説明

信号伝送装置

【課題】真水あるいは海水あるいは液状の高誘電体物質あるいはこれらを含む液体中において、電磁波信号を低損失で伝送させるための信号伝送装置を実現する。
【解決手段】発信手段21からは、320MHz以下の周波数帯の電磁波信号を小型のループアンテナ213によって液体中に放射し、当該放射された電磁波信号は、受信手段22に接続された小型ループアンテナ223によって受信する。ループアンテナ213と223は、当該液体の比較的に高い誘電率によって共振状態あるいはマッチング状態となり、電磁波信号を低損失で効率よく伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、比較的に誘電率の高い液体中において、電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、非特許文献1に記載されている従来の「淡水中の50MHz帯電磁波伝搬特性の検討」の実施例である。 図5において、送信機10は50MHz帯の電磁波信号を発生しており、当該電磁波信号は水面111より下部に設置されたアンテナ11から水中に放射され、アンテナ12により受信された当該電磁波信号は受信機13によって受信された信号の強度が測定される。
当該アンテナ11が水面111の下部60cmと110cmの位置に設置されたときのアンテナ11とアンテナ12間の垂直方向と水平方向の伝搬損失が測定されている。測定結果からは、アンテナ11から10m程度離れた位置での伝搬損失が40dBから60dB程度であり、高品質の通信が可能であることを示唆しているが、使用したアンテナが半波長ダイポールアンテナであるため大型となり、移動体に装着することが難しい問題点があり、特に、水中に生息する生物などに装着するバイオテレメトリなどの目的には適さない問題点がある。
一方、特許文献1に記載されている従来の「水中における無線通信装置」では、固定局無線装置に漏洩同軸ケーブルを接続し、移動局無線装置には広帯域ダブレット空中線が接続されており、前記と同様な問題点がある。
また、特許文献2に記載されている従来の「魚ロボット及び水中通信」では、水中での通信にFM変調された電波を用いるとされているが、アンテナの種類および利用する周波数帯あるいは伝送損失を最適にするための条件についての特段の記述がされていない問題点がある。

【特許文献1】特開2002−314467号
【特許文献2】特開2002−136776号
【非特許文献1】「淡水中の50MHz帯電磁波伝搬特性の検討」2003電子情報通信学会通信ソサイエテイ大会、B−1−31、(2003−09)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、比較的に誘電率の高い液体中において、電磁波信号を低損失で伝送するために用いるアンテナを小型化し、液体中に生息する生物あるいは液体中に存在する小型の移動体に装着して使用できる信号伝送装置を実現するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係わる信号伝送装置は、誘電率が比較的に高い液体中で、320MHz以下の周波数帯の電磁波信号を用い、発信手段および受信手段に小型のループアンテナを接続し、当該ループアンテナが当該液体中で共振状態あるいはマッチング状態となるように設定することによって、当該電磁波信号を効率良く放射しあるいは受信することができる。
【発明の効果】
【0005】
従来の水中での信号伝送装置では、音波あるいは超音波が用いられ、あるいは例えばVLF帯等の比較的に低い周波数帯の電磁波信号を用いることが一般的であり、比較的に高い周波数帯の電磁波信号を用いる場合でもアンテナに半波長のダイポールを用いるため大型となる問題点があった。
本発明の信号伝送装置では、小型のループアンテナを用い、当該液体中における共振現象あるいはマッチング現象を利用することによって、小型・軽量化および低コスト化が可能となり、水中に生息する小動物などにも装着できるので、バイオテレメトリなどに活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明に係わる信号伝送装置は、図1に示すように、発信手段21が、例えば、27MHz帯の送信機212であり、当該送信機212から発信される電磁波信号を、小型のループアンテナ213によって、比較的に高い誘電率の液体中に効率よく放射し、当該放射された電磁波信号を小型のループアンテナ214によって受信し、受信手段22の、例えば、27MHzの受信機215によって受信される。
図2では、発信手段21がパッシブタグであり、受信手段22がタグリーダである。当該パッシブタグ22には小型のループアンテナ213が内臓され、防水処理が施されて液体中の小動物などに装着され、タグリーダ22に接続された小型のループアンテナ214によってパッシブタグ21の識別符号を読み取ることができる。
図3に、当該液体の誘電率とループアンテナ213および214の内径寸法と巻数によって決まる共振周波数あるいはマッチング周波数の発生状況を示す。電磁波信号の周波数が共振周波数あるいはマッチング周波数314において共振現象あるいはマッチング現象が最も顕著に現れる。従って、当該共振現象あるいはマッチング現象が生じる周波数帯を利用することによって当該液体中で、良好な伝送特性を利用した信号伝送装置を実現することができる。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の一実施例を示すシステム構成図であり、伝送媒体に液体を用いる場合である。図1において、21は発信手段、211は制御部、212は、例えば、27MHz帯の送信機、213は小型のループアンテナ、22は受信手段、221は制御部、222は、例えば、27MHz帯の受信機、223は小型のループアンテナ、224はインターフエイス部、225は接続端子、111は水面あるいは液面である。
制御部211により制御される27MHz帯の送信機212からは、識別符号等を含む信号によって変調された電磁波信号が発信され、液面111の下部に設けられた小型のループアンテナ213によって当該電磁波信号を効率よく放射する。
ここで、当該ループアンテナ213の内径寸法および巻数を選択して当該液体中で共振状態あるいはマッチング状態とし、当該電磁波信号を効率よく放射するようにする。この場合、液体の誘電率は空気の誘電率に比較して一般に高い値を示すため、当該ループアンテナ213は液体中では放射効率が良いのに対して、空気中では放射効率が極端に低い状態となる。
液体中に放射された電磁波信号は、液面111の下部に設けられた小型のループアンテナ223で受信され、制御部221によって制御される27MHz帯の受信機222によって受信され、検出データがインターフエイス部224および接続端子225により外部に出力される。
当該ループアンテナ213と223を真水のような高い誘電率(ε=81)の液体中に浸すと、図3に示すように共振現象あるいはマッチング現象が生じ、電磁波信号の周波数が共振周波数あるいはマッチング周波数314において共振現象あるいはマッチング現象が最も顕著に現れ、小型のループアンテナ213と223の間の結合損が減少する。従って、上記の共振現象あるいはマッチング現象が生じる周波数帯を利用することによって、当該真水中で低損失の信号伝送装置が実現できる。
一方、海水などでは誘電率が更に高くなり、当該ループアンテナ213と223を更に小型化することが可能となり、同一の形状の場合には共振周波数あるいはマッチング周波数が低くなるので、伝送損失が低くなるなどのメリットがある。
【0008】
ここで、当該ループアンテナ213と223として、幅が0.25mmであり間隔が0.25mm程度のループを30mm×30mm程度の大きさのプリント基板上に形成し、巻数を40回程度とすることで、真水中において27MHz程度の周波数で共振現象あるいはマッチング現象を生じる。
上記のループアンテナ213と223を用いると、真水中で間隔を1mとした場合、伝送損失が21dB程度であった。
また、ループアンテナ213と223の巻数を一定とした場合、ループアンテナ213と223と直列に外部インピーダンスを挿入することで上記の共振周波数あるいはマッチング現象を調整できることが実験で確認されている。
なお、液体の誘電率がε=81の場合、当該電磁波信号の波長は9分の1に短縮され、27MHz帯では波長が約1.3mとなるので、ループアンテナ213と223の間の結合損をL=22+20log(間隔/波長)(dB)から求めると、ループアンテナ213と223の間隔が1mでは、結合損が約20dBとなることから、上記の実験結果とほぼ合致し、真水中では伝搬波長が短縮される以外は、空間での電磁波信号の伝搬と同様な減衰曲線を描くものと考えられる。
また、当該受信手段に複数のループアンテナがアンテナ切替器を介して接続され、周期的に切り替えられ、当該複数のアンテナ毎に受信した当該電磁波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号の周波数あるいは位相あるいはこれらの組合わせの差を測定することによって、当該発信手段が位置する方向を高い精度で検知することができる。
また、液体の誘電率が、温度、液体の濃度、その他の条件で変化すので、誘電率の変化に応じて伝送する電磁波信号の周波数をアダプテイブに変化させることによって伝送損失を低く保つことができる。
また、電磁波信号の周波数は低いほど伝送損失が少ないメリットがあるが、低くなりすぎるとループアンテナの形状が大きくなるデメリットがある。結局、電磁波信号の周波数は320MHz程度以下の比較的に低い周波数帯が有利であり、1MHz〜50MHz帯が適している。ただし、液体中の大型の移動体に対しては、アンテナのある程度の大型化が許容されることから、1MHz以下の周波数帯を利用することも可能である。
また、誘電率が高い液体中ではその境界面で電磁波信号が全反射する確率が高く、電磁波信号が当該液体中に閉じ込められることから、開空間への電磁波信号の漏洩は極くわずかであるので、電波法が規定する微弱な電波が、開空間で3m離れた地点での電界値で規定されるとすれば、液体中で1ワットの送信出力は開空間では微弱な電波として許容されるものと考える。
また、当該発信手段21に電池を内臓させることによって、液体中のアクテイブタグとして機能させることができる。
【実施例2】
【0009】
図2は、本発明の他の実施例を示すシステム構成図である。図2において、21はパッシブタグ、211は制御部、212は、例えば、27MHz帯の送信機、213は小型のループアンテナ、214はアンテナ切替器、215は整流・受信機、22はタグリーダ、221は制御部、222aは、例えば、27MHz帯の受信機、222bは、例えば、27MHz帯の送信機、223a、223bは小型のループアンテナ、224はインターフエイス部、225は接続端子、111は水面あるいは液面である。
タグリーダ22の送信機221bからは、例えば、27MHz帯の比較的に高出力の電磁波信号が発信され、小型のループアンテナ223aから液体中に放射され、パッシブタグ21において小型のループアンテナ213により受信され、アンテナ切替器214によって切替えられ、整流・受信機によって電磁波信号が整流されて直流電力に変換されるとともに電磁波信号が検波されてタグリーダ22からの読出信号を受信する。
当該タグリーダ22から発信された読出信号が自局を呼び出すものであると、当該直流電力を用いて自らの識別信号を含む電磁波信号を27MHz帯の送信機222から発信する。当該送信機222から発信された電磁波信号は、タグリーダ22の受信機212aにより受信されて検波され、制御部223によって当該パッシブタグ21の識別情報を検知し、RS232Cインターフエイス224により外部に出力される。
ここで、タグリーダ22のアンテナ213aと213bは、例えば、河川を魚などが遡上するための水路などに間隔をおいて設置され、パッシブタグ21を装着された魚などの水生動物が当該アンテナ213aと213bの中間部分を通過するとき、当該水生動物の識別番号を検知することができる。
当該ループアンテナ213aと213bは水路の水平方向あるいは垂直方向に間隔をおいて設置され、あるいは液面に設置する場合にはフロータあるいは浮きに装着することにより、当該ループアンテナ213aと213bを常に液面下に保つことができる。
当該タグリーダ22から発信する電磁波信号の周波数を例えば27MHzとし、発信電力を1ワットとすると、約10m離れた位置にあるパッシブタグ21を識別しあるいは識別符号を検知することができる。
なお、パッシブタグ21は小型・軽量化が可能であるため、水中に生息する小動物などに装着することが可能であり、タグリーダ22の送信アンテナ213bから1m程度以内の位置に存在するパッシブタグ21を識別しあるいは識別符号を検知することができる。
また、当該パッシブタグ21を遊泳中の人体に装着し、あるいは水中の任意の移動体あるいは固定された物体などに装着しても同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0010】
図3は本発明の実施例のループアンテナの共振現象あるいはマッチング現象の例を示す図であり、301は共振現象あるいはマッチング現象を示す曲線、311は周波数軸、、312は減衰量、313は減衰量0dBを示す線、314は共振周波数あるいはマッチング周波数である。
例えば、真水中に2基のループアンテナを対向して設置し、ループアンテナ間の結合損失を測定した結果、共振現象あるいはマッチング現象を示す曲線301が、共振周波数あるいはマッチング周波数314において結合損失が最低となる共振現象あるいはマッチング現象が最も顕著に現れることが分かる。
上記の共振周波数あるいはマッチング周波数は、ループアンテナの内径寸法、巻数、液体の誘電率などによって決まる。
従って、これらの共振現象あるいはマッチング現象を生じる周波数帯を利用することによって、当該液体中での伝送損失を低くすることができる。
また、塩分を含む塩水中の場合、ループアンテナの内径および巻数を同じとしても、塩分の濃度の上昇につれて上記の共振周波数あるいはマッチング周波数が急激に低下し、塩分濃度がある値を超えると、共振周波数あるいはマッチング周波数の低下が下げ止まる(実験では10MHz程度で)傾向にある。真水中に比べ塩水中の結合損失が減少(実験では7dB低下)し、安定な伝送媒体となることが実験的に確かめられたことから、海水を伝送媒体として用いることで更に伝送損失の少ない信号伝送装置が実現できることを発見した。
また、真水あるいは海水以外にも、液状の高誘電体物質あるいはこれらを含む液体でも同様な共振現象あるいはマッチング現象が生じることが期待できる。
また、真水あるいは海水のように高い誘電率の液体が限られた容積の容器あるいは池あるいは川などに区切られている場合には、境界面で電磁波信号が全反射する確率が高くなり、当該液体中での伝搬損失が低くなる傾向にあることが実験で確かめられている。
また、河川の下流で真水と海水が混ざり合う場合あるいは当該伝送媒体が液体の混合物あるいは固体が溶解された液体等の場合に温度あるいは混合割合あるいは溶解割合が変化する場合に前記の共振周波数あるいはマッチング周波数が変化することから、当該伝送媒体の特性の変化に応じて当該発信手段から発信される高周波信号の周波数を予め設定し、あるいは予め設定した周波数を含めて連続的にあるいは段階的に変化させ、あるいは当該受信手段において当該高周波信号の周波数に追随しあるいは追跡して受信することで最適な周波数を選択できる。
【実施例4】
【0011】
図4は本発明の実施例のループアンテナの構造の例を示す図であり、401はループアンテナ、402はプリント基板、403は外部インピーダンス、404は防水ケース、405a、405bはアンテナ端子である。
ループアンテナ401を絶縁電線を用いて構成する場合、直接液体中に浸して用いることができるが、ループアンテナ401をプリント基板402上に構成した場合には、防水ケース404の中に収納しあるいはコーテング剤を塗布するなどの処理が必要となる。
ループアンテナ401を直接液体中に浸さず、防止ケース404などに収納すると、上記の共振周波数あるいはマッチング周波数が高くなるので、外部インピーダンス403を直列に接続することによって、共振周波数あるいはマッチング周波数を低くすることができる。
ループアンテナ401の出力は、接続端子405a、405bを介して送信機あるいは受信機に接続される。
ここで、プリント基板402の誘電率を液体の誘電率に近づけることによって、上記の共振現象あるいはマッチング現象を生じる周波数の低下を補うことができる。
【0012】
以上の説明では、真水中を伝送する場合に27MHz帯に最も顕著に共振現象あるいはマッチング現象が現れ、塩分濃度の高い塩水中を伝送する場合には10MHz付近に最も顕著に共振現象あるいはマッチング現象が現れるとしたが、ループアンテナの内径と巻数を変化させ、あるいは外部インピーダンスを付加することによって、上記の共振現象あるいはマッチング現象が生じる周波数を変化させあるいは任意の周波数に調整することができる。
また、真水中あるいは塩水中以外にも、比較的に誘電率が高い液体中でも同様な効果が得られる。
また、塩分を含む海水中では、上記の共振現象あるいはマッチング現象を生じる周波数を下げる効果が大きいので、比較的に小さな形状のループアンテナを用いても、数十kHzから数10MHzまでの比較的に低い周波数帯の電磁波信号を利用して長スパンの信号伝送が可能となる。
また、前記の共振現象あるいはマッチング現象が、当該液体を構成する誘電体の特性によっては、当該誘電体の分極現象あるいは当該誘電体の原子あるいは分子の共鳴現象により引き起こされる場合が考えられる。
また、アンテナがループアンテナの場合について述べたが、ループアンテナと同様に液体中で共振現象あるいはマッチング現象を強く生じる小型・軽量のアンテナを用いても同様な効果が得られる。
また、当該電磁波信号を液体中あるいは地中に設けたループアンテナから放射し、反射物により反射した電磁波信号を液体中あるいは地中に設けたループアンテナを用いて受信することにより、液体中あるいは地中の探査において探査距離を延長することが可能である。
また、当該発信手段が電池を内蔵しあるいは発電手段を内蔵しあるいは外部からの電磁波信号を受けて整流しあるいはこれらの組合わせで動作させることで長時間あるいは繰返して利用することができる。
また、当該発信手段あるいはパッシブタグを人体を循環させてテレメトリングするなどナノテクの分野では、UHF帯以上の高い周波数帯の電磁波信号を用いることで、ループアンテナを含め小型化することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、上記のように構成されているため小型・軽量・低コストであり、真水中あるいは海水中あるいは液状の高誘電体物質中あるいはこれらを含む液体中を、低い伝送損失で電磁波信号を伝送することができることから、バイオテレメトリ、ダイバー間の通信、ダイバーの位置の検知、RFタグなど、液体中で電磁波信号を伝送する装置に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示すシステム構成図である。
【図3】本発明の実施例のループアンテナの共振現象あるいはマッチング現象の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例のループアンテナの構造の例を示す図である。
【図5】従来の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0015】
10 50MHz帯送信機
11 アンテナ
12 アンテナ
13 50MHz帯受信機
21 発信手段またはパッシブタグ
22 受信手段またはタグリーダ
111 水面あるいは液面
211 制御部
212 27MHz帯の送信機
213 ループアンテナ
214 アンテナ切替器
215 整流・受信機
221 制御部
222、222a 27MHz帯受信機
222b 27MHz帯送信機
223、223a、223b ループアンテナ
224 インターフエイス部
225 接続端子
301 結合損失を示す曲線
311 周波数軸
312 結合損失
313 結合損失0dBを示す線
314 結合損失が最低となる周波数
401 ループアンテナ
402 プリント基板
403 外部インピーダンス
404 防水ケース
405a、405b アンテナ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的に高い誘電率の液体中で電磁波信号を伝送するための信号伝送システムにおいて、
当該液体中で電磁波信号を発信するための発信手段と、当該発信手段から発信される電磁波信号を当該液体中で受信するための受信手段から構成され、
当該発信手段が電磁波信号を当該液体中において効率よく放射するためのループアンテナを有し、当該受信手段が当該発信手段のループアンテナから放射された電磁波信号を当該液体中において効率よく受信するためのループアンテナを有し、
当該ループアンテナが当該液体の高い誘電率に起因した共振現象あるいはマッチング現象を呈することを利用して、当該電磁波信号を効率よく発信しおよび/あるいは低い伝送損失で効率よく受信することを特徴とする液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項2】
前記の共振現象あるいはマッチング現象が当該液体を構成する誘電体の分極現象あるいは当該誘電体の原子あるいは分子の共鳴現象により引き起こされることを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項3】
当該ループアンテナの内径あるいは巻数あるいは当該液体の誘電率が固定された場合、当該液体との共振現象あるいはマッチング現象を確保するために当該ループアンテナと直列および/あるいは並列に外部インピーダンスを付加することを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項4】
当該ループアンテナの代わりに、当該ループアンテナと同様に小型で対象とする液体中において強い共振現象あるいはマッチング現象を呈するアンテナを用いることを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項5】
対象とする液体が真水あるいは海水あるいはこれらの混合水であることを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項6】
当該発信手段から発信される電磁波信号の周波数を対象とする液体に応じて予め設定し、あるいは予め設定した周波数を含めて連続的にあるいは段階的に変化させ、あるいは最適の周波数をアダプテイブに選択し、当該受信手段において当該発信手段から発信される電磁波信号の周波数に追随しあるいは追跡して受信し、あるいは当該発信手段と受信手段の間の相互通信により最適の周波数を選択することを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項7】
当該発信手段が電池を内蔵し、対象とする液体中に生息する生物に装着されてバイオテレメトリとして利用され、あるいは対象とする液体中に存在する移動体に装着されて移動体テレメトリとして利用されることを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項8】
当該発信手段がパッシブタグであり、当該受信手段がタグリーダであり、当該タグリーダが当該パッシブタグに対して電力を供給できるレベルの電磁波信号を発信し、当該パッシブタグが当該タグリーダから放射された電磁波信号を受信して自らの電力源とし、当該パッシブタグの識別信号によって当該受信した電磁波信号を変調して再放射し、当該タグリーダが当該パッシブタグから再放射された電磁波信号を受信し検波して当該パッシブタグを検知しおよび/あるいは識別することを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項9】
当該タグリーダの送信機に接続された第一のループアンテナと受信機に接続された第二のループアンテナが間隔を置いて配置され、当該第一のループアンテナと第二のループアンテナの中間部に存在しあるいは中間部を通過するパッシブタグを検知しおよび/あるいは識別することを特徴とする請求項第8項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項10】
当該受信手段に複数のループアンテナがアンテナ切替器を介して接続され、周期的に切り替えられ、当該複数のループアンテナを切り替えた際に、個別のループアンテナ毎に受信した当該電磁波信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号の位相の差を測定することによって、当該発信手段が位置する方向を検知することを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項11】
当該発信手段から発信される電磁波信号と同期して超音波信号を発信し、当該電磁波信号の伝搬時間と当該超音波信号の伝搬時間との差を測定することによって、当該発信手段と受信手段の間の距離を検知することを特徴とする請求項第1項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置
【請求項12】
当該発信手段と受信手段のアンテナを対象とする液体中あるいは液体を含む物質中に挿入し、当該電磁波信号の伝搬特性を測定することにより、当該液体あるいは液体を含む物質の内部および/あるいは周辺部に存在する異物質の探査を行なうことを特徴とする請求項第1項および第10項に記載の液体中で電磁波信号を低損失で伝送するための信号伝送装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−221756(P2007−221756A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306404(P2006−306404)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(395007299)有限会社アール・シー・エス (51)
【Fターム(参考)】