説明

分子状固体の結晶形態を並行検出する方法

固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を、各容器ごとに異なる条件下にある一配列からなる容器内で並行調査するための装置を用いた一連調査で検出する方法であって、実質的に、結晶化化合物の無定形形態、もしくは結晶化化合物の溶媒和物のみか、または実質的に、少なくとも2種類の化合物の混合物中の一化合物の無定形形態もしくは溶媒和物のみを、懸濁液または溶液として用いて、無定形化合物の溶液が、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶可能化合物含量を有する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体の分子状結晶化化合物の、多形および疑似多形をはじめとする、多くの結晶形態、または該形態のすべてを、一連調査で検出する方法に関するものであって、該調査においては、並行調査のための装置(高処理量スクリーニング用システム、すなわちHTS)内で、実質的に無定形形態または溶媒和物のみを、一配列からなる収納装置に初めに導入し、異なる条件下で、(たとえば懸濁液の撹拌または振盪によって)相平衡を確立させ、次いで、得られた晶出化合物の多形または疑似多形を、各容器内で同定する。本発明は、少なくとも二つまたはそれ以上の成分(うち少なくとも一つを無定形形態または溶媒和物として用いる)で構成され得る、分子状共結晶性化合物(いわゆる分子化合物)もしくは固溶体を検出する方法にも関するものである。本発明は、更に、固体の分子状結晶化化合物の無定形形態を並行検出するための装置にも関するものであって、それは、一配列からなる収納装置内で、(a)実質的に無定形形態でか、もしくは溶媒和物としてのみ存在するか、または無定形形態もしくは溶媒和物として溶解した、結晶化化合物の懸濁液もしくは溶液が存在するか、あるいは(b)うち少なくとも1種類が実質的に無定形であるか、もしくは溶媒和物であるか、または無定形形態もしくは溶媒和物として溶解した、少なくとも2種類の化合物が懸濁液または溶解した形態で存在する。
【背景技術】
【0002】
結晶性の薬学および農芸化学的活性物質、ならびに精製化学物質、たとえばプラスチック用顔料および添加物の、多形および溶媒和物(疑似多形または溶媒和形として知られており、水和物およびその多形が包含される)、ならびに塩およびその多形および疑似多形は、製造および取扱いの特性、効能ならびに処方性に決定的な、異なる特性を有し得ることから、非常に重要になっている。調査を迅速に、かつ時間節約的なように実施し、評価できる結果を得ることができるよう、実験を異なる条件下で並行的に配置して実施するのを可能にする方法が、多形および疑似多形、ならびに塩およびその多形および疑似多形の検出のために最近開発されている。これらの方法は、個々の容器内で、異なる条件下で、たとえば異なる溶媒もしくは溶媒系、および/または異なる物理的条件下で物質を処理するために、一連の容器を有する装置を用いる。多形および疑似多形、ならびに塩およびその多形および疑似多形の決定は、この配列からなる容器内で、たとえば光学的または回折計測的な方法を用いて、直接実施することができる。しかし、得られた結晶性化合物を、予め取り出しておき、次いで、他のサンプル収納装置内で調査かつ決定することもできる。容器のための配列は、容器を保持するための窪みを有するトレーであるか(可動システム)、または容器の一次元もしくは二次元的な列を導き入れた、たとえば微量滴定プレートのようなブロックであり得る。得られた結晶性物質の充填、処理および同定は、部分的にか、または完全に自動化された、高処理量スクリーニングのためのシステムで実施することができる。そのような装置は、たとえばWO 00/67872、WO 01/09391、WO 01/51919、EP-A1-1 172 646、WO 03/014732、WO 03/026797およびWO 04/045769に記載されている。
【0003】
そのような並行調査には、たとえばその化学的調製中に単離されたような、熱力学的に安定で、僅かにすぎない例外もある準安定的な結晶形態が、現在まで用いられている。この手順は、新たな多形を検出するためには、複数の並行調査での大量の個別的実験を必要として、すべての結晶形態の全体を把握するのが比較的困難である。こうして、S.L. Morisetteらは、PNAS, Vol.100(5), pp.2180-2184 (2003)で、新たな結晶形態を発見するのに合計2000の実験を必要とする、結晶性リトナビルを用いた並行調査を記載している。この結果も、この経路によっては、大量の実験にもかかわらず、結晶性物質の僅か一つの多形のみ、またはいくつかの多形を検出することができるにすぎず、その他は隠されたままであることを明確にしている。Crystal Growth & Design, Vol.3, No.6, pp.927-933 (2003)でOe. Almarssonは、公知の準安定的形態の熱力学的に最も安定した形態Iおよびその他の双方が、セルトラリン(sertralin)塩酸塩の準安定的形態IIの溶液の晶出を用いた、約2000の実験によるHTSスクリーニングで観察されることに言及している。
【0004】
ここに、比較的に著しく少数の実験、ならびに化学物質の低い物質的要求および消費による並行調査では、その調査のために、結晶性化合物の無定形形態もしくは溶媒和物、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の少なくとも一つの無定形形態もしくは一つの溶媒和物を、一配列からなるすべての容器内の懸濁液または溶液として用い、相平衡を、異なる条件下の各容器内に確立したとき、より多くのか、もしくはすべての、結晶性多形および疑似多形、または少なくとも2成分からなる共結晶性化合物もしくは固溶体さえも、より短い期間、および非常に少ない、好ましくは1〜5回の操作で(それらが存在するならば)見出すことができることが、驚くべきことに見出された。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、第一に、固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状極性化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を、各容器ごとに異なる条件下にある一配列からなる容器内で並行調査するための装置を用いた一連調査で、別個の検出ユニット、または該装置内に統合された検出ユニットを用いて検出し、かつそれらを同定し、該装置内では、結晶するか、塩の生成とともに結晶するか、かつ/または溶媒和物もしくは水和物を形成し、そして結晶する化合物を、同一であるか、または異なる溶媒もしくは溶媒混合物の存在下、同一であるか、または異なる物理的条件下で、場合により、相平衡が確立されるまで、塩、溶媒和物もしくは水和物を形成させるか、または共結晶性化合物もしくは固溶体を形成させつつ、処理する方法であって、結晶化化合物の実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみ、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の一化合物の実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみを、懸濁液または溶液(該無定形化合物または溶媒和物の溶液は、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶化化合物含量を有する)として用いることを特徴とする方法に関するものである。
【0006】
本発明の文脈中、実質的に無定形とは、無定形形態が、圧倒的に存在するか、または溶液の調製に用いられたことを意味する。調製に応じて、無定形物質は、結晶(準安定)相を含み得るが、それは、測定不能であることが多い。結晶相の含量は、たとえば、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは僅か2重量%以下であり得る。本発明の文脈中、無定形形態は、中間形態および中間相、ならびに限定された近距離および長距離秩序を有する液晶様形態を意味するとしても理解される[たとえば、Macromol. Symp. 113, pp.51-65 (1997)、およびThermochimica Acta 340-341 (1999), pp.37-52におけるB. Wunderlichを参照されたい]。本発明の文脈中、溶媒和物は、ある含量の水をはじめとする溶媒を有して、当然、これらの溶媒和物が無定形形態または多形として存在するのが可能な固体の化合物を意味するとして理解される。
【0007】
無定形形態および中間形ならびに溶媒和物は、原則として、対応する無溶媒の結晶性化合物より実質的に可溶性に富む[たとえば、Pharmaceutical Research, Vol.17, No.4, pp.397-404におけるB.C. Hancockら、およびAdvanced Drug Delivery Reviews 56 (2004), pp.321-334におけるL.-F. Huangらを参照されたい]。したがって、調べようとする溶液は、結晶性化合物で達成できるより実質的に高い化合物の濃度を有することができる。本発明の文脈中、より高い濃度は、同一条件下で溶解する、対応する結晶性化合物の量を基準として、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも100重量%過剰であることを意味し得る。溶媒和物は、原理的には、すべての溶媒で形成することができて、溶媒和物形成の傾向は、実質的には、調べようとする化合物の属性である。更に、異なる少なくとも2種類の溶媒の混合した溶媒和物、たとえば、固体形態のその通路様構造または他の空洞内に、非化学量論量の溶媒が封入され得る、溶媒和物も包含されることに言及しなければならない。
【0008】
溶媒和物形成性溶媒の例は、水、アルカノール(メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールまたはtert−ブタノール、メトキシまたはエトキシエタノール)、ポリオール(グリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタンまたはペンタエリトリトール)、開鎖および環状エーテル(ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド)、ハロ炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム)、ニトリル(アセトニトリル)、モノ−およびジ−カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、フマル酸)、カルボン酸エステル(酢酸メチル、エチルおよびイソプロピル)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンまたはアニソール)およびカルボキサミド(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)である。
【0009】
溶液は、希薄であるか、飽和しているか、または過飽和である溶液として存在し得る。同じ条件下(たとえば同じ温度、および同じ溶媒または溶媒混合物)では、安定的または準安定的な結晶性化合物に比して、著しく多くの無定形物質、または数倍の量の無定形物質が溶解することができる。本発明の文脈中、より高い含量は、同一条件下で溶解する、対応する結晶性化合物の量を基準として、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも100重量%の過剰を意味し得る。
【0010】
共結晶性化合物または固溶体の形成に少なくとも2種類の化合物を用いるならば、一方の化合物のみか、または双方の化合物が無定形になり得る。
【0011】
並行調査のための装置は、公知であり、上記の文献に詳しく記載されている。サンプルを保持するための容器は、異なる材料、たとえばガラス、石英、プラスチック(テフロン)、金属または金属合金からなってよい。容器の容積は、たとえば0.1〜100ml、好ましくは0.5〜20mlであってよい。適切な結晶核形成条件を生じさせるため、また容器の底での結晶の沈着または捕集を容易にするために、容器の表面を改変してもよい。容器は、トレーの窪み内に存在してもよく、検出のために取り出してもよい。本発明の方法によれば、好ましくは、WO 03/026797に記載されたような、流入シールを有する装置が用いられ、それは、透明な微量滴定プレートをサンプル容器のための配列として有する。物質の供給も除去も必要でないシステムでの一連調査のためには、そのようなシールは、同様に適切であるが、流入経路は用いない(WO 04/045769)。
【0012】
流入シールは、1枚の基板と、列に配置され、空洞内に気密にして通され、そして入口および出口の開口部の側で基板から突出する、少なくとも2枚のシールとからなり、基板の一端に入口開口部が与えられ、一端に出口開口部が与えられていて、シールには、少なくとも一つの入口開口部、および一つの出口開口部が与えられ、基板は、入口開口部に始まり、直列に配置されたシールの側壁上で入口開口部へと開くように配置された、少なくとも一つの第一の連続する通路、および出口開口部に始まり、直列に配置されたシールの側壁上で出口開口部へと開くように配置された、第二の連続する通路を有する。好ましくは、一連調査には、光学的に透明な材料を含み、装置のシールがそのウエルと気密の接続を有する、滴定プレートが用いられる。滴定プレートは、好ましくは、石英からなる。特に好ましくは、流入シールは、滴定プレートのウエルの対応する列と気密の接続を有する、シールの一列の配置からなる。滴定プレートは、容器の数に関して標準化されており、一般的には、12、24、48、96(等々)の容器を含む。取り外し可能な容器を有するトレーは、しばしば、同様に標準化される。
【0013】
本発明に従って用いて好ましいのは、物質の化学的または物理的変更、および分光光学的方法によるその決定のための配置であって、
(a)上に記載された形式の流入シール;
(b)そのウエルの列が流入シールのシールと気密の接続を有する、滴定プレート;
(c)一つ以上の気体源および/または真空ポンプへの入口開口部と出口開口部との間の接続;
(d)容器内へと光を放射するための放射源;ならびに
(e)スペクトルの変化を測定するための検出器
からなる。
【0014】
適切な放射源は、灯火(水銀蒸気灯)、またはレーザー(気体レーザー、結晶レーザー、半導体またはダイオードレーザー)もしくはX線源である。光束の焦点を容器および検出器に合わせるための慣用の光学的手段を、検出器との間に配置することができる。
【0015】
たとえば、UV範囲、可視光範囲、IR範囲およびNIR範囲のスペクトル、ならびにラマンスペクトルを記録するためか、またはX線回折図形を反射もしくは透過モードで記録するための検出器が適切である。
【0016】
結晶性化合物は、中性またはイオン性の(窒素塩基、酸および塩)有機化合物であり得る。たとえば、窒素塩基または有機酸、たとえばカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸が、塩形成によって晶出する化合物として列挙され得る。窒素塩基からは、無機もしくは有機酸、またはハロゲン化水素酸によって塩を形成することができる。
【0017】
酸からは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、およびアンモニアまたはアミンのアンモニウム塩が、特に対応する塩基によって製造される。溶媒和物および水和物を形成する有機化合物は、主に、極性基、および/または水素架橋を形成する基を有するものである。1種類より多く、好ましくは2または3種類の結晶化化合物を容器内で用いるならば、共結晶性化合物、混晶または固溶体が形成され得る。発端で既述したとおり、この化合物は、たとえば、医薬および農芸化学活性物質、ならびに精製化学物質、たとえばプラスチックその他の材料向けの顔料および添加物であってよい。
【0018】
本発明の文脈中、相平衡の確立とは、与えられた条件下で、新たな結晶性形態、共結晶性化合物、混晶または固溶体がサンプル中で形成される前に必要とされる時間を意味する。この時間は、数分から数週間になることがあり、事前の試験によって決定され得る。概して、0.1〜100時間、好都合には0.5〜48時間の処理時間が充分である。相平衡の確立の際に、新たな多形、新たな溶媒和物、新たな水和物、新たな共晶、または新たな塩が生じることがある。更に、相平衡確立の経過は、操作を中断し、懸濁液中の結晶性形態を調べることによって追跡することができて、新たな転移形態が検出可能である。場合により、ある操作は、相平衡が確立する前に停止することもでき、得られた転移形態を、単離かつ同定することができる。
【0019】
ここで、ある操作は、たとえば、選ばれた温度プログラムに従って、48穴微量滴定プレートを満たし、相平衡実験を実施することに相当する。個々の実験は、特定の容器内の規定された条件に対応する。必要とされる操作の数は、容器の数に実質的に依存する。操作の数は、1〜5、好ましくは1〜3である。
【0020】
たとえば、圧力、温度、溶媒の濃度または蒸発速度においては、異なる物理的条件が存在してもよい。
【0021】
実験を実施する前に、異なる溶媒または溶媒混合物中の化合物の溶解度を決定するのが好都合なことがある。
【0022】
本発明による方法では、晶出の実験に溶媒または懸濁液を用いることができる。晶出は、無定形形態、溶媒和物等々の懸濁液中でか(たとえば撹拌または振盪による)、または溶媒の蒸発もしくは溶液の冷却によって溶液中で実施することができる。場合により、晶出は、種結晶の不均質な播種によって実施することができる。溶媒の蒸発は、上昇させた温度、真空またはその双方を用いて実施することができる。
【0023】
晶出実験は、異なる物理的条件の影響下でも、容器内の溶解しなかった無定形化合物、溶媒和物等々の条件を調整することによって、たとえば、異なる温度、もしくは異なる相対湿度でか、または異なる気体雰囲気中で、実施することができる。
【0024】
用いようとする無定形形態の量は、たとえば、個々の実験について、0.1〜1,000mg、好ましくは1〜300mg、より好ましくは1〜100mg、特に好ましくは2〜20mgであってよい。
【0025】
結晶性化合物の無定形形態は、それ自体は公知である方法、たとえば凍結乾燥(凍結−乾燥)、低溶解度の溶媒中での沈澱、溶液の急速な蒸発、または融成物の急冷(焼き入れ)によって、達成可能である。無定形形態の短期的安定性に決定的であるのは、原則として、ガラス転移温度の範囲である。無定形化合物のガラス転移温度は、たとえば、−50〜400℃、好ましくは20〜200℃、特に好ましくは50〜150℃であり得る。
【0026】
本発明による方法は、たとえば、第一の無定形サンプルもしくは溶媒和物を容器に導入するか、または容器内で直接生成するか、あるいは異なる溶媒または溶媒混合物中の無定形化合物もしくは溶媒和物の溶液を、一配列からなる容器に導入し、場合により種結晶を加え、次いで相平衡実験を上記のように実施する手順によって、実施することができる。塩を製造するには、酸または塩基を、初めから加えるか、または場合により不活性の同伴気体とともに、蒸気として仕込むことができる。重要なことは、一つの操作で、できるだけ多くの異なる条件が、条件調整の際に、たとえば異なる物理的条件、異なる溶媒もしくは溶媒混合物、濃度比、および/または種結晶の添加の有無の選択肢を通じて優勢になることである。物理的条件は、圧力、および温度の特定のレベル、ならびに時間の関数としての温度の変動であり得る。本発明による方法は、たとえば、−20〜200℃、好ましくは20〜100℃の定常的な温度で実施することができる。そのような温度範囲内で、時間の関数として制御される、定常的ではあるが、異なる温度を用いてもよい。そのような温度範囲内で、定常的な温度、または場合により時間の関数として制御され、そして周期的に変化する温度を用いてもよい。熱は、加熱された気体を用いて、外部的にか、または内部的に供給することができる。条件調整は、撹拌または振盪によって実施することができる。
【0027】
本発明による方法の好適実施態様では、溶解しなかった無定形化合物または溶媒和物(懸濁液)の条件調整は、結晶核形成剤の存在または不在下で、相平衡が確立されるまで、各容器について同一であるか、または異なる溶媒もしくは溶媒混合物によって実施することができる。この変化形では、たとえば0.5〜5ml、好ましくは1〜3mlという少ない容積の容器を有する、(微量)滴定プレートを用いるのが好都合である。そのためには、外部的に製造された無定形物質または溶媒和物を、一配列からなる容器に導入することができる。無定形物質または溶媒和物の生成は、加えられる溶液の量が、僅か約50〜2,000μlの範囲内にすぎず、用いようとするこの量の溶媒は、急速に蒸発させる(特に容易に揮発できる溶媒を用いるならば)ことができることから、容器内で直接実施することもできる。条件調整は、異なる温度で、異なる溶媒もしくは溶媒混合物の蒸気の作用下でか、または二つの手段を併用して、実施することができる。
【0028】
好適実施態様では、無定形物質または溶媒和物を、一配列、好ましくは(微量)滴定プレートの個々の容器内で、異なる溶媒または溶媒混合物に懸濁させる。そうして、条件調整は、規定された温度でか、または規定された温度プログラムにより、そして場合によっては、相平衡が確立されるまで撹拌または振盪しつつ、実施することができる。次いで、容器の底で捕集された結晶サンプルは、懸濁液中で直接にか、または(たとえば蒸発または濾過による)溶媒の除去後に、たとえばIRまたはラマン分光分析法を用いて決定することができる。同定のためには、サンプルを、初めに容器から取り出し、濾過して、その後それらを分光分析法、顕微鏡検査またはX線回折によって調べることもできる。
【0029】
更に一つの好適実施態様では、異なる溶媒および/または溶媒混合物中の無定形化合物もしくは溶媒和物の溶液を、一配列、たとえば微量滴定プレートからなる容器内で調製するか、または容器に導入する。溶液は、(たとえば30〜100℃に)加熱してよい。規定された温度への、たとえば迅速で連続的な、かつ/または段階的な冷却による冷却、およびその後の相平衡実験での条件調整を用いて、晶出を誘導する。次いで、上記のようにして、同定を実施することができる。
【0030】
無定形形態および溶媒和物の使用の特別な利点は、熱力学的により安定な結晶形態に関して、高度に過飽和である溶液を、強い加熱なしに調製できることである。この利点は、特に熱に弱い物質の場合には、溶液を加熱したときに分解生成物を形成しかねないことから、非常に際立つ。更に一つの主な利点は、原理的にはその無定形形態を用いては不溶性である、多くの化合物(たとえば塩)を溶解し、そのため調査の可能性を非常に顕著に拡大できる可能性である。
【0031】
本発明による方法は、中性分子の新たな結晶形態の検出、および塩の結晶形態の検出の双方に用いることができる。更に、本発明による、結晶性の塩を製造する方法は、場合により、製造された塩の結晶形態の検出と組み合わせることができる。そのためには、異なる溶媒および/または溶媒混合物中の、無定形の塩基性もしくは酸性化合物または対応する溶媒和物の前記の溶液を、一配列からなる、たとえば微量滴定プレートからなる容器に導入し、酸または塩基の存在下で条件調整することができる。酸および塩基は、溶液に直接加えることができるか、または容器に直接にか(容易に揮発する酸および塩基)、または同伴気体を援用して送り込むことができる。結晶形成を誘導するには、溶液の温度を自動調節するか、または冷却することができる。そうして、上記のようにして、同定を実施することができる。塩形成には、アンモニア、アミン、低分子量カルボン酸、無機酸(鉱酸)およびハロゲン化水素酸、たとえば塩酸が頻用される。
【0032】
上記の塩形成物質は、比較的低い温度で生じ得る高い相対的過飽和を利用するためにも、その無定形形態を用いることができる
【0033】
同様な手順は、疑似多形(水和物または溶媒和物)を形成する場合に、水蒸気または溶媒蒸気を、場合により同伴気体とともに、容器内もしくは容器越しに通し、疑似多形の形成に充分な期間、条件調整を実施することによって、採用することができる。もちろん、水または溶媒を、このための容器に直接導入することもできる。
【0034】
更に、本発明による方法では、異なる物質、好ましくは医薬配合助剤の溶液または懸濁液を初めに導入し、活性物質の無定形形態または溶媒和物を、その中に追加的に溶解もしくは懸濁させて、次いで、上記の相平衡実験を実施することができる。対応する配合助剤も、もし得られるならば、その無定形形態で用いることが可能である。
【0035】
医薬活性物質の場合は、エタノール、イソプロパノール、アセトンおよび酢酸エチル、ならびにこれらの溶媒の混合物が、並行調査に頻用される。しかし、他の溶媒および溶媒混合物を用いることも可能である。一連調査を開始する前に、初めに、溶媒ならびに溶媒混合物中の無定形化合物の溶解度、および場合によりその他の物理化学的特性を決定するのが好都合であり得る。更に、選ばれた核形成剤の挙動を前もって決定するのが好都合であり得る。核形成剤は、類似の構造を有する別の結晶性化合物、または関連するか、もしくは同一の結晶学的空間群を有する別の結晶性化合物であってもよい。
【0036】
本発明によれば、分子状の共結晶性化合物または固溶体の検出においては、好ましくは溶液中の、無定形形態として少なくとも1種類の結晶化化合物を、少なくとも更に1種類の結晶性または無定形化合物とともに、初めに容器に導入し、次いで条件調整する。本発明による方法では、規定された形態の混晶の形成を、目標とされる方式で調べることができるよう、望みのいかなる比率も確立できることが特に好都合である。
【0037】
本発明は、固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を並行検出するための配置であって、一配列からなる収納装置内に、結晶性化合物の実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみか、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の一化合物の、実質的に無定形化合物もしくは溶媒和物のみが、すべての容器内に懸濁液または溶液として存在して、該無定形化合物または溶媒和物の溶液が、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶可能化合物含量を有する配置にも関するものである。
【0038】
収納装置の数は、たとえば、6〜1,000、好ましくは12〜200、特に好ましくは12〜96であり得る。収納装置の容積は、選ばれた、場合により充分に自動化された、完全な装置に実質的に依存する。それは、たとえば、0.1〜100ml、より好ましくは0.1〜200ml、特に好ましくは0.5〜5mlであり得る。
【0039】
本発明は、更に、
(a)並行的な一連調査のための一配列の容器と、
(b)該容器内のサンプルを撹拌、振盪、冷却もしくは加熱し、かつ/または該容器内のサンプルの溶媒を蒸発させるための器具と、
(c)別個であるか、またはそれに統合されており、固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を決定するための、放射線源および測定ユニットを含む検出ユニットと
を含む装置であって、
結晶化化合物の実質的に無定形形態もしくはその溶媒和物のみか、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の、一化合物の実質的に無定形形態もしくはその溶媒和物のみが、すべての容器内に懸濁液または溶液として存在して、無定形化合物および溶媒和物の溶液が、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶化化合物含量を有する装置に関するものである。
【0040】
好適実施態様では、原則としてすべてのサンプルは、少なくとも一つの物理的または物理化学的パラメーター、たとえば温度、溶媒の種類、および/または化合物の濃度において互いに異なる。
【0041】
好適な装置は、
(a)上に記載した種類の流入シール;
(b)そのウエルの列が流入シールのシールと気密の接続を有する、滴定プレート;
(c)一つ以上の気体源および/または真空ポンプへの流入シールの入口開口部と出口開口部との間の接続;
(d)容器内へと光を放射するための放射源;
(e)スペクトルの変化を測定するための検出器;ならびに
(f)場合により、滴定プレートを振盪、加熱および/または冷却するための配置であって、懸濁液、または飽和もしくは過飽和溶液としての実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみが、滴定プレートのすべてのウエル(容器)内のサンプルとして存在する配置
を含む装置である。
【0042】
本発明による方法は、多形および疑似多形、または分子状共結晶性化合物もしくは固溶体を検出するための、一連調査では現在まで達成することができなかった、数多くの利点、すなわち
(a)より少数の実験、
(b)より少ない物質の必要性および化学物質の消費、
(c)必要とする時間の削減、
(d)複数またはすべての安定した多形および疑似多形の検出、
(e)複数の多形もしくは疑似多形、またはできるだけ多くの該形態を検出するためのただ1回のみの一連調査、ならびに
(f)無定形物質および溶媒和物の高い溶解度による、調査の可能性の拡大
を有する。
【0043】
以下の実施例は、本発明をより詳しく説明する。
【0044】
比較例(出発材料としての熱力学的に安定な形態による)
塩酸セルトラリン(sertraline)の異なる結晶形態は、現在まで徹底的に調査されている。塩酸セルトラリンの結晶形態Iは、熱力学的に最も安定な形態であることが公知である。塩酸セルトラリンの形態IIも、同様に、重要な結晶形態である。この形態は、熱力学的には準安定的であるが、医薬配合物中の活性物質として用いられるのを許すにはに充分な動力学的安定性を有する。現在、塩酸セルトラリンの異なる約27の結晶形態[S.L. Morisette et al., Advanced Drug Delivery Reviews, 56 (2004) 275-300]が、文献に列挙されて、塩酸セルトラリンの異なる固体形態に関する複雑な状況を示している。出発材料としての安定形態Iによる参照実験を、異なる32種類の溶媒および溶媒混合物の懸濁液に相平衡を確立するために、64の実験を実施した。そのためには、96穴石英微量滴定プレートの容器の32個に、それぞれ、塩酸セルトラリンの形態I約5mgを充填し、次いで、対応する溶媒100μlを、下記の計画に従って各容器に導入し、プレートをシールで閉鎖した:
【0045】
A1 酢酸/酢酸エチル(1:9) A3 プロピレングリコール/TBME(1:9)
B1 アニソール B3 ジオキサン
C1 アセトン C3 メタノール
D1 1−ブタノール D3 N−メチルピロリドン/酢酸エチル(1:9)
E1 メチルtert−ブチルエーテル(TBME) E3 水
F1 ジメチルスルホキシド/酢酸エチル(1:9) F3 アセトニトリル/イソプロピルエーテル(1:9)
G1 エタノール G3 エタノール/水(8:2)
H1 酢酸エチル H3 テトラヒドロフラン/水(1:1)
A2 ヘプタン/アセトン(1:1) A4 N−メチルピロリドン/エタノール(1:9)
B2 エチルメチルケトン B4 アセトン/水(8:2)
C2 1−プロパノール C4 イソプロパノール/水(95:5)
D2 2−プロパノール D4 メタノール/水(9:1)
E2 テトラヒドロフラン E4 酢酸エチル/アセトン(1:1)
F2 アセトニトリル F4 エタノール/テトラヒドロフラン(1:1)
G2 ジクロロメタン G4 エチルメチルケトン/水(9:1)
H2 ジメチルホルムアミド/TBME(1:9) H4 ジクロロメタン/メタノール(1:1)
【0046】
そうして、微量滴定プレートを、機械的撹拌器(Eppendorf, Thermomixer Comfort)上で、機械的撹拌器の温度を18℃と28℃との間で周期的に変化させつつ、48時間振盪した。1周期は、1時間に相当した。振盪頻度は、毎分500回であった。平衡を確立するための48時間の後、微量滴定プレートを、機械的撹拌器から取り外し、占有された容器のそれぞれの中の固体を、ラマン顕微鏡(Renishaw Raman顕微鏡システム、RM1000)を用いて懸濁液中で直接調べた。各容器内で、一つまたは二つのラマンスペクトルが記録された。次いで、各容器内の溶媒を、WO 03/026797による流入通路を有するシールシステムを窒素下で援用して、蒸発させて、約0.03L/時の流量を確立した。全体として、64の実験(直接懸濁液から32、および乾燥懸濁液から32)で80のラマンスペクトルが記録された。
【0047】
測定されたラマンスペクトルは、その差に基づいて、異なるスペクトル群に区分した。そのためには、ラマンスペクトル中の発光最大値の波数に基づいて、測定されたスペクトルの自動的な比較を実施し、分類を作成する、別個の評価プログラムを用いた。区別する基準は、類似度因子であって、これは、選ばれた個々のスペクトルの視覚的査定によって決定される。ここで実施された実験では、0.5という類似度因子を用いて、異なる11の群への80のスペクトルの類別へと導いた。理念上は、これら11のスペクトル群は、塩酸セルトラリンの異なる11の固体形態にも対応する。安定な形態Iは、最も頻繁に回収されたが、重要な形態IIは、形成されなかったことが目立った。
【実施例1】
【0048】
出発材料としての塩酸セルトラリンの無定形形態による
上記の参照例と同様に、96穴微量滴定プレートの32個の容器内の異なる32種類の溶媒および溶媒混合物中で、64の実験を実施した。そのためには、32個の容器のそれぞれを、無定形形態3mgで占有させた。次いで、比較例に示した計画による溶媒100μlを、32個の容器のそれぞれに充填し、プレートをシールで閉鎖した。次いで、微量滴定プレートを、機械的撹拌器(Eppendorf, Thermomixer Comfort)上で、機械的撹拌器の温度を18℃と28℃との間で周期的に変化させつつ振盪した。1周期は1時間に相当し、振盪頻度は毎分500回であった。平衡を確立するための48時間の後、微量滴定プレートを、機械的撹拌器から取り外し、占有された容器のそれぞれの中の固体を、ラマン顕微鏡を用いて懸濁液中で直接調べた。各容器内で、一つまたは二つのラマンスペクトルが記録された。次いで、各容器内の溶媒を、WO 03/026797による流入通路を有するシールシステムを窒素下で援用して、蒸発させて、約0.03L/時の流量を確立した。全体として、64の実験(直接懸濁液から32、および乾燥懸濁液から32)で92のラマンスペクトルが記録された。
【0049】
測定されたラマンスペクトルは、(比較例に記載したとおり)その視覚的な差に基づいて、異なるスペクトル群に区分した。ここで実施された実験では、0.5という類似度因子を用いて、異なる25の群中の92のスペクトルの類別へと導いた。理念上は、これら25のスペクトル群は、塩酸セルトラリンの異なる25の固体形態にも対応する。ここでは、熱力学的に安定な形態Iおよび重要な形態IIが、ともに、これらの群に含まれることが目立ち、それは、対応する参照スペクトルの記録によって確認された。ラマンスペクトルの群または固体形態の数がはるかに多い(比較例での11に比して25)のは、無定形の出発材料を用いたことによる。
【実施例2】
【0050】
出発材料としての塩酸セルトラリンのイソプロパノール溶媒和物による
上記の参照例と同様に、96穴微量滴定プレートの32個の容器内の異なる32種類の溶媒および溶媒混合物中で、64の実験を実施した。そのためには、32個の容器のそれぞれを、溶媒和物3mgで占有させた。次いで、比較例に示した計画による溶媒100μlを、32個の容器のそれぞれに充填し、プレートをシールで閉鎖した。次いで、微量滴定プレートを、機械的撹拌器(Eppendorf, Thermomixer Comfort)上で、機械的撹拌器の温度を18℃と28℃との間で周期的に変化させつつ振盪した。1周期は1時間に相当し、振盪頻度は毎分500回であった。平衡を確立するための48時間の後、微量滴定プレートを、機械的撹拌器から取り外し、占有された容器のそれぞれの中の固体を、ラマン顕微鏡を用いて懸濁液中で直接調べた。それぞれの容器中、1又は2のラマンスペクトルを記録した。次いで、各容器内の溶媒を、WO 03/026797による流入通路を有するシールシステムを窒素下で援用して、蒸発させて、約0.03L/時の流量を確立した。全体として、64の実験(直接懸濁液から32、および乾燥懸濁液から32)で92のラマンスペクトルが記録された。
【0051】
測定されたラマンスペクトルを、比較例に従って評価した。
ここで実施された実験では、0.5という類似度因子を用いて、異なる16のラマン群中の92のスペクトルの類別へと導いた。理念上は、これら16のスペクトル群は、塩酸セルトラリンの異なる16の固体形態にも対応する。スペクトル群または固体形態の数が多い(比較例での11に比して16)のは、イソプロパノール溶媒和物を出発材料として用いたことによる。
【0052】
二つの実施例の結果は、結晶性化合物の多数ないしすべての多形および疑似多形が、特に、異なる出発材料(無定形形態および溶媒和物)を操作に用いることができることから、少数の操作で検出できることも明らかにするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を、各容器ごとに異なる条件下にある一配列からなる容器内で並行調査するための装置を用いた一連調査で、別個の検出ユニット、または該装置内に統合された検出ユニットを用いて検出し、かつそれらを同定し、該装置内では、結晶するか、塩の生成とともに結晶化するか、かつ/または溶媒和物もしくは水和物を形成し、そして結晶化する化合物を、同一であるか、または異なる溶媒もしくは溶媒混合物の存在下、同一であるか、または異なる物理的条件下で、場合により、相平衡が確立されるまで、塩、溶媒和物もしくは水和物を形成させるか、または共結晶性化合物もしくは固溶体を形成させつつ、処理する方法であって、結晶化化合物の実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみ、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の一化合物の実質的に無定形形態もしくは溶媒和物のみを、懸濁液または溶液(該無定形化合物または溶媒和物の溶液は、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶化化合物含量を有する)として用いることを特徴とする方法。
【請求項2】
溶液が、希薄であるか、飽和しているか、または過飽和である溶液として存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
溶液中の無定形化合物または溶媒和物の含量が、同一条件下で溶解する、対応する結晶性化合物の量を基準として、少なくとも30重量%過剰である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
過剰が少なくとも50重量%である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
過剰が少なくとも100重量%である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
物質の化学的または物理的変更、および分光光学的方法によるその決定のための、
(a)基板と、直列に配置され、空洞内に気密にして通され、そして入口および出口の開口部の側で該基板から突出する少なくとも2枚のシールとから形成される、流入シールであって、該基板の一端には入口開口部が与えられ、一端には出口開口部が与えられており、該シールには少なくとも一つの入口開口部および一つの出口開口部が与えられており、該基板は、入口開口部に始まり、直列に配置されたシールの側壁上で入口開口部へと開くように配置された、少なくとも一つの第一の連続する通路、および出口開口部に始まり、直列に配置されたシールの側壁上で出口開口部へと開くように配置された、第二の連続する通路を有する、流入シール;
(b)そのウエルの列が流入シールのシールと気密の接続を有する、滴定プレート;
(c)一つ以上の気体源および/または真空ポンプへの入口開口部と出口開口部との間の接続;
(d)容器内へと光を放射するための放射源;ならびに
(e)スペクトルの変化を測定するための検出器
からなる配置で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
無定形物質または溶媒和物が、異なる溶媒または溶媒混合物に懸濁かつ/もしくは溶解され、そして滴定プレートの個々の容器内に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
異なる溶媒および/または溶媒混合物中の無定形化合物または溶媒和物の溶液もしくは懸濁液が、滴定プレートの容器内に存在する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を並行検出するための配置であって、一配列からなる収納装置内に、結晶化化合物の実質的に無定形形態のみ、結晶化化合物の溶媒和物、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の一化合物の、実質的に無定形化合物もしくは溶媒和物のみが、懸濁液または溶液として存在して、無定形化合物の溶液が、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶化可能化合物含量を有する配置。
【請求項10】
(a)並行的な一連調査のための一配列の容器と、
(b)該容器内のサンプルを撹拌、振盪、冷却もしくは加熱し、かつ/または該容器内のサンプルの溶媒を蒸発させるための器具と、
(c)別個であるか、またはそれに統合されており、固体の分子状結晶化化合物もしくは分子状共結晶性化合物、または少なくとも2種類の固体の分子状結晶化化合物からなる固溶体の、多形もしくは疑似多形を決定するための、放射線源および測定ユニットを含む検出ユニットと
を含む装置であって、
結晶化化合物の実質的に無定形形態もしくはその溶媒和物のみか、または少なくとも2種類の化合物の混合物中の、一化合物の実質的に無定形形態もしくはその溶媒和物のみが、懸濁液または溶液として存在して、無定形化合物の溶液が、同じ温度では、対応する結晶性化合物で達成されるより高い結晶化化合物含量を有する装置。

【公表番号】特表2007−510136(P2007−510136A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530272(P2006−530272)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052421
【国際公開番号】WO2005/037424
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599163159)ソルヴィーアス アクチェンゲゼルシャフト (22)
【氏名又は名称原語表記】Solvias AG
【Fターム(参考)】