説明

光学式読取装置の読取方式

【課題】光学式読み取り装置において媒体の挿入口から搬送路内にゴミが入りこまないように物理的にハケの様なものを実装する構造上の工夫を設けていても、ゴミ、塵等を完全に入り込まないようにすることは困難である。また、複数毎の記入媒体を1度に挿入する装置では、記入媒体と記入媒体の間に、入り込んだゴミ、塵等が、装置内に取り込まれる可能性があり、その、取り込まれたゴミが、画像データに写り込んだ時、記入マークと認識しないように、ゴミとして分離し排除する。
【解決手段】OCR、OMRといった光学式読み取り装置において媒体の挿入口から搬送路内に入り込んだゴミ、塵等を検知し記入マークと分離し排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データシートなど記入媒体のマークを読み取る光学式読取装置の読み取り方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光学式読み取り装置においては、薄い記入マーク(濃度の低い記入マーク)を汚れとして、読み取らない方式や、サイズの小さい記入マークはゴミとして読み取らない方式でゴミ・汚れを判定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学式読み取り装置においては、光学式読み取り装置の記入媒体の挿入口から混入するゴミ、汚れ等を記入マークとして読み取ることがあるため、混入するゴミ、汚れ等を排除する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このゴミ、汚れ等の形状特徴、色特徴、ピントズレ状態特徴、立体形状による浮き上がり有無を抽出し記入マークとして読み取らない手段と、個人の記入マークの特長の抽出により、その特長以外は、このゴミ、汚れ等ノイズ情報として排除する手段を設けることで、読み取りの信頼性を向上させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、光学式読取装置において読み取り媒体の挿入口から搬送路内に、読み取り媒体といっしょに入り込んだゴミ、塵等や読み取り媒体の汚れを媒体の記入マークとして読み取ることがなくなり、読み取りの信頼性を向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図1から図10に基づいて説明する。図1は読取装置のメカの基本構成側面図と、機能ブロックを示している。
【0007】
物理的には、搬送路にて記入媒体を搬送し、スキャナで読み取る構造である。
【0008】
図2は、本発明における読取装置の概略処理フローを示す。
【0009】
図2おいて、20〜22の処理は、通常の画像データを処理する上で必要な処理である。
【0010】
23の処理が、本発明の基本となる処理となる。
【0011】
請求項1は、形状の特徴を抽出するが、例えば、その手法はマーク輪郭のベクトル分布を求めて、ゴミ形状を認識する実施例となる。
【0012】
つまり、図3に示すように30〜32行は、ベクトル種が少なく、分布に偏りがあると、人為的に意図を持って記入した図形であると判断できるが、ベクトル種が多く離散的である場合は、ゴミと判定し排除する。この場合、記入マークとして排除する前に、端末の表示画面に、その部位のマークを記入媒体のフォーマット表示といっしょに表示させ、「このマークを消しますか?」という問合せで、オペレータに判断をさせる運用が可能となる。
【0013】
請求項7については、「このマークを消しますか?」とう問合せで、消去されたものは、形状の特徴を抽出し、端末に積算記憶し、次にゴミ、屑、汚れといったノイズ情報であると判別する時に使用し、ゴミの判別の精度を高めることを目的としている。尚、この場合においては、光学式読み取り装置において媒体の挿入口から搬送路内にゴミが入りこまないように物理的にハケの様なものを実装する構造上の工夫を設けている。よって、ゴミの挿入口からの混入が稀なケースになるため、1台の端末で積算記憶するゴミが少なく、精度があがらないことがある。
【0014】
よって、請求項8においては、ゴミの特徴を示す数値は、端末からホストコンピュータに向かって発信する機能と、ホストコンピュータは、その情報を受信し、全端末で共有する積算情報として管理し、端末からの問い合わせ送信要求があった場合に、ネットワークに接続させた端末へゴミ特徴の積算情報送信する機能を有することで、ゴミ特徴の積算情報を多くし、ゴミと判断する精度を高める。これにより、そのシステムが使用されている業界特有のゴミ特徴を、収集し、精度を高めることも可能となる。例えば、裁縫関係店舗で使用する端末システムにおいて、服の糸くずゴミの特徴が収集されて、精度が向上する効果となる。
【0015】
請求項2においては、カラースキャナにより得た、画像データより、ゴミ、屑、汚れといった色特徴を判定する。ハード構成としては、図4に示すように、タイミング回路41により、搬送速度に同期して発生させた同期信号をカラーCCDに入力させ、カラーCCDより出力させたR,G,B信号を、それぞれAD変換し、そのデジタル値を画像データとして、それぞれR,G,Bメモリに記録する。その後は、図2の21,22の処理を行う。23の処理においては、図5で示すように、色の配色欄に示すように、1つのマークに含まれるR、G、B成分値を、1つのマーク内で255値に正規化する。この値がしきい値欄に示すしきい値でゴミと判定する。この例では、筆記具が黒系に限定されて、色のついた画像データがゴミと判定されるが、筆記具の想定色とゴミの想定色より、しきい値を決定することで、筆記具種を増やすことができる。
【0016】
また、この例では1つのマーク内のR,G,B成分値に正規化しているが、色の分布情報により、色むらのしきい値設定をすることで更に、精度を向上できる。
【0017】
請求項3においては、スキャナガラス面に一時的に付着したゴミ・汚れは、図6に示すようにスキャナの焦点67に対して、被写界深度が少ない状態においてピントズレ状態の画像となり、図7に示すように画像周囲に濃度値の低いエリアが発生する。図7の例で示すと濃度値5以下のエリアがドーナッツ状に広がっている。ある濃度値以下の面積が、ドーナッツ状であるかを判定する。
【0018】
ある濃度値しきい値は、その画像の中心部の濃度値より、比率で決定する。
【0019】
全体面積におけるドーナッツ状面積の比率により、スキャナガラス面に一時的に付着したゴミと判定する。
【0020】
請求項4においては、記入媒体の表面についたゴミを立体画像として、処理するために、2個のスキャナまたは、液晶ハーフミラーの時間差切替えで撮像し、立体として、記入媒体からの浮き上がり量を認識する。ハード構成は、図1に示すように、左右2台のスキャナを配置する。
【0021】
または、原価低減上、ハード構成は、液晶ハーフミラーを搬送速度に対して十分に早い速度で切替え、2種類の角度の画像データを得る手段としても同一の検出が可能である。液晶ハーフミラーで2種類の角度の画像データを得る手段は、図8に示すような構成となり、液晶ハーフミラー切替えタイミング回路84により、液晶ハーフミラー82を切替え、2種類の角度の異なる画像データを得る。図9に示すような2次元スキャナで時間差をつけて撮像することで、記入媒体の同一紙面上を、搬送した後の別の位置の画像データとして得ることができ、2つの画像データとして扱う。
【0022】
図10は、浮き上がり量、またはゴミの移動の有無の検出例であるが、記入媒体の表面についたゴミを2つの画像データについて、記入媒体に印刷されたマーク枠を基準にして、マークの位置に差異が発生しているかを検知する例である。
【0023】
画像処理において、マーク枠を基準に2つの画像データを重ね合わせて、マッチング量として数値化する手法でもよい。この場合、ゴミの回転量なども数値に含まれ、ゴミの回転でもゴミとして検知が可能となる。
【0024】
請求項5については、記入媒体1枚には、1人の人が記入をしているという前提にたって、その1人の記入形状を棒状なのか、丸状なのかを分類して、全てのマークに共通しているかを確認する。この共通形状から、外れているものは、ゴミの可能性が高い。マークを塗り込む位置や数に運用上の規則に照らしあわせてアンマッチが合った場合に、この共通形状から、外れているものを排除する。その1人の記入している色特徴についても、記入媒体1枚を記入するために、筆記具を変更する場合は、稀である前提に立っている。記入媒体1枚の中に記入されているマークの色特徴も分類し、他の記入マークと明からに色特徴の異なるものは、ゴミの可能性が高い。マークを塗り込む位置や数に運用上の規則に照らしあわせてアンマッチが合った場合に、この色特徴から、外れているものを排除する。この色特徴は、形状特徴と合わせて判定することで、ゴミとしての判定の精度を上げることができる。
【0025】
具体的な形状特徴の抽出は、請求項1の実施例のようになる。また、色特徴の具体的な抽出については、請求項2の実施例のようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ハードの構成と機能ブロックを示した図である。
【図2】処理フローを示した図である。
【図3】形状特徴例と判定の過程を示した表である。
【図4】カラーCCDでの検出におけるハード構成を示した図である。
【図5】色特徴例と判定のしきい値を示した表である。
【図6】色特徴例と判定のしきい値を示した表である。
【図7】ピントズレ時の濃度値傾向を示したグラフである。
【図8】1つのCCDで2つの画像データを得る光学系を示した図である。
【図9】2次元CCDにて、2つの画像データを得る手段を示した図である。
【図10】ゴミ浮き上がり有無、ゴミ移動の有無の検出方法を示した図である。
【符号の説明】
【0027】
1…左スキャナ、2…右スキャナ、3…読み取り位置、4…光軸、5…記入媒体、6…搬送ガイド、7…搬送ローラ、8…A/D変換部、9…画像格納メモリ、10…CPU部、40…カラーCCD、41…タイミング発生回路、42…A/D変換器×3、43…R〜Bメモリ、60…スキャナ、61点CCD、62…レンズ、63…ガラス板、64…搬送路、65…焦点位置、66…付着ゴミ、67…焦点、80…CCD、81…レンズ、82…液晶ハーフミラー、83…ミラー、84…液晶ハーフミラー切り替えタイミング回路、85…記入媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ、屑、汚れといったノイズ情報を画像認識処理により、形状判別し、ノイズ情報(ゴミ、屑、汚れ等)特有の形状であった場合にノイズ情報と判別する機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項2】
カラースキャナをゴミ、屑、汚れといったノイズ情報の色特徴を判定するために有し、カラースキャナの色情報からノイズ情報と判別する機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項3】
スキャナガラス面に付着したゴミ・汚れのピントズレ状態を、汚れ画像の周囲のグレー階調の状態を認識処理で解析することにより、ゴミ・汚れと判別する機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項4】
記入媒体の表面についたゴミを、2個のスキャナまたは、液晶ハーフミラーの時間差切替え、2次元スキャナでの時間差2度写し等で撮像し、2つの画像の差異から、記入媒体からの浮き上がり量、またはゴミ移動の有無を認識できるようにし、浮き上がりが有るかまたは、ゴミ移動が有った場合に、付着ゴミとして識別する機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項5】
記入媒体の記入マークにより、その個人の記入形状・色特徴を抽出し、その記入記入形状・色特徴から外れた情報をノイズ情報として判別し、記入マークから外す機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項6】
記入媒体の記入マークにより、その個人の記入濃度特徴を抽出し、その記入濃度特徴から外れた情報は、ノイズ情報として判別し、記入マークから外す機能を有した光学式読み取り装置。
【請求項7】
ゴミ、屑、汚れといったノイズ情報を記入欄に表示し、読み取りオペレータにマークとするか表示上で確認させる手段を有し、オペレータが排除選択した記入マークは、ゴミ、屑、汚れといったノイズ情報であると判断し、ノイズ情報は、その画像認識処理により、形状の特徴を抽出し、積算記憶し、次にゴミ、屑、汚れといったノイズ情報であると判別する時に使用することを特徴とする光学式読み取り装置。
【請求項8】
積算記憶し、次にゴミ、屑、汚れといったノイズ情報は、その画像認識処理により、形状の特徴情報を抽出し、端末であるこの光学式読み取り装置が、ネットワーク上のホスト計算機へゴミ特徴情報を送信し、ホスト計算機へ積算記憶させる機能と、ホスト計算機から特徴情報を受信し、ノイズ情報として判別するために特徴情報を利用可能とした光学式読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−282232(P2008−282232A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126213(P2007−126213)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】