説明

光モジュール

【課題】大幅に小型化され、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することができると共に、安定な電気接続を簡易な構造で可能とする光モジュールを提供する。
【解決手段】光ファイバ7等の光伝送体を有する上部構造体5と、光素子40を搭載した電子部品搭載基板30とを、嵌合部材50等の装着体により配線基板70上に垂直方向へ押圧して固定することにより、電子部品搭載基板30の光素子40に対して上部構造体5の光伝送路を光学的に接続すると共に電子部品搭載基板30の下面電極34と配線基板70の接続電極71とを接触させて電気的に接続する。電子部品搭載基板30の下面電極34と配線基板70の接続電極71のいずれか一方は、突起状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を情報伝送媒体とする光通信分野においては、光ファイバ等により伝送される光信号を受信または送信するため、光信号と電気信号とを相互に変換する光素子を備えた光モジュールが用いられている。電気信号から光信号への変換には、垂直共振器表面発光レーザ(Vertical cavity surface-emitting Laser:VCSEL)に代表される面発光素子が用いられ、光信号から電気信号への変換には、PINフォトダイオードに代表される面受光素子が用いられており、これらの光素子は基板に対して電気的に接続され、光ファイバ等は光素子に対して光学的に接続される。
【0003】
このような光モジュールは、配線基板(プリント配線板あるいはボード)上において光ファイバ等の光配線をする際の作業性や、保守交換の容易性などの点から、光ファイバ等の光伝送体がコネクタを介して着脱可能であることが望ましい。
【0004】
また、光素子に光ファイバ等を着脱する場合、配線基板に対して水平方向に着脱する構造にすると、光素子を搭載した部品の周辺に光ファイバ等を着脱する作業用のスペースを設けざるを得ないことから、そのスペースには他の部品を実装できず、実装密度を上げられないという問題がある。したがって、光ファイバ等の着脱は配線基板に対して垂直方向に行うことができることが望ましい。
【0005】
従来、このような要求に対応するものとして、光素子をその受発光面が配線基板に対して水平になるように搭載すると共に、光ファイバ等の端面に反射ミラー等を設けて光軸を垂直に変換したコネクタを用いることで、光ファイバ等と光素子とを垂直方向へ着脱自在に光学的に接続する光モジュールが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、光素子は、たとえばドライバ集積回路装置などを共に搭載した基板あるいはパッケージ等の部品全体として配線基板上に実装され、このような部品を配線基板上のパッドに対して電気的に接続する形態として一般的なものとしてはBGA(Ball Grid Array)などのはんだボールのリフローによる接続などがあるが、このようなはんだ接続による方法では、多くの他の部品が実装されている配線基板上において光素子を搭載した部品に修理交換が必要となったときに、当該部品の交換が困難であり、あるいは交換作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
このように、保守交換等の作業性および配線基板上の実装密度の確保の点から、光接続のみならず電気接続も配線基板に対して垂直に着脱でき、しかも容易に着脱できる構造が望まれていた。さらに、実装密度の向上等の点から光モジュール自体のさらなる小型化も望まれており、これらの要求を満足する製品を低コストで製造することも望まれている。
【0008】
このような課題を解決するものとして、本発明者等は、外部側の光軸と光素子側の光軸とが互いに垂直となる連続した光伝送路を形成する光伝送体および当該光伝送体を保持する保持部材を備えた上部構造体と、光素子を含む電子部品が上面に搭載されると共にスルーホールを通じて電子部品の電極に電気的に接続されたパッドが下面に設けられた電子部品搭載基板と、異方導電性シートとを、配線基板上に設置されたクランプスプリングなどの装着体によって押圧して固定することにより電子部品搭載基板の光素子に対して上部構造体の光伝送路を光学的に接続すると共に電子部品搭載基板の下面のパッドと配線基板の上面のパッドとを異方導電性シートを介して電気的に接続する構造の光モジュールを提案している(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−65358号公報
【特許文献2】特願2007−217574
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の光モジュールによれば、大幅な小型化が可能であると共に、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することが可能であるが、電気接続構造の簡素化などにおいて更なる改善の余地があった。
【0010】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、大幅に小型化され、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することができると共に、安定な電気接続を簡易な構造で可能とする光モジュールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0012】
第1に、本発明の光モジュールは、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を電気信号に変換し、または電気信号を光信号に変換する光素子とを光学的に接続する光モジュールであって、光伝送体および当該光伝送体を保持する保持部材を備えた上部構造体と、配線パターンおよび接続電極が設けられた配線基板と、配線基板上に配置され、光素子を含む電子部品が上面に搭載されると共に電子部品の電極に電気的に接続される下面電極が下面に設けられた電子部品搭載基板と、上部構造体と電子部品搭載基板とを配線基板上に垂直方向へ押圧して固定することにより、電子部品搭載基板の光素子に対して上部構造体の光伝送路を光学的に接続すると共に電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極とを接触させて電気的に接続する装着体とを備えており、電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極のいずれか一方が突起状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第2に、上記第1の光モジュールにおいて、電子部品搭載基板の下面電極は突起状のピン電極であり、配線基板の接続電極はスルーホール電極であり、装着体による垂直方向への押圧によって電子部品搭載基板のピン電極が配線基板のスルーホール電極に挿入されることにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
第3に、上記第1の光モジュールにおいて、配線基板の接続電極は、パッド上に突起状の導電性コイルを有しており、装着体による垂直方向への押圧によって導電性コイルが変形して電子部品搭載基板の下面電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0015】
第4に、上記第1の光モジュールにおいて、電子部品搭載基板の下面電極は逆円錐状の導電性突起が形成されており、装着体による垂直方向への押圧によって導電性突起が配線基板の接続電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0016】
第5に、上記第1の光モジュールにおいて、電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極のいずれか一方は、パッド上に導電性を有する突起状の弾性体を有しており、装着体による垂直方向への押圧によって突起状の弾性体が変形して他方の電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記第1〜第5の発明によれば、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することができ、保守交換等の際に光学的にも電気的にも切り離しが可能であるため、保守交換等が容易であり、さらに、電子部品搭載基板が配置される周囲に着脱のための作業用のスペースを設ける必要がなく、配線基板上の実装密度を上げることができると共に、高密度に部品が実装されている中で、ユーザが配線基板上に光モジュールを配置する場所の選択性、拡張性を高めることができる。そして、上記の構造とすることで光モジュールを全体として大幅に小型化することができ、低コストで光モジュールを製造することができる。
【0018】
さらに、電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極のいずれか一方を突起状に形成し、電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極とを異方導電性シートを介在させず直接に接触させて電気的に接続するようにしたので、電気接続構造を簡素化することができ、さらに光モジュールの動作時において安定な電気接続を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本明細書において、「光伝送体」には、ガラス製、樹脂製等の光ファイバ、樹脂製等の光導波路などが含まれる。以下の実施形態では光ファイバを用いた例を説明するが、本発明において適用される光伝送体はこれに限定されるものではなく、光導波路等のように、光伝送路を構成する各種のものを適用することができる。
【0020】
本明細書において、「光素子」には、単一の受発光面を有するものの他、複数の受発光面がアレイ状等に配置された一体のものが含まれる。光素子の具体例としては、VCSELなどの面発光素子、PINフォトダイオードなどの面受光素子が挙げられるが、これらの面発光素子および/または面受光素子の受発光面がアレイ状に配置された一体のものであってもよい。
【0021】
また、本発明の光モジュールは、たとえば10Gbpsの大容量通信を行う小型モジュールなどを対象としている。
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態における光モジュールを示す斜視図であり、図1は光接続および電気接続を切り離した状態、図2は光接続および電気接続をした状態を示している。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1は、光ファイバ7が保持部材6により保持された上部構造体5と、光素子40を搭載した電子部品搭載基板30と、配線基板70(プリント配線板あるいはボード)と、配線基板70上に固定された嵌合部材50とを備えている。
【0024】
この光モジュール1は、配線基板70上の嵌合部材50内の開口部51に電子部品搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を垂直に嵌め込んで図2に示すように装着することにより、上部構造体5の光ファイバ7と電子部品搭載基板30の光素子40が光学的に接続し、電子部品搭載基板30と配線基板70が電気的に接続されるようになっている。図2に示す装着状態の光モジュール1は、全体として、たとえば幅10mm×10mm、厚さ6.4mmのコンパクトなサイズのモジュールを構成している。
【0025】
上部構造体5は、図3(a)および図3(b)にも示すように、樹脂製の保持部材6の背面から、複数本(本実施形態では12本)の光ファイバ7が並列したテープファイバ8が保持部材6内に水平に入り込み、保持部材6内で光ファイバ7が円弧状に曲げられて光ファイバ7の端面7aが保持部材6の下面から垂直に露出した構造を有している。
【0026】
図1に示すように、保持部材6の上面における光ファイバ7と平行な両側周縁部には、当該周縁部に沿ってテーパ面を成す一対の肩部12が設けられており、図1の嵌合部材50内に嵌め込んで装着したときに嵌合部材50の上部に設けられた一対の突条部52が保持部材6の肩部12に当接して下方に押圧するようになっている。
【0027】
また、図1に示すように、保持部材6には2つの位置決め穴11が設けられており、図1の嵌合部材50内に嵌め込んで装着したときに、電子部品搭載基板30に立設された位置決めピン42が保持部材6の位置決め穴11に挿入されて上部構造体5と電子部品搭載基板30とが水平方向に位置決めされるようになっている。
【0028】
保持部材6は、図3(a)および図3(b)に示すように上側部材10と下側部材20とから構成されており、上側部材10と下側部材20によって光ファイバ7を挟み込んで保持するようになっている。上側部材10の下面側には光ファイバ7の円弧形状に対応した曲面上に、たとえば断面V字状などのガイド溝が平行に設けられており、これらのガイド溝のそれぞれに光ファイバ7が1本ずつ配置され案内されるようになっている。一方、下側部材20の上面側には光ファイバ7の円弧形状に対応した曲面を成す光ファイバ保持面が設けられており、上側部材10と下側部材20によって光ファイバ7を挟み込むことにより、上側部材10のガイド溝と下側部材20の光ファイバ保持面との間で光ファイバ7を円弧状に曲げられた状態で保持するようになっている。
【0029】
光ファイバ7の外部側光軸65aと光素子側光軸65bとの間の円弧部分の曲率半径Rは、好ましくは5mm以下、より好ましくは1〜3mmである。このように円弧部分の曲率半径は非常に小さく、上部構造体5の上下方向が低背化され、かつ、水平方向も小型化されている。光ファイバ7としては、たとえば直径80μmのガラスファイバを用いることができる。
【0030】
図4は、電子部品搭載基板の上面側斜視図、図5は、上部構造体と電子部品搭載基板とが光接続された状態を示す断面図である。図6および図7は、電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図であり、図6は電気接続前、図7は電気接続後の状態を示している。
【0031】
図4に示すように、電子部品搭載基板30は、外周部に沿って壁部32が立設された箱状のセラミック基板31を備えており、セラミック基板31上の前方側の位置には光ファイバ7と同数の受発光面が並んで配置された光素子40が搭載されている。
【0032】
電子部品搭載基板30は、壁部32に囲まれたキャビティ内に光素子40、ドライバ集積回路装置41などの電子部品を搭載している。
【0033】
光素子40は、面発光素子のVCSELと面受光素子のPINフォトダイオードから構成されている。壁部32の上面32aは光学的基準面を構成しており、上部構造体5の下面に当接することにより、図5に示すように光ファイバ7の端面7aと光素子40とが垂直方向に位置決めされる。
【0034】
なお、図4に示すように、セラミック基板31上における光素子40の両側の位置には突出高さ2mm、突出部分の直径0.7mmの一対の位置決めピン42が立設されており、これらの位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されることにより電子部品搭載基板30と上部構造体5が水平方向に位置決めされるようになっている。
【0035】
セラミック基板31上における光素子40の後方には、光素子40のドライバ集積回路装置41が搭載されており、光素子40とドライバ集積回路装置41はボンディングワイヤによって接続されている。その他、セラミック基板31上には他の電子部品が搭載されていると共に、セラミック基板31上の電子部品の電極は、電子部品の直下あるいはプリント配線33等を介してセラミック基板31を貫通する図6のスルーホール35を通じて、セラミック基板31の下面に設けられた図6、図7に示す下面電極34に電気的に接続されている。
【0036】
下面電極34は、電子部品搭載基板30の下面に設けられた導電性のパッド80上に配置された下方に突出する突起状のピン電極81を有しており、一方、配線基板70には、配線パターンと共に、接続電極71としての内面に導電性めっきが施されたスルーホール電極86が設けられている。ピン電極81は、金属ピンをはんだ又は導電性接着剤でパッド80上に固定したものであり、突起部の長さは、スルーホール電極86のスルーホールより短いものとされている。
【0037】
以上の構成を備えた光モジュール1を、図1のように光接続および電気接続が切り離された状態から図2のように光接続および電気接続をした状態に組み立てる際には、まず、図1の配線基板70上に固定された嵌合部材50の開口部51内に電子部品搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を嵌合部材50に垂直に嵌め込む。
【0038】
このとき、電子部品搭載基板30の位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されて、電子部品搭載基板30に対して上部構造体5が水平方向に所定の精度、たとえば3〜5μmの精度で位置決めされると共に、保持部材6の側面が嵌合部材50の側板部53に規制されて、電子部品搭載基板30が配線基板70に対して間接的に水平方向に位置決めされる。これにより図6に示すように配線基板のスルーホール電極86に対して電子部品搭載基板30の下面のピン電極81が位置合わせされる。
【0039】
そして、嵌合部材50の弾性により上部構造体5は下方に押圧され、これにより図7に示すように電子部品搭載基板30のピン電極81が配線基板70のスルーホール電極86に挿入されて接触し、電子部品搭載基板30と配線基板70とが電気的に接続され導通状態となる。
【0040】
また、図1の電子部品搭載基板30の位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されることにより、図5の断面図に示すように光ファイバ7の端面7aと、光素子40との水平方向の位置決めがされると共に、保持部材6の下面6aと光素子搭載基板30の壁部32の上面32aとが当接することにより、光ファイバ7の端面7aと、光素子40との垂直方向の位置決めがされて、これらが光学的に接続される。
【0041】
以上のようにして、光モジュール1は図2に示す状態で垂直方向へ電気的および光学的に接続され、光ファイバ7を通じて外部との間で伝送される光信号の送受信が可能な状態とされる。
【0042】
そして、たとえば保守交換時などにおいては、上部構造体5を嵌合部材50から垂直に抜き出すことで光接続を容易に切り離すことができ、次いで光素子搭載基板30を垂直に取り出すことで電気接続を容易に切り離すことができる。
【0043】
図8は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図、図9は、図8の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。なお、本実施形態における光モジュールは同図に示す構造以外の部分は上記した実施形態と同様でありその説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、配線基板70の接続電極71として、パッド85上に突起状の導電性コイル87を有しており、電子部品搭載基板30の下面電極34として平面状のパッド80が設けられている。導電性コイル87は、たとえば金属材を螺旋状に加工したものであり、はんだ又は導電性接着剤でパッド85上に固定されている。
【0045】
そして、本実施形態の光モジュールを光接続および電気接続をした状態に組み立てる際には、図1および図2の場合と同様に、配線基板70上に固定された嵌合部材50の開口部51内に電子部品搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を嵌合部材50に垂直に嵌め込む。
【0046】
これにより嵌合部材50の弾性によって上部構造体5と電子部品搭載基板30は下方に押圧され、図9に示すように配線基板70の導電性コイル87が電子部品搭載基板30のパッド80に接触して垂直方向に収縮することで電子部品搭載基板30と配線基板70とが電気的に接続され導通状態となる。
【0047】
図10は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図、図11は、図10の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。なお、本実施形態における光モジュールは同図に示す構造以外の部分は上記した実施形態と同様でありその説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、電子部品搭載基板30の下面電極34として逆円錐状の導電性突起82が形成されており、配線基板70の接続電極71として平面状のパッド85が設けられている。導電性突起82は、当該形状の金属製部材をはんだ又は導電性接着剤で基板に固定するか、あるいは、めっき等で基板上に析出させて形成することができる。
【0049】
そして、本実施形態の光モジュールを光接続および電気接続をした状態に組み立てる際には、図1および図2の場合と同様に、配線基板70上に固定された嵌合部材50の開口部51内に電子部品搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を嵌合部材50に垂直に嵌め込む。
【0050】
これにより嵌合部材50の弾性によって上部構造体5と電子部品搭載基板30は下方に押圧され、図11に示すように電子部品搭載基板30の導電性突起82が配線基板70のパッド85に接触することで電子部品搭載基板30と配線基板70とが電気的に接続され導通状態となる。
【0051】
図12は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図、図13は、図12の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。なお、本実施形態における光モジュールは同図に示す構造以外の部分は上記した実施形態と同様でありその説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、電子部品搭載基板30の下面電極34としてパッド80上に導電性を有する突起状の弾性体83を有しており、配線基板70の接続電極71として平面状のパッド85が設けられている。弾性体83としては、エラストマーなどの弾性材料中に導電性粒子を含有するものを使用することができ、たとえば導電性接着剤でパッド80上に固定されている。弾性体83の形状は凸状であり、パッド85と同程度の直径を有している。
【0053】
そして、本実施形態の光モジュールを光接続および電気接続をした状態に組み立てる際には、図1および図2の場合と同様に、配線基板70上に固定された嵌合部材50の開口部51内に電子部品搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を嵌合部材50に垂直に嵌め込む。
【0054】
これにより嵌合部材50の弾性によって上部構造体5と電子部品搭載基板30は下方に押圧され、図13に示すように電子部品搭載基板30の弾性体83が配線基板70のパッド85に接触して垂直方向に圧縮変形することで電子部品搭載基板30と配線基板70とが電気的に接続され導通状態となる。
【0055】
以上に、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
【0056】
たとえば、上記の実施形態では、装着体として嵌合部材50を用いて上部構造体5を垂直方向へ着脱自在に装着し、電子部品搭載基板30の光素子40に対して上部構造体5の光伝送路を光学的に接続するようにしたが、このような機能を有する装着構造として、クランプスプリング、ネジ止め構造、板バネ構造、ラッチ構造、開閉式クランプスプリングなど、各種のものを用いることができる。
【0057】
光素子40として、レーザダイオードなどのVCSEL以外の面発光素子を用いてもよく、PINフォトダイオード以外の面受光素子を用いるようにしてもよい。
【0058】
光素子40およびドライバ集積回路装置41は、電子部品搭載基板30にフリップチップ接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における光モジュールを示す斜視図であり、光接続および電気接続を切り離した状態を示す。
【図2】図2は、図1の光モジュールにおける光接続および電気接続をした状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、上部構造体の上側部材、光ファイバ、および下側部材の配置状態を示した図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図4】図4は、電子部品搭載基板の上面側斜視図である。
【図5】図5は、上部構造体と電子部品搭載基板とが光接続された状態を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図である。
【図7】図7は、図6の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図である。
【図9】図9は、図8の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図である。
【図11】図11は、図10の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施形態における電子部品搭載基板と配線基板との電気接続構造を示す断面図である。
【図13】図13は、図12の電子部品搭載基板と配線基板とを電気接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 光モジュール
5 上部構造体
6 保持部材
6a 下面
7 光ファイバ
7a 端面
8 テープファイバ
10 上側部材
11 位置決め穴
12 肩部
20 下側部材
30 電子部品搭載基板
31 セラミック基板
32 壁部
32a 上面
33 プリント配線
34 下面電極
35 スルーホール
40 光素子
41 ドライバ集積回路装置
42 位置決めピン
50 嵌合部材
51 開口部
52 突条部
53 側板部
65a 外部側光軸
65b 光素子側光軸
70 配線基板
71 接続電極
80 パッド
81 ピン電極
82 突起電極
83 弾性体
85 パッド
86 スルーホール電極
87 導電性コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を伝送する光伝送路と、光信号を電気信号に変換し、または電気信号を光信号に変換する光素子とを光学的に接続する光モジュールであって、光伝送体および当該光伝送体を保持する保持部材を備えた上部構造体と、配線パターンおよび接続電極が設けられた配線基板と、配線基板上に配置され、光素子を含む電子部品が上面に搭載されると共に電子部品の電極に電気的に接続される下面電極が下面に設けられた電子部品搭載基板と、上部構造体と電子部品搭載基板とを配線基板上に垂直方向へ押圧して固定することにより、電子部品搭載基板の光素子に対して上部構造体の光伝送路を光学的に接続すると共に電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極とを接触させて電気的に接続する装着体とを備えており、電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極のいずれか一方が突起状に形成されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
電子部品搭載基板の下面電極は突起状のピン電極であり、配線基板の接続電極はスルーホール電極であり、装着体による垂直方向への押圧によって電子部品搭載基板のピン電極が配線基板のスルーホール電極に挿入されることにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
配線基板の接続電極は、パッド上に突起状の導電性コイルを有しており、装着体による垂直方向への押圧によって導電性コイルが変形して電子部品搭載基板の下面電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
電子部品搭載基板の下面電極は逆円錐状の導電性突起が形成されており、装着体による垂直方向への押圧によって導電性突起が配線基板の接続電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項5】
電子部品搭載基板の下面電極と配線基板の接続電極のいずれか一方は、パッド上に導電性を有する突起状の弾性体を有しており、装着体による垂直方向への押圧によって突起状の弾性体が変形して他方の電極に接触することにより電子部品搭載基板と配線基板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−198921(P2009−198921A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42201(P2008−42201)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】