説明

動的メッセージ標識

照明メッセージ標識(10)は、発光デバイス(5)と、前記発光デバイス(5)によって照明されるように配列された半透明再帰反射フィルム(2)と、標示(1)とを含み、前記標示は、前記半透明再帰反射フィルム(2)の前に配列される。標示(1)は、少なくとも、可変情報を動的に表示するように構成されたアクティブ部分(11)を含み、不変情報を表示するように構成されたパッシブ部分をさらに含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的メッセージ標識またはディスプレイに関し、特に、可変情報を動的に表示するためのバックライティングメッセージ標識またはディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
照明メッセージ標識が一般に知られている。照明標識は、フロントライティングまたはバックライティングであることができる。フロントライティングメッセージ標識は、典型的には、光が標識の周囲からある角度で標識の方に照らされる掲示板または他のディスプレイのような標識を含む。
【0003】
バックライティングメッセージ標識は、典型的には、それを通して光が見られ、かつその上にメッセージまたはディスプレイが配置される半透明表面を有する。半透明表面から出る光の均一性が重要である。したがって、半透明表面は、しばしば、標識ハウジング内の光源の、見る人による識別を低減するために光を拡散する何らかの要素を含む。しかし、そのような拡散要素は、光源によって発された光の大部分を吸収する。見る人にはっきりと見えるために十分な輝度をもたらすために、既知のバックライティングメッセージ標識に使用される光源が、強力でなければならない。十分な輝度をもたらし、かつ、光源によって発された光を、ハウジングの内側でできる限り均一に分配するために、いくつかの光源がしばしば使用される。そのような強力な光源のための十分な空間を提供するために、既知のバックライティングメッセージ標識は、一般に、大きい後部深さを示す。したがって、既知のバックライティングメッセージ標識の欠点は、高材料消費である。さらに、いくつかの光源の存在によって、既知のバックライティングメッセージ標識は、高電力消費であり、かつかなりの量の熱を発生する。
【0004】
可変情報を動的に表示するためのアクティブディスプレイが一般に知られている。米国特許第5,394,308号明細書において、後ろから液晶ディスプレイ(LCD)パネルを照明するためのライティング装置が開示され、これは、均一に照明されると、垂直方向に見たとき非対称コントラスト比を示す。液晶ディスプレイのためのバックグラウンドライティング装置が、また、米国特許第5,667,289号明細書に開示されている。そこに記載された装置は、高度に内部反射する透明なプレートの実質的に周囲全体の、光が入る端縁表面、および前記プレートの内部に入る光を拡散し反射するための分布拡散システムを含む。拡散システムは、面積比がパターンの中心で最大である拡散要素のパターンを含む。したがって、ライティング装置の拡散システムは、複雑な構造を示す。特に、透明なプレートのバランスのとれた照明を達成することは困難である。
【0005】
米国特許第5,452,532号明細書が、直接およびバックライティング条件下でカスタマイズ可能なメッセージを運転者に示すための道路標識を開示しており、メッセージ要素およびバックグラウンド要素が、モザイクメッセージを形成するように適切な取付け穴に配置され、各モザイクは、半透明ボーダーによって囲まれた再帰反射部分を有する。メッセージ要素の大きいサイズによって、ディスプレイの解像度は劣っている。さらに、再帰反射部分および半透明部分の分離は、複雑な構造および効率問題をもたらす。運転者が道路標識に近づくと、各要素の一部のみが照明され、これはファントム効果をもたらす。
【0006】
既知の照明標識にもかかわらず、さらなる照明メッセージ標識を提供する必要が引続きある。好ましくは、これらの標識は、向上された有利な特性を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、不変情報を表示するためのパッシブ部分と組合せることができる、可変情報を動的に表示するためのアクティブ照明メッセージ標識を提供する。メッセージ標識は、向上された輝度効率および低減された電力消費を有する。さらに、本発明は、アクティブおよびパッシブディスプレイ要素の両方について、停電後、再帰反射バックアップによって冗長性をもたらすことができる。したがって、停電時でさえ、標識は、依然として、有用な情報を使用者に与えることができる。さらに、メッセージ標識は、停電の場合、デフォルトメッセージ、たとえば、見る人に、標識に異常があることを知らせる予めプログラムされたメッセージが表示されるように、アクティブ部分を制御する可能性をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
照明メッセージ標識は、発光デバイスと、前記発光デバイスによって照明されるように配列された半透明再帰反射フィルムと、標示(indicia)とを含み、前記標示は、前記半透明再帰反射フィルムの前に配置される。標示は、少なくとも、可変情報を動的に表示するように構成されたアクティブ部分を含み、不変情報を表示するように構成されたパッシブ部分をさらに含むことができる。
【0009】
本発明によるメッセージ標識において、発光デバイスは、光源と、中空または中実であることができる光導路とを含むことができる。発光デバイスは、また、無機エレクトロルミネセンス(IEL)または有機発光ダイオード(OLED)技術に基いた自己発光光源のような大表面光源を含むことができる。そのようなOLEDの構造および機能は、たとえば、オンラインマガジンショット・インフォ(Schott Info)99/2001に記載されている。
【0010】
光導路の前面から抽出される光の量および分布は、光導路または自己発光光源の背面および/または側面に配置された背面反射体を提供することによって向上させることができる。背面反射体および側面反射体の両方が、好ましくは、高反射効率を有する、拡散反射フィルム、鏡面反射フィルム、または散乱反射フィルムである。反射体、および特に、高拡散反射フィルムまたは高鏡面反射フィルムまたは高散乱反射フィルムを、光導路の背面および/または側面に沿って配置することは、光が実質的に前面を通ってのみ逃げることができ、光源の光のほとんどを、標示を照明するために使用することができる光導路を提供する。したがって、そのような設計は、必要な明るさ、均一な照明、および電力消費に関して、高度に効率的である。
【0011】
中空光導路の場合、前記光導路は、好ましくは、主前面および主背面を有する空洞を含む。前面は、空洞の、見る人に向けられる面と定義され、背面は、実質的に前面に対向して、かつ見る方向からそれて配置される。前面および背面は、正方形、矩形、多角形、または円形のような、任意の適切な形状を有することができる。半透明再帰反射フィルムは前面の少なくとも一部に配置され、反射体は背面の少なくとも一部に配列される。好ましくは、再帰反射フィルムは、実質的に空洞の前面全体を被覆する。反射体は、好ましくは、実質的に空洞の背面全体を被覆する。光源は、空洞の内側に、好ましくは、空洞の前面の垂直寸法および/または水平寸法に対して中心に、配列される。光が光導路の前面から半透明再帰反射フィルムを通って透過される角度で、光線が前面および半透明再帰反射フィルムに当たるまで、空洞内で、光は、前面、背面、および任意の側面における多数の反射によって透過される。
【0012】
半透明再帰反射フィルムは、当業者に知られているように、ビーズ、プリズムであることができるか、キューブコーナを設けることができる。典型的には、いかなるタイプの半透明再帰反射フィルムも使用することができる。特に、交通標識に使用される光透過性再帰反射フィルムを使用することができる。たとえば、米国特許第4,588,258号明細書、米国特許第5,122,902号明細書、および国際公開第98/20375号パンフレットに記載されているようなキューブコーナ再帰反射フィルムが、本発明による照明メッセージ標識のための半透明再帰反射フィルムとして有用である。これらの引例に記載されたキューブコーナ再帰反射フィルムは、多数の表示平面(viewing planes)に沿って、向上された成角(angularity)をもたらす。フィルムは、互いに対して180°回転される、少なくとも1つの適合した対のキューブコーナ再帰反射要素を含むことができ、要素の3つの横方向の相互に垂直な面は、共通平面内にある線端縁によって、それらのベースで画定され、要素の光学軸は互いの方に傾けられる。さらに、物品は、いくつかのタイプのプリズム再帰反射要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、隣接した要素の横方向の面のベース端縁は、要素のベースの間の分離表面を画定する。他の実施形態において、要素の一部が、要素上の切頭表面を画定するように除去される。米国特許第4,005,538号明細書の交通標識に開示されているような、再帰反射微小球を含むビーズ再帰反射フィルムも、使用することができる。
【0013】
半透明再帰反射フィルムの前に、標示が、たとえばグラフィックおよび/または文字などの形態で配列される。本発明によれば、一般的な意味での標示は、すべて、情報を見る人に与えるように配列された手段である。標示は、少なくとも、可変情報を動的に表示するためのアクティブ部分を含む。アクティブ部分は、電子制御シャッタシステム、たとえば二色性LCDタイプシステムおよび/またはねじれ液晶システムによって操作することができる。本発明に有用なモジュールLCDディスプレイシステムが、個別に制御されたマトリックス要素またはモザイク状構造に配列された要素のアレイによって形成された文字、数字、および特定のグラフィックシンボルのディスプレイを提供することができる。モザイク状要素は、文字および数字を表示するために特に設計することができ、マトリックス要素は、また、あらゆる種類のグラフィックアートを示すのに適切であることができる。LCDディスプレイシステムは、ETN(向上ねじれネマチック(enhanced twisted nematic))技術に基くことができ、特定の波長におけるコントラスト比は、液晶でドープされた染料を使用することによって、ねじれネマチックディスプレイに対して向上される。適切なLCDディスプレイシステムは、ドイツ、ウルムの(Ulm, Germany)AEG/MISから商品名ギースクリプト(Geascript)で入手可能なモジュールLCDディスプレイシステムである。
【0014】
アクティブ部分において、ディスプレイシステム、たとえば、上で説明されたようなモジュールLCDディスプレイシステム、または同様のディスプレイシステムが、標示を形成することができる。さらに、標示フィルムを、半透明再帰反射フィルムとシャッタシステムとの間に配列することができる。アクティブ部分内の標示フィルムは、上で説明されたようなモジュールLCDディスプレイシステムによって表示される標示に、所望の色の着色外観を与えるために、たとえば、着色フィルムであることができる。代替として、またはさらに、標示は、標示フィルム上に形成することができ、これは、アクティブ部分のシャッタシステムによって表示または被覆することができる。このように、モノクロームモードで、白色で、または色で、陽(黒色レタリング、白色または着色バックグラウンド)画像で、または陰(黒色バックグラウンド上の白色または着色レタリング)画像で、英数字および/またはグラフィック情報を表示することが可能である。
【0015】
標示は、当該技術において一般に知られているように、不変情報を表示するためのパッシブ部分をさらに含むことができる。
【0016】
標示は、たとえば半透明再帰反射フィルム上に直接表示することによって、配列することができるか、付加的なフィルム(標示フィルム)によって支持することができる。本発明の好ましい実施形態において、標示フィルムは、透明な光学的にクリアな接着剤によって、透明な支持フィルム上に積層される。最も好ましくは、接着剤は1.3以下の屈折率を有する。半透明再帰反射フィルムも、支持フィルムに接着することができる。この配列は、発光デバイスの前に配置され、それから除去することができる。発光デバイスおよび支持フィルムは、たとえばメッセージ標識のフレーム上に配列された固定バーによって、機械的に固着することができる。代替として、半透明再帰反射フィルムを、標示がその上に表示されるか別の既知の態様でそれに付与された状態で、直接提供することができる。標示フィルムおよび/または半透明再帰反射フィルムは、最も好ましくは1.3以下の屈折率を有する光学的にクリアな(透明な)接着剤によって、発光デバイスの前面に直接接着することができる。
【0017】
本発明に使用されるべき適切な標示フィルムは、3Mカンパニー(3M Company)から商品名スコッチライト(Scotchlite)(登録商標)エレクトロカット(ElectroCut)(登録商標)フィルム・シリーズ(Film Series)1170で入手可能である。
【0018】
発光デバイスが、光導路と、光源とを含む場合、光源は、実質的にその長手方向に沿って光を発し、かつ、たとえば蛍光管などの光管のような細長い発光体(luminant)、または、光源の長手方向に沿って互いに隔置されたおよび/または互いに隣接して配列されたいくつかの個別の発光体を含む細長い光源であることができる。したがって、細長い光源は、別個の発光要素の線状領域を含むことができる。共通の1つの光源の代わりに、列またはアレイに配列された複数の発光要素の提供の利点は、個別の発光要素の故障の場合、メッセージ標識の照明が依然としてもたらされることである。
【0019】
本発明によるメッセージ標識は、たとえば、交通標識または交通情報ボードとして、飛行場標識として、または広告標識などとして使用することができる。アクティブおよびパッシブディスプレイ要素を組合せる本発明によるメッセージ標識は、多層式駐車場に、または駐車場情報ボードとして、特に有用である。
【0020】
本発明は、独特のスリム設計およびほぼ180°の判読性を有するメッセージ標識を提供する。メッセージ標識は、アクティブおよびパッシブディスプレイ要素の両方について、バックライティングを再帰反射特徴と組合せることによって、停電後、冗長システムを提供する。輝度効率は、既知のバックライティングメッセージ標識と比較して著しく向上され、したがって、電力消費はかなり低減される。メッセージ標識は、コスト競争力があり、現在のバックライティングシステムに対して、増加されたコスト−利益比を有しさえする。たとえばスウェーデン、カールスクルーナのオーラ・ライトAB(Aura Light AB, Karlskrona, Sweden)から入手可能なオーラ(AURA)(登録商標)ロング・ライフ・ライト(Long Life Light)蛍光ランプなどの30.000時間から、たとえば冷陰極蛍光ランプ(CCFL)および列またはアレイに配列された最新のLED光源などの50.000時間までの定格寿命時間を有する新世代ランプが使用される場合、ランプメンテナンスサイクルを、強く低減するかなくすことさえできる。新世代ランプエレクトロニクスを使用する場合、付加的なエネルギー節減を得ることができる。
【0021】
本発明によるメッセージ標識のさらなる利点は、アクティブディスプレイモジュールを、また、非ライティング標識に、特に非バックライティング標識において実現することができることである。アクティブディスプレイモジュールを、ライティングしてもライティングしなくてもよい既存の標識において実現することが可能である。さらに、標識製造業者または改造業者が、彼ら自身のストック材料を使用することができる。メッセージ標識のハウジングの低減されたサイズによって、より小さいアルミニウム押出物を用いることができ、それにより、コストおよび重量を節減する。
【0022】
次において、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0023】
図面全体を通して、本発明の異なった実施形態の同じ要素および部分が、同じ参照符号によって指される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1、図1A、および図1Bにおいて、本発明によるメッセージ標識の第1の実施形態が、断面図でより詳細に示されている。後壁30とともに、メッセージ標識のハウジング10を形成するフレーム20が、アルミニウム押出物またはプラスチックまたは他の適切な材料から製造される。ハウジングの内側に、前面16と、背面17とを含む空洞15が形成される。空洞15の内側に、光源5が配列される。図1に示された実施形態において、光源5は、たとえば、オーラ(登録商標)蛍光ランプのような、長い定格寿命を有する蛍光ランプ、または冷陰極蛍光ランプ(CCFL)などの蛍光ランプのような細長い光源である。しかし、他の適切な光源を使用することができる。空洞の背面17上に、鏡面反射層または拡散反射層4と、支持層6とを含む高鏡面反射体または高拡散反射体が配列される。図1において、反射体4を支持する背面17は、光源5から空洞15の背面17の方向に発される光が、前面16の方に向け直されるように曲げられる。ランプ電子装置22は、ハウジング10の内側に、反射体4と後壁30との間の未使用の空間内に配列することができる。
【0025】
代替として、反射体を、ハウジング10が空洞を形成するように、ハウジングの背面および側面に沿って配列することができる。
【0026】
背面反射体は、好ましくは、フィルムから構成される。たとえば、そのようなフィルムは、米国セントポールの3Mカンパニー(3M Company, St. Paul, USA)から、商品名ラディアント・ミラー・フィルム(Radiant Mirror Film)VM 2000、VM 2002、またはVM 2000 F1A6、またはライト・エンハンスメント・フィルム(Light Enhancement Film)3653−100で入手可能である。上記配列では、光源5から発された光の実質的にすべてが、光導路の照明側を作るために、空洞15の前面16を通ってのみ出ることができる。
【0027】
光源は、代わりに、ハウジング10の後壁30上に、または後壁30と空洞15の前面16との間の別個の層上に、アレイまたはクラスターに配列された複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。この場合、反射フィルムをLED間に配列することができる。さらに、赤外太陽エネルギーを反射し、可視光を透過する太陽反射フィルムを、前面16上に配列することができる。したがって、そのようなフィルムは、太陽照射による空洞15の加熱を低減し、過度の加熱が、LEDの劣化動作、または破壊さえもたらすことがある。本発明に使用することができる適切な太陽反射フィルムが、たとえば、米国セントポールの3Mカンパニーから、商品名オートモーティブ(Automotive)SRF 1100で入手可能である。
【0028】
空洞15の前面16は、半透明再帰反射フィルム2と、標示フィルム1とを含むいくつかの層のサンドイッチ構造によって形成される。少なくとも前面の一部の上に、電子制御シャッタシステム、たとえば液晶セルを含むさらなる層11が、標示のアクティブ部分を形成するように配列される。パッシブ部分において、標示フィルム1に、文字、数字、またはグラフィックの形態の標示が提供される。アクティブ部分において、シャッタシステムは、標示フィルム1上に提供された標示を、必要に応じて、表示または被覆するために使用することができる。あるいは、モジュールLCDディスプレイシステム(たとえば、ドイツ、ウルムのAEG/MISカンパニー(AEG/MIS Company, Ulm, Germany)から入手可能な「ギースクリプト(Geascript)」ブランドのモジュールLCDディスプレイシステム)を使用することができ、LCD要素のモザイク構造またはマトリックス構造が、文字、数字、および/またはグラフィックなどの個別の情報を表示することを可能にする。モジュールLCDシステムを使用する表示情報のカラー化外観を、所望の色を有する着色標示フィルム1を、LCDシステムの下に、表示情報が所望の色で現れるべき領域内に配列することによって、提供することができる。
【0029】
半透明再帰反射フィルム2は、当業者に知られているように、ビーズフィルムまたはプリズムフィルム、または、好ましくは、キューブコーナフィルムであることができる。好ましくは、キューブコーナフィルムが使用される。本発明に使用されるべきそのようなフィルムは、米国セントポールの3Mカンパニーから商品名スコッチライト(Scotchlite)(登録商標)ダイヤモンド・グレード(Diamond Grade)(登録商標)半透明反射シート(Translucent Reflective Sheeting)3990 Tで入手可能である。このフィルムの再帰反射特性は、標示フィルム1に当たり、標示フィルム1を通る外部光、および発光デバイスからの内部光の両方のために用いられる。後者の場合、半透明再帰反射フィルム2は、背面反射体(支持層6および反射体層4)とともに、空洞15を通る多数の光反射を提供し、空洞の前面の均質な照明をもたらす。特定の範囲内の角度、たとえば、フィルムに垂直な線に対して約−45°から+45°で半透明再帰反射フィルム2に当たる、光源から発された光線は、半透明再帰反射フィルム2の光学特性によって、後方反射される。したがって、光源を、照明の均一性を破壊することなく、半透明再帰反射フィルム2の近くに配列することができる。これは、以下で説明される図4に示されているように、見る人から標識までの距離において、向上された輝度を可能にする。
【0030】
別個の標示フィルム1の代替として、標示を半透明再帰反射フィルム2上に直接表示することができる。アクティブ部分において、モジュールLCDディスプレイシステムのようなディスプレイシステムを使用して標示を形成する場合、着色標示フィルムを設ける代わりに、着色半透明再帰反射フィルムを使用して、標示に所望の色を与えることができる。
【0031】
図1Aに詳細に示された実施形態において、半透明再帰反射フィルム2と、標示フィルム1と、シャッタシステム11とを含むサンドイッチ構造を、隣接した位置に保つために、カバー層3が設けられる。カバー層は、ガラスまたは透明なプラスチック、たとえば、米国ピッツフィールドのGEストラクチャード・プロダクツ(GE Structured Products, Pittsfield, USA)から入手可能なGE−レキサン(GE−Lexan)(登録商標)から製造することができる。あるいは、図1Bに詳細に示されているように、再帰反射フィルム2および標示フィルム1を、光透過性接着剤6、たとえば、米国セントポールの3Mカンパニーから入手可能な伸張剥離タイプVP 5290によって、互いに、およびシャッタシステム11に接着することができる。さらに、空洞を、塵による汚染、湿度などに対して保護するために、シーリングフィルム22をフレーム20とサンドイッチ構造の最も外側の層との間に設けることができる。
【0032】
上述されたような異なった層を含むサンドイッチ構造は、クランプなどの任意の適切な機械的固着手段によって、空洞の前面を形成するように機械的に固定される。図1に示された実施形態において、後壁30と、それから突出するフレーム20とを含むハウジング10は、空洞15、光源5、およびサンドイッチ構造の層を取囲む。サンドイッチ構造の層は、フレーム20の前部分と固定バー21との間に固着される。フレーム20は、空洞の前面が露出された開口部を画定する。フレーム20は、ねじ、クランプなどのような、任意の適切な手段によって、後壁30に固定することができ、メッセージ標識の組立てを可能にする。
【0033】
本発明によるメッセージ標識の第2の実施形態が、図2および図2Aに断面図で示されている。第2の実施形態によるメッセージ標識と図1の第1の実施形態によるメッセージ標識との間の差は、光導路の構造に関連する。図2によれば、メッセージ標識は、透明な合成材料、たとえばアクリル、たとえばポリメチルメタクリレートまたはポリカーボネートから製造され、かつプレート状形状を有する中実光導路41を含む。中実光導路41は、本質的に、図1に示された第1の実施形態の空洞の前面と背面との間の実質的に空いた空間の代わりになる。
【0034】
光導路41は、主前面41aおよび対向する主背面41bならびに対向する側面を含む。光源5’は、側面の少なくとも1つに沿って(図2に示された実施形態において、光導路の上および下側面20に沿って)配列される。光源5’は、細長い光源、たとえば、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)などの線状ランプであることができる。ランプは、クリアな耐UV性シリコーンのスポット52を使用して、光導路に固定することができる。あるいは、細長い光源は、プリント回路基板など、線状アレイを形成するために並んで配列されたいくつかのLEDを支持するキャリヤストリップを含むことができる。光源5’は、中実光導路41の端縁照明を提供する。
【0035】
光導路41の側面に沿って、かつ光源5aに隣接した光導路の前面41aおよび背面41bの一部の上に、ランプ反射体として作用する高鏡面反射体または高拡散反射体51が設けられる。この反射体は、好ましくは1.3以下の屈折率を有する光学的にクリアな(透明な)接着剤によって、光導路41に接着される。他の光学的にクリアな接着剤も使用することができる。適切な接着剤が、米国セントポールの3Mカンパニー(3M Company, Saint Paul, USA)から入手可能である(たとえば、#8141、#8142、#8161、または#9483)。高拡散背面反射体または高鏡面反射背面反射体(highly diffuse or specular back reflector)4’が、光導路41の背面41bに面するように配列される。背面反射体4’およびランプ反射体51は、同じ材料から構成され、かつ図1に示された本発明の第1の実施形態の背面反射体4と同じ目的を果たす。
【0036】
光導路41の前面の照明の均一性をさらに向上させるために、光導路41に、光導路41の材料内に実質的に均質に分配され、かつ異なった光回折特性を有する光散乱粒子を設けることができる。
【0037】
中実光導路を使用する本発明によるメッセージ標識の代替実施形態において、中実光導路は、狭い側面と、対向する広い側面とを含む楔状形状を有し、光源は、中実光導路の広い側面に沿って配列される。中実光導路のこのテーパ状実施形態は、狭い部分、すなわち、光源から隔置された部分内で、光導路の背面における反射の数が増加され、これが、反射光の減少する強度を補償するという利点をもたらす。したがって、光源が側面の1つのみの少なくとも一部に沿って配列される場合、テーパ状構成は、光のより等しい分布をもたらす。
【0038】
本発明の第2の実施形態において、標示フィルム1を有する半透明再帰反射フィルム2を、接着剤層によって、中実光導路41の前面に直接接着することができる。この接着剤層は、好ましくは、米国セントポールの3Mカンパニーから入手可能な伸張剥離タイプ接着テープVP 5290であることができる。しかし、他の光学的にクリアな接着剤も使用することができる。接着剤は、標示フィルム1および半透明再帰反射フィルム2を、標示フィルムおよび半透明再帰反射フィルムの別の組合せと取替えることができるように、光導路の前面上に残される残留物なしで、光導波路41から剥離することができなければならない。
【0039】
図3は、本発明によるメッセージ標識の前面の写真を示す。図3に示された例において、メッセージ標識は、パッシブ部分101と、アクティブ部分111とを含む駐車場情報ボードである。パッシブ部分において、名前および駐車場への道のような不変情報が表示され、アクティブ部分111は、駐車場内の空いた駐車場所の数などの可変情報を表示する。さらに、本発明によるメッセージ標識を、たとえば、駐車場表示標識、幹線道路のための指示標識、運転者フィードバック標識、たとえば、車の実際の速度を表示する標識、または交通標識、および交通情報ボードとして使用することができる。たとえば交通管理制御に接続されたケーブル、無線、またはGPS/GMS通信システムによって遠隔操作される交通標識のような、アクティブメッセージボード、またはアクティブ部分およびパッシブ部分を組合せるメッセージボードの他の用途も、企図される。
【0040】
本発明による新たなアクティブディスプレイモジュールを、標準再帰反射−しかし非照明−標識または情報ボードに、ならびに透照および再帰反射標識または情報ボードにおいて実現することができる。本発明のメッセージ標識は、1つの動的交通標識または情報ボード内の照明および再帰反射標識特徴の独特の組合せのため、交通安全において大きい利点を有する。本発明のメッセージ標識では、標識判読性は、いかなる標識距離または見る角度においても、決して危機的でない。
【0041】
見る人から標識までの距離に対する本発明によるメッセージ標識の輝度が、図4に示されている。輝度値は、次のように定められている。
【0042】
TGD VIP 3990Tとマークされた曲線を、2組の一般的な光学測定で定め、その後、距離への依存性を計算した。
【0043】
第1の組の測定は、中古のVWパサート(Passat)車の右ヘッドランプを使用し、ランプソケットで測定して13.0ボルトの電圧でLMT GOH(フォトゴニオメータ)によって測定した。光度を、典型的にはこれらの用途について生じる水平および垂直角度範囲(±5〜15度)にわたって定めた。
【0044】
第2の組の測定は、スコッチライト(登録商標)ダイヤモンド・グレード(登録商標)半透明再帰反射シートTDG VIP 3990Tによって再帰反射された関連部分を、再び、3つの角度範囲、すなわち、シートの表面に垂直な軸に対する垂直角度および水平角度、ならびに入射ビームと再帰反射ビームとの間の角度にわたって測定することによって得た。
【0045】
次に、図4に示された曲線を、0から200mの範囲内の距離について輝度を計算することによって得た。輝度自体は距離に依存しないが、標識と車両との間の各距離について、標識自体が道路から10mずれており、かつ3mの高さにあり、標識と車両との間の各距離についてさまざまな角度をもたらすことから定められた異なった角度が生じる。これらの角度は、車両が標識に近づき、標識のずれがかなりになると、著しく増加し、したがって、再帰反射は実際にゼロに近づく。
【0046】
照明曲線について、次の方法をとった。標識を、標識の表面に垂直な方向に、すなわち、ゼロの垂直角度および水平角度で測定すると25cd/m2の輝度が得られるように選択した。次に、相対輝度を、遠隔光度計、たとえば、米国カリフォルニア州チャッツワースのフォト・リサーチ(Photo Research in Chatsworth, California, USA)からのPR 650スペクトラ・カラリメータ(Spectra Colorimeter)を使用して、距離の関数として測定した。これらの測定は、曲線の形態を提供し、これを、次に、200mの距離について25cd/m2に設定し、標識の輝度をこの値を有するように選択したことに対応した。標識の内側で、光が45度を超える角度で反射されて戻されないことによって、これらの角度を超えて、およびしたがって、また、50m未満の標識と車両との間の距離で、照明の著しい増加が得られる。
【0047】
合計曲線は、2つの上記曲線の加算であり、単なる再帰反射標識と異なり、本発明による標識が、標識と車両との間の小さい距離でより高い輝度をもたらすことを示す。
【0048】
本発明を、その特定の例示的な実施形態に関して説明し例示したが、本発明をそれらの例示的な実施形態に限定することは意図されない。当業者は、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の真の範囲から逸脱することなく、変形および変更を行うことができることを認めるであろう。したがって、特許請求の範囲およびその均等物の範囲内であるような変形および変更をすべて、本発明内に含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】中空光導路を含む本発明の第1の実施形態によるメッセージ標識を通る断面図である。
【図1A】図1において囲まれ1Aと示された、メッセージ標識の部分の拡大図である。
【図1B】図1Aの代替実施形態である。
【図2】中実光導路を含む本発明の第2の実施形態によるメッセージ標識を通る断面図である。
【図2A】図2において囲まれ2Aと示された、メッセージ標識の部分の拡大図である。
【図3】本発明によるメッセージ標識の前面の写真である。
【図4】本発明によるメッセージ標識の輝度の、見る人から標識までの距離への依存性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−発光デバイスと、
−前記発光デバイスによって照明されるように配置された半透明再帰反射フィルムと、
−標示
とを含む照明メッセージ標識であって、前記標示が、前記半透明再帰反射フィルムの前に配置され、かつ、少なくとも、可変情報を動的に表示するように構成されたアクティブ部分を含む、照明メッセージ標識。
【請求項2】
前記発光デバイスが、光源と、対向する主前面および主背面を有する光導路とを含む、請求項1に記載の標識。
【請求項3】
前記光導路の前記背面に配置された背面反射体をさらに含み、前記背面反射体が、好ましくは拡散反射体または鏡面反射体または散乱反射体である、請求項2に記載の標識。
【請求項4】
前記光導路が、前記主前面および前記主背面を有する空洞を含む中空光導路であり、前記半透明再帰反射フィルムが前記前面の少なくとも一部に配置され、前記背面反射体が前記背面の少なくとも一部に配置される、請求項2または3に記載の標識。
【請求項5】
前記光源が、前記空洞の内側に、好ましくは、前記空洞の前記前面の垂直寸法および/または水平寸法に対して中心に、配置される、請求項4に記載の標識。
【請求項6】
前記光導路が中実光導路である、請求項2または3に記載の標識。
【請求項7】
前記光導路が、前記主前面と前記主背面との間に配置された側面を有し、前記光源が、前記中実光導路を照明するために、前記中実光導路の前記側面の少なくとも1つの少なくとも一部に沿って配置される、請求項6に記載の標識。
【請求項8】
前記光源が、たとえば列またはアレイに配置された複数の発光要素を含む、請求項2〜7のいずれか一項に記載の標識。
【請求項9】
前記発光デバイスが、たとえばIEL技術またはOLED技術に基いた自己発光光源である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の標識。
【請求項10】
前記標示が、不変情報を表示するように構成されたパッシブ部分をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の標識。
【請求項11】
前記標示の前記アクティブ部分が、電子制御シャッタシステム、好ましくは二色性LCDタイプシステムおよび/またはねじれ液晶システムを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の標識。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の標識を使用して、英数字および/またはグラフィック情報を表示する方法。
【請求項13】
交通を案内するための可変情報が動的に表示される、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−517325(P2008−517325A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536672(P2007−536672)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034364
【国際公開番号】WO2006/043943
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】