説明

光偏向器

【課題】 反射面を二軸周りに揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二軸周りの揺動を精度良く検知できる光偏向器を提供する。
【解決手段】 光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31及び第2圧電アクチュエータ51の駆動で二軸周りに揺動する反射面2aと、当該揺動を検知する第1検知部71y及び第2検知部71xを有する第1支持部4とを備える。第2圧電アクチュエータ51には、第1圧電アクチュエータ31に導通する第1駆動配線Wyと、第2圧電アクチュエータ51に導通する第2駆動配線Wo,Weと、第1検知部71yに導通する第1検知配線Wmyと、第2検知部71xに導通する第2検知配線Wmxと、第1接地線Wgyとが並行に配置される。第1接地線Wgyは、第1駆動配線Wy及び第2駆動配線Wo,Weと、第1検知配線Wmy及び第2検知配線Wmxとの間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射面を二軸周りに揺動可能な光偏向器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反射面を有するミラー部と、一対の第1振動子と、第1支持部と、一対の第2振動子と、第2支持部とを備えた光偏向器が知られている(特許文献1)。この光偏向器の一対の第1振動子は、ミラー部を介して対向するように、ミラー部の端部とそれぞれ連結される。第1支持部は、一対の第1振動子及びミラー部の外周を囲むように、一対の第1振動子と連結される。一対の第2振動子は、第1支持部を介して対向するように、第1支持部とそれぞれ連結される。第2支持部は、一対の第2振動子及び第1支持部の外周を囲うように、一対の第2振動子と連結される。
【0003】
第1振動子は、第1振動子の中心軸に垂直な軸に平行な複数の振動板が、同一平面上で折り返し連結されたミアンダ形状に形成される。また、第2振動子は、第2振動子の中心軸に垂直な軸に平行な複数の振動板が、同一平面上で折り返し連結されたミアンダ形状に形成される。
【0004】
これらの第1振動子及び第2振動子を構成する複数の振動板上には、それぞれドライブ素子とモニター素子が配置される。ドライブ素子は、各振動板を圧電駆動により屈曲変形するための圧電素子である。モニター素子は、各振動板の屈曲変形の変形量を検知するための圧電素子である。これらの圧電素子は、それぞれ下部電極、圧電体及び上部電極を積層して形成される。
【0005】
このような光偏向器では、第1振動子及び第2振動子のドライブ素子により各振動板が屈曲変形することで、反射面を第1軸と第2軸の二軸周りに揺動できる。また、このような光偏向器では、圧電駆動されているときの各振動板の屈曲変形の実際の変形量をモニター素子により検知する。光偏向器は、実際の変形量をフィードバックすることにより、圧電駆動の制御の精度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−122480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の光偏向器では、第1振動子及び第2振動子を構成する複数の振動板上に、ドライブ素子に加えてモニター素子が配置されている。このため、ドライブ素子が振動板上で占める面積が減る。これによって、光偏向器は、モニター素子を配置しないものに比べて複数の振動板を屈曲させる力が少なくなり、ミラー部の反射面の回転角が減少する。
【0008】
このため、反射面を二軸周りに揺動するときの回転角を減少させることなく、この揺動を検知できるようにすることが望まれている。反射面を揺動させるときに、第1振動子と第2振動子が連結されている第1支持部には、それぞれの振動子の圧電駆動による振動が伝達される。従って、第1支持部にモニター素子を配置することが考えられる。この場合には、第1振動子及び第2振動子にモニター素子の配置が不要となり、ドライブ素子が振動板上で充分な面積を占めることができる。
【0009】
このとき、第1支持部に配置されたモニター素子の検出した信号を取得する必要があるので、当該モニター素子と第2支持部上に配置された電極パッドとを電気的に接続するために、第2振動子上にモニター素子用の配線を配置する必要がある。このため、第2振動子の各振動板上には、反射面を第1軸周りに揺動させるための駆動用配線と、反射面を第2軸周りに揺動させるための駆動用配線と、反射面を第1軸周りに揺動させるときの振動板の変形量を検知するための検知用配線と、反射面を第2軸周りに揺動させるときの振動板の変形量を検知するための検知用配線とを並行に配置することとなる。
【0010】
近年、このような光偏向器は、搭載する機器の小型化に伴い更なる小型化が要求されており、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして製造されることが一般的である。このため、第2振動子の振動板は非常に細く(例えば、数百μm)形成される。従って、駆動用配線と検知用配線との間に充分な間隔を設けることが難しく、駆動用配線と検知用配線との間の混信(所謂クロストーク)が問題となる可能性がある。例えば、モニター素子によって検知した信号に駆動用の信号が混信すると、適切なフィードバックが行えず、ひいては圧電駆動の制御の精度が低下してしまう。
【0011】
そこで、本発明は、反射面を二軸周りに揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二軸周りの揺動を精度良く検知できる光偏向器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、反射面を有するミラー部と、該ミラー部を支持する第1支持部と、一端が前記ミラー部に、他端が前記第1支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記ミラー部を前記第1支持部に対して第1軸周りに揺動させる第1圧電アクチュエータと、前記第1支持部を支持する第2支持部と、一端が前記第1支持部に、他端が前記第2支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記第1支持部を前記第2支持部に対して前記第1軸と交差する第2軸周りに揺動させる第2圧電アクチュエータとを備えた光偏向器であって、前記第1支持部には、前記第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動、及び前記第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動を検知する検知用圧電素子とが配置されており、前記第2支持部には、当該光偏向器の外部と電気的に接続するための接続部を備え、前記第2圧電アクチュエータには、前記第1圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第1駆動配線と、前記第2圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第2駆動配線と、前記検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する検知配線と、基準電位点に接続された接地線とが並行に配置され、前記接地線は、前記第1駆動配線及び前記第2駆動配線と前記検知配線との間に配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1圧電アクチュエータの圧電駆動によりミラー部が第1軸周りに揺動すると共に、第2圧電アクチュエータの圧電駆動により第1支持部が第2軸周りに揺動することで、反射面を二軸周りに揺動する。第1支持部には、第1圧電アクチュエータと第2圧電アクチュエータとが連結されているため、これらの圧電アクチュエータの圧電駆動による振動が伝達される。これらの振動すなわち、第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動と、第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動は、第1支持部に配置されている検知用圧電素子で検知される。
【0014】
このため、第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータには、検知用圧電素子を設けなくてよい。これにより、光偏向器は、圧電アクチュエータ(特許文献1における振動子に相当)にモニター素子が配置されたものに比べて、反射面の大きな回転角が得られる。
【0015】
また、接地線が、圧電駆動用の配線である第1駆動配線及び第2駆動配線と検知用の配線である検知配線との間に配置されるので、接地線を設けない場合に比べて圧電駆動用の配線と検知用の配線との距離が長くなる。これにより、圧電駆動用の配線を通る信号が検知用の配線を通る信号に与える影響(混信)を低減できる。更に、基準電位点に接続(接地)された接地線が間に配置されることで、混信をシールドする効果が得られ、圧電駆動用の配線を通る信号が検知用の配線を通る信号に与える影響を無視できる程度に低減できる。
【0016】
従って、この光偏向器は、反射面を二軸周りに揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面の二軸周りの揺動を精度良く検知できる。
【0017】
本発明において、前記第2圧電アクチュエータは、前記第1支持部を第2周波数で前記第2軸周りに揺動させ、前記第1圧電アクチュエータは、前記ミラー部を前記第2周波数よりも高い第1周波数で前記第1軸周りに揺動させ、前記第2圧電アクチュエータには、前記接地線の隣に前記第2駆動配線が配置され、前記第2駆動配線の隣に前記第1駆動配線が配置されることが好ましい。
【0018】
特に、このような反射面を二軸周りに揺動する光偏向器は、プロジェクタ等に用いられ、二次元走査面の水平方向と垂直方向の二次元方向に走査するような用途に用いられることが考えられる。この場合には、水平方向に走査した後に予め定められた解像度分だけ垂直方向に反射面を傾けた後、再度水平方向に走査することを繰り返すことで、走査面全体を走査する。このため、この例では、水平方向を走査する周波数は垂直方向を走査する周波数より高くなるように、これらの周波数は異なるものとなる。
【0019】
このように、当該光偏向器を上記のような用途に用いられる場合には、反射面を、第2軸周りに揺動するときの第2周波数よりも高い第1周波数で第1軸周りに揺動させることがある。配線間の混信は、周波数が高くなるほど発生しやすいので、第1周波数でミラー部を揺動させる第1圧電アクチュエータに電圧を印加する第1駆動配線の方が、第2周波数でミラー部を揺動させる第2圧電アクチュエータに電圧を印加する第2駆動配線よりも周りの配線に影響を与える(混信させる)可能性が高くなる。
【0020】
このため、第1駆動配線と接地線との間に第2駆動配線を配置することで、接地線の第2駆動配線とは反対側に配置された検知配線と第1駆動配線との間の距離を確保し、第1駆動配線を通る信号が第1検知配線を通る信号に与える影響を低減できる。
【0021】
本発明において、前記検知用圧電素子の出力信号を、前記第1振動による第1信号と前記第2振動による第2信号とに分離する周波数フィルタを備えることが好ましい。第1支持部は、第1振動及び第2振動が伝達されるので、第1支持部に配置された検知用圧電素子は、第1信号と第2信号が重畳された信号を出力する。周波数フィルタは、この重畳されて出力された信号を第1信号と第2信号に分離できる。すなわち、本発明の光偏向器は、第1圧電アクチュエータによる揺動と、第2圧電アクチュエータによる揺動とを分離して検知できる。このため、光偏向器は、第1圧電アクチュエータへのフィードバックと第2圧電アクチュエータへのフィードバックとを独立して制御でき、より精度良く光偏向器の反射面の揺動を制御できる。
【0022】
本発明において、前記第2圧電アクチュエータは、駆動電圧が印加されることにより屈曲変形する圧電体と、前記圧電体を支持し、該圧電体が屈曲変形するときに共に屈曲変形する複数の圧電カンチレバーとを備え、前記複数の圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの両端部が隣り合うように並んで配置されて、各々の屈曲変形を累積するようにそれぞれ隣り合う圧電カンチレバーに対し折り返すように端部が機械的に連結され、各圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの並び方向に直交する方向に屈曲変形するように形成されることが好ましい。
【0023】
これにより、各圧電カンチレバーの屈曲変形の変形量が小さい場合であっても、複数の圧電カンチレバーのそれぞれの屈曲変形が累積されることで第1支持部を大きく揺動させることができ、ひいては反射面を大きく揺動させることができる。
【0024】
また、第2圧電アクチュエータが上記のように構成されることで、第2圧電アクチュエータに配置される各配線(第1駆動配線、第2駆動配線、検知配線及び接地線)が長くなる。配線が並行に並んでいる距離が長いほど、配線間の混信が発生しやすくなる。しかしながら、当該光偏向器は、接地線が圧電駆動用の配線と検知用の配線との間に配置されているので、配線間の混信の影響を無視できる程度に低減できる。
【0025】
このようにして、反射部の回転角を大きくする(もしくは減少をより効果的に抑制する)ために屈曲変形を累積するように圧電カンチレバーを構成した場合であっても、反射面の二軸周りの揺動を精度良く検知できる。
【0026】
本発明において、前記検知用圧電素子は、前記第1振動を検知する第1検知用圧電素子と前記第2振動を検知する第2検知用圧電素子とで構成され、前記検知配線は、前記第1検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第1検知配線と前記第2検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第2検知配線とで構成され、前記接地線の隣に前記第1検知配線を配置し、該第1検知配線の隣りに前記第2検知配線を配置することが好ましい。
【0027】
これにより、各配線は、「第1駆動配線(高周波数)→第2駆動配線(低周波数)→接地線→第1検知配線(高周波数)→第2検知配線(低周波数)」の並びで配置されることとなる。
【0028】
低周波数の信号は、高周波数の信号に比べ混信する可能性が低い。仮に混信した場合であっても、高周波数と低周波数の周波数の差が大きい場合(例えば、数十KHzと数十Hz)には、低周波数の信号が高周波数の信号に与える影響は無視できる。
【0029】
上記のように、高周波数の信号を検知する第1検知配線を、低周波数の信号を検知する第2検知配線よりも駆動配線側に配置しているため、低周波数の信号が印加される第2駆動配線が第2検知配線に与える影響を、第1検知配線により低減でき、仮に第1検知配線に対して混信した場合であっても、その影響は無視できる程度のものとなる。これにより、第1検知用圧電素子及び第2検知用圧電素子は、より精度の高い検知ができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の光偏向器の構成を示す図。
【図2】図1のI−I線に沿う端面図。
【図3】図1のII−II線に沿う端面において左側を示す図。
【図4】図1のII−II線に沿う端面において右側を示す図。
【図5】(a)は光偏向器の圧電アクチュエータが作動していない状態を示し、(b)は圧電アクチュエータが作動している状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態の光偏向器の構成について説明する。本実施形態の光偏向器1は、ミラー部2と、一対の第1圧電アクチュエータ31,32と、第1支持部4と、一対の第2圧電アクチュエータ51,52と、第2支持部6とを備える。
【0032】
ミラー部2は、入射した光を反射する円形の反射面2aと、反射面2aを支持する円形の反射面支持体2bとを備える。反射面2aは、反射面支持体2b上の金属薄膜(本実施形態では一層の金属薄膜)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工して形成されている。金属薄膜の材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が用いられる。
【0033】
金属薄膜の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。金属薄膜は、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等により成膜する。反射面支持体2bは、シリコン基板で構成される。反射面支持体2bには、その両端から外側へ延びた一対のトーションバー21,22が連結されている。
【0034】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが半円弧形状に形成され、互いにミラー部2を囲むように空隙を隔てて配置されている。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー21を挟んで対向して配置され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー22を挟んで対向して配置されている。
【0035】
第1支持部4は、矩形の枠形状に形成されており、ミラー部2と第1圧電アクチュエータ31,32とを囲むように設けられている。第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32の円弧部の中心位置の外側に連結されており、第1圧電アクチュエータ31,32を介してミラー部2を支持している。
【0036】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第1圧電カンチレバー31A,32Aを備える。詳細には、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの一方の第1圧電アクチュエータ31が一方の第1圧電カンチレバー31Aを備え、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの他方の第1圧電アクチュエータ32が他方の第1圧電カンチレバー32Aを備える。第1圧電アクチュエータ31,32は、第1圧電カンチレバー31A,32Aの屈曲変形により、トーションバー21,22を介して、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動可能となっている。
【0037】
第2圧電アクチュエータ51,52は、第1支持部4を挟んで対向して配置されている。第2圧電アクチュエータ51,52は、それらの先端部が、第1支持部4のトーションバー21,22と直交する方向の一対の両側にそれぞれ連結されている。
【0038】
第2支持部6は、矩形の枠形状に形成されており、第1支持部4と第2圧電アクチュエータ51,52とを囲むように設けられている。第2支持部6には、第2圧電アクチュエータ51,52の、第1支持部4と連結されていない側の一対の他端がそれぞれ連結されている。これにより、第2支持部6は、第2圧電アクチュエータ51,52を介して第1支持部4を支持している。
【0039】
第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dを備える。詳細には、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの一方の第2圧電アクチュエータ51は、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dで構成される。また、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの他方の第2圧電アクチュエータ52は、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dで構成される。
【0040】
一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dは、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X(第1軸Yに直交する軸。但し、正確に直交している必要はない。)周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0041】
他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dは、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dと同様に、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0042】
このように、一方の第2圧電アクチュエータ51及び他方の第2圧電アクチュエータ52は、それを形成する一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dが、所謂ミアンダ形状に形成されている。
【0043】
一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dのうちのミラー部2側(第1支持部4側)に配置されているカンチレバー(以下、「1番目の第2圧電カンチレバー」という)51A,52Aは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「2番目の第2圧電カンチレバー」という)51B,52Bと連結されていない側のそれぞれの一端が第1支持部4の外周部に連結されている。
【0044】
同様に、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dのうちの第2支持部6側に配置されている圧電カンチレバー(以下、「4番目の第2圧電カンチレバー」という)51D,52Dは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「3番目の第2圧電カンチレバー」という)51C,52Cと連結されていない側のそれぞれの一端が第2支持部6の内周部に連結されている。
【0045】
これにより、第1支持部4は、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの屈曲変形によって、第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動可能となっている。
【0046】
このように、第2圧電アクチュエータ51,52がミアンダ形状に形成され、一端が第1支持部4に連結され、他端が第2支持部6に連結されていることが、本発明における「前記複数の圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの両端部が隣り合うように並んで配置されて、各々の屈曲変形を累積するようにそれぞれ隣り合う圧電カンチレバーに対し折り返すように端部が機械的に連結され、各圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの並び方向に直交する方向に屈曲変形するように形成される」ことに相当する。
【0047】
以降、一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのうち、ミラー部2から数えて奇数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(1番目の第2圧電カンチレバー51A,52A及び3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C)を奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cという。
【0048】
また、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dに含まれるものを一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cといい、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dに含まれるものを他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cという。
【0049】
同様に、一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのうち、ミラー部2から数えて偶数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(2番目の第2圧電カンチレバー51B,52B及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52D)を偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dという。
【0050】
また、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dに含まれるものを一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dといい、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dに含まれるものを他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dという。
【0051】
図2は、図1の光偏向器1のI−I線端面図を模式的に示した図である。図3は、図1の光偏向器1のII−II線端面図の一方の第2圧電アクチュエータ51を模式的に示した図である。図4は、図1の光偏向器1のII−II線端面図の他方の第2圧電アクチュエータ52を模式的に示した図である。但し、図2〜図4では、第2支持部6を省略して示している。
【0052】
第1圧電アクチュエータ31,32を構成する第1圧電カンチレバー31A,32Aのそれぞれと、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれとは、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造の圧電カンチレバーである。詳細には、圧電カンチレバーは、支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3が積層されており、これらの下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3を囲むように層間絶縁膜M1が設けられている。そして、層間絶縁膜M1上に上部電極配線Wが積層され、この上部電極配線Wを囲むようにパッシベーション膜M2が設けられている。
【0053】
ここで、上部電極配線Wは、第1駆動配線Wy、第2駆動奇数配線Wo、第2駆動偶数配線We、第1検知配線Wmy、第2検知配線Wmx、第1接地線Wgy、及び第2接地線Wgxがあり、これらを特に区別する必要が無いときは、上部電極配線Wという。ここで、「第2駆動奇数配線Wo及び第2駆動偶数配線We」が本発明における「第2駆動配線」に相当し、「第1接地線Wgy」が本発明における「接地線」に相当する。
【0054】
これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dの圧電体L2は、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加されることで、圧電駆動により屈曲変形する。これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dは、圧電体L2の屈曲変形に伴って屈曲変形する。
【0055】
なお、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれの隣り合う圧電カンチレバーの連結部は、その隣り合う圧電カンチレバーのそれぞれの支持体Bを一体に連結した部分となっている。この連結部には圧電体L2及び上部電極L3の層は設けられていない。
【0056】
第1支持部4には、第1検知部71y,72yと、第2検知部71x,72xとが設けられている。第1検知部71y,72yは、第1支持部4に、当該第1支持部4の第2軸Xに平行な辺(第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの各圧電カンチレバーの長手方向の辺に直交する辺)に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。
【0057】
第2検知部71x,72xは、第1支持部4に、当該第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xは、平面的に互いに分離して設けられている。
【0058】
第1検知部71y,72yは、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によって、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第1振動を検知するためのセンサとして設けられている。第2検知部71x,72xは、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動によって、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第2振動を検知するためのセンサとして設けられている。
【0059】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dと同様に、第1支持部4を構成する支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造になっている。なお、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xにおいても、各圧電カンチレバー31A,32A,51A〜51D,52A〜52Dのように、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0060】
そして、第1支持部4に第1振動又は第2振動が伝達されることで、第1支持部4が屈曲変形したときに、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2がこの屈曲変形の変形量に応じた電圧を出力する。光偏向器1は、このときの電圧値によって、第1支持部4に伝達された振動を検知することができる。
【0061】
本実施形態の光偏向器1の第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Y周りで揺動しているときには、第2軸Xに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第1検知部71y,72yを当該2辺の中央部に配置している。また、第1支持部4を第2軸X周りで揺動しているときには、第1軸Yに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第2検知部71x,72xを当該2辺の中央部に配置している。
【0062】
本実施形態では、第1検知部71y,72y(詳細には、これらの圧電体L2)が、本発明における第1検知用圧電素子に相当する。また、第2検知部71x,72x(詳細には、これらの圧電体L2)が、本発明における第2検知用圧電素子に相当する。
【0063】
光偏向器1は、第2支持部6に、下部電極パッド61a,62aと、第1上部電極パッド61b,62bと、奇数用第2上部電極パッド61c,62cと、偶数用第2上部電極パッド61d,62dと、第1検知用電極パッド61e,62eと、第2検知用電極パッド61f,62fと、第1接地線用電極パッド61g,62gと、第2接地線用電極パッド61h,62hとを備える。
【0064】
下部電極パッド61a,62aのうちの一方の下部電極パッド61aは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの下部電極L1、一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dの下部電極L1、及び第1検知部71y,72yの下部電極L1に電気的に接続されている。下部電極パッド61a,62aのうちの他方の下部電極パッド62aは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの下部電極L1、他方の第2圧電カンチレバー52A〜52Dの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0065】
このように、下部電極パッド61a,62aは、第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xで共通の電極パッドとしている。
【0066】
また、下部電極パッド61a,62aは、当該光偏向器1が搭載される装置の基準電位点に接続(接地)されている。このため、下部電極パッド61a,62aに電気的に接続された各下部電極L1も基準電位点に接続(接地)されることとなる。
【0067】
第1上部電極パッド61b,62bのうちの一方の第1上部電極パッド61bは、第1駆動配線Wyを介して一方の第1圧電カンチレバー31Aの上部電極L3に電気的に接続され、他方の第1上部電極パッド62bは、第1駆動配線Wyを介して他方の第1圧電カンチレバー32Aの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0068】
奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの一方の奇数用第2上部電極パッド61cは、第2駆動奇数配線Woを介して一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cの上部電極L3に電気的に接続され、他方の奇数用第2上部電極パッド62cは、第2駆動奇数配線Woを介して他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0069】
偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの一方の偶数用第2上部電極パッド61dは、第2駆動偶数配線Weを介して一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dの上部電極L3に電気的に接続され、他方の偶数用第2上部電極パッド62dは、第2駆動偶数配線Weを介して他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0070】
第1検知用電極パッド61e,62eのうちの一方の第1検知用電極パッド61eは、第1検知配線Wmyを介して一方の第1検知部71yの上部電極L3に電気的に接続され、他方の第1検知用電極パッド62eは、第1検知配線Wmyを介して他方の第1検知部72yの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0071】
第2検知用電極パッド61f,62fのうちの一方の第2検知用電極パッド61fは、第2検知配線Wmxを介して一方の第2検知部71xの上部電極L3に電気的に接続され、他方の第2検知用電極パッド62fは、第2検知配線Wmxを介して他方の第2検知部72xの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0072】
第1接地線用電極パッド61g,62gのうちの一方の第1接地線用電極パッド61gは、第1接地線Wgyを介して一方の第1検知部71yの下部電極L1に電気的に接続され、他方の第1接地線用電極パッド62gは、第1接地線Wgyを介して他方の第1検知部72yの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0073】
第2接地線用電極パッド61h,62hのうちの一方の第2接地線用電極パッド61hは、第2接地線Wgxを介して一方の第2検知部71xの下部電極L1に電気的に接続され、他方の第2接地線用電極パッド62hは、第2接地線Wgxを介して他方の第2検知部72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0074】
以上のような電気的接続により、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加された場合に、この印加された上部電極L3と下部電極L1との間に積層された圧電体L2が圧電駆動により屈曲変形する。これにより、この屈曲変形した圧電体L2に応じた支持体B(圧電カンチレバー)が屈曲変形する。
【0075】
また後述するように、第1支持部4は、伝達された振動による屈曲変形による圧電効果によって第1検知部71y,72yから発生した電圧が、第1検知用電極パッド61e,62eと下部電極パッド61a,62aとの間の電位差として出力される。同様に、この第1支持部4の屈曲変形による圧電効果によって第2検知部71x,72xから発生した電圧が、第2検知用電極パッド61f,62fと下部電極パッド61a,62aとの間の電位差として出力される。
【0076】
ここで、「下部電極パッド61a,62a、第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e,62e、第2検知用電極パッド61f,62f、第1接地線用電極パッド61g,62g、及び第2接地線用電極パッド61h,62h」が本発明における「接続部」に相当する。
【0077】
なお、第1接地線用電極パッド61g,62g及び第2接地線用電極パッド61h,62hは、共通の電極パッドで構成してもよい。
【0078】
以下、上述したような上部電極配線W、上部電極L3、圧電体L2及び下部電極L1の詳細について説明する。
【0079】
「一対の下部電極パッド61a,62a」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1」とは、シリコン基板上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成される。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO2)又は酸化量が調整された酸化チタン(TiOx)が用いられ、2層目(上層)には白金(Pt)、LaNiO3又はSrRuO3が用いられる。
【0080】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1は、当該第1圧電カンチレバー31A,32Aの支持体B上のほぼ全面に形成される。第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの下部電極L1は、当該第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの支持体B上(各圧電カンチレバーが延在する直線部と連結部とを合わせた全体)のほぼ全面に形成される。
【0081】
第1検知部71y,72yの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第1検知部71y,72yが配置される部分に形成される。第2検知部71x,72xの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第2検知部71x,72xが配置される部分に形成される。また、第2支持部6の支持体B上においても同様に、下部電極L1、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0082】
そして、下部電極パッド61a,62aは、第2支持部6の支持体B上及び第1支持部4の支持体B上に形成された下部電極L1を介して、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの下部電極L1、第1検知部71y,72yの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に、導通される。
【0083】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの圧電体L2は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を形状加工することにより、それぞれの圧電カンチレバーの下部電極L1上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
【0084】
この場合、一方の第1圧電カンチレバー31Aの圧電体L2は、当該圧電カンチレバー31Aの下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。他方の第1圧電カンチレバー32Aの圧電体L2は、当該圧電カンチレバー32Aの下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの圧電体L2は、各第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの延在部分(直線部)において、下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。一方の第1検知部71yの圧電体L2は、当該第1検知部71yの下部電極L1上のミラー部2とは反対側に形成されている。他方の第1検知部72yの圧電体L2は、当該第1検知部72yの下部電極L1上のミラー部2側に形成されている。一方の第2検知部71xの圧電体L2は、当該第2検知部71xの下部電極L1上の1番目の一方の第2圧電カンチレバー51A側に形成されている。他方の第2検知部72xの圧電体L2は、当該第2検知部72xの下部電極L1上の1番目の他方の第2圧電カンチレバー52A側に形成されている。
【0085】
「第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e,62e、及び第2検知用電極パッド61f,62f」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3」と、これらを導通する「上部電極配線W」とは、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ともいう)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)、又はアルミ合金(Al合金)等が用いられる。このとき、上部電極L3と上部電極配線Wとの間には層間絶縁膜M1が形成される。
【0086】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3は、各圧電カンチレバー毎又は各検知部毎の圧電体L2上のほぼ全面に形成されている。
【0087】
偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dに設けられた層間絶縁膜M1上には、図3及び図4に示されるように、上部電極配線Wが、第1支持部4側からその反対側に向かって「第1駆動配線Wy→第2駆動奇数配線Wo→第2駆動偶数配線We→第1接地線Wgy→第1検知配線Wmy→第2接地線Wgx→第2検知配線Wmx」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。
【0088】
このとき、第2駆動偶数配線Weは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料(金属等)によって偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dの上部電極L3と電気的に接続されている。また、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bに設けられた第2駆動偶数配線Weは、それぞれに対応した電極ビアのところまで設けられており、それ以降は配線が必要ないため設けられていない。
【0089】
また、第2支持部6と4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dとの間の連結部には、当該連結部に設けられた層間絶縁膜M1上に上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)が設けられており、第2支持部6の上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)と、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dに設けられた上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)とを電気的に接続している。
【0090】
第2支持部6に設けられた上部電極配線Wは、第1駆動配線Wyが第1上部電極パッド61b,62bに、第2駆動奇数配線Woが奇数用第2上部電極パッド61c,62cに、第2駆動偶数配線Weが偶数用第2上部電極パッド61d,62dに、第1接地線Wgyが第1検知用電極パッド61e,62eに、第1検知配線Wmyが第2検知用電極パッド61f,62fに、第2接地線Wgxが第1接地線用電極パッド61g,62gに、第2検知配線Wmxが第2接地線用電極パッド61h,62hに、それぞれ電気的に接続されている。
【0091】
3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cに設けられた層間絶縁膜M1上には、上部電極配線Wが、第1支持部4側からその反対側に向かって「第2検知配線Wmx→第2接地線Wgx→第1検知配線Wmy→第1接地線Wgy→第2駆動偶数配線We→第2駆動奇数配線Wo→第1駆動配線Wy」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第2駆動奇数配線Woは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cの上部電極L3と電気的に接続されている。
【0092】
また、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dと3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cとの間の連結部、及び同様に、3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cと2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bとの間の連結部には、当該連結部に設けられた層間絶縁膜M1上に上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)が設けられており、当該連結部に隣り合う第2圧電カンチレバー(51Dと51C、52Dと52C、51Cと51B及び52Cと52B)にそれぞれ設けられた上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)を電気的に接続している。
【0093】
1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aに設けられた層間絶縁膜M1上には、上部電極配線Wが、第1支持部4側からその反対側に向かって「第2検知配線Wmx→第2接地線Wgx→第1検知配線Wmy→第1接地線Wgy→第2駆動奇数配線Wo→第1駆動配線Wy」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第2駆動奇数配線Woは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aの上部電極L3と電気的に接続されている。また、1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aに設けられた第2駆動奇数配線Woは、それぞれに対応した電極ビアのところまで設けられており、それ以降は配線が必要ないため設けられていない。
【0094】
また、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aとの間の連結部には、当該連結部に設けられた層間絶縁膜M1上に第2駆動偶数配線We以外の上部電極配線W(詳細にはWy,Wo,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)が設けられており、当該連結部に隣り合う第2圧電カンチレバー(51Bと51A、52Bと52A)にそれぞれ設けられた上部電極配線(詳細にはWy,Wo,Wmy,Wmx,Wgy,Wgx)とを電気的に接続している。
【0095】
また、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれに設けられた各上部電極配線Wy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxは、当該圧電カンチレバーの長手方向に並行となるようにそれぞれ設けられている。すなわち、各上部電極配線Wy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxは、互いがそれぞれ並行に設けられている(配置されている)。このことが、本発明における「前記第2圧電アクチュエータには、前記第1圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第1駆動配線と、前記第2圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第2駆動配線と、前記第1検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第1検知配線と、前記第2検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第2検知配線と、基準電位点に接続された接地線とが並行に配置される」ことに相当する。
【0096】
なお、各隣り合う第2圧電カンチレバーを連結する連結部には、当該連結部の形状に沿うように各上部電極配線Wy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxが、互いに交差しないように間隔を保ったまま配置されている。これらの各上部電極配線Wy,Wo,We,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxは直線状に形成されていないが、互いの間隔を保ったまま配置されているということより、このような配置に関しても本発明の「並行に配置されている」ことに含むものとする。
【0097】
また、各第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dには、「第2検知配線Wmx及び第1検知配線Wmy」と「第2駆動偶数配線We、第2駆動奇数配線Wo及び第1駆動配線Wy」との間に「第1接地線Wgy」が設けられている。このことが本発明における「前記接地線は、前記第1駆動配線及び前記第2駆動配線と前記第1検知配線及び前記第2検知配線との間に配置される」ことに相当する。
【0098】
また、各第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dには、上部電極配線Wが、「第1接地線Wgy→第2駆動偶数配線We及び/又は第2駆動奇数配線Wo→第1駆動配線Wy」の順番(又はこの逆順)に配置されている。このことが本発明における「前記第2圧電アクチュエータには、前記接地線の隣に前記第2駆動配線が配置され、前記第2駆動配線の隣に前記第1駆動配線が配置される」ことに相当する。
【0099】
一方の第2検知部71xに設けられた層間絶縁膜M1上には、図3に示されるように、上部電極配線Wが、ミラー部2側から1番目の一方の第2圧電カンチレバー51A側に向かって「第1駆動配線Wy→第1接地線Wgy→第1検知配線Wmy→第2接地線Wgx→第2検知配線Wmx」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第2検知配線Wmxは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって一方の第2検知部71xの上部電極L3と電気的に接続されている。また、第2接地線Wgxは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって一方の第2検知部71xの下部電極L1と電気的に接続されている。
【0100】
また、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aとの間の連結部には、当該連結部に設けられた層間絶縁膜M1上に第2駆動偶数配線We以外の各上部電極配線Wy,Wo,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxが設けられており、当該連結部に隣り合う第2圧電カンチレバー(51Bと51A、52Bと52A)にそれぞれ設けられた各上部電極配線Wy,Wo,Wmy,Wmx,Wgy,Wgxとを電気的に接続している。
【0101】
他方の第2検知部72xに設けられた層間絶縁膜M1上には、図4に示されるように、上部電極配線Wが、ミラー部2側から1番目の他方の第2圧電カンチレバー52A側に向かって「第1駆動配線Wy→第2接地線Wgx→第2検知配線Wmx」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第2検知配線Wmxは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって他方の第2検知部72xの上部電極L3と電気的に接続されている。また、第2接地線Wgxは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって他方の第2検知部72xの下部電極L1と電気的に接続されている。また、第2検知部71x,72xに設けられた第2検知配線Wmx及び第2接地線Wgxは、それぞれに対応した電極ビアのところまで設けられており、それ以降は配線が必要ないため設けられていない。
【0102】
一方の第1検知部71yに設けられた層間絶縁膜M1上には、図2に示されるように、上部電極配線Wが、ミラー部2側からその反対側に向かって「第1接地線Wgy→第1検知配線Wmy」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第1検知配線Wmyは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって一方の第1検知部71yの上部電極L3と電気的に接続されている。また、第1接地線Wgyは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって一方の第1検知部71yの下部電極L1と電気的に接続されている。
【0103】
他方の第1検知部72yに設けられた層間絶縁膜M1上には、上部電極配線Wが、ミラー部2側からその反対側に向かって「第1検知配線Wmy→第1接地線Wgy」の順番に平面的に互いに分離して設けられている。このとき、第1検知配線Wmyは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって他方の第1検知部72yの上部電極L3と電気的に接続されている。また、第1接地線Wgyは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって他方の第1検知部72yの下部電極L1と電気的に接続されている。また、第1検知部71y,72yに設けられた第1検知配線Wmy及び第1接地線Wgyは、それぞれに対応した電極ビアのところまで設けられており、それ以降は配線が必要ないため設けられていない。
【0104】
第1圧電アクチュエータ31,32に設けられた層間絶縁膜M1上の一部には、図3及び図4に示されるように第1駆動配線Wyが設けられている。このとき、第1駆動配線Wyは、当該層間絶縁膜M1に設けられた電極ビア内に配された導通材料によって第1圧電アクチュエータ31,32の上部電極L3と電気的に接続されている。また、第1圧電アクチュエータ31,32に設けられた第1駆動配線Wyは、それぞれに対応した電極ビアのところまで設けられており、それ以降は配線が必要ないため設けられていない。
【0105】
また、パッシベーション膜M2は、半導体プレーナプロセスを用いて、上部電極配線W上に当該上部電極配線Wを囲うように形成されている。また、反射面支持体2bと、トーションバー21,22と、支持体Bと、第1支持部4と、第2支持部6とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
【0106】
以上のように、本実施形態の光偏向器1が構成されている。なお、このような光偏向器1は、プロジェクタやコピー機等に搭載される。このようなプロジェクタやコピー機等の外部装置が本発明における「光偏向器の外部」に相当する。
【0107】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。まず、第1圧電アクチュエータ31,32により、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる場合について説明する。
【0108】
この場合には、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第1圧電アクチュエータ31では、一方の第1上部電極パッド61bと一方の下部電極パッド61aとの間に第1電圧Vy1を印加して、一方の第1圧電カンチレバー31Aを駆動させる。また、他方の第1圧電アクチュエータ32では、他方の第1上部電極パッド62bと他方の下部電極パッド62aとの間に第2電圧Vy2を印加して、他方の第1圧電カンチレバー32Aを駆動させる。ここで、第1電圧Vy1と第2電圧Vy2とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。
【0109】
このとき、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の揺動用の電圧成分は、第1圧電アクチュエータ31,32の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、一方の第1圧電カンチレバー31Aと他方の第1圧電カンチレバー32Aとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。
【0110】
例えば、第1軸Y周りに揺動するときに、一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させる場合には、一方の第1圧電カンチレバー31Aを上方向に変位させる。一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させるには、一方の第1圧電カンチレバー31Aを下方向に変位させる。
【0111】
また、他方の第1圧電アクチュエータ32についても一方の第1圧電アクチュエータ31と同様に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させる場合には、他方の第1圧電カンチレバー32Aを上方向に変位させる。他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させるには、他方の第1圧電カンチレバー32Aを下方向に変位させる。
【0112】
本実施形態の光偏向器1では、「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させること」か、又は「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させること」で、第1軸Y周りで揺動するとき、大きな偏向角を得ている。このように、本実施形態では、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動することができ、所定の第1周波数Fyで所定の第1偏向角の光走査をすることができる。このとき、これらの第1圧電アクチュエータ31,32では、駆動電圧として第1圧電アクチュエータ31,32を含むミラー部2の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させている。
【0113】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52により、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる場合について説明する。
【0114】
この場合には、光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の奇数用第2上部電極パッド61cと一方の下部電極パッド61aとの間に第3電圧Vx1を印加して、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cを駆動させる。これと共に、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の偶数用第2上部電極パッド61dと一方の下部電極パッド61aとの間に第4電圧Vx2を印加して、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dを駆動させる。
【0115】
更に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の奇数用第2上部電極パッド62cと他方の下部電極パッド62aとの間に第3電圧Vx1を印加して、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cを駆動させる。これと共に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の偶数用第2上部電極パッド62dと他方の下部電極パッド62aとの間に第4電圧Vx2を印加して、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dを駆動させる。
【0116】
ここで、第3電圧Vx1と第4電圧Vx2は、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。このとき、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2の揺動用の電圧成分は、第2圧電アクチュエータ51,52の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとの角度変位が、逆方向に発生するように設定される。
【0117】
例えば、第2軸X周りに揺動するとき、第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を上方向(図1に示す方向U)に変位させる場合には、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを上方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを下方向に変位させる。第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を下方向に変位させるには、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを下方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを上方向に変位させる。
【0118】
これにより、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとが、互いに逆方向に屈曲変形する。
【0119】
図5は、光偏向器1の一方の第2圧電アクチュエータ51の作動を示す図である。図5(a)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動していない状態を示し、図5(b)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動している状態を示す。
【0120】
図5(b)に示されるように、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dは、第2支持部6と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cは、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に上方向の角度変位が発生している。
【0121】
2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bは、3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。1番目の一方の第2圧電カンチレバー51Aは、2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部(第1支持部4と連結している)に上方向の角度変位が発生している。これにより、一方の第2圧電アクチュエータ51では、各一方の第2圧電カンチレバー51A〜51Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。
【0122】
従って、第1支持部4を第2軸X周りに揺動することができ、所定の第2周波数Fxで所定の第2偏向角の光走査をすることができる。このとき、これらの第2圧電アクチュエータ51,52では、駆動電圧として第2圧電アクチュエータ51,52を含む第1支持部4の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
【0123】
また、第1支持部4を第2軸X周りに揺動する場合には、上述したように交流電圧を印加する必要はなく、直流電圧を印加してもよい。この場合、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dで発生する屈曲変形の大きさは、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、例えば交流電圧を印加して圧電カンチレバーを共振駆動させる場合と異なり、直流電圧の大きさを制御することで第2圧電アクチュエータ51,52から任意の出力を得ることができる。
【0124】
このように、光偏向器1では、第2軸X周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
【0125】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれがミアンダ形状に形成されている。これによって、各圧電カンチレバーの屈曲変形が累積されるように形成されている。このため、第2圧電アクチュエータ51,52は、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて大きな偏向角を得やすい。
【0126】
このため、本実施形態では、第1圧電アクチュエータ31,32によって揺動する場合には、なるべく大きな偏向角を得るために、第1圧電アクチュエータ31,32の上方向又は下方向の変位を変化させる周波数、すなわち第1周波数Fyを、光偏向器1(特に、圧電カンチレバー等)の構造や材料等によって決定される共振周波数になるように設定している。
【0127】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、ミアンダ形状に形成されており、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて揺動しやすい。このため、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。本実施形態では、例えば、第1周波数Fyを30kHz、第2周波数Fxを60Hzに設定している。
【0128】
このように第2周波数Fxは第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されており、これらの周波数で第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52を駆動することは、本発明において「前記第2圧電アクチュエータは、前記第1支持部を第2周波数で前記第2軸周りに揺動させ、前記第1圧電アクチュエータは、前記ミラー部を前記第2周波数よりも高い第1周波数で前記第1軸周りに揺動させる」ことに相当する。
【0129】
以上のように、本実施形態の光偏向器1は、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動すると共に第1支持部4を第2軸X周りに揺動することで、ミラー部2を様々な角度に駆動させることができ、反射面2aに入射した光を様々な角度に出射することができる。
【0130】
上述したように、本実施形態の光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動により、ミラー部2及び第1支持部4が第1軸Y及び第2軸X周りに揺動する。このとき、第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52が連結されているので、振動が伝達される。詳細には、第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Yに揺動するときに伝達される第1振動と、第1支持部4を第2軸Xに揺動するとに伝達される第2振動とが伝達される。
【0131】
第1支持部4は、この伝達された振動によって、屈曲変形する。これによって、第1支持部4に設けられた第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2が屈曲変形して、当該圧電体L2は、この変形量に応じた電圧を発生する。これによって、第1支持部4に伝達された第1振動及び第2振動により、一方の第1検知部71yの圧電体L2から発生した電圧は、一方の第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力され、他方の第1検知部72yの圧電体L2から発生した電圧は、他方の第1検知用電極パッド62eと他方の下部電極パッド62aとの間の電位差として出力される。以下、これらの出力(出力信号)を「第1検知用電極パッド出力電圧」という。
【0132】
第1支持部4に伝達された第1振動及び第2振動により、一方の第2検知部71xの圧電体L2から発生した電圧は、一方の第2検知用電極パッド61fと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力され、他方の第2検知部72xの圧電体L2から発生した電圧は、他方の第2検知用電極パッド62fと他方の下部電極パッド62aとの間の電位差として出力される。以下、これらの出力(出力信号)を「第2検知用電極パッド出力電圧」という。
【0133】
第1支持部4の屈曲変形は、当該第1支持部4に伝達された振動(第1振動及び第2振動)に応じて発生する。ここで、第1振動に応じて第1検知部71y,72y又は第2検知部71x,72xから発生する電圧信号を第1信号Syという。また、第2振動に応じて第1検知部71y,72y又は第2検知部71x,72xから発生する電圧信号を第2信号Sxという。
【0134】
このため、第1信号Sy及び第2信号Sxの電圧値の変化は、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52を圧電駆動するために印加される第1電圧Vy1,第2電圧Vy2,第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2に応じたものとなる。第1信号Syの周波数は、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の周波数と同等であり、第2信号Sxの周波数は、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2の周波数と同等である。
【0135】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2から発生する電圧には、第1信号Sy及び第2信号Sxが混在する。これは、第1支持部4には、第1振動及び第2振動の双方が伝達されるので、第1支持部4の屈曲変形も第1振動及び第2振動の2つの振動の影響を受けて屈曲変形するからである。
【0136】
上述したように、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。すなわち、第2信号Sxは第1信号Syよりも充分に低い周波数となっている。このため、光偏向器1は、周波数フィルタによって第1信号Syと第2信号Sxとを分離することで、それぞれの信号を取り出している。詳細には、第1検知用電極パッド出力電圧に高周波帯域を通すハイパスフィルタFHを通すことで、第1信号Syのみを取り出す。第2検知用電極パッド出力電圧に低周波帯域を通すローパスフィルタFLを通すことで、第2信号Sxのみを取り出す。
【0137】
このようにして取り出された第1信号Syは、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2を印加することで第1圧電アクチュエータ31,32が実際に変位した量(第1圧電カンチレバー31A,32Aの変形量と同等)を表す。同様に、このようにして取り出された第2信号Sxは、第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2を印加することで第2圧電アクチュエータ51,52が実際に変位した量(第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dのそれぞれの変形量を累積した量と同等)を表す。
【0138】
なお、ローパスフィルタFL及びハイパスフィルタFHのそれぞれの遮断周波数は、第1信号Syと第2信号Sxとを充分に分離可能な周波数に設定される。
【0139】
本出願人は、上記のように構成された光偏向器1の作動の実験を行った。本実験(以下、「第1実験」という)では、第1圧電アクチュエータ31,32に、尖頭値を5V、周波数が30kHzの正弦波からなる交流電圧であり、互いに逆位相に設定されている第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2を印加した。また、第2圧電アクチュエータ51,52に、尖頭値を15V、周波数が60Hzの正弦波からなる交流電圧であり、互いに逆位相に設定されている第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2を印加した。
【0140】
これにより、第1駆動配線Wyには第1電圧Vy1又は第2電圧Vy2が印加され、第2駆動奇数配線Woには第3電圧Vx1が印加され、第2駆動偶数配線Weには第4電圧Vx2が印加される。従って、ミラー部2は、第1軸Y周りに30kHzの周波数で揺動し、第2軸X周りに60Hzの周波数で揺動する。
【0141】
そして、このミラー部2を揺動させているときに、第1検知用電極パッド出力電圧にハイパスフィルタFHを介した信号(以下、「第1測定信号」という)と、第2検知用電極パッド出力電圧にローパスフィルタFLを介した信号(以下、「第2測定信号」という)とをオシロスコープ等の測定器により測定した。これにより、第1測定信号は、尖頭値が776mV、周波数が30kHzの波形として観測され、第2測定信号は、尖頭値が440mV、周波数が60Hzの波形として観測された。
【0142】
このように、第1測定信号の周波数が第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の周波数と同じであり、第2測定信号の周波数が第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2の周波数と同じであることより、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xによりミラー部2の二軸周りの揺動を正しく検知できていることが分かる。
【0143】
また、混信の影響を確認するために、第1実験とは別の実験(以下、「第2実験」という)として、第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dの各上部電極配線Wを、本実施形態の配置順とは異ならせ、混信が発生しやすいように、第1駆動配線Wyと第1検知配線Wmyとを、互いに隣になり、且つその距離を可能な限り近付けるように配置して実験を行った。上部電極配線Wの配置以外の条件は上記実験と同じである。この場合、第1測定信号は、尖頭値が5Vの波形として観測された。
【0144】
また、更に別の実験(以下、「第3実験」という)として、第2実験の構造において、第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の周波数を40kHzに変更して実験を行った。それ以外の条件は第2実験と同じである。この場合、第1測定信号は、尖頭値が5Vの波形として観測された。
【0145】
上述したとおり、第1圧電アクチュエータ31,32は、第2圧電アクチュエータ51,52とは異なり、圧電カンチレバーの屈曲変形を累積するようなミアンダ形状に形成されていないため、ミラー部2を揺動させるに充分な偏向角を得るためには、第1圧電アクチュエータ31,32を含むミラー部2の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加することで共振駆動させ、充分な偏向角を得ている。このため、共振周波数とは異なる周波数の電圧を印加することで、ミラー部2の第1軸Y周りの揺動はほぼ無くなる。
【0146】
第3実験において、ミラー部2が第1軸Y周りに揺動していないにも拘らず、第1測定信号は、尖頭値が5Vの波形、すなわち第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2の尖頭値と同じ波形が観測された。このことより、第2実験及び第3実験の構造において、第1駆動配線Wyと第1検知配線Wmyとを、互いに隣になり、且つその距離を可能な限り近付けるように配置したことで意図通り混信が発生していることを確認できた。
【0147】
これと比較して第1実験では、尖頭値は5Vよりも小さい波形が観測されていること等より、第1測定信号及び第2測定信号のいずれも混信していないことが分かった。第1実験に用いられた光偏向器、すなわち本実施形態の光偏向器1では、「第2検知配線Wmx及び第1検知配線Wmy」と「第2駆動偶数配線We、第2駆動奇数配線Wo及び第1駆動配線Wy」との間に「第1接地線Wgy」が設けられている。これにより、第1駆動配線Wyに印加される高周波数の電圧が第1検知配線Wmyを通る信号(電圧、電流等)に与える影響を無視できる程度に低減できる。更に、高周波数の電圧が印加される第1駆動配線Wyと第1検知配線Wmyとの間に、低周波数の電圧が印加される第2駆動奇数配線Wo及び第2駆動偶数配線We及び第1接地線Wgyが配置されているので、この間の距離を長くでき、第1駆動配線Wyに印加される第1電圧Vy1又は第2電圧Vy2が第1検知配線Wmyを通る信号(第1検知部71y,72yの出力)に与える影響を低減できる。
【0148】
また、上述したように、本実施形態では、第1駆動配線Wyに印加される第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2が5[V]、第2駆動奇数配線Wo及び第2駆動偶数配線Weに印加される第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2が15[V]に設定されている。このように、電圧値が大きく異なるため、高周波数の5[V]の電圧信号(第1駆動配線Wyに印加される第1電圧Vy1及び第2電圧Vy2)が、低周波数の15[V]の電圧信号(第2駆動奇数配線Wo及び第2駆動偶数配線Weに印加される第3電圧Vx1及び第4電圧Vx2)に与える影響は無視できる程度に小さい。
【0149】
仮に、この影響が無視できないような場合には、第1駆動配線Wyと第2駆動奇数配線Woとの間に、基準電位点に接続された接地線を配置してもよい。更に、第2駆動奇数配線Woと第2駆動偶数配線Weとの間に、基準電位点に接続された接地線を配置してもよい。このようにすることで、当該配線Wy,Wo,We間の距離を確保することによって混信を防止すると共に、接地線により当該配線Wy,Wo,We間の混信を防止(シールド)することができる。
【0150】
また、高周波数(30kHz)の信号を検知する第1検知配線Wmyを、低周波数(60Hz)の信号を検知する第2検知配線Wmxよりも駆動配線Wy,Wo,We側に配置しているため、低周波数の信号が印加される第2駆動配線Wo,Weが第2検知配線Wmxに与える影響を、第1検知配線Wmyより低減できる。仮に第1検知配線Wmyに対して混信した場合であっても、その影響は無視できる程度のものとなる。これにより、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、より精度の高い検知ができる。
【0151】
また、本実施形態の光偏向器1では、第1圧電アクチュエータ31,32と第2圧電アクチュエータ51,52とが連結される第1支持部4に、第1振動を検知する第1検知部71y,72yと第2振動を検知する第2検知部71x,72xとが設けられている。これにより、第1圧電アクチュエータ31,32及び第2圧電アクチュエータ51,52が実際に変位した量を検知できるため、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dに検知用圧電素子を設ける必要がない。
【0152】
従って、特許文献1のような圧電アクチュエータの圧電カンチレバーにセンサ素子、本実施形態の第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xを設けたものに比べて、圧電カンチレバー上に占める駆動用の圧電素子(第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52D)の面積が減少せず、圧電カンチレバーの屈曲変形の変形量が減少しない。
【0153】
以上より、本実施形態の光偏向器1は、反射面2aを二軸周りに揺動するときの回転角を減少させることなく、反射面2aの二軸周りの揺動を精度良く検知できる。
【0154】
なお、本実施形態の光偏向器1は、第1検知部71y,72yを、第1支持部4の第2軸Xに平行な辺に沿うように配置し、第2検知部71x,72xを、第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように配置しているが、これに限らない。第1支持部4に伝達される第1振動及び第2振動を検知可能であればどこに配置してもよい。
【0155】
また、本実施形態の光偏向器1は、第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xとの2つの検知用圧電素子を設けているがこれに限らず、1つの検知用圧電素子で構成してもよい。この場合であっても、この1つの検知用圧電素子の出力を、ハイパスフィルタFHとローパスフィルタFLとで、第1信号Sy及び第2信号Sxに分離すればよい。
【0156】
また、本実施形態では、第1軸Yと第2軸Xとを直交するようにしているが正確に直交する必要はなく、反射面2aを二軸周りに揺動可能な程度の角度で交差していればよい。
【0157】
また、本実施形態の光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52を、それぞれ4つの圧電カンチレバーで構成しているが、圧電カンチレバーの数はこれに限られるものではない。同様に、第1圧電アクチュエータ31,32を構成している圧電カンチレバーの数も本実施形態のように1つに限られるものではない。
【0158】
また、本実施形態の光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32をミラー部2を挟んで対向するように配置し、第1支持部4をミラー部2及び第1圧電アクチュエータ31,32を囲むように形成し、第2圧電アクチュエータ51,52を第1支持部4を挟んで対向するように配置して第2圧電カンチレバー51A〜51D,52A〜52Dをミアンダ形状に形成し、第2支持部6を第1支持部4及び第2圧電アクチュエータ51,52を囲むように形成しているがこれに限らない。
【符号の説明】
【0159】
1…光偏向器、2…ミラー部、2a…反射面、Wy…第1駆動配線、Wo…第2駆動奇数配線(第2駆動配線)、We…第2駆動偶数配線(第2駆動配線)、Wmy…第1検知配線、Wmx…第2検知配線、Wgy…第1接地線(接地線)、31,32…第1圧電アクチュエータ、4…第1支持部、51,52…第2圧電アクチュエータ、6…第2支持部、61a〜61e,62a〜62e…各電極パッド(接続部)、71y,72y…第1検知部(第1検知用圧電素子)、71x,72x…第2検知部(第2検知用圧電素子)、FL…ローパスフィルタ(周波数フィルタ)、FH…ハイパスフィルタ(周波数フィルタ)、Y…第1軸、X…第2軸、Fy…第1周波数、Fx…第2周波数、Sy…第1信号、Sx…第2信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面を有するミラー部と、該ミラー部を支持する第1支持部と、一端が前記ミラー部に、他端が前記第1支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記ミラー部を前記第1支持部に対して第1軸周りに揺動させる第1圧電アクチュエータと、前記第1支持部を支持する第2支持部と、一端が前記第1支持部に、他端が前記第2支持部にそれぞれ連結され、圧電駆動により前記第1支持部を前記第2支持部に対して前記第1軸と交差する第2軸周りに揺動させる第2圧電アクチュエータとを備えた光偏向器であって、
前記第1支持部には、前記第1圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第1振動、及び前記第2圧電アクチュエータの圧電駆動により伝達される第2振動を検知する検知用圧電素子とが配置されており、
前記第2支持部には、当該光偏向器の外部と電気的に接続するための接続部を備え、
前記第2圧電アクチュエータには、
前記第1圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第1駆動配線と、
前記第2圧電アクチュエータと前記接続部とを電気的に接続する第2駆動配線と、
前記検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する検知配線と、
基準電位点に接続された接地線とが並行に配置され、
前記接地線は、前記第1駆動配線及び前記第2駆動配線と前記検知配線との間に配置されることを特徴とする光偏向器。
【請求項2】
請求項1に記載の光偏向器において、
前記第2圧電アクチュエータは、前記第1支持部を第2周波数で前記第2軸周りに揺動させ、
前記第1圧電アクチュエータは、前記ミラー部を前記第2周波数よりも高い第1周波数で前記第1軸周りに揺動させ、
前記第2圧電アクチュエータには、前記接地線の隣に前記第2駆動配線が配置され、前記第2駆動配線の隣に前記第1駆動配線が配置されることを特徴とする光偏向器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光偏向器において、前記検知用圧電素子の出力信号を、前記第1振動による第1信号と前記第2振動による第2信号とに分離する周波数フィルタを備えることを特徴とする光偏向器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光偏向器において、
前記第2圧電アクチュエータは、
駆動電圧が印加されることにより屈曲変形する圧電体と、
前記圧電体を支持し、該圧電体が屈曲変形するときに共に屈曲変形する複数の圧電カンチレバーとを備え、
前記複数の圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの両端部が隣り合うように並んで配置されて、各々の屈曲変形を累積するようにそれぞれ隣り合う圧電カンチレバーに対し折り返すように端部が機械的に連結され、各圧電カンチレバーは、各圧電カンチレバーの並び方向に直交する方向に屈曲変形するように形成されることを特徴とする光偏向器。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の光偏向器において、
前記検知用圧電素子は、
前記第1振動を検知する第1検知用圧電素子と、
前記第2振動を検知する第2検知用圧電素子とで構成され、
前記検知配線は、
前記第1検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第1検知配線と、
前記第2検知用圧電素子と前記接続部とを電気的に接続する第2検知配線とで構成され、
前記接地線の隣に前記第1検知配線を配置し、該第1検知配線の隣りに前記第2検知配線を配置することを特徴とする光偏向器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83769(P2013−83769A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223070(P2011−223070)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】