説明

作業機械の走行制御装置

【課題】 作業機械の走行制御装置に関し、簡素な構成で、旋回操作と走行操作との連動時における作業機械の挙動を改善し、操作性及び乗り心地を向上させる。
【解決手段】 走行装置17a,17bを装備した下部走行体11と、その上部に旋回可能に搭載された上部旋回体と、走行装置17a,17bによる走行方向及び走行速度を設定するための走行操作手段5a,5bと、を有する作業機械10において、該上部旋回体の下部走行体11に対する相対的な旋回角度を検出する旋回角度検出手段1と、旋回角度検出手段1で検出された該旋回角度が直角に近いほど、該走行速度を減少させて走行装置17a,17bを駆動する減速制御手段2aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部走行体と上部旋回体を備えた作業機械において、上部旋回体の旋回時における下部走行体の走行制御に用いて好適な、作業機械の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機械において、クローラ式やタイヤ式の走行装置を下部走行体に装備し、その上部に旋回自在の上部旋回体を搭載したものが開発されている。この種の作業機械では、旋回時の視界を広くとるために、運転席を備えるキャブが上部旋回体の上に設けられている。キャブ内部には、上部旋回体に取り付けられる各種作業装置や上部旋回体を旋回させるための旋回装置等を操作するための操作レバー,スイッチ類が設けられる。また、下部走行体の走行装置用の操作レバーもキャブの内部に設置されており、この走行用操作レバーが前方又は後方へ操作されると、走行装置がこれに応じて駆動され、下部走行体が前方又は後方へ走行するようになっている。
【0003】
ところで、上部旋回体は下部走行体に対して旋回自在に設けられているため、旋回角度によっては、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とが一致しない場合がある。例えば、上部旋回体が下部走行体とは逆方向を向いている状態では、走行用操作レバーの操作方向と下部走行体の走行方向とが運転者にとって逆向きとなる。したがって、旋回を伴う作業下において作業機械を移動させたい場合に、運転者は、上部旋回体の下部走行体に対する向きを確認してから、走行用操作レバーを操作しなければならず、操作が煩雑となる。
【0004】
そこで、下部走行体に対する上部旋回体の相対的な旋回角度に応じて、走行用操作レバーの操作方向と走行装置の走行方向との対応付けを切り換える技術が開発されている。例えば、特許文献1には、通常時に走行用操作レバーの前後方向への操作に応じて走行装置を前進,後退方向へ駆動する作業機械において、上部旋回体が下部走行体とは逆方向を向いているときには、走行用操作レバーが前方へ操作されると下部走行体を後退させるとともに、走行用操作レバーが後方へ操作されると下部走行体を前進させる技術が開示されている。このような構成によれば、上部旋回体の旋回角度に関わらず、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とを一致させることができる。
【0005】
しかし、上記のような構成では、上部旋回体を旋回させつつ下部走行体を走行させたような場合に、走行動作が不安定となる場合がある。すなわち、運転者によって走行用レバーが同一方向へ操作され続けていたとしても、旋回動作によって上部旋回体の向きが逆方向へ変化した場合には、走行方向が急に反転することになる。このような走行動作の変化が運転者の意図しないものである場合には、乗り心地が悪化してしまう。
【0006】
特に、上部旋回体が下部走行体に対して略横向きの状態で作業を行う場合には、走行用操作レバーの操作方向が同一であっても、僅かな旋回角度の違いで下部走行体の走行方向が反転してしまうため、運転者にとってかえって使いにくく感じられることになり、良好な操作性が得られない。
このような課題に対し、特許文献2には、上部旋回体の旋回角度が下部走行体に対して略横向きとなる所定の角度範囲内にあるときに、下部走行体の走行を停止させる技術が開示されている。つまり、特許文献1に記載の技術における走行用操作レバーの操作方向と走行装置の走行方向との対応付けを切り換える閾値(例えば、90°という旋回角度)にある程度の幅を持たせることによって、走行方向の急反転を防止している。
【特許文献1】特開昭57−48044号公報
【特許文献2】特公平7−59823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、上部旋回体を旋回させつつ下部走行体を走行させた場合に、上部旋回体の旋回角度が所定の角度範囲内に入ると、走行が急に停止するため、作業機械全体の慣性力によるショック(車体振動)が発生するおそれがある。特に、車体重量の大きい作業機械の場合には慣性力も大きくなるためショックも大きくなり、運転者にとって良好な乗り心地が得られない。
【0008】
また、例えば特許文献2に記載の技術において、上部旋回体の旋回角度が所定の角度範囲内に入ると走行が停止することになるが、このとき、走行の停止で生じる慣性力によって上部旋回体が僅かに振られて旋回角度が所定範囲外へ出てしまうと、再び車両が走行を開始して、さらに大きなショックが発生することも考えられる。つまり、制御にハンチングが生じ、良好な操作性が得られない。
【0009】
このように、上部旋回体と下部走行体とを備えた従来の作業機械では、運転者の意図と実際の作業機械の挙動とを一致させようとすると操作性や乗り心地を十分に向上させることができない、という課題がある。
本発明は、これらのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、旋回操作と走行操作との連動時における作業機械の挙動を改善することができ、操作性及び乗り心地を向上させることができるようにした、作業機械の走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項1)は、走行装置を装備した下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に設けられ該走行装置による走行方向及び走行速度を設定するための走行操作手段(走行操作レバー)と、を有する作業機械において、該上部旋回体の方向の該下部走行体の方向に対する相対角度を検出する旋回角度検出手段(旋回角度検出装置)と、該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角に近いほど、該走行速度を減少させて該走行装置を駆動する減速制御手段(減速制御部)とを備えたことを特徴としている。
【0011】
例えば、走行操作手段で設定される走行速度が一定である場合であっても、旋回角度が0°(すなわち、上部旋回体の向きが下部走行体の向きと同じ状態)から徐々に大きくなると、走行速度が低下することになる。そして、下部走行体に対して上部旋回体が横向きとなり旋回角度が90°前後になったときに、走行速度の減少補正量が最大となるように構成する。
【0012】
また、該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角を含む所定の第1範囲内にあるときに、該走行装置を停止させる走行停止制御手段(走行停止制御部)を備えることが好ましい(請求項2)。
あるいは、該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角よりも大きい所定の第2範囲内にあるときに、該走行操作手段で設定される該走行方向を反転させて該走行装置を駆動する反転走行制御手段(反転走行制御部)を備えることが好ましい(請求項3)。
【0013】
なお、該作業機械が、該走行装置を駆動する油圧モータと、該油圧モータへ作動油を供給する油圧ポンプ(メインポンプ)と、該油圧モータと該油圧ポンプとの間の油圧回路上に介装され、導入されるパイロット圧の大きさ及び供給方向に応じて該油圧ポンプから該油圧モータへ供給される作動油の流量及び流通方向を制御する制御弁(コントロールバルブ)と、該制御弁へ導入される該パイロット圧の供給方向を制御するための切換弁(前後進切換バルブ)と、該制御弁へ導入される該パイロット圧の大きさを制御するための比例弁(電磁比例弁)と、を備えた油圧回路を搭載し、該走行操作手段が、操作量に応じた方向及び大きさの該パイロット圧を該制御弁へ導入すべく該油圧回路上に配設されているとともに、該減速制御手段が、該旋回角度検出手段で検出された該相対角度に応じて該比例弁の開度を制御することが好ましい(請求項4)。
【0014】
また、該走行停止制御手段が、該相対角度が該第1範囲内にあるときに、該比例弁を閉鎖して該走行装置を停止させることが好ましい(請求項5)。
さらに、該反転走行制御手段が、該相対角度が該第2範囲内にあるときに、該切換弁を切り換えて該走行方向を反転させることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の作業機械の走行制御装置(請求項1)によれば、運転者の誤認識による操作ミスを抑制することができる。つまり、上部旋回体の向きが下部走行体の向きに対して直角に近いほど、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とが一致しにくくなるが、本構成によれば、旋回の相対角度(すなわち、旋回角度)が直角に近いほど走行速度が減速するため、作業機械が大きく移動する前に、運転者の意図と実際の作業機械の挙動とのずれを運転者に認識させることができる。したがって、運転者が意図しない方向への走行を抑制することができ、作業機械の挙動を改善することができる。
【0016】
また、上部旋回体の旋回角度が直角となったときに走行が急に停止するのではなく、旋回角度が直角へ近づくに連れて徐々に停止するため、走行停止時のショックを防止することができ、運転者にとっての乗り心地を向上させることができる。またこれにより、制御のハンチングを防止することができ、操作性を向上させることができる。
また、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項2)によれば、作業機械の走行中の旋回時には徐々に走行速度が減少し、上部旋回体の旋回角度が第1範囲内に入ったときには十分に走行速度が低下した状態で走行が停止するため、走行停止によって生じる慣性力を小さくすることができる。これにより、旋回操作と走行操作との連動時における操作性をより向上させることができる。
【0017】
また、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項3)によれば、上部旋回体の向きと下部走行体の向きとが反対向きである場合に、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とを一致させることができ、より操作性を向上させることができる。また、たとえ運転者によって走行操作手段が同一方向へ操作され続けていたとしても、旋回操作により走行方向が急に反転するようなことがなく、乗り心地を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項4)によれば、簡素な構成で走行速度を容易に減速させることができる。また、比例弁の開度制御により制御弁へ供給されるパイロット圧、すなわち一次圧の大きさが制御されるようになっているため、油圧回路上の作動油圧、すなわち二次圧を変更することなく走行速度を制御することができる。
また、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項5)によれば、簡素な構成で容易に走行装置を停止させることができる。
【0019】
また、本発明の作業機械の走行制御装置(請求項6)によれば、簡素な構成で容易に走行方向を切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図6は、本発明の一実施形態としての作業機械の走行制御装置を示すものであり、図1は本走行制御装置の全体構成を示す油圧回路図、図2は本走行制御装置による制御内容を説明するための模式図、図3は上部旋回体の旋回角度に応じて設定される電磁比例弁の開度を説明するためのグラフ、図4は本走行制御装置による制御内容を示すフローチャート、図5は走行用操作レバーの操作量と走行速度との関係を示すグラフ、図6は本走行制御装置が適用された作業機械の全体構成を示す斜視図である。
【0021】
[1.構成]
(1−1.全体構成)
図6に示すように、本走行制御装置が適用された作業機械としての油圧ショベル10は、左右一対のクローラ式の走行装置17a,17bを装備した下部走行体11と、下部走行体11の上部に搭載された上部旋回体13とを備えて構成される。左右の走行装置17a,17bにはそれぞれ油圧モータ16が設けられており、各油圧モータ16が各走行装置17a,17bを互いに独立して駆動する。
【0022】
上部旋回体13には、運転者が搭乗するキャブ14やブーム,スティック等の作業装置15が設けられている。この上部旋回体13は、下部走行体11に対し旋回装置12を介して取り付けられており、旋回装置12を旋回駆動すると上部旋回体13が下部走行体11に対して自在に旋回するようになっている。
旋回装置12の内部には、上部旋回体13の向きの下部走行体11の向きに対する相対的な旋回角度(相対角度)θを検出する旋回角度検出装置(旋回角度検出手段)1が取り付けられている。
【0023】
ここでいう下部走行体11の向きとは、下部走行体11のうち油圧モータ16が後ろにある時の正面側(アイドラ側)の向きのことであり、上部旋回体13の向きとは、キャブ14の正面側の向きのことである。なお一般に、油圧モータ16で駆動されるファイナルドライブ(駆動輪)は下部走行体11の後方側に配置され、一方、アイドラ(従動輪)は下部走行体11の前方側に配置されている。
【0024】
また、下部走行体11の向きと上部旋回体13の向きが一致する状態を基準状態として、旋回角度θがθ=0°の状態とする。また、θ=0°の状態から左方向への旋回角度を正の角度とし、右方向への旋回角度を負の角度とする。旋回角度検出装置1は、このような旋回角度θ(−180°≦θ≦180°)を検出する。ここで検出された旋回角度θは、後述するコントローラ2へ入力される。
【0025】
ここで適用される旋回角度検出装置1としては、例えば、旋回装置12内部における上部旋回体13側と下部走行体11側との摺動部分に公知のポテンショメータやロータリーエンコーダを設けて、相対的な回転角度を検出するもの等が考えられる。
また、キャブ14内部には、運転者が各走行装置17a,17bや旋回装置12の作動量を設定するための複数の操作レバー,操作スイッチ類が設けられており、その操作内容に応じて走行装置17a,17b,旋回装置12が制御される。
【0026】
(1−2.メイン油圧回路構成)
本油圧ショベル10の走行装置に係る油圧回路を図1に示す。まず、図中太実線で示すメイン油圧回路上には、一対の油圧モータ16(以下、各油圧モータに符号16a,16bを付す)と、一対のコントロールバルブ(制御弁)8A,8Bと、メインポンプ(油圧ポンプ)9とが備えられている。メインポンプ9は、各油圧モータ16a,16bへ作動油を供給する駆動源として設けられた油圧ポンプである。また、コントロールバルブ8A,8Bは、メインポンプ9と各油圧モータ16a,16bとの間の回路上にそれぞれ介装された制御弁であり、各油圧モータ16a,16bへ供給される作動油の供給方向及び供給量を制御する。
【0027】
油圧モータ16a,16bは、供給される作動油量(単位時間当たりの流量)に応じた回転数で回転する。つまり、供給される作動油量が多いほど、走行装置の走行速度が増加する。また、走行装置の走行方向は、コントロールバルブ8A,8Bで制御される作動油の供給方向に対応する。例えば、図1中における矢印A方向へ作動油が供給されると、走行装置17a,17bは前進方向へ作動する。
【0028】
コントロールバルブ8A,8Bは、ステム(流量制御スプール)の位置を3つの位置に連続的に切り替え可能なスプール弁である。各コントロールバルブ8A,8Bのステムの位置は、図中実線で示されるパイロット回路内の作動油圧(パイロット圧)の大きさに応じて制御される。コントロールバルブ8Aの両端部には、パイロット圧が導入されるパイロット室8a,8bが形成されており、また、コントロールバルブ8Bの両端部にも、パイロット室8c,8dが形成されている。
【0029】
両端部のパイロット室のうちの何れか一方に導入されたパイロットの油圧力によりステムの位置を移動させて、油圧ポンプ9と各油圧モータ16a,16bとの間の作動油流路を形成する。両端部のパイロット室へ導入されるパイロット圧が遮断された場合には、ステムの位置が中立位置となり、油圧ポンプ9と各油圧モータ16a,16bとの間の作動油回路が遮断されるようになっている。つまり、コントロールバルブ8A,8Bの開度は、パイロット圧の大きさに応じて変化する。
なお、ここで示されているコントロールバルブ8A,8Bは、各油圧モータ16a,16bへ供給する作動油量を制御するための弁として挙げられた一例である。
【0030】
(1−3.パイロット油圧回路構成)
コントロールバルブ8A,8Bのパイロット回路上には、前後進切換バルブ(切換弁)6,電磁比例弁(比例弁)3,リモコンバルブ4及びパイロットポンプ7が設けられる。パイロットポンプ7は、コントロールバルブ8A,8Bの各ステムを駆動するためのパイロット作動油を供給する油圧ポンプである。パイロットポンプ7とコントロールバルブ8A,8Bとの間のパイロット回路上には、リモコンバルブ4が介装されている。
【0031】
このリモコンバルブ4は、走行用操作レバー5a,5bの操作方向及び操作量に応じて、パイロット回路内の作動油の流通方向及び油圧の大きさ(すなわちパイロット圧)を制御するバルブユニットであり、各走行用操作レバー5a,5bにそれぞれ二個ずつ、合計四個の流量制御弁4a〜4dを備えて構成される。なお、走行用操作レバー5a,5bとは、走行装置17a,17bの作動量を設定すべくキャブ14内に設けられた操作レバーである。
【0032】
例えば図1中において、走行用操作レバー5aが矢印B方向へ操作されると、流量制御弁4aの開度が開放される。これにより、パイロットポンプ7から吐出されたパイロット作動油によりパイロット作動油が通路L1内へ導入されてコントロールバルブ8Aのパイロット室8aへと供給される。一方、走行用操作レバー5aが矢印C方向へ操作されると、流量制御弁4bの開度が開放され、パイロット圧が通路L2内へ導入されてコントロールバルブ8Aのパイロット室8bへと供給される。
【0033】
なお、走行用操作レバー5bについても同様であり、矢印D方向への操作により流量制御弁4cの開度が開放されてパイロット圧が通路L3内へ導入され、コントロールバルブ8Bのパイロット室8cへと導かれるようになっている。また、矢印E方向への操作により流量制御弁4dの開度が開放されてパイロット圧が通路L4内へ導入され、コントロールバルブ8Bのパイロット室8dへと導かれるようになっている。
【0034】
各通路L1〜L4上には、一つずつ電磁比例弁3a〜3dが介装されている。この電磁比例弁3a〜3dは、後述するコントローラ2によって開度制御される圧力制御弁であり、各通路L1〜L4のパイロット圧を調節するようになっている。
さらに、各電磁比例弁3a〜3dよりも下流側の各通路L1〜L4上には、前後進切換バルブ6が介装されている。この前後進切換バルブ6は、各通路L1〜L4とコントロールバルブ8A,8Bの各パイロット室8a〜8dとの接続関係を切り換えるための方向制御弁であり、コントローラ2によってそのスプール位置を制御されてパイロット作動油の流路を切り換えるようになっている。
【0035】
(1−4.コントローラ構成)
コントローラ2は、旋回角度検出装置1で検出された旋回角度θに応じて電磁比例弁3a〜3d及び前後進切換バルブ6を制御する電子制御装置であり、減速制御部(減速制御手段)2aと走行停止制御部(走行停止制御手段)2bと反転走行制御部(反転走行制御手段)2cとを備えて構成されている。減速制御部2a及び走行停止制御部2bは、主に電磁比例弁3a〜3dの開度を制御する制御部であり、一方、反転走行制御部3cは、主に前後進切換バルブ6のスプール位置を切換制御する制御部である。
【0036】
〔1−4−A.減速制御部〕
減速制御部2aは、旋回角度検出装置1で検出された旋回角度θが90°(すなわち、下部走行体11の向きに対する直角であって、以下単に角度θCと表記する)に近いほど、電磁比例弁3a〜3dの開度を閉鎖方向へ制御する。
まず、旋回角度θの絶対値|θ|が角度θC未満である場合、すなわち、上部旋回体13が、下部走行体11に対して真横向きの状態よりも下部走行体11の前方を向いている場合であって、旋回角度θの絶対値が予め設定された第1角度θA以上、かつ、θCよりも小さい所定の第2角度θB未満であるとき(0<θA<θB<θCであって、θA≦θ<θBまたは−θB<θ≦−θAであるとき)に、|θ|が大きいほど電磁比例弁3a〜3dの開度を閉鎖方向へ駆動して、各通路LA〜LD内のパイロット圧を低下させるようになっている。
【0037】
また、旋回角度θの絶対値|θ|が角度θC以上である場合、すなわち、上部旋回体13が下部走行体11に対して真横向きの状態よりも下部走行体11の後方を向いている場合であって、旋回角度θの絶対値|θ|が予め設定された第3角度θDより大きく、かつ、2θCよりも小さい所定の第4角度θE以下であるとき(θC<θD<θE<2θCであって、θD<θ≦θEまたは−θE≦θ<−θDであるとき)には、|θ|が小さいほど電磁比例弁3a〜3dの開度を閉鎖方向へ駆動して、通路LA〜LD内のパイロット圧を低下させるようになっている。
【0038】
つまり、減速制御部2aは、上部旋回体13の下部走行体11に対する向きが真横向きとなる状態に近づくほど、コントロールバルブ8A,8Bへ導入されるパイロット圧を小さくして、コントロールバルブ8A,8Bを中立状態に近づけ、メインポンプ9から各油圧ポンプ16a,16bへ供給される作動油量を減少させて、下部走行体11の走行速度を減少させるようになっている。
【0039】
なお、具体的には、以下に示す式1,式2に基づいて電磁比例弁3a〜3dの各開度Vを設定する。
(1)θA≦|θ|<θBの場合
【0040】
【数1】

(2)θD<|θ|≦θEの場合
【0041】
【数2】

【0042】
これにより、例えば旋回角度θがθ=θAの状態では、電磁比例弁3a〜3dの開度VがV=100[%]に制御されているが、θが大きくなるに連れて徐々にVが減少し、θ=θB近傍になると、V≒0[%]に制御され、開度が略完全に閉鎖される。
なお、上記の角度θA,θB,θD及びθEの具体的な設定値は、上記条件下において任意であるが、その一例としては、θA=45°,θB=80°,θD=100°,θE=135°とすること等が考えられる。
【0043】
〔1−4−B.走行停止制御部〕
走行停止制御部2bは、旋回角度θの絶対値|θ|が第2角度θB以上、かつ、第3角度θD以下であるとき(θB≦θ≦θDまたは−θD≦θ≦−θBであるとき)に、|θ|の大きさに関わらず、電磁比例弁3a〜3dを完全に閉鎖するように制御する。つまり、電磁比例弁3a〜3dの開度VをV=0に設定して通路LA〜LD内のパイロット圧を抜き、コントロールバルブ8A,8Bを中立状態に制御する。つまり、走行停止制御部2bは、下部走行体11に対する上部旋回体13の向きが、直角を含む所定の第1範囲(θB≦|θ|≦θD)内にあるときに、走行速度の減少補正量を最大としてメインポンプ9から各油圧ポンプ16への作動油供給を停止させ、下部走行体11の走行を停止させるように機能する。
なお、減速制御部2a及び走行停止制御部2bにおける電磁比例弁3a〜3dの開度の設定量と旋回角度θの絶対値|θ|との関係をまとめて図示すると、図3に示すようなグラフとなる。
【0044】
〔1−4−C.反転走行制御部〕
反転走行制御部2cは、旋回角度θの絶対値|θ|がθC未満であるときに、前後進切換バルブ6を制御して、図1に示すように、各通路L1〜L4をそれぞれ各パイロット室8a〜8dへ接続させる制御を行う。一方、旋回角度θの絶対値|θ|がθC以上であるときには、前後進切換バルブ6を切り換える制御を行う。本実施形態では、通路L1,L2,L3及びL4を、それぞれ、パイロット室8d,8c,8b及び8aへ連結させるように切り換える。
【0045】
これにより、例えば上部旋回体13のキャブ面側が下部走行体11のアイドラ側と同じ方向を向いている状態では、走行用操作レバー5aを矢印B方向へ操作した時に一方の走行装置17aが下部走行体11の基準状態に対して前進するとすれば、上部旋回体13が下部走行体11と逆方向を向くと、同じ操作によって他方の走行装置17bが下部走行体11の基準状態に対して後退することになる。
【0046】
つまり、反転走行制御部2cは、上部旋回体13の下部走行体11に対する旋回角度が直角よりも大きい所定の第2範囲内にあるときに、走行用操作レバー5a,5bで設定される走行方向及び左右の走行装置17a,17bへの対応を反転させるように機能する。この所定の第2範囲とは、上部旋回体13の向きが下部走行体11の向きに対して逆方向となる旋回角度の範囲のことであり、下部走行体11の向きを基準方向とした後方側の旋回角度範囲を意味する。
【0047】
なお、コントローラ2は、旋回角度θの絶対値|θ|が第1角度θA未満の場合や第4角度θEよりも大きい場合には、電磁比例弁3a〜3dの開度VをV=100[%]に設定し、電磁比例弁3a〜3dを完全に開放する制御を実施するようになっている。
【0048】
[2.フローチャート]
図4を用いて本走行制御装置の制御内容を説明する。本フローチャートは、コントローラ2内において所定周期で繰り返し実行されている。
【0049】
まずステップA10では、旋回角度検出装置1において、上部旋回体13の下部走行体11に対する旋回角度θが検出される。続くステップA20では、ステップA10で検出された旋回角度θの絶対値|θ|が第1角度未満θAであるか否かが判定される。ここでは、下部走行体11に対する上部旋回体13の向きが、図2中における「通常走行領域」内にあるか否か(基準位置から左右に第1角度θA旋回する範囲内にあるか否か)が判定される。ここで、−θA<θ<θA(|θ|<θA)である場合には、ステップA30へ進む。また、この条件が成立しない(|θ|≧θA)場合には、ステップA40へ進む。
【0050】
ステップA30では、上部旋回体13の旋回角度θが「通常走行領域」内にあるため、コントローラ2において、電磁比例弁3a〜3dの開度VがV=100[%]に制御されて、このフローを終了する。これにより、電磁比例弁3a〜3dが完全に開放されるため、リモコンバルブ4の開放によって導かれるパイロット圧は低下することなく各コントロールバルブ8A,8Bのパイロット室8a〜8dへ導入される。
【0051】
一方、ステップA40では、旋回角度θの絶対値|θ|が第2角度未満θBであるか否かが判定される。ここでは、上部旋回体13の向きが下部走行体11に対して、図2中における「第1減速領域」にあるか否かが判定される。ここで、−θB<θ<θB(|θ|<θB)である場合には、ステップA50へ進む。また、この条件が成立しない(|θ|≧θB)場合には、さらにステップA70へ進む。
【0052】
ステップA50では、上部旋回体13の旋回角度θが「第1減速領域」内にあるため、減速制御部2aにおいて、電磁比例弁3a〜3dの開度Vが上記の式1に従って設定される。そして続くステップA60において、ステップA50で設定された開度Vとなるように、各電磁比例弁3a〜3dが制御されて、このフローを終了する。
ここで、第1角度θA,第2角度θB及び角度θCの大小関係は、θA<θB<θCとなっているため、旋回角度θの絶対値|θ|が大きく角度θCに近いほど、電磁比例弁3a〜3dの開度Vが小さくなるように制御される。つまり、上部旋回体13の下部走行体11に対する向きが直角に近いほど、コントロールバルブ8A,8Bへ供給されるパイロット圧が小さくなるため、コントロールバルブ8A,8Bが中立状態に近づき、下部走行体11の走行速度が減少することになる。
【0053】
ステップA40での条件が成立しなかった場合、ステップA70では、旋回角度θの絶対値|θ|が角度θC(90°)未満であるか否かが判定される。ここでは、上部旋回体13の向きが下部走行体11に対して、図2中における「走行禁止領域(第1範囲)」内かつ「第2範囲」外に位置しているか否かが判定される。つまり、上部旋回体13の向きが、下部走行体11の向きを基準方向とした前方側であって「走行禁止領域」内にあるか否かが判定される。ここで、−θC<θ<θC(|θ|<θC)である場合には、ステップA80へ進む。また、この条件が成立しない(|θ|≧θC)場合には、ステップA100へ進む。
【0054】
ステップA80では、上部旋回体13の旋回角度θが「走行禁止領域」内にあるため、走行停止制御部2bにおいて、電磁比例弁3a〜3dの開度VがV=0に設定される。そして続くステップA90において各電磁比例弁3a〜3dの開度が完全に閉鎖されるように制御がなされ、このフローを終了する。つまりこの場合、パイロット作動油がコントロールバルブ8A,8Bへほとんど供給されなくなり、コントロールバルブ8A,8Bが中立状態となって、下部走行体11の走行が停止することになる。
【0055】
一方、ステップA70において、|θ|≧θCであると判定された場合には、少なくとも旋回角度θが第2範囲内に位置していることになるため、ステップA100では、反転走行制御部2cにおいて前後進切換バルブ6が切り換えられる。これにより、通路L1,L2,L3及びL4が、それぞれパイロット室8d,8c,8b及び8aへ連結するようにパイロット油圧回路が切り換えられる。したがって、走行用操作レバー5a,5bで設定される走行方向及び左右の走行装置17a,17bへの対応関係は、図1に示された状態から、反転することになる。
【0056】
続くステップA110では、旋回角度θの絶対値|θ|が第3角度未満θDであるか否かが判定される。ここでは、上部旋回体13の旋回角度θが、図2中における「走行禁止領域(第1範囲)」内かつ「第2範囲」内に位置しているか否かが判定される。ここで、−θD<θ<θD(|θ|<θD)である場合には、ステップA120へ進む。また、この条件が成立しない(|θ|≧θD)場合には、ステップA140へ進む。
【0057】
ステップA120では、上部旋回体13の旋回角度θが「走行禁止領域」内にあるため、ステップA80と同様に、走行停止制御部2bにおいて、電磁比例弁3a〜3dの開度VがV=0に設定される。そして続くステップA130において各電磁比例弁3a〜3dの開度が完全に閉鎖されるように制御がなされ、このフローを終了する。つまりこの場合、コントロールバルブ8A,8Bが中立状態となり、下部走行体11の走行が停止する。
【0058】
なお、ステップA140へ進んだ場合、旋回角度θの絶対値|θ|が第4角度未満θEであるか否かが判定される。ここでは、上部旋回体13の旋回角度θが、図2中における「第2減速領域」に位置しているか否かが判定される。ここで、−θE<θ<θE(|θ|<θE)である場合には、ステップA150へ進む。また、この条件が成立しない(|θ|≧θE)場合には、さらにステップA170へ進む。
【0059】
ステップA150では、上部旋回体13の旋回角度θが「第2減速領域」内にあるため、減速制御部2aにおいて、電磁比例弁3a〜3dの開度Vが上記の式2に従って設定される。そして続くステップA160において、ステップA150で設定された開度Vとなるように、各電磁比例弁3a〜3dが制御されて、このフローを終了する。
ここで、角度θC,第3角度θD及び第4角度θEの大小関係は、θC<θD<θEとなっているため、旋回角度θの絶対値|θ|が小さく角度θCに近いほど、電磁比例弁3a〜3dの開度Vが小さくなるように制御される。つまり、上部旋回体13の旋回角度θが直角に近いほど、コントロールバルブ8A,8Bへ供給されるパイロット圧が小さくなるため、コントロールバルブ8A,8Bが中立状態に近づき、下部走行体11の走行速度が減少する。
【0060】
ステップA140での条件が成立しなかった場合、上部旋回体13の旋回角度が第2範囲側の「通常走行領域」内にあることになるため、コントローラ2において、電磁比例弁3a〜3dの開度VがV=100[%]に制御されて、このフローを終了する。これにより、電磁比例弁3a〜3dが完全に開放されるため、リモコンバルブ4の開放によって導かれるパイロット圧は低下することなく各コントロールバルブ8A,8Bのパイロット室8a〜8dへ供給される。
【0061】
なお、上記のフローチャートに従った制御において、電磁比例弁3a〜3dの開度Vと下部走行体11の走行速度との間に比例関係があると仮定した場合、旋回角度θの大きさと下部走行体11の最大走行速度(走行用操作レバー5a,5bが何れか一方向へ最大操作された場合の走行速度)との関係を図示すると、図5に示すようになる。
まず、旋回角度θがθ=0の状態では、最大走行速度が制限されていない通常状態である。旋回角度θがθ=0の状態から徐々に大きくなり第1角度θAを超えると、最大走行速度が徐々に制限される。そして、第2角度θBを超えると、最大走行速度が0となる(つまり、停止する)。
【0062】
一方、旋回角度θが角度θCよりも大きくなりさらに第3角度θDを超えると、旋回角度θが角度θCよりも小さい状態とは逆方向への最大走行速度の制限が徐々に緩和され、さらに第4角度θEを超えると、最大走行速度の制限がない状態となる。前述の所定の第1範囲は、最大走行速度が変化する旋回角度の領域に対応しており、所定の第2範囲は、最大走行速度が負の値をとる旋回角度の領域に対応している。
【0063】
[3.効果]
一般に、上部旋回体13の向きが下部走行体11の向きに対して直角に近いほど、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とが一致しにくくなることが知られている。しかし、本走行制御装置では、減速制御部2aの制御により、上部旋回体13の向きが下部走行体11に対して直角に近いほど、走行装置17a,17bの走行速度が減速するため、たとえ運転者の意図と実際の作業機械の挙動とがずれていたとしても、作業機械が大きく移動する前に運転者に気付かせることができる。したがって、運転者が意図しない方向への走行を抑制することができる。
【0064】
また、上部旋回体13の向きが下部走行体11に対して略横向きとなったときに走行が急に停止するのではなく、旋回角度θが直角へ近づくに連れて徐々に停止するため、走行停止時のショックを防止することができ、運転者にとっての乗り心地を向上させることができる。
また、旋回角度θの大きさに応じて走行装置17a,17bの走行速度が減速するため、たとえ運転者によって走行操作手段が同一方向へ操作され続けていたとしても、上部旋回体13が下部走行体11とは逆向きになったときに走行方向が急に反転するようなことがなく、この点においても乗り心地を向上させることができる。
【0065】
また、例えば上部旋回体13が下部走行体11に対して略横向きの状態となったとしても、走行動作の変化が緩慢であり、急激に走行方向が変化するようなこともないため、制御のハンチングを防止することができ、運転者にとっての使いやすさをより向上させることができる。
また、油圧ショベル10の走行中の旋回時には、徐々に走行速度が減少し、上部旋回体13の下部走行体11に対する旋回角度θが第1範囲内に入ったときには十分に走行速度が低下した状態で走行が停止する。したがって、走行停止によって生じる慣性力を小さくすることができる。これにより、旋回操作と走行操作との連動時における操作性を向上させることができる。
【0066】
さらに、上部旋回体13の向きと下部走行体11の向きとが反対向きであっても、運転者の意図する操作内容と運転者から見た走行方向とを一致させることができ、より操作性を向上させることができる。
なお、本走行制御装置は、パイロット回路上に電磁比例弁3a〜3dを備えるという簡素な構成で、走行装置17a,17bの走行速度を容易に減速させることができる。また、油圧モータ16a,16bやコントロールバルブ8A,8Bを直接制御することなく、走行装置17a,17bの走行速度を制御することができる。つまり、メイン油圧回路に対して直接的な変更を加えることなくパイロット回路の制御により速度制御を実現することができ、従来の作業機械に対する適合性が極めて高い。
【0067】
[4.その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態は、本発明を油圧ショベル10に適用したものを説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば下部走行体の上部に旋回自在に上部旋回体が搭載される作業機械であれば、農耕用トラクタやクレーン車両等でもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、旋回角度θに応じて電磁比例弁3a〜3dの開度が、図3に示すような対応関係で設定されるようになっているが、旋回角度θが直角に近いほど電磁比例弁3a〜3dの開度が小さく設定されていれば、これらのパラメータの対応関係は任意である。
また、上述の実施形態では、図2に示すように、旋回角度θが分割された複数の領域のうちの何れの領域に位置しているかによって、走行装置17a,17bの走行速度制御がなされるようになっているが、上記の領域の分割位置や分割数については任意である。
【0069】
なお、上述の実施形態では、三つの制御部を備えて構成されたコントローラ2が示されているが、少なくとも減速制御部2aを備えていれば、他の制御部については必須ではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態としての作業機械の走行制御装置の全体構成を示す油圧回路図である。
【図2】本走行制御装置による制御内容を説明するための模式図である。
【図3】上部旋回体の旋回角度に応じて設定される電磁比例弁の開度を説明するためのグラフである。
【図4】本走行制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【図5】走行操作用レバーの操作量と要求速度との関係を示すグラフである。
【図6】本走行制御装置が適用された作業機械の全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 旋回角度検出装置(旋回角度検出手段)
2 コントローラ
2a 減速制御部(減速制御手段)
2b 走行停止制御部(走行停止制御手段)
2c 反転走行制御部(反転走行制御手段)
3a〜3d 電磁比例弁(比例弁)
4a〜4d リモコンバルブ
5a,5b 走行用操作レバー
6 前後進切換バルブ(切換弁)
7 パイロットポンプ
8A,8B コントロールバルブ(制御弁)
9 メインポンプ(油圧ポンプ)
10 油圧ショベル(作業機械)
11 下部走行体
12 旋回装置
13 上部旋回体
14 キャブ
15 作業装置
16(16a,16b) 油圧モータ
17a,17b 走行装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を装備した下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に設けられ該走行装置による走行方向及び走行速度を設定するための走行操作手段と、を有する作業機械において、
該上部旋回体の方向の該下部走行体の方向に対する相対角度を検出する旋回角度検出手段と、
該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角に近いほど、該走行速度を減少させて該走行装置を駆動する減速制御手段と
を備えたことを特徴とする、作業機械の走行制御装置。
【請求項2】
該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角を含む所定の第1範囲内にあるときに、該走行装置を停止させる走行停止制御手段を備えている
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の走行制御装置。
【請求項3】
該旋回角度検出手段で検出された該相対角度が直角よりも大きい所定の第2範囲内にあるときに、該走行操作手段で設定される該走行方向を反転させて該走行装置を駆動する反転走行制御手段を備えている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の作業機械の走行制御装置。
【請求項4】
該作業機械が、
該走行装置を駆動する油圧モータと、
該油圧モータへ作動油を供給する油圧ポンプと、
該油圧モータと該油圧ポンプとの間の油圧回路上に介装され、導入されるパイロット圧の大きさ及び供給方向に応じて該油圧ポンプから該油圧モータへ供給される作動油の流量及び流通方向を制御する制御弁と、
該制御弁へ導入される該パイロット圧の供給方向を制御するための切換弁と、
該制御弁へ導入される該パイロット圧の大きさを制御するための比例弁と、を備えた油圧回路を搭載し、
該走行操作手段が、操作量に応じた方向及び大きさの該パイロット圧を該制御弁へ導入すべく該油圧回路上に配設されているとともに、
該減速制御手段が、該旋回角度検出手段で検出された該相対角度に応じて該比例弁の開度を制御する
ことを特徴とする、請求項3記載の作業機械の走行制御装置。
【請求項5】
該走行停止制御手段が、該相対角度が該第1範囲内にあるときに、該比例弁を閉鎖して該走行装置を停止させる
ことを特徴とする、請求項4記載の作業機械の走行制御装置。
【請求項6】
該反転走行制御手段が、該相対角度が該第2範囲内にあるときに、該切換弁を切り換えて該走行方向を反転させる
ことを特徴とする、請求項5記載の作業機械の走行制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−186964(P2007−186964A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7903(P2006−7903)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】