内燃機関用NOx除去システム
【課題】NOx吸収液体を用いて排ガス中のNOxを吸収して除去する方式を採用しつつ、NOxを十分に吸収できるようにした内燃機関用NOx除去システムを提供する。
【解決手段】接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関10の排ガスとNOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置30を備える。そして、排気管11のうちNOx除去装置30の上流側に、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置20を配置する。
【解決手段】接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関10の排ガスとNOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置30を備える。そして、排気管11のうちNOx除去装置30の上流側に、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置20を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガスとNOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去する内燃機関用NOx除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排ガス中のNOxを除去する装置としては、NOx吸蔵還元触媒を用いた装置や、尿素選択還元触媒を用いた装置が知られている。NOx吸蔵還元触媒は、定期的に内燃機関をリッチ燃焼させて発生させたHCを還元剤として、吸蔵させたNOxを還元させるものである(特許文献1参照)。また、尿素選択還元触媒は、尿素を還元剤として排ガス中のNOxを選択的に還元させるものである(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、これらの装置では、触媒が活性化する温度(例えば200℃)に上昇するまでは還元機能が発揮されないといった短所がある。しかも近年では、低温燃焼や排熱回収の技術が導入される傾向にあるため、特に内燃機関の始動時には上記短所が顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82315号公報
【特許文献2】特開2009−281294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは、特許文献1,2の如く触媒で還元させる方式とは全く異なる方式である以下の装置を検討した。すなわち、接触したNOxを吸収することができる液体(NOx吸収液体)を保有し、その液体と排ガスとを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去する装置である。NOx吸収液体の具体例としては、イオン液体やアルカリ性水溶液、水等が挙げられる。このようなNOx吸収液体は常温であってもNOxを吸収できるので、触媒活性化温度になるまでNOxを除去できないといった従来の欠点を解消できる。
【0006】
しかしながら、NOx吸収液体を用いた方式では次の問題が生じることを本発明者らは見出した。すなわち、NOx吸収液体は、排ガス中のNOxのみならずCO2をも吸収してしまう。しかも、内燃機関の排ガス中のNOx濃度は0.1%以下であるのに対し、CO2濃度は数%〜数十%であるため、NOx吸収液体での吸収はCO2が支配的になってしまい、NOxを十分に吸収できなくなるとの問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、NOx吸収液体を用いて排ガス中のNOxを吸収して除去する方式を採用しつつ、NOxを十分に吸収できるようにした内燃機関用NOx除去システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0009】
請求項1記載の発明では、接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関の排ガスと前記NOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置と、排気管のうち前記NOx除去装置の上流側に配置され、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、排気管のうちNOx除去装置の上流側にCO2除去装置を設けるので、CO2除去装置によりCO2濃度を低下させた状態の排ガスをNOx除去装置へ送り込むことができる。よって、NOx除去装置が保有するNOx吸収液体に吸収されてしまうCO2の量を低減させることができ、ひいてはNOx吸収液体に十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、前記CO2除去装置は、接触したCO2を吸収するCO2吸収液体を保有し、前記内燃機関の排ガスと前記CO2吸収液体とを接触させることで排ガス中のCO2を吸収して除去するものであることを特徴とする。
【0012】
このようなCO2吸収液体は常温であってもCO2を吸収できるので、上記発明に反し、例えば還元剤を用いて触媒上でCO2を還元させて除去する装置をCO2除去装置として採用した場合には、触媒が活性化温度になるまでCO2を除去できないといった問題が生じる。これに対し上記発明では、CO2吸収液体でCO2を吸着させる方式のCO2除去装置を採用しており、このようなCO2吸収液体は常温であってもCO2を吸収できるので、触媒活性化温度になるまでCO2を除去できないといった上記問題を解消できる。なお、CO2吸収液体の具体例としては、イオン液体やアルカリ性水溶液、水等が挙げられる。
【0013】
請求項3記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、前記循環経路に接続されるとともに前記排気管に配置され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、を有して構成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、車両に搭載された内燃機関の場合、排気管は車両のフロア下に配置されるのが一般的であり、このような排気管にCO2除去装置の全体を搭載しようとすると、車両フロア下は搭載スペースが限られているとともに搭載レイアウトの自由度も小さいので搭載が困難である。
【0015】
これに対し上記発明によれば、CO2吸収液体を循環ポンプで循環させる循環経路に排ガス接触器を接続するようCO2除去装置を構成するので、例えばCO2吸収液体を貯蔵するタンクを循環経路に接続させておけば、排気管に配置される排ガス接触器を小型化できる。よって、搭載スペースが限られている車両フロア下において小型化した排ガス接触器を排気管に接続させるよう配置することを容易に実現できるとともに、タンクや循環ポンプは車両フロア下において排ガス接触器とともに配置することに限定されることなく、その配置レイアウトの自由度を向上できる。
【0016】
請求項4記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段を有し、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記循環制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環を停止させる、或いは前記高NOx運転領域の場合に比べて前記排ガス接触器への循環流量を少なくすることを特徴とする。
【0017】
ここで、機関回転速度や運転負荷等、内燃機関の運転状態が変化すると排ガス中のNOx量は大きく変化するが、NOxが大量に排出される運転状態(高NOx運転)の時に、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることが重要であり、そのためには、高NOx運転時にCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。
【0018】
この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、排ガス接触器へのCO2吸収液体の循環を停止させる或いは循環流量を少なくするので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体量に対する吸収CO2量の割合(吸収割合)の上昇が抑制される。つまり、低NOx運転時には、高NOx運転時に備えて、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくことができる。よって、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0019】
ちなみに、上記「循環制御手段」の具体例としては、図1に例示する循環ポンプ23の作動を制御する手段や、図1に例示するバルブ22c,22dの作動を制御する手段等が挙げられる。
【0020】
請求項5記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記排気管に取り付けられ、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、前記排気管から分岐して、前記排ガス接触器をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路と、前記バイパス通路及び前記排ガス接触器のいずれかに排ガスの流れを切り替える切替弁と、を有して構成され、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記高NOx運転領域の場合には前記排ガス接触器へ排ガスを流通させ、前記低NOx運転領域の場合には前記バイパス通路へ排ガスを流通させるよう、前記切替弁の作動を制御することを特徴とする。
【0021】
先述したように、高NOx運転時には、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、バイパス通路へ排ガスを流通させることにより循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて循環経路内全体についての吸収割合を低い状態にしておくことができる。そして、高NOx運転時には排ガス接触器へ排ガスを流通させるので、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0022】
請求項6記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を貯蔵するタンクと、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段と、を有し、前記循環制御手段は、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出して前記タンク内のCO2吸収液体に入れ替え、前記吸収割合が所定値未満である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を前記循環経路へ循環させることなく保持させることを特徴とする。
【0023】
要するに上記発明では、CO2吸収液体を断続的に循環させており、排ガス接触器内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出してタンク内のCO2吸収液体に入れ替えるよう自動で制御されるので、排ガス接触器内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0024】
請求項7記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環速度を制御する循環速度制御手段を備え、前記循環速度制御手段は、前記排ガス接触器へ前記CO2吸収液体を常時循環させるとともに、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記吸収割合が所定値未満である場合に比べて前記循環速度を上昇させることを特徴とする。
【0025】
要するに上記発明では、CO2吸収液体を常時循環させており、排ガス接触器内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、循環速度を上昇させるよう自動で制御されるので、排ガス接触器内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0026】
請求項8記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体に吸収されているCO2を前記CO2吸収液体から分離して放出する分離放出器と、を有して構成されていることを特徴とする。
【0027】
上記発明によれば、CO2吸収液体に吸収されているCO2をCO2吸収液体から分離して放出させることができるので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低下させることができる。よって、循環経路内全体についてのCO2吸収液体が吸収飽和状態になることを回避できるので、新しいCO2吸収液体に交換する作業を不要にできる。或いは、その交換サイクルを長くできる。
【0028】
請求項9記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記分離制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記高NOx運転領域の場合に比べて前記分離速度を低下させる、或いは、前記分離放出器での分離作動を停止させるよう制御することを特徴とする。
【0029】
先述したように、高NOx運転時には、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、分離放出器での分離速度を低下或いは分離作動を停止させるので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合の上昇が抑制される。つまり、低NOx運転時には、高NOx運転時に備えて、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくことができる。よって、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0030】
請求項10記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、前記分離制御手段は、前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、所定値未満である場合に比べて前記分離速度を上昇させるよう制御することを特徴とする。
【0031】
上記発明によれば、CO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると分離速度を上昇させるので、CO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。換言すれば、吸収割合が所定値未満である場合には分離速度を低下させるので、分離放出器で消費される駆動電力を抑えることができる。よって、内燃機関の駆動力で発電した電力で分離放出器を駆動させる場合おいては、内燃機関による発電負荷低減を図ることができる。さらに、CO2吸収液体を加熱することでCO2吸収液体からCO2を分離させる場合においては、以下の問題に対しても有効である。
【0032】
すなわち、CO2吸収液体の種類によっては、高温であるほどCO2を吸収できる量が低下してくる。また、高温になるとCO2吸収液体が気化してしまいCO2吸収能力を十分に発揮できなくなることが問題となる。したがって、CO2吸収液体を加熱することでCO2を分離させる場合には、分離させるべく加熱することでCO2吸収液体が高温になり、上記問題が懸念される。
【0033】
この問題に対し、上記発明では、吸収割合が所定値以上であれば分離速度を上昇させる一方で、吸収割合が所定値未満であれば分離速度を低下させるので、吸収割合が低く分離の必要性が低い場合にはCO2吸収液体の高温化を抑制できる。よって、CO2吸収液体が高温になることによる上記問題を抑制できる。
【0034】
請求項11記載の発明では、前記分離放出器は、前記CO2吸収液体を加熱することで前記CO2吸収液体からCO2を分離させるものであり、前記分離放出器内での前記CO2吸収液体の温度が上限温度を超えて高温になっている場合には、上限温度未満である場合に比べて前記分離放出器による加熱度合いを低下させることを特徴とする。
【0035】
これによれば、CO2吸収液体が気化するほどに高温になることを回避でき、気化することによってCO2吸収性能が著しく低下してしまうことを回避できる。
【0036】
請求項12記載の発明では、前記排気管に取り付けられて排ガスの熱を回収する熱回収器を備え、前記分離放出器は、前記熱回収器で回収した熱を利用して前記CO2吸収液体を加熱するよう構成されていることを特徴とする。
【0037】
これによれば、排ガスの熱を利用してCO2吸収液体を加熱するので、電気ヒータ等の熱源を設けて加熱する場合に比べて、NOx除去システムで消費される電力量を低減できる。
【0038】
請求項13記載の発明では、前記内燃機関は、排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタ(DPF装置)を有するとともに、捕集された粒子状物質を前記フィルタから除去するよう排気温度を上昇させる再生処理を実行する再生処理制御手段を有しており、前記再生処理を実行するタイミングで、前記分離放出器へCO2吸収液体を流入させるよう前記循環ポンプの作動を制御することを特徴とする。
【0039】
再生処理を実行するタイミングでは、熱回収器で回収できる熱量が多く、分離放出器での分離能力が高くなっているので、このようなタイミングで分離放出器へCO2吸収液体を流入させる上記発明によれば、排ガスの熱を有効に利用できるとともに、分離放出器内に送り込まれてきたCO2吸収液体に対し、短時間でCO2を分離して放出させることができる。
【0040】
請求項14記載の発明では、排ガス中のNOを酸化させてNO2にする酸化手段を、前記排気管のうち前記NOx除去装置の上流側かつ前記CO2除去装置の下流側に配置したことを特徴とする。
【0041】
排ガス中のNOxが吸収されることなくNOx除去装置を素通りしてしまう量に対する、NOx吸収液体での吸収量の割合を「吸収率」とした場合において、NOx吸収液体の種類によってはNO2の方がNOよりも吸収率が高くなる。よって、NOx除去装置の上流側に酸化手段を配置さいた上記発明によれば、NOx除去装置によるNOxの吸収率を向上できる。
【0042】
ただし、CO2除去装置の上流側でNOをNO2に酸化させてしまうと、CO2吸収液体の種類によってはNO2がCO2吸収液体で吸収されてしまう量が増大することが懸念される。この点を鑑みた上記発明によれば、NOx除去装置の上流側かつO2除去装置の下流側に酸化手段を配置するので、上記懸念を解消できる。
【0043】
なお、酸化手段の具体例としては、酸化触媒やオゾン発生装器等が挙げられる。但し酸化触媒を採用する場合には、上記発明では排気管のうち燃焼室から遠い場所に酸化手段(酸化触媒)が配置されることとなるので、排ガスで酸化触媒を加熱して活性化させるにあたり、十分な加熱ができないことが懸念される。その場合には、バーナーや電気ヒータ等の加熱手段を酸化触媒に設けることが望ましい。
【0044】
請求項15記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を冷却するクーラを有することを特徴とする。
【0045】
これによれば、CO2吸収液体が高温になってCO2吸収能力が低下する問題や、気化してしまうといった先述した問題を解消できる。特に、加熱することでCO2吸収液体からCO2を分離させる分離放出器を備える場合には、クーラによりCO2吸収液体を冷却する上記発明は有効である。
【0046】
請求項16記載の発明では、前記CO2吸収液体は、接触したCO2を吸収する溶質を溶媒に溶かしこんだ溶液であり、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の溶質濃度を制御する濃度制御手段を備えることを特徴とする。
【0047】
ここで、溶媒(例えば水)が気化してCO2吸収液体の溶質濃度が高くなったり、排ガス中の水成分がCO2吸収液体に混入して溶質濃度が低くなったりする場合がある。これに対し上記発明によれば、溶質濃度が最適濃度となるように自動で制御することができるので、CO2吸収液体の吸収能力が濃度変化により低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図2】CO2吸収液体(NaOH水溶液)によるCO2吸収能力を説明する図。
【図3】第1実施形態において、CO2吸収液体を断続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる内燃機関用NOx除去システムを示す図。
【図5】図4中の液体回収器を示す図。
【図6】図4中の液体回収器の変形例を示す図。
【図7】第2実施形態において、吸収液体の濃度を制御する手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態において、CO2吸収液体を断続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第3実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図10】内燃機関の運転状態と、NOx排出量及びCO2排出量との関係を示す図。
【図11】第3実施形態において、バイパス弁等の作動を制御する手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の第4実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図13】本発明の第5実施形態において、CO2吸収液体を連続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。なお、各実施形態にかかるNOx除去システムが適用される内燃機関は、車両に搭載されて走行駆動源として機能するものであり、圧縮自着火式のディーゼルエンジンを想定している。
【0050】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかるNOx除去システム及び内燃機関10を示す図である。先ず、内燃機関10の燃焼室10aから排出される排ガスは、車両のフロア下に配置されている排気管11を通じて車両後方の所定箇所から排出される。排気管11には、排ガスに含まれているNOxを酸化させる酸化触媒(DOC12)が取り付けられている。このDOC12により、排ガス中のNOはNO2に酸化される。
【0051】
また、排気管11のうちDOC12の下流側には、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(DPF13)が取り付けられている。そして、DPF13により捕集されたPMを燃焼させるべく、排気温度を上昇させるよう燃料噴射弁14からの噴射量及び噴射タイミングを制御(再生処理制御)することを、定期的に実施する。なお、再生処理制御するよう燃料噴射弁14の作動を制御している時の制御装置(ECU15)は、特許請求の範囲に記載の「再生処理制御手段」に相当する。
【0052】
排気管11のうちDPF13の下流側には、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置20が設けられ、また、排気管11のうちCO2除去装置20の下流側には、排ガス中のNOxを除去するNOx除去装置30が設けられている。以下、各々の装置20,30の構成について詳細に説明する。
【0053】
<CO2除去装置20について>
CO2除去装置20は、主に、タンク21、排ガス接触器22、循環ポンプ23、分離放出器24を有して構成されており、これらは循環配管25により接続されている。タンク21内にはCO2吸収液体(後に詳述)が貯蔵されている。このCO2吸収液体は、循環配管25により形成された循環経路を循環ポンプ23の作動により循環する。排ガス接触器22は、排気管11に取り付けられており、循環するCO2吸収液体を排ガスに接触させるよう機能する。
【0054】
CO2吸収液体は、排ガス中のCO2と接触することでCO2を吸収する液体である。具体的には、特開2008−296211号公報等に記載のイオン液体や、アルカリ溶液、水(例えばエンジン冷却水)等が挙げられる。また、排ガス中のNOxを殆ど吸収せずにCO2を選択的に吸収する液体(例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、Ca(OH)2、エタノールアミン等)を用いれば、CO2吸収量を多くできるので好適である。また、CO2吸収液体は、化学変化を伴ってCO2を吸収(化学吸着)する物質でもよいし、化学変化を伴わずにCO2を吸収(物理吸着)する物質でもよい。また、CO2吸収液体はゲル状の物質やスラリー状の物質でもよい。
【0055】
図2は、CO2吸収液体にNaOH水溶液を用いた場合のCO2除去の効果を示す試験結果であり、CO2濃度が約6%の排ガスを排ガス接触器22へ流入させたところ、排ガス接触器22から流出した排ガスのCO2濃度は約1%にまで低減されていることが確認された。
【0056】
排ガス接触器22は、CO2吸収液体を染み込ませて保持する保持体22a、及び保持体22aを内部に収容するケース22bを備えて構成されている。ケース22bは排気管11に接続されており、ケース22b内には排ガスが流通する。また、ケース22bは循環配管25に接続されており、ケース22bの流入口から循環配管25を通じてケース22b内に流入したCO2吸収液体は、保持体22aにて保持される。保持体22aは、ケース22b内を流通する排ガスに晒されるように配置されている。そのため、保持体22aに保持されているCO2吸収液体は排ガスと接触する。
【0057】
ケース22bの流入口及び流出口には流入バルブ22c及び流出バルブ22dが備えられている。これらのバルブ22c,22dは電磁駆動式のバルブであり、その開閉作動はECU15により制御される。よって、ECU15により流出バルブ22dを開作動させればケース22b内のCO2吸収液体を排出させることができ、ECU15により流入バルブ22cを開作動させればケース22b内へCO2吸収液体を流入させることができる。
【0058】
なお、流入口はケース22bの上部に形成され、流出口はケース22bの下部に形成されている。そのため、流出バルブ22dを開作動させると、循環ポンプ23が駆動していなくても自重で排出できるよう構成されている。また、ケース22b内のCO2吸収液体が排出された状態で流入バルブ22cを開作動させると、循環ポンプ23が駆動していなくても自重で流入できるよう構成されている。
【0059】
分離放出器24は、排ガス接触器22から排出されたCO2吸収液体を貯蔵するタンク24a、及びタンク24aに設けられたヒータ24b(加熱手段)を有して構成されている。排ガス接触器22から排出されてタンク24a内へ流入してきたCO2吸収液体をヒータ24bで加熱すると、CO2吸収液体に吸収されているCO2がCO2吸収液体から分離する。
【0060】
ヒータ24bの作動はECU15により制御される。よって、ECU15によりヒータ24bを作動させるよう制御すればCO2の分離が促進され、ヒータ24bの作動を停止させるよう制御すればCO2の分離速度が低下する。つまりECU15は、ヒータ24bの作動を制御(加熱度合いを制御)することで分離速度を制御する分離制御手段として機能する。
【0061】
ここで、単位量あたりのCO2吸収液体によりCO2を吸収できる量には限界がある。本明細書では、このような限界量を吸収したCO2吸収液体の状態を吸収飽和状態と呼ぶ。また、CO2の吸収量がゼロである状態においてCO2吸収液体がCO2を吸収できる量(最大吸収量)に対する、CO2吸収量の割合を吸収割合と呼ぶ。つまり、吸収飽和状態での吸収割合は100%である。そして、分離放出器24によりCO2吸収液体からCO2を分離させると、吸収割合が低下してCO2吸収液体の吸収能力が上昇して復帰する。なお、分離したCO2は放出口24cから大気に放出される。そして、分離放出器24によりCO2が分離除去された状態のCO2吸収液体は、タンク21、CO2除去装置20、分離放出器24の順に循環する。
【0062】
循環ポンプ23の作動はECU15により制御される。本実施形態では、循環ポンプ23を常時作動させるのではなく断続的に作動させている。つまり、CO2吸収液体を常時循環させるのではなく、断続的に循環させている。循環ポンプ23やヒータ24b等の制御内容については、後に詳述する。
【0063】
<NOx除去装置30について>
次に、NOx除去装置30の構成について説明する。NOx除去装置30は、主に、タンク31、排ガス接触器32、循環ポンプ33を有して構成されており、これらは循環配管35により接続されている。
【0064】
タンク31内は、排ガス接触器32へ供給する未使用のNOx吸収液体(後に詳述)を貯蔵してする供給タンク部31aと、回収された使用済みのNOx吸収液体を貯蔵する回収タンク部31bとに仕切られている。これにより、未使用のNOx吸収液体へ使用済みのNOx吸収液体が混入することを回避する。供給タンク部31a内のNOx吸収液体は排ガス接触器32へ供給される。排ガス接触器32で使用されたNOx吸収液体は循環ポンプ33を作動させることにより回収タンク部31bへ回収される。
【0065】
排ガス接触器32は、排気管11のうち、CO2除去装置20の排ガス接触器32の下流側に取り付けられており、NOx吸収液体を排ガスに接触させるよう機能する。
【0066】
NOx吸収液体は、排ガス中のNOxと接触することでNOxを吸収する液体である。具体的には、特開2008−296211号公報等に記載のイオン液体や、アルカリ溶液、水(例えばエンジン冷却水)等が挙げられる。また、排ガス中のCO2を殆ど吸収せずにNOxを選択的に吸収する液体(例えば、FeSO4、Ca(OH)2、H2SO4、K2Cr2O7等)を用いれば、NOx吸収量を多くできるので好適である。また、NOx吸収液体は、化学変化を伴ってNOxを吸収(化学吸着)する物質でもよいし、化学変化を伴わずにNOxを吸収(物理吸着)する物質でもよい。また、NOx吸収液体はゲル状の物質やスラリー状の物質でもよい。
【0067】
排ガス接触器32は、NOx吸収液体を保持する保持体32a、及び保持体32aを内部に収容するケース32bを備えて構成されている。ケース32bは排気管11に接続されており、ケース32b内には排ガスが流通する。また、ケース32bは循環配管35に接続されており、ケース32bの流入口から循環配管35を通じてケース32b内に流入したNOx吸収液体は、保持体32aにて保持される。保持体32aは、ケース32b内を流通する排ガスに晒されるように配置されている。そのため、保持体32aに保持されているNOx吸収液体は排ガスと接触する。
【0068】
ケース32bの流入口及び流出口には流入バルブ32c及び流出バルブ32dが備えられている。これらのバルブ32c,32dは電磁駆動式のバルブであり、その開閉作動はECU15により制御される。よって、ECU15により流出バルブ32dを開作動させればケース32b内のNOx吸収液体を排出させることができ、ECU15により流入バルブ32cを開作動させればケース32b内へCO2吸収液体を流入させることができる。
【0069】
なお、流入口はケース32bの上部に形成され、流出口はケース32bの下部に形成されている。そのため、流出バルブ32dを開作動させると、循環ポンプ33が駆動していなくても自重で排出できるよう構成されている。また、ケース32b内のNOx吸収液体が排出された状態で流入バルブ32cを開作動させると、循環ポンプ33が駆動していなくても自重で流入できるよう構成されている。
【0070】
ここで、単位量あたりのNOx吸収液体によりNOxを吸収できる量には限界がある。本明細書では、このような限界量を吸収したNOx吸収液体の状態を吸収飽和状態と呼ぶ。また、NOxの吸収量がゼロである状態においてNOx吸収液体がNOxを吸収できる量(最大吸収量)に対する、NOx吸収量の割合を吸収割合と呼ぶ。つまり、吸収飽和状態での吸収割合は100%であり、供給タンク部31aに貯蔵されている未使用のNOx吸収液体の吸収割合は0%である。
【0071】
要するに、供給タンク部31a内のNOx吸収液体は吸収割合がゼロであり、排ガス接触器32へ供給される。そして、排ガス接触器32内で吸収割合が所定値以上に高くなったNOx吸収液体は、循環ポンプ33により回収タンク部31bへ回収される。回収タンク部31bへ回収された使用済みのNOx吸収液体は、タンク31から抜き出して車両外部の処理施設で排液処理する。また、供給タンク部31aへの新規NOx吸収液体の供給は、車両ユーザやメンテナンス作業者により随時行われる。
【0072】
循環ポンプ33の作動はECU15により制御される。本実施形態では、循環ポンプ33を常時作動させるのではなく断続的に作動させている。つまり、NOx吸収液体を常時流通させるのではなく、断続的に流通させている。
【0073】
より詳細に説明すると、NOx除去装置30は、NOx吸収液体の吸収割合と相関のある物理量を検出するセンサを有する。本実施形態では前記センサとしてphセンサ32eを用いており、このphセンサ32eは排ガス接触器32に取り付けられている。ECU15は、phセンサ32eにより検出されたphが所定値以下であれば(酸性の度合いが高ければ)、排ガス接触器32内のNOx吸収液体の吸収割合が所定値以上になっているとみなして、以下に説明する入替制御を実施する。
【0074】
上記入替制御では、先ず、流出バルブ32dを開弁作動させて排ガス接触器32内のNOx吸収液体を排出する。この時、循環ポンプ33を駆動させることで、排出されたNOx吸収液体を回収タンク部31bへ回収する。流出バルブ32dの開弁が所定時間為されると、NOx吸収液体の排出が完了したとみなして、流出バルブ32dを閉弁作動させるとともに流入バルブ32cを開弁作動させる。これにより、供給タンク部31a内のNOx吸収液体が排ガス接触器32へ流入する。流入バルブ32cの開弁が所定時間為されると、NOx吸収液体の供給入替が完了したとみなして、流入バルブ32cを閉弁作動させる。
【0075】
<CO2吸収液体の循環制御について>
次に、循環ポンプ23の作動を制御することによるCO2吸収液体の循環制御、及びヒータ24bの作動を制御することによる分離放出器24での分離速度制御について、その手順を説明する。
【0076】
図3は、上記制御の手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0077】
先ず、図3に示すステップS10において、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になっているか否かを判定する。より詳細に説明すると、CO2除去装置20は、CO2吸収液体の吸収割合と相関のある物理量を検出するセンサを有する。本実施形態では前記センサとしてphセンサ22eを用いており、このphセンサ22eは排ガス接触器22に取り付けられている。上記ステップS10では、phセンサ22eにより検出されたphが所定値以下であれば(酸性の度合いが高ければ)、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上であるとみなして、次のステップS11に進む。
【0078】
ステップS11(循環制御手段)では、循環ポンプ23の作動を開始させる。この時、流入バルブ22c及び流出バルブ22dの両バルブを開弁作動させてもよいし、流出バルブ22dのみを開弁作動させてもよい。或いは、両バルブ22c,22dを廃止した構成としてもよい。これにより、排ガス接触器22からのCO2吸収液体の排出が開始される。続くステップS12(分離制御手段)では、ヒータ24bへの通電を開始させる。これにより、分離放出器24によるCO2の分離が開始される。
【0079】
続くステップS13では、ステップS11で循環ポンプ23の作動を開始させてから所定の運転時間が経過したか否かを判定する。所定運転時間が経過したと判定されれば(S13:YES)、排ガス接触器22が保持できる量のCO2吸収液体が排出されたとみなして、続くステップS14(循環制御手段)にて循環ポンプ23の作動を停止させる。循環ポンプ23の作動開始時点から両バルブ22c,22dを開弁させていた場合には、循環ポンプ23の作動停止時点で両バルブ22c,22dを閉弁作動させる。
【0080】
一方、循環ポンプ23の作動開始時点で流出バルブ22dのみを開弁作動させていた場合には、循環ポンプ23の作動停止時点で流出バルブ22dを閉弁作動させるとともに流入バルブ22cを開弁作動させる。これによれば、吸収割合が所定値以上にまで上昇している使用済みのCO2吸収液体とタンク21から供給する未使用のCO2吸収液体とが混ざることを抑制できる。
【0081】
続くステップS15では、分離放出器24内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値未満にまで低下するようCO2が十分に分離放出されたか否かを判定する。具体的には、ヒータ24bの運転時間が、所定温度以上で所定時間以上経過した場合に(S15:YES)、CO2が十分に分離放出されたとみなして、続くステップS16(分離制御手段)にてヒータ24bの作動を停止させる。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)排気管11のうち、NOx除去装置30の排ガス接触器32の上流側に、CO2除去装置20の排ガス接触器22を設けるので、CO2除去装置20によりCO2濃度を低下させた状態の排ガスをNOx除去装置30へ送り込むことができる。よって、NOx吸収液体に吸収されてしまうCO2の量を低減させることができ、ひいてはNOx吸収液体に十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0084】
(2)本実施形態にかかるNOx除去システムでは、NOx吸収液体を排ガスに接触させることでNOxを吸収するとともに、CO2吸収液体を排ガスに接触させることでCO2を吸収するものである。よって、常温であってもCO2除去装置20及びNOx除去装置30による除去機能を発揮させることができるので、内燃機関10の冷間始動時であっても、内燃機関10の始動直後から排ガス中のNOxを除去することができる。
【0085】
(3)ここで、本実施形態にかかるCO2除去装置20は、排気管11に取り付けられる排ガス接触器22とタンク21とを別体に構成して循環させているが、排ガス接触器22の容量をタンク21と同等にするとともに、ヒータ24bを排ガス接触器22に設けるようにすれば、分離放出器24及びタンク21を排ガス接触器22に一体化させることができ、上記循環を不要にできる。しかしながらこのように一体化すると、排ガス接触器22が大型となり、車両のフロア下に排ガス接触器22を設置することが極めて困難となる。
【0086】
これに対し本実施形態では、排ガス接触器22、タンク21及び分離放出器24を別体に構成して循環させているので、フロア下に位置する排気管11に接続することが要求される排ガス接触器22を小型化できる。よって、排ガス接触器22をフロア下に設置することを容易に実現できるとともに、CO2除去装置20を車両へ搭載するにあたり、その搭載レイアウトの自由度を向上できる。
【0087】
さらに、排ガス接触器22、タンク21及び分離放出器24を別体に構成して循環させる本実施形態によれば、排気量の大きい内燃機関10に対しては、タンク21の容量を大きくしてCO2吸収液体を排ガス接触器22へ供給する頻度を高くすることで対応する一方で、排ガス接触器22については排気量の異なる内燃機関10同士で共通化させることができる。
【0088】
(4)排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、排ガス接触器22内のCO2吸収液体を排出してタンク21内のCO2吸収液体に入れ替えるよう自動で制御するので、排ガス接触器22内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0089】
ここで、排ガス接触器22内のCO2吸収液体を入れ替える制御(入替制御)を実行するか否かを判定するにあたり、内燃機関10の運転時間や車両の走行距離に基づき判定するようにすれば、phセンサ22eを廃止できてコストダウンを図ることができる。但し、phセンサ22eを用いてCO2吸収液体のphを検出することで、入替制御の実行時期を判定する本実施形態によれば、吸収割合が所定値以上にならないように精度良く管理できる。また、所定値未満であるにも拘わらず早期に入れ替えられてしまうといった不具合を解消できる。
【0090】
(5)ここで、排ガス中のNOxを排ガス接触器32で吸収させるにあたり、NOよりもNO2の方が吸収率を高めることができる。そこで本実施形態では、NOをNO2に酸化するDOC12を排ガス接触器32の上流側に配置しているので、排ガス接触器32におけるNOxの吸収率を向上できる。また、DPFを排ガス接触器22,32の上流側に配置しているので、排ガス中のPMが排ガス接触器22,32内部に付着して目詰まりが生じることを抑制できる。
【0091】
(第2実施形態)
図4に示す本実施形態では、上記第1実施形態にかかるCO2除去装置20に、以下に説明する熱回収器24d、クーラ26、液体回収器27、溶液タンク28等の機能を追加するとともに、NOx除去装置30にも液体回収器37及び溶液タンク38の機能を追加している。以下、図4のシステム構成について、図1との違いを中心に説明する。なお、図4中、図1と同一符号部分についてはその説明を援用する。
【0092】
熱回収器24dは、排気管11に取り付けられて排ガスの熱を回収するものであり、熱媒体として例えばエンジン冷却水を用いる。エンジン冷却水は配管24eを通じて分離放出器24のタンク24aに接続され、タンク24a内のCO2吸収液体と熱交換して加熱する。要するに、図1に示すヒータ24bを廃止して、熱回収器24dによりCO2吸収液体を加熱してCO2を分離させている。
【0093】
エンジン冷却水を流通させる配管24eにはECU15で制御されるポンプ24fが取り付けられており、このポンプ24fの作動を制御することで加熱度合い(つまり分離速度)を制御している。例えば、分離放出器24のタンク24aに温度センサ24gを取り付けて、タンク24a内のCO2吸収液体の温度を検出し、その検出温度に応じてポンプ24fのオンオフを切替制御することで、加熱度合いを制御する。
【0094】
クーラ26は、循環配管25のうち分離放出器24及びタンク21に配置され、分離放出器24で加熱分離した直後のCO2吸収液体を冷却する。クーラ26は、周囲の空気と熱交換する空冷式でも良いし、例えば車室内空調装置が有するエバポレータを循環する冷媒等を取り込んで、その冷媒とCO2吸収液体とを熱交換させる方式でも良い。
【0095】
CO2吸収液体は温度上昇に伴いCO2を吸収できる量が低下していく。特に、所定温度を超えて上昇すると、CO2を吸収できる量は急激に低下する。そのため、分離放出器24で加熱されたCO2吸収液体をクーラ26で冷却している。
【0096】
液体回収器27は、排気管11のうち排ガス接触器22の下流側かつNOx除去装置30の上流側に配置されている。排ガス接触器22で接触したCO2吸収液体の一部は、排ガスとともに排気管11中へ持ち去られていくことが懸念される。液体回収器27は、このように持ち去られてケース22bの外部に流出したCO2吸収液体を回収するものである。また、回収したCO2吸収液体からCO2を除去して吸収割合を低下させるとともに、このように処理されたCO2吸収液体を、配管27aを通じて循環配管25へ戻すよう機能する。
【0097】
図5は、液体回収器27の構成を示す図であり、液体回収器27は、排気管11中に配置された電極27b、及び排気管11の内壁面に取り付けられた電気セル27cを有する。電極27bに直流高電圧を印加すると、排気中に流出したCO2吸収液体に電子が付着してイオン化される。そして、イオン化した状態のCO2吸収液体が電気セル27cに付着すると、CO2吸収液体に吸収されているCO2イオンのみが電気セル27cを通過して貯留部27dへ移動して析出する。貯留部27dは電気的に接地されているため、貯留部27dへ移動したCO2イオンの電子はグランドへ流れ込む。換言すれば、電気セル27cを通過できずに残ったCO2吸収液体は、CO2が除去された状態となり、吸収割合が低下されることとなる。
【0098】
要するに、排気中のCO2吸収液体を高電圧で帯電させることで電気セル27cに析出させて回収する。その後、電気セル27cを用いて回収したCO2吸収液体からCO2を除去し、吸収割合が低下したCO2吸収液体は配管27aを通じて循環配管25へ戻される。なお、貯留部27dに溜まったCO2は大気に放出すればよい。
【0099】
図6は、図5に示す液体回収器27の変形例を示す図であり、電気セル27cを廃止している。電極27bにより高電圧で帯電された排気中のCO2吸収液体は、貯留槽27eに回収される。貯留槽27e内では、吸収割合が高くCO2を多く吸収しているCO2吸収液体は貯留槽27eの下部へ沈殿する。そのため、貯留槽27e内では、吸収割合の低いCO2吸収液体(CO2希薄液体)と、吸収割合の高いCO2濃縮液体とが分離される。そして、貯留槽27eに貯留されたCO2吸収液体のうち上層のCO2希薄液体が配管27aを通じて循環配管25へ戻される。なお、貯留槽27eの下層に溜まったCO2濃縮液体は、車両の修理工場等で回収して廃棄処理すればよい。
【0100】
ここで、本実施形態にかかるCO2吸収液体は、イオン液体やアルカリ溶液等のように、溶媒(例えば水)中に溶質(例えばイオン、アルカリ)を溶かし込んだ溶液を用いている。この場合、溶質濃度が所定濃度に維持させることが、所定のCO2吸収機能を発揮させる上で重要となる。しかし、溶媒が蒸発することで濃度が高くなったり、排ガス中の水成分が排ガス接触器22でCO2吸収液体に混入することで濃度が低くなったりする。
【0101】
そこで、本実施形態では、溶液タンク28にイオンやアルカリ等の溶質、及び水等の溶媒を貯蔵させており、濃度センサ28aにより検出された濃度に応じて、溶質及び溶媒をタンク21へ補給する。濃度センサ28aは、循環配管25のうちタンク21の下流側近傍に取り付けられており、例えば液体の濃度と相関の高い粘度を検出するセンサを、濃度センサ28aとして採用する。
【0102】
溶液タンク28とタンク21との接続箇所には、ECU15により制御される電磁バルブ28bが設けられている。ECU15は、濃度センサ28aの検出値に応じてバルブ28bを開閉制御することで、溶質及び溶媒の補給量を制御して、タンク21内のCO2吸収液体の濃度が最適濃度範囲内となるよう制御する。
【0103】
NOx除去装置30は、CO2除去装置20が有する液体回収器27と同じ構成の液体回収器37を有している。液体回収器37は、排気管11のうち排ガス接触器32の下流側に配置されている。排ガス接触器32で接触したNOx吸収液体の一部は、排ガスとともに排気管11中へ持ち去られていくことが懸念される。液体回収器37は、このように持ち去られてケース32bの外部に流出したNOx吸収液体を回収するものである。また、回収したNOx吸収液体からNOxを除去して吸収割合を低下させるとともに、このように処理されたNOx吸収液体を、配管37aを通じて循環配管35へ戻すよう機能する。
【0104】
また、NOx除去装置30は、CO2除去装置20が有する溶液タンク28、濃度センサ28a及び電磁バルブ28bと同じ構成の、溶液タンク38、濃度センサ38a及び電磁バルブ38bを有している。ECU15は、濃度センサ38aの検出値に応じてバルブ38bを開閉制御することで、NOx吸収液体の溶質及び溶媒の補給量を制御して、タンク31内のNOx吸収液体の濃度が最適濃度範囲内となるよう制御する。
【0105】
なお、排ガス中の水分が混入して濃度が低くなる度合いは、溶質が気化して濃度が高くなる度合いに比べて低い。そのため、溶液タンク28,38にて溶媒を貯蔵して補給することを廃止するようにしてもよい。
【0106】
図7は、溶質が気化して濃度が高くなることを解消すべく、溶質の補給量を制御してCO2吸収液及びNOx吸収液体の濃度を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0107】
先ず、図7に示すステップS20(濃度制御手段)において、濃度センサ28a,38aにより検出された液体粘度(濃度)が所定値以上であるか否かを判定する。所定値以上であれば溶媒(例えば水)をタンク21,31に補給すべく、続くステップS21(濃度制御手段)において電磁バルブ28b,38bを開弁作動させる。一方、検出粘度(濃度)が所定値未満であれば、補給と停止させるべく、電磁バルブ28b,38bを閉弁作動させる。
【0108】
図8は、熱回収器24dのポンプ24f、及び循環配管25の循環ポンプ23の作動を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0109】
先ず、図8に示すステップS30において、DPF13の再生処理が実行されている最中であるか否かを判定する。上記再生処理とは、燃料噴射弁14から燃料を噴射させるタイミングを遅角させる、或いは燃料噴射量を増大させることにより、排気温度を一時的に上昇させる処理である。これにより、DPF13で捕集されたPMを燃焼させて除去することができ、DPF13の再生化が図られる。
【0110】
DPF13の再生処理中であると判定された場合には、続くステップS31において、熱回収器24dのポンプ24fを駆動させる。これにより、熱回収器24dの熱媒体が分離放出器24へ循環され、再生処理の実行に伴い温度上昇している排ガスの熱により、分離放出器24内のCO2吸収液体が加熱され、CO2の分離が促進される。続くステップS32では、放出口24cを開放させて分離放出器24からCO2を放出させる。
【0111】
続くステップS33では、分離したCO2の全てが放出されたか否かを判定する。具体的には、放出口24cを開放させてから所定時間が経過した時点で放出終了と判定する。或いは、分離放出器24内のCO2吸収液体の温度が所定温度にまで上昇してから所定時間が経過した時点で放出終了と判定する。放出終了と判定されると、ポンプ24fの作動を停止させて加熱によるCO2の分離を終了させる。なお、分離放出器24内のCO2吸収液体が上限温度にまで上昇した場合には、CO2放出が終了していなくとも、ポンプ24fの作動を停止させる。これにより、排ガス接触器22へ供給されるCO2吸収液体の温度が過剰に上昇して吸収能力が低下することの回避を図る。
【0112】
また、放出終了と判定されると、続くステップS34において、循環配管25の循環ポンプ23の作動を駆動させて、タンク21内のCO2吸収液体を排ガス接触器22へ供給する。この場合、上述した入替制御(流出バルブ32dを開弁作動させて排ガス接触器22からの液体排出が完了した後、流入バルブ32cを開弁作動させて液体供給を行う制御)を実施してもよいし、両バルブ22c,22dを開作動させたまま循環ポンプ23の作動を開始してもよい。
【0113】
続くステップS35では、保持体22aで保持可能な容量分の液体が、タンク21から保持体22aへ供給されたか否かを判定する。具体的には、循環ポンプ23の駆動運転時間が所定時間経過した時点で、容量分の液体が供給されて入れ替えが完了したと判定し(S35:YES)、続くステップS36において、循環ポンプ23の作動を停止させて液体の循環を停止させる。
【0114】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果が得られるとともに、以下の効果も得られるようになる。
【0115】
(5)熱回収器24dを備えることにより、排ガスの熱を回収して分離放出器24内の液体を加熱するので、図1のヒータ24bを廃止でき、電力消費を低減できる。
【0116】
(6)DPF13の再生処理を実行するタイミングでポンプ24fを駆動させて熱回収するので、液体を加熱して分離させるのに十分な熱量を確保することができる。
【0117】
(7)クーラ26を備えることにより、加熱して分離させることに伴い温度上昇した液体を冷却するので、温度上昇に伴いCO2吸収能力が低下した液体に対し、CO2吸収能力の復帰を図ることができる。
【0118】
(8)液体回収器27,37を備えることにより、排ガス接触器22,32から排気管11中へ流出した吸収液体の一部が、排ガスとともに排出されてしまうことを抑制できる。しかも、回収した吸収液体からCO2,NOxを分離して吸収割合を低下させた上で吸収液体を循環配管25,35へ戻すので、循環配管25,35内の吸収液体の吸収割合が上昇することを抑制できる。
【0119】
(9)溶液タンク28,38及び濃度センサ28a,38aを備えることにより、吸収液体の濃度が所定濃度に維持されるので、濃度が変化することにより吸収能力が低下してしまうことを回避できる。
【0120】
(第3実施形態)
図9に示す本実施形態では、上記第1実施形態にかかるNOx除去システムに、バイパス配管40及びバイパス弁41(切替弁)を備えさせている。以下、図9のシステム構成について、図1との違いを中心に説明する。なお、図9中、図1と同一符号部分についてはその説明を援用する。
【0121】
バイパス配管40は、排ガス接触器22,32をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路40aを形成する配管であり、排気管11のうち排ガス接触器22の上流側、及び排ガス接触器32の下流側に接続されている。バイパス通路40aの入口は、バイパス弁41により開閉される。バイパス弁41は電動モータにより駆動し、当該モータの作動はECU15により制御される。
【0122】
なお、図4の如く熱回収器24dを備えるシステムにバイパス配管40を備えさせる場合には、熱回収器24dの下流側かつ排ガス接触器22の上流側にバイパス配管40の入口を接続させることが望ましい。これにより、バイパス弁41の作動状態に拘わらずに廃熱を回収して分離放出器24内の液体を加熱することができる。また、図4の如く液体回収器37を備えるシステムにバイパス配管40を備えさせる場合には、排ガス接触器32の下流側かつ液体回収器37の上流側にバイパス配管40の出口を接続させることが望ましい。これにより、バイパス弁41の作動状態に拘わらずに、漏れ出たNOx吸収液体を回収できる。
【0123】
ここで、図10(a)(b)に示すように、排ガス中のNOx排出量及びCO2排出量は、内燃機関10の運転状態(例えばエンジン出力軸の回転速度NEや、エンジン負荷)に応じて大きく変化する。例えば、エンジン負荷が高いほどNOx排出量及びCO2排出量は高くなることを図10は示す。また、中負荷であってもエンジン回転速度NEが2000rpm近傍であれば、NOx排出量は少なくなることを図10(a)は示す。
【0124】
そしてECU15は、NOx排出量が所定の閾値TH未満となるようなエンジン運転状態の時にバイパス弁41を開弁作動させ、閾値TH以上となる時にバイパス弁41を閉弁作動させる。なお、バイパス弁41の開弁時には循環ポンプ23,33の作動を停止させ、バイパス弁41の閉弁時には循環ポンプ23,33を作動させるよう制御する。
【0125】
図11は、バイパス弁41の作動を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0126】
先ず、図11に示すステップS40において、エンジン負荷及び回転速度NEが、予め作成しておいたマップ中の所定範囲(低NOx運転領域)内であるか否かを判定する。当該マップは、エンジン負荷及び回転速度NEと、NOx排出量との関係を予め試験して作成されたものである。そして、エンジン負荷及び回転速度NEによる領域が、NOx排出量が閾値TH未満となる領域を低NOx運転領域として設定している。
【0127】
低NOx運転領域であると判定された場合には(S40:YES)、続くステップS41において、バイパス弁41を開弁作動させる。これにより、排ガスは、バイパス通路40aを流れて排ガス接触器22,32をバイパスすることとなる。続くステップS42(循環制御手段)では循環ポンプ23,33の作動をオフさせて循環配管25,35での液体の循環を停止させ、続くステップS43(分離制御手段)ではヒータ24bの作動をオフさせてCO2の分離を停止させる。
【0128】
一方、エンジン負荷及び回転速度NEが、マップ中の低NOx運転領域でない高NOx運転領域であると判定された場合には(S40:NO)、続くステップS44(分離制御手段)において、ヒータ24bの作動をオンさせてCO2の分離を開始させる。続くステップS45(循環制御手段)では、循環ポンプ23,33の作動をオンさせて循環配管25,35内の液体を循環させる。続くステップS46では、バイパス弁41を閉弁作動させる。これにより、排ガスは、排ガス接触器22,32を流通することとなる。
【0129】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果が得られるとともに、以下の効果も得られるようになる。
【0130】
(10)高NOx運転時には、NOx除去装置30で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置20でのCO2除去能力を高めさせておくことが望ましい。そこで本実施形態では、低NOx運転時には、バイパス通路40aへ排ガスを流通させることにより循環配管25で循環させるCO2吸収液体全体についての吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて吸収割合を低い状態にしておくことができる。そして、高NOx運転時には排ガス接触器22,32へ排ガスを流通させるので、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置30で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0131】
同様にして、低NOx運転時には、循環配管35で循環させるNOx吸収液体全体についての吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて吸収割合を低い状態にしておくことができる。
【0132】
また、車両用の内燃機関10は、エンジン負荷や回転速度NEが短時間で急激に変化するものである。これに対し本実施形態では、低NOx運転時に、CO2吸収液体及びNOx吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくので、短時間で大量のNOxが排出されてきたとしても、そのNOxを十分に吸収させることができる。
【0133】
(11)低NOx運転時には、ヒータ24bの作動を停止させるので、ヒータ24bでの消費電力を抑制できる。よって、バッテリの消費を抑制でき、ひいては、内燃機関10による発電量を抑制して燃費向上を図ることができる。
【0134】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、図1に示すように、排ガス中のNOをNO2に酸化するDOC12(酸化手段)を排ガス接触器22の上流側に配置している。これは酸化触媒を活性化させるために内燃機関10の排気ポートにできるだけ近い位置にDOC12を配置することで、高温排気によりDOC12の温度上昇を短時間で実現させる点で有利である。しかしながら、NOをNO2に酸化すると、排ガス接触器32でのNOx吸収率を向上できると同時に、排ガス接触器22内においてCO2吸収液体によりNOxが吸収されやすくなってしまう。
【0135】
この点を鑑みた本実施形態では、図12に示すように、排気管11のうち、CO2除去装置20の排ガス接触器22の下流側、かつ、NOx除去装置30の排ガス接触器32の上流側に酸化手段12aを配置している。これによれば、CO2吸収液体がNOxを吸収することを抑制できるとともに、NOx吸収液体がNOxを吸収することを向上できる。
【0136】
但し、このような位置に酸化手段12aを配置すると、排気ポートから遠い位置になるので、高温排気により酸化触媒を短時間で活性化することが困難となる。よって、本実施形態にかかる酸化手段12aには、酸化触媒を用いたDOCに替えて、オゾン発生器やラジカル発生器を採用することが望ましい。或いは、酸化触媒(DOC)を用いた場合には、DOCを加熱する電気ヒータやバーナーを備えさせることが望ましい。
【0137】
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、CO2除去装置20の循環ポンプ23を断続的に作動させて、循環配管25内のCO2吸収液体を断続的に循環させている。これに対し本実施形態では、CO2除去装置20の循環ポンプ23を常時作動させて、循環配管25内のCO2吸収液体を常時循環させている。但し、ECU15は循環ポンプ23の作動を制御するにあたり、CO2吸収液体の吸収割合に応じてその循環速度を可変制御している。なお、本実施形態では図1に示す流入バルブ22c及び流出バルブ22dを廃止している。
【0138】
図13は、上記制御の手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0139】
先ず、図13に示すステップS50において、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定範囲内になっているか否かを判定する。所定範囲内であると判定されれば(S50:OK)、分離放出器24のヒータ24bの出力及び循環ポンプ23の出力を現状の出力に維持させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度を維持させる。なお、吸収割合の検出は、第1実施形態と同様にしてphセンサ22eにより検出すればよい。
【0140】
phセンサ22eによるph値が所定範囲内以下であると判定されれば(S50:以下)、CO2吸収液体の吸収割合が所定範囲以上であるとみなして、続くステップS51(循環速度制御手段),S52(分離制御手段)において、ヒータ24b及び循環ポンプ23の出力を上昇させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度が上昇するので、排ガス接触器22により単位時間当たりに吸収できるCO2の量が上昇する。
【0141】
一方、phセンサ22eによるph値が所定範囲内以上であると判定されれば(S50:以上)、CO2吸収液体の吸収割合が所定範囲以下であるとみなして、続くステップS53(循環速度制御手段),S54(分離制御手段)において、ヒータ24b及び循環ポンプ23の出力を低下させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度が低下するので、排ガス接触器22により単位時間当たりに吸収できるCO2の量が低下する。
【0142】
続くステップS55では、分離放出器24内のCO2吸収液体の温度が所定の上限温度以上であるか否かを判定する。上限温度以上であると判定されれば(S55:YES)、ステップS50の判定結果に拘わらず、分離放出器24のヒータ24bの作動をオフさせる。
【0143】
以上により、本実施形態によれば、ステップS50〜S54の処理により、排ガス中のNOxが吸収されることなくNOx除去装置を素通りしてしまう量を一定に保つことができる。また、ステップS55,S56の処理により、CO2吸収液体の温度が上限温度を超えてCO2吸収性能が著しく低下してしまうことを回避できる。
【0144】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0145】
・CO2吸収液体及びNOx吸収液体は、分子構造の変化を伴わずにCO2やNOxを吸収(物理的吸収)させるものでもよいし、分子構造の変化を伴いながらCO2やNOxを吸収(化学的吸収)させるものでもよい。
【0146】
・上記各実施形態では、タンク21,31と排ガス接触器22,32とを分離して構成し、吸収液体を循環ポンプ23,33で循環させることにより排ガス接触器22,32の小型化を図っているが、排ガス接触器22,32を大型化させてタンク21,31を廃止する構成にしてもよい。この場合、循環ポンプ23,33を廃止して循環させないようにしてもよいし、排ガス接触器22,32の内部でポンプを用いて吸収液体を循環させるようにしてもよい。
【0147】
・上記各実施形態では、吸収液体を染み込ませて保持する保持体22a,32aを排ガス中に晒すことで排ガスと吸収液体とを接触させているが、例えば、吸収液体を排ガス中へ霧状に噴射することで接触させるよう構成してもよい。或いは、吸収液体を蓄えたタンク中に排ガスを吹き込むことで、吸収液体と排ガスとを接触させるよう構成してもよい。
【0148】
・上記第1実施形態にかかる分離放出器24は、CO2吸収液体を加熱するヒータ24b(加熱手段)によりCO2を分離させているが、ヒータ24bに替えてCO2吸収液体を減圧する減圧手段を設け、CO2吸収液体を減圧することでCO2を分離させるように構成してもよい。
【0149】
・上記第1実施形態では、phセンサ22e,32eを用いて吸収液体の吸収割合を検出しているが、液体の粘性、透光度、電気伝導度、比重についても吸収割合と相関が高いので、これらの物理量を検出するセンサをphセンサ22e,32eに替えて用いるようにしてもよい。また、吸収液体がイオン液体である場合には、吸収液体中のカチオン(プラスイオン)とアニオン(マイナスイオン)の比率を検出するセンサを用いて吸収割合を検出することもできる。
【0150】
・上記第1実施形態では、NOx除去装置30の循環ポンプ33を断続的に作動させて、循環配管35内のNOx吸収液体を断続的に循環させている。これに対し、NOx除去装置30の循環ポンプ33を常時作動させて、循環配管35内のNOx吸収液体を常時循環させるようにしてもよい。この場合ECU15は、循環ポンプ33の作動を制御するにあたり、NOx吸収液体の吸収割合に応じてその循環速度を、図13のステップS50,S51,S53と同様に可変制御してもよい、また、この場合には図1に示す流入バルブ32c及び流出バルブ32dを廃止することが望ましい。また、この場合には、タンク31内を供給タンク部31aと回収タンク部31bとに仕切る仕切り板を廃止させることが必要となる。
【符号の説明】
【0151】
10…内燃機関、11…排気管、12,12a…DOC(酸化手段)、13…DPF(フィルタ)、15…ECU(再生処理制御手段)、20…CO2除去装置、22…CO2除去装置の排ガス接触器、23…CO2除去装置の循環ポンプ、24…分離放出器、24d…熱回収器、26…クーラ、30…NOx除去装置、40a…バイパス通路、41…バイパス弁(切替弁)、S11,S14,S42,S45…循環制御手段、S12,S16,S43,S44,S52,S54…分離制御手段、S20,S21…濃度制御手段、S51,S53…循環速度制御手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガスとNOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去する内燃機関用NOx除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排ガス中のNOxを除去する装置としては、NOx吸蔵還元触媒を用いた装置や、尿素選択還元触媒を用いた装置が知られている。NOx吸蔵還元触媒は、定期的に内燃機関をリッチ燃焼させて発生させたHCを還元剤として、吸蔵させたNOxを還元させるものである(特許文献1参照)。また、尿素選択還元触媒は、尿素を還元剤として排ガス中のNOxを選択的に還元させるものである(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、これらの装置では、触媒が活性化する温度(例えば200℃)に上昇するまでは還元機能が発揮されないといった短所がある。しかも近年では、低温燃焼や排熱回収の技術が導入される傾向にあるため、特に内燃機関の始動時には上記短所が顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82315号公報
【特許文献2】特開2009−281294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは、特許文献1,2の如く触媒で還元させる方式とは全く異なる方式である以下の装置を検討した。すなわち、接触したNOxを吸収することができる液体(NOx吸収液体)を保有し、その液体と排ガスとを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去する装置である。NOx吸収液体の具体例としては、イオン液体やアルカリ性水溶液、水等が挙げられる。このようなNOx吸収液体は常温であってもNOxを吸収できるので、触媒活性化温度になるまでNOxを除去できないといった従来の欠点を解消できる。
【0006】
しかしながら、NOx吸収液体を用いた方式では次の問題が生じることを本発明者らは見出した。すなわち、NOx吸収液体は、排ガス中のNOxのみならずCO2をも吸収してしまう。しかも、内燃機関の排ガス中のNOx濃度は0.1%以下であるのに対し、CO2濃度は数%〜数十%であるため、NOx吸収液体での吸収はCO2が支配的になってしまい、NOxを十分に吸収できなくなるとの問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、NOx吸収液体を用いて排ガス中のNOxを吸収して除去する方式を採用しつつ、NOxを十分に吸収できるようにした内燃機関用NOx除去システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0009】
請求項1記載の発明では、接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関の排ガスと前記NOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置と、排気管のうち前記NOx除去装置の上流側に配置され、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、排気管のうちNOx除去装置の上流側にCO2除去装置を設けるので、CO2除去装置によりCO2濃度を低下させた状態の排ガスをNOx除去装置へ送り込むことができる。よって、NOx除去装置が保有するNOx吸収液体に吸収されてしまうCO2の量を低減させることができ、ひいてはNOx吸収液体に十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、前記CO2除去装置は、接触したCO2を吸収するCO2吸収液体を保有し、前記内燃機関の排ガスと前記CO2吸収液体とを接触させることで排ガス中のCO2を吸収して除去するものであることを特徴とする。
【0012】
このようなCO2吸収液体は常温であってもCO2を吸収できるので、上記発明に反し、例えば還元剤を用いて触媒上でCO2を還元させて除去する装置をCO2除去装置として採用した場合には、触媒が活性化温度になるまでCO2を除去できないといった問題が生じる。これに対し上記発明では、CO2吸収液体でCO2を吸着させる方式のCO2除去装置を採用しており、このようなCO2吸収液体は常温であってもCO2を吸収できるので、触媒活性化温度になるまでCO2を除去できないといった上記問題を解消できる。なお、CO2吸収液体の具体例としては、イオン液体やアルカリ性水溶液、水等が挙げられる。
【0013】
請求項3記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、前記循環経路に接続されるとともに前記排気管に配置され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、を有して構成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、車両に搭載された内燃機関の場合、排気管は車両のフロア下に配置されるのが一般的であり、このような排気管にCO2除去装置の全体を搭載しようとすると、車両フロア下は搭載スペースが限られているとともに搭載レイアウトの自由度も小さいので搭載が困難である。
【0015】
これに対し上記発明によれば、CO2吸収液体を循環ポンプで循環させる循環経路に排ガス接触器を接続するようCO2除去装置を構成するので、例えばCO2吸収液体を貯蔵するタンクを循環経路に接続させておけば、排気管に配置される排ガス接触器を小型化できる。よって、搭載スペースが限られている車両フロア下において小型化した排ガス接触器を排気管に接続させるよう配置することを容易に実現できるとともに、タンクや循環ポンプは車両フロア下において排ガス接触器とともに配置することに限定されることなく、その配置レイアウトの自由度を向上できる。
【0016】
請求項4記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段を有し、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記循環制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環を停止させる、或いは前記高NOx運転領域の場合に比べて前記排ガス接触器への循環流量を少なくすることを特徴とする。
【0017】
ここで、機関回転速度や運転負荷等、内燃機関の運転状態が変化すると排ガス中のNOx量は大きく変化するが、NOxが大量に排出される運転状態(高NOx運転)の時に、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることが重要であり、そのためには、高NOx運転時にCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。
【0018】
この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、排ガス接触器へのCO2吸収液体の循環を停止させる或いは循環流量を少なくするので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体量に対する吸収CO2量の割合(吸収割合)の上昇が抑制される。つまり、低NOx運転時には、高NOx運転時に備えて、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくことができる。よって、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0019】
ちなみに、上記「循環制御手段」の具体例としては、図1に例示する循環ポンプ23の作動を制御する手段や、図1に例示するバルブ22c,22dの作動を制御する手段等が挙げられる。
【0020】
請求項5記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記排気管に取り付けられ、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、前記排気管から分岐して、前記排ガス接触器をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路と、前記バイパス通路及び前記排ガス接触器のいずれかに排ガスの流れを切り替える切替弁と、を有して構成され、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記高NOx運転領域の場合には前記排ガス接触器へ排ガスを流通させ、前記低NOx運転領域の場合には前記バイパス通路へ排ガスを流通させるよう、前記切替弁の作動を制御することを特徴とする。
【0021】
先述したように、高NOx運転時には、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、バイパス通路へ排ガスを流通させることにより循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて循環経路内全体についての吸収割合を低い状態にしておくことができる。そして、高NOx運転時には排ガス接触器へ排ガスを流通させるので、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0022】
請求項6記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を貯蔵するタンクと、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段と、を有し、前記循環制御手段は、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出して前記タンク内のCO2吸収液体に入れ替え、前記吸収割合が所定値未満である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を前記循環経路へ循環させることなく保持させることを特徴とする。
【0023】
要するに上記発明では、CO2吸収液体を断続的に循環させており、排ガス接触器内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出してタンク内のCO2吸収液体に入れ替えるよう自動で制御されるので、排ガス接触器内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0024】
請求項7記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環速度を制御する循環速度制御手段を備え、前記循環速度制御手段は、前記排ガス接触器へ前記CO2吸収液体を常時循環させるとともに、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記吸収割合が所定値未満である場合に比べて前記循環速度を上昇させることを特徴とする。
【0025】
要するに上記発明では、CO2吸収液体を常時循環させており、排ガス接触器内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、循環速度を上昇させるよう自動で制御されるので、排ガス接触器内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0026】
請求項8記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体に吸収されているCO2を前記CO2吸収液体から分離して放出する分離放出器と、を有して構成されていることを特徴とする。
【0027】
上記発明によれば、CO2吸収液体に吸収されているCO2をCO2吸収液体から分離して放出させることができるので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低下させることができる。よって、循環経路内全体についてのCO2吸収液体が吸収飽和状態になることを回避できるので、新しいCO2吸収液体に交換する作業を不要にできる。或いは、その交換サイクルを長くできる。
【0028】
請求項9記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、前記分離制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記高NOx運転領域の場合に比べて前記分離速度を低下させる、或いは、前記分離放出器での分離作動を停止させるよう制御することを特徴とする。
【0029】
先述したように、高NOx運転時には、NOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置でのCO2除去能力を高めさせることが望ましい。この点を鑑みた上記発明では、低NOx運転時には、分離放出器での分離速度を低下或いは分離作動を停止させるので、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合の上昇が抑制される。つまり、低NOx運転時には、高NOx運転時に備えて、循環経路内全体についてのCO2吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくことができる。よって、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0030】
請求項10記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、前記分離制御手段は、前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、所定値未満である場合に比べて前記分離速度を上昇させるよう制御することを特徴とする。
【0031】
上記発明によれば、CO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると分離速度を上昇させるので、CO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。換言すれば、吸収割合が所定値未満である場合には分離速度を低下させるので、分離放出器で消費される駆動電力を抑えることができる。よって、内燃機関の駆動力で発電した電力で分離放出器を駆動させる場合おいては、内燃機関による発電負荷低減を図ることができる。さらに、CO2吸収液体を加熱することでCO2吸収液体からCO2を分離させる場合においては、以下の問題に対しても有効である。
【0032】
すなわち、CO2吸収液体の種類によっては、高温であるほどCO2を吸収できる量が低下してくる。また、高温になるとCO2吸収液体が気化してしまいCO2吸収能力を十分に発揮できなくなることが問題となる。したがって、CO2吸収液体を加熱することでCO2を分離させる場合には、分離させるべく加熱することでCO2吸収液体が高温になり、上記問題が懸念される。
【0033】
この問題に対し、上記発明では、吸収割合が所定値以上であれば分離速度を上昇させる一方で、吸収割合が所定値未満であれば分離速度を低下させるので、吸収割合が低く分離の必要性が低い場合にはCO2吸収液体の高温化を抑制できる。よって、CO2吸収液体が高温になることによる上記問題を抑制できる。
【0034】
請求項11記載の発明では、前記分離放出器は、前記CO2吸収液体を加熱することで前記CO2吸収液体からCO2を分離させるものであり、前記分離放出器内での前記CO2吸収液体の温度が上限温度を超えて高温になっている場合には、上限温度未満である場合に比べて前記分離放出器による加熱度合いを低下させることを特徴とする。
【0035】
これによれば、CO2吸収液体が気化するほどに高温になることを回避でき、気化することによってCO2吸収性能が著しく低下してしまうことを回避できる。
【0036】
請求項12記載の発明では、前記排気管に取り付けられて排ガスの熱を回収する熱回収器を備え、前記分離放出器は、前記熱回収器で回収した熱を利用して前記CO2吸収液体を加熱するよう構成されていることを特徴とする。
【0037】
これによれば、排ガスの熱を利用してCO2吸収液体を加熱するので、電気ヒータ等の熱源を設けて加熱する場合に比べて、NOx除去システムで消費される電力量を低減できる。
【0038】
請求項13記載の発明では、前記内燃機関は、排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタ(DPF装置)を有するとともに、捕集された粒子状物質を前記フィルタから除去するよう排気温度を上昇させる再生処理を実行する再生処理制御手段を有しており、前記再生処理を実行するタイミングで、前記分離放出器へCO2吸収液体を流入させるよう前記循環ポンプの作動を制御することを特徴とする。
【0039】
再生処理を実行するタイミングでは、熱回収器で回収できる熱量が多く、分離放出器での分離能力が高くなっているので、このようなタイミングで分離放出器へCO2吸収液体を流入させる上記発明によれば、排ガスの熱を有効に利用できるとともに、分離放出器内に送り込まれてきたCO2吸収液体に対し、短時間でCO2を分離して放出させることができる。
【0040】
請求項14記載の発明では、排ガス中のNOを酸化させてNO2にする酸化手段を、前記排気管のうち前記NOx除去装置の上流側かつ前記CO2除去装置の下流側に配置したことを特徴とする。
【0041】
排ガス中のNOxが吸収されることなくNOx除去装置を素通りしてしまう量に対する、NOx吸収液体での吸収量の割合を「吸収率」とした場合において、NOx吸収液体の種類によってはNO2の方がNOよりも吸収率が高くなる。よって、NOx除去装置の上流側に酸化手段を配置さいた上記発明によれば、NOx除去装置によるNOxの吸収率を向上できる。
【0042】
ただし、CO2除去装置の上流側でNOをNO2に酸化させてしまうと、CO2吸収液体の種類によってはNO2がCO2吸収液体で吸収されてしまう量が増大することが懸念される。この点を鑑みた上記発明によれば、NOx除去装置の上流側かつO2除去装置の下流側に酸化手段を配置するので、上記懸念を解消できる。
【0043】
なお、酸化手段の具体例としては、酸化触媒やオゾン発生装器等が挙げられる。但し酸化触媒を採用する場合には、上記発明では排気管のうち燃焼室から遠い場所に酸化手段(酸化触媒)が配置されることとなるので、排ガスで酸化触媒を加熱して活性化させるにあたり、十分な加熱ができないことが懸念される。その場合には、バーナーや電気ヒータ等の加熱手段を酸化触媒に設けることが望ましい。
【0044】
請求項15記載の発明では、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を冷却するクーラを有することを特徴とする。
【0045】
これによれば、CO2吸収液体が高温になってCO2吸収能力が低下する問題や、気化してしまうといった先述した問題を解消できる。特に、加熱することでCO2吸収液体からCO2を分離させる分離放出器を備える場合には、クーラによりCO2吸収液体を冷却する上記発明は有効である。
【0046】
請求項16記載の発明では、前記CO2吸収液体は、接触したCO2を吸収する溶質を溶媒に溶かしこんだ溶液であり、前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の溶質濃度を制御する濃度制御手段を備えることを特徴とする。
【0047】
ここで、溶媒(例えば水)が気化してCO2吸収液体の溶質濃度が高くなったり、排ガス中の水成分がCO2吸収液体に混入して溶質濃度が低くなったりする場合がある。これに対し上記発明によれば、溶質濃度が最適濃度となるように自動で制御することができるので、CO2吸収液体の吸収能力が濃度変化により低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図2】CO2吸収液体(NaOH水溶液)によるCO2吸収能力を説明する図。
【図3】第1実施形態において、CO2吸収液体を断続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる内燃機関用NOx除去システムを示す図。
【図5】図4中の液体回収器を示す図。
【図6】図4中の液体回収器の変形例を示す図。
【図7】第2実施形態において、吸収液体の濃度を制御する手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態において、CO2吸収液体を断続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第3実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図10】内燃機関の運転状態と、NOx排出量及びCO2排出量との関係を示す図。
【図11】第3実施形態において、バイパス弁等の作動を制御する手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の第4実施形態にかかるNOx除去システムを示す図。
【図13】本発明の第5実施形態において、CO2吸収液体を連続的に循環させるよう制御する手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。なお、各実施形態にかかるNOx除去システムが適用される内燃機関は、車両に搭載されて走行駆動源として機能するものであり、圧縮自着火式のディーゼルエンジンを想定している。
【0050】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかるNOx除去システム及び内燃機関10を示す図である。先ず、内燃機関10の燃焼室10aから排出される排ガスは、車両のフロア下に配置されている排気管11を通じて車両後方の所定箇所から排出される。排気管11には、排ガスに含まれているNOxを酸化させる酸化触媒(DOC12)が取り付けられている。このDOC12により、排ガス中のNOはNO2に酸化される。
【0051】
また、排気管11のうちDOC12の下流側には、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(DPF13)が取り付けられている。そして、DPF13により捕集されたPMを燃焼させるべく、排気温度を上昇させるよう燃料噴射弁14からの噴射量及び噴射タイミングを制御(再生処理制御)することを、定期的に実施する。なお、再生処理制御するよう燃料噴射弁14の作動を制御している時の制御装置(ECU15)は、特許請求の範囲に記載の「再生処理制御手段」に相当する。
【0052】
排気管11のうちDPF13の下流側には、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置20が設けられ、また、排気管11のうちCO2除去装置20の下流側には、排ガス中のNOxを除去するNOx除去装置30が設けられている。以下、各々の装置20,30の構成について詳細に説明する。
【0053】
<CO2除去装置20について>
CO2除去装置20は、主に、タンク21、排ガス接触器22、循環ポンプ23、分離放出器24を有して構成されており、これらは循環配管25により接続されている。タンク21内にはCO2吸収液体(後に詳述)が貯蔵されている。このCO2吸収液体は、循環配管25により形成された循環経路を循環ポンプ23の作動により循環する。排ガス接触器22は、排気管11に取り付けられており、循環するCO2吸収液体を排ガスに接触させるよう機能する。
【0054】
CO2吸収液体は、排ガス中のCO2と接触することでCO2を吸収する液体である。具体的には、特開2008−296211号公報等に記載のイオン液体や、アルカリ溶液、水(例えばエンジン冷却水)等が挙げられる。また、排ガス中のNOxを殆ど吸収せずにCO2を選択的に吸収する液体(例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、Ca(OH)2、エタノールアミン等)を用いれば、CO2吸収量を多くできるので好適である。また、CO2吸収液体は、化学変化を伴ってCO2を吸収(化学吸着)する物質でもよいし、化学変化を伴わずにCO2を吸収(物理吸着)する物質でもよい。また、CO2吸収液体はゲル状の物質やスラリー状の物質でもよい。
【0055】
図2は、CO2吸収液体にNaOH水溶液を用いた場合のCO2除去の効果を示す試験結果であり、CO2濃度が約6%の排ガスを排ガス接触器22へ流入させたところ、排ガス接触器22から流出した排ガスのCO2濃度は約1%にまで低減されていることが確認された。
【0056】
排ガス接触器22は、CO2吸収液体を染み込ませて保持する保持体22a、及び保持体22aを内部に収容するケース22bを備えて構成されている。ケース22bは排気管11に接続されており、ケース22b内には排ガスが流通する。また、ケース22bは循環配管25に接続されており、ケース22bの流入口から循環配管25を通じてケース22b内に流入したCO2吸収液体は、保持体22aにて保持される。保持体22aは、ケース22b内を流通する排ガスに晒されるように配置されている。そのため、保持体22aに保持されているCO2吸収液体は排ガスと接触する。
【0057】
ケース22bの流入口及び流出口には流入バルブ22c及び流出バルブ22dが備えられている。これらのバルブ22c,22dは電磁駆動式のバルブであり、その開閉作動はECU15により制御される。よって、ECU15により流出バルブ22dを開作動させればケース22b内のCO2吸収液体を排出させることができ、ECU15により流入バルブ22cを開作動させればケース22b内へCO2吸収液体を流入させることができる。
【0058】
なお、流入口はケース22bの上部に形成され、流出口はケース22bの下部に形成されている。そのため、流出バルブ22dを開作動させると、循環ポンプ23が駆動していなくても自重で排出できるよう構成されている。また、ケース22b内のCO2吸収液体が排出された状態で流入バルブ22cを開作動させると、循環ポンプ23が駆動していなくても自重で流入できるよう構成されている。
【0059】
分離放出器24は、排ガス接触器22から排出されたCO2吸収液体を貯蔵するタンク24a、及びタンク24aに設けられたヒータ24b(加熱手段)を有して構成されている。排ガス接触器22から排出されてタンク24a内へ流入してきたCO2吸収液体をヒータ24bで加熱すると、CO2吸収液体に吸収されているCO2がCO2吸収液体から分離する。
【0060】
ヒータ24bの作動はECU15により制御される。よって、ECU15によりヒータ24bを作動させるよう制御すればCO2の分離が促進され、ヒータ24bの作動を停止させるよう制御すればCO2の分離速度が低下する。つまりECU15は、ヒータ24bの作動を制御(加熱度合いを制御)することで分離速度を制御する分離制御手段として機能する。
【0061】
ここで、単位量あたりのCO2吸収液体によりCO2を吸収できる量には限界がある。本明細書では、このような限界量を吸収したCO2吸収液体の状態を吸収飽和状態と呼ぶ。また、CO2の吸収量がゼロである状態においてCO2吸収液体がCO2を吸収できる量(最大吸収量)に対する、CO2吸収量の割合を吸収割合と呼ぶ。つまり、吸収飽和状態での吸収割合は100%である。そして、分離放出器24によりCO2吸収液体からCO2を分離させると、吸収割合が低下してCO2吸収液体の吸収能力が上昇して復帰する。なお、分離したCO2は放出口24cから大気に放出される。そして、分離放出器24によりCO2が分離除去された状態のCO2吸収液体は、タンク21、CO2除去装置20、分離放出器24の順に循環する。
【0062】
循環ポンプ23の作動はECU15により制御される。本実施形態では、循環ポンプ23を常時作動させるのではなく断続的に作動させている。つまり、CO2吸収液体を常時循環させるのではなく、断続的に循環させている。循環ポンプ23やヒータ24b等の制御内容については、後に詳述する。
【0063】
<NOx除去装置30について>
次に、NOx除去装置30の構成について説明する。NOx除去装置30は、主に、タンク31、排ガス接触器32、循環ポンプ33を有して構成されており、これらは循環配管35により接続されている。
【0064】
タンク31内は、排ガス接触器32へ供給する未使用のNOx吸収液体(後に詳述)を貯蔵してする供給タンク部31aと、回収された使用済みのNOx吸収液体を貯蔵する回収タンク部31bとに仕切られている。これにより、未使用のNOx吸収液体へ使用済みのNOx吸収液体が混入することを回避する。供給タンク部31a内のNOx吸収液体は排ガス接触器32へ供給される。排ガス接触器32で使用されたNOx吸収液体は循環ポンプ33を作動させることにより回収タンク部31bへ回収される。
【0065】
排ガス接触器32は、排気管11のうち、CO2除去装置20の排ガス接触器32の下流側に取り付けられており、NOx吸収液体を排ガスに接触させるよう機能する。
【0066】
NOx吸収液体は、排ガス中のNOxと接触することでNOxを吸収する液体である。具体的には、特開2008−296211号公報等に記載のイオン液体や、アルカリ溶液、水(例えばエンジン冷却水)等が挙げられる。また、排ガス中のCO2を殆ど吸収せずにNOxを選択的に吸収する液体(例えば、FeSO4、Ca(OH)2、H2SO4、K2Cr2O7等)を用いれば、NOx吸収量を多くできるので好適である。また、NOx吸収液体は、化学変化を伴ってNOxを吸収(化学吸着)する物質でもよいし、化学変化を伴わずにNOxを吸収(物理吸着)する物質でもよい。また、NOx吸収液体はゲル状の物質やスラリー状の物質でもよい。
【0067】
排ガス接触器32は、NOx吸収液体を保持する保持体32a、及び保持体32aを内部に収容するケース32bを備えて構成されている。ケース32bは排気管11に接続されており、ケース32b内には排ガスが流通する。また、ケース32bは循環配管35に接続されており、ケース32bの流入口から循環配管35を通じてケース32b内に流入したNOx吸収液体は、保持体32aにて保持される。保持体32aは、ケース32b内を流通する排ガスに晒されるように配置されている。そのため、保持体32aに保持されているNOx吸収液体は排ガスと接触する。
【0068】
ケース32bの流入口及び流出口には流入バルブ32c及び流出バルブ32dが備えられている。これらのバルブ32c,32dは電磁駆動式のバルブであり、その開閉作動はECU15により制御される。よって、ECU15により流出バルブ32dを開作動させればケース32b内のNOx吸収液体を排出させることができ、ECU15により流入バルブ32cを開作動させればケース32b内へCO2吸収液体を流入させることができる。
【0069】
なお、流入口はケース32bの上部に形成され、流出口はケース32bの下部に形成されている。そのため、流出バルブ32dを開作動させると、循環ポンプ33が駆動していなくても自重で排出できるよう構成されている。また、ケース32b内のNOx吸収液体が排出された状態で流入バルブ32cを開作動させると、循環ポンプ33が駆動していなくても自重で流入できるよう構成されている。
【0070】
ここで、単位量あたりのNOx吸収液体によりNOxを吸収できる量には限界がある。本明細書では、このような限界量を吸収したNOx吸収液体の状態を吸収飽和状態と呼ぶ。また、NOxの吸収量がゼロである状態においてNOx吸収液体がNOxを吸収できる量(最大吸収量)に対する、NOx吸収量の割合を吸収割合と呼ぶ。つまり、吸収飽和状態での吸収割合は100%であり、供給タンク部31aに貯蔵されている未使用のNOx吸収液体の吸収割合は0%である。
【0071】
要するに、供給タンク部31a内のNOx吸収液体は吸収割合がゼロであり、排ガス接触器32へ供給される。そして、排ガス接触器32内で吸収割合が所定値以上に高くなったNOx吸収液体は、循環ポンプ33により回収タンク部31bへ回収される。回収タンク部31bへ回収された使用済みのNOx吸収液体は、タンク31から抜き出して車両外部の処理施設で排液処理する。また、供給タンク部31aへの新規NOx吸収液体の供給は、車両ユーザやメンテナンス作業者により随時行われる。
【0072】
循環ポンプ33の作動はECU15により制御される。本実施形態では、循環ポンプ33を常時作動させるのではなく断続的に作動させている。つまり、NOx吸収液体を常時流通させるのではなく、断続的に流通させている。
【0073】
より詳細に説明すると、NOx除去装置30は、NOx吸収液体の吸収割合と相関のある物理量を検出するセンサを有する。本実施形態では前記センサとしてphセンサ32eを用いており、このphセンサ32eは排ガス接触器32に取り付けられている。ECU15は、phセンサ32eにより検出されたphが所定値以下であれば(酸性の度合いが高ければ)、排ガス接触器32内のNOx吸収液体の吸収割合が所定値以上になっているとみなして、以下に説明する入替制御を実施する。
【0074】
上記入替制御では、先ず、流出バルブ32dを開弁作動させて排ガス接触器32内のNOx吸収液体を排出する。この時、循環ポンプ33を駆動させることで、排出されたNOx吸収液体を回収タンク部31bへ回収する。流出バルブ32dの開弁が所定時間為されると、NOx吸収液体の排出が完了したとみなして、流出バルブ32dを閉弁作動させるとともに流入バルブ32cを開弁作動させる。これにより、供給タンク部31a内のNOx吸収液体が排ガス接触器32へ流入する。流入バルブ32cの開弁が所定時間為されると、NOx吸収液体の供給入替が完了したとみなして、流入バルブ32cを閉弁作動させる。
【0075】
<CO2吸収液体の循環制御について>
次に、循環ポンプ23の作動を制御することによるCO2吸収液体の循環制御、及びヒータ24bの作動を制御することによる分離放出器24での分離速度制御について、その手順を説明する。
【0076】
図3は、上記制御の手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0077】
先ず、図3に示すステップS10において、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になっているか否かを判定する。より詳細に説明すると、CO2除去装置20は、CO2吸収液体の吸収割合と相関のある物理量を検出するセンサを有する。本実施形態では前記センサとしてphセンサ22eを用いており、このphセンサ22eは排ガス接触器22に取り付けられている。上記ステップS10では、phセンサ22eにより検出されたphが所定値以下であれば(酸性の度合いが高ければ)、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上であるとみなして、次のステップS11に進む。
【0078】
ステップS11(循環制御手段)では、循環ポンプ23の作動を開始させる。この時、流入バルブ22c及び流出バルブ22dの両バルブを開弁作動させてもよいし、流出バルブ22dのみを開弁作動させてもよい。或いは、両バルブ22c,22dを廃止した構成としてもよい。これにより、排ガス接触器22からのCO2吸収液体の排出が開始される。続くステップS12(分離制御手段)では、ヒータ24bへの通電を開始させる。これにより、分離放出器24によるCO2の分離が開始される。
【0079】
続くステップS13では、ステップS11で循環ポンプ23の作動を開始させてから所定の運転時間が経過したか否かを判定する。所定運転時間が経過したと判定されれば(S13:YES)、排ガス接触器22が保持できる量のCO2吸収液体が排出されたとみなして、続くステップS14(循環制御手段)にて循環ポンプ23の作動を停止させる。循環ポンプ23の作動開始時点から両バルブ22c,22dを開弁させていた場合には、循環ポンプ23の作動停止時点で両バルブ22c,22dを閉弁作動させる。
【0080】
一方、循環ポンプ23の作動開始時点で流出バルブ22dのみを開弁作動させていた場合には、循環ポンプ23の作動停止時点で流出バルブ22dを閉弁作動させるとともに流入バルブ22cを開弁作動させる。これによれば、吸収割合が所定値以上にまで上昇している使用済みのCO2吸収液体とタンク21から供給する未使用のCO2吸収液体とが混ざることを抑制できる。
【0081】
続くステップS15では、分離放出器24内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値未満にまで低下するようCO2が十分に分離放出されたか否かを判定する。具体的には、ヒータ24bの運転時間が、所定温度以上で所定時間以上経過した場合に(S15:YES)、CO2が十分に分離放出されたとみなして、続くステップS16(分離制御手段)にてヒータ24bの作動を停止させる。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)排気管11のうち、NOx除去装置30の排ガス接触器32の上流側に、CO2除去装置20の排ガス接触器22を設けるので、CO2除去装置20によりCO2濃度を低下させた状態の排ガスをNOx除去装置30へ送り込むことができる。よって、NOx吸収液体に吸収されてしまうCO2の量を低減させることができ、ひいてはNOx吸収液体に十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0084】
(2)本実施形態にかかるNOx除去システムでは、NOx吸収液体を排ガスに接触させることでNOxを吸収するとともに、CO2吸収液体を排ガスに接触させることでCO2を吸収するものである。よって、常温であってもCO2除去装置20及びNOx除去装置30による除去機能を発揮させることができるので、内燃機関10の冷間始動時であっても、内燃機関10の始動直後から排ガス中のNOxを除去することができる。
【0085】
(3)ここで、本実施形態にかかるCO2除去装置20は、排気管11に取り付けられる排ガス接触器22とタンク21とを別体に構成して循環させているが、排ガス接触器22の容量をタンク21と同等にするとともに、ヒータ24bを排ガス接触器22に設けるようにすれば、分離放出器24及びタンク21を排ガス接触器22に一体化させることができ、上記循環を不要にできる。しかしながらこのように一体化すると、排ガス接触器22が大型となり、車両のフロア下に排ガス接触器22を設置することが極めて困難となる。
【0086】
これに対し本実施形態では、排ガス接触器22、タンク21及び分離放出器24を別体に構成して循環させているので、フロア下に位置する排気管11に接続することが要求される排ガス接触器22を小型化できる。よって、排ガス接触器22をフロア下に設置することを容易に実現できるとともに、CO2除去装置20を車両へ搭載するにあたり、その搭載レイアウトの自由度を向上できる。
【0087】
さらに、排ガス接触器22、タンク21及び分離放出器24を別体に構成して循環させる本実施形態によれば、排気量の大きい内燃機関10に対しては、タンク21の容量を大きくしてCO2吸収液体を排ガス接触器22へ供給する頻度を高くすることで対応する一方で、排ガス接触器22については排気量の異なる内燃機関10同士で共通化させることができる。
【0088】
(4)排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定値以上になると、排ガス接触器22内のCO2吸収液体を排出してタンク21内のCO2吸収液体に入れ替えるよう自動で制御するので、排ガス接触器22内のCO2吸収液体がCO2を吸収できない吸収飽和状態になってしまうことを自動で回避できる。
【0089】
ここで、排ガス接触器22内のCO2吸収液体を入れ替える制御(入替制御)を実行するか否かを判定するにあたり、内燃機関10の運転時間や車両の走行距離に基づき判定するようにすれば、phセンサ22eを廃止できてコストダウンを図ることができる。但し、phセンサ22eを用いてCO2吸収液体のphを検出することで、入替制御の実行時期を判定する本実施形態によれば、吸収割合が所定値以上にならないように精度良く管理できる。また、所定値未満であるにも拘わらず早期に入れ替えられてしまうといった不具合を解消できる。
【0090】
(5)ここで、排ガス中のNOxを排ガス接触器32で吸収させるにあたり、NOよりもNO2の方が吸収率を高めることができる。そこで本実施形態では、NOをNO2に酸化するDOC12を排ガス接触器32の上流側に配置しているので、排ガス接触器32におけるNOxの吸収率を向上できる。また、DPFを排ガス接触器22,32の上流側に配置しているので、排ガス中のPMが排ガス接触器22,32内部に付着して目詰まりが生じることを抑制できる。
【0091】
(第2実施形態)
図4に示す本実施形態では、上記第1実施形態にかかるCO2除去装置20に、以下に説明する熱回収器24d、クーラ26、液体回収器27、溶液タンク28等の機能を追加するとともに、NOx除去装置30にも液体回収器37及び溶液タンク38の機能を追加している。以下、図4のシステム構成について、図1との違いを中心に説明する。なお、図4中、図1と同一符号部分についてはその説明を援用する。
【0092】
熱回収器24dは、排気管11に取り付けられて排ガスの熱を回収するものであり、熱媒体として例えばエンジン冷却水を用いる。エンジン冷却水は配管24eを通じて分離放出器24のタンク24aに接続され、タンク24a内のCO2吸収液体と熱交換して加熱する。要するに、図1に示すヒータ24bを廃止して、熱回収器24dによりCO2吸収液体を加熱してCO2を分離させている。
【0093】
エンジン冷却水を流通させる配管24eにはECU15で制御されるポンプ24fが取り付けられており、このポンプ24fの作動を制御することで加熱度合い(つまり分離速度)を制御している。例えば、分離放出器24のタンク24aに温度センサ24gを取り付けて、タンク24a内のCO2吸収液体の温度を検出し、その検出温度に応じてポンプ24fのオンオフを切替制御することで、加熱度合いを制御する。
【0094】
クーラ26は、循環配管25のうち分離放出器24及びタンク21に配置され、分離放出器24で加熱分離した直後のCO2吸収液体を冷却する。クーラ26は、周囲の空気と熱交換する空冷式でも良いし、例えば車室内空調装置が有するエバポレータを循環する冷媒等を取り込んで、その冷媒とCO2吸収液体とを熱交換させる方式でも良い。
【0095】
CO2吸収液体は温度上昇に伴いCO2を吸収できる量が低下していく。特に、所定温度を超えて上昇すると、CO2を吸収できる量は急激に低下する。そのため、分離放出器24で加熱されたCO2吸収液体をクーラ26で冷却している。
【0096】
液体回収器27は、排気管11のうち排ガス接触器22の下流側かつNOx除去装置30の上流側に配置されている。排ガス接触器22で接触したCO2吸収液体の一部は、排ガスとともに排気管11中へ持ち去られていくことが懸念される。液体回収器27は、このように持ち去られてケース22bの外部に流出したCO2吸収液体を回収するものである。また、回収したCO2吸収液体からCO2を除去して吸収割合を低下させるとともに、このように処理されたCO2吸収液体を、配管27aを通じて循環配管25へ戻すよう機能する。
【0097】
図5は、液体回収器27の構成を示す図であり、液体回収器27は、排気管11中に配置された電極27b、及び排気管11の内壁面に取り付けられた電気セル27cを有する。電極27bに直流高電圧を印加すると、排気中に流出したCO2吸収液体に電子が付着してイオン化される。そして、イオン化した状態のCO2吸収液体が電気セル27cに付着すると、CO2吸収液体に吸収されているCO2イオンのみが電気セル27cを通過して貯留部27dへ移動して析出する。貯留部27dは電気的に接地されているため、貯留部27dへ移動したCO2イオンの電子はグランドへ流れ込む。換言すれば、電気セル27cを通過できずに残ったCO2吸収液体は、CO2が除去された状態となり、吸収割合が低下されることとなる。
【0098】
要するに、排気中のCO2吸収液体を高電圧で帯電させることで電気セル27cに析出させて回収する。その後、電気セル27cを用いて回収したCO2吸収液体からCO2を除去し、吸収割合が低下したCO2吸収液体は配管27aを通じて循環配管25へ戻される。なお、貯留部27dに溜まったCO2は大気に放出すればよい。
【0099】
図6は、図5に示す液体回収器27の変形例を示す図であり、電気セル27cを廃止している。電極27bにより高電圧で帯電された排気中のCO2吸収液体は、貯留槽27eに回収される。貯留槽27e内では、吸収割合が高くCO2を多く吸収しているCO2吸収液体は貯留槽27eの下部へ沈殿する。そのため、貯留槽27e内では、吸収割合の低いCO2吸収液体(CO2希薄液体)と、吸収割合の高いCO2濃縮液体とが分離される。そして、貯留槽27eに貯留されたCO2吸収液体のうち上層のCO2希薄液体が配管27aを通じて循環配管25へ戻される。なお、貯留槽27eの下層に溜まったCO2濃縮液体は、車両の修理工場等で回収して廃棄処理すればよい。
【0100】
ここで、本実施形態にかかるCO2吸収液体は、イオン液体やアルカリ溶液等のように、溶媒(例えば水)中に溶質(例えばイオン、アルカリ)を溶かし込んだ溶液を用いている。この場合、溶質濃度が所定濃度に維持させることが、所定のCO2吸収機能を発揮させる上で重要となる。しかし、溶媒が蒸発することで濃度が高くなったり、排ガス中の水成分が排ガス接触器22でCO2吸収液体に混入することで濃度が低くなったりする。
【0101】
そこで、本実施形態では、溶液タンク28にイオンやアルカリ等の溶質、及び水等の溶媒を貯蔵させており、濃度センサ28aにより検出された濃度に応じて、溶質及び溶媒をタンク21へ補給する。濃度センサ28aは、循環配管25のうちタンク21の下流側近傍に取り付けられており、例えば液体の濃度と相関の高い粘度を検出するセンサを、濃度センサ28aとして採用する。
【0102】
溶液タンク28とタンク21との接続箇所には、ECU15により制御される電磁バルブ28bが設けられている。ECU15は、濃度センサ28aの検出値に応じてバルブ28bを開閉制御することで、溶質及び溶媒の補給量を制御して、タンク21内のCO2吸収液体の濃度が最適濃度範囲内となるよう制御する。
【0103】
NOx除去装置30は、CO2除去装置20が有する液体回収器27と同じ構成の液体回収器37を有している。液体回収器37は、排気管11のうち排ガス接触器32の下流側に配置されている。排ガス接触器32で接触したNOx吸収液体の一部は、排ガスとともに排気管11中へ持ち去られていくことが懸念される。液体回収器37は、このように持ち去られてケース32bの外部に流出したNOx吸収液体を回収するものである。また、回収したNOx吸収液体からNOxを除去して吸収割合を低下させるとともに、このように処理されたNOx吸収液体を、配管37aを通じて循環配管35へ戻すよう機能する。
【0104】
また、NOx除去装置30は、CO2除去装置20が有する溶液タンク28、濃度センサ28a及び電磁バルブ28bと同じ構成の、溶液タンク38、濃度センサ38a及び電磁バルブ38bを有している。ECU15は、濃度センサ38aの検出値に応じてバルブ38bを開閉制御することで、NOx吸収液体の溶質及び溶媒の補給量を制御して、タンク31内のNOx吸収液体の濃度が最適濃度範囲内となるよう制御する。
【0105】
なお、排ガス中の水分が混入して濃度が低くなる度合いは、溶質が気化して濃度が高くなる度合いに比べて低い。そのため、溶液タンク28,38にて溶媒を貯蔵して補給することを廃止するようにしてもよい。
【0106】
図7は、溶質が気化して濃度が高くなることを解消すべく、溶質の補給量を制御してCO2吸収液及びNOx吸収液体の濃度を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0107】
先ず、図7に示すステップS20(濃度制御手段)において、濃度センサ28a,38aにより検出された液体粘度(濃度)が所定値以上であるか否かを判定する。所定値以上であれば溶媒(例えば水)をタンク21,31に補給すべく、続くステップS21(濃度制御手段)において電磁バルブ28b,38bを開弁作動させる。一方、検出粘度(濃度)が所定値未満であれば、補給と停止させるべく、電磁バルブ28b,38bを閉弁作動させる。
【0108】
図8は、熱回収器24dのポンプ24f、及び循環配管25の循環ポンプ23の作動を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0109】
先ず、図8に示すステップS30において、DPF13の再生処理が実行されている最中であるか否かを判定する。上記再生処理とは、燃料噴射弁14から燃料を噴射させるタイミングを遅角させる、或いは燃料噴射量を増大させることにより、排気温度を一時的に上昇させる処理である。これにより、DPF13で捕集されたPMを燃焼させて除去することができ、DPF13の再生化が図られる。
【0110】
DPF13の再生処理中であると判定された場合には、続くステップS31において、熱回収器24dのポンプ24fを駆動させる。これにより、熱回収器24dの熱媒体が分離放出器24へ循環され、再生処理の実行に伴い温度上昇している排ガスの熱により、分離放出器24内のCO2吸収液体が加熱され、CO2の分離が促進される。続くステップS32では、放出口24cを開放させて分離放出器24からCO2を放出させる。
【0111】
続くステップS33では、分離したCO2の全てが放出されたか否かを判定する。具体的には、放出口24cを開放させてから所定時間が経過した時点で放出終了と判定する。或いは、分離放出器24内のCO2吸収液体の温度が所定温度にまで上昇してから所定時間が経過した時点で放出終了と判定する。放出終了と判定されると、ポンプ24fの作動を停止させて加熱によるCO2の分離を終了させる。なお、分離放出器24内のCO2吸収液体が上限温度にまで上昇した場合には、CO2放出が終了していなくとも、ポンプ24fの作動を停止させる。これにより、排ガス接触器22へ供給されるCO2吸収液体の温度が過剰に上昇して吸収能力が低下することの回避を図る。
【0112】
また、放出終了と判定されると、続くステップS34において、循環配管25の循環ポンプ23の作動を駆動させて、タンク21内のCO2吸収液体を排ガス接触器22へ供給する。この場合、上述した入替制御(流出バルブ32dを開弁作動させて排ガス接触器22からの液体排出が完了した後、流入バルブ32cを開弁作動させて液体供給を行う制御)を実施してもよいし、両バルブ22c,22dを開作動させたまま循環ポンプ23の作動を開始してもよい。
【0113】
続くステップS35では、保持体22aで保持可能な容量分の液体が、タンク21から保持体22aへ供給されたか否かを判定する。具体的には、循環ポンプ23の駆動運転時間が所定時間経過した時点で、容量分の液体が供給されて入れ替えが完了したと判定し(S35:YES)、続くステップS36において、循環ポンプ23の作動を停止させて液体の循環を停止させる。
【0114】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果が得られるとともに、以下の効果も得られるようになる。
【0115】
(5)熱回収器24dを備えることにより、排ガスの熱を回収して分離放出器24内の液体を加熱するので、図1のヒータ24bを廃止でき、電力消費を低減できる。
【0116】
(6)DPF13の再生処理を実行するタイミングでポンプ24fを駆動させて熱回収するので、液体を加熱して分離させるのに十分な熱量を確保することができる。
【0117】
(7)クーラ26を備えることにより、加熱して分離させることに伴い温度上昇した液体を冷却するので、温度上昇に伴いCO2吸収能力が低下した液体に対し、CO2吸収能力の復帰を図ることができる。
【0118】
(8)液体回収器27,37を備えることにより、排ガス接触器22,32から排気管11中へ流出した吸収液体の一部が、排ガスとともに排出されてしまうことを抑制できる。しかも、回収した吸収液体からCO2,NOxを分離して吸収割合を低下させた上で吸収液体を循環配管25,35へ戻すので、循環配管25,35内の吸収液体の吸収割合が上昇することを抑制できる。
【0119】
(9)溶液タンク28,38及び濃度センサ28a,38aを備えることにより、吸収液体の濃度が所定濃度に維持されるので、濃度が変化することにより吸収能力が低下してしまうことを回避できる。
【0120】
(第3実施形態)
図9に示す本実施形態では、上記第1実施形態にかかるNOx除去システムに、バイパス配管40及びバイパス弁41(切替弁)を備えさせている。以下、図9のシステム構成について、図1との違いを中心に説明する。なお、図9中、図1と同一符号部分についてはその説明を援用する。
【0121】
バイパス配管40は、排ガス接触器22,32をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路40aを形成する配管であり、排気管11のうち排ガス接触器22の上流側、及び排ガス接触器32の下流側に接続されている。バイパス通路40aの入口は、バイパス弁41により開閉される。バイパス弁41は電動モータにより駆動し、当該モータの作動はECU15により制御される。
【0122】
なお、図4の如く熱回収器24dを備えるシステムにバイパス配管40を備えさせる場合には、熱回収器24dの下流側かつ排ガス接触器22の上流側にバイパス配管40の入口を接続させることが望ましい。これにより、バイパス弁41の作動状態に拘わらずに廃熱を回収して分離放出器24内の液体を加熱することができる。また、図4の如く液体回収器37を備えるシステムにバイパス配管40を備えさせる場合には、排ガス接触器32の下流側かつ液体回収器37の上流側にバイパス配管40の出口を接続させることが望ましい。これにより、バイパス弁41の作動状態に拘わらずに、漏れ出たNOx吸収液体を回収できる。
【0123】
ここで、図10(a)(b)に示すように、排ガス中のNOx排出量及びCO2排出量は、内燃機関10の運転状態(例えばエンジン出力軸の回転速度NEや、エンジン負荷)に応じて大きく変化する。例えば、エンジン負荷が高いほどNOx排出量及びCO2排出量は高くなることを図10は示す。また、中負荷であってもエンジン回転速度NEが2000rpm近傍であれば、NOx排出量は少なくなることを図10(a)は示す。
【0124】
そしてECU15は、NOx排出量が所定の閾値TH未満となるようなエンジン運転状態の時にバイパス弁41を開弁作動させ、閾値TH以上となる時にバイパス弁41を閉弁作動させる。なお、バイパス弁41の開弁時には循環ポンプ23,33の作動を停止させ、バイパス弁41の閉弁時には循環ポンプ23,33を作動させるよう制御する。
【0125】
図11は、バイパス弁41の作動を制御する手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0126】
先ず、図11に示すステップS40において、エンジン負荷及び回転速度NEが、予め作成しておいたマップ中の所定範囲(低NOx運転領域)内であるか否かを判定する。当該マップは、エンジン負荷及び回転速度NEと、NOx排出量との関係を予め試験して作成されたものである。そして、エンジン負荷及び回転速度NEによる領域が、NOx排出量が閾値TH未満となる領域を低NOx運転領域として設定している。
【0127】
低NOx運転領域であると判定された場合には(S40:YES)、続くステップS41において、バイパス弁41を開弁作動させる。これにより、排ガスは、バイパス通路40aを流れて排ガス接触器22,32をバイパスすることとなる。続くステップS42(循環制御手段)では循環ポンプ23,33の作動をオフさせて循環配管25,35での液体の循環を停止させ、続くステップS43(分離制御手段)ではヒータ24bの作動をオフさせてCO2の分離を停止させる。
【0128】
一方、エンジン負荷及び回転速度NEが、マップ中の低NOx運転領域でない高NOx運転領域であると判定された場合には(S40:NO)、続くステップS44(分離制御手段)において、ヒータ24bの作動をオンさせてCO2の分離を開始させる。続くステップS45(循環制御手段)では、循環ポンプ23,33の作動をオンさせて循環配管25,35内の液体を循環させる。続くステップS46では、バイパス弁41を閉弁作動させる。これにより、排ガスは、排ガス接触器22,32を流通することとなる。
【0129】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果が得られるとともに、以下の効果も得られるようになる。
【0130】
(10)高NOx運転時には、NOx除去装置30で十分な量のNOxを吸収させるべくCO2除去装置20でのCO2除去能力を高めさせておくことが望ましい。そこで本実施形態では、低NOx運転時には、バイパス通路40aへ排ガスを流通させることにより循環配管25で循環させるCO2吸収液体全体についての吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて吸収割合を低い状態にしておくことができる。そして、高NOx運転時には排ガス接触器22,32へ排ガスを流通させるので、高NOx運転時におけるCO2吸収量を高めることができ、ひいては高NOx運転時にNOx除去装置30で十分な量のNOxを吸収させることができる。
【0131】
同様にして、低NOx運転時には、循環配管35で循環させるNOx吸収液体全体についての吸収割合の上昇を抑制させておき、高NOx運転時に備えて吸収割合を低い状態にしておくことができる。
【0132】
また、車両用の内燃機関10は、エンジン負荷や回転速度NEが短時間で急激に変化するものである。これに対し本実施形態では、低NOx運転時に、CO2吸収液体及びNOx吸収液体の吸収割合を低い状態にしておくので、短時間で大量のNOxが排出されてきたとしても、そのNOxを十分に吸収させることができる。
【0133】
(11)低NOx運転時には、ヒータ24bの作動を停止させるので、ヒータ24bでの消費電力を抑制できる。よって、バッテリの消費を抑制でき、ひいては、内燃機関10による発電量を抑制して燃費向上を図ることができる。
【0134】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、図1に示すように、排ガス中のNOをNO2に酸化するDOC12(酸化手段)を排ガス接触器22の上流側に配置している。これは酸化触媒を活性化させるために内燃機関10の排気ポートにできるだけ近い位置にDOC12を配置することで、高温排気によりDOC12の温度上昇を短時間で実現させる点で有利である。しかしながら、NOをNO2に酸化すると、排ガス接触器32でのNOx吸収率を向上できると同時に、排ガス接触器22内においてCO2吸収液体によりNOxが吸収されやすくなってしまう。
【0135】
この点を鑑みた本実施形態では、図12に示すように、排気管11のうち、CO2除去装置20の排ガス接触器22の下流側、かつ、NOx除去装置30の排ガス接触器32の上流側に酸化手段12aを配置している。これによれば、CO2吸収液体がNOxを吸収することを抑制できるとともに、NOx吸収液体がNOxを吸収することを向上できる。
【0136】
但し、このような位置に酸化手段12aを配置すると、排気ポートから遠い位置になるので、高温排気により酸化触媒を短時間で活性化することが困難となる。よって、本実施形態にかかる酸化手段12aには、酸化触媒を用いたDOCに替えて、オゾン発生器やラジカル発生器を採用することが望ましい。或いは、酸化触媒(DOC)を用いた場合には、DOCを加熱する電気ヒータやバーナーを備えさせることが望ましい。
【0137】
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、CO2除去装置20の循環ポンプ23を断続的に作動させて、循環配管25内のCO2吸収液体を断続的に循環させている。これに対し本実施形態では、CO2除去装置20の循環ポンプ23を常時作動させて、循環配管25内のCO2吸収液体を常時循環させている。但し、ECU15は循環ポンプ23の作動を制御するにあたり、CO2吸収液体の吸収割合に応じてその循環速度を可変制御している。なお、本実施形態では図1に示す流入バルブ22c及び流出バルブ22dを廃止している。
【0138】
図13は、上記制御の手順を示すフローチャートであり、ECU15が有するマイクロコンピュータにより、所定周期(例えばマイコンの演算周期又は所定のクランク角度毎)で繰り返し実行される。
【0139】
先ず、図13に示すステップS50において、排ガス接触器22内のCO2吸収液体の吸収割合が所定範囲内になっているか否かを判定する。所定範囲内であると判定されれば(S50:OK)、分離放出器24のヒータ24bの出力及び循環ポンプ23の出力を現状の出力に維持させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度を維持させる。なお、吸収割合の検出は、第1実施形態と同様にしてphセンサ22eにより検出すればよい。
【0140】
phセンサ22eによるph値が所定範囲内以下であると判定されれば(S50:以下)、CO2吸収液体の吸収割合が所定範囲以上であるとみなして、続くステップS51(循環速度制御手段),S52(分離制御手段)において、ヒータ24b及び循環ポンプ23の出力を上昇させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度が上昇するので、排ガス接触器22により単位時間当たりに吸収できるCO2の量が上昇する。
【0141】
一方、phセンサ22eによるph値が所定範囲内以上であると判定されれば(S50:以上)、CO2吸収液体の吸収割合が所定範囲以下であるとみなして、続くステップS53(循環速度制御手段),S54(分離制御手段)において、ヒータ24b及び循環ポンプ23の出力を低下させる。これにより、分離放出器24での分離速度及びCO2吸収液体の循環速度が低下するので、排ガス接触器22により単位時間当たりに吸収できるCO2の量が低下する。
【0142】
続くステップS55では、分離放出器24内のCO2吸収液体の温度が所定の上限温度以上であるか否かを判定する。上限温度以上であると判定されれば(S55:YES)、ステップS50の判定結果に拘わらず、分離放出器24のヒータ24bの作動をオフさせる。
【0143】
以上により、本実施形態によれば、ステップS50〜S54の処理により、排ガス中のNOxが吸収されることなくNOx除去装置を素通りしてしまう量を一定に保つことができる。また、ステップS55,S56の処理により、CO2吸収液体の温度が上限温度を超えてCO2吸収性能が著しく低下してしまうことを回避できる。
【0144】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0145】
・CO2吸収液体及びNOx吸収液体は、分子構造の変化を伴わずにCO2やNOxを吸収(物理的吸収)させるものでもよいし、分子構造の変化を伴いながらCO2やNOxを吸収(化学的吸収)させるものでもよい。
【0146】
・上記各実施形態では、タンク21,31と排ガス接触器22,32とを分離して構成し、吸収液体を循環ポンプ23,33で循環させることにより排ガス接触器22,32の小型化を図っているが、排ガス接触器22,32を大型化させてタンク21,31を廃止する構成にしてもよい。この場合、循環ポンプ23,33を廃止して循環させないようにしてもよいし、排ガス接触器22,32の内部でポンプを用いて吸収液体を循環させるようにしてもよい。
【0147】
・上記各実施形態では、吸収液体を染み込ませて保持する保持体22a,32aを排ガス中に晒すことで排ガスと吸収液体とを接触させているが、例えば、吸収液体を排ガス中へ霧状に噴射することで接触させるよう構成してもよい。或いは、吸収液体を蓄えたタンク中に排ガスを吹き込むことで、吸収液体と排ガスとを接触させるよう構成してもよい。
【0148】
・上記第1実施形態にかかる分離放出器24は、CO2吸収液体を加熱するヒータ24b(加熱手段)によりCO2を分離させているが、ヒータ24bに替えてCO2吸収液体を減圧する減圧手段を設け、CO2吸収液体を減圧することでCO2を分離させるように構成してもよい。
【0149】
・上記第1実施形態では、phセンサ22e,32eを用いて吸収液体の吸収割合を検出しているが、液体の粘性、透光度、電気伝導度、比重についても吸収割合と相関が高いので、これらの物理量を検出するセンサをphセンサ22e,32eに替えて用いるようにしてもよい。また、吸収液体がイオン液体である場合には、吸収液体中のカチオン(プラスイオン)とアニオン(マイナスイオン)の比率を検出するセンサを用いて吸収割合を検出することもできる。
【0150】
・上記第1実施形態では、NOx除去装置30の循環ポンプ33を断続的に作動させて、循環配管35内のNOx吸収液体を断続的に循環させている。これに対し、NOx除去装置30の循環ポンプ33を常時作動させて、循環配管35内のNOx吸収液体を常時循環させるようにしてもよい。この場合ECU15は、循環ポンプ33の作動を制御するにあたり、NOx吸収液体の吸収割合に応じてその循環速度を、図13のステップS50,S51,S53と同様に可変制御してもよい、また、この場合には図1に示す流入バルブ32c及び流出バルブ32dを廃止することが望ましい。また、この場合には、タンク31内を供給タンク部31aと回収タンク部31bとに仕切る仕切り板を廃止させることが必要となる。
【符号の説明】
【0151】
10…内燃機関、11…排気管、12,12a…DOC(酸化手段)、13…DPF(フィルタ)、15…ECU(再生処理制御手段)、20…CO2除去装置、22…CO2除去装置の排ガス接触器、23…CO2除去装置の循環ポンプ、24…分離放出器、24d…熱回収器、26…クーラ、30…NOx除去装置、40a…バイパス通路、41…バイパス弁(切替弁)、S11,S14,S42,S45…循環制御手段、S12,S16,S43,S44,S52,S54…分離制御手段、S20,S21…濃度制御手段、S51,S53…循環速度制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関の排ガスと前記NOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置と、
排気管のうち前記NOx除去装置の上流側に配置され、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置と、
を備えることを特徴とする内燃機関用NOx除去システム。
【請求項2】
前記CO2除去装置は、接触したCO2を吸収するCO2吸収液体を保有し、前記内燃機関の排ガスと前記CO2吸収液体とを接触させることで排ガス中のCO2を吸収して除去するものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項3】
前記CO2除去装置は、
前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、
前記循環経路に接続されるとともに前記排気管に配置され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
を有して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項4】
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段を有し、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記循環制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環を停止させる、或いは前記高NOx運転領域の場合に比べて前記排ガス接触器への循環流量を少なくすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項5】
前記CO2除去装置は、
前記排気管に取り付けられ、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
前記排気管から分岐して、前記排ガス接触器をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路と、
前記バイパス通路及び前記排ガス接触器のいずれかに排ガスの流れを切り替える切替弁と、
を有して構成され、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記高NOx運転領域の場合には前記排ガス接触器へ排ガスを流通させ、前記低NOx運転領域の場合には前記バイパス通路へ排ガスを流通させるよう、前記切替弁の作動を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項6】
前記CO2除去装置は、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を貯蔵するタンクと、
前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段と、
を有し、
前記循環制御手段は、
前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出して前記タンク内のCO2吸収液体に入れ替え、
前記吸収割合が所定値未満である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を前記循環経路へ循環させることなく保持させることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項7】
前記CO2除去装置は、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環速度を制御する循環速度制御手段を備え、
前記循環速度制御手段は、前記排ガス接触器へ前記CO2吸収液体を常時循環させるとともに、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記吸収割合が所定値未満である場合に比べて前記循環速度を上昇させることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項8】
前記CO2除去装置は、
前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体に吸収されているCO2を前記CO2吸収液体から分離して放出する分離放出器と、
を有して構成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項9】
前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記分離制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記高NOx運転領域の場合に比べて前記分離速度を低下させる、或いは、前記分離放出器での分離作動を停止させるよう制御することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項10】
前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、
前記分離制御手段は、前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、所定値未満である場合に比べて前記分離速度を上昇させるよう制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項11】
前記分離放出器は、前記CO2吸収液体を加熱することで前記CO2吸収液体からCO2を分離させるものであり、
前記分離放出器内での前記CO2吸収液体の温度が上限温度を超えて高温になっている場合には、上限温度未満である場合に比べて前記分離放出器による加熱度合いを低下させることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項12】
前記排気管に取り付けられて排ガスの熱を回収する熱回収器を備え、
前記分離放出器は、前記熱回収器で回収した熱を利用して前記CO2吸収液体を加熱するよう構成されていることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項13】
前記内燃機関は、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを有するとともに、捕集された粒子状物質を前記フィルタから除去するよう排気温度を上昇させる再生処理を実行する再生処理制御手段を有しており、
前記再生処理を実行するタイミングで、前記分離放出器へCO2吸収液体を流入させるよう前記循環ポンプの作動を制御することを特徴とする請求項12に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項14】
排ガス中のNOを酸化させてNO2にする酸化手段を、前記排気管のうち前記NOx除去装置の上流側かつ前記CO2除去装置の下流側に配置したことを特徴とする請求項2〜13のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項15】
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を冷却するクーラを有することを特徴とする請求項2〜14のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項16】
前記CO2吸収液体は、接触したCO2を吸収する溶質を溶媒に溶かしこんだ溶液であり、
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の溶質濃度を制御する濃度制御手段を備えることを特徴とする請求項2〜15のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項1】
接触したNOxを吸収するNOx吸収液体を保有し、内燃機関の排ガスと前記NOx吸収液体とを接触させることで排ガス中のNOxを吸収して除去するNOx除去装置と、
排気管のうち前記NOx除去装置の上流側に配置され、排ガス中のCO2を除去するCO2除去装置と、
を備えることを特徴とする内燃機関用NOx除去システム。
【請求項2】
前記CO2除去装置は、接触したCO2を吸収するCO2吸収液体を保有し、前記内燃機関の排ガスと前記CO2吸収液体とを接触させることで排ガス中のCO2を吸収して除去するものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項3】
前記CO2除去装置は、
前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、
前記循環経路に接続されるとともに前記排気管に配置され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
を有して構成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項4】
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段を有し、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記循環制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環を停止させる、或いは前記高NOx運転領域の場合に比べて前記排ガス接触器への循環流量を少なくすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項5】
前記CO2除去装置は、
前記排気管に取り付けられ、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
前記排気管から分岐して、前記排ガス接触器をバイパスして排ガスを流通させるバイパス通路と、
前記バイパス通路及び前記排ガス接触器のいずれかに排ガスの流れを切り替える切替弁と、
を有して構成され、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記高NOx運転領域の場合には前記排ガス接触器へ排ガスを流通させ、前記低NOx運転領域の場合には前記バイパス通路へ排ガスを流通させるよう、前記切替弁の作動を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項6】
前記CO2除去装置は、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を貯蔵するタンクと、
前記CO2吸収液体の循環状態を制御する循環制御手段と、
を有し、
前記循環制御手段は、
前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を排出して前記タンク内のCO2吸収液体に入れ替え、
前記吸収割合が所定値未満である場合には、前記排ガス接触器内のCO2吸収液体を前記循環経路へ循環させることなく保持させることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項7】
前記CO2除去装置は、前記排ガス接触器への前記CO2吸収液体の循環速度を制御する循環速度制御手段を備え、
前記循環速度制御手段は、前記排ガス接触器へ前記CO2吸収液体を常時循環させるとともに、前記排ガス接触器内の前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、前記吸収割合が所定値未満である場合に比べて前記循環速度を上昇させることを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項8】
前記CO2除去装置は、
前記CO2吸収液体を循環経路に循環させる循環ポンプと、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体を排ガスに接触させる排ガス接触器と、
前記循環経路に接続され、前記CO2吸収液体に吸収されているCO2を前記CO2吸収液体から分離して放出する分離放出器と、
を有して構成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項9】
前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、
前記内燃機関の運転状態のうち、排ガス中のNOx排出量が所定量以上となる運転領域を高NOx運転領域、所定量未満となる運転領域を低NOx運転領域とした場合において、
前記分離制御手段は、前記低NOx運転領域の場合には、前記高NOx運転領域の場合に比べて前記分離速度を低下させる、或いは、前記分離放出器での分離作動を停止させるよう制御することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項10】
前記CO2除去装置は、前記分離放出器による分離速度を制御する分離制御手段を有し、
前記分離制御手段は、前記CO2吸収液体に対するCO2の吸収割合が所定値以上である場合には、所定値未満である場合に比べて前記分離速度を上昇させるよう制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項11】
前記分離放出器は、前記CO2吸収液体を加熱することで前記CO2吸収液体からCO2を分離させるものであり、
前記分離放出器内での前記CO2吸収液体の温度が上限温度を超えて高温になっている場合には、上限温度未満である場合に比べて前記分離放出器による加熱度合いを低下させることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項12】
前記排気管に取り付けられて排ガスの熱を回収する熱回収器を備え、
前記分離放出器は、前記熱回収器で回収した熱を利用して前記CO2吸収液体を加熱するよう構成されていることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項13】
前記内燃機関は、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを有するとともに、捕集された粒子状物質を前記フィルタから除去するよう排気温度を上昇させる再生処理を実行する再生処理制御手段を有しており、
前記再生処理を実行するタイミングで、前記分離放出器へCO2吸収液体を流入させるよう前記循環ポンプの作動を制御することを特徴とする請求項12に記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項14】
排ガス中のNOを酸化させてNO2にする酸化手段を、前記排気管のうち前記NOx除去装置の上流側かつ前記CO2除去装置の下流側に配置したことを特徴とする請求項2〜13のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項15】
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体を冷却するクーラを有することを特徴とする請求項2〜14のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【請求項16】
前記CO2吸収液体は、接触したCO2を吸収する溶質を溶媒に溶かしこんだ溶液であり、
前記CO2除去装置は、前記CO2吸収液体の溶質濃度を制御する濃度制御手段を備えることを特徴とする請求項2〜15のいずれか1つに記載の内燃機関用NOx除去システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−179338(P2011−179338A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41751(P2010−41751)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]