説明

光ファイバケーブル及び情報配線システム

【課題】本発明の課題は、ケーブル外被内の複数のテンションメンバによって設けられた空間内に光ファイバ素線を配置することにより、スペーサとテンションメンバを併用することなく、テンションメンバのみで光ファイバ素線を収納することが可能になり、柔軟且つ細径で撚りが発生しない光ファイバケーブルを提供することにある。
【解決手段】本発明は、複数のテンションメンバ2と、前記複数のテンションメンバ2により設けられた空間内に配置された光ファイバ素線3と、前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲に被覆されるケーブル外被4とを具備することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビルおよび家庭内などにおいて光ファイバを用いた情報通信のための光配線に利用する光ファイバケーブル及びその光ファイバケーブルを用いた情報配線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションといったビル内の情報通信においては、電話局から配線された光ファイバを用いた情報通信をビル内の主配電盤などでメディアコンバータなどを利用して、光信号を電気信号に変換し、ビル内で既に配線されているメタリック線を利用して各加入者宅へ情報通信するVDSL形式(例えば、非特許文献1参照。)が広く利用されてきたが、近年、高度情報社会の高まりを受けて、ビル内の情報通信にも、メタリック線ではなく光ファイバケーブルを直接配線することも実施されてきた。
【0003】
特にビル内の縦系配線に対しては、光ファイバケーブルを直接配線するために、主にSM(Single Mode Fiber)型構内光ファイバケーブル(例えば、特許文献1参照。)やSM型インドア光ケーブル(例えば、特許文献2参照。)などが現在利用されている。
【0004】
【特許文献1】実開平5−30817号公報
【特許文献2】特開2003−161867号公報
【特許文献3】特開平8−184728号公報
【特許文献4】特開平6−148464号公報
【非特許文献1】篠原弘道著 「〔新版〕やさしい光ファイバ通信」株式会社オーム社出版 平成18年11月1日 p.242−243
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、ビル内の光ファイバケーブルの配線に利用する縦系の配管はその内径が様々であり、小さいものでは14mm径のものも存在し、径の大きな50mm径の配管であっても、既に何らかのケーブル類が配線されているため、常に配管内の余剰スペースなどの縦系の配管内における光ファイバケーブルの配線の制約が大きい。
【0006】
また、ビルの形状はさまざまであり、縦系の配管を設置するため、その配管そのものを蛇行させたりしてビル内に設置することがあるため、例えばSM型構内光ファイバケーブルではスロットロッド及びテンションメンバが硬質であり、ケーブル外径が大きいため、柔軟性に欠き、配線時に配管内の余剰スペースや蛇行が原因で配管内を通過しないなどの問題がある。
【0007】
一方、SM型インドア光ケーブルは、SM型構内光ファイバケーブルと比較して細径のため、縦系の配管の径や既に配線されているケーブル類による余剰スペースの問題はSM型構内光ファイバケーブルと比較して少なくなるが、その長方形という形状から、配管内に配線する時に撚りなどが発生し、光ファイバケーブル内部の光ファイバを破壊する可能性があるため、配管内に配線する作業に一層の注意が必要となる。
【0008】
そのため、現在利用されている上記の光ファイバケーブルにおいて縦系の配管内での配線作業には、一定の経験や知識といった特定の技術が必要となってくる。
【0009】
これら既存の光ファイバケーブルは、主配電盤や各階の中間配電盤において、それら既存の光ファイバケーブルの外被を除去し、その内部から取り出した光ファイバ心線の余長処理や接続作業のために主配電盤や各階の中間配電盤の内部にキャビネットを設置し、そのキャビネットへ光ファイバケーブルから取り出した光ファイバ心線を収納し、各階の加入者宅へ情報通信するために主配電盤や各階の中間配電盤から加入者宅へ横系の配管を通じて配線した光ファイバケーブルをメカニカルスプライスや光コネクタ、融着処理などの接続方法により接続することが必要となってくるため、これら接続作業に関しても一定の経験や知識といった特定の技術が必要となってくる。
【0010】
そのため、ビル内の光ファイバケーブルの配線作業においてはこれらの特定の技術を有した作業者しか実施することができず、実施した際にも、多くの作業時間が必要となるという問題を抱えている。
【0011】
このほかにも、既存の2つの光ファイバケーブルをビルに合わせて使用するため、ビルにおける情報配線手段は一定ではなく、そのためビルの情報配線システムはビルごとに異なることから、それに対応する技術が必要となり、ますます特定の技術を有した作業者に依存する結果となり、高度情報社会のための情報配線システムの構築を阻害している。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、ケーブル外被内の複数のテンションメンバによって設けられた空間内に光ファイバ素線を配置することにより、スペーサとテンションメンバを併用することなく、テンションメンバのみで光ファイバ素線を収納することが可能になり、柔軟且つ細径で撚りが発生しない光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0013】
また本発明は、ビル内の縦系の配管径、配管に配線された既存ケーブル類による余剰スペース問題、蛇行などの配管の形状や障害物による光ファイバケーブルの配線問題、各階の加入者宅へ情報通信するために主配電盤や各階の中間配電盤から加入者宅へ横系の配管を通じて配線した光ファイバケーブルをメカニカルスプライスや光コネクタ、融着などの接続方法により接続するための接続作業といった各種問題点や特定の技術を必要とする作業を排除することでき、特定の技術を有する作業者以外の作業者でもビル内の光ファイバケーブルの配線作業を可能にし、作業時間を減少させ、かつ、特定の技術を持たない作業者でも容易に構築できる情報配線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の光ファイバケーブルは、複数のテンションメンバと、前記複数のテンションメンバにより設けられた空間内に配置された光ファイバ素線と、前記テンションメンバ及び光ファイバ素線の周囲に被覆されるケーブル外被とを具備することを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、前記テンションメンバは各々スパイラル状に撚り合わされていることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、前記ケーブル外被の表面に凹凸部を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、前記テンションメンバと光ファイバ素線とケーブル外被の相互間にシリコン樹脂、ポリエチレン樹脂、又はアラミド樹脂を充填したことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、前記光ファイバケーブルの両端又は片端に光コネクタを設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記光ファイバケーブルを建物の縦系の配管内を通して所定の階の配電盤に配線する情報配線システムであって、前記配電盤へは前記光ファイバケーブルを配線し、前記配電盤に配置されるスプリッタモジュール側の光コネクタ若しくはキャビネット側の光コネクタと前記光ファイバケーブルの光コネクタとをアダプタを介して接続することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光ファイバケーブルはその内部に複数のテンションメンバを設け、複数のテンションメンバにより設けられた空間内に光ファイバ素線を配置し、その周囲をケーブル外被で被覆することによって、従来の光ファイバケーブルのようにスペーサとテンションメンバを併用することなく、テンションメンバのみで光ファイバ素線を収納することが可能になり、柔軟且つ細径で撚りが発生しない光ファイバケーブルを提供する事が出来る。
【0021】
また、本発明の情報配線システムは、前記光ファイバケーブルの両端又は片端に光コネクタを備えることにより、ビル内の縦系の配管内への光ファイバケーブルの配線や主配電盤や各階の中間配電盤における接続作業といった特定の技術を有する作業を利用せずに、作業することが可能であるため、特定の技術を有した作業者以外の作業者にも同様の作業が可能になり、その結果として従来ビル内における光ファイバケーブルを利用した情報配線システムの構築と比較して作業時間も短縮することが可能になり、どのようなビルにおいても情報配線システムの構築が一定の手段になり、ビル内における光ファイバケーブルを利用した情報配線システムの構築が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図1において、1は光ファイバケーブル、2はテンションメンバ、3は光ファイバ素線、4はケーブル外被である。
【0023】
図1に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、3本の断面円形のテンションメンバ2が各々スパイラル状に撚り合わせられて配置され、前記3本のテンションメンバ2により設けられた空間内に光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆される。
【0024】
図2は本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図2に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、4本の断面円形のテンションメンバ2が各々スパイラル状に撚り合わせられて配置され、前記4本のテンションメンバ2により設けられた空間内に光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆される。
【0025】
すなわち、前記光ファイバケーブル1の内部に備えられたテンションメンバ2の本数が異なる形態である。このテンションメンバ2の本数を増加させることによって、そのテンションメンバ2によって設けられた空間の大きさを変化させることが可能になっている。
【0026】
図3は本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図3に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、4本の断面円形のテンションメンバ2が各々スパイラル状に撚り合わせられて配置され、前記4本のテンションメンバ2により設けられた空間内に光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆される。
【0027】
すなわち、前記光ファイバケーブル1の内部に備えられたテンションメンバ2の本数は4本で同じであるが、4本のテンションメンバ2間に設けられた空間だけではなく、テンションメンバ2及びケーブル外被4間に設けられた空間に対しても光ファイバ素線3が備えられている。
【0028】
図1〜図3に示した構造の光ファイバケーブル1はテンションメンバ2の径や本数を変化させることによって、テンションメンバ2間に設けられた空間の大きさを変化させることが可能であるし、テンションメンバ2とケーブル外被4間に設けられた空間の大きさを変化させることもできる。
【0029】
図4は本発明の第4の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図4において、5は充填剤である。
【0030】
図4に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、3本の断面円形のテンションメンバ2が各々スパイラル状に撚り合わせられて配置され、前記3本のテンションメンバ2により設けられた空間内に光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆され、前記ケーブル外被4内のテンションメンバ2と光ファイバ素線3とケーブル外被4の相互間には例えばシリコン樹脂、ポリエチレン樹脂、又はアラミド樹脂などの充填剤5が封入される。
【0031】
すなわち、前記充填剤5として、ケブラーといった強化ガラス繊維(FRP)などの繊維状のものを充填することで、外部からの衝撃を吸収することや、テンションメンバ2によって得られる抗張力を増加させることができる。また、前記充填剤5としてシリコン樹脂などの柔軟な樹脂を充填することでテンションメンバ2や光ファイバ素線3を固定することができ、光ファイバケーブル1を曲げた時にずれなどを防ぐことが可能である。
【0032】
尚、光ファイバケーブル1は光ファイバ素線3に空孔アシストファイバ若しくはハイデルタ型SMファイバ素線、テンションメンバ2に強化ガラス繊維(FRP)を用いていると、最小曲げ半径R=5mm以上で曲げることが可能である。また、充填剤5においてもケイ素樹脂、例えばシリコンゴムなどのシリコン樹脂、又はフッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)、又はウレタン樹脂などの柔軟な樹脂を用いていると、既存の光ファイバケーブルに利用されているポリエチレン(ヤング率:0.4〜1.3GPa)、ポリオレフィン(ヤング率:約370GPa)、PVC(ポリ塩化ビニル)(ヤング率:2.4〜3.4GPa)と比較して柔軟であり、テンションメンバ2と同様に最小曲げ半径R=5mm以上で曲げることが可能になる。
【0033】
ここで、テンションメンバ2に鋼線、例えば硬鋼線(SW−C、ヤング率:20.1〜21.6GPa)を用いると、最小曲げ半径は大きくなるが光ファイバケーブル1の強度を向上させることが可能になる。また、充填剤5に強化ガラス繊維、例えば、ケブラー(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)やPBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)などのアラミド樹脂を用いると、充填剤5自体の引張強度が向上するため、光ファイバケーブル1の引張強度を向上させる事が可能になり、テンションメンバ2を細くしても引張強度を保持する事が可能になり、光ファイバケーブル1の径を細くする事が可能になる。
【0034】
これら、テンションメンバ2、またはテンションメンバ2及び充填剤5を併用することによって200N以上の抗張力を得ることが可能になり、建物に配線するために十分な抗張力を得ることができる。
【0035】
また、ケーブル外被4にはケイ素樹脂、例えばシリコンゴムなどのシリコン樹脂、又はフッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)、又はウレタン樹脂などを利用することによって、動摩擦係数を低く抑えることが可能になり、配管内を滑らかに配線することが可能になる。
【0036】
また、前記光ファイバケーブル1の両端又は片端に光コネクタを設けることで、接続作業を容易にすることができる。
【0037】
図5は本発明の第5の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図5に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、4本の略断面4角形のテンションメンバ2が断面矩形状に集合して配置される。この場合、集合した4本のテンションメンバ2の中央部には軸方向に空間が形成されるように各々のテンションメンバ2の中央部側の稜線部が円弧状に凹んで形成される。前記4本のテンションメンバ2により設けられた空間内には光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ2及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆される。
【0038】
すなわち、前記光ファイバケーブル1に設けられたテンションメンバ2の一部を変形させることで複数のテンションメンバ2を組み合わせて設けられた空間をテンションメンバ2の径や個数を増加させずに効率的に設けることができる。また、この場合、円形でなくとも空間を設けることができる。
【0039】
図6は本発明の第6の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
図6に示すように、光ファイバケーブル1の内部には、2本の略断面4角形のテンションメンバ201,202及び1本の断面4角形のテンションメンバ203が集合して配置される。この場合、2本のテンションメンバ201,202は並行して配置され、並行して配置された2本のテンションメンバ201,202の隣接部上に載置されるようにして1本のテンションメンバ203が配置される。前記2本のテンションメンバ201,202は隣接部のテンションメンバ203側に軸方向に空間が形成されるように、テンションメンバ201,202の隣接部でテンションメンバ203側の稜線部が円弧状に凹んで形成される。前記3本のテンションメンバ201,202,203により設けられた空間内には光ファイバ素線3が配置される。前記テンションメンバ201,202,203及び光ファイバ素線3の周囲にはケーブル外被4が被覆される。
【0040】
すなわち、テンションメンバ201,202の一部を変形させたものを用いる場合、テンションメンバ203を変形させないものとの組み合わせで空間を設けることができ、より少ないテンションメンバの個数で空間を作成することができる。
【0041】
図7は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルのケーブル外被の構成を示した外観図である。図7において、6は凹凸部である。
【0042】
図7に示すように、光ファイバケーブル1のケーブル外被4の動摩擦力を減少させる方法として、ケーブル外被4の表面に楕円状の凹凸部6を設けることで配管の内壁に対する接触面積が少なくなり、そのため動摩擦力を低減させることが可能である。このように、ケーブル外被4の動摩擦力を減少させることにより、複数階建物の縦系配管への光ファイバケーブル1の配線が容易になる。
【0043】
図8は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルを従来の光ファイバケーブルと比較した説明図である。すなわち、16mm径のCD管へ1本ずつ2種類の光ファイバケーブルを通線した場合の実験データであり、本発明の光ファイバケーブルであって、外径が2mmのものを通線した時と既存のインドアケーブル(断面長方形:縦2.1mm×横3.4mm)を通線した時のそれぞれの実験データである。
【0044】
図9は本発明の実施形態に係る情報配線システムの第1の例を示す構成説明図であり、中間配電盤(IDF)内にスプリッタモジュールを配置した例である。図9において、7は建物、8は単芯光コネクタ、9はアダプタ、10はスプリッタモジュール、11は分岐部、12は縦系配管、13は主配電盤(MDF)、14は多芯光コネクタ、15は中間配電盤(IDF)、16は横系配線光ファイバケーブル、17は横系配管、18は単芯光コネクタである。
【0045】
図9に示すように、建物7の4階の中間配電盤(IDF)15から、本発明の光ファイバケーブル1を1階の主配電盤(MDF)13へ縦系配管12を通じて配線する。このとき、主配電盤(MDF)13側の光ファイバケーブル1の端部には例えば、MPO(Multifiber−Push−On)コネクタといった多芯光コネクタ14を設けることで4階から縦系配管12への通線を容易に行うことができる。この多芯光コネクタ14には直接多芯光コネクタを設けたドロップケーブルなどの光ファイバケーブルが接続される。また、多芯光コネクタ14として、MPOコネクタの代わりにMTコネクタ(Mechanically Transferable Splicing Connector)(例えば、特許文献3参照。)を設けることで狭い配管においても配線することが可能になる。
【0046】
4階の中間配電盤(IDF)15側の光ファイバケーブル1の端部においては光ファイバケーブル1との分岐部11を通じて光ファイバケーブル1内に収納された光ファイバ素線の数に応じて単芯光コネクタ8を設けることで、アダプタ9を介して単芯光コネクタ18を備えたスプリッタモジュール10(例えば、特許文献4参照。)に直接接続することができ、融着処理やメカニカルスプライス処理といった接続処理を省略することができるため横系配管17の横系配線光ファイバケーブル16との接続作業を容易にすることができる。
【0047】
図10は本発明の実施形態に係る情報配線システムの第2の例を示す構成説明図であり、主配電盤(MDF)内にスプリッタモジュールを配置した例である。図10において、19はスプリッタモジュール、20は単芯光コネクタ、21はアダプタ、22は多芯/単芯変換アダプタである。
【0048】
図10に示すように、建物7の4階の中間配電盤(IDF)15から、本発明の光ファイバケーブル1を1階の主配電盤(MDF)13へ縦系配管12を通じて配線する。このとき、主配電盤(MDF)13側の光ファイバケーブル1の端部には例えば、MPOコネクタといった多芯光コネクタ14を設けることで4階から縦系配管12への通線を容易に行うことができる。また、多芯光コネクタ14として、MPOコネクタの代わりにMTコネクタ(例えば、特許文献3参照。)を設けることで狭い配管においても配線することが可能になる。この多芯光コネクタ14には多芯/単芯変換アダプタ22とアダプタ21を介して単芯光コネクタ20を備えたスプリッタモジュール19を接続することができる。
【0049】
4階の中間配電盤(IDF)15側の光ファイバケーブル1の端部においては光ファイバケーブル1との分岐部11を通じて光ファイバケーブル1内に収納された光ファイバ素線の数に応じて単芯光コネクタ8を設けることで、アダプタ9を介して、中間配電盤(IDF)15に配置されるキャビネット側の単芯光コネクタ18を備えた横系配線光ファイバケーブル16に直接接続することができ、融着処理やメカニカルスプライス処理といった接続処理を省略することができるため横系配管17の横系配線光ファイバケーブル16との接続作業を容易にすることができる。
【0050】
図11は本発明の実施形態に係る情報配線システムの第3の例を示す構成説明図であり、主配電盤(MDF)及び中間配電盤(IDF)内にスプリッタモジュールを配置しない例である。図11において、23はピグテイルコードである。
【0051】
図11に示すように、建物7の4階の中間配電盤(IDF)15から、本発明の光ファイバケーブル1を1階の主配電盤(MDF)13へ縦系配管12を通じて配線する。このとき、主配電盤(MDF)13側の光ファイバケーブル1の端部には例えば、MPOコネクタといった多芯光コネクタ14を設けることで4階から縦系配管12への通線を容易に行うことができる。また、多芯光コネクタ14として、MPOコネクタの代わりにMTコネクタ(例えば、特許文献3参照。)を設けることで狭い配管においても配線することが可能になる。この多芯光コネクタ14には多芯/単芯変換アダプタ22とアダプタ21を介して単芯光コネクタ20を備えたピグテイルコード23を接続することができる。
【0052】
4階の中間配電盤(IDF)15側の光ファイバケーブル1の端部においては光ファイバケーブル1との分岐部11を通じて光ファイバケーブル1内に収納された光ファイバ素線の数に応じて単芯光コネクタ8を設けることで、アダプタ9を介して、中間配電盤(IDF)15に配置されるキャビネット側の単芯光コネクタ18を備えた横系配線光ファイバケーブル16に直接接続することができ、融着処理やメカニカルスプライス処理といった接続処理を省略することができるため横系配管17の横系配線光ファイバケーブル16との接続作業を容易にすることができる。
【0053】
図12は本発明の実施形態に係る情報配線システムの第4の例を示す構成説明図であり、主配電盤(MDF)及び中間配電盤(IDF)内両方にスプリッタモジュールを配置した例である。
【0054】
図12に示すように、建物7の4階の中間配電盤(IDF)15から、本発明の光ファイバケーブル1を1階の主配電盤(MDF)13へ縦系配管12を通じて配線する。このとき、主配電盤(MDF)13側の光ファイバケーブル1の端部には例えば、MPOコネクタといった多芯光コネクタ14を設けることで4階から縦系配管12への通線を容易に行うことができる。また、多芯光コネクタ14として、MPOコネクタの代わりにMTコネクタ(例えば、特許文献3参照。)を設けることで狭い配管においても配線することが可能になる。この多芯光コネクタ14には多芯/単芯変換アダプタ22とアダプタ21を介して単芯光コネクタ20を備えたスプリッタモジュール19を接続することができる。
【0055】
4階の中間配電盤(IDF)15側の光ファイバケーブル1の端部においては光ファイバケーブル1との分岐部11を通じて光ファイバケーブル1内に収納された光ファイバ素線の数に応じて単芯光コネクタ8を設けることで、アダプタ9を介して単芯光コネクタ18を備えたスプリッタモジュール10(例えば、特許文献4参照。)に直接接続することができ、融着処理やメカニカルスプライス処理といった接続処理を省略することができるため横系配管17の横系配線光ファイバケーブル16との接続作業を容易にすることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルのケーブル外被の構成を示した外観図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルを従来の光ファイバケーブルと比較した説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る情報配線システムの第1の例を示す構成説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る情報配線システムの第2の例を示す構成説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る情報配線システムの第3の例を示す構成説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る情報配線システムの第4の例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1…光ファイバケーブル、2…テンションメンバ、3…光ファイバ素線、4…ケーブル外被、5…充填剤、6…凹凸部、7…建物、8…単芯光コネクタ、9…アダプタ、10…スプリッタモジュール、11…分岐部、12…縦系配管、13…主配電盤(MDF)、14…多芯光コネクタ、15…中間配電盤(IDF)、16…横系配線光ファイバケーブル、17…横系配管、18…単芯光コネクタ、19…スプリッタモジュール、20…単芯光コネクタ、21…アダプタ、22…多芯/単芯変換アダプタ、23…ピグテイルコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテンションメンバと、
前記複数のテンションメンバにより設けられた空間内に配置された光ファイバ素線と、
前記テンションメンバ及び光ファイバ素線の周囲に被覆されるケーブル外被とを具備することを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記テンションメンバは各々スパイラル状に撚り合わされていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記ケーブル外被の表面に凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記テンションメンバと光ファイバ素線とケーブル外被の相互間にシリコン樹脂、ポリエチレン樹脂、又はアラミド樹脂を充填したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記光ファイバケーブルの両端又は片端に光コネクタを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
請求項5に記載の光ファイバケーブルを建物の縦系の配管内を通して所定の階の配電盤に配線する情報配線システムであって、前記配電盤へは前記光ファイバケーブルを配線し、前記配電盤に配置されるスプリッタモジュール側の光コネクタ若しくはキャビネット側の光コネクタと前記光ファイバケーブルの光コネクタとをアダプタを介して接続することを特徴とする情報配線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−60724(P2010−60724A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225021(P2008−225021)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】