説明

冷却される機能素子によって形成された少なくとも1つの熱源、少なくとも1つの吸熱源、および熱源と吸熱源の間に置かれて熱伝導材料から作られた少なくとも1つの中間層を備えるデバイス、および特にそのようなデバイスで使用される熱伝導材料

本発明は、少なくとも1つの電気または電子コンポーネントから形成されるかそのようなコンポーネントを備えた熱源、吸熱源、および熱源と吸熱源の間に置かれて熱伝導材料から作られた中間層を含む新規なデバイスに関する。前記熱伝導材料は、ナノファイバを組み込まれた有機マトリックスから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従った配列または装置に関し、また請求項36のプリアンブルに従ったそのような装置の中間層の熱伝導集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に従った「熱源」とは、一般的に、少なくとも1つの熱生成機能素子を含有する装置または配列の一部分、例えば対応するコンポーネントまたはアセンブリを意味する。特に、本発明に従った「熱源」とは、電気または電子コンポーネント、幾つかのそのようなコンポーネントのグループ、集積回路、または1つ以上のそのようなコンポーネントまたは回路を含有する電気または電子回路を意味する。
【0003】
本発明に従った「吸熱源」とは、一般的に、例えば冷却を目的として可能な限り最適の仕方で熱源からの熱が移送される本発明の装置または配列の一部分を意味する。特に、本発明に従った「吸熱源」は、電気または電気コンポーネントまたはモジュールを冷却するように働く本発明の装置または配列の一部分を意味する。
本発明に従った「熱伝導集合体」とは、特に液体、半液体/粘性、または固体状態の材料を意味する。この材料は、熱源と吸熱源の間の中間層として、熱源と吸熱源の間の熱移送に提供された対応面(熱移送面)が、例えば製造上の理由のため完全には平坦でないか、および/または、かなりの凹凸を有する場合に、可能な最大面区域への熱の最適移送を確実にする。
【0004】
最適の冷却および熱散逸は、電気および電子コンポーネント、特に高パワー出力を有するそのようなコンポーネント、または回路またはモジュールを含むコンポーネントで必須である。不十分な冷却は、コンポーネントの破壊および対応する回路またはモジュールのサービス寿命または耐用年数の低減を生じる。隣接した熱移送面、例えばコンポーネント、電気または電子回路、またはモジュールおよび吸熱源(例えば受動または能動クーラ)の底面または冷却面上の非平坦および/または凹凸区域を補償するため、通常、熱伝導ペーストから構成される中間層が前記熱移送面の間に設けられる。この方法の欠点は、或る動作期間の後、知られた多くの熱伝導ペーストが当初の熱伝導率をかなりの程度喪失し、それぞれのコンポーネント、回路、またはモジュールの所望の冷却効果が失われることである。この効果は、パワー散逸の一定の変化、したがって温度の一定の変化が、動作中、例えば電気アクチュエータのスイッチング中に起こるような応用で特に著しい。この場合、本発明の根底的発見によれば、熱源(コンポーネント、回路、またはモジュール)と吸熱源の間の移送温度変化は、明らかに機械的ポンプ効果を生じ、この効果によって、熱伝導ペーストおよび特に該ペーストの熱伝導率に影響する成分が、縮小された面区域、例えば熱源と吸熱源の間の熱移送面端部区域に凝縮され、熱移送に利用できる実際の面の著しい低減を生じ、したがって冷却効果の低減を生じる。
【0005】
この問題は、微細化の要因、およびその結果として、特にパワーモジュールのパワー密度の増加によって複雑になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点を除去し、長い動作期間にわたって熱源と吸熱源の間の安定した熱移送を可能にする配列、配置、または装置を説明することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に従った配置または装置によって達成される。本発明に従った配置の中間層として特に適した熱伝導ペーストは、請求項36に従って具体化される。
【発明の効果】
【0008】
有機マトリックスに含まれるナノファイバだけで、熱源と吸熱源の間に存在する中間層、または該中間層の熱伝導集合体は、高い熱伝導率を有する。更に、ナノファイバの使用は、長い動作または使用期間にわたって、前記中間層を安定したものにする。即ち、特に、中間層の近くで頻繁な温度変化が生じても、前記層に変化は起こらず、または少なくとも注目される変化は生じない。したがって、本発明の発見によれば、ナノファイバは中間層への安定効果を有する。
【0009】
本発明の更なる実施形態は従属請求項に記述される。以下で、図面を参照して、例示的実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1において、吸熱源2を介して熱エネルギーが散逸する熱源は、概略的に1で示される。熱源1は、例えば、電気または電子コンポーネント、好ましくは電気または電子パワーコンポーネント、例えば半導体コンポーネント、例えばトランジスタ、MOSFET、ダイオード、または更に、レーザダイオード、集積回路、サイリスタ、レーザダイオードなど、または更に、動作中に電力損を生成し、したがって冷却されなければならない1つ以上の電気または電子コンポーネントを備える電気または電子回路(更にモジュール)である。
【0011】
吸熱源2は、同様に、熱源1によって供給された熱出力を散逸するのに適した任意の設計であってよい。熱源1および吸熱源2は適切な仕方で相互に接続され、2つの本質的に平坦な面1.1および2.1(熱移送面)で隣接している。熱源1および吸熱源2は、例えば一緒にボルトで締められるか、他の仕方で一緒に接続および圧着されている。
例えば製造に起因して、避けることのできない凸凹または非平坦区域があっても、面1.1および2.1の全体を最大に使用して最適の熱移送を得るため、即ち熱伝導の抵抗を最小にするため、高い熱伝導率を有する材料から作られた中間プライまたは層3が熱源1と吸熱源2との間に設けられる。熱を生成するコンポーネントの少なくとも動作中に、低い抵抗との熱伝導接続が、熱源1と吸熱源2との間で、熱移送面の非平坦区域にも作り出されるように、中間層3または該中間層を形成する材料が選択される。更に、中間層3の厚さは可能な限り小さくされ、例えば面1.1および2.1の非平坦区域が、前記中間層3によって平らにされる。
【0012】
図示された実施形態において、中間層3の厚さは0.01〜0.5mmの間である。
中間層3に使用される材料は、最も単純な場合、少なくともマトリックスとしての有機成分、およびこの有機成分に埋め込まれたカーボンナノファイバ、例えばシングルウォールドナノチューブ、ダブルウォールドまたはマルチウォールドナノチューブ、または他の形態では、例えば有機マトリックスへの最適集積を可能にする魚骨面構造を有するものから構成される。
【0013】
ナノチューブは、1μm〜100μmの間の長さ、および約1.3nm〜300nmの間の厚さを有し、長さと厚さの比は少なくとも10である。中間層3として使用される材料の好ましい実施形態において、有機マトリックス内に埋め込まれたナノファイバの少なくとも大多数は、10μmよりも大きい長さを有する。中間層内のナノファイバの長手方向の配向はランダムである。
【0014】
有機マトリックス内のナノファイバのパーセンテージは、材料または熱伝導集合体の材料の全重量に対して、1〜70質量パーセントの間である。ここで、5〜20質量パーセントの間のパーセンテージは、特に熱伝導率および安定性に関して優れた特性を生じる。
中間層3の本質的利点は、ナノファイバの使用が、中間層について安定構造を生じることである。即ち、有機マトリックスが、少なくとも熱源1の動作中に液体または粘性状態にあっても、中間層3を形成する集合体は安定に維持される。即ち、特に熱源で温度が変化する場合、既知の熱伝導ペーストで看取されるように、ナノファイバが、例えば面1.1および2.1の中心から端部区域まで分離または変位することはない。これは、明らかに、有機マトリックスへ加えられた他の添加剤または成分に加えて、ナノファイバがマトリックス内で相互に保持または固定される事実に起因する。
【0015】
室温または室温近傍、即ち10〜30℃の間の温度で既に液体である様々な材料または材料混合物は、有機マトリックスとして適切である。この場合の有機マトリックスの適切な材料は、例えば油、例えばシリコーン油である。動作中に熱源1の温度範囲、即ち約40〜80°の間で液体である材料および材料混合物も、有機マトリックスとして適切である。この場合、有機マトリックスとして適切な材料は、例えば熱可塑性合成材料である。
【0016】
図1の矢印Pで示されるように、熱源1および吸熱源2は、中間層3を介して相互に圧着される。表面の圧力は約0.1〜100バールの間である。
カーボンから作られたナノファイバを有機マトリックス内で使用すると、特徴として、中間層3の熱伝導率が高くなる利点がある。ナノファイバの対応するパーセンテージ、例えば10重量パーセントの高さを使用すると、中間層3として使用される材料は、熱伝導率がアルミニウムの熱伝導率にほぼ対応するにも拘わらず、更に電気伝導特性を示す。
【0017】
上記の材料の代わりに、他の有機化合物、特にエラストマー有機化合物、例えばシリコーンゴムまたはポリマー、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、またはポリエチレンを、マトリックス成分として使用することができる。特に、エラストマー材料から作られたマトリックスを使用すると、中間層3の弾性構造によって、接触圧力Pの変化が少なくとも或る制限範囲内で補償され、中間層3がこれらの制限内で面1.1および2.2の双方と完全に接触し、したがって大きな面での所望の熱伝導を維持するという利点を有する。接触圧力Pのそのような変化は、例えば熱源1の温度変化、およびその結果として、熱源および吸熱源と相互に引っ張り合う素子の長さの変化から生じる。
【0018】
図2で示されたテスト配列を使用して、10質量パーセントのナノファイバと共にシリコーン油のマトリックスから構成される中間層3の熱伝導率が、全体の集合体に関してテストされた。この図で概略的に4で示されるテスト配列は、本質的に、アルミニウムから作られた2つの正方形金属板5.1および5.2から構成される。2つの板の各々は、5cmの辺の長さおよび0.2mの厚さを有し、板は平行であって相互から或る距離だけ離され、ギャップ6は150μmである。
【0019】
板5.2とは反対側の板5.1の面に、1.2ワットのパワー出力を有する電気加熱デバイス5.3が存在する。板5.2は板5.1とは反対側の面を黒く塗られ、赤外線カメラ7による非接触測定によって、板5.2の温度を測定できるようになっている。
図3は、赤外線カメラ7で測定された温度の時間勾配を示す。曲線aは、2つの板5.1および5.2の間に150μmの空気ギャップ6が存在する場合を示し、曲線bは、ギャップ6が純粋のアルミニウムで充填された場合を示し、曲線cは、ギャップ6が中間層3の材料、即ち10重量パーセントのカーボンナノファイバと共にシリコーン油の有機マトリックスから構成されるペーストによってブリッジされる場合を示す。
【0020】
図3で示されるように、曲線cは、曲線bを非常に良く近似し、また明らかに曲線aの上にある。これは、有機マトリックスおよびナノファイバから構成される集合体の高い熱係数の利点を立証する。
ナノファイバの適切な処理によって、即ち約2700〜3100℃の間の温度でグラファイト化するステップによって、ナノファイバの熱伝導率、したがって前記ナノファイバを含む集合体の熱伝導率を更に改善することができる。
【0021】
これまで、中間層3を形成する集合体は、有機マトリックスおよび添加ナノファイバからのみ構成されると仮定した。更なる成分または添加剤、例えば粉末形態の熱伝導性セラミック、例えばAl、Aln、BN、Si、SiC、BeO、ZrOを考えることができる。これらの代わりに、またはこれらに加えて、例えば金属粒子、例えば銀、銅、金、またはこれら金属の合金の形態をした更なる添加剤または成分が可能である。特に、50℃より高い温度で溶融状態へ変化する金属粒子または金属合金粒子を、添加剤として使用することができる。
【0022】
更なる可能な実施形態において、有機マトリックス内に含まれたナノファイバは、少なくとも1つの金属または金属合金で少なくとも部分的にコーティングされ、例えば電気的または電解的に、および/または化学的にコーティングされる。
図4は、再び、他の添加剤または成分に加えて、有機マトリックスおよびこのマトリックス内に埋め込まれたナノファイバ8から構成される中間層3の部分拡大図である。図4の8で示されたナノファイバは、絡むかねじれた形態でマトリックス内に埋め込まれているように示される。
【0023】
図5は、図4と類似した図において、更に可能な実施形態の中間層3を示す。この実施形態において、ナノファイバ8の少なくとも大部分は長手方向の配向を有し、面1.1および2.1に垂直であるか、ほぼ垂直である。これは、例えば電圧、例えば直流電源9の電圧が、導電性材料から作られて電極として機能する面1.1および2.1へ印加されることによって達成される。電圧は、中間層3内でμm当たり約1ボルトの電界の強さを生成するように選択される。ナノファイバ8の配向に起因して、中間層3の熱伝導率は顕著に改善される。更に、電圧は追加の安定性を生じる。実際的な実施形態において、中間層3におけるこの低い電界の強さは、例えば、熱源1と吸熱源2の間の対応する電位差によって容易に達成され得る。
【0024】
図6は、図4と類似した図において、更に可能な実施形態としての中間層3を示す。この実施形態において、ナノファイバ8は長手方向の配向を有し、したがって面1.1および2.1と平行である。
図4〜図6から逸脱して、有機マトリックス内に埋め込まれたナノファイバは、少なくとも大部分が相互に接続され、例えば、一種の織物または不織材料(羊毛)または3次元多孔性構造体または3次元網状組織または網として、2次元または3次元構造体を形成することができる。
【0025】
次の図7〜図10は、吸熱源2の様々な可能実施形態を示す。例えば、図7は、熱源1および吸熱源2aを有する本発明の装置を再び略図として示す。この装置は、熱源1とは反対側の面に複数の冷却フィンまたはピンまたはピン状突起を有する冷却素子または受動クーラ10によって形成される。クーラ10は、熱を散逸する目的で、ブロワまたはファン11の空気流の中に置かれる。
【0026】
図8は、能動クーラ12によって形成された吸熱源を有する本発明の装置を示す。能動クーラ12は、例えばDE19710783A1で説明されるマイクロクーラである。冷媒、例えば水または冷媒含有水は、前記クーラを通って循環する。これを目的として、クーラ12は、循環ポンプ12、ブロワ15を有する外部リクーラ(recooler)14、および冷媒補償または収集タンク16を含む冷却回路の中に置かれる。
【0027】
図9は、吸熱源がヒートパイプ17によって形成された本発明の装置の実施形態を示す。前記ヒートパイプ17は、その細長い密閉ハウジングの中に、加熱によって気化する冷媒、例えばアルコールまたは他の揮発性有機媒体を含有する。更に、細長い密閉ハウジングの中には、ハウジングの少なくとも2つの端部で相互に接続された少なくとも2つの平行流路が存在する。即ち、1つは揮発媒体のチャネル状流路であり、1つは液体状態冷媒の毛管状流路である。熱源1は、中間層3を介してヒートパイプ17の1つの端部に接続される。ヒートパイプ17の他の端部には、例えば複数の冷却フィンまたは対応する突起またはピンを含むクーラ18が存在し、このクーラはブロワ19の空気流の中に置かれる。
【0028】
図10は、更に可能な実施形態として、本発明に従った装置を示す。この実施形態において、吸熱源2は、熱スプレッダとして働く1つのヒートパイプ20およびクーラ10に対応する1つのクーラ21によって形成される。クーラ21は、同様に、図示されないブロワの空気流の中に置かれるか、または冷媒が循環する能動クーラ、例えばマイクロクーラとして、クーラ12に対応して設計される。ヒートパイプ20は、その機能においてヒートパイプ17に対応するが、熱源1を設けられた区域がヒートパイプ20のハウジングの中心に置かれ、したがってヒートパイプ20は、少なくとも、熱源1の面1.1に垂直に配向された平面に関して対称であることが異なる。
【0029】
中間層3に対応する1つの中間層または中間プライは、熱源1とヒートパイプ20の最上部との間、およびこのヒートパイプの底部とクーラ21の隣接面との間に設けられる。更に、図7〜図10で示された実施形態の全てにおいて、それぞれの中間層3の両側に置かれたコンポーネントは、前述した仕方、即ち0.1〜100バールの間の表面圧力で相互に圧着される。
【0030】
図11は、この図でも概略的に2で示される吸熱源の上で、セラミック金属基板、好ましくは銅セラミック基板を使用する電子回路23が提供される実施形態を示す。前記電気回路は、少なくとも1つの電気または電子パワーコンポーネント24、例えばダイオード、半導体スイッチングまたは制御素子、例えばトランジスタ(または更にMOSFET)、サイリスタなど、またはレーザダイオードである。基板22は、既知の仕方で、セラミック層、例えば酸化アルミニウムまたはチッ化アルミニウムのセラミックから構成され、同様に知られたDCBまたは能動はんだ付けプロセスによって、両面に金属フォイル、例えば銅フォイルによって形成されたメタライゼーションを設けられる。上方メタライゼーション2.2は条導体、接触面などを形成するように構成される。パワーコンポーネント24も、例えばはんだ付けによって、このメタライゼーションへ付加される。下方メタライゼーション22.3は、熱放散および冷却に使用され、中間層3を介して吸熱源2へ接続される。吸熱源2は、それぞれの応用に対応する任意の仕方で同じように、例えば図7〜図10に関して前述したように、設計されることができる。
【0031】
これまで、本発明は例示的実施形態に基づいて説明された。もちろん、本発明の基礎である発明的アイデアを放棄することなく、多数の修正および変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従った配置または装置の基本構造の略図である。
【図2】本発明に従った装置で使用される中間層および該中間層で使用される材料(熱伝導ペースト)の熱伝導率をテストする装置の略図である。
【図3】本発明に従った中間層を介して加熱されたサンプルの温度変化、および比較測定値の温度勾配のグラフである。
【図4】図1の装置における中間層を、本発明の異なった実施形態について熱源と吸熱源の間で拡大した図である。
【図5】図1の装置における中間層を、本発明の異なった実施形態について熱源と吸熱源の間で拡大した図である。
【図6】図1の装置における中間層を、本発明の異なった実施形態について熱源と吸熱源の間で拡大した図である。
【図7】本発明に従った装置の様々な実施形態を示す図である。
【図8】本発明に従った装置の様々な実施形態を示す図である。
【図9】本発明に従った装置の様々な実施形態を示す図である。
【図10】本発明に従った装置の様々な実施形態を示す図である。
【図11】本発明に従った装置の様々な実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 熱源
1.1 熱源の熱移送面または熱移送面側
2 吸熱源
2.1 吸熱源の熱移送面または熱移送面側
3 中間プライまたは層
4 測定またはテストのセットアップ
5.1、5.2 アルミニウム板
5.3 板5.1上の電気加熱デバイス
6 クリアランス
7 非接触で温度を測定する赤外線カメラ
8 ナノファイバ
9 電圧源
10 受動冷却素子
11 ブロワ
12 能動クーラ
13 循環ポンプ
14 リクーラ
15 ブロワ
16 補償タンク
17 ヒートパイプ
18 冷却素子
19 ブロワ
20 熱スプレッダとしてのヒートパイプ
21 クーラ
22 金属セラミック基板
22.1 セラミック層
22.2、22.3 メタライゼーション
23 電気または電子回路
24 電気または電子パワーコンポーネント
a、b、c 時間温度勾配

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば少なくとも1つの電気または電子コンポーネントから構成されるか1つのそのようなコンポーネントを備える熱源(1)と、吸熱源(2)と、前記熱源と前記吸熱源の間に設けられた熱伝導材料から作られた中間層とを有する装置または配置であって、
中間層(3)がナノファイバを埋め込まれた有機マトリックスから構成されること、および熱源(1)および吸熱源(2)が、熱伝導面(1.1、2.1)によって約0.1〜100バールの間の表面圧力で中間層(3)を圧していることを特徴とする装置または配置。
【請求項2】
有機マトリックスが、装置または熱源(1)の少なくとも動作温度で粘性または液体状態、例えば半液体状態であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
有機マトリックスが、室温、即ち10〜30℃の間の温度で既に粘性または液体状態であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
有機マトリックスが、30℃よりも高い温度、例えば40〜80℃の間の温度で粘性または液体状態であることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
有機マトリックスが、少なくとも1種の油、例えば合成油、例えばシリコーン油を含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
有機マトリックスが、エラストマー、例えば完全または部分的に架橋エラストマー、例えば合成エラストマー、例えばシリコーンゴムを少なくとも部分的に含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
有機マトリックスが、少なくとも部分的にポリマー、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、またはポリエチレンであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
マトリックス中のナノファイバのパーセンテージが、中間層(3)の全集合体に対して1〜70重量パーセントの間、好ましくは5〜20重量パーセントの間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ナノファイバが約1.3nm〜300nmの間の厚さを有し、有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの大多数の長さ/厚さの比が10よりも大きいことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ナノファイバの長さが、有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの少なくとも大多数について、1μm〜100μmの間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
中間層(3)の厚さが0.01mm〜0.5mmの間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ナノファイバの少なくとも一部分がカーボンから作られることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ナノファイバの少なくとも一部分がチッ化ホウ素および/または炭化タングステンから作られることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
有機マトリックス中のナノファイバ(8)がランダムおよび/または絡み合った構成で配向されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
有機マトリックス中のナノファイバ(8)が、少なくとも大部分について、長手方向の同じ方向に、例えば隣接した熱移送面(1.1、2.1)に垂直または交差して、または熱移送面(1.1、2.1)に平行に、またはほぼ平行に配向されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
有機マトリックス中でナノファイバを配向し、および/またはその配向を維持する手段(9)、例えば有機マトリックス中に電界の強さを作り出す手段を特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの少なくとも一部分が、2次元または3次元構造を形成し、前記構造の中で、ナノファイバが、例えば織物または織物類似構造、不織材料構造、および/または網または網類似構造の形態で相互にリンクされることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
有機マトリックスが、例えばナノファイバのパーセンテージよりも低いパーセンテージで、更なる成分または添加剤を含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
有機マトリックスが、微細な粒子または粉末形態をした少なくとも1つの熱伝導セラミック、例えばAl、AIN、BN、Si、SiC、BeO、ZrOを添加剤として含有することを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
有機マトリックスが、微細な粒子または粉末の形態をした少なくとも1つの金属および/または金属化合物および/または金属合金、例えば銀、銅、または金を添加剤として含有することを特徴とする、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
マトリックスが、熱伝導性であって50℃を超える温度で溶融状態へ変化する少なくとも1つの材料および/または材料化合物および/または合金を、微細な粒子または粉末の形態で添加剤として含有することを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
ナノファイバの少なくとも一部分がナノチューブ、例えばシングルウォールドおよび/またはダブルウォールドのナノチューブであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
ナノファイバの少なくとも一部分が少なくとも1つの金属でコーティングされることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
カーボンから作られたナノファイバが、有機マトリックス中に埋め込まれる前に、2700〜3100℃の温度で熱処理またはグラファイト化ステップにさらされたナノファイバであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
熱源(1)が少なくとも1つの電子コンポーネント、例えばダイオード、半導体スイッチまたは制御素子(トランジスタ、MOSFET)によって形成されるか、集積コンポーネントによって形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
熱源(1)が、少なくとも1つの電気または電子コンポーネント(24)を有する少なくとも1つの回路またはモジュールによって形成され、前記少なくとも1つの電気または電子コンポーネント(24)が、DCBプロセスまたは能動はんだ付けプロセスを使用して製造された金属セラミック基板(22)の上に置かれ、中間層(3)が、基板の1つのメタライゼーション(22.3)と該メタライゼーションに隣接した1つの熱移送面(2.1)の間に置かれることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
熱源(1)がマイクロプロセッサによって形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
熱源(1)が少なくとも1つのダイオードまたはレーザダイオードバーであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
吸熱源(2)が、冷却フィン、冷却ピン、または類似の構造体を有する受動クーラ(10)によって形成されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
吸熱源(2)が少なくとも1つの能動クーラ(12)を備え、冷媒、例えば水が前記能動クーラを介して循環することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも1つのクーラ(12)が冷媒循環システムの一部分であることを特徴とする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
吸熱源が少なくとも1つのヒートパイプ(17、20)を備えること、および中間層(3)が、少なくとも熱源(1)とヒートパイプによって形成された1つの冷却面の間に設けられることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
1つのクーラまたは熱交換器(18、21)がヒートパイプ上に設けられ、好ましくは少なくとも1つの中間層が、ヒートパイプおよびこの熱交換器またはクーラの間に設けられることを特徴とする、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
ヒートパイプ(17)がヒートポンプとして機能することを特徴とする、請求項32または33に記載の装置。
【請求項35】
ヒートパイプ(20)が熱スプレッダとして機能することを特徴とする、請求項32〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
熱源(1)と吸熱源(2)の間の中間層(3)を形成する熱伝導集合体、例えば熱伝導ペーストであって、ナノファイバを埋め込まれた有機マトリックスから構成されることを特徴とする熱伝導集合体。
【請求項37】
有機マトリックスが、装置または熱源(1)の少なくとも動作温度で粘性または液体状態、例えば半液体状態であることを特徴とする、請求項36に記載の熱伝導集合体。
【請求項38】
有機マトリックスが、室温、即ち10〜30℃の間の温度で既に粘性または液体状態であることを特徴とする、請求項36または37に記載の熱伝導集合体。
【請求項39】
有機マトリックスが、30℃よりも高い温度、例えば40〜80℃の間の温度で粘性または液体状態であることを特徴とする、請求項38に記載の熱伝導集合体。
【請求項40】
有機マトリックスが少なくとも1種の油、例えば合成油、例えばシリコーン油を含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項41】
有機マトリックスがエラストマー、例えば完全または部分的に架橋エラストマー、例えば合成エラストマー、例えばシリコーンゴムを少なくとも部分的に含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項42】
有機マトリックスが、少なくとも部分的にポリマー、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、またはポリエチレンてあることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項43】
マトリックス中のナノファイバのパーセンテージが、中間層(3)の全集合体に対して1〜70重量パーセントの間、好ましくは5〜20重量パーセントの間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項44】
ナノファイバが約1.3nm〜300nmの間の厚さを有し、有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの大多数の長さ/厚さの比が10よりも大きいことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項45】
ナノファイバの長さが、有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの少なくとも大多数について1μm〜100μmの間にあることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項46】
中間層(3)の厚さが0.01mm〜0.5mmの間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項47】
ナノファイバの少なくとも一部分がカーボンから作られることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項48】
ナノファイバの少なくとも一部分がチッ化ホウ素および/または炭化タングステンから作られることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項49】
有機マトリックス中のナノファイバ(8)がランダムおよび/または絡み合った構成で配向されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項50】
有機マトリックス中のナノファイバ(8)が、少なくとも大部分について、長手方向の同じ方向に、例えば隣接した熱移送面(1.1、2.1)に垂直または交差して、または熱移送面(1.1、2.1)と平行に、またはほぽ平行に配向されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項51】
有機マトリックス中に埋め込まれたナノファイバの少なくとも一部分が2次元または3次元の構造を形成し、前記構造の中で、ナノファイバが、例えば織物または織物類似構造、不織材料構造、および/または網または網類似構造の形態で相互にリンクされることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項52】
有機マトリックスが、例えばナノファイバのパーセンテージよりも低いパーセンテージで、更なる成分または添加剤を含有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項53】
有機マトリックスが、微細な粒子または粉末の形態をした少なくとも1つの熱伝導セラミック、例えばAl、AIN、BN、Si、SiC、BeO、ZrOを添加剤として含有することを特徴とする、請求項52に記載の熱伝導集合体。
【請求項54】
有機マトリックスが、微細な粒子または粉末の形態をした少なくとも1つの金属および/または金属化合物および/または金属合金、例えば銀、銅、または金を添加剤として含有することを特徴とする、請求項52または53に記載の熱伝導集合体。
【請求項55】
マトリックスが、熱伝導性であって50℃より上の温度で溶融状態へ変化する少なくとも1つの材料および/または材料化合物および/または合金を微細な粒子または粉末の形態で添加剤として含有することを特徴とする、請求項52〜54に記載の熱伝導集合体。
【請求項56】
ナノファイバの少なくとも一部分がナノチューブ、例えばシングルウォールドおよび/またはダブルウォールドナノチューブであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項57】
ナノファイバの少なくとも一部分が少なくとも1つの金属でコーティングされることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。
【請求項58】
カーボンから作られたナノファイバが、有機マトリックス中に埋め込まれる前に、2700〜3100℃の間の温度で熱処理またはグラファイト化ステップにさらされたナノファイバであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の熱伝導集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−527912(P2006−527912A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515666(P2006−515666)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001115
【国際公開番号】WO2004/114404
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505465070)キュラミック エレクトロニックス ゲーエムベーハー (2)
【出願人】(505465081)エレクトロバック アーゲー (1)
【Fターム(参考)】