説明

充電施設情報提供装置

【課題】充電スタンドが整備されたインフラで停電障害が発生した場合でも、乗員を適切な代替充電スタンドに案内できるようにする。
【解決手段】充電インフラ情報提供装置200は、スマートグリッド内における停電情報を取得すると、停電障害発生地区およびその近隣に存在する電動車両100を抽出する。そして、抽出した電動車両100のそれぞれに対して、停電障害発生地区以外の充電スタンド40のうち電動車両100の近傍位置で早く充電を開始できる充電スタンド40をリストアップして、そのリストを表す代替充電スタンド情報を車載ナビゲーション装置300に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の充電施設インフラに関する情報を提供する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車のバッテリを充電する充電施設を検索するようにした電気自動車のナビゲーションシステムが特許文献1に提案されている。このシステムにおいては、目的地設定を行ったときに、目的地においてバッテリの充電を行うための充電施設があるか否かを判断し、充電施設が無い場合には、目的地近傍の充電施設を検索して、抽出された充電施設をディスプレイに表示し、希望の充電施設を選択できるようになっている。従って、電気自動車での長距離運転が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−294463号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、停電等により一部の区域において充電施設が利用できない状況が発生することが考えられる。こうした場合には、従来のシステムでは、乗員に対して、障害が発生している(バッテリを充電できない)充電施設を案内してしまうおそれがある。最近においては、電気自動車、プラグイン・ハイブリッド車などの普及を促進するために、バッテリの充電を行うための充電スタンドなどのインフラが急速に整備されつつあるが、それでも、充電スタンドの数はガソリンスタンドに比べるとはるかに少ない。従って、障害が発生している充電スタンドに案内された車両は、別の充電スタンドに行く必要があるが、充電スタンドの設置間隔(隣の充電スタンドまでの距離)が長いため、バッテリの残容量によっては、別の充電スタンドにまで走行できないといったケースも生じる。また、どの充電スタンドに行けばバッテリを充電できるのか分からないため、同じ停電区域内の充電スタンドに行ってしまう可能性もある。
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、充電施設が整備されたインフラで障害が発生した場合でも、乗員を適切な充電設備に案内できるようにすることを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、バッテリを電源として走行する車両の充電施設に関する情報を提供する充電施設情報提供装置(200)において、前記充電施設が複数整備された充電施設インフラで充電不能状態となっている障害発生位置を表す障害情報を取得する障害情報取得手段(211)と、前記障害情報取得手段により取得した障害情報に基づいて充電施設を抽出する充電施設抽出手段(214)と、前記充電施設抽出手段により抽出された充電施設を表す充電施設情報を提供する情報提供手段(215)とを備えたことにある。
【0007】
本発明においては、障害情報取得手段が、充電施設が複数整備された充電施設インフラで充電不能状態となっている障害発生位置を表す障害情報を取得する。例えば、配電線の事故や工事等により停電が発生した場合には、電力会社から、その停電の発生した地域を表す障害情報を取得する。また、特定の充電施設(例えば、充電スタンド)において充電不能状態となっている場合には、その充電不能状態となっている充電施設を特定する情報を障害発生情報として取得するようにしてもよい。従って、「障害発生位置」とは、障害の発生した地域あるいは地点を表す。
【0008】
充電施設抽出手段は、障害情報取得手段により取得した障害情報に基づいて充電施設を抽出する。この場合、障害の発生していない充電施設を抽出しても良いし、障害の発生している充電施設を抽出してもよい。そして、情報提供手段が充電施設抽出手段により抽出された充電施設を表す充電施設情報を提供する。この充電施設情報は、充電施設を特定できる情報であれば良く、その名前や位置で表すことができる。また、他の情報(施設の予約状況、周辺の施設情報、料金情報など)を加えるようにしてもよい。従って、本発明によれば、充電施設インフラで障害が発生した場合でも、乗員を利用可能な充電設備に案内することができる。
【0009】
本発明の他の特徴は、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得手段(212)を備え、前記充電施設抽出手段は、前記車両位置情報と前記障害情報とに基づいて、車両の近傍位置に整備された障害の発生していない充電施設を抽出することにある。
【0010】
本発明においては、車両情報取得手段が車両の位置情報を取得し、充電施設抽出手段が、車両位置情報と障害情報とに基づいて、車両の近傍位置に整備された障害の発生していない充電施設を抽出する。従って、車両の位置に基づいて、適切な充電施設の情報を提供することができる。尚、車両の位置情報とは、車両の現在位置を表す情報に限らず、車両の目的地を表す位置情報であってもよい。この場合には、車両の現在位置から目的地までの間に配設された充電施設から、障害の発生していない適切な充電施設を抽出することができる。
【0011】
本発明の他の特徴は、前記情報提供手段は、前記障害の発生している充電施設インフラの近傍に存在する車両に対して前記充電施設情報を提供することにある。この場合、前記情報提供手段は、前記障害の発生している充電施設インフラの近傍に存在する車両を抽出する車両抽出手段(213)を備え、前記車両抽出手段により抽出された車両に対して前記充電施設情報を提供するとよい。
【0012】
本発明においては、障害の発生している充電施設インフラの近傍に存在する車両に対してのみ充電施設情報が提供される。従って、障害の発生とは無関係となる地域に存在する車両に対しては、障害発生に係る情報を提供しない。このため、情報提供の対象が適切となり、情報提供が乗員にとって煩わしくなることがない。尚、「車両に対して」とは、車両の乗員に充電施設情報を提供するためのインターフェース装置に対してということである。このインターフェース装置としては、外部と無線通信できる装置、例えば、車載ナビゲーション装置、車載ディスプレイ、車載オーディオ、あるいは、乗員の所持する携帯端末(携帯電話)などを用いることができる。
【0013】
本発明の他の特徴は、充電施設でバッテリを充電しているときに前記バッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得する充電トラブル情報取得手段(216)と、前記充電トラブル情報取得手段により充電トラブル情報を取得したときに、前記充電トラブルの発生を通知する充電トラブル通知手段(217,218)とを備えたことにある。
【0014】
本発明においては、充電トラブル情報取得手段が、充電施設でバッテリを充電しているときにバッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得する。この充電トラブル情報により、充電施設においてバッテリの充電が不調(充電不能)となっていることを検出することができる。そして、充電トラブル情報を取得したとき、つまり、充電施設での充電トラブルの発生が検出されたときに、充電トラブル通知手段が充電トラブルの発生を通知する。この充電トラブルの発生の通知は、例えば、車両の乗員に行うようにしてもよいし、車両提供企業に行うようにしてもよいし、充電施設の供給企業(管理会社)に行うようにしてもよい。従って、障害情報取得手段で取得した障害情報に含まれなかった充電トラブルについても、通知先で早期に把握することができる。
【0015】
本発明の他の特徴は、前記充電トラブル情報には、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものなのか前記車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれており、前記充電トラブル通知手段は、前記判別情報に応じて前記充電トラブルの発生を通知する通知先を変更することにある。この場合、前記充電トラブル通知手段は、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものである場合には、その充電施設の情報を充電施設供給企業に提供し、前記充電トラブルの原因が前記車両の不具合によるものである場合には、その車両の情報を車両提供企業に提供するとよい。
【0016】
車両のバッテリを充電できない充電トラブルは、充電施設側が原因となる場合と車両側が原因となる場合とがある。そこで、本発明においては、充電トラブル情報には、充電トラブルの原因が充電施設の不具合によるものなのか車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれている。そして、充電トラブル通知手段は、この判別情報に応じて充電トラブルの発生を通知する通知先を変更する。
【0017】
例えば、充電トラブルの原因が充電施設の不具合によるものである場合には、充電トラブル通知手段は、その充電施設の情報を充電施設供給企業に提供する。これにより、充電施設供給企業は、充電トラブルが発生した充電施設を把握することができ、例えば、充電施設の修理手配を早期に行うことができる。
【0018】
また、充電トラブルの原因が車両の不具合によるものである場合には、充電トラブル通知手段は、その車両の情報を車両提供企業に提供する。これにより、車両提供企業では、当該充電トラブルが発生した車両を把握することができ、例えば、車両の修理を事前準備しておくことができる。尚、車両情報の通知先となる車両提供企業としては、車両ディーラーが好ましいが、車両ディーラーに限らず車両メーカーであってもよい。車両メーカーのセンターで車両情報を集めた後に、その情報を車両ディーラーに通知する態様を採用することもできるからである。
【0019】
また、充電トラブルの原因がどちら側であっても、車両の乗員に対しては、充電トラブルが発生したことを通知するとよい。この場合、充電トラブルの原因(充電施設側か車両側か)についても通知するとよい。これにより、乗員は、充電トラブルを把握して適切な処置をとることができる。
【0020】
本発明の他の特徴は、充電施設で車両のバッテリを充電しているときに前記バッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得する充電トラブル情報取得手段(216)と、前記充電トラブル情報取得手段により充電トラブル情報を取得したときに、前記充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供する充電トラブル施設情報提供手段(218)とを備えたことにある。
【0021】
車両のバッテリを充電しているときに、バッテリの充電を良好に行えなくなるトラブルが発生する可能性がある。充電施設供給企業は、充電施設の故障を把握して対処する義務を負うが、充電施設の故障の把握が遅れてしまうと、その対応も遅れてしまう。そのため、バッテリ充電のトラブルが発生した場合には、充電利用者は、どう対応したら良いのかわからず、結局、充電利用者に迷惑をかけてしまうことになる。
【0022】
そこで、本発明においては、充電トラブル情報取得手段が、充電施設でバッテリを充電しているときにバッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得すると、充電トラブル施設情報提供手段が、充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供する。従って、充電施設供給企業は、充電トラブルが発生した充電施設を把握することができ、例えば、その充電施設にいる乗員に対して、トラブルが発生している旨を通知するとともに、適切な充電施設に誘導することが可能となる。また、他の車両の乗員に対しても、適切な充電施設に誘導することができる。また、充電施設の修理手配を早期に行うことができる。
【0023】
本発明の他の特徴は、前記充電トラブル情報には、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものなのか前記車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれており、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものである場合に、前記充電トラブル施設情報提供手段が、前記充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供し、前記充電トラブルの原因が前記車両の不具合によるものである場合に、その車両の情報を車両提供企業に提供する充電トラブル車両情報提供手段(217)を備えたことにある。
【0024】
車両のバッテリを充電できない充電トラブルは、充電施設側が原因となる場合と車両側が原因となる場合とがある。そこで、本発明においては、充電トラブル情報には、充電トラブルの原因が充電施設の不具合によるものなのか車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれている。そして、充電トラブルの原因が充電施設の不具合によるものである場合には、充電トラブル施設情報提供手段が充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供する。また、充電トラブルの原因が車両の不具合によるものである場合には、充電トラブル車両情報提供手段がその車両の情報を車両提供企業に提供する。従って、車両提供企業では、当該充電トラブルが発生した車両を把握することができ、例えば、車両の修理を事前準備しておくことができる。
【0025】
本発明の他の特徴は、前記充電トラブルの発生した充電施設の近傍位置に整備された代替充電施設を抽出する代替充電施設抽出手段(218,S74)と、前記代替充電施設抽出手段により抽出された代替充電施設の情報を前記車両に対して提供する代替充電施設情報提供手段(218,S75)とを備えたことにある。
【0026】
充電施設が故障した場合には、乗員は、その代わりとなる別の充電施設(代替充電施設)に行く必要がある。そこで、本発明においては、充電トラブルが発生したとき、代替充電施設抽出手段が、充電トラブルの発生した充電施設の近傍位置に整備された代替充電施設を抽出する。そして、代替充電施設情報提供手段が、抽出された代替充電施設の情報をその車両に対して提供する。従って、充電トラブルを被った乗員を適切な充電施設に誘導することができる。
【0027】
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件を前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複数の充電施設が整備されたインフラの系統図である。
【図2】充電施設インフラの情報提供を行うための通信系統図である。
【図3】充電スタンドと電動車両の概略構成図である。
【図4】充電ECUと給電ECUの概略構成図である。
【図5】車載ナビゲーションの概略構成図である。
【図6】充電インフラ情報提供装置の概略構成図である。
【図7】停電障害発生地区およびその近隣地区を表す説明図である。
【図8】充電インフラ情報提供ルーチンを表すフローチャートである。
【図9】充電インフラ情報報知ルーチンを表すフローチャートである。
【図10】車載ナビゲーション装置の表示部に表示されるリスト画面である。
【図11】充電トラブル検出報知ルーチンを表すフローチャートである。
【図12】充電トラブル処理ルーチンを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の充電施設情報を提供する充電施設情報提供装置について図面を用いて説明する。図1は、スマートグリッド(電力網)において、複数の充電施設が整備されたインフラの系統図である。また、図2は、充電施設インフラの情報提供を行うための通信系統図である。
【0030】
図1において、電力会社10は、発電所を所有し、発電所で発電した電力を、送電線、変電所、配電線等を介して需用家に供給する。スマートグリッド社会においては、各需用家への電力供給状況がスマートメータによりリアルタイムで計測され、計測された電力供給状況を表すデータが光ファイバ等を用いた通信回線を介してスマートグリッド管理センター20に送信される。スマートグリッド管理センター20は、各需用家から送信されたデータに基づいて、電力供給状態を監視する。
【0031】
充電スタンド供給企業30は、各地に充電スタンド40(充電施設)の設置を展開する。充電スタンド供給企業30は、電力会社10との契約により、スマートグリッドから充電スタンド40への電力供給を受ける。充電施設インフラは、充電スタンド40および充電スタンド40への電力供給網にて構成される。
【0032】
スマートグリッド管理センター20には、充電施設インフラで停電による障害が発生したときに、障害が発生していない適切な充電スタンド40を乗員に知らせるための充電インフラ情報提供装置200が設けられている。充電インフラ情報提供装置200は、図2に示すように、通信ネットワークを介して充電スタンド40、充電スタンド供給企業30、電力会社10、車両ディーラー(車両提供企業)85、車載ナビゲーション装置300、乗員の携帯する携帯端末500と接続されている。本実施形態においては、充電インフラ情報提供装置200は、光ファイバ回線などの通信回線201を使って充電スタンド40、充電スタンド供給企業30、電力会社10、車両ディーラー85、無線通信基地局90に接続されている。また、無線通信基地局90は、各需用家のスマートメータ80、電動車両100の車載ナビゲーション装置300、携帯端末500等の無線通信機器と無線通信を行うことにより、無線通信機器と充電インフラ情報提供装置200とのあいだでデータ通信を可能にしている。また、充電インフラ情報提供装置200は、インターネット202に接続して各種の情報を取得できるように構成されている。尚、通信ネットワークは、専用回線を用いることもできるし、インターネットを利用することもできる。
【0033】
充電スタンド40は、図3に示すように、充電器50を備える。充電器50は、スマートグリッドから商用電源(例えば、200V交流電源)が供給される。充電器50は、充電用ケーブル51の接続プラグ52を電動車両100の受電コネクタ110に接続して、電動車両100のバッテリ120を充電する。
【0034】
充電器50には、給電開始ボタン53aと給電終了ボタン53bとを備えた操作部53と、給電状況や操作方法等の情報を利用者に知らせる表示部54と、料金を精算する料金精算部55と、電力供給を制御する給電制御ユニット60(以下、給電ECU60と呼ぶ)が設けられている。
【0035】
電動車両100は、電気自動車(EV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)、電動バイク、電動自転車など、車両に搭載されたバッテリ120の電力で走行用モータ140を駆動して走行する車両をいう。電動車両100は、家庭用電源コンセントから充電できるが、こうした各地に設けられた充電スタンド40を利用することで、遠方への走行が可能となっている。
【0036】
電動車両100は、図3に示すように、バッテリ120から出力される直流電力を三相交流電力に変換するインバータ130と、インバータ130から出力される三相交流電力により駆動されて車輪Wを回転させる走行用のモータ140と、運転者の運転操作に応じてインバータ130の出力を制御するモータ制御ユニット150(以下、モータECU150と呼ぶ)とを備えている。
【0037】
また、電動車両100は、バッテリ120を充電するための回路として、充電用ケーブル51の接続プラグ52を着脱可能に接続する受電コネクタ110と、受電コネクタ110に供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器160と、バッテリ120の充電を制御する充電制御ユニット170(以下、充電ECU170と呼ぶ)を備えている。
【0038】
受電コネクタ110からAC/DC変換器160への電力供給ライン111には、充電スイッチ112が設けられる。この充電スイッチ112は、充電ECU170からの制御信号によりオン状態とオフ状態とに切り替え可能となっている。バッテリ120には、バッテリ120の充電状態を示す値であるSOC(State Of Charge)を検出するSOC検出部121が設けられる。SOC検出部121は、SOCを表す信号を充電ECU170に出力する。
【0039】
受電コネクタ110には、充電用ケーブル51のプラグ52が差し込まれたときに接点の状態が切り替わる機械的なプラグ検出スイッチ113が設けられる。また、電力供給ライン111には、受電コネクタ110に近い位置で、充電器50からの供給電圧を検出するプラグ電圧センサ114が設けられる。プラグ検出スイッチ113およびプラグ電圧センサ114は、後述する充電異常(充電トラブル)を検出するために使用される。
【0040】
充電ECU170は、図4の右側に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えた主制御部180と、充電器50の給電ECU60と電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を行うためのPLC通信制御部190と、各種のデータを記憶するための記憶部195とを備えている。PLC通信制御部190は、PLC用ライン115にて電力供給ライン111に接続され、PLC用ライン115、電力供給ライン111、充電用ケーブル51を介して充電器50と接続される。
【0041】
主制御部180は、その機能に着目すると、充電制御部181と充電異常検出部182とを備えている。各機能部181,182は、マイクロコンピュータの制御プログラムの実行により実現されるものである。充電制御部181は、SOC検出部121から出力されるSOCを入力し、SOCが第1基準値よりも低い場合は、充電スイッチ112をオン状態にしてAC/DC変換器160に電力を供給するとともに、AC/DC変換器160を作動させてバッテリ120を充電する。また、SOCが第2基準値(>第1基準値)以上である場合は、充電スイッチ112をオフ状態にするとともに、AC/DC変換器160を停止させてバッテリ120の充電を停止する。これにより、バッテリ120の蓄電量を適正範囲に維持することができる。
【0042】
充電異常検出部182は、プラグ検出スイッチ113の接点の状態と、プラグ電圧センサ114により検出される供給電圧Vpと、SOC検出部121により検出されるSOCの変化状態と、給電ECU60から送信されてくるPLC信号に基づいて、後述する充電トラブル検出報知ルーチンを実行することにより充電異常を検出する。この充電トラブル検出報知ルーチンにおいては、電動車両100側の異常であるのか、充電器50側の異常であるのかの判別も行われる。充電異常検出部182は、充電異常を検出した場合には、充電異常検出信号を車載ナビゲーション装置300および充電器50に出力する。尚、充電異常検出信号については、電動車両100側の異常を表す信号を車両側異常検出信号と呼び、充電器50側の異常を表す信号をスタンド側異常検出信号と呼ぶ。
【0043】
充電器50に設けられる給電ECU60は、図4の左側に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えた主制御部70と、電動車両100の充電ECU170と電力線搬送通信を行うためのPLC通信制御部73と、一般の通信回線を使って外部と交信するための外部通信制御部74と、各種のデータを記憶するための記憶部75とを備えている。PLC通信制御部73は、PLC用ライン76にて電力供給ライン77に接続され、PLC用ライン76、電力供給ライン77、充電用ケーブル51を介して電動車両100と接続される。
【0044】
主制御部70は、その機能に着目すると、給電制御部71と給電異常検出部72とを備えている。各機能部71,72は、マイクロコンピュータの制御プログラムの実行により実現されるものである。給電制御部71は、電力供給ライン77に設けられた給電スイッチ78を開閉制御することにより、電動車両100への給電を制御する。例えば、給電開始ボタン53aがオン操作されたときに、給電スイッチ78をオン状態にして給電を開始するとともに、電力供給ライン77に設けられた電流計79の計測値を積算して電動車両100に供給した電力量を算出する。そして、供給した電力量が設定量に到達したとき、あるいは、予め支払った料金相当の電力量に到達したとき、あるいは、給電終了ボタン53bがオン操作されたときに給電スイッチ78をオフ状態にして給電を停止する。
【0045】
給電異常検出部72は、電動車両100の充電ECU170との協働により充電器50の異常を検出するものである。給電異常検出部72は、給電制御部71が給電スイッチ78を開閉する制御信号を入力して、給電スイッチ78のオン指令信号が出力されているあいだ、給電中であることを表す給電信号をPLC通信制御部73を介して充電ECU170に送信する。一方、電動車両100側の充電ECU170においては、送信された給電信号と電動車両100への電力供給状態とに基づいて、充電異常検出部182が充電器50および電動車両100の異常の有無を判定する。
【0046】
充電異常検出部182は、充電器50あるいは電動車両100の異常を検出したときに、異常が検出されたことを表す充電異常検出信号をPLC通信制御部190を介して給電ECU60に送信する。こうして、給電異常検出部72は、充電ECU170から送信された充電異常検出信号により充電器50あるいは電動車両100の異常を検出することができる。給電異常検出部72は、充電ECU170から充電異常検出信号が送信された場合には、充電異常が発生したことを表すメッセージを表示部54に表示する。
【0047】
また、給電異常検出部72は、充電器50の異常が検出された場合、当該充電器50に関する充電トラブル情報として、充電スタンド情報を充電インフラ情報提供装置200に送信する。充電スタンド情報は、充電スタンド40の名前、場所、充電器50のメーカー、充電器50の製品番号、充電スタンド40において充電器50を特定する番号等を表すデータであり、外部通信制御部74から送信される。
【0048】
電動車両100には、車載ナビゲーション装置300が設けられている。車載ナビゲーション装置300は、車両の現在位置を検出して車両を目的地にまで案内する機能に加え、車外との無線通信機能を備えている。車載ナビゲーション装置300は、図5に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えた主制御部310と、タッチパネル式ディスプレイで構成される表示部350および操作部360と、無線通信基地局90を介して外部と交信するための無線通信制御部370と、GPS衛星からの電波に基づいて自車両の現在位置座標を検出するGPSユニットおよび車両の進行方向を検出するジャイロセンサを備えた車両位置検出部380と、地図データや充電スタンド40などの施設データ等を記憶する記憶部390とを備えている。
【0049】
主制御部310は、その機能に着目すると、自車両を目的地(例えば、充電スタンド40)に案内するナビゲーション制御部311と、自車両の現在位置などの車両情報をスマートグリッド管理センター20の充電インフラ情報提供装置200に送信する車両情報送信部312と、充電インフラ情報提供装置200から充電インフラ情報を取得して乗員に報知する充電インフラ情報報知部313と、電動車両100の充電ECU170から出力された充電異常検出信号を取得し、充電トラブル情報を充電インフラ情報提供装置200に送信する充電トラブル情報送信部314とを備えている。充電トラブル情報送信部314は、充電トラブル情報として、電動車両100で充電トラブルが発生したことを表す情報に加えて、当該電動車両100の登録番号、メーカー、車両位置などを表す車両情報を送信する。各機能部311〜314は、マイクロコンピュータの制御プログラムの実行により実現されるものである。
【0050】
尚、本実施形態においては、電動車両100に車載ナビゲーション装置300を搭載しているが、乗員がナビゲーション機能を有する(少なくとも位置検出機能を有する)携帯端末500を所持している場合には、車載ナビゲーション装置300に代えて、携帯端末500を使用することもできる。この場合には、携帯端末500に車載ナビゲーション装置300の機能を持たせるように構成する。
【0051】
次に、スマートグリッド管理センター20に設けられる充電インフラ情報提供装置200について説明する。充電インフラ情報提供装置200は、図6に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えた主制御部210と、表示部250と、操作部260と、スマートグリッドの電力供給情報(電力使用情報)の受信など外部との交信を行うための通信制御部270と、地図情報、充電インフラ情報、スタンド利用状況情報、車両情報等を表す各種のデータを記憶した記憶部280とを備えている。
【0052】
充電インフラ情報提供装置200における主制御部210は、その機能に着目すると、インフラ障害情報取得部211と、車両情報取得部212と、車両抽出部213と、代替スタンド抽出部214と、代替スタンド情報送信部215と、充電トラブル情報取得部216と、車両側トラブル処理部217と、スタンド側トラブル処理部218とを備えている。各機能部は、マイクロコンピュータの制御プログラムの実行により実現されるものである。
【0053】
インフラ障害情報取得部211は、電力会社10から停電情報(停電が発生している管区を表す情報)を取得して、充電施設インフラで充電不能状態となっている停電障害発生地区を検出する。また、インフラ障害情報取得部211は、電力会社10から提供される停電情報に加えて、スマートメータ80(電力メータ)により計測された計測情報に基づいて停電障害発生状況を把握する。例えば、需用家ごとに設けられたスマートメータ80の計測データを通信制御部270を介して周期的に取得し、その計測データに基づいて、スマートグリッド内の電力供給状態を検出する。落雷等の天災、スマートグリッドのシステムトラブル、配電線工事等により停電が発生した場合には、需用家への電力供給が停止するため、電力供給状態から停電が発生している地区を検出することができる。需用家への電力供給は、複数の管区に区分けされて行われるため、通常の停電であれば、管区単位で停電状態となる。従って、インフラ障害情報取得部211は、この停電地区を検出して、停電地区内の充電スタンド40を停電充電スタンドとして特定する。
【0054】
尚、管区単位の停電ではなく、特定の充電スタンド40のみにおいて電力供給障害が発生している場合も考えられる。そこで、インフラ障害情報取得部211は、各充電スタンド40への電力供給状態に関してもスマートメータ80の計測データで監視し、電力供給障害が発生している充電スタンド40を停電充電スタンドとして特定する。以下の説明においては、特定の管区において停電が発生したケースにて説明するが、特定の充電スタンド40のみにおいて電力供給障害が発生している場合には、その特定の充電スタンド40を特定の管区として取り扱えばよい。
【0055】
スマートグリッド管理センター20に登録されている電動車両100においては、その車載ナビゲーション装置300から、自車両の現在位置、自車両の進行方向、自車両の車両識別IDを表す情報を含んだ車両情報が暗号化されて周期的に送信される。この車両情報は、無線通信基地局90を介して充電インフラ情報提供装置200の通信制御部270に受信される。車両情報取得部212は、予め車両情報を解読するための解読キーを記憶しており、受信したデータを解読キーにより解読して車両情報を取得する。
【0056】
車両抽出部213は、停電障害発生地区およびその近隣に存在する電動車両100を抽出する。具体的には、車両情報と停電障害発生地区を表す障害情報とに基づいて、図7に示すように、停電障害発生地区A1内に存在する電動車両100と、停電障害発生地区A1に近い位置で停電障害発生地区A1に向かっている電動車両100(停電障害発生地区A1の境界a1から距離Lだけ外側となる境界a2内の区域A2に位置し、停電障害発生地区A1に向かっている電動車両)とを抽出する。以下、抽出された電動車両100を対象車両と呼ぶ。
【0057】
代替スタンド抽出部214は、記憶部280に記憶されている地図情報および充電スタンド40の位置情報と、対象車両の位置情報と、障害情報とに基づいて、抽出された対象車両のそれぞれに対して、停電障害発生地区以外の充電スタンド40のうち対象車両の近傍位置に整備された充電スタンド40を複数抽出する。この場合、対象車両の近傍位置に整備された充電スタンド40を対象車両から近い順に複数抽出する。
【0058】
充電インフラ情報提供装置200は、各充電スタンド40における現在の利用状況および予約状況を表すスタンド利用状況情報が逐次送信され、その送信された最新のスタンド利用状況情報を記憶部280に記憶している。代替スタンド抽出部214は、記憶部280に記憶されている最新のスタンド利用状況情報を参照して、充電スタンド40に到達するのに必要な走行時間と待ち時間とに基づいて、早く充電を開始できる順に充電スタンド40のリストを作成する。
【0059】
代替スタンド情報送信部215は、車両抽出部213で抽出された対象車両のそれぞれに対して、代替スタンド抽出部214で抽出された充電スタンド40のリストを表す代替充電スタンド情報を、停電障害発生地区を表す停電障害発生地区情報と合わせて通信制御部270を介して車載ナビゲーション装置300に送信する。
【0060】
充電トラブル情報取得部216は、充電スタンド40において電動車両100のバッテリ充電が不調となった場合に、充電器50および車載ナビゲーション装置300から送信される充電トラブル情報を取得する。充電トラブル情報は、電動車両100側の原因で充電不能となる車両側トラブルと、充電スタンド40側の原因で充電不能となるスタンド側トラブルとが判別されるように構成され、車両側トラブルであれば充電異常が発生した電動車両100の車両情報となり、スタンド側トラブルであれば給電異常が発生した充電スタンド情報となる。
【0061】
車両側トラブル処理部217は、車両側トラブルを表す充電トラブル情報が充電トラブル情報取得部216に供給された場合に作動する。車載ナビゲーション装置300の充電トラブル情報送信部314は、電動車両100で充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報として、当該電動車両100の車両情報(当該車両の登録番号、メーカー、位置等)を送信する。車両側トラブル処理部217は、この送信された充電トラブル情報に基づいて、車両を近隣の車両ディーラー85に誘導するための通知情報を車載ナビゲーション装置300に送信する。つまり、車両側トラブル処理部217は、記憶部280に記憶されているデータを参照して、当該車両の車種を取り扱う複数の車両ディーラー85の中から、当該車両に最も近い車両ディーラー85を抽出し、その抽出した車両ディーラー85を特定する車両ディーラー情報(名前、住所、電話番号、URL等)を車載ナビゲーション装置300に送信する。また、車両側トラブル処理部217は、車両ディーラー85に対しても、当該車両の登録番号、位置情報を送信する。
【0062】
スタンド側トラブル処理部218は、充電スタンド側トラブルを表す充電トラブル情報が充電トラブル情報取得部216に供給された場合に作動する。充電器50の給電ECU60は、充電スタンド40で充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報として、当該充電スタンド40の充電スタンド情報(充電スタンド40の名前、場所、充電器50のメーカー、充電器50の製品番号、充電スタンド40において充電器50を特定する番号等)を送信する。スタンド側トラブル処理部218は、この充電スタンド情報に基づいて、充電スタンド供給企業30に対して、当該充電スタンド40で充電トラブルが発生していることを示す通知およびその充電スタンド40の情報を送信する。
【0063】
次に、充電インフラ情報提供装置200の行う充電インフラ情報提供処理について説明する。図8は、充電インフラ情報提供装置200の主制御部210が実行する充電インフラ情報提供ルーチンを表す。この充電インフラ情報提供ルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0064】
充電インフラ情報提供ルーチンが起動すると、まず、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS11において、スマートグリッドにおける電力供給状態情報を取得する。具体的には、電力会社10の提供する現時点の停電情報を通信制御部270を介して読み込むとともに、各需用家毎に設けられたスマートメータ80から送信される計測データを読み込む。尚、電力供給状態情報は、電力会社10の提供する現時点の停電情報、あるいは、スマートメータ80の計測データの何れか一方であってもよい。また、スマートメータ80の計測データの読み込みは、各充電スタンド40に設けられたスマートメータ80の計測データのみを読み込むようにしてもよい。
【0065】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS12において、電力会社10の提供する停電情報およびスマートメータ80の計測データに基づいて、スマートグリッドにおいて停電が発生しているかを判断する。停電が発生していない状況であれば(S12:No)、本ルーチンを一旦終了する。
【0066】
本ルーチンは、所定の周期で繰り返される。従って、スマートグリッドにおける電力供給状態が繰り返し検出されることになる。そして、停電の発生を検出すると(S12:Yes)、続くステップS13において、停電が発生している地区(以下、停電障害発生地区と呼ぶ)を抽出する。電力会社10の提供する停電情報は、停電が発生している電力系統管区を特定するものである。例えば、図1においては、A管区が停電障害発生地区となっている。従って、この停電情報に基づいて停電障害発生地区を把握することができる。
【0067】
また、充電インフラ情報提供装置200は、スマートメータ80の計測データに基づいて停電障害発生地区を把握し、電力会社10の提供する停電情報から得られる停電障害発生地区に加える。この場合、特定の充電スタンド40のみにおいて停電が発生している場合には、その特定の充電スタンド40を停電障害発生地区として取り扱う。
【0068】
このステップS11〜S13の処理は、インフラ障害情報取得部211により実行される処理である。
【0069】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS14において、停電障害発生地区内に存在する電動車両100、および、停電障害発生地区に隣接した隣接地区に存在し停電障害発生地区に向かっている電動車両100を抽出する。この処理は、車両情報取得部212および車両抽出部213により実行される処理である。このステップS14においては、充電インフラ情報提供装置200に逐次送信されてくる車両情報に含まれる車両位置と車両の進行方向とに基づいて、対象車両が抽出される。
【0070】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS15において、抽出された対象車両のそれぞれに対して、停電障害発生地区以外の充電スタンド40(停電していない充電スタンド40)のうち対象車両の近傍位置に整備された充電スタンド40を抽出する。この場合、対象車両の近傍位置に整備された充電スタンド40を複数抽出する。この抽出された充電スタンド40は、停電障害発生地区内の充電スタンド40の代替となるものであるため、以下、抽出された充電スタンド40を代替充電スタンド40と呼ぶ。
【0071】
また、充電スタンド40の利便性は、待ち時間に左右される。そこで、充電スタンド40の抽出にあたっては、スタンド利用状況情報(待ち時間情報、予約時間情報が含まれる)を参照して当該充電スタンド40の待ち時間および予約時間を取得する。そして、実質的に早く充電を開始できる順に代替充電スタンド40のリストを作成する。例えば、充電スタンド40に到達するのに必要な時間(自車両から充電スタンド40までの距離/推定車速)と、到着後に必要な待ち時間との合計時間の短い順に代替充電スタンド40のリストを作成する。尚、代替充電スタンド40は、電動車両100の進行方向情報に基づいて、その進行方向に設置された充電スタンド40から抽出するようにすると更によい。
【0072】
このステップS15の処理は、代替スタンド抽出部214により実行される処理である。
【0073】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS16において、充電インフラ情報を車載ナビゲーション装置300に送信する。充電インフラ情報は、代替充電スタンド40のリストを表す代替充電スタンド情報と、停電障害発生地区を表す停電障害発生地区情報とから構成される。また、代替充電スタンド情報は、記憶部280に記憶されている充電スタンド情報を参照して作成され、リストアップした代替充電スタンド40の名前、所在地、待ち時間、周辺施設状況、充電器の種類(普通充電/急速充電)等を表す。このステップS16の処理は、代替スタンド情報送信部215により実行される処理である。
【0074】
充電インフラ情報提供装置200は、ステップS16において、充電インフラ情報を送信すると、充電インフラ情報提供ルーチンを一旦終了し、所定の周期で上述した処理を繰り返す。従って、この充電インフラ情報提供ルーチンによれば、常に、停電障害発生地区に応じた適切な対象車両が抽出され、かつ、その対象車両に対して適切な代替充電スタンド情報が送信されることになる。
【0075】
次に、車載ナビゲーション装置300で行う充電インフラ情報報知処理について説明する。図9は、車載ナビゲーション装置300の充電インフラ情報報知部313が実行する充電インフラ情報報知ルーチンを表す。この充電インフラ情報報知ルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0076】
充電インフラ情報報知ルーチンが起動すると、まず、充電インフラ情報報知部313は、ステップS21において、充電インフラ情報を受信したか否かを判断する。充電インフラ情報を受信していない場合は、本ルーチンを一旦終了する。本ルーチンは、所定の周期で繰り返される。従って、充電インフラ情報が送信されるまで待機することになる。
【0077】
充電インフラ情報提供装置200から充電インフラ情報が車載ナビゲーション装置300の無線通信制御部370に送信されると(S21:Yes)、ステップS22において、受信した充電インフラ情報を記憶部390に記憶する。続いて、ステップS23において、図10に示すように、表示部350に、停電障害が発生している旨を表すメッセージと代替充電スタンド40のリストを表示する。
【0078】
このリストには、代替充電スタンド40の名前だけでなく、代替充電スタンド40ごとに、自車両から代替充電スタンド40までの距離と、代替充電スタンド40で充電開始できるまでの予想時間とを表示する。また、代替充電スタンド40ごとに、代替充電スタンド40の詳細を表示するための詳細ボタンアイコンB1と、代替充電スタンド40を目的地として設定するための決定ボタンアイコンB2と、停電障害発生地区を表示するための停電地区ボタンアイコンB3と、通常の地図表示画面に戻すための戻りボタンアイコンB4とを表示する。
【0079】
続いて、充電インフラ情報報知部313は、ステップS24において、詳細ボタンアイコンB1が押されたか否かを判断し、詳細ボタンアイコンB1が押された場合には、ステップS25において、該当する代替充電スタンド40の詳細情報(住所、周辺施設状況、充電器の種類、予約状況等)を表示部350に表示する。一方、詳細ボタンアイコンB1が押されない場合には、ステップS25の処理をスキップする。
【0080】
続いて、充電インフラ情報報知部313は、ステップS26において、停電地区ボタンアイコンB3が押されたか否かを判断し、停電地区ボタンアイコンB3が押された場合には、ステップS27において、表示部350の表示画面に地図を表示させるとともに、この地図表示画面に停電障害発生地区を他の正常地区と区別できるように色分け表示する。この場合、停電障害発生地区に存在する充電スタンド40の表示マークに×印等を付けて利用できないことが乗員に分かるように表示画像を変更するとよい。一方、停電地区ボタンアイコンB3が押されない場合には、ステップS27の処理をスキップする。
【0081】
続いて、充電インフラ情報報知部313は、ステップS28において、決定ボタンアイコンB2が押されたか否かを判断し、決定ボタンアイコンB2が押された場合には、ステップS29において、決定ボタンアイコンB2が押された代替充電スタンド40を目的地に設定する目的地設定指令をナビゲーション制御部311に出力する。これにより、ナビゲーション制御部311は、この代替充電スタンド40を目的地に設定してルート案内を開始する。一方、停電地区ボタンアイコンB3が押されない場合には、ステップS29の処理をスキップする。
【0082】
続いて、充電インフラ情報報知部313は、ステップS30において、戻しボタンアイコンB4が押されたか否かを判断し、戻しボタンアイコンB4が押された場合には、ステップS31において、通常のナビゲーション表示画面に戻して本ルーチンを一旦終了する。一方、戻しボタンアイコンB4が押されない場合には、その処理をステップS24に進めて同様の処理を繰り返す。
【0083】
本ルーチンは所定の周期で繰り返される。この場合、ステップS24からステップS30までのループ処理が継続されている期間中であっても、所定の周期でステップS21からの処理が再開される。従って、最新の充電インフラ情報に基づいた代替充電スタンドリストが表示される。尚、ステップS25あるいはステップS27において表示される表示画面には、戻りアイコンボタンが設けられており、その戻りボタンアイコンを押すことにより、図10に示すリスト画面に切り替わるように構成されている。
【0084】
以上説明した充電インフラ情報報知ルーチンによれば、対象車両の乗員は、充電設備インフラの障害状況をリアルタイムで把握することができる。従って、乗員は、わざわざ停電発生状況を調べる必要が無い。また、ナビゲーション画面から適切な代替充電スタンド40を選択することができる。また、リスト表示画面からそのまま代替充電スタンド40を目的地に設定することもできる。また、最も早く充電開始できる順に代替充電スタンド40がリストアップされるため、乗員の都合にあった代替充電スタンド40を選択することができる。従って、非常に使い勝手がよい。
【0085】
また、インフラ障害情報は、停電障害発生地区近傍の電動車両100のみに送信されるものであり、停電障害とは無関係となる地区に存在する電動車両100には送信されないため、停電障害発生の報知(代替充電スタンド40のリスト表示)が煩わしいものとならない。
【0086】
次に、充電スタンド40において発生した充電トラブルに対する処理について説明する。図11は、充電トラブル検出報知ルーチンを表す。この充電トラブル検出報知ルーチンは、充電ECU170と給電ECU60と車載ナビゲーション装置300との協働にて実施される。図面左側が給電ECU60の給電異常検出部72により実行される処理を表し、図面中央が充電ECU170の充電異常検出部182により実行される処理を表し、図面右側が車載ナビゲーション装置300の充電トラブル情報送信部314により実行される処理を表す。充電トラブル検出報知ルーチンは、所定の短い周期で繰り返される。
【0087】
図面中央の充電ECU170側の処理から説明する。本ルーチンが起動すると、充電ECU170は、まず、ステップS41において、プラグ検出スイッチ113の接点状態に基づいて、充電用ケーブル51のプラグ52が受電コネクタ110に接続されているか否かを判断する。プラグ52が受電コネクタ110に接続されていない場合には(S41:No)、本ルーチンを一旦終了する。本ルーチンは、所定の周期で繰り返されるため、プラグ52が受電コネクタ110に接続されるまで待機することになる。
【0088】
プラグ52が受電コネクタ110に接続されると(S41:Yes)、次に、ステップS42において、給電信号を受信しているか否かを判断する。給電信号は、充電器50から電力供給されているあいだ、給電ECU170からPCL通信により送信されるものである。給電信号が送信されていない場合には(S42:No)、本ルーチンを一旦終了する。従って、ステップS42においては、給電信号が送信されてくるまで待機することになる。
【0089】
充電ECU170は、こうした処理を繰り返し、給電信号を受信すると(S42:Yes)、続くステップS43において、プラグ電圧センサ114により検出されるプラグ電圧Vpを読み込み、プラグ電圧Vpが予め設定された正常電圧範囲内か否かを判断する。正常電圧範囲は、基準電圧Voを中心として許容誤差αを考慮した範囲に設定されている。従って、このステップS43においては、プラグ電圧Vpが(Vp−α)以上で(Vp+α)以下の範囲に入っているか否かを判断する。
【0090】
プラグ電圧Vpが正常電圧範囲に入っていない場合(S43:No)は、充電器50から適正な電力供給が行われていないことになる。その場合には、充電ECU170は、ステップS44において、充電異常検出信号として、スタンド側異常検出信号を給電ECU60と車載ナビゲーション装置300に送信して、本ルーチンを一旦終了する。
【0091】
一方、プラグ電圧Vpが正常電圧範囲に入っている場合(S43:Yes)は、充電器50から適正な電力供給が行われていることになる。この場合、充電ECU170は、ステップS45からの処理により電動車両100側の充電系統の異常の有無をチェックする。まず、ステップS45において、SOC検出部121の検出するSOCを読み込み、SOCが増加しているか否かを判断する。電動車両100における充電系統が正常であれば、充電器50からの電力供給によりSOCが徐々に増加していくはずである。
【0092】
充電ECU170は、ステップS45において、SOCの増加が検出されない場合には、続くステップS46において、給電信号を受信してから所定時間経過したか否かを判断する。所定時間経過していない場合は、本ルーチンを一旦終了する。本ルーチンは、所定の周期で繰り返される。従って、充電器50から給電されている間、SOCが増加しているか否かの判断が繰り返される。所定時間経過してもSOCの増加が検出されない場合(S46:Yes)には、バッテリ120が正常に充電されていないと推定できる。その場合、充電ECU170は、電動車両100側の充電系統に異常が発生していると判定して、ステップS47において、充電異常検出信号として、車両側異常検出信号を給電ECU60と車載ナビゲーション装置300に送信して、本ルーチンを一旦終了する。一方、SOCの増加が検出された場合(S45:Yes)には、バッテリ120が適正に充電されていると推定して、充電異常検出信号を送信しない。
【0093】
尚、本実施形態においては、SOCの増加の有無に基づいて電動車両100側の充電系統の異常を判定しているが、例えば、バッテリ120に流れる充電電流を測定して、充電電流が流れない場合には電動車両100側の充電系統の異常であると判定する(車両側異常検出信号を送信する)ようにしてもよい。
【0094】
次に、給電ECU60で行う処理について説明する。本ルーチンが起動すると、給電ECU60は、ステップS51において、給電スイッチ78を閉じるためのオン指令信号が出力されているか否かを判断する。給電スイッチ78は、給電制御部71からスイッチ駆動回路(図示略)にオン指令信号が出力されているあいだ、スイッチ駆動回路によりオン状態(接点閉)に維持される。従って、ステップS51においては、給電制御部71から出力されるスイッチ駆動回路の制御信号を読み込んで判断する。
【0095】
給電ECU60は、オン指令信号が出力されていない場合には、本ルーチンを一旦終了する。本ルーチンは、所定の周期で繰り返される。従って、給電スイッチ78のオン指令信号が出力されるまで待機することになる。そして、給電スイッチ78のオン指令信号が出力されると、ステップS52において、充電器50から給電中であることを表す給電信号をPLC通信制御部73を介して充電ECU170に送信する。この給電信号は、充電ECU170において、ステップS42にて受信確認される信号である。従って、この給電信号を送信することで、充電ECU170においては、ステップS43からの異常検出処理が開始されることになる。
【0096】
給電ECU60は、続いて、ステップS53において、スタンド側異常検出信号を受信したか否かを判断する。このスタンド側異常検出信号は、充電ECU170が充電器50の給電異常を検出したときステップS44で送信する信号である。給電ECU60は、スタンド側異常検出信号を受信した場合(S53:Yes)には、ステップS54において、充電スタンド40の充電器50に異常が発生していることを表すメッセージを充電器50の表示部54に表示する。続いて、ステップS55において、外部通信制御部74を介して、充電インフラ情報提供装置200に充電トラブル情報として充電スタンド情報を送信する。
【0097】
一方、ステップS53において、スタンド側異常検出信号を受信していない場合には、ステップS56において、車両側異常検出信号を受信したか否かを判断する。この車両側異常検出信号は、充電ECU170が電動車両100の充電系統の異常を検出したときステップS47で送信する信号である。給電ECU60は、車両側異常検出信号を受信した場合(S56:Yes)には、ステップS57において、電動車両100で充電異常が発生していることを表すメッセージを充電器50の表示部54に表示する。また、ステップS56において車両側異常検出信号を受信していない場合には、そのまま本ルーチンを一旦終了し、所定の周期で上述した処理を繰り返す。
【0098】
次に、車載ナビゲーション装置300(充電トラブル情報送信部314)で行う処理について説明する。本ルーチンが起動すると、車載ナビゲーション装置300は、ステップS61において、車両側異常検出信号を受信したか否かを判断する。この車両側異常検出信号は、充電ECU170が電動車両100の充電系統の異常を検出したときステップS47で送信する信号である。車載ナビゲーション装置300は、車両側異常検出信号を受信した場合(S61:Yes)には、ステップS62において、電動車両100で充電異常が発生していることを表すメッセージを表示部350に表示する。続いて、ステップS63において、無線通信制御部370を介して、充電インフラ情報提供装置200に充電トラブル情報として車両情報を送信する。
【0099】
一方、ステップS61において、車両側異常検出信号を受信していない場合には、ステップS64において、スタンド側異常検出信号を受信したか否かを判断する。このスタンド側異常検出信号は、充電ECU170が充電器50の給電異常を検出したときステップS44で送信する信号である。車載ナビゲーション装置300は、スタンド側異常検出信号を受信した場合(S64:Yes)には、ステップS65において、充電スタンド40の充電器50に異常が発生していることを表すメッセージを表示部350に表示する。また、ステップS64においてスタンド側異常検出信号を受信していない場合には、そのまま本ルーチンを一旦終了し、所定の周期で上述した処理を繰り返す。
【0100】
この充電トラブル検出報知ルーチンによれば、充電ECU170で電動車両100のバッテリ120の充電が不調になっている充電トラブルを、その原因が充電器50側なのか電動車両100側なのかを判別して検出する。そして、充電トラブルが検出されたとき、車載ナビゲーション装置300の表示部350および充電器50の表示部54に、充電トラブルが発生したことを表すメッセージを充電トラブル原因もあわせて表示する。これにより、乗員は、充電トラブルを、その原因が充電器50側なのか電動車両100側なのかを区別して把握することができる。しかも、この充電トラブル発生の報知は、充電器50と車載ナビゲーション300との2個所で行われるため見落としにくく、早く乗員に知らせることができる。尚、充電トラブル発生の報知は、画面表示に加えて音声ガイドを並行して行うことが好ましい。
【0101】
次に、充電インフラ情報提供装置200において充電トラブル情報を受信したときの処理について説明する。図12は、充電インフラ情報提供装置200の車両側トラブル処理部217およびスタンド側トラブル処理部218で実行される充電トラブル処理ルーチンを表す。充電トラブル処理ルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0102】
本ルーチンが起動すると、充電インフラ情報提供装置200は、まず、ステップS71において、充電トラブル情報を受信したか否かを判断する。充電トラブル情報は、電動車両100のバッテリ120に適正に充電できないときに、車載ナビゲーション装置300あるいは充電器50から送信される情報である。充電トラブル情報が送信されていない場合は、本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
本ルーチンが所定の周期で繰り返されて、充電トラブル情報が受信されると、ステップS72において、その充電トラブル情報が充電スタンド情報であるか否かを判断する。充電トラブル情報が充電スタンド情報である場合(S72:Yes)には、ステップS73において、充電スタンド供給企業30に対して充電スタンド情報を送信する。これにより、充電スタンド供給企業30は、トラブルが発生している充電スタンド40、および、その充電器50を把握することができる。従って、充電スタンド供給企業30自身による管理と充電インフラ情報センター20による管理とで二重管理体制を組むことができる。
【0104】
この場合、充電スタンド供給企業30は、充電トラブルに対する処置を早期に行うことができる。例えば、充電スタンド供給企業30は、充電スタンド40に設けた案内表示器や音声案内装置(以上、図示略)を使って、充電スタンド40にいる人たち全員に充電器50が不調である旨を報知することができる。これにより、他の車両の乗員に対しても、トラブルの発生を知らせることができる。また、充電器50の修理手配を早期に行うことができる。
【0105】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS74において、代替充電スタンド40を抽出する。この処理は、停電障害が発生したときのステップS15の処理と同様で、トラブルが発生した充電ステンド40の近傍位置に整備された代替充電スタンド40を複数抽出する。そして、代替充電スタンド40の利用状況情報を参照して、実質的に早く充電を開始できる順に代替充電スタンド40のリストを作成する。続いて、ステップS75において、代替充電スタンド40のリストを充電インフラ情報として車載ナビゲーション装置300に送信して本ルーチンを一旦終了する。
【0106】
これにより、車載ナビゲーション装置300では、上述した図9の充電インフラ情報報知ルーチンにより、代替充電スタンド40のリストが表示部350に表示されることになる。尚、この場合、ステップS65において表示したメッセージ(充電スタンド40で異常が発生していることを表すメッセージ)もそのまま残して表示するとよい。これにより、乗員は、適切な代替充電スタンド40を把握することができる。
【0107】
一方、ステップS71で受信した充電トラブル情報が充電スタンド情報でない場合(S72:No)、つまり、受信したトラブル情報が車両情報である場合、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS76において、電動車両100に最も近い車両ディーラー85を抽出し、この車両ディーラー85に対して車両情報を送信する。これにより車両ディーラー85は、充電トラブルが発生している電動車両100を把握することができる。この場合、車両ディーラー85は、当該電動車両100と無線通信を行って、電動車両100に設けられたエラー履歴記憶メモリーからエラー履歴情報を読み取ることにより、バッテリ120の充電が不調となっている原因を把握することができる。
【0108】
続いて、充電インフラ情報提供装置200は、ステップS77において、抽出した車両ディーラー85に誘導するための車両ディーラー情報を車載ナビゲーション装置300に送信する。車載ナビゲーション装置300では、この車両ディーラー情報を受信すると、表示部350に車両ディーラー85に誘導するメッセージ、および、その車両ディーラー85に関する情報を表示する。尚、この場合、ステップS62において表示したメッセージ(電動車両100で充電異常が発生していることを表すメッセージ)もそのまま残して表示するとよい。
【0109】
充電インフラ情報提供装置200は、ステップS75あるいはステップS77の処理を実行すると本ルーチンを一旦終了した後、同様の処理を所定の周期で繰り返す。
【0110】
この充電トラブル処理ルーチンによれば、充電トラブルが発生したときに電動車両100の乗員に対して、次にとるべき適切な対処方法を提案することができる。また、電動車両100側の原因で充電トラブルが発生した場合には、乗員が車両ディーラー85に連絡する前から、車両ディーラー85側で故障原因を把握しているため、車両ディーラー85では、その故障に対応した処理(部品調達、人員確保など)を早く行うことができる。これにより、車両ディーラー85のサービスが向上する。
【0111】
また、充電スタンド40側の原因で充電トラブルが発生した場合には、その情報が充電スタンド供給企業30に通知されるため、充電スタンド供給企業30は、充電トラブルに対して早期に対応処置をすることができる。また、充電インフラ情報提供装置200においては、充電トラブルが発生した充電スタンド40を停電障害発生地区の充電スタンド40として取り扱うことができるため、停電障害情報を充実させることができる。
【0112】
このように、本実施形態によれば、充電施設インフラにおける障害発生時での体制が整っているため、乗員は、安心して電動車両100にて遠出することができる。これにより、地球環境に優しい電動車両100の普及を図ることできる。
【0113】
尚、本実施形態における充電インフラ情報提供装置200が本発明の充電施設情報提供装置に相当する。また、充電インフラ情報提供装置200におけるインフラ障害情報取得部211が本発明の障害情報取得手段に相当し、代替スタンド抽出部214が充電施設抽出手段に相当し、代替スタンド情報送信部215が本発明の情報提供手段に相当する。また、充電インフラ情報提供装置200における車両情報取得部212が本発明の車両情報取得手段に相当し、車両抽出部213が本発明の車両抽出手段に相当し、充電トラブル情報取得部216が本発明の充電トラブル情報取得手段に相当し、車両側トラブル処理部217およびスタンド側トラブル処理部218が本発明の充電トラブル通知手段に相当する。また、充電インフラ情報提供装置200における車両側トラブル処理部217が本発明の充電トラブル車両情報提供手段に相当し、スタンド側トラブル処理部218が本発明の充電トラブル施設情報提供手段に相当し、スタンド側トラブル処理部218の行うステップS74の処理が本発明の代替充電施設抽出手段に相当し、スタンド側トラブル処理部218の行うステップS75の処理が本発明の代替充電施設情報提供手段に相当する。
【0114】
以上、本実施形態の充電施設情報提供装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0115】
例えば、本実施形態においては、充電インフラ情報を充電インフラ情報提供装置200から車載ナビゲーション装置300に送信するシステム構成を採用しているが、予め登録された車両乗員の携帯端末500(携帯電話等)に充電インフラ情報を送信するシステム構成であってもよい。この場合、携帯端末500にナビゲーション機能が搭載されている場合には、車載ナビゲーション装置300と同様に、ナビゲーション画面を使って充電スタンド40へのルート案内を行うようにするとよい。
【0116】
また、本実施形態においては、充電インフラ情報提供装置200がインフラ障害情報に基づいて対象車両を抽出するシステム構成を採用しているが、対象車両を抽出することなく、全ての電動車両100に対して停電障害発生地区の近傍の代替充電スタンド40のリストを表す充電インフラ情報を送信するシステム構成であってもよい。この場合、電動車両100側の記憶部に充電スタンド情報を予め記憶しておくようにすれば、充電インフラ情報提供装置200が電動車両100側にインフラ障害情報を送信するだけで、電動車両100側(車載ナビゲーション装置300あるいはGPSを備えた携帯端末500)で当該電動車両100の位置情報とインフラ障害情報とに基づいて、当該電動車両100と停電障害発生地区との接近関係を判定し、当該電動車両100が停電障害発生地区に存在する場合に、代替充電スタンド40を抽出して、その情報を表示部350を介して乗員に提供することもできる。こうしたシステム構成においては、車載ナビゲーション装置300が本発明の充電施設情報提供装置に相当するものとなる。
【0117】
また、代替充電スタンド40を抽出するに当たって、目的地を設定している場合には、目的地の位置情報をも加味して、当該電動車両100の現在位置から目的地までの間に配設された充電スタンド40から、停電障害の発生していない充電スタンド40を抽出するようにしてもよい。
【0118】
また、本実施形態においては、充電トラブルが発生したときに、その原因が電動車両100側である場合には、充電トラブル情報を車載ナビゲーション装置300から充電インフラ情報提供装置200に送信しているが、電動車両100側(車載ナビゲーション装置300あるいはGPSを備えた携帯端末500)から車両ディーラー85に充電トラブル情報を直接送信する構成を採用することもできる。この場合には、電動車両100側の記憶部に車両ディーラー情報を予め記憶しておき、電動車両100側で、車両ディーラー情報と車両位置情報とを使って、車両位置に近い車両ディーラー85を抽出し、抽出した車両ディーラー85に充電トラブル情報を送信するようにするとよい。
【0119】
また、充電トラブルの原因が充電器50側である場合においても、その充電トラブル情報を電動車両100側(車載ナビゲーション装置300あるいはGPSを備えた携帯端末500)から充電スタンド供給企業30に充電トラブル情報を直接送信する構成を採用することもできる。この場合には、充電トラブル情報として車両の位置情報を充電スタンド供給企業30に送信することで、充電スタンド供給企業30側で充電スタンド40を特定することができる。
【0120】
従って、車載ナビゲーション装置300に、代替充電スタンド40の抽出機能、車両ディーラーへの通知機能あるいは充電スタンド供給企業30への通知機能を付加した場合には、車載ナビゲーション装置300が本発明の充電施設情報提供装置に相当するものとなる。
【0121】
また、対象車両を抽出しないシステムとして、例えば、停電障害発生地区に近い無線通信基地局90のみから充電インフラ情報を送信する構成であってもよい。このシステム構成においても、停電障害発生地域内、および、その近隣に存在する電動車両100には、充電インフラ情報が提供される。
【0122】
また、本実施形態においては、充電施設インフラにおける停電障害をスマートグリッド網により検出しているが、スマートグリッド網全体にわたって停電障害が発生した場合には、例えば、インターネット網など他のインフラによって停電障害情報を取得するシステム構成であってもよい。この場合、広範囲にわたる停電障害により、電動車両100が充電スタンド40まで走行できないようなケースでも、乗員に早く通知できるため、乗員の対応の意志決定を支援することができる。
【0123】
また、本実施形態においては、停電障害の発生していない充電スタンド40を抽出して、その抽出した充電スタンド40を表す充電インフラ情報を提供するが、停電障害の発生している充電スタンド40を抽出して、その抽出した充電スタンド40を表す充電インフラ情報を提供する構成であってもよい。その場合であっても、乗員は、利用可能な充電スタンド40を把握することができる。
【0124】
また、本実施形態においては、充電インフラ情報を車載ナビゲーション装置300の表示部350に表示させて乗員に知らせるようにしているが、音声アナウンスにより乗員に知らせる構成であっても良い。乗員に充電インフラ情報を知らせるインターフェース装置としては、車載ナビゲーション装置300の他に、車載ディスプレイ装置、車載オーディオ装置、乗員の所持する携帯端末(携帯電話等の携帯情報端末)等を用いることができる。
【符号の説明】
【0125】
10…電力会社、20…スマートグリッド管理センター、30…充電スタンド供給企業、40…充電スタンド、50…充電器、51…充電用ケーブル、52…接続プラグ、60…給電ECU、70…主制御部、71…給電制御部、72…給電異常検出部、73…PLC通信制御部、74…外部通信制御部、75…記憶部、78…給電スイッチ、79…電流計、80…スマートメータ、85…車両ディーラー、90…無線通信基地局、100…電動車両、110…受電コネクタ、112…充電スイッチ、113…プラグ検出スイッチ、114…プラグ電圧センサ、120…バッテリ、121…SOC検出部、130…インバータ、140…走行用モータ、150…モータECU、160…AC/DC変換器、170…充電ECU、180…主制御部、181…充電制御部、182…充電異常検出部、190…PLC通信制御部、195…記憶部、200…充電インフラ情報提供装置、201…通信回線、202…インターネット、210…主制御部、211…インフラ障害情報取得部、212…車両情報取得部、213…車両抽出部、214…代替スタンド抽出部、215…代替スタンド情報送信部、216…充電トラブル情報取得部、217…車両側トラブル処理部、218…スタンド側トラブル処理部、250…表示部、260…操作部、270…通信制御部、280…記憶部、300…車載ナビゲーション装置、310…主制御部、311…ナビゲーション制御部、312…車両情報送信部、313…充電インフラ情報報知部、314…充電トラブル情報送信部、350…表示部、360…操作部、370…無線通信制御部、380…車両位置検出部、390…記憶部、500…携帯端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを電源として走行する車両の充電施設に関する情報を提供する充電施設情報提供装置において、
前記充電施設が複数整備された充電施設インフラで充電不能状態となっている障害発生位置を表す障害情報を取得する障害情報取得手段と、
前記障害情報取得手段により取得した障害情報に基づいて充電施設を抽出する充電施設抽出手段と、
前記充電施設抽出手段により抽出された充電施設を表す充電施設情報を提供する情報提供手段と
を備えたことを特徴とする充電施設情報提供装置。
【請求項2】
前記車両の位置情報を取得する車両情報取得手段を備え、
前記充電施設抽出手段は、前記車両位置情報と前記障害情報とに基づいて、車両の近傍位置に整備された障害の発生していない充電施設を抽出することを特徴とする請求項1記載の充電施設情報提供装置。
【請求項3】
前記情報提供手段は、前記障害の発生している充電施設インフラの近傍に存在する車両に対して前記充電施設情報を提供することを特徴とする請求項2記載の充電施設情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、
前記障害の発生している充電施設インフラの近傍に存在する車両を抽出する車両抽出手段を備え、
前記車両抽出手段により抽出された車両に対して前記充電施設情報を提供することを特徴とする請求項3記載の充電施設情報提供装置。
【請求項5】
充電施設でバッテリを充電しているときに前記バッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得する充電トラブル情報取得手段と、
前記充電トラブル情報取得手段により充電トラブル情報を取得したときに、前記充電トラブルの発生を通知する充電トラブル通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一項記載の充電施設情報提供装置。
【請求項6】
前記充電トラブル情報には、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものなのか前記車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれており、
前記充電トラブル通知手段は、前記判別情報に応じて前記充電トラブルの発生を通知する通知先を変更することを特徴とする請求項5記載の充電施設情報提供装置。
【請求項7】
前記充電トラブル通知手段は、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものである場合には、その充電施設の情報を充電施設供給企業に提供し、前記充電トラブルの原因が前記車両の不具合によるものである場合には、その車両の情報を車両提供企業に提供することを特徴とする請求項6記載の充電施設情報提供装置。
【請求項8】
充電施設で車両のバッテリを充電しているときに前記バッテリの充電が不調となる充電トラブルが発生したことを表す充電トラブル情報を取得する充電トラブル情報取得手段と、
前記充電トラブル情報取得手段により充電トラブル情報を取得したときに、前記充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供する充電トラブル施設情報提供手段と
を備えたことを特徴とする充電施設情報提供装置。
【請求項9】
前記充電トラブル情報には、前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものなのか前記車両の不具合によるものなのかを判別できる判別情報が含まれており、
前記充電トラブルの原因が前記充電施設の不具合によるものである場合に、前記充電トラブル施設情報提供手段が、前記充電トラブルの発生した充電施設の情報を充電施設供給企業に提供し、
前記充電トラブルの原因が前記車両の不具合によるものである場合に、その車両の情報を車両提供企業に提供する充電トラブル車両情報提供手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の充電施設情報提供装置。
【請求項10】
前記充電トラブルの発生した充電施設の近傍位置に整備された代替充電施設を抽出する代替充電施設抽出手段と、
前記代替充電施設抽出手段により抽出された代替充電施設の情報を前記車両に対して提供する代替充電施設情報提供手段と
を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の充電施設情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−53821(P2012−53821A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197611(P2010−197611)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】