説明

光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定方法および実施装置

【課題】光学素子、例えばレンズ、またはそのようなレンズを製造するための型の、幾何学的または光学的構造を絶対的に測定する。
【構成】光学素子4を既知の波面を有する入射光によって照射し、該光学素子4における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面スロープのマップを与えられた面で測定装置2によって測定し、その測定したスロープのマップから計算手段3を用いた計算手続きの適用によって、該光学素子の幾何学的または光学的構造を導き出す。計算手段は、解析される該光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定するもので、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算し、その導関数から光の波面の曲率を計算し、その曲率から該光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定方法および実施装置に関するものである。この発明による方法は、光学素子の磨き面または屈折率の分布の絶対的測定を提供するものである。
【0002】
磨き面や屈折率分布の測定は、産業上多くの実際的適用を有する。特に眼科分野において眼科レンズを検査し測定するのに有用である。これはまた製造型(モールド)、例えば眼科レンズの製造に使用される型を検査し測定するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
光学素子の検査においては、位相の検出を利用するいわゆるロンキ試験がすでに提案されている。周知のように、ロンキ試験は、検査される光学素子からの光波が収束する点に交互に透明、不透明な平行線を有する回折格子を挿入し、ついでその下流において観察可能な縞模様の成分を分析することからなる。
【0004】
もし、回折現象を考慮しないで、幾何光学の法則のみに限定すれば、これらの縞模様は関係する波を構成する光線の方向を表すものであり、かつその収差の特徴を示すものである。それらのスロープは、対応した波の面とその曲率中心が格子の平面に位置する球状波面との間の差を反映している。したがって、検査すべき光学素子上の全ての点においてこのスロープを測定すれば十分であり、このことは実際には位相検出を用い、次いで該素子の面の欠陥を見出すために積分を行うことによって達成される。
【0005】
このような方法を実施可能にする光学的装置は、特に「アプライド オプチックス」1984年10月15日23巻20号に発表された「非球面に対する縞走査ロンキ試験」という記事および同誌1988年2月1日27巻3号に発表された「位相測定ロンキ試験」という記事中に記載されている。一般的に、この光学的装置は、光軸に沿って配置された、コヒーレント点光源を構成するのに適した発光手段、検査される光学素子を支持するように設計された制御ステーション、ロンキ格子、このロンキ格子の下流で観測可能な像を受信するように適応させた受信手段、および位相検出を用いこの像を利用するように設計された計算手段からなる。
【0006】
光学素子を検査する他の装置が提案されている。この場合には、2つ組み合わさった実質的に平行なロンキ格子の使用が提案されており、検査されている面におけるコヒーレント光の透過または反射によってスクリーン上に得られたモアレ縞が観察される。ロンキ試験と同様に、得られたこのモアレ模様が平らな理論的波面と検査されている面における透過または反射によって得られた波面との間の差のスロープとしての表示である。
【0007】
この原理を用いる光学的装置は、例えば「オプティックス アンド レーザーズ イン エンジニャリング」8 (1988), ページ 277-320に発表されたアイ.グラットおよびオー.カフリによる「モアレ デフレクトメトリ − レイ トレーシング インタフェロメトリ」中に記載されている。このような装置は、典型的には平行化された光源を含み、これは解析されるべき面によって透過または反射されて一対のロンキ格子へ向かい、像はマットスクリーン上に投影される。得られたモアレ模様の定量的解析は、期待された模様と比較すると、収差を見つけることを可能にする。格子間の距離を変化することは、平らな理論的波面と比較して測定された波面の変分の計算とともに定量的測定を可能にする。
【0008】
最後に、フランス特許第2,647,912号および第2,647,913号中に記載された装置においては、測定されるべき実際の面のスロープのマップが位相検出を用いたデフレクトメトリ(変位測定法)によって得られ、得られた実際の面のスロープのマップから公称の理論的面のマップを差し引いたのちに、欠陥のスロープのマップを得ることは簡単であり、かくして積分によって実際の面の再構成を可能にする。
【特許文献1】フランス特許第2,647,912号明細書
【特許文献2】フランス特許第2,647,913号明細書
【非特許文献1】「アプライド オプチックス」1984年10月15日23巻20号に発表された「非球面に対する縞走査ロンキ試験」という記事
【非特許文献2】「アプライド オプチックス」1988年2月1日27巻3号に発表された「位相測定ロンキ試験」という記事
【非特許文献3】「オプティックス アンド レーザーズ イン エンジニャリング」8 (1988) 277-320頁に発表されたアイ.グラットおよびオー.カフリによる「モアレ デフレクトメトリ − レイ トレーシング インタフェロメトリ」中の記載
【非特許文献4】ワイリによって出版されたディ.マラクラ著「オプティカル ショップ テスティング」中の記載
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記既知の装置は、既知の眼科レンズを、より一般的にはいかなる既知の面でも、高い精度をもって検査するのを可能とするが、実際の面と理論的面との間の変分の測定に限定されるという不利な点に難がある。換言すれば、測定される面の理論的形の既知の知識を含む相対的な方法の実施にすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定方法であって、
前記光学素子を既知の波面を有する入射光によって照射するステップと、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップを与えられた面で測定するステップと、
該光学素子の論理的な幾何学的または光学的構造についての既知の知識なしに、前記測定したスロープのマップから該光学素子の幾何学的または光学的構造を求める計算ステップとを含んでなり、
前記計算ステップは、解析される該光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定する計算ステップであり、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算するステップと、前記導関数から出発して、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面の曲率を計算するステップと、そのように計算された曲率から出発して、測定される該光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知るステップとを含む計算ステップである
ことを特徴とする方法を提供する。
【0011】
前記光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープマップを測定するために、この発明の方法は、好ましくは、デフレクトメトリ的方法を用い、測定されている該光学素子のイメージスペース中における多数の前記光線のパスを決定するステップを含む。
【0012】
デフレクトメトリ的方法とは、光ビームのスロープの線にアクセスするいかなる方法をも意味する。
【0013】
これらの方法は、次の3つのカテゴリーに入る。すなわち、ビームのパスにマスクを挿入することによって得られる「幾何学的」方法(フーコー、ロンキ、ハルトマン等)、モアレ方法(モアレ デフレクトメトリ、タルボー インタフェロメトリ等)、およびディフェレンシアル インタフェロメトリック方法(横方向、半径方向等)である。
【0014】
このような方法は、ワイリによって出版されたディ.マラクラ著「オプティカル ショップ テスティング」中に記載されている。
【0015】
有利なのは、光学的計算を用い、測定される光学素子のスペース中に光線を変換することである。
【0016】
この発明は、その実施態様によって、解析される光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定することを可能にする。その計算ステップは、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算するステップと、
前記導関数から出発して、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面の曲率を計算ステップと、
このように計算された曲率から出発して、測定される光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知るステップと
を含む。
【0017】
また、この発明は、光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定方法を実施するための装置を提供し、これは、
測定される前記光学素子を既知の波面を有する光によって照射する手段と、
測定される該光学素子を支持する手段と、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップを測定する手段と、
前記測定手段から結果を受け、該光学素子の論理的な幾何学的または光学的構造についての既知の知識なしに、前記測定結果のスロープのマップから該光学素子の幾何学的または光学的構造を求める計算手段とを含んでなり、
前記計算手段は、解析される該光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定する計算手段であり、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算し、前記導関数から出発して、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面の曲率を計算し、そのように計算された曲率から出発して、測定される該光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知ることを実行する計算手段である。
【0018】
この装置の1つの実施態様においては、前記測定手段がロンキ格子とマットスクリーンとCCDカメラとを含み、また他の実施態様においては、前記測定手段がロンキ格子とCCDカメラとを含む。
【0019】
測定される面を照射する前記手段は、好ましくは準点光源とこの光源をイメージングするためのシステムを含む。
【0020】
前記計算手段は光線トレーシングプログラムを含むものとすることができる。
【0021】
また、該装置はその光軸を実体化するために用いられるレーザービームを含むものとすることができる。
【0022】
最後に、前記支持手段は該装置の光軸に沿ってまたはこれと直交する平面内に移動可能であるようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、光学素子の幾何学的または光学的構造の測定方法を提供するものであって、面の理論的形または屈折率の理論的分布というような既知の知識を何ら必要としない絶対的な測定を提供する。この方法は、面の幾何学的形を決定し、または光学素子中で屈折率がいかに変化しているかを決定することを可能にした。
【0024】
また、この発明は、幾何学的または光学的構造のこの測定方法を高い精度をもって実施することを可能にする装置を提供する。
【0025】
この発明は、凸面または凹面に対し透過され、または反射した光を用い、面の幾何学的構造の絶対的測定を提供する。この発明は、面の実際の形を正確に測定することを可能にした。
【0026】
また、この発明は、傾斜屈折率を有する光学素子、換言すれば2つの既知のジオプトリー値の間からなる範囲内で変化する屈折率を有する材料によって構成された素子中における屈折率の分布の絶対的測定を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の種々の実施例について、添付の図面を参照しながら記述し、この発明の特徴と利点を明らかにする。
【0028】
以下の記述は、磨き面の幾何学的構造の絶対的測定の場合についてである。これは、二つの既知のジオプトリ値の間に含まれる傾斜屈折率の光学素子、つまり屈折率の変化する材料でできた素子の屈折率分布の測定方法に準用される。このためには、z(x,y)で定義される未知の「表面」Sを未知の「屈折率分布」n(x,y)で置き換えれば十分である。
【0029】
測定プロセスは、例えば以下に図1および3に関連して記述するタイプの装置を使用して、透過光のみを用いて行うことができる。当該光学素子のジオプトリパワーおよび厚さの幾何学的形状が分かれば、屈折率分布n(x,y)が測定可能である。
【0030】
初期化ステップは、一定屈折率の簡単な屈折率分布初期値NDで行う。
【0031】
図1は、透過光を使って磨き面を測定するためのこの発明による装置の簡略線図である。ここで、「測定」なる用語は、磨き面の幾何学的形状、つまり主曲率のマップの作成などの幾何学的特性値の量定(測定して決定すること)を意味するものとする。「磨き面」なる表現は、例えばプログレッシブレンズなどの光学素子の未知の表面を意味するものとする。そのようなレンズについて、一表面の形状と屈折率が判明しているとき、他の表面の特性値を絶対的な具合に解析できれば非常に有用である。「透過光を使った測定」なる表現は、光学素子を通り抜け、とりわけ測定すべき磨き面を通り抜けて伝達された光の測定により磨き面の測定を意味するものとする。
【0032】
図1は、この発明による装置のセットを示し、光軸Aに沿って、光源手段1と、示されていないが支持手段と、測定手段2とが配置されている。この装置は、さらに計算手段3を備えている。支持手段は、示されてはいないが、図1の例示ではプログレッシブレンズ(連続多焦点レンズ)など、表面が解析されるべき光学素子を支持することができるようになっているものとする。この測定セット内のレンズ4の一表面の形状と位置が分かっており、レンズ4の第二の表面6の特性値を絶対量として測定したいとする。プログレッシブレンズ4の屈折率が、与えられた点において厚さとともに、分かっているものとする。
【0033】
光源手段1は、既知の形状の波面を持った光をレンズ4へ照射する。この光は、レンズ4を通過して、測定手段2へ伝達される。測定手段2は、計算手段3に連結されており、測定すべき磨き面6により伝達された後、光の波面勾配のマップを量定(計測し値を定める)し、量定は、測定すべき光学素子の像平面において、なされる。
【0034】
レンズ4の面5上での入射波面の形状が分かっており、該表面5の形状がレンズ4の屈折率とともに分かっているので、計算手段3を使用して、測定すべき磨き面6に当たる入射光の波面の形状を量定することができる。この発明によれば、磨き面6を通して伝達された光は、続いて測定手段2により受光され、測定手段2は、計算手段3と組み合わさって、磨き面6を通り抜けた後の光の波面勾配を与えるマップを量定する。
【0035】
計算手段3は、図7と8を参照して後説するように、これらスロープから面6の絶対的特性値が求められるようにする。
【0036】
図1に示す基本的な計測用セットは、光学素子における屈折率分布を測定するのにも適している。
【0037】
図2は.反射光を使って磨き面を測定するためのこの発明による装置の要部を示す。ここで意味していることは、磨き面6の特性値を、その面で反射された光を測定することにより、測定することである。図2の装置は、光軸Aに沿って配置された光源手段1と、スプリット手段(分光手段)12と、測定されるべき面6を有する光学素子4を支承するように設計された図示されていない支持手段とを備えている。光源手段1から供給される光は、スプリット手段12により表面6へ伝達され、そこで反射されてスプリット手段12を介して測定手段2へ送られる。測定手段は、図1に示した装置の場合と同様に、像平面内の光の波面スロープのマップを量定し、それに引き続いて、計算手段3の使用により、磨き面6で反射後の光の波面スロープのマップを量定する。
【0038】
これらのスロープマップから、計算手段3は、面6の絶対的特性値を得ることができるようにする。その点は、図7および図8に関連して後ほど説明する。
【0039】
図3は、図1に示すタイプの透過光を用いて光学素子を測定するための装置の一実施例を示す詳細線図である。図3の例において、光学素子は、測定すべき面を持ったプログレッシブレンズ4から成っている。図3の装置は、光軸に沿って配置された準点光源20から成る光源手段、軸Aに沿って移動可能な光学システム21、および焦点集束光学システム22を備えている。移動可能な光学システム21は、測定すべきレンズのパワー加算ファクタの関数として、軸Aに沿って位置決めされる。集光システム22は,正または負の焦点を有し、正または負のパワー(レンズの度の強さ=ジオプトリ値)のレンズを解析できるようになっている。このようにして、プログレッシブレンズ4を測定するときは、集光システム22は、該レンズの遠用部分でのプログレッシブレンズのパワーの符号に応じて正または負となる。図3の装置は、さらに、光学素子4を支持する手段を、軸Aに沿って配置して、備えている。測定手段2は、光軸Aに沿って次に配置されているが、素子4の像をマットスクリーン24の上に形成するための光学システム23を備えている。この光学システム23は,後ろに公知のロンキ(Ronchi)格子25が取り付けられている。ロンキ格子を通してマットスクリーン24上に形成された像は、モザイクパターン型(画素情報式)のカメラ26でピックアップされる。このカメラは、例えば、マットスクリーン24上の複数点における光強度を測定できるCCDカメラである。カメラ26は、このようにして、計算手段3にマットスクリーン上の各点ごとの光強度の情報を供給することができる。それは、さらに、測定操作を追うために、マットスクリーン24の画像をビデオモニタで操作者に供給する。この発明の、他の実施例においては、光学システム23により形成された光学素子4の像がマットスクリーンを介さないでカメラ26によって直接フィルム撮影される。
【0040】
図3の装置において、磨き面の幾何学的構造の測定をするそれぞれの段階については、後ほど図6を参照してもっと詳細に述べる。
【0041】
図4は、光学素子4の幾何学的特性値を得るために、反射光による測定を用いる装置の一実施例の詳細線図を示す。この装置は、図2に示されるタイプのものである。図4の装置は、凸面の測定に適合させたものである。図4の装置は、平行光束を発する集光システム31の焦点に位置する準点光源30を備えている。この平行化された光束は、スプリッタ32およびアダプタ33を通って進む。アダプタ33のパワーは、測定中の光学素子4の磨き面のパワーに依存して設定する。アダプタ33は、既知の波面を持つ光を使ってS点に位置する素子4の面6を照らす。図4のI点は、点光源30の光学的共役点である。アダプタ33のパワーは、被測定面6のパワーの関数として選定される。より精密にいうと、点Iは、面6の最高パワー領域(レンズの度が最も強い部分)により作られる光源の像と面6の最低パワー領域(レンズの度が最も弱い部分)により作られる光源の像との間に位置する。プログレッシブ凸レンズの場合を考えると、点Iは、面6の近用領域によって作られる光源の像と面6の遠用領域によって作られる光源の像との間に位置することになる。
【0042】
被測定面によって反射された光は、アダプタ33を通り、次いでスプリッタ32を通って対物レンズ34へ進み、ロンキ格子36を介して被測定面の像をマットスクリーン35上に近似的に形成する。ロンキ格子36と光軸Aとの交点は、点Iの光学的共役点であり、その点Iは、点光源30の光学的共役点である。モザイクパターン型のカメラ37が、図3を参照して述べたのと同様に、マットスクリーン35上に形成された像をピックアップする。
【0043】
図4の装置では、スプリッタ32の下流(後ろ)の部分、言い替えれば、対物レンズ34、格子36,マットスクリーン35およびカメラ37は、全てあらゆる凸面の測定に採用し得る。また、同様に、光源側部分、言い替えれば、光源30および集光システム31は、あらゆる測定に使用することができる。必要なら、レンズの面6のパワーの関数として、アダプタ33を変更しさえすればよい。
【0044】
図5は、図4のものに類似の、しかし凹面の測定のための装置を示す。同一の素子には、同じ参照番号を付した。この装置は、図4の装置のように、光源30、集光システム31、およびスプリッタ32を備えている。この装置は、次に図4のセットにおけるアダプタ33に類似のアダプタ40を備えている。アダプタ40は、既知の波面の光を点Sに位置する調査すべき凹面へ向けて送る。点Iは、光学システム31、32および40によって得られるが、点光源30の光学的共役点である。点Sと点Iの相対的位置は、図4のセットの場合と同様に、被測定面の最小および最大パワーに依存する。凹面で反射された光は、アダプタ40、スプリッタ32を通って二つの対物レンズ41と42へ向けて進み、図4の装置においてと同様に、それらにより被測定面の近似像をマットスクリーン35上に、共役点Iをロンキ格子36の上に形成する。マットスクリーン35上の素子4の像は、モザイクカメラ37によりピックアップされる。
【0045】
凸面を測定するための装置の場合と同様に、対物レンズ41と42、格子36、マットスクリーン35およびカメラ37から成る像側部分は、あらゆる凹面を測定するのに採用できる。光源30、集光システム31およびスプリッタ32から成る光源側部分は、図4の装置と図5の装置で共通にすることができる。
【0046】
図6は、図5に示すタイプの装置、ただし反射光を用いた凸面の測定用ではあるが、の一実施例の詳細線図である。それは、対物レンズ42が装置内のその位置を変えずに異なる焦点のレンズの対物レンズ33’に置き換わっているという事実をのぞいて、図5に示すものと同一である。このように、図5の測定セットは、凹面に代えて凸面を測定するために、図6のセットに簡単に変更できる。逆の変更も可能であることは、明らかである。したがって、一つの対物レンズを他のと入れ替えるだけで、一つの装置を使って全タイプの面を測定することが可能である。
【0047】
図3,4,5および6を参照して述べた装置は、被測定面に準球状波面を持つ光を当てるように設計されている。しかしながら、これは特定の実施例であるに過ぎず、この発明による方法は、いかなる形の入射波面にも適用できるものである。
【0048】
図7を参照して、この発明による装置の運用について述べる。説明を簡単にするため、図5の装置の運用についてのみ述べるが、図3、4および6の装置も同様に運用されるものである。図7は、磨き面の幾何学的特性値の完全な測定におけるステップを示すフローチャートである。第一のステップ50は、測定すべき面を有する光学素子を支持手段に取り付けることにある。取り付けは、測定すべき面のほぼ中心を光軸A上に持って来て、面と光軸Aとの交点における面の法線を光軸とほぼ一致させるようにする。
【0049】
光学素子が所定位置に取り付けられると、ステップ51で支持手段を移動して、面をアダプタ40の焦点のほぼ近傍に持っていく。図5の装置において、支持手段は、測定すべき面を点Iの近くに持ってくる。
【0050】
測定すべき面の特性値によって、アダプタ40のパワー(度の強さ)を適当に選定する。実際の場合、被測定面(反射光を使っての測定の場合)または光学素子(透過光を使う場合)の平均パワーが大体どのくらいか分かっていれば、十分である。この点は、公知の適宜の手段で決めることができる。例えば、プログレッシブレンズの場合、基礎値は予め分かっている値であり、それによりアダプタ40のパワーを選ぶことができる。4枚のアダプタセットがあれば、0.50から10ジオプトリの間の通常のパワーの範囲をカバーすることができる。
【0051】
ステップ52では、素子の傾きが最終的に調整され、確実に正しく心合わせされる。ここに、心合わせとは、与えられた光が光源30を出てからマットスクリーン35に届くまでのパスの決定、または、同じことであるが、光軸との交点における被測定面の法線の決定を意味する。そのような心合わせにより、格子平面内に原点を設定することができる。
【0052】
この発明によれば、そのような心合わせは、装置の光軸Aに沿って出射されるレーザビーム43を使って簡単で正確な方法で行うことができる。このために、装置を組み立てるときに、光軸のマットスクリーン35との交点を、例えば支持手段内の点Iに位置する光軸に垂直に配置された鏡を使って具体化しておく。続いて、光軸のマットスクリーン35との交点を、カメラ37により供給される実際の画像上に、例えばソフトウエア発生の格子によって具体化することができる。
【0053】
計算をうまく行うために、この発明は、カメラ37からの画像内でレーザビームの交点を格子の内部に持ってくるように、支持手段上で被測定面の向きを正すことを提案する。このようにして、光軸Aとの交点において被測定面に垂直な線が当該光軸と一致する。
【0054】
このような心合わせを達成するために、被測定面の向きを変えないままで、カメラ37からの画像上に反射レーザビームの位置を捕捉することも、明らかに可能である。
【0055】
ステップ53では、被測定面を正確にアダプタ40の焦点に位置させる。
【0056】
ステップ54では、被測定面が測定位置に来るように測定手段を光軸Aに沿って動かす。図4を参照して説明したように、測定位置は、虚像光源たる点Iが被測定面の最高パワー領域(度が最も強いところ)を通ってきた光線と最低パワー領域(度が最も弱いところ)を通ってきた光線との間に位置することになる箇所である。実際では、測定位置は、被測定面の基礎値およびパワー加算ファクタの予め分かっている概略値によって決められる。
【0057】
ステップ55では、最初の一連の測定が、光軸に垂直な方向、そして例えば、該光軸に垂直でかつ図5の面内に存在する方向に、行われる。論文に書いたように、これらの測定は、ロンキ格子の位置の変化のためにカメラ37の異なる点における光強度情報を記録することにある。言い替えると、格子をその都度その面内で格子上の線の方向に垂直に動かして、格子による干渉縞に対応する画像が記録される。
【0058】
ステップ56では、格子を90度回して、新しく一連の測定をステップ55で得たのと同様に始める。
【0059】
ステップ57では、ステップ55と56で得た結果を計算手段に供給して処理する。このことについては、図7を参照してより詳細に説明する。このようにして、測定すべき面の特性値が量定(測定により決定)される。
【0060】
ステップ58では,被測定面の特性値が判明しているが、これらの特性値は、装置にリンクした基準フレーム(座標系)において分かっているのであって、実際の被測定面にリンクしてではない。言い替えると、この発明により測定された特性値は、被測定面を支持するのに使った手段に関連して分かっているものである。したがって、これらの結果を使えるようにするには、面の特性値をそれ自身の基準フレームにおいて知るために基準フレームの変更を実施することが重要である。光学レンズの場合は、この基準フレームは、一般に面上の彫り込み、例えば二つの彫り込まれた微小円、で構成(設定)される。
【0061】
この発明によれば、基準フレームの変更は、測定素子ごとの支持手段を採用することによりなされる。支持手段は、光軸に沿ってのみならず、それに直交する面内でも動くように設計されているものとする。例えば、支持手段は、カメラ37の行および列に対して平行に動く2モータ駆動架台に取り付けられている。そうすれば、基準フレームの変更が、装置の光軸から材料の中へ入るレーザビームを使って達成できる。これについては、すでにステップ52の説明の中で述べた。
【0062】
基準フレームを変更するために、初期ステップは、被測定面をアダプタ40の焦点に戻すことにある。これは、ステップ51においてのように、支持手段を光軸に沿って動かすことにより達成される。この後で、彫り込みをアダプタ40の焦点に一致させるために、被測定素子が光軸に垂直な面内で、また必要に応じて光軸に沿って動かされる。アダプタ40により作られる彫り込みの像は、カメラ44により受けられ、光軸とカメラのCCDの面の交点は十字線の助けにより見えるようになっている。
【0063】
カメラ44により供給される彫り込みの画像の中心を十字線に合わせると、光軸に垂直な平面内での移動が確認される。これに続いて、他方の彫り込みについても同様の手順が採用される。
【0064】
このようにして、測定装置にリンクした基準フレーム内における彫り込みの位置が分かる。心合わせの手順のお陰で、被測定面の光軸との交点における法線が分かっている。これらの要素により、出力信号として、彫り込みにリンクした基準フレーム内での被測定点の特性値を供給するために、基準フレームの簡単な変更を行うことが可能である。
【0065】
ステップ58の後は、被測定面の特性値がその面にリンクした基準フレーム内の値として利用可能である。
【0066】
図5を参照して行ったこの装置の運用の説明は、図3および4の装置についても準用で当てはまる。
【0067】
図8は、この発明による方法の一実施例における測定および計算ステップを示すフローチャートである。以下の記述においては、説明の容易のため、システムの光軸に沿ってz軸を取った正規直交座標の基準フレームを採用する。その基準フレームでは、被測定面は、関数 z=f(x,y) で表される。
【0068】
ステップ60では、先にステップ55および56で得た画像に基づいて、位相検出により格子の平面内における各光ビームの交点の位置を計算することが可能である。
【0069】
カメラ37の横軸の拡大率が分かっているので、それから各光ビームのマットスクリーンの平面との交点の位置を導き出すことが可能である。格子とマットスクリーンの間の距離が完全に分かれば、それから各光ビームについての式を導き出すことが可能である。
【0070】
これに続いて、光学計算を用いて、光ビームが測定された空間から測定中の光学部材の空間への光ビームの置換が達成される。そのような光線の置換により、この発明による方法の計算ステップを簡単にし、迅速化することが可能となる。このことは、以下にこの発明による計算ステップに採用されるメリット関数について説明すれば、より明白になるであろう。
【0071】
この発明の第一の実施例においては、計算ステップ61〜64により、測定すべき光学素子の幾何学的特性値を、被測定面の三次元表現の形で量定することが可能である。
【0072】
ステップ61では、結果の面(最終的に得られた面)は、簡単な始めの面SD を使って初期化される。言い替えれば、面形状の初期値が用意される。
【0073】
ステップ62では、この最終的な結果の面について、したがって、該簡単な始めの面SD (メリット関数の値の)についてまず最初に計算がなされる。このメリット関数は、測定すべき面が結果の面で置き換えられたときに測定システムに導入された変更(変分)を表している。
【0074】
別の言い方をすれば、測定システムにおける実際の状態と、被測定面に代えて結果の面が測定システムにセットされていたとしたら結果の面がもたらしていたであろう状態と、の比較がなされる。測定の全ての特性値が予め分かっていて、ただ単に被測定面が分かっていないだけなので、結果の面の効果を計算することが可能である。したがって、測定システム内における結果の面の存在をシミュレーションすることが可能である。
【0075】
メリット関数は、結果の面が測定面に厳密に等しいとき、ゼロの最小値をとるように、選ばれる。メリット関数の一実施例を以下に詳細に述べる。
【0076】
ステップ63では、このように計算されたメリット関数の値が、第一の所定のしきい値(スレッショルド)と比較される。もし、見つけられた値が該しきい値より高ければ、ステップ64へ進み、そうでなければ、そのようにして得られた結果の面は測定すべき面の良好な近似であるとみなす。この計算の仕方により、結果の面が十分な正確さで被測定面の表現を迅速に得るようにできれば、計算の続行を避けることができる。
【0077】
ステップ64では、結果の面の最適化が実行される。実際上、メリット関数は、結果の面の関数である。このため、例えば、最小二乗法を使っての最適化のような、最適化法を使って結果の面を最適化することが可能である。これにより、中間の面SI の形で新しい結果の面を得ることが可能となる。この面SI は、測定すべき面の近似を表し、この発明の少なくともいくつかの実施例では、それで十分である。この発明に従って、複数の最適化ステップで進めることも可能である。この図の場合、ステップ64に続いて、SI を得た状態で、ステップ62へ戻る。
【0078】
そして、結果の面、つまり現在の中間の面についてメリット関数の新たな計算がなされる。ステップ63では、メリット関数の値を第一の所定のしきい値と比較するだけでなく、それを先行ステップで得られた値とも比較する。もし、二つの引き続いたステップの間で得られた値の間の差異がほんの僅かであれば、言い替えれば、もしそれが第二の所定のしきい値より小さければ、面SI は、被測定面の十分に正確な代替表現である。これは、事実、二つの続いたステップにおける計算結果の面の間にほんの小さな変分しかないことを意味する。
【0079】
では、例として、この発明による方法において使用され得るメリット関数について述べる。このメリット関数は、測定すべき面で反射されまたは透過された複数の光ビームを考えることによって得られる。それぞれの光ビームについて、光線トレーシングプログラムを使って理論上の光ビームの計算がなされる。この理論上の光ビームは、結果の面、すなわち簡単な始めの面SD または中間の面SI 、に到達すると、同じように反射されまたは透過するものである。言い替えれば、被測定面の下流にある光ビームが考えられて、そして、光線トレーシングプログラムを使って、もし被測定面が簡単な始めの面SD または中間の面SI に置き換えられていたとしたらこの光ビームが辿っていたであろうパスが、後ろ向きにトレースされる。測定装置の種々の部分について諸元が分かっていると、光ビームSD のパスを光源の面のところまで計算することが可能である。
【0080】
以上説明してきたように、光学計算を用いて、光ビームをそれが測定された空間から測定項目の空間へ移しておくと、好都合である。このため、メリット関数を計算するときは、光ビームのパスが、それが測定された空間からでなく、被測定面に直続の空間からトレースバックされる。
【0081】
測定装置において点光源が使用される場合は、まさに光源の平面のところまで光ビームをトレースバックすることが可能である。光ビームと光源の中心との間の距離がこの平面の中で計算される。
【0082】
メリット関数を得るためには、このように計算された距離の二乗を複数の光線について加算する。このメリット関数は、したがって、複数光線中の各光線の反射または透過の点における測定すべき面と結果の面(簡単な始めの面SD または中間の面SI )との間の局部的ずれを表すものである。
【0083】
もちろん、他のいかなるタイプのメリット関数でも採用できるのは明らかである。とりわけ、光線の間のずれは、光源の平面以外の平面内で計算することができる。
【0084】
結果の面、簡単な始めの面、または中間の面を表すために、直交関数ファミリ(族)の線形結合からなる関数を採用するのが好都合である。この場合、メリット関数は、線形結合の種々の係数の関数である。そうすれば、最適化は、例えば、最小二乗法式の手法を用いて種々の係数を変えることによって行うことができる。
【0085】
直交関数ファミリを使用することは、この発明による方法が複数の最適化ステップを含んでいるとき、特に好都合である。この理由により、もし最適化ステップにおいて関数が線形結合に加算されると、種々の関数の直交性のため先に計算された線形関数の係数は、変わったとしても、非常に僅か変わるだけである。
【0086】
したがって、結果の面を表すためにツェルニケ(Zernike)多項式、ディスク上で直交であるが、を採用することができる。そうすれば、簡単な始めの面は、2次のツェルニケ多項式で表される放物面を用いて初期化することができる。初期化ステップにおいては、被測定面は、放物面であり、したがって0次、1次、2次のツェルニケ多項式で表され、最適化が三つの係数でもってなされる。各ステップにおいて、メリット関数の値の変化が所定の第三のしきい値より大である限り、複数の最適化ステップが0次、1次、2次の多項式で表される関数を用いて繰り返し実行される。メリット関数の値が最初第三のしきい値より小さい分量でしか変化しないで始まる場合は、中間の面を表す関数は、3次、4次、5次のツェルニケ多項式により完全となる。メリット関数は、再び計算され(ステップ62)、そしてステップ63において、もし得られた近似が十分であれば、メリット関数の値を前述の第一のしきい値と比較して、決定される。比較的正則な面の場合は、このように既に満足な関数表現を得ることができる。
【0087】
同様に、ツェルニケ多項式の最大次数を順次10、15、20と増加しながら続けていく。
【0088】
この発明に従った複数の次数増加最適化ステップは、一方において、上述のように、メリット関数の値が所定の第一のしきい値より下になったときいつでも計算を中止できるという利点を提案している。これは、第二に、低次ほどずっと速くなる計算をスピードアップするという利点を提供する。また、ノイズの程度を減少させた解に収束することも可能にしている。
【0089】
以上の説明は、光学素子の光学的構造の測定に、そして例えば、傾斜屈折率の光学素子、言い替えれば、二つの既知のジオプトリ値間にある屈折率変化材料でできた素子の屈折率分布の測定にそのまま拡張して当てはまる。
【0090】
この発明の第二の実施例においては、計算ステップにより、面の主曲率を与えるマップの形での解析の下に面の特性値を決定することが可能である。
【0091】
ステップ65では、測定段階の間に、複数の点において、光学システムの空間内で得た情報の派生関数(導関数)を計算することから始める。
【0092】
ステップ66では、被測定面での反射後または透過後の波面の曲率がその派生関数を基に決定される。
【0093】
ステップ67では、入射波の形が分かって、被測定面の主曲率が決定される。
【0094】
この発明は、もちろんここに記述し図解した実施例に限定されず、クレイムした発明から離れることなく、当業者にとって利用可能な非常に多くの変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】透過光を用いて磨き面を測定するためのこの発明による装置を示す簡略線図である。
【図2】反射光を用いて磨き面を測定するためのこの発明による装置を示す簡略線図である。
【図3】図1に示すタイプの装置の一実施例の詳細線図である。
【図4】反射光を用いて凸面を測定するための図2に示すタイプの装置の一実施例の詳細線図である。
【図5】反射光を用いて凹面を測定するための図2に示すタイプの装置の一実施例の詳細線図である。
【図6】反射光を用いて凸面を測定するための図5に示すタイプの装置の一実施例の詳細線図である。
【図7】図3、4または5に示すタイプの装置における磨き面の完全測定のステップを示すフローチャートである。
【図8】この発明による方法の一実施例における計算のステップを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
A…光軸、1…光源手段、2…測定手段、3…計算手段、4…光学素子、5…既知の面、6…被測定面、12…スプリット手段、20…準点光源、21…光学システム、22…集光システム、23…光学システム、24…マットスクリーン、25…ロンキ格子、26…カメラ、30…点光源、31…集光システム、32…スプリッタ、33…アダプタ、34…対物レンズ、35…マットスクリーン、36…ロンキ格子、37…モザイクカメラ、41…対物レンズ、42…対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定方法であって、
前記光学素子を既知の波面を有する入射光によって照射するステップと、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップを与えられた面で測定するステップと、
該光学素子の論理的な幾何学的または光学的構造についての既知の知識なしに、前記測定したスロープのマップから該光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定する計算ステップとを含んでなり、
前記計算ステップが、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算するステップと、
前記導関数から出発して、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面の曲率を計算するステップと、
このように計算された曲率から出発して、測定される該光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知るステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記光学素子における反射または該光学素子の透過後の前記光の波面のスロープのマップを測定するステップが、デフレクトメトリ的方法を用い、測定されている該光学素子のイメージスペース中における複数の前記光線のパスを決定することによって実施される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記デフレクトメトリ的方法が、前記光学素子において反射され、または該光学素子を透過した光のパスへのロンキ格子の挿入による幾何学的方法である
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法であって、さらに、
光学的計算を用い、測定される前記光学素子のスペース中に前記光線の位置を変えることからなるステップを含んでなる
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
光学素子の幾何学的または光学的構造の絶対的測定装置であって、
測定される前記光学素子を既知の波面を有する光によって照射する手段と、
測定される該光学素子を支持する手段と、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップを測定する手段と、
前記測定手段から結果を受け、該光学素子の論理的な幾何学的または光学的構造についての既知の知識なしに、前記測定結果のスロープのマップから該光学素子の面の特性値をその主曲率のマップの形で決定する計算手段とを含んでなり、
前記計算手段が、
該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面のスロープのマップについて複数の方向において導関数を計算し、
前記導関数から出発して、該光学素子における反射または該光学素子を透過後の前記光の波面の曲率を計算し、
このように計算された曲率から出発して、測定される該光学素子の面の主曲率のマップを計算し、該光学素子へ入射する光の波面を知る手段である
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記測定する手段が、ロンキ格子とマットスクリーンとCCDカメラとを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、
前記測定する手段が、ロンキ格子とCCDカメラとを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の装置において、
測定される面を照射する前記手段が、準点光源とこの光源をイメージングするためのシステムを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれかに記載の装置であって、さらに、
該装置の光軸を実体化するために用いられるレーザービームを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかに記載の装置において、
前記支持手段が、該装置の光軸に沿ってまたはこれと直交する平面内において移動可能である
ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−133241(P2006−133241A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23277(P2006−23277)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【分割の表示】特願平6−220438の分割
【原出願日】平成6年9月14日(1994.9.14)
【出願人】(594066420)エシロール エンテルナショナル (コンパニ ジェネラル ドプチック) (5)
【Fターム(参考)】