説明

剥離層材料、それを含む基板構造およびその作製方法

【課題】剥離層材料、それを含む基板構造およびその作製方法を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する、フレキシブル電子デバイスに適用される環状オレフィンコポリマー(COC)の剥離層材料。及び、キャリア12、1つまたはそれ以上のブロックでキャリアを第1の面積で覆う、特定の構造を有する環状オレフィンコポリマー(COC)を含む剥離層14、ならびに、剥離層およびキャリアを第2の面積で覆うフレキシブル基板16、を含み、第2の面積は第1の面積より大きく、かつフレキシブル基板16は、剥離層14のキャリア12に対する密着度よりも高い密着度を有する基板構造10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月8日に出願され、題名を“フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造およびその作製方法”とする継続中の米国特許出願シリアルNo.12/330,061号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は剥離層材料に関し、より詳細には環状オレフィンコポリマー(COC)の剥離層材料およびそれを含む基板構造に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブルディスプレイ、特にアクティブフレキシブルディスプレイは新世代ディスプレイの発展のトレンドである。従来の脆弱性を有する重いガラス基板に比べ、軽量なフレキシブルプラスチック基板、とりわけアクティブフルカラー(active full-color )TFTディスプレイパネルの開発が求められている。現在、アクティブフレキシブルディスプレイの作製技術にはa−Si TFT、 LTPS TFTおよびOTFTがある。ディスプレイ媒体にはEPD、ECD、LCDおよびELがある。
【0004】
作製プロセスはバッチタイプ(batch type)とロール・トゥ・ロール(roll to roll)に分けられる。バッチタイプの作製プロセスはTFT設備を用いることができる。しかしながら、基板の転写および膜剥離(film separation)技術の開発が要される。フレキシブルディスプレイは、ガラスから別のプラスチック基板へ転写する必要がある。ロール・トゥ・ロールの作製プロセスを用いるフレキシブルディスプレイには、新たな設備が必要となり、かつ回転と接触に起因するいくつかの問題を克服しなければならない。
【0005】
バッチタイプの作製プロセスには三つの方法がある。1つ目は、PES基板をシリコンウェハーに貼り合わせ、低温a−Si TFT技術により7”VGA(640×480)プラスチックLCDを得るというものである。この方式においては、耐熱性、低熱膨張係数、低光ヒステリシスおよび化学安定性を備える透明基板材料が要され、かつ適切なゲル材料および高度な剥離技術が組み合わせられる(SEC Corporation)。2つ目は、LTPS TFT背面板(back cover)をガラス上に作製し、次いで該背面板をレーザーアニーリングによりガラスから取り去るというものである。この方法では、転写技術が重要な役割を果たす。転写技術においては、プラスチック基板による作製温度の制限がないことから、優れた特性を持つTFT素子が得られ、従来の透明プラスチック基板を使用することができる(Seiko Epson Corporation)。3つ目は、a−Si TFT−EPDディスプレイを作るために、ポリイミドをガラス上に塗布し、転写技術によりポリイミド基板をガラスから引き離すというものである。ポリイミド基板をガラス上に直に塗布する場合には、その耐熱性により作製温度を300℃以上にすることができる。しかしながら、ガラス基板を取り去るのに、同様にレーザーアニーリングを用いることが要される(Philips Corporation)。
【0006】
フレキシブル基板材料とのミスマッチおよび低い耐熱性のため、従来の剥離層材料はTFTプロセスに用いるのに適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、剥離層材料、それを含む基板構造およびその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1実施形態は、式(I)または(II)によって表される、フレキシブル電子デバイスに適用される環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymers,COC)の剥離層材料を提供する。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

式(I)または(II)中、Xは30〜70、X+Yは100であり、かつRは−H、−CHまたは−Cである。
【0011】
本発明の1実施形態は、 キャリア(carrier)、1つまたはそれ以上のブロックでキャリアを第1の面積で覆う、上記式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む剥離層(release layer)、ならびに、剥離層およびキャリアを第2の面積で覆うフレキシブル基板、を含み、第2の面積が第1の面積より大きく、かつ、フレキシブル基板が、剥離層のキャリアに対する密着度よりも高い密着度(adhesion force)を有する、フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造を提供する。
【0012】
本発明の環状オレフィンコポリマー(COC)の剥離層材料は、1つまたはそれ以上のブロックでキャリア(例えばガラス基板)上に塗布される。次いで、フレキシブル基板材料がその上に塗布され、フレキシブル基板の剥離に用いるのに適した二重層基板構造が形成される。
【0013】
本発明の1実施形態は、キャリア(carrier)を準備する工程、上記式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む剥離層(release layer)を1つまたはそれ以上のブロックでキャリア上に第1の面積で塗布する工程、ならびに、剥離層およびキャリア上に第2の面積でフレキシブル基板を形成する工程、を含み、第2の面積が第1の面積より大きく、かつ、フレキシブル基板が、剥離層のキャリアに対する密着度よりも高い密着度を有する、フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供されるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造は、現在ある半導体設備を用いて簡単に作製されるもので、2つの剥離層のキャリアに対してのそれぞれ異なる密着度に特徴を有する。 先ず密着度が低い方の剥離層を小さ目の面積でキャリア上に形成する。次いで、密着度が高いもう一方の剥離層(例えばフレキシブルディスプレイ基板)を該密着度の低い方の剥離層上により大きい面積で形成すると共にキャリアと接触させる。この作製方法によれば、TFTプロセスにおいて、基板構造は完全に(entirely)剥がれることがない。密着度が低い方の剥離層の両端に沿ってカットすることにより、密着度が高い方の剥離層をキャリアから容易に分離することができる。分離後、密着度が高い方の剥離層(例えばフレキシブルディスプレイ基板)は、損傷なしに依然完全なままである。
【0015】
添付の図面を参照にしながら、以下の実施形態において詳細な説明を行う。
添付の図面を参照に下記の詳細な説明および実施例を読むことによって、本発明をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の断面図である。
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の上面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法の断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法の断面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法の断面図である。
【図2D】図2Dは、本発明の実施形態におけるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の記載は本発明を実施するための最良の形態である。この記載は本発明の主要な原理を説明するためのものであり、限定の意味で解されるべきではない。本発明の範囲は、添付のクレームを参照に判断されなくてはならない。
【0018】
1実施形態において、式(I)または(II)によって表される、フレキシブル電子デバイスに適用される環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymers,COC)の剥離層材料を提供する。
【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

式(I)または(II)中、Xは30〜70であってよく、X+Yは100であってよく、かつRは−H、−CHまたは−Cであってよい。
【0021】
プロセスの一貫性(consistency)を達成するため、上に開示の剥離層材料は可溶性である。
【0022】
1実施形態における本発明のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造が図1に示されている。基板構造10はキャリア(carrier)12、剥離層(release layer)14およびフレキシブル基板16を含む。剥離層14は、1つまたはそれ以上のブロックで(図1Aに示されるとおり)キャリア12上に第1の面積A1で形成される。剥離層14は、上に開示の式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む。フレキシブル基板16は、剥離層14およびキャリア12上に第2の面積A2で形成される。具体的に言えば、第2の面積A2は第1の面積A1よりも大きく、かつ、フレキシブル基板16は、剥離層14のキャリア12に対する密着度よりも高い密着度(adhesion force)を有する。剥離層のブロックのサイズ、形状および配置は限定されない。
【0023】
キャリア12はガラスまたはシリコンウェハーを含み得る。剥離層14のキャリア12に対する密着度は0B〜1Bである。
【0024】
剥離層14の固形成分含有量は1〜20%とすることができる。剥離層14の厚さは0.2〜20μm、好ましくは0.5〜5μmとすることができる。
【0025】
フレキシブル基板16は、フレキシブルディスプレイ基板、例えばアクティブフレキシブルディスプレイ基板とすることができる。フレキシブル基板16のキャリア12に対する密着度は1〜5Bである。フレキシブル基板16は、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリカーボネート(polycarbonate,PC)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone,PES)、ポリアクリレート(polyacrylate,PA)、ポリノルボルネン(polynorbornene,PNB)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone,PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate,PEN)またはポリエーテルイミド(polyetherimide,PEI)を含み得る。
【0026】
ポリイミド(PI)のフレキシブル基板16は式(III)を有する。
【0027】
【化5】

【0028】
式(III)中、Aは
【0029】
【化6】


【0030】
【化7】


【0031】
【化8】


【0032】
【化9】

、または
【0033】
【化10】

を含んでいてよく、このうちXおよびYは水素、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、−OR、臭素、塩素またはヨウ素を含んでいてよく、かつZは−O−、−CH−、−C(CH−、−SO−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−または−Ar−SO−Ar−を含んでいてよく、このうちRはC1−18アルキルを含んでいてよく、かつArはベンゼンである。Bは
【0034】
【化11】


【0035】
【化12】


【0036】
【化13】


【0037】
【化14】


【0038】
【化15】


【0039】
【化16】


【0040】
【化17】

または
【0041】
【化18】

を含んでいてよく、このうちXおよびYは水素、メチル、トリフオロメチル、ヒドロキシル、−OR、臭素、塩素またはヨウ素を含んでいてよく、かつZは−O−、−CH−、−C(CH−、−SO−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−または−Ar−SO−Ar−を含んでいてよく、このうちRはC1−18アルキルを含んでいてよく、かつArはベンゼンである。nは1よりも大きい整数であってよい。
【0042】
フレキシブル基板16はシロキサン化合物または二酸化シリコンをさらに含んでいてもよく、これによりそのキャリア12に対する密着度が高まる。
【0043】
本発明の環状オレフィンコポリマー(COC)の剥離層材料は、1つまたはそれ以上のブロックでキャリア(例えばガラス基板)上に塗布される。次いで、フレキシブル基板材料がその上に塗布され、フレキシブル基板の剥離に用いるのに適した二重層基板構造が形成される。
【0044】
1実施形態における本発明のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法が図2A〜2Dに示されている。
【0045】
図2Aを参照に説明すると、その上に剥離層14が1つまたはそれ以上のブロックで(図1Aに示すとおり)第1の面積A1で塗布されたキャリア12を準備する。剥離層14は、上に開示の式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む。剥離層のブロックのサイズ、形状および配置は限定されない。
【0046】
次に図2Bを参照に説明すると、例えば塗布により、剥離層14およびキャリア12上に第2の面積A2でフレキシブル基板16を形成する。具体的に言うと、第2の面積A2は第1の面積A1よりも大きく、かつ、フレキシブル基板16は、剥離層14のキャリア12に対する密着度よりも高い密着度を有する。
【0047】
次に図2Cを参照に説明すると、フレキシブル基板16およびキャリア12の一部を、剥離層14の両端(CおよびC’)に沿ってカットし、図2Dに示されるように剥離層14、フレキシブル基板16とキャリア12とを分離する。
【0048】
本発明により提供されるフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造は、現在ある半導体設備を用いて簡単に作製されるもので、2つの剥離層のキャリアに対してのそれぞれ異なる密着度に特徴を有する。 先ず密着度の低い方の剥離層を小さめの面積でキャリア上に形成する。次いで、密着度の高いもう一方の剥離層(例えばフレキシブルディスプレイ基板)を密着度の低い方の剥離層上により大きい面積で形成すると共にキャリアと接触させる。この作製方法によれば、TFTプロセスにおいて、基板構造は完全に(entirely)剥がれることがない。密着度の低い方の剥離層の両端に沿ってカットすることにより、密着度が高い方の剥離層をキャリアから容易に分離することができる。分離後、密着度が高い方の剥離層(例えばフレキシブルディスプレイ基板)は、損傷なしに依然完全なままである。
【0049】
剥離層をTFTガラス(例えば15cm×15cm)上に形成する。剥離層の面積は、中空パッド(hollow pad)(例えば8cm×8cm)により決まる。次いで、剥離層の面積よりも大きい面積(例えば10cm×10cm)で基板をガラス上に形成し、フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造を作る。デバイスの作製が完了したら、基板および剥離層の一部を、剥離層の両端または内側に沿ってカットし、フレキシブル電子デバイスをガラスから分離する。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
ポリイミド(B1317−BAPPm,BB)/Topas(X=50, Y=50)/ガラス基板構造の作製
様々な固形成分含有量(1%、3%、6%、7%および8%)の各種Topas溶液を準備した。次いで、そのTopas溶液を各種ガラスキャリア上にそれぞれ塗布して湿潤(wet)Topas層を形成した。湿潤Topas層の厚さはそれぞれ30μm、60μm、90μmおよび120μmとした。50℃で5分間および300℃で1時間べークした後、そのTopas層上にポリイミド基板材料(1%の接着促進剤を含む)を塗布した。べーク後、表1に示されるように、剥離試験(separation test)を行った。
【0051】
【表1】

【0052】
(実施例2)
ポリイミド(B1317−BAPPm,BB)/Arton(X=50, Y=50,R=H)/ガラス基板構造の作製
様々な固形成分含有量(5%、10%、15%、20%および25%)の各種Arton溶液を準備した。次いで、そのArton溶液を各種ガラスキャリア上にそれぞれ塗布して湿潤Arton層を形成した。湿潤Arton層の厚さはそれぞれ30μm、60μm、90μmおよび120μmとした。50℃で5分間および300℃で1時間べークした後、そのArton層上にポリイミド基板材料(1%の接着促進剤を含む)を塗布した。べーク後、表2に示されるように、剥離試験を行った。
【0053】
【表2】

【0054】
(実施例3)
パリレン剥離層の作製
パリレン前駆体(パリレンの二量体)を熱蒸着装置内に入れた。中空パッド(8cm×8cm)で覆われたクリーンなガラス(15cm×15cm)を試料室に置いた。真空中にてパリレン前駆体を150℃で気化させ650℃で分解してから、試料室に導入した。室温で、パッドに覆われていない領域上にパリレンを蒸着し、パリレン剥離層(8cm×8cm)を作製した。
【0055】
(実施例4)
Arton、TopasおよびZeonor剥離層の作製
Arton、TopasおよびZeonor(トルエン中に固形成分含有量10%で溶解)をスクレーパーを用いてガラス上に塗布した。そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ0.5時間ずつべークし、剥離層(8cm×8cm)を作製した。
【0056】
(実施例5)
ポリイミド(B1317−BAPPm,BB)/パリレン/ガラス基板構造の作製
【0057】
【化19】

【0058】
ジフェニルアミン(BAPPm)0.0147モルを室温、窒素下でクレゾール32.94g中に完全に溶かした。次いで、二無水物(B1317)0.015モルを加え、二無水物(B1317)が完全に溶けた後、1時間攪拌を続け、粘性のあるポリアミド酸(PAA)溶液を作った。続いて、そのPAA溶液を3時間熱的にイミド化させ(220℃)、同時に水分を除去した。最後に、得られた溶液にメタノールを加えてポリイミドを沈殿させ、真空オーブンで12時間べークした。べーク後、 ポリイミドを(固形成分含有量20%で)DMAc中に溶解してポリイミド溶液を作った。そして、そのポリイミド溶液を、スクレーパーを用い、8cm×8cmパリレンがめっきされたガラス上に所定の面積(10cm×10cm)で塗布した。そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、ポリイミド(BB)/パリレン/ガラス基板構造を作製した。
【0059】
(実施例6)
二酸化シリコン/ポリイミド(BB−37)/パリレン/ガラス基板構造の作製
二酸化シリコン3g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解) およびB1317−BAPPm(BB)7g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れた。次いで、アミノシロキサン(amino siloxane)0.3gを加えて溶液を作り、室温下で30分間攪拌した。次に、その溶液を、パリレンがめっきされたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、二酸化シリコン/ポリイミド(BB−37)/パリレン/ガラス基板構造を作製した。
【0060】
(実施例7)
二酸化シリコン/ポリイミド(BB−55)/パリレン/ガラス基板構造の作製
二酸化シリコン5g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解) およびB1317−BAPPm(BB)5g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れた。次いで、アミノシロキサン0.2gを加えて溶液を作り、室温下で30分間攪拌した。次に、その溶液を、パリレンがめっきされたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、二酸化シリコン/ポリイミド(BB−55)/パリレン/ガラス基板構造を作製した。
【0061】
(実施例8)
二酸化シリコン/ポリイミド(BB−73)/パリレン/ガラス基板構造の作製
二酸化シリコン7g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解) およびB1317−BAPPm(BB)3g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れた。次いで、アミノシロキサン0.12gを加えて溶液を作り、室温下で30分間攪拌した。次に、その溶液を、パリレンがめっきされたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、二酸化シリコン/ポリイミド(BB−73)/パリレン/ガラス基板構造を作製した。
【0062】
(実施例9)
テトラエトキシシラン(TEOS)/ポリイミド(BB)/Topas/ガラス基板構造の作製
テトラエトキシシラン(TEOS)0.2gおよびB1317−BAPPm(BB)10g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れて溶液を作った。次いで、その溶液を、Topasが塗布されたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、テトラエトキシシラン(TEOS)/ポリイミド(BB)/Topas/ガラス基板構造を作製した。
【0063】
(実施例10)
アミノシラン/ポリイミド(BB)/Zeonor/ガラス基板構造の作製
アミノシラン0.2gおよびB1317−BAPPm(BB)10g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れて溶液を作った。次いで、その溶液を、Zeonorが塗布されたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、アミノシラン/ポリイミド(BB)/Zeonor/ガラス基板構造を作製した。
【0064】
(実施例11)
3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(3-(methacryloxy) propyl trimethoxy silane,MPMS)/ポリイミド(BB)/Arton/ガラス基板構造の作製
3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPMS)0.2gおよびB1317−BAPPm(BB)10g(DMAc中に固形成分含有量20%で溶解)を試料瓶に入れて溶液を作った。次いで、その溶液を、Artonが塗布されたガラス上にスクレーパーを用いて塗布した。そして、そのガラスを各種のオーブン(80℃および150℃)でそれぞれ1時間ずつべークし、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPMS)/ポリイミド(BB)/Arton/ガラス基板構造を作製した。
【0065】
基板構造を作製した後、電子デバイスをその剥離層の範囲内に作った。デバイスの作製が完了したら、基板および剥離層の一部を剥離層の両端または内側に沿ってカットし、基板および電子デバイスをガラスから分離した。
【0066】
剥離層およびフレキシブル基板のキャリアに対する密着度が表3および表4に示されている。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
本発明を実施例により、および好適な実施形態の点から説明したが、本発明はこれらに限定はされないと解されるべきである。それとは逆に、本発明は、(当業者には明らかであるように) 各種の変更および類似のアレンジが包含されるよう意図されている。よって、添付のクレームの範囲は、かかる変更および類似のアレンジがすべて包含されるように、最も広い意味に解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0070】
10 基板構造
12 キャリア
14 剥離層
16 フレキシブル基板
A1、A2 面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II)によって表される、フレキシブル電子デバイスに適用される環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymers,COC)の剥離層材料。
【化1】

【化2】

(式中、Xは30〜70、X+Yは100であり、かつRは−H、−CHまたは−Cである。)
【請求項2】
前記剥離層材料が可溶性である請求項1に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される環状オレフィンコポリマー(COC)の剥離層材料。
【請求項3】
フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造であって、
キャリア(carrier)、
1つまたはそれ以上のブロックで前記キャリアを第1の面積で覆う、式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む剥離層(release layer)、ならびに、
前記剥離層および前記キャリアを第2の面積で覆うフレキシブル基板、
を含み、
前記第2の面積が前記第1の面積より大きく、かつ、前記フレキシブル基板が、前記剥離層の前記キャリアに対する密着度よりも高い密着度を有する、フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【化3】

【化4】

(式中、Xは30〜70、X+Yは100であり、かつRは−H、−CHまたは−Cである。)
【請求項4】
前記キャリアがガラスまたはシリコンウェハーを含む請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項5】
前記剥離層の前記キャリアに対する密着度が0B〜1Bである請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項6】
前記剥離層の固形成分含有量が1〜20%である請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項7】
前記剥離層の厚さが0.2〜20μmである請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項8】
前記剥離層の厚さが0.5〜5μmである請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項9】
前記フレキシブル基板の前記キャリアに対する密着度が1〜5Bである請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項10】
前記フレキシブル基板が、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリカーボネート(polycarbonate,PC)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone,PES)、ポリアクリレート(polyacrylate,PA)、ポリノルボルネン(polynorbornene,PNB)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone ,PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate,PEN)またはポリエーテルイミド(polyetherimide,PEI)を含む請求項3に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項11】
前記ポリイミド(PI)が式(III)を有する請求項10に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【化5】

(式中、Aは
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】

または
【化10】

を含み、このうちXおよびYは水素、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、−OR、臭素、塩素またはヨウ素を含み、Zは−O−、−CH−、−C(CH−、−SO−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−または−Ar−SO−Ar−を含み、このうちRはC1−18アルキルを含み、かつArはベンゼンである。
Bは、
【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】

または
【化18】

を含み、このうちXおよびYは水素、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、−OR、臭素、塩素またはヨウ素を含み、Zは−O−、−CH−、−C(CH−、−SO−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−または−Ar−SO−Ar−を含み、このうちRはC1−18アルキルを含み、かつArはベンゼンである。
nは1よりも大きい整数である。
【請求項12】
前記フレキシブル基板がシロキサン化合物をさらに含む請求項10に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項13】
前記フレキシブル基板が酸化シリコンをさらに含む請求項12に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造。
【請求項14】
フレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法であって、
キャリア(carrier)を準備する工程、
1つまたはそれ以上のブロックで前記キャリア上に第1の面積で、式(I)または(II)により表される環状オレフィンコポリマー(COC)を含む剥離層(release layer)を塗布する工程、ならびに、
前記剥離層および前記キャリア上に第2の面積でフレキシブル基板を形成する工程、
を含み、
前記第2の面積が前記第1の面積より大きく、かつ、前記フレキシブル基板が、前記剥離層の前記キャリアに対する密着度よりも高い密着度を有する、作製方法。
【化20】

【化21】

(式中、Xは30〜70、X+Yは100であり、かつRは−H、−CHまたは−Cである。)
【請求項15】
前記フレキシブル基板が塗布によって前記剥離層および前記キャリア上に形成される請求項14に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法。
【請求項16】
前記剥離層の両端または内側に沿って前記フレキシブル基板および前記キャリアの一部をカットして、前記剥離層、前記フレキシブル基板と前記キャリアとを分離する工程をさらに含む請求項14に記載のフレキシブル電子デバイスに適用される基板構造の作製方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公開番号】特開2010−111853(P2010−111853A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−213651(P2009−213651)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】