説明

個人認証装置及び方法

【課題】 装置に習熟していない利用者による指の誤挿入や、悪意のある利用者による偽造指の挿入などから、指静脈認証装置の認識率の低下を低コストで防止する。
【解決手段】 指静脈画像を撮像する撮像部と、指の透過光を発光する光源と、画像の照合を行う画像演算部と、指の撮像位置を示すガイド部と、指とガイド部への接触を検知する検知部を設ける。さらに、指の腹側を照射する反射光を照射する光源と、指の先端部分によって押し込まれるスイッチ部と、指の先端部を透過する光源と、前記指の先端部を透過する光源を受光する受光素子とを設ける。さらに、装置の正規使用へ誘導する情報を示す表示手段を設ける。さらに、認証の安定性に応じて、全登録画像を対象に照合を行う1−N認証と事前に利用者本人を識別するID番号を入力しそれに対応した登録画像のみを対象に照合を行う1−1認証とを切り替える手段と登録データ更新を行う手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の生体情報、特に指静脈パターンを利用して個人を識別する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の所有物や情報に対するセキュリティ技術が重要視される中、利便性、機密性に優れた個人認証技術として、人間の生体情報を用いたバイオメトリクス認証が注目されている。従来のバイオメトリクス認証技術として、指紋、虹彩、音声、顔、手の甲の静脈、指静脈を利用したものなどが考案されている。特に、指静脈を利用した認証技術は指に光を当てるだけで認証ができるため心理的抵抗感が低く、また生体の内部情報を利用しているため耐偽造性に優れるという特長を持つ。
【0003】
指静脈を利用した認証は次のように実現される。指の背側あるいは側面から指内部に向けて赤外光を照射すると、光は指内部で散乱した後、外部へ放射していく。このとき、血液中のヘモグロビンは周囲組織と比較して赤外光をより吸収するため、指の腹側から放射された透過光を撮像すると、指の腹側の皮下に分布する血管、すなわち指静脈が暗い影のパターンとなって可視化される。この画像を事前に登録しておき、提示された指の画像との相関を求めることで登録者か否かを判定し、個人認証を行う。
【0004】
指静脈を用いた認証装置に関し、特許文献1には、指静脈を用いた個人認証装置が開示され、特に、撮影する際の光量のロスを少なくするため、光ファイバーを指に密着させて指画像を撮影することが開示されている。また特許文献2には、非接触性の求められる環境下における指静脈パターン画像による個人認証を行う装置および方法が開示されている。また特許文献3には、指静脈パターン認証における認証ごとの撮影条件を均一にさせるための指ガイド部と指先部のボタンスイッチを用いる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-21373号公報
【特許文献2】特開2002-83298号公報
【特許文献3】特開2003-30632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、指静脈画像を再現よく撮像するために、認証装置に指の位置を固定する、あるいは誘導するためのガイド部を設置している。このガイド部に沿って指を挿入することで、指の形状の変動の要因、たとえば指の関節の角度や指の中心軸に対する立体回転角の変動、カメラとの距離変動などが抑制され、指静脈パターンの形状が再現よく撮像できる。
【0007】
しかしながら、認証装置の使用に習熟していない利用者は、指ガイド部に指を接触させる、指に強い力を加え関節を曲げる、あるいは指の挿入角度が安定していないなど、指の誤挿入や変形が生じる場合がある。また、長期間使用している利用者は、再現よく指を提示できるが登録時の指の置き方とは違う置き方に推移し、登録パターンとの相関が低くなる場合がある。また、悪意のある利用者により、生体でない偽造指や偽造パターンを貼付した生体指が認証装置に挿入され、登録・認証が行われてしまう場合がある。
【0008】
本発明では、指の誤挿入、変形、悪意のある利用者による偽造指の挿入を防止することにより使い勝手が良く、精度の高い認証装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記とおりである。
【0010】
指静脈画像を撮像する撮像部と、指の透過光を発光する光源と、画像の照合を行う画像演算部と、指の撮像位置を示すガイド部と、指とガイド部への接触を検知する検知部とを設けた個人認証装置。
【0011】
又、指の腹側を照射する反射光を照射する光源、指の先端部を透過する光源及び前記指の先端部を透過する光源を受光する受光素子、装置の正規使用へ誘導する情報を示す表示手段とを設ける。さらに、認証の安定性に応じて全登録画像を対象とする照合と利用者本人に対応した登録画像のみを対象とする照合と切り替える手段と登録データ更新を行う手段、等の構成を開示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置に習熟していない利用者による指の誤挿入や、悪意のある利用者による偽造指の挿入などから、指静脈認証装置の認識率の低下を低コストで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施する認証装置のシステム構成例。
【図2】指ガイド部への指の接触を検知する認証装置の構成例。
【図3】指表面の状態を検知する認証装置の構成例。
【図4】指の軸回転が生じた場合の反射光による指画像の一例。
【図5】指表面に偽造パターンを貼付した場合の反射光による指画像の一例。
【図6】生体指を検知する認証装置の一構成例。
【図7】生体指を検知する認証装置の一構成例。
【図8】認証スイッチを押下したときの受光素子の受光量の変動の一例。
【図9】指の側面透過光を用いた光源を有する指挿入ガイド部接触、指表面状態検出、生体指検出を行う認証装置の構成例。
【図10】挿入した指の変動を示し、正しい入れ方をガイドする画面の一例。
【図11】1−N認証モードと1−1認証モードとを切り替えるフローチャートの一例。
【図12】1−N認証を無効にする1−N認証モードのフローチャートの一例。
【図13】1−N認証を有効にし、また登録データを更新する1−1認証モードのフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明を実現するためのシステム構成の概略図である。利用者は認証時に指1を認証装置6に挿入する。このとき指1の先端は指先ガイド部4に置かれ、指1の根元側は指置きガイド部9に置かれる。指1が装置に挿入されると認証処理が開始される。なお認証装置6は側面からの断面図である。
【0016】
認証は次の手順で実行される。光源3より指1の背側から赤外光が照射される。光は指1、指挿入ガイド部5を透過し、赤外波長光のみ透過させる光学フィルタ7を透過して撮像装置2に到達する。光は撮像装置2により電気信号に変換され、画像入力手段18を介し画像としてコンピュータ10に取り込まれる。取り込まれた画像は一度メモリ12に蓄えられる。そして、事前に登録されている指静脈画像を記憶装置14よりメモリ12に格納し、メモリ12に格納されたプログラムによりCPU11は登録画像と入力された画像との照合を行う。照合処理では比較する2枚の画像間の相関の値を算出し、その値に応じて登録されている画像と一致するかを判定する。この結果に応じて個人を認証し、正しく認証された場合は該認証システムの制御対象に対して認証時の処理を行う。
【0017】
光源3はLED、ハロゲンランプなど赤外光を発光する部品で構成される。本実施例では指の長手方向に複数個並べられたLEDであるものとするが、ひとつの細長い形状の発光素子としてもよい。指の長手方向に光源を並べることで、指全体を満遍なく照射でき、指静脈パターンが全体的に鮮明に獲得できる。各LEDの制御はすべて同じ明るさに制御してもよく、各LEDを個別に制御してもよい。各LEDを個別に制御する場合は、関節部分などの指1の光透過率の高い部分の光量を抑えつつ、指の太い部分の光量を強めることができ、鮮明な指静脈パターンが獲得できる。
【0018】
光源3から照射される光量の制御方法の一例を次に示す。まず、ある初期値の光量でLEDを照射したときの、画像上のLEDの映る各領域の位置の輝度値を調べる。ただし各LEDの画像上の位置は既知であるとする。その輝度値が適当な明るさであると認められる範囲内であればその光量を照射し続けるが、それよりも明るい場合はその画像位置に対応するLEDの光量を下げ、暗い場合は光量を上げる。このような判定処理を各LEDの領域において行う。ここで、制御する光量の変化量は固定値としても可変値としてもよい。
【0019】
光量制御の変化量が可変値となる場合の光量制御の一例を以下に示す。まず、各LEDについて光量の制御範囲の最大値と最小値の初期値を決める。ここで、光量の制御範囲とは、LEDに与える光量出力信号の制御値が取り得る範囲であり、この範囲を超えないように光量を制御する。またその最大値と最小値の初期値は各LEDの特性に応じて決定される。次に、全LEDの光量の制御値を制御範囲の中央に設定して光を照射し画像を獲得して、各LED位置周辺の輝度値を調べる。
【0020】
もし輝度値が暗いときはその場所に位置するLEDの光量を強くする必要がある。そこで、先にそのLED位置周辺の輝度値を調べたときの光量の制御値を、その場所に位置するLEDの光量制御範囲の新たな最小値としてに設定する。制御範囲を狭めた後、次段階で照射する光量の制御値を、制御範囲の中央に設定する。これにより次段階では先段階より強い光量が照射される。
【0021】
また輝度値が明るいときは、その場所に位置するLEDの光量を弱くする必要がある。そこで、先にそのLED位置周辺の輝度値を調べたときの光量の制御値を、その場所に位置するLEDの光量制御範囲の新たな最大値としてに設定する。制御範囲を狭めた後、次段階で照射する光量の制御値を、制御範囲の中央に設定する。これにより次段階では先段階より弱い光量が照射される。
【0022】
もし輝度値が適切であれば当該LEDの光量を変化させず照射し続ける。このような明るさ判定と制御を各LEDすべてにおいて、全LEDの光量が変化しなくなるまで繰り返し行う。
【0023】
以上の方法によると、制御の初めは光量の変化量が大きく、制御が進むにつれて微小な変化量となる。従って、変化量が固定である場合に比べ、微小な制御が可能な上に処理速度を向上することができる。ただし、制御が進むにつれ光量の制御範囲が狭くなるため、その範囲に最適解が存在しない場合は制御が収束しない可能性がある。これを解決するために、数回の制御で収束しなかった領域については、光量の制御範囲の最大値と最小値を初期状態にリセットする処理を設ける。これにより、再度制御範囲を広めることができる。
【実施例1】
【0024】
認証を開始する方法としては、認証スイッチ8を押下することによるもの、常に指1の画像を画像入力手段18により取り込み続け、CPU11により指1が完全に挿入されたと判定されたことによるもの、などがある。本実施例では、前者の方法によるものとする。利用者が指先ガイド部4を指先で押し下げると、同時に認証スイッチ8が押下される。このときインターフェイス13を介してコンピュータ10内部に認証スイッチ8が導通したとの信号が伝わり、CPU11が認証スイッチ8の押下状態を検知し、認証が開始される。
【0025】
指先ガイド部4と指置きガイド部9は指1を2点で支えることにより、指1の水平方向の位置ずれを抑制し、指1と撮像装置2との距離を一定に保ち、さらに指1の腹側が装置に接触しないように保つ役割を果たす。もし指1の腹側が装置に接触した場合、指の腹側に分布する静脈が圧迫されて血液が通らなくなり、パターンが見えなくなる。
【0026】
指静脈パターンの相関を求める前段階として指静脈パターンを抽出する画像処理が実行されている。その手法の一例を以下に示す。指静脈パターンは血管のない周囲に比べて暗い輝度値となる。すなわち血管の走行方向に垂直な断面の輝度値プロファイルは血管の中心をピークとした谷あるいは窪みが見られる。そこで画像の縦方向、横方向の全プロファイルについて、輝度値の谷あるいは窪みの中心を見つける。見つけ方はプロファイル曲線の開き角あるいは曲率を算出してもよく、また平均値の定理に基づき窪みを検出してもよい。そしてその点のみ強調されるようにその位置の輝度値を高くする。すると画像全体の暗線の中心が強調され、指静脈パターンが抽出される。この処理により、暗線が細い場合、近接した暗線がある場合、あるいは光量に変動がある場合でも、安定して鮮明に暗線を強調できる。さらに、血管の中心を抽出しているため、気温の変化、体調の変化などによる血管の膨張、収縮に対する血管幅の変動の影響を受けずに認証することが可能となる。
【0027】
もし指1が指置きガイド部9に接していない状態で認証が開始された場合、接している状態とは画像上の指の拡大率が異なる。このような拡大率の変動を吸収するため、次のような画像処理を行う。まず、画像上に映る指の輪郭を抽出する。輪郭抽出方法としてはエッジ強調フィルタを画像全体に施し線の連結を調べる方法、エッジ部を順次追跡しその軌跡を得る方法など、従来の一般的な画像処理を用いることができる。次に、獲得した指輪郭の幅を調べる。輪郭幅の決定方法として、指の関節部分を画像処理により検出しその位置の輪郭幅を得る方法、画像中央位置の輪郭幅を得る方法などがある。その後、この輪郭幅に基づき指の拡大率を正規化する。正規化の方法としては、輪郭幅がある規定値より大きい場合は画像全体を縮小、また小さい場合は画像全体を拡大して、輪郭幅を規定値に合わせる方法、あるいは、輪郭幅が一律に規定の幅になるように弾性的に拡大縮小し、2本の輪郭線が平行直線になるように補正する方法などがある。これにより、指の撮像状態に拡大・縮小が含まれていても一定の拡大率に補正することが可能となり、指1が指置きガイド部9から離れた状態で認証が開始されても正しく認識することができる。図2は指1が指挿入ガイド部5に接触した状態を検知する認証装置の一例である。
【0028】
指静脈パターンの撮像時は、指1の腹側は接触のない状態とするため、指置きガイド部9と指先ガイド部4により指1を2点で支える。このとき、指先を支点として指1の関節に応力を加えると、指の腹側が反り返るように屈曲する。すると指1の関節位置が上下に変動を起こすため認証ごとの再現性が低下する。これを防ぐために指挿入ガイド部5を設け、変動が生じないよう空間を限定している。
【0029】
しかしながら、上記の要領で指の関節を上下させると、指1の腹側が指挿入ガイド部5に接触する。すると、接触した部分や関節圧力が加わるため、その周辺部分から血液が逃げることになる。このような状態で、指先ガイド部4を押し下げるあるいは画像処理部により指挿入が確認されるなどで認証が開始された場合、撮像された指画像内の第1関節周辺には指静脈が映らない。従って個人を特徴付ける情報が欠落し、認識率が著しく低下する。
【0030】
このような指挿入ガイド部5への指1の接触を検知するため、指挿入ガイド部5を支える部分に押下スイッチ20を設置する。指1の接触により指挿入ガイド部5が全体的に押し下げられると、押下スイッチ20も押し下げられる。この状態をCPU11が検知し、もし押下スイッチ20が押し下げられている場合は認証スイッチ8が押下された場合でも認証を開始しない。また、指挿入ガイド部5は、指先を支点として関節に応力を加え、指の腹側が反り返るように突っ張り屈曲させると触れる形状及び、配置とすることもできる。これにより、指表面の接触による静脈パターンの欠落状態で認証が実行されなくなり、認識率の低下を防ぐことができる。
【0031】
指の接触を検知する手段としては、押下スイッチ20の代わりに、赤外光を遮断しない材質あるいは赤外光の透過を阻害しない形状で作られた電気式、静電容量式、圧力式などの接触センサを指挿入ガイド部5の表面に分布させてもよい。これにより押下スイッチ20を押し下げるだけのストローク移動が不要となり接触に対する感度を高められる。また押下スイッチ20は指挿入ガイド部5の指先側の支え部分だけ、あるいは指付け根側の支え部分だけに設置されていてもよい。このとき、指挿入ガイド部5と認証装置6とが接合している、押下スイッチ20のない側の接合部は、指1の接触時に該接合部を中心に指挿入ガイド部5が下側に微小に回転し押下スイッチ20を押し下げるような形状であるとする。これにより押下スイッチ20の押下をセンシングする処理やそれに必要な構成部品が削減でき装置製造コストを低下することができる。
【0032】
また、指1と指挿入ガイド部5との接触を画像処理によって検出してもよい。画像処理による方法の一例としては、接触のある場合の画像は接触のない場合の画像に比べて指の関節部分の指領域が明るくなる傾向があり、この明るさを評価することで接触を検知することができる。画像処理による方法では、押下スイッチ20が完全に不要となるため装置構造が簡略化され装置製造コストを低下できる。
【0033】
指1と押下スイッチ5が接触したことを検出した場合、あるいはその状態で認証が開始された場合、利用者に対して指1の接触を知らせるため、表示手段15あるいはスピーカ17より警告を発することができる。これにより利用者に対して再認証を促し、装置の習熟度を向上させ、認識率の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0034】
図3は指の腹側の表面の状態を検知する認証装置の一構成例である。反射光源22は指1の腹側の表面を照射する位置に設置されている。また反射光源22は光学フィルタ7を透過できる波長の光を発する。また反射光源22の光量は指表面が撮像できる光量に調節される。
【0035】
反射光源22を消灯した状態で光源3を照射した場合は指静脈の映った画像が撮像され、光源3を消灯した状態で、反射光源22を照射した場合は指の表面が映った画像が撮像される。すなわち、認証を行う場合は光源3を点灯し反射光源22を消灯するが、その直前または直後に点灯、消灯の状態を入れ替え、指表面の反射光による指画像を取得し解析することで、認証を行うために獲得した指画像が妥当な指であるかを評価できる。
【0036】
図4は図3の認証装置によって撮像された指表面の画像の一例である。光源3を照射せず反射光源22を照射した場合、指静脈パターンはほぼ見えないが、指表面に見られる情報、たとえば指の関節部分に存在するしわ、指表面の汚れなどが撮像される。
【0037】
図4(a)は指の長手方向の中心軸に対する回転がない場合の指の表面の画像である。指1の中心軸に対し、関節しわ30は上下に偏りなく分布している。図4(b)は指の中心軸回転がある場合の指の表面の画像である。関節しわ30は大きく下側に偏り、関節しわの端点31が見られる。さらに指先には、関節しわ30の偏りの方向とは逆の方向に爪32も撮像されていることが分かる。つまり、指の関節しわ30あるいは爪32の撮像状態を調べることにより、指1が中心軸回転をしているかが判定できる。この回転を検出した場合には、利用者に対して警告を発し、認証処理を行わない。これにより誤認識を低減することが可能となる。
【0038】
以下に、画像処理を用いて指の関節しわ30の位置の偏りを検出する手法の一例を示す。まず得られた画像に対し、エッジ強調フィルタを施すことによって画像の縦方向成分の線を強調する。次に強調された画像を2値化、細線化する。その後、線が縦方向に連続して並んでいるかどうかを線追跡処理により評価する。もしその線が関節のしわ部分であれば比較的長距離の追跡が実行されることになる。この追跡長を元に、関節しわであるかを判定する。その後、辿った線分の端点の位置を求め、指の輪郭位置との距離関係を算出することで、関節しわの端点31の位置に偏りがあるかを評価する。また、関節しわの端点31を求めずに回転を検出する方法として、関節しわの分布の重心位置を算出し、この上下方向の位置に偏りがあるかを評価する方法がある。その他、従来の画像認識に基づく手法を利用して関節しわ30の偏りを検出してもよい。以上の画像処理により、特別なセンサを用いずに指の回転検出が可能となり、装置製造コストを上げずに認識率の低下を防ぐことが可能となる。以下に、爪32を検出する画像処理の一例を示す。まず、小領域の濃度ヒストグラム分析や周波数成分分析などの一般的な手法により画像のテクスチャ分析を行い領域分割を実行した結果、指先付近の上部または下部に、ある面積以上の分割領域が連結している場合、あるいは統計的に算出された爪32のテクスチャ特徴との比較で類似している領域がある場合は、その部分を爪32と判定する。ただし従来の画像認識に基づくその他の手法により爪32を検出してもよい。
【0039】
図5は図3の認証装置によって撮像された、本物の生体指と、複写した指静脈パターンを貼付した指の画像である。
【0040】
図5(a)は、光源3を照射し、反射光源22を照射しない場合の指画像の一例である。ここでは鮮明な指静脈パターン41が見えている。ただしこの画像からは指静脈が本物か複写かは判別できない。この状態から、光源3を消灯し、反射光源22を照射する。このとき、撮像された指静脈パターンが本物の生体である場合、図5(b)のように指静脈パターンはほとんど見えない、あるいは不鮮明な指静脈パターン40が確認される。しかしながら、光源3の光を透過する材質あるいは光に対して半透明な材質のシート上に光源3の光を遮断する材質の物体で偽造の指静脈パターンを描き指1に貼付する、あるいは直接指に光を遮断する物体でパターンを描いた場合、図5(c)のように反射光源22のみの照射でも指静脈パターンが鮮明に確認される。従って、反射光のみで鮮明な指静脈パターンが撮像されるかを判定することにより、偽造パターン貼付の有無を判定できる。光源3のみ照射したときに得られる画像と、反射光源22のみ照射したときに得られる画像との高い相関が認められた場合は、偽造パターンが貼付あるいは直接描かれているものと判定し、利用者に対し、表示手段15あるいはスピーカ17を介して警告を発し、認証処理は行わないようにすれば良い。これにより、偽造指静脈パターンに対する誤認識を防止することが可能となる。
【0041】
偽造された指静脈パターンの貼付だけでなく、指表面、あるいは指挿入ガイド部5、光学フィルタ7、撮像装置2のいずれかに汚れや埃が存在している場合にも、反射光源22のみの照射で指画像に鮮明なパターンが映ることがある。これは、反射光源22のみ照射した指画像に、周囲より目立って暗い部分が存在するかを検出することで判定できる。検出方法の一例としては、画像の指領域内を微分して得られる値がある閾値を越える場合は、その位置に鮮明なパターンが存在すると判定できる。ただし、その他の従来の画像処理方法によって鮮明に映るパターンを検出してもよい。鮮明に映るパターンの位置が毎回同じ場所であれば、装置内に汚れや埃がたまっていると判定でき、また位置が変動する場合は指に汚れが付着していると判定できる。この結果を表示手段15あるいはスピーカ17を介して利用者または管理者に通知する。この通知に基づき洗浄、清掃等の対策を施すことが可能となり、認識率の低下を防止できる。
【実施例3】
【0042】
図6は指の生体反応を検知する指静脈認証装置の一構成例である。指先ガイド部4に生体検知用光源51が設置され、その上部に受光素子50が設置されている。生体検知用光源51は赤外光を発光し、指先を透過して受光素子50に到達する。このとき、生体検知用光源51より発せられた光ではなく、光源3より発せられた光が受光素子50に到達することを防ぐため、光源3と受光素子50との間に光遮蔽部材52を設置してもよい。この受光素子50により受光した光量の変動から生体指か否かを検知する。
【0043】
図7は指の生体反応を検知する指静脈認証装置の一構成例である。図6との違いは、指静脈パターンの撮像用に用いる光源3を生体検知用光源として併用し、指先ガイド部4に受光素子50を設置している点である。これにより部品点数を削減できる。
【0044】
図8は図6あるいは図7における認証スイッチ8と受光素子50の受光量のタイミングチャートの一例である。認証スイッチ8の押下タイミングと受光素子50の受光量の変動タイミングを調べることにより、生体指かどうかを判定する。指1が生体指である場合は、指1を指先ガイド部4に乗せた状態で、認証スイッチ8を押下する直前までは、受光素子50の受光量には大きな変動はなく、脈拍に同期した微小な脈動あるいは指のぶれによる変動が確認されるほか、変動は起こらない。指先で認証スイッチ8を押下した場合、認証スイッチ8が導通し、流れる電流量が瞬間的に増加する。それと共に、指先が指先ガイド部4により圧迫を受け、指先の血量が低下し、生体検知用光源51から発せられる光の透過率が高まる。これにより、認証スイッチ8の押下と同期して、受光素子50の受光量が増加する。認証スイッチ8を押下する圧力が弱まると認証スイッチ8が非導通状態となり、それに伴って指先の血量が増加し、徐々に受光素子50の受光量も減少していく。指1が生体でない偽造指である場合は、指内に血流が流れていないため認証スイッチ押下前の脈動はなく、押下時の指先の血量も変化しない。従って、図8に示されるような受光素子50の受光量の変動は見られない。このように、認証スイッチ8の押下のタイミング時の受光素子50の受光量の変動量を評価することにより、生体指か偽造指かを判定することができる。
【0045】
図9は透過光を指の側面より照射することで指静脈パターンを撮像する認証装置の形状における、上述の指挿入ガイド部5への接触検知、指の腹側の状態検知、生体指検知の機能を有する認証装置の一構成例である。認証装置6は側面の断面図および上部から見た図として示されている。光源3は指の側面に位置し、認証装置6の上部は開口している。側面から入射された光は指内部で散乱し指挿入ガイド部5、光学フィルタ7を通して撮像装置2に到達する。
【0046】
このような側面透過光による認証装置においても、上述の認証装置とは光源3の位置が異なるだけであり、上述の実施例と同様、指挿入ガイド部5への接触検知、指の腹側の状態検知、生体指検知が実施できる。
【実施例4】
【0047】
図10は登録時に利用者の指挿入状態を表示し正しい入れ方をガイドする登録画面の一例である。登録時は利用者のほとんどが認証装置に習熟していないため、指の挿入方法をガイドする必要がある。指1の撮像状態を表示手段15により撮影画像モニタ60に映し出し、指1の輪郭を合わせる目安となる輪郭ガイド61を重ねて表示する。利用者はこの撮影画像モニタ60を見ながら自分の指の位置を合わせることができる。このとき、指1が平面回転している、指1が中心軸回転している、指1が指挿入ガイド部5に接触している、指1が偽造指である、指1に偽造指静脈パターンが貼付されている、などの指状態をガイダンス文表示部65に文章で表現する。さらに、ガイダンス表示部63内部に指状態を示すガイダンス図64を表示する。これらの情報を基に、利用者は指の状態をどのように補正すれば良いかを知ることができる。このように利用者が画面の案内に従い正しく登録作業を行うことで、登録時に管理者が行う作業を低減できる、あるいは管理者が立ち会う必要がなくなり、管理者の負担を軽減することができる。
【0048】
登録データはただ1度の試行で獲得するより、何度か指を提示させ、その中から登録に相応しいデータを選択する方が、登録データの信頼性を高めることができる。また現在の入れ方が以前の入れ方とどの程度の違いがあるのかを利用者に示すことで習熟度を効率よく高めることができる。このような情報提示を行う登録の一実施例を以下に示す。利用者が登録のために指を提示する毎に、1回目の試行あるいは過去の試行における指静脈パターンとのパターン照合を行い、パターンの変動の度合いを照合結果表示部62に表示し、また指挿入の変動グラフ表示部66に時系列に表示する。さらにガイダンス表示部63に指の状態や変動した理由などの情報を表示してもよい。利用者はこのような履歴情報を見ながら何回も試行し、指1の入れ方に応じた指挿入の変動を視覚的に理解することができる。またこの履歴を用いて、指の入れ方の変動が大きいときはデータを登録せず、変動が小さい状態が続いた場合に指静脈パターンを登録することができる。この登録は利用者が手動で行ってもよいし、システムが自動的に判定して登録を行ってもよい。また登録データは1枚でもよく複数枚でもよい。
【0049】
図10の登録画像が情報伝達手段である図1の表示手段15の代わりに、利用者に正しい入れ方をガイドする情報はスピーカ17による音声を用いた伝達手段などで伝えてもよい。このような登録方法により利用者の習熟度を高めると共に、信頼性の高い登録データが獲得できる。
【実施例5】
【0050】
認証のモードとして、全登録画像を対象に照合を行う1−N認証と、事前に利用者本人を識別するID番号を入力しそれに対応した登録画像のみを対象に照合を行う1−1認証のモードを設ける実施例を説明する。1−N認証のモードでは指を装置に挿入した直後に認証が開始されるが、1−1認証では入力手段16を用いてID番号を入力した後に指を挿入し、認証を行う。認証結果や認証に必要な情報は、表示手段15あるいはスピーカ17を用いて利用者に提示することができる。表示手段としてはディスプレイ、液晶、LEDランプなどを用いることができる。またスピーカ17から発する音としては音声、ビープ音などがある。図11、図12、図13は、1−N認証と1−1認証とを遷移する認証モードのフローチャートの一例である。1−N認証は個人を特定するID番号などの情報を入力することなく、登録した指を提示するだけで認証が実行される形態の認証モードであり、利用者から見た場合には利便性が高い。ただし、登録データとの照合における登録者判定の相関値の閾値は全登録者で共通となるため、本人データとの相関が低くなりやすい利用者は本人拒否が生じやすくなる。一方、1−1認証は、認証を受ける個人を特定するID番号などの情報を事前に入力した後、指を提示することで認証が実行される形態の認証モードであり、利便性は低下するが個人ごとに閾値を設定できるため装置に習熟していない利用者に対して認識率を高めることができる。本実施例では、登録データに1−N認証の有効/無効の属性を持たせ、1−N認証モード動作を自動的に有効/無効にすることで1システム内で2つの認証モードを個人ごとに切り替え、さらに登録データとの相関が低下していると判定された場合は登録データを自動更新することで、利便性を高め、かつ高認識率を実現する。
【0051】
図11は1−N認証と1−1認証の2つの認証モードの切り替えのフローチャートの一例である。初めにステップS100にて初期化を行う。初期化は例えば撮像手段2、光源3、メモリ12等の初期化を含む。次のステップS110では認証スイッチ8が押下されたかを判定する。押下された場合はS120の1−N認証モードを実行する。S120の1−Nモードの詳細は図12を用いて後述する。押下されない場合はステップS130にてID番号の入力があるかを判定する。ID番号の入力があり、さらにS140で認証スイッチが押下されたと判定された場合は、S150の1−1認証モードを実行する。S120の1−Nモードの詳細は図12を用いて後述する。各認証モードが終了した場合、S160で認証システムの認証モード自体から抜ける場合は終了、そうでない場合は再度認証モードを繰り返す。本手順によれば、利便性の高い1−N認証と信頼性の高い1−1認証が切り替わり、利便性と信頼性を共に含んだシステムが実現できる。
【0052】
図12は1−N認証を利用者単位に無効にする機能を有する1−N認証モードのフローチャートの一例である。ステップS200において、1−N認証が有効となっている全登録データと挿入された指との照合を行い、パターンの相関を算出する。S210では相関の値を用いて登録者本人が登録されているかを判定する。もし登録されていないと判定された場合は本モードを終了する。登録されていると判定された場合、S220で認証された人物を特定し、認証処理を行う。ここで認証処理とは、扉を開ける、PCにログインする、認証ログを残す、などの認証システムに応じた処理を指す。次に、S230では、S220で算出した相関の値が十分に高いかどうかを判定する。十分高い場合は、本モードを終了する。相関が十分高いとはいえない場合、認証はされるが安定した認証ができていない可能性がある。そこでS240では認証者に対応する不安定認証回数を読み込み、S250でその回数に1を加え再度保存する。さらに、S260ではこの不安定認証回数がある閾値T1を超えたかどうかを判定する。超えていない場合は本モードを終了する。もし超えた場合は不安定な認証が連続して、あるいは頻繁に繰り返されたと判定され、S270にて当該認証者の登録データの1−N認証属性を無効化する。これにより、当該認証者は次から1−N認証モードでは認証ができないようになり、自動的に1−1認証モードのみの認証が可能となる。その後、S280で不安定認証回数を0に初期化し、本モードを終了する。このとき、利用者に対して、音声、文字、ランプの点灯などにより1−N認証モードでの認証が不可となり、ID番号を毎度入力する1−1認証モードのみ対応できるようになったことを知らせることもできる。以上、図12の手順により、1−N認証で安定した認証ができない利用者を1−1認証モードに自動的に変更できるため、信頼性を向上することができる。
【0053】
図13は1−N認証を利用者単位に有効にし、かつ登録データを差し替える機能を有する1−1認証モードのフローチャートの一例である。S300では入力されたID番号に対応する登録データと、挿入された指のデータとの照合を行い相関の値を算出する。その後S310S330迄はS210からS230に対応する。S330で算出した相関値が十分高いと判定された場合はS340で当該認証者の安定認証回数を1つ増やす。さらにS350でこの安定認証回数がある閾値T2を超えたかを判定する。もし閾値を超えない場合は本モードを終了する。もし閾値を超えた場合は、安定した認証が連続して、あるいは頻繁に行えたことになり、S360でID番号に対応した登録データの1−N認証属性を有効にし、S370で安定/不安定認証回数を共に0に初期化する。そして本認証モードを終了する。
【0054】
S330で算出した相関が十分に高いとはいえないと判定された場合、当該認証者の不安定認証回数に1を加える。さらにS390でこの回数がある閾値T3を越えるか判定する。超えなかった場合は本認証モードを終了する。超えた場合はS400で安定/不安定認証回数を共に0に初期化する。さらにS410ではID番号に対応した登録データを、現在入力されたデータに置き換える。このデータは当該認証者のデータであると正しく確認済みであるため、意図的に他人のデータを登録することはできず、データの信頼性が保たれている。そしてS420で登録データの置き換えを認証システム管理者に通知する。そして本認証モードを終了する。
【0055】
図13のS410では、現在入力されたデータを登録データに置き換えている。これは、自動的に登録データを更新することに対応する。これにより、1−N認証モードかつ1−1認証モードで相関値が高めになって安定した認証ができない利用者が、現在の指の入れ方において最も相関が高くなるようにできる。この効果は、登録時の指の入れ方と運用時での指の入れ方に変化が生じている利用者の認識率を高めると共に、指静脈パターンの経年変化や体調変化、病気、成長過程によって変動している場合においても有効であり、データの自動更新によりシステムの運用コストをかけずに認識率を高く保つことが可能となる。また利用者によっては季節変動に伴う気温の変化で血流量が変動し、指静脈パターン画像の鮮明度が変化する場合がある。特に気温の低い季節では血流量が減少するため、気温の高い時期に登録した登録パターンとの相関が低下する。これは数ヶ月単位で緩やかに変動すると考えられ、相関が低下した場合に登録データを差し替えることで、現在の季節に応じた登録パターンを利用でき、認識率の低下を防止することが可能となる。ここで、図12の1−N認証モードにおいて不安定認証回数が閾値T1を上回った時点でS270のように1−N認証を無効にする代わりに、1−1認証を経ずに登録データを差し替えてもよい。これによると1−1認証でのID番号入力が不要となり、利便性を損なわない運用が可能となる。しかしながら、本実施例のように1−N認証から1−1認証を経て登録データを差し替えることで、確実に登録者を同定でき、より安全に登録データを更新することができる。
【0056】
また、本実施例では1−N認証と1−1認証で用いる登録データベースを共通化し、登録データごとに1−N認証属性を設け、1−N認証が有効あるいは無効であることを記録させたが、1−N認証用と1−1認証用の2つのデータベースを用意し、1−N認証の有効/無効の切り替えは1−N認証用のデータベースに対するデータの書き込み/削除で実現してもよい。これにより、保存するデータに特別な属性を設けずに1−N認証と1−1認証の切り替えができ、保存する情報量が削減できる。
【0057】
また、上記認証モードにおいて、1つの指に対し複数の登録データを保持し、1−N認証モードではその中の代表登録データ1枚を照合対象とし、1−1認証モードではその中の全ての登録データを照合対象としてもよい。このとき、上述の登録データを入力データに差し替える処理S410では、1つの指の複数の登録データのうち1枚と差し替える。差し替える登録データの選択方法としては、最も古い登録データを選択する、他の全ての登録データの相関値の総和が最も低いデータを選択する、などの手法を用いることができる。このように複数の登録データと照合することにより指提示の変動に対する照合の許容度を高め、認識率を向上できる。また複数の登録データを登録季節ごとに分類して持たせることで、指静脈パターンの季節変動に合わせた認証を行うことも可能となり、認識率の低下を防止できる。
【0058】
また図13のS300では、ID番号が1つの登録パターンに対応していたが、ある特定の登録パターンを1つのグループとみなし、グループID番号を入力させてもよい。この場合、グループID番号で特定される複数の登録パターン内の全パターンとの照合を行うことになるが、利用者は短いID番号の入力で認証が済み、また照合するデータ数が抑えられ高速な処理が可能となる。
【0059】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基き具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、図11−13に示した1−N認証と1−1認証の遷移は、指認証に限るものではなく、照合パターンが体調、病気、成長過程、季節によって変動する指紋認証、虹彩認証に代表される生体認証に適用可能である。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明により、指の誤挿入、変形が自動検出することが可能となる。従って、間違った置き方の指静脈パターンが登録された、これを防ぐためにシステム管理者は指が正しく挿入されたかを確認せずとも、登録人数が大規模である場合にも確認漏れが生じ、完全に誤挿入を防ぐことが可能となる。
【0061】
また、装置に習熟していない利用者による指の誤挿入や、悪意のある利用者による偽造指の挿入などから、指静脈認証装置の認識率の低下を低コストで防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・指、2・・・撮像部、3・・・光源、4・・・指先ガイド部、5・・・指挿入ガイド部、6・・・認証装置、7・・・光学フィルタ、8・・・認証スイッチ、9・・・指置きガイド部、11・・・CPU、12・・・メモリ、13・・・インターフェイス、14・・・外部記憶装置、15・・・表示手段、16・・・入力手段、17・・・スピーカ、18・・・画像入力手段、20・・・押下スイッチ、22・・・反射光源、30・・・関節しわ、31・・・関節しわ端点、32・・・爪、40・・・不鮮明な指静脈パターン、41・・・偽造指静脈パターン、50・・・受光素子、51・・・生体検知用光源、52・・・光遮蔽部材、60・・・撮影画像モニタ、61・・・輪郭ガイド、62・・・照合結果表示部、63・・・ガイダンス図表示部、64・・・指挿入状態を示すガイダンス図、65・・・ガイダンス文表示部、66・・・指挿入の変動グラフ表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指に対して光を照射する光源と、
上記指を通過した光を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像された画像から個人認証に用いるための血管パターンを生成する画像演算部とを有し、
上記画像演算部は、上記撮像された画像から指の輪郭を検出し、
上記撮像された画像の略中央位置に存在する指の輪郭の幅を算出するか、もしくは、上記画像から指の関節部分を検出して当該間接部分の上記輪郭の幅を算出し、該輪郭幅を用いて決定された拡大率を用いて上記撮像された画像の正規化を行うことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
上記画像演算部は、上記撮像された画像のエッジ部分を追跡することで上記輪郭の検出を行うことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
上記画像の正規化は、上記算出された輪郭の幅が所定値よりも大きい場合には撮像された上記画像を縮小し、該所定値よりも小さい場合には撮像された上記画像を拡大することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項4】
上記画像の正規化は、輪郭幅が所定幅になるように上記撮像された画像を弾性的に拡大縮小させることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−65659(P2011−65659A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236070(P2010−236070)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【分割の表示】特願2008−200429(P2008−200429)の分割
【原出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】