説明

光データ伝送を用いるディスプレイデバイス

ピクセル情報を搬送する光を移送するための光導波路11を画定するディスプレイ基板と、ディスプレイ基板上に配置されるチップレットであって、ディスプレイ基板とは別個のチップレット22基板、選択された制御波長における光導波路からの光に応答してピクセル情報を与える光センサー192、ピクセル情報に応答して制御信号を与える選択回路16及び制御信号に応答する駆動回路17を有し移送される光を受信するように構成される、チップレットと、コントローラーからのピクセル情報を、選択された制御波長における光として光導波路の中に送信する光送信機と、表示エリア内、又は表示エリア上に位置し、駆動回路に応答して光を与える表示光学素子18とを有する、ディスプレイデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピクセルアレイの並列制御を採用した、分散配置された、独立したチップレットを備えた基板を有するディスプレイデバイスに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
同じ譲受人に譲渡された、Cok他に対する2009年6月9日に出願された「Display Device with Parallel Data Distribution」と題する同時係属中の米国特許出願第12/480,804号が参照され、この開示は本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレイデバイスは、コンピューティングデバイスとともに、そしてポータブルデバイスにおいて、そしてテレビのような娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。基板は通常、連続した板ガラスであるが、プラスチック又は他の材料とすることができ、複数の隣接したタイルに分割することができる。各ピクセルは、各画素を表すために、通常赤色光、緑色光、及び青色光を放射する、一般的にサブピクセルと呼ばれるいくつかの異なる色の発光素子を組み込んでいる。ピクセル及びサブピクセルは、本明細書で用いられるとき区別されず、単一の発光素子を指す。種々のフラットパネルディスプレイ技術、例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び発光ダイオード(LED)ディスプレイ等のエレクトロルミネッセント(EL)ディスプレイが知られている。
【0004】
発光素子を形成する発光材料の薄膜を組み込んだELディスプレイは、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。Tang他に対する特許文献1は、有機LED(OLED)発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示している。代替的には、無機材料を用いることができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。当該技術分野で既知の有機材料又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷注入、電荷輸送、又は電荷遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は基板上において電極間に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料に電流が通電するときに、ピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性に依存する。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)若しくは封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0005】
サブピクセルの制御は通常、当該技術分野において既知であるようなアクティブマトリックス構成又はパッシブマトリックス構成において、行電極及び直交する列電極を用いて成し遂げられる。しかしながら、これらの構成はディスプレイのタイミングの自由度を制限する。さらに、アクティブマトリックスディスプレイでは、各サブピクセルが1つ又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含み、そのようなトランジスタは望ましくない不均一性(例えば、低温ポリシリコン、LTPS、TFT)又は経時変化(例えば、アモルファスシリコン、a−Si、TFT)を有する。
【0006】
代替的な制御技法を用いるものとして、Matsumura他は、特許文献2において、LCDディスプレイの駆動に用いられる結晶シリコン基板を記述している。その出願は、半導体基板から作製されるピクセル制御デバイス(「チップレット」)を別個の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移送し、固定するための方法を記述している。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示されている。マトリックスアドレス指定ピクセル制御技術が教示される。
【0007】
Matsumuraの技法は従来技術のTFTの限界を克服する。しかしながら、高解像度又は高フレームレートディスプレイでは、この技法は、ピクセル情報、すなわち、サブピクセルを制御する情報をチップレットに送信するために用いられる行電極及び列電極の電気的特性によって制限される。これらの電極は、クロストークと、抵抗性、誘導性及び容量性遅延とを有し、それらは克服するのが非常に難しい。
【0008】
他の分野において、光学的シグナリングを用いて、電気的シグナリングの限界を克服することが知られている。例えば、Heflingerに対する特許文献3は自由空間光インターコネクト(FSOI)を教示しており、積分チャンバーのような伝送ボリューム(transmission volume:伝送空間)を通って伝搬する光を用いて、送受信機が情報を送信及び受信する。Dress他に対する特許文献4は、送信機あたり1つのレンズ、及び受信機あたり1つのレンズを用いて、1つの送信機が多数の受信機に対して同時に光を効率的に送信できるようにする光ブロードキャストインターコネクト(optical broadcast interconnect)を教示している。これら2つの出願は、例えば、1つのコントローラーから多数の受信機に効果的に光通信できるようにするが、大きな光学ボリューム(optcial volume)の場合に限られる。それゆえ、これらの方式は、空間、特に厚みに関して大きな制約を有するフラットパネルディスプレイの場合に適していない。
【0009】
Bischel他に対する特許文献5は、光導波路及び有極電気光学構造を用いて、フラットディスプレイのエッジから外部の視認者まで光を誘導するディスプレイデバイスを教示している。この方式によれば、ディスプレイの基板を通じて光を伝送し、所望の点において抽出できるようになる。しかしながら、有極電気光学構造は複雑であり、費用のかかる製造プロセスを必要とする。さらに、この方式は、チップレットのための制御信号分配とは全く異なる問題であるピクセルのための光出力を対象としている。
【0010】
Singh他に対する特許文献6は、光ファイバーのような発光ファイバーの長さに沿って配置される複数の発光素子を利用するディスプレイデバイスを教示している。この方式は、OLEDディスプレイ素子の光制御を提供する。しかしながら、高解像度のディスプレイでは、この方式は、多数のファイバー、例えば、行あたり1つのファイバーを正確に位置決めする必要がある。位置決め誤差があると、目に見える不均一性が生じ、歩留まりが低下する可能性がある。さらに、ファイバー内にいくつかの断線があると、断線以降の全てのピクセル、又はそのファイバーに取り付けられる全てのピクセルが動作しなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,384,529号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0055864号明細書
【特許文献3】米国特許第5,726,786号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0008472号明細書
【特許文献5】米国特許第6,141,465号明細書
【特許文献6】米国特許第6,259,838号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それゆえ、ディスプレイデバイス上のチップレットへのピクセル制御情報の分配を改善することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、コントローラーに応答するディスプレイデバイスであって、
(a)ディスプレイ基板であって、ピクセル情報を搬送する光を移送するための光導波路を画定するとともに、選択された制御波長における屈折率と、長い寸法と、表示エリアと、該長い寸法に沿って、該選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰とを有する、ディスプレイ基板と、
(b)前記ディスプレイ基板上に配置されるチップレットであって、前記ディスプレイ基板とは別個のチップレット基板と、前記選択された制御波長における前記光導波路からの光に応答して前記ピクセル情報を与える光センサーと、前記ピクセル情報に応答して制御信号を与える選択回路と、前記制御信号に応答する駆動回路とを有し、前記移送された光を受信するように構成される、チップレットと、
(c)前記ピクセル情報を前記選択された制御波長における光として前記光導波路の中に送信する光送信機であって、該光送信機は前記コントローラーによって与えられるピクセル情報に応答して光を送信し、該送信された光は、前記光導波路によって前記光センサーに移送される、光送信機と、
(d)前記表示エリア内、又は前記表示エリア上に位置し、前記駆動回路に応答して光を与える表示光学素子と、
を備える、コントローラーに応答するディスプレイデバイスが提供される。
【0014】
本発明の利点は、従来技術に比べて、チップレットのサイズが小さくなり、コストが削減されることである。これは、従来技術に比べて薄いディスプレイ厚を提供することができる。ピクセル情報に応答する選択回路の使用は、ディスプレイデバイスの複雑さを緩和するより効率的な設計である。さらに、本発明のディスプレイデバイスは、信号ワイヤの破損が起こり得ないので、従来技術よりも配線及び相互接続の欠陥に耐える。更なる利点は、パネルに接合される電気ドライバーの数が削減されるので、従来技術に比べて、ドライバー回路及びディスプレイの製造コストを削減できることである。
【0015】
本発明は、フラットパネルディスプレイ上のチップレットにピクセル情報を光学的に分配し、それらのチップレットに取り付けられるサブピクセルを制御する効果的な方法を提供する。光学的な分配は、伝送線路及びRLC遅延を含む、電気的な通信方法によって受ける遅延を除去する。ディスプレイバックプレーンを通じて光を伝送することによって別個の導波路が不要になり、ディスプレイによって占有される体積の増加は好ましくないほどではない。チップレット上に光センサーを形成することによって、チップレット上に効果的な受信機回路を形成するために、高密度リソグラフィを使用できるようになる。本発明によれば、基板光伝送(light piping)の従来技術の方法を実施する場合のように、基板の製造コストは増加しない。本発明は、チップレットとのロバストな通信を提供し、基板が破損することによってのみ通信が中断される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の一実施形態によるディスプレイデバイスのブロック図である。
【図1B】本発明によるディスプレイデバイスの一実施形態のブロック図である。
【図1C】本発明の場合に有用なエレクトロルミネッセント(EL)サブピクセルの概略図である。
【図1D】本発明による、ディスプレイデバイスの一実施形態のブロック図である。
【図2A】本発明の一実施形態によるディスプレイ基板及びチップレットの断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態によるディスプレイ基板及びチップレットの断面図である。
【図2C】本発明の一実施形態によるディスプレイ基板及びチップレットの断面図である。
【図2D】本発明の一実施形態による基板及びチップレットの等角図である。
【図3】本発明の一実施形態による基板及び支持体の断面図である。
【図4A】本発明の一実施形態による雑音除去回路及び関連する構成要素の概略図である。
【図4B】本発明の一実施形態による雑音除去回路及び関連する構成要素の概略図である。
【図4C】本発明の一実施形態による雑音除去回路及び関連する構成要素の概略図である。
【0017】
図面における種々の層及び素子は大きく異なるサイズを有するので、図面は縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aを参照すると、本発明の一実施形態によるディスプレイデバイス10はディスプレイ基板11を含み、ディスプレイ基板上に複数のサブピクセル12が形成される。各サブピクセル12は選択回路16及び駆動回路17を有する。各サブピクセル12は表示光学素子18、例えば、エレクトロルミネッセント(EL)エミッター(発光素子)も含む。各表示光学素子18は、表示エリア14内、又は表示エリア14上に位置し、光を与えるために駆動回路に応答する。サブピクセル12内の接続は、電気的に、光学的に、又は当該技術分野において既知である他の方法によって行なうことができる。コントローラー19が各選択回路16にピクセル情報を与え、各サブピクセル12によって、どの程度の光が与えられるかを決定する。
【0019】
ディスプレイ基板11は、ピクセル情報を搬送する光を移送するための光導波路を画定する。本出願において、「光(light)」は、ピクセル情報を参照する際に、電磁スペクトルの可視領域内の放射だけでなく、全ての電磁放射(一般的に「電波」と呼ばれる)を含む。したがって、「光」は、電波(3kHz〜300GHz)、赤外線、可視光(約400THz〜800THz)、紫外線及び他の電磁波を含む。同様に、「光学(光:optical)」及び「フォト(光:photo)」は任意の電磁波を指しており、例えば、「光送信機」及び「光センサー」は、可視光領域内だけでなく、電磁スペクトル内のどの部分においても動作できるようになる。光送信機は、「電磁波送信機」と呼ぶことができ、光センサーは「電磁波センサー」又は「電磁波受信機」と呼ぶことができる。
【0020】
コントローラー19は、この図及び他の図において、左端が平坦であるブロック矢印として示される光送信機191にピクセル情報を送信する。ピクセル情報は、全体を通じて、左端に切り込みがついているブロック矢印として示される光センサー192によって各サブピクセルに供給される。光送信機191は、ピクセル情報信号としてコントローラー19によって光学的に与えられるピクセル情報を、ディスプレイ基板11によって画定される光導波路を通じて、1つ又は複数の光センサー192に送信する。ピクセル情報信号は、IrDA標準規格によって用いられる選択された制御波長、例えば、875nmの光として送信される。光送信機191からの光はディスプレイ基板11を通って進み、必ずしも全て同時にではないが、全ての光センサー192を通る。光センサー192は、フォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、又は当該技術分野において既知である他の光学センサータイプとすることができる。
【0021】
光センサー192は、ピクセル情報信号、すなわち、選択された制御波長において光送信機191からディスプレイ基板11の光導波路を通って到来する光に応答して、選択回路16にピクセル情報を与える。以下で更に検討されるように、選択回路16は、ピクセル情報に応答して、駆動回路17に制御信号を与える。駆動回路17は、表示光学素子18がピクセル情報に対応する光を生成するか、又は与えるようにすることによって制御信号に応答する。表示光学素子18は、選択された制御波長に等しいか、又は等しくない1つ又は複数の放射波長において光を与えることができる。
【0022】
図1Bを参照すると、一実施形態において、図1Aと同様のディスプレイ基板11、1つ又は複数の表示光学素子18、コントローラー19及び光送信機191を有するディスプレイデバイス10が、サブピクセル12のうちの1つ又は複数を制御するためにディスプレイ基板11上に配置されるチップレット21を更に含む。チップレット21は、コントローラー19からピクセル情報を受信する光センサー192及び選択回路16を含む。また、チップレット21は、各表示光学素子18に対応する駆動回路17も含む。サブピクセル12は、この実施形態では、図1Aの実施形態のように完全には独立していないが、サブピクセル12の全ての構成要素が存在しており、同様の機能を実行する。受信機及び選択回路は種々の方法において結合又は分割することができ、それらの方法はエレクトロニクス技術分野の当業者には明らかになることに留意されたい。
【0023】
図1Cは、本発明の場合に有用なエレクトロルミネッセント(EL)サブピクセルを示す。上記のように、サブピクセル12は、選択回路16及び駆動回路17を有する。各サブピクセル12は表示光学素子18を含み、その素子はELエミッター、例えば、有機発光ダイオード(OLED)である。表示光学素子18はカラーフィルターを更に含むことができる。駆動回路17は、電圧/電流変換器として動作する駆動トランジスタ171を含み、駆動トランジスタ171のゲートに印加される電圧を蓄積するためのオプションのストレージキャパシタ172を含む。選択回路16は駆動回路17に制御信号を供給し、その信号は、表示光学素子18から出力される所望の光に対応する電圧である。制御信号は、オプションで、ストレージキャパシタ172に蓄積される。制御信号は駆動トランジスタ171のゲートに印加され、制御信号により、駆動トランジスタ171は、印加されたゲート電圧に対応する電流を流す。その電流はOLED表示光学素子18を通って流れ、OLED表示光学素子が対応する量の光を放射する。
【0024】
選択回路16が、接続175を介して、光センサー192からピクセル情報を受信し、その接続は電気的接続とすることができる。選択回路16又は駆動回路17は、当該技術分野において既知であるような他の電気的接続を含むことができる。駆動トランジスタ171が第1の電源ライン173に接続され、電源(図示せず)から電流を受信する。表示光学素子18は第2の電源ライン174に接続され、その電流を電源に戻して回路を完成する。同様に、選択回路16は、光センサー192に接続されることに加えて、電気的接続176を通じて(例えば、ソースライン及びゲートラインを通じて)、当該技術分野において既知であるようなコントローラー19に電気的に接続することができる。
【0025】
図1Bを再び参照すると、チップレット実施形態において、チップレット21は、電気的接続176を通じて、コントローラー19に電気的に接続することができる。この電気的接続176は、光学的接続の代わりに存在するのではなく、光送信機191及び光センサー192を通る光学的接続の他に存在する。コントローラー19は、電気的接続176を通じて、選択回路16に補助ピクセル情報を与え、選択回路16は補助ピクセル情報に更に応答して、制御信号を与える。一実施形態では、表示光学素子18は、当該技術分野において既知であるようなデジタルドライブを用いて駆動される。ピクセル情報は、全てのチップレットに対して光学的に与えられるクロック信号であり、10MHzよりも高い周波数を有することが好ましい(例えば、60Hz×720行×8ビット時分割デジタルドライブ=11.06MHz)。補助ピクセル情報は、チップレット21によって制御される表示光学素子18毎のデジタル値であり、表示光学素子18が駆動されるべきであるデューティサイクルを示す。ピクセル情報信号は、ディスプレイデバイス10にわたって高速クロックを電気的に分配することに関連するスキュー及び雑音を伴うことなく、光学的にクロックを送信するのに好都合であり、補助ピクセル情報は、ピクセル情報信号の高い情報密度を必要とすることなく、チップレットあたり、又はサブピクセルあたりの情報を分配するのに好都合である。一実施形態では、そのディスプレイを用いて3D画像、例えば、マルチビューワーポジション(multi-viewer-position)裸眼立体画像を形成する。この実施形態では、クロック信号は少なくとも50MHzの周波数を有することができ、ディスプレイデバイス10が少なくとも300Hzのフレームレートにおいて動作できるようにする。
【0026】
制御信号は、電流、パルス列、又は当該技術分野において既知である他の信号タイプとすることができる。表示光学素子18は、液晶光変調器のような、光制御素子とすることができる。光制御素子は、ピクセル駆動回路によって光制御素子に与えられる電圧に従ってバックライトからの光の通過を制限するために液晶を包囲する交差偏光子を含むことができる。
【0027】
図2Aを参照すると、チップレット21は、ディスプレイ基板11とは別個のチップレット基板22を有する。チップレット基板22は、好ましくは、20μm未満の厚みを有することができる。チップレット21は、ピクセル情報信号、すなわち、光送信機191からの光路23aによって示されるような、光導波路を通って移送される光を受信するように構成される。以下で更に説明されるように、光はディスプレイ基板11から出て、チップレット基板22に入ることができる。ディスプレイ基板11は長い寸法201を有する。この例では、ピクセル情報信号の光は、長い寸法201に沿って、光路23a内を進む。光は光路23aを進むにつれて、当該技術分野において既知であるように減衰する。減衰は、単位長あたりの特定の方向における光出力減衰としてdB単位で測定される。例えば、通信のために用いられる通常の光ファイバーは、850nmにおいて、3dB/kmの光出力減衰を有する。
【0028】
本発明によれば、ディスプレイ基板11では、長い寸法201においてディスプレイ基板11の長さに沿った光出力減衰は、選択された制御波長において20dB未満である。すなわち、長い寸法201に沿って進むときに、選択された制御波長においてディスプレイ基板11の一端において注入される光出力の少なくとも1%が、ディスプレイ基板11の他端に達する。このことから、本発明の構成要素(例えば、ディスプレイ基板11、チップレット基板22)の軸又は寸法を参照する際の用語「〜に沿って」は、その軸又は寸法の方向において、或る長さから、最長で、その対応する構成要素の長さまでを意味するように当業者によって理解されるであろう。例えば、「ディスプレイ基板11の長軸に沿って」は、長い寸法201の方向においてディスプレイ基板11の長さにわたって進むが、それより先には進まないことを意味する。
【0029】
当該技術分野において既知であるような光導波路は、一般的に、隣接する材料よりも高い屈折率を有する材料であり、その中では光が内部全反射によって移送される。ディスプレイ基板11は、選択された制御波長において、ディスプレイ基板11を包囲する空気よりも高い屈折率を有し、それゆえ、光導波路を形成する。例えば、ガラスディスプレイ基板は通常、1.5の屈折率を有し、空気は通常、1.0の屈折率を有する。光導波路を形成するディスプレイ基板11は、ディスプレイ基板11の法線に対する臨界角を有する。光路23aが、この臨界角よりも大きな(法線から離れた)角度においてディスプレイ基板11の上面11aに突き当たるとき、その光路は反射してディスプレイ基板11の中に戻される。それゆえ、ディスプレイ基板11の上面11aの臨界角よりも大きな入射角を有する光線は、ディスプレイ基板11の中に閉じ込められることになる。図2Aに示されるように、これらの光線をチップレット基板22に取り込むために、チップレット基板22は、ディスプレイ基板11の屈折率に実質的に等しい屈折率を有することができ、かつディスプレイ基板11に直接接触して配置することができ、それにより、光がほとんど屈折することなく、ディスプレイ基板11からチップレット基板22内にそのまま通り抜けられるようにする。用語「上面」は、ディスプレイ基板11の任意の特定の向きを要求しないことに留意されたい。
【0030】
図2Bを参照すると、別の実施形態では、チップレット基板22は、ディスプレイ基板とチップレット基板22との間に配置される接着剤24を用いて、ディスプレイ基板11に接着される。接着剤24は、エポキシ(例えば、RTV、室温加硫)、フォトレジスト(例えば、Rohm & Haas MEGAPOSIT SPR 955-CM汎用フォトレジスト)、又は当該技術分野において既知である別の接着剤とすることができる。接着剤24は、ディスプレイ基板11の全体にわたって均一に配置することができるか、又はこの図に示されるように、その対応するチップレット基板22とディスプレイ基板11との間にのみ配置することができる。
【0031】
接着剤24は、厚み軸241Tによって規定される厚み24Tを有する。或る軸によって「規定される」量、例えば、厚み軸241Tによって規定される厚み24Tは、その量(例えば、厚み24T)がその軸(例えば、厚み軸241T)に沿って測定されることを意味する。その軸は、一般的に、その軸に沿った場合に量が最も小さい軸である。例えば、或る部屋の床と天井との間の距離は、対角線方向ではなく、垂直方向において測定されるので(対角線方向は、垂直方向よりも大きな測定値を与えることになる)、その部屋の高さは垂直軸によって規定される。
【0032】
その厚みは、1ミクロン以上であり、かつ10ミクロン以下であることが好ましい。厚み軸241Tは、ディスプレイ基板10の厚みを規定する厚み軸101Tに対して実質的に平行である。「実質的に平行」は、厚み軸241Tと厚み軸101Tとの間の角度が±10°であることを意味する。
【0033】
光が接着剤24を通じてチップレット基板22まで進めるようにするために、接着剤24は、接着剤24の厚み軸241Tに沿って、選択された制御波長において10dB未満の光出力減衰を有する。本発明の一実施形態において、接着剤24は、光学フィルター、例えば、カラーフィルターとしての役割を果たし、選択された制御波長における光と他の光とを弁別することができる。例えば、接着剤24は、顔料(例えば、緑色カラーフィルターにおいて有用な黄色透過性顔料の場合、Clariant PY74若しくはBASF Palitol(R) Yellow L 0962 HD PY138、又はToppan顔料)を混ぜた上記のようなフォトレジスト、又は着色フォトレジスト(例えば、Fuji-Hunt Color Mosaic CBV青色レジスト)から形成されるカラーフィルターとすることができる。接着剤24は、接着剤24の厚み軸241Tに沿って、選択された制御波長とは異なる選択された波長において10dB以上の光出力減衰を更に有することができる。例えば、接着剤24は、可視光を遮断しながら、赤外線を通すことができる。
【0034】
チップレット基板22は、選択された制御波長において或る屈折率を有する。例えば、室温におけるバルクシリコンは、1000μmにおいて約3.5の屈折率を有する。接着剤24も選択された制御波長において或る屈折率を有する。例えば、Intertronics DYMAX OP-4-20658光ファイバーUV硬化可能カチオンエポキシ接着剤は、赤外線波長において、1.585の屈折率を有する。チップレット基板22は、選択された制御波長において、好ましくは、選択された制御波長におけるディスプレイ基板11の屈折率よりも大きい屈折率を有することができる。これにより、光線がディスプレイ基板11からチップレット基板22に進むときに、法線から離れるのではなく、法線に向かって曲がり、それにより、任意の所与の光が光センサー192に突き当たることになる確率が高くなる。接着剤24は、選択された制御波長において、好ましくは、選択された制御波長におけるディスプレイ基板11の屈折率の80%よりも大きく、かつ選択された制御波長におけるチップレット基板22の屈折率の120%よりも小さい屈折率を有することができる。これは、ディスプレイ基板11内の内部全反射による光損失を最小限に抑える。接着剤24は、選択された制御波長において、より好ましくは、選択された制御波長におけるディスプレイ基板11の屈折率以上であり、かつ選択された制御波長におけるチップレット基板22の屈折率以下である屈折率を有することができ、選択された制御波長において、更により好ましくは、選択された制御波長におけるディスプレイ基板11の屈折率よりも大きく、かつ選択された制御波長におけるチップレット基板22の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。これは最終的に、光線がディスプレイ基板11の上面11aにおいてディスプレイ基板11から接着剤24の中に進むときに法線25aに向かって曲げられ、光線が接着剤24の上面24aにおいて接着剤24からチップレット基板22の中に進むときに法線25bに向かってさらに曲げられる光路23bを与える。法線25a及び25bは、上面24aが平坦であるときに平行であるが、これは必要ないことに留意されたい。
【0035】
図2A及び図2Bは、長い寸法201に沿った光路23a及び23bを示す。しかしながら、光は、任意の方向における直線、又は球状の波面のような、数多くの経路においてディスプレイ基板11の中を進むことができる。
【0036】
図2Dを参照すると、ディスプレイ基板11及びチップレット基板22が等角図において示される。ディスプレイ基板11は長さ11L、幅11W及び厚み11Tを有する。これらの寸法は、3つの実質的に直交する軸:長さ軸101L、幅軸101W及び厚み軸101Tによってそれぞれ規定される。「実質的に直交する」は、それらの軸間の角度が90±10°であることを意味する。ディスプレイ基板11の長い寸法201は、長さ11L及び幅11Wのうちの長い方として測定することができる。代替的には、長い寸法は、ディスプレイ基板の長さ−幅(101L−101W)面内の対角線に沿って測定することができる。厚み11Tは、長さ11L及び幅11Wの短い方よりも小さく、20mm以下であることが好ましい。例えば、長さ11L及び幅11Wは16:9の比、及び10”より大きな値を有することができ、厚み11Tは2mm以下とすることができる。
【0037】
チップレット基板22は厚み22Tを有し、その厚みは20μm未満とすることができる。厚み22Tは厚み軸221Tによって規定され、その軸はディスプレイ基板22の厚み軸101Tに対して実質的に平行である。厚み軸221Tと長さ軸101L及び幅軸101Wを含む面との間の角度は、厚み軸101Tと長さ軸101L及び幅軸101Wを含む面との間の角度の±10°以内とすることができる。すなわち、pnを長さ軸101L及び幅軸101Wのベクトルクロス乗積、すなわち、両方の軸に対して垂直なベクトルと定義すると、厚み軸221Tとpnとの間の角度は、厚み軸101Tとpnとの間の角度の±10°以内である。
【0038】
光がチップレット基板22を通じてその上に配置される光センサーまで進めるようにするために、チップレット基板22は、チップレット基板22の厚み軸221Tに沿って、選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰を有する。
【0039】
光送信機191によって送信されるピクセル情報信号は、光路23cによって示されるように、ディスプレイ基板11の厚み軸101Tに対して実質的に平行な1つ又は複数の方向において、光導波路内を進む。ピクセル情報信号が、チップレット基板22下のエリアに達するとき、その信号は、上記のように光導波路から取り込まれ、光センサー192によって受信される。ピクセル情報信号は各チップレット21に達するが、チップレット21は、異なる時点において、又は異なる経路によってピクセル情報信号を受信することができる。光はディスプレイ基板11のエリア全体を通り抜ける必要はない。光送信機191は、レーザー又はレーザーダイオードのようなナロービーム源、ランプ又は等方性エミッターのようなブロードビーム源、又はLEDのような、その中間にあるビーム源とすることができる。光送信機191は、基板上に構成することができるか(例えば、エレクトロルミネッセントエミッター)、基板上に実装することができるか(例えば、表面実装LED)、基板に取り付けることができるか(例えば、基板に隣接して機械的に保持されるディスクリートLED)、又は基板の近くに位置することができるか(例えば、そのビームが基板の中に誘導されるレーザー)、又は当業者に明らかである他のオプションとすることができる。光送信機191は、ディスプレイ基板11の上面、底面又はエッジの上又は近くに配置することができる。
【0040】
当該技術分野において既知であるように、長方形導波路の厚みT(m)は、式1によって、その導波路が通常搬送する周波数f(Hz)に関連付けられる。
f=kc/T (式1)
ただし、kは約0.3〜0.5の範囲にある無次元定数であり、cは光の速さである(〜3×108m/s)。特定の厚みの導波路が或る帯域の周波数を搬送することができるので、k値には範囲がある。0.4のkの場合の代表値を用いるとき、1500オングストローム厚〜3000オングストローム厚の導波路において、可視光範囲(約380nm〜750nm、又は約400THz〜800THz)を搬送できることが好ましい。この厚みの層は従来の装置によって堆積することができる。例えば、従来のスパッタリングされる金属層は2000オングストローム厚である。それゆえ、そのような導波路は、上記のように、支持体32上にある透明な導波性ディスプレイ基板層とすることができる。選択された制御波長における光をユーザーから見えないようにするために、約6000オングストローム厚のディスプレイ基板11と共に約1.5μmの目に安全な赤外線波長を使用できるか、又は約8000オングストローム厚のディスプレイ基板と共に2μmの波長を使用できることが好ましい。
【0041】
代替的には、マイクロ波周波数範囲内の光の場合に、従来のガラスディスプレイ基板11を導波路として使用することができる。ガラスディスプレイ基板11は、0.3mm〜2mm(2mmを含む)とすることができ、好ましくは、0.5mm〜1mm(1mmを含む)とすることができる。2mmガラスは、61.25GHzにおけるISM(産業科学医療用)免許不要帯域、及び合衆国における59GHz〜64GHzからの免許不要帯域を含む、約50GHz〜70GHzの周波数を搬送できることが好ましい。1.1mmガラスは、122.5GHzにおけるISM帯域を含む、85GHz〜130GHzの周波数を搬送できることが好ましい。0.5mmガラスは、245GHzにおけるISM帯域を含む、190GHz〜280GHzの周波数を搬送できることが好ましい。0.3mmガラスは、300GHzよりも高い周波数のような大部分の管轄において免許不要である、約315GHz〜470GHz(約650μm〜950μm)のサブミリメートル範囲内の光を搬送できることが好ましい。
【0042】
ディスプレイ基板11によって画定される光導波路は、好ましい範囲よりも高い周波数の光を搬送することができる。例えば、地球の表面及び電離層は、非常に低い周波数(例えば、40Hz未満のシューマン共振)に対して、誘電体として大気を有する導波路を画定するが、はるかに高い周波数(例えば、30kHz〜3PHz)の電波も大気中を伝搬する。同様に、ガラスディスプレイ基板11は、例えば、約400THz〜800THzの可視光周波数を含む、上記の好ましい範囲(例えば、0.5mmガラスの場合に280GHz)よりも高い周波数を搬送することができる。ディスプレイ基板11の好ましい範囲よりも高い周波数では、光は導波路内に完全には閉じ込められず、或る量の光が脱出する。本発明が必要とするのは、ピクセル情報信号の十分な量の光が光センサー192に達し、それにより、光センサー192が選択回路に制御情報を与えられるようにすることだけである。当該技術分野において既知の光センサーは検出しきい値を有するので、選択された制御波長において光センサーに達する光は、好ましくは、検出しきい値よりも高い振幅を有することができる。
【0043】
ディスプレイ基板11が2つ以上の波長において光を搬送することができるとき、ピクセル情報を2つ以上の波長において同時に送信することができる(波長分割多重、「WDM」)。図1Bを再び参照すると、コントローラー19が、ピクセル情報及び第2のピクセル情報を与えることができる。光送信機191が、2つの波長を同時に送信することができるか、又は異なる波長において送信する2つの送信機を含むことができる。2つの波長は、選択された制御波長及び第2の選択された制御波長である。ピクセル情報は選択された制御波長において送信され、第2のピクセル情報は、第2の選択された制御波長において同時に送信される。ディスプレイ基板11は、第2の選択された制御波長において第2のピクセル情報を搬送する光を移送するように構成され、長い寸法201に沿って、第2の選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰を有する。チップレット21は、第2の選択された制御波長において移送された光を受信するように構成される。光センサー192は、両方の波長において光を受信できるような、選択的な周波数応答を有することができるか、又は2つの波長における2つの受信機を含むことができる。
【0044】
図1Dを参照すると、別の実施形態では、ピクセル情報は、選択された制御波長における第1のピクセル情報信号及び第2の選択された制御波長における第2のピクセル情報信号に分割され、そのような信号として送信される。図1Bと同様に、ディスプレイデバイス10は、ディスプレイ基板11と、1つ又は複数の表示光学素子18と、コントローラー19と、光送信機191と、光センサー192、選択回路16及び駆動回路17を有するチップレット21とを含む。光送信機191が第1のピクセル情報信号を送信する間に、第2のピクセル情報信号を第2の選択された制御波長における光として送信するために、コントローラー19は第2の光送信機191aにも接続される。チップレット21は、第2の選択された制御波長において移送される光を受信するように構成される。光センサー192が第1のピクセル情報信号及び第2のピクセル情報信号に応答することもできるし、光センサー192が第1のピクセル情報信号に応答する間に、第2のピクセル情報信号(第2の選択された制御波長において光導波路によって移送される光)に応答する第2の光センサー192aを含めることもできる。選択回路16は、第1のピクセル情報信号において搬送される第1のピクセル情報、及び第2のピクセル情報信号において搬送される第2のピクセル情報に応答し、各駆動回路17にそれぞれの制御信号を与える。この実施形態では、ディスプレイ基板11は、第2の選択された制御波長においてピクセル情報を搬送する光を移送するように構成され、長い寸法に沿って、第2の選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰を有する。
【0045】
図3を参照すると、光路23dに沿ってディスプレイ基板11の中を進む光は、ディスプレイ基板11のエッジ22eに達するとき、ディスプレイ基板11から外部に屈折することができる。エッジ22eは、長さ軸101L(ここで図示される)又は幅軸101W(図2D)に対して実質的に垂直である。「実質的に垂直」は、エッジ22eの面内のベクトルが、長さ軸101Lに対して、90±10°の角度を形成することを意味する。選択された制御波長が可視光波長(例えば、380nm〜750nm)である場合には、ディスプレイ基板11から到来する光が不快なほどにユーザーから見える可能性がある。この問題を緩和するために、一実施形態では、ディスプレイデバイス10は、エッジに隣接し、かつ実質的に平行に位置する吸収素子31を含む。吸収素子31は、選択された制御波長において光を吸収することになる任意の材料、例えば、つや消し仕上げの黒いプラスチックの棒とすることができる。吸収素子31は、選択された制御波長において0よりも大きな吸収パーセンテージを有し、選択された制御波長において75%よりも大きな吸収パーセンテージを有することが好ましい。吸収パーセンテージが高いほど、ユーザーから見える光が少ない。吸収素子31は、ディスプレイ基板11と直接接触することもできるし、ディスプレイ基板11に近いが、空気、接着剤又は当該技術分野において既知である別のセパレーターによってディスプレイ基板11から分離させることもできる。
【0046】
一実施形態では、ディスプレイ基板11は支持体32上に実装される。例えば、不透明なプラスチック支持体32上に透明なガラスディスプレイ基板11を実装して、機械的な安定性を付加することができる。代替的には、ディスプレイ基板11は、スピンコーティング又は他の薄膜堆積法によって箔支持体上に堆積される透明な導波性ディスプレイ基板層とすることができる。支持体は、選択された制御波長において光を反射するか、又はディスプレイ基板11の屈折率よりも低い屈折率を有し、ディスプレイ基板22と支持体32との間の界面における光損失を低減できることが好ましい。支持体32は長い寸法301を有し、その寸法はディスプレイ基板11の長い寸法201に対して平行にすることができる。選択された制御波長における長い寸法301に沿った支持体32の光出力減衰は、選択された制御波長におけるディスプレイ基板11の長い寸法201に沿った光出力減衰よりも大きい。吸収素子31及び支持体32は同じ図において示されるが、その2つは独立して、又は組み合わせて用いることができることに留意されたい。吸収素子31は、支持体32上に配置することができるが、そのように配置される必要はない。支持体32を含む実施形態では、ディスプレイ基板11は非長方形とすることができる。例えば、ディスプレイ基板11は、上記のような光導波路を形成する、パターニングされた層とすることができる。ディスプレイ基板11が完全に接続されるので、ディスプレイ基板11内に、光送信機191からの光がディスプレイ基板11、例えば、上面11aと光学的に接触して配置される各光センサー192に達するための1つの経路が存在する。
【0047】
当該技術分野において既知であるような変調方式が、到来する信号を正確に受信することができる雑音フロア、すなわち、最低限許容できる信号対雑音(S/N)比を有する。或る選択された変調方式の場合に、選択された制御波長において光センサーに達する光は、光送信機からディスプレイ基板の光導波路を通って、他の光源から光導波路を通って、又は他の光源から光導波路以外の媒体(例えば、ディスプレイ周囲の空気)を通って到来することができる。光送信機からの光(ピクセル情報信号)以外の、選択された制御波長において光センサーに達する光が雑音である。
【0048】
図4Aを参照すると、選択回路16が、光センサー192からの制御信号に応答してピクセル情報を駆動回路17に与える雑音除去回路42を含むことができる。一実施形態において、表示光学素子18からの光は光センサー192に対する雑音である。したがって、雑音除去回路42は、1つ又は複数の受信制御信号を格納するメモリ421と、格納された制御信号(複数の場合もあり)に応答して、受信制御信号(複数の場合もあり)を調整し、選択された制御波長において表示光学素子18によって放射された光を補償するプロセッサ422とを含む。表示光学素子18によって放射された光は既知であり、格納された制御信号(複数の場合もあり)に対応するので、その光を光センサー192によって受信された光から減じて、雑音を低減できるようになる。
【0049】
図4Bを参照すると、表示光学素子18からの光が光センサー192に対する雑音である別の実施形態では、表示光学素子18はエレクトロルミネッセントエミッターである。雑音除去回路42が、選択された制御波長に等しくない選択された非制御波長においてELエミッター(表示光学素子18)によって放射された光を検出する第2の光センサー192bを含む。プロセッサ422が、光センサー192bからの信号に基づいて、光センサー192からの受信制御信号(複数の場合もあり)を調整し、選択された制御波長においてOLED ELエミッターによって放射された光を補償し、雑音を低減する。当該技術分野において既知であるような広帯域ELエミッターは一般的に2つ以上の波長における光を生成し、各波長における光の量は相関がある(例えば、一定の比である)。それゆえ、非制御波長におけるELエミッターの光出力を測定し、非制御波長における光と制御波長における光との間の測定された相関、又は既知の相関を用いて、制御波長における光の量を求めることができ、その量を光センサー192によって受信される光から減じて、雑音を低減することができる。
【0050】
図4Cを参照すると、別の実施形態では、ディスプレイデバイス10内の第2のサブピクセル12bからの光が、サブピクセル12a内の光センサー192に対する雑音である。サブピクセル12bは、上記のように、駆動回路17及び表示光学素子18を含む。サブピクセル12a内の雑音除去回路42は、サブピクセル12b内の表示光学素子18によって放射された光を検出する第2の光センサー192bを含む。プロセッサ422が、光センサー192bからの信号に基づいて、光センサー192からの受信制御信号(複数の場合もあり)を調整し、選択された制御波長においてサブピクセル12b内の表示光学素子18によって放射された光を補償し、雑音を低減する。光センサー192bは、サブピクセル12b内の表示光学素子18からの光のみを受信するように、オプションでシールドすることができる。
【0051】
図2Cを参照すると、ピクセル情報信号は、ディスプレイ基板11内でバウンスし、1つの光センサー192によって何度も受信される可能性がある。光センサー192は、上面11aを有するディスプレイ基板11の上方(例えば、上記のようにチップレット基板22上)に配置される。光路23bは、ディスプレイ基板11の中を進み、光センサー192に突き当たる、光送信機191からの光を示す。光は、上面11aにおいて反射し、かつ屈折することができる。光路23dは、ディスプレイ基板11の中を更に進み、光センサー192に戻る反射光を示す。光路23dからの光は、光路23bからの光よりも遅れて光センサー192に達する。それゆえ、光センサー192は、同じピクセル情報を2度受信する(「エコー」)。したがって、選択回路16は、エコーに起因する誤差を低減するために、雑音除去回路42、例えば、エコーキャンセレーションユニットを含む。例えば、ピクセル情報を、送信するための複数のパケットにフォーマットすることができ、各パケットは、タイムスタンプ、シリアル番号、又は光センサー192によって2度目に受信されたときに、そのパケットを破棄できるようにする他の固有識別子を含むことができる。図4Aを再び参照すると、メモリ421が、ピクセル情報の1つ又は複数の受信パケットの固有識別子(複数の場合もあり)を格納することができ、受信されていない(すなわち、その固有識別子(複数の場合もあり)が格納されていない)パケットのみをプロセッサ422に与えることができる。雑音除去回路42が、メモリ421及びプロセッサ422を含むことができる。当該技術分野において既知である他のエコーキャンセレーション技法を本発明と共に利用することができる。
【0052】
ピクセル情報はピクセル情報信号において搬送され、ピクセル情報信号は、トレリス変調、ノンリターンツーゼロ(NRZ)、オン・オフキーイング(OOK)、強度変調(IM)若しくはサブキャリア多重(SCM)のような、当該技術分野において既知である種々の技法に従って変調することができるか、ハフマン符号化若しくはDCTのような当該技術分野において既知である技法を用いて圧縮することができるか、又はマンチェスター符号化若しくは8b10b符号化のような当該技術分野において既知である技法を用いて符号化することができる。光通信及びインターネットワーキング技術分野において既知であるように、ピクセル情報のパケットを必要に応じて結合又は分割して、それらのパケットを、ディスプレイ基板11を通じてロバストに移送することができる。
【0053】
図1Aを参照すると、ピクセル情報信号は全てのサブピクセル12に進む。しかしながら、その情報のうちの異なるサブセットのみが、各駆動回路17によって必要とされる。したがって、各選択回路16は、その選択回路16に接続される駆動回路17(複数の場合もあり)に関連するピクセル情報のみを選択する。従来技術とは異なり、選択回路16は、ピクセル情報信号に応答して、その対応するサブピクセル12に関連するピクセル情報の部分を選択する。種々の方法を利用して、その情報をサブピクセル12(又は図1Bのチップレット21)に分配することができ、かつ選択回路16が関連するピクセル情報を選択できるようになる。
【0054】
本発明の一実施形態では、ピクセル情報(それゆえ、ピクセル情報信号)はコントローラー19によって複数のパケットに分割される。それらのパケットは時間的に順次に配列され、サブピクセル12又はチップレット21に送信される。このことから、用語「受信者」は、図1Bに示されるような、チップレット21が複数のサブピクセル12を駆動する実施形態ではチップレットを、図1Aに示されるような実施形態では、サブピクセル12を含むように当業者によって理解されるであろう。
【0055】
各受信者は固有のカウント値、例えば、2値を指定する1組のスイッチ又はパッド接続を有する。各選択回路16はカウンターを含み、カウンターは、特定の受信者に関連付けられたピクセル情報が受信されるまで、すなわち、カウント値iを有する受信者の場合に、ピクセル情報の第iのパケットが受信されるまで、ピクセル情報の受信パケットをカウントする。ピクセル情報の関連するパケットが受信されたとき、そのパケットは、受信者によって、例えば、フリップフロップ若しくはメモリのようなデジタル記憶素子内に、又はキャパシタ(例えば、172)のようなアナログ記憶素子内に格納される。サブピクセル12のためのカウント値は、左から右、上から下のような、ディスプレイ上でサブピクセル12のラスタライズ順におけるサブピクセル12の番号を表すことができる。複数のサブピクセル12が1つのチップレット21によって制御されるとき、各チップレット21は、好ましくは、固有のカウント値を有することができ、ピクセル情報の各パケットは、対応するチップレットによって制御されるサブピクセル12毎のピクセル情報を含むことができる。
【0056】
本発明の代替の実施形態では、ピクセル情報はパケットにフォーマットされ、各パケットはそれぞれのアドレス値を含む。アドレス値は以下で更に検討される。複数のサブピクセル12又はチップレット21のそれぞれは1つの対応するアドレスを有する。このことから、用語「宛先アドレス」は、パケットのアドレス値を指しており、図1Aにおいて示されるような実施形態における個々のサブピクセル12に対応するパケットアドレス値に加えて、図1Bにおいて示されるような、チップレット21が複数のサブピクセル12を駆動する実施形態では、チップレットに対応するパケットアドレス値を含むように当業者によって理解されるであろう。
【0057】
具体的には、複数の受信者(サブピクセル12又はチップレット21)のそれぞれの選択回路16は、それぞれのアドレス値を有する。各選択回路16は照合回路(例えば、コンパレーター)を含み、照合回路は受信した各パケットの宛先アドレスと、受信者のそれぞれのアドレス値とを比較する。照合回路が、宛先アドレスが受信者のアドレス値と一致することを示すとき、一致する宛先アドレスを有するパケット内のピクセル情報が、制御信号として格納されるか、又は対応する駆動回路17に与えられる。
【0058】
本発明の種々の実施形態において、種々の駆動回路17、例えば、定電流又は定電圧及びアクティブ又はパッシブマトリックスを利用することができる。種々の技術、例えば、チップレット又は薄膜シリコン回路を用いて、選択回路16及び駆動回路17を構成することができる。
【0059】
表示光学素子18としてOLEDを用いる実施形態では、トップエミッター、ボトムエミッターのいずれかのアーキテクチャーを利用することができる。トップエミッターキテクチャーを利用して、デバイスのアパーチャ比を改善し、かつディスプレイ基板11上に付加的な空間を与えて、電力バス及び任意の他のバスを配線できることが好ましい
【0060】
チップレット21のためのアドレス値は、例えば、コンピューター科学分野において既知である128ビットグローバル一意識別子(GUID)標準規格に従って、任意に選択することができる。各サブピクセル12(又はチップレット21)は、固有のアドレス値、すなわち、他の全てのサブピクセル12のアドレスとは異なるアドレスを有することができる。複数のサブピクセル12が単一のチップレット21によって制御されるとき、各チップレット21は、固有のアドレスを有することができることが好ましく、ピクセル情報の各パケットは、そのパケットのアドレスに対応するアドレスを有するチップレット21内に実装されるサブピクセル12ごとのピクセル情報を含むことができる。すなわち、各パケットは、特定のチップレットを識別する対応するアドレスを有することができる。
【0061】
アドレス値は、エレクトロニクス技術分野において既知であるような、レーザートリミング又は接続パッドストラッピングによって、チップレットに割り当てることができる。チップレットのシリコンウェハーのためのマスクを調整し、ウェハー上のチップレットごとに固有のウェハー符号化アドレスを与えることによって、アドレス値をチップレットに割り当てることもできる。ウェハー符号化アドレスを用いるとき、ウェハーごとに同じ1組のアドレスを用いることができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、チップレット21を用いてディスプレイデバイス10を作製するために、以下のステップが実行される。それぞれ固有アドレスを有する複数のチップレットからなる1つ又は複数のウェハー、及びディスプレイ基板11が上記のように準備される。ウェハー(複数の場合もあり)から複数のチップレット21が選択される。その後、選択されたチップレット21ごとに、固有の基板位置が選択される。各チップレット21のアドレス及び基板位置が記録される。チップレット21は、対応する基板位置においてディスプレイ基板11に接着される。その後、記録されたアドレス及び基板位置は不揮発性メモリに格納される。このメモリは、当該技術分野において既知であるようなフラッシュメモリ、EEPROM、磁気ディスク又は他の記憶媒体とすることができる。その後、不揮発性メモリはディスプレイ基板11に関連付けられる。例えば、不揮発性メモリが、メモリチップレットに格納されるEEPROMであるとき、メモリチップレットは、ディスプレイ基板11に接着され、コントローラー19に配線接続される。不揮発性メモリが磁気ディスクであるとき、ディスクにディスプレイ基板11に対応する固有コードを付けることができる。
【0063】
ディスプレイデバイス10が使用中であるとき、コントローラー19はチップレット21の格納されたアドレス及び基板位置を読み出す。コントローラー19は、受信した画像信号を、基板位置あたり1パケット、それゆえ、チップレット21あたり1パケットの、基板位置に対応するピクセル情報の複数のパケットに分割する。コントローラー19は、各パケットに、そのパケットの基板位置に対応するチップレットアドレスを割り当てる。これにより、各チップレット21は、上記のように、対応するピクセル情報を検索できるようになる。
【0064】
各チップレット21は、ディスプレイ基板11から独立した別個の基板を有する。本明細書において用いられるとき、ディスプレイ基板11上に「分散配置される」は、チップレット21が表示エリア14の周辺部にわたって配置されるだけはなく、サブピクセルのアレイ内、すなわち、表示エリア14のサブピクセル12の下方、上方、又は間にも配置されることを意味する。
【0065】
動作時に、ディスプレイコントローラー19は、ディスプレイデバイス10の要求に応じて、画像信号を受信し、処理して、ピクセル情報を生成する。その後、コントローラー19は、ピクセル情報及び任意選択で追加の制御信号をデバイス内の各チップレット21に光学的に送信する。ピクセル情報は、表示光学素子18ごとの輝度情報を含み、各輝度情報は、ボルト、アンペア、又はピクセル輝度と相関がある他の指標で表すことができる。その後、選択回路16及び駆動回路17は、サブピクセル12内の表示光学素子18を制御し、表示光学素子は、関連付けられたデータ値に従って光を提供する。ピクセル情報信号は、タイミング信号(例えば、クロック)、データ信号、選択信号、又は他の信号を含むことができる。
【0066】
一実施形態では、ピクセル情報はパケットに分割され、各パケットは、選択されたビット数nの2値情報を有する。パケット毎のピクセル情報信号は、IEEE802.3イーサネット(登録商標)標準規格に従って、そのパケットをマンチェスター符号化したものであり(ビット0が1から0への遷移であり;ビット1が0から1への遷移である)、1つの光パルスがマンチェスター符号化されたデータにおけるビット1を表し、光パルスの不在がビット0を表すようにオン・オフキーイングによって変調される。ピクセル情報の各パケットは、上記のように、アドレス又はカウント、タイムスタンプ、及び輝度情報を有する。
【0067】
例えば、各チップレットが、8ビット輝度分解能を有する4つのピクセル(16のサブピクセル)を制御する1920×1280RGBWクワッドパターンディスプレイでは、ディスプレイ上に518,400個のチップレットが存在する。各チップレットは、ディスプレイがその標準的な視認方向にあるときに、左から右、その後、上から下のラスター順にカウント(0〜518,399)を割り当てられる。このカウントは、19ビット2進整数として表される。1ビットタイムスタンプが用いられ、フレーム毎に値をトグルする。各チップレットは単にフレームあたり1パケットを受信するように意図されるので、タイムスタンプによって、チップレットは、先行する受信パケットと同じタイムスタンプビットを有する任意の受信パケットを破棄できるようになる。チップレットに取り付けられるサブピクセルは(x,y)で番号を付される。ただし、xは列0..3であり、yは行0..3である。輝度情報は、左から右、その後、上から下のラスター順において、ピクセル情報のパケット内に配列される(xを増加させ、その後、yを増加させる)。
【0068】
ピクセル情報の各パケットは表1(下記)に従ってフォーマットされ、nビットパケット(ここでは、n=148)に対して、ビットは0、すなわち、最初に送信されるビットからn−1まで番号を付され、整数は、最上位バイト及び最上位ビットが最初に送信される(ネットワークバイト順)。
【0069】
【表1】

【0070】
ピクセル情報のパケットは次々に送信される。全ての1ビットのカウント(524,287)及び5516(010101012)に等しく設定される全16輝度データ値を有するパケットが各フレームの最初に送信され、チップレットがフレームの開始を検出し、送信されたビットストリームに同期できるようにするので、選択回路は、どの送信ビットが各パケットのビット0であるかを判断することができる。同期すると、選択回路は、受信ビットモジュロ148(=n)をカウントし、そのピクセル情報パケットのどのビットが受信されているかを判断する。各選択回路は、その対応する駆動回路に、その選択回路に対応するカウントに等しいカウントを有し、かつ先行して受信されたパケットのタイムスタンプの論理NOTに等しいタイムスタンプを有する各受信パケット内の16輝度データ値に対応する制御信号を与える。
【0071】
コントローラー19は、チップレット21として実装してディスプレイ基板11に固定することができる。コントローラー19は、ディスプレイ基板11の周辺部に配置することができるか、又はディスプレイ基板11の外部に存在することができ、従来の集積回路を含むことができる。
【0072】
本発明の種々の実施形態によれば、チップレット21は、種々の方法において構成することができ、例えば、チップレット21の長い寸法に沿って、接続パッドの1つ又は2つの行を有する。
【0073】
本発明は、大きなデバイス基板、例えば、ガラス、プラスチック又は箔を利用し、デバイス基板11上に複数のチップレット21が規則的な配列で配置されるマルチサブピクセルデバイスの実施形態に特に有用である。各チップレット21は、そのチップレット21内の回路部に従うとともに制御信号に応答して、デバイス基板10上に形成された複数のサブピクセル12を制御することができる。個々のサブピクセルグループ又は複数のサブピクセルグループをタイル状の構成要素上に配置することができ、それらの構成要素を組み立てて、ディスプレイ全体を形成することができる。
【0074】
本発明によれば、チップレット21は、ディスプレイ基板11上に分散配置されるサブピクセル12を提供する。チップレット21は、ディスプレイ基板11に比べて相対的に小さな集積回路であり、独立した基板上に形成される、ワイヤ、接続パッド、抵抗器若しくはキャパシタのような受動構成要素、又はトランジスタ若しくはダイオードのような能動構成要素を含む。チップレット21は、ディスプレイ基板11とは別に作製され、その後、ディスプレイ基板11に取り付けられる。チップレット21は、半導体デバイスを製造するための既知のプロセスを用いて、シリコンウェハー又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハーを用いて作製されることが好ましい。各チップレット21は、その後、デバイス基板11に取り付けられる前に分離される。それゆえ、各チップレット21の結晶性基部は、1つ又は複数の選択回路(複数の場合もあり)16又は駆動回路(複数の場合もあり)17がその上に配置される、ディスプレイ基板11とは別の基板とみなすことができる。それゆえ、複数のチップレット21は、ディスプレイ基板11とは別であり、かつ互いに別である対応する複数の基板を有する。詳細には、独立した基板は、その上にサブピクセル12が形成されるディスプレイ基板11とは別であり、独立したチップレット基板22の面積は、合わせても、ディスプレイ基板11よりも小さい。チップレット21は、例えば、薄膜アモルファスシリコンデバイス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られるものよりも、高い性能でより小さな能動構成要素を提供する結晶基板を有することができる。本発明の一実施形態によれば、結晶シリコン基板上に形成されるチップレット21は、幾何学的なアレイに配列され、接着剤又は平坦化材料を用いてディスプレイ基板11に接着される。チップレット21の表面上の接続パッドを用いて、各チップレット21を信号ワイヤ、電力バス及び行電極又は列電極に接続し、表示光学素子18を駆動する。チップレット21は少なくとも4つの表示光学素子18を制御することができる。チップレット21は100μm以下の厚みを有することができることが好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。これは、従来のスピンコーティング技法を用いてチップレット21上に接着剤及び平坦化材料を形成するのを容易にする。
【0075】
チップレット21は半導体基板内に形成されるので、チップレット21の回路部は、最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズが容易に利用可能である。例えば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレット21を作製する際に用いることができる。しかしながら、チップレット21は、ディスプレイ基板11上に組み付けられると、チップレット21上に設けられる配線層への電気的接続を作製するための接続パッドも必要とする。接続パッドのサイズは、ディスプレイ基板11上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(例えば、5μm)、及び配線層に対するチップレットの位置合わせ(例えば、±5μm)に基づく。それゆえ、接続パッドは、例えば、15μm幅にすることができ、パッド間に5μmの間隔をあけることができる。それゆえ、パッドは一般的には、チップレット21内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きくなる。接続パッドは、チップレット21上の回路部を覆う、チップレット21上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げることができるように、できる限り小さな表面積を有するチップレット21を作製することが望ましい。
【0076】
例えば、Yoon、Lee、Yang及びJang著「A novel use of MEMS switches in driving AMOLED」(Digest of Technical Papers of the Society for Information Display, 2008, 3.4, p.13)において記述されているように、微小電気機械(MEMS)構造を用いて有用なチップレットを形成することもできる。
【0077】
ディスプレイ基板11はガラスを含むことができ、蒸着又はスパッタリングされる金属又は金属合金、例えば、アルミニウム又は銀から作製される配線層が、平坦化層(例えば、樹脂)上に形成され、当該技術分野において知られているフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングされる。
【0078】
本発明は、有機又は無機いずれかのLEDデバイスで実施することができる。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、Tang他に対する米国特許第4,769,292号及びVan Slyke他に対する米国特許第5,061,569号において開示されているような小分子OLED又はポリマーOLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて用いられる。例えば、多結晶半導体マトリックス内に形成された量子ドットを用いる無機デバイス(例えば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、及び有機電荷制御層若しくは無機電荷制御層を用いるデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを用いることができる。有機又は無機の発光材料及び構造の数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッターアーキテクチャ又はボトムエミッターアーキテクチャのいずれか及び反転駆動構成又は非反転駆動構成のいずれかを有するそのようなデバイスを製造することができる。
【0079】
本発明は、或る特定の好ましい実施形態を特に参照しながら詳細に説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲内で変形及び変更を実施できることが理解されよう。
【符号の説明】
【0080】
10 ディスプレイデバイス
11 ディスプレイ基板
11a 上面
11L 長さ
11T 厚み
11W 幅
12 サブピクセル
12a サブピクセル
12b サブピクセル
14 表示エリア
16 選択回路
17 駆動回路
18 表示光学素子
19 コントローラー
21 チップレット
22 チップレット基板
22e エッジ
22T 厚み
23a 光路
23b 光路
23c 光路
23d 光路
23e 光路
24 接着剤
24a 上面
24T 厚み
25a 法線
25b 法線
31 吸収素子
32 支持体
42 雑音除去回路
101L 長さ軸
101T 厚み軸
101W 幅軸
171 駆動トランジスタ
172 ストレージキャパシタ
173 電源ライン
174 電源ライン
175 接続
176 電気的接続
191 光送信機
191a 光送信機
192 光センサー
192a 光センサー
192b 光センサー
201 長い寸法
221T 厚み軸
241T 厚み軸
301 長い寸法
421 メモリ
422 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラーに応答するディスプレイデバイスであって、
(a)ピクセル情報を搬送する光を移送するための光導波路を画定するとともに、選択された制御波長における屈折率と、長い寸法と、表示エリアと、該長い寸法に沿って、該選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰とを有する、ディスプレイ基板と、
(b)前記ディスプレイ基板上に配置され、前記ディスプレイ基板とは別個のチップレット基板と、前記選択された制御波長における前記光導波路からの光に応答して前記ピクセル情報を与える光センサーと、前記ピクセル情報に応答して制御信号を与える選択回路と、前記制御信号に応答する駆動回路とを有し、前記移送された光を受信するように構成される、チップレットと、
(c)前記ピクセル情報を前記選択された制御波長における光として前記光導波路の中に送信する光送信機であって、該光送信機は前記コントローラーによって与えられるピクセル情報に応答して光を送信し、該送信された光は、前記光導波路によって前記光センサーに移送される、光送信機と、
(d)前記表示エリア内、又は前記表示エリア上に位置し、前記駆動回路に応答して光を与える表示光学素子と、
を備える、コントローラーに応答するディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記チップレットは前記コントローラーに電気的に接続され、該コントローラーは補助ピクセル情報を更に与え、前記選択回路は該補助ピクセル情報に更に応答して、前記制御信号を与える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記コントローラーはパケットに分割されたピクセル情報を与えるように構成され、各パケットは特定のチップレットを識別する対応するアドレスを有し、前記ディスプレイデバイスは第2のチップレットを更に備え、各チップレット内の前記選択回路はそれぞれのアドレスを有し、該アドレスは異なり、各選択回路は該選択回路の前記アドレスに一致する、対応するアドレスを有するピクセル情報の前記パケットに応答して、対応する制御信号を対応する駆動回路に与える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記選択回路は、前記制御信号に応答して前記ピクセル情報を前記駆動回路に与える雑音除去回路を更に備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記雑音除去回路は、1つ又は複数の受信制御信号を格納する手段を更に備え、該格納された制御信号(複数の場合もあり)に更に応答し、前記選択された制御波長において前記表示光学素子によって放射される光を補償して雑音を低減する手段を更に備える、請求項4に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記表示光学素子はエレクトロルミネッセント(EL)エミッターであり、前記雑音除去回路は、前記選択された制御波長に等しくない波長において前記ELエミッターによって放射される光を検出する第2の光センサーと、前記選択された制御波長において前記ELエミッターによって放射される光を補償して雑音を低減する手段とを更に備える、請求項4に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記ディスプレイデバイスは、第2の駆動回路、及び該第2の駆動回路に応答して光を表示する第2の表示光学素子を更に備え、前記雑音除去回路は前記第2の表示光学素子によって表示される光を検出する第3の光センサーと、前記選択された制御波長において前記第2の表示光学素子によって放射される光を補償して雑音を低減する手段とを更に備える、請求項4に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記チップレット基板は20μm未満の厚みを有する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記ディスプレイ基板は、3つの実質的に直交する軸によって規定される長さ、幅及び厚みを有し、前記長い寸法は該長さ又は該幅のいずれかであり、該厚みは該長さ及び該幅の小さい方よりも小さい、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記チップレット基板は、厚み軸によって規定される厚みを有し、該厚み軸は前記ディスプレイ基板の前記厚み軸に対して実質的に平行であり、前記チップレット基板は、該チップレット基板の前記厚み軸に沿って、前記選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰を有する、請求項9に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記送信された光は、前記基板の前記厚みを規定する前記軸に対して実質的に垂直な1つ又は複数の方向に進む、請求項9に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記ディスプレイ基板は、前記長さ軸又は前記幅軸に対して実質的に垂直なエッジを有し、該エッジに隣接し、かつ実質的に平行に位置する吸収素子を更に備え、該吸収素子は、前記選択された制御波長において0よりも大きな吸収パーセンテージを有する、請求項9に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記ディスプレイデバイスは、前記ディスプレイ基板が実装される支持体を更に備え、該支持体は長い寸法と、前記選択された制御波長における前記ディスプレイ基板の前記長い寸法に沿った前記光出力減衰よりも大きな、前記選択された制御波長における前記長い寸法に沿った光出力減衰とを有する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記ディスプレイデバイスは、前記ディスプレイ基板と前記チップレットとの間に配置されて前記チップレット基板を前記ディスプレイ基板に接着する接着剤を更に備え、前記チップレット基板は、前記選択された制御波長における前記ディスプレイ基板の前記屈折率よりも大きな、前記選択された制御波長における屈折率を有し、前記接着剤は、前記選択された制御波長における前記ディスプレイ基板の前記屈折率の80%よりも大きく、かつ前記選択された制御波長における前記チップレット基板の前記屈折率の120%よりも小さい、前記選択された制御波長における屈折率を有する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記接着剤はフォトレジストであり、前記ディスプレイ基板の前記厚みを規定する前記軸に対して実質的に平行である厚み軸によって規定される厚みを有し、前記接着剤の該厚み軸に沿って、前記選択された制御波長において10dB未満の光出力減衰を有する、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記接着剤は、前記接着剤の前記厚み軸に沿って、前記選択された制御波長とは異なる選択された波長において10dB以上の光出力減衰を有する光学フィルターである、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記接着剤は、その対応するチップレットと前記ディスプレイ基板との間にのみ配置される、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記表示光学素子はエレクトロルミネッセントエミッター又は液晶光変調器である、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記表示光学素子は有機発光ダイオードである、請求項19に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記ディスプレイ基板は第2の選択された制御波長において第2のピクセル情報を搬送する光を移送するように構成され、前記長い寸法に沿って、前記第2の選択された制御波長において20dB未満の光出力減衰を有し、前記チップレットは、前記第2の選択された制御波長において前記移送された光を受信するように構成され、前記第2の選択された制御波長における前記光導波路からの光に応答して、前記第2のピクセル情報を与える第2の光センサーを更に備え、前記選択回路は、前記第2のピクセル情報に更に応答して前記制御信号を与え、前記第2のピクセル情報を前記第2の選択された制御波長における光として前記光導波路の中に送信する第2の光送信機を更に備え、該第2の光送信機は前記コントローラーによって与えられる前記第2のピクセル情報に応答して光を送信し、該送信された光は、前記光導波路によって前記第2の光センサーに移送される、請求項1に記載のディスプレイデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2013−503363(P2013−503363A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526809(P2012−526809)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/044645
【国際公開番号】WO2011/025644
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】