入力及び出力接続数を削減した微小流体デバイス
【課題】微小流体基板を外部コントローラに接続し基板を制御するために必要な入出力接続数を削減する。
【解決手段】微小流体処理デバイスは、複数N個の独立制御可能構成部品を有する基板上に製造される。基板は、当該基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点と、接点を構成部品の端子に接続する複数のリードとを含む。リードにより、外部コントローラが、構成部品の端子の総数よりも大幅に少ない接点を用いて、構成部品の端子に接点を介して制御信号を供給できる。各リードは、対応する接点を複数の端子に接続し、コントローラは、端子毎に別個の接点を必要とせずに、信号を端子に供給することができる。各構成部品の端子が一意の接点の組み合わせに接続されるように、リードを配列する。外部コントローラは、制御信号を供給することによって、この構成部品を活性化することができる。
【解決手段】微小流体処理デバイスは、複数N個の独立制御可能構成部品を有する基板上に製造される。基板は、当該基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点と、接点を構成部品の端子に接続する複数のリードとを含む。リードにより、外部コントローラが、構成部品の端子の総数よりも大幅に少ない接点を用いて、構成部品の端子に接点を介して制御信号を供給できる。各リードは、対応する接点を複数の端子に接続し、コントローラは、端子毎に別個の接点を必要とせずに、信号を端子に供給することができる。各構成部品の端子が一意の接点の組み合わせに接続されるように、リードを配列する。外部コントローラは、制御信号を供給することによって、この構成部品を活性化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小流体デバイスに関し、更に特定すれば、微小流体デバイスを外部コントローラに接続し、微小流体デバイスを制御するために必要な入力及び出力接続の数を削減する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロ/ナノ技術によるデバイスは、当技術分野において、構成部品が1μmないし数100μmの大きさであり、これらが協同して種々の所望の機能を実行するデバイスとして知られている。即ち、微小流体デバイスは、ミクロ/ナノ技術デバイスであり、流体処理機能を実行し、例えば、協同して化学的又は生化学的反応あるいは分析を実施する。
微小流体デバイスは、当該デバイス内部で流体を操作し分析するために種々の構成部品を含む。通例、これらの素子は、シリコン、ガラス、セラミック、プラスティック、及び/又はクオーツでつくられた基板から微細加工される。これら種々の流体処理構成部品は、同じ基板内にエッチングされたマイクロチャネルによって連結され、これらを通じて、流体が流体推進機構の制御の下で流動する。基板上には電子構成部品も製作することができ、センサや制御回路を同じデバイス内に組み込むことができる。構成部品の全てが、従来のフォトリソグラフ技法を用いて作られているので、多数素子デバイスを組み合わせて、複雑な統合化システムを容易に構築することができる。
【0003】
従来技術における微小流体デバイスの殆どは、微小規模の通路及びチャンバを通過する流体に基づいており、流体は連続的又は比較的大きな部分体(aliquot)のいずれかである。流体流は、大抵の場合、電子浸透力及び電気泳動力によって開始され、制御される。例えば、1997年4月27日に発行され、"Apparatus and Methods for Controlling Fluid Flow in Microchannels"(微小チャネル内における流体流を制御する方法及び装置)と題する米国特許第5,632,876号、1999年11月30日に発行され、"Flow Control in MicrofluidicsDevices by Controlled Bubble Formation"(微小流体デバイスにおけるバブル形成制御による流量制御)と題する米国特許第5,992,820号、1997年6月10日に発行され、"Methods and Apparatus for the Detection of an Analyte Utilizing Mesoscale Flow Systems"(中規模流労システムを利用した検体の検出方法及び装置)と題する米国特許第5,637,469号、1998年9月1日に発行され、"Variable Control of Electroosmoticand/or Electrophoretic Forces Within a Fluid-Containing Structure Via Electrical Forces"(電気的力による流体内蔵構造内における電気浸透及び/又は電気泳動力の可変制御)と題する米国特許第5,800,690号、1999年12月14日に発行され、"Methods and Systems for Monitoring and Controlling Fluid Flow Rates in Microfluidic Systems"(微小流体システムにおける流体流速を監視し制御する方法及びシステム)と題する米国特許第6,001,231号を参照のこと。また、例えば、Orchid, Inc.(www.orchid.com)及びCaliper Technologies, Inc. (www.calipertech.com)の製品も参照のこと。
【0004】
微小流体デバイスは、微小規模の通路における非常に小さい部分体の流体(ここでは「微小滴下」と呼ぶことにする)を操作し、主に、その流体量を移動させる圧力や非電気的力をその原動力としている。これらのデバイスが有利なのは、必要な試薬の量が少なくて済み、比較的小さな電圧を用いれば、標準的な微小電子構成部品が必要とする電圧と同じ程度の、非電気的推進力を発生することができるからである。具体的には、以下の特許を参照のこと。その内容は、ここで引用することによりその全体が本願にも含まれるものとする。2000年5月2日に発行され、"Microscale Devices And Reactions In Microscale Devices"(微小規模デバイス及び微小規模デバイスにおける反応)と題する米国特許第6,057,149号、2000年4月11日に発行され、"Thermal Microvalves in a Fluid Flow Method"(流体流動方法における熱微小バルブ)と題する米国特許第6,048,734号、及び2000年10月10日に発行された米国特許第6,130,098号。(この章又は本願のいずれの章においても、いずれの参考文献の引用又は特定も、かかる参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であると解釈しないこととする)。
【0005】
例えば、米国特許第6,130,098号(「098特許」)は、微小滴下チャネルを含み、流体処理システムを介して流体滴下を移送する微小流体デバイスについて開示している。このシステムは、流体滴下を処理するために種々の微小規模構成部品を含み、微小反応チャンバ、電気泳動モジュール、及び検出器(放射線検出器等)を含む。実施形態によっては、デバイスは、抵抗型ヒータに結合されたエア・チャンバも含み、内部で空気圧力を発生し、測定流体量を入力ポートから自動的に引き込み、測定微小滴下を推進し、微小流体デバイスに通過させる。
【0006】
これらの構成部品は、微小流体デバイスの縁端にある入出力(I/O)ピンに接続されており、これらのピンは外部コントローラの対応するI/Oピンと連結する。外部コントローラは、これらの構成部品を動作させる際、入出力ピンを介して制御信号を送受信する。例えば、微小流体デバイス外部の制御デバイスは、微小流体デバイス内部の抵抗型ヒータを作動させるには、入出力ピンを介してヒータに電流を供給する。微小流体デバイスは、多数のこのような構成部品を含む可能性があり、これらは外部のデバイスによって制御される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、このような微小流体デバイスを外部コントローラから制御するために必要な入出力ピンの数を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般に、微小流体基板を外部コントローラに接続し基板を制御するために必要な入出力接続の数を削減する技法に関する。一態様では、本発明は、基板上に製作された微小流体処理デバイスに関し、これは複数のN個の独立制御可能な構成部品(例えば、抵抗型加熱素子)を有し、その各々が少なくとも2つの端子を有する。基板は、当該基板を外部コントローラに接続するための複数の入出力接点と、接点を構成部品の端子に接続する複数のリードとを含む。
【0009】
リードは、外部コントローラが、構成部品の端子の総数よりもかなり少ない接点を用いて、構成部品の端子に接点を介して制御信号を供給できるように構成されている。例えば、一実施形態では、各リードが対応する接点を複数の端子に接続することにより、コントローラは、端子毎に別個の接点を必要とせずに、信号群を端子群に供給することができる。接点の数は、構成部品の数の約50%未満とすることもできる。しかしながら、構成部品の各々が互いに独立して制御可能であることを確保するために、各構成部品の端子を接点の一意の組み合わせに接続するようなリードの構成にもなっている。したがって、外部コントローラは、選択した構成部品を活性化するには、当該構成部品に一意に対応する接点の組み合わせに制御信号を供給すれば、可能となる。
【0010】
微細加工したデバイスの基板は、バルブやポンプのような素子を含むことが好ましい。これらは、協同して基板のチャネル及びチャンバ内部の流体を操作する。例えば、基板は、熱的に作動するバルブを含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、熱作動バルブに熱的に連通する加熱素子である。加熱素子の作動によって、バルブを作動させることにより、バルブは開放又は閉鎖する。基板は、複数の熱作動バルブを含むこともでき、複数のN個の独立制御可能な構成部品は、それぞれの熱作動バルブと熱的に連通する加熱素子である。
【0011】
基板は、流体室(volume of fluid)を備えた熱作動ポンプも含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、流体室と熱的に連通する加熱素子であり、こうすることによって、加熱素子を作動させると、流体が加熱して熱作動ポンプを作動させる。例えば、流体は気体とすることができ、この場合、気体の膨張が微小流体サンプルを、基板のチャネルに沿って推進させる。基板は、複数の熱作動ポンプを含むこともできる。各ポンプの流体は、少なくとも1つの加熱素子と熱的に連通している。
【0012】
基板は、重合連鎖反応を行うように構成されたチャンバのような、少なくとも1つの微細加工反応チャンバを含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、反応チャンバと熱的に連通する加熱素子であり、これにより、加熱素子の作動によって、加熱チャンバ内にある物質の温度を上昇させることができる。N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、反応チャンバと熱的に連通する熱センサとすることができ、これによって、反応チャンバ内にある物質の温度を求めることができる。
本発明は、以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明、本発明の具体的な実施形態の図示例、及び添付図面を参照することによって、一層深く理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】離散滴下微小流体処理デバイス、外部コントローラ、及び汎用コンピュータを有する微小流体制御システムを示す図である。
【図2】図1の離散滴下微小流体処理デバイスを示す図である。
【図3】図1の外部コントローラを示す図である。
【図4A】微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図4B】微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図5】抵抗型温度検出器を有する加熱構成部品を示す図である。
【図6A】I/O接点数を削減した微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図6B】I/O接点数を削減した微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図7A】微小流体処理デバイス内において抵抗型ヒータに電流を供給する導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図7B】微小流体処理デバイス内において抵抗型ヒータに電流を供給する導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図8A】抵抗型温度検出器(「RTD」)の導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図8B】抵抗型温度検出器(「RTD」)の導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図9A】抵抗型ヒータ及びRTDの導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図9B】抵抗型ヒータ及びRTDの導電性リードを共有する技法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
システムの概要
図1は、微小流体処理システムを示し、微小流体基板10、チップ担体カートリッジ20、データ取得及び制御ボード(「DAQ」)26、及びラップトップ又はパームトップ・コンピュータのような可搬型コンピュータ27を含む。微小流体基板10は、シリコン、ガラス、又はその他の適宜の材料の固体基板内に、従来のフォトリソグラフ技法を用いて形成された、好ましくは微細加工された、微小チャネル及び流体制御素子を有する。微小流体基板10は、チップ担体カートリッジ20上に実装されている。微小流体基板10は、チップ担体カートリッジとの電気及び光接続部12を有し、微小流体基板とチップ担体との間で電気信号及び光信号を搬送する。例えば、電気接続部は、周知のワイヤ・ボンディング技法で形成することができる。更に、チップ担体カートリッジ20は、微小流体基板とデータ取得ボード26との間で電気及び光信号を搬送するための電気及び光接点21を有する。
【0015】
チップ担体カートリッジは、DAQ26のインターフェース・ハードウエア・レセプタクルに挿入(又は抜去)されるように示されている。DAQ26は、チップ担体カートリッジの対応する接点21と一致するように標準化された電気及び光接点25を有する。殆どの接点は電気信号用であるが、光学的監視又は光学的励起微小流体プロセッサの場合には、接点の一部は光信号(IR、可視、UV等)用である。あるいは(図示しないが)、データ取得及び制御ボード26全体を単一のASICチップとすれば、チップ担体カートリッジ20内に組み込むことができ、その場合、接点21、25は印刷回路ボード上の線となる。
【0016】
一般に、DAQ26は、電気及び光信号を用いて、接点12、21、25を介して、微小流体基板10の動作を制御する。可搬型コンピュータ27は、通例では、ユーザ・インターフェースを提供して、ユーザに所望の動作を選択させたり、そのような動作の結果を視認させるというような、上位機能を実行する。図1に示すように、コンピュータ27は、データI/O、電力、接地、リセット、及びその他の機能性属性を与える接続部28を介して、DAQ26に接続されている。また、図示のように、コンピュータ27は、リンク31を介して、実験室のロボット24を制御することもできる。あるいは、コンピュータ27とDAQ26との間のワイヤレス・リンク32を設ければ、ワイヤレス素子32(a)及び32(b)によって、データ及び制御信号の交換が可能となる。例えば、データ・リンクがワイヤレス・リンクである場合、DAQ26は、例えば、バッテリのような、別個の電源を有することもできる。
【0017】
本発明は、微小流体基板10、チップ担体カートリッジ20、及びDAQ26のような1つ又は複数の外部コントローラ間の通信に必要とされる接点12、21、25の数を削減する方法を対象とする。
以下で説明するが、このような接点の数は、外部コントローラによって独立して制御される多くの構成部品を含む微小流体基板では、極めて大量となる。以下の微小流体基板10及びDAQ26の動作に関する説明では、微小流体基板の複雑性と接点12、21、25の必要数との間の関係を示す。
【0018】
微小流体プロセッサの構造
図1に示す例では、微小流体基板10は、3つの入力ポート22を含み、流体試薬又はサンプルを受け入れる。好ましくは、これらの入力ポートは、基板上の標準的な位置にあり、実験室のロボット24が利用可能であれば、微小流体プロセッサの何種類かのポートに自動的に充填できるように容易にプログラムすることができる。あるいは、ポートは、手作業での充填のために、手が届くようにするとよい。可能であれば、微小流体基板及び/又はチップ担体20上に試薬を予め封入しておくとよい。加えて、チップ担体20は、標準的なコネクタを介してアクセス可能な微小回路23を有し、例えば、自己記述プロセッサ情報を格納する。あるいは、チップ担体20は、デバイスの種類又はその他の情報を示すバー・コードのような指標を保持するとよい。
【0019】
図2は、集積微小流体基板の一例を概略的に示す。これは同一の拡縮率で描いたのではない。この微小流体基板は、3種類のサブアセンブリで構成されている。即ち、この基板は、4つの別個のサブアセンブリである、2つの微小滴下計測サブアセンブリ、メータリング1及びメータリング2、1つの混合サブアセンブリ、ミキシング1、及び1つの反応/検出サブアセンブリ、反応検出1を有する。
【0020】
これらのサブアセンブリは、図示のように、種々の構成部品又はアクチュエータで構成されている。これらの構成部品には、ヒータ・アクチュエータ、バルブ・アクチュエータ、及び光検出器が含まれ、これらは全て、受動入り口、オーバーフロー、ベント(vent)、及びリゾルバ(reservoir)と相互接続されている。更に具体的には、サブアセンブリ、メータリング1は、入り口1、オーバーフロー1、バルブ1、ヒータ1、及び通路1を含む。同様に、サブアセンブリ、メータリング2は、入り口2、オーバーフロー2、バルブ2、ヒータ2、及び通路2を含む。ミキシング・サブアセンブリ、ミキシング1は、ヒータ1、ヒータ2、バルブ3、バルブ4、ベント1、ベント2、Y字型通路3、及び通路4を含む。最後に、反応/検出サブアセンブリは、バルブ5、バルブ6、ヒータ3、及び通路5を含む。
【0021】
サブアセンブリの動作は、外部コントローラ、DAQ26の制御の下で、それらの構成部品のアクチュエータの動作を調整することによって行われる。微小流体基板10の具体的な動作については、同時係属中の米国特許出願第09/819,105号に更に詳細に記載されている。その内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれることとする。しかしながら、以下では、DAQ26の制御の下における流体プロセッサの全体的な動作について説明する。
【0022】
最初に、例えば、外部ロボット・デバイスによって、流体を入り口1に導入し、通路1が広くなったところの先にある第1疎水領域h3によって形成される安定位置まで流れていく。過剰な流体があれば、いずれもポート・オーバーフロー1を通って流出する。次に、DAQ26は、サブアセンブリ、メータリング1に、ポート入り口1を介して導入した流体の分取から決定した体積の微小滴下を測定するように命令する。これについては、同時係属中の特許出願第09/819,105に記載されている。サブアセンブリ・メータリング2も同様に構成され、同様に入り口2に供給される第2流体サンプルから測定した流体の微小滴下を抽出するように動作する。
【0023】
1対の微小滴下を入り口ポートから抽出した後、DAQ26は、電流をヒータ1及びヒータ2に供給して、ガス圧力を発生し、2つの微小滴下を推進してY字型通路3を通過させ、通路4に沿って、ベント2への側方通路の合流点の先にある、通路5における安定位置まで搬送する。この工程の間、2つの微小滴下は融合し混合して、単一の、より大きな微小滴下を形成する。
【0024】
次に、DAQ26は、電流をバルブ5及びバルブ6に供給して、これらのバルブを閉鎖し、微小滴下を通路5に沿って隔離させる。DAQ26は、サブアセンブリ反応/検出1に、例えば、微小滴下を加熱するヒータ3に電流を供給することによって、取り込んだ微小滴下において反応を誘発するように指令する。次に、DAQは、光路o1及びo2を導通する放射光線を光学的に検出することによって、反応を誘発した結果を監視する。DAQ26は、これらの制御機能を実行する際、電気(及び場合によっては光)信号を、接点12、21、25を介して、微小流体基板に選択的に供給する。
【0025】
DAQボードのアーキテクチャ
図3は、DAQボード26の好ましいハードウエア・アーキテクチャを示す。DAQボードは、1つ以上のレセプタクル、スロット、又はソケットを有し、1つ以上の置換可能な微小流体プロセッサを収容し、その外部接点との良好な接触を保ちつつ、固定支持することができる。
【0026】
図示のように、DAQ上の電気接点25(a)は、チップ担体カートリッジ20の対応する接点21(a)と嵌合する。これにより、DAQのリード39、40は、チップ担体カートリッジ20の対応するリードに電気的に接続される。同様に、DAQの接点25(b)は、チップ担体カートリッジの接点21(b)と嵌合することによって、光管路、視野線、又はその他の適当な手段によって、DAQの光結合部41、42を、チップ担体カートリッジ上の対応する光結合部に接続する。一方、チップ担体カートリッジの電気的及び光学的リードは、接点12を介して、微小流体基板10に接続されている。このため、DAQ26は、接点12、21、25を介して、電気信号及び光信号を、微小流体基板10との間で送受信し、その上に位置する種々の構成部品及びアクチュエータを係合及び制御することができる。
【0027】
電気接点には、多くの実施形態があるが、ここでは、チップ担体及び微小流体基板をDAQボード・レセプタクルに挿入するときに係合する縁端接点として示す。あるいは、可撓性リボン・ケーブルを係合するのに適した接点でもよく、また、たとえば、多ピン・ソケットでもよい。光接点は、光ファイバ・ケーブルを接続するための既知の形式のものでよい。
【0028】
DAQは、指定した量の電流を供給する1つ以上のヒータ駆動部47を含む。各ヒータ駆動部47の出力は、アナログ・マルチプレクサ48に接続されており、アナログ・マルチプレクサ48が、電流を駆動部から選択したI/O接点25(a)に導出する。検知機能のために、DAQは、1つ以上の温度センサ駆動部49を含み、これらは各々アナログ・マルチプレクサ50に接続されている。アナログ・マルチプレクサ50は、各温度センサ駆動部49を、複数のI/O接点25(a)から選択したものに多重化する。また、DAQは、光学的検出のために、1つ以上のフォトダイオード51も含む。マルチプレクサ52は、これら光検出器を、複数のI/O接点25(b)から選択した1つを介して、アナログ/ディジタル変換器(「ADC」)55に多重化する。最後に、DAQは、1つ以上のレーザ・ダイオード53を含むことが示されている。レーザ・イネーブル・レジスタ54は、選択したレーザ・ダイオード駆動部をイネーブルすることによって、対応する光結合部42及び光接点25(b)上に光信号を射出する。
【0029】
図3に示すように、DAQは、駆動部47、センサ49、フォトダイオード51、レーザ・ダイオード53、及びそれらと連動するアナログ・マルチプレクサ48、50、52、ならびにレーザ・イネーブル・レジスタ54の動作を制御するために、マイクロプロセッサ及びメモリも含む。更に具体的には、マイクロプロセッサは、これらの駆動部に制御信号を、バス駆動部45及びバス46を通じて送り、検知素子からのステータス情報を、同じ駆動部45及びバス46を通じて読み取る。最後に、ホスト・インターフェース44は、マイクロプロセッサ43に、リード38(c)を通じて、又は前述のように、ワイヤレス手段を通じて、汎用コンピュータ27(図1)と通信させる。
【0030】
DAQの動作を例示するために、図2に示した微小流体デバイスのバルブ1に示す抵抗型ヒータのような、単純な抵抗型ヒータの制御について、以下の説明する。図2に示すように、バルブ1は、抵抗型加熱素子9を含み、抵抗型加熱素子9は、その端子11、13において、リード8を通じて1対のI/O接点12(a)に接続されている。DAQは、この抵抗型加熱素子を活性化する際、アナログ・マルチプレクサ48に、ヒータ駆動部47の出力を、1対のI/O接点25(a)に接続するように命令する。I/O接点25(a)は、チップ担体20の対応するI/O接点21(a)に接続されており、一方I/O接点21(a)は、基板の対応する接点12(a)に接続されている。次いで、ヒータ駆動部47に、選択した量の電流を供給するように命令する。駆動部47によって供給された電流は、アナログ・マルチプレクサ48を通過し、選択されたリード39及び8を通って抵抗型加熱素子9に達する。
【0031】
I/Oピン数と微小流体プロセッサ上の制御素子数との間の関係
2端子デバイスでは、前述の抵抗型ヒータのように、システムは2つのI/O接点を用いて制御信号を供給し、デバイスを動作させなければならない。このため、微小流体プロセス上における2端子デバイスの数をNとすると、2×N個のI/O接点があれば、DAQ26がデバイスの各々を独立して制御できるようにするには十分である。
しかしながら、複雑な微小流体デバイスでは、I/O接点の数が不当に大きくなる可能性がある。図2に示す単純な微小流体デバイスでは、9つの異なる抵抗型加熱素子のみを示すに過ぎないため、18個の接点のみがあれば済む。微小流体デバイスが何百もの独立して制御する構成部品を有し増々複雑すると、接点の数は膨大となる。
【0032】
更に、同時係属中の米国特許出願第09/819,105号に記載されているような離散滴下流体処理システムでは、比較的単純な微小流体プロセッサでさえも、多数の接点を用いる場合がある。例えば、図4A及び図4Bは、このような流体処理システムに好ましいバルブ構造を示し、この構造では、3つの別個の抵抗型ヒータをバルブ毎に含む。図4A及び図4Bを参照して、好ましいバルブ構造の動作を以下に詳細に説明する。
【0033】
図4Aは、ワックス・プラグ(wax plug)76が側方チャネル77内に配置されたバルブがその開放位置にある場合を示す。このバルブを閉鎖するには、DAQコントローラは、I/O接点80、81を介して、抵抗型ヒータHTR2に電流を供給する。これによって、HTR2は暖まり、プラグ76を溶融させる。次いで、DAQ26は、I/O接点82、84を介して電流をHTR1に供給することによって、チャンバ75内部の気体を加熱する。気体が膨張するに連れ、図4Bに示すように、プラグ76をチャネル78内に移動させる。次に、DAQ26は、ヒータHTR2を遮断し、プラグを冷却することによって、チャネル78及び側方チャネル77を遮断する。プラグが冷却すると、DAQ26は、次に、HTR1を遮断する。HTR1が冷却すると、チャンバ75内部の圧力が低下することによって負圧が生じ、これを用いてバルブを再度開放することができる。これについては、以下で説明する。
【0034】
バルブを開放するには、DAQ26は、I/Oピン86、88を介して電流をHTR3に供給し、ヒータを暖めることによってプラグを溶融させる。一旦プラグが溶融したなら、チャンバ75内の負圧がプラグを側方チャネル77内に引き込むことによって、チャネル78を再度開放する。
このような双方向バルブを用いて図2に示す微小流体デバイスを実現する場合、独立制御抵抗素子の数は、9から21にほぼ3倍となる。しかしながら、これらの抵抗素子の各々の温度を高精度で制御するためには、用いる構成部品は多いほど良い。
【0035】
図5は、6端子抵抗型加熱デバイスを示す。このデバイスは、図2の加熱素子9に応じて動作する2端子加熱素子R1を含む。また、このデバイスは、一方向電流素子70も含み、これによって、電流は、リード55、56間のほぼ単一方向のみに流れることが可能となる。図5に示すように、一方向電流素子70は、リード56からリード55に電流を流させるように構成したダイオードである。一方向電流素子70は、リード55からリード56への電流の流れを実質的に遮断する。一方向電流素子70は、電流を回路の2点間の一方向に主に流させるような素子であれば、いずれでもよい。ダイオードは、好ましい一方向電流素子である。
【0036】
また、図5のデバイスは、抵抗素子R1に近接し、それと熱的に連通するようにした、四端子抵抗型センサ素子R2も含む。一方向電流素子71は、一方向電流素子70と同じ機能的特徴を有するが、リード57、58及びリード59、60間のほぼ一方向に電流を流させる。図示の構成では、一方向電流素子71は、電流をリード59、60からリード57、58に流させるが、リード57、58からリード59、60への電流の流れを実質的に遮断する。
一方向電流素子70及び71は、必ずしも素子R1及びR2を用いて基板上における微細加工によって形成しなければならない訳ではない。むしろ、一方向電流素子70及び71は、R1及びR2をそれぞれ含む電流通路に沿った別の位置に配してもよい。一方向電流素子70及び71は、R1及びR2と直列に配置する。
【0037】
センサ素子R2は、次のように動作することができる。DAQ26が電流をR1に(リード55、56を通じて)供給している間、比較的低い電流もリード57、60を通じてR2に供給している。R2は、抵抗素子であり、その抵抗値は温度と共に大きくなる。したがって、R2間の電圧は、近傍領域の温度が加熱素子R1によって加熱されることによって上昇し、したがって、素子R2を用いれば、この領域における温度を測定することができる。DAQ26は、リード58、59を通じてR2間の電圧を測定することによって、温度を求める。更に具体的には、ここで図3を参照すると、DAQ26は、リード58、59に接続されている接触ピン25(a)に温度センサ49を接続するように、アナログ・マルチプレクサに命令する。こうして、センサ49は、R2間の電圧を決定することによって、R1近傍における温度の測定値を得る。
【0038】
このように、微小流体プロセッサにおいてこのようなデバイスを用いると、I/O接点の数は更に一層増加する。例えば、図2に示す微小流体プロセッサには、126個の接点が必要となる。
本発明は、DAQ26のような外部コントローラが、前述のような微小流体デバイス内において多数の構成部品を独立して制御するために必要なI/O接点数を削減する技法を対象とする。
【0039】
図6A、図6Bは、各リードが1つよりも多い構成部品に用いられるように微小流体デバイスのリードを構成しつつ、DAQ26がなおも微小流体デバイスの各構成部品を他とは独立して制御できるように、I/O接点の数を削減する技法を示す。即ち、図6A、図6Bは、先に論じた図4A、図4Bに示したような、双方向値構造(bidirectional value structure)の2端子抵抗器の3つの間でI/O接点を共有する技法を示す。バルブは、図4A、図4Bに示したバルブと本質的に同一に動作するが、6つではなく4つの接点のみを用いる。この例では、各抵抗器は、1対のI/O接点に接続され、したがって、前述と同様にDAQによって制御することができる。他の抵抗器もこれらのI/O接点を共有するが、他と同じ対の接点を共有する抵抗器はない。したがって、DAQは、1対の対応する接点を介して任意の所与の抵抗器に電流を供給することができ、他の抵抗器を活性化することは全くない。
【0040】
更に一般的には、複数の抵抗型ヒータの独立制御に必要なI/O接点の数は、各抵抗器への接点の配線を、論理アレイの形態に敷設することによって削減することができる。その結果、I/O接点数が圧縮され、プロセッサ全体との通信が簡略化されるという利点がある。各抵抗器は、従来のリード及び接点の構成によれば、電気回路を完成するには2本のリードを必要とするので、N個の抵抗器を有するデバイスは、2N本のリードと2N個の接点を必要とする。しかしながら、接点の配線を共有アレイで構成することによって、必要な接点の数は、2√Nにまで削減することができる。例えば、100個の抵抗器を備えるデバイスでは、外部接点の数は、200から20に削減することができる。
【0041】
図7A、図7Bは、中間のチップ担体20を使用せずに、微小流体基板22に直接接続したDAQ26を示し、更に基板22内部の抵抗型ヒータのアレイを示す。接点12(a)及び抵抗型ヒータ100〜109間のリードは、列及び行に配列されて示されている。しかしながら、リードの実際の物理的レイアウトは、必ずしも物理的なアレイではない。むしろ、リードは、抵抗性構成部品から接点12(a)に直接導出され、各リードを複数の抵抗器に接続することができ、他のリードを電気的に絶縁しておくことができるのであれば、任意の態様のものでもよい。
【0042】
この構成によれば、N個の抵抗器の電気接点は、R本の行及びC本の列に割り当てられ、積RC≧Nとなるようにしており、好ましくは、RはCにほぼ等しく、最も好ましくはR=Cである。この構成では、同じ行に割り当てられた抵抗器は、共通の電気リード及びI/O接点12(a)を共有する。同様に、同じ列に割り当てられた抵抗器も、リード及びI/O接点12(a)を共有する。しかしながら、各抵抗器には、一意の対のI/O接点に対応する(即ち、アレイにおいてその一意の行/列の組み合わせに対応する)一意のアドレスがある。したがって、各抵抗器は、電気信号を該当する対のI/O接点に供給することによって、独立して作動可能である。
【0043】
ここで用いる場合、1対の接点に一意に関連付けられた「抵抗器」又は「構成部品」は、抵抗型ネットワーク(直列及び/又は並列に接続された複数の抵抗型サブコンポーネントを有する)に言及することもある。このような実施形態では、サブコンポーネントは、外部コントローラが、これらのサブコンポーネントに一意に関連付けられている1対の接点に信号を供給したときには、全てが一括して活性化される。
【0044】
図7Aに示すように、リードは、3本の行(Rj、ただし、j=1〜3)及び3本の列(ci、ただし、i=1〜3)に配列されている。抵抗器毎に、一方の端子が行に接続され、他方の端子が列に接続される。各抵抗器は他の抵抗器とこれらのリートを共有するが、2つの抵抗器が同じ対のリードを共有することはない。言い換えると、各抵抗器は、特定の行/列の対(Rj,Ci)に一意に関連付けられている。
【0045】
図7A、図7Bは、この構造の動作を示す。ヒータ駆動部47は、その端子上にある20ボルトの出力電圧を供給し、加熱素子100〜109に電流を供給する。正出力端子90は、第1アナログ・マルチプレクサ48(a)に接続されている。図示のように、この端子は、アナログ・マルチプレクサ48(a)内部の個々の切替素子によって、リードのアレイの行のいずれか1つに接続することができる。同様に、ヒータ47の負出力端子92は、第2アナログ・マルチプレクサ48(b)に接続されている。マルチプレクサ48(b)によって、端子92はリードのアレイにおけるいずれの列にも接続することができる。
【0046】
図7Aにおいて、アナログ・マルチプレクサ48(a、b)内部の切替素子は全て開放である。したがって、図示する加熱素子100〜109には動作状態にあるものはない。図7Bは、DAQ26がアナログ・マルチプレクサ48(a、b)にある内部スイッチを閉鎖することによって、アレイ内の抵抗器の内選択した1つに電流を供給するように命令した後における、アナログ・マルチプレクサ48(a、b)の状態を示す。この例では、行切替素子50を閉鎖することによって、ヒータ47の正端子をリード・アレイの最上行に接続する。また、列切替素子52も閉鎖し、ヒータ47の負端子をリード・アレイの中間列に接続する。こうして、ヒータ47の正端子90を抵抗器100、102、103に接続し、負端子を抵抗器102、105、108に接続する。しかしながら、これらの抵抗器102の内1つだけが、ヒータ47の両端子間に接続される。つまり、1つの抵抗器102のみが電流を受け、加熱される。
【0047】
抵抗型ヒータ100〜109は、それぞれの一方向電流素子215〜223に対して直列に配置されており、これによって、電流は、ヒータ駆動部47の正端子90とヒータ駆動部47の負即ち接地端子92との間で、抵抗素子100〜109の1つを含む電流路に沿って、一方向に流れることができる。一方向電流素子215〜223は、好ましくは、正端子90から負端子92のみに電流を流させるように構成することが好ましい。つまり、たとえば、電流は、地点224から地点225に、抵抗型ヒータ102を通過して地点226に、そして地点227まで流れることができる。しかしながら、一方向電流素子は、抵抗型ヒータ102以外の抵抗型ヒータを含む電流通路を電流が通過することを妨げる。例えば、一方向電流素子219は、地点228及び229間の電流の流れを妨げる。一方向電流素子215〜223は、先に一方向電流素子70、71について論じたように、ダイオードとするとよい。
【0048】
図8A、図8B、図9A、図9Bは、図5に示すR2のような温度を検知するために用いる抵抗素子との同様のアレイを示す。図8Aは、電流を検知抵抗器110〜118に供給するリードのアレイを示す。図8Bは、同じ抵抗器間の電圧を測定するための別の組のリードを示す。この構造では、抵抗型センサを刺激するために用いられるリードは、加熱駆動部47から電流を搬送しない。何故なら、これらは駆動部47から電気的に隔離されているからである。同様に、抵抗素子100〜118(図8B)の電圧を検知するためのリードは、本質的に電流を搬送しない。何故なら、これらは、駆動部47及び49(a)(図7A、図7B及び図8Aに示す)から電流を供給するリードから、隔離されているからである。この構造によって、最も精度の高い温度の測定が行われる。
【0049】
図9A、図9Bは、代替構造を示す。図8A、図8Bに示した構造と同様に、温度検知抵抗器110〜118間の電圧を検知するリードは、電流源の双方(ヒータ駆動部47及びRTD駆動部49(a))から隔離されている。しかしながら、電流源47、49(a)双方は、電流の返流に同じリード、即ち、アレイにおいて列として図示されているリードを共有する。これによって、リード数の圧縮を大きくすることができるが、共有する返流リードの抵抗率が、温度測定の精度を低下させる可能性がある。
【0050】
図8A、図8B、図9A、及び図9Bのアレイは、一方向電流素子215’〜223’を含み、これらによって、電流は、検知抵抗器110〜118を介して、一方向のみに流れることが可能となる。このように、一方向電流素子215’〜223’は、RTD駆動又はRTD検知の正端子と、RTD駆動又はRTD検知の負端子即ち接地端子との間で、検知抵抗器110〜118の1つを含む電流路に沿って、一方向にのみ電流を流させることが好ましい。好ましくは、一方向電流素子215’〜223’は、電流を、RTD駆動又はRTD検知の正端子から負端子即ち接地端子には流させるが、その負端子即ち接地端子から正端子には流させない。一方向電流素子215’〜223’は、一方向電流素子70、71と同様、ダイオードとすればよい。
【0051】
以上、具体的な態様、特徴及び実施形態を参照しながら本発明について例示として説明したが、本発明の有用性及び範囲は、そのように限定されるのではなく、本発明は、その他の異なる変形、変更、及びその他の実施形態も容易に包含できることは理解されよう。例えば、リード数を削減する同じ技法を、抵抗器以外の別の種類の構成部品にも適用することができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲の主旨及び範囲内にそのような変形、変更及び代替実施形態を全て含むものとして、広義に解釈することとする。
多くの引例をここでは引用したが、その開示内容全体は、ここで引用したことによって実際上本願に含まれることとする。更に、先にどのように特徴付けたかには関係なく、これらの引用例は、本発明の主題からみれば先行するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小流体デバイスに関し、更に特定すれば、微小流体デバイスを外部コントローラに接続し、微小流体デバイスを制御するために必要な入力及び出力接続の数を削減する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロ/ナノ技術によるデバイスは、当技術分野において、構成部品が1μmないし数100μmの大きさであり、これらが協同して種々の所望の機能を実行するデバイスとして知られている。即ち、微小流体デバイスは、ミクロ/ナノ技術デバイスであり、流体処理機能を実行し、例えば、協同して化学的又は生化学的反応あるいは分析を実施する。
微小流体デバイスは、当該デバイス内部で流体を操作し分析するために種々の構成部品を含む。通例、これらの素子は、シリコン、ガラス、セラミック、プラスティック、及び/又はクオーツでつくられた基板から微細加工される。これら種々の流体処理構成部品は、同じ基板内にエッチングされたマイクロチャネルによって連結され、これらを通じて、流体が流体推進機構の制御の下で流動する。基板上には電子構成部品も製作することができ、センサや制御回路を同じデバイス内に組み込むことができる。構成部品の全てが、従来のフォトリソグラフ技法を用いて作られているので、多数素子デバイスを組み合わせて、複雑な統合化システムを容易に構築することができる。
【0003】
従来技術における微小流体デバイスの殆どは、微小規模の通路及びチャンバを通過する流体に基づいており、流体は連続的又は比較的大きな部分体(aliquot)のいずれかである。流体流は、大抵の場合、電子浸透力及び電気泳動力によって開始され、制御される。例えば、1997年4月27日に発行され、"Apparatus and Methods for Controlling Fluid Flow in Microchannels"(微小チャネル内における流体流を制御する方法及び装置)と題する米国特許第5,632,876号、1999年11月30日に発行され、"Flow Control in MicrofluidicsDevices by Controlled Bubble Formation"(微小流体デバイスにおけるバブル形成制御による流量制御)と題する米国特許第5,992,820号、1997年6月10日に発行され、"Methods and Apparatus for the Detection of an Analyte Utilizing Mesoscale Flow Systems"(中規模流労システムを利用した検体の検出方法及び装置)と題する米国特許第5,637,469号、1998年9月1日に発行され、"Variable Control of Electroosmoticand/or Electrophoretic Forces Within a Fluid-Containing Structure Via Electrical Forces"(電気的力による流体内蔵構造内における電気浸透及び/又は電気泳動力の可変制御)と題する米国特許第5,800,690号、1999年12月14日に発行され、"Methods and Systems for Monitoring and Controlling Fluid Flow Rates in Microfluidic Systems"(微小流体システムにおける流体流速を監視し制御する方法及びシステム)と題する米国特許第6,001,231号を参照のこと。また、例えば、Orchid, Inc.(www.orchid.com)及びCaliper Technologies, Inc. (www.calipertech.com)の製品も参照のこと。
【0004】
微小流体デバイスは、微小規模の通路における非常に小さい部分体の流体(ここでは「微小滴下」と呼ぶことにする)を操作し、主に、その流体量を移動させる圧力や非電気的力をその原動力としている。これらのデバイスが有利なのは、必要な試薬の量が少なくて済み、比較的小さな電圧を用いれば、標準的な微小電子構成部品が必要とする電圧と同じ程度の、非電気的推進力を発生することができるからである。具体的には、以下の特許を参照のこと。その内容は、ここで引用することによりその全体が本願にも含まれるものとする。2000年5月2日に発行され、"Microscale Devices And Reactions In Microscale Devices"(微小規模デバイス及び微小規模デバイスにおける反応)と題する米国特許第6,057,149号、2000年4月11日に発行され、"Thermal Microvalves in a Fluid Flow Method"(流体流動方法における熱微小バルブ)と題する米国特許第6,048,734号、及び2000年10月10日に発行された米国特許第6,130,098号。(この章又は本願のいずれの章においても、いずれの参考文献の引用又は特定も、かかる参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であると解釈しないこととする)。
【0005】
例えば、米国特許第6,130,098号(「098特許」)は、微小滴下チャネルを含み、流体処理システムを介して流体滴下を移送する微小流体デバイスについて開示している。このシステムは、流体滴下を処理するために種々の微小規模構成部品を含み、微小反応チャンバ、電気泳動モジュール、及び検出器(放射線検出器等)を含む。実施形態によっては、デバイスは、抵抗型ヒータに結合されたエア・チャンバも含み、内部で空気圧力を発生し、測定流体量を入力ポートから自動的に引き込み、測定微小滴下を推進し、微小流体デバイスに通過させる。
【0006】
これらの構成部品は、微小流体デバイスの縁端にある入出力(I/O)ピンに接続されており、これらのピンは外部コントローラの対応するI/Oピンと連結する。外部コントローラは、これらの構成部品を動作させる際、入出力ピンを介して制御信号を送受信する。例えば、微小流体デバイス外部の制御デバイスは、微小流体デバイス内部の抵抗型ヒータを作動させるには、入出力ピンを介してヒータに電流を供給する。微小流体デバイスは、多数のこのような構成部品を含む可能性があり、これらは外部のデバイスによって制御される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、このような微小流体デバイスを外部コントローラから制御するために必要な入出力ピンの数を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般に、微小流体基板を外部コントローラに接続し基板を制御するために必要な入出力接続の数を削減する技法に関する。一態様では、本発明は、基板上に製作された微小流体処理デバイスに関し、これは複数のN個の独立制御可能な構成部品(例えば、抵抗型加熱素子)を有し、その各々が少なくとも2つの端子を有する。基板は、当該基板を外部コントローラに接続するための複数の入出力接点と、接点を構成部品の端子に接続する複数のリードとを含む。
【0009】
リードは、外部コントローラが、構成部品の端子の総数よりもかなり少ない接点を用いて、構成部品の端子に接点を介して制御信号を供給できるように構成されている。例えば、一実施形態では、各リードが対応する接点を複数の端子に接続することにより、コントローラは、端子毎に別個の接点を必要とせずに、信号群を端子群に供給することができる。接点の数は、構成部品の数の約50%未満とすることもできる。しかしながら、構成部品の各々が互いに独立して制御可能であることを確保するために、各構成部品の端子を接点の一意の組み合わせに接続するようなリードの構成にもなっている。したがって、外部コントローラは、選択した構成部品を活性化するには、当該構成部品に一意に対応する接点の組み合わせに制御信号を供給すれば、可能となる。
【0010】
微細加工したデバイスの基板は、バルブやポンプのような素子を含むことが好ましい。これらは、協同して基板のチャネル及びチャンバ内部の流体を操作する。例えば、基板は、熱的に作動するバルブを含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、熱作動バルブに熱的に連通する加熱素子である。加熱素子の作動によって、バルブを作動させることにより、バルブは開放又は閉鎖する。基板は、複数の熱作動バルブを含むこともでき、複数のN個の独立制御可能な構成部品は、それぞれの熱作動バルブと熱的に連通する加熱素子である。
【0011】
基板は、流体室(volume of fluid)を備えた熱作動ポンプも含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、流体室と熱的に連通する加熱素子であり、こうすることによって、加熱素子を作動させると、流体が加熱して熱作動ポンプを作動させる。例えば、流体は気体とすることができ、この場合、気体の膨張が微小流体サンプルを、基板のチャネルに沿って推進させる。基板は、複数の熱作動ポンプを含むこともできる。各ポンプの流体は、少なくとも1つの加熱素子と熱的に連通している。
【0012】
基板は、重合連鎖反応を行うように構成されたチャンバのような、少なくとも1つの微細加工反応チャンバを含むことができる。N個の独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、反応チャンバと熱的に連通する加熱素子であり、これにより、加熱素子の作動によって、加熱チャンバ内にある物質の温度を上昇させることができる。N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、反応チャンバと熱的に連通する熱センサとすることができ、これによって、反応チャンバ内にある物質の温度を求めることができる。
本発明は、以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明、本発明の具体的な実施形態の図示例、及び添付図面を参照することによって、一層深く理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】離散滴下微小流体処理デバイス、外部コントローラ、及び汎用コンピュータを有する微小流体制御システムを示す図である。
【図2】図1の離散滴下微小流体処理デバイスを示す図である。
【図3】図1の外部コントローラを示す図である。
【図4A】微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図4B】微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図5】抵抗型温度検出器を有する加熱構成部品を示す図である。
【図6A】I/O接点数を削減した微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図6B】I/O接点数を削減した微小バルブ・アクチュエータを示す図である。
【図7A】微小流体処理デバイス内において抵抗型ヒータに電流を供給する導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図7B】微小流体処理デバイス内において抵抗型ヒータに電流を供給する導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図8A】抵抗型温度検出器(「RTD」)の導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図8B】抵抗型温度検出器(「RTD」)の導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図9A】抵抗型ヒータ及びRTDの導電性リードを共有する技法を示す図である。
【図9B】抵抗型ヒータ及びRTDの導電性リードを共有する技法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
システムの概要
図1は、微小流体処理システムを示し、微小流体基板10、チップ担体カートリッジ20、データ取得及び制御ボード(「DAQ」)26、及びラップトップ又はパームトップ・コンピュータのような可搬型コンピュータ27を含む。微小流体基板10は、シリコン、ガラス、又はその他の適宜の材料の固体基板内に、従来のフォトリソグラフ技法を用いて形成された、好ましくは微細加工された、微小チャネル及び流体制御素子を有する。微小流体基板10は、チップ担体カートリッジ20上に実装されている。微小流体基板10は、チップ担体カートリッジとの電気及び光接続部12を有し、微小流体基板とチップ担体との間で電気信号及び光信号を搬送する。例えば、電気接続部は、周知のワイヤ・ボンディング技法で形成することができる。更に、チップ担体カートリッジ20は、微小流体基板とデータ取得ボード26との間で電気及び光信号を搬送するための電気及び光接点21を有する。
【0015】
チップ担体カートリッジは、DAQ26のインターフェース・ハードウエア・レセプタクルに挿入(又は抜去)されるように示されている。DAQ26は、チップ担体カートリッジの対応する接点21と一致するように標準化された電気及び光接点25を有する。殆どの接点は電気信号用であるが、光学的監視又は光学的励起微小流体プロセッサの場合には、接点の一部は光信号(IR、可視、UV等)用である。あるいは(図示しないが)、データ取得及び制御ボード26全体を単一のASICチップとすれば、チップ担体カートリッジ20内に組み込むことができ、その場合、接点21、25は印刷回路ボード上の線となる。
【0016】
一般に、DAQ26は、電気及び光信号を用いて、接点12、21、25を介して、微小流体基板10の動作を制御する。可搬型コンピュータ27は、通例では、ユーザ・インターフェースを提供して、ユーザに所望の動作を選択させたり、そのような動作の結果を視認させるというような、上位機能を実行する。図1に示すように、コンピュータ27は、データI/O、電力、接地、リセット、及びその他の機能性属性を与える接続部28を介して、DAQ26に接続されている。また、図示のように、コンピュータ27は、リンク31を介して、実験室のロボット24を制御することもできる。あるいは、コンピュータ27とDAQ26との間のワイヤレス・リンク32を設ければ、ワイヤレス素子32(a)及び32(b)によって、データ及び制御信号の交換が可能となる。例えば、データ・リンクがワイヤレス・リンクである場合、DAQ26は、例えば、バッテリのような、別個の電源を有することもできる。
【0017】
本発明は、微小流体基板10、チップ担体カートリッジ20、及びDAQ26のような1つ又は複数の外部コントローラ間の通信に必要とされる接点12、21、25の数を削減する方法を対象とする。
以下で説明するが、このような接点の数は、外部コントローラによって独立して制御される多くの構成部品を含む微小流体基板では、極めて大量となる。以下の微小流体基板10及びDAQ26の動作に関する説明では、微小流体基板の複雑性と接点12、21、25の必要数との間の関係を示す。
【0018】
微小流体プロセッサの構造
図1に示す例では、微小流体基板10は、3つの入力ポート22を含み、流体試薬又はサンプルを受け入れる。好ましくは、これらの入力ポートは、基板上の標準的な位置にあり、実験室のロボット24が利用可能であれば、微小流体プロセッサの何種類かのポートに自動的に充填できるように容易にプログラムすることができる。あるいは、ポートは、手作業での充填のために、手が届くようにするとよい。可能であれば、微小流体基板及び/又はチップ担体20上に試薬を予め封入しておくとよい。加えて、チップ担体20は、標準的なコネクタを介してアクセス可能な微小回路23を有し、例えば、自己記述プロセッサ情報を格納する。あるいは、チップ担体20は、デバイスの種類又はその他の情報を示すバー・コードのような指標を保持するとよい。
【0019】
図2は、集積微小流体基板の一例を概略的に示す。これは同一の拡縮率で描いたのではない。この微小流体基板は、3種類のサブアセンブリで構成されている。即ち、この基板は、4つの別個のサブアセンブリである、2つの微小滴下計測サブアセンブリ、メータリング1及びメータリング2、1つの混合サブアセンブリ、ミキシング1、及び1つの反応/検出サブアセンブリ、反応検出1を有する。
【0020】
これらのサブアセンブリは、図示のように、種々の構成部品又はアクチュエータで構成されている。これらの構成部品には、ヒータ・アクチュエータ、バルブ・アクチュエータ、及び光検出器が含まれ、これらは全て、受動入り口、オーバーフロー、ベント(vent)、及びリゾルバ(reservoir)と相互接続されている。更に具体的には、サブアセンブリ、メータリング1は、入り口1、オーバーフロー1、バルブ1、ヒータ1、及び通路1を含む。同様に、サブアセンブリ、メータリング2は、入り口2、オーバーフロー2、バルブ2、ヒータ2、及び通路2を含む。ミキシング・サブアセンブリ、ミキシング1は、ヒータ1、ヒータ2、バルブ3、バルブ4、ベント1、ベント2、Y字型通路3、及び通路4を含む。最後に、反応/検出サブアセンブリは、バルブ5、バルブ6、ヒータ3、及び通路5を含む。
【0021】
サブアセンブリの動作は、外部コントローラ、DAQ26の制御の下で、それらの構成部品のアクチュエータの動作を調整することによって行われる。微小流体基板10の具体的な動作については、同時係属中の米国特許出願第09/819,105号に更に詳細に記載されている。その内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれることとする。しかしながら、以下では、DAQ26の制御の下における流体プロセッサの全体的な動作について説明する。
【0022】
最初に、例えば、外部ロボット・デバイスによって、流体を入り口1に導入し、通路1が広くなったところの先にある第1疎水領域h3によって形成される安定位置まで流れていく。過剰な流体があれば、いずれもポート・オーバーフロー1を通って流出する。次に、DAQ26は、サブアセンブリ、メータリング1に、ポート入り口1を介して導入した流体の分取から決定した体積の微小滴下を測定するように命令する。これについては、同時係属中の特許出願第09/819,105に記載されている。サブアセンブリ・メータリング2も同様に構成され、同様に入り口2に供給される第2流体サンプルから測定した流体の微小滴下を抽出するように動作する。
【0023】
1対の微小滴下を入り口ポートから抽出した後、DAQ26は、電流をヒータ1及びヒータ2に供給して、ガス圧力を発生し、2つの微小滴下を推進してY字型通路3を通過させ、通路4に沿って、ベント2への側方通路の合流点の先にある、通路5における安定位置まで搬送する。この工程の間、2つの微小滴下は融合し混合して、単一の、より大きな微小滴下を形成する。
【0024】
次に、DAQ26は、電流をバルブ5及びバルブ6に供給して、これらのバルブを閉鎖し、微小滴下を通路5に沿って隔離させる。DAQ26は、サブアセンブリ反応/検出1に、例えば、微小滴下を加熱するヒータ3に電流を供給することによって、取り込んだ微小滴下において反応を誘発するように指令する。次に、DAQは、光路o1及びo2を導通する放射光線を光学的に検出することによって、反応を誘発した結果を監視する。DAQ26は、これらの制御機能を実行する際、電気(及び場合によっては光)信号を、接点12、21、25を介して、微小流体基板に選択的に供給する。
【0025】
DAQボードのアーキテクチャ
図3は、DAQボード26の好ましいハードウエア・アーキテクチャを示す。DAQボードは、1つ以上のレセプタクル、スロット、又はソケットを有し、1つ以上の置換可能な微小流体プロセッサを収容し、その外部接点との良好な接触を保ちつつ、固定支持することができる。
【0026】
図示のように、DAQ上の電気接点25(a)は、チップ担体カートリッジ20の対応する接点21(a)と嵌合する。これにより、DAQのリード39、40は、チップ担体カートリッジ20の対応するリードに電気的に接続される。同様に、DAQの接点25(b)は、チップ担体カートリッジの接点21(b)と嵌合することによって、光管路、視野線、又はその他の適当な手段によって、DAQの光結合部41、42を、チップ担体カートリッジ上の対応する光結合部に接続する。一方、チップ担体カートリッジの電気的及び光学的リードは、接点12を介して、微小流体基板10に接続されている。このため、DAQ26は、接点12、21、25を介して、電気信号及び光信号を、微小流体基板10との間で送受信し、その上に位置する種々の構成部品及びアクチュエータを係合及び制御することができる。
【0027】
電気接点には、多くの実施形態があるが、ここでは、チップ担体及び微小流体基板をDAQボード・レセプタクルに挿入するときに係合する縁端接点として示す。あるいは、可撓性リボン・ケーブルを係合するのに適した接点でもよく、また、たとえば、多ピン・ソケットでもよい。光接点は、光ファイバ・ケーブルを接続するための既知の形式のものでよい。
【0028】
DAQは、指定した量の電流を供給する1つ以上のヒータ駆動部47を含む。各ヒータ駆動部47の出力は、アナログ・マルチプレクサ48に接続されており、アナログ・マルチプレクサ48が、電流を駆動部から選択したI/O接点25(a)に導出する。検知機能のために、DAQは、1つ以上の温度センサ駆動部49を含み、これらは各々アナログ・マルチプレクサ50に接続されている。アナログ・マルチプレクサ50は、各温度センサ駆動部49を、複数のI/O接点25(a)から選択したものに多重化する。また、DAQは、光学的検出のために、1つ以上のフォトダイオード51も含む。マルチプレクサ52は、これら光検出器を、複数のI/O接点25(b)から選択した1つを介して、アナログ/ディジタル変換器(「ADC」)55に多重化する。最後に、DAQは、1つ以上のレーザ・ダイオード53を含むことが示されている。レーザ・イネーブル・レジスタ54は、選択したレーザ・ダイオード駆動部をイネーブルすることによって、対応する光結合部42及び光接点25(b)上に光信号を射出する。
【0029】
図3に示すように、DAQは、駆動部47、センサ49、フォトダイオード51、レーザ・ダイオード53、及びそれらと連動するアナログ・マルチプレクサ48、50、52、ならびにレーザ・イネーブル・レジスタ54の動作を制御するために、マイクロプロセッサ及びメモリも含む。更に具体的には、マイクロプロセッサは、これらの駆動部に制御信号を、バス駆動部45及びバス46を通じて送り、検知素子からのステータス情報を、同じ駆動部45及びバス46を通じて読み取る。最後に、ホスト・インターフェース44は、マイクロプロセッサ43に、リード38(c)を通じて、又は前述のように、ワイヤレス手段を通じて、汎用コンピュータ27(図1)と通信させる。
【0030】
DAQの動作を例示するために、図2に示した微小流体デバイスのバルブ1に示す抵抗型ヒータのような、単純な抵抗型ヒータの制御について、以下の説明する。図2に示すように、バルブ1は、抵抗型加熱素子9を含み、抵抗型加熱素子9は、その端子11、13において、リード8を通じて1対のI/O接点12(a)に接続されている。DAQは、この抵抗型加熱素子を活性化する際、アナログ・マルチプレクサ48に、ヒータ駆動部47の出力を、1対のI/O接点25(a)に接続するように命令する。I/O接点25(a)は、チップ担体20の対応するI/O接点21(a)に接続されており、一方I/O接点21(a)は、基板の対応する接点12(a)に接続されている。次いで、ヒータ駆動部47に、選択した量の電流を供給するように命令する。駆動部47によって供給された電流は、アナログ・マルチプレクサ48を通過し、選択されたリード39及び8を通って抵抗型加熱素子9に達する。
【0031】
I/Oピン数と微小流体プロセッサ上の制御素子数との間の関係
2端子デバイスでは、前述の抵抗型ヒータのように、システムは2つのI/O接点を用いて制御信号を供給し、デバイスを動作させなければならない。このため、微小流体プロセス上における2端子デバイスの数をNとすると、2×N個のI/O接点があれば、DAQ26がデバイスの各々を独立して制御できるようにするには十分である。
しかしながら、複雑な微小流体デバイスでは、I/O接点の数が不当に大きくなる可能性がある。図2に示す単純な微小流体デバイスでは、9つの異なる抵抗型加熱素子のみを示すに過ぎないため、18個の接点のみがあれば済む。微小流体デバイスが何百もの独立して制御する構成部品を有し増々複雑すると、接点の数は膨大となる。
【0032】
更に、同時係属中の米国特許出願第09/819,105号に記載されているような離散滴下流体処理システムでは、比較的単純な微小流体プロセッサでさえも、多数の接点を用いる場合がある。例えば、図4A及び図4Bは、このような流体処理システムに好ましいバルブ構造を示し、この構造では、3つの別個の抵抗型ヒータをバルブ毎に含む。図4A及び図4Bを参照して、好ましいバルブ構造の動作を以下に詳細に説明する。
【0033】
図4Aは、ワックス・プラグ(wax plug)76が側方チャネル77内に配置されたバルブがその開放位置にある場合を示す。このバルブを閉鎖するには、DAQコントローラは、I/O接点80、81を介して、抵抗型ヒータHTR2に電流を供給する。これによって、HTR2は暖まり、プラグ76を溶融させる。次いで、DAQ26は、I/O接点82、84を介して電流をHTR1に供給することによって、チャンバ75内部の気体を加熱する。気体が膨張するに連れ、図4Bに示すように、プラグ76をチャネル78内に移動させる。次に、DAQ26は、ヒータHTR2を遮断し、プラグを冷却することによって、チャネル78及び側方チャネル77を遮断する。プラグが冷却すると、DAQ26は、次に、HTR1を遮断する。HTR1が冷却すると、チャンバ75内部の圧力が低下することによって負圧が生じ、これを用いてバルブを再度開放することができる。これについては、以下で説明する。
【0034】
バルブを開放するには、DAQ26は、I/Oピン86、88を介して電流をHTR3に供給し、ヒータを暖めることによってプラグを溶融させる。一旦プラグが溶融したなら、チャンバ75内の負圧がプラグを側方チャネル77内に引き込むことによって、チャネル78を再度開放する。
このような双方向バルブを用いて図2に示す微小流体デバイスを実現する場合、独立制御抵抗素子の数は、9から21にほぼ3倍となる。しかしながら、これらの抵抗素子の各々の温度を高精度で制御するためには、用いる構成部品は多いほど良い。
【0035】
図5は、6端子抵抗型加熱デバイスを示す。このデバイスは、図2の加熱素子9に応じて動作する2端子加熱素子R1を含む。また、このデバイスは、一方向電流素子70も含み、これによって、電流は、リード55、56間のほぼ単一方向のみに流れることが可能となる。図5に示すように、一方向電流素子70は、リード56からリード55に電流を流させるように構成したダイオードである。一方向電流素子70は、リード55からリード56への電流の流れを実質的に遮断する。一方向電流素子70は、電流を回路の2点間の一方向に主に流させるような素子であれば、いずれでもよい。ダイオードは、好ましい一方向電流素子である。
【0036】
また、図5のデバイスは、抵抗素子R1に近接し、それと熱的に連通するようにした、四端子抵抗型センサ素子R2も含む。一方向電流素子71は、一方向電流素子70と同じ機能的特徴を有するが、リード57、58及びリード59、60間のほぼ一方向に電流を流させる。図示の構成では、一方向電流素子71は、電流をリード59、60からリード57、58に流させるが、リード57、58からリード59、60への電流の流れを実質的に遮断する。
一方向電流素子70及び71は、必ずしも素子R1及びR2を用いて基板上における微細加工によって形成しなければならない訳ではない。むしろ、一方向電流素子70及び71は、R1及びR2をそれぞれ含む電流通路に沿った別の位置に配してもよい。一方向電流素子70及び71は、R1及びR2と直列に配置する。
【0037】
センサ素子R2は、次のように動作することができる。DAQ26が電流をR1に(リード55、56を通じて)供給している間、比較的低い電流もリード57、60を通じてR2に供給している。R2は、抵抗素子であり、その抵抗値は温度と共に大きくなる。したがって、R2間の電圧は、近傍領域の温度が加熱素子R1によって加熱されることによって上昇し、したがって、素子R2を用いれば、この領域における温度を測定することができる。DAQ26は、リード58、59を通じてR2間の電圧を測定することによって、温度を求める。更に具体的には、ここで図3を参照すると、DAQ26は、リード58、59に接続されている接触ピン25(a)に温度センサ49を接続するように、アナログ・マルチプレクサに命令する。こうして、センサ49は、R2間の電圧を決定することによって、R1近傍における温度の測定値を得る。
【0038】
このように、微小流体プロセッサにおいてこのようなデバイスを用いると、I/O接点の数は更に一層増加する。例えば、図2に示す微小流体プロセッサには、126個の接点が必要となる。
本発明は、DAQ26のような外部コントローラが、前述のような微小流体デバイス内において多数の構成部品を独立して制御するために必要なI/O接点数を削減する技法を対象とする。
【0039】
図6A、図6Bは、各リードが1つよりも多い構成部品に用いられるように微小流体デバイスのリードを構成しつつ、DAQ26がなおも微小流体デバイスの各構成部品を他とは独立して制御できるように、I/O接点の数を削減する技法を示す。即ち、図6A、図6Bは、先に論じた図4A、図4Bに示したような、双方向値構造(bidirectional value structure)の2端子抵抗器の3つの間でI/O接点を共有する技法を示す。バルブは、図4A、図4Bに示したバルブと本質的に同一に動作するが、6つではなく4つの接点のみを用いる。この例では、各抵抗器は、1対のI/O接点に接続され、したがって、前述と同様にDAQによって制御することができる。他の抵抗器もこれらのI/O接点を共有するが、他と同じ対の接点を共有する抵抗器はない。したがって、DAQは、1対の対応する接点を介して任意の所与の抵抗器に電流を供給することができ、他の抵抗器を活性化することは全くない。
【0040】
更に一般的には、複数の抵抗型ヒータの独立制御に必要なI/O接点の数は、各抵抗器への接点の配線を、論理アレイの形態に敷設することによって削減することができる。その結果、I/O接点数が圧縮され、プロセッサ全体との通信が簡略化されるという利点がある。各抵抗器は、従来のリード及び接点の構成によれば、電気回路を完成するには2本のリードを必要とするので、N個の抵抗器を有するデバイスは、2N本のリードと2N個の接点を必要とする。しかしながら、接点の配線を共有アレイで構成することによって、必要な接点の数は、2√Nにまで削減することができる。例えば、100個の抵抗器を備えるデバイスでは、外部接点の数は、200から20に削減することができる。
【0041】
図7A、図7Bは、中間のチップ担体20を使用せずに、微小流体基板22に直接接続したDAQ26を示し、更に基板22内部の抵抗型ヒータのアレイを示す。接点12(a)及び抵抗型ヒータ100〜109間のリードは、列及び行に配列されて示されている。しかしながら、リードの実際の物理的レイアウトは、必ずしも物理的なアレイではない。むしろ、リードは、抵抗性構成部品から接点12(a)に直接導出され、各リードを複数の抵抗器に接続することができ、他のリードを電気的に絶縁しておくことができるのであれば、任意の態様のものでもよい。
【0042】
この構成によれば、N個の抵抗器の電気接点は、R本の行及びC本の列に割り当てられ、積RC≧Nとなるようにしており、好ましくは、RはCにほぼ等しく、最も好ましくはR=Cである。この構成では、同じ行に割り当てられた抵抗器は、共通の電気リード及びI/O接点12(a)を共有する。同様に、同じ列に割り当てられた抵抗器も、リード及びI/O接点12(a)を共有する。しかしながら、各抵抗器には、一意の対のI/O接点に対応する(即ち、アレイにおいてその一意の行/列の組み合わせに対応する)一意のアドレスがある。したがって、各抵抗器は、電気信号を該当する対のI/O接点に供給することによって、独立して作動可能である。
【0043】
ここで用いる場合、1対の接点に一意に関連付けられた「抵抗器」又は「構成部品」は、抵抗型ネットワーク(直列及び/又は並列に接続された複数の抵抗型サブコンポーネントを有する)に言及することもある。このような実施形態では、サブコンポーネントは、外部コントローラが、これらのサブコンポーネントに一意に関連付けられている1対の接点に信号を供給したときには、全てが一括して活性化される。
【0044】
図7Aに示すように、リードは、3本の行(Rj、ただし、j=1〜3)及び3本の列(ci、ただし、i=1〜3)に配列されている。抵抗器毎に、一方の端子が行に接続され、他方の端子が列に接続される。各抵抗器は他の抵抗器とこれらのリートを共有するが、2つの抵抗器が同じ対のリードを共有することはない。言い換えると、各抵抗器は、特定の行/列の対(Rj,Ci)に一意に関連付けられている。
【0045】
図7A、図7Bは、この構造の動作を示す。ヒータ駆動部47は、その端子上にある20ボルトの出力電圧を供給し、加熱素子100〜109に電流を供給する。正出力端子90は、第1アナログ・マルチプレクサ48(a)に接続されている。図示のように、この端子は、アナログ・マルチプレクサ48(a)内部の個々の切替素子によって、リードのアレイの行のいずれか1つに接続することができる。同様に、ヒータ47の負出力端子92は、第2アナログ・マルチプレクサ48(b)に接続されている。マルチプレクサ48(b)によって、端子92はリードのアレイにおけるいずれの列にも接続することができる。
【0046】
図7Aにおいて、アナログ・マルチプレクサ48(a、b)内部の切替素子は全て開放である。したがって、図示する加熱素子100〜109には動作状態にあるものはない。図7Bは、DAQ26がアナログ・マルチプレクサ48(a、b)にある内部スイッチを閉鎖することによって、アレイ内の抵抗器の内選択した1つに電流を供給するように命令した後における、アナログ・マルチプレクサ48(a、b)の状態を示す。この例では、行切替素子50を閉鎖することによって、ヒータ47の正端子をリード・アレイの最上行に接続する。また、列切替素子52も閉鎖し、ヒータ47の負端子をリード・アレイの中間列に接続する。こうして、ヒータ47の正端子90を抵抗器100、102、103に接続し、負端子を抵抗器102、105、108に接続する。しかしながら、これらの抵抗器102の内1つだけが、ヒータ47の両端子間に接続される。つまり、1つの抵抗器102のみが電流を受け、加熱される。
【0047】
抵抗型ヒータ100〜109は、それぞれの一方向電流素子215〜223に対して直列に配置されており、これによって、電流は、ヒータ駆動部47の正端子90とヒータ駆動部47の負即ち接地端子92との間で、抵抗素子100〜109の1つを含む電流路に沿って、一方向に流れることができる。一方向電流素子215〜223は、好ましくは、正端子90から負端子92のみに電流を流させるように構成することが好ましい。つまり、たとえば、電流は、地点224から地点225に、抵抗型ヒータ102を通過して地点226に、そして地点227まで流れることができる。しかしながら、一方向電流素子は、抵抗型ヒータ102以外の抵抗型ヒータを含む電流通路を電流が通過することを妨げる。例えば、一方向電流素子219は、地点228及び229間の電流の流れを妨げる。一方向電流素子215〜223は、先に一方向電流素子70、71について論じたように、ダイオードとするとよい。
【0048】
図8A、図8B、図9A、図9Bは、図5に示すR2のような温度を検知するために用いる抵抗素子との同様のアレイを示す。図8Aは、電流を検知抵抗器110〜118に供給するリードのアレイを示す。図8Bは、同じ抵抗器間の電圧を測定するための別の組のリードを示す。この構造では、抵抗型センサを刺激するために用いられるリードは、加熱駆動部47から電流を搬送しない。何故なら、これらは駆動部47から電気的に隔離されているからである。同様に、抵抗素子100〜118(図8B)の電圧を検知するためのリードは、本質的に電流を搬送しない。何故なら、これらは、駆動部47及び49(a)(図7A、図7B及び図8Aに示す)から電流を供給するリードから、隔離されているからである。この構造によって、最も精度の高い温度の測定が行われる。
【0049】
図9A、図9Bは、代替構造を示す。図8A、図8Bに示した構造と同様に、温度検知抵抗器110〜118間の電圧を検知するリードは、電流源の双方(ヒータ駆動部47及びRTD駆動部49(a))から隔離されている。しかしながら、電流源47、49(a)双方は、電流の返流に同じリード、即ち、アレイにおいて列として図示されているリードを共有する。これによって、リード数の圧縮を大きくすることができるが、共有する返流リードの抵抗率が、温度測定の精度を低下させる可能性がある。
【0050】
図8A、図8B、図9A、及び図9Bのアレイは、一方向電流素子215’〜223’を含み、これらによって、電流は、検知抵抗器110〜118を介して、一方向のみに流れることが可能となる。このように、一方向電流素子215’〜223’は、RTD駆動又はRTD検知の正端子と、RTD駆動又はRTD検知の負端子即ち接地端子との間で、検知抵抗器110〜118の1つを含む電流路に沿って、一方向にのみ電流を流させることが好ましい。好ましくは、一方向電流素子215’〜223’は、電流を、RTD駆動又はRTD検知の正端子から負端子即ち接地端子には流させるが、その負端子即ち接地端子から正端子には流させない。一方向電流素子215’〜223’は、一方向電流素子70、71と同様、ダイオードとすればよい。
【0051】
以上、具体的な態様、特徴及び実施形態を参照しながら本発明について例示として説明したが、本発明の有用性及び範囲は、そのように限定されるのではなく、本発明は、その他の異なる変形、変更、及びその他の実施形態も容易に包含できることは理解されよう。例えば、リード数を削減する同じ技法を、抵抗器以外の別の種類の構成部品にも適用することができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲の主旨及び範囲内にそのような変形、変更及び代替実施形態を全て含むものとして、広義に解釈することとする。
多くの引例をここでは引用したが、その開示内容全体は、ここで引用したことによって実際上本願に含まれることとする。更に、先にどのように特徴付けたかには関係なく、これらの引用例は、本発明の主題からみれば先行するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小流体処理デバイスであって、
各々が少なくとも2つの端子を有する複数N個の独立制御可能な構成部品を含んでいる基板であって、微少流体を処理するよう構成された基板と、
前記基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点と、
前記接点を前記端子に接続する複数のリードと
を備え、前記構成部品の各々の前記端子は、前記接点の一意の組み合わせに接続されており、前記N個の構成部品を独立して制御するために必要な接点数が、前記端子毎に別個のリードを必要とすることなく前記構成部品の総数の50%未満であり、前記コントローラは、これによって、前記構成部品を各々、他の構成部品とは独立して制御することが可能であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記接点の数は、前記構成部品の数に対して、2√Nの関係にあることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記N個の構成部品の少なくとも部分集合が抵抗型加熱素子であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項4】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記N個の構成部品の少なくとも部分集合が抵抗型検知素子であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項5】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、複数の副構成部品を含み、該副構成部品は、前記少なくとも1つの独立制御可能構成部品と関連付けられた前記接点の一意の組み合わせを用いて、前記外部コントローラによって一括して活性化されることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項6】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、該デバイスは、前記構成部品を通って一方向に電流を流すように構成された複数の一方向電流素子を含むことを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項7】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、熱作動バルブを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、前記熱作動バルブと熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、複数の熱作動バルブを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の部分集合の各構成部品は、それぞれの熱作動バルブと熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項9】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、流体室を備えた熱作動ポンプを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、前記流体室と熱的に連通した加熱素子であり、前記加熱素子の作動により前記流体を加熱し、前記熱作動ポンプを作動させるようにしたことを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項10】
請求項9記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、各々流体室を備えた複数の熱作動ポンプを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の部分集合の各構成部品は、それぞれの熱作動ポンプの流体室と熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項11】
微小流体処理デバイスの製造方法であって、
各々少なくとも2つの端子を有する複数の構成部品を有し、微少流体を処理する基板を設けるステップと、
前記基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点を設けるステップと、
前記接点を前記端子に接続する複数のリードを設けるステップと
からなり、前記構成部品の各々の前記端子は、前記接点の一意の組み合わせに接続されており、前記N個の構成部品を独立して制御するために必要な接点の数が、前記端子毎に別個のリードを必要とすることなく前記構成部品の総数の50%未満であり、前記コントローラは、これによって、前記構成部品それぞれを、他の構成部品とは独立して制御することができるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、各リードが、対応する接点を複数の前記端子に接続することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、接点の数は、前記構成部品の数に対して、式2√Nの関係にあることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、前記構成部品が抵抗型加熱素子であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法において、前記独立制御可能構成部品の少なくとも1つが、複数の副構成部品からなり、該副構成部品の活性化は、前記少なくとも1つの独立制御可能構成部品と関連付けられた前記接点の一意の組み合わせを用いて、前記外部コントローラによって一括して行われることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法において、前記構成部品が抵抗型検知素子であることを特徴とする方法。
【請求項1】
微小流体処理デバイスであって、
各々が少なくとも2つの端子を有する複数N個の独立制御可能な構成部品を含んでいる基板であって、微少流体を処理するよう構成された基板と、
前記基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点と、
前記接点を前記端子に接続する複数のリードと
を備え、前記構成部品の各々の前記端子は、前記接点の一意の組み合わせに接続されており、前記N個の構成部品を独立して制御するために必要な接点数が、前記端子毎に別個のリードを必要とすることなく前記構成部品の総数の50%未満であり、前記コントローラは、これによって、前記構成部品を各々、他の構成部品とは独立して制御することが可能であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記接点の数は、前記構成部品の数に対して、2√Nの関係にあることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記N個の構成部品の少なくとも部分集合が抵抗型加熱素子であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項4】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記N個の構成部品の少なくとも部分集合が抵抗型検知素子であることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項5】
請求項1記載の微小流体処理デバイスにおいて、前記独立制御可能な構成部品の少なくとも1つは、複数の副構成部品を含み、該副構成部品は、前記少なくとも1つの独立制御可能構成部品と関連付けられた前記接点の一意の組み合わせを用いて、前記外部コントローラによって一括して活性化されることを特徴とする微小流体処理デバイス。
【請求項6】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、該デバイスは、前記構成部品を通って一方向に電流を流すように構成された複数の一方向電流素子を含むことを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項7】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、熱作動バルブを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、前記熱作動バルブと熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、複数の熱作動バルブを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の部分集合の各構成部品は、それぞれの熱作動バルブと熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項9】
請求項1記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、流体室を備えた熱作動ポンプを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の少なくとも1つは、前記流体室と熱的に連通した加熱素子であり、前記加熱素子の作動により前記流体を加熱し、前記熱作動ポンプを作動させるようにしたことを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項10】
請求項9記載の微小流体デバイスにおいて、前記基板は、各々流体室を備えた複数の熱作動ポンプを含み、前記N個の独立制御可能構成部品の部分集合の各構成部品は、それぞれの熱作動ポンプの流体室と熱的に連通した加熱素子であることを特徴とする微小流体デバイス。
【請求項11】
微小流体処理デバイスの製造方法であって、
各々少なくとも2つの端子を有する複数の構成部品を有し、微少流体を処理する基板を設けるステップと、
前記基板を外部コントローラに接続する複数の入出力接点を設けるステップと、
前記接点を前記端子に接続する複数のリードを設けるステップと
からなり、前記構成部品の各々の前記端子は、前記接点の一意の組み合わせに接続されており、前記N個の構成部品を独立して制御するために必要な接点の数が、前記端子毎に別個のリードを必要とすることなく前記構成部品の総数の50%未満であり、前記コントローラは、これによって、前記構成部品それぞれを、他の構成部品とは独立して制御することができるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、各リードが、対応する接点を複数の前記端子に接続することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、接点の数は、前記構成部品の数に対して、式2√Nの関係にあることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、前記構成部品が抵抗型加熱素子であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法において、前記独立制御可能構成部品の少なくとも1つが、複数の副構成部品からなり、該副構成部品の活性化は、前記少なくとも1つの独立制御可能構成部品と関連付けられた前記接点の一意の組み合わせを用いて、前記外部コントローラによって一括して行われることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法において、前記構成部品が抵抗型検知素子であることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2010−167414(P2010−167414A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18785(P2010−18785)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2003−526562(P2003−526562)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【出願人】(504031078)ハンディラブ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2003−526562(P2003−526562)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【出願人】(504031078)ハンディラブ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】
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