説明

保湿性植物抽出物並びに該抽出物を含有する外用剤、化粧料、浴用剤及び洗剤

【課題】 長時間保湿効果が継続する保湿性植物抽出物並びに外用剤、化粧料、浴用剤及び洗剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 オウゴン、タイソウ、カンゾウ及びシャクヤクの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物並びに該抽出物を含有する化粧料、浴用剤及び洗剤組成物。上記生薬の一定比を煎じたものは漢方でオウゴントウとよばれているものと同一の組成である。これら生薬の混合物の抽出物は長時間保湿効果が継続する保湿性植物成分を含有し、外用により、皮膚の乾燥、肌荒れ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ、炎症性疾患の予防、軽減又は改善に,また毛髪に対しては、乾燥、パサツキ、枝毛、切れ毛、光沢付与などに奏効する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿性植物抽出物並びに該抽出物を含有する化粧料、浴用剤及び洗剤組成物に関するものであって、皮膚や毛髪に対して潤いを与え、生き生きとした健全な皮膚又は毛髪を維持、再生する上で有用な組成物を提供するものである。すなわち、皮膚に対して、乾燥、肌荒れ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ、炎症性疾患の予防、軽減又は改善に、また毛髪に対しては、乾燥、パサツキ、枝毛、切れ毛、光沢付与等に有効な保湿性植物抽出物並びに該抽出物を含有する化粧料、浴用剤及び洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚や毛髪は、健常な状態であるときは適度の保湿性を有し、通常は特別なケアを必要としないが、さまざまな環境要因(例えば、温度変化、湿度変化、光、水との接触等)や、洗剤等との接触、あるいは老化によって、しばしば変化・支障をきたすことがある。すなわち保湿機能が低下した皮膚や毛髪は、乾燥し、硬く、光沢や弾力性も失われ、カサカサとした状態となる。こうした乾燥皮膚は、近年、急増傾向にあるアトピー性皮膚炎との関連性も指摘されており、様々なスキントラブルを招く恐れがある。また毛髪にあっても光沢の消失、枝毛、切毛といったトラブルが発生する。さらにこれらが進展すると、シミ、シワ、脱毛等の深刻な状態を招くと考えられている。
【0003】
従来より、皮膚や毛髪の乾燥を防ぐために化粧品等の外用剤に生薬抽出物が単独で、或いは各抽出物の混合配合物として利用されてきた。例えば、ハイドロキノン配糖体と美白作用を有する生薬エキス:クワ(ソウハクヒ)、アロエ、シャクヤク、オウゴン、ハマメリス、サンショウ、スイカズラ、ワレモコウ、ケイヒ、サイシン、ウツボグサ、ハマゴウ、サンシュユ、オウレン、アサガオ、クララ、ホソバオケラ、ヨモビ、シソ、シコン、ボダイジュ、カミツレ、トウキ、マロニエ、センキュウ、トウニン、セージ、サルビア、エイジツ、ショウキョウ、ヤクチ、ケツメイシ、シュクシャ、コウボク、ローズマリー、ゲンノショウコ、キナ、シラカバ、チョウジ、エンメイソウ、メリッサ、ナンテンジツ、バジル、イチョウ、エレウテロコックを含有する化粧料(特許文献1)、(a)メバロン酸、メバロン酸ラクトンの一種以上と、(b)ビワ、モノ、アロエ、コウライニンジン、ヘチマ、シャクヤク、オオレン、オオバク、ボタンピ、ゲンノショウコ、チャ、クジン、オドリコソウ、セージ、ハマメリス、バーチ、ニンニク、チンピ、カミツレ、シャゼンソウ、キキョウ、ケイヒ、ウイキョウ、ホップ、カノコソウ、オウゴン、ムラサキ、セージ、イチョウ、タケ、ソウハクヒ、センブリ、ツバキからなる群の一種以上から選ばれる植物抽出物とを含有する皮膚化粧料(特許文献2)、アセンヤク、インチンコウ、オウゴン、オウバク、オウレン、ガイヨウ、カンゾウ、キジツ、ケイヒ、ベニバナ、ゲンジン、ジオウ、ソヨウ、チャヨウ、チンピ、ニンジン、ハッカ及びヨクイニンから選ばれた少なくとも1種の生薬原料の生薬抽出成分を含有する保湿性生薬軟膏(特許文献3)、タイソウ、ケイガイ、オウバク、カッコウ、マンケイシ、アロエ、ヒカイ、キクカ、ダイオウ、ニュウコウ、及びブシの少なくともいずれか1つからなる抽出物であることを特徴とする皮膚保護用添加物(特許文献4)などが提案されている。また、生薬混合物の抽出物としては、トウキ、ジオウ、シャクヤク、センキュウ、オウレン、オウゴン、サンシシ及びオウバクの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物(特許文献5)、オウレン、オウバク、オウゴン及びサンシシの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物(特許文献6)、ケイシ、ブクリョウ、シャクヤク、トウニン、ボタンピ及びヨクイニンの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物(特許文献7)、タイソウ、ケイシ、シャクヤク、ショウキョウ、カンゾウ及びオウギの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物(特許文献8)なども提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平05−139950号公報
【特許文献2】特開平09−315930号公報
【特許文献3】特開平10−236944号公報
【特許文献4】特開2000−281553号公報
【特許文献5】特開2004−010503号公報
【特許文献6】特開2004−115483号公報
【特許文献7】特開2004−115483号公報
【特許文献8】特開2004−323424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の保湿成分では、感触性、保湿効果の持続性、物理化学的安定性といった点において未だ満足されるものではなかった。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するものであって、長時間保湿効果が継続する保湿性植物抽出物並びに該抽出物を含有し、皮膚に対しては、乾燥、肌荒れ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ、炎症性疾患の予防、軽減又は改善に、又、毛髪に対しては、乾燥、パサツキ、枝毛、切れ毛、光沢付与等に奏効する化粧料又は浴用剤、あるいは肌荒れ、ヒビ、アカギレ等のスキントラブルが起こりにくいように改良された洗剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは種々の植物抽出物及びそれらの混合物を検索した結果、オウゴントウと呼ばれる漢方の処方と同一の組成の抽出物が相乗的に優れた保湿効果を示すことを見いだし、本発明を完成させた。すなわち本発明は、オウゴン、タイソウ、カンゾウ及びシャクヤクの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物であり、詳しくは、オウゴン0.4〜10.0部(重量部、以下同じ)、タイソウ0.4〜10.0部、カンゾウ0.3〜7.5部及びシャクヤク0.3〜7.5部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物であり、更に詳しくは、オウゴン1.6〜8.0部、タイソウ1.6〜8.0部、カンゾウ1.2〜6.0部及びシャクヤク1.2〜6.0部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物であり、更に詳しくは、オウゴン2.8〜6.0部、タイソウ2.8〜6.0部、カンゾウ2.1〜4.5部及びシャクヤク2.1〜4.5部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物であり、更に詳しくは、水又はアルコール類又はそれらの混合物による抽出物である上記保湿性植物抽出物であり、また、上記保湿性植物抽出物を含有することを特徴とする化粧料組成物又は浴剤組成物又は洗剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の保湿性植物抽出物は長時間保湿効果が継続し、該抽出物を含有する化粧料、浴用剤は、皮膚に対しては、乾燥、肌荒れ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ等の予防、軽減又は改善に、又、毛髪に対しては、乾燥、パサツキ、枝毛、切れ毛、光沢付与等に奏効する。また、従来、肌荒れ、ヒビ、アカギレ等のスキントラブルが懸念されてきた家庭用洗剤などにおいても、本発明の保湿性植物抽出物がこのようなトラブルを起こりにくいように緩和し、肌をいたわる洗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用する植物は以下に示すものであり、何れも、葉、茎、根、花、種子あるいは全草を使用することができる。また、下記の植物を起源とする生薬を利用してもよい。
(1)オウゴンScutellaria baicalensis Georgi(シソ科)
(2)タイソウZizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder(クロウメモドキ科)
(3)カンゾウGlycyrrhiza uralensis Fisher または G. glabra Linne(マメ科)
(4)シャクヤクPaeonia lactiflora Pallas(ボタン科)
であるが、各生薬の種類はこれに限定されることなく変種、同属種、その他近縁類も使用できる。
【0010】
オウゴントウは、の4種類の生薬を配合し、さむ気、発熱、腹痛、みぞおちのつかえなどのいずれかを伴う次の諸症:下痢、胃カタルなど効果があるとされている〔天然物医薬品学(糸川秀治、大本太一、永井正博、古谷 力編、朝倉書店発行 1987年4月10日版)〕。
【0011】
オウゴントウは、下痢、腹痛とともに頭痛、発熱、嘔吐などのある場合に用い、感冒時の下痢、発熱を伴う腹痛、大腸炎、消化不良、急性下痢などのほか、子宮附属器炎などにも用いられるとされている〔天然薬物事典(奥田拓男編、廣川書店発行 昭和61年3月3日)〕。
【0012】
これら植物の混合物から適当な溶媒を使用して有効成分を抽出する。溶媒は、水、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、あるいは1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール)などを、単独或いは2種類以上の任意の混液として使用することができる。又、抽出後は、濾過して必要に応じ、抽出液を希釈、又は濃縮、乾燥することもできる。
【0013】
なお、抽出方法は特に制限されるものはないが、常温又は、常圧下での溶媒の沸点までの範囲であればよく、マイクロウェーブ抽出法、超臨界抽出法を用いてもよい。抽出後は濾過又はイオン交換樹脂を用い、吸着精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすればよい。更に多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色などの精製処理を加えてもよく、脱臭・脱色などの精製処理手段としては、活性炭カラムなどを用いればよく、抽出物質により一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えばよい。
【0014】
本発明で使用する生薬は、4種類組み合わせて抽出したものから効果の高い抽出物が得られる。したがって各々から個別に抽出したり、任意に3種類以下の植物を組み合わせて抽出したり、また、各抽出物又は抽出液を混合して使用したものよりも効果がある。尚、4種の植物を組み合わせて抽出することにより保湿効果の持続性がより向上したり、肌荒れやフケ症、カユミ、炎症性疾患に対する改善効果がさらに良好となる結果も得られることから、4種の植物を組み合わせて抽出した物を使用することに十分意義があると考えられる。
【0015】
本発明で使用する各生薬の配合量は、経験漢方処方分量集(医道の日本社発行 、平成5年9版)、及び一般用漢方処方の手引き(日薬連漢方専門委員会編集、厚生省薬務局監修、薬業時報社発行 平成4年4月30日4版12刷)に記載されている分量が好ましい。配合比はその目的により応じて調整して用いることができ、例えば前記一般用漢方処方の手引きには、オウゴントウの処方として、オウゴン:タイソウ:カンゾウ:シャクヤクの重量比で、4:4:3:3などの例が記載されている。したがって、本発明においては通常の配合量としてオウゴン0.4〜10.0部(重量部、以下同じ)、タイソウ0.4〜10.0部、カンゾウ0.3〜7.5部及びシャクヤク0.3〜7.5部であるが、さらに好ましいのはオウゴン1.6〜8.0部、タイソウ1.6〜8.0部、カンゾウ1.2〜6.0部及びシャクヤク1.2〜6.0部であり、最も好ましい配合量は、オウゴン2.8〜6.0部、タイソウ2.8〜6.0部、カンゾウ2.1〜4.5部及びシャクヤク2.1〜4.5部である。
【0016】
本発明による化粧料組成物、浴用剤組成物及び洗剤組成物は、本発明の必須の保湿性植物抽出物の他に、例えば、下記に示すような化粧品類などで通常使用される基剤、添加剤等を併用して製造することができる。
【0017】
(1)各種油脂類:アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)など。
【0018】
(2)ロウ類:ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタンなど。
【0019】
(3)鉱物油:流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなど。
【0020】
(4)脂肪酸類:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ラノリン脂肪酸などの天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソペンタン酸などの合成脂肪酸。
【0021】
(5)アルコール類:エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの天然アルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの合成アルコール。
【0022】
(6)多価アルコール類:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
【0023】
(7)エステル類:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなど。
【0024】
(8)金属セッケン類:ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛など。
【0025】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物:アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイドなどのアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミンなど。
【0026】
(10)界面活性剤:アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤〔カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤〕、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)など。
【0027】
(11)各種ビタミン類 ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンUなど。
【0028】
(12)各種アミノ酸類:バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体など。
【0029】
(13)植物又は動物系原料由来の種々の添加物:これらは、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色などを任意に選択、組合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すればよい。
【0030】
なお、上記植物又は動物系原料の抽出を行う場合に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理等を考慮した上で選択すればよいが、通常では、水、水溶性有機溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、あるいは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独又は水との任意の混液で用いたりすれば良く、又、搾取抽出したものでも良い。
【0031】
なお、前記植物又は動物系原料由来の添加物を、全身用又は局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止及びその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果などの美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝などの効果も期待できる。
【0032】
(14)香料:ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンダー精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、パチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、桧精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバー精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油などの植物性香料など。合成香料成分としては、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、水素化芳香族アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、水素化芳香族ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、水素化芳香族ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系のカルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物など。合成香料のより具体的としては、例えば1996年化学工業日報社刊,印藤元一著(合成香料化学と商品知識)、1969年,ステファンアークタンダー(STEFFENARCTAMDER)著(パフューム アンド フレバー ケミカルス<Perfume and Flavor Chemicals>)等に記載された香料等が好適に使用できる。以下に主な香料等を示す。アルデヒドC6〜C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オーランチオール、アセチルユゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、カリオレフィン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セリストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、デルタC6〜C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、ユゲノール、フルイテート、フェンキルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラキソリッド、ガンマC6〜C13ラクトン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソユゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート等が挙げられる。
【0033】
更にこの他にも、これまでに知られている各原料素材、例えば、α−ヒドロキシ酸類、無機顔料、紫外線吸収剤、美白剤、チロシナーゼ活性阻害剤、メラニン色素分解物質、細胞賦活物質、収れん剤、活性酸素消去剤、抗酸化剤、過酸化脂質生成抑制剤、抗炎症剤、抗菌剤、保湿剤、エラスターゼ活性阻害剤、抗アンドロゲン剤、温感剤、冷感剤、色素、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質又はその分解物、動・植物性多糖類又はその分解物、動・植物性糖蛋白質又はその分解物、消炎剤・抗アレルギー剤、創傷治療剤、気泡・増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、酵素などと併用することができる。
【0034】
本発明の化粧料組成物、浴用剤組成物、洗剤組成物は、それぞれ液状、乳液状、ペースト状、ゲル状、パウダー状(粉末状)、顆粒状、ペレット状、スティック状、固形状等の何れの形態として提供されてもよい。
【0035】
化粧料組成物としては、化粧水(ローション)、乳液、クリーム、オイル、軟膏、パック、リップ、口紅、ファンデーション、アイライナー、頬紅、マスカラ、アイシャドウー、マニキュア・ペディキュア、爪被覆剤、爪被覆除去剤、ひげ剃り用剤、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアトニック、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアローション、整髪料、育毛料、パーマネント液、染毛料、ハンドソープ・ボディーソープ、歯磨き剤、洗口料、洗顔料・石鹸類等が上げられる。
【0036】
浴用剤組成物は、入浴時、浴湯に投じて使用するもので、液状、粉末状、顆粒状、固形状など性状は何れであってもよい。粉末、顆粒又は固形状である場合は、本発明の保湿性植物抽出液を乾燥せず、液状のままで吹きつけて乾燥することにより製造することも可能である。
【0037】
洗剤組成物は、日常的に使用する台所用洗剤、浴室、洗面器又はトイレ用洗剤、ガラス用クリーナー、メガネ・コンタクトレンズ洗浄剤、車用洗浄剤、建材クリーナーなどが上げられる。
【0038】
その他、衛生用品、ウエットタイプのティシュペーパー、不織布、紙タオル、コットンなどに含浸させておくこともできる。
【0039】
本発明の化粧料組成物及び洗剤組成物においては保湿性植物抽出物は、乾燥エキス分として0.001〜5質量%程度、好ましくは0.01〜1質量%程度含有していると使用性が良く、良好な効果が得られる。また浴用剤組成物においては、0.001〜99質量%で用いることができ、好ましくは0.1〜30質量%含有していると使用性が良く、良好な結果が得られる。実際に使用するときの浴湯中における濃度が0.00001〜0.01質量%、好ましくは0.0005〜0.005質量%程度となるように1回分使用量を設定するとよい。
【実施例】
【0040】
以下に製造例、試験例、処方例を挙げて説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0041】
[実施例1](製造例1)
オウゴントウの各構成生薬すなわちオウゴン4g、タイソウ4g、カンゾウ3g及びシャクヤク3gを混合したものに対して、水500mlを添加し、1時間還流抽出した。次いで、これを濾過して抽出液を得、さらに濃縮することにより、褐色抽出物3.2gを得た。
【0042】
[実施例2](製造例2)
オウゴントウの各構成生薬すなわちオウゴン4kg、タイソウ4kg、カンゾウ3kg及びシャクヤク3kgを混合したものに対して、水500Lを添加し、1晩浸漬抽出した。次いで、これを濾過して抽出液を得、さらに濃縮することにより、淡褐色抽出物3.1kgを得た。
【0043】
安全性試験 皮膚刺激性の評価
本発明の保湿性植物抽出物の皮膚刺激性を評価するため、健常人(24〜58歳男女)42人のモニターによるパッチテストを行った。
(試料)製造例1、2で得た保湿性植物抽出物を精製水で膨潤させたもの。
(方法)各試料について皮膚感作テスト用テープ「フィンチャンバー」(大正製薬製)を用いて、被験者の上腕屈側部、前膊内側に24時間閉塞貼付を行い判定した。すなわち、貼付後24時間経過した時点で試料を除去、その1時間後それぞれ皮膚の状態を観察して判定を行った。
(判定基準)判定は以下の基準により行った。
(+)陽 性:紅斑を認めるもの。
(±)疑陽性:軽微の紅斑あるいはその疑いがあるもの。
(−)陰 性:反応が認められないもの。
表1に結果を示した。
【0044】
【表1】

【0045】
表1より、本発明による保湿性植物抽出物は、皮膚刺激性が認められなかった。
【0046】
吸湿試験例
本発明による保湿性植物抽出物の保湿性を評価するため、相対湿度32%にて水分保持能力を測定した。すなわち、各種抽出物1gを秤量瓶に精密にとり、デシケータで12時間乾燥させた。再び秤量瓶の重量を測定した後、予め30℃に保った相対湿度32%の各デシケータ中に放置し、経時的に重量を測定して8時間後までの吸湿量(%)を求めて図1に示した。
【0047】
図1より、本発明による保湿性植物抽出物が各構成生薬の同固形分濃度の吸湿能力を上回り、皮膚保湿性が改善されていることが判明した。したがって本発明の保湿性植物抽出物は、肌荒れ改善に有効であると認められる。また、異なる植物の組み合わせによる抽出物によって相乗的効果が得られることが示された。
【0048】
各種外用剤組成物の製造 本発明による各種外用剤組成物を製造した。以下にその処方例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。処方例は全て重量部で示した。本発明の保湿性植物抽出物は全て製造例1で製造したものを用いた。
【0049】
[実施例3]
処方例1にしたがい、精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの保湿剤、オレイルアルコールなどの皮膚栄養剤と防腐剤、香料などを溶解したエチルアルコールとを室温にて混合した化粧料基剤に、本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合し、本発明の化粧水を調製した。
【0050】
処方例1(化粧水)
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
オレイルアルコール 0.1
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 0.5
ポリオキシエチレン(15)ラウリルエーテル 0.5
エチルアルコール 10.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 78.4
合計 100.0
【0051】
[実施例4]
処方例2にしたがい、水相部として精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。油相部として、ミツロウ、セチルアルコール、ワセリンなどの固形油分、スクワランなどの液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合し、約80℃に加熱したものを用意した。約80℃に加熱した水相部にクインスシードなどの増粘剤を加え、ホモミキサーで攪拌しながら油相部を徐々に加え、乳化し、本発明の乳液とした。
【0052】
処方例2(乳液)
セチルアルコール 1.0
ミツロウ 0.5
オクチルドデカノール 2.0
ワセリン 2.0
スクワラン 6.0
エチルアルコール 5.0
グリセリン 4.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10) 1.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
クインスシード(マルメロ種子) 1.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 72.0
合計 100.0
【0053】
[実施例5]
処方例3にしたがい、水相部として、精製水に1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール1500などの保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。油相部として、ステアリン酸、ステアリルアルコール、水添ラノリンなどの固形油分、スクワラン、オクチルドデカノールなどの液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、乳化して本発明のクリームとした。
【0054】
処方例3(クリーム)
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 6.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
ポリエチレングリコール1500 4.0
ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 53.5
合計 100.0
【0055】
[実施例6]
処方例4にしたがい、精製水に1,3―ブチレングリコール、グリセリンなどの保湿剤を配合し、それに本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。これを70〜80℃に加熱し、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤、ポリビニルアルコールなどの皮膜剤を添加し攪拌溶解し、さらにエチルアルコールに防腐剤、界面活性剤などを溶解したものを添加して可溶化し、本発明のパックとした。
【0056】
処方例4(パック)
ポリビニルアルコール 15.0
カルボキシメチルセルロース 5.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
グリセリン 1.0
エチルアルコール 12.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5
精製水 62.0
合計 100.0
【0057】
[実施例7]
処方例5にしたがい、水相部は精製水に1,3−ブチレングリコールなどの保湿剤を配合し、それに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部は、ミツロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、高級脂肪酸などの固形油分、ワセリン、ラノリンなどの半固形分、流動パラフィンなどの液状油分に防腐剤、界面活性剤を混合し、80℃に加熱溶解した。次に、水相部を80℃に加熱溶解し、攪拌しながら同程度に加熱された油相部を徐々に加えて乳化し、本発明の軟膏剤とした。本発明における保湿性植物抽出物は、任意に外用組成物基剤に配合されるものであるが、外用組成物が水相と油相からなるものである場合は、通常、水相部に配合されることが好ましい。
【0058】
処方例5(軟膏剤)
ミツロウ 1.0
パラフィンワックス 2.5
マイクロクリスタリンワックス 0.5
ステアリン酸 2.0
セチルアルコール 1.0
ベヘニルアルコール 3.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)
ソルビタン 1.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.5
流動パラフィン 5.0
ラノリン 1.0
ワセリン 4.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 70.8
合計 100.0
【0059】
[実施例8]
処方例6にしたがい、水相部として精製水にグリセリン、尿素などの保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部として、セタノール、ワセリン等の固形油分、流動パラフィン、酢酸トコフェロール、ビタミンDなどの液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、乳化して本発明のハンドクリームとした。
【0060】
処方例6(ハンドクリーム)
セタノール 4.0
ワセリン 2.0
流動パラフィン 10.0
酢酸トコフェロール 0.1
ビタミンD 0.1
尿素 2.0
グリセリン 20.0
ポリオキシエチレン(60)
イソステアリン酸グリセリン 2.5
モノステアリン酸グリセリン 1.5
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 57.1
合計 100.0
【0061】
[実施例9]
処方例7にしたがい、水相部として精製水に1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール1500などの既知の保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部として、ステアリン酸、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリンなどの固形油分、スクワラン、オクチルドデカノールなどの液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、乳化してクリームとする。これに水酸化カリウムを溶解した精製水を徐々に加え、けん化して本発明の洗顔クリームとした。
【0062】
処方例7(洗顔クリーム)
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 6.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
ポリエチレングリコール1500 4.0
ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
水酸化カリウム 0.5
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 52.8
合計 100.0
【0063】
[実施例10]
処方例8にしたがい、水相部として精製水にプロピレングリコール、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニオプロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどの保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部として、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、高重合メチルポリシロキサン、ジステアリン酸エチレングリコールなどの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、攪拌して本発明のヘアシャンプーとした。
【0064】
処方例8(ヘアシャンプー)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル
硫酸ナトリウム 9.0
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
高重合メチルポリシロキサン 2.0
メチルポリシロキサン 1.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
プロピレングリコール 2.0
塩化O−[2−ヒドロキシ−3−トリメチルアン
モニオプロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 74.8
合計 100.0
【0065】
[実施例11]
処方例9にしたがい、水相部として精製水にグリセリンなど既知の保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部として、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルアルコール、セチルアルコール、などの固形油分、高重合メチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、流動パラフィンなどの液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、乳化して本発明のヘアリンスとした。
【0066】
処方例9(ヘアリンス)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
ステアリルアルコール 1.0
セチルアルコール 2.0
高重合メチルポリシロキサン 2.0
メチルポリシロキサン 1.0
流動パラフィン 1.0
グリセリン 6.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 84.3
合計 100.0
【0067】
[実施例12]
処方例10にしたがい、水相部として精製水にプロピレングリコール、グリセリンなど既知の保湿剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.5%配合した。油相部として、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ジステアリン酸エチレングリコールなどの油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱された油相部を少しずつ添加し、攪拌して本発明のボディソープとした。
【0068】
処方例10(ボディソープ)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル
硫酸ナトリウム 15.0
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
モノパルミチン酸グリセリン 1.0
吸着精製ラノリン 2.0
グリセリン 2.0
プロピレングリコール 3.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.5
精製水 64.3
合計 100.0
【0069】
[実施例13]
処方例11にしたがい、石けん用素地に、酸化チタン、防腐剤、香料を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を1.0%配合した。これを型抜き、仕上げをし、本発明の固形石けんとした。
【0070】
処方例11(固形石けん)
石けん用素地 97.3
酸化チタン 0.2
防腐剤 0.5
香料 1.0
本発明の保湿性植物抽出物 1.0
合計 100.0
【0071】
[実施例14]
処方例12にしたがい、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムに、香料などを添加し混合した浴用剤基剤を用意し、本発明の保湿性植物抽出物を2.0%配合し、本発明の浴用剤aとした。
【0072】
処方例12(浴用剤a)
硫酸ナトリウム 48.0
炭酸水素ナトリウム 48.0
香料 2.0
本発明の保湿性植物抽出物 2.0
合計 100.0
【0073】
[実施例15]
処方例13にしたがい、界面活性剤に流動パラフィン、ホホバ油、防腐剤などの油性成分を配合し、約60℃にて溶解させたものを用意した。これに香料、精製水などを添加し、本発明の保湿性植物抽出物を2.0%配合し、本発明の浴用剤bとした。
【0074】
処方例13(浴用剤b)
ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル 10.0
流動パラフィン 80.0
ホホバ油 5.0
防腐剤 0.2
香料 1.8
本発明の保湿性植物抽出物 2.0
精製水 1.0
合計 100.0
【0075】
[実施例16]
処方例14にしたがい、エチルアルコールにセンブリエキス、酢酸トコフェロール、パントテニルエチルエーテルなどの毛髪栄養剤と、防腐剤、香料などを溶解したエチルアルコールとを室温にて混合した化粧料基剤に、精製水と本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合し、本発明の育毛剤とした。
【0076】
処方例14(育毛剤)
エチルアルコール 60.0
センブリエキス 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
パントテニルエチルエーテル 0.2
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 0.1
香料 0.2
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 29.0
合計 100.0
【0077】
[実施例17]
処方例15にしたがい、水相部として精製水にアスコルビン酸、防腐剤などを配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。油相部として、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルなどの固形油分、オレイン酸、イソプロピルアルコールなどの液体油分、防腐剤などの油性成分を配合したものを用意した。水相部に油相部を少しずつ添加し、乳化して本発明の染毛剤第1剤とした。
【0078】
処方例15(染毛剤第1剤)
酸化染料 4.0
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル 15.0
オレイン酸 20.0
イソプロピルアルコール 10.0
アンモニア水(28%) 10.0
アスコルビン酸 0.5
防腐剤 0.1
香料 0.3
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 39.8
合計 100.0
【0079】
[実施例18]
処方例16にしたがい、精製水に過酸化水素水と香料を室温にて混合した基剤に、本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合し、本発明の染毛剤第2剤とした。
【0080】
処方例16(染毛剤第2剤)
過酸化水素水(30%) 20.0
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 79.6
合計 100.0
【0081】
[実施例19]
処方例17にしたがい、水相部として精製水にグリセリンなど既知の保湿剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナンなどの増粘剤を配合したものを用意し、さらに第二リン酸カルシウム・2水塩、無水ケイ酸、ラウリル硫酸ナトリウムを混合し、本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。精製水の一部にサッカリンナトリウム、香料、防腐剤を加え、これを前記水相部に混合脱気し、本発明の練歯磨きとした。
【0082】
処方例17(練歯磨き)
第二リン酸カルシウム・2水塩 45.0
無水ケイ酸 2.0
グリセリン 15.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
カラギーナン 0.3
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.1
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 34.6
合計 100.0
【0083】
[実施例20]
処方例18にしたがい、精製水にグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を加え溶解した。これに、エチルアルコールに1−メントール及び香料を溶解したものを加えて混合溶解した。さらにサッカリンナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジンを加え溶解したものに、本発明の保湿性植物抽出物0.3%を配合し、本発明の洗口剤とした。
【0084】
処方例18(洗口剤)
エチルアルコール 40.0
グリセリン 10.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
1−メントール 0.5
サッカリンナトリウム 0.05
グルコン酸クロルヘキシジン 0.02
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 48.03
合計 100.0
【0085】
[実施例21]
処方例19にしたがい、水相部として精製水にポリプロピレングリコール、エチルアルコール、防腐剤を配合したものを用意し、これに本発明の保湿性植物抽出物を0.3%配合した。油相部として、ポリオキシエチレン(2)ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルグルコシド、香料油性成分を配合したものを用意した。水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに油相部を少しずつ添加し、攪拌して本発明の食器用洗剤とした。
【0086】
処方例19(食器用洗剤)
ポリオキシエチレン(2)
ドデシル硫酸ナトリウム 15.0
ラウリルグルコシド 12.5
エチルアルコール 5.0
ポリプロピレングリコール 3.0
防腐剤 0.1
香料 0.1
本発明の保湿性植物抽出物 0.3
精製水 64.0
合計 100.0
【0087】
各種外用剤組成物の使用試験
(1)実施要領
各実施例で製造した化粧水、クリーム、ヘアシャンプー、ヘアリンス、浴用剤b、育毛剤、食器用洗剤を試験品(A)とし、男女パネラー(全16名)による使用試験を実施した。比較品(B)として各外用剤組成物の処方中、本発明の保湿性植物抽出物を除いたものを準備し、試験開始後1カ月間は試験品(A)を、次いで翌1カ月間は比較品(B)を下記条件で使用してもらいアンケートによる回答を求めた。
【0088】
(2)使用条件
実施例3の化粧水:朝洗顔直後、夜入浴直後、各3ml(各1回/日)を顔に適用。
実施例5のクリーム:就寝前、1g(1回/日)を顔に適用。
実施例10のヘアシャンプー:洗髪時、10ml、(1回/日)を使用。
実施例11のヘアリンス:シャンプー直後、10ml、(1回/日)を使用。
実施例15の浴用剤b:浴湯約200Lに30g投じ入浴(1回/日)。
実施例16の育毛剤:洗髪後、3ml、(1回/日)を頭皮に適用。
実施例21の食器用洗剤 :随時 。
【0089】
(3)アンケート結果:アンケートによる回答結果を表2及び表3に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の保湿性植物抽出物は長時間保湿効果が継続し、該抽出物を含有する化粧料、浴用剤は、皮膚に対しては、乾燥、肌荒れ、ヒビ、アカギレ、フケ、カユミ等の予防、軽減又は改善に、又、毛髪に対しては、乾燥、パサツキ、枝毛、切れ毛、光沢付与等に奏効する。また、従来、肌荒れ、ヒビ、アカギレ等のスキントラブルが懸念されてきた家庭用洗剤などにおいても、本発明の保湿性植物抽出物がこのようなトラブルを起こりにくいように緩和し、肌をいたわる洗剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の保湿性植物抽出物とその構成原料生薬エキスの保湿性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オウゴン、タイソウ、カンゾウ及びシャクヤクの混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物。
【請求項2】
オウゴン0.4〜10.0部、タイソウ0.4〜10.0部、カンゾウ0.3〜7.5部及びシャクヤク0.3〜7.5部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物。
【請求項3】
オウゴン1.6〜8.0部、タイソウ1.6〜8.0部、カンゾウ1.2〜6.0部及びシャクヤク1.2〜6.0部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物。
【請求項4】
オウゴン2.8〜6.0部、タイソウ2.8〜6.0部、カンゾウ2.1〜4.5部及びシャクヤク2.1〜4.5部の混合物の抽出物からなる保湿性植物抽出物。
【請求項5】
水又はアルコール類又はそれらの混合物による抽出物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物。
【請求項6】
抽出溶媒の量が、被抽出物の10〜100倍量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物を含有することを特徴とする外用剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物を含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物を含有することを特徴とする浴用剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の保湿性植物抽出物を含有することを特徴とする洗剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−342071(P2006−342071A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166452(P2005−166452)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】