説明

加熱管及び調理機

【課題】構造的に簡単で、製造が容易で、コスト安く製造出来る。しかも、加熱効率が良く、長時間の使用に耐え、連続運転をコスト低く実施出来る。
【解決手段】本発明は加熱管であって、銅又は銅合金で構成した内管を鋼又はステンレス管により、形成外管内に挿通した二重管であって、該二重管を密着又は圧着して構成したこの二重管の密着又は圧着は、管内圧又は管外圧を以って行い、内管、外管を通して内外への膨出部の形成により密着、圧着を固定化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱管及びそれを使用した調理装置に関し、詳説すれば、例えばフライヤー、茹で麺等の調理装置及びそれらに使用して有益な加熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱装置として、ガス、油等の燃焼バーナーにて発生した燃焼ガスを貯溜槽内に配設した排気管、加熱管に供給し、該排気熱により加熱管を介して、水、油等の流体を加熱させる方法或いはボイラー煙管として蒸気発生に資する方法がある。
この加熱管の熱効率を挙げるために、加熱管に各種のフィンを設置して熱効率を向上さえる装置が提案されている。
【0003】
水、油等の流体を槽内に貯溜して、槽内に設置した排気管を加熱する装置として構成する、調理用具としてフライヤー、ゆで麺機或いは他機器の加熱管として使用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−527660号公報
【特許文献2】特開2007−296554号公報
【特許文献3】特開2001−62522号公報
【特許文献4】特開2000−157425号公報
【特許文献5】実開昭60−52152号公報
【0005】
ここで、加熱管は燃焼ガスを通過させて、排気管に接する流体を加熱する装置を言い、配管、排熱管と同様に使用している。
【0006】
二重壁金属管としては、引用文献1において、管状のロール成形された金属帯の金属層間にロウ付け層を有する二重壁金属管で、ロウ付け層が銅合金から成る管が提案されている。
この構成は、ロウ付け層によって二重管を形成するため、ロウ付け層の強度を得ることが難しいことと、製造に手数がかかりコスト高になることが難点である。
【0007】
又、外管に内管を挿入し、外管上から加圧成形する二重管の製造方法が、特許文献2において提案されている。これは、プレス装置を使用した所謂プレス法であり、外管と内管の加圧に対する変形の態様が異なり、外管を過度に収縮させることがなく、外管の外形を小さくすることが出来るというものである。
【0008】
しかし、該明細書に記載の如く、内管の降状応力を大にする方が結果が良い。この製法においては、所謂縮径工程であり、円形状の鋼管をV字状の上下型の断面形状に応じた角鋼管とし、次に第2成型によりV字状を修正して、角部を小さくして行うように何回もの工程を経る必要があり、その製造は容易ではなく、コストも大となる。
【0009】
又、この方法は、外管と内管の降状応力の差により、加圧成形による変形の態様が異なり、外管と内管とを強く当接させることができ、その結果、外管を過度に収縮させる必要がなく、外管の径を小さくでき、コスト低減になると説明出来る。
然して、外管と内管とを強く当接させるためには、請求項2に示す如く、単に降状応力の差があるだけではなく、明細書に示す如く、内管を構成する材料の降状応力は外管を構成する材料の降状応力よりも大きいことが必要であり、明細書においても明記してある。
【0010】
又、特許文献3には、二重管ハイドロフォーム加工方法が提案されているが、ここでは外管と内管の間に隙間を形成して、外管のみを変形させて内外管の隙間の開いた二重管を得る方法が記載され、内外管の密着形成した構成を得るものではない。
従って、加熱効率の点からも加熱管等としての使用は困難である。
【0011】
又、従来の加熱管内にフィンを設置して排気熱を捕捉し、加熱管に熱を効率良く伝達し、加熱管に接する流体を加熱することが行われている(特許文献4)。この加熱管は、管を分割可能に形成し、フィンを設置する作業は管内にフィンをスポット溶接の仮止めやロウ付け等の数次に亘る作業が必要となり、材質によってはシーム溶接、高周波溶接等適宜適用固着手段を選択して、それぞれ作業が必要であり、製作は極めて手数がかかる作業を必要とする。
【0012】
又、フィンの形状や設置箇所により、熱効率が大きく異なり、その使用状態に応じてフィンの形状を選択決定し、製作する必要があり、夫々の使用状態に対応した各種の形状を製作するため、仲々既製品を作りおき、使用することは困難である。
【0013】
又、フィンを管内に固定する構造の場合、加熱によりフィンが傷んだり、歪んだり、脱落したりして、加熱効率の低下を来たす虞を防ぐことは困難である。
【0014】
又、液槽内に加熱管を通して、液槽内の液、例えば水、油等を加熱し、茹でたり、フライにしたりする装置は、特許文献5に示す如く既に提案されているが、横方向に数本を並行設置してあるため、槽底部の清掃が困難である点、更には通常のステンレス管であり、熱効率が良くない等の欠点を有する。
又、単独の銅管は加熱効率は良いが、構造上弱く、液体特に調理機中の液体の加熱管として使用の場合は、腐食や緑青の発生等、更には他の管との接続加工が困難である等使用に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の如く、従来の方法、装置により二重金属管を形成することは困難であり、且つ容易に形成することが出来ない現状、更にはこの二重金属管を加熱管として使用することが考えられていない現状に鑑み、本発明は上記課題を解決するために、極めて簡単に製作出来る加熱管乃至排気管を得ることを目的とする。
【0016】
又、極めて簡単な構造にて構成される加熱管乃至排気管であるため、各種各様の管体の製作が可能で、既製品化が容易であり、製作コストが極めて廉く、従って廉価に提供出来ることを目的とする。
【0017】
又、構成上、加熱により製品部分が傷んだり、損傷したりすることのない堅固な構造の加熱管乃至排気管を得ることを目的とする。
又、先ず熱効率が極めて良く、接触する水、油等の流体の加熱効率が極めて良い加熱管、排気管を得ることを目的とする。上記目的を達成するために下記の構成を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するため、銅又は銅合金で構成した内管を鋼管又はステンレス管により形成した外管より成る二重管であって、該内外管を密着又は圧着して構成したことを特徴とする加熱管である。
【0019】
又、上記二重管に、所望形状の膨出部を所望部分に内管内方向又は外管外方向に突出形成させたことを特徴とする加熱管である。
【0020】
又、上記膨出部は、所望間隔に所望幅のリング状に交互に凹凸状に形成させたことを特徴とする加熱管である。
【0021】
又、膨出部は、断面波型が続くことを特徴とする加熱管である。
【0022】
又、上記両管への外圧力は、ハイドロフォーム成形加工により行われることを特徴とする加熱管である。
【0023】
又、上記加熱管を液槽内に設置したことを特徴とする加熱調理機である。
【0024】
又、加熱管を液槽内に複数並列設置したことを特徴とする加熱調理機である。
【0025】
又、加熱管を液槽内に立設したことを特徴とする加熱調理機である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、熱効率の優れた銅又は銅合金を内管にして内管内を通す燃焼ガス等の燃焼熱を充分に吸収させると共に、内管に密着、密接した外管に熱を伝達して、外管に接する液体を効率良く加熱することが出来る。
又、内管の銅又は銅合金は柔らかく、損傷し易い点を鋼又はステンレスの硬質材にて外管を形成し、内管を保護することが出来る。
【0027】
本願発明の加熱管は、内管を外管に挿通し、外管外側から或いは内管内側から部分的な押圧力を加えることに、密着又は圧着させることができ、その製造は極めて容易である。
又、プレス成型によって、外管外側からハイドロフォーム形成法によって、内管内側から加圧成型ができ、その製造は簡単であり、製造コストは極めて廉価である。
【0028】
又、内管内側から或いは外管外側からの圧力によって、両管の一体化を促進すると共に、内外への膨出部の形成によって管内面に凹凸が形成され、内管内を通る燃焼熱の捕捉が極めて効率的に行われ、熱効率の高い加熱管が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明一実施例縦断側面図である。
【図2】本発明他実施例側面図である。
【図3】本発明他実施例側面図である。
【図4】本発明他実施例側面図である。
【図5】本発明他実施例側面図である。
【図6】本発明一実施品を使用したゆで麺機概略説明図である。
【図7】本発明他実施品を使用したゆで麺機概略説明図である。
【図8】本発明他実施品を使用したゆで麺機概略説明図である。
【図9】本発明他実施品を使用したゆで麺機底面説明図である。
【図10】本発明他実施品を使用したゆで麺機に使用されるチャンネル説明図である。
【図11】本発明他実施品を使用したゆで麺機に使用されるチャンネル説明図である。
【図12】本発明他実施品を使用したゆで麺機に使用されるチャンネル説明図である。
【図13】本発明他実施品を使用したゆで麺機に使用されるチャンネル説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を一実施例を示す図1により説明する。
本発明の加熱管1は、二重加熱管であって、外管2に内管3を挿通し、密着、固着して構成する。
【0031】
2は、外管であって、鋼管、ステンレス管の強度を有する管を使用する。該鋼管は、炭素鋼鋼管就中、高温、高圧配管用や熱交換器用鋼管が使用に便であり、又ステンレス管は配管用ステンレス鋼管Ni、Cr等を含有させた合金鋼管が使用に便である。
ステンレス管は、オーステナイト系(18Cr、18Ni)のSVS304が使用されることが多い。該SVS304の熱伝導率は、0.039(cal/c、cm、sec)である。又、フェライト系(18Cr系)も使用され、この熱伝導率は0.063である。
【0032】
3は内管で、銅又は銅合金で構成され、無酸素銅(合金番号1020)、タフピッチ銅(合金番号1100)、りん脱酸銅(合金番号1220)は、夫々熱伝導率が0.93、0.93、0.81(cal/c、cm、sec)と高く、使用に便である。
又、銅管及び銅合金管としてJISでH3601継目無銅管、H3603脱酸銅管等が規定されている。この製造方法としては、既存の各種工法が使用出来る。
【0033】
本願発明に係る二重管の形成において、先ずステンレス管たる外管2に銅合金管たる内管3を挿通する工程がある。この際、両管間の隙間は出来るだけ小さく構成するのが良い。この両管2.3の厚さは2mm以下が好ましく、1.0〜1.8mmが使用に便である。又、加熱管の外径は80mm以下が良く使用される。この内管3、外管2の二重管1に対し、内管3内側から又は外管2外側から圧力をかけ、二重管1に一体化する圧着力を付与するものである。
【0034】
外管外側から圧力をかける場合、例えばロール成型法を用い、ロールの回転によりリング状の膨出部、ここでは溝31,21を形成し、これを適宜間隔に置いて、溝31,21、山部32,22が交互にしてベローズ状の二重管1を構成する。このロール圧力により、外管2と内管3は密着乃至圧着され、ベローズ状の二重管1が構成される。
又、図3、図5に示す二重管について上記ロール成型法において、ロールの変わりに突起や突条を突出したロールを用いる場合は、この突条、突起がその間隔に二重管1を凹陥させ、膨出部たる凹陥部が所望間隔で形成され、これを所望間隔にて形成していけば、内外管2,3の密着と固着が形成される。
膨出部としては、この他断面波型で長手方向に連続したり、断続したりの形状や各種突隆形状も形成出来る。
又、これらの膨出部の形成や内外管の密着、圧着は、他の方法例えばプレス法による加圧成型によっても出来ること勿論である。
【0035】
勿論、これらの工法により本願発明の二重加熱管が製造されたことも提案されたことも無い。又、別の工法としては、ハイドロフォーム加工方法である。この工法において、引用文献3に記載の二重管を金型に装着して型締めする点までは共通する。
しかし、引用文献3においては、先ず第一の金型と第二の金型を使用する点、又第二工程において外管のみを変形させ、内外管に隙間を形成させる点が特徴である。
【0036】
これに対し、本願発明においては、内外管を一体化して成型し、同時に密着、固着させた二重管を構成するものである。本願発明において、内外管を密着、固着した二重管の構成が目的であるため、割り型を管軸方向への押込みは、無あるいは凹凸を付与するだけであり、極めて少なくて済み、管内への一回の内圧で目的を達成することが出来る。
【0037】
又、図2、図4に示す二重管を形成する方法としてのハイドロフォーム加工について説明する。通常のハイドロフォーム加工方法と同じく、割り型に二重管を載置し、型締め後、外管2と内管3に軸押しを負荷し、同時に内管3内部に圧力を負荷させることにより、内管3、外管2に割り型の型通りの膨出部22,22…が外管2上に突出し、同様に内管3も同じ箇所に膨出部32,32…が現出される。この際、膨出部22,22が大きく或いは高く形成しようとする場合には、外管2及び内管3に対する軸押し量が増えるので、この場合、型を複数使用することも出来る。
【0038】
又、図1に示すベローズ状の二重管を形成する場合、前述の如く外管2及び内管3に対する軸押し量が大きくなるため、先ず中央の膨出部22を数箇、すぐにその両側の数箇、膨出部を順次形成させるのが良く、型をベローズの長さに応じ、数型を使用するのが便である。
又、複合バルジ加工法という方法を使用することも出来る。これは、ハウジング内に分割されたリング状に連動金型を設置し、この金型内に二重管1を入れ、二重管1内から液圧をかけ、連動金型を移動させて、リング状の金型間に二重管1を膨出させ、ベローズ状に形成させるものである。
【0039】
このように、加熱効率に優れた銅又は銅合金管3を内管として、燃焼ガスを効率良く吸収し、引張強さ、伸び、硬さ等の機械的強度に優れたステンレス鋼管を外管として内管を保護し、且つ内管3の加熱を外管2を通して外管3に接する液体を効率良く加熱する構成とすることが出来る。
更に、銅又は銅合金の有する展延性、絞り加工性等の材料持性により、機械的性質に優れたステンレス銅管に密着乃至圧着して一体化が確実に行われる。
特に膨出部の構成によって、内管3と外管2との密着乃至圧着はより確実に達成される。
【0040】
本願発明における二重管は、燃焼ガスの通過する内管3が熱伝導率が高く、燃焼ガスの熱を充分に捕捉し、且つ保持すると共に、内管3を通るのが緩やかであるのに対し、外管2は、内管3の熱を受けて放出するのに熱伝導率が内管に対し低く、保持率が低いため迅速に通過すると考えられ、内管3の熱が外管3の周囲の液体に速く伝えられると考えられる。
又、管1の凹凸により、管1の加熱面積は増大し、特にベローズ管の場合、3〜10倍にすることが出来る。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明を実施するための形態を図によって説明する。
図6乃至図9は、本発明をゆで麺機に使用した実施例を示すものである。
図中4は、筐体で、ステンレス材等にて箱状に形成してある。必要に応じ四隅に柱状体を設置するのも良い。5は、筐体4上部に設置した液槽で、ほぼ筐体4の内側全面に亘る函形状に形成される。該液槽5は、ステンレスで構成されるのが通常で、代表鋼種であるSUS304、18Cr‐8Niが広く使用されている。
【0042】
液槽5は、四面の側壁51,51,51,51及び底部52により構成され、筐体4と同様、幅に対し前後の奥行きを長く、平面四辺形に形成されるが、勿論これに限定されるものではない。
【0043】
加熱管1は、水平部12と直立部13より成るL字管として構成され、液槽5の底部52に設けた開口53に一端を接続管11を介し又は介さず設置し、他端の直立部12上端を排出部に連接してある。この加熱管1は、2乃至4本を液槽5の大きさに応じ設置するのが良い。加熱管1は、底部52の開口53下方に位置させた燃焼器50よりの燃焼ガスが通過し、内管たる銅又は銅合金管3により、極めて効率良く熱を吸収し、外管2を加熱し、周囲の水等の液体を加熱する。
しかも、加熱管1がL字管の場合、通常煙突により排出される排出熱をも効率良く吸収して、液体加熱を増大させる。
【0044】
又、加熱管1は、直管として形成し、筐体4前面から筐体背面に設置し、燃焼器50は筐体4前部に設けて、加熱管1に燃焼ガスを吹き込むことも出来る。
更に、加熱管1を液槽5の後背部の底部52に立設、設置することも出来る。この際、加熱管1を複数本設置するのが便であるが、加熱管1を幅広く構成し、一本の設置でも良い。
又、加熱管1を立設する場合、燃焼器50を筐体4前部に設置し、燃焼ガスの通路を底部52下部に置いて加熱補助部とすることも出来る。
【0045】
筐体4下部には、所望の脚43,43,43,43を設けるが、卓上形では短く、床設置形では所望高さに形成される。
【実施例2】
【0046】
本実施例においては、実施例1における加熱管1のみの加熱による液槽5内の液体の加熱は一部とし、それに加えて、液槽5の底部52をも加熱する構成を示す。
【0047】
6は、筐体4に設けられた底板で、液槽5の底部52より適宜距離を置いて下方に、底部52とほぼ平行に設置してある。該底板6と液槽5の底部52間に、燃焼ガスの流路7が形成される。該底板6の筐体4前方近くに設けた開口81には、炎口82,82…、バーナーヘッド83,83,83が設置させてある。バーナーヘッド83は、混合管84を介してノズル85に連通され、圧力調整器、ガス弁に通じてあり、これら公知機構により、燃焼器80が構成されている。側壁51と適宜間隔を置いて、筐体4後方近くの底部52に開孔53を設け、該開孔53を排出口とし、燃焼ガスの流路7に連通して、該開孔53に面して加熱管1を立設する。
液槽5の前端側壁51の下垂線上に垂下設置させる垂下板54は、底板6とその一端にて固定し、燃焼ガスの流路7の始端となっている。また、液槽5の後端の側壁51の下垂線上に垂下設置させる垂下板55は、底板6の他端と固定し燃焼ガスの流路7の終端としてある。
【0048】
加熱管1は、ステンレス鋼管及び銅管を用いて形成するが、ベローズ管を形成して用いることは推奨される。該加熱管1上端は、筐体4上端より突出して形成してある。
【0049】
液槽5の底部52に、チャンネル片9を配列して設置し、加熱効率を上げることが出来る。
チャンネル片9は、長方形の小板91の両側端又は片側に、側板92,92又は92を植立或いは折立て、L字状(9A)又はコ字状(9B)に形成させる。
また、逆T字状に形成することも出来る。或いはまた、小板91を平行な2辺に対し、適宜の角度を以って形成した斜方形に形成して、平行な2辺又は一片に側板92,92又は62を折り立て、断面L字状90又はコ字状に形成させる(9C)。
また、小板91を弯曲状に形成させ、側板92,92又は92を小板91に合わせて形成させるチャンネル片(9D)も使用出来る。
【0050】
チャンネル片9B、即ち両側板92,92を有するチャンネル片Bを例にとり、その設置を説明する。
その配列は、筐体4前方にチャンネル片9を、各側板92を接触させて並列させた状態にて設置する。この並列は必ずしも整列せず、前端が出入があっても良い。この際の相隣るチャンネル片9の面接する側板92,92を密接して設置するのが良いが、その間に適宜間隔をおいて設置することも出来る。
【0051】
また、L字型のチャンネル片の場合、一チャンネル片9の側板92と隣接のチャンネル片9の小板91と接触して配置するが、その間に多少の間を置くことも出来る。
また、チャンネル片9の接続に際し、チャンネル片9Bと同9Aの如く組み合わせることも可能である。この各チャンネル片9の設置に際し、ボルトを予めスタッドレス溶接等にて所定位置に固定しておき、チャンネル片9の小板91に設けた取付け穴93,93に通して、小板91を底部52に当て、ナットにて固定するのが便である。
【0052】
勿論、他の溶接方法により小板91背面を底部52下面に溶接することも行われるが、溶接工法は難しく底部の変形や溶接剥れ等の障害を生じ易い欠点がある。これに対し、ボルトナット固定は確実に行われ、作業も簡単でコスト廉く作業が為しうる。
しかも、チャンネル片9の小板91と液槽5の底部52との密着が、強固且つ確実に行われ、熱効率が極めて良い。
【0053】
前列のチャンネル片9,9,9…に続いて、第二段のチャンネル片9,9,9…を接続する際に、前後のチャンネル片9,9,9…の側板92,92と後列のチャンネル片9,9,9の側板92,92が重ね合わないように左右にずらして設置することが出来る。
さらに、第三段、第四段と以下同様に接続させて行く。また、前段と後段の接続は、適宜の間隔を置いて設置することも出来る。
【0054】
この前段に並列させたチャンネル片9,9…は、各チャンネル片9の側板92,92、小板91によって形成される溝94が形成され、各溝94が続いて燃焼ガスの流通路となる。該溝94と次段の溝94とは、側板92と次のチャンネル片9の側板92とがずれて繋がり、次の溝94では側壁92により流通路が分かれ、燃焼ガスが二分され、次の段では二分された燃焼ガスが合流し、或いは他の隣接のチャンネル片9に流れる。このように、燃焼ガスの流れは、分流されたり、合流したりを繰り返す。
【0055】
このように、「運動している流体中に、ある瞬間に一つの線を仮想した時、その上の任意の点に引いた接線が、その点における流速の方向を示す場合、この線を流線という」という定義に従えば、このチャンネル片9と続くチャンネル片9とを左右にずらせて、側板92を前段のチャンネル片9の小板91,91間に置くことは流線の変更部の構成である。
【0056】
そして、チャンネル片9と続くチャンネル片9とをずらせて設置することは、燃焼ガス流路の変更であり、その部分は流線の変更部の構成であると言える。
また、「流体中にある一定の微小部分、或いは完全に浮いている微粒子を考え、これが時間と共に通過する線を流れの道筋という」という定義に従えば、「流れの道筋の変更」ということも出来る。
【0057】
何れにしても、流路中で流体の流れに変化を起こさせる構成或いは部分を、流線の変更部ということが出来る。
また、この流線の変更部により流体の流れは、流線の変更のない場合、層流的であるのに比し、曲折により乱流化し、流速の拡散遅延を引き起こすと考えられる。この点は、加熱率の増大をもたらすものである。
また同時に、流線の変更によりガスの流れを乱流化し、燃焼ガスはチャンネル片9の各側板92に当ることを繰り返し、燃焼ガスの熱を効率良く各チャンネル片9に伝達する。
【0058】
これら流線の変更により、燃焼ガスの流路は揺らぎ、チャンネル片の各小板91,91に接触する時間が増え、且つ接触面積も時間当たり多くなることから、チャンネル片9への加熱エネルギー供給は増大している。
この結果、液槽内の液温上昇は顕著であり、エネルギー消費量は低く抑えられ、極めて効率的な調理が可能となった。
【0059】
このチャンネル片9,9,9…の加熱は、チャンネル片9が小板91を液槽底部52に密着しているので、直に伝わり、底部52を加熱し、該底部52に接する液体に伝熱しこれを加熱する。
このチャンネル片9,9,9…が銅の場合、熱伝導率は0.93(cal/c・cm・sec)であり、ステンレス鋼の0.04(cal/c・cm・sec)に比し、単純に23倍以上である。
この銅としては、りん脱酸銅、無酸素銅、タフピッチ銅があるが、りん脱酸銅が使用に便である。
【0060】
このチャンネル片9は、極めて効率良く加熱され、熱を保持するため隣接するチャンネル片9,9,9…にも、更にはチャンネル片9,9,9…が密着する底部52にも効率良く熱を伝導し、効率良く加熱する。
チャンネル片9,9,9…に到達しない燃焼ガス部分、接触しない燃焼ガス部分等は、流路7内を進行し、流路7内を加熱し、その上部のチャンネル片9,9,9…に形成される流通路内の加熱補助をしながら開孔53に至る。
【0061】
上記のような加熱構造により、燃焼ガスはチャンネル片9,9,9…を介して、液槽5の底部52を効率良く加熱し、底部52の加熱により底部52に接する液体に伝熱し、対流を起こし、加熱を加速する。
このように加熱した燃焼ガスのエネルギーを大幅に液体に伝熱して、効率良く液体温度を上昇させる。
【0062】
一方、チャンネル片9,9,9…の流通路を、また流路7を通って開孔53に至った燃焼ガスは、煙突の役を為す加熱管1,1,1…を上昇する。この燃焼ガスに残ったエネルギーは、加熱管1,1,1を加熱し、、その温度によりその周囲の液体を加熱し、液体の温度上昇を加速する。
【0063】
このチャンネル片9,9,9…、加熱管1,1,1の加熱により、燃焼エネルギーの大部分は消費され、上昇する。液槽5内の液体は、底部52及び液槽5内に植立した加熱管1,1,1の両面により加熱され、効率良く液体の温度上昇が早められる。同時に、燃焼ガスエネルギーが早急且つ充分に液体に伝えられ、短時間に液温上昇が達成出来る。
【0064】
さらに、加熱管1,1,1を上昇した燃焼ガスの残りは、貯水槽100に至り、その底部83に開口した開口84,84,84より上昇し、そこに植立した第二加熱管101,101,101を加熱して上昇し、極めて低温になって排出される。
該第二加熱管101,101,101の加熱により、貯水槽100内の水は加熱される。この加熱された水は、オーバーフロー管102より、溢水して開口105を経て液槽5内に供給される。
【0065】
44は、底部52に設けた排出口で、排出管57に連通してある。
46は、液槽5の上端縁に形成させた溢水溝で、その端部には排出口47が構成され、その下部には排出管48が設けられて、該排出管48の下部で排出管57に連結させてある。
【実施例3】
【0066】
本願発明の図1に示すベローズ二重管と、単にステンレス管に銅管を挿通した直管二重管を実施例に示すゆで麺機に設置し、夫々の熱効率の実測値を求めた。
ベローズ二重管 外径76mm
水:43l
沸き時間:37分23秒
直管二重管
水:43l
沸き時間:43分46秒
ベローズ管が12〜13%位沸きが早い。
【符号の説明】
【0067】
1 二重管
2 外管
22 膨出部
3 内管
4 筐体
43 脚
5 液槽
51 側壁
52 底部
6 底板
7 流路
8 貯水槽
9 チャンネル片
100 貯水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅又は銅合金で構成した内管を鋼管又はステンレス管により形成した外管より成る二重管であって、該内外管を密着又は圧着して構成したことを特徴とする加熱管。
【請求項2】
上記二重管に、所望形状の膨出部を所望部分に内管内方向又は外管外方向に突出形成させたことを特徴とする請求項1に記載の加熱管。
【請求項3】
上記膨出部は、所望間隔に所望幅のリング状に交互に凹凸状に形成させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱管。
【請求項4】
膨出部は、断面波型が続くことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の加熱管。
【請求項5】
上記両管への外圧力は、ハイドロフォーム成形加工により行われることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の加熱管。
【請求項6】
上記請求項1から5のうちいずれか1項に示す加熱管を液槽内に設置したことを特徴とする加熱調理機。
【請求項7】
加熱管を液槽内に複数並列設置したことを特徴とする請求項6に記載の加熱調理機。
【請求項8】
加熱管を液槽内に立設したことを特徴とする請求項6又は7に記載の加熱調理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−133141(P2011−133141A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291211(P2009−291211)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(501323310)
【Fターム(参考)】