説明

作業車両

【課題】内部電源と外部電源との電源切換えを、安全かつ確実に行い得る作業車両を提供する。
【解決手段】 電気二重層キャパシタ1と、電気二重層キャパシタ1からの電力を調整する制御手段20と、制御手段20で調整された電力にて駆動される電動モータ2と、電動モータ2にて駆動される作業装置30と、を備える。さらに、電気二重層キャパシタ1と制御手段20とを結ぶ一系統の電気経路上に介設されて一対を成す電気二重層キャパシタ1側の第1コネクタプラグ11および制御手段20側のコネクタレセプタクル12と、第1コネクタプラグ11と同接続形状である第2コネクタプラグ13が一端に設けられ、かつ、他端に外部電源に電気的に接続される外部端子3が設けられる外部電源用ケーブルcと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥車、ミキサー車、高所作業車、粉粒体運搬車、その他電動モータにて駆動される作業装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電手段と、この蓄電手段からの電力を調整する制御手段と、制御手段で調整された電力にて駆動される電動モータと、この電動モータにて駆動される作業装置と、を備えた作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、作業装置を駆動する電動モータと、蓄電手段から取り出す直流電流を三相交流電流に変換するインバータ回路(制御手段)と、商用三相交流を受電する外部端子と、電動モータの電源を蓄電手段と外部端子のいずれかに切換接続するコンタクタ(電磁接触器)と、を備えた塵芥車が開示されている。
【0004】
この塵芥車では、作業現場で内燃機関の運転を停止し商用の外部電源を利用して作業装置用動力を得ることができるので、作業中に騒音および排気ガスの放出がなくなり、環境の改善に役立てることができるようになっている。
【0005】
また、特許文献1に開示された塵芥車では、蓄電手段とインバータ回路との間の電気経路上に、ブレーカ(サービスプラグ、いわゆる遮断機能を有するもの)が介設されている。このブレーカは、保守時、および蓄電手段への充電時に開状態にしておくことにより、作業装置側と電気的に遮断された状態として予期せぬ異常動作の発生や感電を防止するようにしている。また、作業現場で外部電源を用いて作業装置を駆動するときには、まず、ブレーカを開状態にして蓄電手段との接続を切り離した後に、外部端子に外部電源を接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−75208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のように、電動モータの電源を蓄電手段(内部電源)と外部端子(外部電源)のいずれかに切換接続するためにコンタクタを用いる従来の作業車両では、コンタクタの接点溶着が発生するおそれがあった。この接点溶着が発生した場合には、インバータ回路その他回路上の種々の装置が破損するおそれがあった。また、コンタクタを用いる従来の作業車両では、回路が複雑であることから、配線の接触不良などの事故も生じやすいと考えられ、信頼性低下の要因となっていた。また、制御手段の異常動作が起きるとその影響が他に波及して回路上の種々の装置を破損するおそれがあった。
【0008】
また、特許文献1のような従来の作業車両では、作業現場で外部電源を用いて作業装置を駆動するときにブレーカを開状態にしていたが、このブレーカを開にする作業を忘れた場合には、感電事故が発生するおそれがあった。
【0009】
そこで本発明は、電動モータの電源を内部電源と外部電源のいずれかに切換接続する場合に、誤動作や装置の破損が生じることなく、安全かつ確実に電源切換えを行い得る作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、蓄電手段と、前記蓄電手段からの電力を調整する制御手段と、前記制御手段で調整された電力にて駆動される電動モータと、前記電動モータにて駆動される作業装置と、を備える。また、前記蓄電手段と前記制御手段とを結ぶ一系統の電気経路上に介設されて一対を成す前記蓄電手段側の第1コネクタプラグおよび前記制御手段側のコネクタレセプタクルと、前記第1コネクタプラグと同接続形状である第2コネクタプラグが一端に設けられ、かつ、他端に外部電源に電気的に接続される外部端子が設けられる外部電源用ケーブルと、を備える。そして、前記蓄電手段の電力を使用する際には、前記第1コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルとが手動接続され、前記外部電源の電力を使用する際には、前記第2コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルとが手動接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、蓄電手段(内部電源)と外部電源との間の電源切換部に電源切換用コネクタを使用し、手動で電源切換えを行うようにしたので、コンタクタを用いた従来の電源切換部と比較して、コンタクタの接点不良によって回路上の他の機器を破損するおそれがない。また、コンタクタを用いないので、仮に制御手段が異常な動作を起こしたとしてもその影響が電源切換部に波及することがない。従って、安全に電源切換えを行い得る作業車両とすることができる。また、電源切換部の回路を単純にできるため、故障を少なくして信頼性を向上することができる。また、回路が単純になることで従来と比較して部品コストを削減できる。
【0012】
また、従来のようにコンタクタを用いて自動電源切換えを行うのではなく、手動で電源切換えを行う方式であり、しかも蓄電手段(内部電源)から外部電源への電源切換えの際には蓄電手段と制御手段との電気的遮断を行わなければ外部電源を接続できないという蓄電手段または外部電源の二者択一なので、確実に電源切換えを行うことができる。また、目視による電源切換えの確認が容易となる。
【0013】
また、蓄電手段と制御手段との間の電気的な遮断を確実に行うことができるので、電源切換用コネクタを、制御手段および作業装置の保守時に開状態するブレーカ(サービスプラグ)の機能(いわゆる遮断機能)を有するようにできる。これにより、電源切換や保守のためにコンタクタとブレーカとを有していた従来の作業車両と比較して、コンタクタとブレーカとの機能を電源切換用コネクタ一つにまとめることができる。これにより、回路を単純にできるため、電源切換部の故障を少なくして信頼性を向上することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記蓄電手段は、車体に設けられると共に車両走行駆動源を利用して発電される発電機に対して、一系統の電気経路により電気的に接続されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によると、発電機は、蓄電手段と一系統の電気経路により電気的に接続されるともに、蓄電手段は電源切換用コネクタと一系統の電気経路により電気的に接続されていることとなるので、第1コネクタプラグをコネクタレセプタクルから切り離す一方コネクタレセプタクルと第2コネクタプラグとを接続させた外部電源の使用中に、間違って車両走行駆動源を動かした場合にも、発電機からの電力と外部電源からの電力が同時に制御手段に流れ込むような事態にはならない。これにより、制御手段等の機器を破損するおそれがなく安全である。逆に、外部電源からの電力で作業装置を駆動させる一方、車両走行駆動源を動かして発電機からの電力を蓄電手段に充電することにより、作業装置を使用しながら蓄電手段に充電することができる。
【0016】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルと前記第2コネクタプラグは、それぞれ直流端子部と交流端子部とを有している。そして、前記蓄電手段の直流電力は、前記第1コネクタプラグの前記直流端子部を通じて前記コネクタレセプタクルの直流端子部から前記制御手段に送るように構成される。また、前記外部電源の交流電力は、前記第2コネクタプラグの前記交流端子部を通じて前記コネクタレセプタクルの交流端子部から前記制御手段に送るように構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によると、同接続形状の第1コネクタプラグまたは第2コネクタプラグをコネクタレセプタクルにつなぎ変えるだけで、制御手段に設けられた直流入力ポートに直流の蓄電手段を電気接続することができる。また、制御手段に設けられた交流入力ポートに交流の外部電源を電気接続することができる。これにより、制御手段に設けられた直流入力ポートに誤って交流の外部電源を電気接続するようなことがないので、安全かつ確実に電源切換えを行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蓄電手段(内部電源)と外部電源との間の電源切換部に電源切換用コネクタを使用し、手動で電源切換えを行うようにしたので、仮に制御手段が異常な動作を起こしたとしてもその影響が電源切換部に波及することがなく安全である。また、蓄電手段から外部電源への電源切換えの際には蓄電手段と制御手段との電気的遮断を行わなければ外部電源を接続できないという蓄電手段または外部電源の二者択一なので、確実に電源切換えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る作業車両の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る作業車両において、電源切換用コネクタの電源切換え操作を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る作業車両において、電源切換用コネクタの電源切換え操作を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る作業車両の操作部を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施の形態に係る作業車両の全体構成を示す図である。本実施形態では、作業車両の一つとして、塵芥車が例示されている。図示しないが、本実施形態における塵芥車は、通常の塵芥車と同様に、運転室の後方に設けられた塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後部に設けられた塵芥投入箱と、を備えている。
【0022】
本実施形態に係る塵芥車は、蓄電手段としての電気二重層キャパシタ1と、電気二重層キャパシタ1からの電力を調整する制御手段20と、制御手段20で調整された電力にて駆動される電動モータ2と、電動モータ2にて駆動される油圧ポンプ31と油圧ポンプ31で発生する油圧にて駆動される油圧シリンダ34および油圧モータ35とを有する作業装置30と、を備えている。
【0023】
電気二重層キャパシタ1(いわゆるコンデンサ)は、バッテリのように化学反応を使用せず、単に電荷を蓄えるという物理現象を利用するので、寿命が非常に長く、また、大電流で充電が可能であるため、充電時間が非常に短く、比較的安価であるという特徴がある。本実施形態の電気二重層キャパシタ1は複数のユニットから成り、運転室と塵芥収容箱との間に設けられた機器収納箱50内(図2参照)と、車体フレームの側方(図示せず)とに配設され、電気的に直列接続されている。これにより、合計で数百Vの電圧出力が可能となっている。
【0024】
上記電気二重層キャパシタ1は、車体に設けられると共に車両走行駆動源としての車両エンジン4を利用して発電される発電機5に対して、一系統の電気経路bにより電気的に接続されている。なお、「一系統の電気経路」とは、一種類の電源から他に迂回することなく電力が供給される経路であることを示す。
【0025】
発電機5は、車体が通常搭載する小型の発電機(ダイナモ)とは別に設置され、車両エンジン4の駆動中はそのファンベルトにより常時駆動される。なお、発電機5を必要なときにのみ駆動するようにしてもよい。
【0026】
また、電気経路b上には、AVR42(自動電圧制御装置)が設けられている。
AVR42は、後述の制御部22から供給される起動信号に応じて動作を開始し、発電機5の交流電力を直流に変換する。また、車両エンジン4の回転数変化にかかわらず発電機5の出力電圧を目標値一定となるように調整する。
【0027】
制御手段20は、インバータ装置21と制御部22とを有している。
インバータ装置21は、その出力により、電動モータ2の回転速度を制御するものである。より具体的には、インバータ装置21は、ユニット状であり、機器収納箱50内に配設されている。このインバータ装置21は、直流入力ポート21aと交流入力ポート21bとを有している。直流入力ポート21aには、直流電源からの電力が入力され、インバータ装置21内において直流電力から電動モータ2を駆動するのに適切な周波数の交流電力に調整されて、出力される。本実施形態では、直流入力ポート21aに電気二重層キャパシタ1からの直流電力が入力される。
【0028】
また、交流入力ポート21bには、交流電源からの電力が入力され、インバータ装置21内において一旦整流された後に電動モータ2を駆動するのに適切な周波数の交流電力に調整され、出力される。本実施形態では、交流入力ポート21bに外部電源として商用三相交流電源からの交流電力が入力される。
【0029】
上記インバータ装置21により回転制御される電動モータ2には、永久磁石同期電動モータが採用されている。この永久磁石同期電動モータは、ベクトル制御駆動することにより、従来のインダクションモータに比べてサイズや質量が小さくなり、効率が極めて高いので、電気二重層キャパシタ1で蓄えた電気エネルギーを効率よく使用することができる、という特徴を有している。
【0030】
また、電動モータ2の回転軸には、油圧ポンプ31が連結されている。油圧ポンプ31は、例えば可変吐出ポンプであり、電動モータ2にて例えば1500〜1800rpmで通常駆動されて吐出量が変更可能となっている。吐出量は、図示しない油圧機構により、負荷に応じて自動調整される。
次に、制御手段20の制御部22は、車体電装部品を動かすための電源である直流24Vの車両用バッテリ43からの電力により動作する。
【0031】
制御部22は、図示しない塵芥押込板や回転板や排出板等を動かすための上記油圧モータ35および油圧シリンダ34の動きを制御する。具体的には、作業装置30に設けられて制御部22と電気経路eで電気接続されている電磁弁32の動作切換えにより、油圧モータ35の回転制御や油圧シリンダ34の伸縮を行う。
【0032】
また、制御部22には、温度センサや電圧センサ等から成るモニタ装置41からの信号が入力されるようになっている。モニタ装置41は、電気二重層キャパシタ1の内部のセル温度やセル電圧を監視するためのものであり、電気二重層キャパシタ1の内部もしくはその近傍に設けられる。なお、このモニタ装置41は、電流等他の要素も監視するようにしてもよい。
【0033】
また、制御部22には、図1および図4に示すように、塵芥車の運転室内に設けられた操作部44、または、塵芥投入箱に設けられた操作部からの操作信号が入力されるようになっている。例えば、運転室内の操作部44には、積込排出スイッチや塵芥投入箱開閉スイッチ等の操作スイッチ44bが設けられている。また、操作部44には、PTO(動力取出装置)を備えた塵芥車のPTOスイッチに代わる、メインスイッチ44aが設けられている。電気二重層キャパシタ1からの電力にて作業装置30を駆動する塵芥車では、PTOスイッチが設けられない一方、塵芥投入箱に設けられた操作部を操作すると車両エンジン4がかかっていなくても作業装置30を動かせることとなる。従って、いたずら等により作業時以外で作業装置30が動いてしまうのを防ぐため、本実施形態では、鍵のかかる運転室内にメインスイッチ44aを設け、メインスイッチ44aをONにすることにより初めて作業装置30を動かせるようになっている。
【0034】
また、操作部44には、電気二重層キャパシタ1の充電状態を示す複数の充電状況表示ランプ44c…が設けられている。これら充電状況表示ランプ44c…は、例えば「要充電」、「使用可能」、「満充電」等の各充電状態を示すようになっている。
【0035】
上記の構成により、本実施形態の塵芥車は、車両走行中に発電機5で発電された電力がAVR42を介して電気二重層キャパシタ1に充電されるようになっている。また、現場でのごみ収集作業時には、充電された電気二重層キャパシタ1からの直流電力を制御手段20のインバータ装置21に送り、電動モータ2および油圧ポンプ31を駆動させるようになっている。これにより、車両エンジン4を止めたまま作業を行えるようになっている。従って、作業中、PTOを使用する塵芥車と比較して騒音が低減され、排気ガスも排出されることがない。
【0036】
ここで、本発明の特徴部分として、図1および図2に示すように、電気二重層キャパシタ1と制御手段20とを結ぶ一系統の電気経路a上には、電源切換用コネクタ10が介設されている。この電源切換用コネクタ10は、機器収納箱50内に納められ、電気二重層キャパシタ1側の第1コネクタプラグ11と制御手段20側のコネクタレセプタクル12とを有している。第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12は一対を成している。
【0037】
第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12は、ヘビーデューティ仕様であり、それぞれの接続端面は電線部分が露出しないように絶縁されている。そして、例えば第1コネクタプラグ11の接続端面に触れたとしても電気二重層キャパシタ1からの高電圧で感電しないようになっている。
また、第1コネクタプラグ11およびコネクタレセプタクル12は、それぞれ、直流端子部11a,12aと交流端子部11b,12bとを有している。
【0038】
第1コネクタプラグ11は、上記電気経路aのうち上流側となる、ケーブル状の上流側電気経路a1によって電気二重層キャパシタ1と電気的に接続されている。より詳細には、第1コネクタプラグ11の直流端子部11aに、上流側電気経路a1の一端が接続されている。一方、第1コネクタプラグ11の交流端子部11bには、何も接続されていない。
【0039】
また、コネクタレセプタクル12は、上記電気経路aのうち下流側となる、下流側電気経路a2によってインバータ装置21と電気的に接続されている。より詳細には、コネクタレセプタクル12の直流端子部12aに下流側電気経路a2の一端が接続され、インバータ装置21の直流入力ポート21aに下流側電気経路a2の他端が接続されている。また、コネクタレセプタクル12の交流端子部12bは、上記電気経路aのうち下流側となる、下流側電気経路a3によってインバータ装置21と電気的に接続されている。より詳細には、コネクタレセプタクル12の交流端子部12bに下流側電気経路a3の一端が接続され、インバータ装置21の交流入力ポート21bに下流側電気経路a3の他端が接続されている。
【0040】
これにより、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12とを相互に接続した場合、第1コネクタプラグ11の直流端子部11aとコネクタレセプタクル12の直流端子部12aとが電気的に接続される一方、第1コネクタプラグ11の交流端子部11bとコネクタレセプタクル12の交流端子部12bとは電気的に接続されることがない。従って、電気二重層キャパシタ1の直流電力は、第1コネクタプラグ11の直流端子部11aを通じてコネクタレセプタクル12の直流端子部12aからインバータ装置21の直流入力ポート21aに送られるようになっている。
【0041】
上記第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12は、通常のルート収集の場合、相互に接続状態にされている。ルート収集の場合、一つの作業現場での作業時間が少ないため、一つの作業現場において電気二重層キャパシタ1の充電量が満充電から0になってしまうことはまずない。また、電気二重層キャパシタ1の充電量が減った場合には、電気二重層キャパシタ1は次の作業現場に着くまでに発電機5にて充電される。
一方、作業装置30を長時間連続運転する必要がある作業現場の場合には、作業途中で電気二重層キャパシタ1の充電量が0になってしまうおそれがある。つまり、作業現場によっては電気二重層キャパシタ1の蓄電容量を超えて電力を使用する場合がある。このような場合、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12は切り離され、コネクタレセプタクル12に外部電源を電気的に接続するようになっている。
【0042】
具体的に説明すると、本実施形態の塵芥車は、第1コネクタプラグ11と同接続形状である第2コネクタプラグ13が一端に設けられ、かつ、他端に外部電源に電気的に接続される外部端子3が設けられる外部電源用ケーブルcを、備えている。なお、「同接続形状」とは、2つのコネクタプラグに形状の差があったとしてもそれぞれ同じコネクタレセプタクルと接続できるようになっているという意味である。
外部電源用ケーブルcは、全体が機器収納箱50内に納められるようになっている。
この外部電源用ケーブルcの一端に設けられた第2コネクタプラグ13は、第1コネクタプラグ11およびコネクタレセプタクル12と合わせて上記電源切換用コネクタ10を構成している。
【0043】
電源切換用コネクタ10は、電気二重層キャパシタ1の電力を使用する際には、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12とが手動接続され、外部電源の電力を使用する際には、第2コネクタプラグ13とコネクタレセプタクル12とが手動接続されるようになっている。
この電源切換用コネクタ10による電源切換えは、機器収納箱50の側壁に設けられた窓部52から作業者が機器収納箱50内の電源切換用コネクタ10にアクセスすることによって行われる。
【0044】
また、第2コネクタプラグ13は、第1コネクタプラグ11と同接続形状であるので、第1コネクタプラグ11と同様、直流端子部13aと交流端子部13bとを有している。第2コネクタプラグ13の交流端子部13bには、外部電源用ケーブルcの一端が接続されるようになっている。第2コネクタプラグ13の直流端子部13aには、何も接続されていない。従って、第2コネクタプラグ13とコネクタレセプタクル12とを相互に接続した場合、外部電源の交流電力は、第2コネクタプラグ13の交流端子部13bを通じてコネクタレセプタクル12の交流端子部12bからインバータ装置21の交流入力ポート21bに送られるようになっている。
【0045】
上述のように、本実施形態では、電気二重層キャパシタ1(内部電源)と外部電源との間の電源切換部に電源切換用コネクタ10を使用しており、従来のようにコンタクタを用いて電源切換部を構成するものではない。従って、コンタクタの接点不良という問題は生じない。また、コンタクタを用いる従来の塵芥車と比較して電源切換部の回路が単純になっている。
次に、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係る作業車両の動作を説明する。
【0046】
まず、本実施形態の塵芥車では、作業現場までの移動中、車両エンジン4により発電機5が駆動されるので、発電機5で発電された電力がAVR42を介して電気二重層キャパシタ1に充電される。電源切換用コネクタ10は、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12が接続された状態にある。
【0047】
作業現場に着くと、図1および図4に示すように、作業者はまず車両エンジン4を停止し、運転室内の操作部44に設けられたメインスイッチ44aをONにして、作業装置30を駆動可能状態にする。このとき、操作部44に設けられた充電状況表示ランプ44cは、「要充電」、「使用可能」、「満充電」のいずれかについて点灯されるので、作業者は、電気二重層キャパシタ1の現在の充電状態を認識することができる。そして、充電状況表示ランプ44cが「使用可能」または「満充電」であれば、作業者は、操作部44に設けられた操作スイッチ44bや塵芥投入箱に設けられた操作部を操作して、作業装置30を駆動させ、ごみの収集作業を行う。この作業中には、車両エンジン4が停止され、電気二重層キャパシタ1からの電力のみで作業装置30を駆動させることになるので、PTOを使用する塵芥車と比較して騒音が低減され、排気ガスも排出されることがない。
【0048】
ごみの収集作業が終わると、作業者は、運転室内の操作部44に設けられたメインスイッチ44aをOFFにし、車両エンジン4をかけて、次の作業現場へ向かう。次の作業現場に向かう途中において、充電量が減った電気二重層キャパシタ1は、発電機5での発電により、再び充電される。
【0049】
なお、作業現場で収集作業を開始しようとすると充電状況表示ランプ44cが「要充電」となっていた場合、作業者は、しばらく車両エンジン4を駆動させつつ、収集作業を行う。車両エンジン4の駆動力は発電機5による電気二重層キャパシタ1の充電のために用いられ、電気二重層キャパシタ1からの電力により作業装置30が駆動されるので、車両エンジン4のエンジン回転数は、アイドリング状態を保つことができる。従って、車両エンジン4を駆動させての収集作業においても、PTOを使用した塵芥車と比較して、作業時にエンジン回転数を上昇させることが必要なく、騒音が低減される。また、蓄電手段として電気二重層キャパシタ1を採用していることにより、車両エンジン4をアイドリング状態で駆動させて満充電になるまで作業を待ったとしても、その待ち時間は数分である。
【0050】
次に、例えばビルごみの収集作業等、作業装置30を長時間連続運転する必要がある作業現場の場合について説明する。
【0051】
この場合、作業者は、図2に示すように、まず、運転室と塵芥収容箱との間に設けられた機器収納箱50の前に行き、機器収納箱50の側面に取り付けられた扉51を開ける(図2の矢印A方向)。すると、機器収納箱50に設けられた窓部52と外部端子3が現れる。
【0052】
次に、作業者は、窓部52を利用して機器収納箱50内に収納された電源切換用コネクタ10にアクセスする。そして、コネクタレセプタクル12から第1コネクタプラグ11を切り離す。この際、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12の接続端面は絶縁されているので、作業者が手で触れても電気二重層キャパシタ1からの高電圧で感電することがなく安全である。
【0053】
次に、作業者は、どこにも接続されることなく機器収納箱50内に収納されていた外部電源用ケーブルcの第2コネクタプラグ13を掴み、コネクタレセプタクル12と接続する(図2の矢印C方向)。
【0054】
さらに、作業者は、別の適当な場所に収納されていた延長ケーブルfを取り出し、延長ケーブルfの接続端子46を外部端子3に接続する一方(図2の矢印D方向)、延長外部端子45を外部電源のコンセントに差し込む。これにより、電気二重層キャパシタ1(内部電源)から外部電源への電源切換え作業が完了し、外部電源からの電力を制御手段20に供給することができるようになる(図3参照)。作業者は、外部電源からの電力にて、作業装置30を駆動させてごみの収集作業を行うことができる。この外部電源を用いた作業中においても車両エンジン4を停止することができるので、PTOを使用する塵芥車と比較して騒音が低減され、排気ガスも排出されることがない。
【0055】
上述したように、本実施形態では、電気二重層キャパシタ1から外部電源への電源切換えの際には電気二重層キャパシタ1と制御手段20との電気的遮断を行わなければ外部電源を接続できないという、電気二重層キャパシタ1または外部電源の二者択一となっている。従って、確実に電源切換えを行うことができる。また、電源切換用コネクタ10については、第1コネクタプラグ11とコネクタレセプタクル12とが接続されているのか、あるいは第2コネクタプラグ13とコネクタレセプタクル12とが接続されているのかどうかを、作業者が目視で確認することができる。従って目視による電源切換えの確認が容易にできる。
【0056】
次に、制御手段20および作業装置30のメンテナンス時について説明する。この場合、作業者は、機器収納箱50の側面に取り付けられた扉51を開け、電源切換用コネクタ10のコネクタレセプタクル12から第1コネクタプラグ11を切り離すようにする。すると、電気二重層キャパシタ1と制御手段20のインバータ装置21との間の電気的な遮断を確実に行うことができる。従って、作業者は、感電のおそれなく、制御手段20および作業装置30のメンテナンスを行うことができる。つまり、電源切換用コネクタ10は、ブレーカ(サービスプラグ)の機能(いわゆる遮断機能)を有しており、従来の塵芥車と異なってコンタクタとブレーカとの機能が電源切換用コネクタ10一つにまとめられているといえる。
【0057】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、上記実施形態では、蓄電手段は、電気二重層キャパシタ1としたが、リチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリや鉛バッテリ等の二次電池であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、油圧ポンプ31は可変容量ポンプとしたが、定容量ポンプとし、電動モータの回転数を変化させて吐出量を変化させる方式であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、発電機5が車両エンジン4によって駆動されていたが、独立エンジンで発電機を駆動するものであってもよい。また、発電機5を備えておらず、蓄電手段が外部電源にて充電されるものであってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、外部端子3は、延長ケーブルfを介して外部電源のコンセントに接続するように構成していたが、外部端子を直接外部電源のコンセントに接続するものであってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、電動モータ2に永久磁石同期電動モータを採用したが、その他の交流モータや直流モータを採用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、作業装置30は油圧ポンプ31を有し、電動モータ2にてこの油圧ポンプ31を駆動するように構成したが、油圧を使用しない作業装置にも本発明は適用可能である。即ち、電動モータにて作業装置の各部を直接駆動させてもよい。
【0063】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 電気二重層キャパシタ(蓄電手段)
2 電動モータ
3 外部端子
4 車両エンジン(車両走行駆動源)
5 発電機
11 第1コネクタプラグ
12 コネクタレセプタクル
13 第2コネクタプラグ
11a,12a,13a 直流端子部
11b,12b,13b 交流端子部
20 制御手段
30 作業装置
a 電気経路
c 外部電源用ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電手段と、前記蓄電手段からの電力を調整する制御手段と、前記制御手段で調整された電力にて駆動される電動モータと、前記電動モータにて駆動される作業装置と、を備え、
さらに、前記蓄電手段と前記制御手段とを結ぶ一系統の電気経路上に介設されて一対を成す前記蓄電手段側の第1コネクタプラグおよび前記制御手段側のコネクタレセプタクルと、前記第1コネクタプラグと同接続形状である第2コネクタプラグが一端に設けられ、かつ、他端に外部電源に電気的に接続される外部端子が設けられる外部電源用ケーブルと、を備え、
前記蓄電手段の電力を使用する際には、前記第1コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルとが手動接続され、前記外部電源の電力を使用する際には、前記第2コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルとが手動接続されるように構成されていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記蓄電手段は、車体に設けられると共に車両走行駆動源を利用して発電される発電機に対して、一系統の電気経路により電気的に接続されている請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1コネクタプラグと前記コネクタレセプタクルと前記第2コネクタプラグは、それぞれ直流端子部と交流端子部とを有しており、
前記蓄電手段の直流電力は、前記第1コネクタプラグの前記直流端子部を通じて前記コネクタレセプタクルの直流端子部から前記制御手段に送るように構成され、
前記外部電源の交流電力は、前記第2コネクタプラグの前記交流端子部を通じて前記コネクタレセプタクルの交流端子部から前記制御手段に送るように構成されている請求項1または2に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−151965(P2011−151965A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11279(P2010−11279)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】