説明

光ピックアップ装置

【課題】センサへの迷光の漏れ込みを円滑に抑制すると共に、センサの位置ずれが生じても検出信号の精度の劣化を抑制することが可能な光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】4分割センサC1には、分光素子によって回折されずに直進したBD光(信号光と迷光)の0次回折光が照射される。センサBa1〜Ba4には、トラック像の方向と垂直な方向に並ぶ分光素子の回折領域によって回折されたBD光(信号光)の+1次回折光が照射される。センサBs1〜Bs4には、トラック像の方向に並ぶ分光素子の回折領域によって回折されたBD光(信号光)の+1次回折光が照射される。照射領域A11〜A18は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の境界線に重ならず、対応するセンサの中央付近に分布している。これにより、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4がX軸方向とY軸方向にずれても、これらセンサの検出信号の劣化が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関するものであり、特に、複数の記録層が積層された記録媒体に対してレーザ光を照射する際に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクの大容量化に伴い、記録層の多層化が進んでいる。一枚のディスク内に複数の記録層を含めることにより、ディスクのデータ容量を顕著に高めることができる。記録層を積層する場合、これまでは片面2層が一般的であったが、最近では、さらに大容量化を進めるために、片面に3層以上の記録層が配されたディスクも実用化されている。ここで、記録層の積層数を増加させると、ディスクの大容量化を促進できる。しかし、その一方で、記録層間の間隔が狭くなり、層間クロストークによる信号劣化が増大する。
【0003】
記録層を多層化すると、記録/再生対象とされる記録層(ターゲット記録層)からの反射光が微弱となる。このため、ターゲット記録層の上下にある記録層から、不要な反射光(迷光)が光検出器に入射すると、検出信号が劣化し、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボに悪影響を及ぼす惧れがある。したがって、このように記録層が多数配されている場合には、適正に迷光を除去して、光検出器からの信号を安定化させる必要がある。
【0004】
以下の特許文献1には、記録層が多数配されている場合に、適正に迷光を除去し得る光ピックアップ装置の新たな構成が示されている。この構成によれば、光検出器の受光面上に、信号光のみが存在する方形状の領域(信号光領域)を作ることができる。ディスクからの反射光は、信号光領域の頂角付近に照射される。信号光領域の頂角付近に、光検出器のセンサを配置することで、検出信号に対する迷光による影響を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−211770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記光ピックアップ装置では、経年劣化等によりセンサの位置ずれが生じると、かかるセンサの検出信号の精度が劣化するという問題を生じる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、センサへの迷光の漏れ込みを円滑に抑制すると共に、センサの位置ずれが生じても検出信号の精度の劣化を抑制することが可能な光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様は、光ピックアップ装置に関する。この態様に係る光ピックアップ装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を記録媒体上に収束させる対物レンズと、前記記録媒体によって反射された前記レーザ光が入射されるとともに、第1の方向における前記レーザ光の収束により第1の焦線を生成し、且つ、前記第1の方向に垂直な第2の方向における前記レーザ光の収束により第2の焦線を生成する非点収差素子と、前記非点収差素子を通過した前記レーザ光を受光する光検出器と、前記記録媒体によって反射された前記レーザ光が入射されるとともに、回折作用によって、2つの第1の領域および2つの第2の領域に入射した前記レーザ光を、それぞれ、前記光検出器の受光面上において、異なる4つの位置に導く分光素子と、を備える。ここで、前記光検出器
は、前記2つの第1の領域および前記2つの第2の領域に入射したレーザ光が導かれる位置に配置された複数のセンサと、前記分光素子によって回折されずに直進した前記レーザ光が導かれる位置に配置された第1の4分割センサとを有する。前記2つの第1の領域は、前記第1の方向と前記第2の方向にそれぞれ平行で且つ互いにクロスする2つの直線の交点を前記レーザ光の光軸に整合させたとき、前記2つの直線によって作られる一組の対頂角が並ぶ第3の方向に配置され、前記2つの第2の領域は、他の一組の対頂角が並ぶ第4の方向に配置される。前記2つの第1の領域は、それぞれ、前記第4の方向に2つの第1の分割領域に区分され、ペアとなる2つの前記第1の分割領域に入射し回折された前記レーザ光が前記光検出器上において所定の隙間だけ離れるよう、前記第1の分割領域の回折作用が調整される。前記2つの第2の領域は、それぞれ、前記第3の方向に2つの第2の分割領域に区分され、ペアとなる2つの前記第2の分割領域に入射し回折された前記レーザ光が前記光検出器上において所定の隙間だけ離れるよう、前記第2の分割領域の回折作用が調整される。前記第1の領域に入射した前記レーザ光を受光する前記センサは、ペアとなる2つの前記第1の分割領域に入射した前記レーザ光を個別に受光する2分割センサからなっている。前記第2の領域に入射した前記レーザ光を受光する前記センサは、ペアとなる2つの前記第2の分割領域に入射した前記レーザ光を個別に受光する2分割センサからなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサへの迷光の漏れ込みを円滑に抑制すると共に、センサの位置ずれが生じても検出信号の精度の劣化を抑制することが可能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態によって何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る技術原理(レーザ光の収束状態)を説明する図である。
【図2】実施の形態に係る技術原理(光束領域の分布状態)を説明する図である。
【図3】実施の形態に係る技術原理(信号光と迷光の分布状態)を説明する図である。
【図4】実施の形態に係る技術原理(信号光のみを取り出す方法)を説明する図である。
【図5】実施の形態に係る技術原理に基づくセンサと信号生成方法を説明する図である。
【図6】実施例1に係る光ピックアップ装置の光学系を示す図である。
【図7】実施例1に係る分光素子の構成を説明する図である。
【図8】実施例1に係る光検出器のセンサレイアウトを示す図およびセンサの位置がずれた状態を示す図である。
【図9】実施例1に係る0次回折光、+1次回折光、−1次回折光の照射領域を示す模式図である。
【図10】実施例1に係る回折領域のステップ高さと回折効率との関係を示す図およびS字カーブを示す図である。
【図11】実施例2に係る分光素子の構成を説明する図である。
【図12】実施例2に係る光検出器のセンサレイアウトを示す図である。
【図13】実施例2に係る0次回折光、+1次回折光、−1次回折光の照射領域を示す模式図である。
【図14】実施例2の比較例に係る分光素子の構成を示す図および照射領域を示す図である。
【図15】実施例2の比較例に係る検出信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】実施例2に係る検出信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】実施例2に係る検出信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】実施例2に係る検出信号および位置信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】変更例1に係る分光素子の構成を示す図および照射領域を示す図である。
【図20】変更例2に係る分光素子の構成を示す図およびその他の変更例に係る分光素子の構成を示す図である。
【図21】変更例2に係る光検出器のセンサレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0013】
<技術的原理>
まず、図1ないし図5を参照して、本実施の形態に適用される技術的原理について説明する。
【0014】
図1(a)、(b)は、レーザ光の収束状態を説明する図である。図1(a)は、ターゲット記録層によって反射されたレーザ光(信号光)、ターゲット記録層よりも深い層によって反射されたレーザ光(迷光1)、ターゲット記録層よりも浅い層によって反射されたレーザ光(迷光2)の収束状態を示す図である。図1(b)は、本原理に用いるアナモレンズの構成を示す図である。
【0015】
図1(b)を参照して、アナモレンズは、レンズ光軸に平行に入射するレーザ光に対し、曲面方向と平面方向に収束作用を付与する。ここで、曲面方向と平面方向は、互いに直交している。また、曲面方向は、平面方向に比べ曲率半径が小さく、アナモレンズに入射するレーザ光を収束させる効果が大きい。
【0016】
なお、ここでは、アナモレンズにおける非点収差作用を簡単に説明するために、便宜上、“曲面方向”と“平面方向”と表現しているが、実際には、レンズ光軸上の互いに異なる位置に焦線を結ぶ作用がアナモレンズによって生じれば良く、図1(b)中の“平面方向”におけるアナモレンズの形状を平面に限定するものではない。なお、アナモレンズに収束状態でレーザ光が入射する場合は、“平面方向”におけるアナモレンズの形状は直線状(曲率半径=∞)となり得る。
【0017】
図1(a)を参照して、アナモレンズによって収束させられた信号光は、曲面方向および平面方向の収束により、それぞれ異なる位置で焦線を結ぶ。曲面方向の収束による焦線位置(P02)は、平面方向の収束による焦線位置(P03)よりも、アナモレンズに近い位置となり、信号光の収束位置(P01)は、曲面方向および平面方向の収束による焦線位置(P02)、(P03)の中間位置となる。信号光のビームは、収束位置(P01)において最小錯乱円となる。なお、収束位置(P01)において、アナモレンズに入射するレーザ光の光軸に垂直な面を、以下、「面P0」と称する。
【0018】
アナモレンズによって収束させられた迷光1についても同様に、曲面方向の収束による焦線位置(P12)は、平面方向の収束による焦線位置(P13)よりも、アナモレンズに近い位置となる。アナモレンズは、迷光1の平面方向の収束による焦線位置(P13)が、信号光の収束位置(P01)よりも、アナモレンズに近い位置となるよう設計されている。
【0019】
アナモレンズによって収束させられた迷光2についても同様に、曲面方向の収束による焦線位置(P22)は、平面方向の収束による焦線位置(P23)よりも、アナモレンズに近い位置となる。アナモレンズは、迷光2の曲面方向の収束による焦線位置(P22)が、信号光の収束位置(P01)よりも、アナモレンズから遠い位置となるよう設計されている。
【0020】
以上を考慮して、面P0上における信号光および迷光1、2の光束領域の関係について検討する。
【0021】
図2(a)は、アナモレンズに入射するレーザ光に設定された4つの光束領域f1〜f4を示す図である。この場合、光束領域f1〜f4を通る信号光は、面P0上において、図2(b)のように分布する。また、光束領域f1〜f4を通る迷光1は、面P0上において、図2(c)のように分布する。光束領域f1〜f4を通る迷光2は、面P0上において、図2(d)のように分布する。なお、図2(b)〜(d)には、信号光のビーム径の大きさを示す円が実線で示されており、図2(c)、(d)に示すように、迷光1、2は信号光に比べて大きく広がっている。
【0022】
ここで、面P0上における信号光と迷光1、2を光束領域毎に取り出すと、各光の分布は、図3(a)〜(d)のようになる。この場合、各光束領域を通る信号光には、同じ光束領域を通る迷光1および迷光2の何れも重ならない。このため、各光束領域を通る信号光と迷光1、2を異なる方向に離散させた後に、信号光のみをセンサにて受光するように構成すると、対応するセンサには信号光のみが入射し、迷光の入射を抑止することができる。これにより、迷光による検出信号の劣化を回避することができる。
【0023】
このように、光束領域f1〜f4を通る光を分散させて面P0上において離間させることにより、信号光のみを取り出すことができる。本実施の形態は、この原理を基盤とするものである。
【0024】
図4(a)は、光束領域f1〜f4を通るレーザ光(信号光と迷光1、2)を面P0上において離間させるために、各光束領域を通るレーザ光の進行方向に付与するベクトルを示す図である。図4(a)は、アナモレンズ入射時の進行方向にレーザ光を見た図である。
【0025】
光束領域f1〜f4を通るレーザ光の進行方向は、それぞれ、ベクトルV1〜V4が付与されることにより変化する。ベクトルV1〜V4の方向は、平面方向と曲面方向に対して、それぞれ、45度の傾きを持っている。ベクトルV1、V2の方向は同じであり、ベクトルV3、V4の方向は同じである。また、ベクトルV1、V4の大きさは同じであり、ベクトルV2、V3の大きさは同じである。ベクトルV1の大きさはベクトルV2よりも大きく、ベクトルV4の大きさはベクトルV3よりも大きい。ベクトルV1〜V4の大きさは、これらベクトルが付与される前のレーザ光の進行方向(アナモレンズ入射時の進行方向)に対する角度として規定される。
【0026】
図4(a)に示すように進行方向が変化されると、光束領域f1〜f4を通るレーザ光(信号光と迷光1、2)は、面P0上において、図4(b)に示すように照射される。なお、図4(b)には、進行方向が変化される前のレーザ光の光軸を示す中心Oが、併せて示されている。ベクトルV1〜V4を調節することにより、面P0上において、図4(b)に示すように各光束領域を通る信号光と迷光1、2を分布させることができる。
【0027】
この場合、光束領域f1、f2を通るレーザ光(信号光)の照射領域は、これら2つの照射領域のみが存在する直方形(信号光領域1)の対角位置にある頂角に位置付けられ、
光束領域f3、f4を通るレーザ光(信号光)の照射領域は、これら2つの照射領域のみが存在する直方形(信号光領域2)の対角位置にある頂角に位置付けられる。
【0028】
ここで、上記原理に基づくセンサと信号生成方法について説明する。
【0029】
図5(a)は、ディスクからの反射光に設定された8つの光束領域a1〜a8を示す図であり、図5(b)は、従来の非点収差法に基づく信号光の照射領域とセンサを示す図である。図5(b)に示すセンサは、図1(a)の構成において面P0上に配され、図5(b)には、光束領域a1〜a8を通る信号光が、面P0上において、それぞれ照射される照射領域A1〜A8が示されている。
【0030】
また、図5(a)において、トラック溝による信号光の0次回折像と1次回折像の重なり(トラック像)の方向は、平面方向および曲面方向に対して45度の傾きを持っており、上下方向となっている。これにより、図5(b)において、信号光のトラック像の方向は、左右方向となる。図5(a)〜(c)には、トラック像の境界が点線で示されている。
【0031】
なお、トラック溝による信号光の0次回折像と1次回折像の重なり状態は、波長/(トラックピッチ×対物レンズNA)で求められることが知られている。図5(a)に示すように光束領域a2、a3、a6、a7に1次回折像が収まる条件は、2>波長/(トラックピッチ×対物レンズNA)>√2となる。
【0032】
図5(b)を参照して、従来の非点収差法では、光検出器の受光面上に4つのセンサSa〜Sdから構成される4分割センサが配される。なお、ここで、センサSa〜Sdは、便宜上、さらに平面方向または曲面方向に2分割されているものとする。すなわち、センサSaは、センサS1、S2に分割され、センサSbは、センサS3、S4に分割され、センサScは、センサS5、S6に分割され、センサSdは、センサS7、S8に分割されている。この場合、センサS1〜S8による検出信号をS1〜S8で表すと、フォーカスエラー信号FEとプッシュプル信号PPは、それぞれ、以下の式(1)、(2)の演算により取得することができる。
【0033】
FE=(S3+S4+S7+S8)−(S1+S2+S5+S6) …(1)
PP=(S1+S2+S3+S4)−(S5+S6+S7+S8) …(2)
【0034】
次に、上記図4(b)に示した信号光を受光するためのセンサと信号生成方法について説明する。
【0035】
図5(c)は、図4(a)に示すように進行方向が変化された信号光を受光するためのセンサを示す図である。図5(c)において、センサS1〜S8は面P0上に配され、トラック像の方向は左右方向となる。
【0036】
図4(a)に示すように進行方向が変化させられると、図5(a)に示す光束領域a1〜a8を通る信号光は、それぞれ、図5(c)に示す照射領域A1〜A8に照射される。したがって、図5(c)に示すように、信号光の照射領域A1〜A8の位置に、センサS1〜S8を配置すれば、図5(b)の場合と同様、フォーカスエラー信号FEとプッシュプル信号PPを、上記式(1)、(2)の演算により取得することができる。
【0037】
以上のように、本原理によれば、従来の非点収差法に基づく場合と同様の演算処理にて、迷光の影響が抑制されたフォーカスエラー信号とプッシュプル信号(トラッキングエラー信号)を生成することができる。
【0038】
ここで、経年劣化等によりセンサS1〜S8の位置が面P0上においてずれた場合、位置ずれに応じてセンサS1〜S8の検出信号が変化するため、検出信号の精度が劣化するという問題を生じる。
【0039】
以下の実施例には、図4(b)に示すように照射領域を分布させる場合の原理に基づく光ピックアップ装置において、光検出器上に配されたセンサの検出信号の精度の劣化を抑制することができる具体的な構成例が示されている。
【0040】
<実施例1>
本実施例は、BD、DVDおよびCDに対応可能な互換型の光ピックアップ装置に本発明を適用したものである。上記原理は、BD用の光学系にのみ適用され、CD用の光学系とDVD用の光学系には、従来の3ビーム方式(インライン方式)が適用されている。
【0041】
図6(a)、(b)は、本実施例に係る光ピックアップ装置1の光学系を示す図である。図6(a)は、立ち上げミラー111、112よりもディスク側の構成を省略した光学系の平面図、図6(b)は、立ち上げミラー111、112以降の光学系を側面から透視した図である。
【0042】
図6(a)、(b)に示すように、光ピックアップ装置1は、半導体レーザ101と、1/2波長板102と、2波長レーザ103と、回折格子104と、ダイクロイックミラー105と、偏光ビームスプリッタ106と、フロントモニタ107と、コリメートレンズ108と、駆動機構109と、1/4波長板110と、立ち上げミラー111、112と、2波長対物レンズ113と、BD対物レンズ114と、分光素子H1と、アナモレンズ115と、光検出器116を備えている。
【0043】
半導体レーザ101は、波長405nm程度のBD用レーザ光(以下、「BD光」という)を出射する。1/2波長板102は、BD光の偏光方向が、偏光ビームスプリッタ106に対してS偏光からややずれた方向となるように、BD光の偏光方向を調整する。2波長レーザ103は、波長785nm程度のCD用レーザ光(以下、「CD光」という)と、波長660nm程度のDVD用レーザ光(以下、「DVD光」という)をそれぞれ出射する2つのレーザ素子を同一CAN内に収容している。2波長レーザ103は、出射するCD光とDVD光の偏光方向が、偏光ビームスプリッタ106に対してS偏光からややずれた方向となるよう設置されている。
【0044】
図6(c)は、2波長レーザ103内におけるレーザ素子(レーザ光源)の配置を示す図である。図6(c)は、2波長レーザ103をビーム出射側から見たときの図である。発光点103a、103bから、CD光とDVD光が発光され、発光点103aと発光点103bの間には、所定のギャップが設けられている。なお、CD光の発光点103aとDVD光の発光点103bとの間のギャップは、後述のように、DVD光が、DVD光用の4分割センサに適正に照射されるように設定される。このように、2つの光源を同一CAN内に収容することで、複数CANの構成に比べて光学系を簡素化することができる。
【0045】
図6(a)、(b)に戻り、回折格子104は、2段ステップ型の回折格子であり、CD光とDVD光を、それぞれ、メインビームと2つのサブビームに分割する。ダイクロイックミラー105は、内部にダイクロイック面105aを有している。ダイクロイック面105aは、BD光を反射し、CD光とDVD光を透過する。半導体レーザ101と、2波長レーザ103と、ダイクロイックミラー105は、ダイクロイック面105aにより反射されたBD光の光軸と、ダイクロイック面105aを透過したCD光の光軸とが互いに整合するように配置される。ダイクロイック面105aを透過したDVD光の光軸は、
BD光とCD光の光軸から、図6(c)に示すギャップだけずれる。
【0046】
BD光、CD光、DVD光は、それぞれ、一部が偏光ビームスプリッタ106を透過し、大部分が偏光ビームスプリッタ106によって反射される。このようにBD光、CD光、DVD光の一部が偏光ビームスプリッタ106を透過するよう、1/2波長板102と、2波長レーザ103が配置される。
【0047】
CD光のメインビームおよび2つのサブビームと、DVD光のメインビームおよび2つのサブビームが、それぞれ、CDとDVDのトラックに沿うよう、回折格子104が配置される。CDによって反射されたCD光のメインビームと2つのサブビームは、後述する光検出器116上のCD用の4分割センサに照射される。DVDによって反射されたDVD光のメインビームと2つのサブビームは、後述する光検出器116上のDVD用の4分割センサに照射される。
【0048】
偏光ビームスプリッタ106を透過したBD光、CD光、DVD光は、フロントモニタ107に照射される。フロントモニタ107は、受光光量に応じた信号を出力する。フロントモニタ107からの信号は、半導体レーザ101と2波長レーザ103の出射パワー制御に用いられる。
【0049】
コリメートレンズ108は、偏光ビームスプリッタ106側から入射するBD光、CD光、DVD光を平行光に変換する。駆動機構109は、収差補正の際に、制御信号に応じてコリメートレンズ108を光軸方向に移動させる。駆動機構109は、コリメートレンズ108を保持するホルダ109aと、ホルダ109aをコリメートレンズ108の光軸方向に送るためのギア109bとを備え、ギア109bは、モータ109cの駆動軸に連結されている。
【0050】
コリメートレンズ108により平行光とされたBD光、CD光、DVD光は、1/4波長板110に入射する。1/4波長板110は、コリメートレンズ108側から入射するBD光、CD光、DVD光を円偏光に変換するとともに、立ち上げミラー111側から入射するBD光、CD光、DVD光を、コリメートレンズ108側から入射する際の偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、ディスクからの反射光は、偏光ビームスプリッタ106を透過する。なお、偏光ビームスプリッタ106を透過するディスクからの反射光の光軸は、図6(a)中のZ軸に平行である。
【0051】
立ち上げミラー111は、ダイクロイックミラーであり、BD光を透過するとともに、CD光とDVD光を2波長対物レンズ113に向かう方向に反射する。立ち上げミラー112は、BD光をBD対物レンズ114に向かう方向に反射する。
【0052】
2波長対物レンズ113は、CD光とDVD光を、それぞれ、CDとDVDに対して適正に収束させるよう構成されている。また、BD対物レンズ114は、BD光をBDに適正に収束させるよう構成されている。2波長対物レンズ113とBD対物レンズ114は、ホルダ121に保持された状態で、対物レンズアクチュエータ122により、フォーカス方向およびトラッキング方向に駆動される。
【0053】
分光素子H1は、上記原理に基づいて、図4(a)に示す各光束領域を通るレーザ光を、面P0上において図4(b)に示すように分布させる。分光素子H1の構成については、追って、図7(a)を参照して説明する。
【0054】
アナモレンズ115は、図1(a)に示すアナモレンズに相当し、分光素子H1側から入射するBD光、CD光、DVD光に非点収差を導入する。アナモレンズ115を透過し
たBD光、CD光、DVD光は、光検出器116に入射する。光検出器116は、各光を受光するための複数のセンサを有している。光検出器116上のセンサについては、追って、図8を参照して説明する。
【0055】
図7(a)は、分光素子H1を偏光ビームスプリッタ106側から見たときの平面図である。図7(b)は、分光素子H1に入射するレーザ光を、分光素子H1の回折領域H11〜H18の境界線に対応するよう区分した光束領域a11〜a18を示す図である。なお、図7(a)には、平面方向と、曲面方向と、トラック像の方向が示されており、図7(b)には、トラック像の境界が点線で示されている。
【0056】
分光素子H1は、正方形形状の透明板にて形成され、光入射面に2段ステップ型の回折パターン(回折ホログラム)が形成されている。分光素子H1の光入射面は、図7(a)に示すように、8つの回折領域H11〜H18に区分されている。
【0057】
回折領域H11〜H18は、光束領域a11〜a18を通るレーザ光を、回折作用により0次回折光、+1次回折光、−1次回折光に分割する。光束領域a11〜a18を通るレーザ光の+1次回折光は、実線の矢印(V11〜V18)の方向に回折される。また、光束領域a11〜a18を通るレーザ光の−1次回折光は、点線の矢印(V11m〜V18m)の方向に回折される。光束領域a11〜a18を通るレーザ光の0次回折光は、回折されずに回折領域H11〜H18を透過する。
【0058】
また、図7(a)には、回折領域H11〜H18によりレーザ光に付与される回折の方向と大きさ(回折角)が、ベクトルV11〜V18およびベクトルV11m〜V18mで示されている。回折領域H11〜H18により生じる+1次回折光の進行方向は、それぞれ、これら回折領域H11〜H18に入射する前のレーザ光の進行方向にベクトルV11〜V18を付与したものとなる。また、回折領域H11〜H18により生じる−1次回折光の進行方向は、それぞれ、これら回折領域H11〜H18に入射する前のレーザ光の進行方向にベクトルV11m〜V18mを付与したものとなる。
【0059】
ベクトルV11、V12は、それぞれ、図4(a)に示すベクトルV1に左方向、右方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV13、V14は、それぞれ、図4(a)に示すベクトルV2に左方向、右方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV15、V16は、それぞれ、図4(a)のベクトルV3に下方向、上方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV17、V18は、それぞれ、図4(a)のベクトルV4に下方向、上方向の成分を加えたベクトルである。なお、ベクトルV11m〜V18mは、それぞれ、ベクトルV11〜V18に対して反対方向であり、ベクトルV11〜V18と等しい大きさを有する。
【0060】
なお、本実施例では、分光素子H1がアナモレンズ115の前段に配置されている。このため、回折領域H11〜H18により生じる回折光は、ベクトルV11〜V18により互いに異なる方向に進んだ後、アナモレンズ115により非点収差作用をうけることになる。すなわち、回折領域H11〜H18により生じる回折光は、アナモレンズ115に入射する際に、僅かに分離された状態にあり、アナモレンズ115に対して軸ずれを生じている。本実施例では、かかる軸ずれによる影響をも考慮して、ベクトルV11〜V18の方向および大きさが調整される。
【0061】
なお、ベクトルV11〜V18、V11m〜V18mの方向は、各回折領域に設定される回折パターンの向きによって設定され、ベクトルV11〜V18、V11m〜V18mの大きさは、各回折領域に設定される回折パターンのピッチによって設定される。
【0062】
また、図7(b)に示すように、光束領域a11〜a14を通るレーザ光には、点線で示す外側の領域に、トラック溝による+1次回折光と−1次回折光(トラック像)が大きく重なっており、かかるトラック像はレーザ光の中心近くに迫っている。このため、光束領域a11〜a14を通るレーザ光の光強度は、トラック像の影響を受け易い。一方、光束領域a15〜a18を通るレーザ光には、トラック像が少し重なっているものの、かかるトラック像はレーザ光の中心から遠い。このため、光束領域a15〜a18を通るレーザ光の光強度は、強度が高いレーザ光の中央が掛かる部分における強度が支配的となり、トラック像による影響はかなり小さい。
【0063】
図10(a)は、回折領域H11〜H18のステップ高さと回折効率との関係を示す図である。
【0064】
図10(a)に示すように、分光素子H1に入射するBD光、DVD光、CD光の回折効率は、回折領域H11〜H18に設定された2段ステップ型の回折パターンのステップ高さによって変化する。本実施例のステップ高さは、図10(a)中に示す“設定値”に設定される。これにより、BD光の0次回折光と+1次回折光の回折効率は、それぞれ、約80%と約10%となり、DVD光とCD光の0次回折光の回折効率は、90%以上となる。なお、−1次回折光の回折効率は、+1次回折光の回折効率と略同じである。
【0065】
こうして、分光素子H1に入射したBD光は、上記回折効率でもって0次回折光、+1次回折光、−1次回折光に分割される。また、分光素子H1に入射したCD光とDVD光は、大半が分光素子H1による回折作用を受けずに、分光素子H1を透過する。
【0066】
図8(a)は、本実施例における光検出器116のセンサレイアウトを示す図である。
【0067】
光検出器116は、回折領域H11〜H18の回折作用によって生じるBD光(信号光)の+1次回折光を受光するBD用のセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4と、分光素子H1による回折作用を受けずに透過したCD光を受光する4分割センサC1〜C3と、分光素子H1による回折作用を受けずに分光素子H1を透過したDVD光を受光する4分割センサD1〜D3とを有する。センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4は、それぞれ、上記原理で示した図5(c)のセンサS1〜S8と同様に配置される。なお、4分割センサC1は、後述のようにBD光の0次回折光の受光にも共用される。また、中心Oは、偏光ビームスプリッタ106からZ軸正方向に出射されるBD光の光軸が、光検出器116の受光面と交わる点であり、4分割センサC1の中心(分割線の交点)と一致する。
【0068】
光束領域a11〜a18を通るBD光(信号光)の+1次回折光は、それぞれ、照射領域A11〜A18に照射される。照射領域A11〜A18は、それぞれ、センサBa1、Ba4、Ba2、Ba3、Bs4、Bs3、Bs1、Bs2によって受光される。回折領域H11〜H18のピッチは、照射領域A11〜A18が、図8(a)に示すように、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に位置付けられるよう設定される。
【0069】
このとき、照射領域A11、A12は、センサBa1とセンサBa4の境界線に重ならず、照射領域A13、A14は、センサBa2とセンサBa3の境界線に重ならない。また、照射領域A15、A16は、センサBs3とセンサBs4の境界線に重ならず、照射領域A17、A18は、センサBs1とセンサBs2の境界線に重ならない。すなわち、上記のようにベクトルV11〜V14が、左方向または右方向の成分を持つことにより、照射領域A11とA12の間に隙間が生じ、照射領域A13とA14の間に隙間が生じる。また、上記のようにベクトルV15〜V18が、下方向または上方向の成分を持つことにより、照射領域A15とA16の間に隙間が生じ、照射領域A17とA18の間に隙間が生じる。このように、照射領域A11〜A18は、それぞれ、対応するセンサの中央付
近に分布している。
【0070】
図8(b)は、センサBa1〜Ba4が設置面内において、右方向(X軸正方向)にずれた状態を示す図である。この場合でも、ずれ量が所定範囲内であれば、照射領域A11〜A14は、それぞれ、センサBa1、Ba4、Ba2、Ba3からはみ出すことがないため、センサBa1〜Ba4の検出信号は略変化しない。同様に、センサBa1〜Ba4が左方向(X軸負方向)にずれた場合でも、ずれ量が所定範囲内であれば、センサBa1〜Ba4の検出信号は略変化しない。
【0071】
よって、センサBa1〜Ba4が左右方向(X軸方向)にずれても、センサBa1〜Ba4の検出信号の劣化が抑制される。なお、センサBs1〜Bs4についても同様に、左右方向の位置ずれが生じても、検出信号の劣化が抑制される。
【0072】
図8(c)は、センサBs1〜Bs4が設置面内において、上方向(Y軸正方向)にずれた状態を示す図である。この場合でも、ずれ量が所定範囲内であれば、照射領域A15〜A18は、それぞれ、センサBs4、Bs3、Bs1、Bs2からはみ出すことがないため、センサBs1〜Bs4の検出信号は略変化しない。よって、センサBs1〜Bs4の検出信号の劣化が抑制される。同様に、センサBs1〜Bs4が下方向(Y軸負方向)にずれた場合でも、ずれ量が所定範囲内であれば、センサBs1〜Bs4の検出信号は略変化しない。
【0073】
よって、センサBs1〜Bs4が上下方向(Y軸方向)にずれても、センサBs1〜Bs4の検出信号の劣化が抑制される。なお、センサBa1〜Ba4についても同様に、上下方向の位置ずれが生じても、検出信号の劣化が抑制される。
【0074】
なお、BD光の光軸に対するBD対物レンズ114の光軸の位置が、トラック像の方向に垂直な方向にシフトした場合(レンズシフト)、照射領域A11〜A18は上下方向(Y軸方向)に移動する。すなわち、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4が上下方向にずれた場合と同様、照射領域とセンサとの位置関係が上下方向に変化する。しかしながら、レンズシフトが生じた場合でも、センサの上下方向の位置ずれと同様、各センサの検出信号は略変化しないため、検出信号の劣化が抑制される。本実施例では、レンズシフトによる照射領域の移動による検出信号の劣化を、上下左右方向のセンサの位置ずれによる検出信号の劣化よりも、確実に抑制するために、照射領域A15、A16の隙間と照射領域A17、A18の隙間は、照射領域A11、A12の隙間と照射領域A13、A14の隙間よりも、大きく設定されている。
【0075】
図8(a)に戻り、BD光とCD光の光軸は、上述したようにダイクロイック面105aによって整合しているため、回折格子104により生じたCD光のメインビーム(0次回折光)と、BD光の0次回折光は、その光軸が中心Oに一致するよう照射される。4分割センサC1の中心が中心Oに位置付けられるよう、4分割センサC1が配置される。4分割センサC2、C3は、CD光のサブビームを受光するよう、光検出器116の受光面上において、メインビームに対しCDのトラック像の方向に配置される。4分割センサC1〜C3は、それぞれ、センサC11〜C14と、センサC21〜C24と、センサC31〜C34から構成されている。
【0076】
DVD光の光軸は、上述したようにCD光の光軸からずれているため、DVD光のメインビームと2つのサブビームは、光検出器116の受光面上において、CD光のメインビームと2つのサブビームからずれた位置に照射される。4分割センサD1〜D3は、それぞれ、DVD光のメインビームと2つのサブビームの照射位置に配置される。なお、CD光のメインビームとDVD光のメインビームとの距離は、図6(c)に示すCD光の発光
点103aとDVD光の発光点103bとの間のギャップによって決まる。
【0077】
図9は、光検出器116の受光面上と同じ平面(面P0)上に分布するBD光(信号光と迷光1、2)の0次回折光、+1次回折光、−1次回折光の照射領域を示す模式図である。破線はBD光の+1次回折光を示し、長鎖線はBD光の0次回折光を示し、点線はBD光の−1次回折光を示している。また、図9には、図8(a)に示すセンサが併せて示されている。
【0078】
本実施例のように、分光素子H1の回折領域H11〜H18に2段ステップ型の回折パターンが形成されると、BD光(信号光と迷光1、2)の+1次回折光と−1次回折光の照射領域は、中心Oを点対称の中心として分布し、0次回折光の照射領域は中心Oに分布する。このとき、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4には、BD光(信号光)の+1次回折光のみが照射される。なお、本実施例では、BD光(信号光と迷光1、2)については、0次回折光と+1次回折光のみが利用され、−1次回折光は利用されない。
【0079】
次に、本実施例におけるBD用の信号生成方法について説明する。本実施例では、BD用のフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号として、上記式(1)、(2)に示すような従来のフォーカスエラー信号FEとプッシュプル信号PPとは異なる、フォーカスエラー信号FE3とトラッキングエラー信号TEが用いられる。
【0080】
本実施例におけるBD用のフォーカスエラー信号FE3は、乗数k1を用いて、以下の式(3)の演算により取得することができる。
【0081】
FE3=FE1+k1×FE2 …(3)
【0082】
ここで、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4、C11〜C14の検出信号を、それぞれ、Ba1〜Ba4、Bs1〜Bs4、C11〜C14と表すものとする。上記式(3)のフォーカスエラー信号FE1は、上記式(1)と同様に、以下の式(4)の演算により取得することができる。また、上記式(3)のフォーカスエラー信号FE2は、以下の式(5)の演算により取得することができる。
【0083】
FE1=(C11+C13)−(C12+C14) …(4)
FE2=(Bs1+Bs3)−(Bs2+Bs4) …(5)
【0084】
よって、本実施例におけるBD用のフォーカスエラー信号FE3は、以下の式(6)の演算により取得することができる。
【0085】
FE3=(C11+C13)−(C12+C14)
+k1×{(Bs1+Bs3)−(Bs2+Bs4)} …(6)
【0086】
ここで、フォーカスエラー信号FE1は、BD光の0次回折光に基づいて生成されるため、迷光1、2の影響を受け易い。また、4分割センサC1の検出信号には、図7(b)に示す全ての光束領域を通るBD光が照射されるため、フォーカスエラー信号FE1はトラック像が不均等に掛かることにより生じる信号(溝信号)を多く含んでしまう。また、4分割センサC1がX軸方向とY軸方向にずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合、4分割センサC1の検出信号が劣化するため、フォーカスエラー信号FE1の精度も低下してしまう。しかしながら、分光素子H1の0次回折光の回折効率は約80%と高いため、フォーカスエラー信号FE1のS/N比は大きくなる。
【0087】
一方、フォーカスエラー信号FE2は、BD光(信号光)の+1次回折光に基づいて生
成され、分光素子H1の+1次回折光の回折効率は約10%と小さいため、フォーカスエラー信号FE2のS/N比は小さくなる。しかしながら、図9に示すように、センサBs1〜Bs4には迷光1、2の照射領域が重ならないため、フォーカスエラー信号FE2は迷光の影響を受け難い。
【0088】
また、センサBs1〜Bs4には、図7(b)に示す光束領域a15〜a18を通るBD光のみが照射されるため、フォーカスエラー信号FE2は溝信号を殆ど含まない。すなわち、図7(b)を参照して説明したように、光束領域a15〜a18を通るレーザ光の光強度は、トラック像の影響を殆ど受けないため、光束領域a15〜a18を通るBD光に基づいて生成されるフォーカスエラー信号FE2は、溝信号を殆ど含まない。また、上述したように、センサBs1〜Bs4の位置がX軸方向とY軸方向にずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBs1〜Bs4の検出信号の劣化が抑制されるため、フォーカスエラー信号FE2の精度の劣化も抑制される。
【0089】
よって、上記式(3)、(6)に示すように、フォーカスエラー信号FE1に、溝信号を殆ど含まないフォーカスエラー信号FE2を加算して、フォーカスエラー信号FE3を生成することで、溝信号の比率が抑制されたフォーカスエラー信号FE3を得ることができる。こうして生成されたフォーカスエラー信号FE3は、S/N比が高く維持されながら、迷光と、溝信号と、位置ずれと、レンズシフトの影響が低く抑えられた良好且つ安定したフォーカスエラー信号となる。
【0090】
なお、上記のとおり、4分割センサC1がX軸方向とY軸方向にずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合には、フォーカスエラー信号FE1の検出信号は劣化する。しかしながら、本実施例では、光検出器116の位置ずれやレンズシフトの影響を受けないフォーカスエラー信号FE2が加算されるため、乗数k1の値を調整してフォーカスエラー信号FE2の比率を調整することにより、フォーカスエラー信号FE3の精度が維持される。
【0091】
また、本実施例におけるBD用のトラッキングエラー信号TEは、乗数k2を用いて、以下の式(7)の演算により取得することができる。
【0092】
TE=(Ba1+Ba4)−(Ba2+Ba3)
−k2×{(Bs1+Bs4)−(Bs2+Bs3)} …(7)
【0093】
このように乗数k2を用いたトラッキングエラー信号TEの演算手法は、本件出願人が先に出願した特開2010−102813号公報に記載されている。
【0094】
この場合も、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4には迷光1、2の照射領域が重ならない。また、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4がX軸方向とY軸方向にずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の劣化が抑制される。よって、トラッキングエラー信号TEは、迷光と、位置ずれと、レンズシフトの影響が低く抑えられたトラッキングエラー信号となる。
【0095】
また、本実施例におけるBD用のRF信号は、以下の式(8)の演算により取得することができる。
【0096】
RF=C11+C12+C13+C14 …(8)
【0097】
なお、4分割センサC1に入射するBD光の0次回折光には、信号光だけでなく迷光1
、2も含まれる。しかしながら、4分割センサC1に入射するBD光の0次回折光のうち、迷光の割合は1/10程度であるため、BD用のRF信号の取得においては、迷光による影響が特に問題となることは無い。
【0098】
また、CD用のフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびRF信号は、4分割センサC1〜C3の検出信号に基づいて生成され、DVD用のフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびRF信号は、4分割センサD1〜D3の検出信号に基づいて生成される。CDおよびDVD用のフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号の生成には、3ビーム方式(インライン方式)による演算処理が用いられる。
【0099】
ここで、本実施例の分光素子H1が用いられる場合、図8(a)、図9に示すように、センサBs1とセンサBs2の境界線と、センサBs3とセンサBs4の境界線に、照射領域が重ならなくなる。このため、BD対物レンズ114をフォーカス方向に移動させる場合に生じるフォーカスエラー信号FE2のS字カーブには、図10(b)に示すように、BD対物レンズ114の焦点位置が記録層に位置付けられる付近(ゼロクロス付近)において、平坦な部分が生じる。しかしながら、4分割センサC1の検出信号に基づいて生成されるフォーカスエラー信号FE1は、図10(b)に示すように、ゼロクロス付近において平坦な部分の無い適正なS字カーブを有する。よって、適正なS字カーブを有するフォーカスエラー信号FE1に、フォーカスエラー信号FE2が加算されたフォーカスエラー信号FE3は、図10(b)に示すように、適正なS字カーブを有する。よって、本実施例の分光素子H1が用いられる場合でも、フォーカスエラー信号FE3により、フォーカスサーボを適正に行うことができる。
【0100】
なお、トラッキングエラー信号TEについては、トラック像に基づく光強度を反映したものであるため、センサの境界線に照射領域が重ならない場合でも、フォーカスエラー信号FE2のような平坦な部分は生じない。よって、上記式(7)で求めたトラッキングエラー信号TEにより、トラッキングサーボを適正に行うことができる。
【0101】
以上、本実施例によれば、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4には、BD光(信号光)の+1次回折光のみが照射される。これにより、迷光による検出信号の劣化を抑制して、精度の高い各種検出信号(たとえば、フォーカスエラー信号FE3とトラッキングエラー信号TE)を取得することができる。
【0102】
また、本実施例によれば、経年劣化等によりセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の位置がX軸方向とY軸方向にずれた場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の精度の劣化が抑制される。また、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の精度の劣化が抑制される。これにより、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号を用いた精度の高い各種検出信号(たとえば、フォーカスエラー信号FE3とトラッキングエラー信号TE)を取得することができる。
【0103】
なお、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の位置がZ軸方向にずれた場合には、図8(a)に示すとおり、センサBa1、Ba4の境界線と、センサBa2、Ba3の境界線が中心Oを通り、センサBs1、Bs2の境界線と、センサBs3、Bs4の境界線が中心Oを通るため、これらセンサの検出信号の劣化は抑制される。すなわち、上記のようにセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4が配されると、これらセンサの設置面がZ軸方向にずれても、照射領域A11〜A14はY軸方向にずれるのみとなり、照射領域A15〜A18はX軸方向にずれるのみとなる。よって、これらセンサの検出信号の劣化が抑制される。
【0104】
また、本実施例では、S/N比の高い4分割センサC1の検出信号を用いて、フォーカスエラー信号FE1を取得し、迷光の影響が少なく溝信号を殆ど含まないセンサBs1〜Bs4の検出信号を用いて、フォーカスエラー信号FE2を取得した。そして、フォーカスエラー信号FE3は、乗数k1を用いて、フォーカスエラー信号FE1、FE2に基づいて取得された。これにより、フォーカスエラー信号FE3は、S/N比が高く維持されながら、迷光と溝信号の影響が低く抑えられた良好且つ安定したフォーカスエラー信号となる。
【0105】
また、本実施例では、図4(b)に示すようにBD光の照射領域を分布させるために、2段ステップ型の回折パターンが形成された分光素子H1が用いられた。このように2段ステップ型の回折パターンが形成されると、図9に示すように広範囲に亘って照射領域が分布することとなる。しかしながら、本実施例によれば、照射領域を全て含むように光検出器上のセンサを設置する必要がない。すなわち、本実施例では、BD光を受光するための光検出器116上のセンサは、中心Oに分布する信号光(0次回折光)と、中心Oの上側と右側に分布する信号光(+1次回折光)と、右上に分布する信号光(+1次回折光)の照射領域のみを含むように設置される。これにより、本実施例のように、安価な2段ステップ型が形成された分光素子H1が用いられても、光検出器116をコンパクトに構成することが可能となる。
【0106】
なお、図4(b)に示すように照射領域を分布させるために、ブレーズ型の回折パターンが形成された分光素子を用いることもできる。しかしながら、ブレーズ型の回折パターンが形成された分光素子は、本実施例のように2段ステップ型の回折パターンが形成された分光素子H1に比べて高価である。本実施例では、安価な2段ステップ型の回折パターンが形成された分光素子H1を用いることで、光ピックアップ装置1にかかるコストを低く抑えることができる。
【0107】
また、本実施例によれば、BD光(信号光と迷光1、2)の0次回折光は、光検出器116の中心Oに入射するため、CD用の4分割センサC1を用いて、BD用のフォーカスエラー信号FE3とRF信号を取得することができる。これにより、光検出器116上に設置するセンサの数を少なくすることができるため、光検出器にかかるコストを低く抑えることができ、且つ、光検出器をコンパクトに構成することができる。
【0108】
<実施例2>
本実施例では、上記実施例1の分光素子H1に替えて、分光素子H1の中心に回折領域が設けられた分光素子H2が用いられる。図11(a)は、分光素子H2を偏光ビームスプリッタ106側から見たときの平面図である。図11(b)は、分光素子H2に入射するレーザ光を、分光素子H2の回折領域H21〜H29の境界線に対応するよう区分した光束領域a21〜a29を示す図である。
【0109】
図11(a)を参照して、本実施例の分光素子H2の光入射面は、9つの回折領域H21〜H29に区分されている。回折領域H21〜H28は、上記分光素子H1の回折領域H11〜H18と同様に構成される。回折領域H21〜H28により付与されるベクトルV21〜V28、V21m〜V28mは、上記分光素子H1により付与されるベクトルV11〜V18、V11m〜V18mと同じである。
【0110】
回折領域H29には、回折領域H21〜H28と同様、2段ステップ型の回折パターン(回折ホログラム)が形成されており、回折領域H29の回折効率は、回折領域H21〜H28と同様に設定される。回折領域H29は、分光素子H2の中心に形成されており、光束領域a29を通るレーザ光の進行方向に対して、+1次回折光についてのベクトルV29と、−1次回折光についてのベクトルV29mを付与する。ベクトルV29mは、ベ
クトルV29に対して反対方向であり、ベクトルV29と等しい大きさを有する。なお、回折領域H29は、後述のように、BD光の迷光による検出信号の劣化を低減させる程度に大きく、且つ、BD光に基づくトラッキングエラー信号TEが適正に得られる程度に小さく設定される。
【0111】
図12は、本実施例における光検出器116のセンサレイアウトを示す図である。
【0112】
光検出器116は、上記実施例1と同様のセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4と、4分割センサC1〜C3、D1〜D3に加えて、回折領域H29の回折作用によって生じるBD光(信号光と迷光1、2)の+1次回折光を受光する4分割センサBzを有する。
【0113】
光束領域a21〜a29を通るBD光(信号光)の+1次回折光は、それぞれ、照射領域A21〜A29に照射される。照射領域A21〜A28は、上記照射領域A11〜A18と同様、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4によって受光される。
【0114】
光束領域a29を通るBD光(信号光と迷光1、2)の+1次回折光は、中心Oに対して右上に位置する4分割センサBzに入射する。4分割センサBzは、センサBz1〜Bz4から構成されており、上下左右の方向に対して45度傾けて配置されている。また、4分割センサの分割線が、中心Oと4分割センサBzの中心BzOとを結ぶ一点鎖線の直線と重なるよう、4分割センサBzが配置されている。回折領域H29のピッチは、光束領域a29を通るBD光(信号光と迷光1、2)の+1次回折光が4分割センサBzの中心BzOに位置付けられるよう設定されている。
【0115】
この場合も、照射領域A21〜A28は、それぞれ位置付けられているセンサの中央付近に分布しているため、経年劣化等によりセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4がX軸方向とY軸方向にずれた場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の精度の劣化が抑制される。また、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の精度の劣化が抑制される。
【0116】
ここで、分光素子H2のZ軸方向の位置調整と、中心Oを中心とする回転方向の位置調整は、センサBz1〜Bz4の検出信号に基づいて行われる。センサBz1〜Bz4の検出信号を、それぞれ、Bz1〜Bz4と表し、分光素子H2のZ軸方向のずれ量と、中心Oを中心とする回転方向のずれ量を、それぞれ、HOEz、HOEθと表すと、HOEz、HOEθは、以下の式(9)、(10)の演算により取得することができる。
【0117】
HOEz={(Bz1+Bz4)−(Bz2+Bz3)}
/(Bz1+Bz2+Bz3+Bz4) …(9)
HOEθ={(Bz1+Bz2)−(Bz3+Bz4)}
/(Bz1+Bz2+Bz3+Bz4) …(10)
【0118】
分光素子H2は、Z軸方向において、上記式(9)のHOEzの値が0となるよう位置付けられ、中心Oを中心とする回転方向において、上記式(10)のHOEθの値が0となるよう位置付けられる。
【0119】
また、分光素子H2のXY平面内の位置調整は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号に基づいて行われる。分光素子H2のX軸方向とY軸方向のずれ量を、それぞれ、HOEx、HOEyと表すと、HOEx、HOEyは、以下の式(11)、(12)の演算により取得することができる。
【0120】
HOEx={(Bs3+Bs4)−(Bs1+Bs2)}
/(Bs1+Bs2+Bs3+Bs4) …(11)
HOEy={(Ba2+Ba3)−(Ba1+Ba4)}
/(Ba1+Ba2+Ba3+Ba4) …(12)
【0121】
分光素子H2は、XY平面内において、上記式(11)、(12)のHOEx、HOEyの値が0となるよう位置付けられる。
【0122】
図13は、光検出器116の受光面上と同じ平面(面P0)上に分布するBD光(信号光と迷光1、2)の0次回折光、+1次回折光、−1次回折光の照射領域を示す模式図である。図13には、図12に示すセンサが併せて示されている。
【0123】
本実施例でも、上記実施例1と同様、BD光(信号光と迷光1、2)の+1次回折光と−1次回折光の照射領域は、中心Oを点対称の中心として分布し、0次回折光の照射領域は中心Oに分布する。なお、本実施例でも、BD光(信号光と迷光1、2)については、0次回折光と+1次回折光のみが利用され、−1次回折光は利用されない。
【0124】
分光素子H2に入射するBD光の中央部分は、図13に示すように、4分割センサBz近傍に飛ばされるため、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の近傍に分布するBD光の迷光(迷光1、2)の+1次回折光の照射領域は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に掛かりにくくなっている。すなわち、センサBa1、Ba4の上端付近に分布する迷光1、2の照射領域は、それぞれ、左端と右端が、回折領域H29により除かれた形状となっている。同様に、センサBa2、Ba3の下端付近と、センサBs1、Bs2の右端付近と、センサBs3、Bs4の左端付近に分布する迷光1、2の照射領域は、回折領域H29に応じて端部が除かれた形状となっている。これにより、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の位置がずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に、BD光(迷光1、2)の+1次回折光が入射し難くなる。
【0125】
ここで、本実施例の分光素子H2において、上下左右の回折領域が区分されていない分光素子H0(比較例)について説明する。
【0126】
図14(a)は、比較例の分光素子H0を示す平面図である。分光素子H0の光入射面は、5つの回折領域H01〜H05に区分されている。回折領域H01は、上記分光素子H1の回折領域H11、H12が一体とされた形状であり、回折領域H02は、上記分光素子H1の回折領域H13、H14が一体とされた形状であり、回折領域H03は、上記分光素子H1の回折領域H15、H16が一体とされた形状であり、回折領域H04は、上記分光素子H1の回折領域H17、H18が一体とされた形状である。回折領域H05は、上記分光素子H2の回折領域H29と同様の形状である。
【0127】
また、図14(a)には、回折領域H01〜H05によりレーザ光に付与される回折の方向と大きさ(回折角)が、ベクトルV01〜V05、V01m〜V05mで示されている。ベクトルV01〜V05は、図4(a)に示すベクトルV1〜V4と同様である。ベクトルV05は、上記分光素子H1のベクトルV19と同様である。なお、ベクトルV01m〜V05mは、それぞれ、ベクトルV01〜V05に対して反対方向であり、ベクトルV01〜V07と等しい大きさを有する。
【0128】
図14(b)、(c)は、上記分光素子H1の替わりに分光素子H0が用いられた場合の、分光素子H0の回折領域H01〜H04に入射するBD光(信号光)の+1次回折光の照射領域A01〜A04を示す図である。センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4以外のセンサ上の照射領域は、図13に示す場合と略同様である。
【0129】
図14(b)に示すように、照射領域A01は、センサBa1とセンサBa4の境界線に重なっており、照射領域A02は、センサBa2とセンサBa3の境界線に重なっている。また、図14(c)に示すように、照射領域A03は、センサBs3とセンサBs4の境界線に重なっており、照射領域A04は、センサBs1とセンサBs2の境界線に重なっている。このため、図5(c)を参照して説明した場合と同様、経年劣化等によりセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の位置がずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号の精度が劣化する惧れがある。
【0130】
次に、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の位置ずれに応じて変化する各センサの検出信号のシミュレーション結果について説明する。
【0131】
図15(a)〜(c)は、図14(a)に示す比較例の分光素子H0が用いられる場合に、センサのX軸方向の位置ずれに応じて変化する検出信号のシミュレーション結果を示す図である。図15(a)は、センサBs1〜Bs4の検出信号を示す図であり、図15(b)は、センサBa1〜Ba4の検出信号を示す図であり、図15(c)は、センサBz1〜Bz4の検出信号を示す図である。なお、図15(a)〜(c)において、横軸は図12のX軸方向を示しており、縦軸はセンサの検出信号を示している。
【0132】
X軸方向の位置ずれが生じると、センサBs1〜Bs4、Bz2、Bz4の検出信号は略変化しないが、センサBa1〜Ba4、Bz1、Bz3の検出信号は位置ずれに応じて変化する。また、Y軸方向の位置ずれが生じると(図示せず)、同様に、センサBa1〜Ba4、Bz1、Bz3の検出信号は略変化しないが、センサBs1〜Bs4、Bz2、Bz4の検出信号は位置ずれに応じて変化する。
【0133】
すなわち、比較例の分光素子H0が用いられる場合、光検出器116の位置がX軸方向とY軸方向にずれると、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の検出信号が劣化する惧れがある。
【0134】
図16(a)〜(c)は、図11(a)に示す本実施例の分光素子H2が用いられる場合に、センサのX軸方向の位置ずれに応じて変化する検出信号のシミュレーション結果を示す図である。なお、図16(a)〜(c)において、横軸は図12のX軸方向を示しており、縦軸はセンサの検出信号を示している。
【0135】
X軸方向の位置ずれが生じると、センサBs1〜Bs4、Bz2、Bz4の検出信号は略変化しないが、センサBa1〜Ba4、Bz1、Bz3の検出信号は位置ずれに応じて変化する。しかしながら、本実施例の分光素子H2の場合、図12に示すように、照射領域がセンサBa1とセンサBa4の境界線に重ならず、照射領域がセンサBa2とセンサBa3の境界線に重ならない。これにより、図16(b)に示すように、X軸方向の位置ずれが−5μm〜+5μm付近において、センサBa1〜Ba4の検出信号が略変化しなくなる。
【0136】
図17(a)〜(c)は、図11(a)に示す本実施例の分光素子H2が用いられる場合に、センサのY軸方向の位置ずれに応じて変化する検出信号のシミュレーション結果を示す図である。なお、図15(a)〜(c)において、横軸は図12のY軸方向を示しており、縦軸はセンサの検出信号を示している。
【0137】
Y軸方向の位置ずれが生じると、センサBa1〜Ba4、Bz1、Bz3の検出信号は略変化しないが、センサBs1〜Bs4、Bz2、Bz4の検出信号は位置ずれに応じて
変化する。しかしながら、本実施例の分光素子H2の場合、図12に示すように、照射領域がセンサBs1とセンサBs2の境界線に重ならず、照射領域がセンサBs3とセンサBs4の境界線に重ならない。これにより、図17(a)に示すように、Y軸方向の位置ずれが−10μm〜+10μm付近において、センサBs1〜Bs4の検出信号が略変化しなくなる。
【0138】
なお、Y軸方向に位置ずれが生じた場合に、図17(a)に示すようにセンサBs1〜Bs4の検出信号が略変化しなくなる範囲が、X軸方向に位置ずれが生じた場合に、図16(b)に示すようにセンサBa1〜Ba4の検出信号が略変化しなくなる範囲よりも大きく設定されている。かかる理由は、上述したように、BD対物レンズ114のレンズシフトにより検出信号の劣化を抑制するために、照射領域A25、A26の隙間と照射領域A27、A28の隙間が、照射領域A21、A22の隙間と照射領域A23、A24の隙間よりも大きく設定されているためである。
【0139】
なお、光検出器116の位置調整は、分光素子H2によって回折されずに直進したレーザ光の0次回折光を用いて、4分割センサC1のセンサC11〜C14の検出信号を参照して行われる。
【0140】
図18(a)、(b)は、それぞれ、センサのX軸方向とY軸方向の位置ずれに応じて変化する4分割センサC1の検出信号のシミュレーション結果を示す図である。なお、図18(a)、(b)において、横軸は図12のX軸方向、Y軸方向を示しており、縦軸はセンサの検出信号を示している。図18(a)、(b)に示すように、4分割センサC1の位置がX軸方向とY軸方向にずれる場合、センサC11〜C14の検出信号は位置ずれに応じて変化する。
【0141】
図18(c)、(d)は、それぞれ、センサのX軸方向とY軸方向の位置ずれに応じて変化する位置信号PosX、PosYのシミュレーション結果を示す図である。なお、図16(c)、(d)において、それぞれ、横軸は図9のX軸方向、Y軸方向を示しており、縦軸は位置信号の値(%)を示している。位置信号PosX、PosYは、それぞれ、以下の式(13)、(14)の演算により取得することができる。
【0142】
PosX={(C13+C14)−(C11+C12)}
/(C11+C12+C13+C14) …(13)
PosY={(C12+C13)−(C11+C14)}
/(C11+C12+C13+C14) …(14)
【0143】
光検出器116の位置調整は、上記式(13)、(14)の演算により取得される位置信号PosX、PosYの値が0になるよう精度良く行われる。しかる後に光検出器116が固定される。これにより、経年劣化等が生じても、光検出器116の位置が、所定の範囲(たとえば、−25%〜+25%)に収まるようになる。
【0144】
以上、本実施例によれば、上記実施例1と同様の効果が奏される。また、分光素子H2に入射するBD光の中央部分は、回折領域H29により4分割センサBz近傍に飛ばされるため、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の近傍に分布するBD光の迷光(迷光1、2)の+1次回折光の照射領域は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に掛かりにくくなっている。これにより、経年劣化等によりセンサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4がX軸方向とY軸方向にずれた場合、および、BD対物レンズ114がレンズシフトした場合でも、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に、BD光(迷光1、2)の+1次回折光が入射し難くなる。よって、迷光による検出信号の劣化を抑制して、精度の高い各種検出信号(たとえば、フォーカスエラー信号FE3とトラッキングエラー信号TE)を取
得することができる。
【0145】
また、本実施例によれば、上記式(9)、(10)のHOEz、HOEθの値が0となるように、また、上記式(11)、(12)のHOEx、HOEyの値が0となるように、分光素子H2の位置を調整する。これにより、分光素子H2を適正な位置に位置付けることができる。また、上記式(13)、(14)の位置信号PosX、PosYの値が所定の範囲に収まるよう光検出器116の位置を調整することで、光検出器116を適正な位置に位置付けることができる。
【0146】
<変更例1>
本変更例では、上記実施例2の分光素子H2によって付与されるベクトル(図11(a)参照)が、図19(a)に示す分光素子H3のように変更され、上記実施例2の光検出器116上のセンサ(図12参照)が、図19(b)に示すように変更される。
【0147】
図19(a)を参照して、本変更例の分光素子H3の回折領域H31〜H39は、+1次回折光について、ベクトルV31〜V39を付与し、−1次回折光について、ベクトルV31m〜V39mを付与するように構成される。
【0148】
ベクトルV31〜V39の方向は、上記分光素子H2のベクトルV21〜V29と同様である。ベクトルV31、V32の大きさは同じであり、ベクトルV33、V34の大きさは同じであり、ベクトルV35、V36の大きさは同じであり、ベクトルV37、V38の大きさは同じである。ベクトルV33、V34の大きさは、ベクトルV31、V32よりも大きく、ベクトルV35、V36の大きさは、ベクトルV37、V38よりも大きい。ベクトルV39の大きさは、上記分光素子H2のベクトルV29と同じである。なお、ベクトルV31m〜V39mは、それぞれ、ベクトルV31〜V39に対して反対方向であり、等しい大きさを有する。
【0149】
なお、本変更例においても、上記実施例と同様、分光素子H3とアナモレンズ115の配置順に応じて、ベクトルV31〜V38の方向および大きさが調整されている。
【0150】
図19(b)、(c)を参照して、本変更例では、上記実施例2と異なり、センサBa1、Ba4は、センサBa2、Ba3よりも下側に配置され、センサBs1、Bs2は、センサBs3、Bs4よりも左側に配置される。なお、センサBa1、Ba4は、4分割センサC2よりも上側に配置されており、センサBs1、Bs2は、4分割センサC1よりも右側に配置されている。回折領域H31〜H38に入射するBD光(信号光)の+1次回折光は、照射領域A31〜A38に照射される。
【0151】
この場合も、照射領域A31〜A38が、それぞれ位置付けられているセンサの中央付近に分布しているため、上記実施例2と同様の効果が奏される。
【0152】
<変更例2>
本変更例では、上記実施例2の分光素子H2によって付与されるベクトル(図11(a)参照)が、図20(a)に示す分光素子H4のように変更され、上記実施例2の光検出器116上のセンサ(図12参照)が、図21に示すように変更される。
【0153】
図20(a)を参照して、本変更例の分光素子H4の回折領域H41〜H49は、+1次回折光について、ベクトルV41〜V49を付与し、−1次回折光について、ベクトルV41m〜V49mを付与するように構成される。
【0154】
ベクトルV41〜V48の大きさは同じである。ベクトルV41、V42は、それぞれ
、上方向のベクトルに左方向、右方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV43、V44は、それぞれ、下方向のベクトルに左方向、右方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV45、V46は、それぞれ、左方向のベクトルに下方向、上方向の成分を加えたベクトルであり、ベクトルV47、V48は、それぞれ、右方向のベクトルに下方向、上方向の成分を加えたベクトルである。ベクトルV49の大きさと方向は、上記分光素子H2のベクトルV29と同じである。なお、ベクトルV41m〜V49mは、それぞれ、ベクトルV41〜V49に対して反対方向であり、ベクトルV41〜V49と等しい大きさを有する。
【0155】
なお、本変更例においても、上記実施例と同様、分光素子H4とアナモレンズ115の配置順に応じて、ベクトルV41〜V48の方向および大きさが調整されている。
【0156】
図21を参照して、本変更例の4分割センサC1〜C3、D1〜D3、Bzは、上記実施例2と同様である。本変更例では、上記実施例2と異なり、センサBa1、Ba4と、センサBa2、Ba3は、それぞれ、中心Oに対して上側と下側に配置され、センサBs1、Bs2と、センサBs3、Bs4は、それぞれ、中心Oに対して右側と左側に配置される。回折領域H41〜H49に入射するBD光(信号光)の+1次回折光は、照射領域A41〜A49に照射される。
【0157】
なお、回折領域H41〜H49に入射するBD光(迷光1、2)の+1次回折光と、BD光(信号光と迷光1、2)の−1次回折光は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4の頂角によって形成される信号光領域3の外側に照射される。
【0158】
この場合も、照射領域A41〜A48が、それぞれ位置付けられているセンサの中央付近に分布しているため、上記実施例2と同様の効果が奏される。
【0159】
以上、本発明の実施例および変更例について説明したが、本発明は、上記実施例および変更例に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施例も上記以外に種々の変更が可能である。
【0160】
たとえば、上記実施例では、分光素子がアナモレンズ115の前段に配置されたが、分光素子をアナモレンズ115の後段に配置しても良く、あるいは、アナモレンズ115の入射面または出射面に、分光素子と同様の回折作用をレーザ光に付与する回折パターンを一体的に配しても良い。なお、分光素子がアナモレンズ115の前段に配置される場合、上記実施例および変更例のように、分光素子とアナモレンズ115の配置順に応じて、各回折領域により付与されるベクトルを調整する必要はない。
【0161】
なお、分光素子は、アナモレンズ115の後段に配置するよりも前段に配置する方が望ましい。すなわち、分光素子をアナモレンズ115の前段に配置すると、後段に配置する場合に比べて、分光素子から光検出器116までの距離を長くすることができる。このため、分光素子の回折角を大きく設定しなくても、図9、13に示すように、光検出器116上でBD光(信号光)の+1次回折光を、中心Oから離れた位置に照射させることができる。
【0162】
また、上記実施例2および変更例1、2では、分光素子の中央の回折領域は、図11(a)、19(a)、20(a)に示すような形状とされたが、これに限らず、たとえば方形状とされても良い。また、上記実施例および変更例では、分光素子の中心の回折領域の外側近傍に形成されている回折領域の境界は、平面方向と曲面方向に対して45度の角度をなす直線とされたが、これに限らず、たとえば平面方向と曲面方向に対して45度以外の角度をなす直線であっても良い。また、分光素子の外側近傍に形成されている回折領域
の境界は、左右方向の直線とされたが、これに限らず、たとえば平面方向と曲面方向に対して45度の角度をなす直線であっても良い。
【0163】
図20(b)、(c)は、回折領域の形状を変化させた分光素子H5、H6を示す図である。分光素子H5の回折領域H51〜H59によって付与されるベクトルと、分光素子H6の回折領域H61〜H69によって付与されるベクトルは、上記分光素子H2の回折領域H21〜H29、上記分光素子H3の回折領域H31〜H39、上記分光素子H4の回折領域H41〜H49と同様に設定される。この場合も、上記実施例および変更例と同様の効果が奏される。
【0164】
また、上記実施例および変更例では、分光素子の光入射面にステップ型の回折パターンが形成されたが、これに替えて、ブレーズ型の回折パターンが形成されても良い。すなわち、本発明は、+1次回折光と−1次回折光が生じる場合の他、何れか一方の回折光のみが生じる場合にも適用可能である。
【0165】
また、分光素子によるレーザ光の回折方向は上記実施例および変更例に示すものに限定されるものではない。平面方向と曲面方向にそれぞれ平行で且つ互いにクロスする2つの直線の交点を前記レーザ光軸に整合させたときに、対頂角の方向にある2つの光束領域のレーザ光と、他の対頂角の方向にある他の2つの光束領域のレーザ光と、交点の位置にある光束領域のレーザ光が光検出器の受光面上において互いに離れるのであれば、分光素子によるレーザ光の回折方向を上記実施例で示す方向以外の方向に設定しても良い。
【0166】
たとえば、図8(a)および図12の配置位置から、センサBa1〜Ba4をX軸方向にずれた位置に配置し、センサBs1〜Bs4をY軸方向にずれた位置に配置し、これらセンサにBD光(信号光)の+1次回折光の照射領域が位置付けられるよう、分光素子によるレーザ光の回折方向を設定しても良い。この場合も、上記実施例および変更例と同様、各センサの位置がX軸方向およびY軸方向にずれる場合や、BD対物レンズ114がレンズシフトする場合でも、各センサの検出信号の劣化が抑制される。
【0167】
このように、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4がX軸方向とY軸方向にずれて配置される場合、上記実施例および変更例とは異なり、センサBa1、Ba4の境界線と、センサBa2、Ba3の境界線は中心Oを通らず、センサBs1、Bs2の境界線と、センサBs3、Bs4の境界線は中心Oを通らない。このため、各センサの設置面がZ軸方向にずれると、BD光(信号光)の+1次回折光による照射領域は、センサBa1〜Ba4、Bs1〜Bs4に対して斜め方向に移動する。しかしながら、これら照射領域は対応する各センサ上の中央付近に分布しているため、設置面がZ軸方向にずれたとしても、各センサの検出信号の劣化が抑制され得る。
【0168】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 … 光ピックアップ装置
101 … 半導体レーザ(レーザ光源)
114 … BD対物レンズ(対物レンズ)
115 … アナモレンズ(非点収差素子)
116 … 光検出器
Ba1〜Ba4、Bs1〜Bs4 … センサ(2分割センサ)
Bz … 4分割センサ(第2の4分割センサ)
C1 … 4分割センサ(第1の4分割センサ)
H1〜H6 … 分光素子
H11〜H14、H21〜H24、H31〜H34、H41〜H44、H51〜H54、H61〜H64 … 回折領域(第2の領域、第2の分割領域)
H15〜H18、H25〜H28、H35〜H38、H45〜H48、H55〜H58、H65〜H68 … 回折領域(第1の領域、第1の分割領域)
H29、H39、H49、H59、H69 … 回折領域(第3の領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を記録媒体上に収束させる対物レンズと、
前記記録媒体によって反射された前記レーザ光が入射されるとともに、第1の方向における前記レーザ光の収束により第1の焦線を生成し、且つ、前記第1の方向に垂直な第2の方向における前記レーザ光の収束により第2の焦線を生成する非点収差素子と、
前記非点収差素子を通過した前記レーザ光を受光する光検出器と、
前記記録媒体によって反射された前記レーザ光が入射されるとともに、回折作用によって、2つの第1の領域および2つの第2の領域に入射した前記レーザ光を、それぞれ、前記光検出器の受光面上において、異なる4つの位置に導く分光素子と、を備え、
前記光検出器は、前記2つの第1の領域および前記2つの第2の領域に入射したレーザ光が導かれる位置に配置された複数のセンサと、前記分光素子によって回折されずに直進した前記レーザ光が導かれる位置に配置された第1の4分割センサとを有し、
前記2つの第1の領域は、前記第1の方向と前記第2の方向にそれぞれ平行で且つ互いにクロスする2つの直線の交点を前記レーザ光の光軸に整合させたとき、前記2つの直線によって作られる一組の対頂角が並ぶ第3の方向に配置され、前記2つの第2の領域は、他の一組の対頂角が並ぶ第4の方向に配置され、
前記2つの第1の領域は、それぞれ、前記第4の方向に2つの第1の分割領域に区分され、ペアとなる2つの前記第1の分割領域に入射し回折された前記レーザ光が前記光検出器上において所定の隙間だけ離れるよう、前記第1の分割領域の回折作用が調整され、
前記2つの第2の領域は、それぞれ、前記第3の方向に2つの第2の分割領域に区分され、ペアとなる2つの前記第2の分割領域に入射し回折された前記レーザ光が前記光検出器上において所定の隙間だけ離れるよう、前記第2の分割領域の回折作用が調整され、
前記第1の領域に入射した前記レーザ光を受光する前記センサは、ペアとなる2つの前記第1の分割領域に入射した前記レーザ光を個別に受光する2分割センサからなっており、
前記第2の領域に入射した前記レーザ光を受光する前記センサは、ペアとなる2つの前記第2の分割領域に入射した前記レーザ光を個別に受光する2分割センサからなっている、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
前記分光素子は、前記2つの第1の領域にそれぞれ入射し回折された前記レーザ光が、前記光検出器上において、前記第1の4分割センサの一方の分割線に平行な方向に、前記第1の4分割センサを挟むことなく並び、前記2つの第2の領域にそれぞれ入射し回折された前記レーザ光が、前記光検出器上において、前記第1の4分割センサの他方の分割線に平行な方向に、前記第1の4分割センサを挟むことなく並ぶよう、前記レーザ光に分光作用を付与する、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ピックアップ装置において、
前記分光素子は、前記2つの直線の前記交点の位置に第3の領域を備え、当該第3の領域に入射したレーザ光を、前記複数のセンサが配された位置とは異なる位置に導くように回折させる、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ピックアップ装置において、
前記光検出器は、前記第3の領域に入射し回折された前記レーザ光が導かれる位置に第2の4分割センサを備え、
前記第2の4分割センサは、当該第2の4分割センサの2つの分割線のうち一方が、前記記録媒体によって反射された前記レーザ光の光軸と前記光検出器の前記受光面とが交わる基準点の方向を向くように、配置される、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の光ピックアップ装置において、
前記記録媒体上に配されたトラックの前記分光素子上の方向は、前記第3の方向に平行であり、
前記第1の4分割センサは、その検出信号により、非点収差法に基づく第1のフォーカスエラー信号が生成されるよう構成され、
前記2つの第1の領域に入射したレーザ光を受光するセンサは、その検出信号により、非点収差法に基づく第2のフォーカスエラー信号が生成されるよう構成されている、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−77364(P2013−77364A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218075(P2011−218075)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】