説明

冷凍装置

【課題】圧縮機へ電力を供給する電源のパワー素子を冷媒によって冷却する冷凍装置において、パワー素子と冷却用部材との熱交換効率を向上させる。
【解決手段】冷却用部材(50)は、冷媒が流れる冷媒管(52)と、冷媒管(52)が埋設された本体部(51)とを備える。冷媒管(52)には、本体部(51)の表面に露出する平面部(52a)が形成されている。平面部(52a)は、ヒートスプレッダ(58)を介してパワー素子(56)に熱的に接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機へ電力を供給する電源のパワー素子を冷媒によって冷却する冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧縮機へ電力を供給する電源のパワー素子を冷媒によって冷却する冷凍装置が知られている。例えば、特許文献1には、冷媒が流れる銅製の冷媒管と、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属からなり冷媒管が埋設された平板状の本体部とを備えた冷却用部材が開示されている。この冷却用部材は、銅製の冷媒管を用いて耐圧性能を確保するとともに、加工性やコストを考量して、冷媒管とパワー素子との間の伝熱部材としてアルミニウム製の本体部を用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3641422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような構成の冷却用部材では、冷媒管を流れる冷媒が本体部を介してパワー素子から吸熱するため、パワー素子から冷媒管までの熱抵抗を小さくして、パワー素子と冷媒との熱交換効率を向上させることが必要である。ここで、熱抵抗を小さくするために、パワー素子の接触面から冷媒管までの本体部の厚みを薄く形成することが考えられる。しかしながら、パワー素子と冷媒管との間にアルミニウム製の本体部が介在しているために熱抵抗を小さくする上で限界があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機へ電力を供給する電源のパワー素子を冷媒によって冷却する冷凍装置において、パワー素子と冷却用部材との熱交換効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧縮機(30)が接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、パワー素子(56)を有して該圧縮機(30)の電動機(33)へ電力を供給する電源(55)と、該冷媒回路(20)の冷媒によって該電源(55)のパワー素子(56)を冷却する冷却用部材(50)とを備えた冷凍装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、第1の発明は、前記冷却用部材(50)は、冷媒が流れる冷媒管(52)と、該冷媒管(52)が埋設された本体部(51)とを備え、
前記冷媒管(52)には、前記本体部(51)の表面に露出して前記パワー素子(56)に熱的に接触する平面部(52a)が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明では、冷却用部材(50)は、冷媒が流れる冷媒管(52)と、冷媒管(52)が埋設された本体部(51)とを備える。冷媒管(52)には、本体部(51)の表面に露出した平面部(52a)が設けられる。この平面部(52a)にパワー素子(56)を熱的に接触させることで、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)とを熱交換させる。
【0009】
このような構成とすれば、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させることができる。
【0010】
具体的に、従来の冷却用部材(50)のように、本体部(51)の厚み方向の略中央位置に冷媒管(52)を埋設させた構成では、冷媒管(52)からパワー素子(56)までの熱抵抗を小さくして、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させるためには、パワー素子(56)の接触面から冷媒管(52)までの本体部(51)の厚みを薄くする必要があった。しかしながら、本体部(51)の厚みを薄くしたとしても、パワー素子(56)と冷媒管(52)との間に本体部(51)が介在していることに変わりはなく、熱抵抗を小さくする上で限界があった。
【0011】
これに対し、本発明では、本体部(51)の表面に露出する平面部(52a)を冷媒管(52)に設け、この平面部(52a)にパワー素子(56)を熱的に接触させるようにしたから、パワー素子(56)と冷媒管(52)とを直接接触させて熱抵抗を小さくし、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
前記冷媒管(52)の平面部(52a)は、該冷媒管(52)の外周面をプレス成形することで形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、冷媒管(52)の外周面がプレス成形されることで、冷媒管(52)の平面部(52a)が形成される。このような構成とすれば、例えば、円筒形状の冷媒管(52)を、その外周面が本体部(51)の表面から膨出するように本体部(51)に埋設しておき、本体部(51)と冷媒管(52)とをプレス成形機でプレスすることで、本体部(51)の表面と面一な平面部(52a)を冷媒管(52)に対して容易に形成することができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記冷媒管(52)は、その断面形状が長円状に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明では、冷媒管(52)の断面形状が長円状に形成される。このような構成とすれば、平面部(52a)の表面積を大きくしてパワー素子(56)との接触面積を増やすことができ、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0016】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のうち何れか1つにおいて、
前記冷媒管(52)は、前記本体部(51)内に互いに間隔をおいて埋設され且つその両端部が該本体部(51)から突出した複数の伝熱管(52b)と、隣接する各伝熱管(52b)の端部同士を接続するU字管(52c)とを備え、
前記伝熱管(52b)の両端部及び前記U字管(52c)は、前記平面部(52a)の反対面側に向かって傾斜するように折り曲げられていることを特徴とするものである。
【0017】
第4の発明では、冷媒管(52)は、複数の伝熱管(52b)とU字管(52c)とを備える。複数の複数の伝熱管(52b)は、本体部(51)内に互いに間隔をおいて埋設され且つその両端部が該本体部(51)から突出している。U字管(52c)は、隣接する各伝熱管(52b)の端部同士を接続している。そして、伝熱管(52b)の両端部及びU字管(52c)は、平面部(52a)の反対面側に向かって傾斜するように折り曲げられる。
【0018】
このような構成とすれば、筐体の取付面に冷却用部材(50)を取り付ける際に、冷媒管(52)の伝熱管(52b)及びU字管(52c)がその取付面に干渉することがなく、冷媒管(52)の平面部(52a)とパワー素子(56)とを確実に密着させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本体部(51)の表面に露出する平面部(52a)を冷媒管(52)に設け、この平面部(52a)にパワー素子(56)を熱的に接触させるようにしたから、パワー素子(56)と冷媒管(52)とを直接接触させて熱抵抗を小さくし、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る空調機の概略構成を示す冷媒回路図である。
【図2】インバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。
【図3】本実施形態の変形例1に係るインバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。
【図4】本実施形態の変形例2に係る冷却用部材の構成を示す平面図である。
【図5】インバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
本実施形態は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷凍装置によって構成された空調機(10)である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の空調機(10)は、屋外に設置される室外ユニット(11)と、屋内に設置される室内ユニット(12)を1つずつ備えている。室外ユニット(11)には、室外回路(21)が収容されている。室内ユニット(12)には、室内回路(22)が収容されている。この空調機(10)では、室外回路(21)と室内回路(22)を一対の連絡配管(23,24)で接続することによって冷媒回路(20)が形成されている。
【0024】
前記室外回路(21)には、圧縮機(30)と、四方切換弁(41)と、室外熱交換器(42)と、冷却用部材(50)と、膨張弁(43)とが設けられている。なお、冷却用部材(50)については後述する。
【0025】
前記圧縮機(30)は、その吐出側が四方切換弁(41)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(34)を介して四方切換弁(41)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(41)は、その第3のポートが室外熱交換器(42)の一端に接続され、その第4のポートがガス側閉鎖弁(44)に接続されている。室外熱交換器(42)の他端は、冷却用部材(50)を介して膨張弁(43)の一端に接続されている。膨張弁(43)の他端は、液側閉鎖弁(45)に接続されている。
【0026】
前記室内回路(22)には、室内熱交換器(46)が設けられている。室内回路(22)は、そのガス側の端部がガス側連絡配管(23)を介してガス側閉鎖弁(44)に接続され、その液側の端部が液側連絡配管(24)を介して液側閉鎖弁(45)に接続されている。
【0027】
前記圧縮機(30)は、いわゆる全密閉型圧縮機である。つまり、圧縮機(30)では、冷媒を圧縮する圧縮機構(32)と、圧縮機構(32)を回転駆動するための電動機(33)とが、1つのケーシング(31)内に収容されている。四方切換弁(41)は、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(43)は、弁体がパルスモータによって駆動される開度可変の電動膨張弁である。
【0028】
前記室外熱交換器(42)及び室内熱交換器(46)は、何れも冷媒を空気と熱交換させるためのフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器(42)は、室外空気と冷媒を熱交換させる。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(42)へ室外空気を送るための室外ファン(13)が設けられている。室内熱交換器(46)は、室内空気と冷媒を熱交換させる。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(46)へ室内空気を送るための室内ファン(14)が設けられている。
【0029】
前記室外ユニット(11)には、電源であるインバータ装置(55)が設けられている。インバータ装置(55)は、商用電源から供給された交流の周波数をコントローラ(図示省略)からの指令値に変換し、周波数を変換した交流を圧縮機(30)の電動機(33)へ供給するように構成されている。このインバータ装置(55)には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー素子(56)が設けられている。
【0030】
図2は、インバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。図2に示すように、インバータ装置(55)では、パワー素子(56)が配線基板(57)に対して下側から取り付けられている。
【0031】
前記冷却用部材(50)は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属からなる本体部(51)と、本体部(51)に埋設された銅製の冷媒管(52)とを備えている。本体部(51)は、やや肉厚の平板状に形成されている。
【0032】
ここで、前記冷媒管(52)には、本体部(51)の表面に露出した平面部(52a)が設けられている。この平面部(52a)は、冷媒管(52)の外周面をプレス成形することで形成されている。具体的に、円筒形状の冷媒管(52)を、その外周面が本体部(51)の表面から膨出するように本体部(51)に埋設しておき、本体部(51)と冷媒管(52)とをプレス成形機でプレスすることで、本体部(51)の表面と面一な平面部(52a)が冷媒管(52)に形成されている。
【0033】
前記冷媒管(52)の平面部(52a)は、ヒートスプレッダ(58)を介してパワー素子(56)に対して下側から取り付けられ、パワー素子(56)の下面に熱的に密着している。室外回路(21)では、室外熱交換器(42)と膨張弁(43)との間に、冷却用部材(50)の冷媒管(52)が接続されている。冷媒管(52)を流れる冷媒は、ヒートスプレッダ(58)及び本体部(51)を介してパワー素子(56)から吸熱する。
【0034】
このような構成とすれば、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させることができる。
【0035】
具体的に、従来の冷却用部材(50)のように、本体部(51)の厚み方向の略中央位置に冷媒管(52)を埋設させた構成では、冷媒管(52)からパワー素子(56)までの熱抵抗を小さくして、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させるためには、パワー素子(56)の接触面から冷媒管(52)までの本体部(51)の厚みを薄くする必要があった。しかしながら、本体部(51)の厚みを薄くしたとしても、パワー素子(56)と冷媒管(52)との間に本体部(51)が介在していることに変わりはなく、熱抵抗を小さくする上で限界があった。
【0036】
これに対し、本発明では、本体部(51)の表面に露出する平面部(52a)を冷媒管(52)に設け、この平面部(52a)にパワー素子(56)を熱的に接触させるようにしたから、パワー素子(56)と冷媒管(52)とを直接接触させて熱抵抗を小さくし、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、銅製の冷媒管(52)の外周面をプレス成形することで、アルミニウム製の本体部(51)よりも熱伝導率の高い平面部(52a)を形成するようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、円筒形状の冷媒管(52)の外周面に銅製の伝熱部材を接合し且つ本体部(51)の表面に露出する面を平面状とすることで、冷媒管(52)に平面部(52a)を設けるようにしてもよい。
【0038】
なお、前記冷媒管(52)は、例えば銅管で構成されるが、伝熱性の高い金属であれば、それ以外の材料で構成されていても良い。
【0039】
−運転動作−
本実施形態の空調機(10)は、冷房動作と暖房動作とを選択的に行う。
【0040】
〈冷房動作〉
まず、冷房動作について説明する。冷房動作中の空調機(10)では、四方切換弁(41)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外ファン(13)と室内ファン(14)とが運転される。そして、冷房動作中の冷媒回路(20)では、室外熱交換器(42)が凝縮器となって室内熱交換器(46)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0041】
冷房動作中の冷媒回路(20)において、圧縮機(30)から吐出された冷媒は、四方切換弁(41)を通って室外熱交換器(42)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(42)において凝縮した冷媒は、冷却用部材(50)の冷媒管(52)へ流入する。
【0042】
前記パワー素子(56)では、通電に伴って熱が発生する。ここで、冷却用部材(50)の冷媒管(52)には、室外熱交換器(42)において凝縮した冷媒が流れているから、パワー素子(56)で発生した熱は、ヒートスプレッダ(58)及び冷媒管(52)を介して冷媒に吸熱される。その結果、パワー素子(56)の温度上昇が抑制される。
【0043】
前記冷却用部材(50)の冷媒管(52)から流出した冷媒は、膨張弁(43)を通過する際に減圧された後で室内熱交換器(46)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。室内ユニット(12)は、室内熱交換器(46)において冷却された空気を室内へ供給する。室内熱交換器(46)において蒸発した冷媒は、四方切換弁(41)とアキュームレータ(34)とを順に通過し、その後に圧縮機(30)へ吸入されて圧縮される。
【0044】
〈暖房動作〉
次に、暖房動作について説明する。暖房動作中の空調機(10)では、四方切換弁(41)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外ファン(13)と室内ファン(14)とが運転される。そして、暖房動作中の冷媒回路(20)では、室内熱交換器(46)が凝縮器となって室外熱交換器(42)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。暖房動作中の冷媒回路(20)において、冷却用部材(50)は、膨張弁(43)と蒸発器である室外熱交換器(42)との間に位置している。
【0045】
暖房動作中の冷媒回路(20)において、圧縮機(30)から吐出された冷媒は、四方切換弁(41)を通って室内熱交換器(46)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。室内ユニット(12)は、室内熱交換器(46)において加熱された空気を室内へ供給する。室内熱交換器(46)において凝縮した冷媒は、膨張弁(43)を通過する際に減圧された後で冷却用部材(50)の冷媒管(52)へ流入する。
【0046】
前記パワー素子(56)では、通電に伴って熱が発生している。ここで、冷却用部材(50)の冷媒管(52)には、膨張弁(43)を通過する際に減圧された冷媒が流れているから、パワー素子(56)で発生した熱は、ヒートスプレッダ(58)及び冷媒管(52)を介して冷媒に吸熱される。その結果、パワー素子(56)の温度上昇が抑制される。
【0047】
前記冷却用部材(50)から流出した冷媒は、室外熱交換器(42)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(42)において蒸発した冷媒は、四方切換弁(41)とアキュームレータ(34)とを順に通過し、その後に圧縮機(30)へ吸入されて圧縮される。
【0048】
《変形例1》
図3は、本実施形態の変形例1に係るインバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。図3に示すように、冷媒管(52)は、その断面形状が長円状に形成されている。具体的に、楕円形状の冷媒管(52)を、その外周面が本体部(51)の表面から膨出するように本体部(51)に埋設しておき、本体部(51)と冷媒管(52)とをプレス成形機でプレスすることで、本体部(51)の表面と面一な平面部(52a)が冷媒管(52)に形成されている。
【0049】
このような構成とすれば、前記実施形態のように円筒形状の冷媒管(52)の外周面をプレス成形して本体部(51)の表面と面一な平面部(52a)を形成した場合に比べて、冷媒管(52)の平面部(52a)の表面積を大きくしてパワー素子(56)との接触面積を増やすことができ、冷媒管(52)を流れる冷媒とパワー素子(56)との熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0050】
《変形例2》
図4は、本実施形態の変形例2に係る冷却用部材の構成を示す平面図、図5は、インバータ装置及び冷却用部材の要部を示す拡大図である。図4及び図5に示すように、この冷却用部材(50)は、蛇腹状に折り曲げられた冷媒管(52)と、冷媒管(52)が埋設された本体部(51)とを備えている。
【0051】
前記冷媒管(52)は、本体部(51)内に互いに間隔をおいて埋設され且つその両端部が本体部(51)から突出した4本の伝熱管(52b)と、隣接する各伝熱管(52b)の端部同士を接続するU字管(52c)とを備えている。
【0052】
具体的に、図4において最上段(1段目)の伝熱管(52b)の右側端部は、冷媒が流入する入口側端部を構成している。1段目の伝熱管(52b)の左側端部は、U字管(52c)を介して2段目の伝熱管(52b)の左側端部に接続されている。2段目の伝熱管(52b)の右側端部は、U字管(52c)を介して3段目の伝熱管(52b)の右側端部に接続されている。3段目の伝熱管(52b)の左側端部は、U字管(52c)を介して最下段(4段目)の伝熱管(52b)の左側端部に接続されている。4段目の伝熱管(52b)の右側端部は、冷媒が流出する出口側端部を構成している。
【0053】
そして、前記伝熱管(52b)の両端部及びU字管(52c)は、平面部(52a)の反対面側(図5では下側)に向かって傾斜するように折り曲げられている。
【0054】
前記冷却用部材(50)は、筐体(15)の取付面に対してボルト(16)等により取り付けられている。これにより、冷媒管(52)の平面部(52a)は、ヒートスプレッダ(58)を介してパワー素子(56)に対して下側から取り付けられ、パワー素子(56)の下面に熱的に密着している。
【0055】
このような構成とすれば、筐体(15)の取付面に冷却用部材(50)を取り付ける際に、冷媒管(52)の伝熱管(50b)及びU字管(52c)がその取付面に干渉することがなく、冷媒管(52)の平面部(52a)とパワー素子(56)とを確実に密着させることができる。
【0056】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0057】
前記実施形態では、冷凍サイクルを行う冷凍装置として空調機(10)を用いている。しかしながら、冷凍サイクルを行う冷凍装置として、例えば、ヒートポンプ式のチラーユニットや、給湯器、冷蔵庫や冷凍庫の庫内を冷却する冷却装置等を用いるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は、圧縮機へ電力を供給する電源のパワー素子を冷媒によって冷却する冷凍装置において、パワー素子と冷却用部材との熱交換効率を向上させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0059】
10 空調機(冷凍装置)
20 冷媒回路
30 圧縮機
33 電動機
50 冷却用部材
51 本体部
52 冷媒管
52a 平面部
52b 伝熱管
52c U字管
55 インバータ装置(電源)
56 パワー素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(30)が接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、パワー素子(56)を有して該圧縮機(30)の電動機(33)へ電力を供給する電源(55)と、該冷媒回路(20)の冷媒によって該電源(55)のパワー素子(56)を冷却する冷却用部材(50)とを備えた冷凍装置であって、
前記冷却用部材(50)は、冷媒が流れる冷媒管(52)と、該冷媒管(52)が埋設された本体部(51)とを備え、
前記冷媒管(52)には、前記本体部(51)の表面に露出して前記パワー素子(56)に熱的に接触する平面部(52a)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記冷媒管(52)の平面部(52a)は、該冷媒管(52)の外周面をプレス成形することで形成されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記冷媒管(52)は、その断面形状が長円状に形成されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1つにおいて、
前記冷媒管(52)は、前記本体部(51)内に互いに間隔をおいて埋設され且つその両端部が該本体部(51)から突出した複数の伝熱管(52b)と、隣接する各伝熱管(52b)の端部同士を接続するU字管(52c)とを備え、
前記伝熱管(52b)の両端部及び前記U字管(52c)は、前記平面部(52a)の反対面側に向かって傾斜するように折り曲げられていることを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112254(P2011−112254A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267576(P2009−267576)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】