説明

光学部品及び分光測光装置

【課題】透過波長可変フィルタを用いて、高い波長分解能を有する分光測光装置を提供する。
【解決手段】入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品であって、光が入射する面内の第1の方向に沿って透過波長が変化する第1の透過波長可変フィルタと、光が入射する面内の第2の方向に沿って透過波長が変化する第2の透過波長可変フィルタを有し、前記第1及び第2の透過波長可変フィルタを所定の間隔を隔てて、かつ、前記第1の方向と前記第2の方向が略平行となるように設置する。分光測光装置であって、前記光学部品と、前記光学部品を透過した光を受光する、複数のセンサが配列されたセンサアレイを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品及び分光測光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリズムや回折格子を用いて、センサアレイ上の各センサに異なる波長の光を受光させ、各センサからの出力を測定する分光測光装置が知られている。また、プリズムや回折格子の代わりに、透過波長可変フィルタを用いた分光測光装置も提案されている。透過波長可変フィルタは、プリズムや回折格子と比較して省スペースに設置できるため、分光測光装置を小型化できるという利点がある。また、プリズムや回折格子に光を導く際にはスリットが必要なため光量が減少するが、透過波長可変フィルタにはスリットは不要なので光量は減少しない。
【0003】
透過波長可変フィルタを用いた分光測光装置では、透過波長可変フィルタとセンサアレイ間の光の伝達が重要である。透過波長可変フィルタの光が入射する面に対して、斜めに入射する光をセンサが受光することで、分光測光装置の波長分解能が悪くなるからである。そのため、透過波長可変フィルタとセンサアレイの間に、ファイバーオプティックスプレートを配置したり(特許文献1参照)、また穴の開いた金属板を用いたりして(特許文献2参照)、センサへ入射する斜め成分の光を除去する、つまりセンサへの入射光をコリメートする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−277326号公報
【特許文献2】特開2003−131015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のセンサへの入射光をコリメートする方法では、光学的効率が不十分であり、またコストも高い等の問題が生じていた。そこで、本発明の目的は、透過波長可変フィルタを用いて、高い波長分解能を有する分光測光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品であって、光が入射する面内の第1の方向に沿って透過波長が変化する第1の透過波長可変フィルタと、光が入射する面内の第2の方向に沿って透過波長が変化する第2の透過波長可変フィルタを有し、前記第1及び第2の透過波長可変フィルタを所定の間隔を隔てて、かつ、前記第1の方向と前記第2の方向が略平行となるように設置した光学部品が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の光学部品と、前記光学部品を透過した光を受光する、複数のセンサが配列されたセンサアレイを備える分光測光装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様の光学部品によれば、透過波長可変フィルタの光が入射する面に対して斜めに入射する光を除去して、入射光をコリメートできる。これにより、本発明の態様の分光測光装置は、高い波長分解能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態の光学部品の斜視図である。
【図2】(a)は、透過波長可変フィルタ及びラインセンサの部分的な断面図であり、(b)は第1の実施形態の光学部品及びラインセンサの部分的な断面図である。
【図3】(a)及び(b)は、第1の実施形態の光学部品の部分的な断面図である。
【図4】第2の実施形態の光学部品の斜視図である。
【図5】第2の実施形態の光学部品の部分的な断面図である。
【図6】第3の実施形態の分光測光装置の斜視図である。
【図7】第4の実施形態の分光測光装置の斜視図である。
【図8】実施例に用いた透過波長変換フィルタの中央部分の透過光スペクトルを示す図である。
【図9】実施例において、直径30mmの白色光源を使用した場合の分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光した透過光スペクトルA〜Lを示す図である。
【図10】実施例において、直径60mmの白色光源を使用した場合の分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光した透過光スペクトルA〜Lを示す図である。
【図11】比較例に用いた分光測光装置の斜視図である。
【図12】比較例において、直径30mmの白色光源を使用した場合の分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光した透過光スペクトルA〜Lを示す図である。
【図13】比較例において、直径60mmの白色光源を使用した場合の分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光した透過光スペクトルA〜Lを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態として、入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品について説明する。図1に示すように、本実施形態の光学部品1は、第1の透過波長可変フィルタ11と、第2の透過波長可変フィルタ12と、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12を所定の間隔d1を隔てて配置するために用いられるスペーサ13とから主に構成される。第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は平面形状が矩形の板状部材であり、その4隅に1個ずつ、合計4個のスペーサ13が配置されている。尚、図1において、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の長手方向を「X方向」、X方向と直交する透過波長可変フィルタ11及び12の短手方向を「Y方向」、X及びY方向と直交する高さ方向を「Z方向」と定義する。また、図1に示す光学部品の配置において、Z方向の上側を単に「上側」、上側の反対方向を「下側」とし、光学部品1に対して光は上側から入射して、下側へ透過するものとする。
【0011】
「透過波長可変フィルタ」(LVF:Liner Variable Filter:以下、LVFと称することがある)とは、光が入射するとき、その入射する位置によって透過する波長が異なるフィルタを意味する。本実施形態では、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12に、同じLVFを用いた。第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、X方向と平行な波長変化方向14に沿って、透過波長が連続的に短波長(λmin)から長波長(λmax)へ変化する。そして、この2枚のLVFを互いの波長変化方向14が略平行で、かつ、透過光の短波長から長波長への変化の向きが同一となるように所定の間隔d1を隔てて配置した。つまり、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、略同一の波長の光を透過する領域がZ方向に間を隔てて並んで配置される。
【0012】
図2(a)を用いて、単一の透過波長可変フィルタを用いた場合の問題点について説明する。図2(a)では、第1の透過波長可変フィルタ11の下側に、X方向に沿って複数の受光センサ21が配列されたラインセンサ2が配置されており、第2の透過波長可変フィルタは使用していない。尚、図2においても、図1と同様に、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の波長変化方向はX方向と平行であり、図2の向かって左から右へ、透過波長は短波長から長波長へ連続的に変化するものとする。
【0013】
図2(a)に示すように、左端の受光センサ21aは、第1の透過波長可変フィルタ11における波長λnが透過する位置の下側に位置する。第1の透過波長可変フィルタ11に垂直に入射する垂直入射光aは、波長λnの成分のみが第1の透過波長可変フィルタ11を透過し、受光センサ21aに入射する。受光センサ21aには、第1の透過波長可変フィルタ11に対して斜めに入射する光も入射する。斜め入射光b1は、第1の透過波長可変フィルタ11の波長λm1の光を透過する位置を透過するので、波長λnより長い波長λm1の光も受光センサ21aに入射する。この結果、受光センサ21の受光する光のスペクトル幅が広がりブロードな波形になる。同様に、全ての受光センサ21において、斜め入射光が入射するので、第1の透過波長可変フィルタ11のみを用いた分光測光装置の波長分解能は低下する。
【0014】
一方、図2(b)に示すように、第1の透過波長可変フィルタ11の上方に、もう1枚のLVF、第2の透過波長可変フィルタ12を重ねると、次のような原理で斜め入射光b1の光センサ21への入射を阻止できる。図2(b)に示すように、斜め入射光b1は、第2の光学フィルタ12における波長λl1の光を透過する位置を透過するので、波長λl1以外の波長成分が取り除かれる。次に、斜め入射光b1は、第1の光学フィルタ11の波長λm1の光を透過する位置に入射されるが、入射された斜め入射光b1は波長λl1の光からなり、波長λm1の光は含まれていないため、第1の透過波長可変フィルタ11により完全に遮断される。
【0015】
このように、本実施形態の光学部品1は2枚の透過波長可変フィルタを重ねて用いることにより、斜め入射光を遮断し、フィルタに垂直な光成分のみのほぼ平行な入射光のみを透過させることができる。つまり、光学部品1は、入射光をコリメートしていることになる。
【0016】
本実施形態の第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、基板と、それら基板の光が入射する面に形成された多層積層膜を有するバンドパスフィルタである。基板上に成膜された多層膜の膜厚は、波長変化方向14に沿って、図1における左側(λmin側)から右側(λmax側)に向かって厚くなる。すなわち、図示されていないが、光学ガラス基板上に形成された多層積層膜は、光が入射する面に垂直で且つ波長変化方向14に平行な断面が楔状の断面を有する。第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、このように光学薄膜の膜厚が連続的に変化することで、光の干渉により透過波長が連続的に変化するタイプのフィルタ(光干渉フィルタ)である。
【0017】
基板としては、BK7、合成石英ガラス等、従来から光学ガラス基板として知られている市販品を用いることができる。多層積層膜としては、SiOとNbの多層積層膜、TaとSiOの多層積層膜、HfOとSiOの多層積層膜、ZnSとクリオライト(NaAlF)の多層積層膜、GeとZnSの多層積層膜等を用いることができる。成膜方法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法(Chemical Vapor Deposition)、ALD法(Atomic Layer Deposition)、PLD法(Pulse Laser Deposition)等、知られた方法を用いることができる。
【0018】
本実施形態の第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は多層積層膜を有する構造であるが、他に公知の構造のLVFも使用可能である。例えば、エタロン型、メタル誘電体フィルタ等である。本実施形態では、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12に、2枚の同一の透過波長可変フィルタを用いているが、異なる構造のLVFを1枚ずつ用いてもよい。また、本実施形態の波長変化方向14は、X方向と平行な直線方向であるが、円周、螺旋、曲線に沿う方向であっても良い。
【0019】
第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、所定の間隔d1を隔てて配置される。間隔d1を狭めると装置の省スペース化が図れるが、斜め入射光を遮断する効果が低下する。第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12を密着させてしまうと、単一の透過波長可変フィルタを用いた場合と等価になるので、間隔d1を隔てて2枚を配置する。反対に、間隔d1を広く取ると斜め入射光を遮断する効果は向上する一方で、センサアレイに入射する光量が少なくなる。したがって、間隔d1は、本実施形態の光学部品1が要求される特性によって、また、光学部品1と組み合わせて用いるセンサアレイ等のセンサ幅、特性等に基づいて、任意に設定され得る。
【0020】
第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、同一の波長を透過する領域がZ方向に並んで配置される。また、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12は、それらの光が入射する面が略平行であることが好ましい。これにより、光学部品1に垂直入射した光の特定波長成分が、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12を共に透過することができる。尚、これらの平行及び位置合わせは、厳密なものではなく、光学部品1が要求される特性によって、また、光学部品1と組み合わせて用いるセンサアレイ等のセンサ幅、特性等を考慮し、ある程度の誤差範囲が許容される。
【0021】
本実施形態では、第1及び第2の透過波長可変フィルタを所定の間隔d1を隔てて設置するために、スペーサ13を用いた。スペーサ13としては、第1及び第2の透過波長可変フィルタの間隔を維持できるものであれば、どのような構造及び形状のものでもよい。本実施形態では4個のスペーサを用いたが、Y方向に延在する棒状のスペーサでもよい。スペーサ13の材料としては、金属、セラミック、プラスチック等を用いることができる。また、例えば、圧電素子やネジ構造を有するスペーサ等、Z方向の長さが可変である可変スペーサを用いることもできる。この場合、光学部品1に要求される性能に応じて間隔d1の大きさを任意に調整することができる。また、スペーサ13の代わりに、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の間に光透過性の接着剤等の充填物を充填又は設置し、それによって、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12を所定の間隔を隔てて配置してもよい。この場合、充填物は、後述するように第2の透過波長可変フィルタ12の基板よりも低い屈折率を有することが好ましい。あるいは、スペーサに代えて、第1及び第2の透過波長可変フィルタを間隔d1を隔てて保持するホルダを用いてもよい。
【0022】
光学部品1において、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の間の入射光が透過する空間には、第2の透過波長可変フィルタ12の基板よりも低い屈折率を有する物質が存在することが好ましい。本実施形態では、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の間には、空気(基板よりも低い屈折率を有する)が存在している。
【0023】
図3(a)及び(b)を用いて、上述の空間の屈折率と、本実施形態の光学部品の光学特性との関係について説明する。図3(a)に示すように、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の間の入射光が透過する空間16の屈折率nが、第2の透過波長可変フィルタ12の基板15の屈折率nより小さい場合(n>n)、斜め入射光b2は基板15と空間16との界面に入射する入射角より、界面から出射する出射角の方が大きくなる。このとき、斜め入射光b2は第2の透過波長可変フィルタ12の波長λl2の光を透過する位置を通り、第1の透過波長可変フィルタ11の波長λm2の光を透過する位置に入射する。波長λl2と波長λm2との差をΔλとする。同様に、図3(b)に示すように、基板15の屈折率nが、空間16の屈折率nと等しい場合(n=n)、斜め入射光b3は直進して、すなわち、界面での入射角と出射角を等しくして、第1の透過波長可変フィルタ11に入射する。このとき、斜め入射光b3は第2の透過波長可変フィルタ12の波長λl3の光を透過する位置を通り、第1の透過波長可変フィルタ11の波長λm3の光を透過する位置に入射する。λl3とλm3との差をΔλとする。ΔλとΔλとを比較すると、入射光b2の方が入射光b3よりも出射角(屈折角)が大きいので、Δλも大きくなる。この差が大きいほど、より垂直に近い斜め入射光成分まで除去できるので、図(a)に示すn>nの場合の方が、図(b)に示すn=nの場合より、透過光のコリメート性に優れる。このことから、Δn=n−nが大きい程、狭い間隔d1でもコリメート性を向上できることがわかる。
【0024】
[第2の実施形態]
次に、本発明の光学部品の第2の実施形態について説明する。図4に示すように、光学部品3は、厚さd2の矩形の板状のガラス基板13の両面に、第1の多層積層膜31、第2の多層積層膜32がそれぞれ設けられている。図4において、光学ガラス基板33の長手方向を「X方向」、X方向と直交するガラス基板33の短手方向を「Y方向」、X及びY方向と直交するガラス基板33の厚み方向を「Z方向」と定義する。また、図4に示す光学部品の配置においてZ方向の上側を単に「上側」、上側の反対方向を「下側」とし、光学部品3に対して光は上側から入射して下側へ透過する、つまり第2の多層積層膜32側から入射して第1の多層積層膜31側へ透過するものとする。
【0025】
ガラス基板33上に成膜された第1及び第2の多層積層膜31及び32は、同一の構成の多層積層膜である。それらの膜厚は、X方向に平行な波長変化方向34に沿って、図4における左側(λmin側)から右側(λmax側)に向かって厚くなる。すなわち、図示されていないが、ガラス基板33の両面に形成された多層積層膜は、光が入射する面に垂直で且つ波長変化方向34に平行な断面が楔状の断面を有する。第1及び第2の多層積層膜31及び32は、このように膜厚が連続的に変化することで、光の干渉により透過波長が連続的に変化するタイプの膜(光干渉膜)である。
【0026】
多層積層膜31及び32は、それらの波長変化方向34が略平行で、かつ、基板33を挟んでZ方向の同一直線上の膜厚が略同一になるように成膜されている。つまり、ガラス基板33の両面には、Z方向の同一直線上に、略同一の波長の光を透過する多層積層膜が形成されている。
【0027】
本実施形態の光学部品3は、上述の光学部品1と同様に斜め入射光をカットし、透過光をコリメートする効果を奏する。本実施形態の第1の多層積層膜31及び第2の多層積層膜32は、第1の実施形態の第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12と同様の働きをする。図5に示すように、斜め入射光b4は、まず、第2の多層積層膜32における波長λl4の光を透過する位置を透過するので、波長λl4以外の波長成分が取り除かれる。次に、第1の多層積層膜31の波長λm4の光を透過する位置に入射されるが、斜め入射光b4には波長λm4の光は含まれていないため、斜め入射光b4は第1の多層積層膜31により完全に除去される。
【0028】
光学部品3は、ガラス基板33と第1の多層積層膜31からなるバンドパスフィルタと、同じく共通のガラス基板33と第2の多層積層膜32からなるバンドパスフィルタが、組み合わされたものとみることができる。また、光学部品3は、第1の実施形態における、スペーサ13の代わりに、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の間に、第2の透過波長可変フィルタの基板15と同材料の充填物を充填した形態とみることもできる。本実施形態の光学部品3は、構造が単純で製造が容易であり、しかも機械的強度が高い。また、基板の一方の面に多層積層膜を有する通常のLVFでは、多層積層膜を有さない他方の面に反射防止膜を設ける必要があるが、本実施形態の光学部品3は、基板の両面に多層積層膜が設けられているので、反射防止膜を設ける必要がない。そのため、光学部品3は透過率が高く、また低コストである。更に、基板の両面に多層積層膜が形成されているので、光学部品3はアライメントの必要もない。
【0029】
本実施形態において、ガラス基板、多層積層膜の材料、多層膜の成膜方法、波長変化方向の向き等は、第1の実施形態の光学部品1を製造する場合と同様にすることができる。
【0030】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態として、第1の実施形態の光学部品1を用いた分光測光装置について説明する。図6に示すように、本実施形態の分光測光装置4は、第1の実施形態の光学部品1と、複数の受光センサ21を有するラインセンサ2とから主に構成される。ここで、図6において、図1と同様に、第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の長手方向を「X方向」、X方向と直交する透過波長可変フィルタ11及び12の短手方向を「Y方向」、X及びY方向と直交する方向を「Z方向」と定義する。また、図6に示す分光測光装置の配置において、Z方向の上側を単に「上側」、上側の反対方向を「下側」とし、光学部品1に対して光は上側から入射して、下側へ透過するものとする。ラインセンサ2は、光学部品1の下側に設置され、各受光センサ21が光学部品1を透過した光を受光する。
【0031】
複数の受光センサ21は、X方向に沿って、つまり第1及び第2の透過波長可変フィルタ11及び12の波長変化方向14に沿って、ラインセンサ2上に配列される。各受光センサ21には、光学部品1により、斜め入射光成分が除去され、コリメートされた光が入射する。したがって、各受光センサ21で受光する光の波長分布は狭く(ピーク幅は狭く)、本発明の分光測光装置4は波長分解能が高い。
【0032】
また、本実施形態の分光測光装置4では、各受光センサ21で受光する光のスペクトル強度がほぼ一定になり、波長による受光強度分布が均一となる。これにより、各受光センサ21の感度校正が不要、若しくは容易になる。更に、光学部品1を透過した光は略平行光であり斜め入射光成分が除去されているので、光学部品1とラインセンサ2の距離を任意にとることができる。
【0033】
尚、本実施形態では、複数の受光センサがライン状に配置されたラインセンサを用いたが、光学部品と組み合わせるセンサは、ラインセンサに限らず、複数の受光センサを有するセンサアレイを使用できる。複数の受光センサの配置は、光学部品の波長変化方向の向きに応じて適宜設計することが可能である。
【0034】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態として、第2の実施形態の光学部品3を用いた分光測光装置について説明する。図7に示すように、本実施形態の分光測光装置5は、第2の実施形態の光学部品3と複数の受光センサ21を有するラインセンサ2とから主に構成される。図7に示す分光測光装置の配置において、Z方向の上側を単に「上側」、上側の反対方向を「下側」とし、光学部品5に対して光は上側から入射して、下側へ透過するものとする。ラインセンサ2は、光学部品3の下側に設置され、各受光センサ21が光学部品3を透過した光を受光する。上述のように光学部品3は、第1の実施形態の光学部品1と同様の効果を奏するので、本実施形態の分光測光装置5も、第3の実施形態の分光測光装置4と同様の効果を奏し、波長分解能が高い。
【0035】
尚、本実施形態において、光学部品3と受光センサ21の間に接着剤を充填して、接着剤によりこれらを密着させてもよい。つまり、光学部品3と受光センサ21を接着剤を含む接着層を介して接合してもよい。接着層を介して接合することで、光学部品3と受光センサ21の間の空間に異物が侵入することを防止できる。接着層に含まれる接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系室温硬化型接着剤であるセメダイン(登録商標)1565(セメダイン社製)、紫外線硬化型接着剤であるNOA61(ノーランド社製)、UT20(アーデル社製)及びOP1045(電気化学工業製)等が挙げられる。また、光学部品3と受光センサ21を接着剤により密着させる場合、接着層の厚み、すなわち、光学部品3と受光センサ21との間の距離は、1〜50μmとすることができる。
【0036】
以下、実施例を用いて本発明の説明をする。
【実施例】
【0037】
上述した実施形態の光学部品及び分光測光装置について、光学特性のシミュレーションを以下のように行った。
<透過波長可変フィルタについて>
透過波長可変フィルタとして、BK7からなる光学ガラス基板上にNbとSiOからなる多層積層膜が形成されたバンドパスフィルタを以下の方法により作製する。
【0038】
光学ガラス基板上の多層積層膜の形成は、以下のように行う。まず、スパッタリング装置のチャンバ内に設置された、回転可能な円板状の基板ホルダに、光学ガラス基板を設置する。スパッタリング用のターゲットとしてNb金属とSi半導体をチャンバ内に設置し、更に、ターゲットと光学ガラス基板の間には、光学ガラス基板上に形成される膜の膜厚が、基板ホルダの半径方向に順次変化するような膜厚補正板を設置する。
【0039】
そして、チャンバ内にArガスとOガスを導入し、基板ホルダを回転しながら、光学ガラス基板上にNb膜とSiO膜を成膜して、これらの多層積層膜を形成する。膜厚補正板を調整して多層積層膜中の各膜厚を制御することにより、基板ホルダの半径方向に沿って、透過する光の波長が線形に変化する多層積層膜を形成できる。基板ホルダの基準半径位置(本実施例では、基板ホルダの中心から85mmの位置)において、多層積層膜が形成された光学ガラス基板は、中心波長580nmの光を透過し、基準半径位置を中心に−11mm(基準半径位置から基板ホルダの円周へ向かう方向へ11mm)の位置では中心波長が380nm、+11mm(基準半径位置から基板ホルダの中心へ向かう方向へ11mm)の位置では中心波長が780nmの光を透過する。
【0040】
次に、多層積層膜が形成された基板を15mm×30mmの大きさに切り出し、透過波長可変フィルタが得られる。このとき、透過波長可変フィルタは、長辺(30mmの辺)と平行な方向に波長が変化し、長辺の略中央部の位置(長辺の両端から15mmの位置)における透過光の中心波長が、580nmになるようにする。つまり、長辺と平行な方向を透過波長可変フィルタの波長変化方向とする。本実施例の透過波長可変フィルタの略中央部における透過波長特性を図8に示す。透過波長可変フィルタの略中央部の位置を「0」とし、略中央部より透過波長が短くなる方向に11mm離れた位置を「−11mm」、略中央部より透過波長が長くなる方向に1mm離れた位置を「+1mm」、11mm離れた位置を「+11mm」とする。それぞれの位置における透過光の中心波長は、−11mmにおいて380nm、+1mmにおいて598nm及び+11mmにおいて780nmである。
【0041】
<光学部品について>
上で説明した透過波長可変フィルタ2枚を用いて、図1に示す光学部品1を製造する。まず、一方の透過波長可変フィルタ(以下、「第1の透過波長可変フィルタ11」とする)の多層積層膜形成面と、他方の透過波長可変フィルタ(以下、「第2の透過波長可変フィルタ12」とする)の基板面を対向させる。このとき、それぞれのフィルタの波長変化方向14を平行に、つまり、長辺を平行に配置した。また、各フィルタにおける光の透過波長の変化の方向、つまり短波長から長波長への変化の方向も一致させる。これにより、2枚の透過波長可変フィルタにおける略同一の波長の光を透過する領域が対向する。次に、2枚のフィルタ11及び12の間であって、これらの矩形のフィルタ11及び12の4隅に、合成石英ガラス製の高さ5mmのスペーサ13を1個ずつ合計4個配置し、スペーサを介して2枚のフィルタを接続して光学部品1を完成させる。
【0042】
本実施例では、スペーサ13により、2枚の透過波長可変フィルタ11及び12の間の距離は5mmに保持され、2枚のフィルタの間の光が透過する空間には、光学ガラス基板(n=1.52)より低い屈折率を有する空気(n=1)が存在する。
【0043】
<分光測光装置について>
上で説明した光学部品をラインセンサの上に配置して、図6に示す分光測光装置4を作製する。ラインセンサ2は、透過波長可変フィルタ11及び12とほぼ同サイズの矩形であり、その長辺の中心から−11mm〜+11mmの間に、1mm×2mmの受光センサが2mmピッチで12個並んでいるものを用いる。
【0044】
光学部品1の第1の透過波長可変フィルタ11の基板面と、ラインセンサ2の受光センサ21が配列されている面を対向させ、それぞれの中心を位置合わせし、それらの間を0.5mm離して配置して分光測光装置を作製する。図6において、光学部品1における光の透過波長は、波長変化方向14に沿って左から右へ、短波長から長波長へ線形に変化しており、ラインセンサの12個の受光センサを左からA、B、C、…Lとする。受光センサA、G及びLは、それぞれ、透過波長可変フィルタ11における約−11mm、約+1mm及び約+11mmの位置の下に位置する。
【0045】
<光学部品及び分光測光装置の光学特性シミュレーション結果>
上で説明した分光測光装置4のラインセンサ2から40mm上方(図6における上側)に、直径30mmの白色光源を設置し、そこから白色光を照射して、その光を分光測光装置4で測定する場合のシミュレーションを行った。分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光する透過光スペクトルA〜Lについて、シミュレーション結果を図9に示す。また、白色光源の大きさを直径60cmにして、同様のシミュレーションを行った。直径60mmの白色光源の場合のシミュレーション結果を図10に示す。更に、受光センサA、G及びLにおける、透過光ペクトルの中心波長λと、透過光スペクトルの半値幅Δλを中心波長λで除した値、Δλ/λを表1に示す。λ及びΔλ/λの両値は、白色光源の直径が変わっても、共に表1に示す値であり変化しなかった。Δλ/λは、分光測光装置の分光特性評価の指標となる値であり、その値が小さいほど分光特性が高いことを示す。
【0046】
【表1】

【0047】
図9及び図10に示すように、透過光スペクトルが、AからLの順に短波長から長波長へ分離していることから、本実施例の光学部品は、それを透過する白色光を波長ごとに分光することがわかる。
【0048】
そして、表1からわかるように、光源の直径によらず、透過光スペクトルA、G及びLの中心波長は設計値と一致し、Δλ/λの値は小さく、受光センサの位置によらず、ほぼ一定であった。この場合の設計値とは、透過波長可変フィルタの各位置において、フィルタに対して垂直に入射して透過する光の波長である。また、図9及び図10からわかるように、白色光源の直径60mmの方が、全体にやや透過率が低下するが、それ以外は光源の直径によらず、共に各スペクトルA〜Lのピークはシャープであった。また、ピークの高さ(透過率)は、受光センサの位置および受光波長によらず、略同一であった。
【0049】
以上の結果から、本実施例の光学部品は入射光の斜め成分を除去し、入射光をコリメートしてラインセンサ側へ透過させることがわかる。斜め入射光を除去することにより、透過光スペクトルA〜Lの中心波長は設計値と一致し、Δλ/λの値が小さくなると考えられる。光源の直径が大きくなると、入射光の斜め入射成分は増加するが、本実施例の光学部品は斜め入射光成分を除去し、入射光をコリメートするので、透過光量はやや低下するが、光源が30mmのときと同等の分光特性を有することができる。したがって本実施例の分光測光装置は、高い波長分解能を有する。更に、各スペクトルA〜Lの光量(透過率)が、ほぼ同じ値を示すことから、本実施例の分光測光装置では、各受光センサ間の感度調整等が容易である。
[比較例]
【0050】
透過波長可変フィルタ1枚のみの分光特性について調べるために、図11に示すような、透過波長可変フィルタ1枚と、ラインセンサを組み合わせた分光測光装置6の光学特性についてシミュレーションを行った。透過波長可変フィルタ及びラインセンサは、実施例と同様のものを使用できる。分光測光装置6は、実施例の分光測光装置から、第2の透過波長可変フィルタ12を除いた構成に相当する。図11において、透過波長可変フィルタ11における光の透過波長は、波長変化方向14に沿って左から右へ、短波長から長波長へ線形に変化している。受光センサA、G及びLは、それぞれ、透過波長可変フィルタ11における約−11mm、約+1mm及び約+11mmの位置の下に位置する。
【0051】
<透過波長可変フィルタ及び分光測光装置の光学特性シミュレーション結果>
上で説明した分光測光装置6のラインセンサ2から40mm上方(図11における上側)に、直径30mmの白色光源を設置し、そこから白色光を照射して、その光を分光測光装置で測定する場合のシミュレーションを行った。分光測光装置の各受光センサA〜Lが受光する透過光スペクトルA〜Lについて、シミュレーション結果を図12に示す。また、白色光源の大きさを直径60cmにして、同様のシミュレーションを行った。直径60mmの白色光源を使用した場合のシミュレーション結果を図13に示す。更に、受光センサA、G及びLにおける、透過光ペクトルの中心波長λと、透過光ペクトルの半値幅Δλを中心波長λで除した値、Δλ/λを直径30mmの白色光源を使用した場合について表2に、直径60mmの白色光源を使用した場合について表3にそれぞれ示す。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
図12及び図13に示すように、透過光スペクトルが、AからLの順に短波長から長波長へ分離していることから、本比較例の透過波長可変フィルタは、それを透過する白色光を波長ごとに分光することがわかる。
【0055】
しかし、表2及び表3からわかるように、透過光スペクトルA〜Lの中心波長λは設計値よりずれ、Δλ/λの値は大きく、受光センサの位置によっても、ばらついた。また、図12及び図13からわかるように、透過光スペクトルA〜Lのそれぞれのピークは実施例と比較してブロードであり、その高さ(透過率)も受光センサの位置および受光波長によって、ばらついていた。また、白色光源の直径30mmの場合と、直径60mmの場合とを比較すると、直径60mmの光源を用いた方が、中心波長λの設計値からのずれ幅及びΔλ/λの値は大きくなった。
【0056】
以上の結果から、本比較例の分光測光装置では、入射光の斜め成分が除去されず、そのままラインセンサへ入射することがわかる。これにより、透過光スペクトルA〜Lの中心波長は設計値からずれ、Δλ/λの値が大きくなったと考えられる。光源の直径が大きくなると、入射光の斜め入射成分は増加するので、直径60mmの光源を用いた方が、直径30cmの光源を用いたときより、中心波長λの設計値からのずれ幅及びΔλ/λの値が大きくなったと考えられる。
【0057】
尚、実施例では、光学部品とラインセンサからなる分光測光装置について説明したが、分光測光装置は、更に拡散板を有していてもよい。拡散板を光学部品の光が入射する面側に設けて、入射光を均一化した状態にすることができる。
【0058】
また、実施例では、波長範囲が約400nm〜約700nmの可視光用の光学部品及び分光測光装置について説明したが、これらに用いる透過波長可変フィルタ及びラインセンサ等を適宜選択、製造することにより、約300nm〜約400nmのUV用、約700nm〜約1500nmのIR用の光学部品及び分光測光装置としても構わない。
【0059】
更に、以上説明した実施例では、透過波長可変フィルタを2枚用いた光学部品について説明したが、透過波長可変フィルタを3枚以上用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 光学部品
11 第1の透過波長可変フィルタ
12 第2の透過波長可変フィルタ
13 スペーサ
14 波長変化方向
15 基板
16 空間
2 ラインセンサ
21 受光センサ
3 光学部品
31、32 多層積層膜
33 ガラス基板
34 波長変化方向
4、5、6 分光測光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品であって、
光が入射する面内の第1の方向に沿って透過波長が変化する第1の透過波長可変フィルタと、
光が入射する面内の第2の方向に沿って透過波長が変化する第2の透過波長可変フィルタを有し、
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタを所定の間隔を隔てて、かつ、前記第1の方向と前記第2の方向が略平行となるように設置した光学部品。
【請求項2】
更に、前記第1及び第2の透過波長可変フィルタの間に設けられ、これらの間を前記所定の間隔に保持するスペーサを有する請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタが、バンドパスフィルタである請求項1または2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタが、基板と、該基板上に形成された多層積層膜を有する光干渉フィルタである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記多層積層膜が、SiO及びNbの多層積層膜である請求項4に記載の光学部品。
【請求項6】
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタは、前記第1及び第2の方向に沿って、それぞれ、透過波長が連続的に変化する透過波長可変フィルタである請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタが、同一の透過波長可変フィルタである請求項1〜6いずれか一項に記載の光学部品。
【請求項8】
前記第1の透過波長可変フィルタの光が入射する面と、前記第2の透過波長可変フィルタの基板は対向しており、
前記第1及び第2の透過波長可変フィルタの間における、前記光が透過する空間には、前記第2の透過波長可変フィルタの基板よりも低い屈折率を有する物質が存在する請求項4に記載の光学部品。
【請求項9】
前記低い屈折率を有する物質が、空気である請求項8に記載の光学部品。
【請求項10】
前記スペーサが、前記所定の間隔を変更可能である可変スペーサである請求項2に記載の光学部品。
【請求項11】
入射した光を波長ごとに分光して透過させる光学部品であって、
基板と、
前記基板の光が入射する面に、該面内の第1の方向に沿って光の透過波長が変化する第1の多層積層膜と、
前記基板の光出射面に、該出射面内の第2の方向に沿って光の透過波長が変化する第2の多層積層膜を有し、
前記第1の方向と、前記第2の方向が略平行である光学部品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の前記光学部品と、
前記光学部品を透過した光を受光する、複数のセンサが配列されたセンサアレイを備える分光測光装置。
【請求項13】
請求項11に記載の前記光学部品と、
前記光学部品を透過した光を受光する、複数のセンサが配列されたセンサアレイと、
前記光学部品と前記センサアレイとを接合する接着層を備える分光測光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−253078(P2011−253078A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127529(P2010−127529)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】