説明

光学式距離測定機器

【課題】個々の光学要素が理想的に位置決めされていない場合にも、測定エラーを回避でき、更に、基準反射器を軸にして測定光束を旋回できる光学式距離測定機器を提供する。
【解決手段】光源により発光された光束は、基準反射器の中心を軸にして旋回自在である。光源から届く光束を、光束分割要素を介して少なくとも一つの測定光束と基準光束に分割する。少なくとも一つの測定光束は、測定反射器の方向に進み、そして基準光束が、少なくとも一つの測定光束に対して同一線上を基準反射器の方向に進む。測定反射器により測定光束の逆反射が、そして基準反射器により基準光束の逆反射が、光束結合ユニットの方向に行われ、その時に少なくとも一つの測定光束が、測定反射器での反射の前後で基準反射器に対して対称に延伸する。光束結合ユニットが測定光束と基準光束を干渉させる。検知ユニットを介して、距離に関係する干渉信号を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式距離測定機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当該形式の距離測定機器は、空間内において位置固定されたポイントと移動するポイントの間の距離を、一般的には干渉計方式による距離測定を介して高精密で特定するために使用される。このとき一般的に、空間内で移動するポイントに測定反射器が関連配設されており、それに光学式距離測定機器からの光束を追随させる。以上のようにして得られた距離情報を介して、例えば別の空間角度情報および/または距離情報と結びつけ、空間内における移動ポイントの位置、ないしは空間内における測定反射器の位置を特定することができる。
【0003】
一つの光学式距離測定機器が特許文献1で公知である。これには光源の他に、測定反射器、基準反射器、光束分割要素、検知ユニットを備えた干渉計ユニットが含まれている。光束分割要素を介して、光源から届く光束を測定光束と基準光束に分割する。測定光束が、まず基準反射器の方向に進み、そこから測定反射器の方向に反射されて、測定反射器により再び光束分割要素の方向に逆反射される。その光束分割要素から測定光束が、距離に関係する干渉信号を検出できる検知ユニットの方向に基準光束に対して同一線上で進む。この機器では測定光束も基準光束も、基準反射器を軸にして旋回自在で配設されている。これは、特に光源および種々の干渉計構成部品を含み適切に構成された旋回ユニットを介して確保される。ボールを軸にして旋回すると共に平行光線となっている基準光束用の基準反射器は、基準光束と共に旋回し集束するレンズと接続して、位置固定されて反射するボールにより実現される。平行光線となっている基準光束はレンズを介して、反射するボールの表面または中心に集束される。この距離測定機器を使うことにより、静止している基準反射器と空間内で移動する測定反射器間の距離を、干渉計方式により特定することができる。追随ユニットを介して測定光束を測定反射器に追随させるので、以上のような形式と方法により連続的な距離測定が、つまり測定反射器が空間内で移動する時も可能である。
【0004】
特許文献1による公知の解決手段では、これが比較的汚染に敏感であることが欠点として挙げられる。これが当て嵌まるのは特に、光源により発光された光束が金属の球状基準反射器の表面で集束してそこから反射されるというケースである。場合による基準反射器上の汚染が、生成された干渉信号を著しく損なう。更に、旋回ユニットが理想的な位置に対して接線方向またはラジアル方向にずれて配設されていると、信号修正に関して測定エラーおよび損傷の原因となる。よって、このような問題を回避する必要がある時には、旋回ユニットのガイドメカニズム精度に厳しい要求が生じる。
【0005】
別の光学式距離測定機器が特許文献2で公知である。ここでも、球状測定反射器と静止している球状基準反射器間で、干渉計方式による距離測定を意図している。測定光束も基準光束も、基準反射器を軸にして同じく旋回自在で配設されている。そのために設けられた旋回ユニットには、種々の光束をガイドするために方向転換プリズムおよび光束分割器のような種々の光学要素を含んでいる。光源は旋回ユニットの外側に位置している。この光学式距離測定機器での欠点は、旋回ユニットにある種々の光学要素を高精密に、従って工数をかけて位置決めすることが必要なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP0919830B1号公報
【特許文献2】JP7−120213A号公報
【特許文献3】WO2009/065463A1号公報
【特許文献4】EP481356B1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、個々の光学要素が理想的に位置決めされていない場合にも、測定エラーを回避できる光学式距離測定機器を得ることである。更に距離測定機器で、特に基準反射器を軸にして測定光束を旋回するためのガイドメカニズムで、出来るだけ簡単な構造が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を本発明に従って、請求項1の特徴を有する光学式距離測定機器により解決する。
本発明による光学式距離測定機器で利点がある実施方法は、従属請求項に記載の方策から得られる。
【0009】
本発明による光学式距離測定機器は、光源および、測定反射器、位置固定して配設された基準反射器、光束分割要素、光束結合ユニット、および検知ユニットを備えた干渉計ユニットで構成されている。光源により発光された光束は、基準反射器の中心を軸にして旋回自在である。光源から届く光束を、光束分割要素を介して少なくとも一つの測定光束と基準光束に分割する。少なくとも一つの測定光束は、測定反射器の方向に進み、そして基準光束が、少なくとも一つの測定光束に対して同一線上で基準反射器の方向に進む。測定反射器により測定光束の逆反射が、そして基準反射器により基準光束の逆反射が、光束結合ユニットの方向に行われる。その時に少なくとも一つの測定光束が、測定反射器での反射の前後で基準反射器に対して対称に延伸する。光束結合ユニットが、少なくとも一つの測定光束と基準光束を干渉させる。検知ユニットを介して、距離に関係する干渉信号を検出することができる。
【0010】
利点ある実施形態においては、光束結合ユニットに一つ又は複数の光学要素を含んでいることがあり、それに入射する少なくとも一つの測定光束およびそれに入射する基準光束間のズレを等化して、これらを、同一線上で重ね合わされており互いに位相がずれた干渉信号を有する複数の測定・基準光束ペアを検知ユニットにより発生できるように、同一線上で重ね合わせる。
【0011】
少なくとも一つの測定光束が、測定反射器での逆反射の前後に、光源から入射する光束の入射方向に対して平行且つ基準反射器の中心をとおって延伸する逆反射の対称軸に関して、軸対称で延伸するようにすることがある。
【0012】
光学式距離測定機器が、位置固定された基準反射器の中心を軸にして旋回自在の旋回ユニットを有しており、その中に少なくとも光束結合ユニットと検知ユニットおよび、光源または光ファイバの出口側端部のいずれかが配設されており、それにより光源により発光された光束が基準反射器を軸にして旋回自在であると利点がある。更に光学式距離測定機器に追随ユニットを含んでおり、それが旋回ユニットを測定反射器に追随させると共に、そのために測定反射器に関して少なくとも一つの測定光束の実際の向きを検出できる追随検知手段を有していると利点がある。
【0013】
同じく、評価ユニットを設けることがあり、それが、検知ユニットを介して検出された干渉信号から、基準反射器の中心と測定反射器の中心間の距離を求める。
別の実施形態では基準反射器が球状で構成されているので、それに入射する基準光束の少なくとも一部が、反射するように構成されたボール内面に集束され、そこから基準光束の逆反射が、光束結合ユニット方向に行われる。基準反射器は透明なボールで出来ており、ボール材料が屈折率n=2を有するか、さもなくば基準反射器が、異なった屈折率および曲率を有する複数の球状皿で出来ている。
【0014】
更に、光源により発光された光束が、基準反射器の直径より大きい光束断面を有しており、そして基準反射器が光源により発光された光束の光路において、入射する光束を測定光束と基準光束に分割する形状的な光束分割器として配設されていることにより、基準反射器が光束分割要素として機能することがある。
【0015】
以上の形式の変形例においては、基準光束が基準反射器により、光束結合ユニットの方向に逆反射され、そして測定光束が、基準反射器に対して円対称で測定反射器の方向に進み、光束結合ユニットの方向に戻る。
【0016】
更に、光束分割ユニットに少なくとも一つの格子を含んでいることがあり、そこから出た0次回折次数に回折された部分光束が、
−測定反射器の方向に進む測定光束として機能し、そして格子により別の回折次数に回折された部分光束が、基準反射器の方向に進む基準光束として機能するか、または
−基準反射器の方向の進む基準光束として機能し、そして格子により別の回折次数に回折された部分光束が、測定反射器の方向に進む測定光束として機能するか
のいずれかである。
【0017】
更に別の変形例では、光束分割要素に少なくとも一つの偏光光束分割要素を含んでおり、それから出た透過部分光束が、
−測定反射器の方向に進む測定光束として機能し、そして光束分割要素により反射され測定光束に対して直角に向いた偏光特性を有する部分光束が、基準反射器の方向に進む基準光束として機能する、または
−基準反射器の方向に進む基準光束として機能し、そして光束分割要素により反射され基準光束に対して直角に向いた偏光特性を有する部分光束が、測定反射器の方向に進む測定光束として機能する
のいずれかである。
【0018】
このとき、光束結合ユニットに少なくとも一つの第一格子を含むようにすることがあり、それを介して、それに入射する平行にずれた測定光束と基準光束を一つの場所で重ね合わせ、そして少なくとも一つの第二格子を介して、測定光束と基準光束を同一線上で重ね合わせる。
【0019】
更に光束結合ユニットに少なくとも一つの偏光光束分割要素を含んでいることがあり、それを介して、それに入射する平行にずれ互いに直角に偏光した測定光束と基準光束を、一つの場所で同一線上で重ね合わせる。
【0020】
結論として、光源により発光された光束の光路において基準反射器の前に、偏光光束分割要素(130.1)とλ/4プレートを含む偏光構成ユニットが配設されていることがあり、それにより
−光源から入射する直線偏光した光束が、偏光光束分割要素を損失なしで通過し、
−引き続いて、この光束がλ/4プレートを一回目の透過をし、そして
−測定反射器と基準反射器により逆反射された測定光束と基準光束が、λ/4プレートを二回目の透過をし、それにより
−測定光束と基準光束が、改めて偏光光束分割要素に当たり、それにより測定光束と基準光束が光束結合ユニットの方向に完全に反射される。
【0021】
更に、検知ユニットに少なくとも一つ格子を含むようにしていることがあり、その格子に、測定反射器と基準反射器により逆反射された測定光束と基準光束が、前配設された光学要素による屈折後に異なった入射角度で当たり、そして回折された測定光束と基準光束で構成された光束ペアが、この格子から出て少なくとも三つの異なった空間方向で、互いに位相がずれた干渉信号を生成できる検知器要素の方向に進むように、その格子が空間的に配設されている、および/またはその格子パラメータが選択されている。
【0022】
最後に、検知ユニットに一つ又は複数の偏光構成要素を含んでいることもあり、同一線上で重ね合わされ互いに直角に偏光した測定光束と基準光束から、位相がずれた複数の干渉信号を生成できるように、その偏光構成要素が配設されている、および/または構成されている。
【0023】
本発明による光学式距離測定機器の特別な利点として、これが、基準反射器を軸にして旋回自在の旋回ユニットが理想的位置から場合により接線方向でずれていることに対して鈍感であることが挙げられる。更に従来技術で公知の機器と違って、旋回ユニットが理想的位置から可能性としてラジアル方向にずれていることも信号修正において損失に至らない。これらの理由は、干渉計測定分岐光路と干渉計参照分岐光路からの光束で、異なって彎曲した又は異なった方向を向いた光波前面の集束が、それによりエラーの場合に重ね合わせが起きないことによる。よって、旋回ユニットのために明らかに簡単なガイドメカニズムを使用できるので、結果として工数のかからない全体システムとなる。
【0024】
本発明の更なる利点および詳細は、以下における添付図を使った実施例の説明から得られる。勿論、種々の異なった実施例を使って説明する個別方策を、他の方法で互いに組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1a】本発明による光学式距離測定機器の第一実施例の概略図。
【図1b】図1aにある干渉計測定分岐光路の断面外観図。
【図2】図1aにある光学式距離測定機器で一部を変えた変形例の干渉計測定分岐光路の断面外観図。
【図3】図1aにある本発明による光学式距離測定機器の実施例のための、光束分割要素と光束結合ユニットの実施形態。
【図4】図1aにある本発明による光学式距離測定機器の実施例のための、光束分割要素と光束結合ユニットの別の実施形態。
【図5a】本発明による光学式距離測定機器の第二実施例の概略図。
【図5b】図5aにある干渉計測定分岐光路の断面外観図。
【図6】本発明による光学式距離測定機器のための、光束結合ユニットと検知ユニットの概略図。
【図7】図7a〜cは、それぞれ図6にある光束結合ユニットと検知ユニットの部分外観図。
【図8】本発明による光学式距離測定機器のための、別の光束結合ユニットと検知ユニットの概略図。
【図9】図9a、9bは、それぞれ本発明による光学式距離測定機器において旋回ユニットを構成するための可能性。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
以下において本発明による光学式距離測定機器を、著しく概略化した図1aと1bの図示を使って説明することにする。
図示している本発明による光学式距離測定機器には内部に、例えばレーザ光源として構成された光源10および、測定(再帰)反射器21、位置固定して配設された基準(再帰)反射器22、光束分割要素23、光束結合ユニット24、および検知ユニット25を備えた干渉計ユニットを含んでいる。図1aにおいて破線矢印で明示しているように、光源10により発光された光束Sは、基準反射器22の中心を軸にして旋回自在である。そのために、位置固定された基準反射器22の中心を軸にして旋回自在である旋回ユニットが設けられているが、分かり易くするために図1aでは図示していない。本発明による光学式距離測定機器において可能性がある旋回ユニットの構成に関しては、後にある図9a、9bの説明を参照されたい。
【0027】
位置固定された基準反射器22は、本実施例により球状に構成されていると好ましい。そこで基準反射器の中心が、図1aで分かるようにボールの中心点と合致している。しかし基本的に基準反射器で別の実施形態、例えば三角プリズム、三角ミラー、多分割球状皿などを設けることもできる。そのとき基準反射器の中心位置は、基準反射器それぞれの実施形態に固有である。それについての詳細は、以下に続く具体的な実施例の説明から分かる。
【0028】
光束Sは干渉計ユニットの中でまず、概略的にのみ明示している光束分割要素23に達し、そこで少なくとも一つの測定光束MSと一つの基準光束RSに分割される。干渉計ユニットの中で、干渉計測定分岐光路が測定光束MSの光路に亘って、干渉計参照分岐光路が基準光束RSの光路に亘って構成される。本発明による光学式距離測定機器のこの実施形態における光束分割要素23の具体的な構成に関しては、以下に続く図3と4の説明を参照されたい。
光束分割要素23を介して分割された後に測定光束MSは、測定反射器21の方向に更に進み、そして基準光束RSは、測定光束MSに対して平行に基準反射器22の方向に進む。
【0029】
干渉計測定分岐光路を延伸する測定光束MSは、位置固定された基準反射器22の側方を通過し、空間内で移動する測定反射器21に達する。測定反射器21は、空間内で位置を可能な限り精密に検出すべき−図示していない−対象物と機械的に連結している。測定光束MSは、測定反射器21により逆反射の対称軸SAに対して軸対称で光束結合ユニット24の方向に逆反射される。ここで逆反射の対称軸SAは、図から分かるように、入射する光束Sに対して平行且つ球状基準反射器22の中心を通って延伸している。よって測定光束MSは、測定反射器21と光束結合ユニット24間の経路で、再び基準反射器22の側方を通過する。従って測定光束MSは測定反射器21での反射の前後で、干渉計測定分岐光路において基準反射器22に関して対称的に、特に逆反射の対称軸SAに対して軸対称で延伸する。図1bでは干渉計測定分岐光路にある光路の断面外観を、基準反射器に対して対称的に測定反射器21までを往復して延伸する測定光束MSと共に、基準反射器22の範囲で示している。
【0030】
干渉計参照分岐光路の中を進む基準光束RSは、対応する方向転換後に基準反射器22に当たり、これにより光束結合ユニット24の方向に逆反射される。図1aで分かるように基準光束RSは、基準反射器22により入射方向に逆反射された後に、同じく著しく概略化して明示している光束結合ユニット24に最終的に到達する。適切な光束結合ユニット24の具体的な構成に関しては、以下に続く図6と8の説明を参照されたい。
【0031】
光束結合ユニット24においては、それに向かって逆反射され平行に延伸する測定光束と基準光束MS、RSが干渉する。これは、光束結合ユニット24において測定光束MSと基準光束RSの光束ズレを調整し、これらの光束MS、RSを同一線上で重ね合わせることにより行われる。そのために光束結合ユニット24に一つまたは複数の光学要素を含んでおり、それに入射する測定光束と基準光束MS、RSの光学軸間のズレを等化すると好ましい。この目的のために例えば適切な方向転換ミラーを、光束結合ユニット24に設けていることがある。
【0032】
位相がずれた干渉信号が最終的に、適切に重ね合わせた測定光束と基準光束MS、RSから、光束結合ユニット24の後に配設された検知ユニット25を介して生成される。相対測定する干渉計ユニットの場合には、位置固定された基準反射器22と空間内で移動する測定反射器21間の距離が変化すると、位相がずれた干渉信号すべてに対して同じ位相変化が得られる。検知ユニット25を介して検出された干渉信号は、最終的に−概略的にのみ明示している−評価ユニット26に送られ、その信号から基準反射器22の中心と測定反射器21の中心間の距離を求める。よって、このような形式と方法で本発明による光学式距離測定機器を介して、空間内で測定反射器21を配置している任意のポイントまで、干渉計方式による高精密な距離測定を行うことができる。
【0033】
ここで勿論、干渉計方式による距離測定に関して非常に異なる方法が存在する;言及している相対測定に対する代替として、測定反射器の中心と基準反射器の中心間の距離の絶対特定を可能にする公知の絶対干渉計方式による測定方法を使用することもある等である。
【0034】
特に図1bの図示から分かるように、提示している例では測定光束MSが基準反射器22に関して対称的に進む。既に上記で明示したように、ここでは逆反射の対称軸SAに関して軸対称に延伸することが示されている。
【0035】
図1aと1bの実施例では光束分割要素23を介した分割後に、一つだけの測定光束MSが干渉計測定分岐光路の中を進むのに対して、これに対する代替として、適切に構成された光束分割要素を介して複数の測定光束を生成することもある。図2において、本発明による光学式距離測定機器で当該形式の変形例のための、図1aに相当する測定分岐光路の断面図を示している。図から分かるように、ここでは三つの測定光束MS’、MS”、MS”’が干渉計測定分岐光路を進む。先に説明した例と同様に、ここでも三つの測定光束MS’、MS”、MS”’のそれぞれが測定反射器での反射の前後に、基準反射器22’に関して対称的に延伸している;特に、逆反射の対称軸SAに関して先に言及した軸対称が、個別測定光束MS’、MS”、MS”’それぞれに対して同じく示されている。
【0036】
適切な基準反射器22の具体的構成に関しては、基本的に種々の可能性がある。図1aの概略図から分かるように、基準反射器22を球状で構成していることは、それに入射する基準光束RSの少なくとも一部が、反射するボール内面に集束することを意図している。それに入射する基準光束RSの逆反射が、そこから光線入射方向に、即ち、光束結合ユニット24の方向に行われる。このような球状基準反射器22の中心は、ここではボールの中心点に相当している。球状基準反射器22を選択することにより、旋回自在の光束Sの入射角が基準反射器22に対して大きく変化する時にも、測定反射器21までの長さ測定の参照ポイントが常にボールの中心点に相当し、それにより基準反射器22の中心が位置固定されていることが確保されている。
【0037】
可能性のある実施形態では本発明による機器の基準反射器22が、球状に構成されていると共に透明なボールで出来ている。ボール材料は、屈折率n=2を有している。これに関しては、公開資料“レーザ追跡装置ターゲットとしての全視野角キャッツアイリフレクタ”、高辻利之他、1999年、測定科学技術10N87を参照されたい。
【0038】
しかしながら、これに対する代替として球状の基準反射器22が、異なった屈折率と異なった曲率を有する材料製で同心配設された複数の球状皿で構成されていることもある。それを介して更に、逆反射する位相前面の球面誤差を減らすこともある。それに対しては、例えば“均質光学媒体の同心膜を使う全角球面リフレクタ”、J.P.オークレイ、応用光学第46巻第7号、2007年3月1日、1026〜1031ページを参照されたい。
【0039】
既に上記で明示しているように、これに対する代替として基準反射器を、三角ミラーまたは三角プリズムとして構成することもできる。位置固定された三角ミラーを基準反射器として使用する時には、三角ミラー先端にその中心があり、それにより位置が固定されている。
【0040】
基準反射器を、位置固定された三角プリズムとして実施することも可能である。尤もその時に注意すべきことは、その入射開口における光の屈折が条件となり、基準反射器の中心位置が、それに入射する光束の入射角と関係を有しており、それにより正確に云えば最早位置が固定されていないということである。尤も、この角度に関係することは公知であり、よって充分に近似して評価ユニットで考慮することができる。
【0041】
即ち、旋回ユニットは基本的に、当該基準反射器の中心を軸にして旋回する。基準反射器の中心は、それを適切に構成する時には位置固定されているのが好ましい;基準反射器の中心位置が角度に関係する場合には、それを評価ユニットで考慮する必要がある。
【0042】
測定反射器21も、基準反射器22の実施方法に類似して構成することができる。基本的に、測定反射器21に対してアパーチャ仕様に従って球状基準反射器の他に、例えば三角プリズムまたは三角ミラーのような別のリフレクタの種類も検討対象になる。
【0043】
次に図3を使って、光束分割要素および光束結合ユニットで可能性のある第一実施形態を説明するが、それは、図1aにある本発明による光学式距離測定機器の第一実施例と結び付けて使用できるものである。図3は、図1aによる機器で中に光束分割要素および光束結合ユニットが配設されている部分を、拡大して図示している。
【0044】
図3において左側では、光束分割要素のこの変形体の基本的な構成要素として、第一透過回折格子23.1の形態をした格子のあることが分かり、それに−図示していない−光源から来る光束Sが入射する。図から分かるように、第一透過回折格子23.1から0次回折次数で透過する部分光束が、測定光束MSとして干渉計測定分岐光路を−同じく図示していない−測定反射器の方向に進む。第一透過回折格子23.1により別の回折次数、例えば+1次回折次数に屈折された部分光束が、基準光束RSとして干渉計参照分岐光路を基準反射器22の方向に進む。+1次回折次数に回折された部分光束、即ち、基準光束RSは、そこで基準光束RSを再度回折する第三透過回折格子29に到達するので、結果となる干渉計参照分岐光路での基準光束RSとしての回折次数は、最終的に測定光束MSに対して平行に基準反射器22の方向に進む。
【0045】
第一透過回折格子23.1において−1次回折次数に屈折され参照検知器28に当たる部分光束は、距離に関係する干渉信号を生成するために直接的には利用しない。参照検知器28を介して生成された信号は例えば、光源出力に関する出力測定を行うために使用することができる。例えば本出願人による特許文献3で公知であるように、これに対する代替として更に、分光屈折率測定のための測定信号を生成することもできる。
【0046】
図3の右側部分では、第二透過回折格子24.1として構成された結合格子が、光束結合ユニットの基本構成部品として認識できる。測定反射器21と基準反射器22により逆反射された測定光束と基準光束MS、RSが、第二透過回折格子24.1に当たる。ここで干渉計参照分岐光路から来る基準光束RSは、その前に第三透過回折格子29により、それを二回目に通過する時に第二透過回折格子24.1の方向に屈折される。それにより第二透過回折格子24.1では、測定光束と基準光束MS、RSが干渉計測定分岐光路と干渉計参照分岐光路を通過した後に、再び重ね合わされて互いに干渉する。第二透過回折格子24.1を通過した後に、光束は最終的に少なくとも三つの異なった空間方向で−図示していない−検知ユニットの方向に進む。第二透過回折格子24.1を設けていることにより、利用する三つの空間方向でそれぞれ120°位相がずれており距離に関係する干渉信号が結果として得られる。
【0047】
図3で明らかなように特に好ましい実施形態では、第一透過回折格子23.1と第二透過回折格子24.1を透明なキャリア基板27の第一側面に配設するようにしており、そのときキャリア基板27の第一側面は、光源および検知ユニットに向いている。キャリア基板27で反対側の第二側面には、第三透過回折格子29が配設されており、それを、基準光束RSが第二透過回折格子24.1に当たる前に基準反射器22への往復路で通過する。従って、基本的な機能部品として格子が光束分割要素の側にも光束結合ユニットの側にも設けられている時に、特にこのような形式の構成が出てくる。
【0048】
図3で図示している実施形態では更に、基準反射器22を介した逆反射の時に基準光束RSの位相フロントが受ける球面誤差を補償するようにしている。この目的のために第三透過回折格子29には、屈折機能の他に更に追加して光波前面補正機能を内蔵している。これは一般的に適切な回折構造として、好ましくはブレーズ構造の形態で第三透過回折格子29を構成することを介して実現する。当該形式の構造では、格子線が一般的に直線ではなく彎曲して構成されている。
【0049】
図4は、図1aにある本発明による光学式距離測定機器の実施例のための、光束分割要素および光束結合ユニットで可能性のある第二実施例を示している。図4でも同じく、図1aによる機器で光束分割要素230と光束結合ユニット240が配設されている部分のみを、拡大して図示している。
【0050】
図4では左側に光束分割要素230の構成部品として、ここでは第一偏光光束分割ミラー230.1を示しており、それに−同じく図示していない−光源から来る光束Sが入射し、それが好ましくは直線偏光されている。第一偏光光束分割ミラー230.1により屈折されないで透過する直線偏光された部分光束は、測定光束MSとして干渉計測定分岐光路を−図示していない−測定反射器の方向に進む。第一光束分割ミラー230.1により図4で右方に反射された直線偏光の部分光束は、測定光束MSに対して直角に偏光されており、基準光束RSとして干渉計参照分岐光路を基準反射器22の方向に進む。この時にこの部分光束の偏光特性は、λ/2プレート291を介して90°回転されるので、測定光束MSと基準光束RSは、再び同じ偏光方向を有している。引き続いて基準光束RSは、まず方向転換ミラー290.1を介してまず90°屈折され、そして光束結合ユニット240にある第三偏光光束分割ミラー290.2に当たり、それを損失なしで通過する。そして第三偏光光束分割ミラー290.2により屈折されないで透過する部分光束は基準光束RSとして、測定光束MSに対して平行に干渉計参照分岐光路を基準反射器22の方向に延伸する。基準反射器での逆反射およびλ/4プレート292の二回通過の後に、基準光束RSの偏光特性は再び90°回転されている。よって基準光束RSは、第三偏光光束分割ミラー290.2により損失なしで反射され、それにより第二偏光光束分割ミラー240.1の方向に方向転換される。従って光束分割要素230のこの変形例では、ここで偏光光束分割ミラー230.1として構成されている少なくとも一つの偏光光束分割器が、機能的に重要な構成部品として機能する。
【0051】
図4の右側部分では光束結合ユニット240の別の構成部品として、第二偏光光束分割ミラー240.1を図示している。第二偏光光束分割ミラー240.1には、測定反射器と基準反射器22により逆反射された測定光束と基準光束MS、RSが当たり、引き続いて同一線上で重なり合って−図示していない−検知ユニットの方向に進む。測定光束MSと基準光束RSは、第二偏光光束分割ミラー240.1で当たる前に互いに直角に偏光されているので、この光束の重なり合いは損失なしで行われる。よって第二偏光光束分割ミラー240.1では測定光束MSと基準光束RSが、干渉計測定分岐光路と干渉計参照分岐光路を通過した後に、再び同一線上で重なり合いないし干渉することになる。即ち、図4による光束結合ユニットの変形例では、ここで偏光光束分割ミラー240.1として構成されている少なくとも一つの偏光光束分割器が、機能的に重要な構成部品として使用されている。
【実施例2】
【0052】
本発明による光学式距離測定機器の第二実施例を、以下において図5aと5bを使って説明する。ここでは基本的に、最初に説明した実施例との主な違いのみを取り扱う。
ここで本発明による光学式距離測定機器のこの実施例にとって重要なことは、光源110により発光された光束Sが、基準反射器122の直径より大きい光束断面を有していることである。よって、このような寸法にした光束断面を有する光束Sが、基準反射器122を照射する。光源110と基準反射器122間にある偏光構成ユニット130の光学的機能に対しては、以下の説明の中で更に詳細に取り扱うことにする。この実施例では基準反射器122は従って、光源110により発光された光束Sの光路において、光束分割要素としての役割を果たしている。ここでは特に、基準反射器122が形状的な光束分割器として機能しており、それを介して、それに入射する光束Sを測定光束MSと基準光束RSに分割する。図5aから分かるように、この場合には基準光束RSが、入射方向ないし光束結合ユニット124の方向に逆反射される。入射する光束Sで基準反射器122により逆反射されない部分が、基準反射器22を円対称で取り囲んで、測定光束MSとして測定反射器121の方向に進み、そこから光束結合ユニット124の方向に戻る。図5bは図1bに類似して、基準反射器122の範囲にある干渉計測定分岐光路の断面外観を示している。この図示において明らかに、基準反射器122に関して測定光束MSが同じく対称的に、特に円対称で進むことが分かる。従って、この実施例でも測定光束MSが、基準反射器122に関して対称に、特に逆反射の対称軸SAに対して同じく軸対称に延伸している。
【0053】
この実施例でも光束結合ユニット124を介して、一定のズレを有してそれに入射する測定光束と基準光束MS、RSが同一線上で重ね合わされ、後に配設された検知ユニット125を介して、距離に関係しており位相のずれた多数の干渉信号が生成される。以上により生成された干渉信号を、後に配設された評価ユニット126が更に処理する。
【0054】
この実施例では形状的な光束分割器としても追加的に機能する基準反射器122をここで、上記で検討した第一実施例のように構成することもできる。即ち、屈折率n=2を有する透明ボールとして実施することも、異なった材料と曲率を有する多数の同心皿の配設する形態で実施することも可能である。更にアパーチャ要求に従って、場合により基準反射器122を三角ミラーまたは三角プリズムとして構成することもできる。
【0055】
光源110により発光された又は場合により拡大されたd=6mmの代表的な光束Sでは、球状に構成された基準反射器122が、具体的な実施例においてdRR=2mmの直径dRRを有している。
【0056】
光源110と基準反射器122の間に配設された偏光構成ユニット130には、内部に偏光光束分割要素130.1とλ/4プレート130.2を含んでいる。光源110から入射する光束Sは直線偏光特性を有しており、最初の透過時に屈折されず損失なしで通過する。そして、後続して配設されたλ/4プレート130.2を二回透過することにより、直線偏光の光束Sないし逆反射された測定光束と基準光束MS、RSは、偏光方向が90°回転される。以上のようにλ/4プレートにより偏光方向を修正された測定光束と基準光束MS、RSは、最終的に偏光光束分割要素130.1に二回目に当たった時に光束結合ユニット124の方向に、完全且つ損失なしで反射ないし方向転換される。従って光束分割する基準反射器122を使うこの例では、偏光構成ユニット130を介して確実に、光源110の方向に逆に進む測定光束と基準光束MS、RSが、入射する光束Sから分離ないし切り離されて光束結合ユニット124の方向に方向転換される。光束結合ユニット124に当たる時には、測定光束MSと基準光束RSがそれぞれ同じ偏光特性を有している。
【0057】
偏光構成ユニット130を備えた図示の利点ある変形例に対する代替として、この目的のために別の光束分割要素、例えば偏りのない非偏光光束分割要素を、光路のこの位置で使用することも基本的にできるであろう。この場合には、先に説明した例で設けられるλ/4プレートがなくなることになる。
【0058】
以下においては図6、7a〜7cないし8を使って、本発明による光学式距離測定機器用に光束結合ユニットおよび検知ユニットを具体的に構成する別の可能性を説明する。
本発明による機器では光束結合ユニットを介して、それに入射する測定光束と基準光束の光束ズレが修正されて、これら光束の同一線上の重なり合いとなることが基本的に確保される。それにより後続配設された検知ユニットで、位相のずれた周期的な干渉信号の生成が可能であり、運動方向の認識も干渉信号の信号周期内での位置挿入もできる。このことを本発明による機器では、検知ユニットの前で測定光束と基準光束を方向コード化または偏光特性コード化することを介して保証することができる;これらの混合形態も基本的に実施可能である。選択したコード化原理に従って、光束結合ユニットと検知ユニットを互いで適切に合わせる。
【0059】
方向コード化を行っている場合には、光束結合ユニットの重なり合い場所において測定光束と基準光束が種々の入射角で当たる。このことを後続配設された検知ユニットにおいて、位相がずれた干渉信号を生成するために利用することができる。そのために、例えば適切な格子ないし格子配設を使用することがある。それに対して偏光特性コード化の場合には、測定光束と基準光束が光束結合ユニットを介した同一線上の重ね合わせの後に、互いに直角を向いた偏光方向を有していることが確保される。後に配設された検知ユニットでは偏光構成要素を使って、これらの異なった偏光方向を適切に重ね合わせることにより、位相がずれた干渉信号を生成する。
【0060】
適切な光束結合ユニットと検知ユニットのこのような変形例は、本発明による光学式距離測定機器の第一実施例とも第二実施例とも接続して使用することができる。
方向コード化原理をベースにする光束結合ユニット224と検知ユニット225を構成するための第一変形例を、図6で概略的に図示している;図7a〜7cは、図6による種々の断面外観図を示している。
【0061】
図6で示す変形例によれば、光束結合ユニット224に透明なキャリア基板224.3を含んでおり、その上側と下側に異なった透過回折格子224.1、224.2a、224.2bが配設されている。図7aからも分かるように、入射する測定光束と基準光束MS、RSに対向するキャリア基板224.3の側で、入射する基準光束RSの範囲に第一透過回折格子224.1が配設されている。キャリア基板224.3上で、第一透過回折格子224.1を取り囲むと共に逆反射された測定光束MSが入射する窓状範囲224.4には、光学的に作用する要素が設けられていない。第一透過回折格子224.1を介して、入射する基準光束RSが少なくとも二つの部分光束に分光され、それがキャリア基板224.3の下側にある二つの第二透過回折格子224.2a、224.2bの方向に進む。キャリア基板224.3の上側にある窓状範囲224.4を屈折されずに通過する測定光束MSは、キャリア基板224.3の下側にある二つの第二透過回折格子224.2a、224.2bに到達して、基準光束RSの分割された部分光束と重なり合う。最終的に光束は、第二透過回折格子224.2a、224.2bの範囲にある重なり合い場所から、少なくとも三つの異なった空間方向で、検知ユニット225の方向に進む。検知ユニット225には、入口側でレンズ225.1を含んでおり、それが三つの異なった空間方向から入射する部分光束を、三つの検知器要素225.2a、225.2b、225.2cに結像ないし集束し、最終的に三つの好ましくは120°位相がずれていると共に距離に関係する干渉信号を検出できる。
【0062】
方向コード化をベースにしたこの変形例では第二透過回折格子224.2a、224.2bが、光束結合ユニット224の構成部品でもあり検知ユニット225の構成部品でもある。このことは一方で、透過回折格子224.2a、224.2bが、光束結合ユニット224の部分として測定光束と基準光束の光束ズレを等化し、これらを有効0次回折次数に同一線上で重ね合わせることに理由がある。他方で透過回折格子224.2a、224.2bは、二つの有効1次回折次数を有する検知ユニット225の部分として、有効0次回折次数に対向して位相がずれた干渉信号を有する測定光束と基準光束MS、RSの別のペアを生成する。
【0063】
第一透過回折格子224.1および二つの第二透過回折格子224.2a、224.2bは、120°位相がずれた干渉信号を望みどおりに生成することを保証するために、異なって構成されている。それで第一透過回折格子224.1は、180°の位相深度および0.5のライン/スリット比を有している。それにより0次回折次数を抑えることが保証されるので、それに入射する基準光束RSの分割が、好ましくは±1次の回折次数で行われる。二つの第二透過回折格子224.2a、224.2bは、それぞれ約127°の位相深度および約0.36のライン/スリット比を有している。これらの透過回折格子224.2a、224.2bは、それに入射する光束を0次および±1次回折次数に分割することに作用し、それを介して分割された回折次数は120°の相対位相位置を有している。二つの透過回折格子224.2a、224.2bは、キャリア基板224.3の下側で互いに120°の相対位相位置に相当する一定のズレ間隔で配設されている。
【0064】
このように種々の透過回折格子224.1、224.2a、224.2bを構成し配設することを介して、検知ユニット225の検知器要素225.2a〜225.2cを介して検出されると共に距離に関係する三つの干渉信号で希望するそれぞれ120°の位相差を設定することができる。
【0065】
キャリア基板224.3の下側外観を示している図7bから分かるように、キャリア基板224.3の下側には第二透過回折格子224.2a、224.2bの付いた範囲に隣接して、更に第三透過回折格子224.5が構成されている。そのとき第三透過回折格子224.5の格子構造は、第二透過回折格子224.2a、224.2bの格子構造に対して90°回転して構成されている。このような形式と方法により、それに入射する光束が、第二透過回折格子224.2a、224.2bによる屈折作用に対して直角に向いた屈折作用を受ける。第三透過回折格子224.5を介して屈折された部分光束は検知ユニット225において、距離に関係する干渉信号を検出するために設けられた三つの検知器要素225.2a〜225.2cに対して直角に配設されている図7cに図示の二つの検知器要素225.3a、225.3bに当たる。既に上記で示したように、追加された検知器要素225.3a、225.3bを介することにより、例えば本出願人による特許文献3で公知であるように、例えば屈折率を分光により特定するための測定信号を生成することができる。
【0066】
図7bで分かるように、光束結合ユニット224のキャリア要素224.3の下側に構成された第二透過回折格子224.2a、224.2bがそこで占めているのは、限られた円形状の範囲のみである。この範囲は、それにそれぞれ入射する測定光束MSの光束断面より小さく、それに入射する基準光束MSの光束断面より大きく選択すると好ましい。このような形式と方法により、第二透過回折格子224.2a、224.2bの付いた範囲は、それに入射する測定光束MS用の絞りのように光学的に作用する。よって、逆反射された測定光束MSで場合により発生する光束ズレが、この格子224.2a、224.2bの面において作用しない。その光束ズレは、例えば測定反射器の位置決めで欠陥がある時に発生するすることがあり、そうでなければ場合により距離測定に関して欠陥ある信号を引き起こし兼ねないものである。
【0067】
偏光特性コード化をベースにして光束結合ユニット324と検知ユニット325を構成するための第二変形例を、図8で概略的に図示している。この光束結合ユニット324と検知ユニット325の実施形態は、図5の本発明による装置の実施形態で特に利点を有して使用することができる。
【0068】
検知ユニット325は更に、図4にある機器と組み合わせると特に利点のあるものとすることが出来る。この場合には図4にある光束結合ユニット240が光束結合器24の意味での光束結合を引き受けるので、図8にある光束結合ユニット324を必要としない。よって、λ/4プレート292を二回透過することにより、測定光束と基準光束の偏光特性コード化が既に保証されている。
【0069】
図8の例の光束結合ユニット324には、λ/2プレート324.1、二つの方向転換ミラー324.2a、324.2b、および二つの第一偏光光束分割要素324.3a、324.3bを含んでいる。図示の例でλ/2プレート324.1は、光束結合ユニット324に入射する基準光束RSの光路に配設されている。そのときの配設は、λ/2プレート324.1が直線偏光された基準光束RSの偏光方向に対して45°の角度に向くようになっている。それにより、基準光束RSの偏光方向はλ/2プレート324.1を介して、元来同じ偏光方向で入射する測定光束MSの偏光方向に対して直角に向けられる。このように自己の偏光方向を修正された基準光束RSは、引き続き第一偏光光束分割要素324.3a、324.3bに当たる。同じくこの第一偏光光束分割要素324.3a、324.3bに、方向転換ミラー324.2a、324.2bを介して方向転換された測定光束MSが当たる。第一偏光光束分割要素324.3a、324.3bの位置では、測定光束MSと基準光束RSの偏光方向が直角に向いていることにより、測定光束MSが損失なしで方向転換され、基準光束RSは損失なしで透過する。このような形式と方法により測定光束と基準光束MS、RSが、同一線上で重ね合わされて検知ユニット325の方向に進むことが保証される。
【0070】
示唆しておきたいことは、図8の例と違って測定光束と基準光束MS、RSが、入れ替わって光束結合ユニット324に入射することも基本的にあり得ることである。従って、その場合にはλ/2プレート324.1を介して測定光束MSの偏光方向が、基準光束RSの偏光方向に対して90°回転されるであろう。重要であるのは、第一偏光光束分割要素324.3a、324.3bの前に測定光束と基準光束の偏光方向が、互いに90°回転されることである。
【0071】
先に説明した光束結合ユニットの実施例に類似してここでも更に、入射する測定光束と基準光束用に円形状の絞りを入口側に配設していることがあり、それにより、逆反射された測定光束または基準光束MS、RSで場合により発生する光束ズレを排除する。
【0072】
既に上記で明らかなように検知ユニットが、光束結合ユニットを介して同一線上で重ね合わされ偏光特性コード化された測定光束と基準光束から、位相のずれた干渉信号を生成して、これを検知する。対応して構成された検知ユニットを介して120°位相がずれた三つの干渉信号を生成する方法は、例えば本出願人の特許文献4に記載されている。これに対する代替として、互いに90°位相がずれた四つの干渉信号を生成する検知ユニットの変形例を、以下において図8を使って説明する。
【0073】
図8で図示している実施例の検知ユニット325には、偏光中立の光束分割要素325.1、λ/4プレート325.3、第二および第三偏光光束分割要素325.2a、325.2b、そして四つの検知器要素325.4a、325.4b、325.4c、325.4dを含んでいる。まず偏光中立の光束分割要素325.1を介して、同一線上で重ね合わされて入射する測定光束と基準光束MS、RSが、同一線上で重ね合わされた二対の測定光束と基準光束MS、RSに分割される。重ね合わされた測定光束と基準光束MS、RSで偏光中立の光束分割要素325.1を透過した第一ペアは、第一偏光光束分割要素325.2bの方向に進む。測定光束と基準光束MS、RSに含まれる種々の偏光状態が第一偏光光束分割要素325.2bを介して、第一偏光光束分割要素325.2bの偏光軸への投影に相当して反射されて透過される。当該光束ペアは透過と反射により、検知器要素325.4dと325.4cに送られ、そこでは継続処理のために180°位相がずれており距離に関係する干渉信号が出ている。重ね合わされた測定光束と基準光束MS、RSで、偏光中立の光束分割要素325.1により反射ないし方向転換された第二ペアは、引き続きλ/4プレート325.3を通過し、それにより、本来それぞれ直線偏光されている測定光束と基準光束MS、RSが、対向して円状偏光された測定光束と基準光束MS、RSに変換される。以上のように偏光特性を修正された測定光束と基準光束MS、RSは引き続いて、第二偏光光束分割要素325.2aに当たる。その第二偏光光束分割要素325.2aを介して、測定光束と基準光束MS、RSに含まれる種々の偏光状態が、第二偏光光束分割要素325.2aの偏光軸への投影に相当して分割され、そして互いに直角に向いた直線偏光を有する当該光束は、透過と反射により検知器要素325.4aと325.4bに送られる。そして二つの検知器要素325.4aと325.4bには同じく、180°互いに位相がずれており距離に関係する干渉信号が出ている。二つの偏光光束分割要素325.2a、325.2bの配設を選択するに当たっては、検知器要素325.4aと325.4bにおける干渉信号の位相状態が、検知器要素325.4cと325.4dにおける干渉信号の位相状態に対してそれぞれ90°ずれているようにする。従って更に処理するために検知ユニット325の出口では、それぞれ90°位相がずれており距離に関係する四つの干渉信号が出ている。
【0074】
適切な光束結合ユニットと検知ユニットの実施例についての前記説明によれば、これらには選択したコード化形式に従って特定される重要な構成部品を含んでいる。図6、7a〜7cの例による方向コード化の場合に光束結合ユニットの場合で対象になるのは、それに入射する光束に対して特定の屈折作用を有する一つ又は複数の適切に構成された格子である;この格子を介することによって確実に測定光束と基準光束が、重なり合う場所で異なった入射方向を有し、そして光束結合ユニットの後で少なくとも一つの有効回折次数に同一線上で重ね合わされる。図4または図8の例による偏光特性コード化では、一つ又は複数の偏光光束分割要素が光束結合ユニットの重要な構成部品を示している。これを介することにより確実に測定光束と基準光束が、同一線上で重ね合わされて、光束結合ユニットの後で互いに直角を向く偏光方向を有する。
【0075】
検知ユニットの側では、方向コード化の場合に位相がずれている干渉信号を生成するために、一つ又は複数の適切に構成された格子を使用できると好ましいことがある。そのために例えば、互いに一定の相対的なズレと格子パラメータを有する多数の格子を利用することがあり、その格子に、光束結合ユニットから異なった空間方向で入射する測定光束と基準光束が当たる。適切に設定すべき格子パラメータは、ここでは例えば格子線高さまたは格子線幅等である。これに対する代替であり偏光特性コード化の場合に好ましいのは、適切な検知ユニットに非常に異なった偏光構成要素、例えば一つまたは複数の偏光器、偏光光束分割要素などを含んでいることである。光束結合ユニットにより同一線上で重ね合わせられた基準光束と測定光束のペアを、位相がずれた干渉信号用に検知ユニットで当該検知器要素に振り当てられる基準光束と測定光束のペアに分割することは、ここでは多様な格子により行う;そのために検討対象になるのは、例えば格子、偏光中立の光束分割要素または偏光光束分割要素である。
【0076】
既に上記で言及したように本発明による光学式距離測定機器では、光源により発光された光束が位置固定された基準反射器の中心を軸に旋回自在であるようにしている。以下において図9aと9bを使い、当該形式の旋回ユニットを構成するための二つの変形例を説明する。
【0077】
本発明による光学式距離測定機器で図9aに概略図示している変形例は、既に図5aと5bを使って上記で説明した第二実施例の光路をベースにしている。この変形例では、光源410、偏光構成ユニット430、光束結合ユニット424、および検知ユニット425を旋回ユニット450に配設するようにしている。旋回ユニット450は、図9aで矢印を介して明示しているように、位置固定された基準反射器422の中心を軸にして旋回自在である。このような形式と方法により干渉計測定分岐光路は、干渉計方式による距離測定のために空間内で可動の測定反射器に追随させることができる。
【0078】
同じく図5a、5bの第二実施例による光路に基づく本発明による光学式距離測定機器の代替変形例を、図9bで概略図示している。ここでは光源510を旋回ユニット550の外側に配設して、これに光源510の光束を光ファイバ511を介して送るようにしている、即ち、旋回ユニットの中で光源510の側には、光ファイバ511の出口側端部のみが配設されている。光ファイバ511の出口側端部の前には旋回ユニット550の中で、干渉計ユニット用に平行光線となった光束を用意するために、コリメータ光学系512が配設されている。旋回ユニット550の中には更に、偏光構成ユニット530および光束結合ユニット524と検知ユニット525が配設されている。この場合にも旋回ユニット550は、−図において矢印で明示しているように−位置固定された基準反射器522の中心を軸に旋回自在であるので、光源により発光された光束が基準反射器522を軸に旋回自在であることが確保されている。
【0079】
最後に示唆しておきたいことは、本発明による光学式距離測定機器には更に追随ユニットを含んでおり、測定反射器が空間内を移動する時に、基準反射器の中心を軸にして旋回自在である光束を基準反射器に追随させることである。そのために追随検知手段を介して、測定反射器に関して測定光束の実際の向きを特性付ける適切な追随信号を発生せねばならない。
【0080】
そのためには例えば、測定光路の中で光束分割器を介して、測定反射器に当たった後に測定光束の一部を切り離し、関連配設されて位置検出するフラットな検知器要素を介して光束位置、それにより理想的に較正された測定反射器の位置からの偏差を検出することがある。代替として、測定反射器が移動したことに関する方向情報を、干渉計ユニットの測定分岐光路で光束を制限する絞りに測定反射器に向けて配設されている多数の検知器要素を介して得ることがある。
【0081】
そして、以上のようにして生成された追随信号を使い適切な制御を介して、設けられている旋回ユニットを対応して位置決めすることにより、測定光束を測定反射器に追随させる。
【0082】
測定光束を追随するためのこれらの変形例の他に、勿論、このための別の公知方法を使用することもできる。
【符号の説明】
【0083】
10 光源
21 測定反射器
22 基準反射器
23 光束分割要素
23.1 第一透過回折格子
24 光束結合ユニット
24.1 第二透過回折格子
25 検知ユニット
26 評価ユニット
28 参照検知器
29 第三透過回折格子
110 光源
121 測定反射器
122 基準反射器
124 光束結合ユニット
125 検知ユニット
126 評価ユニット
130 偏光構成ユニット
130.1 偏光光束分割要素
130.2 λ/4プレート
224 光束結合ユニット
224.1 透過回折格子
224.2 透過回折格子
224.3 キャリア基板
224.4 窓状範囲
224.5 透過回折格子
225 検知ユニット
225.1 レンズ
225.2 検知器要素
225.3 検知器要素
230 光束分割要素
230.1 第一偏光光束分割ミラー
240 光束結合ユニット
240.1 第二偏光光束分割ミラー
290.1 方向転換ミラー
290.2 第三偏光光束分割ミラー
291 λ/2プレート
292 λ/4プレート
324 光束結合ユニット
324.1 λ/2プレート
324.2 方向転換ミラー
324.3 偏光光束分割要素
325 検知ユニット
325.1 光束分割要素
325.2 偏光光束分割要素
325.3 λ/4プレート
325.4 検知器要素
410 光源
422 基準反射器
424 光束結合ユニット
425 検知ユニット
430 偏光構成ユニット
450 旋回ユニット
510 光源
511 光ファイバ
512 コリメータ光学系
522 基準反射器
524 光束結合ユニット
525 検知ユニット
530 偏光構成ユニット
550 旋回ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式距離測定機器であって、
光源(10;110;410;510)と、
測定反射器(21;121;421;521)、位置固定して配設された基準反射器(22;122;422;522)、光束分割要素(23;230)、光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)、および検知ユニット(25;125;225;325;425;525)を備えた干渉計ユニットと、で構成されている光学式距離測定機器において、
光源(10;110;410;510)により発光された光束(S)が、基準反射器(22;122;422;522)の中心を軸にして旋回自在であり、そして
光源(10;110;410;510)から届く光束(S)を、光束分割要素(23;230)を介して少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS”)と基準光束(RS)に分割し、そして
少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)が、測定反射器(21;121;421;521)の方向に進み、そして基準光束(RS)が、少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)に対して同一線上で基準反射器(22;122;422;522)の方向に進み、そして
測定反射器(21;121;421;521)により測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)の逆反射が、そして基準反射器(22;122;422;522)により基準光束(RS)の逆反射が、光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)の方向に行われ、その時に少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)が、測定反射器(21;121;421;521)での反射の前後で基準反射器(22;122;422;522)に関して対称に伝搬し、そして
光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)が、少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)を干渉させ、そして
検知ユニット(25;125;225;325;425;525)を介して、距離に関係する干渉信号を検出する、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式距離測定機器において、
光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)に一つ又は複数の光学要素を含んでおり、それに入射する少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)およびそれに入射する基準光束(RS)間のズレを等化して、これらを、同一線上で重ね合わせて互いに位相がずれた干渉信号を有する複数の測定光束と基準光束の対を検知ユニット(25;125;225;325;425;525)により生成できるように、同一線上で重ね合わせる、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項3】
請求項1に記載の光学式距離測定機器において、
少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)が、測定反射器(21;121;421;521)での逆反射の前後に、光源(10;110;410;510)から入射する光束(S)の入射方向に対して平行且つ基準反射器(22;122;422;522)の中心をとおって延びる逆反射の対称軸(SA;SA’)に関して、軸対称に延びている、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項4】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
位置固定された基準反射器(22;122;422;522)の中心を軸にして旋回自在の旋回ユニット(450;550)であって、その中に少なくとも光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)と検知ユニット(25;125;225;325;425;525)および、光源(10;110;410;510)または光ファイバ(511)の出口側端部のいずれかが配設されており、それにより光源(10;110;410;510)により発光された光束(S)が、基準反射器(22;122;422;522)を軸にして旋回自在である旋回ユニット、および
追随ユニットであって、それが旋回ユニット(450;550)を測定反射器(21;121;421;521)に追随させ、そのために測定反射器(21;121;421;521)に関して少なくとも一つの測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)の実際の向きを検出できる追随検知手段を含んでいる追随ユニットを有している、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項5】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
検知ユニット(25;125;225;325;425;525)を介して検出された干渉信号から、基準反射器(22;122;422;522)の中心と測定反射器(21;121;421;521)の中心間の距離を求める評価ユニット(26;260)を有している、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項6】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
基準反射器(22;122;422;522)が球状に構成されており、それに入射する基準光束(RS)の少なくとも一部が反射するように構成されたボール内面に集束され、そこから基準光束(RS)の逆反射が、光束結合ユニット(24;124;240;224;324;424;524)の方向に行われ、そして基準反射器(22;122;422;522)が、
透明なボールで出来ており、そのボール材料が屈折率n=2を有する、または
異なった屈折率および異なった曲率を有する複数の球状皿で出来ている、
のいずれかであることを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項7】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
光源(110;410;510)により発光された光束(S)が、基準反射器(122;422;522)の直径より大きい光束断面を有しており、そして
基準反射器(122;422;522)が光源(110;410;510)により発光された光束(S)の光路において、入射する光束を測定光束(MS)と基準光束(RS)に分割する形状的な光束分割器として配設されていることにより、基準反射器(122;422;522)が光束分割要素として機能する、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式距離測定機器において、
基準光束(RS)が、基準反射器(122;422;522)により、光束結合ユニット(124;424;524)の方向に逆反射され、そして
測定光束(MS)が、基準反射器(122;422;522)に対して円対称で測定反射器(121;421;521)の方向に進み、そして光束結合ユニット(124;424;524)の方向に戻る、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項9】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
光束分割要素(23)に少なくとも一つの格子(23.1)を含んでおり、それから出た0次回折次数に回折された部分光束が、
測定反射器(21)の方向に進む測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)として機能し、そして格子(23.1)により別の回折次数に回折された部分光束が、基準反射器(22)の方向に進む基準光束(RS)として機能する、または
基準反射器(22)の方向に進む基準光束(RS)として機能し、そして格子(23.1)により別の回折次数に回折された部分光束が、測定反射器(22)の方向に進む測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)として機能する
のいずれかである、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項10】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
光束分割要素(23;230)に少なくとも一つの偏光光束分割要素(230.1)を含んでおり、それから出た透過部分光束が、
測定反射器(21)の方向に進む測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)として機能し、そして光束分割要素(23;230)により反射され測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)に対して直角に向いた偏光特性を有する部分光束が、基準反射器(22)の方向に進む基準光束(RS)として機能する、または
基準反射器(22)の方向に進む基準光束(RS)として機能し、そして光束分割要素(23;230)により反射され基準光束(RS)に対して直角に向いた偏光特性を有する部分光束が、測定反射器(22)の方向に進む測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)として機能する
のいずれかである、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項11】
請求項7〜9の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
光束結合ユニット(24;124;224;424;524)に少なくとも一つの第一格子(29;224.1)を含んでおり、それを介して、それに入射する平行にずれた測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)を一つの場所で重ね合わせ、そして少なくとも一つの第二格子(24.1;224.2a;224.2b)を介して、測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)を同一線上で重ね合わせる
ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項12】
請求項10に記載の光学式距離測定機器において、
光束結合ユニット(24;240)に少なくとも一つの偏光光束分割要素(240.1)を含んでおり、それを介して、それに入射する平行にずれ互いに直角に偏光した測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)を、一つの場所で同一線上で重ね合わせる、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項13】
請求項1に記載の光学式距離測定機器において、
光源(110)により発光された光束(S)の光路において基準反射器(122)の前に、偏光光束分割要素(130.1)とλ/4プレート(130.2)を含む偏光構成ユニット(130)が配設されており、それにより
光源(110)から入射する直線偏光した光束(S)が、偏光光束分割要素(130.1)を損失なしで通過し、
引き続いて、この光束がλ/4プレート(130.2)を一回目の透過をし、そして
測定反射器(121)と基準反射器(122)により逆反射された測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)が、λ/4プレート(130.2)を二回目の透過をして、それにより
測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)が、改めて偏光光束分割要素(130.2)に当たり、それにより測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)が光束結合ユニット(124)の方向へ完全に反射される、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項14】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
検知ユニット(25;125;225;425;525)に少なくとも一つの格子(24.1;224a;224b)を含んでおり、その格子に、測定反射器(21;121;421;521)と基準反射器(22;122;422;522)により逆反射された測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)が、前配設された光学要素による屈折後に異なった入射角で当たり、そして回折された測定光束(MS;MS’)と基準光束(RS)で構成された光束のペアが、この格子(24.1;224a;224b)から出て少なくとも三つの異なった空間方向で、互いに位相がずれた干渉信号を生成できる検知要素(225a、225b、225c)の方向に進むように、その格子が空間的に配設されている、および/またはその格子パラメータが選択されている、ことを特徴とする光学式距離測定機器。
【請求項15】
請求項1〜3の少なくとも一つに記載の光学式距離測定機器において、
検知ユニット(25;125;325;425)に一つ又は複数の偏光構成要素を含んでおり、同一線上で重ね合わされ互いに直角に偏光した測定光束(MS;MS’;MS”;MS’”)と基準光束(RS)から、位相がずれた複数の干渉信号を生成出来るように、その偏光構成要素が配設されている、および/または構成されている、ことを特徴とする光学式距離測定機器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−13683(P2012−13683A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112968(P2011−112968)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(501232827)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】