光受信装置,光局側装置および光ネットワークシステム
【課題】立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立する。
【解決手段】バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部2と、受光部2からの信号について増幅する前置増幅部3と、前置増幅部3から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部4a,4bと、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて直流成分除去部4a,4bにおける前記応答時定数を制御する応答時定数制御部5と、をそなえる。
【解決手段】バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部2と、受光部2からの信号について増幅する前置増幅部3と、前置増幅部3から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部4a,4bと、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて直流成分除去部4a,4bにおける前記応答時定数を制御する応答時定数制御部5と、をそなえる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムにおいて用いて好適の光受信装置,光局側装置および光ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータトラフィックの爆発的増大に応えるべく、高速・大容量のブロードバンド光アクセスネットワークの構築が急速に進展している。高速光アクセスシステムとして、下り最大2.4Gbpsの高速伝送を実現し、かつ、加入者から局舎への光ファイバ網を共有するG-PON(Gigabit−Passive Optical Network)の普及が進展しているが、将来のさらなる高速伝送化に向けて、例えば10Gbpsの大容量伝送を実現する、10G-PONシステムの開発が加速している。
【0003】
10G-PONシステムにおいて、加入者装置(ONU:Optical Network Unit)から局側装置(OLT:Optical Line Terminal)に向かう上り伝送は、各加入者装置からのパケットを時分割多重接続するTDMA(Time Domain Multiple Access)方式を採用する。ここで、ONU毎の伝送路損失差によるダイナミックレンジは20dB(100倍)以上におよび、パケット間のガードタイム:数10nsという非常に短い間隔で、バースト的な光信号が伝送されることとなる。OLTにおいては、このようにONU毎に大きくレベルの異なる光パケットを瞬時に判定する、バースト光受信器の実現が求められる。
【0004】
バースト伝送においては、伝送効率向上のためのパケット先頭部分のプリアンブル部においてパケット入力を精度高く検出しつつ、レベル検出に基づく光のオンオフ符号(通常はビット符号)の識別を可能とする状態に早期に移行すること(立ち上がり時間短縮)と、光のオンオフ符号の識別に際してデータ(ペイロード)中の同符号連続の長大化に耐えうること(同符号連続耐力)とを両立した光受信装置の開発が必須の課題となっている。特にビットレートが増大すると、上述の機能を両立した光受信装置の開発が難しくなる。
【0005】
下記の特許文献1には、従来のPONにおいて、ピーク(ボトム)検出回路により、信号のピーク,ボトムレベルを検出することで信号中央に閾値を設定することにより、プリアンブル中でのレベル検出を可能としつつ、ビット符号の識別に際してペイロード中の同符号連続でのレベル保持を実現している。
また、特許文献2においては、出力レベルのピーク検出をフィードバックすることにより、単極性/双極性信号変換を実現している。
【特許文献1】特開平6−310967号公報
【特許文献2】特開平6−232916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1あるいは2に記載されているようなピーク検出回路は、フィードバック回路であることから設計が難しく、特に10Gbps程度以上の信号を伝送するシステムを想定する場合においては、回路の応答速度の観点から実現が困難である。
そこで、本発明は、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することを目的の一つとしている。
【0007】
なお、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)このため、この光受信装置は、バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを要件としている。
【0009】
(2)また、上記(1)において、該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することとしてもよい。
【0010】
(3)さらに、上記(1)において、該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成することもできる。
(4)また、上記(1)において、該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力する構成とすることもできる。
【0011】
(5)さらに、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
【0012】
(6)さらに、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
【0013】
(7)また、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することもできる。
【0014】
(8)さらに、上記(2)において、該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
(9)また、この光局側装置は、上記(1)の光受信装置が適用されたことを要件としている。
【0015】
(10)さらに、この光ネットワークシステムは、上記(1)の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを要件としている。
【発明の効果】
【0016】
このように、直流成分除去部と応答時定数制御部とにより、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。又、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる光受信装置1を示す図である。この図1に示す光受信装置1は、例えば図4に示すような10ギガビットのパッシブ・オプティカル・ネットワーク(10G−PON)のネットワークシステム10における光局側装置(OLT:Optical Line Terminal)11において、各ONU12からの上りバースト光信号を受信する光受信装置として適用することができるものである。尚、この図4に示すネットワークシステム10は、OLT11と複数のONU12とがそれぞれパワースプリッタ13および光伝送路14を介して接続されてなるものである。
【0018】
ここで、このような10G−PON等のネットワークシステムにおけるOLT11において受信する、ONU12からのバースト光パケット(図4中の♯1〜♯3参照)の受信光レベルは、個々のONU12が当該OLT11と接続される伝送路損失差等に依存して大きく異なる。特に、このような10G−PONのごとき高速なネットワークシステム10においては、例えば図5に示すように、このような受信光レベルの異なるバースト光パケット(パケット♯1,パケット♯2)を、数ns程度の比較的短いガードタイムを置いて受信することが求められる。
【0019】
第1実施形態にかかる光受信装置1においては、このような受信光レベルの異なるバースト信号をなす光パケットが数ns程度のガードタイムを置いて受信する場合においても、フィードバック回路構成であるピーク検出回路を適用することなく応答時間を速めて、比較的短いガードタイムを置いて入力される光パケットについてデータ信号として取り込むことを可能とするものである。
【0020】
ここで、この図1に示す光受信装置1は、フォトダイオード(PD)2,トランスインピーダンスアンプ(TIA)3,直流負帰還アンプ4a,電流源4bおよびラッチ回路5をそなえるとともに、パワーモニタ7a,アンプ7b,判定部7c,遅延部8をそなえ、且つ、リミッタアンプ(LIA)9をそなえている。
ここで、PD2は、バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号(電流信号)を出力する受光部であり、TIA3は、PD2での受光レベルに応じた電気信号(PD2のカソード側からの電気信号)を増幅して出力するものであり、換言すれば、PD2からの信号について増幅出力する前置増幅部(プリアンプ)である。又、LIA9は、前置増幅部をなすTIA3からの信号について増幅して、送信側(ONU12)での変調ディジタル信号(二値化信号)に対応した二値化信号とすることができるようになっている。
【0021】
また、パワーモニタ7aは、PD2のカソード側の電気信号により、PD2で受光する光のパワーをモニタするものである。即ち、パワーモニタ7aにおいては、PD2で受光する光のパワーに応じた大きさの電気信号を出力するようになっている。アンプ7bは、パワーモニタ7aからの電気信号を増幅によりレベル調整を行なって後段の判定部7cに渡す。尚、このアンプ7bとしては、入力されるバースト光信号のレベルの相違に対応して、例えばログアンプ等の、増幅可能なレベルとして比較的広範囲をカバーするものを適用する。
【0022】
判定部7cにおいては、アンプ7bを介して入力された光モニタ結果、即ちPD2で受光した光のモニタ結果に基づいて、光パケットからなるバースト光信号の先頭を検出、即ちバースト光信号の立ち上がりを検出する。具体的には、アンプ7bを通じて入力されるモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、バースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出し、バースト光信号が立ち上がったときには当該バースト光信号をなす光パケットのプリアンブル時間内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ7a,アンプ7bおよび判定部7cにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部7を構成する。
【0023】
なお、上述のパワーモニタ7a,アンプ7bおよび判定部7cにおける応答速度としては、後段においてバースト光信号をなす光パケットの入力の開始を、当該パケットのプリアンブル時間内に判断できれば足りる。即ち、特にパワーモニタ7aでのパワー変動検出についての応答速度としては、バースト光信号の立ち上がりを当該パケットのプリアンブル(図5参照)の時間内に検出することができる速度とすればよいので、光パケットに変調されているデータのビットレートに相当する程度の周波数の光のオンオフまで検出するような速度までは求められない。例えば、第1実施形態における10G−PONのネットワークシステム10におけるOLT11においては、100MHz程度の光のオンオフを検出可能な程度の速度があればよい。
【0024】
さらに、遅延部8は、例えばタイマ回路により構成され、判定部7cにおいての判定結果を示す信号を遅延させて、ラッチ回路5に出力するものであり、立ち上がり検出部7における検出結果を示す信号に遅延を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として出力する第1遅延部である。
また、ラッチ回路5は、PD2で受光するバースト光信号の立ち上がりを示す信号および立ち下がりを示す信号に基づいて、上述のDCFB4aにおける応答時定数を制御する応答時定数制御部である。即ち、ラッチ回路5においては、上述の判定部7cから遅延部8を介して入力される信号、即ちバースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、外部からバースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、それぞれ入力されて、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力回路として構成される。換言すれば、ホールド信号出力回路としてのラッチ回路5においては、バースト信号の立ち上がりを示すセット信号の入力によりホールド信号を出力する一方、外部からのバースト光信号の立ち下がりを示すリセット信号の入力により、ホールド信号を解除するようになっている。
【0025】
さらに、上述の立ち上がり検出部7およびこの遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ホールド信号出力回路をなすラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
第1実施形態における光受信装置1が適用される光局側装置11においては、各ONU12からの光パケットをバースト光信号として受信するタイミングを管理する機能をそなえている。従って、この受信タイミングを管理する機能からバースト光信号の立ち下がりを示す信号を受け取ることとすれば、受け取った立ち下がりを示す信号をリセット入力として適用することができる。
【0026】
ここで、ホールド信号出力回路をなすラッチ回路5においては、ホールド信号を出力している場合、即ちバースト光信号が立ち上がっているときには、後述するDCFB4aの応答時定数を相対的に大きくする一方、ホールド信号をリセットしている場合、即ちバースト光信号が立ち下がっている場合にはDCFB4aの応答時定数を相対的に小さくすべく、DCFB4aでの応答時定数を制御するようになっている。
【0027】
また、直流負帰還アンプ(DCFB)4aは、TIA3から差動出力された2つの受光信号成分の平均値相当の値を直流成分信号として出力するものであり、この直流負帰還アンプ4aから出力された直流成分信号については、PD2から出力される受光信号(電流信号)から減算される成分として電流源4bに供給される。即ち、PD2からの受光信号は、電流源4bにおいて上述のDCFB4aからの直流成分が除去されて、TIA3に出力される。これにより、第1実施形態におけるTIA3においては、PD2からの受光信号中の直流成分がフィードバックにより除去された信号が増幅されて、差動出力されるようになっている。
【0028】
なお、上述のDCFBアンプ4aは、上述のラッチ回路5からの信号に応じてその時定数を可変設定可能に構成されており、例えば図2又は図3に示すように構成することができる。図2,図3にそれぞれ示すDCFBアンプ4a−1,4a−2は、TIA3からの2出力信号をそれぞれ入力とするRC回路42−1,42−2をそなえるとともに、RC回路42−1,42−2からの2つの受光信号成分の平均値相当の値を出力する増幅器41をそなえている。
【0029】
図2に示すRC回路42−1においては、TIA3からの2出力について直列に接続された抵抗45a,45b及び抵抗46a,46bとともに、容量47及びスイッチ回路43,44をそなえている。スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。即ち、スイッチ43,44においては、それぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路42−1としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0030】
また、図3に示すRC回路42−2においては、TIA3から2出力について並列に接続された抵抗45a,45b及び抵抗46a,46bとともに、容量47及びスイッチ回路43,44をそなえている。スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。即ち、スイッチ43,44においてそれぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路42−2としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0031】
このように構成されたDCFBアンプ4a−1,4a−2は、ラッチ回路5からの信号に応じて応答時定数が切り替わるRC回路42−1,42−2をそなえているので、ラッチ回路5からの信号に応じて、TIA3から差動出力された2つの受光信号成分の平均値相当の値の出力応答時定数が切り替えられて、TIA3入力にフィードバックされるようになっている。
【0032】
これにより、スイッチ43,44をオンとして応答時定数を小さくすることで、DCFBアンプ4aとしての応答を比較的高速とし、バースト光信号が立ち下がり時において次なるバースト信号の検出を可能とする。一方、スイッチ43,44をオフとして応答時定数を大きくすることで、DCFBアンプ4aとしての応答を比較的低速とし、同符号連続に対する耐力を高めることを可能としているのである。
【0033】
したがって、上述の図1に示すDCFB4a及び電流源4bにより、TIA3から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去回路を構成し、この直流成分除去回路は、TIA3から出力される信号の直流成分を、PD2からTIA3に出力される信号に負帰還させる負帰還回路として機能している。
すなわち、上述の直流成分除去回路により、TIA3から出力される信号においては、PD2を通じて受信する光パケットの符号パターンに対応した波形の電気信号を、直流成分が除去された双極性信号とすることができるようになる。LIA9においては、このような双極性信号を受けることにより、受信する光パケットの光強度やガードタイム等にかかわらず、受信パケットにおける光オンオフの符号に応じたディジタル電気信号とすることができる。
【0034】
このとき、PD2で受光する光のモニタ結果からバースト光信号の立ち上がりを検出する前段においては、DCFB4aの応答時定数を小さい値としておくことにより、DCFB4aでは、後続のデータ領域に対応する電気信号をTIA3から出力する際の直流成分を除去するための信号成分を、ペイロード領域に対応する信号がTIA3を通過する時間内に確立させることができる。
【0035】
このとき、直流成分除去回路をなすDCFB4aにおいては、TIA3から入力される電気信号の平均レベルに相当するレベルの信号を除去すべき直流成分として生成するようになっている。従って、光パケットのデータ(ペイロード)領域における符号パターンが特に同符号が連続する場合(例えば符号「0」に相当する消光時間)が連続する場合等においては、同一パケット内において除去すべき直流成分が変動することも想定される。この場合には、TIA3から出力される光パケットのオンオフ符号に対応した電気信号における直流成分の除去精度ひいてはLIA9での受信信号品質が低下する。
【0036】
そこで、立ち上がり検出部7においてバースト光信号の立ち上がりを検出すると、当該光パケットのペイロード領域に後続するデータ領域に対応する受光信号がTIA3に入力される時点において、DCFB4aの応答時定数を小さい値から大きい値にする。これにより、ペイロード領域において確立させた直流成分の値から大きく変動しない値を、後続するデータ領域に対応する双極性電気信号をTIA3から出力する際の除去成分として用いることができるので、データ領域において同符号が連続する場合においても安定的に直流成分を除去することが可能になる。
【0037】
図6は、上述のごとく構成された第1実施形態にかかる光受信装置1の動作について、図6の(a)に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。ラッチ回路5では、先行する光パケットの受信が完了した段階で外部からのリセット信号を入力されて((e)の時点t0)、DCFB4aの応答時定数を小さい値となるように制御信号をDCFB4aに出力する。これにより、DCFB4aにおいては、後続の光パケットの入力にそなえ、直流成分除去用の信号を比較的高速な応答で生成できる状態としておく((g)の時点t0〜t3)。
【0038】
ついで、判定部7cにおいて、パワーモニタ7aからアンプ7bを介して入力されるパワーモニタ信号が、あらかじめ設定された閾値(光パケットの入力と判断するに足る値)を超えた場合に、その旨の信号を出力する((b)および(c)の時点t2)。この判定部7cからの信号は、上述の先行する光パケットに後続する光パケットをなすバースト光信号の立ち上がり検出信号として遅延部8に与えられる。
【0039】
遅延部8においては判定部7cからのバースト光信号の立ち上がり検出信号に遅延(時点t2〜t3)を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として供給する((d)の時点t3)。ラッチ回路5では、遅延部8からのセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち上げる((f)の時点t3)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0040】
ラッチ回路5により、DCFB4aでの応答時定数を上述のごとく切り替え制御しているので、TIA3からの出力信号としては、光パケットのプリアンブル領域に相当する電気信号を出力する時点では、当該プリアンブルに相当する時間内という比較的高速に直流成分が除去された双極性信号に安定化されることが可能となる一方((g)の時点t1〜t4)、ペイロード領域(データ領域)においては、同符号が連続する領域が含まれているとしても安定的に直流成分が除去された双極性信号として出力することが可能となる((g)のt4〜t5)。
【0041】
なお、データ領域での同符号の連続は、立ち上がり検出部7での立ち上がり検出信号およびラッチ回路5へのセット信号の不定につながる。しかし、第1実施形態においては、ラッチ回路5に入力されるリセット信号は((e)のt0,t8)、OLT11において把握するガードタイムのタイミングに応じて光受信装置1の外部から入力されるようになっており、このリセット信号がDCFB4aでの応答時定数を小さくする契機となるので、データ領域でのDCFB4aの動作の安定性を確実にしている。
【0042】
このように、本発明の第1実施形態によれば、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することができるという利点がある。
〔A1〕第1実施形態の変形例の説明
図7は本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる光受信装置1Aを示す図である。この図7に示す光受信装置1Aは、前述の第1実施形態における光受信装置1に比して、PD2からの受光信号のモニタ結果からラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成を更にそなえている点が異なっている。尚、図7中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0043】
アンプ17bは、パワーモニタ7aからの電気信号を増幅によりレベル調整を行なって後段の判定部17cに渡す。判定部17cでは、パワーモニタ7aからアンプ17cを介して入力された光モニタ結果となる電気信号を予め設定された閾値との大小を比較して、バースト光信号の立ち下がり、即ち時分割多元接続によって受信される光パケットの入力が終了したか否かを検出し、光パケットが立ち下がったときには当該光パケット間のガードタイム内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ7a,アンプ17bおよび判定部17cにより、バースト光信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部を構成する。
【0044】
なお、判定部17cにおいてバースト光信号の立ち下がりを、データ領域の同符号連続とは区別して確実に検出することができる閾値判定ができるようにするため、アンプ17bにおける利得としてはアンプ7bの利得とは異なる値を設定したり、判定部17cでの閾値を判定部7cでの閾値とは異なる値に設定したりすることが可能である。
遅延部18は、立ち下がり検出部をなす判定部17cにおける検出結果を示す信号に遅延を与えて、ラッチ回路5へのリセット信号として出力する第2遅延部である。換言すれば、上述のパワーモニタ7a,アンプ17b,判定部17cおよび遅延部18により、バースト光信号の立ち下がりを検出するとラッチ回路5へのリセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部を構成する。
【0045】
これにより、ラッチ回路5においては、セット信号出力部をなす遅延部8からのセット信号によるセット入力とともに、リセット信号出力部をなす遅延部18からのリセット信号によるリセット入力に基づいて、DCFB4aへのホールド信号の出力を切り替える。即ち、セット入力によりホールド信号を出力する一方、リセット入力によりホールド信号を解除する。このようなラッチ回路5によるホールド信号の出力および解除を通じて、DCFB4aでの応答時定数を切り替えることができる。
【0046】
図8は、上述のごとく構成された光受信装置1Aの動作について説明する図である。この場合においても、図8の(a)に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。前述の図6に示す場合と同様に、判定部7cにおいてバースト光信号の立ち上がりを検出した場合には、遅延部8を通じてその旨を示す信号をラッチ回路5へのセット信号として供給する((b)〜(d)のt2,t3)。これにより、ラッチ回路5では、ホールド信号を立ち上げて((h)のt3)、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0047】
また、判定部17cにおいて、パワーモニタ7aからアンプ17bを介して入力されるパワーモニタ信号が、あらかじめ設定された閾値(光パケットの入力と判断するに足る値)を下回った場合に、その旨の信号を出力する((e)および(f)の時点t6)。この判定部17cからの信号は、バースト光信号の立ち下がりの検出信号として遅延部18に与えられる。
【0048】
遅延部18においては判定部17cからのバースト光信号の立ち下がり検出信号に遅延(時点t6〜t7)を与えたものを、ラッチ回路5へのリセット信号として供給する((g)の時点t7)。ラッチ回路5では、遅延部18からのリセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち下げる((h)の時点t7)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、後続する光パケットが入力されるまでのガードタイムの間に比較的小さくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0049】
このように、図7に示す光受信装置においても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
なお、図7に示す構成においては、ラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成を図1の構成に追加しているが、本発明によれば、例えば図9に示す光受信装置1Bのように、バースト光信号の立ち上がりを示す信号を外部から受け取って、これをラッチ回路5へのセット入力とする一方、ラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成として、図7に示すものと同様の構成(符号7a,17b,17cおよび18)をそなえることとしてもよい。
【0050】
ここで、光受信装置1Bが適用される光局側装置11(図4参照)においては、各OLT12からの光パケットをバースト光信号として受信するタイミングを管理する機能をそなえている。この場合においては、受信タイミングを管理する機能からバースト光信号の立ち上がりを示す信号を、ラッチ回路5へのセット信号として受け取ることができる。
または、図10に示す光受信装置1Cのように、上述の受信タイミング管理機能から、バースト光信号の立ち上がりを示す信号とともに立ち下がりを示す信号を受け取って、立ち上がりを示す信号をラッチ回路5へのセット入力(Set信号)とする一方、立ち下がりを示す信号をラッチ回路5へのリセット入力(Reset信号)とすることもできる。このようにすれば、パワーモニタ7aその他アンプ7b,17b,判定部7c,17cおよび遅延部8,18としての回路構成について省略することが可能となる。
【0051】
〔B〕第2実施形態の説明
図11は本発明の第2実施形態にかかる光受信装置20を示す図である。この図11に示す光受信装置20についても、前述の第1実施形態の場合と同様に、例えば図4に示す10G−PONのネットワークシステム10の光局側装置11に適用され、ラッチ回路5がDCFB4aの応答時定数を切り替えることにより、ピーク検出を適用せずに立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立するものである。しかし、ラッチ回路5へのセット信号を生成するための立ち上がり検出部27の構成が前述の第1実施形態の場合と相違する。尚、図11中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示すものである。
【0052】
ここで、立ち上がり検出部27は、図1に示す光受信装置1と同様のパワーモニタ7aをそなえるとともに、応答時定数の互いに異なる2つのアンプ27b−1,27b−2をそなえるとともに、判定部27cおよび遅延部28をそなえている。アンプ27b−1,27b−2はともにパワーモニタ7aからのモニタ電気信号を増幅するものであるが、例えば、アンプ27b−1の応答時定数および利得は相対的に小さい一方、アンプ27b−2の応答時定数および利得は相対的に大きくなるように構成されている。
【0053】
したがって、パワーモニタ7aおよびアンプ27b−1により、PD2で受光した信号のパワーをモニタする、時定数および利得の相対的に小さい第1モニタを構成し、パワーモニタ7aおよびアンプ27b−2により、PD2で受光した信号のパワーをモニタする、時定数および利得の相対的に大きい第2モニタを構成する。
判定部(立ち上がり判定部)27cは、第1,第2モニタでのモニタ結果、即ち、アンプ27b−1,27b−2からのモニタ電気信号に基づいて、バースト光信号の立ち上がりを検出し、検出結果をラッチ回路5へのセット入力として出力する。具体的には、アンプ27b−1からのモニタ電気信号M1と、アンプ27b−2からのモニタ電気信号M2と、が重なったタイミングでバースト光信号の立ち上がりと判定して、その旨をラッチ回路5へのセット入力として出力するようになっている。
【0054】
これにより、ラッチ回路5においては、判定部27cからの検出信号をセット入力としてホールド信号を出力する一方、前述の第1実施形態の場合と同様外部からのリセット入力を適用することによりホールド信号を解除することを通じて、前述の第1実施形態の場合と同様に、DCFB4aでの応答時定数を切り替えることができる。
図12は上述のごとく構成された光受信装置20の動作について説明するための図である。この図12に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。ラッチ回路5では、先行する光パケットの受信が完了した段階で外部からのリセット信号を入力されて((e)の時点t0)、DCFB4aの応答時定数を小さい値となるように制御信号をDCFB4aに出力する。これにより、DCFB4aにおいては、後続の光パケットの入力にそなえ、直流成分除去用の信号を比較的高速な応答で生成できる状態としておく((g)の時点t0〜t3)。
【0055】
ついで、判定部27cにおいては、パワーモニタ7aからアンプ27b−1を介して入力されるモニタ電気信号M1と、アンプ27b−2を介して入力されるモニタ電気信号M2と、を入力されて、これらのモニタ電気信号M1,M2が重なったタイミングでバースト光信号の立ち上がりと判定する((b)のt2)。
すなわち、モニタ電気信号M1は、モニタ電気信号M2よりも立ち上がりが急峻となる一方で、レベル自体はモニタ電気信号M2よりも相対的に小さい値で安定する。従って、2つのモニタ電気信号M1,M2は、光パケットの入力が開始すると一点で交わることが想定できる。判定部27cにおいては、この交差点のタイミングを示す信号を、バースト光信号の立ち上がりの検出信号として出力している。
【0056】
前述の第1実施形態における判定部7cにおいては、予め設定された固定閾値との大小判定を通じてパケットの立ち上がりを判定しているため、入力される光パケットの光強度により検出時間に差が生じうる。第2実施形態においては、パケット検出が、両モニタ電気信号M1,M2の振幅の相対的な比較を通じて行なうことができるので、パケット検出のために要する時間がパケット自身の光強度に依存することがなく、安定な検出を実現できる。
【0057】
なお、遅延部28においては判定部27cからのバースト光信号の立ち上がり検出信号に遅延(時点t2〜t3)を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として供給する((d)の時点t3)。ラッチ回路5では、遅延部28からのセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち上げる((f)の時点t3)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0058】
ラッチ回路5により、DCFB4aでの応答時定数を上述のごとく切り替え制御しているので、TIA3からの出力信号としては、光パケットのプリアンブル領域に相当する電気信号を出力する時点では、当該プリアンブルに相当する時間内という比較的高速に直流成分が除去された双極性信号に安定化されることが可能となる一方((g)の時点t1〜t4)、ペイロード領域(データ領域)においては、同符号が連続する領域が含まれているとしても安定的に直流成分が除去された双極性信号として出力することが可能となる((g)のt4〜t5)。
【0059】
このように、本発明の第2実施形態においても、ピーク検出を適用せずに立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立するとともに、パケット検出の安定化を図ることができるので、光受信回路20としての動作の安定化を図ることができる利点がある。
なお、上述の第2実施形態においては、判定部27cにおいてアンプ27b−1,27b−2からのモニタ電気信号M1,M2に基づいて、バースト光信号の立ち上がりの検出を行なうことにより立ち上がり検出部およびセット信号出力部を構成しているが、本発明によれば、これらのモニタ電気信号M1,M2に基づいてバースト光信号の立ち下がりを検出するようにしてもよく、これにより立ち下がり判定部およびリセット信号出力部を構成することとしてもよい。即ち、このように検出された立ち下がりについては、前述の第1実施形態の変形例の場合と同様に、ラッチ回路5のリセット入力として適用することができる。
【0060】
たとえば、立ち下がり判定部としての判定部27cにおいては、モニタ電気信号M2がモニタ電気信号M1よりも大きい状態から等しくなったことを検出して(図12の(b)におけるt6参照)、これをバースト光信号の立ち下がりとして検出することができる。そして、この立ち下がりとしての検出から、遅延部28で第2遅延部(図9の符号18参照)としての遅延が与えられたのちにリセット信号をラッチ回路5に出力するように構成する(図12の(e),(f)のt7参照)。
【0061】
もちろん、前述の図7の場合にならい、上述の第2実施形態の態様でバースト光信号の立ち上がりおよび立ち下がりを検出して、ラッチ回路5へのセット入力およびリセット入力とすることとしてもよい。
〔C〕第3実施形態の説明
図13は本発明の第3実施形態にかかる光受信装置30を示す図である。この図13に示す光受信装置30は、前述の第1,第2実施形態とは異なる直流成分除去回路31をそなえている。尚、図13中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示しており、その詳細な説明については省略する。又、直流成分除去回路31は、TIA3からの出力信号についてAC[Altenating Current]成分のみを結合させるものであり、例えばコンデンサ、または図14〜図17に例示するような直流成分除去回路31A〜31D等により構成される。
【0062】
また、この直流成分除去回路31は、ラッチ回路5からのホールド信号の入力およびホールド信号の解除に応じて、応答時定数が可変に構成されている。ここで、図14に示す直流成分除去回路31Aにおいては、TIA3からの2つの受光信号成分(差動信号)を増幅し差動出力とする増幅器51,増幅器51からの2出力信号をそれぞれ入力とするRC回路52−1,RC回路52−1からの2つの受光信号成分の平均値相当の値を出力する増幅器53,および増幅器53からの出力信号を、除去すべき直流成分の信号としてTIA3から増幅器51への差動信号の一方に加算する加算器54をそなえている。
【0063】
図14に示すRC回路52−1においては、増幅器51からの2出力を入力とする前述の図2に示すRC回路42−1と同様の構成をそなえている。即ち、スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。これにより、スイッチ43,44においてそれぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路52−1としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0064】
さらに、図15に示す直流成分除去回路31Bにおいては、図14に示すものと同様の増幅器51をそなえるとともに、RC回路52−3,52−4および加算器54−1,54−2をそなえている。RC回路52−3は、TIA3から増幅器51への2入力3−1,3−2のうちの他方3−2から直流成分を抽出し、抽出した直流成分を増幅器51への一方の入力3−1に加算器54−1を通じて加算する。又、RC回路52−4は、TIA3から増幅器51への一方の入力3−1から直流成分を抽出し、抽出した直流成分を増幅器51への他方の入力3−2に加算器54−2を通じて加算する。これにより、増幅器51においては、TIA3からの信号に含まれる直流成分が除去された信号を出力することができるようになる。
【0065】
ここで、RC回路52−3は、抵抗61a,61b,容量62およびスイッチ63をそなえて構成され、スイッチ63により、抵抗61a,61bのうちの一方61bの接続をオンオフ切り替えする。即ち、スイッチ63は、抵抗61bの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっており、これにより、RC回路52−3としての応答時定数を切り替えることができるようになる。
【0066】
同様に、RC回路52−4は、抵抗64a,64b,容量65およびスイッチ66をそなえて構成され、スイッチ66により、抵抗64bをオンオフ切り替えする。即ち、スイッチ66は、抵抗64bの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっており、これにより、RC回路52−4としての応答時定数を切り替えることができるようになる。
【0067】
なお、TIA3としては差動出力であることに限定されるものではなく、1出力とすることも可能であるが、この場合においては、図16又は図17に例示するような直流成分除去回路31C,31Dとすることができる。図16に示す直流成分除去回路31Cにおいては、前述の図14に示すものと同様の増幅器51,RC回路52−1及び増幅器53をそなえ、TIA3からの出力を増幅器51への一方の入力とし、増幅器53からの直流成分の抽出された信号を増幅器51への他方の入力として、増幅器51において直流成分の除去された信号を出力する。
【0068】
また、図17に示す直流成分除去回路31Dにおいては、前述の図15に示すものと同様の増幅器51およびRC回路52−4をそなえ、TIA3からの出力を増幅器51への一方の入力とし、RC回路52−4からの直流成分の抽出された信号を増幅器51への他方の入力として、増幅器51において直流成分の除去された信号を出力する。
このように構成された直流成分除去回路31A〜31Dにおいては、スイッチをオンとして応答時定数を小さくすることで、RC回路としての応答を比較的高速とし、バースト光信号が立ち下がり時において次なるバースト信号の検出を可能とする。一方、スイッチをオフとして応答時定数を大きくすることで、RC回路としての応答を比較的低速とし、同符号連続に対する耐力を高めることを可能としている。
【0069】
これにより、バースト光信号が立ち上がる前段においては、ラッチ回路5ではホールド信号が解除されており、この場合には、図13に示す直流成分除去回路31では、応答時定数相対的に小さい値としておく。これにより、光パケットが入力されたときの受信信号の早期の立ち上がりを可能としている。
一方、バースト光信号が立ち上がったことを立ち上がり検出部7で検出すると、セット信号出力部をなす遅延部8からのセット信号がラッチ回路5に入力される。ラッチ回路5においては、上述のセット信号の入力により直流成分除去回路31にホールド信号を出力する。これにより、直流成分除去回路31では、応答時定数の相対的に大きい値にする。これにより、光パケットが入力されている段階における同符号連続に対する精度高い応答信号の出力を確保している。
【0070】
したがって、第3実施形態においても、ラッチ回路5および直流成分除去回路31により、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
なお、上述の第3実施形態においては、第1実施形態の場合(図1参照)と同様のセット信号出力部を構成しているが、本発明によれば、ラッチ回路5へのセット信号およびリセット信号を生成する態様として、上述の第1実施形態の変形例や第2実施形態における構成を適用することも可能である。
【0071】
〔C1〕第3実施形態の変形例の説明
図18は本発明の第3実施形態の第1変形例にかかる光受信装置30Aを示す図である。この図18に示す光受信装置30Aは、前述の図13に示すものと異なり、バースト光信号の立ち上がりの検出のために、前置増幅部をなすTIA3への入力パワーをモニタするパワーモニタ37aをそなえている。又、アンプ37bは、パワーモニタ37aからのモニタ結果としての電気信号レベルを増幅により調整するものである。更に、判定部37cは、アンプ37bを介して入力された光モニタ結果、即ちPD2で受光してTIA3に入力される電気信号レベルのモニタ結果に基づいて、光パケットからなるバースト光信号の先頭を検出、即ちバースト光信号の立ち上がりを検出する。
【0072】
具体的には、アンプ37bを通じて入力される受光レベルのモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、モニタ結果としての電気信号が閾値よりも大きい場合にバースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出する。このとき、バースト光信号が立ち上がったときには当該バースト光信号をなす光パケットのプリアンブル時間内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ37a,アンプ37bおよび判定部37cにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部37を構成する。そして、上述の立ち上がり検出部37とともに、図13に示すものと同様の遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
【0073】
このように構成された光受信装置30Aにおいても、前述の第3実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
図19は本発明の第3実施形態の第2変形例にかかる光受信装置30Bを示す図である。この図19に示す光受信装置30Bは、前述の図13,12に示すものとは異なり、TIA3から出力される出力信号を用いてラッチ回路5へのセット信号を生成するようになっている。このため、光受信装置30Bは、ラッチ回路5へのセット信号を生成するための構成として、アンプ37dおよび判定部37eをそなえている。
【0074】
アンプ37dは、TIA3から出力された出力信号について増幅によりレベル調整を行なうものであり、判定部37eは、アンプ37dを通じて入力されるモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、モニタ結果としての電気信号が閾値よりも大きい場合にバースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出する。
したがって、上述のアンプ37dおよび判定部37eにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部37を構成する。そして、上述の立ち上がり検出部37とともに、図13に示すものと同様の遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
【0075】
なお、上述の第3実施形態の第1,第2変形例においては、TIA3に入力される受光信号のパワーを用いてラッチ回路5へのセット信号を生成するようになっているが、本発明によれば、TIA3に入力される受光信号のパワーを用いてリセット信号を生成する構成を採用してもよいし、又セット信号およびリセット信号の双方を生成する構成を採用してもよい。
【0076】
〔D〕第4実施形態の説明
図20は本発明の第4実施形態にかかる光受信装置40を示す図である。この図20に示す光受信装置40は、前述の第1実施形態における光受信装置1としての構成に、第3実施形態における直流成分除去回路31を新たに追加したものである。尚、図20中、図1および図13に示すものと同一の符号はほぼ同様の部分を示している。このように構成された光受信装置40においては、ラッチ回路5およびDCFB4a,電流源4bおよび直流成分除去回路31により、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保との両立を確実ならしめることができる。
【0077】
〔E〕その他
上述の実施形態の開示にかかわらず、請求項記載の本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
その他、上述した実施形態の開示により、当業者であれば本発明の装置を製造することは可能である。
【0078】
〔F〕付記
(付記1)
バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、
該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、
該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、
前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを特徴とする、光受信装置。
【0079】
(付記2)
該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、
該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0080】
(付記3)
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成されたことを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
(付記4)
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力することを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0081】
(付記5)
該ホールド信号出力部は、ラッチ回路により構成されたことを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
(付記6)
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0082】
(付記7)
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0083】
(付記8)
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0084】
(付記9)
該セット信号出力部は、
前記バースト信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部と、
該立ち上がり検出部における検出結果を示す信号に遅延を与えて、該ホールド信号出力部への前記セット信号として出力する第1遅延部と、そなえたことを特徴とする、付記6又は7記載の光受信装置。
【0085】
(付記10)
該リセット信号出力部は、
前記バースト信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部と、
該立ち下がり検出部における検出結果を示す信号に遅延を与えて、該ホールド信号出力部への前記リセット信号として出力する第2遅延部と、をそなえたことを特徴とする、付記7又は8記載の光受信装置。
【0086】
(付記11)
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
(付記12)
該受光部はフォトダイオードにより構成されるとともに、該フォトダイオードの電気信号が該前置増幅部に出力されるように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0087】
(付記13)
該立ち上がり検出部は、
該受光部で受光した信号のパワーをモニタする、時定数の相対的に小さい第1モニタと、
該受光部で受光した信号のパワーをモニタする、時定数の相対的に大きい第2モニタと、
該第1および第2モニタでのモニタ結果に基づいて前記バースト光信号の立ち上がりを検出し、検出結果を該ホールド信号出力部の前記セット入力として出力する立ち上がり判定部と、をそなえたことを特徴とする、付記9記載の光受信装置。
【0088】
(付記14)
付記1記載の光受信装置が適用されたことを特徴とする、光ネットワークシステムにおける光局側装置。
(付記15)
付記1記載の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを特徴とする、光ネットワークシステム。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるDCFBを示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるDCFBを示す図である。
【図4】本実施形態の光受信装置が適用される光ネットワークシステムを示す図である。
【図5】本実施形態の光受信装置が解決する課題について説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる光受信装置の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる光受信装置の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図14】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図16】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図18】本発明の第3実施形態の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第4実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1,1A〜1C,20,30,30A,30B,40 光受信装置
2 フォトダイオード(受光部)
3 TIA(前置増幅部)
4a,4a−1,4a−2 DCFB
4b 電流源
5 ラッチ回路(応答時定数制御部、ホールド信号出力部)
7,27,37 立ち上がり検出部
7a,37a パワーモニタ
7b,17b,27b−1,27b−2,37b,37d アンプ
7c,17c,27c,37c,37e 判定部
8,18,28 遅延部
9 LIA
10 光ネットワークシステム
11 OLT
12 ONU
13 パワースプリッタ
14 光伝送路
31,31A〜31D 直流成分除去回路
41,51,53 増幅器
42−1,42−2,52−1,52−3,52−4 RC回路
43,44,63,66 スイッチ
45a,45b,46a,46b,61a,61b,64a,64b 抵抗
47,62,65 容量
54,54−1,54−2 加算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムにおいて用いて好適の光受信装置,光局側装置および光ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータトラフィックの爆発的増大に応えるべく、高速・大容量のブロードバンド光アクセスネットワークの構築が急速に進展している。高速光アクセスシステムとして、下り最大2.4Gbpsの高速伝送を実現し、かつ、加入者から局舎への光ファイバ網を共有するG-PON(Gigabit−Passive Optical Network)の普及が進展しているが、将来のさらなる高速伝送化に向けて、例えば10Gbpsの大容量伝送を実現する、10G-PONシステムの開発が加速している。
【0003】
10G-PONシステムにおいて、加入者装置(ONU:Optical Network Unit)から局側装置(OLT:Optical Line Terminal)に向かう上り伝送は、各加入者装置からのパケットを時分割多重接続するTDMA(Time Domain Multiple Access)方式を採用する。ここで、ONU毎の伝送路損失差によるダイナミックレンジは20dB(100倍)以上におよび、パケット間のガードタイム:数10nsという非常に短い間隔で、バースト的な光信号が伝送されることとなる。OLTにおいては、このようにONU毎に大きくレベルの異なる光パケットを瞬時に判定する、バースト光受信器の実現が求められる。
【0004】
バースト伝送においては、伝送効率向上のためのパケット先頭部分のプリアンブル部においてパケット入力を精度高く検出しつつ、レベル検出に基づく光のオンオフ符号(通常はビット符号)の識別を可能とする状態に早期に移行すること(立ち上がり時間短縮)と、光のオンオフ符号の識別に際してデータ(ペイロード)中の同符号連続の長大化に耐えうること(同符号連続耐力)とを両立した光受信装置の開発が必須の課題となっている。特にビットレートが増大すると、上述の機能を両立した光受信装置の開発が難しくなる。
【0005】
下記の特許文献1には、従来のPONにおいて、ピーク(ボトム)検出回路により、信号のピーク,ボトムレベルを検出することで信号中央に閾値を設定することにより、プリアンブル中でのレベル検出を可能としつつ、ビット符号の識別に際してペイロード中の同符号連続でのレベル保持を実現している。
また、特許文献2においては、出力レベルのピーク検出をフィードバックすることにより、単極性/双極性信号変換を実現している。
【特許文献1】特開平6−310967号公報
【特許文献2】特開平6−232916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1あるいは2に記載されているようなピーク検出回路は、フィードバック回路であることから設計が難しく、特に10Gbps程度以上の信号を伝送するシステムを想定する場合においては、回路の応答速度の観点から実現が困難である。
そこで、本発明は、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することを目的の一つとしている。
【0007】
なお、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)このため、この光受信装置は、バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを要件としている。
【0009】
(2)また、上記(1)において、該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することとしてもよい。
【0010】
(3)さらに、上記(1)において、該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成することもできる。
(4)また、上記(1)において、該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力する構成とすることもできる。
【0011】
(5)さらに、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
【0012】
(6)さらに、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
【0013】
(7)また、上記(2)において、前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することもできる。
【0014】
(8)さらに、上記(2)において、該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することとしてもよい。
(9)また、この光局側装置は、上記(1)の光受信装置が適用されたことを要件としている。
【0015】
(10)さらに、この光ネットワークシステムは、上記(1)の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを要件としている。
【発明の効果】
【0016】
このように、直流成分除去部と応答時定数制御部とにより、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。又、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる光受信装置1を示す図である。この図1に示す光受信装置1は、例えば図4に示すような10ギガビットのパッシブ・オプティカル・ネットワーク(10G−PON)のネットワークシステム10における光局側装置(OLT:Optical Line Terminal)11において、各ONU12からの上りバースト光信号を受信する光受信装置として適用することができるものである。尚、この図4に示すネットワークシステム10は、OLT11と複数のONU12とがそれぞれパワースプリッタ13および光伝送路14を介して接続されてなるものである。
【0018】
ここで、このような10G−PON等のネットワークシステムにおけるOLT11において受信する、ONU12からのバースト光パケット(図4中の♯1〜♯3参照)の受信光レベルは、個々のONU12が当該OLT11と接続される伝送路損失差等に依存して大きく異なる。特に、このような10G−PONのごとき高速なネットワークシステム10においては、例えば図5に示すように、このような受信光レベルの異なるバースト光パケット(パケット♯1,パケット♯2)を、数ns程度の比較的短いガードタイムを置いて受信することが求められる。
【0019】
第1実施形態にかかる光受信装置1においては、このような受信光レベルの異なるバースト信号をなす光パケットが数ns程度のガードタイムを置いて受信する場合においても、フィードバック回路構成であるピーク検出回路を適用することなく応答時間を速めて、比較的短いガードタイムを置いて入力される光パケットについてデータ信号として取り込むことを可能とするものである。
【0020】
ここで、この図1に示す光受信装置1は、フォトダイオード(PD)2,トランスインピーダンスアンプ(TIA)3,直流負帰還アンプ4a,電流源4bおよびラッチ回路5をそなえるとともに、パワーモニタ7a,アンプ7b,判定部7c,遅延部8をそなえ、且つ、リミッタアンプ(LIA)9をそなえている。
ここで、PD2は、バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号(電流信号)を出力する受光部であり、TIA3は、PD2での受光レベルに応じた電気信号(PD2のカソード側からの電気信号)を増幅して出力するものであり、換言すれば、PD2からの信号について増幅出力する前置増幅部(プリアンプ)である。又、LIA9は、前置増幅部をなすTIA3からの信号について増幅して、送信側(ONU12)での変調ディジタル信号(二値化信号)に対応した二値化信号とすることができるようになっている。
【0021】
また、パワーモニタ7aは、PD2のカソード側の電気信号により、PD2で受光する光のパワーをモニタするものである。即ち、パワーモニタ7aにおいては、PD2で受光する光のパワーに応じた大きさの電気信号を出力するようになっている。アンプ7bは、パワーモニタ7aからの電気信号を増幅によりレベル調整を行なって後段の判定部7cに渡す。尚、このアンプ7bとしては、入力されるバースト光信号のレベルの相違に対応して、例えばログアンプ等の、増幅可能なレベルとして比較的広範囲をカバーするものを適用する。
【0022】
判定部7cにおいては、アンプ7bを介して入力された光モニタ結果、即ちPD2で受光した光のモニタ結果に基づいて、光パケットからなるバースト光信号の先頭を検出、即ちバースト光信号の立ち上がりを検出する。具体的には、アンプ7bを通じて入力されるモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、バースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出し、バースト光信号が立ち上がったときには当該バースト光信号をなす光パケットのプリアンブル時間内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ7a,アンプ7bおよび判定部7cにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部7を構成する。
【0023】
なお、上述のパワーモニタ7a,アンプ7bおよび判定部7cにおける応答速度としては、後段においてバースト光信号をなす光パケットの入力の開始を、当該パケットのプリアンブル時間内に判断できれば足りる。即ち、特にパワーモニタ7aでのパワー変動検出についての応答速度としては、バースト光信号の立ち上がりを当該パケットのプリアンブル(図5参照)の時間内に検出することができる速度とすればよいので、光パケットに変調されているデータのビットレートに相当する程度の周波数の光のオンオフまで検出するような速度までは求められない。例えば、第1実施形態における10G−PONのネットワークシステム10におけるOLT11においては、100MHz程度の光のオンオフを検出可能な程度の速度があればよい。
【0024】
さらに、遅延部8は、例えばタイマ回路により構成され、判定部7cにおいての判定結果を示す信号を遅延させて、ラッチ回路5に出力するものであり、立ち上がり検出部7における検出結果を示す信号に遅延を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として出力する第1遅延部である。
また、ラッチ回路5は、PD2で受光するバースト光信号の立ち上がりを示す信号および立ち下がりを示す信号に基づいて、上述のDCFB4aにおける応答時定数を制御する応答時定数制御部である。即ち、ラッチ回路5においては、上述の判定部7cから遅延部8を介して入力される信号、即ちバースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、外部からバースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、それぞれ入力されて、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力回路として構成される。換言すれば、ホールド信号出力回路としてのラッチ回路5においては、バースト信号の立ち上がりを示すセット信号の入力によりホールド信号を出力する一方、外部からのバースト光信号の立ち下がりを示すリセット信号の入力により、ホールド信号を解除するようになっている。
【0025】
さらに、上述の立ち上がり検出部7およびこの遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ホールド信号出力回路をなすラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
第1実施形態における光受信装置1が適用される光局側装置11においては、各ONU12からの光パケットをバースト光信号として受信するタイミングを管理する機能をそなえている。従って、この受信タイミングを管理する機能からバースト光信号の立ち下がりを示す信号を受け取ることとすれば、受け取った立ち下がりを示す信号をリセット入力として適用することができる。
【0026】
ここで、ホールド信号出力回路をなすラッチ回路5においては、ホールド信号を出力している場合、即ちバースト光信号が立ち上がっているときには、後述するDCFB4aの応答時定数を相対的に大きくする一方、ホールド信号をリセットしている場合、即ちバースト光信号が立ち下がっている場合にはDCFB4aの応答時定数を相対的に小さくすべく、DCFB4aでの応答時定数を制御するようになっている。
【0027】
また、直流負帰還アンプ(DCFB)4aは、TIA3から差動出力された2つの受光信号成分の平均値相当の値を直流成分信号として出力するものであり、この直流負帰還アンプ4aから出力された直流成分信号については、PD2から出力される受光信号(電流信号)から減算される成分として電流源4bに供給される。即ち、PD2からの受光信号は、電流源4bにおいて上述のDCFB4aからの直流成分が除去されて、TIA3に出力される。これにより、第1実施形態におけるTIA3においては、PD2からの受光信号中の直流成分がフィードバックにより除去された信号が増幅されて、差動出力されるようになっている。
【0028】
なお、上述のDCFBアンプ4aは、上述のラッチ回路5からの信号に応じてその時定数を可変設定可能に構成されており、例えば図2又は図3に示すように構成することができる。図2,図3にそれぞれ示すDCFBアンプ4a−1,4a−2は、TIA3からの2出力信号をそれぞれ入力とするRC回路42−1,42−2をそなえるとともに、RC回路42−1,42−2からの2つの受光信号成分の平均値相当の値を出力する増幅器41をそなえている。
【0029】
図2に示すRC回路42−1においては、TIA3からの2出力について直列に接続された抵抗45a,45b及び抵抗46a,46bとともに、容量47及びスイッチ回路43,44をそなえている。スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。即ち、スイッチ43,44においては、それぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路42−1としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0030】
また、図3に示すRC回路42−2においては、TIA3から2出力について並列に接続された抵抗45a,45b及び抵抗46a,46bとともに、容量47及びスイッチ回路43,44をそなえている。スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。即ち、スイッチ43,44においてそれぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路42−2としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0031】
このように構成されたDCFBアンプ4a−1,4a−2は、ラッチ回路5からの信号に応じて応答時定数が切り替わるRC回路42−1,42−2をそなえているので、ラッチ回路5からの信号に応じて、TIA3から差動出力された2つの受光信号成分の平均値相当の値の出力応答時定数が切り替えられて、TIA3入力にフィードバックされるようになっている。
【0032】
これにより、スイッチ43,44をオンとして応答時定数を小さくすることで、DCFBアンプ4aとしての応答を比較的高速とし、バースト光信号が立ち下がり時において次なるバースト信号の検出を可能とする。一方、スイッチ43,44をオフとして応答時定数を大きくすることで、DCFBアンプ4aとしての応答を比較的低速とし、同符号連続に対する耐力を高めることを可能としているのである。
【0033】
したがって、上述の図1に示すDCFB4a及び電流源4bにより、TIA3から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去回路を構成し、この直流成分除去回路は、TIA3から出力される信号の直流成分を、PD2からTIA3に出力される信号に負帰還させる負帰還回路として機能している。
すなわち、上述の直流成分除去回路により、TIA3から出力される信号においては、PD2を通じて受信する光パケットの符号パターンに対応した波形の電気信号を、直流成分が除去された双極性信号とすることができるようになる。LIA9においては、このような双極性信号を受けることにより、受信する光パケットの光強度やガードタイム等にかかわらず、受信パケットにおける光オンオフの符号に応じたディジタル電気信号とすることができる。
【0034】
このとき、PD2で受光する光のモニタ結果からバースト光信号の立ち上がりを検出する前段においては、DCFB4aの応答時定数を小さい値としておくことにより、DCFB4aでは、後続のデータ領域に対応する電気信号をTIA3から出力する際の直流成分を除去するための信号成分を、ペイロード領域に対応する信号がTIA3を通過する時間内に確立させることができる。
【0035】
このとき、直流成分除去回路をなすDCFB4aにおいては、TIA3から入力される電気信号の平均レベルに相当するレベルの信号を除去すべき直流成分として生成するようになっている。従って、光パケットのデータ(ペイロード)領域における符号パターンが特に同符号が連続する場合(例えば符号「0」に相当する消光時間)が連続する場合等においては、同一パケット内において除去すべき直流成分が変動することも想定される。この場合には、TIA3から出力される光パケットのオンオフ符号に対応した電気信号における直流成分の除去精度ひいてはLIA9での受信信号品質が低下する。
【0036】
そこで、立ち上がり検出部7においてバースト光信号の立ち上がりを検出すると、当該光パケットのペイロード領域に後続するデータ領域に対応する受光信号がTIA3に入力される時点において、DCFB4aの応答時定数を小さい値から大きい値にする。これにより、ペイロード領域において確立させた直流成分の値から大きく変動しない値を、後続するデータ領域に対応する双極性電気信号をTIA3から出力する際の除去成分として用いることができるので、データ領域において同符号が連続する場合においても安定的に直流成分を除去することが可能になる。
【0037】
図6は、上述のごとく構成された第1実施形態にかかる光受信装置1の動作について、図6の(a)に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。ラッチ回路5では、先行する光パケットの受信が完了した段階で外部からのリセット信号を入力されて((e)の時点t0)、DCFB4aの応答時定数を小さい値となるように制御信号をDCFB4aに出力する。これにより、DCFB4aにおいては、後続の光パケットの入力にそなえ、直流成分除去用の信号を比較的高速な応答で生成できる状態としておく((g)の時点t0〜t3)。
【0038】
ついで、判定部7cにおいて、パワーモニタ7aからアンプ7bを介して入力されるパワーモニタ信号が、あらかじめ設定された閾値(光パケットの入力と判断するに足る値)を超えた場合に、その旨の信号を出力する((b)および(c)の時点t2)。この判定部7cからの信号は、上述の先行する光パケットに後続する光パケットをなすバースト光信号の立ち上がり検出信号として遅延部8に与えられる。
【0039】
遅延部8においては判定部7cからのバースト光信号の立ち上がり検出信号に遅延(時点t2〜t3)を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として供給する((d)の時点t3)。ラッチ回路5では、遅延部8からのセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち上げる((f)の時点t3)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0040】
ラッチ回路5により、DCFB4aでの応答時定数を上述のごとく切り替え制御しているので、TIA3からの出力信号としては、光パケットのプリアンブル領域に相当する電気信号を出力する時点では、当該プリアンブルに相当する時間内という比較的高速に直流成分が除去された双極性信号に安定化されることが可能となる一方((g)の時点t1〜t4)、ペイロード領域(データ領域)においては、同符号が連続する領域が含まれているとしても安定的に直流成分が除去された双極性信号として出力することが可能となる((g)のt4〜t5)。
【0041】
なお、データ領域での同符号の連続は、立ち上がり検出部7での立ち上がり検出信号およびラッチ回路5へのセット信号の不定につながる。しかし、第1実施形態においては、ラッチ回路5に入力されるリセット信号は((e)のt0,t8)、OLT11において把握するガードタイムのタイミングに応じて光受信装置1の外部から入力されるようになっており、このリセット信号がDCFB4aでの応答時定数を小さくする契機となるので、データ領域でのDCFB4aの動作の安定性を確実にしている。
【0042】
このように、本発明の第1実施形態によれば、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立することができるという利点がある。
〔A1〕第1実施形態の変形例の説明
図7は本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる光受信装置1Aを示す図である。この図7に示す光受信装置1Aは、前述の第1実施形態における光受信装置1に比して、PD2からの受光信号のモニタ結果からラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成を更にそなえている点が異なっている。尚、図7中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0043】
アンプ17bは、パワーモニタ7aからの電気信号を増幅によりレベル調整を行なって後段の判定部17cに渡す。判定部17cでは、パワーモニタ7aからアンプ17cを介して入力された光モニタ結果となる電気信号を予め設定された閾値との大小を比較して、バースト光信号の立ち下がり、即ち時分割多元接続によって受信される光パケットの入力が終了したか否かを検出し、光パケットが立ち下がったときには当該光パケット間のガードタイム内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ7a,アンプ17bおよび判定部17cにより、バースト光信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部を構成する。
【0044】
なお、判定部17cにおいてバースト光信号の立ち下がりを、データ領域の同符号連続とは区別して確実に検出することができる閾値判定ができるようにするため、アンプ17bにおける利得としてはアンプ7bの利得とは異なる値を設定したり、判定部17cでの閾値を判定部7cでの閾値とは異なる値に設定したりすることが可能である。
遅延部18は、立ち下がり検出部をなす判定部17cにおける検出結果を示す信号に遅延を与えて、ラッチ回路5へのリセット信号として出力する第2遅延部である。換言すれば、上述のパワーモニタ7a,アンプ17b,判定部17cおよび遅延部18により、バースト光信号の立ち下がりを検出するとラッチ回路5へのリセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部を構成する。
【0045】
これにより、ラッチ回路5においては、セット信号出力部をなす遅延部8からのセット信号によるセット入力とともに、リセット信号出力部をなす遅延部18からのリセット信号によるリセット入力に基づいて、DCFB4aへのホールド信号の出力を切り替える。即ち、セット入力によりホールド信号を出力する一方、リセット入力によりホールド信号を解除する。このようなラッチ回路5によるホールド信号の出力および解除を通じて、DCFB4aでの応答時定数を切り替えることができる。
【0046】
図8は、上述のごとく構成された光受信装置1Aの動作について説明する図である。この場合においても、図8の(a)に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。前述の図6に示す場合と同様に、判定部7cにおいてバースト光信号の立ち上がりを検出した場合には、遅延部8を通じてその旨を示す信号をラッチ回路5へのセット信号として供給する((b)〜(d)のt2,t3)。これにより、ラッチ回路5では、ホールド信号を立ち上げて((h)のt3)、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0047】
また、判定部17cにおいて、パワーモニタ7aからアンプ17bを介して入力されるパワーモニタ信号が、あらかじめ設定された閾値(光パケットの入力と判断するに足る値)を下回った場合に、その旨の信号を出力する((e)および(f)の時点t6)。この判定部17cからの信号は、バースト光信号の立ち下がりの検出信号として遅延部18に与えられる。
【0048】
遅延部18においては判定部17cからのバースト光信号の立ち下がり検出信号に遅延(時点t6〜t7)を与えたものを、ラッチ回路5へのリセット信号として供給する((g)の時点t7)。ラッチ回路5では、遅延部18からのリセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち下げる((h)の時点t7)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、後続する光パケットが入力されるまでのガードタイムの間に比較的小さくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0049】
このように、図7に示す光受信装置においても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
なお、図7に示す構成においては、ラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成を図1の構成に追加しているが、本発明によれば、例えば図9に示す光受信装置1Bのように、バースト光信号の立ち上がりを示す信号を外部から受け取って、これをラッチ回路5へのセット入力とする一方、ラッチ回路5へのリセット信号を生成する構成として、図7に示すものと同様の構成(符号7a,17b,17cおよび18)をそなえることとしてもよい。
【0050】
ここで、光受信装置1Bが適用される光局側装置11(図4参照)においては、各OLT12からの光パケットをバースト光信号として受信するタイミングを管理する機能をそなえている。この場合においては、受信タイミングを管理する機能からバースト光信号の立ち上がりを示す信号を、ラッチ回路5へのセット信号として受け取ることができる。
または、図10に示す光受信装置1Cのように、上述の受信タイミング管理機能から、バースト光信号の立ち上がりを示す信号とともに立ち下がりを示す信号を受け取って、立ち上がりを示す信号をラッチ回路5へのセット入力(Set信号)とする一方、立ち下がりを示す信号をラッチ回路5へのリセット入力(Reset信号)とすることもできる。このようにすれば、パワーモニタ7aその他アンプ7b,17b,判定部7c,17cおよび遅延部8,18としての回路構成について省略することが可能となる。
【0051】
〔B〕第2実施形態の説明
図11は本発明の第2実施形態にかかる光受信装置20を示す図である。この図11に示す光受信装置20についても、前述の第1実施形態の場合と同様に、例えば図4に示す10G−PONのネットワークシステム10の光局側装置11に適用され、ラッチ回路5がDCFB4aの応答時定数を切り替えることにより、ピーク検出を適用せずに立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立するものである。しかし、ラッチ回路5へのセット信号を生成するための立ち上がり検出部27の構成が前述の第1実施形態の場合と相違する。尚、図11中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示すものである。
【0052】
ここで、立ち上がり検出部27は、図1に示す光受信装置1と同様のパワーモニタ7aをそなえるとともに、応答時定数の互いに異なる2つのアンプ27b−1,27b−2をそなえるとともに、判定部27cおよび遅延部28をそなえている。アンプ27b−1,27b−2はともにパワーモニタ7aからのモニタ電気信号を増幅するものであるが、例えば、アンプ27b−1の応答時定数および利得は相対的に小さい一方、アンプ27b−2の応答時定数および利得は相対的に大きくなるように構成されている。
【0053】
したがって、パワーモニタ7aおよびアンプ27b−1により、PD2で受光した信号のパワーをモニタする、時定数および利得の相対的に小さい第1モニタを構成し、パワーモニタ7aおよびアンプ27b−2により、PD2で受光した信号のパワーをモニタする、時定数および利得の相対的に大きい第2モニタを構成する。
判定部(立ち上がり判定部)27cは、第1,第2モニタでのモニタ結果、即ち、アンプ27b−1,27b−2からのモニタ電気信号に基づいて、バースト光信号の立ち上がりを検出し、検出結果をラッチ回路5へのセット入力として出力する。具体的には、アンプ27b−1からのモニタ電気信号M1と、アンプ27b−2からのモニタ電気信号M2と、が重なったタイミングでバースト光信号の立ち上がりと判定して、その旨をラッチ回路5へのセット入力として出力するようになっている。
【0054】
これにより、ラッチ回路5においては、判定部27cからの検出信号をセット入力としてホールド信号を出力する一方、前述の第1実施形態の場合と同様外部からのリセット入力を適用することによりホールド信号を解除することを通じて、前述の第1実施形態の場合と同様に、DCFB4aでの応答時定数を切り替えることができる。
図12は上述のごとく構成された光受信装置20の動作について説明するための図である。この図12に示すように、プリアンブル領域(時点t1〜t4)に続いてペイロード領域(t4〜t5)からなる光パケットを受信する場合を想定して説明する。ラッチ回路5では、先行する光パケットの受信が完了した段階で外部からのリセット信号を入力されて((e)の時点t0)、DCFB4aの応答時定数を小さい値となるように制御信号をDCFB4aに出力する。これにより、DCFB4aにおいては、後続の光パケットの入力にそなえ、直流成分除去用の信号を比較的高速な応答で生成できる状態としておく((g)の時点t0〜t3)。
【0055】
ついで、判定部27cにおいては、パワーモニタ7aからアンプ27b−1を介して入力されるモニタ電気信号M1と、アンプ27b−2を介して入力されるモニタ電気信号M2と、を入力されて、これらのモニタ電気信号M1,M2が重なったタイミングでバースト光信号の立ち上がりと判定する((b)のt2)。
すなわち、モニタ電気信号M1は、モニタ電気信号M2よりも立ち上がりが急峻となる一方で、レベル自体はモニタ電気信号M2よりも相対的に小さい値で安定する。従って、2つのモニタ電気信号M1,M2は、光パケットの入力が開始すると一点で交わることが想定できる。判定部27cにおいては、この交差点のタイミングを示す信号を、バースト光信号の立ち上がりの検出信号として出力している。
【0056】
前述の第1実施形態における判定部7cにおいては、予め設定された固定閾値との大小判定を通じてパケットの立ち上がりを判定しているため、入力される光パケットの光強度により検出時間に差が生じうる。第2実施形態においては、パケット検出が、両モニタ電気信号M1,M2の振幅の相対的な比較を通じて行なうことができるので、パケット検出のために要する時間がパケット自身の光強度に依存することがなく、安定な検出を実現できる。
【0057】
なお、遅延部28においては判定部27cからのバースト光信号の立ち上がり検出信号に遅延(時点t2〜t3)を与えて、ラッチ回路5へのセット信号として供給する((d)の時点t3)。ラッチ回路5では、遅延部28からのセット信号を受けると、DCFB4aへのホールド信号を立ち上げる((f)の時点t3)。これにより、ラッチ回路5では、DCFB4aでの応答時定数について、TIA3からペイロード領域に相当する電気信号が出力される時点で応答時定数が比較的大きくなっているようにDCFB4aを制御することができる。
【0058】
ラッチ回路5により、DCFB4aでの応答時定数を上述のごとく切り替え制御しているので、TIA3からの出力信号としては、光パケットのプリアンブル領域に相当する電気信号を出力する時点では、当該プリアンブルに相当する時間内という比較的高速に直流成分が除去された双極性信号に安定化されることが可能となる一方((g)の時点t1〜t4)、ペイロード領域(データ領域)においては、同符号が連続する領域が含まれているとしても安定的に直流成分が除去された双極性信号として出力することが可能となる((g)のt4〜t5)。
【0059】
このように、本発明の第2実施形態においても、ピーク検出を適用せずに立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保とを両立するとともに、パケット検出の安定化を図ることができるので、光受信回路20としての動作の安定化を図ることができる利点がある。
なお、上述の第2実施形態においては、判定部27cにおいてアンプ27b−1,27b−2からのモニタ電気信号M1,M2に基づいて、バースト光信号の立ち上がりの検出を行なうことにより立ち上がり検出部およびセット信号出力部を構成しているが、本発明によれば、これらのモニタ電気信号M1,M2に基づいてバースト光信号の立ち下がりを検出するようにしてもよく、これにより立ち下がり判定部およびリセット信号出力部を構成することとしてもよい。即ち、このように検出された立ち下がりについては、前述の第1実施形態の変形例の場合と同様に、ラッチ回路5のリセット入力として適用することができる。
【0060】
たとえば、立ち下がり判定部としての判定部27cにおいては、モニタ電気信号M2がモニタ電気信号M1よりも大きい状態から等しくなったことを検出して(図12の(b)におけるt6参照)、これをバースト光信号の立ち下がりとして検出することができる。そして、この立ち下がりとしての検出から、遅延部28で第2遅延部(図9の符号18参照)としての遅延が与えられたのちにリセット信号をラッチ回路5に出力するように構成する(図12の(e),(f)のt7参照)。
【0061】
もちろん、前述の図7の場合にならい、上述の第2実施形態の態様でバースト光信号の立ち上がりおよび立ち下がりを検出して、ラッチ回路5へのセット入力およびリセット入力とすることとしてもよい。
〔C〕第3実施形態の説明
図13は本発明の第3実施形態にかかる光受信装置30を示す図である。この図13に示す光受信装置30は、前述の第1,第2実施形態とは異なる直流成分除去回路31をそなえている。尚、図13中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示しており、その詳細な説明については省略する。又、直流成分除去回路31は、TIA3からの出力信号についてAC[Altenating Current]成分のみを結合させるものであり、例えばコンデンサ、または図14〜図17に例示するような直流成分除去回路31A〜31D等により構成される。
【0062】
また、この直流成分除去回路31は、ラッチ回路5からのホールド信号の入力およびホールド信号の解除に応じて、応答時定数が可変に構成されている。ここで、図14に示す直流成分除去回路31Aにおいては、TIA3からの2つの受光信号成分(差動信号)を増幅し差動出力とする増幅器51,増幅器51からの2出力信号をそれぞれ入力とするRC回路52−1,RC回路52−1からの2つの受光信号成分の平均値相当の値を出力する増幅器53,および増幅器53からの出力信号を、除去すべき直流成分の信号としてTIA3から増幅器51への差動信号の一方に加算する加算器54をそなえている。
【0063】
図14に示すRC回路52−1においては、増幅器51からの2出力を入力とする前述の図2に示すRC回路42−1と同様の構成をそなえている。即ち、スイッチ回路43,44においては、それぞれ、抵抗45a,46aの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっている。これにより、スイッチ43,44においてそれぞれ抵抗45a,46aの両端をオンオフ切り替えすることにより、RC回路52−1としての応答時定数が切り替わることを可能としている。
【0064】
さらに、図15に示す直流成分除去回路31Bにおいては、図14に示すものと同様の増幅器51をそなえるとともに、RC回路52−3,52−4および加算器54−1,54−2をそなえている。RC回路52−3は、TIA3から増幅器51への2入力3−1,3−2のうちの他方3−2から直流成分を抽出し、抽出した直流成分を増幅器51への一方の入力3−1に加算器54−1を通じて加算する。又、RC回路52−4は、TIA3から増幅器51への一方の入力3−1から直流成分を抽出し、抽出した直流成分を増幅器51への他方の入力3−2に加算器54−2を通じて加算する。これにより、増幅器51においては、TIA3からの信号に含まれる直流成分が除去された信号を出力することができるようになる。
【0065】
ここで、RC回路52−3は、抵抗61a,61b,容量62およびスイッチ63をそなえて構成され、スイッチ63により、抵抗61a,61bのうちの一方61bの接続をオンオフ切り替えする。即ち、スイッチ63は、抵抗61bの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっており、これにより、RC回路52−3としての応答時定数を切り替えることができるようになる。
【0066】
同様に、RC回路52−4は、抵抗64a,64b,容量65およびスイッチ66をそなえて構成され、スイッチ66により、抵抗64bをオンオフ切り替えする。即ち、スイッチ66は、抵抗64bの両端に接続されて、ラッチ回路5からのホールド信号のリセットによりオンとする一方ホールド信号のセットによりオフとするようになっており、これにより、RC回路52−4としての応答時定数を切り替えることができるようになる。
【0067】
なお、TIA3としては差動出力であることに限定されるものではなく、1出力とすることも可能であるが、この場合においては、図16又は図17に例示するような直流成分除去回路31C,31Dとすることができる。図16に示す直流成分除去回路31Cにおいては、前述の図14に示すものと同様の増幅器51,RC回路52−1及び増幅器53をそなえ、TIA3からの出力を増幅器51への一方の入力とし、増幅器53からの直流成分の抽出された信号を増幅器51への他方の入力として、増幅器51において直流成分の除去された信号を出力する。
【0068】
また、図17に示す直流成分除去回路31Dにおいては、前述の図15に示すものと同様の増幅器51およびRC回路52−4をそなえ、TIA3からの出力を増幅器51への一方の入力とし、RC回路52−4からの直流成分の抽出された信号を増幅器51への他方の入力として、増幅器51において直流成分の除去された信号を出力する。
このように構成された直流成分除去回路31A〜31Dにおいては、スイッチをオンとして応答時定数を小さくすることで、RC回路としての応答を比較的高速とし、バースト光信号が立ち下がり時において次なるバースト信号の検出を可能とする。一方、スイッチをオフとして応答時定数を大きくすることで、RC回路としての応答を比較的低速とし、同符号連続に対する耐力を高めることを可能としている。
【0069】
これにより、バースト光信号が立ち上がる前段においては、ラッチ回路5ではホールド信号が解除されており、この場合には、図13に示す直流成分除去回路31では、応答時定数相対的に小さい値としておく。これにより、光パケットが入力されたときの受信信号の早期の立ち上がりを可能としている。
一方、バースト光信号が立ち上がったことを立ち上がり検出部7で検出すると、セット信号出力部をなす遅延部8からのセット信号がラッチ回路5に入力される。ラッチ回路5においては、上述のセット信号の入力により直流成分除去回路31にホールド信号を出力する。これにより、直流成分除去回路31では、応答時定数の相対的に大きい値にする。これにより、光パケットが入力されている段階における同符号連続に対する精度高い応答信号の出力を確保している。
【0070】
したがって、第3実施形態においても、ラッチ回路5および直流成分除去回路31により、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
なお、上述の第3実施形態においては、第1実施形態の場合(図1参照)と同様のセット信号出力部を構成しているが、本発明によれば、ラッチ回路5へのセット信号およびリセット信号を生成する態様として、上述の第1実施形態の変形例や第2実施形態における構成を適用することも可能である。
【0071】
〔C1〕第3実施形態の変形例の説明
図18は本発明の第3実施形態の第1変形例にかかる光受信装置30Aを示す図である。この図18に示す光受信装置30Aは、前述の図13に示すものと異なり、バースト光信号の立ち上がりの検出のために、前置増幅部をなすTIA3への入力パワーをモニタするパワーモニタ37aをそなえている。又、アンプ37bは、パワーモニタ37aからのモニタ結果としての電気信号レベルを増幅により調整するものである。更に、判定部37cは、アンプ37bを介して入力された光モニタ結果、即ちPD2で受光してTIA3に入力される電気信号レベルのモニタ結果に基づいて、光パケットからなるバースト光信号の先頭を検出、即ちバースト光信号の立ち上がりを検出する。
【0072】
具体的には、アンプ37bを通じて入力される受光レベルのモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、モニタ結果としての電気信号が閾値よりも大きい場合にバースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出する。このとき、バースト光信号が立ち上がったときには当該バースト光信号をなす光パケットのプリアンブル時間内での応答をもってその旨を出力する。従って、上述のパワーモニタ37a,アンプ37bおよび判定部37cにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部37を構成する。そして、上述の立ち上がり検出部37とともに、図13に示すものと同様の遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
【0073】
このように構成された光受信装置30Aにおいても、前述の第3実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
図19は本発明の第3実施形態の第2変形例にかかる光受信装置30Bを示す図である。この図19に示す光受信装置30Bは、前述の図13,12に示すものとは異なり、TIA3から出力される出力信号を用いてラッチ回路5へのセット信号を生成するようになっている。このため、光受信装置30Bは、ラッチ回路5へのセット信号を生成するための構成として、アンプ37dおよび判定部37eをそなえている。
【0074】
アンプ37dは、TIA3から出力された出力信号について増幅によりレベル調整を行なうものであり、判定部37eは、アンプ37dを通じて入力されるモニタ結果としての電気信号と、予め設定された閾値との大小を比較して、モニタ結果としての電気信号が閾値よりも大きい場合にバースト光信号をなす光パケットの入力の立ち上がりを検出する。
したがって、上述のアンプ37dおよび判定部37eにより、バースト光信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部37を構成する。そして、上述の立ち上がり検出部37とともに、図13に示すものと同様の遅延部8により、バースト光信号の立ち上がりを検出すると、ラッチ回路5へのセット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部を構成する。
【0075】
なお、上述の第3実施形態の第1,第2変形例においては、TIA3に入力される受光信号のパワーを用いてラッチ回路5へのセット信号を生成するようになっているが、本発明によれば、TIA3に入力される受光信号のパワーを用いてリセット信号を生成する構成を採用してもよいし、又セット信号およびリセット信号の双方を生成する構成を採用してもよい。
【0076】
〔D〕第4実施形態の説明
図20は本発明の第4実施形態にかかる光受信装置40を示す図である。この図20に示す光受信装置40は、前述の第1実施形態における光受信装置1としての構成に、第3実施形態における直流成分除去回路31を新たに追加したものである。尚、図20中、図1および図13に示すものと同一の符号はほぼ同様の部分を示している。このように構成された光受信装置40においては、ラッチ回路5およびDCFB4a,電流源4bおよび直流成分除去回路31により、ピーク検出回路を用いることなく、立ち上がり時間短縮と同符号連続耐力の確保との両立を確実ならしめることができる。
【0077】
〔E〕その他
上述の実施形態の開示にかかわらず、請求項記載の本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
その他、上述した実施形態の開示により、当業者であれば本発明の装置を製造することは可能である。
【0078】
〔F〕付記
(付記1)
バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、
該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、
該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、
前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを特徴とする、光受信装置。
【0079】
(付記2)
該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、
該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0080】
(付記3)
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成されたことを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
(付記4)
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力することを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0081】
(付記5)
該ホールド信号出力部は、ラッチ回路により構成されたことを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
(付記6)
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0082】
(付記7)
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0083】
(付記8)
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
【0084】
(付記9)
該セット信号出力部は、
前記バースト信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部と、
該立ち上がり検出部における検出結果を示す信号に遅延を与えて、該ホールド信号出力部への前記セット信号として出力する第1遅延部と、そなえたことを特徴とする、付記6又は7記載の光受信装置。
【0085】
(付記10)
該リセット信号出力部は、
前記バースト信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部と、
該立ち下がり検出部における検出結果を示す信号に遅延を与えて、該ホールド信号出力部への前記リセット信号として出力する第2遅延部と、をそなえたことを特徴とする、付記7又は8記載の光受信装置。
【0086】
(付記11)
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、付記2記載の光受信装置。
(付記12)
該受光部はフォトダイオードにより構成されるとともに、該フォトダイオードの電気信号が該前置増幅部に出力されるように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光受信装置。
【0087】
(付記13)
該立ち上がり検出部は、
該受光部で受光した信号のパワーをモニタする、時定数の相対的に小さい第1モニタと、
該受光部で受光した信号のパワーをモニタする、時定数の相対的に大きい第2モニタと、
該第1および第2モニタでのモニタ結果に基づいて前記バースト光信号の立ち上がりを検出し、検出結果を該ホールド信号出力部の前記セット入力として出力する立ち上がり判定部と、をそなえたことを特徴とする、付記9記載の光受信装置。
【0088】
(付記14)
付記1記載の光受信装置が適用されたことを特徴とする、光ネットワークシステムにおける光局側装置。
(付記15)
付記1記載の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを特徴とする、光ネットワークシステム。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるDCFBを示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるDCFBを示す図である。
【図4】本実施形態の光受信装置が適用される光ネットワークシステムを示す図である。
【図5】本実施形態の光受信装置が解決する課題について説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる光受信装置の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる光受信装置の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【図14】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図16】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態における直流成分除去回路を示す図である。
【図18】本発明の第3実施形態の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第4実施形態にかかる光受信装置を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1,1A〜1C,20,30,30A,30B,40 光受信装置
2 フォトダイオード(受光部)
3 TIA(前置増幅部)
4a,4a−1,4a−2 DCFB
4b 電流源
5 ラッチ回路(応答時定数制御部、ホールド信号出力部)
7,27,37 立ち上がり検出部
7a,37a パワーモニタ
7b,17b,27b−1,27b−2,37b,37d アンプ
7c,17c,27c,37c,37e 判定部
8,18,28 遅延部
9 LIA
10 光ネットワークシステム
11 OLT
12 ONU
13 パワースプリッタ
14 光伝送路
31,31A〜31D 直流成分除去回路
41,51,53 増幅器
42−1,42−2,52−1,52−3,52−4 RC回路
43,44,63,66 スイッチ
45a,45b,46a,46b,61a,61b,64a,64b 抵抗
47,62,65 容量
54,54−1,54−2 加算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、
該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、
該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、
前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを特徴とする、光受信装置。
【請求項2】
該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、
該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項3】
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項4】
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力することを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項5】
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項6】
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項7】
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項8】
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項9】
請求項1記載の光受信装置が適用されたことを特徴とする、光ネットワークシステムにおける光局側装置。
【請求項10】
請求項1記載の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを特徴とする、光ネットワークシステム。
【請求項1】
バースト光信号を受光し受光レベルに応じた信号を出力する受光部と、
該受光部からの信号について増幅出力する前置増幅部と、
該前置増幅部から出力される信号値の直流成分を除去する、応答時定数可変の直流成分除去部と、
前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号および前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号に基づいて該直流成分除去部における前記応答時定数を制御する応答時定数制御部と、をそなえたことを特徴とする、光受信装置。
【請求項2】
該応答時定数制御部は、前記バースト光信号の立ち上がりを示す信号をセット入力とする一方、前記バースト光信号の立ち下がりを示す信号をリセット入力として、ホールド信号を生成し出力するホールド信号出力部として構成され、
該ホールド信号出力部は、前記ホールド信号をセットしている場合には前記応答時定数を相対的に大きくする一方、前記ホールド信号をリセットしている場合には前記応答時定数を相対的に小さくすべく、該直流成分除去部での前記応答時定数を制御することを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項3】
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号の直流成分を、該受光部から該前置増幅部に出力される信号に負帰還させる負帰還回路により構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項4】
該直流成分除去部は、該前置増幅部から出力される信号から直流成分が除去された信号を出力することを特徴とする、請求項1記載の光受信装置。
【請求項5】
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、外部からの前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項6】
前記バースト光信号の立ち上がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記セット入力とするセット信号を出力するセット信号出力部と、
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部と、をそなえ、
該ホールド信号出力部は、該セット信号出力部からの前記セット信号による前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項7】
前記バースト光信号の立ち下がりを検出すると、該ホールド信号出力部への前記リセット入力とするリセット信号を出力するリセット信号出力部をそなえ、
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力とともに、該リセット信号出力部からの前記リセット信号による前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項8】
該ホールド信号出力部は、外部からの前記セット入力および前記リセット入力に基づいて、前記ホールド信号を出力することを特徴とする、請求項2記載の光受信装置。
【請求項9】
請求項1記載の光受信装置が適用されたことを特徴とする、光ネットワークシステムにおける光局側装置。
【請求項10】
請求項1記載の光受信装置が適用された光局側装置をそなえたことを特徴とする、光ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−135849(P2009−135849A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311915(P2007−311915)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]