説明

再資源化装置

【課題】短時間で原料を処理して再資源化できる再資源化装置1,1aを提供する。
【解決手段】原料の投入を許容する原料供給部10と、前記原料を加熱する減容槽20、溶融槽30および熱分解槽40と、前記原料を搬送して全ての前記加熱槽に通過させるベルトコンベア70とを備えた再資源化装置1,1aにおいて、前記減容槽20、溶融槽30および熱分解槽40を、順に並べて配置し、前記ベルトコンベア70を、前記配置順に前記原料を搬送する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば原料を加熱して処理するような再資源化装置に関し、特に、投入された原料からレアメタル、油分、またはその両方を取得するような再資源化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用後の廃棄物は、減容等されて廃棄されるか、分別して再利用されている。再利用する方法としては、例えば、電子部品搭載プリント配線基板を低温乾留して可燃部分を炭化させ、冷却して破砕する電子部品搭載プリント配線基板の処理方法が提案されている(特許文献1参照)。この処理方法は、遮蔽扉を開いて予熱槽から加熱槽へ処理物Aを搬送し、遮蔽扉を閉じて加熱槽で加熱するといった処理を行う。
【0003】
しかし、この方法は、原料を処理するために時間がかかるものであった。すなわち、この方法は、原料を予熱槽から加熱槽へ、加熱槽から冷却槽へ移動さす際に、開閉式の遮蔽扉を開けなければならないものであった。しかも、開閉式の遮蔽扉を開くと、予熱槽と加熱槽との間、および加熱槽と冷却槽との間で熱交換が行われ、加熱槽の温度が下降し、冷却槽の温度が上昇するため、加熱槽は再加熱が必要となり、冷却槽は再冷却が必要となる。このため、処理時間が長くなるものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−81519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題に鑑み、短時間で原料を処理して再資源化できる再資源化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、原料の投入を許容する投入許容部と、前記原料を加熱する複数の加熱槽と、前記原料を搬送して全ての前記加熱槽に通過させる搬送手段とを備え、前記加熱槽を、順に並べて配置し、前記搬送手段を、前記配置順に前記原料を搬送する構成とした再資源化装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、短時間で原料を処理して再資源化できる再資源化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、再資源化装置1の構成を示す側面から見た説明図であり、図2は、再資源化装置1の一部の構成を示す部分拡大斜視図である。
【0009】
再資源化装置1は、原料供給部10、減容槽20、溶融槽30、熱分解槽40、冷却槽50、および原料供給部10からこれらの各槽にこの順で対象物D1(原料)を搬送するベルトコンベア70により主に構成されている。また、再資源化装置1には、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40から排出される気化物(軽油やA重油など)を処理する塩素除去装置2、冷却装置3、油水分離装置4、および油槽5が設けられている。
【0010】
原料供給部10は、投入口11から投入された各種原料を対象物D1として供給口12から減容槽20に供給する。供給口12と反対側の壁部13は、密閉されて外部と遮断されている。また、原料供給部10は上部の投入口11から下部の供給口12へ向けて幅が狭くまる漏斗状に形成されている。このため、対象物D1としての原料が投入口11から投入されると、この原料によって原料供給部10の供給口12から投入口11へ気体が逆流することを防止できる。
【0011】
減容槽20は、入り口側が原料供給部10の供給口12と連通しており、出口側に開閉式仕切り板25が傾斜配置されている。開閉式仕切り板25は、回動連結部24で上端が支持されており、回動連結部24の回転駆動によって図の矢印に示すように回動する。これにより、下端側の連通部27で対象物D2を通過許容する開状態と、連通部27を閉鎖して完全密閉する閉状態とに状態切り替えする。減容槽20の下部には、ベルトコンベア70のチェーンベルト71が配置されている。
【0012】
また、減容槽20の上部には、気化物を排出する排出穴21が設けられている。この排出穴から出た気化物(主に軽油)は、塩素除去装置2へ供給される。また、減容槽20内には、傾斜配置された開閉式仕切り板25に沿って加熱蒸気を上から斜め下方へ噴出する加熱蒸気噴出部23が設けられている。
【0013】
加熱蒸気噴出部23は、加熱蒸気を勢い良く噴出してチェーンベルト71まで到達させる。これにより、噴出した加熱蒸気は、減容槽20と溶融槽30を繋ぐ連通部27のエアーカーテンとなり、減容槽20と溶融槽30とで相互に熱交換することを防止できる。特に、温度の低い減容槽20側にてエアーカーテンを形成するため、溶融槽30の高温の雰囲気が減容槽20側に流出することを確実に防止できる。
【0014】
この減容槽20は、加熱蒸気噴出部23から供給される加熱蒸気により、内部が150°〜200℃程度に加熱される。したがって、対象物D2に含まれている軽油成分が気化し、排出穴21の後段で軽油を抽出することができる。また、この減容槽20は、対象物D2を加熱することで、対象物D2を減容することができる。
【0015】
溶融槽30は、入り口側が上下高さ6cm〜10cm程度の連通部27にて減容槽20と連通しており、出口側に開閉式仕切り板35が傾斜配置されている。開閉式仕切り板35は、回動連結部34で上端が支持されており、回動連結部34の回転駆動によって図の矢印に示すように回動する。これにより、下端側の連通部37で対象物D3を通過許容する開状態と、連通部37を閉鎖して完全密閉する閉状態とに状態切り替えする。溶融槽30の下部には、ベルトコンベア70のチェーンベルト71が配置されている。また、溶融槽30の上部には、気化物を排出する排出穴31が設けられている。この排出穴から出た気化物(主にA重油)は、塩素除去装置2へ供給される。また、溶融槽30内には、傾斜配置された開閉式仕切り板35に沿って加熱蒸気を上から斜め下方へ噴出する加熱蒸気噴出部33が設けられている。加熱蒸気噴出部33は、加熱蒸気を勢い良く噴出してチェーンベルト71まで到達させる。これにより、噴出した加熱蒸気は、溶融槽30と熱分解槽40を繋ぐ連通部37のエアーカーテンとなり、溶融槽30と熱分解槽40で相互に温度交換することを防止できる。特に、温度の低い溶融槽30側にてエアーカーテンを形成するため、熱分解槽40の高温の雰囲気が溶融槽30側に流出することを確実に防止できる。
【0016】
この溶融槽30は、加熱蒸気噴出部33から供給される加熱蒸気により、内部が300°〜350℃程度に加熱される。したがって、対象物D3に含まれているA重油成分が気化し、排出穴31の後段でA重油を抽出することができる。また、この溶融槽30は、対象物D3を加熱することで、対象物D3を一部液化することができる。液化した液化物は、チェーンベルト71の貫通穴72を通過して下方の液体排出部81から溶融物回収部80に回収される。この液化物(例えばプラスチック成分など)を、完全に気化させるのではなく液化物のまま回収することで、溶融槽30で処理に要する時間を格段に短縮することができる。すなわち、従来であれば、300°〜350℃程度で加熱すると、対象物のうち液化した液化物が下方でぐつぐつ煮えて、この液化物が気体になるまで非常に時間がかかり、この間次工程へ対象物を移せないという問題があった。しかし、液化物をそのまま下方へ回収することで、気化するまで時間をかける必要がなくなり、溶融槽30で処理する時間を大幅に短縮できる。回収した液化物は、別工程にて気化させて処理するなど、適宜の方法で処理すると良い。この場合、液化物にはレアメタル等の非溶融物質が含まれていないため、処理装置を簡略化できる。
【0017】
熱分解槽40は、入り口側が上下高さ6cm〜10cm程度の連通部37にて溶融槽30と連通しており、出口側に開閉式仕切り板45が傾斜配置されている。開閉式仕切り板45は、回動連結部44で上端が支持されており、回動連結部44の回転駆動によって図の矢印に示すように回動する。これにより、下端側の連通部47で対象物D4を通過許容する開状態と、連通部47を閉鎖して完全密閉する閉状態とに状態切り替えする。熱分解槽40の下部には、ベルトコンベア70のチェーンベルト71が配置されている。また、熱分解槽40の上部には、気化物を排出する排出穴41が設けられている。この排出穴から出た気化物(主にA重油)は、塩素除去装置2へ供給される。また、熱分解槽40内には、加熱蒸気を上から斜め下方へ噴出する加熱蒸気噴出部43が設けられている。加熱蒸気噴出部43は、加熱蒸気を勢い良く噴出してチェーンベルト71まで到達させる。これにより、噴出した加熱蒸気は、熱分解槽40と冷却槽50を繋ぐ連通部47のエアーカーテンとなり、熱分解槽40と冷却槽50で相互に温度交換することを防止できる。
【0018】
この熱分解槽40は、加熱蒸気噴出部43から供給される加熱蒸気により、内部が450°〜500℃程度に加熱される。したがって、対象物D4に含まれているA重油成分が気化し、排出穴41の後段でA重油を抽出することができる。また、この熱分解槽40は、非常に高温で対象物D4を加熱するため、対象物D4を炭化させた炭化物、および対象物D4に含まれていた銅、鉄、アルミといったレアメタルを残渣物としてチェーンベルト71により後段の冷却槽50へ搬送することができる。ここで、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40は、温度の低いものから高いものへ順に配置されている。
【0019】
冷却槽50は、入り口側が上下高さ6cm〜10cm程度の連通部47にて熱分解槽40と連通しており、該連通部47から搬送されて来た対象物D5を冷却する。この冷却槽50は、100℃以下に冷却する槽であり、冷却した対象物D5を回収部51に回収する。これにより、レアメタルや炭素を低温で安全に回収することができる。
【0020】
ベルトコンベア70は、穴が空いていて液体が通過可能なチェーンベルト71をローラ72で回動させ、チェーンベルト71上の対象物D(D1〜D5)を搬送する。チェーンベルト71による対象物Dの搬送は、停止することなく連続的に搬送する、あるいは一定条件(例えば一定時間経過など)で停止して間欠的に搬送するなど、対象物Dの種類や取得目的(レアメタルかA重油か等)に応じて図示省略する制御装置で適宜制御すると良い。
【0021】
上述した減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40の側面には、図2に示すように、蒸気を加熱する蒸気加熱部60が壁面に接触して又は近接して設けられている。この蒸気加熱部60は、蒸気を搬送するパイプ62の外周にヒータ61が配置されている。これにより、蒸気を必要な温度まで加熱し、この加熱蒸気を加熱蒸気噴出部23,33,43から減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40内にそれぞれ供給できる。この蒸気加熱部60は、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40の側面に接触あるいは近接しているため、蒸気を加熱するヒータ61の予熱が減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40に伝わる。従って、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40を効率良く加熱することができる。
【0022】
図1に示した塩素除去装置2は、流入してきた気化物から塩素を除去する脱ハロゲン工程を行い、塩素除去した気化物を冷却装置3へ送り出す。
冷却装置3は、流入してきた気化物を冷却して液化し、この液化物を油水分離装置4へ送り出す。
油水分離装置4は、流入してきた液化物を油水分離し、油分(A重油や軽油など)を油槽5へ送り出す。
油槽5は、流入してきた油分を貯留する。
【0023】
図3は、再資源化装置1に投入された対象物Dが処理される工程を説明するフローチャートである。
まず、処理対象となる対象物Dは、原料供給部10へ投入される(ステップS1)。対象物Dは、マテリアルリサイクルを行う場合であれば、単一の物品のみにすると良い。また、廃棄物処理を行う場合であれば、対象物Dは、プラスチック、金属製品、金属とプラスチックの混合物、繊維製品、熱可塑性樹脂による製品、食料品など、様々な物品を混合すると良い。この混合は、種々の廃棄物を何でも投入するだけでよく、攪拌などの特別な処理をする必要はない。
【0024】
減容槽20が実行する減容工程にて減容される(ステップS2)。減容槽20は、この減容工程を、加熱水蒸気が充満した摂氏150℃〜200℃の雰囲気温度で実施する。このとき、減容槽20は、気体となった気化物を、塩素除去装置2へ送り出し、固体を溶融槽30へ送り出す。
【0025】
減容工程を通過した固体は、溶融槽30が実行する溶融工程で溶融される(ステップS3)。溶融槽30は、この溶融工程を、加熱水蒸気が充満した摂氏300℃〜350℃の雰囲気温度で実施する。このとき、溶融槽30は、気体となった気化物を、塩素除去装置2へ送り出し、溶融して液体となった液化物を溶融物回収部80へ送り出す。
【0026】
ここで、処理する対象物Dが、例えば綿30%、ポリエステル70%といった繊維であれば、ポリエステル成分が液体となって溶融物回収部80へ送り出されてペレットとして再利用でき、綿成分が炭化物となって水浄化用の炭化物等として再利用できる。また、処理する対象物Dが、プラスチック成分の含有された製品であった場合や、廃油や、ゴミであった場合、油分が蒸発し気化物として抽出され、炭化物や金属が残渣物として固体で残る。
【0027】
溶融工程を通過した固体は、熱分解槽40が実行する熱分解工程で熱分解される(ステップS4)。熱分解槽40は、この熱分解工程を、加熱水蒸気が充満した摂氏450℃〜500℃の雰囲気温度で実施する。このとき、熱分解槽40は、気体となった気化物(主にA重油成分など)を塩素除去装置2へ送り出す。この熱分解では、残渣物として固体の炭化物や金属が残る。
ここで、処理する対象物Dが、例えば綿30%ポリエステル70%といった繊維であれば、ポリエステル成分が既に溶融工程で除かれているため、引き続き炭素が残る。また、処理する対象物Dが、プラスチック成分の含有された製品であった場合や、廃油や、ゴミであった場合、油分が蒸発し気化物として抽出され、炭化物や金属が残渣物として固体で残る。
【0028】
熱分解工程を通過した固体は、冷却槽50が実行する冷却工程で冷却される(ステップS5)。冷却槽50は、この冷却工程を、摂氏100℃以下の雰囲気温度で実施する。
【0029】
そして、冷却工程で100℃以下に冷却された残渣物は、回収工程にて回収される(ステップS6)。この回収工程は、例えば冷却槽50にて急速冷却した場合であれば、冷却した残渣物をそのまま連続的に排出すれば良い。冷却槽50にて冷却に時間がかかる場合は、一定量ずつ冷却完了させ、一定量ずつバッチ処理で回収すると良い。
【0030】
脱ハロゲン工程に送り出された気化物は、塩素除去装置2で塩素が除去(脱ハロゲン)される(ステップS7)。そして、塩素除去された気化物は冷却工程に送り出される。
【0031】
冷却工程では、冷却装置3により気化物が冷却され、液体に戻る(ステップS8)。この液体は、対象物Dの成分や、減容槽20、溶融槽30、熱分解槽40のいずれから送り出された気化物であったかによって、軽油であったりA重油であったりする。この油分は、回収工程へ送り出され、回収される(ステップS9)。この回収にあたっては、油水分離装置4で油水分離してから回収してもよく、また油水分離せずにそのまま回収してもよい。
【0032】
溶融工程から冷却工程へ送り出された液化物は、冷却工程により冷却されて固体に戻される(ステップS10)。この冷却工程は、図示省略する冷却槽により実施すると良い。
そして、冷却工程を通過した固体は、回収工程にて溶融物回収部80で回収される(ステップS11)。
【0033】
以上の構成および動作により、投入された対象物Dを短時間で連続的に処理することができる。対象物Dが様々な物品の混合している廃棄物である場合、気化させた油分、溶解させたペレット成分、固形化させた炭化物および金属を取得することができる。この廃棄物としては、熱可塑性樹脂、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、廃プラスチック、廃油、電線、廃タイヤ、賞味期限切れコンビニ弁当(コンビニエンスストア等で販売されるプラスチック製容器に食料が収納された弁当)、建設廃材(木屑、金属屑、電線屑、ガラス、陶器等)、および制服等とすることができる。
【0034】
また、一般に破壊困難であるFRP(Fiber Reinforced Plastics)を含有する製品が対象物Dとして投入された場合も、油分を蒸発させて脆化させることができ、コンパクトに破壊処理することができる。
【0035】
また、連通部27,37,47は、減容槽20、溶融槽30および熱分解槽40の各高さに比べて非常に低い6cm〜10cmという隙間であるため、開けたままでも減容槽20、溶融槽30および熱分解槽40の間で熱交換が行われることを防止できる。
【0036】
また、加熱蒸気噴出部23,33,43から、加熱蒸気を勢い良く噴出してチェーンベルト71まで到達させるため、噴出した加熱蒸気により連通部27,37,47のエアーカーテンを形成できる。これにより、減容槽20と溶融槽30の間、溶融槽30と熱分解槽40の間、熱分解槽40と冷却槽50の間で相互に温度交換することを確実に防止できる。
【0037】
また、緊急時には回動連結部24,34,44の駆動力により開閉式仕切り板25,35,45を閉じることができるため、減容槽20、溶融槽30および熱分解槽40を完全に分離でき、トラブルの伝播を防止して安全性を高めることができる。
【0038】
また、再資源化装置1は、溶融槽30によりペレットを抽出する、排出穴21から排出した気化物により軽油を抽出する、排出穴31,41から排出した気化物によりA重油を抽出する、回収部51から炭化物またはレアメタルを抽出するといったことができる。従って、再資源化装置1は、マテリアルリサイクルに利用することができる。
【0039】
なお、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40は、水平方向に並べたが、これに限らず傾斜配置または鉛直配置に並べてもよい。この場合、減容槽20が最も低く、熱分解槽40が最も高い位置となるように順番に配置することが好ましい。これにより、高温が上へ集まる原理を効果的に利用でき、熱分解槽40を最も高温にすることを容易に実現できる。
【0040】
また、再資源化装置1は、図3に示す再資源化装置1aのように構成してもよい。この実施例では、原料供給部10から廃棄対象物を斜め上方へ搬送するベルトコンベア70aを備え、このベルトコンベア70aの搬送終端の下部に約160℃に加熱する減容槽20を備えている。減容槽20内にはベルトコンベア70bが設けられ、このベルトコンベア70bの搬送終端部分の下方に約300℃に加熱する溶融槽30のベルトコンベア70c先端が配置されている。減容槽20と溶融槽30の接続部分には、開閉可能な開閉式仕切り板25が設けられている。
【0041】
溶融槽30の下方位置には、溶融された対象物を搬送するスクリューフィーダ83が設けられている。このスクリューフィーダ83は、溶融した対象物をカッティングするカッティング工程を実行する。このスクリューフィーダ83で搬送された対象物は、冷却工程を実行する冷却槽84で冷却される。冷却された対象物は、冷却槽84からベルトコンベア70fで回収部85に回収される。
【0042】
溶融槽30の後段には、約450℃に加熱する熱分解槽40が設けられ、その連結部分に開閉式仕切り板35が設けられている。熱分解槽40の下部には、ベルトコンベア70dが設けられ、対象物を搬送する。
【0043】
熱分解槽40の後段には、約500℃に加熱するもう一つの熱分解槽40が接続され、両者の接続部に開閉式仕切り板45が設けられている。熱分解槽40の下部には、ベルトコンベア70eが設けられ、対象物を搬送する。
ベルトコンベア70eの搬送終端の下方には、冷却槽50が設けられている。
【0044】
また、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40には、加熱水蒸気を噴射する加熱蒸気噴出部23,33,43がそれぞれ設けられている。この加熱蒸気噴出部23,33,43には、ボイラー63により加熱された加熱蒸気発生装置64から、加熱水蒸気が供給される。
【0045】
そして、原料供給部10から減容槽20、溶融槽30、熱分解槽40を通過して冷却槽50まで対象物が移動する間、投入された原料の気化物等が外部へ漏れないように、外壁Aで完全に被覆されている。
その他の構成は前述した実施例1と同一であるため、同一要素に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
以上の構成により、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、上述した実施例では、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40の各温度を異なる温度にしたが、すべて同じ程度の温度にしても良い。この場合、図4に示した実施例のようにベルトコンベア70を各槽毎に独立して備え、各槽のベルトコンベア70a,70b,70c,70d,の搬送速度を異ならせると良い。具体的には、熱伝達が少なくてよい減容槽20では、ベルトコンベア70bを他のベルトコンベア70c等よりも早く搬送するように構成すると良い。これにより、減容しつつ液化させないことを実現できる。また、対象物Dを高温にしたい場合、例えばベルトコンベア70dにて対象物Dを他のベルトコンベア70c等よりもゆっくり搬送することで、十分な温度まで加熱して液化させることができる。このようにして、各槽(20,30,40)のベルトコンベア(70b,70c,70d)の搬送速度を異ならせることでも、各槽にて減容、液体抽出、油分の気体化をそれぞれ実現できる。
【0047】
また、上述した実施例では、溶融槽30内を300°〜350℃程度に加熱する構成としたが、この温度に限らず、溶融物回収部80にて回収したい物質に応じて調整すると良い。例えば、発砲スチロールを取得したい場合であれば200℃〜300℃程度、アクリル(もしくはPPCやポリイミドなど)を取得したい場合であれば300℃〜600℃程度、亜鉛を取得したい場合であれば800℃程度に溶融槽30内を加熱すると良い。このようにすることで、原料として投入された対象物Dに応じて、取得可能な物質(発砲スチロール、アクリル、亜鉛など)を適切な温度で溶融させて液化させ、効率よく取得することができる。また、亜鉛と鉄が混ざっているような場合でも、亜鉛を溶融物回収部80で回収し、残渣物として残る鉄を冷却槽50から回収してマテリアルリサイクルすることができる。なお、溶融槽30内を800℃程度に加熱して亜鉛を取る場合は、熱分解槽40を800℃〜1000℃程度にすると良い。
【0048】
また、各槽(20,30,40)の温度は、気化させて取得したい油成分の温度に応じて調整しても良い。これにより、軽油、A重油、C重油といった各種油成分の分別回収が可能となる。
【0049】
また、再資源化装置1,1aは、廃棄物が投入された場合でも、該廃棄物を減容し、油成分の抽出やマテリアルリサイクルを行うことができる。従って、再資源化装置1,1aは、廃棄物処理装置として利用することもできる。
【0050】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の投入許容部は、実施形態の原料供給部10に対応し、
以下同様に、
加熱槽は、減容槽20、溶融槽30、および熱分解槽40に対応し、
加熱蒸気噴出手段は、加熱蒸気噴出部23,33,43に対応し、
駆動手段は、回動連結部24,34,44に対応し、
開閉式仕切り板は、開閉式仕切り板25,35,45に対応し、
連結部は、連通部27,37,47に対応し、
加熱手段は、ヒータ61に対応し、
搬送手段は、ベルトコンベア70に対応し、
原料は、対象物D1に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】再資源化装置の構成の説明図。
【図2】再資源化装置の部分拡大斜視図。
【図3】再資源化装置の処理工程のフローチャート。
【図4】他の実施例の再資源化装置の構成の説明図。
【符号の説明】
【0052】
1,1a…再資源化装置、10…原料供給部、20…減容槽、30…溶融槽、40…熱分解槽、23,33,43…加熱蒸気噴出部、24,34,44…回動連結部、25,35,45…開閉式仕切り板、27,37,47…連通部、61…ヒータ、70…ベルトコンベア、D1…対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料の投入を許容する投入許容部と、
前記原料を加熱する複数の加熱槽と、
前記原料を搬送して全ての前記加熱槽に通過させる搬送手段とを備え、
前記加熱槽を、順に並べて配置し、
前記搬送手段を、前記配置順に前記原料を搬送する構成とした
再資源化装置。
【請求項2】
各加熱槽間を仕切り、前記原料の加熱槽間の搬送に必要な空間だけ開けた開状態と完全に仕切った閉状態とに切り替え可能な開閉式仕切り板を備え、
前記仕切り板を開状態にして各加熱槽の加熱を実行し、緊急時に前記開閉式仕切り板を閉状態に駆動する駆動手段を備えた
請求項1記載の再資源化装置。
【請求項3】
前記搬送手段をベルトコンベアで構成し、
前記各加熱槽を該ベルトコンベアの上方位置でベルトコンベアの搬送方向へ並べて配置し、
前記各加熱槽間の連結部付近で上方から下方へ加熱蒸気を勢い良く噴出させて該加熱蒸気をベルトコンベアにまで吹き付ける加熱蒸気噴出手段を備えた
請求項2記載の再資源化装置。
【請求項4】
前記加熱蒸気噴出手段に供給する蒸気を加熱する加熱手段を備え、
該加熱手段を、前記加熱槽の内壁の外側に接触させるか近接させて配置した
請求項3記載の再資源化装置。
【請求項5】
前記複数の加熱槽は、後段の加熱槽を前段の加熱槽よりも高い位置に配置した
請求項1から4のいずれか1つに記載の再資源化装置。
【請求項6】
前記原料のプラスチック成分を前記液化物として取得可能とし、
前記原料の金属成分を残渣物として取得可能とし、
前記原料の油成分を気化物として取得可能とした
請求項1から5のいずれか1つに記載の再資源化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−82779(P2009−82779A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253010(P2007−253010)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(500104211)
【Fターム(参考)】