説明

力伝達アセンブリ

力伝達アセンブリは、被駆動シャフトを連結すると共に連結解除する力を伝達する。力伝達アセンブリが連結状態にある場合、前側及び後側の環状の圧力板(32,34)がシャフトに固着されたロータ(36)を摩擦的に保持して、シャフトの回転を停止させる。力伝達アセンブリはトルクを最大にし、かつ、ロータ(36)の全作動面に係合する摩擦材(72)を備えた摩擦面を提供することによって慣性を最小とする。力伝達アセンブリは、装着フランジに直接取り付けられた軸方向に移動可能なハウジングを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、一般に、力伝達アセンブリに関するものであり、特に、ブレーキとして採用された場合に回転に対抗してシャフトを保持するために力を伝達するか、または、クラッチとして採用された場合に回転を伝達するためのフロートハウジングを備えた環状のブレーキまたは環状のクラッチアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここで使用される力伝達アセンブリという用語は、クラッチまたはブレーキとして機能することができるアセンブリとして参照されることを意味している。また、この形式のアセンブリは、クラッチ‐ブレーキアセンブリとしても参照される。本発明は、特に、ブレーキアセンブリとしての使用に適しており、この適用例について詳細に説明するが、クラッチ、ブレーキまたは単に力伝達アセンブリとしても機能することができることはすぐに理解できることである。力伝達アセンブリという用語は、ここでは、環状のブレーキアセンブリという用語と同じ意味で用いられる。
【0003】
従来のクラッチ‐ブレーキアセンブリは、パワー伝達を制御するためにシャフトに連結されている。既知のクラッチ‐ブレーキアセンブリは、製缶機、プレス機、せん断機、また同様に他の機械に関連させて用いられている。既知のクラッチ‐ブレーキアセンブリは、米国特許第5,046,593号、同第5,257,684号、同第5,577,581号及び同第6,637,568号に開示されている。
【0004】
機械が異なる作動特性を有している場合、クラッチ‐ブレーキアセンブリの力伝達能力は、クラッチ‐ブレーキアセンブリが用いられる機械の作動特性に対応させなければならない。したがって、最初の機械は、シャフトを回転させ、かつ、回転に対抗してシャフトを保持するために、比較的大きな力を伝達する必要があるが、他の機械では、シャフトを回転させ、かつ、回転に対抗してシャフトを保持するために、より小さい力を必要とするかもしれない。したがって、これらの装置のサイズやトルクは、適用に伴って異なる。
【0005】
本発明の環状のブレーキアセンブリは、ブレーキの力を必要とするいかなる場合でも適用することができるが、特に、鉱業または建設業における電機式ドラグラインまたはショベルの電動機用のブレーキとしての工業的な使用に適している。この形式の適用例では、ロータは一方向に連続的に加速され、反対方向に停止及び加速される。ロータは、作動中、モータシャフトと共に前後に回転する。回転部材の慣性値が低いことは、より多くの生産を意味するより早いサイクルタイムを意味する。
【0006】
このように、これらの適用において、慣性を最小とし、かつ、トルクを最大とするブレーキアセンブリの必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、慣性を最小とし、かつ、トルクを最大とする力伝達アセンブリに関する。摩擦材は、トルク対慣性の比を最適にするように、ロータの全作動面に接触する。摩擦材は、ロータを締め付ける圧力板上に装着するか、または、ロータ自体に装着することができる。力伝達アセンブリは、固定された装着フランジに取り付けられ、軸方向に移動可能なハウジングを含む。装着フランジ及びハウジングを貫通する中央開口は、被駆動シャフトを受け入れる。ハウジングは、シャフトに固着されたロータを収容している。ハウジングは、ロータの各側面に配置された摩擦面を備える前側と後側の環状の圧力板を含む。ハウジングは、さらに、被駆動シャフトを回転するように解放するために前側の環状の圧力板に対して第1の方向に流体的に移動可能な環状のピストンを含む。ピストンは、さらに、ブレーキ動作のために、ロータに対して前側と後側の環状の圧力板を押し付ける第2の方向に軸方向に移動することができる。
【0008】
一つの実施の形態では、ブレーキ動作のために、複数のスプリングは、ピストンを前側及び後側の環状の圧力板に対して付勢する。他の実施の形態では、環状のピストンを第2方向に移動させるために、空気圧式または油圧式ピストン及びシリンダーなどの他の付勢装置を含むことができる。
【0009】
本発明が備える新規な種々の特徴は、特に、この明細書の一部を構成する添付した特許請求の範囲に挙げられている。本説明をより良く理解するために、好適な実施の形態を説明する添付した図面と説明事項が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の前述した特徴や他の特徴は、添付した図面と関連させて以下の説明を考慮することによりさらに明らかになるだろう。
【図1】本発明に従う環状のブレーキアセンブリの斜視図である。
【図2】図1の環状のブレーキアセンブリの断面図である。
【図3】図1及び図2の環状のブレーキアセンブリの分解図である。
【図4】環状のブレーキアセンブリの前面図である。
【図5】環状のブレーキアセンブリの部分断面図である。
【図6】摩擦材を備えたロータの斜視図である。
【図7】モータのシャフトに装着されたロータの部分断面図である。
【図8A】他の実施の形態に係るロータを示す図である。
【図8B】さらに他の実施の形態に係るロータを示す図である。
【図8C】さらに他の実施の形態に係るロータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には、符号20で示す環状のブレーキアセンブリが、第1の連結解除状態または非ブレーキモードと第2の連結状態またはブレーキモードとの間で作動できるように示されている。環状のブレーキアセンブリ20が連結解除状態にある場合、ブレーキアセンブリ20は、被駆動シャフトから摩擦力を解放する。環状のブレーキアセンブリ20が第2の連結状態にある場合、ブレーキアセンブリ20は、回転に対抗してシャフトを効果的に保持する。
【0012】
本発明に従う環状のブレーキアセンブリ20は、従来技術のブレーキアセンブリが備えるいくつかの欠点に対処するものである。特に、従来技術のブレーキアセンブリは、ロータがシャフト上で軸方向に自由であるようにスプラインハブを利用している。このスプラインがすり減ると、ディスクはアンバランスとなり別の摩耗問題を示すことになる。このスプラインハブは、製造コストが高く、さらに、修理工程に含まれるダウンタイムに伴う課題に置き換えられる。
【0013】
これらの従来技術の装置に対比して、本発明の環状のブレーキアセンブリ20は、後でより詳細に説明するように、被駆動シャフトに固着されたロータを採用するものである。本発明に従うブレーキアセンブリ20の構造では、摩擦材は、従来技術のブレーキアセンブリのように完全に分解することなく交換される。
【0014】
最初に、図1を参照すると、符号20で示された環状のブレーキアセンブリは、固定された装着フランジ24に連結され、限定された軸方向の移動範囲で軸方向に移動可能なハウジング22を備えている。装着フランジ24は、例えば、プレス機などのモータまたは機械のフレームに取り付けられている。ハウジング22と装着フランジ24は、モータ30または他の機械で駆動される回転可能なシャフト(図7に示す)を受け入れる中央開口26を有している。ハウジング22は、ロータ36に対して締付荷重を作用させると共に締付荷重を解放するために、ロータ36の各側面に配置された摩擦面を備え、軸方向に移動可能な前後の環状の圧力板32,34を含んでいる。ロータ36はシャフト28に固着されており、一緒に回転する。圧力板32,34に力を作用させて、ロータ36に対して締付荷重を作用させるブレーキモードに環状のピストン40を操作するために、ヘリカルコイルスプリング38の配列が利用されている。環状のピストン40は、この環状のピストンを、図2において矢印Aで示す第1の方向に移動する可変容積の圧力流体を受け入れるように構成された環状の流体室43を形成するような配置で、シリンダーまたはカバー部材42内に配設されている。シリンダー42の外側領域の複数の半径方向の通路46、ピストン40、前側と後側の圧力板32,34及び装着フランジ24は、各端部にねじを備えたガイドロッド44を受け入れるように軸方向に配列されており、これらの構成部材は、締結具45により一体に連結される。ここで使用される「フローティングハウジング」という用語は、軸方向に移動可能なハウジング22の構成部材を参照しようとするものであり、前側及び後側の環状の圧力板32,34、ヘリカルコイルスプリング38の配列、環状のピストン40及びシリンダー42である。本発明の他の実施の形態では、空気圧または油圧によりロータに締付荷重を作用させ、また、スプリングの配列を利用して締付荷重を解除または解放することができる。この実施の形態では、自動車、トラックまたは他の車両に適用することができる。
【0015】
ロータ36は、ほぼシリンダー状に形成され、好適には、中央に配置されたハブ48を含んでおり、このハブはシャフト48に位置決めするための孔50を備えている。ハブ48は、ロータ36の不可欠な部分であり、一体品として一体に成形されるか、或いは、別々に締結具でロータ36に取り付けられる。ロータ36は、限定された範囲で軸方向に移動可能なハウジング22の構成部材に対して、シャフト28と共に回転する。ロータ36は、その各側面に、摩擦係合するための作動面領域を形成する平坦な面を有している。一つの実施の形態では、ハブ48の孔50はテーパが形成されており、図7に最もよく示すように、モータ30の対応するテーパシャフト28に受け入れられる。ロータ36はシャフト28の所定の位置にしっかりと保持される。ナット51のような適当な締結具または同様のロック部材が、シャフト28の端部にねじ込まれる。他の実施の形態では、ロータ36は、既知のキーレスロックブッシュまたはナットを用いて、真っすぐなシャフト28に保持される。図8Aから図8Cをみると、種々の実施の形態のロータ36が、符号136,236及び336で示されている。ロータ136は、補強リブ140を備えた環状のギャップ138を含んでいる。ギャップ138と補強リブ140はブレーキ動作により発生する熱を放散して、ロータの寿命を延ばす。ロータ236は、複数の開口238を備えた固体金属構造であり、開口を利用して、冷却すると共にブレーキ動作時の破片やガスを逃す。ロータ336は、ロータ136とロータ236を組み合わせたものであり、支持リブ342と共に環状のギャップ338と複数の開口340を備えることによって、ブレーキ動作中の破片やガスを逃すと共に熱を放散させる。
【0016】
図面に示した実施の形態では、環状のブレーキアセンブリ20に流体圧力が存在する場合には、ブレーキは連結が解除された状態である。ブレーキアセンブリを加圧するために適した流体は、当該技術分野で既知の装置であるエアコンプレッサ(図示しない)などの流体源から導入される空気を含む。この空気は、本発明の譲受人が所有し、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第6,637,568号に開示されているソレノイド作動式バルブと同様のバルブを介して、シリンダー42の流体コネクタ52に流入する。この流体コネクタは、図2に最も良く示すように、通路54を介して可変容積環状流体室43に流体連通されている。室43が加圧空気で満たされると、前側の環状の圧力板32は、シリンダー42と共に、矢印Aで示す第1の方向に移動する。これは、非ブレーキモードまたは非ブレーキ状態であり、ロータ36は、シャフト38と共に自由に回転する。シリンダー42が矢印Aの方向に移動すると、シリンダーに取り付けられた圧力板32は、ヘリカルコイルスプリング38の配列と環状のピストン40を押し付ける。これにより、ロータ36の締付荷重が前側圧力板32から解放される。同様に、空気の圧力が作用した場合、環状のピストン40は、後側圧力板34を装着フランジ24に対して移動させて、後側圧力板34によるロータ36の締付荷重を解放する。この作動モードでは、ブレーキアセンブリ20は、連結解除の状態または非ブレーキモードである。室43から空気の圧力が排出された場合、スプリング38がピストン40と前側圧力板32に力を作用させて矢印Bで示す第2の方向に移動させ、これよって、後側圧力板34に力を作用させて、両圧力板32,34に、ロータ36の締付荷重またはロータ36の圧縮をセットして、ブレーキ動作またはブレーキモードにさせる。今や、ブレーキアセンブリ20は連結された状態またはブレーキモードとなる。前述したように、他の実施の形態では、空気または流体の圧力によってブレーキ力を作用させると共にスプリングによってブレーキ力を解放するようにすることにより、反対にすることができる。
【0017】
環状のブレーキアセンブリ20は、プレス成形機や電機式ドラグラインに関連させることができるが、このブレーキアセンブリは、クラッチ、ブレーキ或いは両方の機能を備えて、機械の構成部材の加速または減速を必要し、また、連結解除及び連結の頻度が比較的高い他の既知の機械に関連させて使用することが考えられる。このブレーキアセンブリ20を関連させることができる他の機械として、例えば、プレス機及び/またはせん断機を含む。機械は、単一ストローク機械または連続作動機械であるかもしれない。他の例として、自動車への適用、金属プレス機、ワイヤー加工機、ねじ転造機、ベニヤ切断機、びん選別機、紙加工機または繊維機械を含む。もちろん、ブレーキアセンブリ20は、必要であれば、他の既知の形式の機械に関連させることができることを理解すべきである。
【0018】
図2及び図3に示す環状のブレーキアセンブリ20は、基本的に、装着フランジまたはベース部材24、前述した構成部材を備えたハウジング22及びロータ36を含んでいる。ハウジング22は、前側及び後側の環状の圧力板32,34、回転可能なロータ36の各側面の一つの圧力板、スプリング38の配列、環状のピストン40及びシリンダーまたはカバー部材42を含む。ロータ36は別として、ハウジング22の構成部材を構成する部材は、ガイドロッド44と、このガイドロッドと同軸に配置され、各構成部材の外端の通路46に装着された締付管56を用いて、装着フランジ24と一直線上に相互に連結されている。環状のブレーキアセンブリ20は、クラッチまたはブレーキとして機能するために、ブレーキディスクまたはクラッチディスクを含む他の実施の形態において修正することができることは明らかである。ロータ36はハウジング22に対して自由に回転することができる。
【0019】
ガイドロッド44に同軸に位置決めされる円筒状の締付管56は、その一端部58が、後側の環状の圧力板34に当接するように配置されている。前側の環状の圧力板32の通路46の直径は、締付管56をスライド可能に収容するように、後側の環状の圧力板34の通路46の直径よりもわずかに大きなサイズにされている。図2に最も良く示すように、締付管56の反対側の端部60は、環状のピストン40に当接している。リターンスプリング62は、圧力板32、34の間で締付管56と同軸に配設されており、ブレーキアセンブリが連結解除の状態にある場合に、圧力板32の軸方向の移動を容易にすると共にアシストするスプリング力を示し、また、圧力板34を軸方向に移動させる。リターンスプリング62とコイルスプリング38のばね定数は、異なる力やトルクを必要とする機械に関連させて圧力板32,34を軸方向に移動させるために使用できるように、作動力及びリターン力の大きさを、比較的太いワイヤまたは代わりにより細いワイヤを使用することによって調整することができる。
【0020】
装着フランジ24は、金属製のシリンダー形状の一体品として成形されており、その外側領域に複数の通路46を含んでいる。装着フランジ24の通路46は、好適には、縮径した段付き孔64を含む。ガイドロッド44にねじ込み可能な締結具のカラー66は、段付き孔64内でのガイドロッド44の軸方向の移動を、A及びBの両方向に、ロータ36に締付力を作用させ、かつ、締付力を解放するのに十分な距離に制限するキャップ部68を含んでいる。円筒状の中央開口または中央通路26は、シャフト28を受け入れるために、装着フランジ24を通って延びている。
【0021】
金属製のハウジング22は、金属製のシリンダー状の一体品として成形された、前側及び後側の環状の圧力板32,34を含んでいる。圧力板32,34は、ロータ36の対向する側面に配置された摩擦側面を有している。圧力板32,34の各摩擦側面は、圧力板32,34の周囲に放射状に配置された複数のほぼ台形形状のくぼみ70を含んでおり、好適には、各くぼみは、各くぼみ70内に、対応する形状の摩擦パッド72をスライド可能に収容して保持する保持溝71を含んでいる。ほぼ台形形状の摩擦パッド72は、ブレーキアセンブリ20を分解することなく容易に交換するために、締付管56の間で開口76の内側を滑り込むサイズにされている。摩擦パッド72は、金属製裏当て板74で支持された複合構造体からなる。裏当て板74は、その上端に、摩擦パッドを圧力板32,34の対応する開口に締結具で固定するための開口78を含んでいる。パッド72を形成する摩擦材は、破片や粒状物を取り除くと共に摩耗の可視的表示器として機能する放射方向に延びるかまたは環状の溝75を含んでいる。図2に最も良く示すように、前側及び後側の環状の圧力板32,34は、ロータ36の対向する側部に摩擦パッド72を配置するような配列でロータ36の各側方に配置されており、また、好適には、ロータ36の各側面の作動面領域の少なくとも約50パーセントを覆っており、より好適には、ロータ36の各側面の作動面領域の少なくとも約65パーセントを覆っている。さらに好適の実施の形態では、前側及び後側の環状の圧力板32,34は、ロータ36の各側面の作動面領域の少なくとも約75パーセントを覆っている。摩擦材は、実質的に、ロータ36の作動面領域の全体を覆っている。作動面領域は、ハブの外径の部分からロータの各側面の有効な平坦状の摩擦領域である。本発明の他の実施の形態では、図6に示すように、摩擦パッド72は、圧力板32,34よりもむしろロータ36の両側の側面に配置することを含む。通路46は、前側の環状の圧力板32の半径方向の外端部に配置された複数の肩部80に配設されており、また、後側の環状の圧力板34及び装着フランジ24の半径方向の外端部に配置された通路46と整列されている。通路46は、ガイドロッド44を受け入れるサイズにされている。後側の環状の圧力板34の通路46の直径は、ガイドロッド44の直径に丁度合うサイズであるのに対して、前側の環状の圧力板32の通路46の直径は、ガイドロッド44の上に同軸に配置される円筒状の締付管56に合うサイズである。締付管56の一端58は、後側の環状の圧力板34に当接し、締付管56の他端60は、環状のピストン40に当接している。リターンスプリング62は、締付管62上に同軸に配置されており、圧力板32,34の連結状態及び連結解除状態への軸方向の移動を容易としている。
【0022】
ハウジング22は、さらに、2006年10月30日に出願され、本発明の譲受人が所有し、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/590,199に詳細に説明されたような構造のヘリカルコイルスプリング38の配列を含んでいる。ここでは、これらのスプリングについて詳細な説明は必要としない。他の実施の形態では、例えば、電気作動式ソレノイドバルブまたは油圧作動式ソレノイドバルブ(図示しない)などの、環状のピストン40を第1の方向及び第2の方向に軸方向に移動することができる任意の弾性付勢バルブを含むことができる。
【0023】
また、ハウジング22は、金属製の一体品として成形することができるほぼ円筒形状の環状のピストン40を含んでいる。ピストン40の半径方向の外端部の肩部84に通路46を備えており、この通路は、前側の環状の圧力板32の肩部の通路46、後側の環状の圧力板34の通路46及び装着フランジ24の通路46と一列に整列されている。環状のピストン40の通路46、同様に、後側の環状の圧力板34の通路46は、ガイドロッド44の外径に対応する径を有しているが、締付管56の外径とは対応していない。図2および図5に最も良く示すように、環状のピストン40は、ヘリカルコイルスプリング38の配列を支持すると共に保持する円筒形の形状に隆起した中央部86を含んでいる。環状のピストン40、同様に、圧力板32,34及び装着フランジ24は、回転可能なシャフト28に対応させて、中央に配置された開口26を含んでいる。
【0024】
シリンダーまたはカバー部材42は、ほぼ円筒形の形状であり、金属製の一体品として成形することができる。シリンダー42は、例えば、空気などの圧力流体源に取り付けられるように構成された前面に複数の流体接続具52を有している。流体接続具52は、流体通路54を介して、加圧及び排気用の環状の流体室43に流体連通されている。シリンダー42は、中央に配置され、半径方向内側にわずかに延びるヘリ90を備えた環状の溝88を有している。ヘリ90は、前側の環状の圧力板32の正面に締結具92で取り付けられている。シリンダー42の裏側の段付き溝94は、環状のピストン40の隆起部86の壁87にスライド可能に係合して、環状の可変流体室43を形成する。
【0025】
本発明の力伝達アセンブリ20は、フライホイールまたは回転可能なシャフトを連結または連結解除するために力を必要とする所に適用される。有利には、力伝達アセンブリ20は、固定された装着24に取り付けられ、ロータ36を有する軸方向に移動可能なハウジングを備えている。本発明の構造により、摩耗することにより不安定となり、修理や製造がコスト高となる、スプライン付きロータを軸方向に自由に移動させる必要性を省略する。本発明の構造の重要な利点は、ロータ36の全表面を実質的に覆う摩擦パッド72の摩擦材を備えることによるトルクの最大化と慣性の最小化である。
【0026】
前述したことは、本発明の実例となるものであり、それに制限するように解釈されることを意図するものではない。いくつかの典型的な本発明の実施の形態が説明され、示されているが、当業者であれば、本発明の新規な内容及び利点から離れることなく、多くの修正が可能であることは容易に理解することができる。したがって、全てのそのような故意の修正は、請求項に記載された本発明の範囲内に、及び、請求項に記載されているのに等しい本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに力を伝達する装置であって、該装置は、
シャフトを受け入れる中央開口を有する装着フランジと、
半径方向の作動面とシャフトに固着される中央開口とを有し、シャフトと共に回転可能なロータと、
前記ロータの対向する側面に配置されると共に、前記装着フランジに移動可能に取り付けられ、前記装着フランジに対して、前記ロータの締付荷重を解放する第1の方向と前記ロータに締付荷重を作用させる第2の方向に、軸方向に移動可能である前側の圧力板及び後側の圧力板と、
前記前側の圧力板に移動可能に連結され、前記第1の方向と前記第2の方向に、軸方向に移動可能なピストンと、
前記前側の圧力板に連結され、該前側の圧力板と共に軸方向に移動可能なシリンダーと、を含んでおり、
前記シリンダーは、前記ピストンの隆起した部分と係合するように構成された環状の溝を有し、前記シリンダーと前記ピストンにより可変容積流体室を形成し、また、前記シリンダーと前記ピストンは、前記容積流体室から前記シリンダーと前記ピストンに作用する流体圧力によって第1の方向に軸方向に移動して、前記前側の圧力板及び前記後側の圧力板の前記ロータに対する締付荷重を解放するために、付勢反力に対抗して前記前側の圧力板を押し付け、前記ピストンは、第2の方向に移動して、前記ロータに締付荷重を作用させるために、前記ロータに対向する前記前側の圧力板及び後側の圧力板の摩擦面を押し付ける、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
さらに、前記ロータの前記作動面を覆うのに十分な、前記前側の圧力板及び前記後側の圧力板の前記摩擦面上の複数の摩擦パッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、前記ピストンと前記前側の圧力板との間に配設されたヘリカルコイルスプリングの配列を含んでおり、該ヘリカルスプリングの配列により、前記ロータに締付荷重用の付勢反力を提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装着フランジ、前記ロータ、前記前側及び前記後側の圧力板、前記ピストン及び前記カバーは、ほぼ環状の形状を有し、シャフトを受け入れるために中央に配置された開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装着フランジ、前記前側及び前記後側の圧力板及び前記ピストンは、外端部の整列された通路を介して、ガイドロッドにより相互に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
さらに、適用を容易すると共にロータへの締付力を解放するために、前記後側の圧力板と前記ピストンとの間で前記ガイドロッド上に同軸に配置された複数の締付管を含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
さらに、前記ロータへの締付力の解放をアシストするために、前記前側の圧力板と前記後側の圧力板との間で前記締付管と同軸に配置されたリターンスプリングを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに、シャフトを受け入れるために、前記ロータに取り付けられたハブを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各摩擦パッドは、ほぼ台形形状であり、前記前側の圧力板及び前記後側の圧力板に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記ロータに配設された複数の摩擦パッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
各摩擦パッドは、ほぼ台形形状であり、前記ロータに取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記ロータは、環状のギャップと補強リブを備えた環状のロータを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ロータは、複数の貫通開口を備えた環状のロータを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ロータは、環状のギャップと補強リブを備えると共に複数の貫通開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
さらに、複数のほぼ台形形状の摩擦パッドを含んでおり、各摩擦パッドは、前記締付管の間の開口を介して取り外し可能に交換される寸法であることを特徴とする請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2011−529161(P2011−529161A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519250(P2011−519250)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006354
【国際公開番号】WO2010/010457
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】