説明

光学読取装置、及び、記録装置

【課題】読取対象物のサイズにかかわらず、読取対象物の表面を光学的に読み取る読取部に読取対象物を密着させて、確実に読み取る。
【解決手段】カード型記録媒体Sbの表面を光学的に読み取る表面スキャナー111と、表面スキャナー111に対してカード型記録媒体Sbを搬送する搬送機構100とを備え、表面スキャナー111は、長手形状に構成され、搬送機構100によってカード型記録媒体Sbが搬送される搬送路Aの幅方向に延設され、搬送路Aに位置するカード型記録媒体Sbに近接するように搬送路Aに向けて付勢され、搬送路Aに連なる手差口15に、カード型記録媒体Sbを表面スキャナー111の幅方向の中心Cを通る位置に案内する凹形状部61を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学読取装置、及び、この光学読取装置を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やスキャナー装置の光学読取装置では、読取対象物の表面を光学的に読み取る読取部に対し、ローラー等により構成される搬送部によって読取対象物を搬送し、読取対象物を読取部に押し付ける付勢部材と読取部との間に読取対象物を狭持して、読取部を読取対象物に密着させた状態で読み取るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のような光学読取装置では、種々の幅や厚さの読取対象物に対応することは容易ではなかった。例えば、上記付勢部材に対して読取対象物の幅が小さかったり、幅が小さい上に厚みがあったりすると、付勢部材が傾いてしまうことがあった。このため、読取部を読取対象物に適切に密着させることができず、読み取り品質に影響を及ぼす可能性があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、読取対象物のサイズにかかわらず、読取対象物の表面を光学的に読み取る読取部に読取対象物を密着させて、確実に読み取りできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、読取対象物の表面を光学的に読み取る光学読取部と、前記光学読取部に対して前記読取対象物を搬送する搬送機構とを備え、前記光学読取部は、長手形状に構成され、前記搬送機構によって前記読取対象物が搬送される搬送路の幅方向に延設され、前記搬送路に位置する前記読取対象物に近接するように前記搬送路に向けて付勢され、前記搬送路に連なる挿入口に、前記読取対象物を前記光学読取部の幅方向の中心を通る位置に案内する案内部を設けたことを特徴とする光学読取装置を提供する。
この構成によれば、挿入口に設けた案内部によって、読取対象物が、搬送路の幅方向に延設された光学読取装置の幅方向の中心に案内されるため、読取対象物を光学読取装置の中心で挟み込むようにして読み取ることができる。これにより、読取対象物のサイズにかかわらず、読取対象物に対して付勢された光学読取装置が傾くことを防止でき、光学読取装置を読取対象物に密着させることができるため、確実に読み取りを行うことができる。
【0006】
上記構成において、前記搬送路の幅方向に並べて配置された複数の搬送ローラーを有し、前記案内部は、前記読取対象物を、少なくとも2つ以上の前記搬送ローラーに跨る位置に案内しても良い。
この場合、幅方向の少なくとも2つ以上の搬送ローラーによって読取対象物が搬送されるため、読取対象物が傾いた状態で搬送されることを防止できると共に、読取対象物のサイズにかかわらず読取対象物を安定して搬送できる。
【0007】
また、前記搬送ローラーによって前記読取対象物の先端を整列板に突き当てて前記読取対象物の向きを整える整列動作を実行可能に構成され、前記整列動作時に前記読取対象物の整列状態を検出する整列検出センサーを備え、前記案内部は、前記整列検出センサーによって検出可能な位置に前記読取対象物を案内しても良い。
この場合、読取対象物の先端を搬送ローラーによって整列板に突き当てて整列する際に、案内部によって整列検出センサーに読取対象物が案内されるため、読取対象物のサイズにかかわらず整列状態を正しく検出して確実に整列できる。
【0008】
また、前記挿入口から前記読取対象物が挿入されたことを検知する媒体検出センサーを有し、前記案内部は、前記媒体検出センサーにより検出可能な位置に前記読取対象物を案内しても良い。
この場合、案内部によって読取対象物が媒体検出センサーに案内されるため、読取対象物のサイズにかかわらず、読取対象物の挿入を確実に検出できる。
さらに、前記案内部は、前記挿入口よりも細幅の前記読取対象物の両側端をガイドする凹形状部であっても良い。
この場合、挿入口に凹形状部を設ける簡単な構成によって、読取対象物を案内できる。また、凹形状部は窪んでいるため、凹形状部の幅よりも幅の大きな読取対象物を挿入口に挿入する際に邪魔にならない。
【0009】
また、本発明は、記録媒体の表面を光学的に読み取る光学読取部と、前記光学読取部に対して前記記録媒体を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される前記記録媒体に記録する記録部とを備え、前記光学読取部は、長手形状に構成され、前記搬送機構によって前記記録媒体が搬送される搬送路の幅方向に延設され、前記搬送路に位置する前記記録媒体に近接するように前記搬送路に向けて付勢され、前記搬送路に連なる挿入口に、前記記録媒体を前記光学読取部の幅方向の中心を通る位置に案内する案内部を設けたことを特徴とする記録装置を提供する。
この構成によれば、挿入口に設けた案内部によって、記録媒体が、搬送路の幅方向に延設された光学読取装置の幅方向の中心に案内されるため、記録媒体を光学読取装置の中心で挟み込むようにして読み取ることができる。これにより、記録媒体のサイズにかかわらず、記録媒体に対して付勢された光学読取装置が傾くことを防止でき、光学読取装置を記録媒体に密着させることができるため、確実に読み取りを行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読取対象物のサイズにかかわらず、読取対象物の表面を光学的に読み取る光学読取部に読取対象物を密着させて、確実に読み取りできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態におけるドットインパクトプリンターの外観斜視図である。
【図2】プリンター本体を示す斜視図である。
【図3】プリンター本体の側断面図である。
【図4】プリンター本体の前部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るドットインパクトプリンター(記録装置)の外観を示す正面斜視図である。図2は、プリンター本体11を示す外観斜視図である。図3は、図1のドットインパクトプリンター10を示す側断面図である。
図1に示す記録装置としてのドットインパクトプリンター10は、記録ヘッド18(図2、図3参照)が備える複数の記録ワイヤーを、リボンカートリッジ(図示略)から繰り出したインクリボン(図示略)を介して記録媒体Sa(読取対象物)に押し付け、この記録媒体Saの記録面上にドットを形成することにより、文字や記号、画像等を記録するものである。
また、ドットインパクトプリンター10は、光学読取装置200(図3参照)を有し、この光学読取装置200によって記録媒体Saの表面に表示された文字や記号、画像等を読み取り可能である。
以下の説明では、図3中の左側をフロント(前)側とし、図3中の右側をリア(後)側とする。
【0013】
ドットインパクトプリンター10で使用可能な記録媒体としては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙や単票複写紙などの他、通帳や葉書、封筒、カードなどがあり、連続シートは複数枚の紙が連接された連続紙や複写紙が連接された連続複写紙等を含む。
図1に示す記録媒体Saは通帳であり、ここでいう通帳とは、複数枚の記録用紙が綴じられた冊子形態となっており、この冊子を開いた内側の面が記録面となっている。さらに、通帳の裏表紙には、磁気ストライプMSが設けられている。この磁気ストライプMSには磁気的に各種情報を記録し、読み取ることが可能である。
なお、以下の説明において、矩形の記録媒体Saの4辺のうち、ドットインパクトプリンター10へ向かって差し込まれる側の辺を先端とし、この先端と対向する側の辺を後端とする。
【0014】
ドットインパクトプリンター10は、図1に示すように、外装体としての上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14を備えており、上部ケース13及び下部ケース14の前面には、記録媒体Saを挿入あるいは排出する手差口15(挿入口)が開口している。また、下部ケース14には、手差口15から前側に突出した媒体挿入台60が設けられている。
ドットインパクトプリンター10は、図2に示すように、上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14に覆われるプリンター本体11を有している。このプリンター本体11は、下本体部11Aと、この下本体部11Aの後端部に軸11Cで支持される上本体部(図示略)とを備え、下本体部11Aは、上部ケース13及び下部ケース14(図1)に収納される。上記上本体部は、上本体部の左側面に設置されている開閉レバー(図示略)の操作によって回転され、上本体部が開かれるとプリンター本体11内部が露出される。
【0015】
図2及び図3に示すように、プリンター本体11は、ベースフレーム16、右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bを備えた本体フレームと、記録ヘッド18(記録部)及びキャリッジ19を備えた記録機構部20と、プラテン21、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124B、下案内面24A、上案内面24B、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27を備えた搬送機構100と、記録媒体Saを整列させる整列板28を備えた整列機構30と、記録媒体Saの磁気ストライプMSに記録された情報の読み取りを行う磁気ヘッド34を備えた磁気データ読書部29と、磁気ストライプMSの読み取りを含む磁気情報処理の実行時に、記録媒体Saの浮き上がりを抑制すべく、記録媒体Sa上から押える媒体押え部35と、を有している。
また、光学読取装置200は、表面スキャナー111(光学読取部)、裏面スキャナー112、及び、搬送機構100を備えて構成される。
【0016】
ベースフレーム16の略両端部には、右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bが立設されている。これら両サイドフレーム17A、17Bの間には、キャリッジガイド軸31が架け渡されると共に、両サイドフレーム17A、17B間に平坦な下案内面24Aが固定して設けられる。そして、下案内面24Aの上方には、下案内面24Aに対向して上案内面24Bが配設されている。下案内面24Aと上案内面24Bとの間の空間は、記録媒体Saが搬送される搬送路Aを構成し、この搬送路Aは、プラテン21の前方側に位置する前媒体案内部24、及び、プラテン21の後方側に位置する後媒体案内部25を有している。手差口15から挿入された記録媒体Saは、前媒体案内部24を通ってプラテン21の側へ、或いは、プラテン21を越えて後媒体案内部25の表面スキャナー111側へ搬送される。
プラテン21の上方には、プラテン21に対向するように記録ヘッド18が配置されている。
【0017】
キャリッジ19は、キャリッジガイド軸31に摺動自在に挿通され、当該キャリッジ19を駆動するキャリッジ駆動モーター(図示略)の正転又は逆転により、無端形状の駆動ベルト(図示略)を介して駆動され、キャリッジガイド軸31に案内されて往復移動される。キャリッジ19の移動方向は、図1中符号Xで示す方向、すなわち、キャリッジガイド軸31の軸方向及びプラテン21の長手方向と一致する主走査方向である。また、キャリッジ19の移動(走査)範囲は、一対のサイドフレーム17A、17Bの間である。なお、キャリッジ19の主走査方向Xに直交する方向、すなわち図1中符号Yで示す方向を、副走査方向とする。
キャリッジ19に搭載される記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、その先端面においてプラテン21に対向するワイヤー突出部(図示略)から記録ワイヤーを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン21と記録ヘッド18との間に搬送される記録媒体Saに付着させて、記録媒体Saに記録を行う。このインクリボンは、上記の本体フレーム又はキャリッジ19に装着されるリボンカートリッジ(図示略)内に折り畳まれて収納され、キャリッジ19の走査に伴って繰り出される。
プラテン21は、キャリッジ19の走行方向に延在して平面形状に形成され、その両端が、付勢ばね41により記録ヘッド18に向けて付勢されると共に弾性支持され、搬送される記録媒体の厚さに応じて上下に変位する。
【0018】
搬送機構100は、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22Bが、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のフロント側に配置され、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23Bが、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のリア側に配置され、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bが、表面スキャナー111のリア側に配置されて構成される。第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとは、上下方向に配置されて対をなす。
第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A及び第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27によって回転駆動される駆動ローラーであり、第1従動ローラー22B、第2従動ローラー23B及び第3従動ローラー124Bは、それぞれ第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124A側に所定の押圧力でばね42A、42B、42Cによりばね付勢されている従動ローラーである。これによって、第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとが互いに反対方向に回転駆動される。
【0019】
第1駆動ローラー22Aは、記録媒体Saの幅方向に延びる第1ローラー軸32に円筒状のローラー2(搬送ローラー)が複数挿通されて構成されている。各々のローラー2は、第1ローラー軸32の軸方向に互いに略等間隔をあけて配設され、下案内面24Aの開口から搬送路A内に露出している。また、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A及び第3従動ローラー124Bも第1駆動ローラー22Aと同様に、軸に対してローラーが複数挿通されて構成されている。第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A及び第3従動ローラー124Bの各々において各ローラー2が設けられた位置は、軸方向において第1駆動ローラー22Aの各ローラー2と同一の位置である。このように、各ローラー2が間隔をあけて配置されているため、ローラー2を設ける量を削減できると共に、上下のローラー2の接触面積が必要以上に増加しないため、各ローラー2を駆動する媒体搬送モーター26の負荷を低減できる。
【0020】
駆動輪列部27は、図2に示すように、右サイドフレーム17Aの外側に配置される。この駆動輪列部27は、正転及び逆転可能な媒体搬送モーター26の駆動軸に回転一体に固定されたモーターピニオン51を備える。このモーターピニオン51からの駆動力が、減速ギア52、第2駆動ギア53B、中間ギア54、第1駆動ギア53A、及び、駆動ベルト(図示略)等によって各駆動ローラーを同一方向に回転させ、記録媒体Saをプリンター本体11内に搬送する。図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26が正転している場合、副走査方向に沿って、図3中符号Fで示すようにプリンター本体11内に記録媒体Saを搬送し、媒体搬送モーター26が逆転している場合、図3中符号Rで示すように、プリンター本体11内から排出する方向に記録媒体Saを搬送する。
【0021】
整列機構30は、記録ヘッド18により記録媒体Saに記録を行う前に、或いは、光学読取装置200により記録媒体Saを読み取る前に記録媒体Saを整列する機構である。
整列機構30は、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、前媒体案内部24、整列板28、及び整列板28を駆動する整列モーター(図示略)を備えて構成される。整列機構30は、搬送路Aに突出した整列板28に対し、記録媒体Saの先端部を突き当てることで記録媒体Saの向きを変え、記録媒体Saを整列する。
【0022】
そして、ドットインパクトプリンター10は、記録ヘッド18の走査位置の近傍において記録媒体Saを検出する各種センサーを備えている。
第1駆動ローラー22Aの近傍には、搬送路Aにおける記録媒体Saの有無を検出する媒体検出センサー47が、キャリッジ19の主走査方向に沿って複数設置されている。媒体検出センサー47は、搬送路Aに向けて光を発する光源と、その反射光を検出する受光部とを備えた反射型光センサー、或いは、搬送路Aを挟んで対向するように光源と受光部とを配した透過型光センサーである。媒体検出センサー47は、手差口15からの記録媒体Saの挿入、及び、プリンター本体11内からの記録媒体Saの排出完了を検出するためのセンサーである。
キャリッジ19には、記録媒体Saの幅を検出する媒体幅センサー55が搭載され、この媒体幅センサー55はキャリッジ19と共にプラテン21上を走査される。従って、キャリッジ19の走査時に媒体幅センサー55よって記録媒体Saの幅方向の端を検出し、その検出位置とキャリッジ19の走査位置とを対応付けることにより、記録媒体Saの位置を求めることができる。
すなわち、ドットインパクトプリンター10では、媒体幅センサー55によって記録媒体Saの位置を検出可能なため、検出された記録媒体Saの位置に対応させてキャリッジ19を制御することで、記録媒体Saが挿入された位置にかかわらず、記録ヘッド18による記録を行うことができ、さらに、光学読取装置200による読み取りを行うことができる。つまり、ドットインパクトプリンター10においては、手差口15の幅方向の任意の位置から記録媒体Saを挿入して記録及び読み取りを実行できる。
【0023】
また、第1駆動ローラー22Aの後方には、キャリッジ19の主走査方向に沿って、8個の整列検出センサー58が互いに間隔をあけて並べて配設される。これら8個の整列検出センサー58は、例えば、媒体検出センサー47と同様に、搬送路Aを挟んで上下に対向する発光部(LED等)と受光部(フォトトランジスター等)により構成され、記録媒体Saの有無を検出する。これら整列検出センサー58は、整列板28が搬送路Aに突出した状態で、整列板28に突き当てられた記録媒体Saの有無を検出する。これにより、整列検出センサー58の出力に基づいて、整列板28による整列後の記録媒体Saの搬送方向に対する傾きが、許容される傾きの範囲内にあるか否かを判定することができる。例えば、主走査方向に並ぶ整列検出センサー58のうち、隣り合う2個が記録媒体Saを同時に検出した場合、整列が完了したと判断される。
また、ドットインパクトプリンター10は、媒体搬送モーター26の駆動制御、キャリッジ19の走行制御、記録ヘッド18の記録ワイヤーによる記録動作の制御、光学読取装置200の読み取り動作の制御等、ドットインパクトプリンター10の全体を制御する制御部として、例えばプリンター本体11の後側の下方に、制御基板部(図示略)を備えている。
【0024】
ここで、ドットインパクトプリンター10の整列に関わる動作を説明する。まず、電源投入時、整列板28が搬送路Aに突出する。次にドットインパクトプリンター10は、手差口15から挿入される記録媒体Saを媒体検出センサー47によって検出すると、第1駆動ローラー22Aを駆動する。そして、記録媒体Saは、第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bにより搬送され、整列板28に対し先端部が突き当てられて整列が行われる。その後、ドットインパクトプリンター10は、整列板28の前に並ぶ各整列検出センサー58によって記録媒体Saの先端部の状態を検出し、整列が正しく実施されたか否かを判定する。この判定により、記録媒体Saの整列が正しく実施されたと判断された場合には、記録媒体Saを記録ヘッド18又は光学読取装置200へ搬送し、記録或いは読み取りを実行する。一方、記録媒体Saの整列が正しく実施されていないと判断された場合には、ドットインパクトプリンター10は再度、整列動作を行うことができ、さらに、繰り返し整列動作を行っても整列ができなければ、記録媒体Saを手差口15から排出する。
【0025】
図3に示すように、裏面スキャナー112は、記録媒体Saの裏面側に記録されている文字や記号、画像等の情報を読み取るイメージセンサーである。表面スキャナー111は、裏面スキャナー112と対向する位置に配置され、搬送される記録媒体Saの表面側に記録されている情報を読み取るイメージセンサーである。表面スキャナー111及び裏面スキャナー112は、第2駆動ローラー23Aと第3駆動ローラー124Aとの間に配置され、搬送中の記録媒体Saの情報を連続的に読み取る。表面スキャナー111及び裏面スキャナー112は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)型の画像読取センサーであり、記録媒体Saに密着する平坦なガラス面111A、112Aと、LED等の光源から出力される光を記録媒体Saの読み取り領域に対して照射する照射部(図示略)と、主走査方向(X方向)に一列に配列された複数の受光センサー(図示略)と、この受光センサーからの信号を上記制御基板部に出力する出力部(図示略)と、をそれぞれ備えて構成される。ここでは表面スキャナー111及び裏面スキャナー112としてCIS型を用いたが、CCD(Charge Coupled Device)型を用いてもよい。
【0026】
また、図2に示すように、裏面スキャナー112はプラテン21と略平行にドットインパクトプリンター10の幅方向に延在して長手形状に構成され、ガラス面112Aが下案内面24Aの開口から後媒体案内部25に露出している。
表面スキャナー111は、図3に示すように、ガラス面111Aがガラス面112Aに対向するように裏面スキャナー112の上方に設けられ、幅方向においても裏面スキャナー112と略同一の長さの長手形状に形成されている。また、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112の各々における長手方向の両端は、幅方向において一致した位置にある。
表面スキャナー111の上部には付勢部材113が設けられ、表面スキャナー111は、付勢部材113によって後媒体案内部25の記録媒体Saに対して近接するように付勢されている。また、付勢部材113は、表面スキャナー111を幅方向に渡って略均一な力で裏面スキャナー112側に押し付けている。ここで、付勢部材113としては、コイルばねや板ばね、弾性を有するエラストマー等を使用することができる。
また、ガラス面111Aとガラス面112Aとの間には、所定の厚さの記録媒体が入り込み可能な間隔が設けられており、記録媒体Saを読み取る際には、搬送された記録媒体Saによって表面スキャナー111が上方に押し退けられ、付勢部材113が縮むことによりガラス面111Aとガラス面112Aとの間を記録媒体Saが通過可能となる。すなわち、光学読取装置200では、付勢部材113によって付勢された表面スキャナー111によって記録媒体Saを裏面スキャナー112側に押し付けることで、記録媒体Saとガラス面111A、112Aとを確実に密着させて、読み取り品質を向上させている。
【0027】
ところで、ドットインパクトプリンター10は、記録媒体Saよりも小型のカード型記録媒体Sb(読取対象物)を用いることも可能である。
図4は、プリンター本体11の前部を示す平面図である。ここで、図4には、表面スキャナー111は図示されていないが、上述のように、表面スキャナー111は幅方向に裏面スキャナー112と略同一の長さを有し、裏面スキャナー112の上方に対向して設けられている。
図4では、プリンター本体11と共に、記録媒体として矩形のカード型記録媒体Sb(読取対象物)を示している。カード型記録媒体Sbは、記録媒体Saよりも幅が小さく形成されたIDカードであり、その表裏には表面スキャナー111及び裏面スキャナー112によって読み取られるべき情報がそれぞれ記録されている。ここで、記録媒体Saの幅Wは、幅方向に並んだ任意の3つのローラー2の内の両端に位置するローラー2の内側端の間の間隔Lよりも僅かに小さい。このため、カード型記録媒体Sbを手差口15に挿入する位置によっては、カード型記録媒体Sbは幅方向において1箇所のローラー2にしか狭持されない可能性がある。
【0028】
搬送路Aに連なる手差口15は、前方へ略水平に突出した媒体挿入台60を有し、この媒体挿入台60は、キャリッジ19の走行可能範囲に対応して幅広に形成され、主走査方向に沿って延在している。媒体挿入台60は、手差口15に挿入されるカード型記録媒体Sbや記録媒体Saを下方から支持し、記録媒体の挿入を安定させている。
また、媒体挿入台60には、カード型記録媒体Sbの搬送方向に延びる凹形状部61(案内部)が形成されている。凹形状部61は、媒体挿入台60の上面を一段窪ませて形成され、媒体挿入台60の幅方向の中央に位置している。さらに、凹形状部61が設けられた位置は、ドットインパクトプリンター10の幅方向において、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112の幅方向の中心Cの位置に一致している。凹形状部61の幅は、カード型記録媒体Sbの幅よりも僅かに大きく形成されており、凹形状部61に載置されたカード型記録媒体Sbは、凹形状部61の幅方向の両側壁部61Aによって幅方向の両端をそれぞれガイドされて搬送される。
【0029】
ドットインパクトプリンター10の中央部に並べて設けられた各2箇所の媒体検出センサー47A及び整列検出センサー58Aは、ドットインパクトプリンター10の幅方向の位置において凹形状部61に重なっている。すなわち、凹形状部61によって案内されて表面スキャナー111の側に搬送されるカード型記録媒体Sbは、2箇所の媒体検出センサー47A及び2箇所の整列検出センサー58Aによって検出される。
また、凹形状部61は、ドットインパクトプリンター10の幅方向の位置において、第1駆動ローラー22Aのローラー2の内、ドットインパクトプリンター10の中央部に並べて設けられた2つのローラー2Aに跨っている。すなわち、凹形状部61によって案内されて表面スキャナー111の側に搬送されるカード型記録媒体Sbは、第1駆動ローラー22Aが有する幅方向中央の2つのローラー2Aとローラー2Aと対の第1従動ローラー22Bの2つのローラー2とによって狭持されて搬送される。
【0030】
ここで、ドットインパクトプリンター10によるカード型記録媒体Sbの読み取り動作の概略を説明する。
まず、カード型記録媒体Sbが、凹形状部61に載置するようにして手差口15に挿入されると、凹形状部61に案内されたカード型記録媒体Sbは、媒体検出センサー47A上を通過し、ドットインパクトプリンター10は媒体検出センサー47Aによってカード型記録媒体Sbの挿入を検出し、第1駆動ローラー22Aを駆動する。そして、カード型記録媒体Sbは、幅方向の中央の2つのローラー2A及びローラー2Aと対の第1従動ローラー22Bのローラー2により搬送され、整列板28に対し先端部が突き当てられて整列が行われる。この際、カード型記録媒体Sbは、凹形状部61によって中央の2つの整列検出センサー58A上を通るように案内されるため、確実にカード型記録媒体Sbの整列状態を検出できる。さらに、幅方向に隣接した2組のローラー2によってカード型記録媒体Sbを整列板28に突き当てるため、水平面内でカード型記録媒体Sbを回転させるようにしてカード型記録媒体Sbの搬送方向における傾き(スキュー)を補正でき、効果的に整列できる。また、凹形状部61によってカード型記録媒体Sbを、幅方向に隣接した2組のローラー2に案内するため、幅が小さいカード型記録媒体Sbを搬送するために専用のローラーを設ける必要が無く、構造を簡単にできる。
【0031】
その後、カード型記録媒体Sbの整列が正しく実施されたと判断されると、カード型記録媒体Sbは、第2駆動ローラー23A及び第2従動ローラー23Bによって、表面スキャナー111の側に搬送され、表面スキャナー111と裏面スキャナー112との間に入り込み、付勢部材113によって付勢された表面スキャナー111によって表面スキャナー111と裏面スキャナー112との間に狭持された状態で、搬送されながら連続的に表裏の面を読み取られる。この際、カード型記録媒体Sbは、凹形状部61によって、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112の幅方向の中心Cを通る中央部を通過するように案内されるため、表面スキャナー111が裏面スキャナー112の側に斜めに傾くことを防止でき、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112をカード型記録媒体Sbに密着させることができる。
【0032】
すなわち、カード型記録媒体Sbが表面スキャナー111の幅方向の端部側に偏って搬送されず、中央部を通過するため、幅が小さいカード型記録媒体Sbを読み取る場合においても表面スキャナー111の傾きを防止でき、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112をカード型記録媒体Sbに密着させることができる。特に、カード型記録媒体Sbの幅方向のサイズが表面スキャナー111の長さの半分以下である場合、カード型記録媒体Sbが手差口15のいずれかの端に偏って挿入されると表面スキャナー111が傾く可能性が高くなり、大きく傾くと表面スキャナー111が密着しない箇所ができるおそれがある。本実施の形態では、カード型記録媒体Sbが中心Cに案内されるため、カード型記録媒体Sbの幅にかかわらず表面スキャナー111の傾きを防止できる。
読み取りが終了すると、搬送機構100は逆回転され、カード型記録媒体Sbは凹形状部61を経て手差口15に排出される。
なお、ここでは、カード型記録媒体Sbを整列した後、表面スキャナー111と裏面スキャナー112の読み取りを行うものとして説明したが、整列の後に記録ヘッド18によってカード型記録媒体Sbに記録し、その後、読み取りを実行しても良い。
【0033】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、手差口15に設けた凹形状部61によって、カード型記録媒体Sbが、後媒体案内部25の幅方向に延設された表面スキャナー111の幅方向の中心Cに案内されるため、カード型記録媒体Sbを表面スキャナー111の中央部で挟み込むようにして読み取ることができる。これにより、カード型記録媒体Sbの幅方向のサイズにかかわらず、カード型記録媒体Sbに対して付勢された表面スキャナー111が傾くことを防止でき、表面スキャナー111をカード型記録媒体Sbに密着させることができるため、確実に読み取りを行うことができる。
また、幅方向に複数並ぶ上下一対の第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bが有するローラー2の内、幅方向に並ぶ2組のローラー2によってカード型記録媒体Sbが搬送されるため、カード型記録媒体Sbが傾いた状態で搬送されることを防止できると共に、カード型記録媒体Sbの幅方向のサイズにかかわらず、カード型記録媒体Sbを安定して搬送できる。
【0034】
また、カード型記録媒体Sbの先端を第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bによって整列板28に突き当てて整列する際に、凹形状部61によって2つの整列検出センサー58Aにカード型記録媒体Sbが案内されるため、カード型記録媒体Sbの幅方向のサイズにかかわらず、整列状態を正しく検出して確実に整列できる。
さらに、凹形状部61によってカード型記録媒体Sbが媒体検出センサー47に案内されるため、カード型記録媒体Sbの幅方向のサイズにかかわらず、カード型記録媒体Sbの挿入を確実に検出できる。
さらにまた、手差口15に凹形状部61を設ける簡単な構成でカード型記録媒体Sbを案内できる。また、凹形状部61は窪んでいるため、凹形状部61の幅よりも幅の大きい記録媒体Saのような記録媒体を手差口15に挿入する際に邪魔にならない。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。上記実施の形態では、凹形状部61は、ドットインパクトプリンター10の幅方向の位置において、第1駆動ローラー22Aのローラー2の内、中央部の2つのローラー2Aに跨っているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹形状部61は、幅方向の少なくとも2つ以上のローラー2に跨る位置にカード型記録媒体Sbを案内すれば良く、例えば、中央部に3つのローラー2を設け、3つのローラー2に跨る位置にカード型記録媒体Sbを案内しても良い。
また、上記実施の形態では、凹形状部61は、カード型記録媒体Sbの幅よりも僅かに大きく形成され、カード型記録媒体Sbを案内するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、媒体挿入台60の幅方向の中央に複数段の幅を有する凹形状部を設け、種々の幅の記録媒体を表面スキャナー111の中央部に案内できるように構成しても良い。例えば、凹形状部61の幅方向の外側に、凹形状部61の深さより浅い凹形状部を、記録媒体Saの幅に合わせて形成しても良い。
さらに、本発明はドットインパクト式のプリンターに限らず、インクジェット式のプリンターや、感熱媒体を加熱して画像を記録するサーマルプリンターにおいても適用可能である。さらに、ドットインパクトプリンター10のように独立したプリンターとして使用される機器に限らず、他の機器(ATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash Dispenser)等)に組み込まれたものであってもよく、多様な機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
2…ローラー(搬送ローラー)、10…ドットインパクトプリンター(記録装置)、15…手差口(挿入口)、18…記録ヘッド(記録部)、28…整列板、30…整列機構、47…媒体検出センサー、58…整列検出センサー、61…凹形状部(案内部)、100…搬送機構、111…表面スキャナー(光学読取部)、200…光学読取装置、A…搬送路、C…中心、Sa…記録媒体(読取対象物)、Sb…カード型記録媒体(読取対象物)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物の表面を光学的に読み取る光学読取部と、前記光学読取部に対して前記読取対象物を搬送する搬送機構とを備え、
前記光学読取部は、長手形状に構成され、前記搬送機構によって前記読取対象物が搬送される搬送路の幅方向に延設され、前記搬送路に位置する前記読取対象物に近接するように前記搬送路に向けて付勢され、
前記搬送路に連なる挿入口に、前記読取対象物を前記光学読取部の幅方向の中心を通る位置に案内する案内部を設けたこと、
を特徴とする光学読取装置。
【請求項2】
前記搬送路の幅方向に並べて配置された複数の搬送ローラーを有し、
前記案内部は、前記読取対象物を、少なくとも2つ以上の前記搬送ローラーに跨る位置に案内すること、
を特徴とする請求項1記載の光学読取装置。
【請求項3】
前記搬送ローラーによって前記読取対象物の先端を整列板に突き当てて前記読取対象物の向きを整える整列動作を実行可能に構成され、前記整列動作時に前記読取対象物の整列状態を検出する整列検出センサーを備え、
前記案内部は、前記整列検出センサーによって検出可能な位置に前記読取対象物を案内すること、
を特徴とする請求項2記載の光学読取装置。
【請求項4】
前記挿入口から前記読取対象物が挿入されたことを検知する媒体検出センサーを有し、
前記案内部は、前記媒体検出センサーにより検出可能な位置に前記読取対象物を案内すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学読取装置。
【請求項5】
前記案内部は、前記挿入口よりも細幅の前記読取対象物の両側端をガイドする凹形状部であること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学読取装置。
【請求項6】
記録媒体の表面を光学的に読み取る光学読取部と、前記光学読取部に対して前記記録媒体を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される前記記録媒体に記録する記録部とを備え、
前記光学読取部は、長手形状に構成され、前記搬送機構によって前記記録媒体が搬送される搬送路の幅方向に延設され、前記搬送路に位置する前記記録媒体に近接するように前記搬送路に向けて付勢され、
前記搬送路に連なる挿入口に、前記記録媒体を前記光学読取部の幅方向の中心を通る位置に案内する案内部を設けたこと、
を特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−32004(P2011−32004A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177437(P2009−177437)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】