説明

光スイッチ・モジュール

本発明は、第1のセットの光ファイバ内の光ファイバから第2のセットの光ファイバ内の光ファイバにクロスコネクトするための2軸MEMSミラーを利用した完全光クロスコネクト・スイッチを提供する。第1および第2のセットの光ファイバ内の光ファイバは、第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ内において精密に位置決めされて第1のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスを定義し、それぞれのコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスが第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第1のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーに接続する。整列ビームが、第1および第2のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビームのそれぞれに追加され、かつ同軸に整列される。2つのビーム方向センサ・ユニットが、ダイクロイック・ミラーを通って透過される第1および第2のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビームを検出するべく位置決めされ、MEMSコントロール・システムが、MEMSミラーの位置をコントロールして、第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第2のセットの光ファイバ内の任意の光ファイバに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバ通信機器に関し、特に光ファイバ・スイッチおよび光ファイバ・スイッチ・モジュールに関する。
【0002】
関連出願に対するクロスリファレンス
この出願は、この出願と同時に出願された次の関連出願、すなわち、出願番号第11/728,362号の「MEMSミラー・アレイ・アンド・コントロール(MEMS Mirror Array and Control)」、出願番号第11/728345号の「ビーム・ポジション・センサ(Beam Position Sensor)」、出願番号第11/728,344号の「オプティカル・ファイバ・アレイ・アライメント・ユニット(Optical Fiber Array Alignment Unit)」、および出願番号第11/728,335号の「オプティカル・スイッチ・ウィズ・コ‐アキシャル・アライメント・ビーム(Optical Switch with Co‐Axial Alignment Beam)」に関連する出願であり、これらすべては、参照によってこれに援用される。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ通信
この何十年かにわたって通信産業界は急激に様相を変え、またこの産業への光ファイバの組み込みは、情報が伝達される方法に大変革を起こしている。伝達メディアとして光ファイバを使用する通信システムは、過去の銅線ベースのシステムを超えるいくつかの有意な利点を提供する。それらの利点は、より高い帯域幅および伝達レート、より低い伝達損失、およびより大きな信号分離を含む。合衆国内には、何百万マイルもの光ファイバが存在する。情報は、数百万の送信機から数百万の受信機へ、このファイバの迷路を光の速度で通り、ルーティングされなければならない。
【0004】
光ファイバ多重化および逆多重化
典型的な光ファイバ通信システムにおいては、いくつかのファイバがまとめて束ねられることがあり、束の中のファイバのそれぞれの中を運ばれる光ビーム内では多くの別々の信号が結合される。この、別々の信号を単一のファイバによって運ばれる単一のビームに結合することは、信号の多重化と呼ばれる。時分割および周波数分割多重化の両方が利用できる。典型的な光ファイバ・システムにおいては、それぞれの信号が、それとともに、システム内のトラフィック・コントロールが信号をそれの適正な行き先へ指向させることができるようにコードを運ぶ。多くの信号からなる光ビームは、通常、準最終的な行き先または最終的な行き先に到達する前にいくつかの、または多くのファイバを連続的に通って伝播する。個別の信号は多重化と呼ばれるプロセスにおいて単一のファイバに集められ、逆多重化と呼ばれるプロセスにおいてビーム内のほかの信号から分離される。この動作は、光信号の形式で送り側から受け側への情報の運搬の間に一度または数度にわたって生じることがある。
【0005】
図13Aは逆多重化を、また図13Bは多重化を描写している。図13Cは、2つのデマルチプレクサおよび2つのマルチプレクサを伴う従来技術の静的クロスコネクトを示しており、かつ2つの別々のファイバ上において運ばれる4つの別々の波長範囲の信号が、別の2つのファイバに切り換えられることが、どのようして可能になるかを示している。単一の波長範囲を伝達し、かつほかのすべての波長範囲を反射する光フィルタは、マルチプレクサおよびデマルチプレクサ内において波長範囲の分離にしばしば使用される。周知のフィルタは、図13Dに示されるとおり、薄膜フィルタである。これらのフィルタは、通常、ガラス基板上に、1つまたは複数セットの、両側に1/4波長の誘電体反射器を伴う1/2波長キャビティの薄膜を堆積させる。図13Eは、1、2、および3セットの1/4波長反射器および1/2波長キャビティの結果を示している。図13Fは、デマルチプレクサの作成に可能なこれらの狭帯域フィルタの使用方法を示している。マルチプレクサは、矢印によって示される方向を入れ換える結果として生じる。
【0006】
ファイバ・ルートの調整
トラフィック・コントロールは、システムの多様な光ファイバが接続される方法を変更することなく、多くのファイバを通じて送り側から受け側への特定の信号をルーティングすることができる。しかしながら特定のファイバ・ルートが輻輳するに従って、輻輳を軽減するべく、または信号をより効率的にルーティングするべくファイバ間の接続が修正されなければならない。これは光ファイバ・スイッチの仕事である。この動作は、ファイバ・スイッチ・ユニット内においてファイバ間の実際の接続を変更することによって行うことが可能である。従来的には光ファイバを通る光ビーム・ルートの高速切り換えが、第1のファイバからスイッチに入る光信号の検出、および第2の光ファイバにわたる伝達のための新しい光信号の作成に使用される電気信号への変換のためのハイブリッド光‐電気‐光スイッチを使用して達成されている。
【0007】
MEMSミラー
MEMSミラーは、リソグラフィにより作成されたミラーであり、類似のリソグラフィのテクニックを用いて作成された集積回路を通って印加される電圧信号を用いて作動される。これらのミラーは、通常、非常に小さく、ミリメートル単位の寸法をとるか、またはミリメートルに満たない寸法を有する。それらは、多様な反射素子の適正な角度的整列に必要とされる極めて狭い許容範囲を伴って設計され、かつ一般に非常に高度なフィードバック・コントロール・システムを必要とする。
【0008】
自動完全光クロスコネクト・スイッチ
最近は、1つのファイバから別のそれへ光信号を直接切り換え、それによって光信号を暫定的な電気信号に変換する必要性が排除される多数の光クロスコネクト・スイッチが利用可能となった。それらの光スイッチは、ミラー、プリズム、ファイバ・コリメータといった多様な光スイッチ素子および複雑な駆動メカニズムを組み込み、当該スイッチを通る光信号のルーティングを行う。いくつかの光スイッチについては、MEMSミラーが利用されている。完全光スイッチは、本発明の特徴のいくつかと類似の特徴を含む最近発行された特許、すなわち、特許文献1の「オプティカリィ・アドレスドMEMS(Optically Addressed MEMS)」、および特許文献2の「ポーラス・シリコン・フィルタ・フォア・ウェーブレングス・マルチプレキシング・アンド・デマルチプレキシング(Porous Silicon Filter for Wavelength Multiplexing and DeーMultiplexing)」の中に述べられており、これらの文献は、両方ともに参照によってこれに援用される。
【0009】
完全光自動クロスコネクト・スイッチの応用
完全光クロスコネクト・スイッチの周知の用途は(1)自動化されたファイバ・パッチ・パネル内における基本構成要素としての使用、(2)再構成可能光アド・ドロップ・マルチプレクサ(ROADM)システムの構成要素としての使用、および(3)光学的構成要素およびシステムの自動テストおよび測定のための使用を含む。
【0010】
自動化されたファイバ・パッチ・パネル
自動化されたファイバ・パッチ・パネルは、通信ルートが設定され、かつ修正される光ファイバ通信ネットワークの構成要素である。これらのパネルは、コンピュータ・コントロールされて、過負荷を回避し、かつ障害状態に対して迅速に応答するべくネットワークの効率を維持することが可能である。
【0011】
再構成可能光アド・ドロップ・マルチプレクサ
個別のファイバが多くの別々の信号を運んでいるとき、ネットワークは、当該ファイバへの新しい信号の追加、およびほかの信号の抽出(取り出し)を提供しなければならない。図13Gは、マルチプレクサおよびデマルチプレクサからなるが、スイッチのないアド‐ドロップ・ユニットを示している。このユニットは静的なユニットとして考えられ、操作員がそれを再構成することを必要とする。図13Hは、類似のユニットであるが、遠隔作動または自動的に動作させるプログラムが可能な光スイッチを伴う。このユニットは、追加される波長のコントロールを可能にする可調トランスポンダを含む。図13Iは、ファイバ間における信号の切り換えをはじめ、ローカル・サービスのための信号の追加および取り出しをコントロールするための4つの独立した光スイッチを包含するROADMを示している。
【0012】
テストおよび測定
自動化された完全光クロスコネクト・スイッチは、概して光構成要素のテスト、特に厖大なメッセージを同時に運ぶ典型的な通信ネットワークの構成要素を大幅に単純化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,190,509号明細書
【特許文献2】米国特許第7,177,497号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
通信産業界が、ますます多くの顧客にサービスを提供するべく開発および成長を続けていることから、大規模で信頼できる光スイッチへの必要性が増加している。その結果、既存の通信システムへの容易な統合が可能であり、かつ入力ファイバのアレイ内のそれぞれのファイバから出力ファイバのアレイ内のそれぞれのファイバへの光信号の信頼性のある切り換えが可能であり、かつこの切り換えの迅速な達成が可能な、最小の電力損失および最小のチャンネル当たりのコストを伴う光クロスコネクト・スイッチが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
クロスコネクト・スイッチ
本発明は、第1のセットの光ファイバ内の光ファイバから第2のセットの光ファイバ内の光ファイバにクロスコネクトするためのMEMSミラーを利用した完全光クロスコネクト・スイッチを提供する。光ファイバは、好ましく、矩形のアレイに並べられる。これらのアレイは、4×8、16×16、および8×16といったアレイ・サイズを含む。出願人らによって構成され、かつテストされた好ましい実施態様は、モジュラ光スイッチであり、16本の8ファイバ・リボンからなる8×16の入力光ファイバ・アレイが、同じく16本の8ファイバ・リボンからなる8×16の出力光ファイバ・アレイにクロスコネクトされる。
【0016】
MEMSミラー・アレイ
本発明のクロスコネクト・スイッチは、2つのMEMSミラー・アレイを含む。好ましい実施態様においては、それらのMEMSミラーのそれぞれが、2つの軸内において垂直櫛形駆動アクチュエータによって駆動される。
【0017】
ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ
第1のセットの光ファイバ内の光ファイバは、第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ内において精密に位置決めされて第1のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスを定義し、それぞれのコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスが第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第1のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーに接続する。第2のセットの光ファイバ内の光ファイバは、第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ内において精密に位置決めされて第2のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスを定義し、それぞれのコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスが第2のセットの光ファイバ内の光ファイバを第2のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーに接続する。これらの平行なコリメートされたビーム・パスは、第1の位置決めアレイ内のそれぞれの光ファイバがそれ独自の対応するマイクロレンズを第1のマイクロレンズ・アレイ内に有するように、かつ第2の位置決めアレイ内のそれぞれの光ファイバがそれ独自の対応するマイクロレンズを第2のマイクロレンズ・アレイ内に有するように第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイと第1のマイクロレンズ・アレイの間の対応、および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイと第2のマイクロレンズ・アレイの間の対応を設定する。
【0018】
同軸整列ビーム
第1のセットの整列ビームが、第1のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビームのそれぞれに追加され、かつ同軸に整列される。第2のセットの整列ビームが、第2のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビームのそれぞれに追加され、かつ同軸に整列される。
【0019】
ダイクロイック・ミラー
本発明の好ましい実施態様においては、ダイクロイック・ミラーが配置され、第1のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーからの通信ビームを反射し、かつ第2のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーからのクロスコネクト通信ビームを反射し、かつ第1のセットの整列ビームおよび第2のセットの整列ビームを透過させる。
【0020】
MEMSコントロール・システム
MEMSコントロール・システムが提供され、第1のセットの光ファイバ内の任意の光ファイバを、第2のセットの光ファイバ内の任意の光ファイバに光接続するべく第1および第2のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーを位置決めする。好ましい実施態様においては、MEMSコントロール・システムが、第1のMEMSミラー・アレイ内のそれぞれのMEMSミラーを、ダイクロイック・ミラーを離れたクロスコネクト通信ビームを第1のセットの光ファイバ内のそれに対応するファイバから第2のセットの光ファイバ内の任意の選択された光ファイバに対応する第2のセットのMEMSミラー内のMEMSミラー上に反射するように位置決めし、かつ第2のセットのMEMSミラー内の対応するMEMSミラーを位置決めして通信ビームを第2のセットの光ファイバ内のそれに対応する光ファイバに指向させるべく適合される。好ましい実施態様においては、ミラーが、第1のセットの光ファイバと第2のセットの光ファイバ内の光ファイバ間に望ましい光通信パスを設定するために、個別のミラーの櫛形駆動アクチュエータに印加される調整電位によってコントロールされる。
【0021】
ビーム方向センサ
好ましい実施態様においては、MEMSコントロール・システムが、ダイクロイック・ミラーを通って透過される第1のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビームを検出するべく位置決めされた第1のビーム方向センサ・ユニット、およびダイクロイック・ミラーを通って透過される第2のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビームを検出するべく位置決めされた第2のビーム方向センサ・ユニットを含む。特定の好ましい実施態様においては、ビーム方向センサ・ユニットのそれぞれが、整列ビーム検出スクリーンおよび当該ユニットの観察スクリーンと整列ビームが交差する位置を見るためのビデオ・カメラをそれぞれ含む。それらの実施態様においては、MEMSコントロール・システムが、2セットの光ファイバの間にそれぞれの望ましい光パスを提供する上で櫛形駆動アクチュエータに印加されるべき適切な電位を決定するために、ペアのMEMSミラー(2つのMEMSミラー・アレイのそれぞれから1つ)の閉ループ調整を提供するべくプログラムされたプロセッサを含む。出願人らのテストは、較正が実行された後は正常な条件下においてビーム・パス内に非常にわずかなドリフトしか存在しないことを明らかにした。しかしながら環境状態における有意の変化が再較正を要求することがあり得る。いくつかの実施態様においては、周期的に、または操作員の指示時に自動的に自己再較正を行うべくスイッチを適合することができる。
【0022】
V字溝ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ
好ましい実施態様においては第1および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイが、リボン光ファイバのセットを整列させるためのリソグラフィにより画定されたサブ‐ミクロンのV字溝整列機構を伴う位置決めプレート含む。ファイバは、最初にV字溝内に位置決めされ、続いて適正位置に接着され、その後それらのファイバの端部が位置決めプレートの出口表面とともに滑らかに研磨され、かつマイクロレンズ・アレイと整合されて、サブ‐ミクロンの位置決め精度を伴ったファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)整列カメラを適正位置に伴う本発明の好ましい実施態様の斜視図、(b)整列ビーム挿入構成要素の特徴を示した斜視図、(c)整列ビーム挿入構成要素の特徴を示した斜視図
【図2】(a)本発明の好ましい実施態様の部分の斜視図、(b)平面図
【図3】(a)追加の整列ビーム機構およびテスト結果を示した説明図、(b)追加の整列ビーム機構およびテスト結果を示した説明図、(c)追加の整列ビーム機構およびテスト結果を示した説明図
【図4】(a)モジュラ形式における好ましい実施態様のサイズを成人の手に対して示した説明図、(b)RODAM応用、パッチ・パネル応用、およびテストおよび測定ユニット内において利用される好ましいモジュールをそれぞれ示した斜視図、(c)RODAM応用、パッチ・パネル応用、およびテストおよび測定ユニット内において利用される好ましいモジュールをそれぞれ示した斜視図、(d)RODAM応用、パッチ・パネル応用、およびテストおよび測定ユニット内において利用される好ましいモジュールをそれぞれ示した斜視図
【図5A】好ましい光スイッチ内の光パスを示した説明図
【図5B】好ましい光スイッチ内の光パスを示した説明図
【図5C】好ましい光スイッチ内の光パスを示した説明図
【図6A】好ましいV字溝ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイの特徴を示した説明図
【図6B】好ましいV字溝ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイの特徴を示した説明図
【図6C】好ましいV字溝ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイの特徴を示した説明図
【図7】MEMSドライバ・コントロール回路を示した回路図
【図8A】出願人らによって設計されたMEMSミラー・アレイを示した平面図
【図8B】MEMSミラー・アレイの部分拡大図
【図8C】MEMSミラー・アレイの部分拡大図
【図8D】MEMSミラー・アレイの部分拡大図
【図9A】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9B】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9C】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9D】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9E】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9F】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9G】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9H】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9I】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9J】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図9K】MEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーのための垂直櫛形駆動機構の1つの作成に使用される重要なリソグラフィの段階の実例を示した説明図
【図10】コントロール・システムを示したブロック図
【図11】全国規模の光ファイバ・ネットワークを示した説明図
【図12A】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12B】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12C】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12D】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12E】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12F】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12G】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12H】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12I】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図12J】多重化および逆多重化のための多孔質シリコン・フィルタの使用についての概念を示した説明図
【図13A】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13B】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13C】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13D】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13E】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13F】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13G】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13H】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【図13I】従来技術の多重化テクニックを示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の好ましい実施態様
図1は、2として本発明の第1の好ましい実施態様の特徴の斜視図を示す。この第1の好ましい実施態様は、光スイッチ・モジュール2である。それのサイズおよび全体的な形状は、図4(a)にある図によって成人の手との比較として説明されている。この光スイッチ・モジュール2は、第1の128本(8×16)の光ファイバ束、たとえば図1に示されるところの束4のファイバによって運ばれる光通信ビームを、第2の128本の光ファイバ束、たとえば束6のファイバに切り換えるために設計された。束4の任意のファイバ内のビームは、束6の任意のファイバへの切り換えが可能である。このスイッチは対称であり、かついずれの方向でも動作可能であるため、束6の任意のファイバを束4の任意のファイバに切り換えることが可能である。
【0025】
ここでは、しばしば束4内のファイバを入力ファイバであると言い、かつ束6内のファイバを出力ファイバであると言うが、このスイッチが、束6内のファイバを入力ファイバとし、かつ束4内のファイバを出力ファイバとしてまったく同じく働くことを認識してのことである。また、いくつかの場合においては、単一のファイバ・リンクが、同時に両方向に流れる通信ビームを有することができる。加えて、いくつかの構成においては、束4および束6内のファイバ間のリンクがいくつかのファイバについて4から6となり、ほかのファイバでは6から4となることがあり得る。この明細書および請求の範囲においては、出願人らが光ファイバによって運ばれる光ビームを、主としてそれらを『整列ビーム』から区別するために『通信ビーム』と呼んでいるが、光ファイバによって運ばれるビームを、それらが1つの場所からほかの場所に情報を特に運ばないことから通常の意味において一概に通信ビームと見なすことができない本発明の応用は存在し得る。それにもかかわらず、この明細書および請求の範囲の目的のために、束4および6内の光ファイバによって運ばれるすべての光ビームを通信ビームであると考える。
【0026】
このモジュールは、図4(b)に示されるとおり、再構成可能アド‐ドロップ応用において、標準通信パネルへの挿入用のライン・カードへの容易な統合のために設計される。モジュールは、図4(c)に示されるとおり、パッチ・パネル内での利用が可能であり、かつ『全国規模の光ファイバ・ネットワークにおける応用』と題したこの説明のセクションの中で論じられているもののように、それぞれのファイバが多くの別々の周波数で情報を運ぶ大規模な全国規模の通信システム内で利用可能である。またこのスイッチは、図4(d)に示されるとおり、テストおよび測定パネル内に取り付けることによって、構成要素のテストおよびシステムの監視のためのツールとしても有用となる。
【0027】
図1(b)、図1(c)、図2(a)、および図2(b)に示されている好ましい実施態様の重要な構成要素は、整列ビーム・ユニット8および10、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ24、および整列スクリーンおよびMEMSミラー・アレイ20および22である。カメラ・ユニット16および18は図5Aに示されている。
【0028】
ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ
第1のセットの光ファイバ内の光ファイバは、図2(a)および図2(b)に示されているとおり、第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ・ユニット8内において精密に位置決めされて第1のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスを定義し、それぞれのコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスが第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第1のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーに接続する。第2のセットの光ファイバ内の光ファイバは、第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ10内において精密に位置決めされて第2のセットの平行なコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスを定義し、それぞれのコリメートされたクロスコネクト通信ビーム・パスが第2のセットの光ファイバ内の光ファイバを第2のMEMSミラー・アレイ内のMEMSミラーに接続する。
【0029】
図6A、図6B、および図6Cは、好ましいファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ・ユニットの特徴を示している。好ましいスイッチにおいては、2つのファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイのそれぞれ、および2つのマイクロレンズ・アレイのそれぞれが、出願人らが1‐1とラベル付けした図6Cに示されるところの左上から開始し、右下の16‐8に至る整合8×16マトリクスを定義する。対応するマトリクス番号のいくつかは、図8BのMEMSミラーの図画に示されている。これらの平行なコリメートされたビーム・パスは、類似したラベル付けが行われる第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイと第1のマイクロレンズ・アレイの間の対応、および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイと第2のマイクロレンズ・アレイの間の対応を、第1の位置決めアレイ内のそれぞれの光ファイバがそれ独自の対応するマイクロレンズを第1のマイクロレンズ・アレイ内に有し、かつ第2の位置決めアレイ内のそれぞれの光ファイバがそれ独自の対応するマイクロレンズを第2のマイクロレンズ・アレイ内に有するように設定する。好ましい実施態様においては、第1と第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ・ユニットがまったく同じになる。
【0030】
V字溝位置決めプレート
これらの好ましいファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイの詳細は、図6A、図6B、および図6Cに説明されている。これらのユニットは、16本の標準的な8ファイバ・リボン内の、それぞれのファイバが125ミクロンのコアを有する光ファイバを容易かつ精密に位置決めするべく設計される。図6Bにおいては、それらのリボンが4Aに示され、個別のファイバが4Bに示され、ファイバの束が4に示されている。位置決めプレート7Aは、リソグラフィのテクニックを使用して作られたシリコンからなるプレートでなる。プレート7Aは、光スイッチ・モジュール内のファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・ユニットをマウントするためのマウント・スロットを含むマウント・プレート7B上にマウントされる。細長い水平スロット8が、16本のリボンのそれぞれの中の8本のファイバのために提供されている。細長いスロット8の底面には精密V字溝スロット8Aが切り込まれている。これらのスロットは、すべて図6Aに示されているとおり、250ミクロンの幅の垂直側面8Bを有し、溝の底面には45度のV字セクション8Cを伴う。スロットの水平方向における中心間隔は2ミリメートルであり、かつスロットの垂直方向における中心間隔は1ミリメートルである。それぞれの行内のV字溝スロットは、図6Bに示されるとおり、直近の隣接行内のスロットからオフ‐セットされており、したがってアレイの断面寸法は、15ミリメートル×15ミリメートルとなる。これらの好ましい実施態様においては、個別のファイバがスロット内に挿入され、かつV字溝内に精密に配置されて適正位置に接着される。ファイバの堅固な配置が得られた後、それらのファイバの端部が切断され、かつその後、はみ出している過剰な接着剤が研磨されて取り除かれ、それぞれのファイバについて精密な直角の出口表面が得られる。
【0031】
マイクロレンズ・アレイ
これらの好ましい実施態様においては、同じくリソグラフィのテクニックを使用して精密に作られた、V字溝位置決めプレート内のファイバの位置に対応するべく精密に位置決めされたマイクロレンズ・アレイを伴う8×16のマイクロレンズ・アレイ9が提供される。それぞれのレンズは、約1.1ミリメートルの直径および3.7ミリメートルの焦点距離を有する。図示されていない精密スペーサが使用され、V字溝位置決めプレート内のファイバの端部から約3.7mmのところにレンズが位置決めされるようにマイクロレンズ・アレイの位置決めが行われる。マイクロレンズ・アレイ9の位置決め時に、スイッチを通過して一方のファイバ束から他方に至る通信ビームのウエストが、図1(a)および図5A、5B、および図5Cに示されているとおり、妥当に実行可能な限りダイクロイック・ミラー24の近くに配置されるように最終的な精密な位置が選択される。
【0032】
同軸整列ビーム
本発明の好ましい実施態様は、ファイバ束4および16両方のそれぞれのファイバを出たビームのそれぞれと同軸で整列される整列ビームを提供するための手段を含む。これらの整列ビームを提供するための特定のテクニックが、図1(a)、図1(b)、および図1(c)に示されている。整列テクニックは、図5A、5B、および5Cを参照して説明する。図1(a)に示されているとおり、この好ましい実施態様は、ファイバ束4からの通信ビームを整列させるための整列ユニット10、およびファイバ束6からの通信ビームを整列させるための整列ユニット12を含む。整列ユニット12は、図1(b)にも示されており、それのカット・アウェイ図が図1(c)に示されている。ユニット12は、12Fに示されている850nmの近赤外線で動作し、かつ約30度のビームの開きを有する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等の『点』可視光源を伴う注入ユニット12Aを含む。この光源からのビームは、コリメータ光学素子12Bを用いてコリメートされ、約16ミリメートル×16ミリメートルの断面寸法を伴うコリメートされたビームとなる。このコリメートされたビームは、128個の直径が0.6mmの開口を有するマスク12Cを用いて128の別々のビームに分けられるが、それらの開口は、128個の別々の平行なビームをファイバ束6からの通信ビームと整列させるべく位置決めされている。実際の整列は、通信ビームを通過させ、整列ビームを反射するダイクロイック・ビーム・スプリッタ12Dにおいて生じる。
【0033】
MEMSミラーのビーム・コントロール
好ましい実施態様においては、通信ビームが、スイッチ・モジュール内において2つのMEMSミラー・アレイ20および22を用いて指向される。それらの2つのアレイはまったく同じである。MEMSミラー・アレイ20は、図8Aに示されている。ミラーの位置は、ファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・ユニット8および10内のマイクロレンズおよびファイバの位置に精密に対応する。図8Aの左上コーナの拡大図が図8Bに示されており、ミラーのうちの1つ(ミラー3‐1)をさらに拡大した図が図8Cに示されている。図8Dは、図8Cのミラーの1つの、垂直櫛形駆動機構の1つ、すなわち駆動機構60をさらに拡大して示している。MEMSミラーを製造するためのテクニックは周知であり、かつ従来技術の中で良好にレポートされている。本発明のMEMSミラーは、本発明の好ましい実施態様の優れた性能を生み出すべく適合された特別な特徴を含む。図8Cに示されているとおり、それぞれのMEMSミラーの金の反射表面80は、2つの軸周りに枢動することが可能であり、第1の軸82周りに内側フレーム84が枢支され、第2の軸86周りに反射表面80が枢支される。軸に取り付けられた櫛歯は、フレームに取り付けられた『固定』櫛歯(図8A、図8B、および図8Cにおいては白地で示されている)の下側に位置決めされている。0〜200ボルトの電位が、下側の櫛歯を『固定』櫛歯の間に引き上げさせ、それがそれぞれの軸周りにミラー表面を枢動させる。
【0034】
櫛形駆動機構の製造テクニック
図に示されたMEMSミラー用の櫛形駆動機構を製造するための特別な好ましいテクニックを、図9A〜図9Kに関して説明する。図9Aに示されているとおり、プロセスは、厚さ380ミクロンの単結晶シリコンのハンドル層34の上に2つの厚さ25ミクロンの単結晶シリコン層30および32を有するウェファを伴って開始する。これら3つのシリコンの層は、1.5ミクロンの埋め込み酸化物絶縁層36および0.5ミクロンの埋め込み酸化物絶縁体38によって分離されている。シリコン層はすべてドープされ、それらの電気抵抗率は、約10〜20ミリオーム・センチメートルの範囲まで下げられる。図9Bに示されているとおり、SiO2層40が追加され、それが、フォト・レジストおよびコンタクト・マスクを使用してパターン形成され、図9Cに示されているパターン42を作り出す。次に、図9Dに示されているとおり、レジスト・マスク44があてがわれて図9Dに示されているとおりに酸化物パターン42の一部を覆う。このマスク・パターン42の修正は、この段階および続くいくつかの段階が櫛形駆動機構内の極めて細い櫛形素子が適正に整列されることを保証することになるため、非常に重要である。図9Eに示されているとおり、図9Dにおいて置かれたマスクが使用されて、図9Cの段階で置かれた酸化物パターンの一部がエッチングにより取り除かれる。次に、図9Fに示されているとおり、深堀り反応性イオン・エッチングが使用されて、同じマスク・パターン44を使用したシリコン層30のエッチングが行われる。このエッチング段階がウェファ表面と酸化物の層36の間のシリコンを完全に取り除いた後、図9Gに示されるとおり、図9Dの段階において宛がわれたフォト・レジストが取り除かれる。ブランケット酸化物のエッチングが適用され、露出されたすべての埋め込み酸化物が取り除かれるが、充分な修正されたマスク42が残され、それの下にあるシリコンが、図9Jに示される、その後に続くシリコン・エッチング段階から保護される。次に、裏面エッチングが適用されて、図9Iに示されているとおり、シリコン層32の下にあるハンドル34および酸化物の層38のほとんどが取り除かれる。その後、図9Jに示されるとおり、ウェファが一時的にハンドル・ウェファ上にマウントされ、かつシリコン層30および32の保護されていない部分がエッチングにより取り除かれる。また、酸化物エッチングが適用されて、櫛歯の上端から酸化物の層が取り除かれ、図9Kに示されているとおり、櫛歯が残される。背の高い櫛歯50は、MEMSミラーのフレームの部分であり、かつMEMSフレームの固定された部分、またはMEMSミラーの中心フレーム要素になる。短い櫛歯は、後に論ずるとおり、電位が印加されるときにミラー素子とともに動くことになる。背の高い櫛歯が、図8Dにおいては50に白色で示されており、短い可動櫛歯が、図8Dにおいては52に黒色で、細い白色ラインの輪郭付きで示されている。これらは、図8Cに示されているとおり、MEMSミラーの金のミラー表面80とともに回転する櫛歯である。
【0035】
ここで注意されたいが、背の高い櫛歯50は、絶縁層45によって2つの導体シリコン部分47および43に分割されている。MEMSミラーのコントロールの間においては、0と200ボルトの間の電位が、背の高い『固定』櫛歯のシリコン部分47と短い可動櫛歯52の間に印加される。これは、反射ミラー表面を傾斜させるために背の高い『固定』櫛歯のシリコン部分47の間に可動櫛歯52を引き上げる電気的引力を作り出す。
【0036】
MEMSミラーのコントロール
MEMSミラーをコントロールするための好ましい回路が図7に示されている。それぞれの櫛形駆動ユニット用に2つの回路が必要になる。128個のミラーのそれぞれについて、2つの軸のそれぞれのために2つの櫛形駆動ユニットが存在する。したがって、この実施態様では、128個のミラーのコントロールに1024個の回路が必要となる。好都合なことに、図7に示されている回路の構成要素が非常に廉価であり、すべての構成要素について数セントしか掛からない。図に示されているとおり、回路には200ボルトのバイアスが提供される。この200ボルトのバイアスは、キャパシタC2を、トランジスタX19が『オフ』状態のときにのみ充電する。トランジスタX19が『オン』のときは、キャパシタC2とグラウンド・ノードの間に放電パスができる。トランジスタX19は、図に『2Khz PWM』として示されている2キロヘルツのパルス幅変調器を用いてオンおよびオフされるが、それもまた(出願人らのプロトタイプのユニットにおいては)現場プログラム可能なゲート・アレイまたはプログラム可能ロジック・デバイス(いずれも図示せず)によってコントロールされる。キャパシタC2上の電位は、MEMSミラーのうちの1つの櫛形駆動機構のうちの1つの位置を決定する。この電位は、0ボルトと200ボルトの間の任意の電位にすることが可能である。キャパシタ2C上の電位は、図7に示される2Khzのパルス幅変調器の変調に依存する。秒当たり2,000パルスのそれぞれの幅が最大であるときには、トランジスタX19が継続的に『オン』となり、C2上のボルト数がほぼゼロになる。秒当たり2,000パルスのそれぞれの幅が最小であるときには、トランジスタX19が継続的に『オフ』となり、かつC2上のボルト数がほぼ200ボルトになる。パルス幅は、最小と最大の間において変化させて、キャパシタC2上の電位を200ボルトからゼロ・ボルトまで変化させることが可能である。MEMSミラー3‐1等のMEMSミラーの傾斜は、それぞれのミラーの位置をコントロールする4つの垂直櫛形駆動ユニットに印加されるボルト数に依存する。
【0037】
MEMSミラーのそれぞれは、束4内の任意のファイバを束6内の任意のファイバに接続するために必要とされるところのビームの指向に充分な作用範囲を有する。
【0038】
ビーム方向センサ
好ましい実施態様においては、MEMSコントロール・システムが、図1(a)に示されるとおり、ファイバ束4からの通信ビームとコアライン(co-aligned)される第1のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビーム、すなわち注入ユニット10から伝達され、MEMSミラー・アレイ・ユニット20によって反射され、かつダイクロイック・ミラー24を透過した整列ビームを検出するべく位置決めされた第1のビーム方向センサ・ユニット16を含む。この実施態様は、ファイバ束6からの通信ビームとコアライン(co-aligned)される第2のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビーム、すなわち注入ユニット12から伝達され、ダイクロイック・ミラー24を透過した整列ビームを検出するべく位置決めされた第2のビーム方向センサ・ユニット18も含む。特定の好ましい実施態様においては、ビーム方向センサ・ユニットのそれぞれが、整列ビーム検出スクリーン60または62および当該ユニットの観察スクリーンと交わる整列ビームの位置を見るためのビデオ・カメラ64または66をそれぞれ含む。スクリーンは、整列ビームを用いて照明されたときに画像を作る広範多様なスクリーンのいずれとすることも可能である。図3(b)は、多様なスクリーン候補を用いて生成されたテスト結果を示す。結果は、ミラーの角度の関数としてプロットされている。図3(a)は、ビームの交差側と反対側からスクリーンを見た典型的な照明パターンを示している。これらは、曇りガラスおよび多様なディフューザを含む。好ましいスクリーンは、カリフォルニア州トーランスに本社を置くルミニット社(Luminit)によって供給されているホログラフ・ディフューザである。図3(c)は、ビーム方向センサ・システムの図解を提供する。注意される必要があるが、この好ましい実施態様のスクリーンは、ミラー・アレイ20および22、およびファイバ‐マイクロレンズ・アレイ8および10に対応する8×16のパターンを伴う128のビームを検出するべく適合されることになる。
【0039】
これらの実施態様においては、MEMSコントロール・システムが、2セットの光ファイバの間にそれぞれの望ましい光パスを提供する上で櫛形駆動アクチュエータに印加されるべき適切な電位を決定するために、ペアのMEMSミラー(2つのMEMSミラー・アレイのそれぞれから1つ)の閉ループ調整を提供するべくプログラムされたプロセッサを含む。出願人らのテストは、較正が実行された後は正常な条件下においてビーム・パス内に非常にわずかなドリフトしか存在しないことを明らかにした。しかしながら環境状態における有意の変化が再較正を要求することがあり得る。いくつかの実施態様においては、周期的に、または操作員の指示時に自動的に自己再較正を行うべくスイッチを適合することができる。
【0040】
ビームの指向
図5A、5B、および5Cは、上で詳細を説明した好ましい実施態様の動作のいくつかの簡単な図解を示している。図5Aは、束1の列1内のファイバと束6の列8内のファイバの接続を図解している。注意される必要があるが、カメラ64および66は、コアライン(co-aligned)された、ダイクロイック・ミラー24を通過した整列ビームを検出してMEMSミラー・コントロールにMEMSミラーの位置を調整するフィードバックを提供し、ビームのパスが正しいものであることを保証する。図5Bは、同じ入力ファイバとファイバ‐マイクロレンズ・アレイの中心に近い列の1つの中のファイバの間における接続を実例で示しており、図5Cは同じ入力ファイバとファイバ‐マイクロレンズ・アレイの列1内のファイバの間における接続を実例で示している。ここでは、図5Bおよび5C内の整列ビームの位置に注意する必要がある。
【0041】
全国規模の光ファイバ・ネットワークにおける応用
参照によってこれに援用されている米国特許出願第10/677,590号は、完全光スイッチを利用した全国規模の高速通信ネットワークについて述べている。ここで述べられているスイッチは、当該出願の中で述べられているものに類似したネットワークにおいて非常に良好に機能する。’590出願の中で述べられている好ましい実施態様においては、それぞれのファイバ内のビームの中心波長が約1.57ミクロン(193.1THzに対応する)であり、15,000GHz(186,000GHzと201,000GHzの間)の有効帯域幅を伴う。最大で300個の別々の通信チャンネル(それぞれ50GHz)をそれぞれのファイバの中のビーム内において運ぶことができる。300個の別々のチャンネル(それぞれ50GHz)のそれぞれは、それよりさらに小さい、たとえば4GHzのスペーシングを伴う6つのサブ周波数範囲といった周波数範囲に分割することが可能である。これは、それぞれのファイバ内において1200の信号が同時に伝達されることを可能にし、したがって束当たり256本のファイバを用いれば、ファイバ束ごとに300,000を超える別々の信号を同時に伝達することが理論的に可能になる。これらの信号は、送り側の場所において別々に入力されて合成ビームを作り、かつほかのすべての信号から分離されて、それぞれの信号の受け側によって受信されなければならない。これは、周波数分割多重と呼ばれる。時分割多重は、任意の特定の時間期間の間に扱われることが可能な多数の別々の通信の追加の増加を可能にする。
【0042】
図11は、’590特許出願の図1からの修正バージョンである。ここでは、エンド・ユーザが250の地域コードの1つに割り当てられており、それぞれが概略で等しい数のエンド・ユーザを伴う全国規模のネットワークを考える。たとえば、地域コード#1がサンディエゴに、#40がシアトルに、#200がワシントンD.C.に、#240は国際ユーザのいずれかのサブセットに割り当てられている。提案されているネットワークは、地域コード当たり約400,000のユーザ・ノードを有することが可能である。図1に見られるとおり、それぞれの地域コードに関連付けされた光クロスコネクト・スイッチ2Kが、メッシュ・ネットワーク内において互いに結びつけられたメッシュ・ノード4Kに配置されており、任意の特定地域コードから任意のほかの地域コードへの光信号の切り換えを可能にする。この特定のメッシュ・ネットワークは、すでに設置済みの都市間ファイバ幹線を最大に利用することになる。
【0043】
この好ましい実施態様においては、すべての長距離通信が、約1.57ミクロン(約193.1THzに対応する)に中心を置く波長範囲内で動作する光ファイバを通る。ネットワークは、186THzと201THzの間の周波数において動作するべく設計され、合計の帯域幅は15,000GHzとなる。50GHzのスペーシングにおいては、これが光ファイバごとに300の『カラー(color)』チャンネルを提供する。4本の独立したファイバでは、合計で1200の通信チャンネルが提供される。
【0044】
この実施態様においては、それぞれの地域コードに出入りする1200の独立した広帯域通信チャンネル(それぞれが、15GHzの有効光帯域幅を伴う)が存在する。ここではこれらの広帯域チャンネルをファイバカラー(FiberColor)と呼ぶが、それらは、300の異なるDWDM波長(標準の50GHzのスペーシング)として4本の独立したファイバ上に振り分けられる。好ましい光ネットワークは、1570nm(193.1THz)の中心周波数においてCおよびLバンドで動作する。したがって、地域コードとそれの対応するスイッチの間には8本の光ファイバ、すなわち図11の6Kに示されているとおり、出側トラフィックのための4本および入り側トラフィックのための4本が存在する。
【0045】
1200のファイバカラーを地域コード数(300)によって除したとすれば、地域コード当たり平均で4.8のファイバカラーを有する。しかしながら、任意の特定の地域コード(たとえば、サンディエゴ)からの1200の出側ファイバカラーは、ファイバ当たり約15THzの合計帯域幅を伴って使用需要に基づいて250の地域コードに割り付けられる。たとえば、サンディエゴからのトラフィックのためのファイバカラーは、特定の時間において、ワシントン向けトラフィックのために10、シアトル向けトラフィックのために6、アトランタ向けトラフィックのために1、というようにすべての1200のファイバカラーが占められるまで割り付けられることになる。需要が時刻および曜日に伴ってシフトすることから、実際の割り付けは、周期的に自動調整されることになると予測される。したがってスイッチは、任意の特定のときに、それぞれの発信元地域コードからのそれぞれのファイバカラーがネットワークを通ってそれの行き先地域コードへ、干渉を伴うことなく案内されるように構成されなければならない。(言い替えると、同一波長で動作する2つのファイバカラーのために同一のファイバが同時に使用されることはできない)。これが実行可能であることは、直ちに明らかにならなかったが、出願人らは、このタスクを達成するための、堅牢であり、かつ実用的短時間内に収斂すると思われるアルゴリズムを開発した。ここでは、このアルゴリズムを、根底にある割り付けが必要とされるファイバカラーのマトリクスが合計で同数となる行および列を有することから、マジック・スクエア・アルゴリズム(Magic Square Algorithm)と呼んでいる。このファイバカラーの割り付けの問題は、その解決策とともに、この明細書の『マジック・スクエア・ソフトウエア』と題されたセクションの中で詳細に論じられている。この問題の解決策は、それが、データ・ソースとデータの行き先の地域コードの間において、いずれかの光信号を電気信号または別のDWDM波長に変換しなければならないという不利点を伴うことなく比較的少数のチャンネルを用いて全国規模の完全光ネットワークの展開を可能にすることから、主要な技術革新である。
【0046】
メッシュ・ノード4Kにあるスイッチ2Kの動作については、’509特許出願の中でより詳細に論じられている。好ましい実施態様においては、すべてのDWDM波長が、光学切り換えの前に逆多重化され、かつその後、切り換えの後に再多重化される。標準の50GHzのDWDMスペーシングより細かい分解能における波長分離はまったく必要なく、したがって標準の構成要素を使用することが可能である。(より細かいチャンネル分解能は、ソースおよび行き先の地域コード内において生じるだけである)。波長分離と光学切り換えを組み合わせるカスタム化されたスイッチもまた可能となり得る。ネットワーク全体を通じて、適切な光信号強度の維持が必要なときには光学増幅器(エルビウム・ドープされたファイバ増幅器等)が使用される。
【0047】
そのほかのコントロール・テクニック
ここで図10を参照すると、本発明の光クロスコネクト・スイッチの、包括的に400として指定されるコントロール・システムのブロック図が示されている。コントロール・システム400はコンピュータ402を含み、それがまたリアル・タイム・コンピュータ404、通信インターフェース406、およびデジタル・ストレージ・デバイス408を含む。コンピュータ402は、閉ループ・フィードバック・コントロール・システムの実装に必要とされる演算を行う能力のあるシステムである。それが、アナログまたはデジタル・エレクトロニクスからなるものとしてもよく、または光学演算ユニットを用いて実装されてもよい。好ましい実施態様においては、コンピュータが、演算能力のある少なくとも1つの構成要素、および少なくとも3つのデジタル・インターフェースを伴うデジタル・エレクトロニクスからなる。第1のインターフェースは、デジタル化された光フィードバック信号を受信する能力を有するものとなり、第2のインターフェースは、ビーム指向器16および18の作動のために必要とされるアナログ電子ドライバにコマンド信号を送信する能力を有するものとなる。また第3のインターフェースは、外部ソースからネットワーク構成コマンドを受信し、かつ光スイッチの状態を送信する能力を有するものとなる。そのほかのインターフェースが、特定の実装のために必要とされることもある。
【0048】
好ましい実施態様においては、デジタル演算エレクトロニクスが、市販デジタル信号プロセッサまたはそのほかの中央処理ユニットといった1つまたは複数の汎用プロセッサからなるとすること、またはこのタスクのために特に設計された1つまたは複数の特定用途向け集積回路とすることができる。デジタル・インターフェースは、非常に多様なパラレルまたはシリアル・リンクのうちの任意の1つからなるとすることが可能であり、かついくつかの業界標準に適合したもの、または特定の実装のためにカスタム化されたものとすることができる。
【0049】
通信インターフェース406は、相互接続410を介したコンピュータ402と通信交換の間における電子インターフェースを提供する。本発明のスイッチを組み込んだ典型的な環境においては、相互接続410が、光学的に結合されることになる入力ファイバおよび出力ファイバを含む切り換え情報を受信することになる。この情報を受信するための標準フォーマットは、特定の通信ネットワークによって設定され得るが、特定のプロトコルとは関係なく、この情報が、本発明によって実装され得る特定のスイッチ構成を含むものとなることは認識されるものとする。
【0050】
デジタル・ストレージ・デバイス408は、一時的および永続的両方のデジタル・メモリ媒体を含むことができる。たとえば、デジタル・ストレージ・デバイス408は、データの操作のためにランダム・アクセス・メモリを、プログラムされたコンピュータ・シーケンス・ステップの保存のためにプログラム可能読み出し専用メモリを含むことができ、またオフセット値のテーブルを含むことができる。
【0051】
コンピュータ402は、電気接続412を介してデジタル・インターフェース414と電気的に接続される。デジタル・インターフェース414は、高電圧増幅器、およびコンピュータ402からのデジタル情報をミラー素子のコントロールに必要なアナログ信号に変換するデジタル・アナログ・コンバータを含む。またデジタル・インターフェース414は、コンピュータ402とビーム指向器420の間において必要とされる任意のデジタル・データの送信および受信も行う。注意される必要があるが、図8A−図8Dは、簡明のために1つのミラーおよび1つのセンサだけを示しており、それぞれのクロスコネクト・ビームが2つのミラーの位置決めによってコントロールされること、およびビームの方向が2つのセンサによって監視されることを認識する必要がある。しかしながら、ビームの位置を維持するための好ましいテクニックは、一度に1つのミラーだけを調整することである。しばしば、完全なコントロールが確立されるまでに、ビーム・パス内の1つのミラーを調整した後に他方の1つを数度にわたって調整することが必要となる。これは、自動的に、または外部のコントロール・デバイスまたは操作員によって指示されたときに生じるようにすべてプログラムされることが可能である。
【0052】
単一のMEMSミラーのための枢動コントロールは、電子信号をインターフェース414から受信し、クロスコネクト・ビームを望ましい方向に指向させるために、MEMSミラーを、それの2つの特定の回転位置に駆動する。MEMSミラーが適正に位置決めされていることを保証するために、光学センサが整列ビームの位置を測定し、上で述べたとおりに光学フィードバックを提供する。アナログ・インターフェース426は、アナログ増幅器およびアナログ・デジタル・コンバータを含むアナログ信号調和構成要素を含み、それが光学センサ422からアナログ信号を受信し、電気接続428に沿ってコンピュータ402に送信するためのデジタル信号を生成する。コンピュータ402は、センサ422から、整列ビームの位置に関する電子情報を受信し、この位置をメモリ408内に収められている位置と比較して、ビーム指向器16および18内のビーム指向素子420が適正に位置決めされているか否かを決定する。センサ422によって測定された整列ビームの位置と、メモリ408内に収められている位置データの間に相違がある場合には、コンピュータ402がデジタル・インターフェース414に渡される電子信号を調整してビーム指向素子420の回転位置を修正し、センサ内の整列ビームの再位置決めを行う。その後、整列ビームの位置が光学センサ422によって再測定され、必要な場合にはビーム指向素子の回転位置に対する調整が反復される。この方法により整列ビームを適正に位置決めすることによって、通信ビームの適正な位置が、あらゆる干渉を伴うことなしに、または通信ビーム自体の測定を伴うことなしに達成される。
【0053】
本発明の動作の例
動作においては、本発明の好ましいスイッチが束4内の入力ファイバから束6内の出力ファイバに光信号を伝達する。本発明の好ましい実施態様の動作は、図1(b)および図1(c)を参照することによって、おそらくは最良の理解が得られる。
【0054】
ファイバの入力‐出力マッピング、すなわちスイッチ・ファブリックの再構成は、次のとおりに達成される。再構成コマンドの受信時に、影響を受けるチャンネルのビーム操作ミラーが、直ちに開ループ・ステップを実行し、それらの現在の位置から、コマンドされた再構成を完了するために適切な新しい位置へ移動する。この開ループ・ステップの間に、コントロール・フィードバックが、影響を受けるチャンネル上において終了する。ビーム操作素子が新しい位置の近くにあるときは、整列ビームが、構成コマンドによって示される新しい出力ファイバに対応するセンサの部分の上に落ちる。この時点において、閉ループ・サーボ・コントロールが再び開始され、新しい接続が仕上げられる。開ループ・ステップの間においては、ほかのすべての再位置決めチャンネルのための整列ビームを、切り換えチャンネルの案内ビームによる切り換えが行われないチャンネルのサーボ・フィードバック信号の汚染を排除するためにオフにすることができる。
【0055】
好ましい実施態様においてはサーボ・ループが、第2のミラー・アレイ内のミラー素子にだけ作用できる。代替実施態様においては、サーボ・ループが、第1のミラー・アレイ、第2のミラー・アレイ、または第1および第2両方のミラー・アレイ内のミラー素子に作用できる。1つの実施態様においては、第1のアレイ内のミラー素子のそれぞれの較正が充分に正確であり、開ループ信号を用いて、それぞれの素子に対応する整列ビームおよび通信ビームの実質的にすべての光エネルギが第2のビーム指向器アレイ内の意図された目標ミラー素子上に落ちるようにそれらの素子を位置決めすることが可能である。ビーム指向ミラー素子の開ループ・ポインティングは、製造時およびデバイスの寿命を通じて周期的に較正され、開ループ・ポインティングの正確度が高いことが保証される。また、第1のアレイ内のミラーの開ループ・ポインティングの正確度は、第1の素子の位置における小さい誤差が、第2のミラー・アレイ内の素子に作用する閉ループ・サーボ・コントロール・システムによって事実上の補償がなされることから、ストローク全体の数パーセントより良好である必要はない。この初期開ループ・ポインティングは、第2のビーム指向素子のフィードバック・コントロールと協働して、通信ビームを出力ファイバの中心上に正確に位置決めする。
【0056】
多重化および逆多重化
上で述べたスイッチの重要な応用は、周波数多重化または逆多重化動作の一部である。上で説明したとおり、多重化は、通常、ほかの周波数を運ぶ幹線光ファイバに特定周波数の信号を追加することを伴い、また逆多重化はそれの逆である。いずれの場合においても、結果としてもたらされる光信号を望ましい方向に指向させるため、通常は別々の光ファイバに指向させるためにスイッチが必要となる。
【0057】
背景のセクションの中で論じたとおり、薄膜フィルタの使用も含めて、いくつかの多重化および逆多重化テクニックが利用可能である。しかしながら出願人らが好ましいとする多重化/逆多重化テクニックは、出願人らが開発したものであり、従来技術のテクニックに勝る実質的な利点を提供する。このテクニックは、多孔質シリコン光学フィルタを利用する。このテクニックは、薄膜フィルタと非常に類似した結果をもたらすが、多孔質シリコン・フィルタは、はるかに迅速に、かつはるかに安価に作ることが可能である。次に、これらの多孔質シリコン光学フィルタの簡単な要約的な説明を提供し、図12Aおよび12Bに図を示す。
【0058】
多孔質シリコン光学フィルタ
図12Aは、表面が電流援助付き酸エッチング多孔質シリコン・テクノロジを用いてエッチングされた、変動屈折率の層を6つ伴ったシリコン・ウェファの部分の描写である。多孔質シリコン(PSi)テクノロジは、新生のテクノロジであり、多くの潜在的応用を有する。シリコン・ウェファがフッ化水素酸(HF)中に漬浸され、それに電流が流される。HFがシリコンと反応して表面内にナノメートル台の小孔をエッチングする。これらの小孔の直径は、3つのパラメータ、すなわち電流、HF濃度、およびシリコンのドーパント・レベルによって決定される。好ましいHF濃度は、約25パーセントから約50パーセントまでの範囲内である。好ましいシリコン・ドーピングは、約2.5×1016イオン個数/cmから約2.5×1017イオン個数/cmまでである。エッチングは、小孔の底部の、HF溶液とシリコン基板の間の界面において常に生じる。これが、シリコン内を深くエッチングすること、およびPSiの厚い層を形成することを可能にする。小孔の直径は、エッチング・プロセスの間に電流を変化させることによって変更することができる。より大きな電流は小孔の直径を増加させ、より小さい電流はそれらの直径を減少させる。この方法により、シリコンの空隙率を、深さの関数として変化させることが可能である。より大きな空隙率(より大きな直径の小孔)は、シリコンの稠密性を低くし、それがPSi層の屈折率を減少させる。また、より小さい空隙率は屈折率を増加させる。したがって、PSiの屈折率を変化させることが可能である。この、深さの関数として屈折率を変化できる能力が、光学フィルタの形成を可能にする。図12Bは、12の層をシミュレーションする表面内の大きく拡大された小孔(シリコン基板48内に作られる)の一般的な形状を示した図である。シリコンは、約3.5の屈折率を有し、空気は約1.00の屈折率を有する。ここで関心が持たれている光は、これらの小孔よりはるかに大きい波長を有することから、光が、それぞれのシミュレーションされた層に、それがあたかも、それぞれの層を構成する空気およびシリコン体積の重み付け平均に等しい屈折率を有するかのように応答する。たとえば、低い屈折率が51に示され、高い屈折率が53に示されている。図12Cは、図12Bに示されているパターンを作るために利用される電流と時間のグラフを示しており、図12Dは、820nm〜850nmの波長の光の表面からの反射率を示している。このフィルタは、図12Cに示されるとおり、24の層を用いて作られた。フィルタは、追加の層によってより狭く作ることが可能である。図12Eは、29の層を用いた結果を示す。図12Fは、光ファイバ通信用に通常に使用されている波長範囲のために設計された多孔質シリコンの反射のグラフである。
【0059】
ルゲート多孔質シリコン・フィルタ
PSiで形成可能なフィルタのタイプは興味深い。伝統的な薄膜フィルタは、高屈折率材料と低屈折率材料の薄い(1/4波長の厚さ)層の間を交番することによって作られる。PSiにおいては、屈折率の変動が高い値と低い値の間において連続的に振動する。このタイプのフィルタは『ルゲート・フィルタ』と呼ばれる。狭帯域バンド‐パス・フィルタからの不要サイド‐ローブの除去といった、いくつかの興味深い効果を達成することができる。図12Gは、出願人らによって作られたルゲート・フィルタのウェファにおける空隙率対深さを示しており、図12Hは、結果として得られる反射プロファイルを波長の関数として示している。グラフには、3つの非常に狭い透過帯が示されている。
【0060】
図12Iおよび12Jは、多重化および逆多重化のために多孔質シリコン・フィルタ・ユニットをどのように配置することが可能であるかを示している。図12Iは、波長帯λ、λ、...λにおいて多くの信号を包含する到来通信ビームを提供する4本のファイバ54を示す。個別の波長を透過させるべく設計された多孔質シリコン・フィルタは、56に示されている。たとえば、フィルタ56Aは、波長範囲λを透過し、ほかのすべての波長帯を反射する。フィルタ56Bは、別の波長帯を透過し、ほかのすべての波長帯を反射する。それら波長帯は、レンズ・アレイ58によって個別の光ファイバ内に合焦される。図12Iおよび12Jに示されるところのこの設計は、一連の非常に狭い帯域のフィルタを使用して、DWDMビームから一度に1つの波長チャンネルを逐次分離する。それぞれのフィルタにおいては、選択されたチャンネルが透過され、残りの波長が反射される。可視光が使用される場合には、透過された光が完全に吸収されないようにシリコン基板が薄くされるか、または取り除かれることがある。ほとんどの光通信応用については、使用される波長に対してシリコンが基本的に透明であり、ドーピング濃度が非常に高くない場合は、シリコン基板を残存させることができる。このフィルタリング・テクニックは、概念的に単純であるが、最終的な波長が、ほかのすべての波長からそれが分離されるまでにN‐1個(Nは、DWDMビーム内の波長チャンネルの総数)のフィルタに遭遇しなければならないことから、多数の波長チャンネルを伴うDWDMシステムにとっては最良とならないことがある。より複雑な設計は、最初のいくつかのフィルタに透過させる波長チャンネルを1より多くすることによって、任意の1つのビームが通過しなければならないフィルタの総数を低減することが可能である。その後、狭帯域フィルタを使用して、低減されたビームから個別の波長チャンネルを分離することができる。
【0061】
薄膜フィルタ用に開発された多くの様々な従来技術のルゲート・フィルタ設計を多孔質シリコン・テクニックとともに使用して、DWDM用途のために要求される仕様を伴った狭帯域フィルタを達成することが可能である。多孔質シリコン・テクニックを用いて、出願人らは、正弦曲線的に変化する複数の一連の変動屈折率の層を作ることによって薄膜フィルタのスタックをシミュレーションすることができる。これは、2またはそれを超える数の比較的広帯域の反射器を互いの上に作ることと等価である。この構成は、市販の離散型薄膜誘電体フィルタに見られるマルチ‐キャビティ・フィルタと等価なルゲート・フィルタになる。このタイプのフィルタは、それのファブリ‐ペロー・エタロン共振キャビティのエミュレーションに起因して禁止長を伴うことなく、極めて良好な波長分解能を達成することが可能である。
【0062】
互いの上にフィルタをスタックすることが、合成されたフィルタ構造の共振帯域に対応するいくつかの非常に狭い波長領域を除き、Cバンド全体にわたって極めて高い屈折率プロファイルを作り出す。これが、広帯域フィルタを通る透過における位相変化が、第2の広帯域フィルタからの反射における位相変化と整合するところである。それらの透過領域の厳密な波長および幅は、広帯域反射フィルタの長さおよび屈折率プロファイルの設計によって限られた範囲内においてコントロールすることが可能である。
【0063】
隠し波長の検出
本発明は、トラッカ波長の存在を検出するべく容易に適合することができる。これらの特別なトラッカ波長は、完成された光ルートを通ってビームが進むときにそれを追跡するために、通信ビームに追加することが可能である。本発明は、それぞれのファイバ内のビームを周期的に抽出し、それをテスト・ユニットに指向させ、トラッカ波長についてのテストを行わせるべく容易にプログラムすることができる。
【0064】
ビーム強度の調整
本発明の別の有用な応用は、特定のビームの強度を調整するべくそれの容易なプログラムが可能なことである。通信システムにおいては、システム内の多様なビームの強度が比較的一様であることが重要であり、特に増幅の前ではそれが問われる。本発明は、ユニット16および18を使用し、ちょうど望ましい量の整列ずれを提供してわずかにビームの整列をずらすだけでスイッチを通過する任意のビームの強度を容易に下げることが可能である。ビームの整列ずれが大きいほど、それのより小さい部分が出力ファイバ内に合焦されることから、ビームがより大きく減衰される。
【0065】
そのほかのサイズ
この実施態様においては、構成が、8×16の光ファイバ束の接続に使用されるべく設計された8×16のアレイとなっている。しかしながら本発明が、製造、整列、または対応するコントロール・システムの複雑性における何らかの有意の増加を伴うことなく、そのほか多くのより小さい、またはより大きいサイズに拡縮できることを認識される必要がある。また追加の、またはより少ない予備チャンネルが経験に基づいて提供されてもよい。
【0066】
そのほかの変形
これまでは、本発明の好ましい実施態様であると現在考えられていることを示してきたが、当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなしにここで多様な変更および修正が可能なことが明らかであろう。たとえば、図1(b)に示されたスイッチは、望ましい場合に拡大または縮小することが可能である。ミラーのコントロールに使用される現場プログラム可能なゲート・アレイは、より経済的な集積回路に置き換えることができる。MEMSミラーが、ほかの可変電圧源を用いてコントロールされてもよく、またより大型のキャパシタを利用することも可能である。多くのタイプの自動コントロールがスイッチに組み込まれること、またはスイッチのコントロールに使用されることが可能である。多孔質シリコン・フィルタ以外のフィルタ、たとえば薄膜フィルタ等を多重化および逆多重化に使用することができる。より少ないか、またはより多くの予備チャンネルを提供すること、またはそれをゼロにすることもできる。整列ビームのソースは、共振キャビティ発光ダイオードとすることができる。いくつかの実施態様においては、代替整列テクニックを使用することができる。スイッチのそれぞれのファイバ内における整列ビームと通信ビームの整列のためにそのほかの多くのテクニックが利用可能である。スイッチの入力部分内の到来ファイバを配置する多くの代替方法が存在する。MEMSミラー・アレイ以外の小さいミラー・アレイで、MEMSミラー・アレイを代用することができる。図1(b)および図1(c)に示されている2つのプロセッサに代えて1つのプロセッサを使用することが可能である。詳細に論じられてきた2つの重要な応用のほかにも、本発明について非常に多数の応用が存在する。たとえば、スイッチを、非常に高いデータ・レートの通信が重要とされるローカルのオフィス内または工場内通信システムに使用することができる。スイッチ内に信号を整える機能、利得コントロール、および増幅器を組み込むこともできる。
【0067】
本発明のROADMユニットを使用して、高速のローカルおよび地域的通信トラフィックをサポートすることが可能である。本発明のスイッチは、ポイント‐ツー‐ポイント、リング(星形および網形)を含むすべてのシステム・アーキテクチャの中で利用することができる。したがって本特許の範囲は、付随する特許請求の範囲およびそれらの合法的等価によって決定されるべきであり、ここに与えられた例によるべきではない。
【符号の説明】
【0068】
2 光スイッチ・モジュール
2K 光クロスコネクト・スイッチ
4 ファイバ束
4A リボン
4B 個別のファイバ
4K メッシュ・ノード
6 ファイバ束
7A 位置決めプレート
7B マウント・プレート
8 整列ビーム・ユニット、第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ・ユニット、水平スロット、ファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・ユニット
8A V字溝スロット
8C V字セクション
9 マイクロレンズ・アレイ
10 整列ビーム・ユニット、整列ユニット、ファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・ユニット、注入ユニット
12 整列ユニット
12A 注入ユニット
12B コリメータ光学素子
12C マスク
12D ダイクロイック・ビーム・スプリッタ
16 カメラ・ユニット、第1のビーム方向センサ・ユニット、ビーム指向器
18 カメラ・ユニット、ビーム指向器、第2のビーム方向センサ・ユニット
20 整列スクリーンおよびMEMSミラー・アレイ、MEMSミラー・アレイ
22 整列スクリーンおよびMEMSミラー・アレイ、MEMSミラー・アレイ
24 ダイクロイック・ビーム・スプリッタ、ダイクロイック・ミラー
30 単結晶シリコン層、シリコン層
32 単結晶シリコン層、シリコン層
34 ハンドル
36 埋め込み酸化物絶縁層、酸化物の層
38 埋め込み酸化物絶縁層、酸化物の層
40 SiO2層
42 パターン、マスク
43 導体シリコン部分
44 レジスト・マスク、マスク・パターン
45 絶縁層
47 導体シリコン部分
48 シリコン基板
50 背の高い櫛歯
52 可動櫛歯
54 ファイバ
56A フィルタ
56B フィルタ
58 レンズ・アレイ
60 駆動機構、整列ビーム検出スクリーン
62 整列ビーム検出スクリーン
64 カメラ
66 カメラ
80 反射表面、ミラー表面
82 第1の軸
84 内側フレーム
86 第2の軸
400 コントロール・システム
402 コンピュータ
404 リアル・タイム・コンピュータ
406 通信インターフェース
408 デジタル・ストレージ・デバイス、メモリ
410 相互接続
412 電気接続
414 デジタル・インターフェース
420 ビーム指向器、ビーム指向素子
422 光学センサ、センサ
426 アナログ・インターフェース
428 電気接続
C2 キャパシタ
X19 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第2のセットのファイバ内の光ファイバにクロスコネクトするための光スイッチ・モジュールであって、
(A)前記第1のセットの光ファイバ内の光ファイバを第1のファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・パターンで精密に位置決めするための第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ、および前記第2のセットの光ファイバ内の光ファイバを第2のファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・パターンで精密に位置決めするための第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ、
(B)前記第1のファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・パターンに対応する第1のMEMSミラー・パターンで配列され、かつ前記第1のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ内に配列された光ファイバへ、および/またはそれから通信光ビームを反射するべく位置決めされたMEMSミラーのアレイを包含する第1のMEMSミラー・アレイ、および前記第2のファイバ‐マイクロレンズ・アレイ・パターンに対応する第2のMEMSミラー・パターンで配列され、かつ前記第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイ内に配列された光ファイバへ、および/またはそれから通信光ビームを反射するべく位置決めされたMEMSミラーのアレイを包含する第2のMEMSミラー・アレイ、
(C)前記第1のファイバ‐マイクロレンズ・アレイと前記第1のMEMSアレイの間におけるそれぞれの通信ビームのための整列ビームを提供するため、および前記整列ビームと前記通信光ビームをコアライン(co-aligned)させて第1のセットの整列ビームを定義するための第1の整列ビーム・ユニット、および前記第2のファイバ‐マイクロレンズ・アレイと前記第2のMEMSアレイの間におけるそれぞれの通信ビームのための整列ビームを提供するため、および前記整列ビームと前記通信光ビームをコアライン(co-aligned)させて第2のセットの整列ビームを定義するための第2の整列ビーム・ユニット、
(D)前記第1のMEMSアレイから前記第2のMEMSアレイに通信ビームを反射するべく、および/または前記第2のMEMSアレイから前記第1のMEMSアレイに通信ビームを反射するべく、および前記第1および第2のセットの整列ビームを透過させるべく位置決めされ、かつ適合されたダイクロイック・ミラー、
(E)前記ダイクロイック・ミラーを透過した前記第1のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビームの方向を検知するべく位置決めされ、かつ適合された第1のビーム方向センサ、および前記ダイクロイック・ミラーを透過した前記第2のセットの整列ビーム内のそれぞれの整列ビームの方向を検知するべく位置決めされ、かつ適合された第2のビーム方向センサ、並びに
(F)前記第1のセットの光ファイバ内の前記ミラーのそれぞれと前記第2のセットの光ファイバ内の任意のファイバの間における光学的接続を提供するために、かつ/または前記第2のセットの光ファイバ内の前記ミラーのそれぞれと前記第1のセットの光ファイバ内の任意のファイバの間における光学的接続を提供するために前記第1および第2のMEMSミラー・アレイ内のそれぞれのミラーの位置をコントロールするためのMEMSコントロール・システム、
を包含する光スイッチ・モジュール。
【請求項2】
前記MEMSミラー・コントロール・システムは、
前記ミラーを位置決めするために、前記MEMSミラー・アレイ内のそれぞれのミラーのための複数の櫛歯形駆動ユニットを包含する、請求項1に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項3】
前記MEMSミラー・コントロール・システムは、
前記MEMSミラー・アレイ内のそれぞれのミラーのために複数の集積回路を包含し、それぞれの集積回路が、
(A)バイアス電圧源、
(B)前記ミラーの前記櫛歯形駆動ユニットのうちの少なくとも1つに対してコントロールされた電位を提供するべく適合されたキャパシタ、
(C)高周波パルス幅変調器、および
(D)前記バイアス電圧源および前記キャパシタ電気的に連通する前記高周波パルス幅変調器によって駆動されるトランジスタ・スイッチを包含し、
それにおいて前記キャパシタ上の前記電位が、前記高周波パルス幅変調器によって前記トランジスタ・スイッチに提供されるパルスのパルス幅をコントロールすることによってコントロールされる、
請求項2に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項4】
前記MEMSミラー・アレイは、2軸MEMSミラーのアレイを包含し、
前記MEMSミラー・アレイが、
(A)前記2軸MEMSミラーのアレイを支持するためのMEMSミラー・アレイ支持フレーム、
(B)前記支持フレームによって支持される複数のMEMSミラー・ユニットであって、それぞれのMEMSミラー・ユニットが、
(1)ミラー基体および反射表面を包含する枢動ミラー・フレーム、
(2)枢動支持フレーム、
(3)前記枢動支持フレームおよび前記枢動ミラー・フレームに堅固に接続され、かつ前記枢動ミラー・フレームの両側に位置決めされた2つの第1のねじれ要素であって、前記2つの第1のねじれ軸要素のそれぞれが、それぞれの第1の柔軟な軸要素の両側に整列された2セットのミラー・フレーム導体櫛歯を包含する、2つの第1のねじれ要素、
(4)前記枢動支持フレームから堅固に延び、かつ水平方向において前記ミラー・フレーム導体櫛歯の間に分散して位置決めされ、かつ垂直方向において前記ミラー・フレーム導体櫛歯からオフセットされた2セットの内側枢動支持フレーム導体櫛歯、
(5)前記MEMSミラー・アレイ支持フレームおよび前記枢動支持フレームに堅固に接続され、かつ前記枢動支持フレームの両側に位置決めされた2つの第2のねじれ要素であって、前記2つの第2のねじれ要素のそれぞれが、前記2つの第2のねじれ要素のそれぞれの両側に整列された2セットの外側枢動支持フレーム導体櫛歯を包含する2つの第2のねじれ要素、
を包含する複数のMEMSミラー・ユニット、および
(C)前記MEMSミラー・アレイ支持フレームから堅固に延び、かつ水平平面を定義する第1の平面内において前記ミラー・フレーム導体櫛歯の間に分散して位置決めされ、かつ前記水平平面と直角な方向において前記ミラー・フレーム導体櫛歯からオフセットされた、前記直角な方向が垂直方向を定義する、2セットのMEMSミラー・アレイ支持フレーム導体櫛歯を包含し、
それにおいて前記MEMSミラー・コントロール・システムが、前記枢動支持フレーム導体櫛歯と前記ミラー・フレーム導体櫛歯の間に電位を供給するべく、および前記MEMSミラー・アレイ支持フレーム導体櫛歯と前記外側枢動支持フレーム導体櫛歯の間に電位を供給するべく適合される、請求項1に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項5】
前記第1および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイのそれぞれが、
(A)光ファイバのビーム出口および/または開口のアレイを提供するべく複数の光ファイバを整列させるためのリソグラフィにより画定されたサブ‐ミクロンのV字溝整列機構のアレイを包含する位置決めプレートを包含し、
(B)複数の光ファイバが前記V字溝内に固定的に位置決めされ、前記ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイにサブ‐ミクロンの位置決め精度を提供する、
請求項1に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項6】
前記第1および第2の整列ビーム・ユニットのそれぞれは、
(A)光源を包含する注入ユニット、
(B)前記光源からのビームをコリメートし、コリメートされた光ビームを作るコリメータ、
(C)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つを定義する第1の複数の実質的に平行な光ビームを作り出すべく前記コリメートされた光ビームをマスクするためのマスク、
(D)ビーム・スプリッタ、
を包含し、それにおいて前記第1および第2の複数の実質的に平行な光ビームおよび前記ビーム・スプリッタは、前記実質的に平行な光整列ビームの少なくとも一部のそれぞれが、前記ビーム・スプリッタにおいて交差し、通信ビームとコアライン(co-aligned)するように位置決めされる、請求項1に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項7】
前記ビーム・スプリッタは、ダイクロイック・ビーム・スプリッタである、請求項6に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項8】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項1に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項9】
前記スクリーンは、ホログラフ・スクリーンである、請求項8に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項10】
前記スクリーンは、曇りガラス・スクリーンである、請求項8に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項11】
前記スクリーンは、格子パターンを有するスクリーンである、請求項8に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項12】
前記ビデオ・カメラは、CCDアレイを包含する、請求項8に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項13】
前記ビデオ・カメラはCMOSセンサを包含する、請求項8に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項14】
前記第1および第2のビーム方向センサは、前記光スイッチ・モジュール内に通信ビームを整列させるためのフィードバックの提供に利用される、請求項8に記載のセンサ・システム。
【請求項15】
前記第1および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイのそれぞれが、
(A)光ファイバのビーム出口および/または開口のアレイを提供するべく複数の光ファイバを整列させるためのリソグラフィにより画定されたサブ‐ミクロンのV字溝整列機構のアレイを包含する位置決めプレートを包含し、
(B)複数の光ファイバが前記V字溝内に固定的に位置決めされ、前記ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイにサブ‐ミクロンの位置決め精度を提供する、
請求項2に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項16】
前記第1および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイのそれぞれが、
(A)光ファイバのビーム出口および/または開口のアレイを提供するべく複数の光ファイバを整列させるためのリソグラフィにより画定されたサブ‐ミクロンのV字溝整列機構のアレイを包含する位置決めプレートを包含し、
(B)複数の光ファイバが前記V字溝内に固定的に位置決めされ、前記ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイにサブ‐ミクロンの位置決め精度を提供する、
請求項3に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項17】
前記第1および第2のファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイのそれぞれが、
(A)光ファイバのビーム出口および/または開口のアレイを提供するべく複数の光ファイバを整列させるためのリソグラフィにより画定されたサブ‐ミクロンのV字溝整列機構のアレイを包含する位置決めプレートを包含し、
(B)複数の光ファイバが前記V字溝内に固定的に位置決めされ、前記ファイバ‐マイクロレンズ位置決めアレイにサブ‐ミクロンの位置決め精度を提供する、
請求項4に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項18】
前記第1および第2の整列ビーム・ユニットのそれぞれは、
(A)光源を包含する注入ユニット、
(B)前記光源からのビームをコリメートし、コリメートされた光ビームを作るコリメータ、
(C)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つを定義する第1の複数の実質的に平行な光ビームを作り出すべく前記コリメートされた光ビームをマスクするためのマスク、
(D)ビーム・スプリッタ、
を包含し、それにおいて前記第1および第2の複数の実質的に平行な光ビームおよび前記ビーム・スプリッタは、前記実質的に平行な光整列ビームの少なくとも一部のそれぞれが、前記ビーム・スプリッタにおいて交差し、通信ビームとコアライン(co-aligned)するように位置決めされる、請求項2に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項19】
前記第1および第2の整列ビーム・ユニットのそれぞれは、
(A)光源を包含する注入ユニット、
(B)前記光源からのビームをコリメートし、コリメートされた光ビームを作るコリメータ、
(C)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つを定義する第1の複数の実質的に平行な光ビームを作り出すべく前記コリメートされた光ビームをマスクするためのマスク、
(D)ビーム・スプリッタ、
を包含し、それにおいて前記第1および第2の複数の実質的に平行な光ビームおよび前記ビーム・スプリッタは、前記実質的に平行な光整列ビームの少なくとも一部のそれぞれが、前記ビーム・スプリッタにおいて交差し、通信ビームとコアライン(co-aligned)するように位置決めされる、請求項3に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項20】
前記第1および第2の整列ビーム・ユニットのそれぞれは、
(A)光源を包含する注入ユニット、
(B)前記光源からのビームをコリメートし、コリメートされた光ビームを作るコリメータ、
(C)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つを定義する第1の複数の実質的に平行な光ビームを作り出すべく前記コリメートされた光ビームをマスクするためのマスク、
(D)ビーム・スプリッタ、
を包含し、それにおいて前記第1および第2の複数の実質的に平行な光ビームおよび前記ビーム・スプリッタは、前記実質的に平行な光整列ビームの少なくとも一部のそれぞれが、前記ビーム・スプリッタにおいて交差し、通信ビームとコアライン(co-aligned)するように位置決めされる、請求項4に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項21】
前記第1および第2の整列ビーム・ユニットのそれぞれは、
(A)光源を包含する注入ユニット、
(B)前記光源からのビームをコリメートし、コリメートされた光ビームを作るコリメータ、
(C)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つを定義する第1の複数の実質的に平行な光ビームを作り出すべく前記コリメートされた光ビームをマスクするためのマスク、
(D)ビーム・スプリッタ、
を包含し、それにおいて前記第1および第2の複数の実質的に平行な光ビームおよび前記ビーム・スプリッタは、前記実質的に平行な光整列ビームの少なくとも一部のそれぞれが、前記ビーム・スプリッタにおいて交差し、通信ビームとコアライン(co-aligned)するように位置決めされる、請求項5に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項22】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項2に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項23】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項3に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項24】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項4に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項25】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項5に記載の光スイッチ・モジュール。
【請求項26】
前記第1および第2のビーム方向センサのそれぞれは、
(A)前記第1または第2のセットの整列ビームのうちの1つの中のそれぞれの整列ビームと交差するべく位置決めされたスクリーン、および
(B)前記交差の像の位置を記録するビデオ・カメラ、
を包含する、請求項6に記載の光スイッチ・モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図9K】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図12I】
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【図12J】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【公表番号】特表2010−522899(P2010−522899A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500965(P2010−500965)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/003932
【国際公開番号】WO2008/118451
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509268417)トレックス エンタープライズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】