unit)301と記憶装置302と読取装置303と入力装置304と表示装置305と音声出力装置306と通信I/F(インターフェース)307とGPSレシーバ308とバス309とを有し、バス309によりこれらのハードウェア301〜308が接続されている。
【0023】
ここで、CPU301は、位置特定装置100の全体の制御を司る中央処理装置である。記憶装置302は、CPU301のワークエリアとして使用されたり、各種データを記憶する。たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスクおよび磁気ディスクドライブ、フラッシュメモリなどにより構成される。記憶装置302には、位置特定プログラムが記憶されている。
【0024】
読取装置303は、紙媒体地図Mから情報を読み取る装置である。たとえば、カメラやスキャナなどの撮像装置がある。カメラの場合、被写体を撮像するイメージセンサとその信号を処理する信号処理回路を有する。イメージセンサとしては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもCCD(Charge Coupled Device)でもよい。
【0025】
紙媒体地図Mに印刷型ステガノグラフィを埋め込んだ場合、地図画像とグリッドの印刷型ステガノグラフィを撮像装置により取得できるため、部品点数の削減やコスト低下を実現することができる。また、紙媒体地図MのグリッドごとにICタグを埋め込んだ場合、読取装置303として、さらに、ICタグリーダを備えることとしてもよい。ICタグリーダは、ICタグと通信してICタグに記憶されたグリッドに固有の位置情報を読み取る。
【0026】
入力装置304は、テンキーやキーボード、タッチパネルなどユーザが操作入力するための装置である。表示装置305は、表示画面101を有し、各種画像を表示する。たとえば、カメラにより取り込んだ画像(映像)を表示する。音声出力装置306は、音声を出力する。通信I/F307は、通信網を介してサーバと通信する。GPSレシーバ308は、GPS衛星からの情報を受信して位置特定装置100の現在位置の座標値を取得する。
【0027】
(位置特定装置100の機能的構成)
図4は、本実施の形態にかかる位置特定装置100の機能的構成を示すブロック図である。位置特定装置100は、第1の取得部401と、表示部402と、検出部403と、第2の取得部404と、第3の取得部405と、特定部406と、制御部407と、出力部408とを含む構成である。第1〜第3の取得部401,404,405、検出部403、特定部406および制御部407は、具体的には、たとえば、図3に示した記憶装置302内の位置特定プログラムをCPU301に実行させることによりその機能を実現する。
【0028】
第1の取得部401は、装置本体に内蔵または接続された撮像装置により撮像されたグリッドごとに領域分割された紙媒体地図Mの撮像画像を取得する機能を有する。具体的には、たとえば、撮像装置によって撮像された地図画像を取り込む。取り込まれた地図画像は、記憶装置302に書き込まれ、表示画面101に表示される。
【0029】
表示部402は、表示画面101を有する。具体的には、第1の取得部401によって取得された地図画像を表示画面101に表示する。表示部402は、図3に示した表示装置305によりその機能を実現する。
【0030】
検出部403は、表示画面101に表示された紙媒体地図Mの撮像画像の中からグリッドを検出する機能を有する。具体的には、たとえば、周知の画像処理の1つであるエッジ検出により、グリッドを検出する。
【0031】
第2の取得部404は、検出部403によって検出されたグリッドの位置情報を取得する機能を有する。具体的には、たとえば、紙媒体地図Mの各グリッドに印刷型ステガノグラフィが埋め込まれている場合、グリッドの地図画像の所定領域に埋め込まれている印刷型ステガノグラフィの階調数の数列コードを認識する。そして、この数列コードをデコードすることにより、検出グリッドの位置情報が得られる。
【0032】
また、紙媒体地図Mの各グリッドに当該グリッドに固有な位置情報を記憶するICタグが埋め込まれている場合、ICタグリーダにより検出グリッドのICタグから検出グリッドの位置情報を受信する。検出グリッドの直上に位置特定装置100を配置して検出グリッドのICタグとのみ通信するようにする。いずれの場合においても、取得した位置情報は記憶装置302に記憶される。
【0033】
第3の取得部405は、対象位置を示す位置情報を取得する機能を有する。具体的には、たとえば、対象位置を現在位置とする場合、GPSレシーバ308により得られた現在位置の座標値をGPSレシーバ308から取り込み、記憶装置302に記憶する。また、対象位置をユーザが指定した位置(指定位置)とする場合、指定位置の座標値を入力装置304により入力し、記憶装置302に記憶する。この場合、座標値ではなく、指定位置を特定する情報を、通信網を介してまたは記憶装置302の中から検索し、該当する地点情報に埋め込まれた座標値を取り込むこととしてもよい。以降の説明では、対象位置を現在位置とする。
【0034】
特定部406は、第2および第3の取得部404,405によって取得された位置情報に基づいて、検出されたグリッドから対象位置への方向を特定する機能を有する。具体的には、検出グリッド内に現在位置が包含されているか否か、包含されていない場合は、現在位置が検出グリッドから見てどの方向に位置するかを特定する。たとえば、グリッドの座標値と現在位置の座標値の大小により特定する。
【0035】
図5は、紙媒体地図Mにおけるグリッドと座標との関係を示す説明図である。実際の紙媒体地図Mでは、緯度経度により表現されるが、ここでは説明を簡単にするため、X軸とY軸のXY座標系により説明する。図5中、グリッドG0〜G8のうち中心のグリッドG0が検出部403によって検出されたグリッド(検出グリッド)を示している。なお、グリッドの横幅はxd、縦幅はydとする。また、点P(x,y)は現在位置の座標値である。図5では便宜上、点Pを検出グリッドG0内に記している。
【0036】
検出グリッドG0の位置情報は、4頂点のうち左上の頂点gaを基準にして決定される。頂点ga〜gdの座標値は以下のとおりである。
ga=(xg,yg)
gb=(xg+xd,yg)
gc=(xg,yg+yd)
gd=(xg+xd,yg+yd)
【0037】
簡単に説明すると、現在位置PのX座標値およびY座標値がともに検出グリッド内の座標値である場合(xg≦x<xg+xd,yg≦y<yg+yd)は、現在位置は検出グリッドに包含されていることとなる。一方、現在位置のX座標値とY座標値のうち少なくともいずれか一方の座標値が検出グリッドG0外の座標値である場合、現在位置は検出グリッドG0に包含されておらず、他のグリッド内に存在することとなる。
【0038】
たとえば、X座標値のみが外れている場合(x<xgまたはx≧xg+xd)、X方向のグリッドに現在位置が存在することがわかる。同様に、Y座標値のみが外れている場合(y<ygまたはy≧yg+yd)、Y方向のグリッドに現在位置が存在することがわかる。また、X座標値およびY座標値がともに外れている場合、検出グリッドG0の斜め方向のグリッドに現在位置が存在することがわかる。また、具体的に、どの方向に位置するかは、検出グリッドから外れた現在位置の座標値と当該座標値と同軸の検出グリッドG0の座標値との大小により判断される。
【0039】
たとえば、X座標値のみが外れている場合(x<xg)、検出グリッドG0から見て左側(X軸の負の方向)に現在位置が存在するグリッドがあることがわかる。さらに、xg−xd≦x<xgの場合、検出グリッドG0の隣接グリッドG4に現在位置が存在することがわかる。また、x<xg−xdの場合、グリッドG4から見てさらに左側(X軸の負の方向)に現在位置が存在するグリッドがあることがわかる。
【0040】
また、図4において、特定部406は、検出グリッドと対象位置が存在するグリッドとの距離を特定することもできる。ここで、特定される距離とは、グリッド単位の距離である。グリッドの横幅と縦幅が既知であるため、この横幅および縦幅を基準として検出グリッドから何グリッド目に対象位置が存在するグリッドがあるかが特定される。より具体的には、たとえば、検出グリッドG0の周囲グリッドG1〜G8を1グリッドの距離とし、周囲グリッドを囲う周囲グリッドを2グリッドの距離というように定義する。
【0041】
制御部407は、特定部406によって特定された方向に関する表示情報を、表示画面101に表示させる機能を有する。具体的には、たとえば、記憶装置302に方向に応じた表示情報(たとえば、矢印)を記憶しておき、該当する方向に応じた表示情報を読み込んで表示画面101に表示させる。
【0042】
図6は、表示情報指定テーブルの記憶内容を示す説明図であり、図7は、グリッド/領域と表示情報との対応関係を示す説明図である。図6において、表示情報指定テーブル600は、グリッド/領域ごとに、現在位置P(x,y)のx座標値の範囲、y座標値の範囲、表示情報、音声種別を有する。ここでは、検出グリッドをグリッドG0とする。現在位置Pが検出グリッドG0内である場合、表示情報r0,無間欠音が設定される。また、図6および図7により、現在位置PがグリッドG1〜G8内である場合、1グリッドの距離であるため、表示情報r1〜r8,短間欠音が設定される。また、現在位置Pが領域B1〜B8内である場合、2グリッドの距離であるため、表示情報r1〜r8,長間欠音が設定される。
【0043】
ここでは、検出グリッドG0からの距離にかかわらず表示情報r1〜r8の矢印の長さを一定としたが、距離に応じて長さを変更してもよい。たとえば、グリッドG1〜G8が検出グリッドG0の周囲グリッドであり、領域B1〜B8がその外側にあり検出グリッドG0から離れている。したがって、領域B1〜B8の表示情報r1〜r8を、グリッドG1〜G8よりも長い(または短い)矢印として表示することで、直感的に距離感をあらわすことができる。
【0044】
このように、制御部407では、表示情報指定テーブル600により、現在位置Pを包含するグリッドがどのグリッドであるか、またはどの領域内にあるかを特定することができる。したがって、それに応じた表示情報を設定して表示画面101に表示させる。
【0045】
また、対象位置が存在するグリッドまでの距離が特定された場合、距離に応じたアラーム音を設定することとしてもよい。たとえば、距離が長いほどアラーム音の間隔を長くし、距離が短くなるとアラーム音の間隔も短くすることとしてもよい。
【0046】
たとえば、図6および図7の例では、グリッドG1〜G8が検出グリッドG0の周囲グリッドであり、領域B1〜B8がその外周にあり検出グリッドG0から離れている。したがって、表示情報指定テーブル600を参照することで、領域B1〜B8のときは、アラーム音を間隔が長いアラーム音(長間欠音)に設定して再生し、グリッドG1〜G8のときは、それより間隔が短いアラーム音(短間欠音)に設定して再生する。そして、グリッドG0のときは、間隔がないアラーム音(無間欠音)を設定する。
【0047】
なお、アラーム音の再生については、既存技術を適用すればよい。したがって、アラーム音の種別ごとに音声ファイルを用意しておいてもよく、また、再生制御により1種類の音声ファイルのアラーム音の間隔を調整することとしてもよい。
【0048】
また、出力部408は、音声を出力する機能を有する。具体的には、たとえば、制御部407により再生されたアラーム音を出力する。これにより、たとえば、表示画面101に表示された矢印に追従して位置特定装置100(携帯端末100)を紙媒体地図M上で移動させると、現在位置が存在するグリッドに近づくにつれて、アラーム音の間隔が短くなる。これにより、位置特定装置100(携帯端末100)が紙媒体地図M上の現在位置が存在するグリッドに接近していることが直感的にわかることとなる。出力部408は、図3に示した音声出力装置306によりその機能を実現する。
【0049】
(位置特定処理手順)
図8は、本実施の形態にかかる位置特定装置100による位置特定処理手順を示すフローチャートである。まず、処理が終了したか否かを判断し(ステップS801)、終了していない場合(ステップS801:No)、紙媒体地図Mの地図画像を撮像して、第1の取得部401により地図画像を取得する(ステップS802)。そして、検出部403により取得した地図画像からグリッドが検出されたか否かを判断する(ステップS803)。グリッドが検出されない場合(ステップS803:No)、ステップS801に戻る。一方、グリッドが検出された場合(ステップS803:Yes)、第2の取得部404により、検出グリッド内の地図画像を取得する(ステップS804)。
【0050】
そして、取得した地図画像内に埋め込まれている印刷型ステガノグラフィをデコードして(ステップS805)、検出グリッドの左上頂点の座標値を得る。この座標値が前回得られた座標値と同一か否かを判断する(ステップS806)。同一である場合(ステップS806:Yes)、前回検出されたグリッドを再度特定してしまうこととなるため、ステップS801に戻る。これにより、検出グリッドが変わる都度特定されることとなり、無駄な処理を抑制して省電力化を図ることができる。
【0051】
一方、同一でない場合(ステップS806:No)、当該座標値と縦幅ydおよび横幅xdから他の3頂点の座標値を算出することで、検出グリッドを特定する(ステップS807)。そして、第3の取得部405により対象位置の座標値が取得済みか否かを判断する(ステップS808)。取得済みでない場合(ステップS808:No)、対象位置座標を取得し(ステップS809)、ステップS810に移行する。
【0052】
一方、取得済みである場合(ステップS808:Yes)、ステップS810に移行する。ステップS810では、特定部406によるグリッド特定処理を実行する(ステップS810)。そのあと、制御部407により設定された情報の出力処理を実行する(ステップS811)。たとえば、表示情報を取得した場合はその表示情報を表示画面101に表示する。また、音声が再生された場合には、その再生されたアラーム音を出力する。このあと、ステップS801に戻る。また、ステップS801において、終了を検出した場合には(ステップS801:Yes)、一連の位置特定処理を終了する。
【0053】
図9は、グリッド特定処理(ステップS810)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xが、xg≦x<xg+xdであるか否かを判断する(ステップS901)。xg≦x<xg+xdである場合(ステップS901:Yes)、縦方向特定処理を実行して(ステップS902)、ステップS801に移行する。縦方向特定処理とは、検出グリッドG0からみてY方向に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。一方、xg≦x<xg+xdでない場合(ステップS901:No)、横方向特定処理を実行して(ステップS903)、ステップS801に移行する。横方向特定処理とは、検出グリッドG0からみてX方向に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。
【0054】
図10は、縦方向特定処理(ステップS902)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値yが、yg≦y<yg+ydであるか否かを判断する(ステップS1001)。yg≦y<yg+ydである場合(ステップS1001:Yes)、現在位置が存在するグリッドが検出グリッドG0であるため、表示情報r0を取得する(ステップS1002)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r0を読み出す。また、アラーム音を無間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0055】
一方、yg≦y<yg+ydでない場合(ステップS1001:No)、現在位置の座標値yがy<ygであるか否かを判断する(ステップS1003)。y<ygである場合(ステップS1003:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG2であるため、表示情報r2を取得する(ステップS1004)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r2を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0056】
一方、y<ygでない場合(ステップS1003:No)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG7であるため、表示情報r7を取得する(ステップS1005)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r7を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0057】
図11は、横方向特定処理(ステップS903)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、yg≦y<yg+ydである場合(ステップS1101:Yes)、現在位置の座標値xがx<xgであるか否かを判断する(ステップS1102)。x<xgである場合(ステップS1102:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG4であるため、表示情報r4を取得する(ステップS1103)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r4を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0058】
一方、x<xgでない場合(ステップS1102:No)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG5であるため、表示情報r5を取得する(ステップS1104)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r5を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。一方、yg≦y<yg+ydでない場合(ステップS1101:No)、図12のステップS1201に移行する。
【0059】
図12は、斜め方向特定処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xがx<xgであるか否かを判断する(ステップS1201)。x<xgである場合(ステップS1201:Yes)、現在位置の座標値yがy<ygであるか否かを判断する(ステップS1202)。y<ygである場合(ステップS1202:Yes)、左上方向特定処理を実行して(ステップS1203)、ステップS801に移行する。左上方向特定処理とは、検出グリッドG0からみて左上方向(X,Yがともに負の方向)に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。
【0060】
一方、y<ygでない場合(ステップS1202:No)、左下方向特定処理を実行して(ステップS1204)、ステップS801に移行する。左下方向特定処理とは、検出グリッドG0からみて左下方向(Xが負、Yが正の方向)に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。
【0061】
一方、ステップS1201において、x<xgでない場合(ステップS1201:No)、現在位置の座標値yがy<ygであるか否かを判断する(ステップS1205)。y<ygである場合(ステップS1205:Yes)、右上方向特定処理を実行して(ステップS1206)、ステップS801に移行する。右上方向特定処理とは、検出グリッドG0からみて右上方向(Xが正、Yが負の方向)に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。
【0062】
一方、y<ygでない場合(ステップS1205:No)、右下方向特定処理を実行して(ステップS1207)、ステップS801に移行する。右下方向特定処理とは、検出グリッドG0からみて右下方向(X,Yがともに正の方向)に現在位置が存在するグリッドを特定する処理である。
【0063】
図13は、左上方向特定処理(ステップS1203)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xが、xg−xd≦x<xgであるか否かを判断する(ステップS1301)。xg−xd≦x<xgである場合(ステップS1301:Yes)、現在位置の座標値yが、yg−yd≦y<ygであるか否かを判断する(ステップS1302)。yg−yd≦y<ygである場合(ステップS1302:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG1であるため、表示情報r1を取得する(ステップS1303)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r1を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0064】
一方、yg−yd≦y<ygでない場合(ステップS1302:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B2に存在するため、表示情報r2を取得する(ステップS1304)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r2を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0065】
また、ステップS1301において、xg−xd≦x<xgでない場合(ステップS1301:No)、現在位置の座標値yが、yg−yd≦y<ygであるか否かを判断する(ステップS1305)。yg−yd≦y<ygである場合(ステップS1305:Yes)、現在位置が存在するグリッドが領域B4に存在するため、表示情報r4を取得する(ステップS1306)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r4を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0066】
一方、yg−yd≦y<ygでない場合(ステップS1305:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B1に存在するため、表示情報r1を取得する(ステップS1307)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r1を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0067】
図14は、左下方向特定処理(ステップS1204)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xが、xg−xd≦x<xgであるか否かを判断する(ステップS1401)。xg−xd≦x<xgである場合(ステップS1401:Yes)、現在位置の座標値yが、yg+yd≦y<yg+2ydであるか否かを判断する(ステップS1402)。yg+yd≦y<yg+2ydである場合(ステップS1402:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG6であるため、表示情報r6を取得する(ステップS1403)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r6を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0068】
一方、yg+yd≦y<yg+2ydでない場合(ステップS1402:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B7に存在するため、表示情報r7を取得する(ステップS1404)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r7を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0069】
また、ステップS1401において、xg−xd≦x<xgでない場合(ステップS1401:No)、現在位置の座標値yが、yg+yd≦y<yg+2ydであるか否かを判断する(ステップS1405)。yg+yd≦y<yg+2ydである場合(ステップS1405:Yes)、現在位置が存在するグリッドが領域B4に存在するため、表示情報r4を取得する(ステップS1406)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r4を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0070】
一方、yg+yd≦y<yg+2ydでない場合(ステップS1405:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B6に存在するため、表示情報r6を取得する(ステップS1407)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r6を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0071】
図15は、左上方向特定処理(ステップS1206)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xが、xg+xd≦x<xg+2xdであるか否かを判断する(ステップS1501)。xg+xd≦x<xg+2xdである場合(ステップS1501:Yes)、現在位置の座標値yが、yg−yd≦y<ygであるか否かを判断する(ステップS1502)。yg−yd≦y<ygである場合(ステップS1502:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG3であるため、表示情報r3を取得する(ステップS1503)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r3を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0072】
一方、yg−yd≦y<ygでない場合(ステップS1502:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B2に存在するため、表示情報r2を取得する(ステップS1504)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r2を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0073】
また、ステップS1501において、xg+xd≦x<xg+2xdでない場合(ステップS1501:No)、現在位置の座標値yが、yg−yd≦y<ygであるか否かを判断する(ステップS1505)。yg−yd≦y<ygである場合(ステップS1505:Yes)、現在位置が存在するグリッドが領域B5に存在するため、表示情報r5を取得する(ステップS1506)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r5を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0074】
一方、yg−yd≦y<ygでない場合(ステップS1505:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B3に存在するため、表示情報r3を取得する(ステップS1507)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r5を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0075】
図16は、右下方向特定処理(ステップS1207)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。まず、現在位置の座標値xが、xg+xd≦x<xg+2xdであるか否かを判断する(ステップS1601)。xg+xd≦x<xg+2xdである場合(ステップS1601:Yes)、現在位置の座標値yが、yg+yd≦y<yg+2ydであるか否かを判断する(ステップS1602)。yg+yd≦y<yg+2ydである場合(ステップS1602:Yes)、現在位置が存在するグリッドがグリッドG8であるため、表示情報r8を取得する(ステップS1603)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r8を読み出す。また、アラーム音を短間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0076】
一方、yg+yd≦y<yg+2ydでない場合(ステップS1602:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B7に存在するため、表示情報r7を取得する(ステップS1604)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r7を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0077】
また、ステップS1601において、xg+xd≦x<xg+2xdでない場合(ステップS1601:No)、現在位置の座標値yが、yg+yd≦y<yg+2ydであるか否かを判断する(ステップS1605)。yg+yd≦y<yg+2ydである場合(ステップS1605:Yes)、現在位置が存在するグリッドが領域B5に存在するため、表示情報r5を取得する(ステップS1606)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r5を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0078】
一方、yg+yd≦y<yg+2ydでない場合(ステップS1605:No)、現在位置が存在するグリッドが領域B8に存在するため、表示情報r8を取得する(ステップS1607)。具体的には、表示情報指定テーブル600から表示情報r8を読み出す。また、アラーム音を長間欠音に設定する。そして、ステップS801に移行する。
【0079】
以上、説明したように、本実施の形態では、紙媒体地図Mを撮像するだけで、検出されたグリッドから現在位置の紙媒体地図M上のグリッドを指し示す方向がわかる。したがって、ユーザがその指し示す方向に撮像装置を移動させることで、すなわち、携帯端末100をあたかもルーペであるかのように用いることで、紙媒体地図M上の現在位置がどのグリッドにあるかを探すことができる。
【0080】
また、表示情報の矢印に従って携帯端末100を移動させて紙媒体地図Mのページの端に到達した場合でも、紙媒体地図Mからの地図の連結先ページをめくり、その連結先ページで携帯端末100をかざして撮像すればよい。またこの場合、連結先ページ内の位置あわせをする必要はなく、連結先ページ内の適当な箇所で携帯端末100をかざして撮像すれば、現在位置のグリッドへ向かう矢印の表示情報が表示される。したがって、地図が読めないユーザにとっても使い勝手がよく、現在位置が存在するグリッドを容易に探すことができる。
【0081】
また、上述した実施の形態では、表示情報を表示することとしたが、表示情報のみならず、関連情報を表示することとしてもよい。たとえば、現在位置が存在するグリッドが特定されて表示情報r0が表示された場合、そのグリッド内の施設の施設名や電話番号、口コミ情報、料金などのサービス内容などの関連情報を表示画面101に表示することとしてもよい。
【0082】
具体的には、たとえば、位置情報に関連付けられている関連情報を記憶するデータベースを携帯端末100内の記憶装置302にあらかじめ記憶させておき、現在位置の位置情報を手がかりとして携帯端末100の記憶装置302の中から検索して表示すればよい。これにより、グリッドの特定とともに有用な情報も得ることができる。また、このデータベースを備えるサーバにアクセスして関連情報を取得することとしてもよい。これにより、記憶装置302の省メモリ化を図ることができる。
【0083】
また、上述した実施の形態では、検出グリッドG0の位置情報については、検出グリッドG0の左上頂点の座標値に応じた色階調数の数列コードを印刷型ステガノグラフィとして紙媒体地図のグリッドG0に埋め込んでいるが、左上頂点の座標値に限定する必要はなく、グリッドG0の位置情報が特定できれば他の頂点の座標値でもよい。また、上述した実施の形態では、携帯端末100を紙媒体地図M上で移動させているが、撮像装置がコードを介して接続されている場合は、撮像装置を紙媒体地図M上で移動させることとなる。
【0084】
このように上述した実施の形態では、GISで提供される電子地図のように携帯端末100の狭い表示画面101内で電子地図の拡大や縮小を繰り返す必要がないため、紙媒体地図Mを俯瞰しながら現在位置が存在するグリッドを特定することができる。したがって、地図全体の中で今現在ユーザがどの辺にいるかを容易に認識することができる。
【0085】
また、電子地図をサーバからダウンロードする必要がないため、通信コストがかからない。さらに、通信はGPSを利用した現在位置の取得だけなので、キャリア網やIP網などのネットワークの通信エリア圏外であっても利用することができる。このように、通信コストや利用場所によっても利便性が高いというメリットがある。
【0086】
また、紙媒体地図M上をルーペのようにかざして撮像して表示情報の矢印にしたがって携帯端末100を移動させるだけでよい。すなわち、ページ番号の指定を受けなくても、ユーザは紙媒体地図Mの適当なページを広げて携帯端末100をかざせばよい。したがって、紙媒体地図Mを広げる前のコンピュータ処理が不要であるため、普通に紙媒体地図Mを見る場合とおなじ要領で現在位置が存在するグリッドを容易に探すことができる。
【0087】
以上のことから、本実施の形態にかかる位置特定装置および位置特定プログラムは、地図上の位置特定が容易かつ紙媒体地図の利用の利便性を高めることができる。
【0088】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0089】
(付記1)装置本体に内蔵または接続された撮像装置により撮像された、グリッドごとに領域分割された紙媒体地図の撮像画像を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された前記紙媒体地図の撮像画像を表示する表示画面を有する表示手段と、
前記表示画面に表示された前記紙媒体地図の撮像画像の中からグリッドを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出されたグリッドの位置情報を取得する第2の取得手段と、
対象位置を示す位置情報を取得する第3の取得手段と、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置への方向を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された方向に関する表示情報を、前記表示画面に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする位置特定装置。
【0090】
(付記2)前記紙媒体地図は、前記グリッドごとに当該グリッドの位置情報に応じた印刷型ステガノグラフィが埋め込まれた地図であり、
前記第2の取得手段は、
前記検出されたグリッドの印刷型ステガノグラフィから、前記検出されたグリッドの位置情報を取得することを特徴とする付記1に記載の位置特定装置。
【0091】
(付記3)前記紙媒体地図は、前記グリッドごとに当該グリッドの位置情報を記憶するICタグが埋め込まれた地図であり、
前記第2の取得手段は、
前記検出されたグリッドのICタグから、前記検出されたグリッドの位置情報を取得することを特徴とする付記1に記載の位置特定装置。
【0092】
(付記4)前記第3の取得手段は、
現在位置を示す位置情報を取得し、
前記特定手段は、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記現在位置への方向を特定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【0093】
(付記5)前記特定手段は、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置のグリッドまでの距離を特定し、
前記制御手段は、
前記特定手段によって特定された距離に関する表示情報を、前記表示画面に表示させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【0094】
(付記6)音声を出力する出力手段を備え、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置のグリッドまでの距離を特定し、
前記制御手段は、
前記特定手段によって特定された距離に関する音声情報を、前記出力手段から出力させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【0095】
(付記7)前記特定手段は、
前記検出手段によって前回検出されたグリッドと今回検出されたグリッドの同一性を判断し、同一である場合、前記現在位置への方向を特定せず、異なるグリッドである場合、前記現在位置への方向を特定することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【0096】
(付記8)装置本体に内蔵または接続された撮像装置および当該撮像装置によって撮像された撮像画像を表示する表示画面を有する表示装置を備えるコンピュータを、
前記撮像装置により撮像されたグリッドごとに領域分割された紙媒体地図の撮像画像を取得する第1の取得手段、
前記第1の取得手段によって取得された前記紙媒体地図の撮像画像の中からグリッドを検出する検出手段、
前記検出手段によって検出されたグリッドの位置情報を取得する第2の取得手段、
対象位置を示す位置情報を取得する第3の取得手段、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置への方向を特定する特定手段、
前記特定手段によって特定された方向に関する表示情報を、前記表示画面に表示させる制御手段、
として機能させることを特徴とする位置特定プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、位置特定装置および位置特定プログラムは、携帯電話機、ノート型パソコン、スマートフォン、携帯ゲーム機などの携帯端末に有用である。
【符号の説明】
【0098】
M 紙媒体地図
r0〜r8 表示情報
G0〜G8 グリッド
100 携帯端末(位置特定装置)
101 表示画面
302 記憶装置
303 読取装置
305 表示装置
306 音声出力装置
308 GPSレシーバ
401 第1の取得部
402 表示部
403 検出部
404 第2の取得部
405 第3の取得部
406 特定部
407 制御部
408 出力部
600 表示情報指定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に内蔵または接続された撮像装置により撮像された、グリッドごとに領域分割された紙媒体地図の撮像画像を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された前記紙媒体地図の撮像画像を表示する表示画面を有する表示手段と、
前記表示画面に表示された前記紙媒体地図の撮像画像の中からグリッドを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出されたグリッドの位置情報を取得する第2の取得手段と、
対象位置を示す位置情報を取得する第3の取得手段と、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置への方向を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された方向に関する表示情報を、前記表示画面に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする位置特定装置。
【請求項2】
前記紙媒体地図は、前記グリッドごとに当該グリッドの位置情報に応じた印刷型ステガノグラフィが埋め込まれた地図であり、
前記第2の取得手段は、
前記検出されたグリッドの印刷型ステガノグラフィから、前記検出されたグリッドの位置情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項3】
前記紙媒体地図は、前記グリッドごとに当該グリッドの位置情報を記憶するICタグが埋め込まれた地図であり、
前記第2の取得手段は、
前記検出されたグリッドのICタグから、前記検出されたグリッドの位置情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項4】
前記第3の取得手段は、
現在位置を示す位置情報を取得し、
前記特定手段は、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記現在位置への方向を特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【請求項5】
前記特定手段は、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置のグリッドまでの距離を特定し、
前記制御手段は、
前記特定手段によって特定された距離に関する表示情報を、前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の位置特定装置。
【請求項6】
装置本体に内蔵または接続された撮像装置および当該撮像装置によって撮像された撮像画像を表示する表示画面を有する表示装置を備えるコンピュータを、
前記撮像装置により撮像されたグリッドごとに領域分割された紙媒体地図の撮像画像を取得する第1の取得手段、
前記第1の取得手段によって取得された前記紙媒体地図の撮像画像の中からグリッドを検出する検出手段、
前記検出手段によって検出されたグリッドの位置情報を取得する第2の取得手段、
対象位置を示す位置情報を取得する第3の取得手段、
前記第2および第3の取得手段によって取得された位置情報に基づいて、前記検出されたグリッドから前記対象位置への方向を特定する特定手段、
前記特定手段によって特定された方向に関する表示情報を、前記表示画面に表示させる制御手段、
として機能させることを特徴とする位置特定プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−191206(P2010−191206A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35675(P2009−35675)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(592138787)株式会社昭文社 (4)
【Fターム(参考)】