説明

光学機器のファインダ装置

【課題】ファインダ視野にスーパーインポーズ表示される複数の枠のうち、選択された特定の枠と選択可能な枠を識別可能に表示できるファインダ装置を提供する。
【解決手段】光学機器のファインダ装置は第1及び第2の表示手段22、38を備える。第1の表示手段は、結像光学系2からの被写体光束の予定結像面10上に結像された被写体像に重ね合わせて、結像条件を設定するための領域を表す枠を複数表示できる。第2の表示手段は、第1の表示手段とは独立に制御可能であって、第1の表示手段による枠と略同一箇所に枠を表示できる。複数の枠の内、選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時に、第1及び第2の表示手段の何れかによる枠の表示部と、両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、ファインダ視野内に両方存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーインポーズ液晶表示装置などの、カメラ等の光学機器のファインダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次の様なファインダ装置が提案されている(特許文献1参照)。このファインダ装置は、ペンタダハプリズムとスクリーンの間に拡散型液晶表示手段を配置し、更にペンタダハプリズム近傍に配置された液晶表示手段の表示パターンを反射面を介してスクリーン上のファインダ像と重ねて観察できる構成を持つ。通常は拡散型液晶表示手段による表示を行い、カメラが合焦した場合に、拡散型液晶表示手段による表示に重なる様にペンタダハプリズムの近傍に配置された液晶表示手段による表示を行う。このことで、表示セグメントが明るく見える様にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3748472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のファインダ装置においては、スーパーインポーズ表示を達成するための主に光学的な構成に関しての記載に留まっている。これは、特にオートフォーカスの焦点検出枠の選択時における表示識別に関した改良がなされたものではなく、通常表示されている焦点検出枠を拡散型液晶(液晶による拡散で表示セグメントを表示する)により表示することを記載している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術状況に鑑み、本発明の光学機器のファインダ装置は次の特徴を有する。ファインダ装置は、第1の表示手段と第2の表示手段を備える。第1の表示手段は、結像光学系からの被写体光束の予定結像面上に結像された被写体像に重ね合わせて、結像条件を設定するための領域を表す枠を複数表示することが可能である。第2の表示手段は、第1の表示手段とは独立に制御可能であって、第1の表示手段により表示する枠と少なくとも一部重なった枠を表示することが可能である。更に、ファインダ装置は、前記複数の枠の内、選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードを採り得る。そして、該モードの時に、第1の表示手段と第2の表示手段の何れかによる枠の表示部と、第1の表示手段と第2の表示手段の両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、ファインダ視野内に両方存在する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光学機器のファインダ装置によれば、複数種類の表示手段によって、結像条件を設定するための領域を表す複数の枠のうち、選択された特定の枠と他の選択可能な枠を幾つかの態様で識別可能に同時にファインダ視野内に表示できる。例えば、カメラにおけるオートフォーカスの複数の焦点検出枠のうち、選択された特定の焦点検出枠と他の選択可能な焦点検出枠をファインダ視野内で識別して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のファインダ装置の第1実施例を含むカメラの概略構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施例を含むカメラに内蔵された電気回路の構成とファインダ視野内の構成を示す図。
【図3】本発明の第1実施例を含むカメラの動作を示すフローチャート。
【図4】本発明のファインダ装置の第1実施例の自動選択モード中の視野内の構成と任意選択モード中の視野内の構成を示す図。
【図5】本発明のファインダ装置の第1実施例の任意選択モード中における焦点検出枠選択時の視野内の構成を示す図。
【図6】本発明のファインダ装置の第2実施例を含むカメラの動作を示すフローチャート。
【図7】本発明のファインダ装置の第2実施例の任意選択モード中における顔検出モードON状態の視野内の構成と顔検出モードON状態の焦点検出枠選択時の視野内の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のファインダ装置において重要なことは、次の点である。被写体像に重複して、結像条件を設定する領域を示すファインダ装置で、特定の領域の移動指示操作が可能なモード時に、特定の領域と移動可能な領域を識別表示する為に、複数の表示手段の何れかでの表示と両方での重複表示を用いることである。選択された特定の枠と他の選択可能な枠のファインダ視野内での同時表示は、識別可能であれば、複数種類の表示手段による表示の如何なる組み合わせで行ってもよい。
【0009】
上記考え方に基づき、本発明の光学機器のファインダ装置の基本的な実施形態は、次の様な構成を有する。ファインダ装置は、液晶表示手段などの第1の表示手段と第2の表示手段を備える。第1の表示手段は、撮影レンズなどの結像光学系からの被写体光束の予定結像面上に結像された被写体像に重ね合わせて、結像条件を設定するためのオートフォーカスの焦点検出領域などの領域を表す枠を複数表示できる。第2の表示手段は、第1の表示手段とは独立に制御可能であって、第1の表示手段により表示する枠と少なくとも一部重なった枠を表示できる。ファインダ装置は、前記複数の枠の内、選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードを少なくとも採り得る。そして、該モードの時に、特定の領域と移動可能な移動先領域を識別表示する為に、第1の表示手段と第2の表示手段の何れかによる枠の表示部と、両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、ファインダ視野内に両方存在する。前記枠は、カメラにおけるオートフォーカスの焦点検出領域を表す焦点検出枠の他に、測光領域を表す測光枠などであってもよい。前記表示手段は、後述する透過型液晶表示手段や拡散型液晶表示手段などの液晶表示手段の他に、エレクトロルミネセンス(EL)素子やエレクトロクロミック素子などを用いることもできる。また、前記枠とは、或るエリアを意味し、特定の形状、大きさなどを持つ領域の意味に限定されるものではない。このファインダ装置は、結像光学系からの被写体光束を予定結像面上に結像させ、被写体像に重ね合わせて、結像条件を設定するための領域を表す枠を表示する撮像装置、被写体観察装置などの光学機器であれば、どの様なものにも適用できる。
【0010】
前記基本的な実施形態を基礎として、以下に述べる様なより具体的な実施形態が可能である。
例えば、カメラのファインダ装置が、撮影レンズからの被写体像を観察するために、撮影光束の少なくとも一部を略直角に反射させ、予定結像面に配置したフォーカシングスクリーンを備える。ここで、第1の表示手段である第1の焦点検出枠表示手段は、フォーカシングスクリーン上に結像された被写体像に重ね合わせて、オートフォーカスの焦点検出可能領域を表す焦点検出枠を表示する。第2の表示手段である第2の焦点検出枠表示手段は、第1の表示手段とは独立に制御可能で、第1の焦点検出枠表示手段により表示する複数の焦点検出枠と、略同一箇所の焦点検出枠を表示できる。そして、前記複数の焦点検出枠の内、特定の枠を移動指示する操作が可能なモードと不可能なモードを切換える焦点検出点選択モード変更手段を備え、前者のモードの時は、前述した様に、特定の枠の表示部と移動可能な枠の表示部を識別表示する。典型的には、第1の表示手段と第2の表示手段の両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、前記選択された特定の枠であり、何れかの表示手段による枠の表示部が、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠である。(後述の第1実施例参照)
【0011】
こうした構成によれば、特定の枠を移動指示する操作が不可能なモード時には、選択されている焦点検出枠のセグメントを鮮明に表示できるとともに、その他の選択が不可能な焦点検出枠は表示されない様にできる。そのため、被写体を観察する際の目障り感が少ないファインダ視野とできる。また、特定の焦点検出枠を選択するモードに応じた表示状態の切換えは、2つの表示手段による枠表示の組み合わせによりできるので、個々の表示手段内の表示セグメントごとに独立した制御ポートを設ける必要がなくなる。また更には、特定の焦点検出枠を選択するモードに応じてファインダ表示状態を異ならせられるため、焦点検出枠の選択モードが何れの状態になっているかを一目で判別可能となる。
【0012】
また、例えば、第1の表示手段は、LEDなどの照明部材からの光を透過させて発光表示像をファインダ視野内で形成するための透過型液晶表示手段で構成できる。より具体的には、この発光表示像は、ファインダ光路内に配設された物体光を透過させ表示光を反射するミラー部材に投射されて、ファインダ視野内で形成することができる。そして、第2の表示手段は、結像光学系からの被写体光束を遮ってファインダ視野内で減光表示像を形成する減光状態と、結像光学系からの被写体光束を透過させる透過状態とを採り得る拡散型液晶表示手段で構成できる(後述の第1実施例参照)。こうした構成では、移動可能な枠の表示に関しては、透過型液晶表示手段の背面に配置した照明部材からファインダ光学系へ導かれる枠の状態を表示するための光束で行うことができる。その為、例えば、撮影に際し被写体の輝度を検出するためにピント板から測光センサへ導かれる被写体像の光束とは、異なる光路によって上記枠表示用光路を構成できる。よって、撮影前に行う被写体の輝度検出に対する枠表示の影響を少なくでき、輝度検出を常時行うことが可能となる。
【0013】
また、例えば、ファインダ装置は、前記選択された特定の枠を移動指示する操作が不可能なモードを採り得、該モードの時に、前記特定の枠を第1の表示手段のみにより表示することができる。この場合、前記特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時に、前記特定の枠を第1及び第2の表示手段の両方により表示し、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠を第1の表示手段のみにより表示する。そして、前記特定の枠を移動指示する操作が不可能なモードの時の第1の表示手段の照明部材の照明輝度に対して、前記特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時の第1の表示手段の照明部材の照明輝度を低く設定する(後述の第1実施例参照)。こうした構成によれば、特定の枠を選択する操作が可能なモード時には、選択されている枠は2つの表示手段の同時表示により鮮明に表示される。また、枠移動指示部材の操作により選択移動可能な移動先の枠が第1の表示手段のみにより通常の輝度よりも薄く表示される。これによって、選択されている枠と、選択移動可能な移動先の枠がどこにあるのかをファインダ上で区別できる為、例えば、被写体と移動させたい焦点検出枠との相対位置を考慮したフレーミングが可能となる。また、焦点検出枠の選択操作性が向上する。
【0014】
また、例えば、ファインダ装置は、被写体像の中に人物の顔が存在することを検出するための顔検出手段を備え、顔検出手段により検出された顔の位置に対応する枠を前記特定の枠として選択可能な顔検出モードを採り得る(後述の第2実施例参照)。そして、顔検出モードであって、前記選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時には、次の様にできる。顔検出手段で検出された顔の位置に対応する枠を、第1及び第2の表示手段の一方により表示し、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠を他方の表示手段により表示し、前記選択された特定の枠を両方の表示手段により表示する。こうした構成によれば、例えば、任意に選択した焦点検出枠と、次に選択移動可能な移動先の焦点検出枠と、顔検出手段により検出された領域を識別できる。更に、顔検出手段により検出された顔の位置に対応する焦点検出枠を優先的に焦点検出するモードと、任意に選択した焦点検出枠を優先的に焦点検出するモードを切り替え可能とできる。よって、顔にピントを合わせたフレーミングや、人の顔をわざとぼかして任意に選択した焦点検出枠にピントを合わせたフレーミングを瞬時に切換えられる。
【0015】
(第1実施例)
本発明のファインダ装置の第1実施例を含む一眼レフカメラを説明する。図1において、1はカメラ本体、2はカメラ本体に装着された結像光学系である撮影レンズである。ここでは、便宜上、撮影レンズ2が合焦レンズ3と変倍レンズ4の2枚のレンズで構成されている様に示したが、実際は更に多くのレンズから構成される。5は主ミラーであり、ファインダ観察時に撮影光路内に斜設されて撮影レンズ2からの光束の一部を反射してファインダ系に導き、撮影時に撮影光路外に退避する。6はサブミラーであり、ファインダ観察時に、主ミラー5を透過した光束をカメラ本体1の下方へ向けて反射する。
【0016】
7はシャッター、8は撮影画像を記録するための感光部材であり、銀塩フイルム、CCDやMOS型等の固体撮像素子、若しくはビディコン等の撮像管により構成される。以下の説明では、撮像素子8が固体撮像素子であるとする。9は、撮影レンズ2の結像面近傍に配置されたフイールドレンズ9a、反射ミラー9b、9c、2次結像レンズ9e、絞り9d及び複数のCCDからなるラインセンサ9f等から成る位相差方式の焦点検出装置である。焦点検出装置9は、後述するファインダ視野内の45個の焦点検出領域に対応して、被写界の各焦点検出領域において焦点調節状態の検出を行う。ここでは、焦点検出領域が、結像条件を設定するための領域である。10は、撮影レンズ2の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーン(ピント板)である。11はコンデンサレンズで、撮影レンズ2からの光束を有効に接眼レンズ16に導く。13は、スクリーン10及びレンズ11を通過した光束の光路を折り曲げて接眼系に導くペンタダハプリズムである。コンデンサレンズ11とペンタダハプリズム12との間には、ファインダ視野領域を規定する視野マスク12が配置されている。
【0017】
ペンタダハプリズム13の射出面には、これから射出した光束の光路を変更するプリズム14、15が接着固定されている。プリズム14の面14a、14bには、例えば可視光を透過して赤外光を反射するダイクロイック特性を持つコーティングが施され、これにより後述のスーパーインポーズ表示用の赤外光が撮影者の眼球17に導かれる。プリズム15の後方には接眼レンズ16が配置され、スクリーン10に結像した被写体像の光束が、この接眼レンズ16を通って撮影者の眼球17に達し、被写体像が観察される。
【0018】
18と19は、夫々、ファインダ視野(撮影画面)内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサである。結像レンズ18は、ペンタダハプリズム13内の反射光路及びプリズム14を介して、フォーカシングスクリーン10と測光センサ19とを共役な結像関係に置く。20は、明るい被写体の中でも視認できる赤外光を発する高輝度LEDである。21は集光レンズであり、LED20と撮影者の眼球(瞳孔)17とを共役な結像関係にしてLED20からの光を効率良く観察者の眼球17へ入射させるコンデンサレンズの働きをする。22は、第1の表示手段(ここでは第1の焦点検出枠表示手段)として45個の焦点検出領域をファインダ視野内に形成するためのTN液晶表示ユニット(以下、透過型LCDともいう)である。透過型LCD22は、電界効果型のツイステッドネマティックモード(Twisted Nematic mode)を利用し、これを複数のセグメント(表示部)によりパターン化して、選択されたセグメント領域のみを光透過可能とする。セグメントは透明電極等で構成される。LED20からの光束は、集光レンズ21及び透過型LCD22の透過セグメントを通過し、第1の投光レンズ23、ミラー24及び第2の投光レンズ25を通過してプリズム14に入射する。プリズム14に入射した光は、ダイクロイック面14aで反射し、ダイクロイック面14bに達する。ここでフォーカシングスクリーン10に結像された被写体像と透過セグメントのパターンとが重なり、プリズム15及び接眼レンズ16を通して観察者の眼球17に達して観察される。
【0019】
38は、フォーカシングスクリーン10とコンデンサーレンズ11の間に配置された第2の表示手段(ここでは第2の焦点検出枠表示手段)である。第2の焦点検出枠表示手段38は、スクリーン10に結像される被写体像に、後述する45個の焦点検出領域を重ね合わせて表示する拡散型液晶表示ユニット(以下、拡散型LCDともいう)である。拡散型LCD38による表示は、拡散型液晶の表示セグメントにより被写体光を拡散するので、ファインダ接眼窓からファインダ画像を視認したときに表示セグメント部(透明電極等で構成される)が黒く表示される。27は、ファインダ視野外に、絞り値やシャッター秒時等の撮影情報を表示するためのファインダ内LCDであり、透過型LCD22と同様にTN液晶表示ユニットから構成される。このファインダ内LCD27は、照明用LED26からの光で照明され、LCD27を透過した光が三角プリズム28によりファインダ内に導かれる。これにより、撮影情報がファインダ視野外に表示され、撮影者は、設定されている撮影条件の情報を確認できる。
【0020】
29は、撮影レンズ2内に設けられた絞りであり、30は、後述する絞り制御回路109を含む絞り駆動装置である。31はレンズ駆動用モーターであり、32は駆動ギヤ等からなるレンズ駆動機構である。33はフォトカプラーであり、レンズ駆動機構32に連動するパルス板34の回転を検知して焦点調整回路110にレンズ駆動情報を伝える。焦点調整回路110は、このレンズ駆動情報と演算された合焦位置までのレンズ駆動量情報とに基づきレンズ駆動用モーター31を駆動し、合焦レンズ3を合焦位置に移動させる。35は、カメラ本体と撮影レンズ2との間の通信インターフェイスとなるマウント接点である。36は、合焦レンズ3をマニュアル操作によって駆動するためのマニュアルフォーカスリングである。撮影者が自ら焦点(ピント)調節を行う際にこのリング36を回動操作することで、合焦レンズ3を合焦位置に直接移動させられる。37は、撮像素子8により得られた画像データを表示するためのTFT液晶からなるモニター用LCDである。
【0021】
図2(a)は、上記一眼レフカメラに内蔵された電気回路の構成を示す。この図において、図1で説明した構成要素には同符号を付している。カメラ本体1には、マイクロコンピュータを構成する中央演算処理装置(以下、CPUともいう)100が内蔵されている。CPU100には、デジタル回路101、測光回路102、自動焦点検出回路103、信号入力回路104、LCD駆動回路105、LED駆動回路106、シャッター制御回路107、モーター制御回路108、絞り制御回路109及び焦点調整回路110が接続されている。CPU100に付随したEEPROM100aは、各種データを記憶する記憶機能を有する。デジタル回路101は撮像素子8を駆動し、撮像素子8からの撮像信号を読み出す撮像素子駆動回路101a、読み出した撮像信号を記憶するRAM101b、RAMに記憶された撮像信号を所定の画像データに変換する信号処理回路101c、画像データを記憶するフラッシュメモリ101dで構成される。測光回路102は、被写界の明るさに対応した測光センサ19からの輝度信号出力を増幅後、対数圧縮、A/D変換し、被写界輝度情報としてCPU100に送る。
【0022】
測光センサ19は、例えば、各焦点検出領域を包含する様にファインダ視野を63個に分割するよう設定された各測光領域に対応した63個のフォトダイオードSPC1〜SPC63から構成される。本発明のファインダ装置では、この測光領域を、焦点検出領域と同様な要領で、結像条件を設定するための領域としてファインダ視野内に表示することもできる。自動焦点検出回路103は、45個の焦点検出領域に対応した19組のラインセンサCCD−1〜CCD−19で構成されるCCDラインセンサユニット9fから得た電圧をA/D変換し、CPU100に送る。
【0023】
SW1は、不図示のレリーズボタンの第1ストローク操作(半押し)でONし、カメラの測光、焦点検出動作等を開始させるためのスイッチであり、また、SW1を一度ONすることにより、一定時間測光センサがONした状態となる。SW2は、レリーズボタンの第2ストローク操作(全押し)でONし、レリーズ動作を開始させるためのスイッチである。電子ダイヤル204は、撮影に必要な各種情報(例えば、シャッタースピード、絞り値等)を選択するためのダイヤルスイッチである。サブ電子ダイヤル205も、各種撮影モードの設定に用いられるダイヤルスイッチであり、上記電子ダイヤルの動作を補うスイッチである。
【0024】
図1(b)に示すメインスイッチ206は、カメラを作動状態とするためのメインスイッチである。SW−AF/MFは、焦点調節、すなわち撮影レンズ2のピント合わせを自動で行なうか手動(マニュアル)で行うかを選択するためのスイッチであり、本実施例では、撮影レンズ2に設けられている。図1(b)に示す焦点検出点選択スイッチ203は、任意焦点検出点選択モードと自動焦点検出点選択モードとを切り換えるためのスイッチである。任意焦点検出点選択モードでは、カメラにおいてオートフォーカスの焦点検出領域として設定されている複数の焦点検出枠のうち、撮影者自身がマニュアルで特定の焦点検出枠を選択できる。自動焦点検出点選択モードでは、カメラ内の所定のアルゴリズムにて焦点検出動作を行う領域が自動で決定される。この自動焦点検出点選択モードでは、所定のアルゴリズムによって1つ又は1まとまりの焦点検出枠で表示される焦点検出領域が自動選択される。任意焦点検出点選択モードでも、1つ又は1まとまりの特定の焦点検出枠から成る焦点検出領域が任意に選択される。
【0025】
焦点検出枠移動指示スイッチ202は、焦点検出点選択スイッチ203が任意焦点検出点選択モードであるときに、特定の焦点検出枠の移動方向を指示するためのスイッチである。SW−Tの押し操作で上方向、SW−Bの押し操作で下方向、SW−Lの押し操作で左方向、SW−Rの押し操作で右方向、SW−TLの押し操作で左上方向、SW−TRの押し操作で右上方向、SW−BLの押し操作で左下方向、SW−BRの押し操作で右下方向にそれぞれ焦点検出枠を移動できる。焦点検出枠の確定は所定タイマーの終了、又は、他のスイッチ操作にて行われる。本実施例では、移動指示スイッチ202として、専用のスイッチを設けたが、例えば、電子ダイヤル204やサブ電子ダイヤル205の操作に対して同様の機能を割り当てることは可能である。
【0026】
焦点検出点選択モード変更スイッチ207は、測光や焦点検出動作が可能なカメラの状態時に、上記任意焦点検出点選択モードにて一度は確定された焦点検出枠を、更に選択移動する操作が可能なモードと不可能なモードとを切換えるスイッチである。この変更スイッチ207がオン状態であれば、測光や焦点検出動作が可能なカメラの状態時には、焦点検出枠の移動方向を指示する移動指示スイッチ202の操作(或いは電子ダイヤル204やサブ電子ダイヤル205の操作)が有効となる。
【0027】
これら各スイッチからの信号は信号入力回路104に入力され、データーバスによってCPU100に送信される。なお、電子ダイヤル204、サブ電子ダイヤル205からの各信号は、信号入力回路104内のアップダウンカウンターに入力される。そして、アップダウンカウンターにてこれらスイッチからの信号、すなわち電子ダイヤルの回転クリック量がカウントされ、カウント値がCPU100に送信される。LCD駆動回路105は、透過型LCD22、拡散型LCD38、ファインダ内LCD27、モニター用LCD37を表示駆動させるための回路であり、CPU100からの信号に従い各LCDの表示内容を制御する。LED駆動回路106は、スーパーインポーズ用LED20及びファインダ内LED26を点灯制御する。
【0028】
シャッター制御回路107は、シャッターチャージ状態においてマグネットMG−1に通電して先幕を走行させ、その後マグネットMG−2に通電して後幕を走行させる。これにより、撮像素子8に所定光量を蓄積させる。モーター制御回路108は、主ミラー5のチャージを行なうモーターM1と、シャッター7のチャージを行なうモーターM2とを制御する。これらシャッター制御回路107及びモーター制御回路108によって、カメラにおける一連のレリーズシーケンスが動作する。
【0029】
顔検出手段である顔認識回路200は、測光センサ19の被写界輝度情報から被写体の中に顔があるかどうかを検出する。顔検出モード切替スイッチ201は、顔認識回路200により被写体の中に顔があることを検知した場合、検知された顔を優先して焦点検出領域とする顔検出モードに設定するかしないかを選択するスイッチである。絞り制御回路109及び焦点調整回路110は、撮影レンズ2内に配置され、マウント接点35を介してCPU100との間で信号の伝達を行う。
【0030】
図2(b)は、ファインダを覗いた場合に見えるファインダ視野内の構成を示している。この図では、透過型LCD22の複数のセグメント(表示部)が全点灯した状態を示している。不図示であるが、拡散型LCD38の拡散型液晶の表示セグメントでも、透過型LCD22と同様の表示が可能である。拡散型LCD38による表示は、少なくとも透過型LCD22で表示可能な枠形状を含み、更に透過型LCD22には無いセグメントの表示部を含んでいてもよい。例えば、電池残量や、ファインダ内のオートフォーカス検出可能範囲を示す刻線1001や方眼形状を示す刻線を表示させてもよいし、上記以外の情報を表示してもよい。ただし、透過型LCD22で表示可能な枠に重なる位置に必ず表示セグメントが配置されている。また実際には、ファインダ視野の周辺部には、各種撮影に関する情報表示のためのファインダ内LCD27も備えているが、図2(b)においては省略している。
【0031】
図2(b)において、外側の枠は視野マスク12によって形成されるものである。1001と1002はいずれも、フォーカシングスクリーン10の予定結像面であるマット面上に微細なプリズム形状を一体的に形成するか、前述の様に拡散型LCD38により表示させても良い刻線である。刻線1002は、最小の測光可能範囲を示したものである。本実施例では、a1〜e9は、透過型LCD22によりスーパーインポーズ表示される49組の表示指標であり、45個の焦点検出領域に対応して配置されている。前述した様に、拡散型LCD38でも同様の焦点検出枠表示が可能である。
【0032】
本実施例では、透過型LCD22の背面には高輝度赤外光LED20が配置される。更に、透過型LCD22の液晶表示板の表面には、前述した焦点検出枠を示す四角形のセグメント以外の部分を遮光するために、例えばレジスト方式の印刷や蒸着などによって不図示のマスキング処理を行う。この構成によって、透過型LCD22の透明電極に印加される電圧が高くなれば、各セグメント部は透過率が高くなり、LED20からの光束はより多くファインダ光学系へ導かれ、焦点検出枠を示す四角形枠は濃く表示される。逆に、印加される電圧が低くなれば各セグメント部は透過率が低くなり、ファインダ光学系へ導かれる光束は少なくなるので、焦点検出枠を示す四角形枠は薄く表示される。また、拡散型LCD38と透過型LCD22により、同じ焦点検出枠を示す四角形のセグメントを同時に表示させた場合、撮影レンズ2からの光束は拡散型LCD38の表示セグメントにより拡散される。よって、透過型LCD22による表示と拡散型LCD38による表示の重なった部分は、透過型LCD22のみで表示されている部分よりも濃く見える。つまり、(透過型LCD22と拡散型LCD38で同時に表示した焦点検出枠)>(透過型LCD22のみにより表示した焦点検出枠)>(拡散型LCD38のみにより表示した焦点検出枠)の順に、3種類の表示濃度を表現できる。
【0033】
以下、カメラの動作について、以上の様に構成されたカメラ全体(主としてCPU100)の図3の動作フローチャートと、図1、図2、図4、図5とを併せ用いて説明する。まず、撮影者がメインスイッチ206をONになる位置に回転させると、カメラ電源がONし(S1000)、CPU100はSW1がONされるまで待機する(S1001)。次に、CPU100は、焦点検出点選択スイッチ203が自動焦点検出点選択モードか任意焦点検出点選択モードかを確認し(S1002)、前者のときは、所定のアルゴリズムによって所定の焦点検出領域を選択する(S1003)。なお、図3及び後述のフローチャート図では、必ずしも測距するわけではないが、従来の表現を踏襲して、「焦点検出」を短く「測距」と記している。ここでの、焦点検出領域の自動選択のアルゴリズムとしては幾つかの方法が考えられる。いわゆる多点AFカメラにおいて採用されることが多い中央の焦点検出領域に重み付けを置いた近点優先アルゴリズムが有効である。この段階では(S1003)、ファインダ視野内の何処の焦点検出枠において合焦するかは特定できないため、この自動焦点検出点選択モードでは、図4(A)に示した様に焦点検出枠は何れも点灯されない状態である。その後、ここで選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S1009)。
【0034】
一方、S1002において、撮影者がマニュアルで特定の焦点検出枠を選択できる任意焦点検出点選択モード時である場合には、焦点検出点選択モード変更スイッチ207の状態を判別する(S1004)。本実施例では、物理的なスイッチの状態の判別として説明したが、例えばCPU100に付随したEEPROM100aに記憶されるパラメータ値にて変更するものであってもよい。変更スイッチ207がOFF状態(ダイレクト選択OFF状態))の場合、変更スイッチ207を押して焦点検出枠移動指示(S1005)があるまでは、図4(C)に示す様に現在選択中の焦点検出領域の枠がファインダ視野内に重複表示される。ここで、ダイレクト選択OFF状態とは、変更スイッチ207を押さなくても、カメラの測光や焦点検出動作が可能な状態時にマルチコントローラー釦、電子ダイヤル等の操作に連動して焦点検出枠の移動を行えるダイレクト選択がOFFである状態である。この場合、焦点検出枠a9が任意焦点検出枠の点灯セグメントとして透過型LCD22により表示される。その時、その他の48点の焦点検出枠a1〜a8、b1〜e9は、非点灯セグメントの状態にあって視認できなくなる(S1007)。
【0035】
変更スイッチ207を押して焦点検出枠移動指示(S1005)があった場合、図5(A)に示した様に、現在選択されている焦点検出領域に対応する表示指標が透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示によりスーパーインポーズ表示される。そして、焦点検出枠移動指示スイッチによる1回の操作で移動可能な焦点検出枠が透過型LCD22のみによりファインダ視野内にスーパーインポーズ表示される(S1006)。ここでのファインダ視野内の透過型LCD22の駆動電圧は、焦点検出枠移動指示(S1005)が無い状態の透過型LCD22の駆動電圧(以後、この状態の駆動電圧を駆動電圧Aとする)よりも低くなる様に変更される。つまり、移動指示(S1005)が無い状態の透過型LCD22のみによる焦点検出枠表示輝度と、移動指示(S1005)があった時の透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示による枠表示が同じ表示輝度で見えるような駆動電圧に変更する。以後、この状態の駆動電圧を駆動電圧Bとする。これにより、駆動電圧Bによる透過型LCD22のみの表示部は薄く表示され、駆動電圧Bによる透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示による焦点検出枠は、駆動電圧Aによる透過型LCD22のみの表示である自動選択時と同等の輝度による表示となる。こうして、見かけ上、2種類の表示濃度による表示が同一ファインダ内に混在することとなる。この際、1回の操作で移動可能な焦点検出枠が拡散型LCD38のみによりファインダ視野内にスーパーインポーズ表示されてもよい。
【0036】
図5(A)は特定の焦点検出枠として焦点検出枠b9が選択されている状態を示す。焦点検出枠a8、a9、b8、b9、b10、c9、c10のうち、b9のみ透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示によるスーパーインポーズ表示部である。a8、a9、b8、b10、c9、c10は透過型LCD22のみによるスーパーインポーズ表示部である。特定の焦点検出枠として選択されている枠b9だけが、鮮明に表示されている。移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な焦点検出枠として割り当てられている枠a8、a9、b8、b10、c9、c10は薄い輝度の状態(駆動電圧Bによる表示輝度)でファインダ内に表示されている。本実施例では移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な焦点検出枠のみを表示させることで、撮影画面に多くの焦点検出枠が表示されることによる表示の煩わしさを軽減させている。しかし、マニュアルで選択可能な枠(図2(b)のb9以外の枠)を全て透過型LCD22により表示させることも可能である。また、撮影モードにより、選択可能な焦点検出枠の数を限定する等の表示を行ってもよい。
【0037】
図5(B)は、図5(A)の状態から移動指示スイッチ202のSW−TRを1回押した場合の表示状態を示す。特定の焦点検出枠として選択される枠は移動指示スイッチ202のSW−TRの操作によりb9からa9へ移動する。そのため、b9の焦点検出枠表示はLCD22、38の同時表示から透過型LCD22のみの点灯表示に変更し、a9の焦点検出枠を透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示に変更する。更に、焦点検出枠b8、c9、c10はa9から移動指示スイッチ202による1回の操作で移動不可能な枠なので非表示とする。これにより、枠a8、a9、b9、b10のうち、特定の焦点検出枠として選択されていることを表す枠a9だけが、透過型LCD22と拡散型LCD38の両方の駆動により鮮明に表示される。移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な焦点検出枠として割り当てられている枠a8、b9、b10は、透過型LCD22のみの駆動により薄い輝度状態でファインダ内に表示される。
【0038】
図5(D)は、透過型LCD22と拡散型LCD38により表示されている焦点検出枠部を拡大して示す。208は透過型LCD22のみによる枠の表示部で、209は透過型LCD22と拡散型LCD38の両方による枠の表示部である。このとき、拡散型LCD38による枠の表示部を透過型LCD22による枠の表示部よりも小さくすることで、カメラ組立て時の位置ずれや、使用時のやぶにらみ等により、両方のLCDによる枠の表示部の重なりが欠けてしまうことを防止できる。また、図5(E)の様に、透過型LCD22による枠の表示部210と、両方のLCDによる枠の表示部211の表示形状を異形状にし、更に拡散型LCD38による枠の表示部を透過型LCD22による枠の表示部よりも小さくできる。このことで、上記と同様に、枠の表示部の重なりが欠けるのを防止できる。
【0039】
透過型LCD22の駆動電圧Bは焦点検出枠移動指示(S1005)が終わるまで維持される。指示が終わると透過型LCD22の駆動電圧は、前述した電圧Aに変更され、ファインダ視野内の表示は前述したS1007の表示形態に戻る。そして、その表示形態を維持したまま、選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S1009)。
【0040】
S1004にて、焦点検出点選択モード変更スイッチ207がON状態(ダイレクト選択ON状態)である場合は、上述したS1006と同じ表示形態となり(S1008)、選択された領域での焦点検出動作を検出回路103に行わせる(S1009)。また、S1004にて変更スイッチ207がON状態で更にSW1がオンされてから一定時間内(測光センサ19がON状態)の間のみS1005の焦点検出枠移動指示の割り込み操作を行うことが可能である。
【0041】
自動焦点検出回路103による焦点検出動作が行われると、CPU100は選択された焦点検出領域が焦点検出不能な領域か否かを判定する(S1010)。不能であれば、CPU100はLCD駆動回路105に信号を送ってファインダ内LCD27の合焦マーク(不図示)を点滅表示させ、焦点検出が不能であることを撮影者に警告する(S1011)。SW1がOFFされるまで、この動作を続ける(S1012)。また、選択された領域が焦点検出可能な領域であり、この領域での焦点調節状態が合焦でなければ(S1013)、CPU100は焦点調整回路110に信号を送って合焦レンズ3を合焦駆動させる(S1014)。レンズ駆動後、自動焦点検出回路103は再度、焦点検出を行い(S1009)、焦点検出領域において合焦しているか否かの判定を行う(S1013)。そして、焦点検出領域の合焦が得られると、CPU100はLCD駆動回路105に信号を送ってファインダ内LCD27の合焦マーク(不図示)を点灯させる。また、自動焦点検出点選択モードのときは、図4(B)に示した様に、自動選択された焦点検出領域に対応する枠(例えばa9)を一瞬高輝度に点灯し、撮影者に合焦であることを知らせる(S1015)。なお、合焦の表示形態はこうした態様に限るものではなく、自由に設定可能である。
【0042】
任意焦点検出点選択モードで、かつ変更スイッチ207がONの時は、図5(C)に示した様に、拡散型LCD38の任意焦点検出枠として表示されていた枠a9が一瞬点滅し、撮影者に合焦であることを知らせる(S1015)。このとき、前述したS1006の焦点検出枠移動指示を割り込み操作として可能としているので、移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な焦点検出枠として割り当てられている枠a8、b9、b10の3点は、薄く枠が表示された状態となる。また、任意焦点検出点選択モードで、かつ変更スイッチ207がOFFの時は、図4(B)と同様な表示を行う。
【0043】
次に、合焦状態がファインダ視野内に表示されたのを撮影者が見て、その焦点検出領域が正しくないと認識してSW1をOFFすると(S1016)、引き続きCPU100はSW1がONされるまで待機する(S1001)。また、撮影者が合焦表示された焦点検出領域を見て、引き続きSW1をONし続けたときは(S1016)、CPU100は測光回路102に信号を送信して測光値を決定する(S1017)。このとき、本実施例では、合焦した焦点検出領域を含む測光領域(不図示)に重み付けした測光演算を行い、露出値が演算される。そして、この演算結果として、ファインダ内LCD27の絞り値(不図示)を表示する。
【0044】
次に、CPU100は、SW2がONされているかどうかを判定し(S1018)、SW2がOFFであれば再びSW1の状態確認を行う(S1016)。SW2がONされているときは、CPU100はシャッター制御回路107、モーター制御回路108及び絞り駆動回路109にそれぞれ信号を送信する。つまり、まず、モーターM2に通電し、主ミラー5をアップさせ、絞り29を絞り込んだ後、マグネットMG1に通電してシャッタ7の先幕を走行させる。絞り値及びシャッタ速度(シャッタ秒時)は、先に演算された露出値と設定された撮像素子8の感度とに基づいて決定される。そして、決定されたシャッタ秒時が経過した後、マグネットMG2に通電し、シャッタ7の後幕を走行させ、露光を終了する(S1019)。その後、CPU100は再びSW1がONされるまで待機する(S1001)。
【0045】
以上の構成により、例えば図2(b)のa9の焦点検出枠を選択中、更に右や上にも選択可能な焦点検出枠があるのかないのかを認識できる。そのため、a9の焦点検出枠を選択中に更に右や上に焦点検出枠があると誤認してしまうことを防止でき、被写体と移動させたい焦点検出枠との相対位置を考慮したフレーミングが可能となる。また、焦点検出枠の選択操作性が向上する。
【0046】
(第2実施例)
第2実施例を説明する。第2実施例は、第1実施例に顔検出モードが加わった構成を有する。図7と図6のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートでは、図3のフローチャートにおいて顔検出モードか通常モードかを選択するステップが追加されていて、顔検出モードがONになっている状態の動作のみが異なっており、それ以外の所は図3と同じである。
【0047】
まず、撮影者がメインスイッチ206をONになる位置に回転させると、カメラ電源がONし(S2000)、CPU100はSW1がONされるまで待機する(S2001)。次に、CPU100は、焦点検出点選択スイッチ203が自動焦点検出点選択モードか任意焦点検出点選択モードかを確認し(S2002)、前者のときは、顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効か無効かを判別する(S2003)。切替スイッチ201の状態が有効である場合には、顔認識回路200により、測光センサ19の被写界輝度情報から被写体の中に顔があるかどうかを検出する(S2004)。そして、被写体の中に顔があることを検知した場合、検知された顔に対応する焦点検出枠を優先して焦点検出領域とし、被写体の中に顔が無い場合は所定のアルゴリズムによって焦点検出領域を選択する(S2005)。この段階(S2005)では、ファインダ視野内の何処の焦点検出枠において合焦するかは特定できないため、この自動焦点検出点選択モードでは、図4(A)に示した様に焦点検出枠は全て点灯されない状態である。その後、ここで選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。顔検出モード切替スイッチ201の状態が無効である場合には、第1実施例のS1003と同じ処理を行う(S2005)。
【0048】
一方、S2002において、撮影者がマニュアル(手動)で特定の焦点検出枠の選択を行うことが可能な任意焦点検出点選択モード時である場合には、焦点検出点選択モード変更スイッチ207の状態を判別する(S2006)。スイッチ207がOFF状態である場合、顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効か無効かを判別する(S2007)。切替スイッチ201の状態が無効である場合には、第1実施例の図3で説明したS1005〜S1007と同様の処理を行う(S2008〜S2010)。その後、ここで選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。
【0049】
顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効である場合には、変更スイッチ207が押されて焦点検出枠移動指示(S2011)があるまで、図7(A)に示した様に、現在選択されている焦点検出領域に対応する枠に加え、次の枠を表示する。すなわち、顔認識回路200により、測光センサ19の被写界輝度情報から被写体の中に顔があるかどうかを検出し、被写体の中に顔があるのを検知した場合、顔検出領域に相当する焦点検出枠を拡散型LCD38により表示する。この場合、本実施例では、枠a9が任意焦点検出枠の点灯セグメントとして透過型LCD22によりファインダ視野内にスーパーインポーズ表示され、顔検出領域に相当する焦点検出枠としてa1、a2、b1、b2、b3が拡散型LCD38のみにより表示される。その時、その他の焦点検出枠a3〜a8、b4〜e9の43点は、非点灯セグメントの状態として視認できなくなる(S2013)。その後、ここで選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。
【0050】
変更スイッチ207が押されて焦点検出枠移動指示(S2011)があった場合、図7(C)に示した様に、現在選択されている焦点検出領域に対応する枠が透過型LCD22と拡散型LCD38の同時表示によりスーパーインポーズ表示される。また、焦点検出枠移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な枠が透過型LCD22のみによりファインダ視野内にスーパーインポーズ表示される。更に、顔認識回路200により、測光センサ19の被写界輝度情報から被写体の中に顔があることを検知した場合、顔検出領域に相当する焦点検出枠を拡散型LCD38のみにより表示する(S2012)。その後、ここで選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。
【0051】
S2006にて、焦点検出点選択モード変更スイッチ207がON状態である場合、顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効か無効かを判別する(S2014)。切替スイッチ201の状態が無効である場合には、上述したS2009(S1006)と同じ表示形態の図5(A)となり(S2015)、選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。また、S2006にて変更スイッチ207がON状態であり、S2014にて切替スイッチ201の状態が無効状態で、更にSW1がオンされてから一定時間内(測光センサ19がON状態)の間のみ、S2008の枠移動指示の割り込み操作ができる。
【0052】
S2014で顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効である場合には、上述したS2012と同じ表示形態の図7(C)となり(S2016)、選択された焦点検出領域での焦点検出動作を自動焦点検出回路103に行わせる(S2017)。また、S2006にて変更スイッチ207がON状態であり、S2014にて切替スイッチ201の状態が有効状態で、更にSW1がオンされてから一定時間内(測光センサ19がON状態)の間のみ、S2011の焦点検出枠移動指示の割り込み操作ができる。
【0053】
焦点検出(S2017)よりも前のステップにおいて、顔検出モード切替スイッチ201の有効、無効の切換操作はどのタイミングでも可能である。そして、焦点検出領域選択モードと焦点検出点選択モードの状態に対応したS2003、S2007、S2014の切替スイッチ201の状態確認ステップは、割り込み可能である。
【0054】
S2018からS2023までは、第1実施例の図3のS1010からS1015と基本的に同じである。ただし、ここでは、S2023は以下の様になる。任意焦点検出点選択モードで、かつ焦点検出点選択モード変更スイッチ207がOFFの時は、図4(D)に示した様に、任意選択された焦点検出領域に対応する枠(例えばa9)を、一瞬高輝度に点灯し、撮影者に合焦であることを知らせる(S2023)。任意焦点検出点選択モードで、かつ変更スイッチ207がONの時は、図5(C)に示した様に、拡散型LCD38の任意焦点検出枠として表示されていた枠a9が一瞬点滅し、撮影者に合焦であることを知らせる(第1実施例の図3のS1015)。このとき、第1実施例の図3のS1006の焦点検出枠移動指示を割り込み操作として可能としているので、移動指示スイッチ202による1回の操作で移動可能な焦点検出枠として割り当てられている枠a8、b9、b10は、薄く表示された状態となる。また、任意焦点検出点選択モードで、かつ変更スイッチ207がOFF、更に顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効の時は、図7(B)に示した様になる。すなわち、顔を検出した位置に拡散型LCD38のみで表示を行っていた焦点検出枠a1、a2、b1〜b3の位置を、a9と同じ輝度(駆動電圧A)で透過型LCD22によって一瞬点灯することで撮影者に合焦であることを知らせる(S2023)。また、任意焦点検出点選択モードで、かつ変更スイッチ207がON、更に顔検出モード切替スイッチ201の状態が有効の時は、図7(D)に示した様になる。すなわち、顔検出位置に拡散型LCD38のみで表示を行っていた焦点検出枠a1、a2、b1〜b3の位置を、a9と同じ輝度(駆動電圧B)で透過型LCD22によって一瞬点灯することで撮影者に合焦であることを知らせる(S2023)。S2023以降の動作については、第1実施例の図3にて説明した内容と同様である。
【0055】
以上の構成により、人物にピントを合わせる構図と、人物がいても他の物にピントを合わせて人物を意図的にぼかすといった構図の切換が、ファインダを覗いた状態で、顔検出モード切換スイッチ201を押す度にスピーディーに行うことができる。こうして、焦点検出枠の選択操作性が向上する。
【符号の説明】
【0056】
2 撮影レンズ(結像光学系)
10 フォーカシングスクリーン(予定結像面)
20 LED(表示手段)
22 透過型LCD(表示手段)
38 拡散型LCD(表示手段)
200 顔認識回路(顔検出手段)
208、210 透過型LCDによる焦点検出枠の表示部
209、211 拡散型LCDによる焦点検出枠の表示部
a1〜e9 焦点検出枠(枠)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系からの被写体光束の予定結像面上に結像された被写体像に重ね合わせて、結像条件を設定するための領域を表す枠を複数表示することが可能な第1の表示手段と、
前記第1の表示手段とは独立に制御可能であって、前記第1の表示手段により表示する枠と少なくとも一部重なった枠を表示することが可能な第2の表示手段と、を備え、
前記複数の枠の内、選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードを採り得、該モードの時に、前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の何れかによる枠の表示部と、前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、ファインダ視野内に両方存在することを特徴とする光学機器のファインダ装置。
【請求項2】
前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の両方により重ね合わせて表示された枠の表示部が、前記選択された特定の枠であり、
前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の何れかによる枠の表示部が、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠であることを特徴とする請求項1に記載の光学機器のファインダ装置。
【請求項3】
前記第1の表示手段は、照明部材からの光を透過させて発光表示像をファインダ視野内で形成するための透過型液晶表示手段を含み、
前記第2の表示手段は、結像光学系からの被写体光束を遮ってファインダ視野内で減光表示像を形成する減光状態と、結像光学系からの被写体光束を透過させる透過状態とを採り得る拡散型液晶表示手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学機器のファインダ装置。
【請求項4】
前記選択された特定の枠を移動指示する操作が不可能なモードを採り得、該モードの時に、前記選択された特定の枠を前記第1の表示手段のみにより表示し、
前記選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時に、前記選択された特定の枠を前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の両方により表示し、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠を前記第1の表示手段のみにより表示し、
前記選択された特定の枠を移動指示する操作が不可能なモードの時の前記第1の表示手段の照明部材の照明輝度に対して、前記特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時の前記第1の表示手段の照明部材の照明輝度が低く設定されることを特徴とする請求項3に記載の光学機器のファインダ装置。
【請求項5】
被写体像の中に人物の顔が存在することを検出するための顔検出手段を備え、
前記顔検出手段により検出された顔の位置に対応する前記枠を前記特定の枠として選択可能な顔検出モードを採り得、
前記顔検出モードであって、前記選択された特定の枠を移動指示する操作が可能なモードの時に、前記顔検出手段により検出された顔の位置に対応する前記枠を、前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の一方により表示し、前記移動指示する操作で移動可能な移動先の枠を、前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の他方により表示し、前記選択された特定の枠を前記第1の表示手段と前記第2の表示手段の両方により表示することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の光学機器のファインダ装置。
【請求項6】
前記第1の表示手段による枠の表示形状は、前記第2の表示手段による枠の表示形状より大きいことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の光学機器のファインダ装置。
【請求項7】
前記枠は、カメラにおける撮影条件を設定するための領域を表す枠であって、オートフォーカスの焦点検出領域を表す焦点検出枠、または測光領域を表す測光枠であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の光学機器のファインダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−17739(P2011−17739A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160330(P2009−160330)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】