説明

加工処理システム及び搬送方法

【課題】処理装置の処理能力をより十分に発揮できる。
【解決手段】製造装置(処理装置)には基板を収容した容器Fが搬入される(S1)。処理装置は、搬入された容器から基板を取り出し、基板に加工処理を施した後に、基板を容器に収容する。製造装置において基板が取り出された空の容器Fは、一旦小ストッカへと搬出される(S2)。そして、基板に加工処理が施されている間に製造装置へと次の容器Fが搬入される(S3、NO→S6、NO→S1)。一方、製造装置において基板の加工処理が終了すると(S3、YES)、小ストッカに一旦保管された空の容器Fが製造装置へと搬入される(S4)。製造装置において加工処理済みの基板が収容された容器Fは、製造装置から小ストッカへと搬出される(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に加工処理を施す加工処理システム及び加工処理を施す処理装置に物品を搬送する搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造工場においては、半導体基板に加工処理を施す種々の処理装置が設置される。これらの処理装置において種々の加工処理が半導体基板に順に施されることにより製品が完成する。これらの処理装置に半導体基板を搬送する際には、半導体基板を収容する容器が用いられる場合がある。特許文献1では、複数の半導体基板を収容するフープ(FOUP)が用いられている。かかるフープは、搬送台車によって処理装置へと搬送される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−1886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特許文献1のように、加工処理の対象となる物品を収容する容器が用いられる場合には、例えば以下のように容器内の物品に加工処理が施されていた。まず、かかる容器が処理装置に搬入されると、容器から物品が全て取り出される。物品が取り出された容器は、加工処理が済むまでそのままの状態で保持される。取り出された物品は、処理装置内の処理領域へと移される。そして、処理装置において物品に加工処理が施されると、保持された容器に再び物品が収容される。加工処理後の物品を収容した容器は、処理装置から搬出される。
【0005】
しかし、上記の場合、加工処理が済むまで処理装置から容器が搬出されないため、次の容器を処理装置に搬入できないことがあった。このような場合、処理装置に十分な数の物品を搬入することができないため、処理装置の処理能力を十分に発揮できないおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、処理装置の処理能力をより十分に発揮できる加工処理システム及び搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の加工処理システムは、物品を収容した容器から物品を取り出して加工処理を施すと共に、加工処理を施した物品を前記容器に収容する処理装置と、前記処理装置へと前記容器を搬入すると共に、前記処理装置から前記容器を搬出する搬送装置と、加工処理前の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる搬入制御手段と、加工処理後の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる搬出制御手段とを有する搬送制御装置とを備えており、前記搬入制御手段が、前記搬送装置に、前記処理装置が物品を取り出した一の前記容器を前記処理装置から搬出させると共に、前記一の容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、加工処理前の物品を収容した別の前記容器を前記処理装置へと搬入させ、前記搬出制御手段が、前記搬送装置に、前記搬入制御手段が前記搬送装置に搬出させた前記容器を前記処理装置へと搬入させると共に、搬入された前記容器へと前記処理装置が加工処理後の物品を収容した後に、加工処理後の物品を収容した前記容器を前記処理装置から搬出させる。
【0008】
また、本発明の搬送システムは、物品に加工処理を施す処理装置へと物品を収容した容器を搬送装置に搬入させると共に、前記処理装置から前記容器を前記搬送装置に搬出させる搬送方法であって、加工処理前の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第1の搬入ステップと、前記処理装置において前記容器から物品が取り出された後に、物品が取り出された前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる第1の搬出ステップと、前記第1の搬入ステップにおいて前記処理装置に搬入された一の前記容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、加工処理前の物品を収容した別の前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第2の搬入ステップと、前記第1の搬出ステップにおいて前記処理装置から搬出された前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第3の搬入ステップと、前記第3の搬入ステップにおいて前記処理装置に搬入された前記容器に加工処理後の物品が収容された後に、物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる第2の搬出ステップとを備えている。
【0009】
本発明の加工処理システム及び搬送システムによると、処理装置において物品が取り出された容器を、一旦処理装置外へと搬出する。そして、物品に加工処理を施す間に、次の容器を処理装置へと搬入する。したがって、物品に加工処理を施すまで容器を処理装置に保持させておく場合と比べて、処理装置に次々と容器を搬入することができる。これによって、処理装置に十分な数の物品を搬入することができるようになり、処理装置の処理能力をより十分に発揮させることができる。
【0010】
また、本発明においては、前記容器を保管する保管装置をさらに備えており、前記搬入制御手段が、前記処理装置が物品を取り出した前記容器を前記搬送装置に前記保管装置へと搬出させ、前記保管装置が、前記搬入制御手段が前記搬送装置に前記保管装置へと搬出させた前記容器を保管し、前記搬出制御手段が、前記保管装置が保管した前記容器を前記処理装置へと前記搬送装置に搬入させることが好ましい。これによると、物品が取り出された容器を保管装置に一旦保管する。したがって、物品が取り出された容器を、より多く処理装置外で待機させておくことができる。
【0011】
また、本発明においては、前記搬送装置が、前記保管装置の近傍を通る第1の搬送経路に沿って前記容器を搬送する第1の搬送手段と、前記保管装置の近傍及び前記処理装置の近傍を通る第2の搬送経路に沿って前記容器を搬送する第2の搬送手段とを有し、前記第1の搬送手段が、加工処理前の前記容器を前記保管装置へと搬入すると共に、加工処理後の前記容器を前記保管装置から搬出し、前記第2の搬送手段が、前記保管装置と前記処理装置との間で前記容器を搬送することが好ましい。これによると、例えば、加工処理前又は加工処理後の容器を保管装置から搬出する搬送手段と、保管装置と処理装置との間で容器を搬送する搬送手段とをそれぞれ別個に設けることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記第2の搬送経路が、2地点を両端とする1本の線に沿っており、前記第2の搬送手段が、前記第2の搬送経路に沿って両方向に前記容器を搬送してもよい。これによると、搬送経路の構築に必要な空間を小さくすることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記第2の搬送経路が閉曲線に沿っており、前記第2の搬送手段が、前記保管装置から前記製造装置へ前記容器を搬送する経路と、前記製造装置から前記保管装置へと前記容器を搬送する経路とが別になるように、前記容器を搬送してもよい。これによると、第2の搬送経路において容器の搬送の際に往路と復路を別の経路にしている。したがって、第2の搬送手段において搬送効率を向上することができる。
【0014】
また、本発明においては、第1及び第2の前記保管装置が設置されており、前記第1の搬送手段が、前記第1の保管装置に加工処理前の前記容器を搬入すると共に、前記第2の保管装置から加工処理後の前記容器を搬出し、前記第2の搬送手段が、加工処理前の前記容器を前記第1の保管装置から前記処理装置へと搬入すると共に、加工処理後の前記容器を前記処理装置から前記第2の保管装置へと搬入することが好ましい。これによると、加工処理前の物品を収容した容器用の保管装置と加工処理後の物品を収容した容器用の保管装置とがそれぞれ設けられている。このため、第1の搬送手段や第2の搬送手段へと容器を搬出入する動作を円滑に実行することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記第1の搬送手段が、天井に敷設された軌道と、前記軌道に支持されると共に前記軌道に沿って走行する搬送台車とを有していることが好ましい。これによると、第1の搬送手段が天井の近傍に構築されているため、システムを構築する場所を有効に利用することができる。
【0016】
また、本発明においては、前記第2の搬送手段が、搬送方向に沿って配列された複数の搬送ローラを有し、前記複数の搬送ローラを回転させることによって前記搬送ローラ上の前記容器を搬送する。これによると、搬送ローラを用いて容器を搬送するので、容器を搬送する要求に即時に応じることが可能な搬送手段が実現する。
【0017】
また、本発明においては、前記処理装置が、前記搬送装置によって前記容器が搬入されると共に前記容器が搬出される1又は複数の搬出入口を有しており、前記搬入制御手段が、前記搬送装置に、一の前記搬出入口を通じて前記一の容器を前記処理装置から搬出させると共に、前記一の容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、前記1又は複数の搬出入口の全ての搬出入口を通じて前記処理装置へと前記容器を搬入させることが好ましい。これによると、ある搬出入口を通じた容器に収容された基板に加工処理を施す間に、それぞれの搬出入口を通じて処理装置に次の容器を搬入することができる。したがって、物品に加工処理を施すまで容器を搬出入口に待機させておく場合と比べて、より多くの容器を処理装置に搬入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半導体製造システム1の平面図である。半導体製造システム1は、半導体製造工場において構築される半導体基板の生産ラインに相当する。この生産ライン上の各製造工程において、複数の加工処理が基板に順番に施されることによって製品が完成する。工場内には、上記の加工処理をそれぞれ実行する製造装置11〜15(処理装置)が設置されている。なお、本明細書において「加工処理」とは、基板に施す加工処理であって、製造工程上のあらゆる単位の処理をも含み得るものとする。
【0019】
本実施形態においては、これらの製造装置が、その製造装置が実行する加工処理の種類に応じて複数の装置区分2〜6に分別されている。装置区分2〜6には、製造装置11〜15がそれぞれ含まれている。また、各製造装置において加工処理が施される対象となる基板は、容器Fに収容される(図3等参照)。容器Fは内部に複数の基板を収容することが可能であり、各製造装置は容器Fに収容された各基板に対して加工処理を施すように構成されている。
【0020】
装置区分2〜6には、容器Fを保管する小ストッカ(保管装置)がそれぞれ含まれている。装置区分2には小ストッカ31が、装置区分3には小ストッカ32及び33が、装置区分4には小ストッカ34及び35が、装置区分5には小ストッカ36及び37が、装置区分6には小ストッカ38及び39が含まれている。
【0021】
これらの小ストッカのうち、小ストッカ32、34、39及び37は、各装置区分に含まれる製造装置が加工処理を施す前の容器Fを保管するために用いられる。一方、小ストッカ33、35、38及び36は、各装置区分に含まれる製造装置が加工処理を施した後の容器Fを保管するために用いられる。小ストッカ31は、製造装置11が加工処理を施す前の容器Fと加工処理を施した後の容器Fとの両方を保管するために用いられる。
【0022】
小ストッカ31〜39は、天井付近に敷設された軌道7の下方に配置されている。軌道7は、装置区分2〜6間で容器Fを搬送するための搬送経路(第1の搬送経路)に沿って敷設されている。軌道7は、複数の搬送台車8を支持している。搬送台車8は、軌道7に懸垂状に支持されており、軌道7に沿って走行しつつ、小ストッカ31〜39間で容器Fを搬送する。本実施形態のように、容器Fの搬送手段の一つが天井近傍に構築されていることにより、システムを構築する場所を有効に利用することができる。
【0023】
搬送台車8は、装置区分2〜6のそれぞれから、各区分において加工処理が実行済みの容器Fを搬出する。そして、装置区分2〜6のうち、次の加工処理を実行する装置区分へと容器Fを搬入する。各装置区分に容器Fを搬入する際には、搬送台車8は、小ストッカ32、34、39及び37のいずれかに容器Fを搬入する。各装置区分から容器Fを搬出する際には、搬送台車8は、小ストッカ33、35、38及び36から容器Fを搬出する。
【0024】
なお、各装置区分から独立した保管装置であるストッカ9が軌道7の近傍に設置されていてもよい。ストッカ9は、小ストッカ31〜39より多くの容器Fを収容できるように構成されている。搬送台車8は、ある装置区分から次の装置区分へと容器Fを搬送するまでの間にストッカ9へと容器Fを搬送し、ストッカ9に容器Fを一旦保管させる。
【0025】
搬送台車8及び小ストッカ31内の構成について、図2及び図3を参照しつつより詳細に説明する。なお、小ストッカ31以外の小ストッカ32〜39の構成は小ストッカ31と同様であるため、これらについての説明は省略する。図2は、図1において装置区分2の周辺の拡大図である。図3は、図2のIII−III線断面図である。なお、図2においては、図を見やすくするため、軌道7を破線で示している。
【0026】
搬送台車8は、図3に示すように、容器Fを把持するアーム83と、アーム83を吊り下げる懸垂ベルト82と、懸垂ベルト82を巻き取ったり繰り出したりする昇降ユニット81とを有している。昇降ユニット81が懸垂ベルト82を巻き取るとアーム83が上昇し、懸垂ベルト82を繰り出すとアーム83が降下する。アーム83は、容器Fを把持した状態と容器Fを開放した状態とを選択的に取ることができる。搬送台車8は、アーム83に容器Fを把持させた状態でアーム83を上昇させ、昇降ユニット81のわずかに下方に配置した状態を保持しつつ、軌道7に沿って走行する。アーム83に把持させた容器Fを所定の載置場所に載置する際には、搬送台車8は、軌道7に沿ってその載置場所の上方まで走行し、アーム83を降下させる。そして、容器Fがその載置場所に載置されたところでアーム83に容器Fを開放させる。本実施形態では、軌道7及び搬送台車8によって本発明の第1の搬送手段が実現されている。
【0027】
小ストッカ31はフレーム103と、フレーム103内に設けられた複数の棚101とを有している。棚101は上下方向に沿って配列されている。これらの棚101のうち、最も高い位置にある棚101が、搬送台車8から容器Fが搬入されるポート102となる。搬送台車8は、ポート102上に容器Fを載置することによって小ストッカ31に容器Fを搬入する。また、搬送台車8は、ポート102上に載置された容器Fをアーム83に把持させ、その後アーム83を上昇させることによって、小ストッカ31から容器Fを搬出する。
【0028】
小ストッカ31内にはクレーン110が設けられている。クレーン110は、上下方向に沿ったボールねじ111及びリフタ112を有している。リフタ112は上下に移動可能にボールねじ111に支持されている。ボールねじ111は図示しない駆動モータによって回転可能であり、ボールねじ111が回転するとリフタ112が上下方向に移動するようになっている。なお、上下方向に沿って延びるベルトにリフタ112を固定し、ベルトを上下方向に移動させることでリフタ112を移動させるベルト駆動方式が採用されてもよい。
【0029】
リフタ112上にはリニアスライダ113が設置されている。リニアスライダ113は棚101に向かって水平に進退可能であり、棚101へと進出した状態で棚101上に載置された容器Fを棚101からすくい取って支持したり、支持している容器Fを棚101上に載置したりする。また、リニアスライダ113に容器Fを支持させつつリフタ112上に後退させ、リフタ112に上下方向に移動させることにより、容器Fを他の棚101の高さへと移動させることができる。これによって、クレーン110は、ある棚101から別の棚101へと容器Fを移動させることができる。また、小ストッカ31の下部には後述のコンベア41が引き込まれており、クレーン110はこのコンベア41と棚101との間でも容器Fを搬送することができる。
【0030】
各装置区分には、図1に示すように、コンベア41〜45がそれぞれ設置されている。コンベア41〜45は、各装置区分において、小ストッカ同士、あるいは小ストッカと製造装置との間で容器Fを搬送する。このように、本実施形態では、コンベア41〜45によって本発明の第2の搬送手段が実現されている。
【0031】
次に、コンベア41について図2〜4を参照しつつ説明する。コンベア41は、図2に示すように、小ストッカ31と製造装置11との間で容器Fを搬送するための搬送経路(第2の搬送経路)に沿って配列された複数のコンベアモジュール120を有している。この搬送経路は、一端がコンベア41内に配置され、他端が製造装置11の近傍に配置された線分に沿っている。なお、その他のコンベア42〜45も、各装置区分内における搬送経路に沿ってコンベアモジュール120が配列されることによって構築されている。このように、コンベア42〜45はコンベア41と同様の構成を有しているので、これらについては説明を省略する。
【0032】
各コンベアモジュール120は、図3に示すようにフレーム121及び122を有している。フレーム121及び122は左右一対として設けられている。フレーム121及び122の内側にはそれぞれ5つのローラ123が回動自在に取付けられている。ローラ123は、図3に示すようにフレーム121及び122に近い方から遠い方に向かって配列されたつば部123b及び段部123cからなる2層の構造を有している。
【0033】
図4は、フレーム121を図3の右方から見たときの図である。図4に示すように、ローラ123はフレーム121の上端付近に、水平方向に沿って配列されている。ローラ123はフレーム121に固定された軸123aに、A方向に回転可能に支持されている。ローラ123にはスプロケット127が固定されている。また、フレーム121には2つのテンションローラ126が設けられている。これらのテンションローラ126は、図4の左右方向に関して、フレーム121の中心に配置されたローラ123とそのローラ123に隣接するローラ123との間にそれぞれ配置されている。また、上下方向に関して、ローラ123よりわずかに下方に配置されている。各テンションローラ126はフレーム121に固定された軸126aに、B方向に回転可能に支持されている。フレーム121の中心付近には駆動モータ124が設けられている。駆動モータ124の回転軸124aには、スプロケット125が固定されており、スプロケット125はC方向に回転する。
【0034】
ローラ123に固定された各スプロケット127と2つのテンションローラ126とスプロケット125との周囲には、タイミングベルト128が巻き掛けられている。駆動モータ124が駆動されると、タイミングベルト128がスプロケット127、2つのテンションローラ126及びスプロケット125の周囲を走行する。これによって、ローラ123をA方向に沿ったいずれの方向にも回転させることができるようになっている。
【0035】
フレーム122側のローラ123は、フレーム121側のローラ123と同じ高さで、搬送方向に関して同じ位置に配置されている。そして、コンベア41においてフレーム121と反対側のフレーム122側にもローラ123を駆動する駆動機構がフレーム121側と同様に設けられている。なお、フレーム122側の駆動機構は、フレーム121側の駆動モータ124とは別の駆動モータを有していてもよいし、フレーム122側には駆動モータを設けず、駆動モータ124に接続された駆動軸をフレーム122側へと延長し、その駆動軸を介してフレーム122側へと駆動モータ124の駆動力を伝達してもよい。また、フレーム122にはローラ123を駆動する機構が設けられていなくてもよい。つまり、フレーム122側のローラ123はいずれも従動ローラであってもよい。
【0036】
容器Fは、図3に示すようにローラ123の段部123c上に載置されており、ローラ123が回転するのに従って図2において左方又は右方へと搬送される。ローラ123には、容器Fが載置される段部123cより外側につば部123bが設置されている。これによって、容器Fがコンベア41から転落しないようになっている。
【0037】
コンベア41は、上記の通りコンベアモジュール120ごとにローラ123を駆動させる駆動機構を有している。これによって、コンベア41は、コンベアモジュール120ごとに容器Fの搬送速度や搬送方向を制御することができるようになっている。また、コンベアモジュール120同士の間には隙間が形成されている。この隙間は容器Fの幅と比べて小さいため、コンベアモジュール120同士の間を跨ぐように容器Fを搬送することができる。
【0038】
次に、製造装置11について図2及び図5を参照しつつより詳細に説明する。図5(a)は、図2のV−V線断面図である。図5(b)は、製造装置11内の構成をブロック図で示したものである。製造装置11には、図2に示すように、容器Fの搬出入口55〜58がそれぞれ形成されている。搬出入口55〜58は、コンベア41の搬送方向に関して、コンベアモジュール120同士の隙間に対応する位置に配置されている。
【0039】
製造装置11の正面にはリフタ51〜54が設置されている。これらのリフタは、コンベア41上の容器Fを搬出入口55〜58の高さまで持ち上げる装置であり、リフタ51〜54は搬出入口55〜58にそれぞれ対応している。リフタ51〜54には台座が設けられており、かかる台座上に容器Fが載置されるようになっている。図5(a)に示すように、リフタ52は、ボールねじ131に沿って上下に移動可能にボールねじ131に支持されている。リフタ52は、図示しない駆動モータによってボールねじ131を回転させると上下移動するようになっている。リフタ52は、図5(a)の破線で示すようにコンベア41上に載置される容器Fより下方に位置することができる。そして、そこから上昇して、実線で示すように製造装置11の搬出入口56の高さに位置することができる。リフタ52は、台座を水平方向に往復移動させることができるように構成されており、容器Fを乗せた台座が搬出入口56の高さに至ると、台座を水平に移動させ、台座上の容器Fを搬出入口56の近傍に引き寄せる。なお、その他のリフタ51、53及び54もリフタ52と同様の構成を有しており、これらについての説明を省略する。
【0040】
搬出入口55〜58の開口には、容器Fの前面の蓋を開閉する開閉機構62が設けられている。リフタ51〜54が搬出入口55〜58の近傍へと容器Fを引き寄せると、開閉機構62が容器Fの前面の蓋を開放する。また、製造装置11内には、搬出入口55〜58に向かって水平に進退可能なアーム61が設けられている。アーム61は、開閉機構62が蓋を開放した容器Fから基板を取り出し、製造装置11内へと取り込む。また、製造装置11によって基板に加工処理が施されると、アーム61は、加工処理が施された基板を容器Fへと収容する。アーム61が加工処理後の基板を容器Fに収容すると、開閉機構62は容器Fの蓋を閉鎖する。そして、アーム61が容器Fを搬出入口55〜58からコンベア41上へと移動させ、さらにコンベア41へと降下させる。なお、製造装置12〜15にも、コンベアと搬出入口との間で容器Fを昇降するリフタや、容器Fの蓋を開閉する開閉機構、搬出入口を通じて容器Fから装置内へと基板を取り込むアームが設けられている。
【0041】
なお、本明細書において、「製造装置11へと容器Fを搬入する」とは、リフタ51が搬出入口55〜58の近傍へと容器Fを配置し、開閉機構62が容器Fの蓋を開閉可能な状態にすることを示す。また、本明細書において、「製造装置11から容器Fを搬出する」とは、小ストッカ31などの他の場所へと運び出すために、リフタ51が容器Fを搬出入口55〜58の近傍から移動させることを示す。
【0042】
製造装置11が基板に施す加工処理には複数の処理工程が含まれている。製造装置11内には、図5(b)に示すように、これらの処理工程を基板に施す処理領域11a〜11cが設けられている。処理領域11a〜11cには、基板を取り込んで処理工程を施す処理ユニット91〜93がそれぞれ設けられている。
【0043】
容器Fから基板が取り出されると、まず、処理領域11aの各処理ユニット91に搬出入口55〜58を通じてその基板が取り込まれ、処理ユニット91において所定の処理工程が基板に施される。各処理ユニット91において処理工程が完了した基板は、次に処理領域11bの処理ユニット92に取り込まれる。そして、処理ユニット92において所定の処理工程が基板に施される。処理ユニット92において処理工程が完了した基板は、次に処理領域11cの各処理ユニット93に取り込まれる。そして、処理ユニット93において所定の処理工程が基板に施される。処理ユニット93において処理工程が完了した基板は、搬出入口55〜58を通じて容器Fに収容され、製造装置11から搬出される。
【0044】
なお、製造装置11全体として処理能力を向上させるためには、処理領域11a〜11cのそれぞれを、できる限り多くの基板を速やかに処理できるように構成することが好ましい。このためには、処理領域11a〜11cのそれぞれを、できる限り最大限まで稼働させた状態に保持する必要がある。一方で、一つの処理領域の処理能力が高くても、他の処理領域の処理能力が低ければ、前者の処理能力を後者の処理能力に合わせる他ない。したがって、処理領域間で処理能力のバランスが取れるように製造装置11を構成する必要がある。
【0045】
また、各処理領域において処理能力を上げるには、処理ユニットの台数を増加させればよい。しかし、処理ユニットの種類によっては、コストや装置規模などの関係上、多くの処理ユニットを設けることが困難である場合もある。例えば、本実施形態においては、処理ユニット92がこのようなユニットに相当する。このため、本実施形態では、処理ユニット92は処理領域11bに1つしか設けられていない。これに対して、処理ユニット91や93は、処理ユニット92よりコストが低く、ユニット自体も小さいため、複数設けることができる。
【0046】
このように、処理ユニット92はこれ以上増設できないので、製造装置11全体の処理能力をバランスの取れたものにするためには、1台の処理ユニット92の処理能力を基準として、処理領域11a及び11cに設置する処理ユニットの台数を調整する必要がある。
【0047】
例えば、処理ユニット92が、最大限まで稼働させた状態で1時間当たり300個の基板を処理することができるとする。この場合、処理ユニット92を最大限に稼働させるためには、12秒当たりに1個の基板を処理ユニット92に取り込ませることができるように、処理領域11aに設置する処理ユニット91の台数を確保する必要がある。例えば、処理ユニット91が、同時に処理できる基板の数が1台につき1個であり、1個の基板を処理するのに要する時間が12分であるとする。この場合、処理領域11aにおいて12秒当たりに1個の基板を処理ユニット92へと送り出せるようにするためには、処理ユニット91を60台以上設置する必要がある。また、製造装置11全体の処理能力を最大限に確保するためには、処理領域11cにおいても、処理ユニット92の処理能力に応じて処理ユニット93の台数を確保する必要がある。つまり、処理ユニット92において12秒に1個の速さで処理された基板を待機させることなく処理できるように、処理ユニット93の台数を確保する必要がある。
【0048】
本実施形態においては、以上の条件に沿って製造装置11の処理能力が最適化されているものとする。つまり、上記の例で言えば、処理領域11aには処理ユニット91が60台設置されている。また、処理領域11cには、最大限まで稼働された場合の処理ユニット92の処理能力に応じた台数分の処理ユニット93が設置されている。なお、この例においては、簡単のため処理領域11a〜11cの処理能力のみに基づいて条件を決定している。しかし、実際には、処理領域11a〜11b間の基板の移送やこれらの領域と容器Fとの間の移送にかかる時間など、処理領域11a〜11cの処理能力以外の要素を考慮した上で製造装置11の処理能力を最適化することが好ましい。
【0049】
以下、装置区分3〜6について、装置区分2との違いを中心に説明する。
【0050】
まず、装置区分3には、図1に示すように、小ストッカ32及び33の2つが設けられている。また、装置区分3に設けられたコンベア42は、小ストッカ32と製造装置12との間で容器Fを搬送すると共に、小ストッカ33と製造装置12との間でも容器Fを搬送する。上記の通り、小ストッカ32は、搬送台車8が装置区分3へと容器Fを搬入する際に用いられる。また、小ストッカ33は、搬送台車8が装置区分3から容器Fを搬出する際に用いられる。このように、小ストッカを2つ設けて役割を分担することにより、一方の小ストッカ32では搬送台車8から容器Fを受け取るだけでよくなり、他方の小ストッカ33では搬送台車8へと容器Fを受け渡すだけでよくなる。このため、それぞれにおいて搬送動作を円滑に実行させることができる。
【0051】
装置区分4には、図1に示すように、装置区分3と同様に小ストッカ34及び35の2つが設けられている。さらに、装置区分4のコンベア43は、装置区分2や3と異なる以下の構成を有している。図6は、装置区分4の正面図である。図6に示すように、コンベア43は、製造装置13より高い位置において小ストッカ34と小ストッカ35との間に敷設された搬送経路43aと、床上に敷設された搬送経路43bとを有している。
【0052】
また、小ストッカ34及び35内には、搬送経路43aと搬送経路43bとの間で容器Fを搬送するエレベータ(不図示)が設けられている。このエレベータは、例えば、小ストッカ31内に設けられたクレーン110のように、ボールネジとリフタとで構成されている。また、小ストッカ34及び35内のクレーンがエレベータとして用いられてもよい。かかるエレベータとコンベア43により、装置区分4には、図6の矢印付き二点鎖線に沿った閉曲線状の搬送経路が構築されている。そして、容器Fは、この搬送経路に沿って一方向に搬送されるようになっている。製造装置13には、搬出入口71〜74が設けられ、搬送経路43b上の容器Fをこれらの搬出入口まで搬送するリフタ81〜84も設けられている。
【0053】
装置区分4によると、製造装置13から各小ストッカまでの往路と各小ストッカから製造装置13までの復路とが異なる経路となるように、容器Fを搬送することができる。例えば、製造装置13から小ストッカ35までの経路は以下の通りである。搬出入口71からリフタ81によって容器Fが搬送経路43bへと降ろされる。コンベア43は、この空の容器Fを小ストッカ35へと搬送する。一方、小ストッカ35から製造装置13までの経路は以下の通りである。小ストッカ35からの容器Fは、コンベア43によって搬送経路43aを介して小ストッカ34へと搬送される。小ストッカ34内のエレベータは、この容器Fを搬送経路43bへと降下させる。搬送経路43bに降ろされた容器Fは、コンベア43によって搬送経路43bを介してリフタ81まで搬送される。リフタ81は、この容器Fを搬出入口71まで上昇させる。
【0054】
装置区分5にも、図1に示すように小ストッカ36及び37の2つが設けられている。また、装置区分5のコンベア44にも、搬送経路44a及び44bの2つの経路が設けられている。搬送経路44aは、小ストッカ36及び37同士を結ぶように製造装置14の前方の床上に設けられており、各小ストッカと製造装置14との間で容器Fを搬送するようになっている。搬送経路44bは、製造装置14の後方の床上に設けられており、小ストッカ36及び37同士を結ぶ経路となっている。これによって、装置区分5も、各小ストッカと製造装置14との間の搬送経路が、往路と復路で異なるように構成されている。
【0055】
装置区分6のコンベア45にも、図1に示すように、搬送経路45a及び45bの2つの経路が設けられている。搬送経路45aは、小ストッカ36及び37同士を結ぶように製造装置15の前方の床上に設けられており、各小ストッカと製造装置15との間で容器Fを搬送するようになっている。搬送経路45bも製造装置15の前方の床上に設けられており、搬送経路45aよりも製造装置15からさらに前方に離隔した位置に設置されている。これによって、装置区分6も、各小ストッカと製造装置15との間の搬送経路が、往路と復路で異なるように構成されている。
【0056】
ところで、従来、製造装置11へと容器Fを搬入する際、製造装置11まで容器Fを搬入してからその容器F内の基板の処理が終了するまで、容器Fを搬出入口において待機させていた。例えば、製造装置11には搬出入口55〜58の合計4つの搬出入口が存在するため、1つ目の容器Fの搬入を開始してから4つ目の容器Fまでは製造装置11に順次搬入することができた。しかし、1つ目の容器F内の基板に加工処理を施す間、次の5つ目の容器Fを製造装置11へと搬入することができなかった。
【0057】
一方で、各製造装置において処理能力を最高の状態に保持するためには、上述のとおり各製造装置に設けられた処理ユニットを可能な限り最大に稼働させた状態に保たなければならない。上述の例では、処理領域11bの処理ユニット92を可能な限り最大に稼働させるために、処理領域11aを可能な限り60個の基板を取り込んだ状態に保つ必要がある。そうでなければ、処理ユニット92が基板を処理できる数が12秒当たりに1個を下回るからである。従来では、例えば容器Fに収容可能な最大個数である25個の基板を各容器Fに収容して製造装置11に搬入していた。これによって、処理領域11aを60個の基板を取り込んだ状態に保つことができ、製造装置11を最大限に稼働させることができた。
【0058】
しかし、近年、基板の大型化の傾向や、各品目の製造量を少なくして品目の数自体を多くする傾向などから、1つの容器Fに実際に収容される基板の数が減少する傾向にある。したがって、上記の例によると、1つの容器Fに収容される基板の数が最大収容数を大幅に下回るようになっている。この場合、4つの容器Fを連続して製造装置11に搬入したとしても、処理領域11aを基板で満たした状態にすることができないおそれがある。つまり、従来は、1つ目の容器Fの基板に加工処理を施すまで5つ目の容器Fを持ち込むことができないため、処理装置に十分な数の基板を取り込ませることができず、処理装置の処理能力を十分に発揮することができないおそれがあった。なお、生産量を増やすために製造装置11を増設することも考えられるが、システム構築に要するスペースやコストが増大することが問題となる。
【0059】
そこで、本実施形態の半導体製造システム1においては、システムの各部を制御する搬送制御装置140が、以下のように構成されている。図7は、搬送制御装置140のブロック図である。搬送制御装置140は、搬入制御部141(搬入制御手段)、搬出制御部142(搬出制御手段)、及び、台車制御部143を有している。搬送制御装置140は、プロセッサ回路やメモリ回路などのハードウェアと、ハードウェア内の記憶装置に格納され、このハードウェアを搬入制御部141等として機能させるプログラムデータなどのソフトウェアとの組み合わせによって構築されている。なお、搬送制御装置140は、汎用のコンピュータとソフトウェアとで構築されてもよいし、半導体製造システムの制御装置として機能する専用の装置であってもよい。
【0060】
台車制御部143は、製造工程に従って、装置区分2〜6間で容器Fを搬送するように、搬送台車8を制御する。例えば、製造工程上、装置区分5、装置区分2及び装置区分3の順で基板に加工処理を施す場合は以下の通りである。まず、搬送台車8は、小ストッカ36から容器Fを搬出する。ここで、この小ストッカ36から搬出した容器Fには、製造装置11による加工処理前の基板が収容されている。次に、搬送台車8は、小ストッカ36から搬出した容器Fを、小ストッカ31へと搬入する。
【0061】
一方、製造装置11において加工処理が施された物品を収容した容器Fは、後述のようにコンベア41によって小ストッカ31に搬入される。そこで、搬送台車8は、製造装置11によって加工処理済みの基板を収容した容器Fを小ストッカ31から搬出し、小ストッカ32へと搬入する。
【0062】
搬入制御部141は、コンベア41〜45、小ストッカ31〜39、各製造装置に設けられたリフタ52、及び、アーム61等を制御することで、搬送台車8によって装置区分2〜6に搬入された容器Fをさらに各製造装置に搬入させる。
【0063】
例えば、装置区分2においては、搬入制御部141の制御によって、以下のように容器Fが搬入される。コンベア41は、小ストッカ31から加工処理前の基板を収容した容器Fを搬出し、製造装置11の搬出入口55〜58のいずれかに対応するリフタ、例えば、搬出入口56に対応するリフタ52の位置へと搬送する。一方、リフタ52は、コンベア41のローラ123より下方の位置に待機している。そして、容器Fが到着すると、リフタ52は容器Fをすくい上げ、搬出入口56の近傍まで移動させる。搬出入口56の近傍においては、開閉機構62が容器Fの蓋を開放し、アーム61が容器F内から基板を製造装置11内へと搬入する。
【0064】
アーム61が全ての基板を容器Fから取り出すと、開閉機構62が空になった容器Fの蓋を閉める。そして、搬入制御部141は、空になった容器Fを以下のように小ストッカ31まで搬送させる。まず、リフタ52が空になった容器Fをコンベア41上に戻す。コンベア41がこの容器Fを小ストッカ31へと搬送する。小ストッカ31は、この空の容器Fを一旦内部に保管する。
【0065】
このように、搬入制御部141の制御によると、基板が取り出された空の容器Fが、小ストッカ31まで搬送され、小ストッカ31において一旦保管される。その後に、搬入制御部141は、加工処理前の基板を収容した次の容器Fを小ストッカ31から製造装置11へとコンベア41等に搬入させる。装置区分3〜6においても、上記と同様に、各製造装置から空の容器Fが一旦小ストッカへと搬出された後に、次の容器Fが各製造装置へと搬入される。なお、装置区分3〜6においては、空の容器Fが2つのうちいずれの小ストッカに保管されてもよい。
【0066】
一方、製造装置11〜15において加工処理が終了すると、加工処理が終了したことを示す信号が搬送制御装置140へと送信される。なお、この信号は、加工処理が実際に終了したときに送信されてもよいし、小ストッカから製造装置へ空の容器Fを搬送する時間を考慮して、前もって送信されてもよい。かかる信号が送信されると、搬出制御部142は、コンベア41〜45、小ストッカ31〜39、各製造装置に設けられたリフタ52、及び、アーム61等を制御することで、小ストッカ31〜39に保管された空の容器Fを製造装置11〜15へと搬入させる。ここで、小ストッカから製造装置まで容器Fが搬送される工程は、搬入制御部141の制御によって容器Fが搬送される上記の工程と同様である。
【0067】
そして、各製造装置において加工処理済みの基板が容器Fに収容されると、搬出制御部142は、コンベア41〜45等を制御することで、加工処理済みの基板が収容された容器Fを製造装置11〜15から搬出させ、小ストッカ31、33等へと搬入させる。ここで、製造装置から小ストッカへと容器Fが搬送される工程は、搬入制御部141の制御によって容器Fが搬送される上記の工程と同様である。
【0068】
なお、搬出制御部142の制御によって製造装置11〜15へと搬入される空の容器Fは、加工処理が終了した基板を加工処理前に収容していた容器Fと同じである。つまり、加工処理前の基板を製造装置11〜15に搬入する際に用いられる容器Fと、加工処理後の基板を製造装置11〜15から搬出する際に用いられる容器Fとが同じになるように、空の容器Fの搬入が制御される。しかし、加工処理前の容器Fとは異なる容器Fが加工処理後に用いられてもよい。
【0069】
図8は、搬送制御装置140の制御によって、加工処理前の基板を収容した容器Fが製造装置11〜15へと搬入されると共に、加工処理後の基板を収容した容器Fが製造装置11〜15から搬出される一連の搬送工程を示すフローチャートである。このフローチャートに従って搬送工程を説明する。なお、以下の説明においては、一例として、装置区分2における工程を説明する。
【0070】
処理が開始されると、搬出入口55〜58のいずれかを通じて、加工前の基板を収容した容器Fが製造装置11へと搬入される(S1)。そして、製造装置11において基板が取り出されると、製造装置11から空の容器Fが搬出され、小ストッカ31へと搬送される(S2)。なお、本実施形態においては、ステップS1及びS2が繰り返される際、搬出入口58、57、56及び55の順に搬出入口が用いられる。
【0071】
次に、製造装置11において加工処理済みの基板が存在するか否かが搬送制御装置140によって判断される(ステップS3)。具体的には、上記の通り、製造装置11から搬送制御装置140へと送信される信号によって判断される。製造装置11において加工処理済みの基板が存在すると判断されると(S3、YES)、小ストッカ31において一旦保管されていた空の容器Fが製造装置11へと搬入される(S4)。
【0072】
ここで、空の容器Fが搬入される搬出入口は、加工処理が済んだ基板が加工処理前に搬入された際と同じ搬出入口である。例えば、搬出入口55を通じて搬入された容器Fに収容されていた基板の加工処理が済んだ場合には、かかる搬出入口55へと空の容器Fが搬入され、その容器Fに加工処理済みの基板が収容される。このように、基板搬入時と基板搬出時とで使用する搬出入口を共通にすることにより、加工処理前に基板が収容されていたものと同じ容器Fに加工処理済みの基板を収容するように製造装置を構成しやすくなる。搬入時の搬出入口と同じ搬出入口へと加工処理後の基板を戻すように製造装置を構成すればよいからである。そして、加工処理済みの基板が容器Fに収容されると、その容器Fが小ストッカ31へと搬送される(S5)。そして、ステップS1からの処理が繰り返される。
【0073】
一方、ステップS3において、加工処理済みの基板がないと判断されると(S3、NO)、製造装置11において限界まで基板が搬入されたか否かが判断される(S6)。例えば、製造装置11において最初の処理領域である処理領域11aに持ち込むことができる基板の上限が60個であったとすると、現時点で処理領域11aに持ち込まれた基板が60個かそれ未満かが判断される。ここで、具体的な判断は、製造装置11へと搬入した容器Fの数と製造装置11から搬出した容器Fの数とを搬送制御装置140がカウントすることによってなされてもよい。また、製造装置11側で限界まで搬入されたかが判断され、搬送制御装置140へと判断結果が送信されてもよい。
【0074】
製造装置11に限界まで基板が搬入されたと判断されると(S6、YES)、ステップS3の処理に戻る。つまり、製造装置11にこれ以上基板を搬入できないので、基板の加工処理が終了するまで待機される。一方、製造装置11に限界まで基板が搬入されていないと判断されると(S6、NO)、ステップS1からの処理が繰り返される。つまり、製造装置11への容器Fの搬入が繰り返される。
【0075】
以上説明した本実施形態によると、製造装置11において基板が取り出された容器Fを一旦製造装置11から搬出するので、基板に加工処理を施すまで容器Fを製造装置11に保持させておく場合と比べて、製造装置11に次々と容器Fを搬入することができる。これによって、製造装置11の処理能力を十分に発揮させることが可能なシステムを構築することができる。
【0076】
例えば、上述の例のように製造装置11の処理能力が最適化されているとする。そして、容器Fの1個当たりに収容される基板の数が平均で10個であったとする。このとき、基板に加工処理を施すまで容器Fを製造装置11に保持させておく従来方式の場合、連続して搬入できる容器Fは4つであるため、製造装置11に連続して搬入できる基板の数は40個となる。しかし、搬入された基板のうち最初の10個の基板の加工処理が終了するまで次の容器Fを製造装置11に搬入することができない。これでは、製造装置11の処理領域11aを、60個の処理ユニット91全てに基板を取り込んだ状態にすることができない。したがって、製造装置11を最大限まで稼働させることができない。
【0077】
これに対して、本実施形態では、製造装置11において基板が取り出された容器Fを一旦製造装置11から搬出する。そして、加工処理前の基板を収容した次の容器Fを製造装置11へと搬入する。この場合、加工処理前の基板を収容した1個の容器Fを製造装置11に搬入してから、加工処理前の基板を収容した次の容器Fを製造装置11に搬入するまでには、図8のステップS1を実行してからステップS2を経て、再びステップS1を実行するまでの時間が必要である。つまり、製造装置11に1個の容器Fを搬入するには、製造装置11及び小ストッカ31間で容器Fを1往復させるのに必要な時間がかかる。
【0078】
一方で、処理装置11aを60個の基板を取り込んだ状態にするには、1台の処理ユニット91が1個の基板を処理するのに要する12分以内に、60個の基板分を収容した6個の容器Fを製造装置11へと搬入する搬送能力が必要である。したがって、製造装置11及び小ストッカ31間で容器Fを1往復させるのに要する時間が120秒以下である必要がある。なお、一旦処理領域11aを60個の基板を取り込んだ状態にすれば、その後は上記と同様に120秒当たりに1個以上の容器Fを製造装置11へと搬入することによって、処理領域11aが60個の基板を取り込んだ状態を維持することができる。
【0079】
本実施形態においては、小ストッカ31及び製造装置11間でコンベア41を用いて容器Fを搬送している。コンベア41は、後述のように、その構成上高速に容器Fを搬送できる。このため、上記の搬送能力を満たすようにシステムを構築するのは十分に可能である。したがって、本実施形態の装置区分2においては、製造装置11をできる限り最大限まで稼働させた状態を維持するようにシステムを構築することができる。
【0080】
以上は、2つの小ストッカと製造装置との間で容器Fが搬送されることが装置区分2と異なるだけの装置区分3においても同様である。また、装置区分4〜6においては、各小ストッカと各製造装置との間で容器Fを搬送する搬送経路が、往路と復路で異なるように構成されている。これによって、製造装置からある小ストッカへと容器Fを搬送するのと同時に、その小ストッカから製造装置へと容器Fを搬送することができるようになっている。例えば、装置区分5において、製造装置14において基板が取り出され空になった容器Fを小ストッカ37に搬送するのと同時に、加工処理前の基板を収容した次の容器Fを小ストッカ37から製造装置14まで搬送することができる。
【0081】
つまり、装置区分4〜6においては、往路と復路とで同時に容器Fを搬送することができるため、加工処理前の基板を収容した容器Fを製造装置に搬入し始めてから、加工処理前の基板を収容した次の容器Fを製造装置に搬入し始めるまでの時間を、装置区分2の場合より短縮することができる。また、同様に、加工処理後の基板を収容した容器Fを製造装置から搬出し始めてから、加工処理後の基板を収容した次の容器Fを製造装置から搬出し始めるまでの時間も、装置区分2の場合より短縮することができる。
【0082】
したがって、装置区分4〜6においても、装置区分2における場合と同様、基板に加工処理を施すまで容器Fを製造装置に保持させておく場合と比べて、製造装置の処理能力を十分に発揮させるようにシステムを構築することができる。また、装置区分2よりも容器Fの搬入や搬出に要する時間が短縮されるので、要求される搬送能力を確保することがより容易になる。
【0083】
また、本実施形態によると、製造装置と小ストッカ間の容器Fの搬送をコンベアを用いて実施している。コンベアは、搬送台車8による搬送と比べ、搬送の要求に即応して容器Fを搬送することができる。したがって、製造装置と小ストッカ間の高速搬送の要求に適した搬送手段となっている。
【0084】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0085】
例えば、上述の実施形態においては、製造装置11〜15にはコンベア41〜45を通じて容器Fが搬入されている。しかし、搬送台車8から製造装置11〜15へと直接容器Fを搬入させてもよい。例えば、リフタ51〜55を搬出入口55〜58の近傍の位置に待機させておき、搬送台車8がリフタ51〜54上に直接容器Fを載置したり、リフタ51〜54から容器Fを取り込んだりしてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態においては、加工処理前の基板を取り出した後の空の容器Fを一旦小ストッカにおいて保管している。つまり、空の容器Fを待機させる場所として小ストッカが用いられている。しかし、空の容器Fを待機させておく場所として小ストッカ以外が用いられてもよい。例えば、コンベア上に空き領域を設け、そこに空の容器Fを待機させるように構成されていてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態において、装置区分4の搬送経路43aは、製造装置13より高い位置に敷設されている。しかし、かかる経路が床下に敷設されていてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態においては、各区分に1つの製造装置が含まれている場合が想定されているが、1つの区分に複数の製造装置が含まれていてもよい。例えば、基板上にレジスト膜形成処理を施す製造装置と、レジスト膜が形成された基板に露光処理を施す製造装置と、露光処理が施された基板に現像処理を施す製造装置とは、基板上に配線パターン等を形成する工程上、互いに密接に関わるものである。したがって、これらの製造装置が1つの区分に含まれていてもよい。
【0089】
また、上述の実施形態においては、本発明の第1の搬送手段として搬送台車8が、第2の搬送手段としてコンベア41〜45が採用されている。しかし、第1の搬送手段として、天井付近に設置されたコンベア、天井付近に敷設された軌道に沿って走行するシャトルによって物品を搬送するOHS(Over Head Shuttle)、床上に敷設された軌道上を走行する無人搬送車によって物品を搬送するRGV(Rail Guided Vehicle)等の搬送装置が採用されてもよい。また、第2の搬送手段として、RGVが採用されてもよい。
【0090】
また、上述の実施形態においては、第2の搬送手段として、ローラ123上に直接容器Fを載置する搬送方式を有するコンベアが採用されている。しかし、第2の搬送手段として、複数の搬送ローラに巻き掛けられた無端の搬送ベルトを有し、搬送ローラを回転させて搬送ベルトに搬送ローラの周囲を走行させるコンベアが採用されてもよい。この場合には、搬送ベルト上に容器Fが載置され、搬送ベルトの走行に伴って容器Fが搬送される。
【0091】
また、上述の実施形態においては、各製造装置に4つの搬出入口が設けられる場合が想定されているが、搬出入口の数が異なるものであってもよい。例えば、1〜3つのいずれかであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体製造システム1の平面図である。
【図2】図1において一装置区分の周辺の拡大図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】コンベアの一方のフレームを図3の右方から見たときの図である。
【図5】図5(a)は、図2のV−V線断面図である。図5(b)は、製造装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図2とは別の装置区分の正面図である。
【図7】本実施形態の制御装置のブロック図である。
【図8】加工処理前の基板を収容した容器Fが製造装置へと搬入されると共に、加工処理後の基板を収容した容器Fが製造装置から搬出される一連の搬送工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 半導体製造システム
7 軌道
8 搬送台車
140 搬送制御装置
141 搬入制御部
142 搬出制御部
F 容器
11〜15 製造装置
31〜39 小ストッカ
41〜45 コンベア
55〜58、71〜74 搬出入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容した容器から物品を取り出して加工処理を施すと共に、加工処理を施した物品を前記容器に収容する処理装置と、
前記処理装置へと前記容器を搬入すると共に、前記処理装置から前記容器を搬出する搬送装置と、
加工処理前の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる搬入制御手段と、加工処理後の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる搬出制御手段とを有する搬送制御装置とを備えており、
前記搬入制御手段が、
前記搬送装置に、前記処理装置が物品を取り出した一の前記容器を前記処理装置から搬出させると共に、前記一の容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、加工処理前の物品を収容した別の前記容器を前記処理装置へと搬入させ、
前記搬出制御手段が、
前記搬送装置に、前記搬入制御手段が前記搬送装置に搬出させた前記容器を前記処理装置へと搬入させると共に、搬入された前記容器へと前記処理装置が加工処理後の物品を収容した後に、加工処理後の物品を収容した前記容器を前記処理装置から搬出させることを特徴とする加工処理システム。
【請求項2】
前記容器を保管する保管装置をさらに備えており、
前記搬入制御手段が、前記処理装置が物品を取り出した前記容器を前記搬送装置に前記保管装置へと搬出させ、
前記保管装置が、前記搬入制御手段が前記搬送装置に前記保管装置へと搬出させた前記容器を保管し、
前記搬出制御手段が、前記保管装置が保管した前記容器を前記処理装置へと前記搬送装置に搬入させることを特徴とする請求項1に記載の加工処理システム。
【請求項3】
前記搬送装置が、前記保管装置の近傍を通る第1の搬送経路に沿って前記容器を搬送する第1の搬送手段と、前記保管装置の近傍及び前記処理装置の近傍を通る第2の搬送経路に沿って前記容器を搬送する第2の搬送手段とを有し、
前記第1の搬送手段が、加工処理前の前記容器を前記保管装置へと搬入すると共に、加工処理後の前記容器を前記保管装置から搬出し、
前記第2の搬送手段が、前記保管装置と前記処理装置との間で前記容器を搬送することを特徴とする請求項2に記載の加工処理システム。
【請求項4】
前記第2の搬送経路が、2地点を両端とする線に沿っており、
前記第2の搬送手段が、前記第2の搬送経路に沿って両方向に前記容器を搬送することを特徴とする請求項3に記載の加工処理システム。
【請求項5】
前記第2の搬送経路が閉曲線に沿っており、
前記第2の搬送手段が、前記保管装置から前記製造装置へ前記容器を搬送する経路と、前記製造装置から前記保管装置へと前記容器を搬送する経路とが別になるように、前記容器を搬送することを特徴とする請求項3に記載の加工処理システム。
【請求項6】
第1及び第2の前記保管装置が設置されており、
前記第1の搬送手段が、前記第1の保管装置に加工処理前の前記容器を搬入すると共に、前記第2の保管装置から加工処理後の前記容器を搬出し、
前記第2の搬送手段が、加工処理前の前記容器を前記第1の保管装置から前記処理装置へと搬入すると共に、加工処理後の前記容器を前記処理装置から前記第2の保管装置へと搬入することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の加工処理システム。
【請求項7】
前記第1の搬送手段が、天井に敷設された軌道と、前記軌道に支持されると共に前記軌道に沿って走行する搬送台車とを有していることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の加工処理システム。
【請求項8】
前記第2の搬送手段が、搬送方向に沿って配列された複数の搬送ローラを有し、前記複数の搬送ローラを回転させることによって前記搬送ローラ上の前記容器を搬送することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の加工処理システム。
【請求項9】
前記処理装置が、前記搬送装置によって前記容器が搬入されると共に前記容器が搬出される1又は複数の搬出入口を有しており、
前記搬入制御手段が、前記搬送装置に、一の前記搬出入口を通じて前記一の容器を前記処理装置から搬出させると共に、前記一の容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、前記1又は複数の搬出入口のそれぞれを通じて前記処理装置へと前記容器を搬入させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の加工処理システム。
【請求項10】
物品に加工処理を施す処理装置へと物品を収容した容器を搬送装置に搬入させると共に、前記処理装置から前記容器を前記搬送装置に搬出させる搬送方法であって、
加工処理前の物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第1の搬入ステップと、
前記処理装置において前記容器から物品が取り出された後に、物品が取り出された前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる第1の搬出ステップと、
前記第1の搬入ステップにおいて前記処理装置に搬入された一の前記容器から取り出された物品に前記処理装置が加工処理を施す期間内に、加工処理前の物品を収容した別の前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第2の搬入ステップと、
前記第1の搬出ステップにおいて前記処理装置から搬出された前記容器を前記搬送装置に前記処理装置へと搬入させる第3の搬入ステップと、
前記第3の搬入ステップにおいて前記処理装置に搬入された前記容器に加工処理後の物品が収容された後に、物品を収容した前記容器を前記搬送装置に前記処理装置から搬出させる第2の搬出ステップとを備えていることを特徴とする搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−272335(P2009−272335A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119035(P2008−119035)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】