説明

動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置

【課題】電動機からの動力を変速機を介して出力する構成において、二次電池などの蓄電装置の劣化を抑制すると共に変速機の変速を迅速に行なう。
【解決手段】変速機60の変速段をダウンシフトするときには(S220)、バッテリの許容最大放電電力Wmaxからそのときの出力制限Woutを減じたものとダウンシフトを行なうのに必要な電力であるダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方を出力制限Woutに加えて新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定し(S230〜S260)、設定した出力制限Woutを用いて変速機60のダウンシフトの際の変速処理を実行する(S270)。これにより、バッテリの劣化を促進しない範囲でバッテリの最大限の性能をもってダウンシフトを行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力出力装置としては、電池の温度に応じて設定された充放電電力の上下限値の範囲内で電動機を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、電動機による電池の充放電制御を設定した上下限値の範囲内で行なうことにより、電池をより適切に管理するものとしている。
【特許文献1】特開2003−219510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような電池の充放電制御を電動機からの動力を変速機を介して駆動軸に出力する装置に適用した場合には、電池の充放電電力の上下限値により変速機の変速を迅速に行なうことができない場合が生じる。この場合、変速機の変速を行なわないものとすることもできるが、駆動軸に要求される動力を出力することができなくなってしまう。また、電池の充放電電力の上下限値を超えて変速することも考えられるが、電池を劣化させてしまう。
【0004】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置は、電動機からの動力を変速機を介して出力する構成において、二次電池などの蓄電装置の劣化を抑制すると共に変速機の変速を迅速に行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動力出力装置およびその制御方法並びに車両、駆動装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、
前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記変速手段の変速段が変速されないときには前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段が変速されるときには前記設定された出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の動力出力装置では、駆動軸と電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段の変速段が変速されないときには電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて設定した蓄電手段の出力制限の範囲内で電動機を制御し、変速手段の変速段が変速されるときには設定した出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で電動機を制御する。これにより、変速手段の変速段を迅速に変速することができると共に変速ショックを低減することができる。
【0008】
こうした本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記変速手段の変速段を変速する際に必要な必要電力と前記蓄電手段の状態から許容可能な最大放電電力から前記設定された出力制限を減じた電力とのうちの小さい方の電力を前記設定された出力制限に加えた電力を前記変更出力制限として制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、過大な電力による蓄電手段の放電を抑止することができ、蓄電手段の劣化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記変速手段の変速段がダウンシフトされるときには前記変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御し、前記変速手段の変速段がアップシフトされるときには該変速手段の変速段の変速に拘わらずに前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御する手段であるものとすることもできる。
【0010】
さらに、本発明の動力出力装置において、前記所定の条件は、前記蓄電手段から放電可能な電力量が小さいほど小さくなる傾向の電力を出力制限として設定する条件であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段が完全放電したり過放電したりするのを抑止することができる。
【0011】
あるいは、本発明の動力出力装置において、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに連結され電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の一部を前記駆動軸側に出力可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、を備え、前記蓄電手段は前記電力動力入出力手段と電力のやりとりが可能な手段であり、前記制御手段は前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段の劣化を抑制しながら変速手段の変速段の変速を伴って要求駆動力に基づく駆動力を駆動軸に出力することができる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転可能な第3軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段であるものとすることもできる。
【0012】
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、動力を入出力可能な電動機と、前記駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定する出力制限設定手段と、前記変速手段の変速段が変速されないときには前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段が変速されるときには前記設定された出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
【0013】
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、変速手段の変速段を迅速に変速することができる効果や蓄電手段の劣化を抑制することができる効果などと同様な効果を奏することができる。
【0014】
本発明の駆動装置は、
充放電可能な蓄電手段からの電力を用いて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、
前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記変速手段の変速段が変速されないときには前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段が変速されるときには前記設定された出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0015】
この本発明の駆動装置では、駆動軸と電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段の変速段が変速されないときには電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて設定した蓄電手段の出力制限の範囲内で電動機を制御し、変速手段の変速段が変速されるときには設定した出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で電動機を制御する。これにより、変速手段の変速段を迅速に変速することができる。ここで、「制御手段」を、変速手段の変速段を変速する際に必要な必要電力と蓄電手段の状態から許容可能な最大放電電力とのうちの小さい方の電力を変更出力制限として制御するものとすれば、過大な電力による蓄電手段の放電を抑止することができ、蓄電手段の劣化を抑制することができる。
【0016】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
動力を入出力可能な電動機と、駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定し、
(b)前記変速手段の変速段を変速しないときには前記設定した出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段を変速するときには前記設定した出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する、
ことを要旨とする。
【0017】
この本発明の動力出力装置の制御方法では、駆動軸と電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段の変速段が変速されないときには電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて設定した蓄電手段の出力制限の範囲内で電動機を制御し、変速手段の変速段が変速されるときには設定した出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で電動機を制御する。これにより、変速手段の変速段を迅速に変速することができる。ここで、ステップ(b)を、変速手段の変速段を変速する際に必要な必要電力と蓄電手段の状態から許容可能な最大放電電力とのうちの小さい方の電力を変更出力制限として制御するものとすれば、過大な電力による蓄電手段の放電を抑止することができ、蓄電手段の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、駆動輪39a,39bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0020】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0021】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には変速機60を介してモータMG2がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32に出力する。リングギヤ32は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して車両前輪の駆動輪39a,39bに機械的に接続されている。したがって、リングギヤ32に出力された動力は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力されることになる。なお、駆動系として見たときの動力分配統合機構30に接続される3軸は、キャリア34に接続されたエンジン22の出力軸であるクランクシャフト26,サンギヤ31に接続されモータMG1の回転軸となるサンギヤ軸31aおよびリングギヤ32に接続されると共に駆動輪39a,39bに機械的に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aとなる。
【0022】
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0023】
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達するよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフ状態としてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。なお、ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
【0024】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0025】
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪39a,39bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪39a,39bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、図示しない信号ラインにより、駆動輪39a,39bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの車輪速や図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪39a,39bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪39a,39bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0026】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60のブレーキB1,B2の図示しないアクチュエータへの駆動信号やなどが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0027】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0028】
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に変速機60の変速段を変速する際の動作について説明する。図3は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、変速機60の変速段を変速する変速要求がないときには、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0029】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,充放電要求パワーPb*,バッテリ50の残容量(SOC),バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量(SOC)などに基づいてバッテリECU52によりバッテリ50を充放電すべき電力として設定されるものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の残容量(SOC)は、バッテリ50に流れる充放電電流の積算値に基づいて演算したものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいてその許容される最大充電電力や最大放電電力としての入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じて入出力制限Win,Woutを設定することができる。図4に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図5にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。ここで、図5に示すように、バッテリ50の過放電や過充電を抑止するために、出力制限用補正係数は、バッテリ50の残容量(SOC)が小さな値(例えば40%や30%など)になると残容量(SOC)が小さくなるほど小さな値に設定され、入力制限用補正係数は、バッテリ50の残容量(SOC)が大きな値(例えば80%や90%など)になると残容量(SOC)が大きくなるほど小さな値に設定される。
【0030】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS110)、設定した要求トルクTr*が値0以上であるか否か、即ち加速用の駆動トルクであるか減速用の制動トルクであるかを判定する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図6に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求トルクTr*が加速用の駆動トルクであるか減速用の制動トルクであるかを判定するのは、減速用の制動トルクを出力するときにはエンジン22からの動力は不要となるからである。
【0031】
要求トルクTr*が加速用の駆動トルクであるときには、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ要求電力Pb*とロスLossとを総和としてエンジン22から出力すべき要求パワーPe*を設定し(ステップS130)、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS140)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図7に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
【0032】
一方、要求トルクTr*が減速用の制動トルクであるときには、エンジン22の燃料カットを指示すると共に(ステップS150)、車速Vに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS160)。ここで、エンジン22の目標回転数Ne*については、実施例では、車速Vに応じたいわゆるエンジンブレーキが作用するよう車速Vが大きいほど大きな回転数を設定するものとしたが、アイドリング回転数などを設定するものとしてもよい。
【0033】
こうして、エンジン22の目標回転数Ne*を設定すると、エンジン22が設定した目標回転数Ne*で回転するよう次式(1)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算して設定すると共に設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS170)。ここで、式(1)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(1)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。なお、トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0034】
Tm1*=前回Tm1*+k1(Ne*−Ne)+k2∫(Ne*−Ne)dt (1)
【0035】
続いて、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(2)および式(3)により計算すると共に(ステップS180)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(4)により計算し(ステップS190)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpと制限したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信する(ステップS200)。トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。要求トルクTr*が加速用の駆動トルクであるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図8に示し、要求トルクTr*が減速用の制動トルクであるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図9に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に変速機60のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。図8におけるR軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示し、図9におけるR軸上の2つの太線矢印は、モータMG1によりエンジン22を目標回転数Ne*でモータリングする際にリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。なお、式(4)は、こうした図8または図9の共線図から容易に導き出すことができる。
【0036】
Tmin=(Win−Tm1*・Nm1)/Nm2 (2)
Tmax=(Wout−Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (4)
【0037】
続いて、変速要求があるか否かを判定する(ステップS210)。変速要求は、図示しない変速要求実行処理により、車速Vと車両に要求される要求トルクTr*とに基づいて変速機60をLoギヤの状態からHiギヤの状態に変更するLo−Hi変速を行なうか否かの判定や車速Vと要求トルクとに基づいて変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態に変更するHi−Lo変速を行なうか否かの判定によりいずれかの変速を行なうと判定されたときに、行なわれる。変速要求を行なうための変速マップの一例を図10に示す。図10の例では、変速機60がLoギヤの状態で車速VがLo−Hi変速線Vhiを越えて大きくなったときに変速機60をLoギヤの状態からHiギヤの状態に変更し、変速機60がHiギヤの状態で車速VがHi−Lo変速線Vloを越えて小さくなったときに変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態に変更する。こうした変速要求がないときには、これで駆動制御ルーチンを終了する。
【0038】
一方、変速要求があるときには、変速機60の変速段の変速がLo−Hi変速かHi−Lo変速のいずれであるかを判定し、Lo−Hi変速であるときには直ちに変速処理を実行して(ステップS270)、本ルーチンを終了し、Hi−Lo変速のときには、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいてバッテリ50が許容する許容最大放電電力Wmaxを求め(ステップS230)、求めた許容最大放電電力Wmaxからバッテリ50の出力制限Woutを減じたものとダウンシフトに必要な電力であるダウンシフト必要電力Wchgとを比較して(ステップS240)、許容最大放電電力Wmaxからバッテリ50の出力制限Woutを減じたものとダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えて新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定し(ステップS250,S260)、設定したバッテリ50の出力制限Woutを用いて変速処理実行して(ステップS270)、本ルーチンを終了する。ここで、許容最大放電電力Wmaxは、実施例では、図4に示したバッテリ50の温度Tbに基づいて設定される出力制限Woutを用いるものとした。即ち、許容最大放電電力Wmaxは、図5に示した残容量(SOC)に基づく出力制限用補正係数を乗じる前の値を用いるのである。これにより、出力制限用補正係数が値1未満のときにはこの出力制限用補正係数を用いて設定されている出力制限Woutより大きな値となる。また、ダウンシフト必要電力Wchgは、ダウンシフトの際にモータMG2を変速後の回転数に同期させるのに必要な電力を含むダウンシフトに要する電力であり、モータMG2などの定格や変速機60のギヤ比,変速時の車速Vなどにより計算することができる。実施例では、ステップS240〜S260で許容最大放電電力Wmaxからバッテリ50の出力制限Woutを減じたものとダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えて新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定することにより、変速機60のダウンシフトをバッテリ50の劣化を促進しない範囲でバッテリ50の最大限の性能をもって行なうものとしているのである。ステップS270の変速処理は、Lo−Hi変速については図11に例示するLo−Hi変速処理ルーチンにより行なわれ、Hi−Lo変速については図12に例示するHi−Lo変速処理ルーチンにより行なわれる。以下、Lo−Hi変速処理とHi−Lo変速処理について説明する。
【0039】
図11のLo−Hi変速処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータMG2のトルク指令Tm2*を変速上限トルクTm2setと比較する処理を実行する(ステップS300)。ここで、変速上限トルクTm2setは、モータMG2からトルクを出力しながらLo−Hi変速する際にトルクショックが生じないトルク範囲の上限値であり、変速機60やモータMG2の性能などにより設定される。トルク指令Tm2*が変速上限トルクTm2setより大きいときには、エンジン22の目標トルクTe*をトルク指令Tm2*と変速上限トルクTm2setの差分に相当する分だけ大きくなるよう次式(5)により調整すると共に(ステップS310)、エンジン22の目標トルクTe*の調整に伴ってモータMG1のトルク指令Tm1*を下方修正するよう式(6)により調整し(ステップS320)、モータMG2のトルク指令Tm2*に変速上限トルクTm2setを設定する(ステップS330)。即ち、モータMG2のトルク指令Tm2*を変速上限トルクTm2setに下方修正することにより減少するリングギヤ軸32aのトルクに相当する分だけエンジン22からのトルクを増加し、その増加したトルクをリングギヤ軸32aに出力するためにモータMG1のトルク指令Tm1*を下方修正する調整を行なうのである。
【0040】
Te*←Te*+(1+ρ)・(Tm2*-Tm2set)・Gr (5)
Tm1*←Tm1*-ρ・(Tm2*-Tm2set)・Gr (6)
【0041】
モータMG2のトルク指令Tm2*が変速上限トルクTm2set以下のときやトルク指令Tm2*が変速上限トルクTm2setより大きくエンジン22の目標トルクTe*やトルク指令Tm2*を調整した後は、現在のモータMG2の回転数Nm2と変速機60のギヤ比Glo,Ghiとにより次式(7)を用いて変速後のモータMG2の回転数Nm2*を計算する(ステップS340)。そして、変速機60のブレーキB2をオフとすると共にブレーキB1をオンとするために変速機60の図示しない油圧駆動のアクチュエータに対する油圧シーケンスを開始してブレーキB2をオフとすると共に(ステップS350)、ブレーキB1をフリクション係合させ(ステップS360)、変速に伴ってリングギヤ軸32aに出力されるトルクの落ち込みを是正するためにモータMG1のトルク指令Tm1*を式(8)により調整する(ステップS370)。変速機60をLoギヤの状態からHiギヤの状態に変速するときの油圧シーケンスの一例を図13に示す。図中、ブレーキB1の油圧指令がシーケンスの開始直後に大きいのは、ブレーキB1に係合力が作用するまでにシリンダにオイルを詰め込むためのファストフィルである。また、式(8)中の「Tm1set」は、モータMG1から出力したときにリングギヤ軸32aに出力されるトルクが変速に伴ってリングギヤ軸32aに出力されるトルクの落ち込みを是正できるトルクとして設定されており、変速機60やモータMG2,モータMG1の性能などにより設定される。
【0042】
Nm2*=Nm2・Ghi/Glo (7)
Tm1*←Tm1*-Tm1set (8)
【0043】
そして、モータMG2の回転数Nm2が変速後の回転数Nm2*近傍に至るのを待って(ステップS380,S390)、ブレーキB1を完全にオンとして油圧シーケンスを終了し(ステップS400)、駆動制御で用いる変速機60のギヤ比GrにHiギヤのギヤ比Ghiを設定して(ステップS410)、Lo−Hi変速処理ルーチンを終了する。Lo−Hi変速およびHi−Lo変速の際の変速機60の共線図の一例を図14に示す。図中、S1軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aのサンギヤ61の回転数を示し、R1,R2軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのリングギヤ62,66の回転数を示し、C1,C2軸はリングギヤ軸32aの回転数であるダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのキャリア64,68の回転数を示し、S2軸はモータMG2の回転数であるシングルピニオンの遊星歯車機構60bのサンギヤ65の回転数を示す。図示するように、Loギヤの状態では、ブレーキB2がオンでブレーキB1がオフとされている。この状態からブレーキB2をオフすると、モータMG2はリングギヤ軸32aから切り離された状態となり、電動機として機能するモータMG2から正のトルクが出力されていることから、その回転数は増加しようとする。ここで、ブレーキB1をフリクション係合させると、モータMG2の回転数Nm2は減少する。そして、モータMG2の回転数Nm2がHiギヤの状態の回転数Nm2*近傍になったときにブレーキB1をフリクション係合から完全にオンとすることにより、Hiギヤの状態に切り替えることができる。このように、ブレーキB1のフリクション係合によりモータMG2からトルクを出力しながら変速する際にモータMG2の回転数Nm2が変更されるから、リングギヤ軸32aに出力されるトルクは落ち込むことになる。実施例では、この落ち込むトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*を調整することにより賄うのである。このように、Lo−Hi変速することにより、変速時に生じ得るトルクショックを抑制することができる。
【0044】
図12のHi−Lo変速処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータMG1のトルク指令Tm1*と回転数Nm1とに基づいてモータMG1により消費されている電力(モータ消費電力)Pm1を計算し(ステップS500)、計算したモータ消費電力Pm1をバッテリ50の出力制限Woutと比較し(ステップS510)、モータ消費電力Pm1がバッテリ50の出力制限Wout以下のときにはモータMG2を駆動することにより車両に作用させている制動力をブレーキトルクに置き換えるための置き換えトルクTchを次式(9)により計算して設定し(ステップS520)、モータ消費電力Pm1がバッテリ50の出力制限Woutを超えているときにはエンジン22を目標回転数Ne*でトルク出力を行なわずに運転するエンジン22の自立運転を開始すると共に(ステップS530)、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定してモータECU40に送信し(ステップS540)、要求トルクTr*により車両に作用する制動力のすべてをブレーキトルクに置き換えるための置き換えトルクTchを式(10)により計算して設定する(ステップS550)。ここで、式(9)および式(10)中の「kt」は、リングギヤ軸32aの制動トルクをブレーキホイールシリンダ96a〜96dにより駆動輪39a,39bや従動輪に作用させる制動トルクに換算するための換算係数である。
【0045】
Tch=kt・Tm2*・Gr (9)
Tch=kt・Tr* (10)
【0046】
こうして置き換えトルクTchを設定すると、モータMG2を駆動することにより車両に作用させている制動力やエンジン22をモータリングすることにより車両に作用させている制動力をブレーキホイールシリンダ96a〜96dにより駆動輪39a,39bや従動輪に作用させる制動力に置き換えるトルク置き換え処理を実行する(ステップS560)。このトルクの置き換え処理は、ブレーキホイールシリンダ96a〜96dにより駆動輪39a,39bや従動輪に作用させる制動トルクが置き換えトルクTchに至るまでレート処理などを用いて行なわれるが、この処理は本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
続いて、モータMG2の回転数Nm2と変速機60のLoギヤの状態のときのギヤ比GloとHiギヤの状態のときのギヤ比Ghiとを用いて変速して変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態としたときのモータMG2の回転数としての目標回転数Nm2*を次式(11)により計算し(ステップS570)、変速機60のブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとするために変速機60の図示しない油圧駆動のアクチュエータに対する油圧シーケンスを開始してブレーキB1をオフとする(ステップS580)。変速機60をHiギヤの状態からLoギヤの状態に変速するときの油圧シーケンスの一例を図15に示す。図中、ブレーキB2の油圧指令がシーケンスの開始直後に大きいのは、ブレーキB2に係合力が作用するまでにシリンダにオイルを詰め込むためのファストフィルである。
【0048】
Nm2*=Nm2・Glo/Ghi (11)
【0049】
こうしてモータMG2の変速後の回転数である目標回転数Nm2*を設定すると、モータMG2の回転数Nm2が変速後の回転数(目標回転数)Nm2*に同期するまで(ステップS630)、モータMG2の回転数Nm2を入力し(ステップS590)、モータMG2が目標回転数Nm2*で回転するようモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを次式(12)により計算し(ステップS600)、上述した式(3)によりモータMG2から出力してもよい上限トルクとしてのトルク制限Tmaxを計算し(ステップS610)、計算した仮モータトルクTm2tmpとトルク制限Tmaxとのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定してモータECU40に送信する(ステップS620)、一連の処理(ステップS590〜S630)を実行する。ここで、バッテリ50の出力制限Woutは、図3の駆動制御ルーチンのステップS240〜S260で許容最大放電電力Wmaxからバッテリ50の出力制限Woutを減じたものとダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えて設定されているから、バッテリ50の劣化を促進しない範囲でバッテリ50の最大限の性能をもってダウンシフトを行なうことができる。ここで、式(12)は、モータMG2を目標回転数Nm2*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(12)中、右辺第1項の「k3」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k4」は積分項のゲインである。
【0050】
Tm2tmp=k2(Nm2*−Nm2)+k4∫(Nm2*−Nm2)dt (12)
【0051】
モータMG2の回転数Nm2が目標回転数Nm2*に同期すると、モータMG2のトルク指令Tm2*に値0を設定してモータECU40に送信し(ステップS640)、ブレーキB2をオンとして油圧シーケンスを終了し(ステップS650)、変速機60のギヤ比GrにLoギヤの状態のギヤ比Gloを設定する(ステップS660)。そして、エンジン22を自立運転したときには、モータMG1によるエンジン22のモータリングを再開し(ステップS670,S680)、ブレーキホイールシリンダ96a〜96dにより駆動輪39a,39bや従動輪に作用させている制動トルクをモータMG2を駆動することにより車両に作用させる制動力やエンジン22をモータリングすることにより車両に作用させる制動力に戻す制動トルクの戻し処理を行なって(ステップS690)、本ルーチンを終了する。なお、制動トルクの戻し処理は、ブレーキホイールシリンダ96a〜96dにより駆動輪39a,39bや従動輪に作用させている制動トルクが値0に至るまでレート処理などを用いて行なわれるが、この処理は本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0052】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、変速機60の変速段をHi−Lo変速するときには、バッテリ50の許容最大放電電力Wmaxからそのときの出力制限Woutを減じたものとダウンシフトを行なうのに必要な電力であるダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えて新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定して変速機60のHi−Lo変速を行なうから、バッテリ50の劣化を促進しない範囲でバッテリ50の最大限の性能をもってダウンシフトを行なうことができる。この結果、変速機60のHi−Lo変速をスムーズに行なうことができると共にバッテリ50の劣化を抑制することができる。
【0053】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60の変速段をHi−Lo変速するときには、バッテリ50の許容最大放電電力Wmaxからそのときの出力制限Woutを減じたものとダウンシフトを行なうのに必要な電力であるダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えたものを新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定するものとしたが、変速機60の変速段をHi−Lo変速するときには、バッテリ50の許容最大放電電力Wmaxを新たなバッテリ50の出力制限Woutに設定するものとしても構わない。
【0054】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60のHi−Lo変速の際に、モータ消費電力Pm1がバッテリ50の出力制限Woutを超えているときにはエンジン22を目標回転数Ne*でトルク出力を行なわずに運転するエンジン22の自立運転を開始するものとしたが、こうしたエンジン22の自立運転を行なわないものとしても構わない。
【0055】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60のLo−Hi変速の際に、モータMG2のトルク指令Tm2*を変速上限トルクTm2setに下方修正するものとしたが、こうした下方修正を行なわないものとしてもよい。また、ブレーキB1のフリクション係合によりモータMG2からトルクを出力しながら変速する際にリングギヤ軸32aに出力されるトルクの落ち込みをモータMG1のトルク指令Tm1*を調整することにより賄うものとしたが、こうしたモータMG1のトルク指令Tm1*の調整を行なわないものとしても構わない。
【0056】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60の変速段をHi−Lo変速するときに、バッテリ50の許容最大放電電力Wmaxからそのときの出力制限Woutを減じたものとダウンシフトを行なうのに必要な電力であるダウンシフト必要電力Wchgとのうち小さい方をバッテリ50の出力制限Woutに加えたものを新たなバッテリ50の出力制限Woutとして設定するものとしたが、変速機60のLo−Hi変速のときに、そのときの入力制限Winからバッテリ50の許容最大充電電力を減じたものとアップシフトを行なうのに必要な電力であるアップシフト必要電力とのうち小さい方をバッテリ50の入力制限Winから減じたものを新たなバッテリ50の入力制限Winとして設定してアップシフトを行なうものとしてもよい。
【0057】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60の変速段を変速するときには、変速後のモータMG2の回転数である目標回転数Nm2*を設定し、モータMG2の回転数Nm2が目標回転数Nm2*に同期するようモータMG2を制御するものとしたが、ブレーキB2の半係合を伴ってモータMG2の回転数Nm2を同期させるものとしてもよい。
【0058】
実施例のハイブリッド自動車20では、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速機60の変速段は2段に限られるものではなく、3段以上の変速段としてもよい。
【0059】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図16の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図16における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0060】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図17の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0061】
実施例では、エンジン22と動力分配統合機構30と二つのモータMG1,MG2と変速機60とを備えるハイブリッド自動車20として説明したが、モータからの出力を変速機を介して車軸側に出力する車両であれば、如何なる車両に対しても同様に適用することができる。
【0062】
実施例では、ハイブリッド自動車20の形態として説明したが、少なくともモータと変速機とを備える動力出力装置や駆動装置の形態としてもよい。また、ハイブリッド自動車20などの車両の制御方法や動力出力装置の制御方法,駆動装置の制御方法の形態としてもよい。
【0063】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、動力出力装置や駆動装置,車両の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施例としての駆動装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】変速機60の構成の一例を示す説明図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。
【図5】バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。
【図6】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。
【図8】要求トルクTr*が加速用の駆動トルクであるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図9】要求トルクTr*が減速用の制動トルクであるときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。
【図10】変速マップの一例を示す説明図である。
【図11】Lo−Hi変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図12】Hi−Lo変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図13】Lo−Hi変速の際の変速機60のブレーキB1,B2を駆動制御する油圧回路における油圧シーケンスの一例を示す説明図である。
【図14】Lo−Hi変速およびHi−Lo変速の際の変速機60の共線図の一例を示す説明図である。
【図15】Hi−Lo変速の際の変速機60のブレーキB1,B2を駆動制御する油圧回路における油圧シーケンスの一例を示す説明図である。
【図16】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図17】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、31a サンギヤ軸、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64,68 キャリア、67 ピニオンギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、
前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記変速手段の変速段が変速されないときには前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段が変速されるときには前記設定された出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記変速手段の変速段を変速する際に必要な必要電力と前記蓄電手段の状態から許容可能な最大放電電力から前記設定された出力制限を減じた電力とのうちの小さい方の電力を前記設定された出力制限に加えた電力を前記変更出力制限として制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記変速手段の変速段がダウンシフトされるときには前記変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御し、前記変速手段の変速段がアップシフトされるときには該変速手段の変速段の変速に拘わらずに前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御する手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記蓄電手段から放電可能な電力量が小さいほど小さくなる傾向の電力を出力制限として設定する条件である請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置であって、
内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに連結され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の一部を前記駆動軸側に出力可能な電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
を備え、
前記蓄電手段は、前記電力動力入出力手段と電力のやりとりが可能な手段であり、
前記制御手段は、前記設定された要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する手段である
動力出力装置。
【請求項6】
前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転可能な第3軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段である請求項5記載の動力出力装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
【請求項8】
充放電可能な蓄電手段からの電力を用いて駆動軸を駆動する駆動装置であって、
動力を入出力可能な電動機と、
前記駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、
前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記変速手段の変速段が変速されないときには前記設定された出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段が変速されるときには前記設定された出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する制御手段と、
を備える駆動装置。
【請求項9】
動力を入出力可能な電動機と、駆動軸と前記電動機の回転軸とに連結されて複数の変速段を有する変速手段と、前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記蓄電手段の状態と所定の条件とに基づいて該蓄電手段の出力制限を設定し、
(b)前記変速手段の変速段を変速しないときには前記設定した出力制限の範囲内で電動機を制御し、前記変速手段の変速段を変速するときには前記設定した出力制限を出力側に変更した変更出力制限の範囲内で前記電動機を制御する、
動力出力装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−99244(P2007−99244A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295574(P2005−295574)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】