説明

再剥離性接着シート、画像記録方法および接着方法

【課題】接着不良の発生が抑制され、良好な光沢感を有する記録画像を形成可能な再剥離性接着シートを提供する。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面上に接着組成物層が設けられ、重ね合せられた前記接着組成物層同士が少なくとも圧力により接着する再剥離性接着シートであって、前記接着組成物層にアクリル系樹脂と中空粒子とを含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再剥離性接着シート、並びに再剥離性接着シートの画像形成方法および接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、封書よりも郵便料金が安く、封書と同様に通信の機密保持が可能な親展性を有するはがきが開発されてきている。中でも、紙基材の表面に剥離性を持つ感圧接着組成物層が形成された圧着紙の感圧接着組成物層表面に各種情報を印字して親展面とした後、用紙を二つ折り又は三つ折りに折り畳み、50〜100kg/cmの強圧をかけて親展面同士を剥離可能に接着することによりはがきの形態を構成した、所謂「圧着はがき」が大量の通知書類の発送を必要とする業界で普及している。
【0003】
このような圧着はがきにおいては、受取人に配達され剥離されるまでの間、親展面同士が適切な強度で接着されていること(すなわち、接着不良がないこと)が要求される。親展面同士の剥離強度(接着強度)が弱すぎると受取人に配達されるまでに接着面が剥離してしまう可能性があり、逆に親展面同士の剥離強度が強すぎると受取人が剥離する際に綺麗に剥離できなかったり、紙層破壊を引き起こしたりして親展面の情報を確認できないところがあるためである。
【0004】
圧着はがきとして使用される際、親展面に写真ライクな印刷がなされる状況が近年極めて頻繁に生じ、親展面における高光沢感が求められている。例えば、印刷された材料に後から光沢の強い層、例えば薄い水性ニス層やUVニス層を設けたり、透明熱可塑性樹脂フィルムを接着したりする形態が知られている。
また、特定の平面平滑度となるように樹脂粒子を含む再剥離型粘着層を形成することで光沢感を付与した再剥離性感圧接着シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、親展面への画像の形成方式としては、印字の安定性及び印字速度の利点から、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタを使用したプリントシステムが、圧着はがきへの各種情報の画像形成方法として頻繁に利用されている。しかしながら、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタにおいては、トナーを用紙に定着させるヒートロールへのトナー転移を防止するために、トナーにオイルが内包されていたり、シリコンオイルがヒートロールに塗布されていたりする。そのためヒートロール定着方式の電子写真プリンタを用いて親展面に画像を形成する場合に、親展面となる感圧接着剤層表面にオイルが付着し、通常の加圧による接着が行えない又は剥離強度が非常に弱くなるという接着不良の問題があった。
これに対して、コールドシール剤と微粒子充填剤とを特定の比率で含有させた感圧接着剤組成物層を設けた圧着葉書用原紙が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3701359号公報
【特許文献2】特開2008−25051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記電子写真方式では、トナー集積、ヒートロール定着による印字、画像形成の際、トナー集積量の差等により、定着時にトナーの段差が生じ、不均一な光沢感が生じる問題がさらにあった。
また、特許文献1に記載の再剥離性感圧接着シートでは、電子写真方式による画像形成において接着不良が生じる場合があった。また、特許文献2に記載の圧着葉書用原紙では、親展面の光沢性が不十分であった。
本発明は、接着不良の発生が抑制され、良好な光沢感を有する記録画像を形成可能な再剥離性接着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基材と、基材の少なくとも一方に設けられ、アクリル系樹脂および中空粒子を含有する接着組成物層と、を有し、前記接着組成物層同士を重ねて少なくとも圧力が与えられたときに接着する再剥離性接着シート。
<2> 前記アクリル系樹脂のTgが−40℃〜+30℃である前記<1>に記載の再剥離性接着シート。
<3> 前記アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgが−20℃〜+15℃である前記<1>に記載の再剥離性接着シート。
【0009】
<4> 前記中空粒子は、中空率が30〜70%である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
<5> 前記アクリル系樹脂の体積平均粒子径が30〜200nmである前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
<6> 前記中空粒子は、体積平均粒子径が0.3〜3μmである前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
<7> 前記アクリル系樹脂と前記中空粒子の含有比(アクリル系樹脂:中空粒子)が、質量基準で80:20〜10:90である前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
<8> 前記アクリル系樹脂は、カルボキシ変性アクリル系樹脂である前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
<9> 前記基材は、不透明度が85%以上であって坪量が64〜210g/mの紙基材である前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【0010】
<10> 前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シートの接着組成物層上に、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタで画像を記録する工程を含む画像記録方法。
<11> 前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の再剥離性接着シートの基材上に設けられた接着組成物層同士を重ね合せる工程と、前記基材の重ね合せられた前記接着組成物層が設けられた側とは反対側から、熱および圧力の少なくとも一方を与えて70℃以下の温度で前記接着組成物層同士を接着する工程と、を含む再剥離性積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着不良の発生が抑制され、良好な光沢感を有する記録画像を形成可能な再剥離性接着シートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<再剥離性接着シート>
本発明の再剥離性接着シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられたアクリル系樹脂と中空粒子とを含有する接着組成物層とを有することを特徴する。接着組成物層がアクリル系樹脂と中空粒子とを含有することで、接着不良の発生が抑制され、さらには形成される記録画像に良好な光沢感を付与することが可能になる。
本発明における再剥離性接着シートとは、基材上に接着組成物層が設けられた画像記録媒体であって、前記接着組成物層同士を重ね合せて、少なくとも圧力を加えることで接着組成物層同士が、再剥離可能に接着する画像記録媒体を意味する。
尚、本発明における「再剥離可能」とは加圧によって接着した後に、接着面が剥離可能であることを意味する。また、本発明における再剥離性接着シートは、一度接着後に剥離した状態では接着性を有していないものである。
【0013】
(基材)
本発明の再剥離性接着シートにおける基材としては、少なくとも片面に接着組成物層を形成することが可能な基材であれば特に制限はない。例えば、紙基材として、クラフト紙、フォーム紙、上質紙、中質紙、OCR用紙等の各種情報用紙を挙げることができる。また紙以外の基材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の熱可塑性樹脂を紙基材にラミネートしたレジンコート紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、トリアセテート等のプラスチックフイルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが少なくとも一軸に延伸されボイドを含むシート、又はこれらプラスチックフイルム、ボイドを含むシートを紙基材に貼り合わせたシート、或いは含浸紙、グラシン紙等のシート等を挙げることができる。
【0014】
前記基材としては、はがきとしての用途の観点から、不透明性であることが好ましく、不透明度としては85%以上であることがより好ましい。
また前記基材が紙基材の場合、その坪量としては52〜256g/mとすることができ、例えば、はがきとしての用途の観点から、64〜210g/mであることが好ましい。
本発明における基材としては、不透明度が85%以上の紙基材を含むシートであって、前記紙基材の坪量が52〜256g/mであることが好ましく、不透明度が85%以上の紙基材であって、坪量が64〜210g/mであることがより好ましい。
【0015】
(接着組成物層)
本発明の再剥離性接着シートは、基材の少なくとも一方の面上に接着組成物層が設けられている。本発明において接着組成物層は、再剥離性接着シートの用途に応じて、基材の一方の面上にのみ設けられていても、基材の両方の面上に設けられていてもよい。また、基材の少なくとも一方の面の全面に接着組成物層が設けられていても、面の一部にのみ接着組成物層が設けられていてもよい。
本発明における接着組成物層は、アクリル系樹脂の少なくとも1種と中空粒子の少なくとも1種とを含み、必要に応じてその他の添加剤を含んで構成することができる。
【0016】
−アクリル系樹脂−
本発明における接着組成物層は、アクリル系樹脂の少なくとも1種を含む。前記アクリル系樹脂としては、少なくとも圧力を加えることにより接着組成物層同士に再剥離可能な接着力を付与可能なものであれば特に制限はない。例えば、少なくともエチレン性不飽和カルボン酸モノマーに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位とを含むアクリル系樹脂を挙げることができる。
【0017】
前記エチレン性不飽和カルボン酸モノマーとして、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、β−メタアクリルオキシエチルアシットヘキサハイドロフタレートなどのハーフエステル類、これらの不飽和カルボン酸類の無水物。例えば、アクリル酸無水物、マレイン酸無水物などがあげられる。さらには、これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよく、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩を用いても良い。
【0018】
また(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート・ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのカルボニル基を分子中に有する化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)つアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリシルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシルメタクリレートなどの光安定化の機能を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン、2−[2’−ヒドロキシ−5メタクリロルオキシエチル]フェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収性の機能を有する(メタ)アクリレート化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
【0019】
さらに上記モノマーに加えて、芳香族系エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物や、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレートを用いてもよく、エポキシ基、水酸基、シラノール基及びメチロール基から選ばれる何れかの官能基を有するモノマーを用いてもよい。
【0020】
本発明におけるアクリル系樹脂としては、取り扱いの容易さ、環境への影響の観点から、水系または水分散物であることが好ましく、水分散物であることがより好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂が水系分散物である場合、乳化重合により得られるアクリル系樹脂のポリマー粒子を含むことが好ましく、カルボキシ変性アクリル系樹脂のポリマー粒子を含むことがより好ましい。
【0021】
(体積平均粒子径)
前記ポリマー粒子の体積平均粒子径は、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは30〜200nmであり、30〜150nmであることがより好ましく、50〜100nmであることがさらに好ましい。前記ポリマー粒子の体積平均粒子径が200nm以下とすることにより、接着不良の発生をより効果的に抑制することができる。体積平均粒子径の測定は、以下の方法によって行われる。粒子の水性分散物を蒸留水で適宜希釈し、動的光散乱法粒子径測定器を用いて体積平均粒子径を測定する。尚、ポリマー粒子の平均粒子径は、ラジカル重合開始剤および乳化剤の種類および量を調整することにより制御することができる。
【0022】
(ゲル分率)
また、前記水系分散物に含まれるポリマー粒子のゲル分率としては、30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。ゲル分率が40%以上とすることにより、自然環境下の温度、湿度において接着不良の発生を抑制することができる。ゲル分率とは、前述したように、ポリマー粒子中において高分子量の3次元網目構造を形成する部分の占める割合をいい、通常、前記ポリマー粒子中におけるトルエン等の有機溶媒への不溶分として測定される。
【0023】
本発明におけるアクリル系樹脂としては、接着不良の発生抑制の観点から、アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgが−40〜+30℃であることが好ましく、−30〜+20℃であることがより好ましく、−20〜+15℃であることが更に好ましい。
アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgは、公知の方法で制御することができる。例えば、アクリル系樹脂を構成するモノマーを適宜選択したり、アクリル系樹脂の分子量を制御したりすることで所望のガラス転移温度Tgを有するアクリル系樹脂を得ることができる。また、市販されているアクリル系樹脂を適宜選択して用いてもよい。
【0024】
さらに前記ポリマー粒子は、アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgが−40〜+30℃であって、体積平均粒子径が30〜200nmであることが好ましく、ガラス転移温度Tgが−30〜+20℃であって、体積平均粒子径が30〜150nmであることが好ましくることがより好ましく、ガラス転移温度Tgが−20〜+15℃であって、体積平均粒子径が50〜100nmであることがさらに好ましい。
【0025】
−中空粒子−
本発明における接着組成物層は、中空粒子の少なくとも1種を含むことを特徴とする。これによりヒートロール定着方式の電子写真プリンタを用いた場合でも、再剥離後に良好な光沢感を有する画像を形成することができる。
本発明において中空粒子とは、熱可塑性樹脂の殻部で囲まれた内部に空気その他の気体を含有するもので、発泡状態となっている中空状の粒子を意味する。
また、熱可塑性樹脂で構成された中空粒子の表面は、ほぼ平滑な面であり、吸油性がほとんどないため、電子写真プリンタで画像を形成した後であっても、接着不良の発生を抑制することができる。
【0026】
前記中空粒子の形状については、特に制限はなく、真球状、扁平状、不定形等の各種形状を取っていても構わないが、球状であることが好ましい。また、前記中空粒子は、基材上へ接着組成物層を形成する際に、変形あるいは破壊されないものが好ましい。前記中空粒子の体積平均粒子径は、0.3μm以上が好ましく、0.3μm〜3μmがより好ましく、0.6μm〜1.5μmが更に好ましい。上記範囲の中空粒子を使用することで、より良好な光沢感を有する画像を形成することができる。
前記体積平均粒子径は、公知の方法により求めることができ、例えば、電子顕微鏡観察での粒子径測定、レーザー回折式粒子径分布測定装置等を用いて測定できる。
【0027】
前記中空粒子は、(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)で定義される中空率が、20%〜95%であることが好ましく、30%〜70%であることがより好ましく、50%〜70%であることが更に好ましい。ここで、前記中空粒子の内径及び外径は、電子顕微鏡観察による粒子径測定により求めることができる。
【0028】
前記中空粒子の殻部を構成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のスチレン−アクリル系共重合体;ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニル系共重合体、尿素ホルマリン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル系共重合体が特に好ましい。
【0029】
また、前記中空粒子としては、架橋型中空粒子も好ましく用いられる。前記架橋型中空粒子とは、中空粒子のシェルを構成している樹脂が何らかの方法により架橋されていることを意味しており、例えば、スチレン−アクリル共重合体を主成分とする中空粒子であれば、粒子合成時にジビニルベンゼン等で架橋されているようなものを指す。前記架橋度の目安としては、乾燥中空粒子100mgをメチルエチルケトンとトルエンを質量比で1:1に混ぜた液100mlに添加し、常温で8時間攪拌した後の固形分残量比率が、液に加えた乾燥中空粒子の量に対して、60質量%以上のものが好ましい。
前記中空粒子としては、特に制限はなく、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、ロームアンドハース株式会社製のHP-1055、HP-91、HP-433J、AF-1353、OP-84J、ローペークST;日本ゼオン株式会社のMH-5055、JSR株式会社製のSX866(B)、SX8782(A)、SX8783(P);Samji Chemical社製のSHP-100などが挙げられる。
【0030】
前記中空粒子の前記接着組成物層中における質量(含有量)は、0.5g/m以上であることが好ましく、0.75g/m以上がより好ましく、1.0g/m以上11g/m以下がさらに好ましい。前記質量を0.5g/m以上とすることで、ヒートロール定着を行う場合にローラ跡がつくことを防ぐことができ、また、十分な光沢性を持った画像が得られる。
前記中空粒子の質量は、例えば塗工前後の質量差と塗工液の中空粒子比率より計算で求める方法や、塗工層を剥離し、バインダーや他添加剤と中空粒子を分離することにより測定することができる。
【0031】
本発明における中空粒子としては、体積平均粒子径が0.3μm以上で中空率が30%以上であることが好ましく、体積平均粒子径が0.3〜3μmで中空率30〜70%であることがより好ましく、体積平均粒子径が0.6〜1.5μmで中空率50〜70%であることがさらに好ましい。
また、前記中空粒子は1種単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
【0032】
本発明において、前記接着組成物層中における、アクリル系樹脂と中空粒子の含有比率(アクリル系樹脂:中空粒子)としては、接着不良抑制と光沢感の観点から、質量基準で80:20〜10:90であることが好ましく、70:30〜20:80であることがより好ましい。
【0033】
またさらに本発明における接着組成物層は、接着不良抑制と光沢感の観点から、Tgが−40〜+30℃のアクリル系樹脂と、体積平均粒子径が0.3〜3μmで中空率が30〜70%の中空粒子とを含み、その含有比率(アクリル系樹脂:中空粒子)が80:20〜10:90であることが好ましく、Tgが−30〜+20℃のアクリル系樹脂と、体積平均粒子径が0.6〜1.5μmで中空率が50〜70%の中空粒子とを含み、その含有比率(アクリル系樹脂:中空粒子)が70:30〜20:80であることがより好ましい。
【0034】
また、アクリル系樹脂および中空粒子からなる前記接着組成物層は少なくとも1層からなるが、接着不良の発生抑制と光沢感の観点から、2層以上の層からなることが好ましい。
前記接着組成物層が2層以上からなる場合、それぞれの層の塗工量や、それぞれの層におけるアクリル系樹脂と中空粒子の含有比率は、目的に応じて適宜変更することができる。それぞれの層の塗工量およびアクリル系樹脂と中空粒子の含有比率は、前記接着組成物層における塗工量や含有比率の好ましい態様となるように適宜選択することができる。例えば、画像を形成する側の層におけるアクリル系樹脂と中空粒子の含有比率は、接着不良の発生の観点からは、アクリル系樹脂の比率を増やす方が好ましく、また、光沢感の観点からは、中空粒子の比率を増やす方が好ましい。
【0035】
また、本発明における接着組成物層には、必要に応じて、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、染料、防腐剤等の当該技術分野で通常用いられる公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0036】
本発明の再剥離性接着シートは、例えば、接着組成物層形成用塗布液を基材上に塗布する工程を含む製造方法で製造することができる。また前記製造方法は必要に応じて、乾燥工程等のその他の工程を含んで構成することができる。
接着組成物層形成用塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく通常用いられる塗布方法を適宜使用することができる。例えば、ブレード塗布、エアナイフ塗布、ロール塗布、リバースロール塗布、カーテン塗布、バー塗布、グラビア塗布等を挙げることができる。
【0037】
前記接着組成物層形成用塗布液は、アクリル系樹脂および中空粒子に加えて、溶媒の少なくとも1種を含んで構成することができ、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。前記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、IPA(イソプロピルアルコール)、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、TBA(ターシャリーブタノール)、ブタンジオール、エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、MTBE(メチルターシャリーブタノール)、ブチルカルビトール等のエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類等を挙げることができる。
【0038】
本発明において基材上に設けられた接着剤組成物層の固形分量としては、接着不良の発生が抑制される範囲であれば特に制限はなく、例えば、1〜25g/mとすることができる。本発明においては接着不良の発生抑制の観点から、3〜20g/mとすることが好ましく、5〜15g/mとすることがより好ましい。
【0039】
また、基材上に設けられた接着組成物層の厚みとしては、接着不良の発生抑制と光沢感の観点から、1μm以上であることが好ましく、3〜40μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。
【0040】
<画像記録方法>
本発明の再剥離性接着シートの画像形成方法は、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタを用いて、前記再剥離性接着シートの接着組成物層上に画像を記録する工程を含むことを特徴とする。上記接着組成物層に電子写真方式で画像を記録することで、接着不良の発生が抑制され、再剥離後であっても光沢感のある画像を形成することができる。
【0041】
本発明に用いる電子写真プリンタは、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタであれば特に制限はなく、当該技術分野で通常用いられる構成の装置を用いることができる。
また本発明の画像記録方法は、トナー画像形成工程と、定着工程とを含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成されることが好ましい。
【0042】
−トナー画像形成工程−
前記トナー画像形成工程は、本発明の前記再剥離性接着シートの接着組成物層上にトナー画像を形成する工程である。
前記トナー画像形成工程としては、再剥離性接着シートにトナー画像を形成することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常の電子写真方法で使用される方法、例えば、現像ローラ上に形成したトナー画像を再剥離性接着シートに転写する直接転写方式、又は中間転写ベルト等に一次転写した後、再剥離性接着シートに転写する中間転写ベルト方式が挙げられる。これらの中でも、環境安定性及び高画質化の面から、中間転写ベルト方式が好適に使用することができる。
【0043】
−定着工程−
前記定着工程は、前記トナー画像形成工程により形成されたトナー画像を加熱加圧部材により定着する工程である。
前記加熱加圧部材としては、例えば、一対の加熱ローラ、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、等が挙げられる。
この加圧の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ニップ圧を採用するのが好ましい。前記ニップ圧としては、耐水性、表面平滑性に優れ、良好な光沢を有する画像形成を行う観点から、0.098〜9.8MPaが好ましく、0.49〜2.94MPaがより好ましい。また、前記加熱加圧部材における加熱は、80〜210℃であることが好ましい。
【0044】
<再剥離性積層体の製造方法>
本発明の再剥離性積層体の製造方法は、前記再剥離性接着シートの基材上に設けられた接着組成物層同士を重ね合せる工程と、前記基材の重ね合せられた前記接着組成物層が設けられた側とは反対側から、熱および圧力の少なくとも一方を与えて70℃以下の温度で前記接着組成物層同士を接着する工程を含むが、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。
70℃以下の温度で接着組成物層同士を接着することで、再剥離後の画像により良好な光沢感を付与することができる。
【0045】
本発明において、接着組成物層を重ね合せる態様には特に制限はなく、当該技術分野で公知の重ね合せの態様を用いることができる。例えば、2枚の再剥離性接着シートにおけるそれぞれの接着組成物層同士を重ね合せる態様、1枚の再剥離性接着シートを2つ折りにして接着組成物層同士を重ね合せる態様、接着組成物層が両面に設けられた1枚の再剥離性接着シートを3つ折りにして再剥離性接着シートの一方の面に設けられた接着組成物層同士を重ね合せ、更に、もう一方の面に設けられた接着組成物層同士を重ね合せる態様等を挙げることができる。
【0046】
本発明における接着組成物層同士を接着する工程においては、熱および圧力の少なくとも一方を加える処理を、70℃以下の温度で行うが、接着不良の抑制と光沢感及び接着組成物の上に画像形成されたトナー同士のブロッキング防止の観点から、20〜70℃で行うことが好ましく、30〜65℃で行うことがより好ましい。
【0047】
また、接着組成物層同士を接着する工程においては、熱および圧力の少なくとも一方を加える。圧力を加える場合の圧力としては、接着不良の抑制と光沢感の観点から、0.5〜20MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましい。
【0048】
本発明においては、接着不良の抑制と光沢感の観点から、熱および圧力を加えて接着組成物層を接着することが好ましく、20〜70℃で0.5〜20MPaの圧力を加えて接着組成物層を接着することがより好ましく、更に好ましくは30〜65℃で1〜10MPaの圧力を加えて接着組成物層を接着する。
本発明において熱および圧力の少なくとも一方を加える方法としては、当該技術分野で公知の方法を特に制限なく用いることができる。例えば、PRESSLE Ace、PRESSLE Neo、PRESSLE TiVO、PRESSLE LiTTA(テクノ・トッパン・フォームズ株式会社製)、EX−4100・4500、EX−4000、EX−2000(デュプロ株式会社製)、ハローメーカー A502V−II(日本ビジネスフォーム株式会社製)を用いる方法等をあげることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、粒子径は体積平均粒子径である。
【0050】
《実施例1》
[紙基材の調製]
LBKP(広葉樹の漂白パルプ)からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解した。このパルプ材料100部に対して、カチオン性澱粉を1.0部、アルキルケテンダイマー0.5部、エポキシ化脂肪酸アミド0.5部、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン0.3部、高級脂肪酸エステル0.03部、コロイダルシリカ0.02部を添加し、長網抄紙機により坪量128g/mの原紙を抄造し、カレンダーを用いて厚みを121〜136μm(密度1.06〜0.94)に調整して紙基材とした。
【0051】
[再剥離性接着シートの製造]
中空粒子HP−1055(粒子径1.0μm、中空率55%、ロームアンドハース株式会社製)60部と、澱粉(75A、グリコ栄養食品株式会社製)25部と、を水65部に添加して十分に分散した後、アクリル系ラテックスAE120A(Tg=−10℃、体積平均粒子径55nm、JSR株式会社製、アクリル系樹脂、全固形分36.5%)100部を添加して混合し、接着組成物層形成用の塗工液を作製した。
作製した塗工液を、上記で抄造した坪量128g/mの用紙の一方の面に、バーコーター方式において塗工量が固形分で6.0g/mとなるように塗工し、80℃で3分乾燥して、再剥離性接着シートを得た。
【0052】
《実施例2》
実施例1において、アクリル系ラテックスAE120Aの代わりに、AE337(Tg=−30℃、体積平均粒子径250nm、JSR株式会社製、アクリル系樹脂、全固形分48.5%)を用い、固形分含有量が実施例1と同じになるように水の量を変更したこと以外は同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0053】
《実施例3》
実施例1において、アクリル系ラテックスAE120Aの代わりに、SX8900B(Tg=+20℃、体積平均粒子径55nm、JSR株式会社製、アクリル系樹脂、全固形分35%)を用い、固形分含有量が実施例1と同じになるように水の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0054】
《実施例4》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、AF−1353(粒子径1.3μm、中空率53%、ロームアンドハース株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0055】
《実施例5》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、HP−433J(粒子径0.4μm、中空率33%、ロームアンドハース株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0056】
《実施例6》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、SX866(C)(粒子径0.3μm、中空率30%、JSR株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0057】
《実施例7》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、SX868(B)(粒子径0.5μm、中空率40%、JSR株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0058】
《実施例8》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、SX8732(D)(粒子径1.0μm、中空率50%、JSR株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0059】
《実施例9》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、SX8732(A)(粒子径1.1μm、中空率55%、JSR株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0060】
《実施例10》
実施例1において、アクリル系ラテックスAE120Aの代わりに、TOCRYL N−140EC−2(Tg=−20℃、東洋インキ株式会社製、アクリル系樹脂、全固形分39.5%)を用い、固形分含有量が実施例1と同じになるように水の量を変更したこと以外は同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0061】
《実施例11》
実施例1において、アクリル系ラテックスAE120Aの代わりに、TOCRYL W−251−4(Tg=+12℃、東洋インキ株式会社製、アクリル系樹脂、全固形分45%)を用い、固形分含有量が実施例1と同じになるように水の量を変更したこと以外は同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0062】
《比較例1》
シリカ(カープレックスFPS101、粒子径1.2μm、デグサジャパン株式会社製)60部と、澱粉(75A、グリコ栄養食品株式会社製)25部とを水65部に添加して十分に分散した後、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100部を添加して混合し、接着組成物層形成用の塗工液を作製した。
作製した塗工液を上記で抄造した坪量128g/mの用紙の一方の面に、バーコーター方式において塗工量が固形分で6.0g/mとなるように塗工し、再剥離性接着シートとした。
【0063】
《比較例2》
比較例1において、シリカの代わりに、中空粒子HP−1055(粒子径1.0μm、中空率55%、ロームアンドハース株式会社製)を用いた以外は比較例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0064】
《比較例3》
比較例1において、天然ゴム系ラテックスの代わりに、アクリル系ラテックスAE120A(Tg=−10℃、体積平均粒子径55nm、JSR株式会社製、アクリル系樹脂)を用いた以外は比較例1と同様にして圧着シートを得た。
【0065】
《比較例4》
比較例1において、天然ゴム系ラテックスの代わりにスチレン/ブタジエン系ラテックス 0696(Tg=−12℃、体積平均粒子径170nm、JSR株式会社製)を用いた以外は比較例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0066】
《比較例5》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、アクリル系架橋粒子SX8743(A)−02(粒子径0.2μm、JSR株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0067】
《比較例6》
実施例1において、中空粒子HP−1055の代わりに、ポリスチレン系粒子SX1302(粒子径0.12μm、日本ゼオン株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、再剥離性接着シートを得た。
【0068】
<圧着性の評価>
上記で得られた再剥離性接着シートを所定環境(23℃、50%RH)にて24時間調整した後、二つ折りハガキ(V型ハガキ)の大きさ(200mm×148mm)に裁断し、接着組成物層が相対し、ハガキの大きさ(100mm×148mm)となるように2つに折り、接着組成物層同士を重ね合わせた。
予め、加熱部の温度が60℃となるようにパウチラミネーター DS320P(日本ジー・ビー・シー株式会社)を調整し、上記シートの折り部を先端としてパウチラミネーターの挿入口に挿入し、接着組成物層同士を接着した。
同一環境で3時間放置した後、接着した面同士を引き離した際の接着(圧着)の状態を、下記評価基準により評価し、結果を表1に示した。なお、本発明では、△以上が許容レベルにある。
【0069】
[評価基準]
○: 引き離した際、接着性が極めて良好であった。
○〜△: 引き離した際、接着性が良好であった。
△: 引き離した際、接着性がやや弱かった。
×: 引き離した際、接着性が殆どなかった(簡単に剥離した)。
【0070】
<光沢感の評価>
カラープリンタ−DocuColor1250PF(富士ゼロックス株式会社製、ヒートロール方式の電子写真プリンタ)を用いて、上記で得られた再剥離性接着シートの接着組成物層の面に写真画像を出力し、画像を形成した。
上記の圧着性評価と同様に、所定環境(23℃、50%RH)にて24時間調整した後、重ね合わせたハガキ大のシートをパウチラミネーターに挿入して、接着組成物層同士を接着した。
同一環境で3時間放置した後、接着剤組成層(画像形成層)を引き離した際の、画像全体の光沢感を目視で観察し、下記評価基準により評価し、結果を表1に示した。なお、本発明では、△以上が許容レベルにある。
【0071】
[評価基準]
○: 画像内の光沢差がほとんどなかった。
○〜△: 画像内の光沢差が小さかった。
△: 画像内の光沢差がやや目立った。
△〜×: 画像内の光沢差が目立ち、実用上問題があるレベルだった。
×: 画像内の光沢差が大きかった。
【0072】
【表1】

【0073】
表1から、本発明の再剥離性接着シートにおいては、接着不良の発生が抑制されていることが分かる。また、本発明の再剥離性接着シートにおいては、電子写真プリンタで画像を形成しても、接着不良の発生が抑制され、接着面を引き剥がした後においても良好な光沢感を有する画像を形成することができたことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一方に設けられ、アクリル系樹脂および中空粒子を含有する接着組成物層と、
を有し、前記接着組成物層同士を重ねて少なくとも圧力が与えられたときに接着する再剥離性接着シート。
【請求項2】
前記アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgが−40℃〜+30℃である請求項1に記載の再剥離性接着シート。
【請求項3】
前記アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgが−20℃〜+15℃である請求項1に記載の再剥離性接着シート。
【請求項4】
前記中空粒子は、中空率が30〜70%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項5】
前記アクリル系樹脂の体積平均粒子径が30〜200nmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項6】
前記中空粒子は、体積平均粒子径が0.3〜3μmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項7】
前記アクリル系樹脂と前記中空粒子の含有比(アクリル系樹脂:中空粒子)が、質量基準で80:20〜10:90である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項8】
前記アクリル系樹脂は、カルボキシ変性アクリル系樹脂である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項9】
前記基材は、不透明度が85%以上であって坪量が64〜210g/mの紙基材である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の再剥離性接着シート。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の再剥離性接着シートの接着組成物層上に、ヒートロール定着方式の電子写真プリンタを用いて画像を記録する工程を含む画像記録方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の再剥離性接着シートの基材上に設けられた接着組成物層同士を重ね合せる工程と、前記基材の重ね合せられた前記接着組成物層が設けられた側とは反対側から、熱および圧力の少なくとも一方を与えて70℃以下の温度で前記接着組成物層同士を接着する工程と、を含む再剥離性積層体の製造方法。

【公開番号】特開2010−37553(P2010−37553A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160702(P2009−160702)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】