入力装置及び電子装置
【課題】入力ミスが抑制された入力装置及びそれを備えた電子装置を提供することを課題とする。
【解決手段】入力装置は、押下げ可能なキーと、前記キーへの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている。
【解決手段】入力装置は、押下げ可能なキーと、前記キーへの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のキーが配列された入力装置が知られている。このような入力装置は、電子装置に接続されて、または電子装置に組み込まれて使用される。特許文献1には、このような入力装置に関連した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−10716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、複数のキーの中から所望のキーを目視により見つけ出して入力する。または、ユーザは、キー入力に応じて表示される画像を目視して確認することにより、現在入力しているキーが所望のキーであるか否かを確認する。このように、ユーザが所望のキーを入力するためには、目視により確認することが前提である。このような入力装置においては、目視しにくい環境下での使用や、目の不自由なユーザにとっては入力ミスが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、入力ミスが抑制された入力装置及びそれを備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の入力装置は、押下げ可能なキーと、前記キーへの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている。
【0007】
本明細書に開示の電子装置は、上記入力装置と、前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
入力ミスが抑制された入力装置及びそれを備えた電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1A、1Bは、本実施例の携帯電話の外観図である。
【図2】図2は、本実施例の携帯電話の外観図である。
【図3】図3A、3Bは、本実施例の携帯電話の内部構造の説明図である。
【図4】図4Aは、キー周辺の部分拡大図であり、図4Bは、キー周辺の変形例の部分拡大図である。
【図5】図5A〜5Cは、キーの説明図である。
【図6】図6は、キーの分解斜視図である。
【図7】図7A、7Bは、キーの押下げの説明図である。
【図8】図8A、8Bは、キーのスライドの説明図である。
【図9】図9A、9Bは、案内板の説明図であり、図9Cは、変形例の案内板の説明図である。
【図10】図10A〜10Dは、付勢部材の説明図である。
【図11】図11A〜11Cは、操作パネル、遮蔽板、案内板の説明図である。
【図12】図12は、スイッチ板、スペーサ板、シートの説明図である。
【図13】図13A〜13Cは、シートの説明図である。
【図14】図14Aは、スペーサ板の説明図であり、図14Bは、スイッチ板の説明図である。
【図15】図15は付勢部材を支持する構造の変形例の説明図である。
【図16】図16は、キーを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
【図17】図17A、17Bは、キーを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
【図18】図18A、18Bは、それぞれ、キーを初期位置に復帰させる構造の第2、第3変形例の説明図である。
【図19】図19A、19Bは、本実施例の携帯電話の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例においては、携帯電話を電子装置の一例として説明する。この携帯電話には、入力装置が採用されている。図1A、1B、は、本実施例の携帯電話の外観図である。本実施例の携帯電話は、互いに相対移動可能に連結された本体部1、表示部2を有している。本体部1、表示部2は、互いに全体が重なった状態と、部分的に重なった状態との間を移行できるようにスライド可能に連結されている。本体部1には、操作パネル3、マイク用の孔5などが設けられている。操作パネル3には、複数のシートキー3k、キーP等が設けられている。表示部2には、シートキー3k又はキーPからの操作に応じて所定の画像を表示する液晶ディスプレイ4、レシーバ用の孔6が設けられている。
【0011】
図1Bに示すように本体部1の側面にはスライドボタンBが設けられている。スライドボタンBは、キーPにより入力される文字の種類を切り替えるスイッチである。スライドボタンBを操作することにより、文字入力モードを、仮名文字から英文字へと切り替えることができる。
【0012】
尚、携帯電話は、このような構造に限定されず、例えば、本体部1、表示部2がヒンジにより回転することにより開閉されるものであってもよい。また、単一の筐体にキーPと液晶ディスプレイ4とが一体に形成された携帯電話であってもよい。
【0013】
図2に示すように、操作パネル3には、複数の標識3Pが描かれている。標識3Pは、詳しくは後述するがキーPにより操作可能な複数のスイッチのそれぞれの機能を表示している。尚、操作パネル3には標識3Pが描かれていなくてもよい。
【0014】
図3A、3Bは、本実施例の携帯電話の内部構造の説明図である。
図3A、3Bは、一部分のみハッチングをして簡略化して示している。図3Aに示すように、本体部1の筐体8の底面にはスイッチ板40が配置されている。スイッチ板40はフレキシブルプリント基板である。スイッチ板40には、複数のスイッチ41が設けられている。スイッチ41は、ドーム状のドーム部、ドーム部内部に設けられた2つの接点を有している。ドーム部が押下げされると、ドーム部が潰れて2つの接点に接触する。ドーム部は導通性を有しているため、ドーム部が2つの接点に接触することにより、2つの接点は導通する。
【0015】
スイッチ板40上にはスペーサ板SBが配置されている。スペーサ板SBは、スイッチ41を回避した逃げ孔が設けられている。スペーサ板SBは、例えばポリイミド製のシート状であるが、このような材質、形状に限定されない。
【0016】
スペーサ板SB上にはシート50が配置されている。シート50は、例えばポリイミド製のシート状であるが、このような材質、形状に限定されない。シート50は可撓性を有している。シート50には複数の突部52が設けられている。突部52は、キーP側に突出している。複数の突部52は、隣接するスイッチ41の間に設けられている。突部52については詳しくは後述する。
【0017】
シート50と操作パネル3との間には、遮蔽板PB1、PB2、案内板60、付勢部材S3等が設けられている。案内板60は、キーPと係合すると共にスライド可能に保持している案内溝62を有している。キーPには、後述する付勢部材S3、S4が当接している。スイッチ板40には付勢部材S3を支持するための支持部49a、49cが設けられている。
【0018】
遮蔽板PB1は、案内板60の案内溝62を遮蔽するためのものでありキーPに固定されている。遮蔽板PB1には、キーPがスライド可能な方向が表記されている。遮蔽板PB2は、案内板60の案内溝62を遮蔽するためのものであり、操作パネル3と遮蔽板PB1との間に配置されている。遮蔽板PB2は、操作パネル3と遮蔽板PB1との間でスライド可能に保持されている。遮蔽板PB1はキーPと共に移動するため、遮蔽板PB1のみでは案内溝62を遮蔽できない部分を、遮蔽版PB2により遮蔽している。尚、遮蔽板PB1の大きさがキーPの移動によらずに案内溝62を常に遮蔽できる程度の大きさである場合には、遮蔽板PB2は設けなくてもよい。
【0019】
尚、付勢部材S3は、付勢部材S3の中間部分がキーPの溝16で保持され、付勢部材S3の両端がそれぞれ支持部49a、49bにより保持されている。尚、支持部49a、49bは、付勢部材S3がキーPの押下げ操作が制約されないように、フランジ付きのピン状である。案内板60側への付勢部材S3の移動は、支持部49a、49bのフランジにより規制される。シート50側への付勢部材S3の移動は、キーPの溝16により規制されている。また、シート50と案内板60との距離を保つために、スペーサSP1がシート50と案内板60との間に設けられている。スペーサSP1は、付勢部材S3と干渉しない位置に設けられている。また、案内板60と操作パネル3との距離と保つためのスペーサSP3が案内板60と操作パネル3との間に設けられている。
【0020】
図4Aは、キーP周辺の部分拡大図である。
図4Aにおいては、遮蔽板PB1、案内板60を一部切り欠いて示している。キーPは、詳しくは後述するが保持部10a、10bを含む。保持部10bの外側面には、溝14、16が形成されている。溝14には、遮蔽板PB1が嵌合している。溝16には、付勢部材S3、S4が当接している。
【0021】
付勢部材S3、S4は、伸縮可能なコイルバネである。付勢部材S3の両端部のそれぞれは、スイッチ板40に設けられた支持部49a、49bに締結されている。また、付勢部材S3の途中部分は支持部49cに引っ掛けられている。同様に、付勢部材S4の両端部はそれぞれ、スイッチ板40上に設けられた支持部49d、49eに締結されている。付勢部材S3、S4は、それぞれキーPを挟んでいる。キーPが初期位置からずれた位置にスライドされた際には、付勢部材S3、S4は、キーPが初期位置に復帰するようにキーPを付勢する。付勢部材S3、S4については詳しくは後述する。尚、付勢部材S3、S4は、伸縮可能なゴム線であってもよい。
【0022】
図4Bは、キー周辺の変形例の部分拡大図である。
付勢部材S3´、S4´も同様に、キーPが初期位置に復帰するようにキーPを付勢する。付勢部材S3´、S4´は、伸縮不能な線状バネまたは、細い線状のコイルバネでもよい。図4Bに示すように、支持部9a、9bは、それぞれ筐体8に形成された溝9k、9jに移動可能に係合している。同様に、支持部9d、9eは、それぞれ、筐体8に形成された溝9m、9nに移動可能に係合している。付勢部材S3´の両端部のそれぞれは、支持部9a、9bに締結されている。付勢部材S4´の両端部のそれぞれは、支持部9d、9eに締結されている。このように、長手方向に伸縮不能な付勢部材S3´、S4´を使用する場合には、キーPのスライドを許容するように支持部9a、9b、9d、9eが移動可能に設けられている。尚、支持部49cはスイッチ板40に設けられており移動しない。
【0023】
図5A〜5C、6は、キーPの説明図である。
図5Aは、キーPの外観を示し、図5B、5Cは、キーPの一部分を切り欠いて示している。図5B、5Cに示すように、キーPは、保持部10a、10b、操作部20、軸部30を含む。保持部10a、10b、操作部20、軸部30は、例えば合成樹脂製、又は金属製である。保持部10aは、環状である。保持部10bは筒状である。操作部20は、筒状である。軸部30は、軸状である。保持部10bの側面に形成された溝14に遮蔽板PB1が嵌合している。
【0024】
図5B、5Cに示すように、操作部20は、保持部10a、10b内で鉛直方向に押下げ可能に保持されている。保持部10bと、操作部20との間には、付勢部材S1が設けられている。付勢部材S1は、操作部20の周囲に配置されている。軸部30は、昇降自在に操作部20内に保持されている。操作部20と軸部30との間には付勢部材S2が設けられている。付勢部材S2は軸部30の周囲に配置されている。付勢部材S2の付勢力は、付勢部材S1の付勢力よりも小さい。付勢部材S1、S2はコイルバネである。
【0025】
操作部20は、最も外形の大きいフランジ部21を有している。図5B、5Cに示すように、フランジ部21が保持部10bの孔内に係合し、保持部10a、10bの最も小さい内径を画定する部分にフランジ部21が当接することにより、操作部20は保持部10a、10b内に保持されている。
【0026】
図5Cに示すように、操作部20の内部には、操作部20の孔の内面から内側に突出した内フランジ部22が設けられている。軸部30の上端側には、内フランジ部22の内径よりも大きい外形を有したリング状の留め具34が固定されている。また、軸部30の下端側には、操作部20の孔よりも径が大きい当接部37が設けられている。留め具34は、内フランジ部22よりも上部側に位置している。内フランジ部22と留め具34とが当接し、当接部37が操作部20の底面と当接することにより、軸部30は操作部20で保持されている。
【0027】
図6は、キーPの分解斜視図である。
キーPの組み立て手順を説明する。付勢部材S2内に軸部30を挿入した状態で、軸部30を操作部20内に挿入し、軸部30の上端側に形成された溝部33に留め具34を嵌合させる。これにより、図5Bに示すように、軸部30が操作部20内に保持される。次に、付勢部材S1内に操作部20を挿入して保持部10b内に挿入し、次に保持部10bの上端部に保持部10aを固定する。次に、保持部10aの孔を塞ぐように蓋板25を保持部10aに固定する。これにより、キーPが組み立てられる。
【0028】
図7A、7Bは、キーPの押下げの説明図である。
図7Aは、キーPが操作されていない状態を示している。ユーザは、キーPを押すと、付勢部材S1の付勢力に抗して操作部20が保持部10a、10bに対して鉛直下方に移動する。保持部10a、10bは、図7A、7Bでは省略している案内板60に保持されているため鉛直方向には移動しない。操作部20は鉛直下方に移動に伴って、軸部30が初期位置に保持されたまま付勢部材S2が圧縮される。即ち、操作部20が押下げされた初期の状態では軸部30は位置が変化せずに、操作部20は、保持部10a、10b、軸部30に対して鉛直下方に移動する。
【0029】
更に操作部20が押下げられると、操作部20の底面が当接部37の縁部に当接して、操作部20と共に軸部30が押下げられる。これにより、図7Bに示すように、軸部30の当接部37がシート50を押しスイッチ41を押す。このようにして、キーPは押下げ可能であり、キーPの押下げによりスイッチ41が操作される。キーPを押下げることにより、文字などが入力される。
【0030】
尚、当接部37によりスイッチ41のドーム部が押し潰すことにより、ユーザはクリック感を得ることができる。また、ユーザが操作部20から手を離すと、付勢部材S1、S2の弾性復元力により、操作部20、軸部30はスイッチ41から退避して初期位置に復帰する。
【0031】
図8A、8Bは、キーPのスライドの説明図である。
案内板60の案内溝62は、キーPがスイッチ41を操作可能な位置と、キーPがスイッチ41に隣接するスイッチ41を操作可能な位置との間をスライド可能に支持している。案内溝62の形状については後述する。図8Aに示すようにキーPをスライドさせると、軸部30の当接部37がシート50の突部52に摺接する。これにより、軸部30は付勢部材S2の付勢力に抗して上昇する。換言すれば、付勢部材S2は軸部30を突部52に向けて付勢する。これにより、当接部37と突部52との摺動抵抗が大きくなり、キーPはスライドさせにくくなる。
【0032】
更にキーPをスライドさせると、図8Bに示すように、軸部30は突部52から退避して、軸部30は付勢部材S2の付勢力に従って、初期位置に戻る。図8Bに示した状態では当接部37はシート50に当接していない。このようにして、隣接するスイッチ41を操作可能となる位置にキーPをスライドさせることができる。
【0033】
このように、突部52が隣接するスイッチ41の間に設けられていることにより、隣接するスイッチ41をそれぞれ操作可能となる位置間において、キーPのスライドがし難くなる。これにより、ユーザは、キーPのスライドに対する抵抗力に基づいて、キーPのスライド後の位置を把握することができる。これにより、ユーザは、所望のスイッチ41を操作可能となる位置へとキーPをスライドさせることができる。
【0034】
以上のように、単一のキーPをスライドさせることにより、複数のスイッチ41を選択的に操作可能な位置に移動させることができる。ここで、複数のスイッチ41のそれぞれ対応した複数のキーを設けた場合を想定する。複数のキーが配列された領域を小さくすることにより、装置全体を小型化することが考えられる。装置の小型化のたに、各キーを小型化することが考えられる。しかしながら、各キーを小型化すると、キー入力が困難となり、入力ミスが増えるおそれがある。従って、各キーの小型化には限界があり、複数のキーが配列された領域全体の小型化にも限界がある。
【0035】
しかしながら、本実施例では、単一のキーPにより複数のスイッチ41を選択的に操作することが可能となる。これにより、複数のスイッチ41の間隔を狭くして配置しても、単一のキーPにより操作するので、キーの入力性は悪化しない。これにより、キーPがスライドする領域を小さくすることができ、装置全体の小型化も達成することができる。
【0036】
また、操作性を考慮してキーPの大きさを大型化することも可能である。これにより、キーPの押下げの操作性が向上する。このように、キーPの大きさの設計の自由度が向上する。
【0037】
図9A、9Bは、案内板60の説明図である。
図9Aには、案内板60に対して複数のスイッチ41の位置を示している。図9Aに示すように、案内溝62は、複数の直線状の溝部が互いに連結して形成されている。このように、案内溝62は、複数のスイッチ41に沿うように形成されている。キーPを案内溝62に沿ってスライドさせることにより、各スイッチ41を操作することができる。案内溝62は、放射状である。
【0038】
図9Cには、変形例の案内板60´の説明図である。
案内板60´の案内溝62´は、全て略直線状の溝部が互いに同一箇所で交差するように形成されている。
【0039】
ここで、スイッチ41について説明する。スイッチ41は、携帯電話用のテンキーに対応するように機能が振り分けられている。スイッチ41は全部で15個設けられているが、スイッチ41の個数はこれに限定されない。
【0040】
図10A〜10Dは、付勢部材S3、S4の説明図である。
図10A〜10Dは、キーPの位置による付勢部材S3、S4の状態の変化を示している。尚、図10Aにおいては、本体部1に対するキーP、及び付勢部材S3、S4の状態を重ねて示している。上述したように付勢部材S3、S4は、キーPを初期位置に復帰するように付勢する。キーPの初期位置は、複数のスイッチ41が設けられた領域の重心の位置であり、図9A又は9Cに示した案内溝62、62´の複数の溝部が交差した位置である。キーPの所期位置にも、対応するスイッチ41が設けられている。
【0041】
図10Aは、キーPが初期位置にある状態を示している。図10Bは、初期位置から上方にキーPがスライドした状態を示している。図10Bに示すように、キーPの上方側のスライドに伴い、付勢部材S3の上側の部分が伸びている。これにより、付勢部材S3の伸びた部分の弾性復元力により、キーPは下方に付勢される。この状態で、ユーザがキーPから手を離すと付勢部材S3の弾性復元力により、キーPは初期位置に復帰する。尚、キーPが初期位置に復帰する際には、上述したように軸部30が突部52に摺接するが、付勢部材S3の弾性復元力は、軸部30が突部52を乗り越えて移動可能な程度の大きさに設定されている。
【0042】
図10Cは、初期位置からキーPが左側にスライドした状態を示している。付勢部材S4の左側の部分が伸びている。これにより、付勢部材S4の弾性復元力により、キーPは右側に付勢される。この状態でユーザがキーPを離した場合、キーPは付勢部材S4の弾性復元力により、初期位置に復帰する。
【0043】
図10Dは、初期位置からキーPが斜めにスライドした状態を示している。付勢部材S3の上側の部分と付勢部材S4の左側の部分とが伸びている。この状態でユーザがキーPから手を離すと、付勢部材S3、S4の弾性復元力により、キーPは所期位置に復帰する。
【0044】
このように、付勢部材S3は、キーPを上下方向に付勢し、付勢部材S4は、キーPを左右方向に付勢する。換言すれば、付勢部材S3は、キーPを第1方向に付勢し、付勢部材S4は、キーPを第1方向とは交差する第2方向に付勢する。これにより、どのような位置からもキーPを初期位置に戻すことができる。
【0045】
これにより、入力を開始する際には、キーPは常に同一の初期位置に位置付けられている。従って、ユーザは、入力開始時に常に同一位置に位置付けられているキーPを、所望の位置にスライドさせることができる。これにより、ユーザは、目視によりキーPの位置やキーPの入力後に液晶ディスプレイ4に表示される画像を確認しなくても、所望の位置へキーPをスライドさせて押下げることができる。これにより、入力ミスが抑制される。
【0046】
また、キーPの初期位置は、複数のスイッチ41が設けられた領域の重心の位置であり、案内溝62の各溝部が交差する位置であり、案内溝62の各溝の端部以外の位置である。これにより、初期位置から所望の位置へのキーPの必要とされるスライド量を抑制きる。
【0047】
また、図1Bに示したように、本体部1の側面に文字入力のモードを切り替えるためのスライドボタンBが設けられている。このスライドボタンBをスライド操作することにより、直接的に入力可能な文字を仮名文字、英文字、に切り替えることができる。これにより、ユーザは、液晶ディスプレイ4を確認しなくても、文字の入力モードを切り替えることができる。
【0048】
また、一般的な携帯電話のテンキーの中心に配置されたキーには、ユーザに触覚感覚を提示する突起が設けられている。これにより、ユーザは、目視によりキーの配列を確認しなくても、突起の位置を基点として他のキーの位置を把握することができると考えられる。しかしながら、このような突起は小さいキーに設けられているため、突起の大きさも小さい。このため、ユーザが突起に触れても気がつきにくく、キーの配列を把握しにくい。本実施例では、入力開始前はキーPが常に初期位置に位置づけられているため、ユーザは目視によりキーPの位置を確認しなくても、初期位置を基点としてキーPを所望の方向にスライドさせて押下げすることができる。これにより入力ミスを抑制できる。
【0049】
また、レバーを採用した入力装置と比較して、本実施例の携帯電話は薄型化されている。レバーは、高さ方向に延びているのに対し、キーPは、低く形成できるからである。また、レバーを採用した入力装置においては、レバーの傾き角度の大きさに応じて異なった入力指令を出力することが考えられるが、レバーを所定の角度で傾けた状態に維持することは困難であり操作性が容易ではない。また、レバーは、開閉式の携帯電話には採用しにくい。また、レバーを有した入力装置を携帯しているときには、レバーが破損するおそれもある。
【0050】
操作パネル3、遮蔽板PB1、案内板60について説明する。
図11A〜11Cは、操作パネル3、遮蔽板PB1、案内板60の説明図である。図11Aは操作パネル3のみを示している。操作パネル3の中央部には、キーPが露出する孔3hが設けられている。図11Bは、キーP、遮蔽板PB1が組み付けられた案内板60の正面側を示しており、図11Cは、案内板60の裏面側を示している。遮蔽板PB1には、前述したようにキーPのスライド可能な方向が表記されている。遮蔽板PB1は、キーPが初期位置にある際には案内溝62を遮蔽するだけの大きさを有している。案内溝62を遮蔽することにより、案内溝62から本体部1内部にホコリや水などが侵入することを防止している。
【0051】
スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50について説明する。
図12は、スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50の説明図である。スイッチ板40には、前述したように支持部49a〜49fが設けられている。スイッチ板40上にスペーサ板SBが配置されスペーサ板SB上にシート50が配置されている。支持部49fは、スペーサ板SB、シート50から露出している。
【0052】
図13A〜13Cはシート50の説明図である。
図13Aに示すように、シート50には複数のリング状の突部52が設けられている。図13Bは、シート50の断面図である。図13Cは、複数の突部52の正面図である。同一の突部52で囲まれた空間内にスイッチ板40のスイッチ41が配置される。図13Cに示すように、キーPが斜めに移動する場合の経路上での突部52の間には、突部52と高さが同一に埋め立てられた埋め立て部53が設けられている。これにより、キーPが斜めに移動する場合にも、キーPにスライドの抵抗力を与えることができる。尚、シート50には、支持部49fを逃がすための孔59が形成されているが、シート50には孔59以外の孔は設けられていない。シート50がスイッチ板40、スペーサ板SB上に重ねて配置されることにより、スイッチ板40側にゴミや水が浸入することを防止している。
【0053】
図14Aは、スペーサ板SBの説明図である。
スペーサ板SBには、複数のスイッチ41を逃がすための逃げ孔hが設けられている。逃げ孔hは円形状である。また、スペーサ板SBには、操作パネル3に形成されたシートキー3kに対応したスイッチを逃がすための逃げ孔h2も設けられている。
【0054】
図14Bは、スイッチ板40の説明図である。
スイッチ板40には、中央部に複数のスイッチ41が設けられている。また、スイッチ板40の上部には、操作パネル3に形成されたシートキー3kを押下げすることにより操作されるスイッチ42が設けられている。
【0055】
スイッチ41、42は、スペーサ板SBに形成された逃げ孔h、h2内に配置される。これにより、スイッチ41、42はそれぞれキーP、シートキー3kにより操作可能となる。
【0056】
図15は付勢部材S3、S4を支持する構造の変形例の説明図である。
図15では、スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50、操作パネル3等を取外した状態の1を示している。1´の8´の底面に支持部9a´〜9f´が設けられている。これらに付勢部材S3、S4を締結してもよい。
【0057】
図16、17A、17Bは、キーPを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
図16においては、遮蔽板PB1、案内板60の一部を切り欠いて示している。案内板60の溝16には固定板HBが嵌合している。固定板HBは、案内板60と共に移動する。固定板HBは略矩形状である。固定板HBの四隅にはそれぞれ付勢部材S5が固定されている。
【0058】
図17A、17Bに示すように、筐体8´´には収納空間8mが設けられている。固定板HBは、収納空間8m内を移動可能である。収納空間8mの4隅と、固定板HBの4隅との間には付勢部材S5が設けられている。付勢部材S5は、伸縮可能なコイルバネである。4つの付勢部材S5の弾性復元力のバランスにより、キーPは初期位置に位置付けられる。図17Bに示すように、キーPを斜めにスライドさせた場合には、4つの付勢部材S5の弾性復元力のバランスが崩れることにより、キーPを初期位置へ付勢する。尚、図17Aに示した状態で付勢部材S5は、自然長よりも圧縮された状態であってもよいし、伸びた状態であってもよい。
【0059】
図18A、18Bは、それぞれ、キーPを初期位置に復帰させる構造の第2、第3変形例の説明図である。
図18Aに示すように、4つの付勢部材S6は、略矩形状の固定板HBの各辺の中央部に締結されている。このような構造によってもキーPを初期位置に復帰させることができる。
【0060】
図18Bに示すように、4つの付勢部材S7は、それぞれ隣接する2辺を押圧している。付勢部材S7は、トーションバネである。付勢部材S7は、筐体側に設けられた支持部9a´に締結されている。付勢部材S7は、支持部9a´に巻かれた巻回部S73、巻回部S73から連続した腕部S71、S72を有している。腕部S71、S72は、固定板HBの隣接する2辺のそれぞれに当接して固定板HBを付勢している。例えば、キーPが左斜め上に移動すると、左斜め上に配置された付勢部材S7の腕部S71、S72間の角度が増大して、固定板HBを初期位置に付勢する。尚、支持部9a´は、スイッチ板40上に設けてもよい。
【0061】
以上のように、付勢部材S5、S6、S7は、キーPに固定された固定板HBを付勢することにより、キーPを初期位置に復帰させる。
【0062】
図19A、19Bは、本実施例の携帯電話の変形例の説明図である。
図19Aに示すように、遮蔽板PB1を設けておらずに、案内板60´の案内溝62´をそのまま露出したようにしてもよい。尚、例えば透明な遮蔽板PB1を設けることにより、案内板60´の案内溝62´の形状を目視可能とすることにより、キーPのスライド可能な方向をユーザに知らせることができる。また、図19Bに示すように、キーPの周囲に複数のシートキー3kを設けてもよい。
【0063】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0064】
Bの操作により切り替えられた文字入力モードをユーザに音声案内により報知してもよい。また、Bの操作により、キーPをファンクションキーとして使用可能となるようにしてもよい。
【0065】
入力装置の一例として、携帯電話に採用された入力装置を説明した。しかしながら、入力装置は、このように電子装置に組み込まれたものに限られない。例えば、コンピュータやゲーム機に外付け可能な入力装置であってもよい。
【0066】
また、電子装置の一例として携帯電話を説明した。しかしながら、電子装置は、例えば、携帯型ゲーム機、ノートブック型コンピュータ、タブレット型コンピュータなどの携帯型コンピュータであってもよい。また、電子装置は、据置型のゲーム機、デスクトップコンピュータであってもよい。
【0067】
(付記1)押下げ可能なキーと、前記キーの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている入力装置。
(付記2)前記第1及び第2位置間に、前記キーに摺接する突部を備えた、付記1の入力装置。
(付記3)前記キーは、前記案内溝に係合した保持部、前記保持部に対して所定範囲を昇降可能であり前記突部に当接し得る軸部、前記軸部が前記突部に当接して上昇した際に前記軸部を前記突部に向けて付勢する付勢部材、を含む、付記2の入力装置。
(付記4)前記キーは、前記保持部に押下げ操作可能に保持され前記軸部を昇降可能に保持する操作部、を含み、前記操作部が押下げ操作されると、前記軸部は前記操作部と共に下降して前記第1又は第2スイッチを押す、付記3の入力装置。
(付記5)前記キーに固定され前記案内溝を遮蔽する遮蔽板を備えた、付記1乃至4の何れかの入力装置。
(付記6)前記付勢部材は、前記キーを第1方向に付勢する第1付勢部材、前記キーを前記第1方向とは交差する第2方向に付勢する第2付勢部材、を含む、付記1乃至5の入力装置。
(付記7)前記付勢部材は、前記キーに固定された固定板を付勢する、付記1乃至6の何れかの入力装置。
(付記8)付記1乃至7の何れかの入力装置と、前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えた電子装置。
【符号の説明】
【0068】
1 本体部 2 表示部 3 操作パネル 10a、10b 保持部
20 操作部 30 軸部 40 スイッチ板 50 シート
52 突部 P キー S1〜S7 付勢部材 SB スペーサ板
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のキーが配列された入力装置が知られている。このような入力装置は、電子装置に接続されて、または電子装置に組み込まれて使用される。特許文献1には、このような入力装置に関連した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−10716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、複数のキーの中から所望のキーを目視により見つけ出して入力する。または、ユーザは、キー入力に応じて表示される画像を目視して確認することにより、現在入力しているキーが所望のキーであるか否かを確認する。このように、ユーザが所望のキーを入力するためには、目視により確認することが前提である。このような入力装置においては、目視しにくい環境下での使用や、目の不自由なユーザにとっては入力ミスが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、入力ミスが抑制された入力装置及びそれを備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の入力装置は、押下げ可能なキーと、前記キーへの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている。
【0007】
本明細書に開示の電子装置は、上記入力装置と、前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
入力ミスが抑制された入力装置及びそれを備えた電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1A、1Bは、本実施例の携帯電話の外観図である。
【図2】図2は、本実施例の携帯電話の外観図である。
【図3】図3A、3Bは、本実施例の携帯電話の内部構造の説明図である。
【図4】図4Aは、キー周辺の部分拡大図であり、図4Bは、キー周辺の変形例の部分拡大図である。
【図5】図5A〜5Cは、キーの説明図である。
【図6】図6は、キーの分解斜視図である。
【図7】図7A、7Bは、キーの押下げの説明図である。
【図8】図8A、8Bは、キーのスライドの説明図である。
【図9】図9A、9Bは、案内板の説明図であり、図9Cは、変形例の案内板の説明図である。
【図10】図10A〜10Dは、付勢部材の説明図である。
【図11】図11A〜11Cは、操作パネル、遮蔽板、案内板の説明図である。
【図12】図12は、スイッチ板、スペーサ板、シートの説明図である。
【図13】図13A〜13Cは、シートの説明図である。
【図14】図14Aは、スペーサ板の説明図であり、図14Bは、スイッチ板の説明図である。
【図15】図15は付勢部材を支持する構造の変形例の説明図である。
【図16】図16は、キーを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
【図17】図17A、17Bは、キーを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
【図18】図18A、18Bは、それぞれ、キーを初期位置に復帰させる構造の第2、第3変形例の説明図である。
【図19】図19A、19Bは、本実施例の携帯電話の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例においては、携帯電話を電子装置の一例として説明する。この携帯電話には、入力装置が採用されている。図1A、1B、は、本実施例の携帯電話の外観図である。本実施例の携帯電話は、互いに相対移動可能に連結された本体部1、表示部2を有している。本体部1、表示部2は、互いに全体が重なった状態と、部分的に重なった状態との間を移行できるようにスライド可能に連結されている。本体部1には、操作パネル3、マイク用の孔5などが設けられている。操作パネル3には、複数のシートキー3k、キーP等が設けられている。表示部2には、シートキー3k又はキーPからの操作に応じて所定の画像を表示する液晶ディスプレイ4、レシーバ用の孔6が設けられている。
【0011】
図1Bに示すように本体部1の側面にはスライドボタンBが設けられている。スライドボタンBは、キーPにより入力される文字の種類を切り替えるスイッチである。スライドボタンBを操作することにより、文字入力モードを、仮名文字から英文字へと切り替えることができる。
【0012】
尚、携帯電話は、このような構造に限定されず、例えば、本体部1、表示部2がヒンジにより回転することにより開閉されるものであってもよい。また、単一の筐体にキーPと液晶ディスプレイ4とが一体に形成された携帯電話であってもよい。
【0013】
図2に示すように、操作パネル3には、複数の標識3Pが描かれている。標識3Pは、詳しくは後述するがキーPにより操作可能な複数のスイッチのそれぞれの機能を表示している。尚、操作パネル3には標識3Pが描かれていなくてもよい。
【0014】
図3A、3Bは、本実施例の携帯電話の内部構造の説明図である。
図3A、3Bは、一部分のみハッチングをして簡略化して示している。図3Aに示すように、本体部1の筐体8の底面にはスイッチ板40が配置されている。スイッチ板40はフレキシブルプリント基板である。スイッチ板40には、複数のスイッチ41が設けられている。スイッチ41は、ドーム状のドーム部、ドーム部内部に設けられた2つの接点を有している。ドーム部が押下げされると、ドーム部が潰れて2つの接点に接触する。ドーム部は導通性を有しているため、ドーム部が2つの接点に接触することにより、2つの接点は導通する。
【0015】
スイッチ板40上にはスペーサ板SBが配置されている。スペーサ板SBは、スイッチ41を回避した逃げ孔が設けられている。スペーサ板SBは、例えばポリイミド製のシート状であるが、このような材質、形状に限定されない。
【0016】
スペーサ板SB上にはシート50が配置されている。シート50は、例えばポリイミド製のシート状であるが、このような材質、形状に限定されない。シート50は可撓性を有している。シート50には複数の突部52が設けられている。突部52は、キーP側に突出している。複数の突部52は、隣接するスイッチ41の間に設けられている。突部52については詳しくは後述する。
【0017】
シート50と操作パネル3との間には、遮蔽板PB1、PB2、案内板60、付勢部材S3等が設けられている。案内板60は、キーPと係合すると共にスライド可能に保持している案内溝62を有している。キーPには、後述する付勢部材S3、S4が当接している。スイッチ板40には付勢部材S3を支持するための支持部49a、49cが設けられている。
【0018】
遮蔽板PB1は、案内板60の案内溝62を遮蔽するためのものでありキーPに固定されている。遮蔽板PB1には、キーPがスライド可能な方向が表記されている。遮蔽板PB2は、案内板60の案内溝62を遮蔽するためのものであり、操作パネル3と遮蔽板PB1との間に配置されている。遮蔽板PB2は、操作パネル3と遮蔽板PB1との間でスライド可能に保持されている。遮蔽板PB1はキーPと共に移動するため、遮蔽板PB1のみでは案内溝62を遮蔽できない部分を、遮蔽版PB2により遮蔽している。尚、遮蔽板PB1の大きさがキーPの移動によらずに案内溝62を常に遮蔽できる程度の大きさである場合には、遮蔽板PB2は設けなくてもよい。
【0019】
尚、付勢部材S3は、付勢部材S3の中間部分がキーPの溝16で保持され、付勢部材S3の両端がそれぞれ支持部49a、49bにより保持されている。尚、支持部49a、49bは、付勢部材S3がキーPの押下げ操作が制約されないように、フランジ付きのピン状である。案内板60側への付勢部材S3の移動は、支持部49a、49bのフランジにより規制される。シート50側への付勢部材S3の移動は、キーPの溝16により規制されている。また、シート50と案内板60との距離を保つために、スペーサSP1がシート50と案内板60との間に設けられている。スペーサSP1は、付勢部材S3と干渉しない位置に設けられている。また、案内板60と操作パネル3との距離と保つためのスペーサSP3が案内板60と操作パネル3との間に設けられている。
【0020】
図4Aは、キーP周辺の部分拡大図である。
図4Aにおいては、遮蔽板PB1、案内板60を一部切り欠いて示している。キーPは、詳しくは後述するが保持部10a、10bを含む。保持部10bの外側面には、溝14、16が形成されている。溝14には、遮蔽板PB1が嵌合している。溝16には、付勢部材S3、S4が当接している。
【0021】
付勢部材S3、S4は、伸縮可能なコイルバネである。付勢部材S3の両端部のそれぞれは、スイッチ板40に設けられた支持部49a、49bに締結されている。また、付勢部材S3の途中部分は支持部49cに引っ掛けられている。同様に、付勢部材S4の両端部はそれぞれ、スイッチ板40上に設けられた支持部49d、49eに締結されている。付勢部材S3、S4は、それぞれキーPを挟んでいる。キーPが初期位置からずれた位置にスライドされた際には、付勢部材S3、S4は、キーPが初期位置に復帰するようにキーPを付勢する。付勢部材S3、S4については詳しくは後述する。尚、付勢部材S3、S4は、伸縮可能なゴム線であってもよい。
【0022】
図4Bは、キー周辺の変形例の部分拡大図である。
付勢部材S3´、S4´も同様に、キーPが初期位置に復帰するようにキーPを付勢する。付勢部材S3´、S4´は、伸縮不能な線状バネまたは、細い線状のコイルバネでもよい。図4Bに示すように、支持部9a、9bは、それぞれ筐体8に形成された溝9k、9jに移動可能に係合している。同様に、支持部9d、9eは、それぞれ、筐体8に形成された溝9m、9nに移動可能に係合している。付勢部材S3´の両端部のそれぞれは、支持部9a、9bに締結されている。付勢部材S4´の両端部のそれぞれは、支持部9d、9eに締結されている。このように、長手方向に伸縮不能な付勢部材S3´、S4´を使用する場合には、キーPのスライドを許容するように支持部9a、9b、9d、9eが移動可能に設けられている。尚、支持部49cはスイッチ板40に設けられており移動しない。
【0023】
図5A〜5C、6は、キーPの説明図である。
図5Aは、キーPの外観を示し、図5B、5Cは、キーPの一部分を切り欠いて示している。図5B、5Cに示すように、キーPは、保持部10a、10b、操作部20、軸部30を含む。保持部10a、10b、操作部20、軸部30は、例えば合成樹脂製、又は金属製である。保持部10aは、環状である。保持部10bは筒状である。操作部20は、筒状である。軸部30は、軸状である。保持部10bの側面に形成された溝14に遮蔽板PB1が嵌合している。
【0024】
図5B、5Cに示すように、操作部20は、保持部10a、10b内で鉛直方向に押下げ可能に保持されている。保持部10bと、操作部20との間には、付勢部材S1が設けられている。付勢部材S1は、操作部20の周囲に配置されている。軸部30は、昇降自在に操作部20内に保持されている。操作部20と軸部30との間には付勢部材S2が設けられている。付勢部材S2は軸部30の周囲に配置されている。付勢部材S2の付勢力は、付勢部材S1の付勢力よりも小さい。付勢部材S1、S2はコイルバネである。
【0025】
操作部20は、最も外形の大きいフランジ部21を有している。図5B、5Cに示すように、フランジ部21が保持部10bの孔内に係合し、保持部10a、10bの最も小さい内径を画定する部分にフランジ部21が当接することにより、操作部20は保持部10a、10b内に保持されている。
【0026】
図5Cに示すように、操作部20の内部には、操作部20の孔の内面から内側に突出した内フランジ部22が設けられている。軸部30の上端側には、内フランジ部22の内径よりも大きい外形を有したリング状の留め具34が固定されている。また、軸部30の下端側には、操作部20の孔よりも径が大きい当接部37が設けられている。留め具34は、内フランジ部22よりも上部側に位置している。内フランジ部22と留め具34とが当接し、当接部37が操作部20の底面と当接することにより、軸部30は操作部20で保持されている。
【0027】
図6は、キーPの分解斜視図である。
キーPの組み立て手順を説明する。付勢部材S2内に軸部30を挿入した状態で、軸部30を操作部20内に挿入し、軸部30の上端側に形成された溝部33に留め具34を嵌合させる。これにより、図5Bに示すように、軸部30が操作部20内に保持される。次に、付勢部材S1内に操作部20を挿入して保持部10b内に挿入し、次に保持部10bの上端部に保持部10aを固定する。次に、保持部10aの孔を塞ぐように蓋板25を保持部10aに固定する。これにより、キーPが組み立てられる。
【0028】
図7A、7Bは、キーPの押下げの説明図である。
図7Aは、キーPが操作されていない状態を示している。ユーザは、キーPを押すと、付勢部材S1の付勢力に抗して操作部20が保持部10a、10bに対して鉛直下方に移動する。保持部10a、10bは、図7A、7Bでは省略している案内板60に保持されているため鉛直方向には移動しない。操作部20は鉛直下方に移動に伴って、軸部30が初期位置に保持されたまま付勢部材S2が圧縮される。即ち、操作部20が押下げされた初期の状態では軸部30は位置が変化せずに、操作部20は、保持部10a、10b、軸部30に対して鉛直下方に移動する。
【0029】
更に操作部20が押下げられると、操作部20の底面が当接部37の縁部に当接して、操作部20と共に軸部30が押下げられる。これにより、図7Bに示すように、軸部30の当接部37がシート50を押しスイッチ41を押す。このようにして、キーPは押下げ可能であり、キーPの押下げによりスイッチ41が操作される。キーPを押下げることにより、文字などが入力される。
【0030】
尚、当接部37によりスイッチ41のドーム部が押し潰すことにより、ユーザはクリック感を得ることができる。また、ユーザが操作部20から手を離すと、付勢部材S1、S2の弾性復元力により、操作部20、軸部30はスイッチ41から退避して初期位置に復帰する。
【0031】
図8A、8Bは、キーPのスライドの説明図である。
案内板60の案内溝62は、キーPがスイッチ41を操作可能な位置と、キーPがスイッチ41に隣接するスイッチ41を操作可能な位置との間をスライド可能に支持している。案内溝62の形状については後述する。図8Aに示すようにキーPをスライドさせると、軸部30の当接部37がシート50の突部52に摺接する。これにより、軸部30は付勢部材S2の付勢力に抗して上昇する。換言すれば、付勢部材S2は軸部30を突部52に向けて付勢する。これにより、当接部37と突部52との摺動抵抗が大きくなり、キーPはスライドさせにくくなる。
【0032】
更にキーPをスライドさせると、図8Bに示すように、軸部30は突部52から退避して、軸部30は付勢部材S2の付勢力に従って、初期位置に戻る。図8Bに示した状態では当接部37はシート50に当接していない。このようにして、隣接するスイッチ41を操作可能となる位置にキーPをスライドさせることができる。
【0033】
このように、突部52が隣接するスイッチ41の間に設けられていることにより、隣接するスイッチ41をそれぞれ操作可能となる位置間において、キーPのスライドがし難くなる。これにより、ユーザは、キーPのスライドに対する抵抗力に基づいて、キーPのスライド後の位置を把握することができる。これにより、ユーザは、所望のスイッチ41を操作可能となる位置へとキーPをスライドさせることができる。
【0034】
以上のように、単一のキーPをスライドさせることにより、複数のスイッチ41を選択的に操作可能な位置に移動させることができる。ここで、複数のスイッチ41のそれぞれ対応した複数のキーを設けた場合を想定する。複数のキーが配列された領域を小さくすることにより、装置全体を小型化することが考えられる。装置の小型化のたに、各キーを小型化することが考えられる。しかしながら、各キーを小型化すると、キー入力が困難となり、入力ミスが増えるおそれがある。従って、各キーの小型化には限界があり、複数のキーが配列された領域全体の小型化にも限界がある。
【0035】
しかしながら、本実施例では、単一のキーPにより複数のスイッチ41を選択的に操作することが可能となる。これにより、複数のスイッチ41の間隔を狭くして配置しても、単一のキーPにより操作するので、キーの入力性は悪化しない。これにより、キーPがスライドする領域を小さくすることができ、装置全体の小型化も達成することができる。
【0036】
また、操作性を考慮してキーPの大きさを大型化することも可能である。これにより、キーPの押下げの操作性が向上する。このように、キーPの大きさの設計の自由度が向上する。
【0037】
図9A、9Bは、案内板60の説明図である。
図9Aには、案内板60に対して複数のスイッチ41の位置を示している。図9Aに示すように、案内溝62は、複数の直線状の溝部が互いに連結して形成されている。このように、案内溝62は、複数のスイッチ41に沿うように形成されている。キーPを案内溝62に沿ってスライドさせることにより、各スイッチ41を操作することができる。案内溝62は、放射状である。
【0038】
図9Cには、変形例の案内板60´の説明図である。
案内板60´の案内溝62´は、全て略直線状の溝部が互いに同一箇所で交差するように形成されている。
【0039】
ここで、スイッチ41について説明する。スイッチ41は、携帯電話用のテンキーに対応するように機能が振り分けられている。スイッチ41は全部で15個設けられているが、スイッチ41の個数はこれに限定されない。
【0040】
図10A〜10Dは、付勢部材S3、S4の説明図である。
図10A〜10Dは、キーPの位置による付勢部材S3、S4の状態の変化を示している。尚、図10Aにおいては、本体部1に対するキーP、及び付勢部材S3、S4の状態を重ねて示している。上述したように付勢部材S3、S4は、キーPを初期位置に復帰するように付勢する。キーPの初期位置は、複数のスイッチ41が設けられた領域の重心の位置であり、図9A又は9Cに示した案内溝62、62´の複数の溝部が交差した位置である。キーPの所期位置にも、対応するスイッチ41が設けられている。
【0041】
図10Aは、キーPが初期位置にある状態を示している。図10Bは、初期位置から上方にキーPがスライドした状態を示している。図10Bに示すように、キーPの上方側のスライドに伴い、付勢部材S3の上側の部分が伸びている。これにより、付勢部材S3の伸びた部分の弾性復元力により、キーPは下方に付勢される。この状態で、ユーザがキーPから手を離すと付勢部材S3の弾性復元力により、キーPは初期位置に復帰する。尚、キーPが初期位置に復帰する際には、上述したように軸部30が突部52に摺接するが、付勢部材S3の弾性復元力は、軸部30が突部52を乗り越えて移動可能な程度の大きさに設定されている。
【0042】
図10Cは、初期位置からキーPが左側にスライドした状態を示している。付勢部材S4の左側の部分が伸びている。これにより、付勢部材S4の弾性復元力により、キーPは右側に付勢される。この状態でユーザがキーPを離した場合、キーPは付勢部材S4の弾性復元力により、初期位置に復帰する。
【0043】
図10Dは、初期位置からキーPが斜めにスライドした状態を示している。付勢部材S3の上側の部分と付勢部材S4の左側の部分とが伸びている。この状態でユーザがキーPから手を離すと、付勢部材S3、S4の弾性復元力により、キーPは所期位置に復帰する。
【0044】
このように、付勢部材S3は、キーPを上下方向に付勢し、付勢部材S4は、キーPを左右方向に付勢する。換言すれば、付勢部材S3は、キーPを第1方向に付勢し、付勢部材S4は、キーPを第1方向とは交差する第2方向に付勢する。これにより、どのような位置からもキーPを初期位置に戻すことができる。
【0045】
これにより、入力を開始する際には、キーPは常に同一の初期位置に位置付けられている。従って、ユーザは、入力開始時に常に同一位置に位置付けられているキーPを、所望の位置にスライドさせることができる。これにより、ユーザは、目視によりキーPの位置やキーPの入力後に液晶ディスプレイ4に表示される画像を確認しなくても、所望の位置へキーPをスライドさせて押下げることができる。これにより、入力ミスが抑制される。
【0046】
また、キーPの初期位置は、複数のスイッチ41が設けられた領域の重心の位置であり、案内溝62の各溝部が交差する位置であり、案内溝62の各溝の端部以外の位置である。これにより、初期位置から所望の位置へのキーPの必要とされるスライド量を抑制きる。
【0047】
また、図1Bに示したように、本体部1の側面に文字入力のモードを切り替えるためのスライドボタンBが設けられている。このスライドボタンBをスライド操作することにより、直接的に入力可能な文字を仮名文字、英文字、に切り替えることができる。これにより、ユーザは、液晶ディスプレイ4を確認しなくても、文字の入力モードを切り替えることができる。
【0048】
また、一般的な携帯電話のテンキーの中心に配置されたキーには、ユーザに触覚感覚を提示する突起が設けられている。これにより、ユーザは、目視によりキーの配列を確認しなくても、突起の位置を基点として他のキーの位置を把握することができると考えられる。しかしながら、このような突起は小さいキーに設けられているため、突起の大きさも小さい。このため、ユーザが突起に触れても気がつきにくく、キーの配列を把握しにくい。本実施例では、入力開始前はキーPが常に初期位置に位置づけられているため、ユーザは目視によりキーPの位置を確認しなくても、初期位置を基点としてキーPを所望の方向にスライドさせて押下げすることができる。これにより入力ミスを抑制できる。
【0049】
また、レバーを採用した入力装置と比較して、本実施例の携帯電話は薄型化されている。レバーは、高さ方向に延びているのに対し、キーPは、低く形成できるからである。また、レバーを採用した入力装置においては、レバーの傾き角度の大きさに応じて異なった入力指令を出力することが考えられるが、レバーを所定の角度で傾けた状態に維持することは困難であり操作性が容易ではない。また、レバーは、開閉式の携帯電話には採用しにくい。また、レバーを有した入力装置を携帯しているときには、レバーが破損するおそれもある。
【0050】
操作パネル3、遮蔽板PB1、案内板60について説明する。
図11A〜11Cは、操作パネル3、遮蔽板PB1、案内板60の説明図である。図11Aは操作パネル3のみを示している。操作パネル3の中央部には、キーPが露出する孔3hが設けられている。図11Bは、キーP、遮蔽板PB1が組み付けられた案内板60の正面側を示しており、図11Cは、案内板60の裏面側を示している。遮蔽板PB1には、前述したようにキーPのスライド可能な方向が表記されている。遮蔽板PB1は、キーPが初期位置にある際には案内溝62を遮蔽するだけの大きさを有している。案内溝62を遮蔽することにより、案内溝62から本体部1内部にホコリや水などが侵入することを防止している。
【0051】
スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50について説明する。
図12は、スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50の説明図である。スイッチ板40には、前述したように支持部49a〜49fが設けられている。スイッチ板40上にスペーサ板SBが配置されスペーサ板SB上にシート50が配置されている。支持部49fは、スペーサ板SB、シート50から露出している。
【0052】
図13A〜13Cはシート50の説明図である。
図13Aに示すように、シート50には複数のリング状の突部52が設けられている。図13Bは、シート50の断面図である。図13Cは、複数の突部52の正面図である。同一の突部52で囲まれた空間内にスイッチ板40のスイッチ41が配置される。図13Cに示すように、キーPが斜めに移動する場合の経路上での突部52の間には、突部52と高さが同一に埋め立てられた埋め立て部53が設けられている。これにより、キーPが斜めに移動する場合にも、キーPにスライドの抵抗力を与えることができる。尚、シート50には、支持部49fを逃がすための孔59が形成されているが、シート50には孔59以外の孔は設けられていない。シート50がスイッチ板40、スペーサ板SB上に重ねて配置されることにより、スイッチ板40側にゴミや水が浸入することを防止している。
【0053】
図14Aは、スペーサ板SBの説明図である。
スペーサ板SBには、複数のスイッチ41を逃がすための逃げ孔hが設けられている。逃げ孔hは円形状である。また、スペーサ板SBには、操作パネル3に形成されたシートキー3kに対応したスイッチを逃がすための逃げ孔h2も設けられている。
【0054】
図14Bは、スイッチ板40の説明図である。
スイッチ板40には、中央部に複数のスイッチ41が設けられている。また、スイッチ板40の上部には、操作パネル3に形成されたシートキー3kを押下げすることにより操作されるスイッチ42が設けられている。
【0055】
スイッチ41、42は、スペーサ板SBに形成された逃げ孔h、h2内に配置される。これにより、スイッチ41、42はそれぞれキーP、シートキー3kにより操作可能となる。
【0056】
図15は付勢部材S3、S4を支持する構造の変形例の説明図である。
図15では、スイッチ板40、スペーサ板SB、シート50、操作パネル3等を取外した状態の1を示している。1´の8´の底面に支持部9a´〜9f´が設けられている。これらに付勢部材S3、S4を締結してもよい。
【0057】
図16、17A、17Bは、キーPを初期位置に復帰させる構造の第1変形例の説明図である。
図16においては、遮蔽板PB1、案内板60の一部を切り欠いて示している。案内板60の溝16には固定板HBが嵌合している。固定板HBは、案内板60と共に移動する。固定板HBは略矩形状である。固定板HBの四隅にはそれぞれ付勢部材S5が固定されている。
【0058】
図17A、17Bに示すように、筐体8´´には収納空間8mが設けられている。固定板HBは、収納空間8m内を移動可能である。収納空間8mの4隅と、固定板HBの4隅との間には付勢部材S5が設けられている。付勢部材S5は、伸縮可能なコイルバネである。4つの付勢部材S5の弾性復元力のバランスにより、キーPは初期位置に位置付けられる。図17Bに示すように、キーPを斜めにスライドさせた場合には、4つの付勢部材S5の弾性復元力のバランスが崩れることにより、キーPを初期位置へ付勢する。尚、図17Aに示した状態で付勢部材S5は、自然長よりも圧縮された状態であってもよいし、伸びた状態であってもよい。
【0059】
図18A、18Bは、それぞれ、キーPを初期位置に復帰させる構造の第2、第3変形例の説明図である。
図18Aに示すように、4つの付勢部材S6は、略矩形状の固定板HBの各辺の中央部に締結されている。このような構造によってもキーPを初期位置に復帰させることができる。
【0060】
図18Bに示すように、4つの付勢部材S7は、それぞれ隣接する2辺を押圧している。付勢部材S7は、トーションバネである。付勢部材S7は、筐体側に設けられた支持部9a´に締結されている。付勢部材S7は、支持部9a´に巻かれた巻回部S73、巻回部S73から連続した腕部S71、S72を有している。腕部S71、S72は、固定板HBの隣接する2辺のそれぞれに当接して固定板HBを付勢している。例えば、キーPが左斜め上に移動すると、左斜め上に配置された付勢部材S7の腕部S71、S72間の角度が増大して、固定板HBを初期位置に付勢する。尚、支持部9a´は、スイッチ板40上に設けてもよい。
【0061】
以上のように、付勢部材S5、S6、S7は、キーPに固定された固定板HBを付勢することにより、キーPを初期位置に復帰させる。
【0062】
図19A、19Bは、本実施例の携帯電話の変形例の説明図である。
図19Aに示すように、遮蔽板PB1を設けておらずに、案内板60´の案内溝62´をそのまま露出したようにしてもよい。尚、例えば透明な遮蔽板PB1を設けることにより、案内板60´の案内溝62´の形状を目視可能とすることにより、キーPのスライド可能な方向をユーザに知らせることができる。また、図19Bに示すように、キーPの周囲に複数のシートキー3kを設けてもよい。
【0063】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0064】
Bの操作により切り替えられた文字入力モードをユーザに音声案内により報知してもよい。また、Bの操作により、キーPをファンクションキーとして使用可能となるようにしてもよい。
【0065】
入力装置の一例として、携帯電話に採用された入力装置を説明した。しかしながら、入力装置は、このように電子装置に組み込まれたものに限られない。例えば、コンピュータやゲーム機に外付け可能な入力装置であってもよい。
【0066】
また、電子装置の一例として携帯電話を説明した。しかしながら、電子装置は、例えば、携帯型ゲーム機、ノートブック型コンピュータ、タブレット型コンピュータなどの携帯型コンピュータであってもよい。また、電子装置は、据置型のゲーム機、デスクトップコンピュータであってもよい。
【0067】
(付記1)押下げ可能なキーと、前記キーの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている入力装置。
(付記2)前記第1及び第2位置間に、前記キーに摺接する突部を備えた、付記1の入力装置。
(付記3)前記キーは、前記案内溝に係合した保持部、前記保持部に対して所定範囲を昇降可能であり前記突部に当接し得る軸部、前記軸部が前記突部に当接して上昇した際に前記軸部を前記突部に向けて付勢する付勢部材、を含む、付記2の入力装置。
(付記4)前記キーは、前記保持部に押下げ操作可能に保持され前記軸部を昇降可能に保持する操作部、を含み、前記操作部が押下げ操作されると、前記軸部は前記操作部と共に下降して前記第1又は第2スイッチを押す、付記3の入力装置。
(付記5)前記キーに固定され前記案内溝を遮蔽する遮蔽板を備えた、付記1乃至4の何れかの入力装置。
(付記6)前記付勢部材は、前記キーを第1方向に付勢する第1付勢部材、前記キーを前記第1方向とは交差する第2方向に付勢する第2付勢部材、を含む、付記1乃至5の入力装置。
(付記7)前記付勢部材は、前記キーに固定された固定板を付勢する、付記1乃至6の何れかの入力装置。
(付記8)付記1乃至7の何れかの入力装置と、前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えた電子装置。
【符号の説明】
【0068】
1 本体部 2 表示部 3 操作パネル 10a、10b 保持部
20 操作部 30 軸部 40 スイッチ板 50 シート
52 突部 P キー S1〜S7 付勢部材 SB スペーサ板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下げ可能なキーと、
前記キーの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、
前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、
前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている入力装置。
【請求項2】
前記第1及び第2位置間に、前記キーに摺接する突部を備えた、請求項1の入力装置。
【請求項3】
前記キーは、前記案内溝に係合した保持部、前記保持部に対して所定範囲を昇降可能であり前記突部に当接し得る軸部、前記軸部が前記突部に当接して上昇した際に前記軸部を前記突部に向けて付勢する付勢部材、を含む、請求項2の入力装置。
【請求項4】
前記キーは、前記保持部に押下げ操作可能に保持され前記軸部を昇降可能に保持する操作部、を含み、
前記操作部が押下げ操作されると、前記軸部は前記操作部と共に下降して前記第1又は第2スイッチを押す、請求項3の入力装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの入力装置と、
前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えた電子装置。
【請求項1】
押下げ可能なキーと、
前記キーの押下げにより選択的に操作可能な第1及び第2スイッチと、
前記第1及び第2スイッチをそれぞれ操作可能な第1及び第2位置間をスライド可能に前記キーを案内する案内溝を有した案内板と、
前記キーを前記案内溝内の初期位置に復帰させる付勢部材と、を備えている入力装置。
【請求項2】
前記第1及び第2位置間に、前記キーに摺接する突部を備えた、請求項1の入力装置。
【請求項3】
前記キーは、前記案内溝に係合した保持部、前記保持部に対して所定範囲を昇降可能であり前記突部に当接し得る軸部、前記軸部が前記突部に当接して上昇した際に前記軸部を前記突部に向けて付勢する付勢部材、を含む、請求項2の入力装置。
【請求項4】
前記キーは、前記保持部に押下げ操作可能に保持され前記軸部を昇降可能に保持する操作部、を含み、
前記操作部が押下げ操作されると、前記軸部は前記操作部と共に下降して前記第1又は第2スイッチを押す、請求項3の入力装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの入力装置と、
前記入力装置からの入力指令に基づいて所定の画像を表示可能な表示部と、を備えた電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−94009(P2012−94009A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241471(P2010−241471)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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