説明

光源駆動装置

【課題】 汎用性が高く、かつ不必要な駆動手段を実装せずに光源を駆動できる光源駆動用装置となる。
【解決手段】 複数の光源3,5を制御するための制御信号を生成する制御手段1と、制御手段1からの制御信号に基づいて複数の光源3,5をそれぞれ駆動する駆動手段2,4と、を回路基板に備えた光源駆動装置であって、前記回路基板には、制御手段1から第2駆動手段4までの配線において、第1の駆動手段2を介して前記制御信号を入力可能なカスケード接続用配線パターン63と、カスケード接続せずに制御手段1と接続するための制御手段接続用配線パターン62aと、を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源駆動装置に関し、特に車両に搭載される光源駆動装置のように多種のバリエーションを有する装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシフトレジスタを使用する場合には、カスケード接続を行うことが一般的であり、例えば特許文献1に開示されている。このようなカスケード接続を用いた駆動装置の一つとして車両用の光源駆動装置がある。この光源駆動装置は、駆動対象となるLED等の光源が多数設けられる場合に、これら光源を駆動するための駆動ドライバ(駆動手段)を複数設け、互いにカスケード接続することで制御手段からの制御信号を受信するようにしている。
【特許文献1】特開平11−305661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特に車両用計器に搭載される光源駆動装置にあっては、車両の機種や搭載機能毎に光源の有無があり、上流側に実装された駆動ドライバ(制御手段側の駆動ドライバ)が、駆動対象となる光源が必要でないため実装されない場合であっても、必要な制御信号を転送するためだけに上流側の駆動ドライバが必要となるため、その分の実装コストを要してしまうという問題があった。また、この上流側に設けられる駆動ドライバ分だけ制御信号のデータが大きくなってしまうため、データ転送に時間を要してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的とするところは、汎用性が高く、かつ不必要な駆動手段を実装せずに光源を駆動できる光源駆動用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光源駆動装置は、請求項1に記載したように、複数の光源を制御するための制御信号を生成する制御手段と、前記制御手段からの制御信号に基づいて前記複数の光源をそれぞれ駆動する駆動手段と、を回路基板に備えた光源駆動装置であって、前記回路基板には、前記制御手段から前記駆動手段までの配線において、他の駆動手段を介して前記制御信号を入力可能なカスケード接続用配線パターンと、カスケード接続せずに前記制御手段と接続するための制御手段接続用配線パターンと、を設けてなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載したように、請求項1に記載の光源駆動装置において、前記カスケード接続用配線パターン及び前記制御手段接続用配線パターンは、何れか一方の配線パターンを選択するための選択手段を設けてなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載したように、請求項2に記載の光源駆動装置において、前記選択手段は、前記カスケード接続用配線パターンもしくは前記制御手段接続用配線パターンに設けられる導電部材を用いて選択可能に用意してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、光源駆動装置に関して、汎用性が高く、かつ不必要な駆動手段を実装せずに光源を駆動できる光源駆動用装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例であり、車両用計器に用いられる光源駆動装置の電気的構成を示すブロック図である。光源駆動装置は、制御手段1と、第1の駆動手段2と、第1の光源3と、第2の駆動手段4と、第2の光源5と、配線6と、選択手段7とを回路基板上に選択的に備えている。
【0011】
制御手段1は、マイクロコンピュータを適用でき、CAN(Controller Area Network)通信ケーブルや図示しないイグニションスイッチ等の機器などと接続され、車両の各種情報等を入力し、この信号に応じて第1,第2の光源3,5を制御するための制御信号を生成し、第1,第2の駆動手段2,4へ出力する。また、制御手段1は、各種情報に基づいて演算処理するためのCPUと、このCPUにおける演算処理結果等を一時的に格納する読出しおよび書換え可能なRAMや、制御プログラムや制御データを格納したROMから構成される記憶部と、前記各種情報や制御信号、クロック信号やラッチ信号などをやり取りするためにバス接続された入出力インターフェイスと、を備えている。
【0012】
第1の駆動手段2は、カスケード接続可能なドライバICを適用でき、制御手段1からの制御信号を受けて、第1の光源3をそれぞれ駆動するための駆動信号を生成し出力する回路である。第1の駆動手段2は、制御手段1から出力される制御信号の他に、クロック信号、ラッチ信号、イネーブル信号などの信号を入力するためのポートや、前記制御信号や前記駆動信号を出力するためのポートを設けている。
【0013】
第1の光源3は、発光ダイオードを適用でき、複数用意されており、それぞれが第1の駆動手段2に接続されている。第1の光源3は、車両用計器の警告灯や各種機能の動作状態を示す表示などの照明光源として用いられる。この場合、自動変速機を搭載した車両用の計器におけるシフトポジション表示の照明光源として用いられる。なお、第1の光源3は、車両の車種や搭載機能などによって必要のない場合がある。この場合、手動変速機搭載の車両の計器には、照明対象となるシフトポジション表示がないため必要ない。
【0014】
第2の駆動手段4は、第1の駆動手段2と同様にドライバICを適用でき、制御手段1からの制御信号、あるいは第1の駆動手段2からの制御信号を受けて、第2の光源5をそれぞれ駆動するための駆動信号を生成し出力する回路である。第2の駆動手段4は、制御信号の他に、クロック信号、ラッチ信号、イネーブル信号などの信号を入力するためのポートを設けている。
【0015】
第2の光源5は、第1の光源3と同様の発光ダイオードを適用でき、複数用意されており、それぞれが第2の駆動手段4に接続されている。第2の光源5は、車両用計器の警告灯や各種機能の動作状態を示す表示などの照明光源として用いられる。この場合、残燃料量やオイル温度などの警告灯表示の照明光源として用いられる。
【0016】
配線6は、回路基板上に印刷される銅箔からなり、制御手段1と第1の駆動手段2との間を接続する、制御手段接続用配線パターン61a、クロック用配線パターン61b、ラッチ用配線パターン61c、イネーブル用配線パターン61d、を設けている。また、配線6は、制御手段1と第2の駆動手段4との間において、制御手段接続用配線パターン62a、クロック用配線パターン62b、ラッチ用配線パターン62c、イネーブル用配線パターン62d、を設けて接続している。また、配線6は、第1の駆動手段2と第2の駆動手段4との間を接続する、カスケード接続用配線パターン63を設けている。
【0017】
選択手段7は、ジャンパ線などの導電部品を適用でき、制御手段接続用配線パターン62aと、カスケード接続用配線パターン63との何れか一方に設けられる。選択手段7が実装されることによって、制御手段1あるいは第1の駆動手段2と第2の駆動手段4との電気的な接続状態となり、選択手段7が実装されない配線パターンは、断線状態となる。なお、選択手段7は、抵抗やインダクタなどの電子部品を適用することによって、ノイズ対策用として兼用することもできる。
【0018】
以上の回路構成によって、車両の車種や搭載機能などによって必要な表示を有する計器に搭載する場合には、図1に示すように、制御手段1と、第1の駆動手段2と、第1の光源3と、第2の駆動手段4と、第2の光源5と、配線6と、を回路基板上に搭載し、かつ選択手段7をカスケード接続用配線パターン63に設けることによって、必要な第1、第2の光源3,5をすべて駆動することができる。
【0019】
また、車両の車種や搭載機能などによって計器にて表示を行わない部分がある場合、本実施の形態では、手動変速機搭載の車両用計器であって、シフトポジション表示がなく、この表示を照明する第1の光源が必要ない場合には、制御手段1と、第2の駆動手段4と、第2の光源5と、配線6と、を回路基板上に搭載し、かつ選択手段7を制御手段接続用配線パターン62aに設けることによって、第1の光源3だけでなく、第1の駆動手段2を実装することなく、第2の光源5を駆動することができる。なお、この場合、第2の駆動手段4を制御するための制御手段1からの制御信号において、第1の駆動手段2に対するデータを転送する必要がないため、無駄なデータを転送する必要がなく、制御手段1の処理時間を短縮できる。
【0020】
かかる光源駆動装置は、複数の光源3,5を制御するための制御信号を生成する制御手段1と、制御手段1からの制御信号に基づいて複数の光源3,5をそれぞれ駆動する駆動手段2,4と、を回路基板に備えた光源駆動装置であって、前記回路基板には、制御手段1から第2駆動手段4までの配線において、第1の駆動手段2を介して前記制御信号を入力可能なカスケード接続用配線パターン63と、カスケード接続せずに制御手段1と接続するための制御手段接続用配線パターン62aと、を設けてなる。
【0021】
したがって、車両の車種や搭載機能などある程度異なる場合であっても、汎用性が高く、かつ不必要な駆動手段を実装せずに光源を駆動できる光源駆動用装置となる。
【0022】
また、カスケード接続用配線パターン63及び制御手段接続用配線パターン62aは、何れか一方の配線パターン63,62aを選択するための選択手段7を設けてなり、選択手段7は、カスケード接続用配線パターン63もしくは制御手段接続用配線パターン62aに設けられる導電部材を用いて選択可能に用意してなることによって、車両の車種や搭載機能などの相違を、実装部品や実装位置のみを変更するだけで対応することができるため、回路基板の配線パターンの変更など製造工程を複雑にすることなく、汎用性の高い回路基板を備えた光源駆動用装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】同上実施の形態の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0024】
1 制御手段
2 第1の駆動手段
3 第1の光源
4 第2の駆動手段
5 第2の光源
62a 制御手段接続用配線パターン
63 カスケード接続用配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を制御するための制御信号を生成する制御手段と、
前記制御手段からの制御信号に基づいて前記複数の光源をそれぞれ駆動する駆動手段と、を回路基板に備えた光源駆動装置であって、
前記回路基板には、前記制御手段から前記駆動手段までの配線において、他の駆動手段を介して前記制御信号を入力可能なカスケード接続用配線パターンと、カスケード接続せずに前記制御手段と接続するための制御手段接続用配線パターンと、を設けてなることを特徴とする光源駆動装置。
【請求項2】
前記カスケード接続用配線パターン及び前記制御手段接続用配線パターンは、
何れか一方の配線パターンを選択するための選択手段を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の光源駆動装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記カスケード接続用配線パターンもしくは前記制御手段接続用配線パターンに設けられる導電部材を用いて選択可能に用意してなることを特徴とする請求項2に記載の光源駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−94155(P2008−94155A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275257(P2006−275257)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】