説明

光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザ

【課題】駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を有する光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザを提供すること。
【解決手段】本発明の光学デバイス1は、可動部21の固定反射膜35側の面に対し間隔を隔てて対向するように、固定部に固定的に設けられた第1の電極33と、可動部21の固定反射膜35と反対側の面に対し間隔を隔てて対向するように、固定部に対し固定的に設けられた第2の電極43とを備え、第1の電極33および第2の電極43のうち、一方の電極は、可動部21との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、可動部21との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、可動部21の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学デバイスとしては、例えば、複数の波長を有する光から特定の波長の光のみを分離する波長可変フィルタ(Optical Tunable Filter)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1にかかる波長可変フィルタにあっては、板状をなし、その厚さ方向に変位可能な可動部が支持基板に略平行に配設され、可動部の支持基板側の面上と、支持基板の可動部側の面(対向面)上とのそれぞれには、反射膜が設けられている。
【0003】
また、支持基板上には、駆動電極が設けられ、駆動電極と可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせ、可動部を変位させる。可動部の変位により2つの反射膜同士の間隙の距離が可変となっている。そして、この間隙に、複数の波長を有する光が入射すると、干渉作用により、間隙の距離に応じた波長の光のみが外部へ射出される。
【0004】
このような干渉作用を好適に生じさせるためには、可動部と支持基板との間の距離を正確に設定したり、可動部と支持基板との平行度を高くしたりすることが必要となる。そこで、駆動電極を複数とするとともに、これに対応するように支持基板上に検出電極を複数設け、検出電極と可動部との間の静電容量に基づいて、可動部と支持基板との平行度や可動部と支持基板との間の距離を検出することが必要となる。
【0005】
しかし、特許文献1の波長可変フィルタにあっては、支持基板の可動部側の面が平面となっているため、検出電極を駆動電極と同一平面上に設けなければならず、駆動電極と検出電極との間の距離が小さいと、これらの間に生じる結合容量が大きくなって、前記検出を正確に行うことが難しい。
また、仮に、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を小さくするために、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすると、その分、駆動電極の面積を小さくしなければならず、駆動電圧が高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6747775号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を有する光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光学デバイスは、第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする。
【0009】
これにより、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部を所望の位置および姿勢に正確に変位させることができる。その際、駆動電極と検出電極とを平面視にてこれらを重ねるようにして配置することが可能であるため、駆動電極の大面積化を図り駆動電圧を低減するとともに、検出電極の大面積化を図り検出精度を向上させることができる。このようにして、本発明の光学デバイスは、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を得ることができる。
また、可動部を第1の電極側と第2の電極側との双方に変位させることができる。そのため、可動部に生じる応力を低減しつつ、可動部の可動範囲を大きくすることができる。その結果、広いレンジでの波長の光に対して使用可能な光学デバイスを提供することができる。
また、可動部の位置および/または姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定を容易なものとすることができる。
【0010】
本発明の光学デバイスでは、前記一方の電極と前記可動部との間の静電容量を検出し、その検出結果に基づき、前記他方の電極と前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させることが好ましい。
これにより、使用時に、可動部の位置および姿勢をより正確に所望のものとすることができる。
【0011】
本発明の光学デバイスでは、前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、複数の電極で構成されていることが好ましい。
これにより、第1の光反射部と第2の光反射部との間の距離、および、第1の光反射部と第2の光反射部との平行度を高精度に制御して、光学デバイスの光学特性を優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の光学デバイスでは、前記第1の電極を構成する電極の数と前記第2の電極を構成する電極の数は同数であり、前記第1の電極の各電極と前記第2の電極の各電極とは対をなしていることが好ましい。
これにより、可動部の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定を容易なものとすることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の電極の形状は、前記第2の電極の形状と相似形状であることが好ましい。
これにより、可動部の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をより容易なものとすることができる。
【0013】
本発明の光学デバイスでは、前記第1の電極の大きさは、前記第2の電極の大きさと同じであることが好ましい。
これにより、可動部の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をさらに容易なものとすることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記可動部を支持するための支持部と、前記支持部に対し前記可動部を変位可能とするように前記可動部と前記支持部とを連結する連結部とを有し、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、基板に対する可動部の姿勢をより安定させることができる。
【0014】
本発明の光学デバイスでは、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが形成された第1の基板と、前記第1の基板の一方の面側で前記支持部に対し固定的に設けられた第2の基板と、前記第1の基板の他方の面側で前記支持部に対し固定的に設けられた第3の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板および前記第3の基板のそれぞれとの間には、前記可動部の変位を許容するように気密空間が形成され、前記第2の基板上には、前記第1の電極および前記第1の光反射部が設けられ、前記第3の基板上には、前記第2の電極が設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、可動部と外気との接触を遮断し、可動部を安定して駆動することができる。
【0015】
本発明の光学デバイスでは、前記第2の基板の前記第1の基板側の面には、凹部が形成されており、前記凹部の底面上に、前記第1の光反射部および前記第1の電極が設けられていることが好ましい。
これにより、第1の基板と第2の基板との間にスペーサのような部材を設けることなく、部品点数を低減し、第1の基板と第2の基板との間に気密空間を形成することができる。
【0016】
本発明の光学デバイスでは、前記凹部は、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成された第2の凹部とを有し、前記第1の電極は、前記第2の凹部の外側における前記第1の凹部の底面上に設けられ、前記第1の光反射部は、前記第2の凹部の底面上に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の光反射部と第2の光反射部の間の距離を大きくして、干渉を生じる光の波長を大きくしても、第1の電極と可動部との間の距離を小さくして、駆動電圧を低減することができる。
【0017】
本発明の光学デバイスでは、前記第1の電極は、前記第1の光反射部を囲むように設けられていることが好ましい。
これにより、基板に対する可動部の姿勢を簡単かつ正確に検出することができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の基板は、シリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、安定した駆動が可能になり、光学特性および耐久性をより優れたものとすることができる。
【0018】
本発明の光学デバイスでは、前記第2の基板および前記第3の基板のうちの少なくとも一方は、ガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、光を外部から第2の基板および/または第3の基板を介して第1の光反射部と第2の光反射部との間に入射させたり、光を第1の光反射部と第2の光反射部との間から第2の基板および/または第3の基板を介して外部へ射出させたりすることができる。さらに、視認性を向上させることができ、デバイス内部への異物混入などの不良を容易に判別することができる。
【0019】
本発明の光学デバイスでは、前記第2の基板および前記第3の基板のうちの少なくとも一方は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、第1の基板がシリコンを主材料として構成されている場合に、第1の基板と第2の基板および/または第3の基板とを陽極接合により簡単かつ強固に接合することができる。
【0020】
本発明の光学デバイスでは、前記第1の基板は、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、可動部と支持部と連結部とをより高精度なものとすることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の光反射部および前記第2の光反射部のうちの少なくとも一方は、誘電体多層膜で構成されていることが好ましい。
これにより、第1の光反射部と第2の光反射部との間での光の干渉時における光の損失を防止して、光学特性を向上させることができる。
【0021】
本発明の光学デバイスでは、前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第1の電極と前記第2の電極とは、前記可動部を介して対称に設けられていることが好ましい。
これにより、可動部の位置および/または姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をより容易なものとすることができる。
【0022】
本発明の波長可変フィルタは、第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする。
【0023】
これにより、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部を所望の位置および姿勢に正確に変位させることができる。その際、駆動電極と検出電極とを平面視にてこれらを重ねるようにして配置することが可能であるため、駆動電極の大面積化を図り駆動電圧を低減するとともに、検出電極の大面積化を図り検出精度を向上させることができる。このようにして、本発明の波長可変フィルタは、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を得ることができる。
【0024】
本発明の波長可変フィルタモジュールは、第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする。
【0025】
これにより、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部を所望の位置および姿勢に正確に変位させることができる。その際、駆動電極と検出電極とを平面視にてこれらを重ねるようにして配置することが可能であるため、駆動電極の大面積化を図り駆動電圧を低減するとともに、検出電極の大面積化を図り検出精度を向上させることができる。このようにして、本発明の波長可変フィルタモジュールは、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を得ることができる。
【0026】
本発明の光スペクトラムアナライザは、第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする。
【0027】
これにより、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部を所望の位置および姿勢に正確に変位させることができる。その際、駆動電極と検出電極とを平面視にてこれらを重ねるようにして配置することが可能であるため、駆動電極の大面積化を図り駆動電圧を低減するとともに、検出電極の大面積化を図り検出精度を向上させることができる。このようにして、本発明の光スペクトラムアナライザは、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の光学デバイス(波長可変フィルタ)の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す光学デバイスを示す平面図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】図1に示す光学デバイスの駆動電極および検出電極を説明するための図である。
【図5】図1に示す光学デバイスの制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す光学デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図7】図1に示す光学デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図8】図1に示す光学デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図9】図1に示す光学デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図10】図1に示す光学デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図11】本発明の波長可変フィルタモジュールの実施形態を示す図である。
【図12】本発明の光スペクトラムアナライザの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の光学デバイスの実施形態を示す分解斜視図、図2は、図1に示す光学デバイスの平面図、図3は、図2のA−A線での断面図、図4は、図1に示す光学デバイスの駆動電極および検出電極を説明するための図、図5は、図1に示す光学デバイスの制御系の構成を示すブロック図である。また、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言い、図2中および図4中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左側」と言う。
【0030】
図1に示す光学デバイス1は、例えば、光を受け、干渉作用により、その光の波長のうち特定の波長に対応する光(干渉光)だけを出射させる波長可変フィルタである。なお、光学デバイス1は、例えば、光スイッチや光アッテネータなどの他の光学デバイスとしても用いることができる。
このような光学デバイス1にあっては、図1および図3に示すように、第1の基板2を介して第2の基板3および第3の基板4が接合されている。第1の基板2と第2の基板3との間には、光を干渉させるための第1のギャップG1と、第1のギャップG1を小さくするときに静電引力を生じさせるための静電ギャップである第2のギャップG2とが形成されている。一方、第1の基板2と第3の基板4との間には、第1のギャップG1を大きくするときに静電引力を生じさせるための静電ギャップである第3のギャップG3が形成されている。ここで、第2のギャップG2および第3のギャップG3は、それぞれ、可動部21との間の静電容量を検出するための検出電極としても機能することができる。
【0031】
このような光学デバイス1にあっては、第1のギャップG1に光Lが入射すると、干渉作用により、第1のギャップG1の大きさに応じた波長の光だけが射出する。以下、光学デバイス1の各構成を順次詳細に説明する。
第1の基板2は、光透過性および導電性を有し、例えばシリコンで構成されている。そして、第1の基板2は、第1の基板2と第2の基板3との間の第1のギャップG1を可変とするための可動部21と、支持部22と、可動部21を支持部22に対し上下方向に変位可能とするようにこれらを連結する連結部23とを有している。これらは、第1の基板2に異形状の開口部24が形成されることにより、一体的に形成されている。
【0032】
可動部21は、板状をなしているとともに、平面視にて、第1の基板2のほぼ中央部に位置し、円形状をなしている。このような可動部21は、第2の基板3に対し間隔を隔てて対向し、その厚さ方向に変位可能に設けられている。なお、可動部21の形状、大きさ、配置は、図示の形状に特に限定されないのは言うまでもない。
可動部21の厚さ(平均)は、構成材料、用途等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
【0033】
また、可動部21には、第2の基板3と対向する側の面(すなわち、可動部21の下面)上に、第2の光反射部として、光を比較的高い反射率で反射させる可動反射膜(HRコート)25が形成され、第2の基板3と対向する側とは反対側の面(すなわち、可動部21の上面)上に、光の反射を抑制する可動反射防止膜(ARコート)26が形成されている。
【0034】
可動反射膜25は、図3に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に入射した光を、後述する第1の光反射部である固定反射膜35との間で複数回にわたって反射させるためのものである。可動反射防止膜26は、図3に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に入射した光が第1の基板2の上面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。
【0035】
可動反射膜(誘電体多層膜)25や可動反射防止膜26は、必要な光学特性を得られるものであれば特に限定されないが、誘電体多層膜で構成されているものが好ましい。すなわち、可動反射膜(誘電体多層膜)25や可動反射防止膜26は、それぞれ、高屈折率層と低屈折率層とが交互に複数積層されてなるものであるのが好ましい。これにより、可動反射膜25と固定反射膜35との間での光の干渉時における光の損失を防止して、光学特性を向上させることができる。
【0036】
高屈折率層を構成する材料としては、可動反射膜25や可動反射防止膜26に必要な光学特性を得ることができるものであれば、特に限定されないが、可視光領域や赤外光領域で用いる場合には、TiO、Ta、酸化ニオブなどが挙げられ、また、紫外光領域で用いる場合には、Al、HfO、ZrO、ThOなどが挙げられる。本実施形態では、第1の基板2がシリコンで構成されているため、光学デバイス1には赤外光が用いられる。そのため、高屈折率層を構成する材料として、TiO、Ta、酸化ニオブなどが好適に用いられる。
【0037】
低屈折率層を構成する材料としては、可動反射膜25や可動反射防止膜26に必要な光学特性を得ることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、MgF、SiOなどが挙げられる。特に、低屈折率層の構成材料としては、SiOを主材料とするものが好適に用いられる。
可動反射膜25および可動反射防止膜26を構成する高屈折率層および低屈折率層の層数、厚さは、必要とする光学特性に応じて設定される。一般に、多層膜により反射膜を構成する場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上であり、多層膜により反射防止膜を構成する場合、その光学特性に必要な層数は4層程度である。
【0038】
可動反射膜25が絶縁性を有していると、可動部21と第1の電極33との接触による短絡を防止することができる。すなわち、可動部21の第2の基板3側の面上に絶縁膜が設けられていると、可動部21と第1の電極33との接触による短絡を防止することができる。
この場合、可動反射膜25が絶縁膜を兼ねているので、より簡単な構成で、可動部21と第1の電極33との接触による短絡を防止することができる。また、可動反射防止膜26も絶縁膜を兼ねているので、より簡単な構成で、可動部21と第2の電極43との接触による短絡を防止することができる。
【0039】
このような可動部21を囲むように支持部22が形成され、可動部21は、連結部23を介して支持部22に支持されている。
連結部23は、前述した可動部21の周囲に周方向に等間隔で複数(本実施形態では4つ)設けられている。この連結部23は、弾性(可撓性)を有しており、これにより、可動部21は、第2の基板3に対し略平行に間隔を隔てて、その厚さ方向に(上下に)に変位可能となっている。なお、連結部23の数、位置、形状は、可動部21を支持部22に対し変位可能とするものであれば、前述したものに限定されない。
【0040】
また、第1の基板2には、後述する引出し電極38a、38bに外部からアクセスするための開口部27a、27bが設けられている。この開口部27a、27bは、光学デバイス1の製造工程において、第1の基板と第2の基板との間の空間に外部との圧力差が生じるのを防止する圧力開放用開口部としても機能する。
このような第1の基板2にあっては、可動部21と支持部22と連結部23とが一体的に形成されているのが好ましい。これにより、第2の基板3に対する可動部21の姿勢をより安定させることができる。
【0041】
その際、可動部21と支持部22と連結部23とは、それぞれ、シリコンを主材料として構成されていると、光学特性および耐久性をより優れたものとすることができる。
特に、可動部21と支持部22と連結部23とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであると、比較的簡単に、可動部21と支持部22と連結部23とをより高精度なものとすることができる。
【0042】
このような第1の基板2に対し、支持部22の下面で、第2の基板3が接合されている。
第2の基板3は、光透過性を有しており、第2の基板3には、その一方の面側に、第1の基板2と第2の基板3との間に第2のギャップG2を形成するための第1の凹部31と、第1の凹部31内側で第1の基板2と第2の基板3との間に第1のギャップG1を形成するための第2の凹部32とが形成されている。
【0043】
このような第2の基板3の構成材料としては、用いる光の波長に関し光透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、シリコン等が挙げられる。
これらの中でも、第2の基板3の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスが好ましい。これにより、第1の基板2を例えばシリコンで構成した場合に、第1の基板2と第2の基板3とを陽極接合により、簡単かつ強固に接合することができる。
【0044】
特に、陽極接合により第1の基板2と第2の基板3とを接合する場合には、第1の基板2の熱膨張係数と第2の基板3の熱膨張係数との差は、できるだけ小さいほうが好ましく、具体的には、50×10−7−1以下であるのが好ましい。
これにより、陽極接合時に第1の基板2および第2の基板3が高温下にさらされても、第1の基板2と第2の基板3との間に生じる応力を低減して、第1の基板2または第2の基板3の損傷を防止することができる。
【0045】
したがって、第2の基板3の構成材料としては、ソーダガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用いるのが好ましく、例えば、コーニング社製のパイレックスガラス(登録商標)等が好適に用いられる。
また、第2の基板3の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
【0046】
第1の凹部31は、その外形が円形をなしており、前述した可動部21と連結部23と開口部24とに対応する位置に配置されている。また、第1の凹部31の底面上には、可動部21の外周部に対応する位置で、円環状の第1の電極33、絶縁膜34がこの順で積層されている。このようにして、第2の基板3の可動部21側の設置面上に、第1の電極33が設けられている。
【0047】
第1の電極33は、全体としてほぼ円環状をなし、これを2分するようにした2つの第1の電極33a、33bからなる。そして、第1の電極33a、33bは、図5に示すように、通電回路10に接続されている。これにより、第1の電極33と可動部21との間に電位差を生じさせること、および、第1の電極33と可動部21との間の静電容量を検出することが可能となっている。なお、通電回路10については、後に詳述する。
【0048】
各第1の電極33a、33bは、第2の凹部32を囲むように設けられている。これにより、各第1の電極33a、33bと可動部21との間の静電引力を簡単に釣り合わせることができる。その結果、第2の基板3に対する可動部21の姿勢をより安定させることができる。
第1の電極33(第1の電極33a、33bのそれぞれ)の構成材料としては、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
このような第1の電極33の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。
【0049】
絶縁膜34は、第1の電極33と同様の形状をなし、可動部21と第1の電極33との接触による短絡を防止する機能を有するものである。
このような第1の凹部31内の空間内に、可動部21の駆動のための静電ギャップ(駆動ギャップ)として、第2のギャップG2が形成される。すなわち、可動部21と第1の電極33との間に、第2のギャップG2が形成される。
【0050】
第2のギャップG2の大きさ(すなわち、可動部21と第1の電極33との間の距離)は、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、0.5〜20μm程度であるのが好ましい。
第2の凹部32は、その外形が円形をなし、前述した第1の凹部31とほぼ同心でかつ第1の凹部31および可動部21の外径よりも小さい外径を有している。また、第2の凹部32の底面(第2の基板3の可動部21側の面)上には、ほぼ円形をなす固定反射膜35が設けられている。
【0051】
固定反射膜35は、前述したように、図3に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に入射した光を、可動反射膜25との間で複数回にわたって反射させるためのものである。すなわち、この固定反射膜35は、前述した可動反射膜25と協働して、第1のギャップG1の大きさ(すなわち、固定反射膜35と可動反射膜25との間の距離)に対応する波長の光を干渉させることができる。この第1のギャップG1の大きさは、前述した第2のギャップG2の大きさよりも大きい。
【0052】
第1のギャップG1の大きさは、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましい。
前述したように、第2の凹部32の底面上に固定反射膜35が設けられていると、第1の電極33と可動部21との間の距離に関係なく、第2の凹部32の深さに応じた使用可能波長帯域とすることができる。そのため、様々な使用可能波長帯域に設定しても、駆動電圧を低減することができる。
【0053】
なお、第2の凹部32を省略することもできる。この場合、光学デバイス1の光学特性を損ねない条件であれば、第1の凹部31の底面のほぼ全域に第1の電極を設け、その上に固定反射膜35を設けることができる。これにより、検出電極や駆動電極の面積を大きくして、可動部21と検出電極との間の静電容量の検出精度を向上させたり、駆動電圧を低減したりすることができる。また、固定反射膜の構成材料を導電性材料で構成することにより、固定反射膜を第1の凹部31の底面のほぼ全域に設け、可動反射膜が第1の電極(検出電極や駆動電極)を兼ねるようにすることができる。これによっても、検出電極や駆動電極の面積を大きくして、可動部21と検出電極との間の静電容量の検出精度を向上させたり、駆動電圧を低減したりすることができる。
【0054】
また、第2の基板3には、前述した第1の電極33a、33bをそれぞれ外部に引き出すために、第3の凹部37a、37bと、第3の凹部37a、37bと第1の凹部31とを連通させる溝部36a、36bとが形成されている。
溝部36aおよび第3の凹部37aは、その深さが第1の凹部31の深さとほぼ同等となっており、これらの底面上には、第1の電極33aに接続される引出し電極38aが設けられている。これと同様に、溝部36bおよび第3の凹部37bは、その深さが第1の凹部31の深さとほぼ同等となっており、これらの底面上には、第1の電極33bに接続される引出し電極38bが設けられている。
【0055】
引出し電極38(引出し電極38a、38b)の構成材料としては、前述した第1の電極33の構成材料と同様のものを用いることができ、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
【0056】
また、引出し電極38の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。そして、引出し電極38aは、前述した第1の電極33aと一体的に、引出し電極38bは、前述した第1の電極33bと一体的に形成されているのが好ましい。
また、第2の基板3の他方の面(すなわち、前述した第1の凹部31等が形成されている面とは反対側の面)上には、固定反射防止膜39が形成されている。
【0057】
固定反射防止膜39は、図3に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に向け照射された光が第2の基板3の下面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。なお、固定反射膜35や固定反射防止膜39の構成は、前述した可動反射膜25や可動反射防止膜26の構成と同様である。
このような第2の基板3とは反対側で第1の基板2に接合する第3の基板4も、光透過性を有している。そして、第3の基板4には、その一方の面側に、第1の基板2と第3の基板4との間に第3のギャップG3を形成するための凹部41が形成されている。
【0058】
このようにして、第1の基板2と第2の基板3および第3の基板4のそれぞれとの間には、可動部21の変位を許容するように空間が形成されるが、当該空間を気密空間として形成することができる。このようにして、比較的簡単な構成で、可動部21と外気との接触を遮断し、可動部21を安定して駆動することができる。なお、本実施形態において、第1の基板2の可動部21以外の部分と、第2の基板3および第3の基板4とが固定部を構成し、これに対し可動部21は可動となっている。
【0059】
また、本実施形態では、本実施形態のように第2の基板3に形成された凹部の底面上に、固定反射膜35および第1の電極33が設けられているので、第1の基板2と第2の基板3との間にスペーサのような部材を設けることなく、部品点数を低減し、前述したような気密空間を第1の基板2と第2の基板3との間に形成することができる。
このような第3の基板4の構成材料としては、用いる光の波長に関し光透過性を有していれば、特に限定されず、前述した第2の基板3の構成材料と同様のものを用いることができる。したがって、第3の基板4の構成材料としてアルカリ金属を含むガラスを用いた場合、第2の基板3と同様に、第3の基板4と第1の基板2とを陽極接合により接合することができる。
【0060】
第2の基板3および第3の基板4のうちの少なくとも一方がガラスを主材料として構成されていると、光を外部から第2の基板3および/または第3の基板4を介して固定反射膜35と可動反射膜25との間に入射させたり、光を固定反射膜35と可動反射膜25との間から第2の基板3および/または第3の基板4を介して外部へ射出させたりすることができる。
【0061】
また、第3の基板4の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
凹部41は、その外形が円形をなしており、前述した第1の凹部31と同様に、前述した可動部21と連結部23と開口部24とに対応する位置に配置されている。また、凹部41の深さおよび外径は、前述した第1の凹部31の深さおよび外径とほぼ等しくなっている。また、第1の凹部31の底面上には、可動部21の外周部に対応する位置で、円環状の第2の電極43(第2の電極)、絶縁膜44がこの順で積層されている。このようにして、第3の基板4の可動部21側の設置面上に、第2の電極43が設けられている。
【0062】
第2の電極43は、全体としてほぼ円環状をなし、前述した第1の電極33と同様に、これを2分するようにした2つの第2の電極43a、43bからなる。そして、第1の電極33a、33bと同様に、第2の電極43a、43bは、通電回路10に接続されている。これにより、第2の電極43と可動部21との間に電位差を生じさせること、および、第2の電極43と可動部21との間の静電容量を検出することが可能となっている。
【0063】
前述したように第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方が複数設けられていると、可動部21の姿勢を変化させたり、可動部21の姿勢を検出したりすることができる。可動部21の姿勢を変化させる際には、例えば、各第1の電極33a、34aまたは各第2の電極43a、43bにほぼ同電圧を印加して、固定反射膜35と可動反射膜25との平行度を保つように可動部21を変位させることもできるし、また、各第1の電極33a、33bまたは各第2の電極43a、43bに互いに異なる電圧を印加して、固定反射膜35に対し可動反射膜25を傾斜させるように可動部21を変位させることもできる。また、可動部21の位置だけでなく、可動部21の姿勢を検出することができる。
【0064】
特に、本実施形態では、第1の電極および前記第2の電極がそれぞれ複数設けられているので、可動部21の姿勢をより高精度に検出することができる。また、例えば、第1の電極33aおよび第2の電極43bのみに電位差を生じさせ、可動部21の一部を第1の電極33側へ変位させ、可動部21の他の部分を第2の電極43側へ変位させることができる。その結果、可動部21の姿勢をより広範囲に変化させることができる。
【0065】
また、第1の電極の数と前記第2の電極の数とは同数であり、各第1の電極と各第2の電極とは対をなしているので、可動部21の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定を容易なものとすることができる。また、可動部21の姿勢や位置を検出する際に、後述する検出部12の構成や処理を簡単なものとすることができる。
また、第1の電極33の形状が第2の電極43の形状と相似形状であるため、可動部21の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をより容易なものとすることができる。また、可動部21の姿勢や位置を検出する際に、後述する検出部12の構成や処理を簡単なものとすることができる。
また、第1の電極33の大きさ(面積)が第2の電極43の大きさ(面積)と同じであるため、可動部21の姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をさらに容易なものとすることができる。また、可動部21の姿勢や位置を検出する際に、後述する検出部12の構成や処理を簡単なものとすることができる。
【0066】
第2の電極43(第2の電極43a、43bのそれぞれ)の構成材料としては、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、前述した第1の電極33の構成材料と同様のものを用いることができる。
このような第2の電極43の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。
【0067】
絶縁膜44は、第2の電極43と同様の形状をなし、可動部21と第2の電極43との接触による短絡を防止する機能を有するものである。
このような凹部41内の空間内に、可動部21の駆動のための静電ギャップ(駆動ギャップ)として、第3のギャップG3が形成される。すなわち、可動部21と第2の電極43との間に、第3のギャップG3が形成される。
【0068】
可動部21と第1の電極33、第2の電極43との間に電位差を生じさせない状態において、第1の電極33と可動部21との間の距離(第2のギャップG2)と、第2の電極43と可動部21との間の距離(第3のギャップG3)は、ほぼ等しいのが好ましい。これにより、可動部21の位置および/または姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定を容易なものとすることができる。また、可動部21の姿勢や位置を検出する際に、後述する検出部12の構成や処理を簡単なものとすることができる。
【0069】
この場合、前記電位差を生じさせない状態において、第1の電極33と第2の電極43とは、可動部21を介して対称に設けられているのが好ましい。これにより、可動部21の位置および/または姿勢を変化させる際に、駆動電圧の設定をより容易なものとすることができる。また、可動部21の姿勢や位置を検出する際に、後述する検出部12の構成や処理を簡単なものとすることができる。
【0070】
第3のギャップG3の大きさ(すなわち、可動部21と第2の電極43との間の距離)は、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、0.5〜20μm程度であるのが好ましい。
また、凹部41の底面上には、その中央部に、ほぼ円形をなす固定反射防止膜42が設けられている。すなわち、固定反射防止膜42を囲むように、凹部41の底面(設置面)上には、前述した第2の電極43が設けられている。
【0071】
固定反射防止膜42は、図3に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に入射した光が第3の基板4の下面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。なお、固定反射防止膜42の構成は、前述した可動反射防止膜26の構成と同様である。
また、第3の基板4には、前述した引出し電極38a、38bに外部からアクセスするための開口部47a、47bが設けられている。なお、前述した第2の電極43の引出しは、図示しない取り出し部から取り出される。
【0072】
また、第3の基板4の他方の面(すなわち、前述した凹部41等が形成されている面とは反対側の面)上には、固定反射防止膜49が形成されている。
固定反射防止膜49は、図3に示すように光学デバイス1の下方から第3のギャップG3に入射した光が第3の基板4の上面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。なお、固定反射防止膜49の構成は、前述した可動反射防止膜26の構成と同様である。
【0073】
ここで、図5に基づき、通電回路10をより具体的に説明する。
この通電回路10は、通電回路10は、図5に示すように、各電極33a、33b、43a、43bに電圧を印加するための電源部11と、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間の静電容量を検出するための検出部12と、各電極33a、33b、43a、43bと電源部11および検出部12との接続状態を切り換える切換部13と、検出部12の検出結果に基づき電源部11および切換部13の駆動を制御する制御部14とを有している。
【0074】
電源部11は、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間に任意の電位差を生じさせることが可能となっている。すなわち、光学デバイス1では、第1の電極33および第2の電極43に対し選択的に電圧を印加して、第1の電極33および/または第2の電極43と可動部21との間に電位差を生じさせることが可能となっている。これにより、より確実に、可動部21を所望の位置および姿勢とすることができる。
【0075】
検出部12は、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間を独立して検出することが可能となっている。これにより、可動部21が所望の位置および姿勢となるような電位差を、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間に生じさせることができる。
切換部13は、各電極33a、33b、43a、43bと電源部11および検出部12との接続状態を切り換え可能となっている。
【0076】
制御部14は、前述した検出部12の検出結果に基づき、前述した電源部11の駆動を制御するようになっている。これにより、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間の静電容量に基づいて、可動部21が所望の位置および姿勢となるような電位差を、各電極33a、33b、43a、43bと可動部21との間に選択的に任意の電位差を生じさせることができる。
【0077】
また、制御部14は、例えば、設定された波長(第1のギャップG1)に応じて、前述した切換部13の前記接続状態を切り換えるようになっている。
このような構成を有する光学デバイス1の動作(作用)を説明する。
前述した通電回路10が、第1の電極33および第2の電極43のうちの一方の電極と可動部21との間の静電容量を検出し、その検出信号(検出結果)に基づき、第1の電極33および第2の電極43のうちの他方の電極と可動部21との間に電位差を生じさせる。
【0078】
より具体的には、設定された波長が電圧非印加時の第1のギャップG1よりも小さい場合には、第1の電極33を駆動電極として機能させ、第2の電極43を検出電極として機能させる。この場合、通電回路10により可動部21と第1の電極33との間に電圧が印加され、可動部21と第1の電極33とが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。
【0079】
このクーロン力によって、可動部21は、第1の電極33に向け下方に移動(変位)し、連結部23の弾性力とクーロン力が釣り合う位置で静止する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。このとき、第1の電極33aに印加される電圧と、第1の電極33bに印加される電圧とのバランスによって、可動部21の姿勢(傾き)が決まる。
【0080】
また、設定された波長が電圧非印加時の第1のギャップG1よりも大きい場合には、第1の電極33を検出電極として機能させ、第2の電極43を駆動電極として機能させる。通電回路10により可動部21と第2の電極43との間に電圧が印加され、可動部21と第2の電極43とが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。
【0081】
このクーロン力によって、可動部21は、第2の電極43に向け上方に移動(変位)し、連結部23の弾性力とクーロン力が釣り合う位置で静止する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。このとき、第2の電極43aに印加される電圧と、第2の電極43bに印加される電圧とのバランスによって、可動部21の姿勢(傾き)が決まる。
【0082】
一方、図3に示すように、光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に向け光Lが照射されると、光Lは、固定反射防止膜39、第2の基板3、固定反射膜35を透過して、第1のギャップG1に入射する。このとき、この光Lは、固定反射防止膜39により、ほとんど損失せずに第1のギャップG1に入射する。
入射した光は、可動反射膜25と固定反射膜35との間において、反射を繰り返す(干渉する)。この際、可動反射膜25および固定反射膜35により、光Lの損失を抑えることができる。
【0083】
前述したように可動反射膜25と固定反射膜35との間で光が反射を繰り返す過程において、可動反射膜25と固定反射膜35との間の第1のギャップG1の大きさに対応する干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰し、この干渉条件を満たした波長の光だけが残って最終的に光学デバイス1から出射する。したがって、可動部21と第1の電極33、第2の電極43との間に印加される電圧を変更することにより、第1のギャップG1を変更(すなわち干渉条件を変更)すれば、光学デバイス1を透過する光の波長を変更することができる。
【0084】
前記光Lの干渉の結果、第1のギャップG1の大きさに対応した波長の光(干渉光)は、可動反射膜25、可動部21、可動反射防止膜26、固定反射防止膜42、第3の基板4、固定反射防止膜49を透過し、光学デバイス1の上方へ出射する。このとき、可動反射防止膜26および固定反射防止膜42、49により、干渉光はほとんど損失せずに光学デバイス1の外部へ出射する。
なお、本実施形態では、第1のギャップG1に入射した光を光学デバイス1の上方へ出射したが、第1のギャップG1に入射した光を光学デバイス1の下方へ出射してもよい。
また、本実施形態では、光学デバイス1に対し、その下方から光を入射したが、上方から光を入射してもよい。
【0085】
以上説明したような光学デバイス1にあっては、可動部21の固定反射膜35側の面に対し間隔を隔てて対向する第1の電極33と、可動部21の固定反射膜35と逆側の面に対し間隔を隔てて対向する第2の電極43とのうち、一方の電極が、可動部21との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極が、可動部21との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、可動部21の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能する。
【0086】
これにより、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部21と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部21を所望の位置および姿勢に正確に変位させることができる。その際、駆動電極と検出電極とを平面視にてこれらを重ねるようにして配置することが可能であるため、駆動電極の大面積化を図り駆動電圧を低減するとともに、検出電極の大面積化を図り検出精度を向上させることができる。このようにして、本発明の光学デバイス1は、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を得ることができる。
【0087】
特に、本実施形態では、前記一方の電極と可動部21との間の静電容量を検出し、その検出結果に基づき、前記他方の電極と可動部21との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、可動部21の位置および/または姿勢を変化させるので、使用時に、可動部21の位置および姿勢をより正確に所望のものとすることができる。
【0088】
なお、前述したような静電容量の検出は、較正(キャリブレーション)時のみ行い、予め設定された変換テーブル等に基づき、前記他方の電極と可動部21との間に電位差を生じさせてもよい。また、この場合、較正後に電極33a、33b、43a、43bのすべてを駆動電極として用いることも可能である。
また、第1の電極33および第2の電極43がそれぞれ、可動部21を駆動するための駆動電極として機能することができる。すなわち、第1の電極33または第2の電極43は、検出電極として機能するときと、駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成されている。これにより、可動部21を第1の電極33側と第2の電極43側との双方に変位させることができる。そのため、可動部21に生じる応力を低減しつつ、可動部21の可動範囲を大きくすることができる。その結果、光学デバイス1は、広いレンジでの波長の光に対して使用することができる。
また、可動部21の変位に必要な駆動力を低減することができ、その結果、駆動電圧を低減することができる。
【0089】
<光学デバイスの製造方法>
次に、光学デバイス1の製造方法の一例を図6ないし図10に基づいて説明する。
図6〜図10は、光学デバイス1の製造工程を説明するための図である。なお、図6〜図10は、図2のA−A線断面に対応する断面を示している。
本実施形態の光学デバイス1の製造方法は、[A]第2の基板3を製造する工程と、[B]SOI基板を第2の基板3に接合する工程と、[C]SOI基板を加工して第1の基板2を製造する工程と、[D]第3の基板4を製造する工程と、[E]第3の基板4を第1の基板2に接合する工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
【0090】
[A] 第2の基板3の製造
−A1−
まず、第2の基板3を形成するための基板として、図6(a)に示すように、光透過性を有する基板3aを用意する。
基板3aとしては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。基板3aの構成材料としては、第2の基板3の説明で述べたものを用いることができる。前述したように、基板3aの構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスを用いるのが好ましい。したがって、以下の説明では、基板3aの構成材料として、アルカリ金属を含有したガラスを用いた場合について説明する。
【0091】
−A2−
次に、図6(b)に示すように、基板3aの一方の面上にマスク層5を形成(マスキング)する。
マスク層5を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層5の構成材料にシリコンを用いると、マスク層5と基板3aとの密着性が向上する。マスク層5の構成材料に金属を用いると、形成されるマスク層5の視認性が向上する。
【0092】
マスク層5の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1μm程度とすることが好ましく、0.09〜0.11μm程度とすることがより好ましい。マスク層5が薄すぎると、基板3aを十分に保護できない場合があり、マスク層5が厚すぎると、マスク層5の内部応力によりマスク層5が剥がれ易くなる場合がある。
マスク層5は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
【0093】
−A3−
次に、図6(c)に示すように、マスク層5に、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37との平面視形状に対応した平面視形状をなす開口51を形成する。
より具体的には、まず、例えばフォトリソグラフィ法を用い、マスク層5上に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行って、開口51に対応する開口を有するレジストマスクを形成する。次に、このレジストマスク介してマスク層5をエッチングして、マスク層5の一部を除去した後、レジストマスクを除去する。このようにして、マスク層5に開口51が形成される。このエッチングとしては、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等によるウェットエッチングを用いることができる。
【0094】
−A4−
次に、マスク層5を介して基板3aの一方の面をエッチングして、図6(d)に示すように、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37とを形成する。
このエッチングとしては、ドライエッチング法、ウェットエッチング法を用いることができるが、ウェットエッチング法を用いるのが好ましい。これにより、形成される第1の凹部31をより理想的な円柱状とすることができる。この場合、ウェットエッチングのエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。また、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、形成される第1の凹部31の底面を極めて滑らかなものとすることができる。
【0095】
−A5−
次に、マスク層5を除去した後に、前述した工程A2およびA3と同様の方法を用いて、図6(e)に示すように、第2の凹部32の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6を形成する。
マスク層5の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ水溶液(例えばテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)、塩酸+硝酸水溶液、フッ酸+硝酸水溶液等によるウェットエッチング、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチングなどを用いることができる。
特に、マスク層5の除去方法としてウェットエッチングを用いると、簡易な操作で、効率よく、マスク層5を除去することができる。
【0096】
−A6−
次に、前述した工程A4と同様の方法を用いて、マスク層6を介して基板3aをエッチングして、図6(f)に示すように、第2の凹部32を形成した後、固定反射膜35の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6Aを形成する。なお、マスク層6Aの形成は、マスク層6を除去した後に行ってもよいし、マスク層6を除去せずに行ってもよい。
【0097】
−A7−
次に、図7(a)に示すように、マスク層6Aを用いて、第2の凹部32の底面上に、固定反射膜35を形成する。
より具体的には、第2の凹部32の底面上に、前述したような高屈折率層と低屈折層とを交互に積層することにより、固定反射膜35を形成する。
高屈折率層および低屈折率層の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
【0098】
−A8−
次に、前述した工程−A5−と同様の方法を用いて、図7(b)に示すように、マスク層6Aを除去する。
−A9−
次に、図7(c)に示すように、基板3aの第1の凹部31等が形成された側の面上に一様に、第1の電極33a、33bおよび引出し電極38a、38b等を形成するための導電層7を形成する。
導電層7の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
また、導電層7の構成材料は、前述した第1の電極33の構成材料を用いることができる。
【0099】
−A10−
次に、図7(d)に示すように、導電層7の不要部分を除去して、第1の電極33等を形成するとともに、第1の電極33上に絶縁膜34を形成する。さらに、基板3aの第1の凹部31等が形成された側と反対側の面上に、固定反射防止膜39を形成する。
導電層7の不要部分を除去する方法としては、前述した工程A3と同様の方法を用いることができる。
【0100】
また、第1の電極33の形成方法としては、前述したマスク層5の形成方法と同様のものを用いることができる。
固定反射防止膜39の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
以上のようにして、第2の基板3を製造することができる。
【0101】
[B]SOI基板と第2の基板3との接合
−B1−
まず、図8(a)に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板8を用意する。
このSOI基板8は、Siで構成されたベース層81、SiOで構成された絶縁層82、Siで構成された活性層83の順でこれら3層が積層されてなるものである。なお、SOI基板8に代えて、SOS(Silicon on Sapphire)基板、シリコン基板等を用いることもできる。
SOI基板8の厚さは、特に限定されないが、特に活性層83の厚さが10〜100μm程度であるのが好ましい。
【0102】
−B2−
次に、SOI基板8と第2の基板3との接合に先立ち、図8(b)に示すように、SOI基板8の活性層83側の面上に、可動反射膜25を形成する。
可動反射膜25の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
【0103】
−B3−
次に、図8(c)に示すように、SOI基板8と第2の基板3とを接合する。
SOI基板8と第2の基板3との接合方法としては、例えば、陽極接合、接着剤による接合、表面活性化接合、低融点ガラスを用いた接合等を用いることができるが、陽極接合を用いるのが好ましい。
【0104】
SOI基板8と第2の基板3との接合方法として陽極接合を用いる場合には、例えば、まず、図示しない直流電源のマイナス端子を第2の基板3に、プラス端子をSOI基板8の活性層83に接続する。そして、第2の基板3を加熱しながら、第2の基板3とSOI基板8の活性層83との間に電圧を印加する。この加熱により、第2の基板3のアルカリ金属のプラスイオン、例えば、ナトリウムイオン(Na+)が移動しやすくなる。これにより、第2の基板3と活性層83との接合面のうち、第2の基板3側の接合面がマイナス、活性層83側の接合面がプラスに相対的に帯電する。その結果、シリコン(Si)と酸素(O)とが電子対を共有する共有結合により、第2の基板3と活性層83とは強固に接合される。
【0105】
[C]第1の基板2の製造
−C1−
次に、図9(a)に示すように、エッチングや研磨を行ってベース層81を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、ドライエッチングを用いるのが好ましい。いずれの場合も、ベース層81の除去のとき、絶縁層82がストッパーとなるが、ドライエッチングは、エッチング液を用いないので、第1の電極33に対向している活性層83の損傷を好適に防ぐことができる。これにより、光学デバイス1の製造時における歩留まりの向上を図ることができる。
【0106】
−C2−
次に、図9(b)に示すように、エッチングを行って絶縁層82を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、フッ酸を含むエッチング液によるウェットエッチングを用いるのが好ましい。これにより、絶縁層82を簡単に除去することができるとともに、絶縁層82の除去により露出する活性層83の面を極めて平滑にすることができる。
なお、前述した工程B1にて、SOI基板8に代えて、以降の工程を行うのに最適な厚さをすでに有しているシリコン基板を用いた場合には、工程C1、C1は行わなくてもよい。これにより、光学デバイス1の製造工程を簡略化することができる。
【0107】
−C3−
次に、図9(c)に示すように、活性層83の上面に、可動反射防止膜26を形成する。
可動反射防止膜26の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
【0108】
−C4−
次に、図9(d)に示すように、開口部24および開口部27に対応する開口を有するレジスト層9を形成する。
レジスト層9の形成方法としては、前述した工程A2、A3と同様の方法を用いることができる。
【0109】
−C5−
次に、レジスト層9を介して、ドライエッチング法、特にICPエッチングにより、活性層83をエッチングして、図9(e)に示すように、開口部27を形成した後に、図9(f)に示すように、開口部24を形成する。これにより、可動部21と支持部22と連結部23とが形成される。
【0110】
より具体的には、レジスト層9を介して活性層83をドライエッチングすると、マイクロローディング効果によって開口部27でのエッチング速度に比べて開口部24の各開口領域でのエッチング速度が遅くなるので、図9(e)に示すように、開口部24の形成よりも先に開口部27の形成が完了する。このとき、溝部36を介して第1の凹部31に連通する第3の凹部37の上方に開口部27が形成されるので、活性層83と第2の基板3との間の空間が外部に開放され、当該空間と外部との圧力差が解消される。
【0111】
ここで、マイクロローディング効果とは、開口寸法が小さくなるに従ってエッチング速度が低下する現象である。したがって、開口部27として、開口部24の各開口領域でのエッチング速度よりもエッチング速度が速くなるような寸法のものを採用する。本実施形態では、開口部27の形状を、図1に示すように、開口部24の各開口領域の短手方向の開口幅よりも幅広な寸法を一辺の長さとした正方形状としている。なお、開口部27の寸法および形状としては、開口部27でのエッチング速度が開口部24の各開口領域でのエッチング速度よりも速くなるものであれば、前述したものに限定されず、任意の構成を採用することができる。
このようにマイクロローディング効果を利用すると、開口部27を形成するためのエッチング工程を別途設けなくても、開口部24および開口部27を同一のエッチング工程により形成しつつ、開口部27、開口部24の順にこれらを形成することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0112】
開口部27が形成された後、更にドライエッチングを継続すると、図9(f)に示すように開口部24が貫通形成されて、可動部21と支持部22と連結部23との形成が完成する。
このとき、前述したように、活性層83に可動部21を形成する前(すなわち、開口部24を形成する前)にあらかじめ、活性層83と第2の基板3との間の空間と、外部との圧力差が解消されているので、開口部24の形成に伴って連結部23が破損するのを防止することができる。
【0113】
特に、本工程では、ICPエッチングを行う。すなわち、エッチング用ガスによるエッチングと、デポジッション用ガスによる保護膜の形成とを、交互に繰り返し行って、可動部21を形成する。
前記エッチング用ガスとしては、例えば、SF等が挙げられ、また、前記デポジッション用ガスとしては、例えば、C等が挙げられる。
【0114】
本工程において、ドライエッチング技術を使用して異方性エッチングを行うのは、以下に示す理由による。
ウェットエッチング技術を使用した場合、エッチングが進むに従ってエッチング液が活性層83に形成された孔から、活性層83と第2の基板3との間に侵入し、第1の電極33や絶縁膜34を除去してしまうおそれがある。これに対し、ドライエッチング技術を使用した場合はそのような危険性がない。
【0115】
また、等方性エッチングを使用した場合には、活性層83が等方的にエッチングされ、サイドエッチングが生じる。特に、連結部23に対しサイドエッチングが生じると、連結部23の強度が弱くなり、耐久性が劣化してしまう。これに対し、異方性エッチングを使用した場合には、サイドエッチングが生じないので、エッチング寸法の制御に優れており、連結部23の側面も活性層83の板面に対し垂直に形成され、連結部23の強度の向上を図ることができる。
なお、本発明では、本工程において、前記と異なるドライエッチング法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよく、また、ドライエッチング法以外の方法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよい。
−C6−
その後、レジスト層9を除去して、図9(g)に示すように、第1の基板2と第2の基板3とが接合してなる構造体が得られる。
【0116】
[D]第3の基板4を製造する工程
−D1−
まず、第3の基板4を形成するための基板として、図10(a)に示すように、光透過性を有する基板4aを用意する。
基板4aとしては、前述した基板3aと同様に、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。基板4aの構成材料としては、基板3aの構成材料と同様、第2の基板3の説明で述べたものを用いることができる。
【0117】
−D2−
次に、前述した工程[A]のA1〜A4と同様の方法を用いて、図10(b)に示すように、凹部41と開口部47a、47bとを形成する。
−D3−
次に、前述した工程[A]のA7〜A10と同様の方法を用いて、図10(c)に示すように、第2の電極43、絶縁膜44、および固定反射防止膜42、49を形成する。
以上のようにして、第3の基板4を製造することができる。
【0118】
[E]第3の基板4を第1の基板2に接合する工程
次に、前述した工程[B]のB3と同様の方法を用いて、前述した工程[D]で得られた第3の基板4と、前述した工程[C]で得られた構造体の第1の基板2とを接合する。
これにより、図10(d)に示すように、光学デバイス1が得られる。
以上説明したような光学デバイス1(波長可変フィルタ)は、例えば、図11や図12に示すような形態で用いられる。
【0119】
図11は、本発明の波長可変フィルタモジュールの実施形態を示す図、図12は、本発明の光スペクトラムアナライザの実施形態を示す図である。
図11に示す波長可変フィルタモジュール100は、例えば波長分割多重(WDM)光伝送方式のような光ネットワークの光伝送経路に設置されるものである。このような波長可変フィルタモジュール100は、前述した波長可変フィルタである光学デバイス1と、この光学デバイス1に光を導く光ファイバ101およびレンズ102と、光学デバイス1から射出された光を外部へ導くレンズ103および光ファイバ104とを備えている。
【0120】
このような波長可変フィルタモジュール100では、複数の波長を有する光を光ファイバ101およびレンズ102介して光学デバイス1に入射させ、所望の波長の光のみをレンズ103および光ファイバ104を介して取り出すことができる。
このような波長可変フィルタモジュール100は、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を有する。
【0121】
また、図12に示す光スペクトラムアナライザ200は、被測定光のスペクトラム特性(波長と強度との関係)を測定する装置である。このような光スペクトラムアナライザ200は、被測定光が入射される光入射部201と、前述した光学デバイス1と、光入射部201に入射された被測定光を光学デバイス1へ導く光学系202と、光学デバイス1から出射された光を受光する受光素子203と、光学デバイス1から出射された光を受光素子203へ導く光学系204と、光学デバイス1の駆動を制御するとともに受光素子203の出力に基づきスペクトラム特性を求める制御部205と、制御部205の演算結果を表示する表示部206とを備えている。
【0122】
このような光スペクトラムアナライザ200では、光入射部201に入射された被測定光が光学系202を介して光学デバイス1に入射される。そして、光学デバイス1から出射された光が光学系204を介して受光素子203で受光され、その光の強度が制御部205で求められる。このとき、制御部205が光学デバイス1の干渉条件を順次変更しながら、受光素子203で受光された光の強度が求められる。そして、制御部205は、各波長における光の強度に関する情報(例えばスペクトラム波形)を表示部206に表示させる。
このような光スペクトラムアナライザ200は、駆動電圧を低減しつつ、優れた光学特性を有する。
【0123】
以上、本発明の光学デバイス、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した光学デバイス1を用いることで、波長可変光源や波長可変レーザを実現することができる。
また、前述した実施形態では第1の凹部31により第1のギャップG1や第2のギャップG2を形成したが、第1の凹部31を形成せずに、第2の基板3と第1の基板2との間にスペーサを設けることにより、第1のギャップG1や第2のギャップG2を形成してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1……光学デバイス(波長可変フィルタ) 2……第1の基板 10……通電回路 11……電源部 12……検出部 13……切換部 14……制御部 21……可動部 22……支持部 23……連結部 24……開口部 25……可動反射膜 26……可動反射防止膜 27、27a、27b……開口部 3……第2の基板 31……第1の凹部 32……第2の凹部 33、33a、33b……第1の電極 34……絶縁膜 35……固定反射膜 36、36a、36b……溝部 37、37a、37b……第3の凹部 38、38a、38b……引出し電極 39……固定反射防止膜 4……第3の基板 41……凹部 43、43a、43b……第2の電極 44……絶縁膜 42、49……固定反射防止膜 47a、47b……開口部 3a、4a……基板(第2の基板) 5、6、6A……マスク層 51……開口 7……導電層 8……SOI基板 81……ベース層 82……絶縁層 83……活性層(第1の基板) 9……レジスト層 100……波長可変フィルタモジュール 101、104……光ファイバ 102、103……レンズ 200……光スペクトラムアナライザ 201……光入射部 202、204……光学系 203……受光素子 205……制御部 206……表示部 G1……第1のギャップ G2……第2のギャップ G3……第3のギャップ L……光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記一方の電極と前記可動部との間の静電容量を検出し、その検出結果に基づき、前記他方の電極と前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させる請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、複数の電極で構成されている請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第1の電極を構成する電極の数と前記第2の電極を構成する電極の数は同数であり、前記第1の電極の各電極と前記第2の電極の各電極とは対をなしている請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の電極の形状は、前記第2の電極の形状と相似形状である請求項1ないし4のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1の電極の大きさは、前記第2の電極の大きさと同じである請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記可動部を支持するための支持部と、前記支持部に対し前記可動部を変位可能とするように前記可動部と前記支持部とを連結する連結部とを有し、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが一体的に形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記可動部と前記支持部と前記連結部とが形成された第1の基板と、前記第1の基板の一方の面側で前記支持部に対し固定的に設けられた第2の基板と、前記第1の基板の他方の面側で前記支持部に対し固定的に設けられた第3の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板および前記第3の基板のそれぞれとの間には、前記可動部の変位を許容するように気密空間が形成され、前記第2の基板上には、前記第1の電極および前記第1の光反射部が設けられ、前記第3の基板上には、前記第2の電極が設けられている請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記第2の基板の前記第1の基板側の面には、凹部が形成されており、前記凹部の底面上に、前記第1の光反射部および前記第1の電極が設けられている請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記凹部は、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成された第2の凹部とを有し、前記第1の電極は、前記第2の凹部の外側における前記第1の凹部の底面上に設けられ、前記第1の光反射部は、前記第2の凹部の底面上に設けられている請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第1の電極は、前記第1の光反射部を囲むように設けられている請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記第1の基板は、シリコンを主材料として構成されている請求項8ないし11のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記第2の基板および前記第3の基板のうちの少なくとも一方は、ガラスを主材料として構成されている請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記第2の基板および前記第3の基板のうちの少なくとも一方は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されている請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記第1の基板は、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものである請求項8ないし14のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記第1の光反射部および前記第2の光反射部のうちの少なくとも一方は、誘電体多層膜で構成されている請求項1ないし15のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第1の電極と前記第2の電極とは、前記可動部を介して対称に設けられている請求項1ないし16のいずれかに記載の光学デバイス。
【請求項18】
第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする波長可変フィルタ。
【請求項19】
第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする波長可変フィルタモジュール。
【請求項20】
第1の光反射部を有する固定部と、
前記第1の光反射部に対し第1のギャップを隔てて対向する第2の光反射部を有し、前記第1のギャップを変更するように前記固定部に対し変位可能な可動部と、
前記可動部の前記第1の光反射部側の面に対し第2のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第1の電極と、
前記可動部の前記第1の光反射部と反対側の面に対し第3のギャップを隔てて対向するように、前記固定部に対し固定的に設けられ、全体としてほぼ円環状をなす第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極にそれぞれ接続された通電回路とを備え、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち、一方の電極は、前記可動部との間の静電容量を検出するための検出電極として機能し、他方の電極は、前記可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部の位置および/または姿勢を変化させるための駆動電極として機能し、
前記第1の光反射部と前記第2の光反射部との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、これらの間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成され、
前記通電回路は、前記第1の電極および前記第2の電極が、それぞれ、前記検出電極として機能するときと、前記駆動電極として機能するときとに交互に切り換えられるように構成され、
前記可動部と前記第1の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第1の電極側に変位させ得るとともに、
前記可動部と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記可動部を前記第2の電極側に変位させ得るものであり、
前記可動部と前記第1の電極との間、および、前記可動部と前記第2の電極との間にそれぞれ電位差を生じさせない状態において、前記第2のギャップと前記第3のギャップとが等しいことを特徴とする光スペクトラムアナライザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−282540(P2009−282540A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182800(P2009−182800)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【分割の表示】特願2006−277017(P2006−277017)の分割
【原出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】