説明

力学量センサ

【課題】検出精度の低下を抑制可能な力学量センサを提供する。
【解決手段】接合部300において、枠の外形を構成する外形輪郭線が矩形状の角部が除去された多角形状にする。これによれば、接合部が矩形枠状とされている従来の力学量センサに対して、角部が除去された部分では一辺の長さが短くなるために膨張量・収縮量が小さくなる。このため、角部が除去されることによって新たに形成された角部に発生する応力を低減することができ、当該角部からセンサ基板100に印加される応力を小さくすることができる。したがって、検出精度が低減することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一面側にセンシング部が形成されたセンサ基板の一面に回路基板を接合してなる力学量センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一面側に物理量に応じたセンサ信号を出力するセンシング部が形成されたセンサ基板の当該一面に、センシング部を封止する回路基板が接合されてなる力学量センサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、センサ基板は、一面側にセンシング部と、このセンシング部を取り囲む周辺部とを有している。そして、センサ基板と回路基板とは、センシング部を取り囲む矩形枠状の接合部を介して接続されている。これによれば、センシング部はセンサ基板と回路基板との間で構成される封止空間に封止されるため、センシング部に異物が付着することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−311951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記力学量センサでは、次の問題がある。すなわち、接合部は、例えば、導電性部材等により構成されるが、線膨張係数を有するために外部の温度変化に伴って膨張したり収縮したりする。そして、矩形枠状とされているために辺同士が交差する角部に大きな応力が発生する。このとき、センサ基板は、接合部の角部から多大な応力が印加されるため、オフセット値が変動してしまい、検出精度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、検出精度の低下を抑制可能な力学量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意検討を行った。そして、上記のように接合部が矩形枠状とされている従来の力学量センサに対して、外部温度を25℃から350℃に変化させた際のセンサ基板の応力分布を有限要素法によって調べた。その結果、接合部は所定の幅を有するが、センサ基板における接合部と接触する部分のうち、角部の外側部分から最も大きな応力が印加されることを確認した。このため、本発明者らは、膨張量および収縮量は一辺の長さに比例することに基づいて、接合部の外形を構成する外形輪郭線において、矩形状の角部を除去した多角形状とすることにより、除去された部分では一辺の長さが短くなるために角部の応力を低減できると考えた。
【0008】
このため、請求項1に記載の発明では、接合部(300)は、枠の外形を構成する外形輪郭線が矩形状の角部が除去された多角形状とされていることを特徴としている。
【0009】
このような力学量センサでは、接合部が矩形枠状とされている従来の力学量センサと比較して、角部が除去された部分では一辺の長さが短くなるために膨張量および収縮量が小さくなる。すなわち、角部が除去されることによって新たに形成された角部に発生する応力は除去前の角部に発生する応力より小さくなる。したがって、角部からセンサ基板(100)に印加される応力が小さくなるため、検出精度が低下することを抑制することができる。
【0010】
例えば、請求項2に記載の発明のように、接合部(300)は、外形輪郭線が矩形状の全ての角部が除去された八角形状とされ、各角部の角度が等しくされているものとすることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明のように、接合部(300)は、外形輪郭線が真円とされているものとすることができる。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明のように、接合部(300)は、枠の内形を構成する内形輪郭線が矩形状の角部が除去された多角形状とされているものとすることができる。このように、内形輪郭線も矩形状の角部が除去された多角形状とすることにより、さらにセンサ基板(100)に印加される応力を小さくすることができる。
【0013】
さらに、請求項5に記載の発明のように、接合部(300)は、八角枠状とされているものとすることができる。
【0014】
また、請求項6に記載の発明のように、回路基板(200)は、半導体基板(13)を用いて構成され、半導体基板(13)のうちセンサ基板(100)と対向する一面(210a)が平坦とされているものとすることができる。
【0015】
さらに、請求項7に記載の発明のように、センサ基板(100)は、一面(13a)側にセンシング部(20)を取り囲む周辺部(14)を有し、当該周辺部(14)に、センシング部(20)を取り囲み、外形輪郭線(15a)が矩形状の角部が除去された多角形状とされているセンサ基板側封止部(15)を有するものとし、回路基板(200)は、センサ基板側封止部(15)と対向する部位に、センサ基板側封止部(15)と対応する形状の回路基板側封止部(260)を有するものとすることができる。そして、接合部(300)は、センサ基板側封止部(15)と回路基板側封止部(260)とが接合されることによって構成されるものとすることができる。
【0016】
また、請求項8に記載の発明のように、周辺部(14)は、センサ基板側封止部(15)および回路基板側封止部(260)を介して回路部(270)と電気的に接続されており、所定の電位に維持されているものとすることができる。
【0017】
そして、請求項9に記載の発明のように、センシング部(20)を物理量として角速度を検出するものとすることができる。また、請求項10に記載の発明のように、センシング部(20)を物理量として加速度を検出するものとすることができる。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における力学量センサの断面構成を示す図である。
【図2】図1に示すセンサ基板の平面図である。
【図3】従来の力学量センサにおけるセンサ基板と、図1に示す力学量センサにおけるセンサ基板の応力分布を示す図である。
【図4】従来の力学量センサの容量変化を示す図である。
【図5】図1に示す力学量センサの容量変化を示す図である。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態における力学量センサの断面構成を示す図、(b)は(a)に示すセンサ基板の平面図である。
【図7】(a)は、加速度を検出するセンサ基板にキャップを接合してなる力学量センサの断面構成を示す図、(b)は(a)に示すセンサ基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態における力学量センサの断面構成を示す図である。
【0021】
図1に示されるように、力学量センサは、一面13aを有するセンサ基板100の当該一面13aに回路基板200が接合されて構成されている。まず、本実施形態のセンサ基板100の構成について説明する。図2は、図1に示すセンサ基板100の平面図であり、以下では、図2において、紙面左右方向をX、紙面上下方向をY、紙面垂直方向を角速度Ωの回転軸Zとして説明する。 なお、図1中のセンサ基板100は、図2中のA−A断面に相当している。
【0022】
図1および図2に示されるように、センサ基板100は、支持基板10と、支持基板10上に配置された埋込絶縁膜11と、埋込絶縁膜11を挟んで支持基板10と反対側に配置された半導体層12と、を有するSOI構造の半導体基板13を用いて構成されている。そして、半導体層12の表面側には、センシング部20および当該センシング部20を一周して取り囲む周辺部14が形成されている。なお、半導体層12の表面とは半導体層12のうち埋込絶縁膜11側と反対側の一面のことであり、言い換えるとセンサ基板100の一面13aのことである。
【0023】
センシング部20は、本実施形態では、角速度を検出するものであり、図2に示されるように、紙面左側の検出部21aおよび紙面右側の検出部21bの二つの検出部21a、21bで構成されている。これら検出部21a、21bは、左右対称構造で構成されており、各検出部21a、21bの構造は全く同じであるため、ここでは検出部21aの構造に関して説明し、検出部21bの構造に関しては省略する。
【0024】
検出部21aは、角速度を検出する主な部位として、アンカー22aと、該アンカー22aと駆動梁23aを介して連結された駆動フレーム24aと、該駆動フレーム24aと検出梁25aを介して連結された検出フレーム26aと、該検出フレーム26aに設けられた第1検出電極27aと、該第1検出電極27aと対向する第2検出電極28aと、該第2検出電極28aの出力信号に基づいて、検出フレーム26aのY方向への変位を抑制するサーボ電極29aと、を有する。
【0025】
また、検出部21aは、駆動フレーム24aを駆動する主な部位として、駆動フレーム24aに設けられた第1駆動電極30aと、該第1駆動電極30aと対向する第2駆動電極31aと、紙面上側、下側、左側の第2駆動電極31aを繋ぐ駆動配線32aと、を有する。
【0026】
さらに、駆動フレーム24aの駆動状態(振動状態)を監視する部位として、駆動フレーム24aに設けられた第1モニター電極33aと、該第1モニター電極33aと対向する第2モニター電極34aと、該第2モニター電極34aのモニター配線35aと、を有する。
【0027】
上記検出部21aの構成要素22a〜35aは、半導体基板13の半導体層12と埋込絶縁膜11とをパターンエッチングし、トレンチ(溝)によって区画することで形成される。そして、これら構成要素22a〜35aのうち、アンカー22a、第2検出電極28a、サーボ電極29a、第2駆動電極31a、駆動配線32a、第2モニター電極34a、およびモニター配線35aは、埋込絶縁膜11を介して支持基板10に固定されている。すなわち、支持基板10に固定された検出部21aのこれら構成要素は、支持基板10に対して変位不可能となっている。
【0028】
これに対して、検出部21aの構成要素22a〜35aのうち、駆動梁23a、駆動フレーム24a、検出梁25a、検出フレーム26a、第1検出電極27a、第1駆動電極30a、および第1モニター電極33aは、半導体層12の下部に位置する埋込絶縁膜11が犠牲層エッチングによって除去されて、浮遊状態となっている。すなわち、浮遊状態となっている検出部21aのこれら構成要素は、支持基板10に対してX方向およびY方向に変位可能となっている。
【0029】
次に、検出部21aの構成要素22a〜35aの代表的な部位を説明する。アンカー22aは、駆動梁23aを介して、駆動フレーム24aを支持する機能を果たす。そして、紙面中央に配置されたアンカー22aの1つには第1センサパッド41が設けられており、この第1センサパッド41にはDC電圧が入力されるようになっている。DC電圧は、駆動梁23aを介して駆動フレーム24aに入力されるとともに、駆動梁23a、駆動フレーム24a、および検出梁25aを介して検出フレーム26aに入力される。これにより、駆動フレーム24aおよび検出フレーム26aが、DC電圧と等電位となっている。
【0030】
駆動フレーム24aは、後述する静電気力によって、X方向へ振動するものである。駆動フレーム24aは枠状とされており、その外環部に駆動梁23aが連結され、第1駆動電極30aと、第1モニター電極33aとが設けられている。上記のように、駆動フレーム24aはDC電圧と等電位となっているので、駆動フレーム24aに設けられた第1駆動電極30a、第1モニター電極33aの電位も、DC電圧と等電位となる。また、駆動フレーム24aの内環部には、検出梁25aが連結され、該検出梁25aを介して検出フレーム26aと連結されている。これにより、駆動フレーム24aのX方向の振動に伴って、検出フレーム26aもX方向に振動可能となっている。
【0031】
検出フレーム26aは、駆動フレーム24aのX方向への振動にともなって、X方向へ振動するものである。検出フレーム26aは、駆動フレーム24aの内環部によって構成された領域内に配置され、枠状とされている。検出フレーム26aの外環部には検出梁25aが連結され、その内環部には第1検出電極27aが設けられている。上記のように、検出フレーム26aはDC電圧と等電位となっているので、検出フレーム26aに設けられた第1検出電極27aの電位も、DC電圧と等電位となっている。
【0032】
第2検出電極28a、およびサーボ電極29aは、検出フレーム26aの内環部によって構成された領域内に配置され、それぞれ、第1検出電極27aと、Y方向にて対向している。第2検出電極28aには第2センサパッド42が設けられており、該第2センサパッド42から、第1検出電極27aと第2検出電極28aとによって構成される第1コンデンサの静電容量変化が出力されるようになっている。また、サーボ電極29aには第3センサパッド43が設けられており、該第3センサパッド43に、検出フレーム26aのY方向への変位を抑制するサーボ電圧が入力されるようになっている。本実施形態では、第2センサパッド42の出力信号に基づいて決定されるサーボ電圧を、角速度を決定する物理量として検出している。
【0033】
第1駆動電極30aと第2駆動電極31aは、駆動フレーム24aを加振するものである。第2駆動電極31aが設けられた駆動配線32aには、第4センサパッド44が設けられており、駆動配線32aを介して第4センサパッド44から第2駆動電極31aに、極性が一定周期で変動する駆動電圧が入力されるようになっている。上記のように、第1駆動電極30aはDC電圧と等電位になっているので、第1駆動電極30aと第2駆動電極31aとによって構成される第2コンデンサに、DC電圧と駆動電圧とによって決定される電圧に比例する静電気力が生じる。この静電気力におけるX方向に沿う力によって、第1駆動電極30aが設けられた駆動フレーム24aがX方向に変位する。駆動電圧は一定周期で極性が変動するので、第1駆動電極30aに作用する静電気力の作用方向もX方向にて一定周期で変動する。これにより、第1駆動電極30aが設けられた駆動フレーム24aがX方向にて一定周期で振動する。
【0034】
第1モニター電極33aと第2モニター電極34aは、駆動フレーム24aの駆動状態(振動状態)を監視するものである。第2モニター電極34aが設けられたモニター配線35aには、第5センサパッド45が設けられており、該第5センサパッド45から、第1モニター電極33aと第2モニター電極34aとによって構成される第3コンデンサの静電容量変化が出力されるようになっている。上記のように、第1モニター電極33aはDC電圧と等電位となっているので、第2モニター電極34aには、DC電圧に依存する電圧が生じることが期待される。本実施形態では、第2モニター電極34aの出力信号を監視することで、駆動フレーム24aの振動状態を監視している。
【0035】
なお、上記第1〜第5センサパッド41〜45は、例えば、Al等をスパッタや蒸着すること等によって形成される。
【0036】
次に、検出部21bと検出部21aとの対応関係を説明する。検出部21bの構成要素22b〜35bと、検出部21aの構成要素22a〜35aとは、以下の対応関係となっている。アンカー22bはアンカー22aに、駆動梁23bは駆動梁23aに、駆動フレーム24bは駆動フレーム24aに、検出梁25bは検出梁25aに、検出フレーム26bは検出フレーム26aに、第1検出電極27bは第1検出電極27aに、第2検出電極28bは第2検出電極28aに、サーボ電極29bはサーボ電極29aに対応する。また、第1駆動電極30bは第1駆動電極30aに、第2駆動電極31bは第2駆動電極31aに、駆動配線32bは駆動配線32aに対応する。さらに、第1モニター電極33bは第1モニター電極33aに、第2モニター電極34bは第2モニター電極34aに、モニター配線35bはモニター配線35aに対応する。
【0037】
なお、図2に示されるように、紙面の中央に配置された駆動配線32aと駆動配線32bとは一体となっている。また、紙面の中央に配置されたアンカー22bの1つにも第1センサパッド41が設けられ、第2検出電極28bにも第2センサパッド42が設けられ、サーボ電極29bにも第3センサパッド43が設けられ、駆動配線32bにも第4センサパッド44が設けられ、モニター配線35bにも第5センサパッド45が設けられている。以上が本実施形態におけるセンシング部20の構成である。
【0038】
周辺部14は、上記検出部21a、21bを取り囲むように形成されている。そして、周辺部14上には、センシング部20を取り囲むように枠状のセンサ基板側封止部15が形成されている。
【0039】
センサ基板側封止部15は、Al等をスパッタや蒸着すること等によって形成されている。そして、枠の外形を構成する外形輪郭線15aが、矩形状の角部が除去された多角形状とされている。また、枠の内形を構成する内形輪郭線15bが、矩形状の角部が除去された多角形状とされており、外形輪郭線15aより一回り小さい形状とされている。本実施形態では、センサ基板側封止部15は、外形輪郭線15aおよび内形輪郭線15bが矩形状の全ての角部が除去された八角形状とされており、各角部が135℃とされた八角枠状とされている。
【0040】
なお、矩形状の角部が除去された多角形状とは、各角部の角度がそれぞれ90°以上となる多角形状のことである。つまり、矩形状の角部が除去された多角形状とは、除去された角部を繋ぐ一辺を追加してできる多角形状のことである。
【0041】
また、第1〜第5センサパッド41〜45およびセンサ基板側封止部15は、ほぼ同じ高さになるようにされており、それぞれが互いに電気的に絶縁されている。
【0042】
次に、回路基板200について説明する。回路基板200は、図1に示されるように、半導体基板210と、第1絶縁膜220と、配線層230と、第2絶縁膜240と、回路パッド250と、回路基板側封止部260とを備えている。
【0043】
半導体基板210は、矩形板状のシリコン基板等であり、センサ基板100と対向する一面210aは平坦化されていると共に当該一面210a側に回路部270が形成されている。回路部270は、センサ基板100の出力信号を処理すると共に、センサ基板100に制御信号を入力する機能も果たす。制御信号とは、上記DC電圧と、駆動電圧と、サーボ電圧と、後述する一定電圧であり、一定電圧とは周辺部14の電位を一定に維持するための電圧である。
【0044】
第1絶縁膜220は、図1に示されるように、半導体基板210のうちセンサ基板100と対向する一面210aに形成されており、図1とは別断面において開口部が形成されている。なお、第1絶縁膜220としては、例えば、SiOやSi等が採用される。
【0045】
配線層230は、第1絶縁膜220に形成された開口部を埋め込みつつ第1絶縁膜220の上に設けられており、回路パッド250と回路部270、回路基板側封止部260と回路部270とを接続するようにパターニングされている。このような配線層230は、例えば、Al等をスパッタや蒸着等することによって形成されている。
【0046】
第2絶縁膜240は、配線層230を覆うように形成されている。そして、第2絶縁膜240のうち、センサ基板100に形成された第1〜第5センサパッド41〜44と対向する部分に開口部240aがそれぞれ形成されていると共に、センサ基板側封止部15と対向する部分のうち所定箇所に開口部240bが形成されている。なお、第2絶縁膜240としては、例えば、SiOやSi等が採用される。
【0047】
回路パッド250は、センサ基板100の第1〜第5センサパッド41〜44と対向する部分に形成された開口部240aを埋め込みつつ第2絶縁膜240上に設けられており、配線層230と電気的に接続されている。また、回路パッド250は、第1〜第5センサパッド41〜44と対応する形状とされている。
【0048】
回路基板側封止部260は、第2絶縁膜240のうちセンサ基板側封止部15と対向する部位に、センサ基板側封止部15と対応する形状で備えられている。すなわち、センサ基板側封止部15は外形輪郭線15aおよび内形輪郭線15bが八角形状とされた八角枠状とされているため、回路基板側封止部260も外形輪郭線および内形輪郭線が八角形状とされた八角枠状とされている。そして、開口部240bを介して配線層230と電気的に接続されている。
【0049】
また、これら回路パッド250および回路基板側封止部260は、ほぼ同じ高さになるようにされており、それぞれが互いに電気的に絶縁されている。このような回路パッド250および回路基板側封止部260は、配線層230と同様に、Al等をスパッタや蒸着すること等によって形成されている。
【0050】
半導体基板210のうちセンサ基板100と対向する一面210aと反対側の他面210bには、図示しないパッド部が形成されており、このパッド部はスルーホール等を介して回路部270と電気的に接続されている。これにより、パッド部を介して、回路部270と外部回路等との電気的な接続が図られるようになっている。
【0051】
以上説明したセンサ基板100と回路基板200とは、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とが接合されることによって、センシング部20がセンサ基板100と回路基板200とによって構成される封止空間に密閉された状態となっている。そして、封止空間内において、センサ基板100の第1〜第5センサパッド41〜45と回路基板200の回路パッド250とが接合されている。これによって、センサ基板側封止部15および第1〜第5センサパッド41〜45が回路部270と電気的に接続された状態となる。
【0052】
本実施形態では、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とは共晶接合されている。特に限定されるものではないが、例えば、次のような共晶接合とすることができる。
【0053】
すなわち、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間に図示しないGe層を挟む。そして、この状態で加熱することにより、第1〜第4センサパッド41〜45および回路パッド250の一部とGe層とを共晶合金化させると共にセンサ基板側封止部15および回路基板側封止部260の一部とGe層とを共晶合金化させて共晶接合することができる。つまり、第1〜第4センサパッド41〜45と回路パッド250との間、およびセンサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間にそれぞれ図示しないAl−Ge共晶合金化層を形成した共晶接合とすることができる。
【0054】
なお、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250との間、およびセンサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間に配置されたGe層が全て共晶合金化層とならず、Ge層の一部が残存するような共晶接合であってもよい。
【0055】
このように、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とを共晶接合することにより、第1〜第5センサパッド41〜45および回路パッド250、センサ基板側封止部15および回路基板側封止部260の表面(接合面)に凹凸があったり、第1〜第5センサパッド41〜45とセンサ基板側封止部15との高さが違っていたり、回路パッド250と回路基板側封止部260との高さが違っていたりしても、共晶合金化層によって凹凸や高さの違いを吸収することができる。このため、センサ基板100と回路基板200との接続を確実に行うことができ、センサ基板100と回路基板200との接続不良や導通不良が発生することを抑制することができる。
【0056】
上記のように、本実施形態では、センサ基板側封止部15、回路基板側封止部260、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間に形成される図示しない共晶合金化層によってセンサ基板100と回路基板200とが接合されている。すなわち、これらセンサ基板側封止部15、回路基板側封止部260、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間に形成される図示しない共晶合金化層によって、センサ基板100と回路基板200とを接続すると共にセンシング部20を取り囲む枠状の接合部300が構成されている。そして、接合部300は、上記のようにセンサ基板側封止部15および回路基板側封止部260が八角枠状とされているため、八角枠状となる。
【0057】
なお、本実施形態では、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とも電気的に接続されており、回路基板側封止部260には回路部270から一定電圧が入力されるようになっている。つまり、上記力学量センサでは、センサ基板100の周辺部14は、一定の電圧に保たれるようになっている。
【0058】
次に、本実施形態の力学量センサの作動について簡単に説明する。図2に示されるように、検出部21aの主な構成要素である駆動フレーム24aと、検出部21bの主な構成要素である駆動フレーム24bとは、連結梁24cを介して連結されている。そして、第4センサパッド44には、駆動フレーム24aと駆動フレーム24bとが、X方向にて逆位相で練成振動するように駆動電圧が印加される。このとき、紙面の中央側に配置された第4センサパッド44に印加される駆動電圧の極性と、これら第4センサパッド44を挟む紙面上下に配置された第4センサパッド44に印加される駆動電圧の極性とを反転することで、駆動フレーム24aに作用する静電気力と駆動フレーム24bに作用する静電気力の作用方向とをX方向にて逆向きにする。これにより、駆動フレーム24aと駆動フレーム24bとをX方向にて逆位相で連成振動する。
【0059】
そして、駆動フレーム24aと駆動フレーム24b(検出フレーム26aと検出フレーム26b)とがX方向にて逆位相で振動している状態で、Z方向に角速度が印加されると、検出フレーム26a、26bに、コリオリ力がY方向に作用する。検出フレーム26a、26bがコリオリ力によってY方向に変位すると、それに伴って、検出フレーム26a、26bに設けられた第1検出電極27a、27bもY方向に変位する。これにより、第1検出電極27a(27b)と第2検出電極28a(28b)との間の電極間隔が変位し、第1コンデンサの静電容量が変化する。この静電容量変化は、第2検出電極28a(28b)に設けられた第2センサパッド42を介して回路基板200に入力される。そして、回路基板200では、静電容量変化に基づいて、検出フレーム26a、26bがY方向に変位することを抑制するサーボ電圧が算出される。算出されたサーボ電圧は、回路パッド250および第3センサパッド43を介してサーボ電極29a、29bに入力される。
【0060】
ところで、コリオリ力の作用方向は、振動方向に依存する性質を有している。上記のように、検出フレーム26aと検出フレーム26bはX方向にて逆位相で練成振動しているので、検出フレーム26aに印加されるコリオリ力と、検出フレーム26bに印加されるコリオリ力の作用方向は逆向きとなる。これにより、第1検出電極27aと第2検出電極28aとによって構成される第1コンデンサの静電容量の増減と、第1検出電極27bと第2検出電極28bとによって構成される第1コンデンサの静電容量の増減とが、逆向きとなる。すなわち、一方の第1コンデンサの静電容量が増大した場合、他方の第2コンデンサの静電容量が減少する。したがって、2つの第1コンデンサの差分を算出することで、角速度に依存する静電容量を検出することができる。この差分の算出は、回路基板200にて行われる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の力学量センサでは、接合部300は、矩形枠状の角部が除去された八角枠状とされている。このため、接合部が矩形枠状とされている従来の力学量センサと比較して、一辺の長さが短くなり、温度変化に伴う膨張量および収縮量が小さくなる。したがって、辺同士が交差する角部に生じる応力を小さくすることができる。このため、接合部300の角部からセンサ基板100に印加される応力を低減することができ、検出精度が低下することを抑制可能になる。以下に実際の効果について示す。
【0062】
図3は、接合部が矩形枠状とされている従来の力学量センサと、本実施形態における力学量センサのセンサ基板100の応力分布を示す図である。なお、図3は外部温度を25℃から350℃に変化させたときのセンサ基板100の応力分布について、センサ基板100の中心から角部に向かって有限要素法によって調べた結果である。
【0063】
図3に示されるように、本実施形態の力学量センサでは、接合部300が矩形枠状の各角部を除去した八角枠状とされているため、従来の力学量センサと比較して、角部から印加される応力が低減されていることを確認できる。
【0064】
また、図3では、接合部300の内形輪郭線との接触箇所と、接合部300の外形輪郭線との接触箇所と、の間の領域がセンサ基板100が接合部300と接触する領域になるが、センサ基板100における接合部300と接触する領域のうち、外形輪郭線と接触する箇所に最も大きな応力が印加されていることを確認できる。すなわち、本実施形態では、外形輪郭線および内形輪郭線が八角形状とされている八角枠状の接合部300について説明したが、例えば、外形輪郭線が八角形状とされていると共に内形輪郭線が矩形状とされている接合部300としても、従来の力学量センサと比較して、接合部300の角部からセンサ基板100に印加される応力を低減することができる。
【0065】
また、図4は接合部が矩形枠状である従来の力学量センサの容量変化を示す図であり、(a)は外部温度を350℃から25℃に変化させたときの図、(b)は外部温度を25℃から350℃に変化させたときの図である。図5は、本実施形態における力学量センサの容量変化を示す図であり、(a)は外部温度を350℃から25℃に変化させたときの図、(b)は外部温度を25℃から350℃に変化させたときの図である。なお、図4および図5は、第1検出電極27a(27b)と第2検出電極28a(28b)とによって構成される第1コンデンサの容量変化を示す図である
図4に示されるように、従来の力学量センサでは、外部温度が350℃から25℃に変化すると容量が約0.02fF変化し、外部温度が25℃から350℃に変化すると容量が約0.04fF変化する。これに対し、図5に示されるように、本実施形態では、外部温度が350℃から250℃に変化したとき、および25℃から350℃に変化したときでも、容量がほとんど変化しないことを確認できる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して加速度を検出するセンシング部20に変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図6(a)は本実施形態における力学量センサの断面構成を示す図、図6(b)は図6(a)に示すセンサ基板100の平面図である。なお、図6(a)中のセンサ基板100は図6(b)のB−B断面に相当している。また、図6(b)では、紙面左右方向をX方向として説明する。
【0067】
図6(b)に示されるように、センシング部20は、一般的な加速度を検出するものであり、主な部位として、アンカー50a、50bと、梁部51を介して両端がアンカー50a、50bに一体に連結されると共に所定方向に変位可能な錘部52と、錘部52に連結されて当該錘部52と一体に変位する可動電極53と、該可動電極53と対向して配置された固定電極54a、54bと、固定電極54a、54bを支持する固定電極用配線部55a、55bとを有している。
【0068】
センシング部の構成要素50a〜55bは、半導体基板13の半導体層12と埋込絶縁膜11とをパターンエッチングし、トレンチ(溝)によって区画することで形成される。そして、これら構成要素50a〜55aのうち、アンカー50a、50b、固定電極54a、54b、固定電極用配線部55a、55bは、埋込絶縁膜11を介して支持基板10に固定されている。すなわち、支持基板10に固定されたこれら構成要素は、支持基板10に対して変位不可能となっている。
【0069】
これに対して、検出部の構成要素50a〜54aのうち、梁部51、錘部52、可動電極53は、半導体層12の下部に位置する埋込絶縁膜11が犠牲層エッチングによって除去されて、浮遊状態となっている。すなわち、浮遊状態となっているこれら構成要素は、支持基板10に対してX方向に変位可能となっている。
【0070】
梁部51は、平行な2本の梁がその両端で連結された矩形枠状をなしており、2本の梁の長手方向と直交する方向に変位するバネ機能を有するものである。具体的には、梁部51は、図6中のX方向の成分を含む加速度を受けたときに錘部52をX方向へ変位させると共に、加速度の消失に応じて元の状態に復元させるようになっている。よって、錘部52は、加速度の印加に応じて、半導体層12の水平方向にて梁部51の変位方向すなわち上記X方向へ変位可能となっている。
【0071】
錘部52には、錘部52に連結されて錘部52と一体に変位する可動電極53が備えられている。可動電極53は、錘部52の変位方向Xと直交する方向に、錘部52の両側面から互いに反対方向へ延びる梁形状とされており、複数備えられて櫛歯形状とされている。このように、各可動電極53は、梁部51および錘部52と一体的に形成されることにより、梁部51および錘部52と共に、基板面水平方向にて梁部51の変位方向Xに変位可能となっている。
【0072】
また、固定電極用配線部55a、55bは、錘部52の紙面上側に位置する固定電極用配線部55aと、錘部52の紙面下側に位置する固定電極用配線部55bとを有しており、錘部52を挟んで二つ備えられている。そして、それぞれ埋込絶縁膜11を介して支持基板10に支持されている。この固定電極用配線部54a、54bには、可動電極53における櫛歯の隙間に噛み合うように櫛歯状に複数本配列された固定電極54a、55bがそれぞれ備えられている。
【0073】
具体的には、錘部52の紙面上側では、可動電極53に対して上記変位方向Xに沿って紙面右側に固定電極54aが設けられており、一方、錘部52の紙面下側については、個々の可動電極53に対して上記変位方向Xに沿って紙面左側に固定電極54bが設けられている。
【0074】
このように、半導体層12の水平方向において個々の可動電極53に対して、それぞれ固定電極54a、54bが対向して配置されており、各対向間隔において、可動電極53の側面(検出面)と固定電極54a、54bの側面(検出面)との間に容量を検出するための検出間隔が形成されている。
【0075】
また、固定電極54aと固定電極54bとは、それぞれ互いに電気的に独立している。そして、各固定電極54a、54bは、可動電極53に対して略平行に延びる断面矩形の梁状に形成されている。また、固定電極54aおよび固定電極54bは、それぞれ、埋込絶縁膜11を介して支持基板10に固定されている各固定電極用配線部55a、55bに片持ち状に支持された状態となっている。そして、各固定電極54a、54bは、埋込絶縁膜11から離間した状態となっている。すなわち、固定電極54aおよび固定電極54bは、それぞれの複数本の電極が、電気的に共通した各固定電極用配線部55a、55bにまとめられた形となっている。
【0076】
また、固定電極用配線部55aおよび固定電極用配線部55b上の所定位置には、それぞれ、固定電極用パッド56および固定電極用パッド57が形成されている。さらに、一方のアンカー50bと一体に連結された状態で、可動電極用配線部58が形成されており、この可動電極用配線部58上の所定位置には、可動電極用パッド59が形成されている。上記の各電極用パッド56、57、59は、例えば、Alをスパッタや蒸着することなどにより形成されている。
【0077】
そして、上記第1実施形態と同様に、センシング部20の周囲には、周辺部14が形成されており、周辺部14には、外形輪郭線および内形輪郭線が八角形状とされた八角枠状のセンサ基板側封止部15が形成されている。本実施形態では、このセンサ基板側封止部15は、上記第1実施形態と比較して、各辺の長さの違いが小さい八角枠状とされている。以上が本実施形態におけるセンサ基板100の構成である。
【0078】
また、図6(a)に示されるように、回路基板200は、各電極用パッド56、57、59と対向する位置に回路パッド250が形成されている。そして、上記第1実施形態と同様に、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とが接合されており、これによってセンシング部20がセンサ基板100と回路基板200とによって構成される封止空間に密閉された状態となる。そして、封止空間内において、センサ基板100の各電極用パッド56、57、59と回路基板200の回路パッド250とが電気的に接続されている。
【0079】
以上説明したように、本実施形態においても接合部300は外形輪郭線および内形輪郭線が八角形状とされた八角枠状とされているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、接合部300は、上記第1実施形態と比較して、各辺の長さの違いが小さい八角枠状とされているため、各角部に生じる応力の違いを小さくすることができ、各角部からセンサ基板100に印加される応力のばらつきを小さくすることができる。したがって、さらに検出精度が低下することを抑制可能になる。
【0080】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260との間にGe層を配置して共晶接合する例について説明したが、例えば、次のようにすることもできる。
【0081】
すなわち、第1〜第5センサパッド41〜45を形成せず、回路パッド250および回路基板側封止部260をAuで構成する。そして、回路パッド250および回路基板側封止部260をセンサ基板100の半導体層12と接触させた状態で加熱することにより、回路パッド250および回路基板側封止部260の一部と半導体層12の一部とを共晶合金化してAu−Si共晶合金化層を形成する共晶接合としてもよい。
【0082】
また、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260をAuで形成し、これらの間にGe層を挟んだ状態で加熱することにより、Au−Ge共晶合金化層を形成する共晶接合としてもよい。
【0083】
さらに、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260をAuで形成し、これらの間にGe層の代わりにSn層を配置した状態で加熱することにより、Au−Sn共晶合金化層を形成する共晶接合としてもよい。
【0084】
そして、例えば、第1〜第5センサパッド41〜45と回路パッド250、センサ基板側封止部15と回路基板側封止部260とを金属接合によって接合することもできる。
【0085】
さらに、センサ基板側封止部15および回路基板側封止部260を形成せず、周辺部14にセンシング部20を取り囲むと共に八角枠状となるように接着剤を配置し、当該接着剤を介してセンサ基板100と回路基板200とを接合するようにしてもよい。このように、接合部300を接着剤とした場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0086】
なお、接合部300を接着剤とした場合には、接着剤を介して周辺部14と回路基板200との電気的な接続が得られないため、例えば、次のようにすることが好ましい。すなわち、周辺部14のうちセンサ基板側封止部15より内側に周辺部パッドを配置し、回路基板200のうち周辺部パッドと対向する部位に回路パッド250を形成する。そして、これら周辺部パッドと回路パッド250とを電気的に接続して周辺部14の電位を一定に維持するようにする。
【0087】
また、上記各実施形態では、接合部300が八角枠状とされている例について説明したが、接合部300は、例えば、六角枠状とされていてもよいし、真円枠状とされていてもよい。特に、接合部300を真円枠状とした場合には、センサ基板100には接合部300から均一に応力が印加されることになるため、検出精度の低下をさらに抑制可能となる。
【0088】
(2)上記各実施形態では、センサ基板100に回路基板200を接合するものについて説明した。しかしながら、本発明の特徴点である接合部300の形状は、例えば、センサ基板100に、回路部270が形成されていないキャップを接続する場合についても適用することが可能である。図7(a)は、加速度を検出するセンサ基板100にキャップを接続してなる力学量センサの断面構成を示す図であり、図7(b)はセンサ基板100の平面図である。なお、図7(a)のセンサ基板100は、図7(b)中のC−C断面に相当している。
【0089】
図7に示されるように、センサ基板100に回路部270を形成していないキャップ400を接続する場合には、センサ基板100と外部との電気的な接続が図られるように、各電極用パッド56、57、59をセンサ基板側封止部15の外側に設け、封止空間から露出するようにすればよい。この場合、構成要素50a〜55bを区画するトレンチもセンサ基板側封止部15よりも外側まで延設される。このため、図7では、トレンチ部分を横断してセンサ基板側封止部15を配置することができるようにセンサ基板100を以下の構成としている。
【0090】
すなわち、センサ基板100のうちセンサ基板側封止部15が配置される領域を含む近傍には、トレンチを埋め込まないようにLPCVD法等により第1絶縁層60が形成されている。そして、第1絶縁層60のうちセンサ基板側封止部15の内側に位置する領域の各梁上には開口部60aが形成されている。また、第1絶縁層60上には、開口部60aを埋め込む配線層70が形成されており、センサ基板側封止部15の内側で開口部60aを介して各電極用配線部55a、55b、58と電気的に接続されている。
【0091】
また、第1絶縁層60上には、配線層70を覆う第2絶縁層80が形成されており、この第2絶縁層80のうちセンサ基板側封止部15の外側の領域に開口部80aが形成されている。そして、配線層70のうち開口部80aから露出している部分が上記電極用パッド56、57、59となる。また、周辺部14のうちセンサ基板側封止部15の外側に位置する領域には、第1、第2絶縁層60、80を貫通する開口部80bが形成されており、半導体層12と接触する周辺部パッド90が形成されている。
【0092】
このように、各電極用パッド56、57、59および周辺部パッド90をセンサ基板側封止部15の外側に形成することにより、センシング部20をセンサ基板100と回路基板200との間に構成される封止空間に封止しつつ、センシング部20と外部回路との電気的な接続を図ることができる。そして、接合部300を八角枠状とすることにより、接合部300の角部からセンサ基板100に印加される応力を低減することができる。
【0093】
なお、ここでは、加速度を検出するセンサ基板100にキャップ400を接合してなる力学量センサについて説明したが、角速度を検出するセンサ基板100についても同様である。すなわち、第1〜第5センサパッド41〜45をセンサ基板側封止部15より外側に形成し、センサ基板100にキャップ400を接合した際に第1〜第5センサパッド41〜45が露出するようにすればよい。
【符号の説明】
【0094】
13 半導体基板
14 周辺部
15 センサ基板側封止部
15a 外形輪郭線
15b 外形輪郭線
20 センシング部
21a 検出部
21b 検出部
100 センサ基板
200 回路基板
260 回路基板側封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(13a)を有し、前記一面(13a)側に物理量に応じたセンサ信号を出力するセンシング部(20)を備えたセンサ基板(100)と、
前記センサ信号を処理する回路部(270)を有する回路基板(200)と、を有し、
前記センサ基板(100)と前記回路基板(200)とは、前記センシング部(20)を取り囲む枠状の接合部(300)を介して接合されてなる力学量センサにおいて、
前記接合部(300)は、枠の外形を構成する外形輪郭線が矩形状の角部が除去された多角形状とされていることを特徴とする力学量センサ。
【請求項2】
前記接合部(300)は、前記外形輪郭線が矩形状の全ての角部が除去された八角形状とされており、各角部の角度が等しくされていることを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。
【請求項3】
前記接合部(300)は、前記外形輪郭線が真円とされていることを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。
【請求項4】
前記接合部(300)は、枠の内形を構成する内形輪郭線が矩形状の角部が除去された多角形状とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の力学量センサ。
【請求項5】
前記接合部(300)は、八角枠状とされていることを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。
【請求項6】
前記回路基板(200)は、半導体基板(210)を用いて構成されており、前記半導体基板(13)のうち前記センサ基板(100)と対向する一面(210a)が平坦とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の力学量センサ。
【請求項7】
前記センサ基板(100)は、前記一面(13a)側に前記センシング部(20)を取り囲む周辺部(14)を有し、当該周辺部(14)に、前記センシング部(20)を取り囲み、外形輪郭線(15a)が矩形状の角部が除去された多角形状とされているセンサ基板側封止部(15)を有し、
前記回路基板(200)は、前記センサ基板側封止部(15)と対向する部位に、前記センサ基板側封止部(15)と対応する形状の回路基板側封止部(260)を有し、
前記接合部(300)は、前記センサ基板側封止部(15)と前記回路基板側封止部(260)とが接合されることによって構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の力学量センサ。
【請求項8】
前記周辺部(14)は、前記センサ基板側封止部(15)および前記回路基板側封止部(260)を介して前記回路部(270)と電気的に接続されており、所定の電位に維持されていることを特徴とする請求項7に記載の力学量センサ。
【請求項9】
前記センシング部(20)は、前記物理量として角速度を検出することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の力学量センサ。
【請求項10】
前記センシング部(20)は、前記物理量として加速度を検出することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の力学量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202762(P2012−202762A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66222(P2011−66222)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】