説明

入退場管理システム

【課題】特定区域への入退場の管理を効率よく行い、特定区域へ入場する者の安全を監視する入退場管理システムを実現する。
【解決手段】ICカード3のユーザの個人情報を含むカード情報を読み取るカードリーダライタ4と、読み取ったカード情報を記憶するカード情報DB641と、カード情報DB641のカード情報とユーザが所持する非接触ICタグ2のタグIDとを対応つけて記憶するタグIDDB642と、ユーザの所持する非接触ICタグに記憶されているタグIDを読取るタグリーダ30とを備え、読み取られたタグIDを、タグIDDB642に記憶されているタグIDに基づいて認証するとともに、認証されたタグIDと、当該タグIDの読取結果に基づく特定区域への入退場情報とを対応付けて記憶させる。また、ガス濃度測定器70が測定した特定区域のガス濃度データを、ユーザが所持する通信端末8へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定区域である特殊な作業現場への作業者の立ち入りを制限するため、その作業現場での作業を行うことができる特定作業者を予め決めておき、その作業現場へ作業者が入場する際、その作業者は特定作業者か否かを現場管理者が確認し、特定作業者のみを入場させるとともに、その入退場時刻を記録するといった管理手法がとられていた。
また、その作業現場で作業者が作業を行う際の安全を考慮し、作業現場の作業環境、例えば、酸素濃度や有害ガス濃度、粉塵量を予め測定して、安全が確認された後に作業者を作業現場に立ち入らせるという管理手法がとられていた。
【0003】
また、近年、非接触ICタグや非接触ICカードを利用したシステムが多くの分野で注目されており、例えば、非接触ICタグや非接触ICカードを利用した、展示会などの入場者管理システムや、鉄道の自動改札システムなどが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前述の鉄道の自動改札システムでは、通行者がICカードを改札ゲートのカードリーダ部にかざすことにより、改札ゲートの通過の可否が判断され、そのICカードが入退場を許可されるデータを有する場合のみに改札ゲートの一時的な開放が行われるようになっている。
【特許文献1】特開2002−140744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、現場管理者が常に作業者の入退場を監視していなければならないので、効率の悪い管理手法であった。
また、作業環境は刻々と変化する場合があるが、作業現場に入場した各作業者は、その作業環境が変化する悪化傾向や改善傾向を把握することはできなかった。
【0005】
また、上記特許文献1の場合、通行者は改札ゲートのカードリーダ部に向けてICカードをかざすために、ICカードをポケットやバックなどから取り出さなければならず、その動作が面倒であるという問題があった。
また、このような非接触ICカードシステムを、入退場者を管理する作業現場に適用した場合、作業現場のゲートを通過する作業者は、その作業着が重装備であったり、特に手袋をしていたりすると、ICカードの取り出しが困難となることがあり、そのゲートを入退場する際に手間がかかるので、入退場する効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、特定区域への入退場の管理を効率よく行うとともに、特定区域へ入場する者の安全を監視することができる入退場管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば、図1、図2、図3に示すように、入退場管理システム(100)であって、
ユーザが所持するICカード(3)に記憶されている当該ユーザの個人情報を含むカード情報を読み取るカード情報読取手段(例えば、カードリーダライタ4)と、
前記カード情報読取手段により読み取られたカード情報を記憶するカード情報記憶手段(例えば、CPU61、カード情報DB641、カード情報記憶プログラム650)と、
前記カード情報記憶手段に記憶されているカード情報と、前記ユーザが所持する非接触ICタグ(2)に記憶されているタグ識別情報とを対応つけて記憶するタグ識別情報記憶手段(例えば、CPU61、タグIDDB642、タグID記憶プログラム651)と、
前記ユーザが特定区域へ入退場するための入退場口に設けられ、前記ユーザが所持する非接触ICタグに記憶されているタグ識別情報を読み取るタグ識別情報読取手段(例えば、タグリーダ30)と、
前記タグ識別情報読取手段により読み取られたタグ識別情報を、前記タグ識別情報記憶手段に記憶されているタグ識別情報に基づいて認証する認証手段(例えば、CPU61、認証プログラム652)と、
前記認証手段により、前記タグ識別情報読取手段によって読み取られたタグ識別情報が認証された場合、認証されたタグ識別情報と、当該タグ識別情報の読取結果に基づく入退場情報とを対応つけて記憶する入退場情報記憶手段(例えば、CPU61、入退場情報DB643、入退場情報記憶プログラム655)と、
前記特定区域の環境に関する環境データを取得する環境データ取得手段(例えば、ガス濃度測定器70)と、
前記環境データ取得手段が取得した環境データを、前記ユーザが所持する通信端末に通知する環境データ通知手段(例えば、CPU61、通信部80、環境データ通知プログラム660)と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の入退場管理システムにおいて、
前記カード情報読取手段により読み取られたカード情報に対応つけられたタグ識別情報を前記タグ識別情報記憶手段から取得するタグ識別情報取得手段(例えば、CPU61、タグID取得プログラム654)と、
前記タグ識別情報取得手段により取得されたタグ識別情報に対応つけられた入退場情報を前記入退場情報記憶手段から取得する入退場情報取得手段(例えば、CPU61、入退場情報取得プログラム656)と、
前記入退場情報取得手段により取得された入退場情報と、前記環境データ取得手段が取得した環境データとを対応つけて、前記ユーザのカード情報を記憶するICカードに書き込む書込手段(例えば、カードリーダライタ4、CPU61、書込プログラム633)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の入退場管理システムにおいて、
前記タグ識別情報読取手段により読み取られたタグ識別情報が、前記認証手段によって認証された後の経過時間を計時する経過時間計時手段(例えば、計時部68)と、
前記経過時間計時手段が、所定の経過時間を計時したことに基づき、前記ユーザが所持する通信端末に、前記特定区域から退場すべき旨を通知する退場勧告通知手段(例えば、CPU61、通信部80、退場勧告通知プログラム662)と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、入退場管理システムにおいて、ICカードのカード情報と非接触ICタグのタグ識別情報とが対応つけられて記憶されており、ユーザの入退場時にタグ識別情報が認証された場合には、認証されたタグ識別情報と、このタグ識別情報の読取結果に基づく入退場情報とが対応つけられて記憶される。
つまり、入退場管理システムは、ユーザのカード情報に含まれる個人情報とタグ識別情報の読取結果に基づく入退場情報とを対応つけて記憶することにより、記憶容量の比較的大きいICカードと、認証の利便性の高い非接触ICタグとを組み合わせて用いることができる。
従って、ユーザの特定区域への入退場管理の効率化を図ることができる。
【0011】
また、入退場管理システムは、その特定区域の環境に関する環境データを取得するとともに、その環境データをユーザが所持する通信端末に通知することができるので、ユーザは入退場する特定区域の安全性や危険性について、その通知された環境データである、例えば、ガス濃度や粉塵量、温度・湿度等に基づき認識することができ、特定区域へ入場できるか否か、また、特定区域から避難するように退場すべきか否かを判断することができる。
つまり、入退場管理システムは、特定区域の環境データをユーザの通信端末に通知することにより、ユーザに対して、特定区域へ入場すべきでない旨や、特定区域から退場すべき旨を通知することができる。
従って、特定区域におけるユーザの安全性を監視することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、入退場管理システムにおいて、カード情報に対応つけられたタグ識別情報が取得され、取得されたタグ識別情報に対応つけられた入退場情報が取得され、取得された入退場情報と環境データとが対応つけられて当該入退場情報に対応するカード情報を記憶するICカードに書き込まれる。
従って、ICカードを所持するユーザが出入りする特定区域が替わっても、個々の特定区域での入退場情報やそこでの環境データをICカードに記憶させることができることとなって、ユーザの入退場管理を更に効率的に行うことができる。
特に、ユーザが特定区域に入場した履歴において、ユーザが特定区域に入場していた入退場情報と環境データとが対応するように記憶されるので、その環境データに基づき、ユーザの健康管理についても行うことができる。つまり、例えば、ユーザが健康を害したような場合に、その入場履歴に基づき、その原因を環境データから調査することが可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、入退場管理システムにおいて、ユーザの入場時にタグ識別情報が認証された後の経過時間が、所定の経過時間となったことが計時されることに基づき、特定区域から退場すべき旨を、ユーザが所持する通信端末に通知することができる。
従って、所定の時間以上、特定区域に入場しつづけないように、ユーザに通知することができる。
つまり、入退場管理システムは、特定区域へ長時間入場することが、ユーザの健康や安全に悪影響があるような場合、ユーザが特定区域へ入場してから所定時間経過した際に、特定区域から退場すべき旨をユーザの通信端末に通知することにより、特定区域におけるユーザの安全性を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る入退場管理システム100は、例えば、トンネル工事などの特定区域である特定現場における作業者(ユーザ)の入退場管理を支援するとともに、特定現場へ入場する作業者の安全を監視するシステムである。
【0015】
まず、入退場管理システム100の全体構成について説明する。
図1から図3に示すように、入退場管理システム100は、ヘルメットを着用した作業者が特定現場に入退場する際に通過するゲート部20と、ゲート部20に備えられ、非接触ICタグ2のタグIDを読み取るタグ識別情報読取手段としてのタグリーダ30と、ゲート部20に備えられ、ゲート部20を通過する作業者を検出する第1の検出センサ40aと第2の検出センサ40bと、作業者がゲート部20を通過することの可否を通知する警報部50a、50bと、特定現場の環境に関する環境データを取得する環境データ取得手段としてのガス濃度測定器70と、ガス濃度測定器70が取得した環境データなどを作業者が所持する通信端末8に通知する通信部80と、作業者が所持するICカード3のカード情報を読み取るカードリーダライタ4と、上記各部の動作を制御する制御装置60等を備えている。
【0016】
ここで、特定現場に入退場する作業者が着用するヘルメットについて説明する。
図4に示すように、作業者が着用するヘルメットは、ヘルメット本体1に、非接触ICタグ2が配設されてなる非接触ICタグ付きヘルメット10である。
【0017】
ヘルメット本体1は、例えば、絶縁材から成り、ヘルメットを着用する作業者の頭部に対する衝撃を緩和し、ヘルメット着用者の頭部を保護するものである。
【0018】
非接触ICタグ2は、図5に示すように、アンテナ部2aと、アンテナ部2aに接続されるICチップ2bと、アンテナ部2aとICチップ2bを覆うシート材2cとにより構成されている。
アンテナ部2aは、アンテナ線が平面状に捲回されてなり、そのアンテナ線の両端部がICチップ2bに接続されている。
ICチップ2bは、集積回路であり、非接触ICタグ2に割り当てられた管理データであるタグ識別情報としてのタグIDを記憶している。また、ICチップ2bは、アンテナ部2aを介して所定の管理データを送受することができる。
シート材2cは、例えば、プラスチックシートであり、アンテナ部2aやICチップ2bが損傷しないように保護するとともに、非接触ICタグ2を薄い平板形状に形成するためのものである。
【0019】
この非接触ICタグ2は、後述する入退場管理システム100のタグリーダ30に所定の距離近づいたり、タグリーダ30の検知エリアに入ったりすると、タグリーダ30が有するアンテナ(図示省略)と、非接触ICタグ2のアンテナ部2aとの間で磁気的な結合が生じ、アンテナ部2aに高周波信号が誘起される。非接触ICタグ2は、この高周波信号に基づく電力(誘導起電力)によりICチップ2bが動作するようになっている。そして、非接触ICタグ2は、ICチップ2bに記憶するタグIDに関する信号などを、アンテナ部2aを介して、タグリーダ30に送信するようになっている。
【0020】
そのため、非接触ICタグ2は、後述する入退場管理システム100のタグリーダ30が検知しやすい箇所に備えられることが好ましい。
非接触ICタグ2は、ヘルメット本体1の外側表面、ヘルメット本体1の内面のいずれに備えられていてもよく、また、着脱自在であっても、貼付されるなどして固定されていてもよい。また、非接触ICタグ2は、ヘルメット本体1を構成する絶縁材中に埋設されていてもよい。
【0021】
このような非接触ICタグ付きヘルメット10は、特定現場に入退場する作業者が着用しなければならないものであり、非接触ICタグ付きヘルメット10を着用する作業者の頭部を保護するとともに、特定現場に入退場する際の通行許可証としての機能を有するものである。
特定現場に入退場する際の通行許可証としての機能とは、後述する入退場管理システム100において、非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2を検知するとともに、非接触ICタグ2のICチップ2bに記憶されるタグIDに基づき、非接触ICタグ付きヘルメット10を着用する作業者が、特定現場に入場したり、特定現場から退場したりすることに対するの許可、不許可が判断され、作業者に通知されるので、所定のタグIDが割り当てられた非接触ICタグ付きヘルメット10を通行許可証として着用しなければ、特定現場への出入りができないということである。
【0022】
ゲート部20は、図3に示すように、特定現場に入退場するための入退場口に設けられている。
ゲート部20は、作業者が通常歩行姿勢で通過できる幅に離間して配置される側壁部21,21と、側壁部21に掛け渡される天井部22とにより構成されている。そして、ゲート部20は、図6に示すように、作業者が通常歩行姿勢で通過できる高さ(例えば、190cm)と幅(例えば、90cm)を有する通路を形成する。
天井部22には、タグリーダ30が配設されており、側壁部21には、第1の検出センサ40aと第2の検出センサ40bが備えられている。
【0023】
タグリーダ30は、アンテナ(図示省略)と、そのアンテナから高周波信号を出力させる駆動回路(図示省略)を有している。
タグリーダ30は、所定の駆動回路により、例えば、周波数13.56(MHz)の高周波信号をそのアンテナから出力し、非接触ICタグ2のアンテナ部2aに高周波信号を誘起させることで、非接触ICタグ2に動作用電力を供給する。
また、タグリーダ30は、非接触ICタグ2のアンテナ部2aを介して送信された信号を検知することに基づき、非接触ICタグ2を検知する。また、タグリーダ30は、非接触ICタグ2のアンテナ部2aを介して送信された信号におけるタグIDに関する信号に基づき、タグリーダ30のアンテナに誘起される高周波信号を信号処理し、非接触ICタグ2から送信されたタグIDを取得する。そして、タグリーダ30は、取得したタグIDを、制御装置60に出力する。
【0024】
このタグリーダ30が、非接触ICタグ2に動作用電力を供給したり、非接触ICタグ2がアンテナ部2aを介して送信する信号を検知したりすることができる範囲である検知エリア30aは、図6において網掛けで示す部分のように、ゲート部20内における上方側の空間である。この検知エリア30aは、例えば、左右の側壁部21,21が対向する間であるとともに、天井部22から下方に90cmの範囲である。
このような検知エリア30aであれば、作業者が非接触ICタグ付きヘルメット10を着用し、通常歩行姿勢でゲート部20を通過する際に、非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2が検知エリア30aを通過するので、タグリーダ30は、非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2を検知することができる。
特に、作業者が非接触ICタグ付きヘルメット10を着用し、通常歩行姿勢、通常歩行速度でゲート部20を通過する際に、より確実にタグリーダ30が非接触ICタグ2を検知することができる検知エリア30aを設けるように、タグリーダ30をゲート部20に配設することが好ましい。
【0025】
第1の検出センサ40a及び第2の検出センサ40bは、例えば、赤外線センサで構成されており、作業者がゲート部20を通過する方向である入退場方向に離間して、ゲート部20に備えられている。
図7に示すように、第2の検出センサ40bは、ゲート部20における特定現場側(内側)に配設されており、第1の検出センサ40aは、第2の検出センサ40bより入退場方向に特定現場から離れた位置(外側)に配設されている。
第1の検出センサ40a及び第2の検出センサ40bは、ゲート部20を通過する作業者を検出するとともに、作業者を検出したことに基づく検出信号を、制御装置60に出力する。
【0026】
警報部50aは、ゲート部20を特定現場に向かって入場する作業者に対して、後述する制御装置60のCPU61の判断に基づき、ゲート部20の通過の可否を通知するものである。
警報部50bは、ゲート部20を特定現場から退場する作業者に対して、後述する制御装置60のCPU61の判断に基づき、ゲート部20の通過の可否を通知するものである。
後述する制御装置60が、作業者がゲート部20を通過することを許可した場合、警報部50a,50bのライト部55a,55bは緑色に点灯し、通過の許可を通知するようになっている。また、後述する制御装置60が、作業者がゲート部20を通過することを許可しない場合、警報部50a,50bのライト部55a,55bは赤色に点灯するとともに、警報部50a,50bが警報音や警告アナウンスを発することで、通過の不許可を通知するようになっている。
【0027】
ガス濃度測定器70は、特定現場におけるガス濃度を測定することにより、特定現場の環境に関する環境データとしてのガス濃度データを取得し、そのガス濃度データを制御装置60に出力する。
ガス濃度測定器70は、例えば、図3に示すように、特定現場における立坑や切羽において、ガス濃度としての酸素濃度とメタン濃度を測定し、その測定データを制御装置60に出力する。
【0028】
通信部80は、後述する制御装置60から作業者に対する情報やメッセージを発信するための通知手段であり、その情報やメッセージを、作業者が所持するPHS(Personal Handyphone System)端末や携帯電話機などの通信端末8に対し発信するようになっている。
通信部80は、環境データ通知手段として、ガス濃度測定器70が測定して取得したガス濃度と、そのガス濃度に応じて後述する制御装置60が判断した警告情報を、通信端末8に対し発信する。
また、通信部80は、退場勧告通知手段として、後述する制御装置60が判断した、特定現場に入場している作業者に対する退場勧告に関するメッセージを、通信端末8に対し発信する。
なお、通信部80が、特定現場内の通信端末8への通信を好適に行うために、特定現場に適宜アンテナを配設するようにしてもよい。
【0029】
ICカード3は、例えば、カードごとに割り当てられる固有のカードIDと、当該ICカード3の所持する作業者の個人情報等のカード情報を記憶するカードICチップ(図示省略)と、カードICチップに記憶されている情報をカードリーダライタ4へ送信する接点端子等を備えて構成されている。
ここで、作業者の個人情報は、例えば、氏名、生年月日、住所、緊急連絡先、健康診断情報、免許・資格、現場履歴等が含むものとする。
【0030】
カードリーダライタ4は、例えば、図3に示すような、現場事務所に配設されている。
カードリーダライタ4は、カード情報読取手段として機能し、例えば、ICカード3に記憶されているカード情報を読み取るための端子(図示省略)を備えている。
そして、このカードリーダライタ4内にICカード3を挿入することにより、ICカード3の接点端子(図示省略)とカードリーダライタ4の端子(図示省略)とが接触し、ICカード3に記憶されているカード情報が読み出され、制御装置60のCPU61に入力されるようになっている。
【0031】
また、カードリーダライタ4は、書込手段の一部として機能し、入退場情報DB643に記憶されている入退場情報を、この入退場情報に対応するカードIDを記憶するICカード3に書き込むものである。
また、書込手段としてのカードリーダライタ4は、ガス濃度測定器70が測定し、ガス濃度情報DB644に記憶されている特定現場におけるガス濃度データを、そのガス濃度測定時に特定現場に入場していた作業者のICカード3に書き込む。
なお、カードリーダライタ4の書込処理については、制御装置60によって制御されている。
【0032】
そして、作業者は、特定現場に入場するためゲート部20を通過する前に、カードリーダライタ4により、ICカード3の読み取りを行う。また。作業者は、特定現場から退場しゲート部20を通過した後に、カードリーダライタ4により、ICカード3へのデータの書き込みを行う。
【0033】
制御装置60は、図2に示すように、例えば、CPU61、RAM62、記憶部63、表示部66、入力部67、計時部68、外部機器と接続するためのインターフェイス(I/F)69などを備え、これらはバスBを介して接続されている。
【0034】
CPU61は、記憶部63に格納された入退場管理システム用の各種制御プログラム(アプリケーションプログラム、システムプログラム)に従って、各種の制御動作を実行する。
RAM62には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、CPU61が上記制御プログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0035】
記憶部63は、プログラムやデータなどが予め記憶された記録媒体64を有している。記録媒体64は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、半導体メモリなどで構成されている。記録媒体64は、記憶部63に対して、固定的に、或いは着脱自在に設けられている。
【0036】
記録媒体64には、カード情報データベース(カード情報DB)641、タグIDデータベース(タグIDDB)642、入退場情報データベース(入退場情報DB)643、ガス濃度情報データベース(ガス濃度情報DB)644等が記憶されている。
また、記録媒体64には、入退場管理処理に使用される各種アプリケーションプログラムなどが記憶されるプログラム格納領域65、各種アプリケーションプログラムの実行結果などが記憶される結果データ格納領域(図示省略)などが設けられている。
なお、記録媒体64に記憶されるプログラム、データなどは、その一部または全部が、他の外部装置などから、I/F69などを介して取得して、記録媒体64に記録されるものとしてもよい。
【0037】
カード情報DB641には、図8に示すように、カードリーダライタ4によって読み取られたICカード3のカード情報が記憶されている。カード情報は、例えば、カードID及び個人情報とを含み、このカードIDと、個人情報とが対応つけられて記憶されている。例えば、カードID「1」は、作業者氏名「○○」−所属「◎◎」−緊急連絡先「●●」・・・の個人情報と対応つけられて記憶されている。このように、カード情報DB641は、カード情報記憶手段の一部として機能する。
【0038】
タグIDDB642には、例えば、図9に示すように、カードリーダライタ4によって読み取られたカードIDと、そのカードIDが記憶されたICカード3の所有者が所持する非接触ICタグのタグIDとが対応つけられて記憶されている。具体的には、例えば、カードID「1」は、タグID「101」と対応つけられて記憶されている。このように、タグIDDB642は、タグ識別情報記憶手段の一部として機能する。
【0039】
入退場情報DB643には、例えば、図10に示すようにタグリーダ30によって読み取られ、管理装置60のCPU61によって認証されたタグIDと、このタグIDの読取時刻(入退場時刻、入退場情報)とが対応つけられて記憶されている。具体的には、例えば、タグID「101」は、入場時刻「2004−03−03−8:00」及び退場時刻「2004−03−03−18:00」と対応つけて記憶されている。
このように、入退場情報DB643は、入退場情報記憶手段の一部として機能する。
【0040】
ガス濃度情報DB644には、例えば、図11に示すように、ガス濃度測定器70によって測定され取得された特定現場における酸素濃度とメタン濃度のデータが、測定時刻に対応つけられて記憶されている。具体的には、例えば、測定時刻「04/03/03;7:00〜8:00」における酸素濃度「21%」、メタン濃度「0.05%」と対応つけられて記憶されている。
このように、ガス濃度情報DB644は、ガス濃度情報記憶手段として機能する。
【0041】
プログラム格納領域65には、CPU61での各種動作を行うためのシステムプログラム、アプリケーションプログラムが記憶されている。
具体的には、カード情報記憶プログラム650、タグID記憶プログラム651、認証プログラム652、通知プログラム653、タグID取得プログラム654、入退場情報記憶プログラム655、入退場情報取得プログラム656、ガス濃度情報記憶プログラム657、ガス濃度情報取得プログラム658、ガス濃度警告プログラム659、環境データ通知プログラム660、退場勧告プログラム661、退場勧告通知プログラム662、書込プログラム663、カード情報取得プログラム664、出力制御プログラム665等が記憶されている。
【0042】
表示部66は、出力手段として機能し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成されている。そして、CPU61の出力制御に従い、各種データを入力する入力画面や、カード情報等の出力画面などを表示画面上に表示できる。
【0043】
入力部67は、例えば、キーボードなどにより構成されており、ユーザにより操作された各種キーに対応する操作信号をCPU61に出力する。
【0044】
計時部68は、時刻や日付を計時し、計時された時間データ等は、CPU61を介してRAM62に送られて順次更新セットされる。例えば、所定周波数のクロック信号を発振する発振回路(図示省略)と、該発振回路からの信号を分周して所定周波数の信号を得る分周回路(図示省略)と、一秒単位の計時データに変換するための時刻用カウンタ(図示省略)等を備える。
そして、タグリーダ30によって読み取られたタグIDが認証された場合には、認証された時刻がタグIDと対応付けられて入退場情報DB643に記憶されるようになっている。
また、計時部68は、経過時間計時手段として、タグリーダ30によって読み取られたタグIDが認証された後、そのタグIDの読取結果に基づく退場情報が得られるまでの経過時間を計時する。
【0045】
I/F69は、この制御装置60とカードリーダライタ4、タグリーダ30、警報部50a、50b等との間で各種指示信号や位置情報等を入出力するためのインターフェイスであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポートやRS−232C端子をはじめとするシリアル入出力端子、パラレル入出力端子、SCSIインターフェイス、IrDA(Infrared Data Association)規格に準じた赤外線通信装置等が備えられ、有線または無線通信手段により外部機器と接続することが可能である。
【0046】
そして、制御装置60のCPU61は、カード情報記憶プログラム650を実行することにより、カードリーダライタ4によって読み取られたICカード3のカード情報をカード情報DB641に記憶するカード情報記憶手段の一部として機能する。
【0047】
また、制御装置60のCPU61は、タグID記憶プログラム651を実行することにより、タグリーダ30によって読み取られた非接触ICタグ2のタグIDと、当該非接触ICタグ2を所持する作業者のICカード3のカード情報とを対応つけて、タグIDDB642に記憶するタグ識別情報記憶手段の一部として機能する。
【0048】
また、制御装置60のCPU61は、認証プログラム652を実行することにより、タグリーダ30によって読み取られたタグIDを、タグIDDB642に記憶されているタグIDに基づいて認証する認証手段として機能する。
【0049】
また、制御装置60のCPU61は、通知プログラム653を実行することにより、タグリーダ30によって読み取られたタグIDの認証結果を、特定区域に入退場しようとする作業者に通知するように、警報部50a,50bを動作させるように機能する。
【0050】
また、制御装置60のCPU61は、タグID取得プログラム654を実行することにより、カードリーダライタ4によって読み取られたカード情報に対応つけられたタグIDをタグIDDB642から取得するタグ識別情報取得手段として機能する。
【0051】
また、制御装置60のCPU61は、入退場情報記憶プログラム655を実行することにより、認証されたタグIDと、当該タグIDの読取結果に基づく入退場情報である入退場時刻データとを対応つけて、入退場情報DB643に記憶する入退場情報記憶手段の一部として機能する。
【0052】
また、制御装置60のCPU61は、入退場情報取得プログラム656を実行することにより、取得したタグIDに対応つけられた入退場時刻を入退場情報DB643から取得する入退場情報取得手段として機能する。
【0053】
また、制御装置60のCPU61は、ガス濃度情報記憶プログラム657を実行することにより、ガス濃度測定器70が測定し取得したガス濃度データをその測定時刻と対応つけて、ガス濃度情報DB644に記憶するガス濃度情報記憶手段として機能する。
【0054】
また、制御装置60のCPU61は、ガス濃度情報取得プログラム658を実行することにより、タグIDに対応つけられた入退場時刻に対応するガス濃度データをガス濃度情報DB644から取得するガス濃度情報取得手段として機能する。
【0055】
また、制御装置60のCPU61は、ガス濃度警告プログラム659を実行することにより、ガス濃度測定器70が測定し取得したガス濃度データに基づき、特定現場が安全な状態か、要注意状態か、危険状態か、を判断し、その判断した警告情報を作成するガス濃度警告手段として機能する。
例えば、ガス濃度測定器70が測定し取得した酸素濃度データが、21%以上であれば安全状態、18%以上21%未満であれば要注意状態、18%未満であれば危険状態と判断する。また、メタン濃度が1%未満であれば安全状態、1%以上1.26%未満であれば要注意状態、1.26%以上であれば危険状態と判断する。
【0056】
また、制御装置60のCPU61は、環境データ通知プログラム660を実行することにより、ガス濃度測定器70が測定し取得したガス濃度データと、ガス濃度警告手段が作成した警告情報(安全状態、要注意状態、危険状態)とを通信部80から通信端末8に通知する環境データ通知手段の一部として機能する。
【0057】
また、制御装置60のCPU61は、退場勧告プログラム661を実行することにより、経過時間計時手段としての計時部68が計時した、タグリーダ30によって読み取られたタグIDが認証された後の経過時間が、所定の経過時間となったか否かを判断する退場勧告判断手段として機能する。
【0058】
また、制御装置60のCPU61は、退場勧告通知プログラム662を実行することにより、退場勧告判断手段が、所定の経過時間を計時したことに基づき、特定区域から退場すべき旨を、そのタグIDに対応する作業者の携帯端末8に通知する退場勧告通知手段の一部として機能する。
【0059】
また、制御装置60のCPU61は、書込プログラム663を実行することにより、取得した入退場情報を、当該入退場情報に対応するカード情報を記憶するICカード3に書き込む書込手段の一部として機能する。
また、制御装置60のCPU61は、書込プログラム663を実行することにより、ガス濃度測定器70が測定し、ガス濃度情報DB644に記憶されている特定現場におけるガス濃度データを、そのガス濃度測定時に特定現場に入場していた作業者のICカード3に書き込む書込手段の一部として機能する。
【0060】
また、制御装置60のCPU61は、カード情報取得プログラム664を実行することにより、取得したタグIDに対応付けられたカード情報をカード情報DB641から取得するカード情報取得手段として機能する。
【0061】
また、制御装置60のCPU61は、出力制御プログラム665を実行することにより、取得したカード情報中の個人情報を表示部67に出力させる出力制御手段として機能する。
【0062】
次に、入退場管理システム100による作業者の入退場管理処理の一例について、図面を参照して詳細に説明する。この入退場管理処理には、新規登録処理、入退場認証処理、環境データ通知処理、退避勧告通知処理、ICカード書込処理、出力制御処理が含まれる。
【0063】
まず、特定現場に入退場する作業者の個人情報等の新規登録処理について、図12に示すフローチャートに基づき説明する。
【0064】
まず、CPU61が、登録処理開始信号の入力があったと判断すると(ステップS101;Yes)、カードリーダライタ4によってICカード3から読み取られたカード情報がCPU61に入力される(ステップS102)。
次いで、CPU61は、入力されたカード情報をカード情報DB641に記憶する(ステップS103)。具体的には、図8に示すように、例えば、カード情報のカードID「1」−氏名「○○」−所属「◎◎」−緊急連絡先「●●」・・・をカード情報DB641に記憶する。
次いで、CPU61は、入力されたカード情報(例えば、カードID)にタグIDを付与し、このカードIDとタグIDとを対応つけてタグIDDB642に記憶し(ステップS104)、本処理を終了する。具体的には、図9に示すように、例えば、カードID「1」にタグID「101」を付与し、このカードID「1」とタグID「101」とを対応つけて記憶する。
【0065】
次に、特定現場に入退場する作業者の入退場認証処理について、図13に示すフローチャートに基づき説明する。
【0066】
まず、特定現場に入場、或いは特定現場から退場するために、入退場管理システム100のゲート部20を通過しようとする作業者を、第1の検出センサ40a又は第2の検出センサ40bが検出する(ステップS201)。
【0067】
次いで、CPU61は、タグリーダ30によって、ゲート部20を通過しようとする作業者が着用する非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2のタグIDの読取信号が入力されたか否かを判断する(ステップS202)。そして、CPU61が、タグリーダ30によって非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2のタグIDの読取信号が入力されたと判断すると(ステップS202;Yes)、CPU61は、入力されたタグIDに基づき、非接触ICタグ付きヘルメット10を着用する作業者が、ゲート部20を通過できるか否かを判断する(ステップS203)。
【0068】
そして、CPU61が、タグリーダ30が読み取った非接触ICタグ2のタグIDが登録されている(即ち、タグIDDB642に既に記憶されている)と判断し、認証した場合には(ステップS203;Yes)、その判断の後に、もう一方の検出センサが作業者を検出する(ステップS204)。
そして、CPU61は、作業者がゲート部20を通過する際に、第1の検出センサ40aと第2の検出センサ40bが作業者を検出した順に基づき、作業者の入退場を判別し(ステップS205)、判別した入退場に対応する警報部50a,50bに、作業者の通過を許可する通知(通過OK通知)を行わせる(ステップS206)。
この通過許可の通知に伴い、作業者は、特定現場に入場、或いは特定現場から退場することができる。
次いで、CPU61は、認証したタグIDとそのタグIDを認証した時刻(日時)を入退場情報DB643に記憶し(ステップS207)、ステップS101へ戻る。具体的には、図10に示すように、例えば、タグID「101」−入場時刻「2004−03−03−8:00」−退場時刻「2004−03−03−18:00」をそれぞれ対応つけて入退場情報DB643に記憶する。
【0069】
一方、CPU61が、タグリーダ30が読み取った非接触ICタグ2のタグIDが、ゲート部20の通過に対し無効である(即ち、読み取ったタグIDがタグIDDB642に記憶されていない)と判断した場合には(ステップS203;No)、その判断の後に、もう一方の検出センサが作業者を検出する(ステップS208)。
そして、CPU61は、作業者がゲート部20を通過する際に、第1の検出センサ40aと第2の検出センサ40bが作業者を検出した順に基づき、作業者の入退場を判別し(ステップS209)、判別した入退場に対応する警報部50a,50bに、作業者の通過を許可しない通知(通過NG通知)を行わせる(ステップS210)。
この通過不許可の通知に伴い、作業者は、特定現場に入場、或いは特定現場から退場することを、取りやめなければならない。
そして、通過NG通知後、ステップS201へ戻る。
【0070】
また、タグリーダ30が非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2を検知せずに(ステップS202;No)、もう一方の検出センサが、作業者を検出すると(ステップS211)、ステップS209へ進むとともに、通過NG通知した後、ステップS201へ戻る。
【0071】
次に、特定現場に入場している作業者への環境データ通知処理について、図14に示すフローチャートに基づき説明する。
【0072】
CPU61は、ガス濃度測定器70が測定した特定現場における酸素濃度やメタン濃度のガス濃度データを、ガス濃度情報DB644に記憶するとともに(ステップS301)、そのガス濃度が安全状態か、要注意状態か、危険状態かを判断する(ステップS302)。
CPU61が、ガス濃度は安全状態であると判断すると(ステップS302;Yes)、ステップS301へ戻る。
一方、CPU61が、ガス濃度は要注意状態、危険状態であると判断すると(ステップS302;No)、CPU61は、そのガス濃度データとともに、要注意状態、危険状態であるとの警告情報を、通信端末8へ通知する(ステップS303)。具体的には、図15に示すように、通信端末8の表示画面に、警告情報(例えば、「危険」)、警告日時、ガス濃度測定箇所(例えば、「立坑」)、ガス濃度等を表示させるように、警告情報を通知する。
【0073】
次に、特定現場に入場している作業者への退場勧告通知処理について、図16に示すフローチャートに基づき説明する。
【0074】
計時部68は、タグリーダ30が検知した、作業者が有するタグIDが認証されて、作業者が特定現場に入場してからの経過時間を計時する(ステップS401)。
次いで、CPU61は、計時部68が計時した経過時間が、所定の経過時間(例えば、10時間)になったか否かを判断する(ステップS402)。
CPU61が、所定の経過時間になっていないと判断すると(ステップS302;No)、ステップS401へ戻る。
一方、CPU61が、所定の経過時間になったと判断すると(ステップS402;Yes)、CPU61は、退避勧告情報を、通信端末8へ通知する(ステップS403)。具体的には、図17に示すように、通信端末8の表示画面に、所定の経過時間となったので、作業場から退場すべきであるとの旨を伝達するように、退避勧告情報を表示させて、通知する。
【0075】
次に、ICカード書込処理について、図18に示すフローチャートに基づき説明する。
【0076】
まず、CPU61は、カードリーダライタ4が読み取ったICカード3のカードIDが入力されたと判断した場合(ステップS501;Yes)には、そのカードIDに対応つけられたタグIDをタグIDDB642から取得する(ステップS502)。具体的には、例えば、カードID「1」に対応したタグID「101」を取得したとする。
【0077】
次いで、CPU61は、取得したタグID「101」に対応付けられた入退場情報を、入退場情報DB643から取得する。具体的には、図10に示す入退場情報DB643から入退場情報として、例えば、タグID「101」−入場時刻「2004−03−03−8:00」−退場時刻「2004−03−03−18:00」を取得したとする。
また、取得した入退場情報である、入場時刻から退場時刻に対応する間のガス濃度データをガス濃度情報DB644から取得する(ステップS503)。
次いで、CPU61は、取得した入退場情報(入場時刻「2004−03−03−8:00」及び退場時刻「2004−03−03−18:00」)と、その間のガス濃度データを、この入退場情報に対応するカードID「101」を記憶するICカード3にカードリーダライタ4によって書き込ませ(ステップS504)、本処理を終了する。
【0078】
次に、出力制御処理について、図19に示すフローチャートに基づき説明する。
【0079】
まず、CPU61が、個人情報表示指示入力があったと判断すると(ステップS601;Yes)、カードリーダライタ4によってICカード3から読み取られたカード情報がCPU61に入力される(ステップS602)。
次いで、CPU61は、入力されたカード情報を、図20に示すように、個人情報一覧700として、個人情報と入退場情報やガス濃度データとを対応つけて表示部66に表示させ(ステップS603)、本処理を終了する。
なお、これら個人情報や入退場情報やガス濃度データを、カードIDやタグIDに基づき制御装置60の各データベースから取得し、表示するようにしてもよい。
【0080】
このように、本発明に係る入退場管理システム100は、特定現場へ入退場しようとする作業者が着用している非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2を検知し、非接触ICタグ2のICチップ2bに記憶されるタグIDを読み取るとともに、そのタグIDに基づき、非接触ICタグ付きヘルメット10を着用する作業者が、特定現場へ入退場することに対するの許可、不許可を認証し、判断することができる。そして、そのタグIDに基づく認証結果を作業者に通知することによって、作業者が特定現場へ入退場することを制限することができる。
よって、入退場管理システム100は、特定現場への作業者の入退場の管理を効率よく行うことができる。
【0081】
特に、この入退場管理システム100は、特定現場におけるガス濃度を測定するとともに、そのガス濃度に基づき、特定現場の作業環境が人体に危険な状態となったと判断すると、各作業者が所持する通信端末8に、特定現場が危険な状態であることを通知し、全作業者に対して、現場から退場すべきであることを通知することができる。
また、特定現場に、所定の時間(経過時間)継続して入場している作業者に対し、その作業者が所持する携帯端末8に、特定現場から退場すべきであることを通知することができる。
よって、入退場管理システム100は、作業者が特定現場において危険にさらされそうな場合には、作業者に特定現場から避難することを通知することができるので、特定現場での作業者の安全について監視することができるといえる。
【0082】
また、入退場管理システム100によれば、ICカード3のカード情報(カードID)と非接触ICタグ2のタグIDとが対応つけられて記憶されており、作業者の入退場時にタグIDが認証された場合には、認証されたタグIDと、このタグIDの読取結果に基づく入退場情報や、特定現場でのガス濃度などの環境データとが対応つけられて記憶される。従って、作業者の個人情報とIDの読取結果に基づく入退場情報等とが対応つけられて記憶されることとなって、記憶容量の比較的大きいICカード3と、認証の利便性の高い非接触ICタグ2とを組み合わせて用いることによって、入退場管理に関するデータ管理の効率化を図ることができる。
特に、作業者が特定現場に入場した履歴において、作業者が特定現場に入場していた時間と、その間の現場の環境データ(ガス濃度データ)とが対応するように記録されるので、そのデータに基づき、作業者の健康管理についても行うことができる。つまり、作業者が健康を害したような場合に、その入場履歴に基づき、その原因を調査することができることがある。
【0083】
また、作業者は、非接触ICタグ2を備えた非接触ICタグ付きヘルメット10を着用し、入退場管理システム100のゲート部20を通常歩行姿勢で通過することにより、ゲート部20における作業者の頭上側に配設されたタグリーダ30が、非接触ICタグ付きヘルメット10の非接触ICタグ2を検知するようになっているので、作業者は、入退場管理システム100の通行証となる非接触ICタグ2をポケットなどに保管するとともに、特定現場へ入場する際に取り出し、その非接触ICタグ2をタグリーダ30にかざしたりする手間を省くことができる。
よって、この入退場管理システム100において作業者は、特定現場への入退場を容易に行うことができる。
【0084】
なお、以上の実施の形態においては、ガス濃度測定器70は、酸素とメタンの濃度を測定し検出するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素など他のガスを測定するようにしてもよく、また、アスベストやダイオキシン等が含まれるような粉塵量を測定し、検出するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態における出力制御処理については、作業者の個人情報と入退場情報とを表示部66に表示させる構成を示したが、例えば、入退場時刻に基づいて労働時間等を演算して表示させるようにしてもよい。
また、それら情報を表示部66に表示させる構成としたが、印刷部により印刷して出力してもよい。
【0086】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る入退場管理システムの概略を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る入退場管理システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る入退場管理システムの概略を示す説明図である。
【図4】非接触ICタグ付きヘルメットを示す斜視図である。
【図5】非接触ICタグを示す平面図である。
【図6】入退場管理システムにおける検知エリアの説明図である。
【図7】入退場管理システムにおける検出センサの説明図である。
【図8】カード情報DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図9】タグIDDBのデータ内容の一例を示す図である。
【図10】入退場情報DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図11】ガス濃度情報DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図12】新規登録処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】入退場認証処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】環境データ通知処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】環境データが通知された通信端末を示す説明図である。
【図16】退避勧告通知処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】退場勧告が通知された通信端末を示す説明図である。
【図18】ICカード書込処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】出力制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】個人情報の出力結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
2 非接触ICタグ
2a アンテナ部
2b ICチップ
3 ICカード
4 カードリーダライタ(カード情報読取手段、書込手段)
8 通信端末
10 非接触ICタグ付きヘルメット
20 ゲート部
30 タグリーダ(タグ識別情報読取手段)
40a 第1の検出センサ
40b 第2の検出センサ
50a、50b 警報部
60 制御装置
61 CPU(カード情報記憶手段、タグ識別情報記憶手段、認証手段、タグ識別情報取得手段、入退場情報記憶手段、入退場情報取得手段、環境データ通知手段、退場勧告通知手段、書込手段、カード情報取得手段、出力制御手段)
66 表示部
67 入力部
68 計時部(経過時間計時手段)
70 ガス濃度測定器(環境データ取得手段)
80 通信部(環境データ通知手段、退場勧告通知手段)
100 入退出管理システム
641 カード情報DB(カード情報記憶手段)
642 タグIDDB(タグ識別情報記憶手段)
643 入退場情報DB(入退場情報記憶手段)
644 ガス濃度情報DB
650 カード情報記憶プログラム(カード情報記憶手段)
651 タグID記憶プログラム(タグ識別情報記憶手段)
652 認証プログラム(認証手段)
653 通知プログラム
654 タグID取得プログラム(タグ識別情報取得手段)
655 入退場情報記憶プログラム(入退場情報記憶手段)
656 入退場情報取得プログラム(入退場情報取得手段)
657 ガス濃度情報記憶プログラム
658 ガス濃度情報取得プログラム
659 ガス濃度警告プログラム
660 環境データ通知プログラム(環境データ通知手段)
661 退場勧告プログラム
662 退場勧告通知プログラム(退場勧告通知手段)
663 書込プログラム(書込手段)
664 カード情報取得プログラム
665 出力制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持するICカードに記憶されている当該ユーザの個人情報を含むカード情報を読み取るカード情報読取手段と、
前記カード情報読取手段により読み取られたカード情報を記憶するカード情報記憶手段と、
前記カード情報記憶手段に記憶されているカード情報と、前記ユーザが所持する非接触ICタグに記憶されているタグ識別情報とを対応つけて記憶するタグ識別情報記憶手段と、
前記ユーザが特定区域へ入退場するための入退場口に設けられ、前記ユーザが所持する非接触ICタグに記憶されているタグ識別情報を読み取るタグ識別情報読取手段と、
前記タグ識別情報読取手段により読み取られたタグ識別情報を、前記タグ識別情報記憶手段に記憶されているタグ識別情報に基づいて認証する認証手段と、
前記認証手段により、前記タグ識別情報読取手段によって読み取られたタグ識別情報が認証された場合、認証されたタグ識別情報と、当該タグ識別情報の読取結果に基づく入退場情報とを対応つけて記憶する入退場情報記憶手段と、
前記特定区域の環境に関する環境データを取得する環境データ取得手段と、
前記環境データ取得手段が取得した環境データを、前記ユーザが所持する通信端末に通知する環境データ通知手段と、
を備えることを特徴とする入退場管理システム。
【請求項2】
前記カード情報読取手段により読み取られたカード情報に対応つけられたタグ識別情報を前記タグ識別情報記憶手段から取得するタグ識別情報取得手段と、
前記タグ識別情報取得手段により取得されたタグ識別情報に対応つけられた入退場情報を前記入退場情報記憶手段から取得する入退場情報取得手段と、
前記入退場情報取得手段により取得された入退場情報と、前記環境データ取得手段が取得した環境データとを対応つけて、前記ユーザのカード情報を記憶するICカードに書き込む書込手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の入退場管理システム。
【請求項3】
前記タグ識別情報読取手段により読み取られたタグ識別情報が、前記認証手段によって認証された後の経過時間を計時する経過時間計時手段と、
前記経過時間計時手段が、所定の経過時間を計時したことに基づき、前記ユーザが所持する通信端末に、前記特定区域から退場すべき旨を通知する退場勧告通知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の入退場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−72719(P2006−72719A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255642(P2004−255642)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月17日 西松建設株式会社がインターネットアドレス(http://www.nishimatsu.co.jp/press/2004/pre10317.htm)に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年(平成16年)3月18日 「日刊建設通信新聞」「日刊建設工業新聞」「日刊建設産業新聞」に発表
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】