説明

光学素子、光学ユニットおよび投写型映像表示装置

【課題】簡素な構成で、光量の低下を抑制しつつ、無偏光状態と偏光状態とを切り換える。
【解決手段】偏光板ホイール2は、入射光に対向する面上に、入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域、入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域、入射光のすべての偏光成分を透過する無偏光領域が形成される。偏光板ホイール2は、入射方向を回転軸方向として回転する。第1偏光成分と第2偏光成分とは互いに直交する成分であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無偏光状態と偏光状態とを切り換えるための光学素子、光学ユニットおよび投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の映像(以下、二次元画像という)を投写して投影面に表示させる機能と、視差画像を投写して投影面に表示させることにより立体映像(以下、三次元画像という)を観察者に見せる機能の両方を持つ投写型映像表示装置(以下適宜、プロジェクタともいう)の開発が進められている。三次元画像を観察者に見せる方式の一つに、偏光メガネ方式がある。偏光メガネは、直交する偏光成分(たとえば、P偏光とS偏光)や互いに逆回転の円偏光(右円偏光と左円偏光)が観察者の右眼と左眼にそれぞれ入射されるよう、入射光をそれぞれフィルタリングするメガネである。
【0003】
偏光メガネ方式を採用したプロジェクタシステムとして、様々な手法が提案されている。たとえば、右眼用画像を投写する第1プロジェクトと、左眼用画像を投写する第2プロジェクタを二つ用いて、第1プロジェクタの投写レンズの後段(より具体的には、投写レンズから出射される光の光路上)に右眼用の偏光成分を透過する偏光板を設置し、第2プロジェクタの投写レンズの後段に左眼用の偏光成分を透過する偏光板を設置する手法(第1手法)が提案されている。
【0004】
また、右眼用画像と左眼用画像とを時分割に切り換えて投写するプロジェクタを一つ用いて、そのプロジェクタの投写レンズの後段に偏光スイッチャを設置する手法(第2手法)が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。当該偏光スイッチャは、偏光板と、電圧印加に応じて偏光方向を切り換える液晶素子を含む。
【0005】
また、カラーホイールに偏光素子を貼り付け、カラーホイールを回転させることにより、色成分および偏光方向を時分割に切り換える手法(第3手法)が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−18894号公報
【特許文献2】特開平10−153755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した第1手法はプロジェクタを二つ用いる必要がある。また、上述した第1手法および第2手法は、既存の二次元画像用のプロジェクタを、三次元画像用に容易に転用することができるが、偏光板または偏光スイッチャが投写レンズの後段に設置されるため、大きなサイズの偏光板または偏光スイッチャを用いる必要がある。
【0008】
上述した第3手法は、偏光素子を小型化することができる。ただし、当該第3手法に係るプロジェクタでは、二次元画像を投写する場合でも、光源から発光される無偏光の光が、カラーホイールに貼り付けられた偏光素子を通過してしまうため、二次元画像を投写する場合の光量が低下する。より具体的には、二次元画像を投写する場合の本来の光量の半分に低下してしまう。なお、上述した第1手法および第2手法でも、投写レンズの後段の偏光板または偏光スイッチャを取り外さなければ、同様に光量が低下するが、取り外せば、光量の低下を抑制することができる。
【0009】
また、第3手法のようにカラーホイールと一体ではなく、偏光素子が独立してプロジェクタ本体の内部に設置される手法も考えられる。ただし、そのような手法に係るプロジェクタにて、二次元画像を投写する場合の光量の低下を抑制するには、その偏光素子を光路から外す必要があり、そのための機構が必要となる。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、簡素な構成で、光量の低下を抑制しつつ、無偏光状態と偏光状態とを切り換える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様の光学素子は、入射光に対向する面上に、入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域と、入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域と、入射光のすべての偏光成分を透過する無偏光領域と、が形成され、入射方向を回転軸方向として面が回転可能である。
【0012】
本発明の別の態様は、投写型映像表示装置である。この装置は、上述した光学素子を用いた偏光板と、二次元画像を表示させるための二次元モードと、三次元画像を表示させるための三次元モードとを切り替える制御部と、を備える。制御部は、三次元モードでは偏光板を回転させ、二次元モードでは偏光板を通る光路に対して無偏光領域を固定的に位置づける。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、光学ユニットである。この光学ユニットは、入射光に対向する面上に、入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域と、入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域とが形成された偏光板と、偏光板を透過した第1偏光成分および第2偏光成分のそれぞれの偏光方向を補正する1/2波長板と、を備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、投写型映像表示装置である。この装置は、上述した光学ユニットと、偏光板および1/2波長板を回転させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡素な構成で、光量の低下を抑制しつつ、無偏光状態と偏光状態とを切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投写型映像表示装置の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態2に係る偏光板ホイールおよびカラーホイールの構成を示す図である。図2(a)は、三次元モード時の状態1を示し、図2(b)は、三次元モード時の状態2を示し、図2(c)は、二次元モード時の状態を示す。
【図3】本発明の実施の形態3に係る投写型映像表示装置の構成を示す概略図である。
【図4】実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイールおよび1/2波長板ホイールの状態遷移の第1フェーズ(横偏光成分の出射期間)を説明するための図である。図4(a)は、偏光板ホイールの第1フェーズの状態遷移(半回転)を示し、図4(b)は、1/2波長板ホイールの第1フェーズの状態遷移(1/4回転)を示し、図4(c)は、偏光板ホイールを通過後の光の偏光方向の、第1フェーズの遷移を示し、図4(d)は、1/2波長板ホイールの遅相軸の方向の、第1フェーズの遷移を示し、図4(e)は、1/2波長板ホイールを通過後の光の偏光方向の、第1フェーズの遷移を示す。
【図5】実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイールおよび1/2波長板ホイールの状態遷移を第2フェーズ(縦偏光成分の出射期間)を説明するための図である。図5(a)は、偏光板ホイールの第2フェーズの状態遷移(半回転)を示し、図5(b)は、1/2波長板ホイールの第2フェーズの状態遷移(1/4回転)を示し、図5(c)は、偏光板ホイールを通過後の光の偏光方向の、第2フェーズの遷移を示し、図5(d)は、1/2波長板ホイールの遅相軸の方向の、第2フェーズの遷移を示し、図5(e)は、1/2波長板ホイールを通過後の光の偏光方向の、第2フェーズの遷移を示す。
【図6】実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイールと、カラーホイールとの関係を示す図である。
【図7】実施の形態4の実施例2に係る偏光板ホイール、カラーホイールおよび1/2波長板ホイールを示す図である。
【図8】実施の形態4の実施例3に係るカラーホイールおよび1/2波長板ホイールを示す図である。
【図9】実施の形態4の実施例4に係るカラーホイールおよび偏光板ホイールを示す図である。
【図10】実施の形態4の実施例5に係る偏光板ホイールおよび1/2波長板ホイールの状態遷移を説明するための図である。図10(a)は、偏光板ホイールの状態遷移(半回転)を示し、図10(b)は、1/2波長板ホイールの状態遷移(1/4回転)を示し、図10(c)は、偏光板ホイールを通過後の光の偏光方向の遷移を示し、図10(d)は、1/2波長板ホイールの遅相軸の方向の遷移を示し、図10(e)は、1/2波長板ホイールを通過後の光の偏光方向の遷移を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1に係る投写型映像表示装置100の構成を示す概略図である。投写型映像表示装置100は、二次元画像をスクリーンなどの投影面に投写して、二次元画像を表示すること(以下、この使用方法を二次元モードという)も、視差画像を投影面に投写して、三次元画像を表示する(より厳密には、観察者に認識させる)こと(以下、この使用方法を三次元モードという)もできる。
【0018】
光源1は、ランプ駆動部12による制御にしたがい、光学ユニット50に光を照射する。光源1は、フィラメント型の電極構造を有するハロゲンランプ、アーク放電を発生させる電極構造を有するメタルハライドランプ、キセノンショートアークランプ、高圧型の水銀ランプ、LEDランプなどを用いることができる。光源1の中央部に設けられた発光管1aから出射された光は、楕円面または双曲面で形成されたリフレクタ1bで集光されて、光学ユニット50に進入する。
【0019】
光学ユニット50は、偏光板ホイール2、カラーホイール3、ロッドインテグレータ5、およびコンデンサレンズ6a、6bを含む。光源1から照射された光は、偏光板ホイール2、カラーホイール3、ロッドインテグレータ5、およびコンデンサレンズ6a、6bの順に通過する。偏光板ホイール2およびカラーホイール3はそれぞれ、円盤状であって、光源1から照射された光の光軸に対して垂直に配置される。偏光板ホイール2およびカラーホイール3はそれぞれ、ホイール駆動部11の制御にしたがい、当該光軸と平行な回転軸を中心に回転する。なお、偏光板ホイール2およびカラーホイール3の詳細は後述する。
【0020】
ロッドインテグレータ5は、上記光軸上に、偏光板ホイール2およびカラーホイール3を介して配置される。ロッドインテグレータ5は、入射面5aから入射された光の照度を均一化して、出射面5bから出射する。
【0021】
コンデンサレンズ6a、6bは、上記光軸上に、ロッドインテグレータ5の出射面5bに対向して配置される。コンデンサレンズ6a、6bは、ロッドインテグレータ5の出射面5bから出射された光を集光して、ミラー7に出射する。
【0022】
ミラー7は、上記光軸上に、当該光軸に対して所定の傾きを持って配置される。ミラー7は、コンデンサレンズ6a、6bから出射された光を反射して、光変調素子8に出射する。
【0023】
光変調素子8は、制御部10から設定される画像信号に応じて、入射される光を変調する。ここでは、DMD(Digital Micromirror Device)を用いる例を描いている。DMDは、画素数に対応した複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーの向きが各画素信号に応じて制御されることにより、所望の画像を形成する。
【0024】
投写レンズ9は、光変調素子8により変調された光を図示しないスクリーンなどの投影面に向けて投写する。その際、投写レンズ9が光変調素子8により変調された光を結像することにより、光変調素子8により形成された画像は、投影面に拡大されて表示される。
【0025】
制御部10は、ランプ駆動部12、ホイール駆動部11および光変調素子8を制御する。より具体的には、制御部10は、ランプ駆動部12にオン/オフ信号を設定して、ランプ駆動部12に光源1の電源をオン/オフさせる。また、制御部10は、ホイール駆動部11に回転制御信号を設定して、ホイール駆動部11に偏光板ホイール2およびカラーホイール3を回転させる。また、制御部10は、光変調素子8に画像信号を設定して、光変調素子8に所望の画像を形成させる。また、制御部10は、二次元モードと三次元モードとを切り替える。なお、このモード切替処理の詳細は後述する。
【0026】
図2は、実施の形態2に係る偏光板ホイールおよびカラーホイールの構成を示す図である。図2(a)は、三次元モード時の状態1を示し、図2(b)は、三次元モード時の状態2を示し、図2(c)は、二次元モード時の状態を示す。実施の形態2に係る偏光板ホイールは、実施の形態1に係る投写型映像表示装置100の偏光板ホイール2として採用することに適した光学素子である。以下、実施の形態2に係る偏光板ホイールおよびカラーホイールが、実施の形態1に係る投写型映像表示装置100に搭載されている状態を前提に説明する。
【0027】
偏光板ホイール2は、入射光に対向する面上に、入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域と、入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域と、入射光のすべての偏光成分を透過する無偏光領域と、が形成される。偏光板ホイール2は、入射方向を回転軸方向として回転し、第1偏光成分と第2偏光成分と無偏光成分(すなわち、自然光)とを時分割に、順次透過する。
【0028】
第1偏光成分と第2偏光成分とは互いに直交する成分であり、以下、第1偏光成分を縦偏光成分、第2偏光成分を横偏光成分と表記する。
【0029】
透過部2aは、入射光が通過する光路である。偏光板ホイール2は、入射光が中心側ではなく円周側を通過するように、配置される(図1参照)。
【0030】
図2では、偏光板ホイール2は、七つの扇形領域に分割される。すなわち、第1横偏光領域21a、第2横偏光領域21b、第3横偏光領域21c、第1縦偏光領域22a、第2縦偏光領域22b、第3縦偏光領域22cおよび無偏光領域(NP)23に分割され、この順番で時計回りに配置される。ここでは、第1横偏光領域21a、第2横偏光領域21b、第3横偏光領域21c、第1縦偏光領域22a、第2縦偏光領域22bおよび第3縦偏光領域22cは、同じ中心角の扇形である。
【0031】
第1横偏光領域21a、第2横偏光領域21bおよび第3横偏光領域21cはそれぞれ、半径方向に直交する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を遮断する。第1縦偏光領域22a、第2縦偏光領域22bおよび第3縦偏光領域22cはそれぞれ、半径方向に平行する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を遮断する。
【0032】
無偏光領域(NP)23は、入射光のすべての偏光成分を透過する。無偏光領域(NP)23は、透過部2aを包含することができるサイズであればよい。三次元モードにおける光量の使用効率を確保する観点からは、無偏光領域(NP)23のサイズはできるだけ小さいことが好ましい。たとえば、無偏光領域(NP)23の円弧方向の幅と、透過部2aの幅とが実質的に一致していてもよい。
【0033】
無偏光領域(NP)23は空白領域であってもよい。すなわち、偏光板ホイール2のうち、無偏光領域(NP)23に対応する領域が切り取られていてもよい。
【0034】
カラーホイール3は、入射光に対向する面上に、入射光のうち赤成分を透過するR領域と、入射光のうち緑成分を透過するG領域と、入射光のうち青成分を透過するB領域と、入射光のうちすべての色成分を透過するW領域と、が形成される。カラーホイール3は、入射方向を回転軸方向として回転し、それぞれ異なる複数の色成分を順次透過する。ここでは、赤色光と緑色光と青色光と白色光とを時分割に順次透過する。
【0035】
透過部3aは、入射光が通過する光路である。入射光が中心側ではなく円周側を通過するように、配置される(図1参照)。
【0036】
図2では、カラーホイール3は、七つの扇形領域に分割される。すなわち、第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31c、第2R領域32a、第2G領域32b、第2B領域32cおよびW領域33に分割され、この順番で時計回りに配置される。ここでは、第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31c、第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cは、同じ中心角の扇形である。
【0037】
第1R領域31aおよび第2R領域32aは、入射光のうち赤成分を透過し、それ以外の色成分を遮断する。第1G領域31bおよび第2G領域32bは、入射光のうち緑成分を透過し、それ以外の色成分を遮断する。第1B領域31cおよび第2B領域32cは、入射光のうち青成分を透過し、それ以外の色成分を遮断する。W領域33は、入射光のすべての色成分を透過する。
【0038】
なお、W領域33は設けられなくてもよい。すなわち、R領域、G領域およびB領域のみのカラーホイールであってもよい。また、W領域33の代わりに、シアン、マゼンダ、イエローなどの補色領域が設けられてよいし、黒領域が設けられてもよい。また、W領域33の代わりに、W領域と、補色領域または黒領域との組み合わせ領域が設けられてもよい。
【0039】
カラーホイール3の第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31c、第2R領域32a、第2G領域32b、第2B領域32cおよびW領域33は、偏光板ホイール2の第1横偏光領域21a、第2横偏光領域21b、第3横偏光領域21c、第1縦偏光領域22a、第2縦偏光領域22b、第3縦偏光領域22cおよび無偏光領域(NP)23に、それぞれ同期して回転する。そのため、第1R領域31aと第1横偏光領域21aとの中心角、第1G領域31bと第2横偏光領域21bとの中心角、第1B領域31cと第3横偏光領域21cとの中心角、第2R領域32aと第1縦偏光領域22aとの中心角、第2G領域32bと第2縦偏光領域22bとの中心角、第2B領域32cと第3縦偏光領域22cとの中心角、およびW領域33と無偏光領域(NP)23との中心角は、それぞれ同じであることが望ましい。
【0040】
三次元モードでは、制御部10は、ホイール駆動部11に偏光板ホイール2およびカラーホイール3を実質的に同じ速度で回転させる(図2(a)参照)。したがって、三次元モードにて、カラーホイール3から出射される光は、縦偏光成分の青色光、縦偏光成分の緑色光、縦偏光成分の赤色光、横偏光成分の青色光、横偏光成分の緑色光、横偏光成分の赤色光、無偏光の白色光の順に、繰り返し切り換えられる。したがって、偏光メガネを装着した観察者に、立体カラー映像を認識させることが可能となる。なお、モノクロ画像を表示する場合や、カラーホイール3以外の構成でカラー画像を生成する場合、カラーホイール3を設ける必要はない。
【0041】
なお、三次元モードでは無偏光の白色光は使用しないため、制御部10は、無偏光領域(NP)23が透過部2aを横切る期間(図2(b)参照)、光変調素子8に黒画像を設定する。すなわち、その期間には、投影面に光が照射されない状態に設定する。三次元モードで無偏光の光が投影面に照射されると、偏光メガネを装着した観察者にとって、ノイズ画像となる。上述したように、無偏光領域(NP)23が透過部2aを横切る期間に、黒画像を設定することにより、主観画質の低下を抑制することができる。
【0042】
二次元モードでは、制御部10は、ホイール駆動部11に、無偏光領域(NP)23が透過部2aに重なる位置まで偏光板ホイール2を回転させ、両者が重なったら偏光板ホイール2を静止させる。すなわち、偏光板ホイール2を通る光路に対して、無偏光領域(NP)23を固定的に位置づける。これにより、二次元モードでは、偏光板ホイール2が存在しない状況を作り出すことができる。
【0043】
ここまで説明の分かりやすさから、光源1からみて、偏光板ホイール2、カラーホイール3の順に設置される例を説明した。この点、光源1からみて、カラーホイール3、偏光板ホイール2の順に設置されてもよい。むしろ、この順に設置されることが好ましい。
【0044】
一般的に、偏光板ホイールは、PVA(Poly Vinyl Alcohol)などの有機材を主要部材として生成され、カラーホイールは、ダイクロイックミラーにより形成される。したがって、偏光板ホイール2は透過しなかった成分の多くを吸収し、カラーホイール3は、透過しなかった成分の多くを反射する。偏光板ホイール2に吸収される光は熱を発生させ、その熱は、偏光板ホイール2の劣化を早める原因となる。
【0045】
光源1からみて、カラーホイール3、偏光板ホイール2の順に設置した場合、偏光板ホイール2、カラーホイール3の順に設置される場合と比較し、偏光板ホイール2に入射される光量を約1/3に低下させることができる。したがって、前者の配置のほうが、偏光板ホイール2に発生する熱を少なくすることができ、偏光板ホイール2の寿命を延ばすことができる。
【0046】
以上説明したように、実施の形態1、2によれば、偏光板ホイール2に無偏光領域23を設けたことにより、簡素な構成で、光量の低下を抑制しつつ、無偏光状態と偏光状態とを切り換えることができる。
【0047】
すなわち、既存の投写型映像表示装置100のカラーホイール3の前段または後段に偏光板ホイール2を追加し、カラーホイール3と同様に回転させるだけの制御を追加すればよいことから、追加される構成は簡素なものである。また、二次元モードでは光路に無偏光領域23を固定的に配置させることにより、偏光板ホイール2が存在しない状態と同様の状態を作り出すことができる。したがって、二次元モードでも、従来と同様の光量を確保することができる。この点、無偏光領域23が存在せず、偏光板ホイール2を光路から外す機構が存在しない場合、偏光板ホイール2を通過することにより光量が半減してしまう。
【0048】
図3は、本発明の実施の形態3に係る投写型映像表示装置100の構成を示す概略図である。実施の形態3に係る投写型映像表示装置100は、実施の形態1に係る投写型映像表示装置100の構成に、1/2波長板(λ/2位相差板ともいう)ホイール4が追加された構成である。
【0049】
1/2波長板ホイール4は、偏光板ホイール2より後段に設置され、偏光板ホイール2を透過した横偏光成分および縦偏光成分のそれぞれの偏光方向を補正する。1/2波長板ホイール4は、入射光の互いに直交する成分に180°の位相差を与えることにより、直線偏光を回転させることができる。その回転角は、入射偏光と遅相軸とのなす角にて調整可能であり、たとえば、直線偏光と遅相軸とのなす角が45°の場合、その直線偏光の偏光面が90°回転する。
【0050】
三次元モードにて、制御部10は、偏光板ホイール2を透過した横偏光成分および縦偏光成分のそれぞれの偏光方向を一定に保つべく、ホイール駆動部11に1/2波長板ホイール4を回転させる。二次元モードでは、1/2波長板ホイール4に無偏光の光が入射されるため、1/2波長板ホイール4を回転させる必要はない。
【0051】
図4は、実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4の状態遷移の第1フェーズ(横偏光成分の出射期間)を説明するための図である。図4(a)は、偏光板ホイール2の第1フェーズの状態遷移(半回転)を示し、図4(b)は、1/2波長板ホイール4の第1フェーズの状態遷移(1/4回転)を示し、図4(c)は、偏光板ホイール2を通過後の光の偏光方向の、第1フェーズの遷移を示し、図4(d)は、1/2波長板ホイール4の遅相軸の方向の、第1フェーズの遷移を示し、図4(e)は、1/2波長板ホイール4を通過後の光の偏光方向の、第1フェーズの遷移を示す。
【0052】
図5は、実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4の状態遷移を第2フェーズ(縦偏光成分の出射期間)を説明するための図である。図5(a)は、偏光板ホイール2の第2フェーズの状態遷移(半回転)を示し、図5(b)は、1/2波長板ホイール4の第2フェーズの状態遷移(1/4回転)を示し、図5(c)は、偏光板ホイール2を通過後の光の偏光方向の、第2フェーズの遷移を示し、図5(d)は、1/2波長板ホイール4の遅相軸の方向の、第2フェーズの遷移を示し、図5(e)は、1/2波長板ホイール4を通過後の光の偏光方向の、第2フェーズの遷移を示す。
【0053】
当該実施例1に係る偏光板ホイール2は、二つの半円領域に分割される。一方が横偏光領域21であり、他方が縦偏光領域22である。透過部2aは光路である。当該実施例1に係る1/2波長板ホイール4は、遅相軸の方向が一つに設計され、全領域について共通である。透過部4aは光路である。
【0054】
三次元モードにて、制御部10は、偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4を回転させる。制御部10は、偏光板ホイール2の横偏光領域および縦偏光領域のそれぞれの偏光方向と1/2波長板ホイール4の遅相軸の方向が45°ずれた状態から、偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4を回転させる。その際、1/2波長板ホイール4を、偏光板ホイール2の回転速度の実質的に半分の速度で回転させる。
【0055】
以下、図4、5を参照して具体的に説明する。図4、5では、左から右に状態が遷移する。図4にて、第1フェーズの初期状態では、偏光板ホイール2は、垂直中心線を境に、左側が横偏光領域21、右側が縦偏光領域22に配置される。1/2波長板ホイール4は、その遅相軸の方向が垂直中心線から45°時計回りに進んだ状態である。
【0056】
この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aの左半分を通過後の光の偏光方向は、垂直方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに90°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、水平方向となる。
【0057】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向から時計回りに45°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、水平方向となる。
【0058】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、水平方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により回転されず、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、水平方向となる。
【0059】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向から時計回りに135°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により反時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、水平方向となる。
【0060】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aの右半分を通過後の光の偏光方向は、垂直方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により反時計回りに90°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、水平方向となる。
【0061】
図5にて、第2フェーズの初期状態では、第1フェーズの終了状態と同じ状態である。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aの右半分を通過後の光の偏光方向は、水平方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに90°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向となる。
【0062】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、水平方向から時計回りに45°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向となる。
【0063】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により回転されず、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、垂直方向となる。
【0064】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、水平方向から時計回りに135°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により反時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向となる。
【0065】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aの右半分を通過後の光の偏光方向は、水平方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により反時計回りに90°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、垂直方向となる。この状態は、第1フェーズの初期状態と同じ状態である。
【0066】
このように、第1フェーズでは1/2波長板ホイール4を通過後の光の偏光方向が常に水平方向に保たれ、第2フェーズではその偏光方向が常に垂直方向に保たれる。すなわち、偏光板ホイール2の回転角と関係なく、1/2波長板ホイール4を通過後の光が、偏光板ホイール2が180°回転するたびに、横偏光成分と縦偏光成分との間で交互に切り換わる。
【0067】
図6は、実施の形態4の実施例1に係る偏光板ホイール2と、カラーホイール3との関係を示す図である。ここでは、カラーホイール3は六つの扇形領域に等分割される。すなわち、第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31c、第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cに分割され、この順に時計回りに配置される。第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31cは、偏光板ホイール2の横偏光領域21に同期して回転し、第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cは、偏光板ホイール2の縦偏光領域22に同期して回転する。これにより、二種類の偏光状態のそれぞれにおいて、カラー画像を生成することができる。
【0068】
偏光板ホイール2とカラーホイール3とは、図3に示すように別々に設けられてもよいし、一体的に形成されてもよい。一体的に形成される場合、図6に示すように、第1R領域31a、第1G領域31および第1B領域31cにより形成される半円領域を横偏光領域に割り当て、第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cにより形成される半円領域を縦偏光領域に割り当てる。
【0069】
なお、モノクロ画像を表示する場合や、カラーホイール3以外の構成でカラー画像を生成する場合、カラーホイール3を設ける必要はない。
【0070】
図7は、実施の形態4の実施例2に係る偏光板ホイール2、カラーホイール3および1/2波長板ホイール4を示す図である。なお、図7では偏光板ホイール2とカラーホイール3とを一体的に描いているが、上述したように別々に設けられてもよい。
【0071】
当該実施例2に係るカラーホイール3は、六つの扇形領域に等分割される。すなわち、第1R領域31a、第1G領域31b、第1B領域31c、第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cに分割され、この順に時計回りに配置される。第1R領域31a、第1G領域31bおよび第1B領域31cはそれぞれ、偏光板としての機能も備え、半径方向に対して直交する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を遮断する。第2R領域32a、第2G領域32bおよび第2B領域32cもそれぞれ、偏光板としての機能も備え、半径方向に平行する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を遮断する。
【0072】
当該実施例2に係る1/2波長板ホイール4は、十二の扇形領域に等分割される。すなわち、第1横遅相軸領域41a、第2横遅相軸領域41b、第3横遅相軸領域41c、第4縦遅相軸領域42d、第5縦遅相軸領域42e、第6縦遅相軸領域42f、第4横遅相軸領域41d、第5横遅相軸領域41e、第6横遅相軸領域41f、第1縦遅相軸領域42a、第2縦遅相軸領域42bおよび第3縦遅相軸領域42cに分割され、その順に時計回りに配置される。
【0073】
第1横遅相軸領域41a、第2横遅相軸領域41b、第3横遅相軸領域41c、第4横遅相軸領域41d、第5横遅相軸領域41e、第6横遅相軸領域41fはそれぞれ、半径方向に対して直交する方向に遅相軸の方向が設計される。第1縦遅相軸領域42a、第2縦遅相軸領域42b、第3縦遅相軸領域42c、第4縦遅相軸領域42d、第5縦遅相軸領域42eおよび第6縦遅相軸領域42fはそれぞれ、半径方向に平行する方向に遅相軸の方向が設計される。
【0074】
制御部10は、カラーホイール3の第1R領域31aと、1/2波長板ホイール4の第4縦遅相軸領域42dおよび第5縦遅相軸領域42eとが対応する位置から、カラーホイール3および1/2波長板ホイール4を回転させる。その際、後者の回転速度を前者の回転速度の1/2に設定する。
【0075】
当該実施例2によっても、カラーホイール3の回転角と関係なく、1/2波長板ホイール4を通過後の光が、カラーホイール3が180°回転するたびに、横偏光成分と縦偏光成分との間で交互に切り換わる。
【0076】
図8は、実施の形態4の実施例3に係るカラーホイール3および1/2波長板ホイール4を示す図である。当該実施例3は、上記実施例2と同様に、カラーホイール3が六分割され、1/2波長板ホイール4が十二分割されるが、それぞれにおいて分割された領域の配置が異なる。
【0077】
当該実施例3に係るカラーホイール3は、第1R領域31a、第2G領域32b、第1B領域31c、第2R領域32a、第1G領域31b、および第2B領域32cの順に時計回りに配置される。当該実施例3に係る1/2波長板ホイール4は、第1縦遅相軸領域42a、第1横遅相軸領域41a、第2縦遅相軸領域42b、第2横遅相軸領域41b、第3縦遅相軸領域42c、第3横遅相軸領域41c、第4縦遅相軸領域42d、第4横遅相軸領域41d、第5縦遅相軸領域42e、第5横遅相軸領域41e、第6縦遅相軸領域42fおよび第6横遅相軸領域41fの順に時計回りに配置される。
【0078】
制御部10は、カラーホイール3の第1R領域31aと、1/2波長板ホイール4の第4縦遅相軸領域42dおよび第4横遅相軸領域41d第4縦遅相軸領域42dとが対応する位置から、カラーホイール3および1/2波長板ホイール4を回転させる。その際、後者の回転速度を前者の回転速度の1/2に設定する。
【0079】
当該実施例3では、カラーホイール3の回転角と関係なく、1/2波長板ホイール4を通過後の光が、カラーホイール3が60°回転するたびに、横偏光成分と縦偏光成分との間で交互に切り換わる。当該実施例3では、上記実施例2と比較し、横偏光成分と縦偏光成分との切り換わり周波数が3倍となる。
【0080】
ここまで説明の分かりやすさから、カラーホイール3および偏光板ホイール2にそれぞれ、W領域33および無偏光領域23が設けられない例を説明した。以下、W領域33および無偏光領域23が設けられる例を説明する。なお、W領域33および無偏光領域23は、三次元画像を専用に表示する投写型映像表示装置100の場合、設ける必要はない。また、二次元画像を表示する際、偏光板ホイール2を光路から外す機構を備える投写型映像表示装置100でも、設ける必要はない。また、二次元画像を表示する際の光量の低下を甘受する場合も、設ける必要はない。
【0081】
図9は、実施の形態4の実施例4に係るカラーホイール3および偏光板ホイール2を示す図である。当該実施例4に係るカラーホイール3の構成は、図2に示したカラーホイール3の構成と同様である。当該実施例4に係る偏光板ホイール2の構成は、図4、5に示した実施例1に係る偏光板ホイール2に、無偏光領域(NP)23が追加された構成である。当該実施例4に係るカラーホイール3および偏光板ホイール2の動作は、図2に示した実施の形態2に係るそれらの動作と同様である。
【0082】
図10は、実施の形態4の実施例5に係る偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4の状態遷移を説明するための図である。図10(a)は、偏光板ホイール2の状態遷移(半回転)を示し、図10(b)は、1/2波長板ホイール4の状態遷移(1/4回転)を示し、図10(c)は、偏光板ホイール2を通過後の光の偏光方向の遷移を示し、図10(d)は、1/2波長板ホイール4の遅相軸の方向の遷移を示し、図10(e)は、1/2波長板ホイール4を通過後の光の偏光方向の遷移を示す。
【0083】
当該実施例5に係る偏光板ホイール2は、偏光方向が一つに設計され、全領域について共通である。当該実施例5に係る1/2波長板ホイール4は、八つの扇形領域に等分割される。すなわち、第1縦遅相軸領域42a、第1横遅相軸領域41a、第2縦遅相軸領域42b、第2横遅相軸領域41b、第3縦遅相軸領域42c、第3横遅相軸領域41c、第4縦遅相軸領域42dおよび第4横遅相軸領域41dに分割され、その順に時計回りに配置される。
【0084】
三次元モードにて、制御部10は、偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4を回転させる。制御部10は、偏光板ホイール2の偏光方向と、1/2波長板ホイール4の第1縦遅相軸領域42aの遅相軸の方向が一致した状態から、偏光板ホイール2および1/2波長板ホイール4を回転させる。その際、1/2波長板ホイール4を、偏光板ホイール2の回転速度の実質的に半分の速度で回転させる。
【0085】
以下、図10を参照して具体的に説明する。初期状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により回転されず、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、垂直方向となる。
【0086】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向から時計回りに45°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、水平方向となる。
【0087】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、水平方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により回転されず、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、水平方向となる。
【0088】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向から時計回りに135°回転した方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により時計回りに45°回転され、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向となる。
【0089】
つぎに、偏光板ホイール2が時計回りに45°回転し、1/2波長板ホイール4が時計回りに22.5°回転する。この状態では、偏光板ホイール2の透過部2aを通過後の光の偏光方向は、垂直方向である。その光は、1/2波長板ホイール4により回転されず、1/2波長板ホイール4の透過部4aを通過後の光の偏光方向も、垂直方向となる。この状態は、初期状態と同じ状態である。
【0090】
当該実施例5では、偏光板ホイール2の回転角と関係なく、1/2波長板ホイール4を通過後の光は、偏光板ホイール2が90°回転するたびに、横偏光成分と縦偏光成分との間で交互に切り換わる。
【0091】
以上説明したように、実施の形態3、4によれば、1/2波長板ホイール4を設置することにより、偏光板ホイール2から出射される互いに直交する二種類の偏光成分の精度を向上させることができる。すなわち、二種類の偏光成分のそれぞれの偏光方向を一定に保つことができる。
【0092】
偏光板ホイール2を回転させて、互いに直交する二種類の偏光成分を生成する場合、それぞれの偏光方向を一定に保つことが難しい。上述したように、偏光方向が所望の方向からずれてしまうと、偏光メガネを装着している観察者にとってノイズ画像となる。この点、1/2波長板ホイール4を設置することにより、当該観察者の主観画質を向上させることができる。
【0093】
実施の形態4に係る1/2波長板ホイール4を設置すると、実施の形態2に係る偏光板ホイール2から出射される偏光成分の精度を向上させることができ、実施の形態2に係る偏光板ホイール2の採用を、精度面からサポートすることができる。したがって、実施の形態3、4によれば、簡素な構成で、光量の低下を抑制しつつ、無偏光状態と偏光状態とを切り換えることができ、かつ偏光成分の精度を確保することができる。
【0094】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0095】
実施の形態1、3に係る投写型映像表示装置100に、偏光板ホイール2を冷却するための冷却機構を搭載してもよい。上述したように偏光板ホイール2は光を吸収するため熱を持つ。これに対し、ファンを搭載し、偏光板ホイール2に送風して偏光板ホイール2を冷却する。その際、偏光板ホイール2の中心点を対称点として、偏光板ホイール2の透過部2aと、点対称の関係となる位置をターゲット位置として送風してもよい。偏光板ホイール2は回転するため、直接、透過部2aをターゲット位置として送風しなくても、透過部2aを冷却することができる。
【0096】
偏光板ホイール2を通過する光路上に、ロッドインテグレータ5が存在するため、透過部2aを直接冷却する位置にファンを設置することは難しい。この点、透過部2aと点対称となる位置を冷却することにより、ファンの設置場所を確保することができる。なお、透過部2aと点対称となる位置ではなく、透過部2aを通る円周上の任意に位置を冷却してもよい。いずれの場合も、他の位置を冷却する場合より、冷却効率が高い。
【0097】
実施の形態3では、光源1からみて、偏光板ホイール2、カラーホイール3、1/2波長板ホイール4の順に配置される例を示したが、カラーホイール3、偏光板ホイール2、1/2波長板ホイール4の順に配置されてもよい。また、偏光板ホイール2、1/2波長板ホイール4、カラーホイール3の順に配置されてもよい。
【0098】
また、上述した偏光板ホイール2、カラーホイール3、1/2波長板ホイール4は、円盤状である例を説明したが、多角形状であってもよい。
【0099】
実施の形態1、2においては、第1横偏光領域21a、第2横偏光領域21b、第3横偏光領域21c、第1縦偏光領域22a、第2縦偏光領域22bおよび第3縦偏光領域2の扇形の中心角がそれぞれ異なっていてもよい。また、実施の形態3、4においては、扇形は円を等分割せず、それぞれ異なる中心角であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 光源、 2 偏光板ホイール、 3 カラーホイール、 4 1/2波長板ホイール、 5 ロッドインテグレータ、 6a、b コンデンサレンズ、 7 ミラー、 8 光変調素子、 9 投写レンズ、 10 制御部、 11 ホイール駆動部、 12 ランプ駆動部、 100 投写型映像表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に対向する面上に、
入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域と、
入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域と、
入射光のすべての偏光成分を透過する無偏光領域と、が形成され、
入射方向を回転軸方向として前記面が回転可能なことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学素子を用いた偏光板と、
二次元画像を表示させるための二次元モードと、三次元画像を表示させるための三次元モードとを切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、前記三次元モードでは前記偏光板を回転させ、前記二次元モードでは前記偏光板を通る光路に対して前記無偏光領域を固定的に位置づけることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記偏光板より後段に設置される1/2波長板をさらに備え、
前記制御部は、前記三次元モードにて、前記偏光板を透過した第1偏光成分および前記第2偏光成分のそれぞれの偏光方向を一定に保つべく、前記1/2波長板を回転させることを特徴とする請求項2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
回転することにより、それぞれ異なる複数の色成分を順次透過するカラーホイールをさらに備え、
前記カラーホイールは、前記偏光板の前段に設置されることを特徴とする請求項2または3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
入射光に対向する面上に、入射光のうち第1偏光成分を透過する第1偏光領域と、入射光のうち第2偏光成分を透過する第2偏光領域とが形成された偏光板と、
前記偏光板を透過した第1偏光成分および前記第2偏光成分のそれぞれの偏光方向を補正する1/2波長板と、
を備えることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の光学ユニットと、
前記偏光板および前記1/2波長板を回転させる制御部と、
を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−48071(P2011−48071A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195475(P2009−195475)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】