個人認証システム、および個人認証プログラム
【課題】生体認証において登録時と認証時の姿勢の相違による本人受入率の低下を防ぐことで、個人認証の精度を高くしたまま本人受入率を向上させる。
【解決手段】認証用のマスタデータによる生体認証を行う他に姿勢の相違を検知する機能・手段を有することで、姿勢を正すことにより本人認証が可能かどうかを調べる。姿勢の変更により本人認証ができる可能性がある場合は、認証対象者に正規の姿勢で認証することをアナウンスし、認証対象者が正規の姿勢で認証処理を行う。これにより、本人認証の精度を高め本人受入率の向上を実現する。
【解決手段】認証用のマスタデータによる生体認証を行う他に姿勢の相違を検知する機能・手段を有することで、姿勢を正すことにより本人認証が可能かどうかを調べる。姿勢の変更により本人認証ができる可能性がある場合は、認証対象者に正規の姿勢で認証することをアナウンスし、認証対象者が正規の姿勢で認証処理を行う。これにより、本人認証の精度を高め本人受入率の向上を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば金融機関における各種手続きにて実施される本人確認や、 ビル・マンションへの入退室管理にて実施される本人確認に利用されるような生体情報を用いた個人認証システム、および個人認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本人を確認する方法として、IDカードやパスワードによる個人認証方法が広く用いられている。この個人認証方法は、キャッシュカードやクレジットカード等を使用する際の個人認証方法としても採用されている。
【0003】
近年、従来のIDカードやパスワードによる個人認証方法ではセキュリティの確保が困難になってきており、キャッシュカードやクレジットカード等を利用したなりすまし犯罪が急増している。このため、本人確認の信頼性向上に関心が集まっている。そして、指紋、虹彩、顔画像、静脈パターン等の生体情報を用いることでIDカードやパスワードより厳格に認証できる生体認証技術が注目されている。
【0004】
生体情報は、同一の生体情報をもつ人が本人以外に存在しないという特徴と、基本的に不変であるという特徴を有している。このため、生体情報を用いた個人認証方法は、本人を特定する有力な方法となっている。
【0005】
一方、生体情報は、病気や怪我等によって変化することがある。このため、生体情報が変化して個人を認証できなくなる状況が発生する。
【0006】
このような予期せぬ要因等で個人を認証できない場合の回避方法として、一次照合データと二次照合データとを用いる個人認証システムが提案されている(特許文献1参照)。この個人認証システムは、登録時に一次照合データと二次照合データを登録しておき、認証段階において一次照合データで個人を特定できない場合に二次照合データによる認証処理を行う救済措置を持つことで、本人受入率を向上させることを特徴としている。
【0007】
ところで、生体情報を用いた個人認証は、一般的に、一致の精度を高くすると本人受入率が低下する。このため、生体情報を用いた個人認証は、本人受入率を向上させようとすれば、一致の精度を低くする必要がある。
一致の精度を低下させるものとして考えられる主な要因は、病気や怪我等による生体情報の変化と、登録時や認証時に読取装置にセットする生体の姿勢の差異の2点である。
【0008】
これに対して前記個人認証システムは、主として前者の病気や怪我等を想定し、複数部位の生体特徴データを取得して一次照合、二次照合といった別の部位による照合を行うことで本人受入率の向上を図っている。
【0009】
しかし、このような別の部位による照合では、生体セット時の姿勢の差異に対して有効な対策にならないという問題がある。
また、前記個人認証システムは、複数の異なった部位のデータを利用するために読取手段が複数必要になるなど、システム構成が複雑になるものである。
【0010】
【特許文献1】特開2001−307102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、個人認証の精度向上を図ると共に本人受入率を高めることができる個人認証システムおよび個人認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、予め登録した登録生体情報と認証時に取得した取得生体情報とに基づいて個人認証を実行する認証システムであって、前記登録生体情報を、個人認証に使用するマスタ生体情報と、前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とで構成し、前記個人認証では、前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この本発明により、個人認証の精度向上を図ると共に本人受入率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例の一つで、生体特徴データを利用した個人認証システム1の構成を示すブロック図である。この個人認証システム1は、生体特徴データを登録する登録装置2と、生体特徴データを記憶しておく記憶手段としてのデータ保存部3と、生体特徴データを利用して生体認証を行う個人認証装置4とにより構成されている。なお、生体特徴データとは、利用者の生体から読み取った読取生体情報から特徴点を抽出したデータであり、生体情報の一種である。
【0016】
図2は、登録装置2と個人認証装置4の装置概略図を示す。登録装置2と個人認証装置4のそれぞれは、コミュニケーション手段であるスピーカー等を搭載した表示装置70と、生体情報読取手段である生体情報読取手段71と、データ保存部3であるICカード32を挿入しデータの登録および認証結果の確認を行うカード処理装置72(登録時はデータライト手段であり認証時はデータリードライト手段となる)と、表示装置70、生体情報読取手段71、およびカード処理装置72を相互に制御する制御装置73とで構成されている。生体情報読取手段71には、表面に利用者に生体として指をセットさせる指セット部79(生体セット部)が設けられている。
【0017】
図3は、個人認証システム1の登録装置2の構成を示すブロック図である。登録装置2は、生体情報読取手段10と、生体特徴データ抽出部11と、コミュニケーション手段13と、データライト手段12と、制御装置73とにより構成されている。
【0018】
この登録装置2は、生体情報読取手段10と生体特徴データ抽出部11を利用して生体特徴データを採取し、この生体特徴データをデータライト手段12を経由してデータ保存部3に登録する。
【0019】
生体情報読取手段10は、読取生体情報として登録対象者の指静脈パターンを採取するものである。
生体特徴データ抽出部11は、生体情報読取手段10が採取した読取生体情報に基づいて生体特徴データを抽出・作成し、作成した生体特徴データ(登録生体情報)を記憶媒体としてのICカード32にマスタデータ(マスタ生体情報)または補助データ(補助生体情報)として保存する。
【0020】
ここで、マスタデータは、本人か否かの判定に用いる本人判定用のデータであり、正規の姿勢(例えば指の腹の中心を指セット部79の表面に対向させて置いた姿勢)で読み取ったデータである。
補助データは、読み取った生体の姿勢がマスタデータとは異なるデータであり、例えば正規のデータに対して指の曲げ方を変化させた状態や、指を横に倒すなど指の置き方の角度を変えた状態など、マスタデータと姿勢の異なるデータである。本実施例では、指の置く角度を正規のデータから変化させて取得したデータを補助データとして利用する。
【0021】
また、生体特徴データがマスタデータか補助データか右手か左手かといったような生体特徴データを分類する分類情報は、コミュニケーション手段13から入力され、制御装置73がデータライト手段12によりICカード32に保存する。
【0022】
この分類情報の入力について説明すると、マスタデータを入力する際に、制御装置73は、指を真っ直ぐに伸ばして爪を真上に向けるように登録対象者に要請するといったように、照合時に取るべき正規の姿勢で登録対象者がデータを入力するようコミュニケーション手段13を経由して登録対象者にアナウンスする。
【0023】
補助データを入力する際に、制御装置73は、コミュニケーション手段13を経由して登録対象者に入力方法をアナウンスする。指静脈データの登録の際は、ある指一本の指に対して認証用のマスタデータは1つとし、それに対する姿勢判定用の補助データは複数登録できるものとする。
【0024】
このように認証用のマスタデータを一つとすることで、従来のように複数のデータを登録しておいていずれか1つで本人と認証できれば本人であると判定するような認証方式よりも精度の高い個人認証を実現できる。また、姿勢判定用の補助データを複数とすることで、姿勢の相違を精度よく判定することができる。
なお、生体情報読取手段10と生体特徴データ抽出部11とで登録用生体情報取得手段を構成している。
【0025】
コミュニケーション手段13は、スピーカー等を搭載した表示装置70であり、登録対象者とのコミュニケーションを図るものである。
データライト手段12は、図4に示すICカード32の情報保持部30に、生体特徴データであるマスタデータと補助データ、およびこれらの生体特徴データを分類する分類情報を保存するものである。
【0026】
図4(A)は、個人認証システム1のデータ保存部3として用いるICカード32の概略図であり、図4(B)は、ICカード32に搭載されているICチップ31の概略図である。
【0027】
ICカード32に搭載されたICチップ31内には、情報保持部30と認証処理部42(認証手段)が設けられており、情報保持部30に図5に示すような生体特徴データが登録されている。また、ICカード32には図示省略する通信部が設けられており、この通信部によって登録装置2のデータライト手段12や個人認証装置4のデータリードライト手段44とのデータ通信を実行する。通信部は、接触型のICカード32であれば接触端子で構成し、非接触型のICカード32であればアンテナで構成する。
【0028】
図5は、情報保持部30に保存されるデータテーブル50を示す。データテーブル50は、生体特徴データの種類を判定するためのデータの種類(認証用のマスタデータか姿勢判定用の補助データかといった分類情報)、生体特徴データ、右手か左手か、姿勢変化の種類(指の回転角度)、および登録した指の種類で構成される。これにより、生体特徴データである1つのマスタデータと複数の補助データとを区別して登録できるようにしている。
【0029】
図4に示した認証処理部42は、本人判定(一致度判定)と姿勢判定とを実行する。
本人判定は、情報保持部30に登録されているマスタデータと、個人認証装置4が採取・抽出・作成した生体特徴データとを比較・照合し、一致度がしきい値m(図6参照)以上である場合に本人であると判定する。
【0030】
ここで、図6は、登録されている生体特徴データと照合用に採取・抽出・作成した生体特徴データとの一致度mと、一致度nと、一致度pの関係を示す。一致度mは、本人であると判定できる境界値(本人判定値)であり、一致度nは、本人でないと判定できる境界値(別人判定値)である。従って、一致度nからmの間は本人か否かの判定が難しいグレーゾーンであり、姿勢判定を実施する姿勢判定必要領域である。
【0031】
姿勢判定は、照合結果の一致度がn以上m未満であるような場合に、認証処理部42が情報保持部30内に保存された補助データである姿勢判定用のデータと、個人認証装置4が採取・抽出・作成した生体特徴データとを比較・照合することで実行する。照合の結果、補助データの一致度がしきい値p以上で一致するような場合に認証処理部42が指の置かれている姿勢が正規の姿勢と異なると判定する。この判定結果は、データリードライト手段44(図7参照)を経由して個人認証装置4に送信する。
【0032】
ここで、一致度p(異姿勢判定値)は、一致度n以上に設定しておく。これは、姿勢が正規と異なることにより本人判定の一致度が低い場合、マスタデータとの一致度よりも高い一致度を示す補助データが存在するはずであり、一致度n以上となる補助データが存在するはずであるから、これに基づいて一致度pを設定したものである。
【0033】
そして、姿勢判定を実施する姿勢判定モードで正規の姿勢でないと判定した場合、本人に姿勢を正すように要請した後、再びマスタデータとの比較・照合を実施する本人認証モードに移行する。
【0034】
図7は、個人認証システム1における個人認証装置4の構成を示すブロック図である。個人認証装置4は、照合生体情報読取手段40と、生体特徴データ抽出部41と、コミュニケーション手段43と、データリードライト手段44と、制御装置73とにより構成されている。
【0035】
照合生体情報読取手段40は、認証対象者の読取生体情報を採取するもので、生体情報としてICカード32に保存されている生体特徴データと同種の生体についてのデータ、本実施例では指の静脈パターンを採取できるデバイスである。
生体特徴データ抽出部41は、認証対象者より採取した読取生体情報から生体特徴データ(取得生体情報)を抽出・作成する。
なお、照合生体情報読取手段40と生体特徴データ抽出部41とで生体情報取得手段を構成している。
【0036】
コミュニケーション手段43は、生体特徴データの照合結果を表示や音声で出力して認証対象者本人に確認させる出力や、生体の姿勢(本実施例では指を置く角度)を変更して正規の姿勢で生体情報を入力するよう認証対象者にアナウンスする出力などを実行する。従って、コミュニケーション手段43は、認証結果を出力する出力手段や、姿勢を変更するよう報知する報知手段として機能する。
【0037】
データリードライト手段44は、前述の生体特徴データ抽出部41で作成した生体特徴データをICカード32に送信する。また、登録情報取得手段としても機能し、ICカード32に登録された生体特徴データを受信する。
【0038】
制御装置73は、各種制御動作を実行する。また制御装置73は、データリードライト手段44を介して、ICカード32に生体特徴データを送信しICカード32から本人判定や姿勢判定の判定結果を受信する。本人ではなく姿勢が正規ではないとの判定結果を受信した場合、制御装置73は、コミュニケーション手段43に指の置き方の訂正を促すメッセージ及び置き方の指示を指の形の図等を用いて表示し、正しい姿勢で生体情報の入力を行うよう認証対象者にアナウンスする。補助データでの比較・照合でも一致度がp以下となり、一致度がp以下であるとの判定結果を受け取った場合、制御装置73は、コミュニケーション手段43により再度取引をやり直すか、登録データ(マスタデータおよび補助データ)の変更を求める等のメッセージを認証対象者にアナウンスする。
【0039】
この制御装置73は、本人認証モードと姿勢判定モードの移行回数を認証処理部42に記憶しておき、この移行回数がやり直し許容回数t以上になっても認証対象者本人と認証されない場合、受入拒否と判定すると同時に、登録データが加齢、体調の変化、怪我等により変化している可能性がある旨をコミュニケーション手段43経由で認証対象者にアナウンスする。
【0040】
この構成により、個人認証装置4は、照合生体情報読取手段40と生体特徴データ抽出部41を利用して採取した生体特徴データと、データ保存部3に保存された生体特徴データとをデータ保存部3であるICカード32内の認証処理部42にて比較・照合し本人認証、姿勢判定を行うことができる。
【0041】
図8は、指の置き方の変更(姿勢の変更)を認証対象者に伝える際の姿勢変更要求画面61を示す。姿勢変更要求画面61は、認証対象者に対して指の置き方が正しくないことを知らせるために、姿勢の悪い指の絵と正しい指の置き方とを表示する。これにより、認証対象者は、指の置き方が悪くて本人であると認証されないことを理解でき、指を正しく置きなおして正しく認証を受けることができる。
【0042】
図9は、予め登録した登録データと照合時に読み取った読取データ(読取生体特徴データ)との一致度の変位を示すグラフの一例を、指を置いている角度のイメージ図と共に説明する説明図である。グラフの横軸は正規の姿勢からの偏差を示し、グラフの縦軸は横軸に示す回転角度で採取した指の登録データと読取データとの一致度を示す。
【0043】
図9(a)は、正規の姿勢で指をセットした場合のグラフを示す。正規の姿勢で指をセットした場合、読取データは、回転角度0°の登録データと一致度m以上で一致し、偏差を持たせた登録データとm未満の一致度となる。
【0044】
図9(b)、(c)は、姿勢(指の回転角度)が正規と異なる状態(偏差を持たせた状態)で指をセットしたときのグラフを示す。この場合、m以上の高い一致度を示す指の回転角度(グラフ横軸)は、回転角度0°とは別の角度になる。そして、回転角度0°の登録データとの一致度はn以上m未満となる。指をセットする際の回転角度が大きくなるほど、高い一致度を示す回転角度は回転角度0°から離れる。従って、高い一致度を示す登録データの回転角度に基づいて、指がセットされている姿勢(回転角度)を予想することができる。
【0045】
図9(d)は、他人の指をセットしたときのグラフを示す。他人の指をセットした場合、全ての登録データに関して低い一致度を示す。これにより明らかに他人であると判定できる。
【0046】
図10は、本実施例の登録装置2による生体特徴データ登録手順を示すフローチャートである。先ず、登録装置2の制御装置73は、生体特徴データを保存するICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS1)。
【0047】
次に制御装置73は、認証用のマスタデータを登録することを表示装置70でアナウンスし、生体情報読取手段71に正規の姿勢で登録対象者の指を置かせる。この指(生体)から生体情報読取手段71が採取した読取生体情報に基づいて、生体特徴データを抽出・作成し、その生体特徴データをICカード32内のICチップ31に保存(登録)する(ステップS2)。
【0048】
続いて制御装置73は、姿勢判定用である補助データとして生体特徴データを登録するアナウンスを表示装置70に表示し、マスタデータとして登録したものと同じ指を回転角度が異なる姿勢で生体情報読取手段71に置かせる。この指から生体情報読取手段71を用いて読取生体情報を採取し、この読取生体情報に基づいて生体特徴データを抽出・作成する。そして、作成した生体特徴データをICカード32内のICチップ31に姿勢判定用の補助データとして保存(登録)する(ステップS3)。
【0049】
補助データの登録を終えることが表示装置70に設けられたタッチパネル(コミュニケーション手段13)に登録対象者本人により入力されるか、ある一定の規定回数z回分の補助データの採取・保存を実行すると(ステップS4)、制御装置73は、ICカード32を登録対象者本人に返却し登録処理を終了する(ステップS5)。
【0050】
以上の動作により、生体特徴データとしてマスタデータと補助データを取得し、ICカード32に登録することができる。これにより、登録対象者はICカード32を用いて個人認証を受けられる状態となる。
【0051】
図11は、本実施例の個人認証システム1の個人認証装置4が生体特徴データを用いて個人認証する手順のフローチャートを示す。まず、制御装置73は、生体特徴データを登録したデータ保存部3であるICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS11)。
【0052】
ICカード32が挿入されたことを検知すると、制御装置73は、生体情報取得処理を実行して生体情報読取手段71より読取生体情報を採取し、採取した読取生体情報から生体特徴データを抽出・作成する。そして、制御装置73は、登録情報取得処理を実行して登録データのうち認証用のマスタデータをICカード32から読み出し、認証対象者より抽出した生体特徴データとマスタデータをICカード内の認証処理部42にて比較・照合させる認証処理を実行し(ステップS12)、認証処理部42にて一致度を算出する(ステップS13)。
【0053】
制御装置73は、照合した結果により、一致度がm以上(ステップS14)であれば本人であると判定し、表示装置70を経由して本人認証できたことを認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS22)。そしてカードを返却して個人認証取引を終了する(ステップS23)。
【0054】
一致度がm未満であるとき(ステップS14)、制御装置73は、補助データを用いたデータの照合に移行するか否かの判定に移行する(ステップS15)。一致度がn未満であるとき(ステップS15)、制御装置73は、本人ではないと判定し、表示装置70を経由して本人認証できなかったなどのエラー表示を行い、利用できない旨を認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS21)。そして、カードを返却して個人認証を終了する(ステップS23)。
【0055】
一致度がn以上のとき(ステップS15)、制御装置73は、ICカード32内の補助データを読み出し、該補助データと認証対象者より採取した生体特徴データとを認証処理部42にて比較・照合し(ステップS16)、一致度を判定する(ステップS17)。
【0056】
一致度がp以上であるとき(ステップS18)、制御装置73は、表示装置70を経由して認証対象者に指の置き方が正しくないことを伝え、指の置き方を変更し再度本人認証処理を実施するようアナウンスする出力処理を実行する(ステップS19)。認証対象者に指の置き方の相違を伝える際は、図8の姿勢変更要求画面61のような指の形をした画像を画面に表示し、音声や光を利用してアナウンスする。
【0057】
一致度がp未満のとき(ステップS18)、制御装置73は、登録されている姿勢判定用の補助データすべてについて照合を繰り返す(ステップS20)。
【0058】
一致度p以上で一致する補助データがない場合(ステップS20)、制御装置73は、表示装置70を経由して認証対象者に本人と認証できなかったことを伝える出力処理を実行し(ステップS21)、カード処理装置72からカードを返却し取引を終了する(ステップS23)。
【0059】
以上の動作により、マスタデータのみを使用した精度の高い個人認証を実施することができる。生体である指の回転角度が正規と異なる姿勢で認証対象者が認証を受けようとした場合は、補助データとの照合によって生体の姿勢が異なっていることを認識でき、姿勢を変更して改めて個人認証を実施することができる。従って、姿勢の違いによって本人でないと認証することを防止することができ、また認証時の姿勢が登録時の正規の姿勢と異なっていることを認証対象者に伝えることができる。
【0060】
このように、個人認証システム1は、本人受入率の低下防止と認証精度の向上という相反する課題を共に解決することができる。そして、異なる生体部位を何度も登録するといったわずらわしさもなく、利用者は簡易かつ快適に利用することができる。また、読取装置を複数設ける必要もないため、装置全体を低コストに製造することができる。
【0061】
また、補助データを登録する際の姿勢は利用者が自分で決定できるため、姿勢の角度や向きに個人差を与えることもできる。
【実施例2】
【0062】
実施例2として、個人認証装置4の生体情報読取手段71の読取部を移動させる構成にした個人認証システム1について説明する。
図12は、個人認証装置4の構成要素である生体情報読取手段71の概略図を示す。この実施例2の生体情報読取手段71は、読取部である受光センサ80が、図中の矢印に示すように、指セット部79に置かれた指Fの周囲を囲むように移動でき、移動範囲内の所定の位置で読取生体情報を取得するように構成されている。
【0063】
図13は、受光センサ80の移動機構(登録用移動手段)の概略図を示す。移動機構は、受光センサ80に接続されたモータ81と、該モータ81に接続された駆動部82とで構成されている。モータ81は、駆動部82の制御により回転駆動し、この回転によってモータ81の出力軸にアーム84で接続された受光センサ80が指の周囲を回動する。
【0064】
個人認証システム1に備えられた生体情報読取手段71以外の構成要素は、実施例1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。なお、実施例1の図9に示したグラフの横軸は、この実施例2では受光センサ80の回転角度を示す。
【0065】
図14は、実施例2の個人認証システム1の個人認証装置4が生体特徴データを用いて個人認証する手順のフローチャートを示す。
まず、制御装置73は、生体特徴データを登録したデータ保存部3であるICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS30)。
【0066】
ICカード32が挿入されたことを検知すると、制御装置73は、指が生体情報読取手段71の指セット部79にセットされたことを検知するまで待機する(ステップS31)。
【0067】
制御装置73は、生体情報読取手段71により採取した読取生体情報から生体特徴データを抽出・作成する。そして、制御装置73は、ICカード32から認証用のマスタデータを読み出し、認証対象者より抽出・作成した生体特徴データと認証用のマスタデータをICカード32内の認証処理部42にて比較・照合させる認証処理を実行し(ステップS32)、認証処理部42にて一致度を算出する(ステップS33)。
【0068】
制御装置73は、照合した結果により、一致度がm以上(ステップS34)であれば本人であると判定し、表示装置70を経由して本人認証できたことを認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS41)。そしてカードを返却して個人認証取引を終了する(ステップS42)。
【0069】
一致度がm未満であるとき(ステップS34)、制御装置73は、駆動部82により受光センサ80を回転させるか否かを判定する。ここで、一致度がn未満であるときは本人ではないと判定し(ステップS40)カードを返却(ステップS42)して個人認証を終了する。
【0070】
一致度がn以上のとき(ステップS35)、制御装置73は、受光センサ80を駆動部82により動作させる(ステップS36)。そして、制御装置73は、各移動位置で受光センサ80が採取した生体特徴データと補助データの一致度を判定する(ステップS37)。
【0071】
一致度がp以上であるときは(ステップS38)、制御装置73は、認証対象者の指の置き方が正しくないと判定し、表示装置70を経由して認証対象者に指の置き方を変更し再度本人認証処理を実施するようアナウンスする(ステップS39)。このように認証対象者に指の置き方の相違を伝える際は、実施例1の図8に示した姿勢変更要求画面61のような指の形をした画像を画面に表示し、音声や光を利用してアナウンスする。
【0072】
一致度がp未満のとき(ステップS38)、制御装置73は、認証対象者が本人ではないことを表示装置70を経由して本人に伝え(ステップS40)、カード処理装置72からカードを返却し取引を終了する(ステップS42)。
【0073】
以上の構成と動作により、実施例1と同一の作用効果が得られる上に、利用者が指セット部79にセットした指の姿勢を変えなくとも、個人認証システム1は複数の姿勢の生体特徴データを取得することができ、マスタデータと補助データを効率よく取得することができる。
【0074】
また、利用者は指セット部79に指を置き直す必要がないため、読取生体情報の採取を短時間で完了できる。
さらに、補助データを取得する際の受光センサ80の位置を機械的に正確に決めることができるため、一定した姿勢の補助データを取得できる。
【0075】
なお、実施例1,2では、登録装置2、データ保存部3、個人認証装置4はそれぞれ独立した単体の装置として説明したが、これらの装置をネットワークにより相互に接続し、データ通信によりデータの登録、認証を実施してもよい。
【0076】
また、実施例1,2の個人認証システム1においては、データ保存部3として認証対象者が持ち運びできるICチップ31を搭載したICカード32を利用したが、ネットワークにより接続された適宜のサーバ等の記憶装置をデータ保存部3として利用してもよい。
【0077】
また、実施例1,2の個人認証システム1においては、生体情報として指の静脈パターンを用いたが、指紋、顔画像、手のひら静脈パターン等、他の生体情報を用いる構成としてもよい。
【0078】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】個人認証システムの構成を示すブロック図。
【図2】登録装置と個人認証装置の装置概略図。
【図3】登録装置の構成を示すブロック図。
【図4】ICカードの概略図。
【図5】情報保持部に保存されるデータテーブルの構成図。
【図6】生体特徴データの一致度m、一致度n、一致度pの関係を示す説明図。
【図7】個人認証装置の構成を示すブロック図。
【図8】コミュニケーション手段に表示する姿勢変更要求画面のイメージ図。
【図9】姿勢の違いによる一致度の変位の説明図。
【図10】登録装置による生体特徴データ登録手順を示すフローチャート。
【図11】個人認証装置による個人認証手順を示すフローチャート。
【図12】実施例2の生体情報読取手段の概略図。
【図13】実施例2の受光センサの移動機構の概略図。
【図14】実施例2の個人認証手順のフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
1…個人認証システム,2…登録装置,3…データ保存部,4…個人認証装置,10…生体情報読取手段,11…生体特徴データ抽出部,13…コミュニケーション手段,12…データライト手段,40…照合生体情報読取手段,41…生体特徴データ抽出部,43…コミュニケーション手段,44…データリードライト手段,70…表示装置,71…生体情報読取手段,72…カード処理装置,73…制御装置,61…姿勢変更要求画面,32…ICカード,30…情報保持部,42…認証処理部,m…一致度,n…一致度,p…一致度,80…受光センサ,81…モータ,82…駆動部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば金融機関における各種手続きにて実施される本人確認や、 ビル・マンションへの入退室管理にて実施される本人確認に利用されるような生体情報を用いた個人認証システム、および個人認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本人を確認する方法として、IDカードやパスワードによる個人認証方法が広く用いられている。この個人認証方法は、キャッシュカードやクレジットカード等を使用する際の個人認証方法としても採用されている。
【0003】
近年、従来のIDカードやパスワードによる個人認証方法ではセキュリティの確保が困難になってきており、キャッシュカードやクレジットカード等を利用したなりすまし犯罪が急増している。このため、本人確認の信頼性向上に関心が集まっている。そして、指紋、虹彩、顔画像、静脈パターン等の生体情報を用いることでIDカードやパスワードより厳格に認証できる生体認証技術が注目されている。
【0004】
生体情報は、同一の生体情報をもつ人が本人以外に存在しないという特徴と、基本的に不変であるという特徴を有している。このため、生体情報を用いた個人認証方法は、本人を特定する有力な方法となっている。
【0005】
一方、生体情報は、病気や怪我等によって変化することがある。このため、生体情報が変化して個人を認証できなくなる状況が発生する。
【0006】
このような予期せぬ要因等で個人を認証できない場合の回避方法として、一次照合データと二次照合データとを用いる個人認証システムが提案されている(特許文献1参照)。この個人認証システムは、登録時に一次照合データと二次照合データを登録しておき、認証段階において一次照合データで個人を特定できない場合に二次照合データによる認証処理を行う救済措置を持つことで、本人受入率を向上させることを特徴としている。
【0007】
ところで、生体情報を用いた個人認証は、一般的に、一致の精度を高くすると本人受入率が低下する。このため、生体情報を用いた個人認証は、本人受入率を向上させようとすれば、一致の精度を低くする必要がある。
一致の精度を低下させるものとして考えられる主な要因は、病気や怪我等による生体情報の変化と、登録時や認証時に読取装置にセットする生体の姿勢の差異の2点である。
【0008】
これに対して前記個人認証システムは、主として前者の病気や怪我等を想定し、複数部位の生体特徴データを取得して一次照合、二次照合といった別の部位による照合を行うことで本人受入率の向上を図っている。
【0009】
しかし、このような別の部位による照合では、生体セット時の姿勢の差異に対して有効な対策にならないという問題がある。
また、前記個人認証システムは、複数の異なった部位のデータを利用するために読取手段が複数必要になるなど、システム構成が複雑になるものである。
【0010】
【特許文献1】特開2001−307102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、個人認証の精度向上を図ると共に本人受入率を高めることができる個人認証システムおよび個人認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、予め登録した登録生体情報と認証時に取得した取得生体情報とに基づいて個人認証を実行する認証システムであって、前記登録生体情報を、個人認証に使用するマスタ生体情報と、前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とで構成し、前記個人認証では、前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この本発明により、個人認証の精度向上を図ると共に本人受入率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例の一つで、生体特徴データを利用した個人認証システム1の構成を示すブロック図である。この個人認証システム1は、生体特徴データを登録する登録装置2と、生体特徴データを記憶しておく記憶手段としてのデータ保存部3と、生体特徴データを利用して生体認証を行う個人認証装置4とにより構成されている。なお、生体特徴データとは、利用者の生体から読み取った読取生体情報から特徴点を抽出したデータであり、生体情報の一種である。
【0016】
図2は、登録装置2と個人認証装置4の装置概略図を示す。登録装置2と個人認証装置4のそれぞれは、コミュニケーション手段であるスピーカー等を搭載した表示装置70と、生体情報読取手段である生体情報読取手段71と、データ保存部3であるICカード32を挿入しデータの登録および認証結果の確認を行うカード処理装置72(登録時はデータライト手段であり認証時はデータリードライト手段となる)と、表示装置70、生体情報読取手段71、およびカード処理装置72を相互に制御する制御装置73とで構成されている。生体情報読取手段71には、表面に利用者に生体として指をセットさせる指セット部79(生体セット部)が設けられている。
【0017】
図3は、個人認証システム1の登録装置2の構成を示すブロック図である。登録装置2は、生体情報読取手段10と、生体特徴データ抽出部11と、コミュニケーション手段13と、データライト手段12と、制御装置73とにより構成されている。
【0018】
この登録装置2は、生体情報読取手段10と生体特徴データ抽出部11を利用して生体特徴データを採取し、この生体特徴データをデータライト手段12を経由してデータ保存部3に登録する。
【0019】
生体情報読取手段10は、読取生体情報として登録対象者の指静脈パターンを採取するものである。
生体特徴データ抽出部11は、生体情報読取手段10が採取した読取生体情報に基づいて生体特徴データを抽出・作成し、作成した生体特徴データ(登録生体情報)を記憶媒体としてのICカード32にマスタデータ(マスタ生体情報)または補助データ(補助生体情報)として保存する。
【0020】
ここで、マスタデータは、本人か否かの判定に用いる本人判定用のデータであり、正規の姿勢(例えば指の腹の中心を指セット部79の表面に対向させて置いた姿勢)で読み取ったデータである。
補助データは、読み取った生体の姿勢がマスタデータとは異なるデータであり、例えば正規のデータに対して指の曲げ方を変化させた状態や、指を横に倒すなど指の置き方の角度を変えた状態など、マスタデータと姿勢の異なるデータである。本実施例では、指の置く角度を正規のデータから変化させて取得したデータを補助データとして利用する。
【0021】
また、生体特徴データがマスタデータか補助データか右手か左手かといったような生体特徴データを分類する分類情報は、コミュニケーション手段13から入力され、制御装置73がデータライト手段12によりICカード32に保存する。
【0022】
この分類情報の入力について説明すると、マスタデータを入力する際に、制御装置73は、指を真っ直ぐに伸ばして爪を真上に向けるように登録対象者に要請するといったように、照合時に取るべき正規の姿勢で登録対象者がデータを入力するようコミュニケーション手段13を経由して登録対象者にアナウンスする。
【0023】
補助データを入力する際に、制御装置73は、コミュニケーション手段13を経由して登録対象者に入力方法をアナウンスする。指静脈データの登録の際は、ある指一本の指に対して認証用のマスタデータは1つとし、それに対する姿勢判定用の補助データは複数登録できるものとする。
【0024】
このように認証用のマスタデータを一つとすることで、従来のように複数のデータを登録しておいていずれか1つで本人と認証できれば本人であると判定するような認証方式よりも精度の高い個人認証を実現できる。また、姿勢判定用の補助データを複数とすることで、姿勢の相違を精度よく判定することができる。
なお、生体情報読取手段10と生体特徴データ抽出部11とで登録用生体情報取得手段を構成している。
【0025】
コミュニケーション手段13は、スピーカー等を搭載した表示装置70であり、登録対象者とのコミュニケーションを図るものである。
データライト手段12は、図4に示すICカード32の情報保持部30に、生体特徴データであるマスタデータと補助データ、およびこれらの生体特徴データを分類する分類情報を保存するものである。
【0026】
図4(A)は、個人認証システム1のデータ保存部3として用いるICカード32の概略図であり、図4(B)は、ICカード32に搭載されているICチップ31の概略図である。
【0027】
ICカード32に搭載されたICチップ31内には、情報保持部30と認証処理部42(認証手段)が設けられており、情報保持部30に図5に示すような生体特徴データが登録されている。また、ICカード32には図示省略する通信部が設けられており、この通信部によって登録装置2のデータライト手段12や個人認証装置4のデータリードライト手段44とのデータ通信を実行する。通信部は、接触型のICカード32であれば接触端子で構成し、非接触型のICカード32であればアンテナで構成する。
【0028】
図5は、情報保持部30に保存されるデータテーブル50を示す。データテーブル50は、生体特徴データの種類を判定するためのデータの種類(認証用のマスタデータか姿勢判定用の補助データかといった分類情報)、生体特徴データ、右手か左手か、姿勢変化の種類(指の回転角度)、および登録した指の種類で構成される。これにより、生体特徴データである1つのマスタデータと複数の補助データとを区別して登録できるようにしている。
【0029】
図4に示した認証処理部42は、本人判定(一致度判定)と姿勢判定とを実行する。
本人判定は、情報保持部30に登録されているマスタデータと、個人認証装置4が採取・抽出・作成した生体特徴データとを比較・照合し、一致度がしきい値m(図6参照)以上である場合に本人であると判定する。
【0030】
ここで、図6は、登録されている生体特徴データと照合用に採取・抽出・作成した生体特徴データとの一致度mと、一致度nと、一致度pの関係を示す。一致度mは、本人であると判定できる境界値(本人判定値)であり、一致度nは、本人でないと判定できる境界値(別人判定値)である。従って、一致度nからmの間は本人か否かの判定が難しいグレーゾーンであり、姿勢判定を実施する姿勢判定必要領域である。
【0031】
姿勢判定は、照合結果の一致度がn以上m未満であるような場合に、認証処理部42が情報保持部30内に保存された補助データである姿勢判定用のデータと、個人認証装置4が採取・抽出・作成した生体特徴データとを比較・照合することで実行する。照合の結果、補助データの一致度がしきい値p以上で一致するような場合に認証処理部42が指の置かれている姿勢が正規の姿勢と異なると判定する。この判定結果は、データリードライト手段44(図7参照)を経由して個人認証装置4に送信する。
【0032】
ここで、一致度p(異姿勢判定値)は、一致度n以上に設定しておく。これは、姿勢が正規と異なることにより本人判定の一致度が低い場合、マスタデータとの一致度よりも高い一致度を示す補助データが存在するはずであり、一致度n以上となる補助データが存在するはずであるから、これに基づいて一致度pを設定したものである。
【0033】
そして、姿勢判定を実施する姿勢判定モードで正規の姿勢でないと判定した場合、本人に姿勢を正すように要請した後、再びマスタデータとの比較・照合を実施する本人認証モードに移行する。
【0034】
図7は、個人認証システム1における個人認証装置4の構成を示すブロック図である。個人認証装置4は、照合生体情報読取手段40と、生体特徴データ抽出部41と、コミュニケーション手段43と、データリードライト手段44と、制御装置73とにより構成されている。
【0035】
照合生体情報読取手段40は、認証対象者の読取生体情報を採取するもので、生体情報としてICカード32に保存されている生体特徴データと同種の生体についてのデータ、本実施例では指の静脈パターンを採取できるデバイスである。
生体特徴データ抽出部41は、認証対象者より採取した読取生体情報から生体特徴データ(取得生体情報)を抽出・作成する。
なお、照合生体情報読取手段40と生体特徴データ抽出部41とで生体情報取得手段を構成している。
【0036】
コミュニケーション手段43は、生体特徴データの照合結果を表示や音声で出力して認証対象者本人に確認させる出力や、生体の姿勢(本実施例では指を置く角度)を変更して正規の姿勢で生体情報を入力するよう認証対象者にアナウンスする出力などを実行する。従って、コミュニケーション手段43は、認証結果を出力する出力手段や、姿勢を変更するよう報知する報知手段として機能する。
【0037】
データリードライト手段44は、前述の生体特徴データ抽出部41で作成した生体特徴データをICカード32に送信する。また、登録情報取得手段としても機能し、ICカード32に登録された生体特徴データを受信する。
【0038】
制御装置73は、各種制御動作を実行する。また制御装置73は、データリードライト手段44を介して、ICカード32に生体特徴データを送信しICカード32から本人判定や姿勢判定の判定結果を受信する。本人ではなく姿勢が正規ではないとの判定結果を受信した場合、制御装置73は、コミュニケーション手段43に指の置き方の訂正を促すメッセージ及び置き方の指示を指の形の図等を用いて表示し、正しい姿勢で生体情報の入力を行うよう認証対象者にアナウンスする。補助データでの比較・照合でも一致度がp以下となり、一致度がp以下であるとの判定結果を受け取った場合、制御装置73は、コミュニケーション手段43により再度取引をやり直すか、登録データ(マスタデータおよび補助データ)の変更を求める等のメッセージを認証対象者にアナウンスする。
【0039】
この制御装置73は、本人認証モードと姿勢判定モードの移行回数を認証処理部42に記憶しておき、この移行回数がやり直し許容回数t以上になっても認証対象者本人と認証されない場合、受入拒否と判定すると同時に、登録データが加齢、体調の変化、怪我等により変化している可能性がある旨をコミュニケーション手段43経由で認証対象者にアナウンスする。
【0040】
この構成により、個人認証装置4は、照合生体情報読取手段40と生体特徴データ抽出部41を利用して採取した生体特徴データと、データ保存部3に保存された生体特徴データとをデータ保存部3であるICカード32内の認証処理部42にて比較・照合し本人認証、姿勢判定を行うことができる。
【0041】
図8は、指の置き方の変更(姿勢の変更)を認証対象者に伝える際の姿勢変更要求画面61を示す。姿勢変更要求画面61は、認証対象者に対して指の置き方が正しくないことを知らせるために、姿勢の悪い指の絵と正しい指の置き方とを表示する。これにより、認証対象者は、指の置き方が悪くて本人であると認証されないことを理解でき、指を正しく置きなおして正しく認証を受けることができる。
【0042】
図9は、予め登録した登録データと照合時に読み取った読取データ(読取生体特徴データ)との一致度の変位を示すグラフの一例を、指を置いている角度のイメージ図と共に説明する説明図である。グラフの横軸は正規の姿勢からの偏差を示し、グラフの縦軸は横軸に示す回転角度で採取した指の登録データと読取データとの一致度を示す。
【0043】
図9(a)は、正規の姿勢で指をセットした場合のグラフを示す。正規の姿勢で指をセットした場合、読取データは、回転角度0°の登録データと一致度m以上で一致し、偏差を持たせた登録データとm未満の一致度となる。
【0044】
図9(b)、(c)は、姿勢(指の回転角度)が正規と異なる状態(偏差を持たせた状態)で指をセットしたときのグラフを示す。この場合、m以上の高い一致度を示す指の回転角度(グラフ横軸)は、回転角度0°とは別の角度になる。そして、回転角度0°の登録データとの一致度はn以上m未満となる。指をセットする際の回転角度が大きくなるほど、高い一致度を示す回転角度は回転角度0°から離れる。従って、高い一致度を示す登録データの回転角度に基づいて、指がセットされている姿勢(回転角度)を予想することができる。
【0045】
図9(d)は、他人の指をセットしたときのグラフを示す。他人の指をセットした場合、全ての登録データに関して低い一致度を示す。これにより明らかに他人であると判定できる。
【0046】
図10は、本実施例の登録装置2による生体特徴データ登録手順を示すフローチャートである。先ず、登録装置2の制御装置73は、生体特徴データを保存するICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS1)。
【0047】
次に制御装置73は、認証用のマスタデータを登録することを表示装置70でアナウンスし、生体情報読取手段71に正規の姿勢で登録対象者の指を置かせる。この指(生体)から生体情報読取手段71が採取した読取生体情報に基づいて、生体特徴データを抽出・作成し、その生体特徴データをICカード32内のICチップ31に保存(登録)する(ステップS2)。
【0048】
続いて制御装置73は、姿勢判定用である補助データとして生体特徴データを登録するアナウンスを表示装置70に表示し、マスタデータとして登録したものと同じ指を回転角度が異なる姿勢で生体情報読取手段71に置かせる。この指から生体情報読取手段71を用いて読取生体情報を採取し、この読取生体情報に基づいて生体特徴データを抽出・作成する。そして、作成した生体特徴データをICカード32内のICチップ31に姿勢判定用の補助データとして保存(登録)する(ステップS3)。
【0049】
補助データの登録を終えることが表示装置70に設けられたタッチパネル(コミュニケーション手段13)に登録対象者本人により入力されるか、ある一定の規定回数z回分の補助データの採取・保存を実行すると(ステップS4)、制御装置73は、ICカード32を登録対象者本人に返却し登録処理を終了する(ステップS5)。
【0050】
以上の動作により、生体特徴データとしてマスタデータと補助データを取得し、ICカード32に登録することができる。これにより、登録対象者はICカード32を用いて個人認証を受けられる状態となる。
【0051】
図11は、本実施例の個人認証システム1の個人認証装置4が生体特徴データを用いて個人認証する手順のフローチャートを示す。まず、制御装置73は、生体特徴データを登録したデータ保存部3であるICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS11)。
【0052】
ICカード32が挿入されたことを検知すると、制御装置73は、生体情報取得処理を実行して生体情報読取手段71より読取生体情報を採取し、採取した読取生体情報から生体特徴データを抽出・作成する。そして、制御装置73は、登録情報取得処理を実行して登録データのうち認証用のマスタデータをICカード32から読み出し、認証対象者より抽出した生体特徴データとマスタデータをICカード内の認証処理部42にて比較・照合させる認証処理を実行し(ステップS12)、認証処理部42にて一致度を算出する(ステップS13)。
【0053】
制御装置73は、照合した結果により、一致度がm以上(ステップS14)であれば本人であると判定し、表示装置70を経由して本人認証できたことを認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS22)。そしてカードを返却して個人認証取引を終了する(ステップS23)。
【0054】
一致度がm未満であるとき(ステップS14)、制御装置73は、補助データを用いたデータの照合に移行するか否かの判定に移行する(ステップS15)。一致度がn未満であるとき(ステップS15)、制御装置73は、本人ではないと判定し、表示装置70を経由して本人認証できなかったなどのエラー表示を行い、利用できない旨を認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS21)。そして、カードを返却して個人認証を終了する(ステップS23)。
【0055】
一致度がn以上のとき(ステップS15)、制御装置73は、ICカード32内の補助データを読み出し、該補助データと認証対象者より採取した生体特徴データとを認証処理部42にて比較・照合し(ステップS16)、一致度を判定する(ステップS17)。
【0056】
一致度がp以上であるとき(ステップS18)、制御装置73は、表示装置70を経由して認証対象者に指の置き方が正しくないことを伝え、指の置き方を変更し再度本人認証処理を実施するようアナウンスする出力処理を実行する(ステップS19)。認証対象者に指の置き方の相違を伝える際は、図8の姿勢変更要求画面61のような指の形をした画像を画面に表示し、音声や光を利用してアナウンスする。
【0057】
一致度がp未満のとき(ステップS18)、制御装置73は、登録されている姿勢判定用の補助データすべてについて照合を繰り返す(ステップS20)。
【0058】
一致度p以上で一致する補助データがない場合(ステップS20)、制御装置73は、表示装置70を経由して認証対象者に本人と認証できなかったことを伝える出力処理を実行し(ステップS21)、カード処理装置72からカードを返却し取引を終了する(ステップS23)。
【0059】
以上の動作により、マスタデータのみを使用した精度の高い個人認証を実施することができる。生体である指の回転角度が正規と異なる姿勢で認証対象者が認証を受けようとした場合は、補助データとの照合によって生体の姿勢が異なっていることを認識でき、姿勢を変更して改めて個人認証を実施することができる。従って、姿勢の違いによって本人でないと認証することを防止することができ、また認証時の姿勢が登録時の正規の姿勢と異なっていることを認証対象者に伝えることができる。
【0060】
このように、個人認証システム1は、本人受入率の低下防止と認証精度の向上という相反する課題を共に解決することができる。そして、異なる生体部位を何度も登録するといったわずらわしさもなく、利用者は簡易かつ快適に利用することができる。また、読取装置を複数設ける必要もないため、装置全体を低コストに製造することができる。
【0061】
また、補助データを登録する際の姿勢は利用者が自分で決定できるため、姿勢の角度や向きに個人差を与えることもできる。
【実施例2】
【0062】
実施例2として、個人認証装置4の生体情報読取手段71の読取部を移動させる構成にした個人認証システム1について説明する。
図12は、個人認証装置4の構成要素である生体情報読取手段71の概略図を示す。この実施例2の生体情報読取手段71は、読取部である受光センサ80が、図中の矢印に示すように、指セット部79に置かれた指Fの周囲を囲むように移動でき、移動範囲内の所定の位置で読取生体情報を取得するように構成されている。
【0063】
図13は、受光センサ80の移動機構(登録用移動手段)の概略図を示す。移動機構は、受光センサ80に接続されたモータ81と、該モータ81に接続された駆動部82とで構成されている。モータ81は、駆動部82の制御により回転駆動し、この回転によってモータ81の出力軸にアーム84で接続された受光センサ80が指の周囲を回動する。
【0064】
個人認証システム1に備えられた生体情報読取手段71以外の構成要素は、実施例1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。なお、実施例1の図9に示したグラフの横軸は、この実施例2では受光センサ80の回転角度を示す。
【0065】
図14は、実施例2の個人認証システム1の個人認証装置4が生体特徴データを用いて個人認証する手順のフローチャートを示す。
まず、制御装置73は、生体特徴データを登録したデータ保存部3であるICカード32がカード処理装置72に挿入されたことを検知するまで待機する(ステップS30)。
【0066】
ICカード32が挿入されたことを検知すると、制御装置73は、指が生体情報読取手段71の指セット部79にセットされたことを検知するまで待機する(ステップS31)。
【0067】
制御装置73は、生体情報読取手段71により採取した読取生体情報から生体特徴データを抽出・作成する。そして、制御装置73は、ICカード32から認証用のマスタデータを読み出し、認証対象者より抽出・作成した生体特徴データと認証用のマスタデータをICカード32内の認証処理部42にて比較・照合させる認証処理を実行し(ステップS32)、認証処理部42にて一致度を算出する(ステップS33)。
【0068】
制御装置73は、照合した結果により、一致度がm以上(ステップS34)であれば本人であると判定し、表示装置70を経由して本人認証できたことを認証対象者に伝える出力処理を実行する(ステップS41)。そしてカードを返却して個人認証取引を終了する(ステップS42)。
【0069】
一致度がm未満であるとき(ステップS34)、制御装置73は、駆動部82により受光センサ80を回転させるか否かを判定する。ここで、一致度がn未満であるときは本人ではないと判定し(ステップS40)カードを返却(ステップS42)して個人認証を終了する。
【0070】
一致度がn以上のとき(ステップS35)、制御装置73は、受光センサ80を駆動部82により動作させる(ステップS36)。そして、制御装置73は、各移動位置で受光センサ80が採取した生体特徴データと補助データの一致度を判定する(ステップS37)。
【0071】
一致度がp以上であるときは(ステップS38)、制御装置73は、認証対象者の指の置き方が正しくないと判定し、表示装置70を経由して認証対象者に指の置き方を変更し再度本人認証処理を実施するようアナウンスする(ステップS39)。このように認証対象者に指の置き方の相違を伝える際は、実施例1の図8に示した姿勢変更要求画面61のような指の形をした画像を画面に表示し、音声や光を利用してアナウンスする。
【0072】
一致度がp未満のとき(ステップS38)、制御装置73は、認証対象者が本人ではないことを表示装置70を経由して本人に伝え(ステップS40)、カード処理装置72からカードを返却し取引を終了する(ステップS42)。
【0073】
以上の構成と動作により、実施例1と同一の作用効果が得られる上に、利用者が指セット部79にセットした指の姿勢を変えなくとも、個人認証システム1は複数の姿勢の生体特徴データを取得することができ、マスタデータと補助データを効率よく取得することができる。
【0074】
また、利用者は指セット部79に指を置き直す必要がないため、読取生体情報の採取を短時間で完了できる。
さらに、補助データを取得する際の受光センサ80の位置を機械的に正確に決めることができるため、一定した姿勢の補助データを取得できる。
【0075】
なお、実施例1,2では、登録装置2、データ保存部3、個人認証装置4はそれぞれ独立した単体の装置として説明したが、これらの装置をネットワークにより相互に接続し、データ通信によりデータの登録、認証を実施してもよい。
【0076】
また、実施例1,2の個人認証システム1においては、データ保存部3として認証対象者が持ち運びできるICチップ31を搭載したICカード32を利用したが、ネットワークにより接続された適宜のサーバ等の記憶装置をデータ保存部3として利用してもよい。
【0077】
また、実施例1,2の個人認証システム1においては、生体情報として指の静脈パターンを用いたが、指紋、顔画像、手のひら静脈パターン等、他の生体情報を用いる構成としてもよい。
【0078】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】個人認証システムの構成を示すブロック図。
【図2】登録装置と個人認証装置の装置概略図。
【図3】登録装置の構成を示すブロック図。
【図4】ICカードの概略図。
【図5】情報保持部に保存されるデータテーブルの構成図。
【図6】生体特徴データの一致度m、一致度n、一致度pの関係を示す説明図。
【図7】個人認証装置の構成を示すブロック図。
【図8】コミュニケーション手段に表示する姿勢変更要求画面のイメージ図。
【図9】姿勢の違いによる一致度の変位の説明図。
【図10】登録装置による生体特徴データ登録手順を示すフローチャート。
【図11】個人認証装置による個人認証手順を示すフローチャート。
【図12】実施例2の生体情報読取手段の概略図。
【図13】実施例2の受光センサの移動機構の概略図。
【図14】実施例2の個人認証手順のフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
1…個人認証システム,2…登録装置,3…データ保存部,4…個人認証装置,10…生体情報読取手段,11…生体特徴データ抽出部,13…コミュニケーション手段,12…データライト手段,40…照合生体情報読取手段,41…生体特徴データ抽出部,43…コミュニケーション手段,44…データリードライト手段,70…表示装置,71…生体情報読取手段,72…カード処理装置,73…制御装置,61…姿勢変更要求画面,32…ICカード,30…情報保持部,42…認証処理部,m…一致度,n…一致度,p…一致度,80…受光センサ,81…モータ,82…駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段にあらかじめ登録された登録生体情報を取得する登録情報取得手段と、
利用者から生体情報を取得生体情報として取得する生体情報取得手段と、
前記登録生体情報と前記取得生体情報とに基づいて個人認証を実行する認証手段と、
認証結果を出力する出力手段とを備え、
前記登録生体情報を、
個人認証に使用するマスタ生体情報と、
前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とで構成し、
前記認証手段を、
前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、
前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行する構成とした
個人認証システム。
【請求項2】
前記一致度判定で一致度が低く本人であるとは判定できず、前記姿勢判定で姿勢が異なると判定した場合に、姿勢を変更するよう報知する報知手段を備えた
請求項1記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記姿勢判定は、前記補助生体情報と前記取得生体情報との一致度が異姿勢判定値以上である場合に姿勢が異なると判定する構成にし、
前記異姿勢判定値を、前記一致度判定で別人であると判定する別人判定値よりも高く設定した
請求項2記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記生体情報取得手段の読取部を移動させる移動手段を備えた
請求項2または3記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記登録情報取得手段と前記生体情報取得手段と前記出力手段とを個人認証装置に備え、
前記記憶手段を記憶媒体で構成し、
前記マスタ生体情報と補助生体情報の登録を実行する登録装置を備えた
請求項1から4のいずれか1つに記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記登録装置に、生体情報を取得する登録用生体情報取得手段と、該登録用生体情報取得手段の読取部を移動させる登録用移動手段とを備え、
前記登録用移動手段により前記読取部を移動させた各位置で生体情報を取得することで前記マスタ生体情報と前記補助生体情報とを取得する構成にした
請求項5記載の個人認証システム。
【請求項7】
記憶手段にあらかじめ登録された登録生体情報を登録情報取得手段で取得する登録情報取得処理と、
利用者から生体情報を生体情報取得手段で取得生体情報として取得する生体情報取得処理と、
前記登録生体情報と前記取得生体情報とに基づいて認証手段で個人認証を実行する認証処理と、
認証結果を出力手段で出力する出力処理とを実行し、
前記登録情報取得処理は、前記登録生体情報として、個人認証に使用するマスタ生体情報と、前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とを取得し、
前記認証処理は、前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行する
個人認証プログラム。
【請求項1】
記憶手段にあらかじめ登録された登録生体情報を取得する登録情報取得手段と、
利用者から生体情報を取得生体情報として取得する生体情報取得手段と、
前記登録生体情報と前記取得生体情報とに基づいて個人認証を実行する認証手段と、
認証結果を出力する出力手段とを備え、
前記登録生体情報を、
個人認証に使用するマスタ生体情報と、
前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とで構成し、
前記認証手段を、
前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、
前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行する構成とした
個人認証システム。
【請求項2】
前記一致度判定で一致度が低く本人であるとは判定できず、前記姿勢判定で姿勢が異なると判定した場合に、姿勢を変更するよう報知する報知手段を備えた
請求項1記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記姿勢判定は、前記補助生体情報と前記取得生体情報との一致度が異姿勢判定値以上である場合に姿勢が異なると判定する構成にし、
前記異姿勢判定値を、前記一致度判定で別人であると判定する別人判定値よりも高く設定した
請求項2記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記生体情報取得手段の読取部を移動させる移動手段を備えた
請求項2または3記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記登録情報取得手段と前記生体情報取得手段と前記出力手段とを個人認証装置に備え、
前記記憶手段を記憶媒体で構成し、
前記マスタ生体情報と補助生体情報の登録を実行する登録装置を備えた
請求項1から4のいずれか1つに記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記登録装置に、生体情報を取得する登録用生体情報取得手段と、該登録用生体情報取得手段の読取部を移動させる登録用移動手段とを備え、
前記登録用移動手段により前記読取部を移動させた各位置で生体情報を取得することで前記マスタ生体情報と前記補助生体情報とを取得する構成にした
請求項5記載の個人認証システム。
【請求項7】
記憶手段にあらかじめ登録された登録生体情報を登録情報取得手段で取得する登録情報取得処理と、
利用者から生体情報を生体情報取得手段で取得生体情報として取得する生体情報取得処理と、
前記登録生体情報と前記取得生体情報とに基づいて認証手段で個人認証を実行する認証処理と、
認証結果を出力手段で出力する出力処理とを実行し、
前記登録情報取得処理は、前記登録生体情報として、個人認証に使用するマスタ生体情報と、前記マスタ生体情報とは生体の姿勢が異なる補助生体情報とを取得し、
前記認証処理は、前記マスタ生体情報と前記取得生体情報との一致度を判定する一致度判定と、前記補助生体情報と前記取得生体情報とに基づいて姿勢に関する姿勢判定とを実行する
個人認証プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−148724(P2007−148724A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341520(P2005−341520)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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