説明

光軸検出装置、光軸検出システム、ターゲット、光軸検出方法

【課題】画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出装置において、撮像装置の光軸方向のずれを効率よく検出できるようにすることを目的とする。
【解決手段】撮像装置の前方に配置された複数種類のターゲットを認識する認識手段と、上記ターゲットを認識した位置に基づいて光軸のずれを検出する検出手段と、を備え、上記認識手段は、上記撮像装置で撮像した撮像画像の画素のうちから、上記撮像画像の一部の画素集合を選択し、当該一部の画素集合内の画素の輝度に関する所定の和算および減算からなる演算に基づいて、当該演算の結果が最大値または最小値となる上記画素集合を探索する探索手段を複数種類備え、上記探索手段が探索した上記最大値または最小値に基づいて、上記ターゲットを認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の撮像装置の光軸の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の前方の安全確認や車両レーンの制御等のために、前方に向けて撮像装置(2次元画像を撮像する装置であって、入力する光は可視光、電波を問わない、以下、本願において撮像装置、カメラというときは同じ。)を設置している車両があった。このようなカメラを設置する場合、カメラの向き(光軸)を、ロール角、車両進行方向(FOE、Focus Of Expansion)について合わせる調整が必要である。このカメラの向きを合わせる方法として、画像の視野角ぎりぎりの内側に2点、中央に1点の格子のターゲットを車両の前方に設けて、カメラの向きを測定する方法があった(特許文献1等)。
【0003】
また、近年、車両には、必要な画角(Angle of view、即ち、カメラの視野角)に対応して、広角から狭角まで2台ないしそれ以上の台数のカメラを設けることがなされている。これらのカメラを設けた場合には、複数台のカメラの光軸を互いに合わせる必要がある。
【0004】
図9を用いて、複数台のカメラの光軸を調整する従来の方法について説明する。図9(A)は、光軸検出システムの全体図を3角法で表している。光軸検出システムは、メーカの出荷時、修理工場での修理時などに作業員により使用される。図9(A)に示すように、光軸検出システムは、複数のターゲット101、および車両100内に設けられた広角カメラ121、狭角カメラ122を備える。広角カメラ121、狭角カメラ122は、ターゲット101を撮像する。図9(B)は、広角カメラ121または狭角カメラ122が撮像した撮像画像104を表している。撮像画像104には、3つのターゲット101が写る。3つのターゲット101は、すべて同じ形状であり、2つの互いに交わる直線で分割された4領域のうち、1つの対角に位置する2領域は、輝度の高い白で塗られ、その他の2領域は輝度の低い黒で塗られている。3つのターゲット101のうちの中央のターゲットは撮像方向の縦方向、横方向を調整するための基準である。各カメラは、内部に、それぞれECU(電子制御ユニット)を備えている。ECUは、中央のターゲットを用いて、FOEおよび撮像方向のずれを検出する。また、ターゲット101のうち、両端のターゲットは、撮像画像104内の両端ぎりぎり(即ち、広角カメラ121または狭角カメラ122の画角いっぱい)に配置されている。上記ECUは、両端のターゲットを用いて、広角カメラ121または狭角カメラ122の光軸のロール角102を検出する(ここで、ロール角102は、水平方向に対する広角画像210の取り付け角度の傾きを意味するものとする。以下、本願において同じ)。このように、両端のターゲット101が撮像画像104内の両端ぎりぎりに撮像されるようにするのは、ターゲット101間が離れている方が、ロール角102の測定精度を高めることができるためである。
【特許文献1】特開2005−143040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、以下のような問題があった。図9(C)、図9(D)、図9(E)を用いてこれを説明する。
【0006】
図9(C)は、広角カメラ121の画角を示す。図9(D)は、狭角カメラ122の画角を示す。図9(C)に示すように、作業員は、広角カメラ121を調整するときは、ターゲット101を広角カメラ121の画角いっぱいになるよう、ターゲット101を設定する。これにより作業員は、ロール角102のずれを測定する。狭角カメラ122を調整するときは、作業員が狭角カメラ122の画角の範囲にターゲット101が入るようにターゲット101を移動するか、またはロボットがターゲットを移動していた。
【0007】
しかし、調整の際に作業員がターゲットを移動させると、作業効率が低下する。また、ターゲットを細工したり、不要なターゲットを覆って検出されないようにしても、作業効率が低下する。また、パネルの表示を電光掲示板のように変更するのも大掛かりであり、そのための電力コストが必要になったり、故障したりする虞がある。
【0008】
そこで、作業効率を高めるには、5つのターゲットを並べて検査することが考えられる。しかし、図9(E)に示すように、従来の方法では、上記ECUは5点のターゲットを区別できない。したがって、上記ECUは、5点のいずれのターゲットも検出してしまう。5点のターゲットからロール角を検出するための3点を選択するのは、5点のターゲットから3点を選択する処理が余分に必要であった。ここで、ECUに搭載するプログラムの容量は小さくとも貴重であり、その容量を小さく切り詰めることが求められ、かつ、処理負荷を軽減することが求められている。このような環境で余分な処理を行うことは、処理が不安定になったりする問題を引き起こす虞があった。
【0009】
そこで、本発明は、撮像装置の光軸方向のずれを効率よく検出できるようにすることを目的とする。その目的の解決のために、ターゲットを置き換えなくても、撮像装置の光軸方向のずれを検出すること、および、必要なターゲットを選択する処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、以下の構成を備えることができる。
【0011】
(1) 本発明は、
画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出装置において、
上記撮像装置の前方に配置された複数種類のターゲットを認識する認識手段と、
上記ターゲットを認識した位置に基づいて光軸のずれを検出する検出手段と、を備え、
上記認識手段は、上記撮像装置で撮像した撮像画像の画素のうちから、上記撮像画像の一部の画素集合を選択し、当該一部の画素集合内の画素の輝度に関する所定の和算および減算からなる演算に基づいて、当該演算の結果が最大値または最小値となる上記画素集合を探索する探索手段を複数種類備えることを特徴とする光軸検出装置である。
【0012】
この構成では、認識手段の探索手段は、当該一部の画素集合内の(複数の)画素の輝度に関する所定の和算および減算からなる演算に基づいて、当該演算の結果が最大値または最小値となる上記画素集合を探索する。したがって、探索手段は、簡易な計算により、撮像画像のうち、ターゲットのパターンと合致する画素を探索できる。したがって、光軸検出装置は、ターゲットを複数配置したまま、所定の撮像装置に適したターゲットを選択できる。したがって、光軸検出装置は、ターゲットを置き換えなくても撮像装置の光軸方向の検出できる。また、図9(E)に示したようなターゲットを選択する処理をする必要がないから、処理の負担が軽減されうる。
【0013】
なお、探索手段が複数種類あるとは、探索する演算、および探索方法(最大値を指標とするか、最小値を指標とするかという探索方法)が複数種類あるということである。探索する演算が同じでも上記探索方法のみが異なっていれば、探索手段が複数種類あるものとする。探索手段は、同一の装置内に設けることは要しない。例えば、略同一方向へ光軸を調整する必要性がある複数のカメラについて、探索手段が複数種類、存在すれば足り、別々の筐体に探索装置を設けてもよい。より具体的には、各カメラ内部のECUに探索手段をソフトウェアとして組み込んでもよい。探索手段が別々の装置内に組み込まれていても、探索手段の種類が異なる限り、全体として1つの光軸検出装置が組み込まれているということができ、その光軸検出装置は、本発明の効果を奏する。(2)以下の光軸検出装置、光軸検出システム、光軸検出方法も同様である。
【0014】
また、撮像装置は、本発明に必須ではないが、撮像装置は、この構成の光軸検出装置と一体でもよい。
【0015】
(2) 上記探索手段は、上記演算として、上記撮像画像のうちの一部の画素集合をAk(k=1〜N、Nは自然数)とし、Akのうちの所定のパターンで選択した画素集合Bkの輝度の合計値Xと、上記画素集合Akのうちの上記画素集合Bk以外の画素集合Ckの輝度の合計値Yと、の差(X−Y)を計算するようにしてもよい。
【0016】
この構成では、所定のパターンで画素を選択し、輝度の合計の差を計算する。例えば、画素集合Bkをターゲットの輝度の明るい部分に対応させ、画素集合Ckを輝度の暗い部分に対応させるようにすれば、撮像画像のうち、差Xk−Ykが最大となる画素集合は、そのターゲットと合致させることができる。また、画素集合Bkをターゲットの輝度の暗い部分に対応させ、画素集合Ckを輝度の明るい部分に対応させるようにすれば、撮像画像のうち、差Xk−Ykが最小となる画素集合は、そのターゲットと合致する部分である。
【0017】
したがって、探索手段は、このような簡易な計算により、撮像画像のうち、ターゲットのパターンと合致する画素を探索できる。輝度の差を計算するので、一方だけの合計XkまたはYkを計算するよりも、コントラストを強めた画像で画像の合致を認識することができるので、耐ノイズ性能を向上できると期待できる。
【0018】
(3) 上記複数種類の探索手段は、
上記差(X−Y)が最大値となる上記画素集合を探索する第1の探索手段と、
上記第1の探索手段で用いた撮像画像を撮像した上記撮像装置と同じまたは異なる撮像装置で撮像した撮像画像について、上記差(X−Y)が最小値となる上記画素集合を探索する第2の探索手段を備えるようにしてもよい。
【0019】
この構成では、探索手段は、評価関数として、(X−Y)を用い、評価方法として(X−Y)の最大値、最小値を用いている。したがって、この探索手段によれば、(X−Y)、(Y−X)の評価関数を計算したことに等しい。したがって、X−Yの身の評価関数を用いるに比べて、2倍の数のターゲットを判別できる。この構成は、(4)に記載の補色関係のターゲットを用いた場合には、特に有効である。
【0020】
なお、この構成から明らかなように、(X−Y)は、第1の探索手段、第2の探索手段で使用する撮像画像は、同一の撮像装置で撮像したことを要しない。また、第1の探索手段、第2の探索手段は、結果的に上記で定義した探索と同等のことを行っていれば足り、例えば、差(Y−X)が最大値となる画素集合を探索することは、結果的に、上記(3)の構成に示す、「差(X−Y)が最小値となる画素集合を探索する」ことに帰着する。
【0021】
(4) 複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸ずれ検出装置において、
上記複数の種類の探索手段は、第1の探索手段、第2の探索手段を有し、
上記第1の探索手段、上記第2の探索手段は、
上記撮像画像のうちの一部の画素集合として、互いに縦横に隣接する4つの画素(当該画素を時計回りにA1、B1、C1、D1とする)を選択した場合に、上記4つの画素のうち対角に隣接する画素同士の輝度を足し算した2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値を上記演算として計算する第1の計算手段、
または、
上記撮像画像のうちの一部の画素集合として、互いに縦横に隣接する4つの領域(当該4つの領域を時計回りにA2、B2、C2、D2とする)を選択した場合に、それぞれの領域A、B、C、D内の画素の輝度の合計a、b、c、dを計算し、上記輝度の合計a、b、c、dを対角に隣接する領域について足し算した2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値を上記演算として計算する第2の計算手段、のいずれかを備え、
上記第1の探索手段は、上記2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値または上記2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値が最大となる上記画素集合を上記撮像画像の画素の全体から選択し、
上記第2の探索手段は、上記2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値または上記2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値が最小となる上記画素集合を上記撮像画像の画素の全体から選択するようにしてもよい。
【0022】
この構成では、特に、中心点の周囲を4分割された領域のうち、1つの対角が黒、他方の対角が白で配色されたターゲットの中心を認識するのに効果的である。ここで、ターゲットの4つの領域を右回りにA、B、C、Dとすると、4つの領域は、2方向に隣接している。即ち、A、Cが隣接し、またB、Dが隣接している。この構成では、このようなターゲットを認識できるよう、探索手段は、2つの対角の画素の和(A+C、B+Dの2つの和が存在する)を計算し、この和同士の引き算を行う。第2の計算手段は、4つの領域内の画素の合計a、b、c、dをそれぞれ計算し、上記合計a、b、c、dを足し算した2つの和a+c、b+d同士の差の値を上記演算として計算する(以上は第2の計算手段を用いた場合の説明であるが、第1の計算手段を用いた場合は、上記2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値を用いて以上の説明を適用する。)。したがって、上記4分割された領域を有するターゲットが2種類ある。2種類のターゲットの色合いが互いに補色関係にあるように配置されているターゲットに対して、認識手段は、第1の計算手段または第2の計算手段により、簡易な計算で、ターゲットを識別できる。第1の計算手段または第2の計算手段は、上記演算を1つの画素集合について1回のみ行えば足りる。第1の探索手段は、上記差の値が最大となる部分を選択することで、1種のターゲットを認識できる。第2の探索手段は、上記差の値が最小となる部分を選択することで、他の1種のターゲットを認識できる。
【0023】
(5) 本発明は、
画像を撮像する複数の撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出するためのターゲットにおいて、
上記ターゲットは、配色が異なる複数種類のターゲットを含み、上記複数種類のターゲットのうち一部またはすべての、その配色が互いに補色関係にあることにより、上記配色が異なっていることを特徴とするターゲットである。
【0024】
この構成において、配色とは、色の配置、色のパターン等を表す。この構成のターゲットによれば、上記複数種類のターゲットのうち、一部またはすべての種類の配色は、互いに補色関係にあるから、上記演算を1つの画素集合について1回のみ行えば足りる。即ち、このターゲットを用いて光軸のずれを検出すれば、光軸検出装置は、上記差の値が最大となる部分を選択することにより、1種のターゲットを認識できる。探索手段は、上記差の値が最小となる部分を選択することで、他の1種のターゲットを認識できる。
【0025】
(6) 上記ターゲットには、第1種のターゲット、第2種のターゲットを含み、
上記第1種のターゲット、上記第2種のターゲットは、いずれも、互いに交差する2直線の交点を中心にして分割された4領域を有すると共に、当該4領域のうちの一方の互いに対角な2領域は、第1の輝度の色で着色され、他方の互いに対角な2領域が上記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色で着色され、
上記第1種のターゲットは、上記4領域のうち、上記第1の輝度の領域の位置が、上記第2種のターゲットの上記第2の輝度の領域の位置と対応し、4分割された領域のうち、上記第2の輝度の領域の位置が、上記第2種のターゲットの第1の輝度の領域の位置と対応していることにより、上記第1種のターゲット、上記第2種のターゲットは、その配色が互いに上記補色関係にあるようにしてもよい。
【0026】
この構成は、単に、従来のように4分割された領域に区分けされたターゲットを用いているのではなく、第1種のターゲット、第2種のターゲットを、一方の第1の輝度の部分の位置が他方の上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分の位置と対応するように構成している。これにより、上記第1種、第2種のターゲットの配色は、互いに上記補色関係にあるという特徴を有する。この構成の2種類のターゲットは互いに補色関係に構成されているので、光軸検出装置は、(4)と同様に、1回の演算で、2つのターゲットを識別できる。
【0027】
(7) 上記第1種のターゲット、上記第2種のターゲットは、いずれも、上記4領域が、上記互いに交差する2直線の交点を中心にして、ほぼ縦横に均等に4分割されているようにしてもよい。
【0028】
この構成のターゲットは、均等に4分割されているので、1種類のターゲットを回転するだけで、もう1種類のターゲットを構成できる。これらの2つのターゲットは、互いに補色関係にあり、上記(5)の効果を有するターゲットを簡易に構成できる。
【0029】
(8) 本発明は、
撮像した画像に基づいて、光軸のずれを検出するためのターゲットにおいて、
上記ターゲットは、配色が異なる複数種類のターゲットを含み、
それぞれの種類の上記ターゲットは、1点を中心とする複数の円弧と、上記中心を端点とする複数の直線または上記中心を通る複数の直線と、により分割された複数の円弧領域が、第1の輝度の色と上記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色とに配色がなされており、当該配色のパターンは、上記ターゲットの種類により互いに異なっていることを特徴とするターゲットである。
【0030】
この構成のターゲットの配色のパターンは、上記ターゲットの種類により互いに異なっているので、光軸検出装置は、これらのパターンを識別し、必要なターゲットの位置を探索することができる。したがって、ターゲットを置き換えなくても撮像装置の光軸方向の検出できる。
【0031】
なお、この構成では、複数の円弧領域の境界は、必ずしも第1の輝度の部分と低い部分で隣接していることを要さない。また、複数の円弧領域の境界線は、明示の線で分割されていなくてもよく、例えば、図6に示すように、輝度が同じ円弧領域同士が隣接する場合に、境界線が、別の輝度の色の直線で分割されている必要はない。
【0032】
(9) 上記複数の直線は、上記複数種類のターゲットのいずれにおいても、上記1点の周囲を等分しており(この等分の数をn等分とする)、
上記複数種類のターゲットは、n種類含み、1の種類のターゲットを360度/nずつ回転してn種類形成されているようにしてもよい。
【0033】
この構成では、上記直線によりn等分された数のターゲットを、1つのターゲットを回転して構成しているので、n種類の互いに異なるターゲットを容易に作成できる。
【0034】
(10) 本発明は、
画像を撮像する複数の撮像装置と、上記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
上記(1)に記載の光軸検出装置と、
上記撮像装置の前方に配置された複数種類のターゲットと、を備え、
上記複数種類のターゲットは、それぞれ第1の輝度の色と上記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色とに配色がなされ、かつ、上記ターゲットの種類に対応して、互いに上記配色が異なっており、
上記光軸検出装置の探索手段は、上記演算として、上記ターゲットの上記配色に対応して定めた所定のパターンの画素を選択して、その画素の輝度の和を計算することを特徴とする光軸検出システムである。
【0035】
この構成の各種ターゲットは、互いに配色が異なっている。探索手段は、上記ターゲットの上記配色に対応して定めた所定のパターンの画素について輝度の和算を行う。したがって、探索手段は、例えば、この和算の大小等を対比することにより、ターゲットの配色パターンと合致する画素集合を選択できる。
【0036】
(11) 画像を撮像する複数の撮像装置と、上記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
上記撮像装置の前方に配置された上記(6)に記載のターゲットと、
上記(4)に記載の光軸検出装置を備えるようにしてもよい。
【0037】
この構成では、認識手段は、ターゲットのパターンに対応して定めた、対角同士の足し算引き算という簡易な計算式で、2種類の上記ターゲットを識別することができる。したがって、計算式が簡易であるため、ハードウェアの負担を軽減でき計算時間を短縮できる。また、補色関係にあるターゲットを用いているので、1つの計算式で、最大の部分と最小の部分を探索することにより、2種類の上記ターゲットを識別することができる。計算式の値が最大となる部分と最小となる部分を1つの撮像画像について探索する場合には、評価関数の計算を共用できる。この場合には、さらにハードウェアの負担を軽減でき、計算時間を短縮できる。
【0038】
(12) 画像を撮像する複数の撮像装置と、上記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
上記撮像装置の前方に配置された上記(8)に記載のターゲットと、
上記(2)に記載の光軸検出装置を備え、
上記光軸検出装置の上記複数種類の探索手段は、それぞれ、上記複数種類のターゲットの上記第1の輝度、上記第2の輝度の配色パターンと対応して、上記画素集合Bk、Ckが定められているようにしてもよい。
【0039】
この構成では、上記(8)に記載のターゲットを用いている。また、この構成では、第1の輝度、上記第2の輝度の配色パターンと対応して、輝度の合計の差X−Yを計算することにより、光軸検出システムは、3種類以上のターゲットを識別できる。
【0040】
(13) 上記撮像装置は、それぞれ、異なる画角の撮像画像を撮像し、
上記複数種類のターゲットは、各々、上記撮像画像の両端に撮像されるように配置され、
上記認識手段は、撮像画像に含まれる複数種類のターゲットから、上記撮像画像の両端に撮像されるように配置されたターゲットを認識するようにしてもよい。
【0041】
例えば撮像装置のロール角度のずれを検出する場合、その検出精度を向上させるために、画像内の外側よりぎりぎりの位置にターゲットが配置されるように、光軸検出システムを構成するのが望ましい。この場合、例えば、狭角画像、広角画像を撮像するために2つの撮像装置を設けた場合には、広角画像の内側に、狭角画像用のターゲットが配置されることになる。そして、狭角画像および広角画像を撮像するときにターゲットを置き換えないとすれば、広角画像から2種類のターゲットを認識する必要がある。
【0042】
この構成では、ターゲットは、上記ターゲットの種類に対応して、互いに上記配色が異なっており、認識手段は配色が異なったターゲットを認識するから、広角画像から2種類のターゲットを認識することができ、ターゲットを置き換えなくて済む。
【0043】
(14) 本発明は、
画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出方法において、
上記撮像装置の光軸を検出するための複数のターゲットであって、それぞれ第1の輝度と、上記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度とに配色がなされ、かつ、上記ターゲットの種類に対応して、互いに上記配色の仕方が異なっているターゲットを用いて、
上記撮像装置で撮像した撮像画像の画素のうちから、上記撮像画像のうちの一部の画素集合を選択し、当該一部の画素集合について定めた輝度に関する所定の和算および減算からなる演算を行い、当該演算の結果が最大値または最小値となる上記画素集合を探索する探索ステップと、
上記最大値または上記最小値をとる画素領域を選択することにより、1種類の上記ターゲットを認識するターゲット認識ステップと、を実行し、
上記探索ステップでは、上記演算として、上記ターゲットの上記配色に対応して定めた所定のパターンの画素について上記和算を行うことを特徴とする光軸検出方法としてもよい。
【0044】
この構成は、(10)の構成を方法にしたものである。
【0045】
(15) 画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出方法において、
上記ターゲットとして、上記(4)に記載のターゲットを用い、
上記探索ステップでは、上記演算の結果の最大値および最小値を各画素集合について計算し、
上記ターゲット認識ステップでは、上記最大値、上記最小値をとる画素集合を選択することにより、2種類の上記ターゲットを認識するようにしてもよい。
【0046】
なお、以上に示した構成では、N、n、Ak、Bk、X、Y、A、B、C、D、A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2等の文字定数を発明の明確化のために用いたが、これらの数字はあくまで発明特定のための技術上、便宜上のものであり、発明の実施上、これらの名称を用いる必要はない。また、これらの文字定数は、必ずしも、実施形態の文字定数と対応するものでもないし、実施形態で定めた文字定数は、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、簡易な構成により、必要なターゲットを選択することができ、ターゲットを置き換えなくても撮像装置の光軸方向の検出できる。したがって、本発明によれば、撮像装置の光軸方向のずれを効率よく検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して、本発明に係る光軸検出システムの第1実施形態、第2実施形態について説明する。
【0049】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の光軸検出システムの概要を示している。図1(A)は、光軸検出システムの全体を3角法で示している。図1(A)の上が平面図、図1(A)の下が側面図である。図1(A)に示すように、光軸検出システムは、複数のターゲット1と、車両10内に広角カメラ21、狭角カメラ22を備える。また、図1には図示しない光軸検出装置(図2参照)を車両10内部に備える。
【0050】
メーカまたは修理工場の作業員は、光軸を調整するとき、図1(A)に示すように、予め、車両10をターゲット1に正対させる。生産工場または修理工場には、車両10の車輪の位置を微調整する正対装置(不図示)を備えており、これにより、作業員は、ターゲット1と、車両10の向きを調整する。
【0051】
図1(B)は、ターゲット1を正面から見た図である。図1(B)に示すように、ターゲット1は、第1ターゲット11〜第5ターゲット15を含む。なお、以下、適宜、複数のターゲットをまとめてターゲット11〜15などと称する。
【0052】
ターゲット1は、いずれも、2つの互いに交わる直線で分割された4つの領域を有している。これら4つの領域のうち、1つの対角方向の2つの領域が輝度の高い白(本発明の「第1の輝度」に相当する。)に塗られ、他方の対角方向の2つの領域が輝度の低い黒(本発明の「第2の輝度」に相当する。)で塗られている。
【0053】
本実施形態では、ターゲット11〜15は、2種類に分類される。ターゲット11〜ターゲット13は、第1−1種ターゲット(第1実施形態の1種のターゲット)であり、互いに同一の形状である。第4ターゲット14、第5ターゲット15は、第1−2種ターゲット(第1実施形態の2種のターゲット)であり、互いに同一の形状である。第1−2種ターゲットは、第1−1種ターゲットを90度回転した形状になっている。第1−1種ターゲットは、中央および両端に配置されている。第1−2種ターゲットは、第1−1種ターゲットの間に配置されている。
【0054】
図1(C)は、広角カメラ21で撮像した広角画像210、狭角カメラ22で撮像した狭角画像220を示している(以下では、適宜、広角カメラ21、狭角カメラ22等のカメラが撮像した画像を総称して撮像画像と称する。)。なお、図1(C)では、広角画像210、狭角画像220を、比較のために、同一平面に同一縮尺で表している。
【0055】
作業員は、車両10をターゲット1と正対させた後、車両10内部の光軸検出装置(図2の光軸検出装置30に相当する)を操作する。ここで、光軸検出装置の構成例としては、各カメラ(21、22)に備えられたECUにそれぞれ配置され、各ECU全体で、1つの光軸検出装置を構成するようにしてもよい。各ECUは、別々のターゲットを認識するように構成されており、これにより、光軸検出装置は、各カメラの光軸検出を行う。
【0056】
広角カメラ21で第1ターゲット11を撮像し、その位置を検出する。光軸検出装置は、撮像画像内の第1ターゲット11の位置に基づいて、FOE、即ち縦横方向の光軸を合わせる。そして、図1(C)に示すように、作業員は、第1−1種ターゲットのうちの外側のターゲットが広角画像210内の両端ぎりぎりに写るように、当該外側のターゲットが設定する。また、作業員は、第4ターゲット14、第5ターゲット15(第1−2種ターゲット)が狭角画像220内の両端ぎりぎりに写るように、第4ターゲット14、第5ターゲット15を設定する。このようにターゲット1が設定されていると、広角画像210には、すべてのターゲット1が写るが、狭角画像220には、第2ターゲット12、第3ターゲット13が写らない。広角カメラ21の撮像画像には、2種類のターゲット(第1−1種ターゲット、第1−2種ターゲット)が写る。車両10内部の光軸検出装置は、所定の計算式により、第1−1種のターゲットのみを認識し、広角画像210内の高さを検出する。これにより、画像処理部は、水平方向に対する広角画像210の取り付け角度の傾きを検出できる。
【0057】
光軸検出装置が狭角カメラ22についてロール角102を計算するときは、車両10内の画像処理装置は、狭角画像220内の両端に位置する第4ターゲット14、第5ターゲット15の位置を検出し、狭角画像220内のターゲットの縦方向の位置を計算する。図1のようにターゲット1を配置すると、狭角画像220の両端には、第1−2種ターゲットの第4ターゲット14、第5ターゲット15しか写らない。画像処理部は、第1−2種ターゲットを認識する計算式により、第1−2種ターゲットを認識する。
【0058】
図2は、車両10内に備える光軸検出装置30を示している。光軸検出装置30は、光軸検出システムの一部であり、例えば、ECU(電子制御ユニット)で構成する。光軸検出装置30は、第1画像処理部31、第2画像処理部32、画像表示部4を備える。図2に示すように、広角カメラ21は、車両前方の広角の範囲の画像、例えば画像211を撮像する。狭角カメラ22は、広角カメラ21よりも画角が狭い範囲の画像、例えば、画像221を撮像する。ただし、光軸を調整するときは、図1に示すようなターゲットを撮像する。
【0059】
第1画像処理部31は、広角カメラ21で撮像した広角画像210から第1−1種のターゲットの位置を認識する。これにより、第1画像処理部31は、ロール角102のずれを計算する。第1画像処理部31は、広角カメラ21で撮像した広角画像210から、第1−1種のターゲットの位置を認識する。これにより、第1画像処理部31は、ロール角102のずれを計算する。画像表示部4は、第1画像処理部31が計算した広角カメラ21のロール角102のずれを、光軸検出装置の検出結果として表示する。
【0060】
なお、図2では、広角カメラ21、狭角カメラ22と、第1画像処理部31、第2画像処理部32とを別々に構成したブロック図を示している。しかし、上記図1で説明したとおり、各カメラ(21、22)の内部にそれぞれ画像処理部(31または32)、画像表示部4を備えるようにしてもよい。
【0061】
次に、図3を用いて、ターゲットの認識方法について説明する。図3は、広角画像210(図1(C)と同等)の画素を表している。広角カメラ21は、画像を撮像すると、2次元に配列された画素それぞれについて、輝度を記憶する。第1画像処理部31は、広角画像210から縦横に隣接する4つの画素の集合(画素集合5)を選択する。
【0062】
なお、第1画像処理部31により選択された画素の集合を本願では「画素集合5」と称する。この画素集合5をより一般化すると、本願にいう画素集合は、撮像画像のうちから選択した画素であり、ターゲットを含む画素の集合を探索するための所定の評価関数を計算する演算を行う対象となる画素である。この一般化した概念の画素集合は、本発明の「画素集合」に相当する。
【0063】
本実施形態において、この画素集合5は、この4つの隣接する画素からなる。画素集合5の選択は、例えば、1画素ずつ4つの画素を選択する位置を移動しながら行えばよい。このとき、第1画像処理部31は、選択可能なすべての画素集合5を各々選択する。
【0064】
本実施形態では、説明の都合上、上記画素集合5の4つの画素のうち、左上の輝度の値をA、右上の輝度の値をB、右下の輝度の値をC、左下の輝度の値をDとする。第1画像処理部31は、ターゲット1の配色パターンとの合致を評価するための評価関数として、
A+C−(B+D) (式1)
を計算する。
【0065】
ここで、第1−1種のターゲットであるターゲット11〜13は、左上、右下の輝度が高い白で、左下、右上の輝度が低い黒で配色されている。したがって、第1画像処理部31が、A、B、C、Dとして第1−1種のターゲットの中心(上記2直線の交点)の周囲の4つの画素を選択してこの(式1)を計算したときは、(式1)の計算結果の値は、他の画素集合5を選択したときよりも大きくなる。したがって、この計算結果の値は、広角画像210内で最大となるはずである。したがって、第1画像処理部31は、(式1)の値が最大となる画素集合5を選択することにより、第1種のターゲットの位置だけを選択的に認識できる。
【0066】
また、第1−2種のターゲットである第4ターゲット14、第5ターゲット15は、左下、右上の輝度が高く、左上、右下の輝度が低いように配色されている。したがって、第1画像処理部31が、A、B、C、Dとして、第1−1種のターゲットの中心(上記2直線の交点)の周囲の4つの画素を選択して、この(式1)を計算したときは、(式1)の計算結果の値は、他の画素集合5を選択したときよりも小さくなり、この値は広角画像210内で最小となる。したがって、第1画像処理部31は、(式1)の値が最大となる画素集合5を選択することにより、第2種のターゲットの位置だけを選択的に認識できる。
【0067】
なお、以上では、第1画像処理部31を用いて説明したが、第2画像処理部32も同様に第1−1種のターゲット、第1−2種のターゲットを識別できる。ここで、狭角画像220にも、第1−1種のターゲット、第1−2種のターゲットが混在するが、第2画像処理部32は、狭角画像220内のどのあたりにターゲットが存在するのかを指定する処理をすることなく、これらのターゲットを識別できる。
【0068】
次に図4のフロー図を用いて、光軸検出システムの光軸検出処理について説明する。図4(A)は、第1画像処理部31の光軸検出処理を表している。図4(B)は、第2画像処理部32の光軸検出処理を表している。
【0069】
図4(A)のST1において、第1画像処理部31の処理の前提として、作業員は、予め車両10をターゲット1に正対させておく。
【0070】
ST2において、光軸検出装置30は、広角カメラ21でターゲット1を撮像する。
【0071】
ST3において、第1画像処理部31は、画素集合5を選択して選択した画素集合について(式1)の計算を行うという処理を繰り返す。
【0072】
ST4において、第1画像処理部31は、(式1)の値が最大となる画素集合を探索し、上位3点の画素集合を抽出する。この上位3点には、第1−1種のターゲットが含まれる。
【0073】
なお、ST4は、本発明の「第1の探索手段」または「探索ステップ」に相当する。
【0074】
ST5において、第1画像処理部31は、ST4で探索したターゲットのうち、中央に位置するターゲットに基づいて、FOE(Focus OF Expansion、消失点)のずれを計算する。また、第1画像処理部31は、ST4で探索したターゲットのうち、中央に位置するターゲットの位置に基づいて、ロール角102のずれを計算する。その後、第1画像処理部31のフローは終了する。その後、画像表示部4は、ST5で計算した値を計器部に表示する(または、ST5で計算した値は、車両10に接続した光軸調整装置に表示されるようにしてもよい)。
【0075】
図4(B)について説明する。
【0076】
ST1は、図4(A)と同じ処理である。
【0077】
ST12において、光軸検出装置30は、狭角カメラ22でターゲット1を撮像する。このとき、狭角画像220には、第1ターゲット11、第2ターゲット12、第3ターゲット13が写る。
【0078】
ST13において、第2画像処理部32は、ST3と同様に、画素集合5を選択して選択した画素集合について(式1)の計算を行うという処理を繰り返す。
【0079】
ST141において、第2画像処理部32は、(式1)の値が最大となる画素集合5を探索し、上位1点の画素集合5を抽出する。この上位1点には、第1−1種のターゲットである第1ターゲット11のみが含まれる。
【0080】
ST142において、第2画像処理部32は、(式1)の値が最小となる画素集合5を探索し、下位2点の画素集合5を抽出する。この下位2点には、第1−2種のターゲットである第4ターゲット14、第5ターゲット15のみが含まれる。
【0081】
なお、ST141は、本発明の「第1の探索手段」または「探索ステップ」に相当する。また、ST142は、本発明の「第2の探索手段」または「探索ステップ」に相当する。
【0082】
ST15において、第2画像処理部32は、ST141で探索した中央に位置するターゲット11に基づいて、FOE(Focus OF Expansion、消失点)のずれを計算する。また、第2画像処理部32は、ST142で探索した狭角画像220内の両端に位置する第4ターゲット14、第5ターゲット15の位置に基づいて、ロール角102のずれを計算する。
【0083】
以上のとおり、本システムによれば、簡易な計算により、ターゲットの種類を区別できる。したがって、作業員は、ターゲット1を移動したり、隠したりする必要がない。したがって、光軸検出の作業効率を向上させることができる。また、第1画像処理部31は、検出したターゲットを選別する必要がないから、第1画像処理部31は、検出したターゲットの位置がどこにあるかの領域判定をする必要がない。したがって、第1画像処理部31は、処理負荷を増加させることなく、必要なターゲットだけを検出できる。
【0084】
第1実施形態の図4(B)のST141、ST142のように、同一の撮像画像について補色関係のターゲットを認識する場合には、第2画像処理部32は、評価関数の最大値、最小値を計算することにより、第2画像処理部32は、2つのターゲットを識別できる。したがって、評価関数を共用できる。この場合には、第2画像処理部32は、評価関数を2つ計算する必要がないから、計算する時間を短縮でき、処理負荷を軽減できる。したがって、第2画像処理部32は、よりすばやくターゲットを認識できる。
【0085】
なお、以上では、第1画像処理部31、第2画像処理部32がそれぞれ広角画像210、狭角画像220を処理するとしたが、1つの画像処理部が行ってもよい。以下では、第1画像処理部31、第2画像処理部32のいずれかを代表して、または両方合わせたものを総称して、便宜的に画像処理部ということにする。即ち、画像処理部というときは、ターゲットの種類の数を問わず、ターゲットを認識する構成を指すものとする。
【0086】
(第2実施形態)
次に図5〜図7を用いて、第1実施形態の応用に係る第2の実施形態の光軸検出システムについて説明する。第2実施形態では、第1実施形態とシステム構成は同じであるが、ターゲットの形状およびターゲットの評価関数が異なる。以下では、第1実施形態と同じ部分については、以上の説明を準用し、同じ符号を用いて説明する。
【0087】
図5は、第2実施形態のターゲットの種類を表している。第2実施形態で用いるターゲットには、第2−1種ターゲット(第2実施形態)61、第2−2種ターゲット(第2実施形態)62、第2−3種ターゲット(第2実施形態)63、第2−4種ターゲット(第2実施形態)64のいずれかを含む。
【0088】
なお、以下では、これらの第2実施形態のターゲットのうちのいずれか複数のターゲットを総称するときは、適宜、便宜上、「各種のターゲット61〜63」などと称する。
【0089】
これらのターゲットは、それぞれ、1つの中心点の周囲の領域を4等分する直線により領域が分割されており、かつ、この中心点を中心とする4つの同心円で半径方向に4分割されている。これにより、各種のターゲット61〜64は、合計として、4×4=16の領域に分割されている。
【0090】
また、第2−2種ターゲット62は、第2−1種ターゲット61を90度回転したものであり、第2−3種ターゲット63は、第2−2種ターゲット62を90度回転したものである。第2−4種ターゲット64は、第2−3種ターゲット63を90度回転したものである。
【0091】
第2実施形態の光軸検出システムには、これらの種類のターゲットを組み合わせて配置されており、画像処理部は、これらのターゲットの種類を識別する。画像処理部がこれらのターゲットを認識する場合、画像処理部は、撮像画像から所定の画素領域を選択する。この画素領域は、例えば長方形、正方形の領域とすることができる。画像処理部は、画素領域を1ドットずつ移動させながら、所定の評価関数を用いて、画素領域とターゲットの位置が合致している画素領域を探索する。
【0092】
画像処理部が計算する評価関数には、画素領域内から2種類の所定のドット集合をそれぞれ選択し、各種類のドットの輝度を合計したものの差を計算するように設定されている。画像処理部がターゲットの輝度の配色パターンとマッチングできるように、この2種類の所定のドットの位置は、それぞれ、ターゲット内の第1の輝度の部分、低い部分の位置と対応している。
【0093】
図6は、第2実施形態のターゲットに用いる評価関数を示す。図6の第2−1種ターゲット61、第2−2種ターゲット62は、図5のそれと対応している。
【0094】
図6(A)に示すように、画像処理部は、第2−1種ターゲット61を認識するときは、{画素領域のうち、ターゲットのうちの第1の輝度の部分[2]+[3]+[4]+[5]+[7]+[8]+[9]+[10]+[12]+[13]+[14]+[15]に対応する部分のドットを選択し、その選択したドットの輝度を合計したもの}から、{ターゲットのうちの上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分[1]+[6]+[11]+[16]に対応する部分のドットを画素領域から選択し、その選択したドットの輝度を合計したもの}を差し引いた値を評価関数として計算する。
【0095】
図6(B)に示すように、画像処理部は、第2−2種ターゲット62を認識するときは、{ターゲットのうちの第1の輝度の部分[1]+[3]+[4]+[5]+[6]+[8]+[9]+[10]+[11]+[14]+[15]+[16]に対応する部分のドットを画素領域から選択し、その選択したドットの輝度を合計したもの}から、{画素領域のうち、ターゲットのうちの上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分[2]+[7]+[12]+[13]に対応する部分のドットを選択し、その選択したドットの輝度を合計したもの}を差し引いた値を評価関数として計算する。
【0096】
なお、第2−3種ターゲット(第2実施形態)63、第2−4種ターゲット(第2実施形態)64を認識する場合についても、図6で示した評価関数を容易に応用できる。また、各種のターゲット61〜64のスケールと、撮像画像のスケールを合わせるには、広角カメラ21、狭角カメラ22等のカメラで、例えば、棒状、または直線状のものを撮像するようにしてもよい。この場合、画像処理部が、これらの棒状、または直線状のものを認識して、スケール調整してもよい。また、図5では、ターゲットのうち、輝度の高い領域が隣接している部分を線で区切っているが、必ずしも区切る必要はない。この点は、第1実施形態、以下の説明を含め、本願において同様とする。
【0097】
次に、図7を用いて、ターゲットの配置例について説明する。図7(A)の例では、第2−1種ターゲット61は、中央および両端に設けられている。2つの第2−2種ターゲット62を第2−1種ターゲット61の間に設けられている。広角画像210には図7(A)に示すすべてのターゲットが映し出されるように、これらのターゲットの位置を設定されている。また、狭角画像220には、2つの第2−2種ターゲット62および中央に配置した第2−1種ターゲット61が映し出されるように、これらのターゲットが設定されている。画像処理部は、図6で示した方法により、第2−1種ターゲット61と第2−2種ターゲット62を識別して、広角カメラ21のロール角102を計算する。
【0098】
図7(B)の例では、図7(B)に示す各種のターゲット61〜64を使用する前提として、光軸検出システムは、図1、図2の構成に加えて、さらに広角の第3のカメラ、第4のカメラ(不図示)を車両10に備えている。光軸検出装置(第1実施形態の光軸検出装置30に相当する)は、広角画像210(第1の画像とする)、狭角画像220(第2の画像とする)のほかに、さらに広角の第3の画像230、第3の画像23より広角の第4の画像240を撮像する。
【0099】
図7(B)は、図1(C)と同様、これらの4台のカメラが撮像した画像を比較のために、同一平面に同一縮尺で表している。図7(B)に示すターゲットを用いた光軸検出システムでは、図7(A)に示すターゲットのほかに、第2−3種ターゲット(第2実施形態)63、第2−4種ターゲット(第2実施形態)64が、それぞれ第3の画像230、第4の画像240の撮像範囲内の一番外側に配置されている。光軸検出システムは、第2の画像から、第2−2種ターゲット62を認識して、ロール角102を計算する。また、光軸検出システムは、第3の画像230から、第2−3種ターゲット63を認識して、ロール角を検出する(ここでのロール角は、ロール角102と対応する。以下単にロール角というときは、同様である)。光軸検出システムは、第4の画像240から、第2−4種ターゲット64を認識して、ロール角を検出する。
【0100】
ここで、以上の実施形態のターゲットについて、補足説明を以下に行う。
【0101】
第2実施形態のターゲットを応用して、1つの種類のターゲットを回転して複数のターゲットを複数(=n個とする)作成するには、1つの方法として、(A)n個の同心円で領域を分割し、(B)この同心円の中心点の周囲を直線でn等分し、これら(A)、(B)により、nの2乗個の領域に分割して、(C)ある円とその直近の外側の円との間の輪にできるn個の領域のうち1つの領域だけを輝度が低い/高い領域に配色し、かつ(D)360度/nずつ互いに違う角度で回転したターゲットを作成する方法が可能である。この場合において、ターゲットを認識する際の耐ノイズ性能を向上させるためには、ターゲットの上記のとおり分割した領域のうち、半径方向に隣接する領域が同じ輝度にならないようにするのが好ましい。
【0102】
また、光軸検出システムが、互いに補色関係にある2種類のターゲットを備えれば、光軸検出システムは、図6に示す評価関数と同様の評価関数で、2種類のターゲットを識別できる。本願において、互いに補色関係にある2種類のターゲットとは、便宜上、一方のターゲットにおいて輝度が高い第1の輝度に配色されている部分が、他方のターゲットにおいて、第1の輝度の部分よりも輝度が低い第2の輝度に配色されていることを指す。即ち互いに補色関係にある2種類のターゲットとは、2種類のターゲットが、その配色を互いに交換したことをいうものとし、必ずしも完全に補色関係にあることを要しないものとする。例えば、第1実施形態の第1−1種ターゲット、第1−2種ターゲットは、この補色関係にある。ここで、互いに補色関係にある2種類のターゲットX、Yの評価関数について考察すると、その一方のターゲットXの評価関数は、他方の評価関数Yを正負逆にしたものに相当する。したがって、このようにターゲットを構成すれば、光軸検出システムは、1つの評価関数を計算し、その最小値、最大値を計算することにより、2種類のターゲットを識別できる。
【0103】
図8に、第2実施形態のターゲットの上記補色関係を応用する例を示す。第3−1種ターゲット610、第3−2種ターゲット620、第3−3種ターゲット630、第3−4種ターゲット640は、それぞれ、第2−1種ターゲット61、第2−2種ターゲット62、第2−3種ターゲット63、第2−4種ターゲット64と補色関係にある。光軸検出システムは、第2−1種ターゲット61、第2−2種ターゲット62、第2−3種ターゲット63、第2−4種ターゲット64の4つの評価関数を計算し、その最小値を計算する。これにより、光軸検出システムは、第3−1種ターゲット610、第3−2種ターゲット620、第3−3種ターゲット630、第3−4種ターゲット640を識別できる。したがって、これら第2−x種、第3−x種(x=1〜4)のターゲットを用いれば、画像処理部は、4つの評価関数で4×2=8種類のターゲットを識別できる。
【0104】
さらに、上記補色関係を一般化すると、光軸検出システムは、上記n個のターゲットを識別する評価関数で、2×n種類のターゲットを識別できる。
【0105】
以上で示した第1実施形態、第2実施形態をさらに以下のように一般化することができる。即ち、本発明の実施形態の光軸検出システムは、ターゲット1を、予め定めた輝度が高い部分と輝度が低い部分に配色されている。この配色のパターンを、複数種類のターゲットを識別するため、光軸検出システムは、複数種類のターゲットを備える。画像処理部は、画素集合を選択したときに画素集合の中から所定の画素を選択して画素のきどを計算する計算式を予め記憶している。画像処理部は、画素集合を選択する。この画素集合は、例えば、撮像画像のうちの長方形または正方形の領域とすることができる。画像処理部は、ターゲットの輝度のパターン(即ち、第1の輝度の部分、上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分の配置のパターン)を検出できるように、この計算式を用いて、ターゲットのうちの第1の輝度の部分のパターンと同じパターンで画素を選択し、選択した画素の輝度の合計SHを計算する。画像処理部は、画素集合のうち、ターゲットの上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分のパターンと同じパターンで画素を選択し、選択した画素の輝度の合計SLを計算する。画像処理部が計算する計算式は、この2つの合計の差SH―SLである。そして、画像処理部は、撮像画像から、画素集合の位置を1ドットずつ移動させながら、上記計算式による計算を行い、ターゲットとのバターンの合致を判断する。画像処理部は、上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分と高い分の差をパターンマッチングするので、上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分だけを入力するのに比べて、耐ノイズ性能を向上させることができる。
【0106】
例えば、図3に示す第1実施形態の例では、4つの画素からなる画素集合のA、B、C、Dのうち、A、Cが、第1ターゲット11内の第1の輝度の部分に対応している。当該第1の輝度の部分A、Cの輝度の和がSHに相当する。4つの画素からなる画素集合のA、B、C、Dのうち、B、Dが、第1ターゲット11内の上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分に対応している。4つの画素からなる画素集合の上記第1の輝度の部分よりも輝度の低い第2の輝度の部分B、Dの輝度の和がSLに相当する。
【0107】
なお、第1実施形態では、画像処理部は、A、B、C、Dをそれぞれ1つの画素として計算したが、複数の画素の集合として、(式1)において、A、B、C、Dを複数の画素の輝度の合計としてもよい。
【0108】
また、以上の実施形態では、ターゲットとして、白と黒を用いた。しかし、ターゲットは、他の色でもよく、第1のグレーと、第2のグレーを用いてもよい。ターゲットにグレーやその他の色を用いる場合において、上記の補色関係にある場合とは、ある2つのターゲット(ターゲットa、bとする。)が、互いに、色を交換したものとすることができる。ターゲットaに対し、補色関係のターゲットbを作成するには、ターゲットaについて、第1のグレーに配色されているものを第2のグレーに置き換え、ターゲットaのうち、第2のグレーに配色されているものを第1のグレーに置き換えることにより可能である。ただし、第1のグレーと、第2のグレーの色の輝度の差が大きい方が好ましい。したがって、白と黒をターゲットの配色として用いるのがより好ましい。
【0109】
また、ターゲットの着色方法は、印刷、ペイントなど、どのような方法でもよく、ターゲットが着色されていればよい。ターゲットの設置方法は、各種類のターゲットをそれぞれ立てて設置してもよいし、1枚のパネルに複数種類、複数のターゲットを貼り付けてもよい。各種類のターゲットをそれぞれ立てて設置する場合には、複数のターゲットの1まとまりをセットとしたものが、本発明の「ターゲット」に相当する。また、第1実施形態において、4つの四角を4つの扇形に代えて実施してもよい。第1実施形態では、中心点の周囲が4分割されていれば、周囲の形状を問わず、この実施形態の効果を奏しうる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、例えば、車両、船舶等の移動体に搭載する撮像装置に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光軸検出システムの概要
【図2】本発明の第1実施形態に係る光軸検出装置の構成
【図3】本発明の第1実施形態に係るターゲットの認識方法
【図4】本発明の第1実施形態に係る光軸検出システムの光軸検出処理を行うフロー
【図5】本発明の第2実施形態に係るターゲットの種類
【図6】本発明の第2実施形態に係るターゲットを用いたターゲットの認識方法
【図7】本発明の第2実施形態に係るターゲットの配置例
【図8】本発明の第2実施形態に係るターゲットの応用例
【図9】従来の光軸検出システムの概要
【符号の説明】
【0112】
1…ターゲット
10…車両
11…第1ターゲット(第1−1種ターゲット、第1実施形態)
12…第2ターゲット(第1−2種ターゲット、第1実施形態)
13…第3ターゲット(第1−3種ターゲット、第1実施形態)
14…第4ターゲット(第1−4種ターゲット、第1実施形態)
15…第5ターゲット(第1−5種ターゲット、第1実施形態)
21…広角カメラ
22…狭角カメラ
210…広角画像(第1の画像)
220…狭角画像(第2の画像)
230…狭角画像(第3の画像)
240…狭角画像(第4の画像)
30…光軸検出装置
31…第1画像処理部
32…第2画像処理部
4…画像表示部
5…画素集合
51〜54…部分
61…第2−1種ターゲット(第2実施形態)
62…第2−2種ターゲット(第2実施形態)
63…第2−3種ターゲット(第2実施形態)
64…第2−4種ターゲット(第2実施形態)
610…第3−1種ターゲット(第2実施形態の応用例)
620…第3−2種ターゲット(第2実施形態の応用例)
630…第3−3種ターゲット(第2実施形態の応用例)
640…第3−4種ターゲット(第2実施形態の応用例)
100…車両
101…ターゲット
102…ロール角
121…広角カメラ
122…狭角カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出装置において、
前記撮像装置の前方に配置された複数種類のターゲットを認識する認識手段と、
前記ターゲットを認識した位置に基づいて光軸のずれを検出する検出手段と、を備え、
前記認識手段は、前記撮像装置で撮像した撮像画像の画素のうちから、前記撮像画像の一部の画素集合を選択し、当該一部の画素集合内の画素の輝度に関する所定の和算および減算からなる演算に基づいて、当該演算の結果が最大値または最小値となる前記画素集合を探索する探索手段を複数種類備えることを特徴とする光軸検出装置。
【請求項2】
前記探索手段は、前記演算として、前記撮像画像のうちの一部の画素集合をAk(k=1〜N、Nは自然数)とし、Akのうちの所定のパターンで選択した画素集合Bkの輝度の合計値Xと、前記画素集合Akのうちの前記画素集合Bk以外の画素集合Ckの輝度の合計値Yと、の差(X−Y)を計算することを特徴とする請求項1に記載の光軸検出装置。
【請求項3】
前記複数種類の探索手段は、
前記差(X−Y)が最大値となる前記画素集合を探索する第1の探索手段と、
前記第1の探索手段で用いた撮像画像を撮像した前記撮像装置と同じまたは異なる撮像装置で撮像した撮像画像について、前記差(X−Y)が最小値となる前記画素集合を探索する第2の探索手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の光軸検出装置。
【請求項4】
複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸ずれ検出装置において、
前記複数の種類の探索手段は、第1の探索手段、第2の探索手段を有し、
前記第1の探索手段、前記第2の探索手段は、
前記撮像画像のうちの一部の画素集合として、互いに縦横に隣接する4つの画素(当該画素を時計回りにA1、B1、C1、D1とする)を選択した場合に、前記4つの画素のうち対角に隣接する画素同士の輝度を足し算した2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値を前記演算として計算する第1の計算手段、
または、
前記撮像画像のうちの一部の画素集合として、互いに縦横に隣接する4つの領域(当該4つの領域を時計回りにA2、B2、C2、D2とする)を選択した場合に、それぞれの領域A、B、C、D内の画素の輝度の合計a、b、c、dを計算し、前記輝度の合計a、b、c、dを対角に隣接する領域について足し算した2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値を前記演算として計算する第2の計算手段、のいずれかを備え、
前記第1の探索手段は、前記2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値または前記2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値が最大となる前記画素集合を前記撮像画像の画素の全体から選択し、
前記第2の探索手段は、前記2つの和(A1+C1)、(B1+D1)同士の差の値または前記2つの和(a+c)、(b+d)同士の差の値が最小となる前記画素集合を前記撮像画像の画素の全体から選択することを特徴とする請求項1に記載の光軸検出装置。
【請求項5】
画像を撮像する複数の撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出するためのターゲットにおいて、
前記ターゲットは、配色が異なる複数種類のターゲットを含み、前記複数種類のターゲットのうち一部またはすべての、その配色が互いに補色関係にあることにより、前記配色が異なっていることを特徴とするターゲット。
【請求項6】
前記ターゲットには、第1種のターゲット、第2種のターゲットを含み、
前記第1種のターゲット、前記第2種のターゲットは、いずれも、互いに交差する2直線の交点を中心にして分割された4領域を有すると共に、当該4領域のうちの一方の互いに対角な2領域は、第1の輝度の色で着色され、他方の互いに対角な2領域が前記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色で着色され、
前記第1種のターゲットは、前記4領域のうち、前記第1の輝度の領域の位置が、前記第2種のターゲットの前記第2の輝度の領域の位置と対応し、4分割された領域のうち、前記第2の輝度の領域の位置が、前記第2種のターゲットの第1の輝度の領域の位置と対応していることにより、前記第1種のターゲット、前記第2種のターゲットは、その配色が互いに前記補色関係にあることを特徴とする請求項5に記載のターゲット。
【請求項7】
前記第1種のターゲット、前記第2種のターゲットは、いずれも、前記4領域が、前記互いに交差する2直線の交点を中心にして、ほぼ縦横に均等に4分割されていることを特徴とする請求項6に記載のターゲット。
【請求項8】
撮像した画像に基づいて、光軸のずれを検出するためのターゲットにおいて、
前記ターゲットは、配色が異なる複数種類のターゲットを含み、
それぞれの種類の前記ターゲットは、1点を中心とする複数の円弧と、前記中心を端点とする複数の直線または前記中心を通る複数の直線と、により分割された複数の円弧領域が、第1の輝度の色と前記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色とに配色がなされており、当該配色のパターンは、前記ターゲットの種類により互いに異なっていることを特徴とするターゲット。
【請求項9】
前記複数の直線は、前記複数種類のターゲットのいずれにおいても、前記1点の周囲を等分しており(この等分の数をn等分とする)、
前記複数種類のターゲットは、n種類含み、1の種類のターゲットを360度/nずつ回転してn種類形成されていることを特徴とする請求項8に記載のターゲット。
【請求項10】
画像を撮像する複数の撮像装置と、前記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
請求項1に記載の光軸検出装置と、
前記撮像装置の前方に配置された複数種類のターゲットと、を備え、
前記複数種類のターゲットは、それぞれ第1の輝度の色と前記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の色とに配色がなされ、かつ、前記ターゲットの種類に対応して、互いに前記配色が異なっており、
前記光軸検出装置の探索手段は、前記演算として、前記ターゲットの前記配色に対応して定めた所定のパターンの画素を選択して、その画素の輝度の和を計算することを特徴とする光軸検出システム。
【請求項11】
画像を撮像する複数の撮像装置と、前記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
前記撮像装置の前方に配置された請求項6に記載のターゲットと、
請求項4に記載の光軸検出装置を備えることを特徴とする光軸検出システム。
【請求項12】
画像を撮像する複数の撮像装置と、前記撮像装置のそれぞれの光軸のずれを検出する光軸ずれ検出システムにおいて、
前記撮像装置の前方に配置された請求項8に記載のターゲットと、
請求項2に記載の光軸検出装置を備え、
前記光軸検出装置の前記複数種類の探索手段は、それぞれ、前記複数種類のターゲットの前記第1の輝度、前記第2の輝度の配色パターンと対応して、前記画素集合Bk、Ckが定められていることを特徴とする光軸検出システム。
【請求項13】
前記撮像装置は、それぞれ、異なる画角の撮像画像を撮像し、
前記複数種類のターゲットは、各々、前記撮像画像の両端に撮像されるように配置され、
前記認識手段は、撮像画像に含まれる複数種類のターゲットから、前記撮像画像の両端に撮像されるように配置されたターゲットを認識することを特徴とする請求項10に記載の光軸検出システム。
【請求項14】
画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出方法において、
前記撮像装置の光軸を検出するための複数のターゲットであって、それぞれ第1の輝度と、前記第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度とに配色がなされ、かつ、前記ターゲットの種類に対応して、互いに前記配色の仕方が異なっているターゲットを用いて、
前記撮像装置で撮像した撮像画像の画素のうちから、前記撮像画像のうちの一部の画素集合を選択し、当該一部の画素集合について定めた輝度に関する所定の和算および減算からなる演算を行い、当該演算の結果が最大値または最小値となる前記画素集合を探索する探索ステップと、
前記最大値または前記最小値をとる画素領域を選択することにより、1種類の前記ターゲットを認識するターゲット認識ステップと、を実行し、
前記探索ステップでは、前記演算として、前記ターゲットの前記配色に対応して定めた所定のパターンの画素について前記和算を行うことを特徴とする光軸検出方法。
【請求項15】
画像を撮像する複数の撮像装置の光軸のずれを検出する光軸検出方法において、
前記ターゲットとして、請求項4に記載のターゲットを用い、
前記探索ステップでは、前記演算の結果の最大値および最小値を各画素集合について計算し、
前記ターゲット認識ステップでは、前記最大値、前記最小値をとる画素集合を選択することにより、2種類の前記ターゲットを認識することを特徴とする請求項14に記載の光軸検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−112884(P2010−112884A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286996(P2008−286996)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】