説明

充電完了通知方法

【課題】ドアミラーを用いて充電完了を確実に認知させることができる充電完了通知方法を提供すること。
【解決手段】車両に搭載された電池へ、外部商用電源から電力を供給して充電する充電行程において、車載電池への充電が完了したとき、展開した状態にある電動式ドアミラーを格納させることとして車載電池の充電完了通知方法を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自動車の車載電池の充電完了を知らせる充電完了通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の車載電池への充電には一般に、家庭用の商用電源などを用いて充電する普通充電と、専用の急速充電器から車載電池に直接充電する急速充電がある。電動自動車の一例である電気自動車などでは、車載電池の充電状態を表示する表示装置を室内に設置し、走行中に車載電池の充電状態を確認できるように考えられている。ところが、普通充電や急速充電において、充電完了を確認するために、その都度車両室内に入るのは手間がかかる。そこで、給湯装置のリモコンを利用して充電完了を室内に通知する発明や、車両に設けられているドアミラーの開閉動作などを用いて、充電完了を報知する発明が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−240008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、給湯装置のリモコンを利用して車両の充電完了を通知する場合、給湯装置と車両の充電装置とを接続させる必要があり、装置や工事などに手間がかかる。また充電完了を給湯装置の表示画面に表示させるには、給湯装置の表示内容に変更を加える必要が生じる。
【0005】
また、ドアミラーを用いて充電完了を通知する場合、格納した状態からドアミラーを展開すると、ドアミラーが車両の周囲に配置されているものや、近くにいる人に当接するおそれがある。また駐車時などにおいてドアミラーを格納する場合、左右に設けられているドアミラーの双方を作動させるが、双方のドアミラーを作動させると消費電力が増大する。更に充電完了を通知するため左右一対のドアミラーを格納させると、走行時には、再度ドアミラーを展開させる必要が生じ、より消費電力が増大する。
【0006】
本発明は、周囲に支障を生じさせることがなく、しかも、消費電力が小さく、作業が容易な、ドアミラーを用いた充電完了通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次のように充電完了通知方法を構成した。
【0008】
車載電池への充電が完了したとき、車両に設けられている電動式ドアミラーを、展開した状態から格納させることとした。充電を開始した際、ドアミラーは展開した状態に保持させておく。
【0009】
また充電完了を通知するにあたり、ドアミラーを左右同時でなく、左右のドアミラーを片側ずつ個別に作動させる。更に充電完了を通知するにあたり、左右の一対のドアミラーのうち、充電のために充電ノズルが取り付けられる側の側面に設けられているドアミラーを格納させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる充電状態通知方法は、次の効果を有する。
ドアミラーが格納されていることを見ることにより、車載電池への充電が完了したことを確実に認識できる。
【0011】
左右一対のドアミラーを、個別に格納させることから、通知のための格納動作、および使用に際して格納されたドアミラーを展開復帰させるに要する電力消費量を低減できる。
【0012】
充電ノズルが接続されている側面のドアミラーが格納されるため、充電ノズルが接続されている側の一側面に行けば、充電完了の確認と充電ノズルの処理が可能となり、車両の反対側にまわる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる充電完了通知方法を実施する車両の一実施例を示す構成図である。
【図2】充電完了通知方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】充電状態にある車両を示す平面図である。
【図4】充電状態にある車両を示す平面図である。
【図5】充電状態にある車両を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる普通充電の充電完了通知方法の一実施形態について説明する。
【0015】
図1に、車両10の概略構成を示す。車両10は、車載電池12と、電動機14と、急速充電口16と、普通充電用の普通充電口18とを備えた電動自動車であり、車両10の四隅には、車輪26が設けられている。車輪26は、車両前方に設けられた前輪26aと、後方に設けられた後輪26bから構成されている。
【0016】
図3に、車両10を上方から見た図を示す。車両10の前方には、図に示すように前照灯(ヘッドライト)20、フロントウインドガラス22、ドアミラー(バックミラー)24などが設けられている。
【0017】
前照灯20は、車両10の前方を照射する照明灯である。ドアミラー24は、運転者が車両後方を確認するための鏡であり、フロントウインドガラス22の側方付近の、前ドア56に取り付けられている。ドアミラー24は、図1に示すように駆動機構25を基部に有し、駆動機構25により電動で格納、および展開が左右個別に可能となっている。
【0018】
車載電池12は、車両走行用に十分な容量を有する充電可能な電池であり、車両10のほぼ中央に設けられている。電池12には、車載電池12の温度を計測する温度センサ、車載電池12を流れる電流を計測する電流計、車載電池12の電圧を計測する電圧計(いずれも図示せず。)など各種センサが取り付けられており、それらセンサからの検出結果は、電池制御部30に送られる。電池制御部30は、上記各センサから送られてくる検出結果に基づき車載電池12の充電状態(SOC)を計測する。車載電池12は、これにより充電量等が制御される。また、車両10の室内には、表示装置23が設けられている。表示装置23は、車載電池12の充電状態等を表示する。
【0019】
車両10の後方には、電動機14が設けられている。電動機14は、走行用モータであり、パワーコントロールユニット34を介して車載電池12に接続し、車載電池12からの電力で駆動される。電動機14の回転軸には減速差動機構32が取り付けられており、減速差動機構32から延びる駆動軸(図示せず。)により左右の後輪26bに連結している。
【0020】
車両10の左側には、急速充電口16が設けられている。急速充電口16は、急速充電器の充電ノズル(いずれも図示せず。)を接続させる接続口であり、急速充電口16は、電圧変換器等を介することなく車載電池12に接続している。
【0021】
車両10の右側には、普通充電口18が設けられている。普通充電口18は、家庭用の商用電源(交流100V、あるいは200V等)を接続させる接続口であり、車載充電器36とDC−DCコンバータ38を介して電池12に接続している。普通充電口18を用いた普通充電では、車載電池12が放電状態であると、充電完了までに通常数時間から十数時間要する。
【0022】
図3に、例えば自宅の駐車場60に駐車させた車両10に、普通充電口18を用いて普通充電ケーブル50を接続し、家庭用電源で充電している状態を示す。普通充電ケーブル50は、一端に普通充電ノズル52を具え、他端は、通常の電源プラグ54となっている。図3は、車両10の普通充電口18に普通充電ノズル52を接続し、家庭用の電源コンセント58に電源プラグ54を差し込んだ状態である。
【0023】
更に車両10は図1に示すように、充電通知制御部40と作動部42とを備えている。充電通知制御部40は、電池制御部30に接続しており、電池制御部30が計測した車載電池12の充電状態に関する情報を受け取ると、その情報に基づき車載電池12の充電完了、および充電が完了する充電完了時間を算出する。充電通知制御部40は、充電完了時間を算出すると、充電完了を通知するための指示を作動部42に送り出す。
【0024】
作動部42は、信号線44を介して、ドアミラー24の駆動機構25に接続している。作動部42は、充電通知制御部40から通知の指示を受けると、その指示に従い、作動信号をドアミラー24の駆動機構25に送り、所定のドアミラー24を作動させる。例えば、充電通知制御部40が電池12の充電が完了したと判断すると、駆動機構25はドアミラー24を格納させる。
【0025】
次に、普通充電における充電完了通知方法の作用について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず図3に示すように、車両10を例えば家庭の駐車場60に駐車させる。普通充電口18の蓋を開け、普通充電口18に、普通充電ケーブル50の普通充電ノズル52を接続する。普通充電ケーブル50の電源プラグ54は、電源コンセント58に差し込む。また、ドアミラー24は展開させてある。
【0027】
普通充電口18に普通充電ノズル52が接続されたことが、電池制御部30により感知されると、確実に接続されたか否かが、充電通知制御部40により判定される(S−100)。普通充電ノズル52の接続が充電通知制御部40で確認されると、車両制御部等(図示せず。)において、車両故障の有無が判定される(S−102)。車両10に故障がないことが確認されたら、電池制御部30は普通充電ノズル52の電力線を車載充電器36とDC−DCコンバータ38を介して車載電池12に接続する(S−104)。これにより、車載電池12への普通充電が開始される(S−106)。
【0028】
電池制御部30は、各種センサから送られてくる、車載電池12の温度、車載電池12の電圧等の値から車載電池12の充電状態(SOC)を計測する。電池制御部30は車載電池12の充電状態を計測したなら、充電状態の値を充電通知制御部40に送る。充電通知制御部40は、電池制御部30から送られてくる車載電池12の充電状態が、100%か否かを判定する。
【0029】
充電状態が100%になったと充電通知制御部40が判定したなら、ドアミラー24を作動させる旨を作動部42に送る。作動部42は、ドアミラー24を作動させる旨の指示を受けると、駆動機構25を作動させる。これにより、ドアミラー24が図4に示すように格納される(S−110)。続いて、充電通知制御部40は、普通充電を停止させ(S−112)、電池制御部30は、普通充電口18との接続を遮断する(S−114)。
【0030】
そして、例えば朝、室内から駐車場60に保管されている車両10を見て、ドアミラー24が格納されていることを確認すれば、車載電池12の充電が完了していることを、車両10の室内に設けられている表示装置23を見に行くことなく認知できる。また、上記例ではドアミラー24を格納させることとしたので、格納されているドアミラー24が展開される場合と異なり、ドアミラー24が壁に当たるなどの問題が生じない。
【0031】
尚、ドアミラー24は、左右同時に格納させず、左右のドアミラー24を個別に作動させてもよい。このような作動を可能にすると、左右双方のドアミラー24が展開している状態、右側のドアミラー24のみを格納させた状態、左側のドアミラー24のみを格納させた状態、左右双方のドアミラー24を格納させた状態、の4種類の表示が可能となる。
【0032】
これにより、充電完了のみでなく、完了手前の段階をドアミラー24により通知することができる。例えば、途中の充電状態や、充電完了までの時間をドアミラー24を用いて通知できる。また、ドアミラー24を作動させるために消費される電力量を低減できる。
【0033】
更に図5に示すように、充電が完了した際、充電ノズル52が接続されている車両10の右側側面のドアミラー24 (充電口側ドアミラー)のみを格納させてもよい。すると、車両10を右側から見て、車載電池12の充電が完了したことが確認でき、しかもそのまま充電ノズル52に近づき、充電ノズル52を普通充電口18から取り外すなどの作業を連続して行うことができる。特に、駐車のためのスペースが狭い場合には、車両10の右側のみで確認と、充電ノズル52の接続や取り外しが可能となり有効である。
【0034】
また、上記例では、電動自動車について説明したが、本発明はこれに限らず、外部充電式ハイブリッド車などに適用してもよい。また、車両10の駆動方式等は限定されるものではない。また、普通充電でなく、急速充電、あるいはその他の充電方式に適用してもよい。例えば、ハイブリッド車において、車載発電機による充電完了等を通知させるのに用いてもよい。また、普通充電口と急速充電口の取り付け位置を変更すれば、所望の側面に、充電完了を通知するドアミラーと充電用の充電ノズルとを揃えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、普通充電を車載電池に行う電動車両に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
符号表
10…車両
12…車載電池
14…電動機
16…急速充電口
18…普通充電口
23…表示装置
24…ドアミラー
25…駆動機構
26b…後輪
30…電池制御部
32…減速差動機構
34…パワーコントロールユニット
36…車載充電器
38…DC−DCコンバータ
40…充電通知制御部
42…作動部
50…普通充電ケーブル
52…普通充電ノズル
54…電源プラグ
58…電源コンセント
60…駐車場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池へ、外部電源から電力を供給して充電する充電行程と、
前記充電行程において、前記電池の充電状態に基づき前記電池への充電が完了したか否かを判断する充電完了確認行程と、
前記充電完了確認行程において、前記電池への充電が完了したと確認されると、前記車両に備えられた電動式ドアミラーに作動を行わせる作動行程とを備えた電池の充電完了通知方法において、
前記作動行程は、展開状態にある前記電動式ドアミラーを格納させる動作としたことを特徴とする電池の充電完了通知方法。
【請求項2】
前記電動式ドアミラーは、前記車両の両側面にそれぞれ設けられた一対の電動式ドアミラーであり、
前記作動行程は、前記一対の電動式ドアミラーのうち一方の電動式ドアミラーを作動させることを特徴とした請求項1に記載の電池の充電完了通知方法。
【請求項3】
前記車両の両側面のうち一方の側面には、前記外部電源から与えられる電力を前記電池へ供給するための充電口が備えられ、
前記一方の電動式ドアミラーは、前記両側面のうち前記充電口が配設されている側の側面に備えられる充電口側ドアミラーであり、
前記作動行程は、前記充電口側ドアミラーを格納させることを特徴とした請求項2に記載の電池の充電完了通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223690(P2011−223690A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88079(P2010−88079)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】