説明

保護喪失状態警告システム

【課題】 被保護者が保護者の監督下から離れた保護喪失状態にあることを周辺の車両に報知し、当該車両の運転者に注意を促すことで、当該車両から被保護者が受けるおそれのある危害を未然に防ぐことができる「保護喪失状態警告システム」を提供すること。
【解決手段】 保護喪失状態警告システム50は、固有の識別コードID1が付与された親機10と、親機10と通信可能に接続された子機20とを備える。親機10から識別コードID1を少なくとも一定時間継続的に発信し、子機20において識別コードID1の受信状態をモニタし、親機10から所定の距離以上離れていると判定したときに所定の識別情報を含む警告信号ALMを発生し、子機20と通信可能に接続され得る車載機30を搭載した周辺の車両に対して当該警告信号を発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護喪失状態警告システムに関し、より詳細には、幼い子供や老人ら被保護者が保護者の監督下から離れたとき(つまり、保護喪失の状態となったとき)にその旨を周辺の車両に対して警告するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護者と被保護者にそれぞれ親機、子機を携帯させて、親機と子機が一定の距離以上に離れたときにこれを検知して親機側で警報を発生させるようにした技術が、既に提供されている。このような技術は、警報発生があったことによって親機を所持する保護者が自ら、子機を所持している被保護者が一定の距離以上離れてしまっていること(すなわち、被保護者が保護者の監督下から離れた「保護喪失状態」にあること)を知ることができるので、比較的重宝に利用されている。しかし、子機を所持する被保護者が、保護者の監督下から離れていることを知らずに行動して、危険な状態に遭遇してしまうおそれがあった。
【0003】
かかる不都合に対処する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、保護者が所持する親機と被保護者が所持する子機が一定の距離以上に離れたときに、これを検知して親機側で警報を発生させると共に、親機側から子機に対して選択スイッチで選択して音や光等の警報を発生させ、被保護者に注意を促すようにしたものがある。
【0004】
また、上記の従来技術に関連する別の技術として、例えば、特許文献2に記載されるように、親機と子機の間で、互いに一対の組であることを他の組から識別するIDコードの授受を行いながら、両機が一定の距離以上に離れたときにこれを検知して親機側で警報を発生させるようにしたものがある。
【特許文献1】特開2003−109147号公報
【特許文献2】特開平6−68367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、子機を所持する被保護者が保護者の監督下から離れていることを知らずに行動して危険な状態に遭遇してしまわないようにするための技術として、保護者(親機)と被保護者(子機)が一定の距離以上に離れたときにこれを親機側で検知し、子機に通知することで被保護者に注意を促すようにしたものがあった(特許文献1,2)。
【0006】
しかしながら、これら文献に記載された技術では、あくまで親機と子機の間のみで情報の授受を行っており、保護者の監督下から離れていることを知ることができるのは被保護者のみであるため、被保護者が居る場所や置かれている状況、被保護者の思考能力等によっては、必ずしも被保護者を危険な状態から回避させるのが難しい場合が起こり得る。例えば、幼い子供(被保護者)が保護者の元から離れて、比較的通行量の多い道路の近くを歩いている時に保護者(親機)から「一定の距離以上離れたこと」を通知されたときに、自分が現在居る場所は危険な場所であることを直ぐに理解できてそれなりの対応がとれれば問題はないが、その通知を受けたときにたまたま車両が近づいていた場合、被保護者の行動次第では危険な状態(交通事故など)に遭遇しないとも限らない。
【0007】
つまり、上述した従来の技術では、「被保護者が保護者の監督下から離れていること」を当事者のみに通知しており、周辺の車両に報知していなかったため、上記のような不都合が起こり得るといった課題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、被保護者が保護者の監督下から離れた保護喪失状態にあることを周辺の車両に報知し、当該車両の運転者に注意を促すことで、当該車両から被保護者が受けるおそれのある危害を未然に防ぐことができる保護喪失状態警告システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、固有の識別コードが付与された親機と、該親機と通信可能に接続された子機とを備え、前記親機から前記識別コードを少なくとも一定時間継続的に発信し、前記子機において前記識別コードの受信状態をモニタし、前記親機から所定の距離以上離れていると判定したときに所定の識別情報を含む警告信号を発生し、前記子機と通信可能に接続され得る車載機を搭載した周辺の車両に対して当該警告信号を発信するようにしたことを特徴とする保護喪失状態警告システムが提供される。
【0010】
本発明に係る保護喪失状態警告システムによれば、保護者が携帯する親機と被保護者が携帯する子機が所定の距離以上離れたときに、被保護者が保護者の監督下から離れたことを示す信号(警告信号)を子機から周辺の車両に対して発信することで、この被保護者に対して予期しない交通事故を引き起こさないように警告している。つまり、当該車両の運転者に注意を促すことで、この車両から被保護者が受けるおそれのある危害を未然に防ぐことができる。
【0011】
本発明の他の構成上の特徴及びそれによって得られる利点については、後述する好適な実施形態を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る保護喪失状態警告システムの構成をブロック図の形態で概略的に示したものであり、また、図2はそのシステムの構成及び機能を補足的に説明するための図である。
【0014】
本実施形態に係る保護喪失状態警告システム50は、図1に示すように親機10と、子機20と、車載機30とにより構成されており、子機20は、親機10及び車載機30とそれぞれ通信可能に無線接続されている。本実施形態のシステム50では、子機20は、親機10から発信された電波信号(識別コードID1)を所定の距離内で受信できるように、かつ、規定の条件下で発生した電波信号(警告信号ALM)を所定の距離内で周辺の車両(車載機30)に発信できるように適応されている。また、親機10と子機20はそれぞれバッテリを電源として動作するように適応されている。
【0015】
親機10は、図2(a)に示すように、保護者1が身に付けている衣服のポケット内に携帯され、同様に子機20は、被保護者2が身に付けている衣服のポケット内に携帯されている。親機10と子機20は、それぞれ固有の識別コードID1、ID2(属性としてそれぞれ「保護者」、「被保護者」の区別が与えられる)を有し、互いに認証手続きを行うことにより、一対の携帯情報端末として機能する。
【0016】
子機20は、後述するように親機10の発する電波信号(識別コードID1)の受信を常にモニタしており、親機10から所定の距離以上離れていないかどうか(つまり、保護者1が所定の距離以内に居るかどうか)を常に確認している。そして、図2(b)に示すように被保護者2が保護者1の元から離れて、子機20と親機10が所定の距離以上離れたときに、子機20は、被保護者2に保護者1の目が届いていない危険な状態(保護喪失状態)にあるものと判断して、電波信号(警告信号ALM)を発信する。「所定の距離以上離れたとき」の判断は、例えば、子機20においてモニタしている親機10からの電波信号(識別コードID1)の受信が途絶えたときを、その「とき」と判断する。
【0017】
子機20から発信された警告信号ALMは、この子機20から所定の距離内に存在する周辺の車両3に搭載された車載機30において受信され、後述するように警告信号ALMに基づいて、例えば、「近くに、保護者の目が届いていない子供がいます」といったような警告情報を発して、当該車両3の運転者に注意を促す。
【0018】
なお、図2の例示では、親機10も子機20もそれぞれ携帯者1,2の衣服のポケットに入れられているが、必ずしもポケット内である必要はなく、要は、携帯者に常に付随しているものに組み込まれていれば十分である。特に、被保護者2が携帯する子機20については、衣服以外にも、靴や乳母車などに組み込むことができ、また、被保護者が足腰の弱い老人の場合には、その被保護者が携行している杖などに組み込んでもよい。
【0019】
図1を参照すると、親機10は、制御部11と、この制御部11に接続されたレジスタ12と、制御部11からの制御に基づいて信号の増幅及び送信を行うRF(無線周波数)送信部13及びアンテナ13Aと、制御部11からの制御に基づいて所定の変調処理を行う変調部14とを備えている。制御部11は、マイクロコンピュータ(マイコン)等により構成され、後述するように子機20側と協働して保護喪失状態警告に係る処理を制御する。レジスタ12には、ユーザ(この場合、保護者1)による外部からの入力操作に基づいて設定可能な親機10の識別コードID1が格納されている。
【0020】
また、子機20は、制御部21と、この制御部21からの制御に基づいて所定の識別情報を含む警告信号ALMを発生する警告発生部22と、制御部21に接続されたレジスタ23と、制御部21からの制御に基づいて信号の増幅及び送受信を行うRF送受信部24及びアンテナ24Aと、制御部21からの制御に基づいて所定の変復調処理を行う変復調部25とを備えている。制御部21は、同様にマイクロコンピュータ(マイコン)等により構成され、後述するように親機10及び車載機30側と協働して保護喪失状態警告に係る処理を制御する。レジスタ23には、親機10のレジスタ12と同様に外部からの入力操作に基づいて設定可能な子機20の識別コードID2と共に、親機10の識別コードID1も予め格納されている。また、警告発生部22から発生される警告信号ALMに含まれる所定の識別情報は、子機20の識別コードID2と、この子機20が対応する親機10と相互に認証された一対の組であることを指示する情報、すなわち、他の組(親機と子機)から識別する情報とを含んでいる。
【0021】
また、車載機30は、制御部31と、警告情報を音声出力するスピーカ32と、警告情報を画面上に表示するLCDモニタ等の表示部33と、制御部31からの制御に基づいてスピーカ32から音声出力させるべき警告情報を生成する警告音声生成部34と、制御部31からの制御に基づいて表示部33の画面上に表示させるべき警告情報の描画処理を行う描画処理部35と、制御部31からの制御に基づいて信号の受信及び増幅を行うRF受信部36及びアンテナ36Aと、制御部31からの制御に基づいて所定の復調処理を行う復調部37とを備えている。制御部31は、同様にマイクロコンピュータ(マイコン)等により構成され、後述するように子機20側と協働して保護喪失状態警告に係る処理を制御する。
【0022】
以下、本実施形態に係るシステム50において親機10と子機20が協働して行う保護喪失状態警告に係る処理について、その処理フローの一例を示す図3を参照しながら説明する。
【0023】
先ず最初のステップS11では(親機側)、制御部11からの制御に基づいてレジスタ12から読み出した親機の識別コードID1を、変調部14を通して変調し、さらにRF送信部13を通して増幅した後、アンテナ13Aを介して発信する。識別コードID1の発信は、少なくとも一定時間継続的に、かつ間欠的に行うのが望ましい。
【0024】
後述するように子機20側ではこの識別コードID1の受信をモニタしているので、識別コードID1の発信は中断することなく継続されていることが理想的であるが、これを行うとバッテリの電力を不必要に消耗するので、上記のように間欠的に発信を行うのが望ましい。本発明に関連する親機側の処理フローについては、これで「終了」となる。
【0025】
次のステップS21では(子機側)、親機10から発信された識別コードID1を、制御部21からの制御に基づきRF送受信部24を通して受信及び増幅し、さらに変復調部25を通して復調した後、制御部21において、この受信した識別コードID1とレジスタ23に予め格納されている親機10の識別コードID1とを比較し、両識別コードの一致を検出する。この「一致検出状態」は、親機10から発信された識別コードID1を受信している限り、継続される。つまり、子機20側では、この識別コードID1の受信を常にモニタしており、その比較結果を一定の周期でチェックしている。
【0026】
次のステップS22では、制御部21において、親機10から発信されている識別コードID1の受信が途絶えた(YES)か否(NO)かを判定する。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS23に進み、判定結果がNOの場合にはステップS21に戻って上記の処理を繰り返す。
【0027】
次のステップS23では、制御部21において、識別コードID1の受信が途絶えた状態が発生してから所定の時間が経過した(YES)か否(NO)かを判定する。この「受信が途絶えた状態」が発生する要因は3つ考えられる。先ず第1の要因は、子機20が親機10から所定の距離以上離れて受信可能範囲から外れた場合であり、第2の要因は、受信可能範囲に入ってはいるが、親機10からの識別コードID1の間欠発信が休止状態にある場合であり、第3の要因は、一時的に間欠周期より長い時間、例えば、親機10と子機20の間に障害物が入った場合や、短時間、両者の距離が離れた場合などで、危険な状態には至っていない場合である。第2,第3の要因の場合には、一定の時間が経過すれば識別コードID1の受信が再開される。よって、本ステップの判定処理において、比較の対象とする「所定の時間」は、ステップS21において両識別コードの比較結果をチェックしている「一定の周期」よりも長く、かつ、通信の途絶が危険な状態に至ったと見なされる時間長よりも長く設定されている。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS24に進み、判定結果がNOの場合にはステップS21に戻って上記の処理を繰り返す。
【0028】
次のステップS24では(両識別コードの一致が所定の時間検出されない場合)、制御部21からの制御に基づいて警告発生部22から所定の識別情報を含む警告信号ALMを発生し、さらに変復調部25を通して変調した後、制御部21からの制御に基づきRF送受信部24を通して増幅し、アンテナ24Aを介して発信する。これによって、周辺の車両に警告がなされる。そして、子機側の処理フローは「終了」となる。
【0029】
この後の処理は、周辺の車両に搭載された車載機30において行われる。特に図示はしないが、例えば、以下のような処理を行う。
【0030】
すなわち、車載機30では、外部から送信されてくる信号(子機20から発信された警告信号ALMも含む)を、制御部31からの制御に基づきRF受信部36を通して受信及び増幅し、復調部37を通して復調した後、制御部31において、この受信された信号が上記の所定の識別情報を含む警告信号ALMであることを検知すると、その旨を指示する警告情報を発生させる。すなわち、警告音声生成部34を制御して、例えば、「近くに、保護者から離れた子供がいます」といったような警告音声を発生させ、スピーカ32を介して音声出力することで、当該車両3(図2)の運転者に注意を促す。
【0031】
あるいは、描画処理部35を制御して表示部33の画面上に、その旨を指示する警告情報(文字情報やアイコン等)を表示させることで、当該車両3(図2)の運転者に注意を促すようにしてもよい。また、必要に応じて、表示部33による画面上での警告と併せてスピーカ32からの音声による警告を行うようにしてもよい。
【0032】
図4は本発明の他の実施形態に係る保護喪失状態警告システムの構成をブロック図の形態で概略的に示したものである。
【0033】
本実施形態に係る保護喪失状態警告システム50aは、上述した実施形態に係る保護喪失状態警告システム50(図1)と同様に、識別コードID1(属性として「保護者」の区別が与えられる)を有する親機10aと、識別コードID2(属性として「被保護者」の区別が与えられる)を有する子機20aと、車載機30aとにより構成されており、子機20aは、親機10a及び車載機30aとそれぞれ通信可能に無線接続されている。同様に、親機10aと子機20aは、各々の識別コードID1、ID2を用いて互いに認証手続きを行うことで、一対の携帯情報端末として機能する。本実施形態のシステム50aでは、親機10aと子機20aは、それぞれ相手側から発信された電波信号(識別コードID1、ID2及び後述する一致検出信号DT1、DT2)を所定の距離内で受信できるように、かつ、子機20aは、規定の条件下で発生した電波信号(警告信号ALM)を所定の距離内で周辺の車両(車載機30a)に発信できるように適応されている。また、親機10aと子機20aはそれぞれ電源としてバッテリを使用している。
【0034】
本実施形態に係るシステム50a(図4)は、図1の実施形態に係るシステム50と比べて、以下の点で相違する。他の構成及びその機能については、基本的に図1の実施形態の場合と同じであるので、その説明は省略する。相違する点は以下の通りである。
【0035】
先ず、親機10aについては、制御部11aからの制御に基づいて信号の増幅及び送受信を行うRF送受信部13aと、制御部11aからの制御に基づいて所定の変復調処理を行う変復調部14aとを備えており、さらに、警告情報を音声出力するスピーカ15と、制御部11aからの制御に基づいてスピーカ15から音声出力させるべき警告情報を生成する警告音声生成部16とを備えている。但し、レジスタ12には、外部からの入力操作に基づいて設定可能な親機10aの識別コードID1と共に、子機20aの識別コードID2も予め格納されている。
【0036】
また、子機20aについては、さらに、制御部21aに動作可能に接続されたGPS受信機26を備えている。このGPS受信機26は、GPS衛星から送られてくるGPS信号に基づいて自己の現在位置(この場合、被保護者が携帯している子機20aの経度及び緯度)を検出する。
【0037】
また、車載機30aについては、さらに、制御部31aに動作可能に接続されたナビゲーション装置38を備えている。このナビゲーション装置38は地図データベース39を備えており、この地図データベース39には、各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られた最新の地図データ(表示用及び経路探索用の道路データ、各種施設の位置データなど)が格納されている。ナビゲーション装置38には、通常、ディスプレイ装置(図示せず)が備えられているので、このディスプレイ装置を表示部33として兼用してもよい。
【0038】
以下、本実施形態に係るシステム50aにおいて親機10aと子機20aが協働して行う保護喪失状態警告に係る処理について、その処理フローの一例を示す図5を参照しながら説明する。
【0039】
先ず最初のステップS31では(親機側)、制御部11aからの制御に基づいてレジスタ12から読み出した親機の識別コードID1を、変復調部14aを通して変調し、さらにRF送受信部13aを通して増幅した後、アンテナ13Aを介して発信する。同様に、識別コードID1の発信は、少なくとも一定時間継続的に、かつ間欠的に行う。
【0040】
同様にステップS41では(子機側)、制御部21aからの制御に基づいてレジスタ23から読み出した子機の識別コードID2を、変復調部25を通して変調し、さらにRF送受信部24を通して増幅した後、アンテナ24Aを介して発信する。同様に、識別コードID2の発信は、少なくとも一定時間継続的に、かつ間欠的に行う。
【0041】
次のステップS32では(親機側)、子機20aから発信された識別コードID2を、制御部11aからの制御に基づきRF送受信部13aを通して受信及び増幅し、さらに変復調部14aを通して復調した後、制御部11aにおいて、この受信した識別コードID2とレジスタ12に予め格納されている子機20aの識別コードID2とを比較し、両識別コードの一致を検出(一致検出信号DT1を生成)する。
【0042】
同様にステップS42では(子機側)、親機10aから発信された識別コードID1を、制御部21aからの制御に基づきRF送受信部24を通して受信及び増幅し、さらに変復調部25を通して復調した後、制御部21aにおいて、この受信した識別コードID1とレジスタ23に予め格納されている親機10aの識別コードID1とを比較し、両識別コードの一致を検出(一致検出信号DT2を生成)する。
【0043】
次のステップS33では(親機側)、制御部11aにおいて生成された一致検出信号DT1を、レジスタ12から読み出した親機の識別コードID1と共に、変復調部14aを通して変調し、さらにRF送受信部13aを通して増幅した後、アンテナ13Aを介して発信する。
【0044】
同様にステップS43では(子機側)、制御部21aにおいて生成された一致検出信号DT2を、レジスタ23から読み出した子機の識別コードID2と共に、変復調部25を通して変調し、さらにRF送受信部24を通して増幅した後、アンテナ24Aを介して発信する。
【0045】
次のステップS34では(親機側)、制御部11aにおいて、子機20aから発信されている一致検出信号DT2の受信が途絶えた(YES)か否(NO)かを判定する。このとき、親機10aでは、一致検出信号DT2の受信を一定の周期でチェックしている。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS35に進み、判定結果がNOの場合にはステップS32に戻って上記の処理を繰り返す。
【0046】
同様にステップS44では(子機側)、制御部21aにおいて、親機10aから発信されている一致検出信号DT1の受信が途絶えた(YES)か否(NO)かを判定する。同様に、子機20aでは、一致検出信号DT1の受信を一定の周期でチェックしている。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS45に進み、判定結果がNOの場合にはステップS42に戻って上記の処理を繰り返す。
【0047】
次のステップS35では(親機側)、制御部11aにおいて、一致検出信号DT2の受信が途絶えた状態が発生してから所定の時間が経過した(YES)か否(NO)かを判定する。この「受信が途絶えた状態」が発生する要因は、前述した実施形態(図3のステップS23)の場合と同様に3つ考えられる。よって、本ステップの判定処理において、比較の対象とする「所定の時間」は、ステップS34において一致検出信号DT2の受信をチェックしている「一定の周期」よりも長く、かつ、通信の途絶が危険な状態に至ったと見なされる時間長よりも長く設定されている。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS36に進み、判定結果がNOの場合にはステップS32に戻って上記の処理を繰り返す。
【0048】
同様にステップS45では(子機側)、制御部21aにおいて、一致検出信号DT1の受信が途絶えた状態が発生してから所定の時間が経過した(YES)か否(NO)かを判定する。比較の対象とする「所定の時間」は、ステップS35における「所定の時間」と同様に、ステップS44において一致検出信号DT1の受信をチェックしている「一定の周期」よりも長く、かつ、通信の途絶が危険な状態に至ったと見なされる時間長よりも長く設定されている。そして、判定結果がYESの場合には次のステップS46に進み、判定結果がNOの場合にはステップS42に戻って上記の処理を繰り返す。
【0049】
次のステップS36では(親機側)、制御部11aからの制御に基づいて警告音声生成部16により、例えば、「子供が遠くに離れています」といったような警告音声を発生させ、スピーカ15を介して音声出力することで、保護者に警告する。そして、親機側の処理フローは「終了」となる。
【0050】
同様にステップS46では(子機側)、制御部21aにおいて、GPS受信機26により検出された位置情報(経度及び緯度)に基づいて子機20aの現在位置を検出すると共に、制御部21aからの制御に基づいて警告発生部22から所定の識別情報を含む警告信号ALMを発生させる。さらに、制御部21aからの制御に基づき、変復調部25を通して変調し、RF送受信部24を通して増幅した後、アンテナ24Aを介して、子機20aの現在位置を指示する位置情報と共に、警告信号ALMを発信する。これによって、周辺の車両に警告がなされる。そして、子機側の処理フローは「終了」となる。
【0051】
この後の処理は、周辺の車両に搭載された車載機30aにおいて行われる。特に図示はしないが、例えば、以下のような処理を行う。
【0052】
すなわち、車載機30aでは、外部から送信されてくる信号(子機20aから発信された警告信号ALMも含む)を、制御部31aからの制御に基づきRF受信部36を通して受信及び増幅し、復調部37を通して復調した後、制御部31aにおいて、この受信された信号が上記の所定の識別情報を含む警告信号ALMであることを検知すると、その旨を指示する警告情報を発生させる。すなわち、警告音声生成部34を制御して、「近くに、保護者から離れた子供がいます」といったような警告音声を発生させ、スピーカ32を介して音声出力することで、当該車両3(図2)の運転者に注意を促す。また、描画処理部35を制御して表示部33の画面上に、その旨を指示する警告情報(文字情報やアイコン等)を表示させることで、当該車両3(図2)の運転者に注意を促すようにしてもよい。また、必要に応じて、表示部33による画面上での警告と併せてスピーカ32からの音声による警告を行うようにしてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態に特有の機能として、車載機30aでは、制御部31aにより、ナビゲーション装置38の地図データベース39から得られる地図情報と、子機20aから発信された位置情報とに基づいて、描画処理部35を制御して表示部33の画面上に、子機20aが存在する地点を地図画像に重ね合わせて表示させる。これによって、当該車両3(図2)の運転者は、保護者から離れた子供がどの程度近くに居るかを認識することができるので、より一層注意が促される。
【0054】
上述した各実施形態では、子機20(20a)側でモニタしている親機10(10a)からの識別コードID1(一致検出信号DT1)の受信が途絶えたときに、「所定の距離以上離れた」ものと判断して警告信号ALMを発信するようにしたが、所定の距離以上離れたかどうかを検出する方法(手段)はこれに限定されないことはもちろんである。
【0055】
例えば、親機10(10a)と子機20(20a)にそれぞれGPS受信機を設け、各GPS受信機により検出された各々の位置情報の差から、両者間の距離を算出し、この距離に基づいて警告信号ALMの発信を制御するようにしてもよい。また、道路の路肩に設置されている複数の路側機から発信される位置と時刻の情報を含む電波信号を受信して、親機10(10a)と子機20(20a)の位置を特定するようにしてもよい。
【0056】
また、上述した各実施形態では、いずれも、親機10(10a)と子機20(20a)が所定の距離以上離れたときに子機20(20a)から発信される警告信号ALMに基づいて周辺車両の運転者に注意を促すようにした場合を例にとって説明したが、周辺車両の運転者に注意を促す形態はこれに限定されず、他にも種々の形態が考えられる。その一例を図6に示す。
【0057】
図6に例示する実施形態では、保護者1が携帯する親機10bと被保護者2が携帯する子機20bのいずれにもGPS受信機(図示せず)を備えており、各々のGPS受信機により検出された現在位置(保護者1と被保護者2がそれぞれ居る地点の経度及び緯度)を指示する情報を、当該親機10bと子機20bが相互に認証された一対の組であることを他の組(親機と子機)から識別する情報と共に周辺に発信している。そして、周辺の車両3(車載機30b)では、この情報(位置情報及び識別情報)を受信し、車載の地図データベースを参照して地図情報と各位置情報を比較し、この比較結果に基づき、相互に一対をなす親機10b(保護者1)と子機20b(被保護者2)が図示のように道路を挟んで互いに反対側にそれぞれ存在すると判定したときに、当該車両3の運転者に注意を促す。すなわち、被保護者2が保護者1に向かって道路内に飛び出すおそれがあるものと判断して、その旨を指示する警告情報(例えば、「この先の道路で子供が飛び出すおそれがあります」といったようなメッセージ)をスピーカから音声出力し、あるいは表示部の画面上に表示することで、当該車両3の運転者に注意を促す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る保護喪失状態警告システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のシステムの構成及び機能を補足的に説明するための図である。
【図3】図1のシステムにおいて親機と子機が協働して行う保護喪失状態警告に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る保護喪失状態警告システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】図4のシステムにおいて親機と子機が協働して行う保護喪失状態警告に係る処理の一例を示すフロー図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1…保護者、
2…被保護者、
3…周辺の車両、
10,10,10b…親機、
11,11a,21,21a,31,31a…制御部、
12,23…レジスタ、
13…RF送信部、
14…変調部、
15,32…スピーカ、
16,34…警告音声生成部、
20,20a,20b…子機、
24…RF送受信部、
25…変復調部、
30,30a,30b…車載機、
33…表示部(LCDモニタ等)、
35…描画処理部、
36…RF受信部、
37…復調部、
38…ナビゲーション装置、
39…地図データベース、
50,50a…保護喪失状態警告システム、
ALM…警告信号、
DT1,DT2…一致検出信号、
ID1,ID2…識別コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の識別コードが付与された親機と、
該親機と通信可能に接続された子機とを備え、
前記親機から前記識別コードを少なくとも一定時間継続的に発信し、前記子機において前記識別コードの受信状態をモニタし、前記親機から所定の距離以上離れていると判定したときに所定の識別情報を含む警告信号を発生し、前記子機と通信可能に接続され得る車載機を搭載した周辺の車両に対して当該警告信号を発信するようにしたことを特徴とする保護喪失状態警告システム。
【請求項2】
前記警告信号に含まれる所定の識別情報は、前記子機を固有に特定する識別コードと、該子機と前記親機が相互に認証された一対の組であることを指示する情報とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項3】
前記親機は、前記子機と所定の距離内で通信可能な送信部を有し、
前記子機は、前記警告信号を発生可能な警告発生部と、前記親機の識別コードを格納したレジスタと、前記親機と所定の距離内で通信可能な送受信部と、制御部とを有し、該制御部により、前記送受信部を介して受信された識別コードを前記レジスタに格納されている識別コードと比較し、両識別コードの一致が所定の時間検出されないときに前記警告発生部を制御して前記警告信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項4】
前記車載機は、スピーカと、前記子機と所定の距離内で通信可能な受信部と、制御部とを有し、該制御部により、前記受信部を介して受信された信号が前記所定の識別情報を含む警告信号であることを検知したときにその旨を指示する警告情報を前記スピーカから音声出力させることを特徴とする請求項3に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項5】
前記車載機は、表示部を有し、前記制御部は、前記受信された信号が前記所定の識別情報を含む警告信号であることを検知したときにその旨を指示する警告情報を前記表示部の画面上に表示させることを特徴とする請求項3に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項6】
前記親機は、自己の識別コードと共に前記子機の識別コードを格納した第1のレジスタと、前記子機と所定の距離内で通信可能な第1の送受信部と、スピーカと、第1の制御部とを有し、
前記子機は、前記警告信号を発生可能な警告発生部と、自己の識別コードと共に前記親機の識別コードを格納した第2のレジスタと、前記親機と所定の距離内で通信可能な第2の送受信部と、第2の制御部とを有し、
前記親機において前記第1の制御部により、前記第1の送受信部を介して受信された識別コードを前記第1のレジスタに格納されている子機の識別コードと比較し、両識別コードの一致を指示する第1の一致検出信号と自己の識別コードとを発信すると共に、
前記子機において前記第2の制御部により、前記第2の送受信部を介して受信された識別コードを前記第2のレジスタに格納されている親機の識別コードと比較し、両識別コードの一致を指示する第2の一致検出信号と自己の識別コードとを発信し、
前記親機において前記第1の制御部により、前記第2の一致検出信号の受信が所定の時間検出されないときに前記スピーカを介して警告音声を発生させると共に、
前記子機において前記第2の制御部により、前記第1の一致検出信号の受信が所定の時間検出されないときに前記警告発生部を制御して前記警告信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項7】
前記車載機は、スピーカと、前記子機と所定の距離内で通信可能な受信部と、制御部とを有し、該制御部により、前記受信部を介して受信された信号が前記所定の識別情報を含む警告信号であることを検知したときにその旨を指示する警告情報を前記スピーカから音声出力させることを特徴とする請求項6に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項8】
前記子機は、自己の現在位置を検出するGPS受信機を有し、前記第2の制御部は、前記警告発生部を制御して前記警告信号を発生させたときに、前記GPS受信機により検出された自己の位置情報を発信し、
前記車載機は、表示部と、地図データベースとを有し、前記制御部は、前記警告信号の受信を検知したときにその旨を指示する警告情報を前記表示部の画面上に表示させると共に、前記地図データベースから得られる地図情報と前記子機から発信された位置情報とに基づいて、該子機が存在する地点を前記表示部の画面上の地図画像に重ね合わせて表示させることを特徴とする請求項6に記載の保護喪失状態警告システム。
【請求項9】
自己の現在位置を検出するGPS受信機を備えた親機と、
該親機と相互に認証され、自己の現在位置を検出するGPS受信機を備えた子機と、
地図データベースを有する車載機を搭載した車両とを備え、
前記親機及び子機から、当該親機と子機が相互に認証された一対の組であることを他の組から識別する情報と共に、各々のGPS受信機により検出された現在位置を指示する位置情報を発信し、
前記車載機において、前記親機及び子機からそれぞれ発信された位置情報及び識別情報を受信し、前記地図データベースを参照して地図情報と各位置情報を比較し、該比較結果に基づいて当該親機と子機が道路を挟んで互いに反対側にそれぞれ存在すると判定したときに、その旨の警告情報を発生させるようにしたことを特徴とする保護喪失状態警告システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−127184(P2006−127184A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315133(P2004−315133)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】