説明

入出力特性補正方法及びそのプログラムを記憶した記録媒体

【課題】 低輝度並びに高輝度部分でのデバイスの入出力特性の線形性からのずれを補正して、変換後のデバイスの入出力特性の線形精度を高める。
【解決手段】 ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、この蓄積された基準色データを前記出力機器に出力して表示し、この表示データにより前記出力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、スキャナやデジタルカメラ等の入力機器、あるいはディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法、及びその処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体に関し、特に、デバイスに依存しない色を実現する方法の前処理として、まず、特性の非線型性を補正する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷物によって行われていた商取引が、近年の通信技術の進展及び情報処理装置の性能向上等によって、情報処理装置を用いたものに置き変わりつつある。
【0003】しかしながら、従来の表示装置では、CRT(Cathode Ray Tube)の制御回路の特性及びその個体差並びに各CRTの個体差によって入出力特性が異なるために、同一のデータを扱っている場合であっても、色の再現が異なってしまうため、表示装置の入出力特性を補正する必要があった。
【0004】前記表示装置の入出力特性の補正に関する技術として、特願平10−77260号がある。この入出力特性の補正方法は、まず、コンピュータ上で動作するプログラムによって、R,G,Bの各色毎に、表示装置上に2種類の色を発色(発光)させ、所定の測色機器で測定し、表示装置上に表示された色に対して操作者が前記2種類の色の中間の明るさに知覚される色を指定する。
【0005】次に、前記指定された色と表示装置上の前記2種類の色とから、人間の明るさ知覚特性に基づいて前記表示装置の入出力特性を推定し、推定された前記入出力特性に基づき前記表示装置の入出力特性を補正して出力するというものである。
【0006】従来の表示装置の入出力特性の推定方法としては、まず、表示装置上に数種類の色を発色(発光)させ、これを所定の測色機器で測定し、前記表示装置の入力値Iと測色機器の測定データのY値(輝度)との関係を、下記の数1の式に示すモデル式に当てはめ、パラメータα、β、γを最小自乗法などによって推定する方法が挙げられる。
【0007】
【数1】Y=α×(I/255)^γ+βまた、計算によって得られた入出力特性に基づいて、所望の特性となるように、入力値の変換テーブルを作成する。この時、入出力特性の補正後のγ値をγ′とすれば、入力値Iは下記の数2の式により変換、補正される。
【0008】
【数2】I′=255×(I/255)^(γ′/γ)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。従来の方法を用いると、低輝度並びに高輝度部分で従来の関係式が成立しない場合がある。図7に従来の方法を用いた場合の推定精度の関係を示す。デバイスの入出力特性が図7(a)のような場合に、前記数1にしたがって前記3種類のパラメータを推定し、前記数2にしたがい入力値Iの変換を行って、変換後のI′に対するデバイスの入出力特性を求めれば、理想的には図7(b)の様に入出力特性を線形にすることが可能なはずである。
【0010】しかしながら、実際にはデバイスの入出力特性が入力値の小さいところ(低輝度部分)や大きいところ(高輝度部分)でデータがつぶれてしまう特性を持つ。この場合には、図7(c)に示すように線形状態からずれてしまうことになる。このような場合には、低輝度並びに高輝度でのデバイスの入出力特性の推定制度が悪くなる。
【0011】本発明の目的は、低輝度並びに高輝度部分でのデバイスの入出力特性の線形性からのずれを補正して、変換後のデバイスの入出力特性の線形精度を高めることが可能な技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、この蓄積された基準色データを前記出力機器に出力して表示し、この表示データにより前記出力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積する。
【0013】(2)ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記出力機器に表示し、それぞれの表示データにより前記出力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積し、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正する。
【0014】(3)スキャナやデジタルカメラ等の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記入力機器により入力した色を測色し、この測色した測色データを一時的に蓄積、保存し、前記入力機器により入力した色の基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形に補正するための補正データを作成し、この補正された補正データを蓄積する。
【0015】(4)ディスプレイやプリンタ等の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記入力機器に表示し、それぞれの表示データにより前記入力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積し、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正する。
【0016】(5)ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、該蓄積された基準色データを前記出力機器に出力して表示する手順と、該表示データにより前記出力機器に表示された色を測色する手順と、該測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存する手順と、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する手順と、該作成された補正データを蓄積する手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体である。
【0017】(6)スキャナやデジタルカメラ等の入力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、前記入力機器により入力した色を測色する手順と、この測色した測色データを一時的に蓄積、保存する手順と、前記入力機器により入力した色の基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形に補正するための補正データを作成する手順と、この補正された補正データを蓄積する手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体である。
【0018】(7)前記非線形補正処理手順が、前記基準色データの色の数値情報等の入力データの1ステップ毎に入出力特性被補正装置に対する入力値と出力値との実際の関係を測定する手順と、最終的に変換後の入力値と出力値との関係が線形となるように入力値と変換後の入力値との変換テーブルを作成する手順からなる。
【0019】(8)前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記出力機器もしくは入力機器に表示し、それぞれの表示データにより前記出力機器もしくは入力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積し、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正する。
【0020】すなわち、本発明の第1の手段は、ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色票等の数値情報である基準色データを蓄積する基準色データ蓄積手段と、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色データを基準色データ蓄積手段より受け取り出力機器に出力する表示データ出力手段と、表示データ出力手段により出力機器に表示された色を測色する測色手段と、測色手段により測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存する測色データ蓄積手段と、基準色データ蓄積手段により蓄積された基準色データと測色データ蓄積手段により蓄積された測色データとを入力データとし、基準色データと測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する非線形性補正手段と、非線形性補正手段により作成された補正データを蓄積する補正データ蓄積手段とを有することを特徴としている。
【0021】本発明の第2の手段は、スキャナやデジタルカメラ等の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色票等の数値情報である基準色データを蓄積する基準色データ蓄積手段と、前記入力機器により入力した色を測色する測色手段と、測色手段により測色した測色データを一時的に蓄積、保存する測色データ蓄積手段と、前記入力機器により入力した色の基準色データと測色データ間の非線形性を線形に補正するための補正データを作成するための非線形性補正手段と、非線形性補正手段により補正された補正データを蓄積する補正データ蓄積手段とを有することを特徴としている。
【0022】本発明の第3の手段は、前記第1及び第2の手段における非線形補正手段が、基準色データ蓄積手段に保存されている色の数値情報等の入力データの、1ステップ毎の入出力特性被補正装置に対する入力値Iと入出力被補正装置の輝度である出力値Yとの実際の関係を測定し、最終的に変換後の入力値I′と出力値Yとの関係が線形となるようにIとI′との変換テーブルを作成することを特徴としている。
【0023】本発明の第4の手段は、前記第1及び第2の手段における非線形補正手段が、従来より用いている数1の式を用いてα、β、γを推定し、図7(b)のように変換した後、下記の数3の式を用いてパラメータnとβ′とを推定し、入力値が小さい場合と大きい場合の補正を行うことにより、入出力特性を線形化することを特徴としている。
【0024】
【数3】Y=I′^(1/(2n−1))+β′但し、前記数3の式において、nは1、2、3、・・・の整数で、I′=255×(I/255)^γである。
【0025】以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0026】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は本発明による実施形態1の出力機器の入出力特性補正方法を実現するシステムの概略構成を示すブロック構成図である。本実施形態1の出力機器の入出力特性補正システムは、図1に示すように、基準色データ蓄積手段101と、表示データ出力手段102と、入出力特性被補正装置103と、測色手段104と、測色データ蓄積手段105と、非線形補正手段106と、補正データ蓄積手段107とにより構成されている。
【0027】前記基準色データ蓄積手段101は、デバイスの入出力特性を取得するためのに必要な色データ(色票等の色の数値情報)を蓄積する手段である。表示データ出力手段102は、デバイスの入出力特性を取得するためのに必要な色データを基準色データ蓄積手段101より受け取りディスプレイ(CRTや液晶表示装置)やプリンタ等の出力機器に出力する手段である。
【0028】前記入出力特性被補正装置103は、CRTやプリンタ等の出力機器である。測色手段104は、表示装置により表示された色を測色する手段である。測色データ蓄積手段105は、表示装置により表示された色を測色手段104により測色したデータを入力して、一時的に蓄積・保存する手段である。
【0029】前記非線形補正手段106は、基準色データ蓄積手段101により蓄積された基準色データと測色データ蓄積手段105により蓄積された測色データとを入力データとして、これらのデータ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する手段である。この非線形補正手段106による補正データ作成方法が本発明のポイントとなる。補正データ蓄積手段107は、非線形補正手段106により作成された補正データを蓄積する手段である。
【0030】本実施形態1の出力機器の入出力特性補正システムの動作は、図1に示すように、前記基準色データ蓄積手段101により蓄積されている基準色データが、表示データ出力手段102に受け渡され、CRTやプリンタ等の入出力特性被補正装置103に出力して表示される。この入出力特性被補正装置103に表示された色は、測色手段104により、色票等の基準となるもので測色される。
【0031】前記測色手段104は、実際には色票を用いて人間が目で確認して、その色票に示される色情報を測色データとし、キーボードからコンピュータに入力するか、または、分光輝度計のような測色機器を用いて測定し、得られたデータをキーボードからコンピュータに入力することになる。また、入力された測色データを処理するプログラムはあらかじめ作成しておく必要がある。
【0032】測色手段104により得られた測色データは、コンピュータ等にキーボードから入力し、基準色データと関連付けてメモリなどの測色データ蓄積手段105に蓄積される。これを例えば基準色データすべてに対して実施し、得られた測色データを基準色データと対応付けて非線形補正手段106に入力し、補正データを取得する。
【0033】(実施形態2)図2は本発明による実施形態2の入力機器の入出力特性補正方法を実現するシステムの概略構成を示すブロック構成図である。本実施形態2の出力機器の入出力特性補正システムは、図2に示すように、入出力特性被補正装置201と、測色手段202と、測色データ蓄積手段203と、非線形補正手段204と、補正データ蓄積手段205とにより構成されている。本実施形態2における入出力特性被補正装置201としてはスキャナやデジタルカメラのような入力機器が挙げられる。
【0034】本実施形態2の入力機器の入出力特性補正システムの動作は、図2に示すように、基準色データとなる色票等の基準となるものを入出力特性被補正装置201に入力し、色情報を読み取る。この読み取った色情報が色票等であれば、入出力特性被補正装置201の表示装置の固定された位置に基準となる色が描かれ、それに対応する色のデジタル情報値があらかじめ分かっているため、コンピュータでプログラミングすれば、読み込んだ色の測色データと、その測色データに対応する、基準となるデジタル情報値を自動的にコンピュータで処理して、基準色データと関連付けた測色データをメモリなどの測色データ蓄積手段203に蓄積することは容易である。
【0035】これを、例えばいろいろな色票に対して実施し、得られた測色データと基準色データと対応付けて非線形補正手段204に入力して、補正データを作成する。
(非線形補正手段の第1の実施例)図3は本発明による前記実施形態1及び2における非線形補正手段の第1の実施例による補正の前後の入出力特性を示す図であり、図3(a)は補正前の入出力特性を示すグラフ、図3(b)は補正後の入出力特性を示すグラフである。
【0036】図4は本発明の非線形補正手段の第一の実施例の入出力特性の補正方法を説明するためのフローチャートであり、本実施例では、図4のフローチャートに従ったプログラムが入出力特性の補正の対象となる装置が接続される周知のコンピュータ上で動作する。
【0037】以下の説明においては、CRTを用いた入出力特性の補正方法を例に挙げ説明する。この時のCRTにおける基準色データは、R(赤),G(緑),B(青)の3色の組み合わせによって表現されるものであり、各色の明るさ(明度)は0から255で表現されるものとする。すなわち、基準色データは(r,0,0)、(0,g,0)、(0,0,b)で表わされる。ただし、r=0,1,2,・・・254,255、g=0,1,2,・・・254,255、b=0,1,2,・・・254,255である。測色データは、各色毎に輝度Yを測定すると、全部で256×3−2種類となる。
【0038】この第1の実施例の方法では、図4のに示すように、まず、CRT上に、Rに対して、入力値Iが0から255まで色を表示させる(ステップ401)。CRT上に表示された色の輝度Yを測定する(ステップ402)と、図3(a)のような測定結果が得られる。図3(a)の入出力特性曲線を図3(b)の入出力特性直線に補正する手順は以下の通りである。
【0039】図3(a)における入力値Iが最小値の点A1(I1、Y1)と最大値の点A2(I2、Y2)を求める。前記A1、A2の2点を通る直線を求めるため、図3(b)の入出力特性の関数は下記の数4の式で表わすことができる(ステップ403)。
【0040】
【数4】Y=aI′+βいま、β=Y1であり、aは下記の数5の式で求められるので、変換後の入力値I′は下記の数6の式から、前記輝度Yを用いて求められる。
【0041】すなわち、まず、入力値Iと輝度Yのテーブルを1ステップ毎に作成する。次に、入力値Iに対応する輝度Yに対し、数6の式に基づいて、I′を計算する。この操作を全ての入力値に対して行うことにより、入力値IとI′との変換テーブルが作成される。
【0042】
【数5】a=(Y2−Y1)/(I2−I1)
【0043】
【数6】I′=((I1−I2)/(Y2−Y1))×(Y−β)
前記の数6の式から求めたI′により、IとI′の関係が得られる(ステップ404)。残りのG,Bの色についても同様にIとI′の関係を求め、IとI′の対応マトリクスを作成する。得られた対応マトリクスは補正データ蓄積部に蓄えられる。
【0044】(非線形補正手段の第2の実施例)図5は本発明による前記実施形態1及び2における非線形補正手段の第2の実施例による補正の過程を示した図である。ここでも、前記第1の実施例と同様にCRTを用いた補正の例で説明する。CRTの基準色データは、基本的には、前記第1の実施例の場合と同様であるが、前記第1の実施例の場合と違い、明度は8とか10ずつの飛びとびの値をとる。
【0045】図6は本発明の非線形補正手段の第2の実施例の入出力特性の補正方法を説明するためのフローチャートであり、本実施例では、図6のフローチャートに従ったプログラムが入出力特性の補正の対象となる装置が接続される周知のコンピュータ上で動作する。
【0046】測色データは、前記第1の実施例と同様にR,G,Bの各色毎に輝度Yを測色する(ステップ502)。測色した結果は、図5(a)のようになる。この測定結果に対し、前記数1の式による補正を行うと、図5(b)のようになる(ステップ503)。ここでは、入力値Iと変換後の入力値I′には前記数2の式の関係がある(ステップ504)。
【0047】次に、数3の式を用いて図5(b)のI′の値が小さい部分と大きい部分の補正を行う(ステップ505)。まず、図5(b)のグラフから、前記数2の式を用いてパラメータn,β′を求める。求めたn、β′、I′により、補正されたI″は、下記の数7の式に表わされる。
【0048】
【数7】I″=255×(I′/255)^(1/(2n−1))+β′このI″を用い、最終的には図4(c)のような補正結果が得られる。この時、補正はI′が小さい部分と大きい部分と別々に行われる。また、この時IとI″の変換テーブルが作成される(ステップ506)。得られたYとnの値は、補正データ蓄積手段に蓄積される。
【0049】以上、本発明を、前記実施形態(実施例)に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0050】例えば、前記第2の実施例の非線形補正手段ではI′が小さい部分と大きい部分のデータの並び(Y)が対称な場合を示したが、対称でない場合でも補正は可能である。その時は、補正が必要な領域だけ補正することができる。また、I′が大きい部分と小さい部分とを別々に補正することから、補正に必要なパラメータnの値が異なっている場合も、補正が可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、基準色データ蓄積手段に保存されている色の数値情報等の入力データの、1ステップ毎の入出力特性被補正装置に対する入力値Iと入出力被補正装置の輝度である出力値Yとの実際の関係を測定し、最終的に変換後の入力値I′と出力値Yとの関係が線形となるようにIとI′との変換テーブルを作成することにより、通常の非線形な入出力特性を精度良く線形化することができる。
【0052】また、従来より用いている数1の式を用いてα、β、γを推定し、図7(b)のように変換した後、前記数3の式を用いてパラメータnとβ′とを推定し、入力値が小さい部分と大きい部分の補正を行うことで、入出力特性を線形化することにより、低輝度及び高輝度部分でのデバイスの入出力特性の線形性からのずれを補正して、補正後のデバイスの入出力特性の線形精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態1の出力機器の入出力特性補正方法を実現するシステムの概略構成を示すブロック構成図である。
【図2】本発明による実施形態2の出力機器の入出力特性補正方法を実現するシステムの概略構成を示すブロック構成図である。
【図3】本発明による前記実施形態1及び2における非線形補正手段の第1の実施例による補正の前後の入出力特性を示す図である。
【図4】本発明における非線形補正手段の第1の実施例による補正方法の流れを示した図である。
【図5】本発明による前記実施形態1及び2における非線形補正手段の第2の実施例による補正の過程を示した図である。
【図6】本発明における非線形補正手段の第2の実施例による補正方法の流れを示した図である。
【図7】従来の非線型補正手段による補正結果の例を示す図である。
【符号の説明】
101…基準色データ蓄積手段、102…表示データ出力手段、103…入出力特性被補正装置、104…測色手段、105…測色データ蓄積手段、106…非線形補正手段、107…補正データ蓄積手段、201…入出力特性被補正装置、202…測色手段、203…測色データ蓄積手段、204…非線形補正手段、205…補正データ蓄積手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、この蓄積された基準色データを前記出力機器に出力して表示し、この表示データにより前記出力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積することを特徴とする出力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項2】 請求項1に記載の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記非線形補正処理手順が、前記基準色データの色の数値情報等の入力データの1ステップ毎に出力機器に対する入力値と出力値との実際の関係を測定し、最終的に変換後の入力値と出力値との関係が線形となるように入力値と変換後の入力値との変換テーブルを作成することを特徴とする出力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項3】 ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法において、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記出力機器に表示し、それぞれの表示データにより前記出力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積し、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正することを特徴とする出力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項4】 スキャナやデジタルカメラ等の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記入力機器により入力した色を測色し、この測色した測色データを一時的に蓄積、保存し、前記入力機器により入力した色の基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形に補正するための補正データを作成し、この補正された補正データを蓄積することを特徴とする入力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項5】 請求項4に記載の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記非線形補正処理手順が、前記基準色データの色の数値情報等の入力データの1ステップ毎に入力機器に対する入力値と出力値との実際の関係を測定し、最終的に変換後の入力値と出力値との関係が線形となるように入力値と変換後の入力値との変換テーブルを作成することを特徴とする入力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項6】 ディスプレイやプリンタ等の入力機器の入出力特性の補正方法において、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積し、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記入力機器に表示し、それぞれの表示データにより前記入力機器に表示された色を測色し、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存し、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成し、この作成された補正データを蓄積し、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正することを特徴とする入力機器の入出力特性の補正方法。
【請求項7】 ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、該蓄積された基準色データを前記出力機器に出力して表示する手順と、該表示データにより前記出力機器に表示された色を測色する手順と、該測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存する手順と、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する手順と、該作成された補正データを蓄積する手順とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。
【請求項8】 請求項7に記載の記録媒体において、前記非線形補正処理手順が、前記基準色データの色の数値情報等の入力データの1ステップ毎に出力機器に対する入力値と出力値との実際の関係を測定する手順と、最終的に変換後の入力値と出力値との関係が線形となるように入力値と変換後の入力値との変換テーブルを作成する手順からなる、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。
【請求項9】 ディスプレイやプリンタ等の出力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記出力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記出力機器に表示する手順と、それぞれの表示データにより前記出力機器に表示された色を測色する手順と、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存する手順と、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する手順と、この作成された補正データを蓄積する手順と、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正する手順とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。
【請求項10】 スキャナやデジタルカメラ等の入力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、前記入力機器により入力した色を測色する手順と、この測色した測色データを一時的に蓄積、保存する手順と、前記入力機器により入力した色の基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形に補正するための補正データを作成する手順と、この補正された補正データを蓄積する手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。
【請求項11】 請求項10に記載の記録媒体において、前記非線形補正処理手順が、前記基準色データの色の数値情報等の入力データの1ステップ毎に入力機器に対する入力値と出力値との実際の関係を測定する手順と、最終的に変換後の入力値と出力値との関係が線形となるように入力値と変換後の入力値との変換テーブルを作成する手順からなる、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。
【請求項12】 ディスプレイやプリンタ等の入力機器の入出力特性の補正方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記入力機器の入出力特性を取得するために必要な色の数値情報である基準色データを蓄積する手順と、前記基準色データの色の数値情報等の入力データを数段階にわけて前記入力機器に表示する手順と、それぞれの表示データにより前記入力機器に表示された色を測色する手順と、この測色した測色データを入力し、一時的に蓄積、保存する手順と、前記蓄積された基準色データと前記蓄積された測色データとを入力データとし、前記基準色データと前記測色データ間の非線形性を線形にするための補正データを作成する手順と、この作成された補正データを蓄積する手順と、前記入力データの輝度の高い及び低い方に対して高次多項式を近似させて入出力特性を補正する手順とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【公開番号】特開2000−32288(P2000−32288A)
【公開日】平成12年1月28日(2000.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−201542
【出願日】平成10年7月16日(1998.7.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】