説明

低応力、高温フィルム用多環式ポリマーに基づく感光性組成物

【課題】ビニル付加ポリマー組成物、当該組成物の形成方法、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスを形成するための当該組成物の使用方法を提供する。
【解決手段】ノルボルネン型モノマーから得られる二つ以上の種類の区別される型の反復単位を有する主鎖を持ったビニル付加ポリマーからなり、第一型の反復単位は、式1に表わされるグリシジルエーテル置換ノルボルネンモノマーから得られ、第二型の反復単位はアラルキル置換ノルボルネンモノマーから得られる。


[式中、Xは−CH−,−CH−CH−および−O−O−から選択、mは0〜5,R,R,RおよびRの少なくとも一つはグリシジルエーテル含有基]

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は米国仮特許出願第60/585,829号(2004年7月7日出願)および米国特許出願第10/465,511(2003年6月19日出願)の優先権の利益を主張し、それぞれは参照することにより本明細書中に援用される。
【0002】
工業への適用分野
本発明は感光性多環式ポリマー、その組成物、それから形成されるフィルム、およびマイクロエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスにおいて使用するそれらの使用方法、より具体的には、前記ポリマー、組成物、フィルムおよびその処理方法であって、ここで該ポリマーが機能化されたノルボルネン型のモノマーの付加重合により得られる反復単位を包含し、フィルムが、他のものの中で低い内部応力および高温安定性により特徴付けられるものに関する。
【0003】
先行技術
マイクロエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクス産業の急速な発展は誘電性ポリマー物質に対する大きな需要をもたらしてきた。少なくとも部分的には、この需要は、過去に製造されたデバイスよりもより高い機能性および速い演算速度をなし遂げるような物質を必要とするデバイスを目指すこれらの産業の進展により喚起された。例えば、高密度のメモリーやマイクロプロセッサーなどの進んだマイクロエレクトロニクスデバイスには、容量結合効果を減少させるために可能な限り低い誘電定数を有する誘電性物質によってそれぞれから絶縁されていなければならない、狭い間隔の電気相互接続(electrical interconnects)の数個の層が、概して必要である。
【0004】
フッ素および/またはカーボンにより二酸化ケイ素をドーピングすることにより、二酸化ケイ素の誘電定数を(3.9から)低減できることが示されているが、もたらされる低減は大きなものではなく、得られたフィルムに、しばしば信頼性に問題が生ずる。このため、誘電定数を大幅に低減できる誘電ポリマー物質に対する需要が依然としてある。そのような物質により提供される低い誘電定数の一方で、充分に確立された処理方法に適合性であり、例えば、低い内部応力および熱的安定性などの、適切な機械的、化学的および熱特性的特性を有するポリマー物質を見つけ出すことは困難であった。この困難性にもかかわらず、そのポリマー物質に対する潜在的な用途が明らかとなっているので、適切な物質を発見する努力が続けられている。
【0005】
したがって、ドープされた酸化物のような無機物質とは異なり、適切なモデュラスを有するポリマー物質が、熱膨張率が大きく異なる回路とパッケージ構成部品との間のインターポーザーとして機能する事により、パッケージ化された集積回路の信頼性を高めることができ、ダイのクラッキング等を防止することがわかってきた。適正なモデュラスを有することに加えて、鉛を含まない鑞付け工程のような熱循環を含むパッケージングの適用に特に重要であるが、そのポリマー物質が低い内部応力および良好な熱安定性をさらに有することが目的の。しかしながら、従来知られているポリマーは、ポリマーとそれらをパターン化するために使用されるフォトレジスト組成物のエッチング特性とが非常に似ているため、パターン化することがしばしば困難となりうる。したがって、ポリマーの部分を選択的に除去するための努力は問題となりうるものであり、その介在物質を選択的にパターンを付すことができ、基礎となるポリマー物質中にパターンを付すために用いることができるパターンを付したインターポーザー物質となりうる場合には、ポリマーとレジスト組成物との間に介在物質を形成することは知られている。
【0006】
ハードマスクを形成するために必要な付加的な工程は概して対費用効果が乏しく、したがって、このような工程を必要としない低い誘電定数のポリマー物質をパターン化する代替の方法が有利であろう。この趣意で、米国特許第6,121,340号は、光開始剤とペンダント加水分解性官能基(例えば、シリルエーテル)を有する反復単位を含む多環式付加ポリマーとを含むネガティブに働く感光性ポリマー組成物を開示している。化学線源に露光すると、光開始剤は加水分解性側基の加水分解を触媒し、ポリマー主鎖に選択に架橋結合を生じさせてパターンを形成する。したがって、該’340特許の誘電物質はそれ自体が感光性といえる。しかしながら、該’340特許に開示されている誘電性組成物は、不利益な点として、加水分解反応を進行させるためには水分が存在することが必要となる。誘電層中にこのように水分が存在すると、完成したミクロエレクトロニクスデバイスおよびそのパッケージに信頼性の問題が生じうるので、該’340特許の物質は他の用途に有用に振り向けられる。
【0007】
最近、日本特許第3588498号、発明の名称「エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた絶縁物質」の日本特許が発行された。この特許は、耐熱性、耐溶媒性、低吸水性、電気絶縁性、接着性、耐薬品性などに優れた薄膜を対象とするものである。この趣意で、この特許は種々のポリマー組成物を開示しており、その組成物中に使用されているポリマーは、前述の特性を有する安定なポリマーフィルムを提供するために架橋結合しうるエポキシ官能基を含む。そのエポキシ基を含む当該組成物を得るために、まずエポキシ官能基のないポリマーを形成し、次いで、フリーラジカル法によってそのような基をポリマーの主鎖にグラフト化すること、すなわち、ポリマーの主鎖を形成する1以上の反復単位にエポキシ官能基を付与することを、その日本特許は教示している。その日本特許は、そのグラフト化には、不飽和モノマーを主鎖にグラフト化するためのフリーラジカルを主鎖に形成するために、適切な不飽和エポキシ基含有モノマーとフリーラジカル開始剤とが必要であると教示している。そのグラフト反応によってエポキシ官能基を含むポリマーはうまく供給できる一方で、そのグラフト化は、潜在的付加部位についての静的環境および付加が可能な部位の数などの他の要因と共に、異なる種類の存在する炭素の反応性(反応性の順序は一級(primary)<二級(secondary)<三級(tertiary)である)の相違により決定される、特定の反復単位のいずれかまたはいくつかの反復単位におけるいくつかの位置のいずれかで、問題を伴ってエポキシ基の付加(グラフト)を生じさせるであろう。したがって、ポリマーの反復単位のいくつかは、そこにグラフト化された複数のエポキシ官能基を有しうる一方で、他の反復単位には全く有さないことが起こり得る。さらに、一度エポキシ基含有モノマーがグラフト化されてしまうと、当該官能基自体もグラフト化のための部位を提供し、得られるポリマーの組成を予測できなくする(Huangら、”Fundamental Studies of Grafting Reactions in Free RadicalCopolymerization”、J.Polymer Science、Part A 第33巻、第2533−2549頁(1995年))。この予測不能性により、特定の目的の結果が得られるようにポリマー主鎖上に1種類以上の官能基をグラフトすること、または得られるポリマーを特定の使用または用途に適合するようにポリマーの主鎖上の所定位置に選択された官能基を有するポリマーを製造することにも問題が伴うことは明らかである。
【0008】
当業者が知るとおり、感光性ポリマーは、当該ポリマーを像様に露光することにより露光されたポリマーの全ての部分に本質的に同一の効果をもたらすように、本質的に均一な組成でなければならない。複数のポリマー鎖のなかでおよび任意の1ポリマー鎖の複数の反復単位中の双方における日本特許のポリマー組成物の組成予見不能性により、おそらくホモポリマーおよびその組成物ではない当該日本特許により開示されたポリマーおよびポリマー組成物は、マイクロエレクトニクス用途のための感光性組成物として適合しそうにはないと思われる。さらに、感光性ポリマーおよびポリマー組成物として適合しないことに加えて、当該日本特許のポリマーはその予見不能性およびそれゆえの非均一構造組成の結果として、物理的および機械的特性も予見不能となるであろう。したがって、特定範囲の値が小さいモデュラスを有するポリマーが有益な場合に、そのようなグラフト化反応で形成されるポリマーの構造組成が予測不能性により、全く特定の範囲のモデュラス値が全く得られそうにもなく、もしうまくいったとしても再現できそうにない。よって、用途の特有の要求に適合するように調整したポリマーを得ることが有利であるから、当該日本特許のポリマーおよびポリマー組成物ではどう見ても問題を生じやすい。
【0009】
発明が解決しようとする課題
したがって、マイクロエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクス産業において使用されるための適正なモデュラスを有する低誘電定数ポリマー物質を提供するために、上述した従来技術の物質の欠点を解決すべく、およびそれ自体が感光性で感光の差異に水を必要とせず、物理的、機械的および化学的特性の特定の値を有するように調整可能な物質について、熱心な研究を行い、さらに種々の用途のために容易に調整される感光材料の使用を可能にする方法を提供するための研究を行った結果、本発明者は、適切なノルボルネン形モノマーを選択し、当該モノマー2,3連鎖によるポリマー主鎖の形成を含むビニル付加重合により重合し、さらに適切な添加剤を形成されたビニル付加ポリマーに付与しその感光性ポリマー組成物提供することにより、本発明が完成する事を発見した。
【0010】
課題を解決するための手段
本発明はビニル付加多環式ポリマー、その組成物、それから形成されるフィルム、および、マイクロエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスにおいてそのポリマー、組成物、フィルムを使用するための処理方法または使用方法に関する。有利な点として、前述の組成物のポリマーおよびフィルムは、官能基化されたノルボルネン型モノマーのビニル付加重合の結果である反復単位を含み、ここで、そのような官能基化されたノルボルネン型モノマーにはエポキシ基含有ノルボルネン型モノマーが含まれる。
【0011】
実施例をのぞいて、または別に指示しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件等に関連する全ての数値、値および/または表現は、全ての事例において、用語の“約”によって修飾されるものと理解される。
【0012】
種々の数値範囲が、本特許出願中に開示されている。これらの範囲は連続しているため、特に指示しない限り、これらは各範囲の最小値および最大値およびその間の任意の値を含む。さらに、特に明示しない限り、本明細書および特許請求の範囲で特定される種々の数値範囲は、このような値を取得するとき起こりうる種々の測定の不確実さを反映する近似値である。
【0013】
本発明の実施態様は、ノルボルネン型モノマーから得られる二つ以上の種類の区別される型の反復単位を有する主鎖を持ったビニル付加ポリマーを含むポリマーを提供し、そのようなモノマーは以下の構造式I:
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、区別される第一型の反復単位は、少なくとも一つのグリシジルエーテル官能側基を包含し、区別される第二型の反復単位は、少なくとも一つのアラルキル側基を包含し、そして、X、m、R、R、R、およびRは以下に定義される]
により表されるモノマーから独立して選択される。当該実施態様のポリマーは内部応力が低いフィルムを形成するためのポリマー組成物に使用することができる、当該フィルムは300℃を超える加工処理温度に曝すことができ、パターンを形成するように感光させることができ、その場合、側壁のプロフィールが垂直以下の角度を形成し、市販の現像液、例えば、シクロペンタノンやメチルn−アミルケトン(2−ヘプタノン)(”MAK”)を感光処理工程で用いることができる。
【0016】
本明細書中で用いられるとき、式Iの”ビニル付加ポリマー”に言及する場合、そのポリマーは二つ以上の区別されるまたは異なる型の反復単位を有する主鎖を含むと理解される。例えば、二つ以上の区別される型の反復単位を有するポリマーは、2,3,4またはそれ以上の区別される型の反復単位を有することができる。
【0017】
ポリマー反復単位が、式Iの多環式ノルボルネン型モノマーから重合(形成)されことは、用語”得られる(derived)”によって意味される。ここで、得られるポリマーは以下:
【0018】
【化2】

【0019】
に表される、ノルボルネン型モノマーの2,3連鎖(enchainment)よって形成される。
本明細書中で用いられるとき、用語”ポリマー”はそのポリマーの合成に付随する開始剤、触媒および他の要素からの残渣(ここで、その残渣はそこには共有結合で取り込まれてはいないと理解される)と同様に、以上に定義したとおりのビニル付加重合されたポリマーを含むことを意味する。その残渣および他の要素は、ポリマーと一緒に残存する傾向のあり、典型的には、容器の間または溶剤または分散媒体の間を移送する際にポリマーと混合され、またはポリマーに混入する。
【0020】
本明細書中で用いられるとき、用語”ポリマー組成物”はポリマーの合成の後に添加された物質と同様に、前述のポリマーを含むことを意味する。その物質は限定はされないが、溶剤、酸化防止剤、光開始剤、増感剤および以下でさらに詳しく論じられるであろう他の物質を含む。
【0021】
本明細書中で用いられるとき、用語“低いK”は一般に、熱的に形成された二酸化ケイ素(3.9)より低い誘電定数を示し、“低いKの物質”として言及されるとき3.9未満の誘電定数を有する物質を意味すると理解される。
【0022】
本明細書中で用いられるとき、用語“モデュラス”は歪に対する応力の比率を意味することと理解され、そして特に指示しない限り、応力−歪曲線の線形弾性領域で測定されたヤング率または引張係数を示す。モデュラス値はASTEM法D1708−95によって一般的に計測される。低いモデュラスを有するフィルムは、また低い内部応力を有すると解する。
【0023】
本明細書中で用いられるとき、用語“感光性(photodefinable)”はパターン化層または構造の内およびそれ自体に形成する、例えば、本発明の実施態様のポリマー組成物のような物質または物質の組成物の特性を意味する。もう一つの用語”感光性層”は、前述のパターン化層または構造を形成するために、例えば、フォトレジスト層のような、その上に形成される別の物質の層の使用を必要としない。当該特性を有するポリマー組成物は、パターン化されたフィルム/層または構造を形成するためのパターン形成スキームに用いられることもさらに理解されるであろう。そのスキームに感光性物質または層の”像様の露光(imagewise exposure )”が組み込まれることは解されるであろう。当該像様の露光は層の選ばれた部分を化学線に対する露光を意味し、ここで、選択されない部分は化学線に露光処理されることから保護される。
【0024】
本明細書中で用いられるとき、語句“光学的に(photonically)触媒を生成する物質”は、ポリマー中で架橋反応を開始させることのできる化合物を形成するために、”化学線”に露光した際に、崩壊、分解または他の方法でその分子組成を変える物質を示す。ここで、”化学線”は分子組成に前述の変化を起こすことのできる全ての種類の化学線を含むことを意味する。例えば、そのような化学線源に関係なく全ての波長の紫外または可視光線、または適切なX線または電子ビーム源からの放射線が包含される。非限定的な適した物質例として、“光学的に触媒を生成する物質”は、以下で詳しく論じられるようなフォトアシッドジェネレーターおよびフォトベースジェネレーターを含む。“光学的に触媒を生成する物質”は適切な温度まで加熱される場合も触媒をまた生成することも了解される。
【0025】
本明細書中で用いられるとき、組成物と関連して、例えば”硬化された組成物”のように用いられる用語“硬化”(または”硬化処理”)は組成物によって包含される架橋可能な成分の少なくとも一部分が、少なくとも部分的に架橋されていることを意味する。本発明のある実施態様において、その架橋可能な成分の架橋密度、すなわち、架橋化の程度は完全架橋の実質的に100%である。他の実施態様においては、架橋密度は完全架橋の80%から100%までの範囲である。当業者は、架橋の存在および程度(架橋密度)が、種々の方法、例えば、以下で論ずるような動的機械的熱分析(DMTA)で決定できることを理解できるであろう。この方法は、コーティングやポリマーのフリーフィルム(free film)のガラス転移温度および架橋密度を決定する。これらの硬化物質の物理特性は架橋された網目構造に関連する。架橋密度の値が高ければ高いほど、コーティングやフィルムにおいてより高い架橋度が表される。
【0026】
以上および明細書をとおして用いられるとき、以下の用語は別に指示しない限り、以下の意味を有するものと理解される:
例えば、R23およびR24は置換基の群から独立に選択される場合の以下の記述は、R23およびR24は独立に選択されると同時に、変異性のR23が分子中に1回以上存在し得るところでは、その存在が独立に選択されることを意味する(例えば、RとRが、それぞれ、構造式IIのエポキシ含有基であるとき、R23はR中のHであり、R中のメチルであり得る。)。当業者であれば、置換基の大きさと性質が、存在できる置換基の数に影響を及ぼすことがわかる。
【0027】
本文、図式、実施例および表中の満たされない結合価(unsatisfied valences )を有する全ての原子は、結合価を満たすために水素原子を有するとみなされると解される。
”ヒドロカルビル(hydrocarbyl)”は、置換基が水素であるか、または、炭素および水素原子で単に構成されることを意味する。当業者であれば承知しているとおり、ヒドロカルビルは、別に指摘しない限り、用語が単独で用いられるか、または他の用語と組み合わせて用いられるかにかかわらずその定義が適用される以下のことを含む。したがって、”アルキル”の定義は”アラルキル(aralkyl)”、”アルカリール(alkaryl)”等の”アルキル”部分と同様に”アルキル”にも適用される。
【0028】
本明細書中で用いられるとき、用語”アルキル”は直鎖または分枝鎖非環状または環状の、鎖中に1〜25の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。ある実施態様において、有用なアルキル基は鎖の中に1〜12の炭素原子を含む。”分枝鎖”は、例えば、メチル、エチルまたはプロピルのような一つまたはそれ以上の低級アルキル基が直鎖アルキル鎖に付与されていることを意味する。アルキル基は、O,NおよびSiから選択される一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有できる。非限定的な例として、適したアルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、シクロヘキシルおよびシクロプロピルメチルを含む。
【0029】
”アリール”は5〜14の炭素原子、好ましくは6〜10の炭素原子を含む芳香族の単環式または多環式環系を意味する。アリール基はO,NおよびSiから選択されるヘテロ原子を、1つまたはそれ以上含有できる。アリール基は同一または異なってもよい1つまたはそれ以上の”環式系置換基(ring system substituent)”で置換することができる。非限定例として、適したアリール基はフェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルを含む。
【0030】
”アラルキル”または”アリールアルキル”は、アリールおよびアルキルが、両方とも前述のしたものである、アリール−アルキル基を意味する。非限定的な例として、適したアラルキル基は、アラルキルがアルキレン基を介してノルボルネンに結合している、ベンジル、フェネチルおよびナフタレニルメチルを含む。ある実施態様において、アラルキル基はO,NおよびSiから選択される一つまたはそれ以上ヘテロ原子を含有できる。
【0031】
”環状アルキル(cyclic alkyl)”またはシクロアルキルは、ある実施態様では5〜10の炭素原子を、またある実施態様では5〜7の炭素原子を、概して3〜10の炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式環系を意味する。シクロアルキルはヒドロカルビルまたはアリール置換基を含有し、同一または異なってもよい一つまたはそれ以上の”環系置換基”で置換することができる。非限定的な例として、適した単環式シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。非限定的な例として、適した多環式シクロアルキルは1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチル等を含む。シクロアルキル基はO、NおよびSiから選択されるヘテロ原子を、1つまたはそれ以上含有できる(”ヘテロサイクリル”)。非限定的な例として、適した単環式ヘテロサイクリル環はピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等を含む。
【0032】
前述したように、本発明の実施態様はノルボルネン型モノマーから得られる二つ以上の区別される型の反復単位を有する主鎖を含むビニル付加ポリマーを含むポリマー組成物に関し、そのモノマーは式I:
【0033】
【化3】

【0034】
により表されるモノマーから独立して選択され、ここで、Xは−CH−、−CH−CH−および−O−から選択され;mはある場合には0〜3、またある場合には0〜2である、0〜5の整数であって、存在するそれぞれのR、R、R、およびRは以下の群:
H、C〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニルおよびアルキニル;または
O、NおよびSiから選択されるヘテロ原子を1つまたはそれ以上含有するC〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニルおよびアルキニル;または
式II:
【0035】
【化4】

【0036】
[式中、Aは、メチレン、C〜C直鎖、分枝鎖および環状アルキレンから選択される連結基であり、そしてR23およびR24はH、メチル、およびエチルからそれぞれ独立して選択される]
のグリシジルエーテル部分;または
〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキレンおよびアルキレンアリールから選択される連結基によって共に連結されるR、R、R、およびRの二つの全ての組み合わせ
から独立して選択される。ただし、式Iの少なくとも二つ以上の区別される型のモノマーの一つが、少なくとも一つのグリシジルエーテル側基を含むとき、少なくとも二つの区別される型のモノマーの他の一つが、少なくとも一つのアラルキル側基を含む。
【0037】
概して、本発明の実施態様の二つ以上の区別される型の反復単位はグリシジルエーテル側基およびアラルキル側基を含有する式Iのモノマーから得られる。ある実施態様には、ヒドロカルビル置換ノルボルネン型モノマーから得られた一つまたはそれ以上の反復単位と、随意に組み合わせた前述の側基を有するモノマーから得られた反復単位が含まれる。
【0038】
グリシジルエーテル側基を有する好適なモノマーは、式Iによって表されるノルボルネン型モノマーであり、そこでは少なくとも一つのR、R、R、およびRが、独立して式II:
【0039】
【化5】

【0040】
[式中、Aは、メチレン、C〜C直鎖、分枝鎖および環状アルキレンから選択される連結基であり、そしてR23およびR24は、H、メチル、およびエチルからそれぞれ独立して選択される]によって表される側基である。非限定的な例として、適した連結基Aは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレンおよびへキシレンを含む。有用なグリシジルアルキルエーテル側基の比源的な例は、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルブチルエーテル、グリシジルイソブチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、およびその混合物を含む。
【0041】
アラルキル側基を有する好適なモノマーは、式Iにより表されるノルボルネン型モノマーであって、式中、1つまたはそれ以上のR、R、RおよびRが、ベンジル、フェネチルおよびナフチレニルメチルフェネチルのようなアラルキル基である。
【0042】
随意のヒドロカルビル側基を有する好適なモノマーは、式Iにより表されるノルボルネン型モノマーであって、式中、1つまたはそれ以上のR、R、R、およびRは水素、直鎖および分枝鎖(C〜C20)アルキル、ヒドロカルビル置換および無置換(C〜C12)シクロアルキル、ヒドロカルビル置換および無置換(C〜C40)アリール、ヒドロカルビル置換および無置換(C〜C15)アラルキル、(C〜C20)アルキニル、直鎖および分枝鎖(C〜C20)アルケニルまたはビニルからそれぞれ独立して選択され;RおよびRまたはRおよびRは一緒になって(C〜C10)アルキリデニル基を形成でき、RおよびRはそれらが結合する二つの環炭素原子を伴って、4〜12の炭素原子を含有する飽和または不飽和環式基、または6〜17の炭素原子を含有するアリール環を示すことができ;mは0、1,2、3、4または5である。
【0043】
ある実施態様において、mが0のとき、式Iのモノマーは以下の式III:
【0044】
【化6】

【0045】
[式中、X、R、R、RおよびRは以上に論じられているとおりである]で表される。
本発明のある実施態様において、第一型の区別される反復単位はノルボルネン型モノマーから得られ、ここで、Xは−CH−であり、mは0であり、基R、R、RおよびRの3つはそれぞれHであり、第4番目は式II[Aはアルキレンであり、そしてR23およびR24はそれぞれHである]のグリシジルエーテル含有基である。例示されるモノマーは、限定はされないが、例えば、グリシジルメチルエーテルノルボルネン、グリシジルエチルエーテルノルボルネン、グリシジルプロピルエーテルノルボルネン、グリシジルイソプロピルエーテルノルボルネン、グリシジルブチルエーテルノルボルネン、グリシジルイソブチルエーテルノルボルネンおよび/またはグリシジルヘキシルエーテルノルボルネン等の、グリシジルアルキルエーテルノルボルネン型モノマーを含む。
【0046】
ある実施態様において、第二型の区別される反復単位はノルボルネン型モノマーから得られ、ここで、Xは−CH−であり、mは0であり、基R、R、RおよびRの3つはそれぞれHであり、第4番目は、例えばベンジル、フェネチルおよびナフチレニルメチルフェネチルのようなアラルキル基である。
【0047】
ある実施態様において、第三型の区別される反復単位はノルボルネン型モノマーから得られ、ここで、Xは−CH−であり、mは0であり、基R、R、RおよびRの3つはそれぞれHであり、第4番目は直鎖または分枝鎖アルキル基である。非限定的な例はn−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルまたはデシルを含む。
【0048】
本発明の例示される実施態様において、第一型の区別される反復単位は少なくとも一つのグリシジルメチルエーテル側基を含有するモノマーから得られ、そして第二型の種類の異なる反復単位は少なくとも一つのフェネチル側基を含有するモノマーから得られる。ポリマー中に含まれる第一型の区別される反復単位の量はポリマーを調製するために使用されるモノマーの総mol%に基づいて、10〜50モルパーセント(mol%)まで変動でき、第二型の区別される反復単位はポリマー中の反復単位全量の残部を含む。他の実施態様において、第一型の区別される反復単位の量はポリマーを調製するために使用されるモノマーの総mol%に基づいて、20〜40mol%まで変動できる。
【0049】
本発明の例示される別の実施態様において、第一型の区別される反復単位は少なくとも一つのグリシジルメチルエーテル側基を含有するモノマーから得られ、第二型の区別される反復単位は少なくとも一つのフェネチル側基を含有するモノマーから得られ、そして第三型の区別される反復単位は少なくとも一つのデシル基を含有するモノマーから得られる。ポリマーを調製するために使用されるモノマーの総mol%に基づいて、ポリマー中に包含される第一型の区別される反復単位の量は10〜40mol%まで変動でき、ポリマー中に包含される第二型の区別される反復単位の量は5〜50mol%まで変動でき、そしてポリマー中に包含される第三型の区別される反復単位の量は20〜65mol%まで変動できる。
【0050】
他の実施態様において、ポリマーは20〜40mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネン(GME NB)および60〜80mol%のフェネチルノルボルネン(PE NB)およびデシルノルボルネン(デシルNB)から調製される。例示的な実施態様においては、25〜35mol%のGME NB、35〜45mol%のPE NBおよび25〜35mol%のデシルNBが、ポリマーを形成するために使用される。
【0051】
有利なことに、上述の例示されるポリマーは、適正な特性を有するポリマーを提供する選択された反復単位をそれぞれ含む。例えば、他のグリシジルエーテル側基と好適に触媒的に架橋架橋を形成するグリシジルエーテル側基を有することは、有利なことに、ある種の溶剤に溶解されることに耐性となる架橋結合されたポリマーの部分をもたらす。このようにして、ポリマーフィルムを活性化光源に像様に露光し、露光しておらず架橋結合していないポリマーは適切な溶剤中に溶解させることによって除去される、パターンを形成するための手段が提供される。以下にさらに詳しく述べるように、他のものの中で、フェネチル側基を有することにより、適切に硬化した後、感光性ポリマー層のイメージ部分の側壁の垂直面からの勾配を制御するための手段が提供される。同様に、デシル側基を有することによって、モデュラスおよび最終ポリマーフィルムの内部応力を調整するための手段が、有利なことに提供される。簡単に上述したように、いくつかの型の反復単位の有する利点は、非限定的な例であり、例示される反復単位は他の利点を有することができ、そして他の型の反復単位が同様のまたは他の利点を有することができることが了解される。
【0052】
モノマーは適切な重合触媒の存在下に溶液中で重合される。本発明の実施態様のポリマーを調製するために有用なビニル付加触媒が、最近知られており、例えば、式:
【0053】
【化7】

【0054】
[式中、n’は1または2であり、Eは中性の2電子ドナー配位子を示す]で表される触媒を含む。n’が1である場合、Eは好ましくは、トルエン、ベンゼン、およびメシチレンのようなπ−アレーン配位子である。n’が2である場合、Eは好ましくは、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、エチルアセテートおよびジオキサンから選ばれる。反応媒体中の触媒に対するモノマーの比率は、本発明の例示的な実施態様において5000:1〜50:1の範囲となりうるものであり、そして別の例示的な実施態様では2000:1〜100:1の範囲となりうる。他のより低いまたはより高い温度であってもまた適切となりうるが、重合反応は好適な溶媒中において0℃〜70℃の範囲の適切な温度で、一般的に実施される。ある実施態様において、この温度は10℃〜50℃の範囲、そして別の実施態様では20℃〜40℃の範囲となりうる。本発明の実施態様のポリマーを製造するのに使用できる上記の式の重合触媒は、限定はされないが、(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、(メシチレン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロフラン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、およびビス(ジオキサン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを含む。他の有用なビニル−付加触媒は、PCT WO97/33198号およびPCT WO00/20472号に開示されたようなニッケルおよびパラジウム化合物を含む。
【0055】
本発明の実施態様によりポリマーのビニル付加重合反応のために使われる好適な溶媒は、限定はされないが、炭化水素溶媒および芳香族溶媒を含む。本発明に有用な炭化水素溶媒は、限定はされないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのようなアルカンおよびシクロアルカンを含む。芳香族溶媒の非限定例は、ベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンを含む。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、例えばエチルアセテートのようなアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドおよびメチルレンクロライドなどの他の有機溶媒もまた有用である。上記溶媒の1種以上の前述の溶媒の混合物も重合反応溶媒として有用である。
【0056】
有利なことに、本発明の重合反応によりもたらされるポリマーの平均分子量(Mw)は容易に制御できる。ある実施態様においては、当該制御はモノマー対触媒の比率を変えることにより行われる。例えば、他のものが全て同じであっても、5000:1のモノマー対触媒比を用いた重合反応は、その比が100:1の場合よりもより高いMwが得られる。さらに、一般的に、連鎖移動剤(CTA)の存在下重合反応を実施することにより、典型的には10,000〜500,000の範囲内の、制御できるMwを有するポリマーを成形することができ、ここで当該CTAは隣接した炭素原子間に末端オレフィン二重結合を有する化合物であり、そこでは少なくとも一つの隣接した炭素原子が、それに結合した二つの水素原子を有する。
【0057】
有用なCTA化合物は、式IV:
【0058】
【化8】

【0059】
[式中、R’およびR’’は、水素、分枝鎖または非分枝鎖(C〜C40)アルキル、分枝鎖または非分枝鎖(C〜C40)アルケニル、またはハロゲンから独立して選択される]
で表される。上記連鎖移動剤のなかで、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−デセン、1,7−オクタジエン、および1,6−オクタジエン、またはイソブチレンなどのような、2〜10の炭素原子を有するα−オレフィンが好ましい。
【0060】
特定の結果を得るためにCTAを用いるための最適の条件は当業者によって実験的に決定することができるが、一般に、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン)が、最も効果的なCTAであって、1,1−ジ置換オレフィン(例えば、イソブチレン)では余り効果がないことを我々は確認した。言い換えれば、全て他のものが等しくても、所定の分子量を達成するために必要なイソブチレンの濃度は、エチレンを選択した場合よりもより高くなるであろう。
【0061】
本発明のポリマー実施態様を形成する方法は、前述の日本特許第3588498号(日本特許)に教示される方法を上回る顕著な利点を提供することが了解されるべきである。例えば、その日本特許は、エポキシ含有側基を付与するためには、フリーラジカル反応により当該側基をポリマーにグラフト化する必要があると教示している。その方法の一つの不利な点は、そのようなフリーラジカルクラフト反応では、グラフト化されたエポキシ含有モノマーが各反復単位内の1つまたはそれ以上の反応点のいずれかにおいて付加されるために、ポリマー主鎖中にエポキシ官能基が不均一に分布するポリマーがえられるであろうことである。したがって、いくつかのポリマーの反復単位が、グラフト化した結果、そこに付加した単一のエポキシ基含有側基を有するであろう一方で、側基が結合している各反復単位内の位置は、数多くの付加可能部位の間を変動するだろう。反復単位内のたった一つの位置だけが最も目的の場合でも、ポリマー一部分のみが目的の位置に結合を有するであろう。さらには、いくつかの反復単位はそこにグラフト化された複数のエポキシ官能基を有しうる一方で、他のいくつかの反復単位には一つもエポキシ官能基がグラフト化されず、得られる製品により大きな変異性を生み出してしまう。また、いったんエポキシ含有モノマーがグラフト化してしまうと、当該官能基自体がさらにグラフト化のためのサイトを提供してしまい、その製造方法から得られるポリマーの組成を予想することを実質的に不可能にする。この予想不能性に加えて、当該日本特許は、生じる当該フリーラジカル反応に関して、グラフト化されるエポキシ含有部分が、当該部分と当該部分が結合するポリマーの炭素原子との間に共有結合を形成するために必要な電子を付与する不飽和を持たなければならないことを教示しているので、いくつかの所望のポリマー製品は当該日本特許の方法よって得ることは不可能である。例えば、当該日本特許の教示を使ってグリシジルメチルエーテル側基を含むポリマーを形成するために用いることのできるモノマー前駆物質は存在しない。対照的に、本発明の実施態様はグリシジルメチルエーテル側基を有する反復単位を含む。
【0062】
前述したように、本発明のポリマー実施態様は、特に電気および電子デバイス用の感光性組成物に使用するための優れた物理特性を有する。その特性は、限定はされないが、低い吸湿量(2重量%未満)、低い誘電定数(3.9未満)、低いモデュラス(3ギガパスカル(GPa)未満)、電子デバイスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの製造方法に適合する硬化温度、および一般的なフォトリソグラフィーの現像液を含む多くの一般的な有機溶媒における非架橋ポリマーおよびポリマーフィルムの非架橋部分の溶解度を含む。
【0063】
本発明のある実施態様において、ポリマー組成物は、低いKのポリマーを、換言すれば、当該ポリマーを感光処理することにより形成される3.9未満の誘電定数を有する硬化ポリマー、フィルム、層または構造を含む。ある実施態様において、その硬化ポリマー、フィルム、層または構造は2.5の、またある実施態様においては、2.3、他の実施態様においては、2.2の低い誘電定数を有しうる。上述の範囲の誘電定数は伝送遅延の減少をもたらし、および本発明のポリマー組成物を含有する電気デバイスおよび/または電子デバイスの導電ライン間のクロストークを軽減させるために、十分に低いものであることが理解されるだろう。ポリマー、ポリマー組成物、ポリマー組成物を含有する感光性ポリマー組成物および/または感光性ポリマー組成物から得られる硬化層および/またはフィルムの誘電定数は、上述した任意の値の間を変動できる。
【0064】
本発明の実施態様は有利なことに低いモデュラスを有する。したがって、本発明の硬化ポリマー、フィルム、層または構造のある実施態様は、3.0GPa未満の、ある場合には0.3GPaと同等に低い、またある場合には0.2GPaと同等に低い、さらにある場合には0.1GPaと同等に低いモデュラスを有する。当業者が認識しているように、モデュラスが高すぎると、その高いモデュラスのフィルムは、一般的に、高い内部応力も有し、そのことによって、例えば、エレクトロニクスパッケージのダイクラッキング等の、信頼性の問題を引き起こしうる。
【0065】
硬化ポリマー、フィルム、層または構造の他の例示的な実施態様において、それらは2重量%未満、ある場合には0.8重量%未満の、そして他の場合には0.3重量%未満の吸湿量レベルを示す。本明細書中で用いられるとき、“吸湿量”はASTMのD570−98法によって試料の重量増加を測定することによって決定される。
【0066】
本発明の硬化ポリマー、フィルム、層または構造は、有利なことに、少なくとも170℃から、ある場合には少なくとも200℃、そしてある場合には少なくとも220℃から350℃と同程度に高いガラス転移温度(Tg)を有する。ある実施態様において、Tgは325℃と同程度に高い、他の実施態様において300℃と同程度に高い、そしてある実施態様において280℃と同程度に高い温度である。有利なことに、高いTgにより幅広い用途やデバイスにおいて硬化ポリマー、フィルム、層または構造を使用することが可能となる。非限定的な例として、Tgが300℃以上、ある実施態様においては350℃以上であるときには、例えば、ICsのようなマイクロエレクトロニクスデバイスのパッキング処理に使われているような良好なはんだリフロー工程を十分に実施できる。そのポリマーのガラス転移温度は上述した任意の値の間を変動できる。本明細書中で用いられるとき、TgはASTMのD5026−95法(温度:毎分5℃の割合で周囲温度から400℃まで)によって、TA Instruments,New Castle、DE から入手できるRheometric Scientific Dynamic Analyzer Model RDAIIによるDynamic Mechanica lAnalysis(DMA)法を用いて測定される。
【0067】
上述したように、本発明のポリマーは10,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有する。本発明のある実施態様については、少なくとも30,000の、他の実施態様については少なくとも60,000の、さらに他の実施態様については少なくとも90,000のMwを有することは有利である。当該実施態様のいくつかについては、Mwの上限を400,000、他の実施態様については250,000、さらに他の実施態様については140,000までに限定することもまた有利であり、ここで、Mwはポリ(スチレン)標準を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される。本発明の任意の実施態様のポリマーの選択されたMwは、それから得られる硬化ポリマー、フィルム、層または構造に所望の物理的特性を十分に付与できるように選択されていることが理解される。加えて、その実施態様に組み込まれたポリマーのMwは以上に提供された全てのMw値の間を変動できることが理解されるであろう。
【0068】
本発明のポリマーの実施態様は、感光性ポリマー組成物中に、前述の所望の物理的特性を、その組成物から形成される被覆層および硬化層および得られた組成物に十分付与できるレベルで存在する。例示される本発明の感光性ポリマー組成物の実施態様において、ポリマーは有利なことに、感光性ポリマー組成物の少なくとも10重量%、他の実施態様においては少なくとも15重量%、さらに他の実施態様においては少なくとも25重量%で存在する。そのような組成物のある実施態様についてはポリマーの上限を感光性ポリマー組成物の60重量%までの、他の実施態様においては50重量%までの、さらに他の実施態様においては40重量%までの量に制限することが有利である。感光性ポリマー組成物中に存在するポリマーの量は上述した任意の値の間を変動でき、ここで、その量は特定な用途の必要量とポリマー組成物を基板に適用する方法とに基づいて選択される。
【0069】
本発明のポリマー組成物の実施態様はまた、反応性および非反応性化合物から選ばれる適切な溶媒を含む。その溶媒は、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、脂環式環状エーテル、環状エーテル、アセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミド、脂肪族モノ−およびマルチビニルエーテル、脂環式モノ−およびマルチビニルエーテル、芳香族モノ−およびマルチビニルエーテル、環状カーボネート、およびこれらの混合物の1種またはそれ以上であってもよい。溶媒の使用できる溶媒の具体的な非限定例は、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、アニソール、テルペノイド、シクロヘキセンオキシド、α−ピネンオキシド、2,2’−[メチレンビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−オキシラン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビス(4−ビニルオキシフェニル)メタン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン(MAK)を含む。
【0070】
本発明のそのようなようなポリマー組成物の実施態様はまた、一般的に、光学的に触媒を形成する物質を含有し、ここで、形成された触媒がポリマーの架橋を開始させる。光学的に触媒を形成する好適な物質は、限定はされないが、フォトアシッドジェネレーター(photoacid generator)およびフォトベースジェネレーター(photobase generator)を含む。
【0071】
当該ポリマー組成物が光学的に触媒を生成する物質を含有する場合、当該組成物の層が適切な化学線に像様に露光された際に当該光線が露光したフィルムの部分にのみ当該触媒が形成する点において、当該組成物は直接的な感光性組成物でありうる。当該感光性実施態様は、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクス用途に広く用いられているネガティブワーキング感光性ポリマー組成物である。当該用途のいくつかの非限定的な例には、その中に形成された開口部を有するパッシベーション層、マルチチップモジュールまたは高密度相互接続ミクロビア(micro−via)基板の組立に用いるための緩衝層から形成される緩衝構造が含まれる。さらに、その例示的な実施態様に対して、感光性ポリマー組成物は、環境および機械的ストレスから保護するための集積回路のパッケージ用の誘電層または構造を形成するために適用され、またはパターン化される。さらに、当該実施態様は、そのような層の恩恵を受ける種々のディスプレーデバイスやオプトエレクトロニクスデバイスと同様に、慣用の、チップスケール、およびマイクロプロセッサーなどの論理回路、Application Specific集積回路(ASICs)、ディスクリート、メモリー、および受動デバイスのウェファーレベルパッケージのための、再分配層として、パッシベーション層として、および応力緩衝物質として有用である。したがって、感光性ポリマー組成物は、層、フィルムまたは構造としてそのような感光性ポリマー組成物を組み込むことによる恩恵を受けている種々のマイクロエレクトロニクス、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスデバイスの任意のもの組み立てに利用できる。
【0072】
光学的に触媒を形成する物質としてフォトアシッドジェネレーターが本発明のポリマー組成物に組み込まれる場合、フォトアシッドジェネレーターは、オニウム塩、ハロゲン含有化合物およびスルホネートから選ばれる1種以上の化合物を含みうる。本発明の実施態様で有用な適切なフォトアシッドジェネレーターの非限定的な例は、4,4’−ジtertブチルフェニルヨードニウムトリフレート;4,4’,4’’−トリス(tertブチルフェニル)スルホニウムトリフレート;ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;トリアリールスルホニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−ボレート;トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;4,4’−ジtertブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリス(tertブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;および4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートから選ばれる1種以上の化合物を含む。
【0073】
このようなフォトアシッドジェネレーターは、典型的には、硬化および架橋を促進し誘発させるのに十分なレベルで存在する。したがって、本発明のある実施態様では、その十分なレベルは少なくとも0.5重量%から10重量%までである。他の実施態様では、少なくとも0.75重量%からの下限が適切であり、そしてさらに他の実施態様では、少なくとも1重量%からの感光性ポリマー組成物が適切である。本発明の実施態様中に存在するフォトアシッドジェネレーターの量は上述した任意の値の間を変動できる。
【0074】
本発明の例示的な実施態様は、本発明の感光性ポリマー組成物を処方し、使用するために必要な他の好適な成分および/または物質を含むことが理解されるであろう。このような他の好適な成分および/または物質は、増感剤成分、溶媒、触媒スカベンジャー、接着促進剤、酸化防止剤等から選ばれる1種またはそれ以上の成分を含む。
【0075】
適切であるとき、本発明の感光性ポリマー組成物の実施態様中に、1種以上の増感剤成分を含むことができる。一般に、増感剤は、それが含まれるポリマー中に架橋形成を開始させることを有効にするために、特定なタイプのまたは波長の放射線が、フォトアシッドジェネレーターおよびフォトベースジネレータを生じるように使用される。そのような適した増感剤成分は、限定はされないが、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンツピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン−9−オン、およびこれらの混合物を含む。一部の例示的な実施態様において、好適な増感剤成分は、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン、およびこれらの混合物を含む。
【0076】
光学的に触媒を生成する物質と増感剤成分との両方を有する本発明の例示的な実施態様において、後者の増感剤成分は感光性ポリマー組成物中に組成物の少なくとも0.1重量%から10重量%ほどまでの量で存在する。他の実施態様では、感光性ポリマー組成物の少なくとも0.5重量%から、さらに別の実施態様では、少なくとも1重量%からの下限が適切である。この例示的な実施態様において感光性ポリマー組成物中に存在する増感剤成分の量は上述した任意の値の間を変動できる。
【0077】
本発明のある実施態様において、触媒スカベンジャー(catalyst scavenger)が感光性ポリマー組成物に組み込まれる。有用なスカベンジャーは、アッシドスカベンジャーおよび/またはベーススカベンジャーを含む。本発明で使用できる好適なベーススカベンジャーの非限定的な例は、例えば、トリフルオロメチルスルホンアミドがある。本発明で使用できるアッシドスカベンジャーの非限定的な例は、ピリジン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、トリ(n−プロピルアミン)、トリエチルアミン、および任意の異性体型のルチジンから選ばれるもののような二級アミンおよび/または三級アミンを含む。
【0078】
光学的に触媒を生成する物質と触媒スカベンジャーとの両方を有する本発明の例示的な実施態様において、後者の触媒スカベンジャーはその組成物の少なくとも0.01重量%から5重量%ほどまでの量で存在する。他の実施態様では、感光性ポリマー組成物の少なくとも0.1重量%からの、さらに別の実施態様では、少なくとも0.25重量%からの下限が適切である。この例示的な実施態様において感光性ポリマー組成物中に存在する触媒スカベンジャーの量は上述した任意の値の間を変動できる。
【0079】
本発明の例示的な実施態様において、以上に詳しく述べたとおり、溶媒は好適な反応性および非反応性化合物を含む。
本発明の例示的な実施態様において、溶媒は感光性ポリマー組成物中にその組成物の少なくとも20重量%から95重量%ほどまでの量で存在する。他の実施態様では、感光性ポリマー組成物の少なくとも35重量%からの、さらに別の実施態様では、少なくとも50重量%からの下限が適切である。そのような感光性ポリマー組成物の実施態様中に存在する溶媒の量は、実施態様の特性が基板をコーティング処理するためおよび適切な厚みを有する層を提供するために選ばれた方法にふさわしいように、上述した任意の値の間を変動できる。当該特性の非限定的な例は粘度および溶媒の蒸発速度を含む。
【0080】
任意の好適な反応性希釈剤を本発明で使用することができる。好適な反応性希釈剤は、感光性ポリマー組成物および/またはこの感光性ポリマー組成物から形成された被覆層の1以上の物理的特性を改善する。ある例示的な実施態様において、この反応性希釈剤は、このエポキシドおよび構造単位VIおよびVII:
【0081】
【化9】

【0082】
【化10】

【0083】
[式中、R10はC〜C20直鎖、分枝鎖および環状アルキル、アルキレン、アリーレンおよびアルキレンアリール、アルキレンオキシド(2〜6個の炭素原子を含有する)、ポリ(アルキレンオキシド)(ここで、当該反復基のアルキレン部分は2〜6個の炭素原子を含有し、当該ポリ(アルキレンオキシド)は50〜1000の分子量を有する)、
【0084】
【化11】

【0085】
(式中、それぞれの存在するR13はC〜C20直鎖、分枝鎖または環状アルキレン、アリーレンおよびアルキレンアリールから独立して選ばれ、そしてmは1〜20の整数である)から選ばれる連結基であり;
11は、C〜C20直鎖または分枝鎖アルキルおよびアルキロールから選ばれる]
で示される化合物から選ばれる1種以上の化合物を含む。
【0086】
さらなる例示的な実施態様において、この反応性希釈剤は、フェニルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−ジメタノールシクロヘキサンジビニルエーテル、1,2−エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロピレングリコールジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビニルエーテル、および1,8−オクタンジオールビニルエーテルから選ばれる1種またはそれ以上の反応性希釈剤を含む。
【0087】
本発明の実施態様がそのような反応性希釈剤を用いる場合、そのような反応性希釈剤は、一般に、少なくとも0.5重量%から95重量%の量で存在する。当該実施態様のいくつかでは、少なくとも3重量%から、さらに別の実施態様では少なくとも7.5重量%からの下限が適切である。特に、そこから得られる感光性ポリマー組成物およびフィルムまたは層に所望の物理的特性を付与するために十分な量で存在する。また、反応性希釈剤は、感光性ポリマー組成物およびフィルム中に、感光性ポリマー組成物の95重量%までの、ある実施態様では60重量%までの、別の実施態様では30重量%までの、そしてある状況下では1重量%の少ない量で存在する。この例示的な実施態様において感光性ポリマー組成物中に存在する反応性希釈剤の量は上述した任意の値の間を変動できる。
【0088】
本発明の感光性ポリマー組成物のある実施態様では、溶媒および/または反応性希釈剤が含まれる。当該実施態様は、典型的には、周囲温度で液状であり、10センチポアズ(cps)から25,000cpsまでの範囲の溶液粘度を提供するような、ポリマー、溶媒および/または反応性希釈剤の適切な量を有する。当該溶液粘度は、一般に、Brookfield Engineering Laboratories、Middleboro,MAから入手できるBrookfield DV−E粘度計に装着した、適切に選択したスピンドルを用いて25℃で測定される。本発明の実施態様の溶液粘度は、当該組成物のいくつかの成分(そのような成分は、限定はされないが、前述したポリマー、溶剤および/または反応性希釈剤を含む)の濃度を変化させることによって、制御することができる特性であることが了解されるであろう。さらに、好適な溶媒粘度の選択は、少なくとも、基板をポリマー組成物でコーティングするために使用されるための方法および得られる層/フィルムの望まれる厚さに関連する。上述したような広範囲の溶液粘度が提供される一方で、ポリマー組成物の実施態様の特定の溶液粘度は、そのような範囲内の任意の値をとりうることが理解されるであろう。
【0089】
任意の適した接着促進剤(adhesion promoter)は本発明で使用できる。好適な接着促進剤は感光性ポリマー組成物の被覆層とコーティングされている基板との間の結合強度を高める。本発明の例示的な実施態様において、接着促進剤は3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび式V:
【0090】
【化12】

【0091】
[式中、zは0、1または2であり;Rは、メチレン、C〜C20直鎖、分枝鎖および環状アルキレン、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレンオキシドおよびポリ(アルキレンオキシド)(ここで、その反復基のアルキレン部分は2〜6個の炭素原子を含有し、そのポリ(アルキレンオキシド)は50〜1000の分子量を有する)から選ばれる連結基であり;それぞれの存在するRは、C〜C直鎖および分枝鎖アルキルから独立して選択され;そしてそれぞれの存在するR18は、HおよびC〜C直鎖および分枝鎖アルキルから選ばれる]
で表される化合物から選ばれる1種またはそれ以上の化合物を含む。
【0092】
ある実施態様において、感光性ポリマー組成物は上記の式Iによって表される少なくとも二種類の区別される型のモノマーから調製されるポリマーを含む。さらに、これらの実施態様を記述すると、当該区別されるノルボルネン型モノマーの型の一つは、例えばグリシジルメチルエーテル官能側基などの、少なくとも一つのグリシジルエーテル官能側基を有し、もう一つの区別される型は、フェネチル側基のような、少なくとも一つのアラルキル側基を有する。
【0093】
他の実施態様において、感光性ポリマー組成物は上記の式Iの少なくとも三種類の区別される型のモノマーから調製されるポリマーを含む。さらにこれらの実施態様を記述すると、第一の区別される型のノルボルネン型モノマーは少なくとも一つのグリシジルエーテル官能側基を有し、第二型は例えばフェネチル側基等の少なくとも一つのアラルキル側基を有し、そして、第三型は第一および第二型の側基とは化学的に区別されるもう一つの他の側基を有する。例えば、第三型のモノマーの側基は、上述したように、第一および第二型の側基のモノマーとは異なる原子を有しまたは原子の数が異なりまたは原子の位置が異なる。
【0094】
ある実施態様において、感光性組成物は、以下の三つのノルボルネン型モノマー、30mol%のデシルノルボルネン、40%molのフェニルエチルノルボルネンおよび30mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンと、適切な量の以下の添加剤:Rhodiaから入手できるRhodorsil(登録商標)PI2074(4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート);Lambson Group Inc.から入手できるSpeedCure(登録商標)CPTX(1−クロロ−4−プロポキシ−9H−チオキサントン);フェノチアジン(Aldrich Chemical Company);Ciba Fine Chemicalsから入手可能なIrganox(登録商標)1076酸化防止剤(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート);1,4−ジメタノールシクロヘキサンジビニルエーテルおよび3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、を含む、反応器の充填の重合反応により調製されるポリマーを含む。
【0095】
本発明のある実施態様は、基板の表面に感光性組成物の層を形成する方法に関する。当該実施態様は:基板を用意すること、層を形成するために前述の感光性ポリマー組成物で基板の表面をコーティングすること、当該層を適切な化学線で像様に露光すること、当該層の露光していない部分を除去してパターンを現像すること、およびパターン化した層または構造のパターンを表面に形成するために残った部分を硬化することを含む。
【0096】
ある実施態様について、そのコーティング処理の直前に、未処理の表面を上回って基板表面の上に形成されるポリマーフィルムの接着性を向上させるために、基板の表面をプラズマ放電に曝して、基板の表面を前処理することは有益である。シリコン基板を処理するためには酸素プラズマ処理または酸素/アルゴンプラズマ処理の両者が有効であることは発見されている一方で、非限定的な例としては電力設定300ワット、300mTorrの圧力のMarch RIE CS 1701プラズマ発生器中で、シリコンウェファー基板の表面を、酸素/アルゴンプラズマ(50:50容量%)に30秒間曝す。他の適切なガスまたは混合ガスおよび他の適切な反応器条件も適用できる。
【0097】
コーティングに適した任意の方法が、感光性ポリマー組成物で基板をコーティングするために利用される。例示的な実施態様において、好適なコーティング方法としては、限定はされないが、スピン塗布、浸漬被覆、ブラシコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、溶液キャスティング、流動層沈着(fluidised bed deposition)、押出コーティング、カーテンコーティング、メニスカスコーティング、スクリーンまたはステンシル印刷等が含まれる。本発明の例示的な実施態様において、一般に、その簡易性と現行のマイクロエレクトロニクス処理によく適合するため、スピンコーティングが前述のポリマー組成物のフィルムを形成するために使用される。
【0098】
ある実施態様では感光性ポリマーの層で基板をコーティングした後、被覆層またはフィルムから、任意の残存溶剤または他の揮発性物質の全てを実質的に除去するために、その層を随意的に一次温度に一次加熱される。有利なことに、当該一次加熱はまた、コーティング工程からもたらされる層中のいかなる応力もまた和らげるためにも作用しうる。さらに、当該加熱によって、一次加熱処理が施されない場合よりさらに耐久性を持たせるために、その層を硬化させるためにも作用しうる。当該一次加熱によって、層をさらに均一にパターン化とともに、その後の工程中における便宜的なハンドリングがもたらされる。
【0099】
当該一次加熱処理の好適な条件は、限定はされないが、当該層のいかなる酸化の進行または熱的硬化の開始を防止する一方で、任意の残存溶剤の全てを実質的に当該層から除去するために十分なものを含む。当該一次焼成条件はポリマーを含む処方の成分に一部分依存して変化する一方で、以下の例示的な条件が教示される。限定はされないが、1分未満から30分までと75℃から150℃までの適切な時間と温度がそれぞれ当該条件に含まれる。さらに、好適な一次加熱条件には、真空中、空気中または窒素、アルゴンおよびヘリウムのような不活性ガス雰囲気中での加熱処理が含まれる。
【0100】
上述した被覆層を任意の好適な化学線の光源を用いて露光できる。非限定的な例では、化学線は200nm〜700nm、ある場合には300nm〜500nm、そして他の場合には360nm〜440nmの波長の紫外線または可視光線である。さらなる非限定的な例では、当該化学線の露光用線量は、50mJ/cm〜3,000mJ/cmである。
【0101】
本発明のある実施態様では、感光性ポリマー組成物の層により基板をコーティングした後、(もし採用していたら)随意的な一次加熱処理した後に、その層の選択された部分だけがその化学線に露光されるように化学線源と層の間にフォトマスクが設置される。化学線に露光した層のそれらの部分において、光学的に触媒を形成する物質が、ポリマー主鎖のいくつかの反復単位中に取り込まれたエポキシ側基に架橋を開始し、ここで、当該架橋によって露光部分内のポリマー物質は一般的に溶媒に溶けない状態に変換される。当該層の露光されていない部分は、当初の一般的に溶液に可溶性な状態のままに残され、ゆえに溶剤(一般的に現像液と呼ばれる)を使用してその中のポリマー物質を取り除き、基板上に配置したパターン化層またはパターン化構造を形成することができる。
【0102】
像様に露光処理した後に、本発明の方法は二次加熱を組み込んでいる。当該二次加熱は、感光性層の露光部分内のエポキシ側基の架橋の完結を促進し、ここで、二次加熱による温度上昇により、露光により形成される酸性種の流動性が増加し、当該酸が残された架橋していないエポキシ基を見つけ出し反応して架橋を完結させることができる。露光部分の架橋の完結により、露光部分と露光されていない部分との間の溶解性の差が最大となることが理解されるであろう。したがって、パターンの境界性は向上する。本発明のある実施態様において、二次加熱は75℃〜140℃を超えない温度で1分〜20分の間の時間実施される。他の実施態様においては、二次加熱処理は85℃〜110℃の温度で4分〜10分の間の時間実施される。さらには、二次加熱処理は典型的には(例えば、窒素、アルゴンまたはヘリウムのような)不活性ガス雰囲気中で実施される。
【0103】
本発明のある実施態様において、二次加熱処理の後、基板上に感光性層を形成する方法は、その中のパターンまたはその構造を現像することを含む。好適な溶媒現像液のいかなるものも、当該好適な現像液が当該層の(例えば、架橋結合していない)可溶部分を取り除くことがものであれば、使用されうる。当該溶媒現像液には、限定はされないが、トルエン、メシチレン、キシレン、シクロペンタノンおよび2−ヘプタノン(MAK)が含まれる。
【0104】
さらに、前述した構造のパターン化層を現像するためのいかなる好適な方法も使用されうる。当該好適な方法には、限定はされないが、スプレー、パドル、および/または浸漬現像技術が含まれる。スプレー現像は、架橋結合していない(露光してない)ポリマーを基板から除去するのに十分な時間、現像溶媒の噴霧の連続流または分散流をポリマー被覆基板にスプレーすることを含む。このポリマー被覆基板に、アルコールのような適切な溶媒を用いて最終的なすすぎ洗いを実施することができる。パドルおよび浸漬技術には、パターン化被膜の全体にわたって現像溶媒をパドルするか、またはパターン化被覆基板を現像溶媒中に浸漬して架橋結合していないポリマーを溶解し次いでこの現像処理された基板を追加した現像溶媒または他の別な適切な溶媒(例えば、アルコール)中ですすぎ洗いすることが含まれる。上述の現像技術の全てにおいて、現像した被覆基盤は、残留溶媒および溶質を取り除くため高速で回転させることができる。
【0105】
上述した現像処理後、本発明の実施態様は硬化される。ある実施態様においては、2工程の硬化サイクルが利用される。例えば、一次硬化サイクルにおいて、現像処理されたポリマー組成物は、より短いおよび/またはより長い時間も適切となりうるが、20〜120分の時間、150℃〜200℃までの一次硬化温度に加熱される。当該一次硬化サイクルは現像体から、任意の残存する溶剤を除去し、架橋結合可能な成分の架橋を継続し、感光された形態および/または構造のための初期側壁プロフィールを付与するために使用される。その後の二次硬化処理サイクルにおいて、本発明の実施態様は一次硬化温度よりも高い二次硬化温度で加熱される。そのような二次硬化温度は概して、200℃〜290℃の温度であり、ここで、加熱はここでもより短いおよび/またはより長い時間も適切となりうるが、20〜120分の間の時間続けられる。この二次硬化サイクルの効果は、架橋結合可能な成分の架橋結合を実質的に完結させ、そうして得られたフィルムおよび/または構造の望まれる機械的、物理的そして化学的特性(限定はされないが、例えば下にある基板への付着性、低吸湿特性、低モデュラスおよびある化学薬品への耐性および二次側壁プロフィールなど)が達成されることを保証すると考えられる。当該感光した実施態様について、概して垂直(90°)またはそれに近い感光した形態の初期側壁プロフィールは、二次硬化処理により、さらに勾配がついた、垂直より小さな、初期側壁プロフィールより小さな二次側壁プロフィールに変化すると了解される。当該二次プロフィールは、有利には60°から85°までである。
【0106】
他の実施態様において、感光したポリマー組成物は単一硬化サイクルを使用して硬化される。すなわち、当該実施態様は200℃〜290℃の温度に50〜180分間の時間加熱される。そのような単一硬化サイクルは上述の望まれる特性を提供し、さらに垂直より小さな、概して、60°から85°までの初期側壁プロフィールを提供すために有効であることが示されている。硬化処理サイクルを論ずる際に提示される時間と温度は広範囲のものであり、当業者には単なる指標を意味するものであることが理解されるだろう。したがって、提示される広範囲内の任意および全ての時間および温度は、本発明の範囲および本質の内部である。
【0107】
感光性層の選択された部分が化学線に露光され、続いてパターン化され硬化されるとき、その層は基板の表面の少なくとも一部をおおうフィルムまたは複数の構造の形状にある。一般に、フィルムおよび任意の得られる構造が目的の厚さを有することは有益である。本発明の実施態様の工程は変化しうるものであり、また一般にこの工程よって、基板に配したポリマー組成物の最初に適用された厚さより最終の厚さは小さくなるので、厚さの典型的な変化を測定するテストをすることによって、最初の厚さを測定することを目的の最終の厚さを得る手段とすることを可能にすることが発見された。そのようなテストを、例えば、全行程を通して、基板上に配したポリマー組成物の層について行うことは当業者にとって十分可能なことであることが了解される。
【0108】
目的の最終の厚さは、任意の好適な厚さとすることができる。換言すれば、フィルムが使用される特定のマイクロエレクトロニクス、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスにおいて適切な任意の厚さである。本発明の実施態様は、一般的に、0.05ミクロン(μ)〜100μの最終のフィルムの厚さを有する。他の実施態様では当該厚さは0.5μ〜50μ、さらに別の実施態様では1μ〜20μである。最後に、得られる最終のフィルムの厚さは、提示された値の任意の範囲、または当該範囲の任意の組み合わせの中で変動しうると了解される。
【0109】
種々の硬化工程の結果として、および種々の硬化工程における累積効果の結果として、架橋反応は実質的に完結し、得られたパターン化フィルムおよび/または構造は、使用される実際の組成物および組成物の実際の工程を特徴付けるガラス転移温度(Tg)を有する。本発明のある実施態様においては、硬化処理の後、Tgは一般的に275℃以上である。
【0110】
本発明のポリマー組成物は、像様に露光およびそれに続くパターンの現像により、およびそれらを通じて感光性であるが、ある実施態様では、非画像フィルムを提供することが目的となりうる。換言すれば、その中に形成されたパターンまたはそこから形成された構造を持たない層またはフィルムである。当該非画像の実施態様は、像様の露光が”ブランケット露光(blanket exposure)”(フィルムの全ての部分が化学線に露光される)として実施されるか、またフィルムが当該化学線に全く露光されない場合、上述した画像現像工程を使用することにより提供されうる。当該ブランケット露光が採用されている場合は、上述の現像工程のない上述の画像提供工程によって、完全に硬化したフィルムが得られるだろう。化学線に全く露光が行われない場合には、フィルムの硬化はその後熱処理のみによる。したがって、光学的に触媒を生成する適切な物質、すなわち、熱的にも触媒を生成する物質はポリマー組成物に含まれ、そして物質を完全に硬化するために、もし必要であるならば、硬化温度および時間は調節される。好適なサーマルアシッドジェネレーターには、上述のオニウム塩、ハロゲン含有化合物およびスルホネートが含まれ、好適な熱的硬化剤またはサーマルアシッドジェネレーターには、限定はされないが、イミダゾール、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム塩、無水物、ポリスルフィド、ポリメルカプタン、フェノール、カルボン酸、ポリアミド、四級ホスホニウム塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。結局、非画像フィルムが調整される場合、当該フィルムは任意の適切な写真平版イメージングおよびパターン化工程を使用して化ターン化されうることが了解される。
【0111】
コーティングされ、パターン化され、現像され、そして硬化された本発明のフィルムは、とりわけ、低い誘電定数、低い吸湿量、靭性、溶媒に対するひび割れ耐性、および接着性などの優れた特性を有する。これらの特性の少なくともいくつかを有するポリマー膜は、高密度パッケージング、配線、ミクロビアのような微細な機構が要求される場合のマイクロエレクトロニクスデバイスの製作に有用である。
【0112】
本発明の感光性ポリマー組成物から形成された層およびこれらと組み合わされる基板とともに本明細書で記述した方法を用いて作製された硬化およびパターン化された層、フィルムおよび構造は、形成される当該フィルム、層および構造の高温安定性および/または他の特性から利益を受ける種々のオプトエレクトロニクスデバイスと同様に、電気および/または電子デバイスの構成要素として有用である。ある例示的な実施態様において、電気および/または電子デバイスは、半導体デバイスである。他の例示の態様において、電気または電子デバイスは、限定はされないが、マイクロプロセッサーのような論理チップ、受動デバイス、メモリー用チップ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)チップ、マイクロオプトエレクトロメカニカルシステム(MOEMS)チップ、および特定用途向け集積回路(ASIC)チップから選ばれる。さらに他の例示的な実施態様には、例えば、ディスプレーデバイス、発光ダイオードおよびプラズマデバイスのようなオプトエレクトロニックデバイスが含まれる
以下の実施例は説明の目的のためのみに提供され、本発明のポリマーについての実施態様は、広い範囲の用途の特定の特性と特質を付与するように調整できる。
【0113】
実施例
ポリマー合成実施例
実施例1
フェネチルノルボルネン、グリシジルメチルエーテルノルボルネンおよびデシルノルボルネンから得られるフェネチル、グリシジルメチルエーテルおよびデシル反復単位を含むポリマーを以下のようにして調製した:110℃で18時間乾燥し、次いで窒素パージしたグローブボックス内に移した反応容器に、エチルアセテート(230g)、シクロヘキサン(230g)、フェネチルノルボルネン(14.17g、0.071mol);グリシジルメチルエーテルノルボルネン(14.0g、0.100mol)およびデシルノルボルネン(39.50g、0.168mol)を加えた。乾燥N流をこの溶液に30分間通すことによって、この反応媒体から酸素を取り除いた。パージが完了した後、8mlのトルエン中に溶解した1.50g(3.10mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを反応器中に注入した。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで過酢酸溶液(ニッケル触媒に基づく50mol当量、150mmol、130mlの脱イオン水で希釈された57mlの氷酢酸を、およそ100mlの脱イオン水で希釈された115mlの30重量%過酸化水素と混ぜ合わせて調製した)で処理し、さらに18時間撹拌した。
【0114】
撹拌を停止し放置し水層と溶媒層とを分離させた。その後水層を除去し、残った溶媒層に水のアリコートを加えることにより500mlの蒸留水で3回洗浄し、20分間撹拌し、放置し層に分離し、次いで水層を除去した。その後洗浄した溶媒層に過剰のアセトンを加え、ポリマーを析出させ、濾過により回収し、そして真空炉中60℃で一晩乾燥した。乾燥後、66.1gの乾燥ポリマー(転化率92%)を得た。ポリマーの分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=105,138、Mn=46,439、多分散性(PDI)は2.26であることを確認した。ポリマーの組成はH−NMRを用いて測定し、20.2mol%のフェネチルノルボルネン;29.1mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび50.7mol%のデシルノルボルネン:が取り込まれていることを確認した。
【0115】
実施例2
エチルアセテート(200g)、シクロヘキサン(200g)、フェネチルノルボルネン(5.06g、0.025mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(14.0g、0.077mol)およびデシルノルボルネン(33.6g、0.152mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、8mlのトルエン中に1.45g(3.00mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。上記の実施例1と同様に、反応を周囲温度で6時間撹拌し、次いで適切な過酢酸溶液と反応させ、洗浄した。上の実施例1と同様に、ポリマーを沈澱させ、回収した。乾燥後、49.2gの乾燥ポリマー(転化率90%)を得た。ポリマーの分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=84,631、Mn=33,762、多分散性インデックス(PDI)=2.51であることを確認した。ポリマーの組成はH−NMRを用いて測定し、10.2mol%のフェネチルノルボルネン;31.5mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび58.3mol%のデシルノルボルネン:が結合していることを確認した。
【0116】
実施例3
エチルアセテート(200g)、シクロヘキサン(200g)、フェネチルノルボルネン(2.36g、0.012mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(12.63g、0.070mol)およびデシルノルボルネン(35.6g、0.152mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、7mlのトルエン中に1.33g(2.74mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。上記の実施例1と同様に、反応を周囲温度で6時間撹拌し、次いで適切な過酢酸溶液と反応させ、洗浄した。上記の実施例1と同様に、ポリマーを沈澱させ、回収した。乾燥後、44.8gの乾燥ポリマー(転化率89%)を得た。ポリマーの分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=92,452、Mn=37,392、多分散性インデックス(PDI)=2.47であることを確認した。ポリマーの組成はH−NMRを用いて測定し、6.5mol%のフェネチルノルボルネン;30.1mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび63.4mol%のデシルノルボルネン:が結合していることがわかった。
【0117】
実施例4
エチルアセテート(290g)、シクロヘキサン(290g)、フェネチルノルボルネン(71.85g、0.364mol)およびグリシジルメチルエーテルノルボルネン(28.15g、0.156mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、18.0mlのトルエン中に3.15g(6.51mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを溶解し、反応器中に注入した。反応を周囲温度で18時間撹拌し、次いで過酢酸溶液(ニッケル触媒に基づく50mol当量、150mmol、約200mlの脱イオン水で希釈された100mlの氷酢酸を、約200mlの脱イオン水で希釈された200mlの30重量%過酸化水素と混ぜ合わせて調製した)で処理し、さらに18時間撹拌した。
【0118】
撹拌を停止して放置し、水層と溶媒層とを分離させた。次いで水層を除去し、残った溶媒層に水のアリコートを加えることにより500mlの水で3回洗浄し、20分間撹拌し、放置して層に分離し、次いで水層を除去した。洗浄した溶媒層に過剰のメタノールを加え、コポリマーを析出させ、濾過により回収し、そして真空炉中60℃で一晩乾燥した。乾燥後、93.0gの乾燥コポリマー(転化率93%)を得た。ポリマーの分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=61,937、Mn=29,053、多分散性インデックス(PDI)が2.13であることを確認した。コポリマーの組成はH−NMRを用いて測定し、67.1mol%のフェネチルノルボルネン;32.9mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネン:が取り込まれていることがわかった。
【0119】
実施例5
もう一つの方法において、300ガロンPFA内張ステンレススチール反応容器に、25.4kgのフェネチルノルボルネン、17.0kgのグリシジルメチルエーテルノルボルネン、22.8kgのデシルノルボルネン、261.0kgのシクロヘキサンおよび261.0kgのエチルアセテートを加え、31℃に暖めた。撹拌を開始後、29.48kgの無水トルエン中に溶解した1.228kgのビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル溶液を加え、発熱を伴う反応で反応容器の温度が45℃まで上昇し、その温度を5時間維持した。反応混合物を、33kgの酢酸、62.3kgの30%過酸化水素および71.8kgの脱イオン水の溶液で撹拌しながら処理し、その後、混合物を放置し水層と溶媒層とに分離させた。水層は取り除き、反応混合物の温度を50℃に維持しながら溶媒相は水とエタノール混合物(129.3kgの水と55.4kgのエタノール)で3回洗浄した。次いで得られたポリマーリッチ溶媒層を未反応のモノマーを除去するためにアルコールの混合物で処理し、4℃まで冷却し、上部のアルコール層を取り除いた。次いで生成物は溶媒交換で2−ヘプタノン(MAK)中の溶液として回収され、真空蒸留によっておよそ50%ポリマーに濃縮した。61.5kgのポリマー(94%理論収量)が得られた。H−NMR分析法により、ポリマーの組成が、41mol%のフェネチルノルボルネン、29mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネンおよび30mol%のデシルノルボルネンが取り込まれたことが示された。分子量はMn=33,137、Mw=70,697、多分散性インデックス(PDI)=2.13であった
【0120】
比較例
エチルアセテート(917g)、シクロヘキサン(917g)、デシルノルボルネン(192g、0.82mol)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(62g、0.35mol)を用いたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。パージが完了した後、9.36g(19.5mmol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを15mlのトルエン中に溶解し、反応器中に注入した。実施例1と同様に、反応を周囲温度で5時間撹拌し、次いで適切な過酢酸溶液と反応させ、洗浄した。撹拌を止め、放置し水層と溶媒層とに分離させた。次いで、実施例1と同様に、ポリマーを析出させ、メタノール中に沈澱させて回収した。乾燥後、243gの乾燥ポリマー(転化率96%)を回収した。ポリマーの分子量はポリスチレン標準を用いてGPCにより測定し、Mw=115,366、Mn=47,424、多分散性インデックス(PDI)=2.43であることを確認した。ポリマーの組成はH−NMRを用いて測定し、70mol%のデシルノルボルネン;および30mol%のグリシジルメチルエーテルノルボルネン:が取り込まれていることを確認した。
【0121】
処方および製造方法実施例
実施例A
褐色広口瓶に101.0gの実施例5で調製したポリマー溶液と50gの2−ヘプタノン(MAK)とを加えた。固形ポリマーが完全に溶解するまで溶液を混合し、次いで0.45ミクロンフィルターで濾過し微粒子を取り除いた。その溶液に2.00g(1.97mmol)のRhodorsil(登録商標)2074光開始剤、0.06g(1.97mmol)のSpeedCure(登録商標)CPTX(Lambson Group Ltd.)、0.137g(0.688mmol)フェノチアジン(Aldrich)および2.657gのIrganox1076(5.00mmol)を加えた。その溶液を18時間混合し、光活性化合物を完全に分散させた。
【0122】
5インチのオキシ窒化ケイ素ウェファーを4.0gのこのポリマー溶液でスピンコーティングする。得られたフィルムを熱板上で120℃で4分間一次焼成する。このフィルムは300mJ/cmの紫外線(365nm)に像様に露光することによりパターン化された。ポリマーフィルム中の得られたパターンをこのウエハーを窒素炉内において90℃で5分間二次加熱して強化する。このフィルムの露光していない部位を溶解するために、このフィルムにシクロペンタノンを120秒間スプレーし、このパターンをスピン現像機で現像する。次いで、ぬれたフィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で30秒間濯ぎ、窒素雰囲気下において250℃で60分間硬化する。
【0123】
実施例B
褐色広口瓶に191.25gの実施例1で調製したポリマー溶液と191gの2−ヘプタノン(MAK)とを加えた。固形ポリマーが完全に溶解するまで溶液を混合し、次いで0.45ミクロンフィルターで濾過し微粒子を取り除いた。その溶液に3.825g(3.77mmol)のRhodorsil(登録商標)2074光開始剤、1.148g(3.77mmol)のSpeedcure(登録商標)CTPX(Lambson Group Ltd.)、0.262g(1.32mmol)フェノチアジン(Aldrich)および3.73g(7.03mmol)のIrganox1076(Ciba)を加えた。その溶液を18時間混合し、光活性化合物を完全に分散させる。
【0124】
5インチの被覆されたオキシ窒化ケイ素ウェファーを4.0gの前記ポリマー溶液でスピンコーティングし、実施例Aで記載したとおり処理し画像化したポリマー層を形成する。
【0125】
実施例C
褐色広口瓶に37.5gの実施例1で調製したポリマー溶液と37.5gの2−ヘプタノン(MAK)とを加えた。固形ポリマーが完全に溶解するまで溶液を混合し、次いで0.45ミクロンフィルターで濾過し微粒子を取り除いた。その溶液に0.9840g(0.97mmol)のRhodorsil(登録商標)2074光開始剤、0.297g(0.97mmol)のSpeedcure(登録商標)CPTX(Lambson Group Ltd.)、0.070g(0.35mmol)のフェノチアジン(Aldrich)、0.73g(1.38mmol)のIrganox1076(Ciba Fine Chemicals)、2.46g(10.4mmol)の3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich)および1.25g(6.36mmol)の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを加えた。その溶液を18時間混合し、光活性化合物を完全に分散させる。
【0126】
5インチの被覆されたオキシ窒化ケイ素ウェファーを4.0gの前記ポリマー溶液でスピンコーティングし、実施例Aで記載したとおり処理し画像化したポリマー層を形成する。
【0127】
実施例D
褐色広口瓶に33.2gの実施例4で調製したポリマー物質と47.6gの2−ヘプタノン(MAK)とを加えた。固形ポリマーが完全に溶解するまで溶液を混合し、次いで0.45ミクロンフィルターで濾過し微粒子を取り除いた。その溶液に0.664g(0.65mmol)のRhodorsil(登録商標)2074光開始剤、0.203g(0.668mmol)のSpeedcure(登録商標)CPTX(Lambson Group Ltd.)、0.051g(0.256mmol)フェノチアジン(Aldrich)、0.499gのIrganox1076(0.939mmol)、1.667g(7.2mmol)の3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich)および0.831g(4.23mmol)の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを加えた。その溶液を18時間混合し、光活性化合物を完全に分散させる。
【0128】
5インチの被覆されたオキシ窒化ケイ素ウェファーを4.0gの前記ポリマー溶液でスピンコーティングし、一次焼成温度が110℃で、露光強度が400mJ/cmであることを除いて、実施例Aで記載したとおり処理し画像化したポリマー層を形成する。
【0129】
mol%フェニルエチルノルボルネン(PENB)の関数としての側壁角度の決定
5インチの被覆されたオキシ窒化ケイ素ウェファー4個を、4.0gの実施例1,4,5および比較例で調製したポリマーを含むポリマー組成物でそれぞれスピンコーティングした。各ウエハーのコーティングは、像様の露光のパターンを幅100ミクロンのラインとスペースとして、実施例Dと同様に処理した。
【0130】
パターン化されたラインとペースの形状の断面図を見るためにそれぞれのウエハーを破砕した。パターン化されたフィルムの走査電子顕微鏡(SEM)のイメージを記録し、それぞれのウエハーについて側壁角度を測定した。側壁角度測定結果を表1と図1とに示す。
【0131】
【表1】

【0132】
ここで図1を参照すると、感光性ポリマー組成物の層をパターン化することによって形成される特性の側壁角度は、ポリマー中のフェネチルノルボルネンから得られる反復単位の含有量を変化させることにより変えることができることがわかる。したがって、他のものが全て等しいとき、当該含有量を、例えば、20.2mol%から41mol%まで増加させると、角度は82度から74度までの約8度減少する。有利なことには、(1)側壁角度がそのように減少することよって、当該技術分野の当業者に知られているコンタクトホールまたはバイアスは容易に塞がれ、(2)処方の変化により側壁角度を制御することは、工程条件または方法体系を変更することなく目的の側壁角度を得ることを可能にする。
【0133】
さて、本発明のポリマー実施態様は、当該ポリマーを形成する付随的方法と同様に、従来技術、例えば、日本特許第3588498号の教示を上回る顕著な利益を与える。したがって、その日本特許はポリマーが形成された後、フリーラジカルグラフト反応によってポリマーにエポキシ基の官能基性を付与しうることを教示し、既に議論したグラフト反応は予測不可能な結果を与えると思われるので、既に実証された側壁角度を制御することは、もし不可能でないとしても困難であろう。さらに、エポキシ官能性を付加するための当該グラフト反応をフェネチルノルボルネンモノマーから得られる反復単位を有するポリマーにおいて試みた場合、エポキシ基官能性の多くの部分が、各反復単位の多環式部分のそれぞれの中の多数の異なる三級炭素部位に加えて、当該反復単位の二級ベンジル炭素に付加すると思われる。さらに、当該エポキシ基で官能化されたフェネチルノルボルネンから得られた反復単位は、図1に実証されたように本発明の実施態様の利益を提供するとは思われない。
【0134】
上述した発明の実施態様は、ノルボルネン型モノマーから得られる二つ以上の区別される型の反復単位を有する主鎖を含むビニル付加ポリマーを対象とし、当該モノマーは、式I:
【0135】
【化13】

【0136】
[式中、Xは、−CH−、−CH−CH−および−O−から選択され;mは0〜5の整数であり;存在するそれぞれのR、R、RおよびRは以下の基の1つ:
H、C〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニルおよびアルキニル;またはO、NおよびSiから選択されるヘテロ原子を1以上含有するC〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルケニルおよびアルキニル;または式II:
【0137】
【化14】

【0138】
(式中、Aは、メチレン、C〜C直鎖、分枝鎖および環状アルキレンから選択される連結基であり、R23およびR24は、H、メチル、およびエチルからそれぞれ独立して選択され;R、R、RおよびRの2つの任意の組み合わせは、C〜C25直鎖、分枝鎖および環状アルキレンおよびアルキレンアリールから選択される連結基によって一緒になって連結される)
により表されるグリシジルエーテル含有基
から独立に選択される]
により表されるモノマーから独立に選択され;ただし式Iで表される少なくとも2の区別される型のモノマーのうちの一つが少なくとも一つのグリシジルエーテル側基を有し、少なくとも二つの区別される型のモノマーの他方が少なくとの1のアラルキル側基を有する。
【0139】
第一型の反復単位について、Xは−CH−であり、mは0であり、R、R、RおよびRの少なくとも一つは式IIのグリシジルエーテル含有基であり(式中、Aはメチレンであり、そしてR23およびR24はそれぞれHである)、他のR、R、RおよびRはHである前記ポリマー。
【0140】
第二型の反復単位について、Xは−CH−であり、mは0であり、R、R、RおよびRの少なくとも一つはフェネチル基であり、他のR、R、RおよびRはHである、前記ポリマー。
【0141】
第一型の反復単位について、Xは−CH−であり、mは0であり、R、R、R、およびRの少なくとも一つは式IIのグリシジルエーテル含有基であり(式中、Aはメチレンであり、そしてR23およびR24はそれぞれHである)、他のR、R、RおよびRはHであり、そして第二型のモノマーについて、R、R、RおよびRの少なくとも一つはフェネチル基であり、他のR、R、R、およびRはHである前記ポリマー。
【0142】
Xは−CH−であり、mは0であり、R、R、RおよびRの少なくとも一つはn−デシル基であり、他のR、R、RおよびRはHである、少なくとも二つ以上の区別される型の反復単位の第三型の反復単位をさらに含有する前記ポリマー。
【0143】
第一型のモノマーの量が、ビニル付加ポリマーの反復単位が形成されるモノマーの総mol%を基準として10〜50mol%の範囲である、前記ポリマー。
ビニル付加ポリマーの反復単位が形成されるモノマーの総mol%を基準として、第一型のモノマーの量が25〜35mol%であり、第二型のモノマーの量が65〜75mol%である、前記ポリマー。
【0144】
Xは−CH−であり、mは0であり、第一型のモノマーについては、R、R、RおよびRの少なくとも一つは式IIのグリシジルエーテル含有基であり(式中、Aはメチレンであり、そしてR23およびR24はそれぞれHである)、他のR、R、RおよびRはHであり;第二型のモノマーについて、R、R、RおよびRの少なくとも一つはフェネチル基であり、他のR、R、RおよびRはHであり;そして第三型のモノマーについて、R、R、RおよびRの少なくとも一つはn−デシル基であり、他のR、R、RおよびRはHである、前記ポリマー。
【0145】
ビニル付加ポリマーの反復単位が形成されるモノマーの総mol%に基づいて、第一型のモノマーの量が10〜50mol%の範囲であり、第二型のモノマーの量が5〜60mol%であり、第三型のモノマーの量が10〜50mol%である、前記ポリマー。
【0146】
ビニル付加ポリマーの反復単位が形成されるモノマーの総mol%に基づいて、第一型のモノマーの量が25〜35mol%であり、第二型のモノマーの量が35〜45mol%であり、第三型のモノマーの量が45〜55mol%である、前記ポリマー。
【0147】
ポリ(スチレン)標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより測定されるそのポリマーの重量平均分子量が、10,000〜50,000の範囲である、前記ポリマー。
そのポリマーが、少なくとも275℃のガラス転移温度を有する、前記ポリマー。
【0148】
そのポリマーが、2重量%未満の吸湿量および3.9未満の誘電定数を有する、前記ポリマー。
そのポリマーが、0.1GPa〜3GPaのモデュラスを有する、前記ポリマー。
【0149】
炭化水素溶媒、芳香族溶媒、脂環式環状エーテル、環状エーテル、アセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミド、脂肪族モノビニルエーテル、脂肪族マルチビニルエーテル、脂環式モノビニルエーテル、脂環式マルチビニルエーテル、芳香族モノビニルエーテル、芳香族マルチビニルエーテル、環状カーボネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒をさらに含む、前記ポリマー。
【0150】
当該溶媒が、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、アニソール、テルペノイド、シクロヘキセンオキシド、α−ピネンオキシド、2,2’−[メチレンビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−オキシラン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビス(4−ビニルオキシフェニル)メタン、シクロヘキサノンからなる群から選択される、前記ポリマー
この発明の実施態様は、複数の反復単位を含むビニル付加ポリマーを対象とするとも言え、該複数は第一、第二および第三型の反復単位を含み、第一型の反復単位はグリシジルメチルエーテルノルボルネンから得られ、第二型の反復単位はフェネチルノルボルネンから得られ、そして第三型の反復単位はn−デシルノルボルネンから得られる。
【0151】
第一型の反復単位が複数の反復単位の25〜35%で存在し、第二型の反復単位が複数の反復単位の35〜45%で存在し、そして第三型の反復単位が複数の反復単位の25〜35%で存在する、上記のビニル付加ポリマー。
【0152】
この発明は、上述したポリマーおよび光学的に触媒を生成する物質を含む感光性ポリマー組成物を含む。
光学的に触媒を生成する物質がフォトアシッドジェネレーターである、前記感光性ポリマー組成物。
【0153】
フォトアシッドジェネレーターが、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、およびスルホナートから選ばれる1以上の化合物を含む、前記感光性ポリマー組成物。
フォトアシッドジェネレーターは、4,4’−ジtert−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート;4,4’,4’’−トリス(tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフレート;ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;トリアリールスルホニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−ボレート;トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;4,4’−ジtert−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリス(tert−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびその混合物からなる群より選択される、前記感光性ポリマー組成物。
【0154】
フォトアシッドジェネレーターが、組成物の0.1〜10重量%までの量で存在する、前記感光性ポリマー組成物。
一以上の増感剤成分、一以上の溶媒、一以上の触媒スカベンジャー、一以上の接着促進剤、一以上の酸化防止剤、一以上の難燃剤、一以上の安定剤、一以上の反応性希釈剤および一以上の可塑剤からなる群より選択される一以上の成分をさらに含む、前記感光性ポリマー組成物。
【0155】
その増感剤成分が、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンツピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン−9−オン、およびその混合物からなる群より選択される、前記感光性ポリマー組成物。
【0156】
その増感剤成分が、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン、およびおよびその混合物からなる群より選択される、前記感光性ポリマー組成物。
【0157】
触媒スカベンジャーがアッシドスカベンジャーである、前記感光性ポリマー組成物。
アッシドスカベンジャー成分が一以上の二級アミンおよび/または三級アミンから選択される、前記感光性ポリマー組成物。
【0158】
アッシドスカベンジャーが、ピリジン、フェノチアジン、トリ(n−プロピルアミン)、トリエチルアミン、全ての異性体型のルチジンおよびその混合物からなる群より選択される、前記感光性ポリマー組成物。
【0159】
さらに、本発明の実施態様は、上述した感光性ポリマー組成物から形成される層を含む電気または電子デバイスを含む。
デバイスが、半導体デバイスまたは半導体デバイスパッケージである、前記電気または電子デバイス。
【0160】
デバイスが、論理チップ、受動デバイス、メモリー用チップ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)チップ、マイクロオプトエレクトロメカニカルシステム(MOEMS)チップ、および特定用途向け集積回路(ASIC)チップから選ばれる、前記電気または電子デバイス。
【0161】
恒久誘電性物質として用いられる上述した感光性ポリマー組成物から形成される層を有する、前記電気または電子デバイス。
境界層として用いられる上述した感光性ポリマー組成物から形成される層を有する、前記電気または電子デバイス。
【0162】
応力緩和層として用いられる上述したような感光性ポリマー組成物から形成される層を有する、前記電気または電子デバイス。
前記発明の実施態様は、基板の表面に感光性組成物の層を形成する方法をさらに含み、当該方法は:基板を用意し;そして基板の少なくとも一面の一部分を光学的に触媒を形成する物質および上述したビニル付加ポリマーを含む組成物でコーティング処理し;その被覆層を化学線に露光処理し;そして化学線に露光させた層を硬化処理することを含む。
【0163】
さらに硬化層中のパターンの境界を画定することを含む、前記方法。
硬化層中のパターンの画定が硬化層から複数の構造を形成することを含む、前記方法。
化学線が、200nm〜700nmの波長の紫外線または可視光線である、前記方法。
【0164】
露光用化学線の線量が50mJ/cm〜3,000mJ/cmである、前記方法。
その露光が像様の露光である、前記方法。
その硬化が、30〜1800分の時間に150℃〜290℃の温度で加熱処理することを含む、前記方法。
【0165】
その層が0.1ミクロン〜100ミクロンのフィルムの厚さを有する、前記方法。
硬化の前に露光層の現像をさらに含む、前記方法。
現像で2−ヘプタノン、メシチレンまたはトルエンから選択される一以上の現像溶媒を使用する、前記方法。
【0166】
また、この発明の一部分は基板上に誘電体構造を形成する方法であり、その方法は:基板を用意し;その基板をプラズマ処理し;そしてプラズマ処理した基板の少なくとも一面の一部分を、ビニル付加ポリマー、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;1−クロロ−4−プロポキシ−9H−チオキサントン;フェノチアジン、1,4−ジメタノールシクロヘキサンジビニルエーテル、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランおよび3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメートを含むビニル付加ポリマー組成物の層でコーティングし;当該層を一次加熱処理し;当該層を化学線で像様に露光し、像様露光によって、当該層の露光した部分と当該層の露光しない部分を形成し;化学線で露光した層を二次加熱し;化学線で露光した層を現像溶液により処理し、当該処理により該露光していない部分を取り除き、該露光処理した部分は、取り除かず;および該露光処理した部分を、硬化処理することを含む。
【0167】
基板のプラズマ処理が、基板を酸素プラズマに300mTorrの圧力で30秒間露光することを含む、前記方法。
基板のプラズマ処理が、基板を酸素:アルゴンプラズマ(1:1ガス容積比)に300mTorrの圧力で30秒間露光処理すること含む、前記方法。
【0168】
層の一次加熱処理が、その基板を100℃〜130℃に1分未満〜20分の間の時間加熱することを含む、前記方法。
像様の露光処理が、365nmの波長に50mJ/cm〜3,000mJ/cmのエネルギーを有する化学線に当該層の選択された部分を露光することを含む、前記方法。
【0169】
化学線に露光させた層の二次加熱が、そのような層を1〜10分の間の時間90℃〜120℃まで加熱することを含む、前記方法。
化学線で露光した層をシクペンタノン、MAKまたは他の現像溶媒で1〜10分の間の時間撹拌した浴槽式浸漬により現像し、次いでイソプロピルアルコール、PGMEAまたは他の溶媒中で浴槽式浸漬によりすすぎ洗いすることを含む、前記方法。
【0170】
化学線に露光させた層を現像溶液で処理する工程が、シクロペンタノン、MAKまたは他の現像溶媒で0.1〜10分の間の時間、スプレー現像し、次いでイソプロピルアルコール、PGMEAまたは他の溶媒でスプレーリンスすることより層を現像することを含む、前記方法。
【0171】
像様に露光した層の露光部分を硬化することが、その層を窒素雰囲気中で20〜120分の間の時間に160℃〜200℃までの温度で三次加熱すること;およびその層を窒素雰囲気中で20〜120分の間の時間で200℃〜290℃までの温度で四次加熱することを含む、前記方法。
【0172】
像様に露光した層の露光部分を硬化することが、その層を窒素雰囲気中で20〜120分の間の時間に160℃〜290℃の温度で加熱することによる一工程で硬化を含む、前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1はポリマー内のフェネチルノルボルネン誘導反復単位のmol%を関数とする、本発明の実施例による具体例としての感光性ポリマーフィルムの側壁角度のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Xは−CH−、−CH−CH−および−O−から選択され;そしてmは0〜5の整数であり;
第一型のモノマーについて、存在するR、R、R、およびRの少なくとも一つが、式II:
【化2】

(式中、Aは、メチレン、C〜C直鎖、分枝鎖、および環状アルキレンから選択される連結基であり、そしてR23およびR24は、H、メチル、およびエチルからそれぞれ独立して選択される)
で表されるグリシジルエーテル含有基であり;
第二型のモノマーについて、存在するR、R、R、およびRの少なくとも一つが、アラルキル側基であり;そして
、R、R、およびRの残りは、H、C〜C25直鎖、分枝鎖、および環状アルキル、アリール、アラルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択される側基であり、ここで、いずれの側基も、O、NおよびSiから選ばれる1以上のヘテロ原子を含んでよい]
により表される第一型のモノマーおよび第二型のモノマーからそれぞれ得られる第一型の反復単位および第二型の反復単位を含む主鎖を含むビニル付加ポリマー。
【請求項2】
式中、R、R、R、およびRの少なくとも一つはn−デシル基であり、そしてR、R、R、およびRの残りはHである式Iにより表される第三型のモノマーより得られる第三型の反復単位をさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
複数の反復単位を含むビニル付加ポリマーであって、該複数は第一、第二および第三型の反復単位を含み、第一型の反復単位はグリシジルメチルエーテルノルボルネンから得られ、第二型の反復単位はフェネチルノルボルネンから得られ、そして第三型の反復単位はn−デシルノルボルネンから得られる前記ポリマー;および
触媒を光学的に形成する物質;
を含む感光性組成物。
【請求項4】
基板上に感光性層を形成する方法であって、基板を用意し、そして基板の少なくとも一面の一部分を請求項3に記載の組成物でコーティングすることを含む前記方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法により基板上に感光性層を形成し;
当該層を一次加熱し;
当該層を化学線に像様に露光させ、当該像様露光により、当該層の露光した部分と当該層の露光しない部分を形成し;
化学線に露光した層を二次加熱し;
化学線に露光した層を現像溶液により処理し、当該処理により該露光していない部分は取り除かれ、該露光した部分は取り除かれず;および
該露光した部分を硬化すること
を含む誘電体構造を基板上に形成する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法で形成された誘電体構造を含む電気または電子デバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2006−22310(P2006−22310A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−136207(P2005−136207)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【特許番号】特許第3721190号(P3721190)
【特許公報発行日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(303043461)プロメラス, エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】