説明

低濃度廃水処理システムおよびプロセス

低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の高流束吸着性物質処理システムを含む低濃度廃水処理システムが提供される。高流束吸着性物質処理システムは、新しい、循環された、またはその両方の吸着性物質と、低濃度廃水を混合し、低減されたレベルの汚染物質を有する液体排出物を移送するための1つまたは複数のユニット操作を含む。吸着された汚染物質をもつ吸着性物質は、生物学的酸化などの生物学的反応が起こる低流束吸着性物質生物学再生反応器中で再生され、廃水中の有機汚染物質は、一般に二酸化炭素と水とに代謝される。過剰なバイオマスは、吸着性物質から除去され、このように再生された吸着性物質を、高流束吸着性物質処理システムに循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月8日付で出願された米国仮特許出願第61/224,011号に基づく優先権を主張し、それらの出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、廃水処理のためのシステムおよび方法に関し、詳細には、低濃度廃水流を処理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
家庭廃水および産業廃水の効果的な処理は、生活の質の向上および清浄水の保全に関する極めて重要な側面である。約半世紀前までは標準的な慣習であった、廃水を河川、湖、および海洋などの水源に単に排出することに関連する問題は明らかであり、生物学廃棄物および化学廃棄物は、感染症の拡大および発癌性化学物質への曝露を含めて、すべての生命体に対する危険を引き起こす。したがって、廃水処理プロセスは、一般家庭の住民からの汚水を清浄する遍在する自治体の廃水処理施設から、様々な産業用途からの廃水中の特定の汚染物質に対処すべき専用の産業廃水処理プロセスに至るシステムへと発展した。
【0004】
廃水処理施設は、一般に、予備処理、2次処理、および3次処理を含む複数の処理段階を使用する。生物学的酸化は、廃水汚染物質の大部分を除去するために使用される、よく知られる2次処理ステップである。一般的には、生物学的酸化および/または他の2次処理プロセスからの排出物は、汚染物質を除去するための3次処理などのさらなる処理を必要とする複数のレベルの汚染物質を依然として含有している。
【0005】
ある特定の処理すべき産業排水流および汚水流には、生物学的抵抗性および生物学的阻害性の有機化合物および無機化合物が存在する。そのような生物学的抵抗性および生物学的阻害性の化合物の処理に対処するために、様々な試みがなされてきた。ある特定のタイプの既知の処理は、生物学的抵抗性および生物学的阻害性の有機化合物を吸着し、その後に除去するための粉末活性炭の使用を含む。
【0006】
操作コストの高いある特定の廃水処理プロセスの1つの部分には、曝気または他の2次プロセスによって処理された廃水から、比較的低濃度の汚染物質を除去することが含まれる。様々なシステムが吸着およびろ過などの3次処理に採用されてきたが、従来のプロセスに関連する制限および不利益なしに、より効率的かつより低コストの3次処理が必要である。
【発明の概要】
【0007】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明は、廃水を処理するシステムおよび方法に関する。
【0008】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明は、廃水を処理するための方法であって、
汚染物質を廃水から吸着性物質上に吸収するために十分な時間にわたって、廃水、ある特定の実施形態では低濃度廃水を、混合ゾーン中で吸着性物質と混合することと、
廃水と吸着性物質との混合物から廃水の大部分を分離し、除去することと、
その上に吸着された汚染物質を有する吸着性物質および廃水のわずかな部分を生物学的再生反応器に流すことと、
生物学的再生反応器中の微生物が、吸着された汚染物質の少なくとも一部分に対して生物学的に作用できるようにするための十分な時間期間にわたって、生物学的再生反応器中で吸着性物質および廃水を懸濁状態に保つことと、
生物学的再生反応器から生物学的に処理された廃水を排出することと、
再生吸着性物質を混合ゾーンに循環させることと、
を含む方法に関する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明は、廃水、ある特定の実施形態では低濃度廃水の処理のためのシステムに関する。本システムは、廃水入口、吸着性物質入口、および排出出口を有する混合ゾーンを含む。本システムは、混合ゾーンの排出出口と連通するスラリー入口、処理済み水出口、および汚染吸着性物質出口を有する吸着性物質沈殿/液体分離ゾーンをさらに含む。本システムはまた、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーンの汚染吸着性物質出口と連通する汚染吸着性物質入口を含む生物学的再生反応器、生物学的処理済み水出口、および混合ゾーンの吸着性物質入口と連通する再生吸着性物質出口を有する吸着性物質生物学的再生反応器システムを含む。
【0010】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明は、廃水、ある特定の実施形態では低濃度廃水の処理のためのシステムに関する。本システムは、高流束吸着システムと、低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムとを備える。 高流束吸着システムは、廃水を受けるための入口、廃水に接触し、廃水から汚染物質を吸着するための吸着性物質源、吸着性物質が接触した受けた廃水の大部分を排出するための液体出口、および吸着された汚染物質を有する吸着性物質および受けた廃水のわずかな部分を排出するための吸着性物質出口を含む。低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムは、 微生物が、吸着された有機汚染物質を分解できるようにするための十分な時間期間にわたって、吸着された汚染物質を有する吸着性物質を懸濁状態に維持するためのものである。吸着性物質生物学的再生反応器システムは、 高流束吸着システムの吸着性物質出口から、吸着された汚染物質をもつ吸着性物質を受けるための入口、混合液出口、および高流束吸着システムの吸着性物質源と連通する吸着性物質出口を有する生物学的再生反応器を含む。
【0011】
本発明の装置、システムおよび方法について説明し、それに関するすべての添付の図面を参照して、本発明を以下に詳細に説明する。各図は、縮尺通りに描かれたものではなく、様々な図面に図示される同様の各構成要素は、類似する符号で表されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】吸着性物質が懸濁している1つまたは複数のゾーンを含む生物学的反応器を使用する膜生物学的反応器システムの概略図である。
【図2】本発明において吸着性物質を再生および/または再活性化するために使用される、膜操作システムの上流にある生物学的反応器中で吸着性物質を使用する、廃水の処理のためのシステムの一実施形態の概略図である。
【図3】混合ゾーンと、生物学的再生反応器および膜操作システムを有する低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の吸着性物質沈殿/液体移送ゾーンとを有する高流束吸着性物質処理システムの一実施形態を含む廃水処理システムの概略図である。
【図4】混合ゾーンと、低流束吸着性物質膜生物学的再生反応器と一体の吸着性物質沈殿/液体分離ゾーンの別の実施形態とを有する高流束吸着性物質処理システムを含む廃水処理システムの概略図である。
【図5】低流束吸着性物質生物学的再生反応器の別の実施形態と一体の高流束吸着性物質処理システムを含む廃水処理システム概略図である。
【図6】低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の高流束吸着性物質処理システムのさらなる実施形態を含む廃水処理システムの概略図である。
【図7】1次固形物の照射を含む本発明の1つの実施形態による廃水を処理するためのプロセスフローの概略図である。
【図8】1次固形物の照射を含む本発明の別の実施形態による廃水の処理のためのプロセスフローの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、「生物学的抵抗性化合物」は、微生物と接触したときに生物学的に分解することが難しい種類の、廃水中の化学的酸素要求量(「COD」)化合物(有機および/または無機)を指す。「生物学的抵抗性化合物」は、穏やかな抵抗性をもつものから高い抵抗性をもつものまで、様々な程度の抵抗性の性質を有し得る。
【0014】
「生物学的阻害性化合物」は、生分解プロセスを阻害するような、廃水中の化合物(有機および/または無機)を指す。
【0015】
「生物学的不安定」とは、人間および動物の排泄物、食品廃棄物などの分解が容易な単純有機物、ならびにアンモニア系化合物およびリン系化合物などの無機物を意味する。
【0016】
「COD」または「化学的酸素要求量」は、有機物の酸化、ならびにアンモニアおよび亜硝酸塩などの無機化学物質の酸化を引き起こす化学反応中に、酸素を消費する廃棄物の能力の測度を指す。COD測度は、生物学的不安定化合物、生物学的阻害性化合物、および生物学的抵抗性化合物を含む。
【0017】
「BOD」は、5日間にわたって生物学的に分解可能な生物学的酸素要求量化合物を指す。
【0018】
「混合液浮遊物質」または「MLSS」とは、処理される廃水中に存在する、溶解した微生物または他の物質と懸濁した微生物または他の物質の両方を意味する。「混合液有機性浮遊物質」または「MLVSS」とは、MLSS中の活性微生物を意味し、「混合液」とは、廃水、MLSSおよびMLVSSとの混合物を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「吸着材」または「吸着性物質」とは、粒状活性炭(処理すべき廃水中に存在することが分かっているあらかじめ規定された化学種、金属または他の化合物に対する親和性を提供するように処理された粒状活性炭を含む)、粒状鉄系化合物(たとえば、酸化鉄複合材料)、合成樹脂、および粒状アルミノケイ酸複合材料のうちの1つまたは複数を意味する。
【0020】
システムの1つのセクションから別のセクションに、たとえば、懸濁した吸着性物質を含む生物学的反応器から膜操作システムに流れる排出物中の吸着性物質の存在について記載しているコンテキストにおける「実質的にない」または「実質的に防止される」とは、膜操作システムに流れる吸着性物質の量を、その中での膜ろ過プロセスの必要な有効性に悪影響を与えない量に制限することを指す。たとえば、ある特定の実施形態では、「実質的にない」または「実質的に防止される」とは、生物学的反応器あるいは1つまたは複数の生物学的反応ゾーン内の所与のシステム中で使用すべき吸着性物質のあらかじめ規定された量の少なくとも体積の約80%を、さらなる実施形態では少なくとも体積の約90%を、さらに別の実施形態では少なくとも体積の約95%を、さらに別の実施形態では少なくとも体積の約99%を保持することを指す。ただし、当業者には、本明細書の教示に基づいて、これらの割合が単に例示的なものにすぎず、ファクタに応じて変動することができ、ファクタは、使用される(1つまたは複数の)膜のタイプ、それらの耐摩耗性、必要とされる排出水質、所与のシステム中で使用すべき吸着性物質のあらかじめ規定された量、および他のファクタを含むが、それらに限定されるものではないことを理解されたい。
【0021】
本発明は、廃水処理システムおよび方法を対象とする。本明細書で使用される、たとえば、流入流101、201、301、401、501、601または701としての「廃水」とは、生物分解性材料、無機物、バクテリアによって分解できる不安定有機化合物、生物学的抵抗性化合物、および/または生物学的阻害性化合物で汚染され、廃水処理システム中に流れ込む、地表水、地下水、ならびに産業排水源、農業排水源、および水道排水源からの廃水流などの処理されるあらゆる水を規定する。
【0022】
産業排水源および水道排水源からの廃水は、一般に、生物学的固形物と、生物学的阻害性および抵抗性の有機物を含む不活性材料および有機物とを含む。生物学的阻害性および抵抗性の有機物の例には、高分子電解質処理化学物質などの合成有機化学物質が含まれる。他の生物学的阻害性および抵抗性の有機物は、ポリ塩化ビフェニル類、多環芳香族炭化水素類、ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン、およびポリ塩素化ジベンゾフラン類を含む。環境ホルモン化合物も、有機体中のホルモンシステムに影響を及ぼすことがあり、環境中で発見される生物学的阻害性および抵抗性の有機物のクラスである。環境ホルモン化合物の例には、油を除去するために使用されるノニルフェノールなどのアルキルフェノール類、ならびに17−b−エストラジオール、エストロン、テストステロン、エチニルエストラジオールなどの天然ホルモンおよび避妊薬中に見られる合成ステロイドが含まれる。
【0023】
処理すべき廃水の他の例には、高強度廃水、低強度廃水、および埋立地からの浸出水が含まれる。また、水を処理してウィルスを除去することができる。廃水中の汚染の他の例として、難燃剤、溶剤、安定剤、ポリ塩化ビフェニル類(PCB)、ダイオキシン、フラン類、多核芳香族(PNA)、医薬品、石油、石油化学製品、石油化学製品副産物、セルロース、パルプおよび製紙工業の廃棄物、リン、リン化合物および誘導体、ならびに化学肥料、殺虫剤、および除草剤から抽出される、またはそれらを作製するために使用されるような農薬が含まれる。
【0024】
また、産業排水源および水道排水源からの廃水は、水処理プロセス中に生じ、後で除去するのが難しい微量成分化合物を含有し得る。水処理プロセス中に生じる微量成分の例には、特許権が設定されたカチオン樹脂およびアニオン樹脂から放出され得るN−ニトロソジメチルアミン(NDMA)などのニトロソアミン類が含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「低濃度廃水」は、活性汚泥曝気プロセスまたは膜生物学的反応器などの従来の2次処理システム中において生物学的処理システムを一般にサポートする流入フィード濃度よりも低い、低濃度の生物学的に不安定な(すなわち、分解が容易な)有機化合物を有する廃水を指す。さらに、本明細書で使用される場合、「低濃度廃水」は、廃水の強度があまりにも低い、あるいはその廃水が、生物学的分解が容易でない化合物を含有するために従来の処理の生物学的システム中の生物学的酸化が可能でない流入物を含む。また、「低濃度廃水」は、バイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを含み得、それらの化合物は、いずれも、生物学的には酸化できず、生物学的酸化システムに一般に利用可能な滞留時間よりもはるかに長い滞留時間が必要となる。
【0026】
さらに、本明細書で使用する場合、「上流廃水処理を施された排出物」とは、一般に、1つまたは複数の従来の、あるいは任意の後に開発される廃水処理システムからの排出物を意味する。「上流廃水処理を施された排出物」は、予備処理プロセスおよび/または1次処理プロセス、ならびに2次処理プロセス、たとえば、活性汚泥曝気プロセス、または膜生物学的反応器を実施された廃水から導出することができ、一般に、低濃度の生物学的に不安定な(すなわち、分解が容易な)有機化合物を有し、その濃度は、一般には、活性汚泥曝気プロセスまたは膜生物学的反応器などの、ほとんどの従来の2次処理システムにおける生物学的反応をサポートするのに十分ではなない。さらに、本発明のある特定の実施形態では、「上流廃水処理を施された排出物」は、1つまたは複数の従来の、あるいは任意の後に開発される3次処理を実施された排出物であることも企図される。たとえば、ある特定の廃水処理施設では、3次処理システムからの排出物は、義務づけられた排出レベルを超える汚染物質レベルを含むことがあり、本発明のシステムおよび方法によって、そのような排出物を処理することができる。さらなる実施形態では、「上流廃水処理を施された排出物」は、沈殿装置、除濁装置または他の固形物分離デバイスのうちの1つまたは複数など、実質的にすべての固形物が除去された1次分離システムから導出することができる。さらなる実施形態では、「上流廃水処理を施された排出物」は、1次分離システムに続いて照射が実施された廃水を含むことができる。
【0027】
一般に、廃水処理施設は、湖、河川、および水流などの水域中に安全に放出できるように、水を清浄するために複数の処理ステージを使用する。現在、多くの汚水処理プラントは、機械的手段を使用して大きな物体を除去する予備処理フェーズ(たとえば、バースクリーン)と、砂、粗砂、および石が沈殿する砂または粗砂チャネルを含む。また、いくつかの処理システムは、スキミングのためにある特定の脂肪、グリース、および油を表面に浮かせ、より重い固形物を底に沈殿させ、その後、その固形物を好気性または嫌気性ダイジェスタ内で処理して、バイオマスを分解し、生物学的固形物のレベルを低減する予備ステージを含む。
【0028】
予備処理および/または1次処理後、2次生物学的活性汚泥処理フェーズに廃水を送る。廃水の生物学的処理は広く実用化されている。廃水は、一般に、廃棄活性汚泥とともに処理され、生物学的固形物には、処理タンク内のバクテリアが作用する。活性汚泥プロセスは好気性生物学的処理を含み、好気性生物学的処理は、一般に、曝気タンクに続いて除濁/沈殿タンクにおいて行われる。適切な混合液浮遊物質濃度を維持するために、沈殿した汚泥を曝気タンクに再び循環させて、汚染物質を分解する。過剰なバイオソリッド、たとえば、汚泥の廃棄のために利用できるいくつかの代替例には、焼却、埋立地における廃棄、または毒性成分がない場合には肥料としての使用が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
曝気タンクにおいて、空気または純酸素などの酸素含有ガスを混合液に加える。一般に、酸素は、廃水フィード内に溶解している有機化合物、またはその中に懸濁している有機化合物を生物学的に酸化するために、バクテリアによって使用される。生物学的酸化は、一般に、有機汚染物質、ならびにアンモニアおよびリン化合物などのいくつかの無機化合物を廃水から除去するために利用できる最も低コストの酸化方法であり、生物学的に処理可能な有機化合物で汚染された廃水のための最も広く使用されている処理システムである。バイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物を含有する廃水は、従来の単純な生物学的廃水処理システムでは適切に処理することができない。これらの化合物には、特定の処理タンク内における水理学滞留時間中に、バクテリアのみが作用し得る。水理学滞留時間は、一般に、十分な量の生物学的阻害性化合物および/または生物学的抵抗性化合物の生物学的酸化には不十分であるので、これらの難分解化合物のうちの何らかの部分は適切に処理または破壊することができず、排出物または過剰な残留汚泥のいずれかの排出の前には、変化しないまたは部分的にのみ処理されて処理システムを通過することができる傾向がある。
【0030】
曝気タンクから排出された混合液は、一般に、除濁/沈殿タンクに入り、そこで、凝縮された混合液浮遊物質を含む汚泥は、重力によって沈殿する。沈殿したバイオマスは、離れた廃棄場所に廃棄、すなわち、排出され、または曝気タンクに循環して戻される。ただし、廃水および経済的な必要性に基づいて、いくつかの生物学的酸化システムは、異なる処理方法を使用して排出廃水から固形物を取り除く。除濁/沈殿タンクは、膜操作システム、あるいは溶解/誘導空気浮揚デバイスなどのその他のユニット操作と置換することができる。除濁/沈殿タンク、オペレーティングシステム、または溶解/誘導空気浮揚デバイスから排出された液体は、排出されるか、または排出される前にさらなる処理を施されるかのいずれかである。除濁/分離デバイスから除去される固形物は、システム中のバクテリアを適切な濃度に保つために、循環活性汚泥として曝気タンクに戻される。この戻された活性汚泥のなんらかの部分は、混合液中のバクテリアの濃度を制御するために、このリサイクルラインから周期的に除去され、廃棄活性汚泥として知られる。この廃棄活性汚泥は、次いで、あらかじめ規定された方法で廃棄される。
【0031】
従来の産業生物学的廃水処理プラント技術における1つの最近の進歩は、混合液に粉末活性炭微粒子を加えることを含む。粉末活性炭を利用する生物学的処理システムにおいて、有機物は、活性炭上に吸着され、汚泥滞留時間と同様の水理学滞留時間の間、処理タンクにとどまり、したがって、ある特定の生物学的阻害性または生物学的抵抗性の化合物の除去を向上させる結果となる吸着処理と延長された生物学的処理の両方を施すことができる。これらのプロセスでは、ある特定の有機化合物および無機化合物は、粉末活性炭微粒子の表面に物理的に吸着される。次いで、これらの化合物の少なくとも特定の一部分が生物学的に分解され、たとえば、システム中に存在する延長された時間中に曝気プロセスにおいて酸化され、残りの部分は、活性炭を用いて吸着され、システムから廃棄されるときに排出される。
【0032】
粉末活性炭は、生物学的阻害性および生物学的抵抗性の化合物を吸着し、それにより、これらの汚染物質の濃度が低下した排出物を提供することができるので、従来の生物学的処理プラントで使用されてきた。混合液に粉末活性炭を含むことにより、多くの操作上の利点が提供される。カーボンは、汚染物質のさらなる除去、およびアップセット状態に対する許容度の向上を含む、懸濁媒体生物学的処理システムの利点を提供する。さらに、カーボンにより、生物学的阻害性および生物学的抵抗性の化合物をカーボンの表面に吸着し、従来の生物学的処理システムよりも著しく長い周期の間、生物に曝すことがきるようになり、それにより、固定フィルムシステムと同様の利点を提供することができるようなる。また、カーボンにより、生物学的阻害性有機材を分解する能力がさらに高いバクテリアの特定の菌株が発生できるようになる。カーボンが、循環活性汚泥とともに、曝気タンクに継続的に循環するという事実、すなわち、汚泥滞留時間は、バクテリアが生物学的処理システムの水理学滞留時間よりも長い時間周期の間、カーボンの表面に吸着された生物学的阻害性有機化合物を分解するように作用することができることを意味する。また、このプロセスの結果、カーボンが生物学的に再生され、カーボンは、単純な充填床カーボンろ過システム中で除去することができる量に比べて非常に多くの生物学的阻害性および生物学的抵抗性の化合物を除去することができるようになる。単純な充填床カーボンろ過システムはまた、カーボンの吸着力が衰弱すると、頻繁に交換が必要となったり、カーボンの物理的再生に費用がかかったりすることになる。また、混合液中のカーボンは、ある特定の化合物を吸着し、したがって、従来の生物学的酸化によって処理できない、あるいはバイオ分解に対して全体として耐性がある化合物がない、あるいはそのような化合物の濃度が著しく低い排出物を提供することができる。既知の粉末活性炭システムの1つの例は、商標「PACT(登録商標)」としてSiemens Water Technologiesにより提供されている。
【0033】
しかしながら、有機化合物および無機化合物中の生物学的成長も吸着も、粉末形態の活性炭で生じるので、過剰な固形物の廃棄が必要である。さらに、粉末活性炭は、バイオソリッドの除去とともに処理プロセスから排出され、したがって、継続的に交換しなければならない。PACT(登録商標)システム中における1次汚染物質除去モードは、粉末活性炭に吸着された有機物の生物学的再生の2次機能を用いた吸着であり、粉末活性炭は、生物学的再生が1次処理メカニズムとなるのに十分な時間期間にわたって、システム中には保持されない。
【0034】
汚水はますます、膜生物学的反応器技術を使用して処理されており、それにより、排出物品質が改善され、物理フットプリントを小さくし(単位面積当たり、より多くの廃水を処理することができる)、アップセット状態に対する許容度が高まり、処理が難しい廃水を処理する能力が高まり、様々な他の操作上の利点が提供される。たとえば、高い全溶解固形物を含有する廃水は、従来の除濁/沈殿タンクにおける沈殿問題を経験することがあり、溶解/誘導空気浮揚デバイスなどの非常に操作が難しい固形物分離デバイス、または何らかの他の固形物除去システムを必要とする。しかしながら、膜生物学的反応器は、除濁/沈殿タンクシステムによりもたらされる沈殿問題はなくすが、除濁装置を使用する従来のシステムにおいて生じない膜汚染および起泡の問題をしばしば提示する。膜汚染は、混合液浮遊物質中の生物学的生命体の分解、油などの有機物の蓄積、または無機材により生じるスケーリングにより生じる細胞外高分子化合物によって起こり得る。
【0035】
さらに、現時点では、粉末活性炭添加を伴う膜生物学的反応器は商業的に利用されていない。ろ過に膜を利用する地表水処理システム中において、粉末活性炭がいくらか使用されてきた。しかしながら、膜および粉末活性炭を使用するこれらの地表水処理システムには、カーボンが膜を摩耗する、カーボンが膜を永続的に詰める、および/または汚染するという問題があることが報告されている。
【0036】
排出または再利用の前に処理されなければならない産業廃水は、しばしば、乳化炭化水素を含有し得る油性廃水を含む。油性廃水は、鋼およびアルミニウム産業、化学処理産業、自動車産業、洗濯業、ならびに原油生産および石油精製産業を含むさまざまな産業に由来し得る。上述のように、一定量の非乳化油および他の炭化水素は、浮遊する油を上部からすくい取る1次処理プロセスにおいて除去することができる。しかしなら、生物学的な2次廃水プロセスは、一般に、廃水から残留油を、一般に、一部の遊離油が存在するもの、溶解し乳化した油を取り除くために採用される。1次処理後に残留している典型的な炭化水素は、潤滑油、切削油、タール、グリース、原油、ディーゼル油、ガソリン、灯油、ジェット燃料などを含み得る。これらの炭化水素は、一般に、水を環境中に排出する、または水を産業プロセスにおいて再利用する前に除去されなければならない。政府規則および環境配慮に加えて、残留する炭化水素の効率的な除去はまた、適切に処理された廃水を多くの産業プロセスで利用することができ、原水処理コストをなくし、規則上の排出懸念を低減することができるので有効である。
【0037】
処理されるべき他のタイプの廃水には、医薬品、様々な物品、農業用製品(たとえば、化学肥料、殺虫剤、除草剤)の製造、および紙加工などの他の産業プロセスからの汚染された処理水、ならびに医療廃水が含まれる。
【0038】
油性/産業廃水の処理における膜生物学的反応器の商業的な展開は、膜の油および化学的汚染と関連する保守問題を主な理由にして、発展に非常に時間がかかった。混合液に粉末活性炭が加えられた膜生物学的反応器内で処理された産業/油性廃水の試験は、粉末活性炭を含む従来の生物学的廃水処理システムで観察されるものと同じ処理利点を示した。また、膜生物学的反応器を使用する利点も達成されることを留意されたい。粉末活性炭を加えた膜生物学的反応器と粉末活性炭を加えていない膜生物学的反応器を並べて比較すると、粉末活性炭が含まれる膜生物学的反応器は、活性炭が含まれていない膜生物学的反応器と比較して処理利点があることが実証される。さらに、カーボンが添加されていない膜生物学的反応器は、溶解された有機物および細胞外高分子化合物が膜を汚染するので、操作が大変難しかった。しかしながら、さらに、試験により、粉末活性炭の添加により、非常に実用的な生物学的廃水処理システムが提供されるが、カーボンは、相当な量の膜の摩耗および不可逆汚染という悪影響を有することが実証された。この摩耗および不可逆汚染は著しいので、膜の推定寿命が著しく短くなり、膜の清浄が頻繁になるので、このシステムが操作に非常にコストがかかる結果となるには十分である。
【0039】
廃水の従来の生物学的酸化は、一般に、廃水汚染物質の大部分を除去するために使用される2次処理ステップであるが、これは、2次処理ステップが、廃水中の有機化合物を処理するために利用可能な、コストが最も低い酸化方法であるからである。さらに、程度は低いが、生物学的システムは、また、酸化(たとえば、アンモニア、リン)し、バイオマスに接着することができる、あるいはバイオマスによって吸着することができる無機汚染物質の一部として、何らかの無機化合物を除去することができる。バイオマスによって吸着される場合、最終的に廃棄物活性汚泥とともに排出される。
【0040】
生物学的酸化プロセスおよび他の2次処理における進歩および開発にもかかわらず、多くの2次処理システムは、生物学的酸化だけでは廃水フィードを適切に処理することができない。2次処理を施された廃水廃棄物の有機物および/または無機物汚染物資は、規制制限に準拠して排出または再利用するために十分に低レベルではないことがある。したがって、3次処理ステップがしばしば必要となる。
【0041】
従来の3次処理ステップは、しばしば、活性炭などの吸着性材料を含む1つまたは複数の吸着槽を通る2次処理を施された排出物の通過を含み、一般には「ポリシング」として知られている。他の3次処理プロセスは、2次処理廃棄物が、1つまたは複数のフィルタ、コアレッサ、UV酸化、化学的酸化、他の3次処理システム、あるいはこれらのシステムの組合せを通過することを含むことができる。しかしながら、これらの3次処理システムは、しばしば、操業するのには大型となり、および/または高価となる。従来の3次処理システムの課題となるサイズおよび費用に関する重要な理由は、比較的低濃度の汚染物質を有する2次処理廃棄物全体、またはその大部分にこれらの処理を施すことである。
【0042】
本発明のシステムおよび方法は、既存の3次処理システムの欠点をなくし、ある特定の実施形態では、特に、処理すべき廃水が低濃度廃水であるときに、2次または3次処理システムとして使用することができるシステムを提供する。
【0043】
本発明は、低水流を有する生物学的処理システム中において、流入流量と同様の流量、すなわち、高流束を有する廃水流を処理するための改良された廃水処理プロセスおよびシステムを対象とする。これは、高流束中の汚染物質を吸着性物質上に吸着し、次いで、懸濁媒体膜生物学的再生反応器システム中の吸着性物質を生物学的に再生および/または再活性化することによって達成される。システムは、生物学的に不安定な化合物が低レベルであるので、従来の生物学的廃水処理には特に好適ではない低濃度廃水の処理に特に有用である。
【0044】
ある特定の実施形態では、低汚染濃度廃水のための廃水処理プロセスおよびシステムは、3次処理プロセスとして有用あり、2次処理および/または他の上流処理を施された排出物の大部分は、高流束吸着性物質処理にさらされ、吸着性物質に吸着された比較的高いレベルの汚染物質を有するわずかな部分は、吸着性物質を再生するために、低流束吸着性生物学的再生処理システムにかけられる。
【0045】
本発明の廃水の処理のためのシステムおよび方法は、低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の高流束吸着性物質処理システムを含む処理システムを包含する。一般に、高流束吸着性物質処理システムは、低濃度廃水、あるいはバイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを含有する他の廃水を吸着性物質と混合し、汚染物質の濃度が低減された液体廃棄物を移送するための1つまたは複数のユニット操作を含む。
【0046】
低濃度廃水からの汚染物質を表面に、および/または有孔壁の表面に吸着させた吸着性物質は、低流束吸着性物質生物学的再生反応器へと流され、そこで、生物学的微生物は、有機物とある特定の無機汚染物質を分解し、新しい吸着材として再利用できるように、吸着性物質にこれらの低濃度の化合物を提供する。生物学的反応器が、好気性微生物をサポートするための酸素源を有する曝気生物学的反応器である特定の実施形態では、生物学的反応は生物学的酸化を含み、廃水中の有機汚染物質は、一般に、二酸化炭素と水とに代謝される。過剰なバイオマスが吸着性物質から除去され、再生された吸着性物質は、高流束吸着性物質処理システムへと循環される。代替的には、たとえば、吸着性物質に吸着されるべき化合物が、嫌気性反応器中でより容易に分解される実施形態では、低流束吸着性物質生物学的反応器は、嫌気性生物学的再生反応器システムとしてもよい。
【0047】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明は、本明細書に参照により組み込まれるPCT公開第WO/09085252号に記載されるように、粒状活性炭曝気反応器に続いて、吸着性物質が膜操作システムに入ることを実質的に防止する膜操作システムなど、懸濁媒体膜生物学反応器システムを含むシステムを採用する。
【0048】
1つの好適な実施形態では、本発明は、吸着性物質を低濃度廃水と混合するステップと、吸着性物質を沈殿させるステップと、吸着性物質が接触する水を移送する、さもなくば除去するステップと、生物学的再生反応器中において、吸着された汚染物質を有する吸着性物質を処理するステップと、膜操作システムにおいて、吸着性物質が実質的にない混合液浮遊物質および混合液有機性浮遊物質を含む、生物学的反応器からの混合液を処理するステップと、過剰なバイオマスを吸着性物質から除去するステップと、高流束吸着性物質処理システムにおいて吸着性物質と低濃度廃水を混合するステップに吸着性物質を循環させるステップとを含む3次処理プロセスを提供する。好都合なことに、移送された上澄液は、低濃度廃水の大部分を含む。したがって、従来技術のプロセスにおいてあらかじめ上流処理を施された低濃度廃水廃棄物の総体積のわずかな部分のみを処理するために、生物学的再生反応器および膜操作システムが採用される。それにより、特に、2次処理ゾーンから排出された廃水のポリッシングのために一般に使用される粒状活性炭吸着槽などの従来の3次処理システムと比較すると、低濃度廃水のためのコスト効果的な処理が提供される。これらのシステムは、一般に、温風再生またはスチーム再生などの多くのエネルギーが必要な再生プロセスを用いて吸着性物質を再生する。
【0049】
本発明の低濃度廃水処理システムは、低濃度の有機化合物を吸着するように配列された1つまたは複数の容器中に、ある特定の好ましい実施形態では粒状活性炭である吸着性物質を含む。吸着された有機物は、続いて、粒状活性炭フィルタにおける典型的な水理学的滞留時間よりもはるかに長い時間期間にわたって、低流束吸着性物質生物学的反応器中の生物学的微生物にさらされる。本発明の低濃度廃水処理システムおよびプロセスは、上流廃水処理を施された排出物からこれらの有機化合物を濃縮する。したがって、3次処理システムとして採用すると、本発明の低濃度廃水処理システムおよびプロセスにより、有機汚染物質は従来の2次処理システムの上流廃水処理の流量に基づいて通常達成できるより長い時間期間にわたって、バクテリアに曝されることができるようになる。したがって、生物学的反応、たとえば、微生物が好気性バクテリアである実施形態では生物学的酸化の時間が、かなり長くなる。ポリッシングフィルタ中で粒状活性炭を再生するために一般に使用される多くのエネルギーを必要とするシステムではなく、生物学的再生の使用は、はるかにコスト効果の高いシステムである。
【0050】
1つまたは複数の実施形態によると、本発明の低濃度廃水処理システムは、低濃度の有機化合物を吸着するように配列された1つまたは複数の容器中に、ある特定の好ましい実施形態では粒状活性炭である吸着性物質を含む。本発明の低濃度廃水処理システムおよびプロセスは、上流廃水処理を施された排出物からこれらの有機化合物を濃縮する。したがって、3次処理システムとして採用すると、本発明の低濃度廃水処理システムおよびプロセスにより、従来の3次処理システム、たとえば、カーボンポリッシングシステムにおける上流廃水処理の流量に基づいて通常達成できる時間期間よりも長い時間期間にわたって、有機物をバクテリアにさらすことができるようになる。したがって、生物学的反応、たとえば、微生物が好気性バクテリアである実施形態では生物学的酸化にかかる時間は、流入流全体を処理する生物学的反応器中で達成できる時間よりも、かなり長くなる。
【0051】
さらに、1つまたは複数の実施形態によると、本発明の低濃度廃水処理システムおよびプロセスは、低濃度廃水、たとえば、2次処理システムからのフルフロー低濃度廃水流から、汚染物質を吸着するために、粒状活性炭などの吸着性物質を使用し、吸着された汚染物質を有する吸着性物質を、本明細書に参照により組み込まれる、同一出願人による同時継続中のPCT出願第PCT/US10/38644号と、同じく本明細書に参照により組み込まれるPCT公開第WO/09085252号とに記載された膜生物学的反応システムと同様の構成を有する比較的小さな膜生物学的反応器システムに輸送する。吸着性物質に吸着された有機化合物は、懸濁媒体膜生物学反応器システム中で生物学的に処理され、したがって、上流廃水処理システムからの廃水流と有機物装填の全体を処理する必要がなくなる。懸濁媒体膜生物学反応器システムが好気性システムである実施形態では、バイオマスには、空気拡散器および/または他のソースからの空気または酸素を使用することによって、生物学的酸化のために必要とされる酸素が供給される。懸濁媒体膜生物学反応器システムが嫌気性生物学的反応器である実施形態では、システムは、化合物を嫌気的に分解するために必要とされる条件下で操作される。したがって、比較的小さい膜生物学的反応器システムは、上流廃水処理にさらされる高流束の排出物流中に低濃度で存在する有機化合物を処理することができる。
【0052】
さらに、本発明のある特定の実施形態は、1次プロセスおよび/または2次プロセスを含む1つまたは複数の上流廃水処理プロセスからの排出物を処理するための、3次システムおよびプロセスとして記載されているが、当業者には、たとえば、従来の反応器では生物を効果的にはサポートしない、低濃度の有機物を有するある特定のプロセスから直接、廃水排出物を処理するために、本発明のシステムおよび方法を採用することができることが理解されよう。
【0053】
図1および図2は、低濃度廃水を処理するための、具体的には、汚染物質をその中に吸着した吸着性物質を高流束吸着ステップにおいて再生および/または再活性化するための、本発明のシステムと一体であることが好ましい懸濁媒体膜生物学反応器システムの図である。PCT出願第PCT/US10/38644号およびPCT公開第WO/09085252号に記載されたこれらのシステムは、膜操作システムの上流にある生物学的反応器システム中における、粒状活性炭などの吸着性物質の使用を提供する。具体的には、システムは、吸着性物質が膜操作システムに流れることを実質的に防止し、それにより、その中における膜の摩耗、汚染、またはダメージを防止する分離サブシステムを含む。
【0054】
ここで図1を参照すると、膜操作システム104の上流にある生物学的反応器システム102を含む廃水処理システム100が概略的に示されている。ある特定の実施形態では、生物学的反応器システム102は、単一の生物学的反応器容器を含む。さらなる実施形態では、生物学的反応器システム102は、複数の生物学的反応器容器と、別々のセクションに分けられた1つの生物学的反応器容器、または、一部または全部が別々のセクションに分けられた複数の生物学的反応器容器を含む。個々の反応器容器または分離されたセクションは、本明細書では、まとめて生物学的反応ゾーンと呼ばれる。懸濁媒体膜生物学的反応器システムを使用する廃水処理操作中、微生物を伴う吸着性物質は、生物学的反応ゾーンのすべて、または生物学的反応ゾーンの総数のサブセット中で懸濁状態に維持される。膜操作システム104は、本明細書に記載される分離サブシステムのうちの1つまたは複数を使用して、吸着性物質が実質的にない状態に維持される。流入廃水流106は、1次処理システム、予備スクリーニングシステムから、あるいは、あらかじめ処理されていない廃水の直接流として導入される。さらなる実施形態では、流入廃水流106は、あらかじめ処理された廃水、たとえば、1つまたは複数の上流にある生物学的反応器からの排出物であり得、これらの反応器には、好気性生物学的反応器、嫌気性生物学的反応器、連続流反応器、逐次バッチ反応器、あるいは、有機物およびある特定の実施形態では無機化合物を生物学的に分解することができる任意の数の他のタイプの生物学的処理システムが含まれるが、それらの処理システムに限定されるものではない。
【0055】
(1つまたは複数の)生物学的反応器および/またはある特定の生物学的反応器ゾーンは、好気性生物学的反応器、無酸素生物学的反応器、嫌気性生物学的反応器、連続流反応器、逐次バッチ反応器,散水ろ過機、あるいは、有機化合物およびある特定の実施形態ではいくつかの無機化合物を生物学的に分解することができる任意の数の他のタイプの生物学的処理システムを含む様々なタイプの生物学的反応器であり得るが、それらの処理システムに限定されるものではない。
【0056】
さらに、本明細書で使用される(1つまたは複数の)生物学的反応器および/またはある特定の生物学的反応器ゾーンは、懸濁システムと連携して吸着性物質を懸濁させるのに好適な任意のサイズまたは形状のものとすることができる。たとえば、容器は、円形、楕円形、正方形、長方形または任意の不規則形状など、任意の形状の断面領域を有してもよい。いくつかの実施形態では、反応器容器は、吸着性物質の好適な懸濁を促進するために構築または変形させることができる。
【0057】
図2に、生物学的不安定、生物学的抵抗性、生物学的阻害性、ならびに/あるいは生物学的分解に対して全体的に耐性のある有機化合物および無機化合物の濃度が低減された処理済み排出物を生成するための廃水処理システム200のプロセスフローを概略的に示す。システム200は、一般に、生物学的反応器202と、膜操作システム204とを含む。生物学的反応器202は、廃水を受けるための入口206と、混合液有機性浮遊物質および/または混合液を含む生物学的処理済みの排出物を膜操作システム204に排出するための出口208とを含む。
【0058】
生物学的反応器202は、孔236を有する分散した大量の吸着性物質234と、有効量の1つまたは複数の微生物238とを含み、それらは両方とも、混合液中の生物学的不安定ならびにある特定の生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の化合物に対して作用するために、吸着性物質に吸着され、自由に浮遊し、混合液中で吸着性物質から分離している。吸着性粒子または微粒子の外側表面と孔236の壁面とを含む吸着性物質の吸着部位は、最初に、生物学的不安定、生物学的抵抗性、生物学的阻害性、ならびに/あるいは生物学的分解に全体として耐性がある有機化合物および無機化合物の吸着部位として機能する。さらに、吸着性物質の吸着部位上で、微生物238を吸着することができる。これにより、ある特定の生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の化合物が、吸着性物質上に、延長された時間期間の間保持され、生物学的反応器中で分離され、あるいは保持されるという事実に起因して、比例して水理学滞留時間および汚泥滞留時間を長くすることを必要とせずに、これらのある特定の生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の化合物のより高い分解レベルが可能になる。
【0059】
一般的には、生物学的不安定化合物およびある特定の無機物は、吸着性物質に吸着されない微生物、すなわち、混合液中の浮動性微生物によって比較的迅速に、優先的に分解されることになる。生物学的分解に全体的に耐性がある有機物および無機物、ならびに非常に抵抗性のある生物学的抵抗性および生物学的阻害性の化合物を含むある特定の成分は、吸着性物質上に吸着されて保持され、あるいは吸着され、および/または(1つまたは複数の)反応器中の浮動性生物学的物質によって吸着されることがある。最終的には、これら非分解性化合物は、排出物の質を許容可能なレベルに維持するために吸着材の除去もしくは廃棄、および交換が必要となる時点まで、吸着材上に凝集する。吸着性物質が懸濁媒体膜生物学的反応器システム中に懸濁状態で維持される間、微生物は成長し、一般に、吸着性物質上に凝集した、特定の流入廃水のうちのある特定の生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の化合物の少なくとも一部分を分解するのに十分に長く吸着性物質上に保持される。理論にしばられることを意図するものではないが、微生物は、最終的には、特定の流入廃水中のある特定の処理が難しい化合物の少なくとも一部分を分解するのに必要な具体的環境順化により成長した株に成長すると考えられている。さらに時間がたつと、たとえば、数日間から数週間たつと、その間ある特定の生物学的抵抗性、および/または生物学的阻害性化合物を有する吸着性物質がシステム中に維持され、高い度合いの特異性を有する微生物は、第2世代、第3世代、およびさらに後の世代になり、それにより、システムが環境順化するにつれて、特定の流入廃水中に存在する特定の生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の化合物のいくつかのうちの少なくとも一部分を生物学的分解するための有効性が高まる。
【0060】
様々な流入廃水は、生物学的反応器202中で生じる、生物学に有益なある特定の栄養素が不足していることがある。さらに、ある特定の流入廃水は、過剰に酸性または腐食性であるpHレベルを有することがある。したがって、当業者には明らかなように、反応器202における、生物学的寿命と生物学的酸化を含む関連するアクティビティのための最適な栄養素比およびpHレベルを維持するために、リン、窒素、およびpH調整材料、補助的な単純なカーボン、もしくは化学物質を加えることができる。
【0061】
生物学的反応器202からの排出物は、分離サブシステム222を介して、膜操作システム204の入口210に導入される。この輸送された混合液は、生物学的反応器202中で処理済みであり、吸着性物質が実質的にない。膜操作システム204において、廃水は、1つまたは複数の精密ろ過膜または限外ろ過膜を通過し、それにより、浄化および/または3次ろ過の必要性がなくなる、または最小限に抑えられる。膜透過物、すなわち、膜240を通過する液体は、膜操作システム204から、出口212を介して排出される。膜残留物、すなわち、活性汚泥を含む、生物学的反応器202から排出された固形物は、循環活性汚泥ライン214を介して、生物学的反応器202に戻される。
【0062】
生物学的反応器202からの使用済み吸着性物質、たとえば、バイオ分解に対して全体的に耐性のある特定の化合物、生物学的抵抗性化合物、および生物学的阻害性化合物などの汚染物質を吸着する際にもはや有効でない粒状活性炭は、生物学的反応器202の混合液廃棄物排出ポート216を介して除去され得る。また、廃水出口218を循環活性汚泥ライン214に接続して、たとえば、混合液および/または培地の濃度を制御するために、廃棄すべき循環活性汚泥のうちの一部または全部を進路変更することができる。汚泥は、混合液固形物濃度が、特定の膜生物学的反応器システムの動作を妨げるほど高いポイントまで増加したときに、廃棄活性汚泥とともに装置から排出される。さらに、廃棄活性汚泥とともに循環活性汚泥ラインからではなく、混合液廃棄物排出ポート216を使用して吸着性物質の一部分を取り除き、それにより、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に全体的に耐性のある有機化合物または無機化合物の何らかの部分を取り除くことでき、その結果、排出物中のこれらの生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に全体的に耐性のある有機化合物および無機化合物の濃度がより低くなり、膜生物学的反応器中のバイオマスがより安定化する。次いで、このように除去された吸着材を補充するために、同等の量の新しいまたは再生された吸着性物質を加えることができる。
【0063】
生物学的反応器202の入口206の上流に予備スクリーニングおよび/または分離システム220を設けることができる。この予備スクリーニングおよび/または分離システムは、溶解気泡分離システム、粗スクリーン、あるいはこれらの処理デバイスおよび/または当技術分野で知られるタイプの懸濁物質を分離するための他の予備処理デバイスの組合せを含むことができる。任意選択で、予備スクリーニングおよび/または分離システム220をなくすことができ、あるいは処理される具体的な廃水に応じて他のタイプの予備処理デバイスを含んでもよい。
【0064】
吸着性物質234のうちの少なくとも大部分が、膜操作システム204に入り、望ましくない摩耗を引き起こす、および/または膜240を汚すことを防止するために、分離サブシステム222を設ける。図2に示されるように分離サブシステム222は、生物学的反応器202の出口の近位に配置される。しかしながら、ある特定の実施形態では、生物学的反応器202の下流にある別個の容器中に分離サブシステム222を配置することができる。いずれの場合でも、分離サブシステム222は、膜操作システム204中で吸着材234の少なくとも大部分と膜240とが接触しないようにするための好適な装置および/または構造を含む。分離サブシステム222は、スクリーニング装置、沈殿ゾーン、および/または他の好適な分離装置のうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0065】
懸濁媒体漠生物学的反応器システムのある特定の実施形態で使用するための好適なタイプのスクリーンまたはスクリーニング装置は、円筒構造または平坦な構造で、その間に垂直方向、水平方向、または任意の角度を含む様々な角度で配置されたウェッジワイヤスクリーン、金属製またはプラスチック製の開口付きプレート、あるいは織布繊維を含む。さらなる実施形態では、回転ドラムスクリーン、振動スクリーン、またはその他の運動スクリーニング装置など、アクティブなスクリーニング装置を採用することができる。一般に、分離サブシステム222がスクリーニング装置であるシステムの場合、メッシュサイズは、使用される吸着性物質の有効な粒子または微粒子サイズの下限よりも小さい。
【0066】
また、分離サブシステムにおいて、スクリーニング装置の代わりに、またはそれと組み合わせて他のタイプの分離サブシステムを使用することができる。たとえば、以下にさらに記載するように、吸着性物質が重力によって沈殿する沈殿ゾーンを設けることができる。
【0067】
代替実施形態では、または、前述の実施形態と組み合わせて、分離サブシステムは、遠心分離システム(たとえば、ハイドロサイクロン、遠心分離機など)、曝気沈砂池、(誘導式気体浮揚または溶解気体などの)浮揚システム、あるいは他の既知の装置を含むことができる。
【0068】
任意選択で、または生物学的反応器202の出口の近位にある分離サブシステム222と組み合わせて、生物学的反応器202と膜操作システム204との間に分離サブシステムを設けることができる(図示せず)。この代替形態または追加の分離サブシステムは、分離サブシステム222とタイプおよび/または寸法が同じでも、異なっていてもよい。たとえば、ある特定の実施形態では、沈殿ゾーン、クラリファイア、ハイドロサイクロン分離機、遠心分離機、またはこれらの組合せを、生物学的反応器202と膜操作システム204との間に固有のユニット操作として設けてもよい。
【0069】
分離サブシステム222は、元の寸法の吸着性物質が膜操作システムへと通過しないようにするためには非常に効果的であることを留意されたい。ある特定の好ましい実施形態では、分離サブシステム222は、吸着性物質234の実質的に全部が膜操作システム204へと通過することを防止する。しかしながら、システム200の動作中、粒子間衝突、せん断、循環、または固定されたもしくは動いている機器内の粒子の衝突を含む、吸着性物質の摩耗の様々な原因により、分離サブシステム222を用いて効果的に保持されるには小さすぎる微粒子が生成され得る。膜に対する障害と、廃棄に対する吸着性物質の損失を最小限に抑えるために、ある特定の実施形態は、元の寸法の約70パーセントから約80パーセント以内の吸着性物質234の実質的に全部が通過することを防止することができる分離サブシステム222を含む。元の寸法の許容可能な減少率は、たとえば、経済的評価に基づいて、当業者によって決定され得る。寸法を低減した結果、スクリーニングシステムを通過する微粒子が増加する場合、膜はさらなる摩耗にさらされる。したがって、破損を最小限に抑える吸着性物質に関連するコスト、ならびに元の吸着性物質粒子または微粒子よりもはるかに小さい微粒子の通過を防止することができる分離サブシステムに関連する操作および運転コストと比較して、摩耗と膜の偶発的な交換とのコストに基づいて、吸着性物質の許容可能な減少率は何であるかを決定するために、費用便益分析を使用することができる。さらに、ある特定の実施形態では、吸着性物質の外側表面から過剰なバイオマスを滑落させる、何らかの程度の粒子間衝突、あるいは固定されたまたは動いている機器内の粒子の衝突が望ましい。
【0070】
生物学的反応器202から排出されたスクリーニングされた、または分離された混合液を、(特定のシステムの設計に応じて)、膜操作システム204中にポンプ圧送または重力によって流すことができる。外部の分離サブシステム(図示せず)を使用するシステムでは、外部の微細スクリーニングまたは分離機サブシステムを通過する混合液から分離された吸着性物質が重力によって落ちて、生物学的反応器202に戻るように装置を構成するのが好ましい。
【0071】
システム200中の様々なポイントにおいて、たとえば、吸着性物質源229から廃水に、たとえば、吸着性物質のスラリーを形成するために好適に事前湿潤された粒状活性炭などの吸着性物質を加えることができる。図2に示されるように、1つまたは複数の場所230a、230b、230c、および/または230dにおいて、吸着性物質を導入することができる。たとえば、予備スクリーニングシステム220の下流にある供給流に吸着性物質を加えることができる(たとえば、場所230a)。任意選択で、または組み合わせて、吸着性物質を生物学的反応器202に直接加えることができる(すなわち、場所230b)。ある特定の実施形態では、循環活性汚泥ライン214を介して吸着性物質を導入することができる(たとえば、場所230c)。さらなる実施形態では、吸着性物質を予備スクリーニングシステム220の上流で加えることが望ましいことがあり(たとえば、場所230d)、予備スクリーニングシステム220は、吸着性物質が生物学的反応器202を通過できるようにする、または生物学的反応器202中に流れることができるようにするスクリーニングを含むことによってこの適用例のために特に設計される。混合液は分離サブシステム222を通過し、吸着性物質は、混合液浮遊物質とともに膜操作システム204中に通過することを実質的に防止される。
【0072】
吸着性物質がシステムにとどまり、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に対して全体的に耐性のある有機化合物および無機化合物を含む廃水構成成分に露出するので、吸着性物質の一部または全部は、構成成分を処理するための効果がなくなり、すなわち、吸着能力が低下する。この結果、膜操作システム204に入るこれらの構成成分の濃度がより高くなり、膜を通過し、膜排出物212とともに排出される。さらに、バクテリア、多糖類、および/または細胞外重合物質によるコーティングにより、吸着性物質の効果をなくすことがある。このコーティング層は、孔部位を遮断し、それにより、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に対して全体的に耐性がある有機化合物および無機化合物がアクセスできないようにし、結果として、吸着を妨げ、生物学的分解を阻害するレベルに達することがある。懸濁媒体膜生物学的反応器システムのある特定の実施形態では、混合液に懸濁している吸着性物質粒子間の衝突、あるいは吸着性物質の懸濁および/または運動に関連するせん断力などの、システムにおける1つまたは複数のメカニズムによって生成されたせん断アクションによって、このコーティングを除去することができる。
【0073】
吸着性物質が、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に対して全体的に耐性がある有機化合物および無機化合物の排出物濃度を低減させるための有効性のすべてまたは一部分が失われたりすると、たとえば、内部に分散した吸着性物質を含有している混合液の一部分を排出することによって、吸着性物質の一部分を廃棄ポート216を介して廃棄することができる。
【0074】
吸着性物質導入装置229を介して、ならびに/あるいは1つまたは複数の好適な追加の場所において、追加の新しいまたは再生された吸着性物質を、上述のようにシステムに導入することができる。システム中の吸着性物質とそれに付随するバイオマスの効果がいつ低減したかを判断するために、入口廃水濃度および排出物廃水COD化合物濃度ならびに/あるいは無機化合物濃度を監視することができる。入口CODと、入口COD濃度によって除算された排出物CODの濃度との差のプロットにより、混合液中の吸着性物質の効果がだんだんと失われていくことがわかる。同じタイプのプロットを使用して、システムの無機物除去能力または特定の有機化学種の除去を監視することができる。供給流から除去されたCODの量は、廃水フィードから除去される生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の有機化合物の相対量を示すことができる。システムのオペレータは、特定の廃水を処理する経験を積むにつれて、この比率が生物学的反応器中の吸着性物質の一部分を除去し、新しい吸着性物質と交換する必要性がある時点をいつ示すかを判断することできるようになる。したがって、たとえば、法的要件に準拠する排出物を生成するために、生物学的抵抗性、生物学的阻害性、および/またはバイオ分解に対して全体として耐性のある化合物に関してシステムの求められる効果が回復される。また、特定の有機化合物および無機化合物の濃度に関する排出物のサンプリングおよび分析を使用して、混合液中の吸着性物質およびそれに付随するバイオマスの有効性がいつ低減したか、ならびにいつ部分的交換を開始すべきかを判断することができる。
【0075】
懸濁媒体膜生物学的反応器システム200のオペレータは、特定の有機化合物または無機化合物の排出物濃度が、これらの化合物に関する、施設の許可された排出濃度に近づき始めたときに、吸着性物質の一部を交換し始めることができる。許容された排出濃度は、一般に、たとえば、米国環境保護庁によって規定された国家汚染物質排出除去システム(NPDES)許可プログラム、または特定の州または国家における他の同様の規制団体によって決定されるように、施設の許可によって制限される。オペレータは、特定の廃水をもつこのシステムを操作する経験を得るにつれて、吸着性物質の交換を開始すべきときを予期できるようになる。オペレータが、吸着性物質およびそれに付随するバイオマスの効果が汚染物質の必要な排出物濃度を達成することができなくなっていくと判断したとき、ライン218からの循環活性汚泥を廃棄することによって実行される、過剰なバイオマスの通常の廃棄を終了することができ、過剰なバイオマスおよびそれに伴う吸着性物質は、廃棄ポート216を介して生物学的反応器202から廃棄される。廃棄された物質の量は、混合液浮遊物質を特定の膜生物学的反応器システムに関する最適操作範囲内に維持するためにどれだけ必要かによって決定される。吸着性物質の一部分を交換した後、必要な汚染物質除去効果が回復されたかどうかを決定するために、オペレータによって排出物を監視する。操作経験に基づいて、必要に応じてさらなる交換を行うことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはシステムの個々の装置は、所望に応じてシステムを監視し、調整するためのコントローラを含むことができる。コントローラは、所望の動作条件に応じて、システム内のパラメータのいずれかを指示することができ、それらのパラメータは、たとえば、排出物流に関する政府規則に基づき得る。コントローラは、システムまたは個々の装置内に配置されたセンサまたはタイマによって生成された1つまたは複数の信号に基づいて、各ポテンシャル流に関連するバルブ、フィーダ、またはポンプを調節または調整することができる。コントローラはまた、特定の傾向、たとえばあらかじめ規定された時間期間にわたるシステムの特徴または特性の上昇傾向または下降傾向を示す、センサまたはタイマによって生成された1つまたは複数の信号に基づいて各ポテンシャル流に関連するバルブ、フィーダ、またはポンプを調節または調整することができる。たとえば、排出物流中のセンサは、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、および/またはバイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物などの汚染物質の濃度があらかじめ規定された値または傾向に達したことあるいは、CODレベルがあらかじめ規定された値または傾向に達したことを示し、それにより、センサから上流で、センサから下流で、またはセンサにおいて何らかの行為を実行するようにコントローラをトリガする信号を生成することができる。この行為は、生物学的反応器から吸着性物質を除去すること、新しいまたは再生された吸着性物質を生物学的反応器に加えること、異なるタイプの吸着性物質を加えること、供給入口またはシステム内の別の装置への入口における廃水の流れを調整すること、供給入口またはシステム内の別の装置への入口の流れを貯蔵タンクに再配向すること、生物学的反応器内において空気流を調整すること、生物学的反応器または他の装置内における滞留時間を調整すること、ならびに生物学的反応器または他の装置内における温度および/またはpHを調節することのうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。システム内で実行される任意の1つまたは複数のプロセスの状態または条件の指標または特徴を提供するために、1つまたは複数のセンサを、システムの1つまたは複数の装置またはストリーム内で、またはそれらとともに利用することができる。
【0077】
懸濁媒体膜生物学的反応器システムの1つまたは複数の実施形態のシステムおよびコントローラは、複数の動作モードを有する多目的ユニットを提供し、それにより、複数の入力に応答して廃水処理システムの効率を高めることができる。たとえば、汎用コンピュータであり得る1つまたは複数のコンピュータシステムを使用して、コントローラを実装することができる。代替的には、コンピュータシステムは、特別にプログラムされた、専用のハードウェア、たとえば、水処理システムのために意図された特定用途向け集積回路(AIC)またはコントローラを含むことができる。
【0078】
コンピュータシステムは、一般に、たとえば、ディスクドライブメモリ、フラッシュメモリデバイス、RAMメモリデバイス、またはデータを記憶するための他のデバイスのうちの任意の1つまたは複数を含むことができる1つまたは複数のメモリデバイスに接続された1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。メモリは、一般に、システムの動作中、プログラムおよびデータを記憶するために使用される。たとえば、メモリを使用して、時間期間にわたるパラメータに関係する履歴データならびに操作データを保存することができる。本発明の実施形態を実装するプログラミングコードを含むソフトウェアを、コンピュータ可読および/または書込み可能不揮発性記憶媒体に保存し、次いで、一般に、メモリ中にコピーし、そこで、1つまたは複数のプロセッサによって実行することができる。そのようなプログラミングコードは、複数のプログラミング言語のうちのいずれかで、またはそれらを組合せて書き込むことができる。
【0079】
たとえば、同じデバイス内に組み込まれたコンポーネント間の1つまたは複数のバス、ならびに/あるいは、たとえば、別個の個別デバイス上に常駐するコンポーネント間のネットワークを含むことができる1つまたは複数の相互接続機構によって、コンピュータシステムのコンポーネントを結合することができる。一般に、相互接続機構により、たとえば、システムのコンポーネント間で交換されるべきデータ、命令を通信できるようにする。
【0080】
コンピュータシステムは、1つまたは複数の入力デバイス、たとえば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、および他のマンマシンインターフェースデバイス、ならびに1つまたは複数の出力デバイス、たとえば、印刷デバイス、ディスプレイスクリーン、またはスピーカーを含むことができる。さらに、コンピュータシステムは、システムのコンポーネントのうちの1つまたは複数によって形成することができるネットワークに加えて、またはそれに代えて、通信ネットワークにコンピュータシステムを接続することができる1つまたは複数のインターフェースを含むことができる。
【0081】
懸濁媒体膜生物学的反応器システムの1つまたは複数の実施形態によると、1つまたは複数の入力デバイスは、システムおよび/またはそのコンポーネントの任意の1つまたは複数のパラメータを測定するためのセンサを含むことができる。代替的には、センサ、ポンプ、または計量バルブもしくは容量供給装置を含むシステムの他のコンポーネントのうちの1つまたは複数を、コンピュータシステムに動作可能に結合された通信ネットワークに接続することができる。1つまたは複数の通信ネットワークを介してコンピュータシステムと通信するために、上記のうちの任意の1つまたは複数を、別のコンピュータシステムまたはコンポーネントに結合することができる。そのような構成により、任意のセンサまたは信号生成デバイスは、データ供給を維持しながら、コンピュータシステムからかなり離れた場所に配置できるようになり、ならびに/あるいは任意のセンサを任意のサブシステムおよび/またはコントローラからかなり離れた場所に配置することが可能になる。そのような通信機構は、ワイヤレスプロトコルを利用する技法を含むが、それには限定されない任意の好適な技法を利用することによって影響を受けることがある。
【0082】
懸濁媒体膜生物学的反応器システムおよび本発明の様々な態様を実施することができるコンピュータシステムの1つのタイプを例としてコンピュータシステムについて記載するが、本発明は、例示されたソフトウェア中で、またはコンピュータシステム上で実装されるように限定されるものではないことを了解されたい。実際には、コントローラ、またはそのコンポーネントもしくはサブセクションは、たとえば、汎用コンピュータシステム上で実装されるのではなく、代替的には、専用のシステムとして、または専用のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として、あるいは、分散制御システム中で実装され得る。さらに、懸濁媒体膜生物学的反応器システムおよび本発明の1つまたは複数の特徴または態様は、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア、あるいはそれらの任意の組合せ中に実装できることを了解されたい。たとえば、コントローラによって実行可能なアルゴリズムの1つまたは複数のセグメントは別個のコンピュータ中で実装でき、それらのコンピュータは、1つまたは複数のネットワークを介して通信することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、システム200全体に複数の場所に含まれ得、好適なプロセス修正形態をプログラマブルロジック制御膜生物学的反応器システム中で実装するために、手動のオペレータまたは自動制御システムと通信している。1つの実施形態では、システム200は、任意の好適なプログラムされたまたは専用のコンピュータシステム、PLC、あるいは分散制御システムとすることができるコントローラ205を含む。ある特定の有機および/または無機化合物の濃度は、点線接続線によって示されるように、コントローラ205と排出物ライン212との間でも、出口208と入口210との間にある中間排出物ラインとコントローラ205との間でも、操作システム排出物212、または生物学的反応器202の出口208からの排出物で測定することができる。別の実施形態では、揮発性有機化合物の濃度、またはシステムの他の特性もしくは特徴は、入口201、206または210のうちの1つまたは複数において測定することができる。プロセス制御装置の当業者には既知のセンサは、レーザ誘起蛍光に基づくセンサ、あるいは排出物中の有機もしくは無機化合物の濃度、またはシステムの他の特性もしくは特徴をインシチュでリアルタイムで監視するのに好適な任意の他のセンサを含むことができる。使用することができるセンサは、TriOS Optical Sensors(ドイツ、オルデンブルク)から入手可能なenviroFlu−HCセンサなどの、検出のためにUV蛍光を使用する水中油測定において使用するための浸漬式センサを含む。センサはレンズを含むことができ、レンズは、コーティングされる、あるいはレンズ上で生じる汚染またはフィルムの量を予防または制限するように処理される。システム中の1つまたは複数のセンサは、1つまたは複数の有機および/または無機化合物の濃度があらかじめ規定された濃度を超えたことを示す信号を発生すると、制御システムは、好適なフィードバックアクションまたはフィードフォワードアクションなどの応答性アクションを実装することができ、これらのアクションには、(コントローラ205と廃棄物排出ポート216との間の点線接続線によって示されるように)廃棄物排出ポート216を介して吸着性物質を除去すること、(コントローラ205と吸着性物質導入装置229との間の点線接続線によって示されるように)吸着性物質導入装置229を介して、または他の場所のうちの1つで新しいまたは再生された吸着性物質を加えること、異なるタイプの吸着性物質を加えること、水理学滞留時間を修正すること、微生物に関する単純なカーボンフードなどの生物学的特徴を修正すること、あるいはリン、窒素、および/またはpH調節化学物質を加えること、および/または上述のまたは当業者には明らかになるであろう他の修正形態を含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0084】
コントローラ205および吸着性物質導入装置229のみが図2に関して示されているが、これらの特徴および様々なフィードバックおよびフィードフォワード能力を、本明細書に記載されるシステムのいずれかに組み込むことができることを留意されたい。さらに、コントローラ205は、廃水フィードポンプおよび懸濁システム232などの他のコンポーネントに電気的に接続することができる。
【0085】
混合液を曝気処理し、生物学的反応器202中の吸着性物質によって処理した後、処理された混合液は分離サブシステム222を通過し、吸着性物質が実質的にない膜操作システム204に輸送される。分離サブシステム222は、吸着性物質が膜操作システム204中への通過を防止する。生物学的反応器202中に、あるいは膜操作システム204の上流に吸着性物質を維持することによって、懸濁媒体膜生物学的反応器システムは、吸着性物質による膜操作システムタンク膜の汚染および/または摩耗の可能性を最小限に抑える、またはなくす。
【0086】
膜操作システム204は、バイオ反応器212からの排出物から、膜操作システムタンク204中の混合液に含まれるバイオマスおよび任意の他の固形物をフィルタ除去するためのろ過膜240を含む。これらの膜240は、中空の繊維膜の形態、または当業者には知られるような他の好適な構成とすることができ、一般に、非常に高価であり、それらの耐用寿命を最大にするために、ダメージからそれらを保護することが非常に望ましい。懸濁媒体膜生物学的反応器システム200では、分離サブシステム222により、膜操作システム204中への粒状活性炭、および/または任意の他の中実の粒子または微粒子などの吸着性物質の導入が実質的に低減される、またはなくなるので、操作システムタンクの膜の寿命が延長される。
【0087】
出口212は、膜操作システムタンク204からフィルタ除去された排出物を輸送する。循環活性汚泥ライン214は、循環活性汚泥流を、廃水フィード流の処理でさらに使用するために、膜操作システムタンク204から生物学的反応器202に輸送する。過剰な汚泥は、従来の膜生物学的反応器システムと同様に、廃棄ライン218を使用してシステムから廃棄される。
【0088】
懸濁システム232は、吸着性物質234の摩耗を最小限に抑えつつ、吸着性物質234を懸濁状態に維持するため、ジェット懸濁、機械混合、粗気泡曝気、(1つまたは複数の)ドラフトチューブおよび(1つまたは複数の)ドラフトトラフなどのガスリフト懸濁システム、ならびに他のタイプの機械的懸濁システムまたは空気懸濁システムのうちの1つまたは複数を利用する。
【0089】
ある特定の実施形態では、吸着性物質234が生物学的反応器202内にあり、何らかの粒子破壊が生じる、たとえば、吸着性物質234の粗表面および/または突起表面の一部が破壊し、粉末、微粉体、針葉、または他のより小さい微粒子となる初期時間期間後、懸濁システム232によって懸濁状態に維持された吸着性物質234は安定化し、それにより、さらなる破壊またはサイズの低下は、ほとんど、または全く起こらなくなる。
【0090】
一般に、混合液中の吸着性物質の濃度は、施設の排出要件を満たすように生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の有機化合物または無機化合物の特定の組合せを処理するために、特定のシステムパラメータおよび廃水に基づいて判断される。試験は、(採用される特定の膜生物学的反応器構成に関する通常の範囲内の)典型的な産業混合液浮遊物質濃度、および(総混合液浮遊物質濃度の)約20%の(粒状活性炭などの)吸着性物質濃度で膜生物学的反応器を動作させることは、使用されるスクリーニングシステム上に汚染問題を生成することなし、廃水フィード中に存在する生物学的抵抗性および/または生物学的阻害性の有機化合物を除去するのに適することを示した。より高い濃度の吸着性物質を加えて、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、ならびに/あるいは生物学的分解に対して全体的に耐性のある有機化合物または無機化合物の通常の排出物濃度よりも高くし得るプロセスアップセットに対する安全性マージンをさらに高めることができる。この吸着性物質の追加の結果、スクリーニングおよび/または沈殿要件が増加することを留意されたい。利用でき、さらに求められる排出物品質を達成することができる吸着性物質の最低濃度は、経験に基づく、あるいは特定のシステムおよびプロセスに適していると見なされるプロセスアップセットに対する所望の安全性マージンに基づいて、経験的に判断され得る。
【0091】
(生物学的抵抗性、生物学的阻害性など)有機材および無機材を吸着するために、ならびに懸濁媒体膜生物学的反応器を提供するために、膜操作システムタンクの上流で吸着性物質を使用する懸濁媒体膜生物学的反応器システムは、さまざまな異なる構成に適用可能である。さらに、生物学的反応器中に吸着性物質を維持するために、様々な分離デバイスを使用することもできる。当業者には、様々なシステムには、廃水の個々の特徴と、施設が設置される領域とに基づいて、異なる経済的利益があることが理解されよう。
【0092】
最適な処理状態を生成するように制御されるファクタには、サイズ、形状、硬度、重力沈殿速度、空気流要件、または、混合液中の粒子懸濁に関する、すなわち、粒状活性炭を懸濁媒体として維持するための他の懸濁要件を含む吸着性物質のタイプ、スクリーンバー間隔または開口サイズおよび孔構成、混合液中における吸着性物質の濃度、混合液有機性浮遊物質の濃度、混合液浮遊物質の全濃度、膜操作システムタンクに入る混合液の流量で除算された循環活性汚泥流量の比率、水理学滞留時間および汚泥滞留時間が含まれる。この最適化により、生物学的抵抗性化合物、分解が容易な生物学的酸素要求量化合物(BOD)、生物学的阻害性化合物、生物学的分解に対して全体的に耐性がある有機化合物または無機化合物、ならびに細胞外高分子物質の何らかの部分が、混合液中に懸濁している粒状活性炭などの吸着性物質によって吸着される。
【0093】
懸濁媒体膜生物学的反応器システムの他の利点は、混合液浮遊物質中の微生物を接着することができるサイトが提供されることである。プロセスのこの態様は、アップセット状態に応答してより安定性および耐性が増した混合液有機性浮遊物質流を生成し、同様の水理学滞留時間および汚泥滞留時間で動作する非粒状活性炭強化膜生物学的反応器と比べて、廃水中に存在する有機物の生物学的分解を強化することができる。吸着性物質のポアスペースの内側の、または表面上の微生物源は、アップストリームプロセスアップセットの結果、混合液中に浮遊している生育可能な微生物の一部が失われた場合、シードバクテリア源として作用する。システムに対して、従来のシステムにおいてある特定のバクテリアを消滅させる可能性がある温度ショックまたは毒性化学物質ショックが与えられた場合、ポアスペース内の、または表面上の微生物の一部は生き残り、したがって、吸着材を含まない従来のシステムと比べて、ほんのわずかな回復時間しか必要ではない。たとえば、バクテリアが中温性であるシステムでは、吸着材は、ポアサイト内の何らかのバクテリアが、温度が上昇したことによる温度ショックを与えられた場合にも生き残ることができるようにすることができる。同様に、バクテリアが高温性であるシステムでは、吸着材は、ポアサイト内の何らかのバクテリアが、温度が低下したことによる温度ショックを与えられた場合にも生き残ることができるようにすることができる。これらの環境のどちらにおいても、培地を再環境順化するために必要な時間を大幅に低減することができる。さらに、微生物集団の全部または一部分を消滅させるシステムショックが起こった場合には、吸着性物質が存在することにより、微生物集団を調節しつつ、不安定汚染物質、抵抗性汚染物質、および阻害性汚染物質を吸着することができる連続運転が可能になる。
【0094】
様々な利点の結果、廃水フィードに対する混合液の環境順化がより迅速になり、膜の汚染が低減され、供給濃度および流量の変動に対する許容度が改善され、取り扱いがより簡単な油分の少ない性質を用いてより迅速に脱水することができる汚泥と、従来の膜生物学的反応器装置から取得できるものよりも低濃度の有機および無機不純物を有する排出物とが生成されることがわかった。
【0095】
粉末活性炭の代わりに粒状活性炭などの吸着材を使用することにより、粉末活性炭膜生物学的反応器試験における問題として識別されてきた膜汚染および/または摩耗をなくすこと可能になる。
【0096】
粉末活性炭の代わりに粒状活性炭を使用することは、重量ベースで効果的にカーボンを使用するものでないが、懸濁媒体膜生物学的反応器システムおよび分離サブシステムは、粒状活性炭が膜操作システムに入ることを実質的に防止し、それにより、膜の摩耗および汚染の可能性が最小限に抑えられる、またはなくなる。しかしながら、粉末活性炭の代わりに粒状活性炭を使用した結果、吸着効率が低下するという影響は、活性炭強化膜生物学的反応器装置全体の効率に大幅な影響を与えるものではない。
【0097】
試験は、ある特定の生物学的阻害性有機物および/または生物学的抵抗性化合物の除去の主要なメカニズムが、生物学的抵抗性および生物学的阻害性の化合物が粉末活性炭強化装置中で微生物にさらされる滞留時間の増大に関係することを示した。粒状活性炭などの吸着性物質上に吸着された混合液有機性浮遊物質中の微生物は、これらのある特定の生物学的抵抗性および生物学的阻害性の化合物を分解するためにより長い時間期間がかかる。生物学的分解の増大した滞留時間は、膜生物学的反応器排出物中におけるある特定の生物学的抵抗性および生物学的阻害性の化合物の濃度を低減させる主なファクタであることを示し、所望の結果を達成するために、粉末活性炭のより高い吸着効率は必要とされない。
【0098】
カーボン補助膜生物学的反応器中の粒状活性炭は、粒状活性炭の実質的な再生を可能にすることによって、生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、生物学的分解に対して全体的に耐性のある化合物、および細胞外高分子化合物の除去を強化するうえで粉末活性炭強化膜生物学的反応器と同様に、あるいはそれよりも良好に性能を発揮する。また、サイズがより大きいので、(1つまたは複数の)膜操作システムタンクに入る混合液から粒状活性炭を効果的にフィルタ除去、あるいは分離することができる。懸濁媒体膜生物学的反応器システムおいて粒状活性炭を採用することによって、粉末活性炭を使用するときに生じる摩耗をなくす、または大幅に低減することができる。
【0099】
膜生物学的反応器中における粉末活性炭微粒子の使用により、粒状活性炭システムについて上述した同じ利点のいくつかが実証されるが、膜の耐用寿命を許容できないレベルまで低減する、たとえば、膜の典型的寿命よりも大幅に少なくし得るので、(1つまたは複数の)膜操作システムタンク中の粉末活性炭微粒子から観察された膜摩耗は許容できない。膜のコストは、膜生物学的反応器システムの全コストの大部分を占めるので、それらの耐用寿命の延長は、膜操作システムの運用コストにおける重要なファクタである。
【0100】
図3から図6に、本発明の廃水処理システムのある特定の実施形態を示す。上述のように、本発明の廃水処理システムは、図1および図2を参照して記載され、また、PCT出願第PCT/US10/38644号および国際公開第WO/09085252号に記載された懸濁媒体膜生物学的反応器システムを採用することができる。たとえば、上流廃水処理を施された排出物から導出された低濃度廃水の処理に関して、ある特定の好ましい実施形態について記載するが、本開示の恩恵を受ける当業者には、何らかのレベルの生物学的不安定化合物、ならびにバイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを有する廃水を処理するために、本発明の廃水処理システムを有利に採用することができることが理解されよう。
【0101】
図3を参照すると、まとめて廃水処理システム350として示される、1つまたは複数の上流廃水処理段階からの排出物351を処理するための処理システム354が概略的に示されている。廃水処理システム350は、一般に、従来から知られるように、流入物301を処理し、過剰な活性汚泥352、および本明細書では「低濃度廃水」または「上流廃水処理を施された排出物」と称される液体処理済み排出物351を排出する。以下の説明では、排出物351は1つまたは複数の上流廃水処理段階、たとえば、1次段階および/または2次段階から導出されるものとされているが、当業者には、本発明のシステムおよび方法は、低レベルの浮遊物質および比較的低濃度の溶解有機物を有するプロセスから直接など、他のソースからの低濃度廃水を処理するためにも効果的であることが理解されよう。さらに、本発明の廃水処理システムは、何らかのレベルの生物学的不安定化合物、ならびにバイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを有する廃水を処理するために有利に採用することができる。これらの実施形態では、流れ351は、直接流入であり得、あるいは、実質的にすべての固形物が除去された1次分離システムなどの最小限の上流処理を施すことができる。
【0102】
上述のように、2次処理ゾーンからの排出物の3次処理は、一般に、求められる水質基準を達成するためのさらなる処理、たとえば、ポリッシングのために、2次排出物全体を、1つまたは複数の粒状活性炭槽または他の3次システムを通過させることを含む。対照的に、3次処理システムとして使用することができる本発明の処理システム354は、かなりの量の汚染物質を吸着するための高流束吸着性物質システム359と、生物学的再生および/または再活性化によって、吸着された汚染物質、すなわち、吸着性物質に吸着された汚染物質を生物学的に処理するためのさらなるシステム399との組合せを採用する。
【0103】
一般的に言えば、本発明の処理システム354は、高流束吸着性物質処理システム359と、低流束吸着性物質生物学的再生反応器システム399とを包含する。高流束吸着性物質処理システム359は、たとえば、吸着性物質源393から、新しい、および/または循環された吸着性物質を受けるための混合ゾーン360を含み、混合ゾーン360は、上流廃水処理を施された排出物または他の低濃度廃水などの低濃度廃水源351と流体連通している。混合ゾーン360は、吸着性物質と廃水とを均質に混合し、低濃度廃水と吸着性物質との混合物361を吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370に流す。液体/流束全体の大部分は、さらなる3次処理390を任意選択で施すことができる排出物371として、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370から移送、あるいは排出される。吸着性物質は、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370から吸着性物質排出物372として除去され、生物学的再生反応器302、膜操作システム304、吸着性物質せん断ゾーン386、および吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387を含む低流束吸着性物質生物学的再生反応器システム399へと流れる。好気性システムでは、生物学的再生反応器302は酸素源をさらに含み、微生物は、生物学的再生反応器302中において吸着性物質に吸着された有機物およびある特定の無機物を生物学的に酸化し、混合液有機性浮遊物質を含む混合液は、吸着材/固形物分離装置322を通過し、生物学的再生反応器混合液排出物308として、出口から固形物分離装置に排出されて、混合液中のバイオマスまたは任意の他の固形物が除去される。たとえば、本発明のある特定の実施形態では、固形物分離装置は、生物学的再生反応器排出物308を膜操作システム304の入口310に流して、混合液中のバイオマスおよび任意の他の固形物が除去される膜操作システム304を含む。膜処理済み排出物312は、透過物として排出され、活性汚泥314は、残留物として、生物学的再生反応器302へと戻される。活性汚泥の一部分を、システムから、廃棄ライン318を介して排出することができる。生物学的再生反応器302からの吸着性物質は、吸着性物質せん断ゾーン386に流され、過剰なバイオマスが、吸着性物質の粒子または微粒子からせん断される。バイオマスは、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387中において吸着性物質から分離される。生物学的再生反応器302を介して再生され、続いて、ゾーン386および387中でせん断および分離された、分離された吸着性物質は、循環ライン389を介して混合ゾーン360へと循環され、バイオマスは、ライン388を介して、生物学的再生反応器302に戻される。使用済み吸着性物質は、ライン316を介して生物学的再生反応器302から、またはライン392を介して吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387から除去することができる。
【0104】
ある特定の実施形態では、吸着性物質せん断ゾーン386および吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387の機能は、単一のユニット操作中で一体としてもよい。せん断およびバイオマス分離を実行することができる装置の例には、連続するバックウォッシュフィルタおよび/またはウォールナットシェルフィルタが含まれる。さらなる実施形態では、たとえば、生物学的再生反応器302が、必要なせん断を促進するために十分な乱流を好適に備える場合、吸着性物質せん断ゾーン386および吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387の機能の一部または全部を、生物学的再生反応器302中で達成することができる。これらの実施形態では、バイオマスが生物学的再生反応器302中に残り、再生、せん断および分離された吸着性物質を、混合ゾーン360に直接流すことができる。
【0105】
さらに、システム中の様々な場所において、吸着性物質を導入することができる。たとえば、新しいまたは再生された吸着性物質を、たとえば、混合ゾーン360に戻された循環された吸着性物質と混合して、ライン389を介して導入するために、吸着性物質源393を使用することができる。たとえば図2を参照して論じられるように、吸着性物質を他の好適な場所を使用して、混合ゾーン360中に直接、または液体分離ゾーン370中に直接導入することができる。
【0106】
ある特定の実施形態では、吸着性物質排出物流372には、生物学的再生反応器302内の生物をサポートするために十分な栄養がない。したがって、たとえば迂回流303を介して、生物学的再生反応器302中に、流入物301からの未処理の廃水の一部分を導入することができる。この流れ303は、廃水のタイプ、含有物、および廃水組成が経時的に変化するか否かに応じて、間欠的または継続的であり得る。この未処理の廃水または何らかの他の単純なカーボン源を加えることにより、吸着性物質によって低濃度廃水流351から除去される抵抗性有機物の最適な分解のために必要なバクテリアの成長を高めることができる。未処理の廃水は、最初に、未処理の廃水フィード成分に環境順化されるバクテリアを提供し、次いで、これらのバクテリアは、抵抗性有機物を生物学的に分解することができるバクテリアに関する開始点を提供する。初期バクテリアは、抵抗性有機物を分解することができる生物種へと経時的に進化する。生物学的再生反応器302中の有機物に未処理の廃水流を供給した結果、汚水処理システム中に存在するであろうバクテリアよりも、より複雑な有機化合物を分解することができるバクテリア集団が生じ、それは、一般に、廃水処理システム中のバクテリアに関する最も一般的な開始点となる。それに代えて、またはそれと組み合わせて、種培養を生物学的再生反応器302に加えることができる。たとえば、上流事象または熱的衝撃によりバクテリア集団が減少する場合、あるいは廃水汚染物質が変化した場合、周期的に、同一のまたは異なるタイプの追加の種培養を加えることができる。
【0107】
流入低濃度廃水は、生物学的再生反応器302中で生じる生物に有益なある特定の栄養が不足していることがある。さらに、ある特定の流入廃水は、過剰に酸性または苛性であるpHレベルを有する。したがって、当業者には明らかなように、生物学的再生反応器302中において、生物学的生命体、および生物学的酸化を含む関連するアクティビティのための最適な栄養比率およびpHレベルを維持するために、リン、窒素、およびpH調節化学物質を加えることができる。さらに、ある特定の実施形態では、吸着された汚染物質のバイオ分解の速度を高めるために、単純な炭素化合物の流れを加えることができる。
【0108】
具体的には、低濃度廃水は、粒状活性炭などの吸着性物質を供給される混合ゾーン360に導入される。吸着性物質は、新しい吸着性物質および/またはシステム内から、すなわち、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387から循環された吸着性物質を含むことができる。低濃度廃水および吸着性物質は、混合ゾーン360内で均質に混合され、排出物351中に存在した溶解有機物および/または無機物の少なくとも一部分は、吸着性物質に、すなわち、その外側表面、有孔壁表面、または両方に吸着される。
【0109】
排出物351から有機物および/または無機物の少なくとも一部分を吸着した吸着性物質を含む、混合ゾーン360からの混合流361は、次いで、たとえば、スラリーの形態で、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370へと流される。有機物および/または無機物が混合物361の液体部分中に残っている場合、吸着は、流量、沈殿速度、吸着性物質の吸着能力、および他のファクタに応じて、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370中において継続される。好ましくは、かなりの量の汚染物質が除去され、それにより、高流束吸着性物質排出物流371として移送、あるいは除去された残りの液体部分が、関係規制団体によって義務づけられたレベルに少なくとも合い、環境に優しい方法で循環または排出することができる。必要な場合、最終的なポリッシングのために、流れ371を3次処理ゾーン390に流し、ポリッシングされた排出物391が排出される。有利には、流れ371から除去された有機物および/または無機物は(すなわち、廃水処理システム350から排出物351と比較して)、吸着性物質に吸着され、流れ371は、システム354に提示される初期低濃度廃水流、たとえば、流れ351の液体体積の大部分である。ある特定の実施形態では、流れ371の束は、流れの束351の少なくとも90%であり、別の実施形態では、流れ371の束は、流れ351の束の少なくとも95%であり、さらなる実施形態では、流れ371の束は、流れ351の束の少なくとも99%であり、さらなる実施形態では、流れ371の束は、流れ351の束の少なくとも99.9%であり、さらなる実施形態では、流れ371の束は、流れ351の束の少なくとも99.99%である。流れ351に対する流れ371の割合は、初期汚染のレベル、混合ゾーン360中の混合の度合い、体積、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370内の構成および滞留時間、吸着性物質の吸着能力、および/または他のファクタを含む、様々なファクタに依存することができる。
【0110】
1つの実施形態では、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370は、逆円錐形または円錐台形の底部分385で構成される容器を含む。したがって、吸着性物質は、重力沈殿により、排出ポートを通って、流入流351からの水のわずかな部分とともに、容器の底部において除去される。さらに、有機物および/または無機物が混合ゾーン360中において十分には吸着されない実施形態では、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370は、このように処理された廃水排出物と吸着性物質との間に追加の接触時間を提供するように好適に寸法設定することができる。吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370のある特定の実施形態では、これは、約5分より長い低濃度廃水滞留時間を提供する、ある特定の実施形態では、約15分より長い滞留時間を有する容器により達成することができる。もちろん、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には、排出物から吸着材を分離するために必要とされる時間は、吸着性物質の密度、廃水の密度、タンクの形状を含むがそれらには限定されない様々なファクタに依存することが理解されよう。
【0111】
吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370は、好ましくは、吸着性物質が高流量の液体排出物371とともに吸着性物質沈殿/液体移送ゾーンから出ることを防止するための分離サブシステムを含むことができる。ある特定の実施形態では、分離サブシステムは、たとえば、バッフル381および382によって形成された静止ゾーン384を含むことができる。これにより、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370中に存在するかなりの量の吸着性物質を逆円錐形または円錐台形の底部分385に向かって方向づけることができるようになる。さらなる実施形態では、分離サブシステムは、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370の出口に近接するスクリーニング装置383を備えることができる。スクリーニング装置383は、固定スクリーン、可動スクリーン、ウェッジワイヤスクリーン、回転ドラムスクリーン、または他の好適なスクリーンタイプであり得る。さらなる実施形態では、分離サブシステムは、静止ゾーン384とスクリーニング装置383の両方を備えることができる。さらなる実施形態では、分離サブシステムは、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370の液体排出物371の出口に配置された静止ゾーンおよび堰を含むことができる。吸着性物質沈殿/液体移送ゾーン370中で使用される分離サブシステムは、スクリーニングシステム、沈殿ゾーン、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含む生物学的再生反応器302中で使用される分離サブシステムと同一でも、異なってもよいことを留意されたい。さらに、排出物371からのさらなる固形物除去が必要な場合、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370の排出物371の出口の下流で流体連通する除濁装置、フィルタ、またはその他の分離デバイスを含むことができる。
【0112】
たとえば、吸着性物質が比較的高い比重を有する(たとえば、20℃の水中において約1.10よりも大きい、ある特定の実施形態では20℃の水中において約1.40よりも大きい、追加の実施形態では20℃の水中において最大約2.65の比重を有する)実施形態では、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370内の分離サブシステムをなくすことができ、それにより、底部分385の形状および排出物371の出口の位置を含む、吸着性物質沈殿/液体移送ゾーン370の好適な寸法および構成とあわせて、沈殿速度が高くなる。これらの実施形態では、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370の下流に、除濁装置、フィルタ、または他の分離デバイスを設けることができる。代替的には、排出物371が最終ポリッシング装置390の対象となる実施形態では、除濁装置、フィルタ、または他の分離デバイスをなくすこともできる。ある特定の実施形態では、最終ポリッシング装置390が固定床粒状活性炭吸着槽である場合には、排出物371とともに通過することができる、吸着性物質沈殿/液体移送ゾーン370からの任意の過剰吸着性物質は、最終ポリッシング装置390中で捕捉されるので、最終排出物に影響を与えない。
【0113】
吸着性物質は、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370から生物学的再生反応器に流れ、その中で、微生物が、吸着性物質に吸着された有機物およびある特定の無機物を生物学的に分解する
【0114】
ある特定の実施形態では、生物学的再生反応器302は、微生物が好気性である好気性システムであり、生物学的再生反応器302は、酸素源(図示せず)を含む曝気タンク、たとえば、1つまたは複数の拡散器、ジェット懸濁装置、またはPCT出願第PCT/US10/38644号に記載されるガスリフト懸濁システムであり、生物学的分解が生物学的酸化を含む。生物学的再生反応器内の生物は、PCT出願第PCT/US10/38644号およびPCT公開第WO/09085252号中でさらに詳細に論じられる。
【0115】
さらなる実施形態では、生物学的再生反応器302は、微生物が嫌気性である嫌気性システムである。
【0116】
混合液有機性浮遊物質を含む混合液は、生物学的反応器302中にある、またはその下流にある分離サブシステム322を通って排出され、生物学的反応器302の出口308から、入口310を通って膜操作システム304まで流れる。膜操作システム304は、1つまたは複数の膜340を含む。膜処理済み排出物312は、透過物として排出され、残留物としての活性汚泥314は、生物学的再生反応器302に戻される。任意選択では、活性汚泥廃棄物を、循環活性汚泥ライン314から廃棄ライン318を介して排出することができる。さらに、任意選択の吸着性物質廃棄ライン316(長破線で示される)は、図2とあわせて、ならびにPCT公開第WO/09085252号およびPCT出願第PCT/US10/38644号において記載されるように、有効性が失われた使用済み吸着性物質を除去することができ、あるいは吸着性物質を周期的に除去するために使用することができる。好ましくは、除去された使用済み吸着性物質に、等価量の新しいまたは再生された吸着性物質が補給される。追加の任意選択の実施形態では、膜処理済み排出物312の全部または一部分を、任意選択のライン313(長破線で示される)を介して、最終ポリッシングのために3次処理ゾーン390に流すことができる。
【0117】
粒状活性炭などの吸着性物質、ならびに生物学的再生反応器302中に流れる流れ372中の任意の流入液体は、PCT出願第PCT/US10/38644号およびPCT公開第WO/09085252号中に記載される膜生物学的反応器システムと同様の方法で処理される。しかしながら、流れ372の束は比較的低い。たとえば、流れ372の束は、流れ351の束の約10%、5%、1%、0.1%未満であり得、あるいは約0.001%未満でさえあり得る。ある特定の実施形態では、流れの束は、生物学的再生反応器302中の微生物のアクティビティに影響を与えることなく、膜操作システム304を通過できる最少流である。代替的には、このシステムは、廃水が適切に処理されたときに排出物を排出する逐次バッチ反応器として動作することができる。さらに、ある特定の実施形態では、生物学的再生反応器302は、PCT出願第PCT/US10/38644号に記載されるように、ジェット懸濁またはガスリフト懸濁、静止ゾーン、ウェッジワイヤスクリーンの組合せを組み込む曝気タンクであり得る。本発明の低濃度廃水処理システム354中の膜操作システム304は、PCT出願第PCT/US10/38644号およびPCT公開第WO/09085252号に記載された膜生物学的反応器と同様に動作するが、非常に低い流量で動作する。このシステムではバイオマスが構築されるので、従来の膜生物学的反応器システムと同様の方法で、たとえば、循環活性汚泥廃棄ライン318を通して廃棄することができる。吸着性物質廃棄ライン316も設けられる。たとえば、上流廃水処理を施された排出物が、滞留時間をかなり長くしても本発明の低濃度廃水処理システムを使用して酸化することができない無機物または生物学的阻害性化合物を含有している状況では、吸着性物質は吸着能力を損なうことがある。吸着性物質は、システム中で、たとえば、PCT公開第WO/09085252号に記載された吸着性物質入力場所のうちの1つまたは複数を使用して、あるいは他の好適な場所または吸着性物質源393において交換することができる。
【0118】
連続して、または間欠的に、吸着性物質を含む側流、および任意選択で(たとえば、スラリーの形態での)輸送を容易にする吸着性物質のための液体キャリアを提供するための混合液は、生物学的再生反応器302から除去され、せん断ゾーン386に流される。せん断ゾーン386では、過剰なバイオマスを吸着性物質の外側表面からせん断し、それにより、混合ゾーン360および/または吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370における吸着性物質の吸着能力が最大になる。せん断ゾーン386は、1つまたは複数のポンプ、ジェットノズル、曝気沈砂池、機械的ミキサ、ハイドロサイクロンまたは遠心分離機などの遠心分離デバイス、あるいはせん断を実行するために衝突を容易にする他の装置を含むことができ、ある特定の実施形態では、吸着性物質からのバイオマスの分離を促進することができる。せん断ゾーンにおける乱流、粒子間衝突、および(静止する、または運動している)他の固形物との衝突、およびある特定の実施形態では、せん断ゾーンと生物学的再生反応器302との間の配管の結果、過剰なバイオマスが吸着性物質の外側表面からせん断され、混合液有機性浮遊物質を含む浮動性混合液浮遊物質となる。
【0119】
さらに、過剰なバイオマスを有する吸着性物質の表面に接触する高速の液体および/または気体を含む、流体循環の行為は、所望のせん断に寄与する。
【0120】
ある特定の実施形態では、吸着性物質せん断ゾーン386は、たとえばSiemens Water Technologiesから市販されているタイプの、たとえばウォールナットシェル媒体を含まない、たとえばウォールナットシェルフィルタまたは他の同様のユニット操作の構成を有する連続再生システムを備えることができる。たとえば、吸着性物質が、連続バックウォッシュフィルタまたはウォールナットシェルフィルタなどの連続再生システムを通過する際に、分子間衝突、ならびに連続再生システム中の他の固形物および/または表面との衝突により、吸着性物質の粒子からの過剰なバイオマスのせん断が引き起こされる。
【0121】
せん断された吸着性物質、吸着性物質からせん断された浮遊バイオマス、および任意の混合液を含むスラリーは吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387に流れて、吸着性物質からせん断された混合液浮遊物質バイオマスが、より密度の高い吸着性物質から分離される。吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387は、ハイドロサイクロン分離機、遠心分離機、連続再生システムから出る側流、またはバイオマスから吸着性物質を分離するのに好適な他のデバイスのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0122】
生物学的再生反応器302がジェットノズル、またはPCT出願第PCT/US10/38644号に記載された生物学的再生反応器302内のせん断に有効な他の装置を含むある特定の実施形態では、せん断ゾーン386をなくす、または迂回し、それにより、生物学的再生反応器302からの側流を吸着材/バイオマス分離ゾーン387に直接流すことができることを留意されたい。
【0123】
吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387からの分離された吸着性物質は、ライン389を介して混合ゾーン360に流される。混合ゾーン360に戻った吸着性物質は、低減された濃度の微生物を含有し、したがって、低濃度廃水中の有機物を吸着し、生物学的再生反応器302に流す前に、混合ゾーン360および吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370中において所望の生物にさらすることができる。
【0124】
吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387からの混合液浮遊物質および混合液有機性浮遊物質を有する混合液を含むことができるせん断されたバイオマスは、ライン388を介して生物学的再生反応器302に流れる。
【0125】
代替実施形態では、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387からの混合液は、生物学的再生反応器302の分離サブシステム322から、たとえば、排出物308と一緒に下流に輸送する、あるいは膜操作システム中に直接送ることができる。なお、分離サブシステム322の分離要件は、この代替実施形態では、さらなる分離の必要なしに混合液を輸送することができるので、低減され、またはなくされる。ある特定の実施形態では、膜操作システム304(または図3に関して記載された除濁/沈殿タンク395)のための混合液源は、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387からの液体排出物であり得る。
【0126】
ある特定の好ましい実施形態では、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370中において吸着性物質を容易に沈殿させることができるように、比較的高い比重レベルを有する粒状活性炭が採用される。たとえば、1.10よりも大きい比重を有する粒状活性炭を使用することができる。さらなる実施形態では、1.40よりも大きい比重を有する粒状活性炭を使用することができる。粒状活性炭を含有する混合物の流量は比較的低く、生物学的再生反応器302および膜操作システム304は比較的小さいので、生物学的再生反応器302内に所望のレベルの生物を生じるのに十分な時間期間にわたって、より密度の高い吸着性物質を懸濁状態に維持するためのより高いエネルギー必要量は、システムの動作のエネルギー必要量全体における重要なファクタではない。
【0127】
ある特定の低濃度廃水流入物は、微生物によって分解することができない無機化合物を含むことができる。これらの無機物のレベルは、一般に、義務づけられた規制要件内まで低減されなければならない。吸着性物質は、処理プロセスおよび/または生物種により修正され、それにより、たとえば、PCT出願第PCT/US10/38644号にさらに記載されるような好適な化合物を含浸させることによって、廃水中のある特定の化学種および/または金属に対する親和性を提供することができる。本発明の低濃度廃水処理システム中の微生物は、それらが有機化合物を除去できるほど効果的にはこれらの無機化合物を除去することができないので、無機汚染物質を吸着するために吸着性物質を使用するシステムは、一般に、有機化合物のみを処理するシステムと比較して、より頻繁に吸着性物質を交換しなければならない。低濃度廃水から各化合物を除去するための吸着限界に近づくと、システムから使用済み吸着性物質が除去される。様々な化合物に関する粒状活性炭の吸着能力は、排出物371中の廃棄物濃度に反比例するので、本発明の低濃度廃水処理システムから有機物または無機物濃度を判断するために、たとえば、サンプリングおよび分析、あるいはオンライン監視を周期的にまたは連続して実行することができる。
【0128】
3次処理システム390が採用され、従来の吸着性物質ろ過システムを含むさらなる実施形態では、システム390からの汚染された吸着性物質は、3次処理システム390と生物学的再生反応器302との間のライン394によって示されるように、吸着性物質生物学的再生反応器システム399を使用して再生および/または再活性化することができる。ある特定の既存の粒状活性炭吸着材フィルタシステムは、段階分けされた吸着を使用し、新しい粒状活性炭が、最終下流フィルタ中で加えられ、部分的に装填された粒状活性炭は、(1つまたは複数の)上流フィルタ中で使用される。システム390からの汚染された吸着性物質が、吸着性物質生物学的再生反応器システム399を使用して再生および/または再活性化される本発明の実施形態では、部分的に装填された粒状活性炭は、混合ゾーン360における吸着性物質の全部または一部分としての再生および再利用のために、生物学的再生反応器302に輸送される。ライン394は、部分的に装填された吸着性物質を直接生物学的再生反応器302に輸送するものとして示されているが、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には、この部分的に装填された吸着性物質を吸着性物質せん断ゾーン386、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン387、吸着性物質源393、混合ゾーン360、または液体分離ゾーン370中に導入することができることが理解されよう。
【0129】
いくつかの実施形態では、高流束吸着性物質処理システム359および低流束吸着性物質生物学的再生反応器システム399内を含む、システム350全体の複数の場所に1つまたは複数のセンサを含むことができる。これらのセンサを手動で制御および操作されるシステムあるいは自動制御システムとともに採用して、プログラマブルロジック制御された廃水処理システム中に好適なプロセス修正形態を実装することができる。1つの実施形態では、システム350(あるいは高流束吸着性物質処理システム359および低流束吸着性物質生物学的再生反応器システム399)は、任意の好適なプログラムされた、または専用のシステム、PLC、あるいは分散制御システムであり得るコントローラ305を含む。ある特定の有機化合物および/または無機化合物の濃度は、1点鎖線で示されるコントローラ305と排出物ライン312との間でも、出口308と入口310にある中間排出物ラインとコントローラ305との間でも、排出物312、あるいは生物学的再生反応器302の出口308からの排出物と流体連通する1つまたは複数のセンサによって監視および測定することができる。別の実施形態では、入口301、351または310のうちの1つまたは複数において、揮発性有機化合物の濃度、あるいはシステムの他の特性および特徴を測定することができる。さらなる実施形態では、1点鎖線によって示されるコントローラ305と排出物ライン371の間で、吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン370の排出物371と流体連通する1つまたは複数のセンサによって、ある特定の有機化合物および/または無機化合物の濃度を監視および測定することができる。プロセス制御装置に関する当業者には、既知のセンサは、レーザ誘起蛍光に基づくセンサ、あるいは排出物中の有機もしくは無機化合物の濃度、またはシステムの他の特性もしくは特徴を本来の位置でリアルタイムで監視するのに好適な任意の他のセンサを含むことができる。使用することができるセンサは、TriOS Optical Sensors(ドイツ、オルデンブルク)から入手可能なenviroFlu−HCセンサなどの、検出のためにUV蛍光を使用する水中油測定において使用するための浸漬式センサを含む。センサはレンズを備えることができ、レンズは、コーティングされる、あるいはレンズ上で生じる汚染またはフィルムの量を予防または制限するように処理される。システム中の1つまたは複数のセンサが、1つまたは複数の有機および/または無機化合物の濃度があらかじめ規定された濃度を超えたことを示す信号を発生するとき、制御システムは、好適なフィードバックアクションまたはフィードフォワードアクションなどの応答性アクションを実装することができ、これらのアクションには、(コントローラ305と廃棄物排出ポート316に関連づけられたバルブとの間の点線によって示されるように)廃棄物排出ポート316を介して吸着性物質を除去すること、(コントローラ305と廃棄物排出ポート318に関連づけられたバルブとの間の点線によって示されるように)廃棄ライン318を介して循環活性汚泥を除去すること、(コントローラ305と吸着性物質源393に関連づけられたバルブとの間の点線によって示されるように)吸着性物質源393を介して、または他の場所のうちの1つで新しいまたは再生された吸着性物質を加えること、異なるタイプの吸着性物質を加えること、水理学滞留時間を修正すること、微生物に関する単純なカーボンフードなどの生物学的特徴を修正すること、あるいはリン、窒素、および/またはpH調節化学物質を加えること、および/または上述のまたは当業者には明らかになるであろう他の修正形態を含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0130】
さらなる実施形態では、吸着性物質を含有するスラリーの状態は、光学センサ、および/またはUV蛍光センサなど、(図3において陰影付けされた丸印で示される)1つまたは複数のセンサによって特徴づけることができる。たとえば、1つまたは複数のセンサは、流れ中の1つまたは複数の化合物の濃度を測定するために、ならびに/あるいはスラリー中の吸着性物質の質を決定するために、コントローラ305と流れ372との間の1点鎖線で示されるように、吸着性物質排出物流372と関連付けることができる。さらに、1つまたは複数のセンサは、生物学的再生反応器と吸着性物質せん断ゾーン386との間のラインとコントローラ305との間の1点鎖線で示されるように、生物学的再生反応器からの吸着性物質排出物流と関連付けることができ、および/または1つまたは複数のセンサは、コントローラ305と循環ライン389との間の1点鎖線で示されるように、吸着性物質循環ライン389と関連付けることができる。これらのセンサおよび/または他のセンサ、あるいは情報源のうちの1つまたは複数からの情報に基づいて、吸着性物質の吸着能力が低減していることが決定された場合、適切なフィードバックまたはフィードフォワードアクションが行われる。
【0131】
次に図4を参照すると、図3に示されたシステム354と同様の低濃度廃水処理システム454が概略的に示されている。システム454では、1つまたは複数の遠心分離器、ハイドロサイクロン、除濁装置、様々なタイプのフィルタ、または他の好適な分離デバイスであり得る吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン470が設けられる。吸着性物質沈殿/液体分離ゾーン470は、混合ゾーン460からの低濃度廃水および吸着性物質を含有する混合流461から液体を分離する。
【0132】
システム454のある特定の実施形態では、高流束吸着性物質システム459内の流量は、流れ451からの要求されるレベルの汚染物質を粒状活性炭などの吸着性物質に吸着し、排出物の義務づけられた品質レベルに合う、または補助的な3次処理システム490で都合よく処理するのに十分に低い汚染レベルで流れ471を排出できるようにするのに十分な滞留時間を提供するように制御される。低濃度廃水処理システム454の他の態様は、システム354に関して記載したものと実質的に同じであり、同様のまたは等価の構成要素を表すために、図4では、類似する参照符号を使用する。
【0133】
次に図5を参照すると、図4に示されたシステム454と同様の低濃度廃水処理システム554が概略的に示され、低流束吸着性物質生物学的再生反応器システム599は、膜操作システムではない生物学的反応器システムを含む。具体的には、低流束吸着性物質生物学的再生反応器再生システム599は、生物学的再生反応器502と、吸着性物質せん断ゾーン586と、吸着性物質/バイオマス分離ゾーン587と、固形物分離装置としての除濁/沈殿装置595とを含む。除濁/沈殿装置595は、除濁装置、沈殿装置、または除濁と沈殿の両方を実行する装置のいずれかであり得る。システムは、システム354と同様の方法で動作するが、膜操作システム304を含まない。代わりに、混合液中のバイオマスおよび任意の他の固形物を除去するために、除濁/沈殿装置595が使用される。具体的には、除濁/沈殿装置595により、活性汚泥を沈殿させることができ、活性汚泥は、循環活性汚泥ライン514を介して生物学的反応器502に戻される。除濁された液体は、排出物512として流される。除濁/沈殿タンク595は、図3、図4および/または図6に関して記載されるシステムのいずれかと置換することができる。低濃度廃水処理システム554の他の態様は、システム354に関して記載したものと実質的に同じであり、同様のまたは等価の構成要素を表すために、図5では、類似する参照符号を使用する。
【0134】
次に図6を参照すると、図3に示されるシステム354と同様の低濃度廃水処理システム654が概略的に示され、高流束吸着性物質システム659は、一体の混合/沈殿ユニット操作である。たとえば、ある特定の実施形態では、高流束吸着性物質システム659は、たとえば、Siemens Water Technologiesから市販されているタイプの連続バックウォッシュフィルタ、または(ウォールナットシェル媒体のない)連続再生ウォールナットシェルフィルタと同様の連続再生ろ過システムを含むことができる。吸着性物質は排出物672として除去され、排出物671は、そこから汚染物質が吸着された廃水である。ある特定の実施形態では、連続再生システムは、また、吸着性物質せん断ゾーン686と吸着性物質/バイオマス分離ゾーン687とを組み合わせて、あるいはそれらの代替物として、剥離機能を実行することができる。そのような実施形態では、連続バックウォッシュ高流束吸着性物質システム659から下流に吸着性物質/バイオマス分離ゾーンが設けられることを留意されたい。追加の実施形態では、高流束吸着性物質システム659は、従来の3次カーボンフィルタなどの吸着性物質ろ過装置を含み、処理された水は、流れ671として排出され、部分的に装填された吸着性物質672は、たとえば、従来の温風またはスチーム再生で処理されるのではなく、図3に関して記載されたものと同様に動作する、吸着された汚染物質を生物学的に処理するためのシステム699を使用して再生され、再生された吸着性物質688は、高流束吸着性物質システム659中に含まれる3次カーボンフィルタ中に導入される。低濃度廃水処理システム654の他の態様は、システム354に関して記載したものと実質的に同じであり、同様のまたは等価の構成要素を表すために、図6では、類似する参照符号を使用する。
【0135】
本発明の追加の実施形態では、本発明による、低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の高流束吸着性物質処理システムによって処理された廃水源は照射によってBOD化合物の一部分を含む1次固形物を処理するシステムからのものであり得る。具体的には、図7を参照すると、懸濁有機固形物、溶解有機固形物、および任意選択で無機物などの他の汚染物質を含有する流入廃水流701を処理するためのシステム700が示されている。流入廃水流701は、生物学的固形物を沈殿させることができる沈殿ゾーン、除濁装置、遠心分離機、フィルタ、スクリーン、ベルトプレス、ボルテックス分離機、浮揚デバイス、または他の固形物除去システムなどの1次分離システム753中に導入される。1次分離システム753において、固形物と、分解が容易な生物学的酸素要求量化合物(BOD)材料の一部とを廃水流から分離する。
【0136】
典型的な1次処理システムは、BOD濃度を約40%から約50%低減し、かつ、総浮遊物質濃度を約60%から約70%低減することができることが多い。この段階において除去される固形物は、より大きく、よりゆっくりとバイオ分解可能な浮遊物質であることが多く、排出物は、一般に、汚水中に存在するより揮発性で処理が容易な化合物の混合物である。また、追加のユニット操作を使用して、未処理の廃水中における溶解していない汚染物質の除去効率をより高めることができる。たとえば、1つまたは複数の遠心分離デバイス、沈殿デバイス、または浮遊デバイス(たとえば、溶解空気、誘導空気浮遊)を使用することができる。さらなる実施形態では、追加のユニット操作は、未処理の廃水中に存在する密度の低い固形物の少なくとも一部分を除去するように処理するための適切な化学化合物の添加を含むことができる。
【0137】
ある特定の実施形態では、溶解した汚染物質と浮遊物質のわずかな部分とを一般に含む水相を、何らかのレベルの生物学的不安定化合物を含有する廃水排出物、つまり低濃度廃水排出物751として排出し、次いで、たとえば、前述のシステム354、454、554または654のうちの1つまたは複数と同様の方法で動作する廃水処理システム754によって下流で処理することができる。一般にプロセス水、潅水または環境に優しい排出物としてリサイクルするのに好適な排出物712を排出する。未処理の生物学的固形物は、一般に、流入した液体を含有する固形排出物流774として、1次処理システム753から分離され、たとえば、固形物装填液体およびスラリーの処理に好適な汚水廃棄ポンプまたは漸進キャビティポンプ(図示せず)を使用して均質化ゾーン775に流され、そこで、固形物が、1つまたは複数のグラインダおよび/またはシュレッダなどの好適な機械装置によって均質化される。均質化ゾーン775により、確実に、固形物の小さな塊が下流の照射/殺菌ゾーン777中に全く導入されないようになり、それによって、最大レベルの殺菌が保証される。
【0138】
一般的にはスラリー形態の未処理の均質化された固形物776は、照射/殺菌ゾーン777にポンプで送られ、そこで、固形物は、たとえば、米国環境保護庁クラスAまたはBのバイオ固形物殺菌要件、または他の管轄権の義務づけられた汚泥殺菌要件を達成するように、ベータ線、ガンマ線、x線または電子ビーム照射を使用して殺菌される。したがって、殺菌された固形物778は、環境に優しい方法で廃棄される。
【0139】
図8に、土壌代用物として、または他の使用に再利用できるように不活性材料と混合された1次固形物の照射を含む廃水処理システムの他の実施形態を示す。具体的には、システム800はシステム700と同様であり、混合ゾーン763の操作が追加され、殺菌済み固形物778を砂、粘土および/または他の好適な充填材料などの不活性充填材料762と混合して、土壌、コンポストまたは肥料として有用であり得る生成物764を生成する。生成物764を提供することを含むシステム800は、毒性の有機化合物または無機化合物を有しない固形物を有する廃水を処理するために特に望ましい。
【0140】
任意選択で、システム700または800中に脱水ゾーンを設けてもよい。ただし、システム800では、殺菌済みの1次固形物と混合された砂または他の不活性材料によって、過剰な水を吸収することができる。
【0141】
ある特定の実施形態では、流入廃水701は、高濃度の金属、他の無機物、または毒性有機物を含む。したがって、好適なレベルまで殺菌した場合であっても、殺菌済みのバイオ固形物と充填材料との混合物は、土壌、コンポストまたは肥料生成物としては利用できない。しかしながら、殺菌済み材料をたとえば、乾燥した後、および/または好適な不活性材料と混合した後に埋立地に廃棄する実施形態であっても、かなりの資本コスト、エネルギーおよびサイズの恩恵を受けることができる。
【0142】
本発明のある特定の実施形態では、システムは、たとえば、スキッド、トラック車体、トレーラーなどに装着された可搬式システムとして構成される。可搬性により、3次処理システムをターンキーシステムとして製造および配送することができるようになる。また、可搬式またはスキッド装着式システムによって、たとえば、他の3次処理システムが稼働している、修理中である、または構築中である状況において、必要に応じて3次システムを設置することが容易になる。さらに、短期間で化学物質を処理し、特に処理が難しい廃水流を生成するある特定の施設は、本発明による可搬式またはスキッド装着式システムの恩恵を受けることができる。本発明のシステムの容易で迅速な設置のために、既存の廃水処理プラント中の標準的な継手またはポートと対合するように適合された配管継手を提供することができる。
【0143】
本発明のシステムおよび方法により、2次処理を既に施された廃水、たとえば、2次システムからの排出物を吸着性物質と2次排出物とが均質に混合される吸着性物質混合ゾーンを通して流すことによって、低濃度廃水の処理に関係する従来技術の問題が回避される。吸着性物質混合ゾーンを通過する時点では、2次排出物は実質的にすべての固形物、したがって、除去された高BOD化合物の大部分を有することを留意されたい。したがって、2次排出物は、廃水の強度があまりにも低く、生物学的に酸化することができず、あるいは生物学的酸化に一般に利用できる滞留時間よりもはるかに長い滞留時間を必要とする生物学的抵抗性化合物、生物学的阻害性化合物、無機化合物、またはこれらの組合せを含有するので従来の処理生物学的システムからの生物学的酸化には利用できない。一般に、通常の生物学的酸化ではもはや処理することができないこの流れをポリッシングするために、粒状活性炭吸着フィルタまたは別の3次処理システムなどのより多くのエネルギーを必要とする3次システムを使用する。
【0144】
本発明の低濃度廃水処理システムは、汚染物質をカーボン上に濃縮させることを可能にし、低強度廃水、または生物阻害性および/または生物学的抵抗性の化合物を含む生物学的に処理が難しい化合物を含む廃水の処理を行う。さらに、低濃度廃水に存在する無機化合物を吸着することができる。
【0145】
本発明の低濃度廃水処理システムは、一般的には、廃水を処理するために利用可能な最も低コストの除去技術である生物学的酸化を利用するので、現在使用されている方法に対する、より低コストの代替形態である。活性炭吸着槽は、一般に、操作が非常に高価であり、一般に、粒状活性炭を再生するための焼却処分に基づいてカーボンを再生するために非常に多くのエネルギーを必要とするプロセスを必要とする。活性炭槽の代わりまたはその補助として、本発明の3次処理システムを展開することにより、エネルギーをかなり削減することができる。その結果、削減されたエネルギー消費量に関連する二酸化炭素削減の炭素クレジットを産出することができる。
【0146】
本発明の低濃度廃水処理システム内の様々な操作のための容積要件は、同じ容積の廃水を処理するために使用される従来の膜生物学的反応器よりも大幅に小さくなり、膜を使用しない従来の汚水処理システムよりも大幅に小さくなる。
【0147】
本発明の低濃度廃水処理システムを使用すると、比較的低強度の廃水、本質的には、溶解した汚染物質と廃水中の少量の流入固形物のみの処理が可能になり、依然として、排出物は、廃水中にもともと存在した処理が難しい(抵抗性化合物)または単純な有機化合物を非常に低濃度で有する結果となる。ある特定の好ましい実施形態について、低濃度廃水の処理に関して記載し、「低濃度廃水処理システム」と称することを留意されたい。それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者には明らかなように、本発明の廃水処理システムは、何らかのレベルの生物学的不安定化合物、ならびにバイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを有する廃水を処理するために有利に採用することができる。たとえば、溶解生物学的不安定化合物を、バイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せとともに吸着性物質に吸着し、本明細書に記載される吸着性物質生物学的再生反応器システムに流すことができる。生物学的不安定化合物は、微生物をサポートするため、単独で、または2次栄養源とともに、食料として機能することができる。
【0148】
本発明のために有用な吸着性物質は、活性炭などの様々なタイプのカーボンを含む。具体的には、粒子のサイズ範囲および密度が、システムのあらかじめ規定された部分における保持が可能となるように選択され、それにより、膜を汚染するおよび/または摩耗させることを実質的に防止することができるので、粒状活性炭が非常に効果的である。
【0149】
粒状活性炭が大きなせん断力および/または粒子間衝突にさらされないシステムでは、木材、ココナツ、バガス、おがくず、泥炭、パルプ廃棄物、または他のセルロースベースの材料から粒状活性炭を製造することができる。1つの好適な例は、14×35の公称メッシュサイズ(米国標準篩系列に基づく)を有するMeadWestvaco Nuchar(登録商標)WV Bである。
【0150】
さらなる実施形態では、具体的には、ポンプおよび/またはジェットノズル中における乱流および/または粒子間衝突によってせん断アクションが生じる実施形態では、より高い硬度値を有する(1つまたは複数の)吸着性物質の使用が望ましい。たとえば、ビチューメンまたは石炭ベースの材料から導出される粒状活性炭が効果的である。特定の実施形態では、粒状活性炭は亜炭から導出される。
【0151】
また、処理プロセスおよび/または化学種とともに修正され、それにより、廃水中のある特定の化学種および/または金属に対する親和性を提供するカーボン材料を用意してもよい。たとえば、比較的高いレベルの水銀を有する廃水中においては、吸着性物質の少なくとも一部分は、ヨウ化カリウムまたは硫黄を含浸された粒状活性炭を含むのが好ましい。特定の金属、他の無機化合物および/または有機化合物に対処するために、他の処理および/または含浸された化学種を用意することができる。
【0152】
さらに、吸着材は、活性炭以外の材料とすることができる。たとえば、鉄系化合物または合成樹脂を、単独であるいは他の吸着性物質と組み合わせて、たとえば、粒状活性炭と組み合わせて、吸着性物質として使用することができる。さらに、ある特定の金属、他の無機化合物、または有機化合物を対象とする活性炭以外の処理された吸着性物質を使用してもよい。たとえば、比較的高いレベルの鉄および/またはマンガンを有する廃水中では、吸着材の少なくとも一部分は、媒体をろ過する粒子状二酸化マンガンを含むことができる。ヒ素を有する廃水中では、吸着材の少なくとも一部分は、粒子状酸化鉄複合材料を含むことができる。鉛または重金属を含む廃水中では、吸着材の少なくとも一部分は、粒状アルミノ−ケイ酸複合材料を含むことができる。
【0153】
1つの実施形態では、所望の比重範囲に基づいて吸着性物質を選択することができる。許容可能なエネルギー消費/コスト範囲内で吸着性物質を懸濁状態に維持するためには、廃水の比重範囲に比較的近い比重が望ましい。一方、分離が材料の迅速な沈殿に少なくとも部分的に基づく実施形態では、より高い比重がより好適である。一般に、比重は、20°Cの水中で約1.05よりも大きくなるのがより好ましい。ある特定の実施形態では、比重は、20°Cの水中で約1.10よりも大きい。ある特定の実施形態では、比重の好適な上限は、20°Cの水中で約2.65である。
【0154】
したがって、十分に懸濁し、したがって、廃水および汚染物質と十分に接触する比重範囲を有する吸着性物質が選択される。さらに、ある特定の実施形態では、比重範囲は、後に続く廃水からの吸着性物質の除去に十分な沈殿特徴を提供する。さらなる実施形態では、吸着性物質の比重の選択は、吸着性物質を懸濁状態に維持するために必要なエネルギーの最小化に基づく。
【0155】
さらに、粒状活性炭などの所望の吸着性物質は、粒子間衝突および他のプロセス効果に起因する微粉体または他の微粒子の生成を最小限に抑える硬度レベルを有する。
【0156】
分離サブシステムが吸着物質を保持し、それにより、膜操作システム中への通過を防止するように設計された吸着性物質のサイズは、膜操作システムに入る吸着性物質および微粉体の量を最小限に抑えるように最適化される。したがって、固形物分離装置が膜操作システムである実施形態では、活性炭を含む吸着性物質の使用と関連する動作上の利点をさらに提供しつつ、膜に衝突するカーボン粒子または他の粒子状材料によって引き起こされる摩耗および汚染が最小限に抑えられる。
【0157】
吸着性物質の好適な粒子サイズは、選択されたスクリーニング/分離方法、および、処理すべき特定の廃水の必要性を補完するように選択される。ある特定の好ましい実施形態では、吸着性物質の有効粒子サイズの下限は、膜が配置される(1つまたは複数の)膜操作システムタンクに入る混合液の流れから粒子が簡単に分離できるように選択される。一般に、吸着性物質の有効粒子サイズの下限は約0.3ミリメータであり、重量の約99.5%を超える吸着性物質は下限を上回り、好ましくは、(米国標準篩系列に基づくメッシュサイズ50からメッシュサイズ8に対応して)約0.3ミリメータの下限から約2.4ミリメータの上限を有し、重量の99.5%を超える吸着性物質は下限から上限までの範囲内にあり、ある特定の好ましい実施形態では、(米国標準篩系列に基づくメッシュサイズ50からメッシュサイズ14に対応して)約0.3ミリメータから約1.4ミリメータであり、重量の約99.5%を超える吸着性物質は下限および上限内にある。約0.5ミリメータから約0.6ミリメータの最小有効粒子サイズをもつ粒状活性炭は、好適な分離システムを用いて混合液から簡単にかつ効率的にスクリーニングすることができ、また、好適な密度の粒状活性炭中のそのような有効サイズは、懸濁状態に経済的に維持できることが実証された。
【0158】
バイオ分解に対して全体的に耐性のある化合物、生物学的阻害性化合物、および/または生物学的抵抗性化合物、あるいはこれらの組合せを吸着するために吸着性物質を使用することによって、有機化合物を生物学的に分解する有機物が、従来のシステムの水理学滞留時間によって制限されないので、プロセスは、従来のシステムよりもはるかに高い流量の廃水を処理することができるようになる。生物学的阻害性化合物および/またはある特定の生物学的抵抗性化合物は、延長された時間期間にわたって吸着性物質上にとどまり、したがって、微生物は、それらを分解するために何倍もの水理学滞留時間を有する。これにより、廃水流を処理するためのユニットを、吸着性物質を添加することなく、必要とされるよりも大幅に小さくすることができる。
【0159】
従来のシステムまたは粉末活性炭が添加された従来のシステムではなく、本発明の低濃度廃水処理システムを使用すると、排出物からの固形物分離のために膜を使用しない高流量の従来のシステム中で起こる固形物の沈殿に関連する問題がなくなる。
【0160】
本発明の低濃度廃水処理システムは、懸念される特定の汚染物質を選択して吸着するために特別に処理された吸着性物質を使用することによって、任意の特定の廃水中に存在し得る特定の汚染物質を処理するように修正することができる。たとえば、金属を吸着するために特別に処理された粒状活性炭または他の吸着性物質を高濃度の金属を有する廃水のために使用することができる。溶解した金属は、処理された粒状活性炭上に優先的に吸着し、次いで、排出物から除去することができる。吸着性物質の周期的な交換により、金属をシステムから除去し、所望のレベルの吸着能力を維持することが可能になる。
【0161】
本発明は、高コストの活性炭吸着槽、または操作が高価な複数の他の3次処理システムのうちのいずれかの永続的な設置に対する低コストの代替形態を提供する。さらに、本発明は、より簡素化され、設置面積がより小さく、操作コストがより低い廃水処理システムを提供し、そのシステムは、非常に短い時間期間で設定および操作することができ、必要に応じて、可搬式システム/装置として構成することができる。アップセット状態の期間、または廃水処理プラントが通常は処理することができない廃棄物を処理しなければならない場合に、展開することができる。
【0162】
本発明のシステムおよび方法により、高価な3次処理システムにおける排出物流全体の処理が回避される。本発明のシステムおよび方法は、低濃度廃水から汚染物質を吸着し、それらを低流束吸着性物質生物学的再生反応器と一体の高流束吸着性物質処理システム中で処理する。
【0163】
以前に開発された3次システムは、高価な活性炭吸着システムまたは何らかの他の高価な3次処理システムを用いて、低濃度の汚染物質を有する既存の廃水処理プラントから、排出物を処理することを試みる。これらのすべてにおいて、廃水流全体は、3次処理方法を用いて処理される。本発明のシステムおよび方法により、吸着によって廃水流全体から汚染物質を除去し、次いで、操作が比較的安価な低流束生物学的再生システム中において吸着性物質が処理される。
【0164】
本発明の方法およびシステムについて、上述し、添付の図面に示してきたが、当業者には修正形態が明らかであろう。本発明に関する保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水を処理するための方法であって、
汚染物質を廃水から吸着性物質上に吸着するために十分な時間にわたって、前記廃水を混合ゾーン中で前記吸着性物質と混合することと、
廃水と吸着性物質との前記混合物から前記廃水の大部分を分離し、除去することと、
その上に吸着された汚染物質を有する前記吸着性物質および前記廃水のわずかな部分を生物学的再生反応器に流すことと、
前記生物学的再生反応器中の微生物が、前記吸着された汚染物質の少なくとも一部分に対して生物学的に作用できるようにするための十分な時間期間にわたって、前記生物学的再生反応器中で前記吸着性物質および前記廃水を懸濁状態に保つことと、
前記生物学的再生反応器から生物学的に処理された廃水を排出することと、
再生吸着性物質を前記混合ゾーンに循環させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記廃水が、上流廃水処理プロセスを施された排出物である低濃度廃水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記廃水が、従来の生物学的反応器中における生物学的アクティビティをサポートするために必要とされる流入フィード濃度よりも低い汚染物質の濃度を有する低濃度廃水である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的再生反応器廃水から固形物を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固形物が、膜操作システムを使用して除去される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固形物が、除濁装置および/または沈殿装置を使用して除去される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記混合ゾーンに循環させる前に、前記吸着性物質から任意の蓄積されたバイオマスをせん断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記吸着性物質を前記混合ゾーンに循環させる前に、前記吸着性物質から前記バイオマスを分離することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
廃水の処理のためのシステムにおいて、
廃水入口、
吸着性物質入口、および
排出出口
を含む混合ゾーンと、
前記混合ゾーンの前記排出出口と連通するスラリー入口、
処理済み水出口、および
汚染吸着性物質出口
を含む吸着性物質沈殿/液体分離ゾーンと、
前記吸着性物質沈殿/液体分離ゾーンの前記汚染吸着性物質出口と連通する汚染吸着性物質入口を含む生物学的再生反応器、
生物学的処理済み水出口、および
前記混合ゾーンの前記吸着性物質入口と連通する再生吸着性物質出口
を含む吸着性物質生物学的再生反応器システムと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記生物学的処理済み水出口と連通する固形物分離装置をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記固形物分離装置が、膜操作システムである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記固形物分離装置が、除濁装置および/または沈殿装置である、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記再生吸着性物質出口と連通する入口と、前記混合ゾーンの前記吸着性物質入口と連通する出口とを含むせん断ゾーンをさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記せん断ゾーンの前記出口と連通する入口と、前記混合ゾーンの前記吸着性物質入口と連通する出口とを含む吸着性物質/バイオマス分離ゾーンをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記再生吸着性物質出口と連通する入口と、前記混合ゾーンの前記吸着性物質入口と連通する出口とを含む、吸着性物質からバイオマスをせん断し、分離するための装置をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記生物学的再生反応器が、吸着性物質からバイオマスをせん断し、分離するように構築され、配列される、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
低濃度廃水を排出する上流廃水処理システムをさらに備え、前記混合ゾーンの前記廃水入口が低濃度廃水入口である、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
廃水処理システムにおいて、
高流束吸着システムであって、
廃水を受けるための入口、
前記廃水に接触し、前記廃水から汚染物質を吸着するための吸着性物質源、
前記吸着性物質が接触した前記受けた廃水の大部分を排出するための液体出口、および
吸着された汚染物質を有する吸着性物質および前記受けた廃水のわずかな部分を排出するための吸着性物質出口
を含む高流束吸着システムと、
微生物が、吸着された有機汚染物質を分解できるようにするための十分な時間期間にわたって、吸着された汚染物質を有する前記吸着性物質を懸濁状態に維持するための低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムであって、前記低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムが、
前記高流束吸着システムの前記吸着性物質出口から、吸着された汚染物質をもつ吸着性物質を受けるための入口、
混合液出口、および
前記高流束吸着システムの前記吸着性物質源と連通する吸着性物質出口
を有する生物学的再生反応器
を含む、低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムと、
を備える、廃水処理システム。
【請求項19】
前記低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムが、
過剰に蓄積されたバイオマスを吸着性物質からせん断するためのせん断装置であって、前記せん断装置が、前記生物学的再生反応器内に配置され、および/または前記生物学的再生反応器から分離し、前記生物学的再生反応器から吸着性物質を受けるために前記吸着性物質出口に接続する、せん断装置と、
吸着性物質と浮遊バイオマスとの混合物から浮遊バイオマスを分離するための吸着性物質/バイオマス分離ゾーンと、
分離された吸着性物質を、前記吸着性物質/バイオマス分離ゾーンから前記高流束吸着システムに流すための吸着性物質導管と、
分離されたバイオマスを、前記吸着性物質/バイオマス分離ゾーンから前記生物学的再生反応器または前記生物学的再生反応器の下流の場所に流すためのバイオマス導管と、
をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムが、
前記生物学的再生反応器内にある吸着性物質から蓄積されたバイオマスをせん断し、分離するための複合装置であって、および/または前記生物学的再生反応器から分離し、前記生物学的再生反応器から吸着性物質を受けるために前記吸着性物質出口と接続し、分離された吸着性物質を排出するための出口と、浮遊バイオマスを排出するための出口とを有する複合装置と、
前記高流束吸着システムに吸着性物質を循環させるために前記複合装置の前記吸着性物質出口と連通する吸着性物質導管と、
分離されたバイオマスを前記生物学的再生反応器または前記生物学的再生反応器の下流の場所に流すために、前記複合装置の前記バイオマス出口と連通するバイオマス導管と、
をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムが、前記生物学的再生反応器の前記混合液出口と流体連通する膜操作システムをさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記低流束吸着性物質生物学的再生反応器システムが、前記生物学的再生反応器の前記混合液出口と流体連通する除濁装置および/または沈殿装置をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記高流束吸着システムが、混合ゾーンおよび沈殿ゾーンを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記高流束吸着システムが、吸着性物質ろ過装置を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記高流束吸着システムが、連続バックウォッシュフィルタを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記高流束吸着システムが、連続再生ろ過システムまたは連続再生ウォールナットシェルフィルタを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
低濃度廃水を排出する上流廃水処理システムをさらに備え、前記混合ゾーンの前記廃水入口が低濃度廃水入口である、請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムのパラメータを測定するように構築され、配列されたセンサと、
前記センサと電子通信し、前記システムの前記測定されたパラメータに基づいて行為の実行を命令するようにプログラムされたコントローラと、
をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記測定されたパラメータが、1つまたは複数のあらかじめ規定された化合物の濃度である、請求項28に記載の廃水処理システム。
【請求項30】
前記行為が、前記生物学的再生反応器から前記吸着性物質の少なくとも一部分を除去することを含む、請求項28に記載の廃水処理システム。
【請求項31】
前記行為が、前記生物学的再生反応器に吸着性物質を加えることを含む、請求項28に記載の廃水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−532747(P2012−532747A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519715(P2012−519715)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041317
【国際公開番号】WO2011/005927
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511304464)サウジ アラビアン オイル カンパニー (4)
【出願人】(510002268)シーメンス インダストリー インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
【住所又は居所原語表記】3333 Old Milton Parkway, Alpharetta, GA 30005−4437, United States of America
【Fターム(参考)】