説明

匂い物質としての(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン

化合物(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンが、ジャコウ匂い物質として述べられている。同様に述べられているものは、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び一以上の他の匂い物質若しくは芳香剤を含む匂い物質又は芳香剤混合物である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は主として、新規化合物(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質及び芳香剤混合物、匂い物質又は芳香剤(混合物)としてのこれらの使用、これらで賦香した製品、さらに7−シクロヘキサデセン−1−オンの調製方法に関する。
【0002】
香料工業においてジャコウの臭い物質に対する一般的な要求が存在しており、それは消費者が利用できるジャコウの香りを持つ、新規かつ現代的なフレグランスを製造する継続した要求のためである。ジャコウの匂いを有する匂い物質は、広い種類の用途に対する香料、匂い物質混合物(香料組成物)及びフレグランスにおいて、大量にかつ無数に変化させて使用されている。新規で現代的なフレグランスノートに対する消費者の要望が増加しているため、香料において新規の効果を得ることができる匂い物質及びそれにより生じる新たなファッションの傾向に対する香料工業における継続した要求が存在する。ジャコウの匂いを有する化合物は、フレグランス工業において常に重要であり、かつ非常に需要の多い成分である。
そのため、ジャコウ匂い物質は、今日において多数の香料組成物で使用されている。
典型的な大環状のジャコウ匂い物質は、13から17炭素原子を有しかつケトン又はエステルを官能基として有する環により特徴づけられる。典型的なジャコウ匂い物質は、例えばシベトン、ムスコン、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレート及びシクロペンタデカノンである。これらジャコウ材料について言及する場合、調香師は一般的に“大きいジャコウの匂い”(“macromusk odour”)について言い、これら個々の化合物のいくつかは、その個々のノート及びアスペクトにおいて、互いに著しく異なる。
【0003】
新規で現代的な組成物の創作に関して、複雑なジャコウの特性を有する新規で現代的な香料組成物のベースとして適切な、特別な匂いの特性を有するジャコウ匂い物質に対して一定の要求が存在する。典型的なジャコウの匂いに加えて、望ましいジャコウ匂い物質は、該物質に嗅覚特性及び複雑さを与える他のノート及びアスペクトも有しなければならない。
本発明が導く適切なジャコウ匂い物質の探索は、以下の要因により、より困難であった:
− 嗅覚の機構が充分によく理解されていない;
− 一方において特定の嗅覚と、他方において対応する匂い物質の化学的構造との間の関係が充分に研究されてきていない;
− 公知の匂い物質の構造を小さく変更することでさえ、しばしばその感覚特性を明白に変更し、かつ人体によるその許容度に悪影響を及ぼす。
そのため、適切なジャコウ匂い物質の探索の成功は、探索者の直感に高く依存する。
【0004】
そのため、特別な匂いのノート及びアスペクトを香料組成物に対して賦与することを可能とする新たな匂い特性を有する大環状のジャコウ化合物を見出すことが、本発明の目的である。
驚くべきことに、この目的が(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンで達成できることが見出された。
【0005】
J.Am.Chem.Soc.,1955,77,5423及び米国特許2,790,005において、“強度のジャコウの匂い”を有する(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物が、部分的な還元及び引き続く脱水反応により、1,9−シクロヘキサデカンジオンから得られている。
J.Chem.Soc.1965,6679は、8−シクロヘキサデシン−1−オンの水素化による純粋な(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの合成を記載する。(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンは、“やや重いジャコウ”(“rather heavy musk”)として記載されている。
DE 2 111 753及びJ.Org.Chem.,1972,37,3846は、大環状化合物及びその調製方法を記載する。これら大環状化合物が、香料において通常はアニマルノートとみなされる“ジャコウの香り”を有することを、該文献はかなり一般的に述べている。方法は、モノエポキシ化、還元及び酸化による、1,9−シクロヘキサデカジエンからの、(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの調製に関して記載されている。しかしながら、詳細な匂いの記載は一切与えられていない。
【0006】
(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物の合成は、Tetrahedron,1965,21,1537において記載されている。アリューリット酸(Aleuritic Acid)(9,10,16−トリヒドロキシパルミチン酸)は、イソプロピリデン誘導体として保護され、酸化されてジカルボン酸となり、臭化水素化及びエステル化される。結果得られたジエステルから、続く処理における臭素除去の後に、(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物が得られる。著者の一般的な意見が、シクロヘキサデセノン類のジャコウの匂いは、二重結合の位置により影響を受けないと言うことであったため、彼らは該二つの個々の異性体の単離及び特徴付けに興味を持たなかった。
(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンから成る混合物は、今まで、Animusk(登録商標)(Fragrance Resources)の名称の下、限定された期間にわたって市販されてきた。
【0007】
驚くべきことに、構造(I)の(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンが(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び8−シクロヘキサデセン−1−オンの異性体と、匂いにおいて顕著に異なることが見出された。
【化1】

【0008】
(E,Z)−7−及び/又は(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの個々の異性体及び混合物の匂いの説明が、表1において述べられている。






表1
【表1】

【0009】
匂いの評価をされた該混合物は、以下の組成を有していた(GC分析から得られた値):
構造(II)の(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンは、77.7%の(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び21.8%の構造(I)の(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含んでいた。
(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンは、71.5%の(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オン及び28%の(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンを含んでいた。
(E,Z)−7及び(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物は、GC分析により、19.8%の(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、8.4%の構造(I)の(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、40.6%の(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オン及び30.5%の(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンを含むことが示された(以下の例1.2参照)。
純粋な異性体である(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オン及び(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンは、分解蒸留(Spaltrohr distillation)により、(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンから得られた。
【0010】
本明細書に示す広範な感覚の研究は、文献中に表される今まで知られていた7/8−シクロヘキサデセノンの感覚的な評価に関する、どちらかと言えば一般的な情報が、充分に正確でないか又は不正確であることを示した。
驚くべきことに、今まで知られていなかった(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンが、(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び8−シクロヘキサデセン−1−オンの異性体と、嗅覚の点、特に調香師による需要の多いその価値ある透明なニトロムスク調の香り、及びその清潔な、純粋なトーン及び強度のジャコウの匂いにおいて非常に顕著に異なる。
【0011】
“透明な”は、本明細書において、甘い、花様のかつ甘いパウダリーなジャコウの匂いにより特徴づけられる、ジャコウアンブレット(2,6−ジニトロ−3−メトキシ−1−メチル−4−tert.−ブチルベンゼン)の典型的なニトロムスクの匂いを意味するものと理解される。
調査された化合物のうち、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンは、最も強く最も清潔なジャコウの匂いを、特にジャコウアンブレットと同様のニトロムスクの匂いを有する。
【0012】
(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン(II)における(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン(I)及び(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの組み合わせは、個々の異性体よりもより複雑なジャコウの匂いを有し、より詳細には需要の多いウッディなアスペクトを共に有する透明なニトロムスクの匂いを有している。(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの好ましい質量割合は、6:1から1:2、より好ましくは4:1から1:1の範囲である。
(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンと、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン(I)及び(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンとの組み合わせは、結果としてかなり特別な匂いの効果を奏する。(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン混合物における、(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの有利である質量割合は、10:1から1:10、好ましくは5:1から1:5、より好ましくは2:1から1:4の範囲である。
【0013】
該(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン混合物は、純粋なトランス異性体(E)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物と比較して、より顕著な強さ、複雑さ、透明さ及び優雅さを有し、かつそれにより、新規かつ現代的な香料組成物における使用に特に適切である。
該(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン混合物は、本明細書で調査された混合物の中で最も顕著な複雑さを有しており、かつその自然さ及び放散により特徴づけられる。わずかなウッディなアクセントは、透明かつ高められたジャコウの匂いと例外的に適切に調和する。(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンとの直接的な比較において、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オンも、顕著に低い匂いの閾値を有する。
【0014】
他の匂い物質との混合物において、本発明で少量使用される(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンは、香料混合物の強度を増加させ、香料組成物の全体の印象を丸くし、かつより放散しかつ自然さを与えることができる。より多くの量において、清潔で力強いジャコウの匂いが前面に出て、かつ透明なニトロムスクのノートと一緒になる。(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンで得られる効果は、ジャコウアンブレットを暗示させ、かつ該組成物は優雅で、高められかつ透明なジャコウの匂いを有する。
【0015】
そのため、要約すると、本発明に従う以下の化合物及び混合物は驚くべき匂いの品質を有する:
−(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン;
−(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンと一以上の例えば以下の他の匂い物質又は芳香剤を含む匂い物質又は芳香剤混合物:
−(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンと(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質又は芳香剤混合物、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの質量割合が、6:1から1:2、好ましくは4:1から1:1の範囲で好ましく存在する。
− 以下を含む匂い物質又は芳香剤混合物:
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、
(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、
(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オン、及び
(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オン、
(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの質量割合が、10:1から1:10、より好ましくは5:1から1:5、さらに好ましくは2:1から1:4の範囲で好ましく存在する。
【0016】
本発明に従う好ましい匂い物質又は芳香剤混合物(上述の特徴として)が存在し、該混合物においては、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの割合が、50:1以下、好ましくは10:1以下であり、なぜならばそうでないと該混合物の感覚的な特性は要件を満たさないからである。
上記で述べたことに密接に関連する本発明の一観点は、ジャコウ匂い物質若しくは芳香剤としての、又はジャコウ匂い物質若しくは芳香剤混合物としての、先に特徴付けた(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物の使用である。
【0017】
ジャコウの匂いを放出、強化又は変調するための本発明の対応する方法において、先に特徴付けた(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物の感覚的に活性な量が、製品に接触され又は混合される。
7−シクロヘキサデセン−1−オンは、公知の1,8−シクロヘキサデカンジオンから、部分的な還元及び引き続く酸脱水により有利に調製できる(7−シクロヘキサデセン−1−オン及び8−シクロヘキサデセン−1−オンの混合物が得られる)。8−シクロヘキサデセン−1−オンは、公知の1,9−シクロヘキサデカンジオンから同じように得られる。1,8/1,9−シクロヘキサデカンジオンの混合物は同じように使用でき、これは(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン混合物の調製に対して特に有利である。1,8/1,9−シクロヘキサデカンジオンは、例えばJ.Org.Chem.1968,33,4541及び米国特許3,935,270で公知である。
【0018】
1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンの部分的な還元の生成物は、反応を起こしていない構造(S1a)のジケトン、構造(S1b)の所望のヒドロキシケトン、及び構造(S1c)のジオールを含む混合物である。
【化2】

ここでこれらの構造において、出発物質に依存して、(a)x及びy=6、又は(b)x=5かつy=7である。
【0019】
1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンの部分的な還元は、例えば、金属水素化合物との反応、又は水素化により行うことができる。
金属水素化物との反応は、例えば、水素化ホウ素、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム、又はアルミニウム水素化物、好ましくは水素化アルミニウムリチウム又はジイソブチルアルミニウムヒドリドを用いて行うことができる。有利には、シクロヘキサデカンジオンの量に対して計算された0.30−0.75モル当量が使用される。水素化ホウ素の場合において、該反応は、任意で水、プロトン性溶媒、例えばエタノール、メタノール又はイソプロパノール中で好ましく行われる。アルミニウム水素化物の場合において、該反応は、非プロトン性の溶媒、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はトルエン中で好ましく行われる。
【0020】
水素化のためには、水素を用いた触媒的な水素化が好ましく、及び一般的には周期表の第VIII族、例えばパラジウム、ニッケル又は白金からの水素化触媒の存在下で行われる。本発明に従った水素化触媒は、有機又は無機キャリアー材料で支持されても良い。該水素化触媒は、一のキャリアー材料又はキャリアー材料の混合物を含むことができる。有利なキャリアー材料として、活性化カーボン、カーボン、酸化アルミニウム、金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト、粘土、粘土粒子又はアモルファスアルミニウムシリケートをあげることができる。好ましい触媒は、活性化カーボン上のパラジウム、ラネーニッケル又は白金黒である。水素化は、溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン中で行うことができ、又は溶媒を用いずに、言い換えればバルク反応で行うことができる。典型的には、水素化は、100,000Pa(1バール)から10,000,000Pa(100バール)の範囲の水素圧力で行われ、温度は通常は20から150℃の範囲で行われる。1,8及び/又は1,9−シクロヘキサンデカンジオンに対する、使用される水素化触媒の質量割合は、0.00001:1から0.1:1の範囲である。
【0021】
不完全な水素化が、所望の構造(S1b)のヒドロキシケトンを形成させるために必要であるため、1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンに対する計算で、理論上の20−70%の水素の取り込みが好ましく、これにより二つのケトン基の完全な水素化は起こらない。
特に好ましいのは、水素化触媒としてのラネーニッケルの存在下で、任意で塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、又はアルカリ金属アルコレート、例えばナトリウムメタノレートの触媒量(通常は1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンに対して、0.05から5質量%)の存在下における触媒的な水素化である。好ましくは、該水素化は、100,000Pa(1バール)から5,000,000Pa(50バール)、特に好ましくは1,000,000Pa(10バール)から2,000,000Pa(20バール)の範囲の水素圧力で行われる。水素化の間の温度は、典型的には、20から100℃、好ましくは50から80℃の範囲である。
【0022】
1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンに対して計算して、理論上の30−60%の水素の取り込みが好ましく、35−55%がより好ましい。1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンに対して使用される水素化触媒の質量割合は、0.0001:1と0.1:1の間であり得、0.001:1から0.05:1の割合が好ましい。水素化の反応時間は、有利には1から50時間であり、好ましくは6から15時間である。水素化粗生成物における、所望の構造(S1b)のヒドロキシケトンのGC含量(ガスクロマトグラムで得られた含量)は、通常は40から70%の範囲である。
【0023】
本質的に化合物(S1a)、(S1b)及び(S1c)から成る水素化粗生成物は、さらなる精製を行わずに、脱離(脱水)反応で使用できる。
しかしながら、必要な場合には、該粗生成物を通常の方法(蒸留、クロマトグラフィー加えて結晶化)により精製でき、かつ該精製した構造(S1b)のヒドロキシケトンを続く脱水処理において使用できる。
第二の処理において、該構造(S1b)のヒドロキシケトンは、酸性条件下において、当業者に周知の方法により脱水される。適切な酸触媒は、例えば濃硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及び酸イオン交換体(例えば、商業上入手可能なLewatite(登録商標)又はAmberlite(登録商標)の範囲から)である。
【0024】
1,8及び/又は1,9−シクロヘキサデカンジオンの水素化から得られた粗生成物の脱水後、結果得られる混合物は、本質的には以下の生成物から成る:
【化3】

ここで再度、出発物質に依存して、x及びy=6又はx=5かつy=7である。
【0025】
純粋な1,9−シクロヘキサデカンジオンを用いて始めると、部分的な還元及び脱水は、1,9−シクロヘキサデカンジオン、(E,Z)−8−シクロヘキサデセノン、1,8−シクロヘキサデカジエン及び1,9−シクロヘキサデカジエンを生じる。
純粋な1,8−シクロヘキサデカンジオンを用いて始めると、部分的な還元及び脱離は、1,8−シクロヘキサデカンジオン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−8−シクロヘキサデセノン、1,7−シクロヘキサデカジエン、1,8−シクロヘキサデカジエン及び1,9−シクロヘキサデカジエンを生じる。
【0026】
従って、1,8及び1,9−シクロヘキサデカンジオン(GC分析は約1:1の割合を示した)を用いて始めると、部分的な還元及び続く脱水の後に、(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンが約3:7の割合で存在する生成物が得られた。
加えて、以下の処理を含む代替的な方法が、本発明に従った構造(II)の(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを調製するために開発された:
− 7−オクテンカルボン酸をN,O−ジメチルヒドロキシルアミンと縮合させて、オクタ−7−エン酸のメトキシメチルアミドとし、
− 1−ブロモ−9−デセンを対応するグリニャール化合物に変換し、
− オクタ−7−エン酸のメトキシメチルアミドと該グリニャール化合物とを反応させて、1,17−オクタデカジエン−8−オンを与え、
− 閉環オレフィンの複分解により1,17−オクタデカジエン−8−オンを(E,Z)−7−シクロヘキサデセノンに転化する。
【0027】
第一の処理において、7−オクテンカルボン酸[J.Org.Chem.,1968,33,1550−1556]とN,O−ジメチルヒドロキシルアミンとの縮合は、オクタ−7−エン酸のメトキシメチルアミド(Weinrebアミド)[Synthesis,2000,1852−1862]を与える。
その後、対応するグリニャール化合物に転化された1−ブロモ−9−デセンが、上記Weinrebアミドと反応して、1,17−オクタデカジエン−8−オンを与える。
本発明の(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン(II)は、その後、閉環オレフィン複分解において、α,ω−不飽和ジエンである1,17−オクタデカジエン−8−オンから調製される。例えば、1,17−オクタデカジエン−8−オンは、0.5から10モル%のMo、W又はRuに基づいた複分解触媒存在下における、0.01−0.001モル溶液として反応する。有利には、該反応は、ベンジリデン−ビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)−ジクロロルテニウム(グラッブス触媒)[Synthesis,1977,792;Synlett,1997,1010]の存在下において行われる。
【0028】
本発明の方法は、以下の式により記載できる;
【化4】

【0029】
本発明は、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む芳香を発する製品又は先に特徴付けた(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物にも関する。
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オンと有利に組み合わせることができる他の通常の香料成分は、例えばSteffen Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,private publication,Montclair,N.J.,1969;K.Bauer,D.Garbe,H.Surburg,Common Fragrance and Flavor Materials,4thEdition,Wiley−VCH,Weinheim 2001において列挙されている。
【0030】
特に、以下のものがあげられる:
自然原材料の抽出物、例えばエッセンシャルオイル、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えばアンバーグリスチンキ;アミリス油;アンゼリカ種油;アンゼリカ根油;アニス油;吉草油;メボウキ油;ウッドモスアブソリュート;ベイ油;ヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソリュート;バーチタール油;クヘントウ油;セイボリー油;ブッコリーフ油(bucco−leaf oil);カブレウバ油(cabreuva oil);カデ油;ショウブ油;ショウノウ油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カシア油;カシアアブソリュート;カストリウムアブソリュート;シーダー葉油;シーダー油;キスツス油;シトロネラ油;レモン油;コパイバ油;コパイババルサム油;コエンドロ油;コスタス根油;クミン油;シプレス油(cypress oil);ダバナ油(davana oil);イノンド油;イノンド種油(dillseed oil);オウデブロウツアブソリュート(eau de brouts absolute);オークモスアブソリュート;エレミ油;エストラゴン油;ユーカリシトリオドラ油;ユーカリ油;ウイキョウ油;ファーニードル油;ガルバヌム油;ガルバヌム樹脂;ゲラニウム油;グレープフルーツ油;グアイアク油;ガージャン油;ガージャン含油樹脂油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ジンジャー油;アイリスルートアブソリュート;アイリスルート油;ジャスミンアブソリュート;ショウブ油;ブルーカモミール油(blue camomile oil);ローマンカモミール油(Roman camomile oil);ニンジン種油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;カラウェー油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンディンアブソリュート;ラバンディン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ラベージ油;蒸留ライム油;圧縮ライム油;リナロエ油;リッツァキュベバ油(litsea cubeba oil);ベイリーフ油;メース油;マヨラナ油;マンダリン油;マソイバーク油(massoi bark oil);ミモサアブソリュート;アンブレット油;ジャコウのチンキ;クラリセージ油;ニクズク油;ミルラアブソリュート;ミルラ油;ミルテ油;クローブリーフ油(clove leaf oil);クローブフラワー油(clove flower oil);ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナックス油;オレンジブラッサムアブソリュート;オレンジ油;オリガヌム油;パルマローザ油;パッチュリ油;えの油;ペルーバルサム油;パセリリーフ油;パセリシード油;プチグレン油;ペパーミント油;コショウ油;ピメント油;パイン油;ペニローヤル油;ローズアブソリュート;ロジウム油;バラ油;ロスマリン油;セージ油;スパニッシュセージ油(Spanish sage oil);ビャクダン油;セロリ種子油;ラベンダースパイク油;ジャパニーズアニシード油(Japanese aniseed oil);スチラックス油(styrax oil);タジェティーズ油(tagetes oil);ファーニードル油;ティーツリー油;テレビン油;サイム油;トルーバルサム;トンカアブソリュート;チュベローズアブソリュート;バニラエキス;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチバー油;杜松子油;ワインリース油(wine−lees oil);アブサン油;ウインターグリーン油;イラン油;ヒソップ油;シベットアブソリュート;シナモンリーフ油;シナモンバーク油;加えて、これらの画分又はこれらから単離された成分;
【0031】
炭化水素の群からの個々の匂い物質、例えば3−カレン;α−ピネン;β−ピネン;α−テルピネン;γ−テルピネン;p−シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン、セドレン;ファルネセン;リミネン(liminene);ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)−1,3,5−ウンデカトリエン;
− 脂肪族アルコール、例えばヘキサノール;オクタノール;3−オクタノール;2,6−ジメチルヘプタノール;2−メチルヘプタノール;2−メチルオクタノール;(E)−3−ヘキセノール;(E)及び(Z)−3−ヘキセノール;1−オクテン−3−オール;3,4,5,6,6−ペンタメチル−3/4−ヘプテン−2−オールと3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−オールの混合物;(E,Z)−2,6−ノナジエノール;3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール;9−デセノール;10−ウンデセノール;4−メチル−3−デセン−5−オール;脂肪族アルデヒド及びそれら1,4−ジオキサシクロアルケン−2−オン、例えばヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2−メチルオクタナール;2−メチルノナナール;(E)−2−ヘキセナール;(Z)−4−ヘプテナール;2,6−ジメチル−5−ヘプテナール;10−ウンデセナール;(E)−4−デセナール;2−ドデセナール;2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;
【0032】
− 脂肪族ケトン及びこれらのオキシム、例えば2−ヘプタノン;2−オクタノン;3−オクタノン;2−ノナノン;5−メチル−3−ヘプタノン;5−メチル−3−ヘプタノンオキシム;2,4,4,7−テトラメチル−6−オクテン−3−オン;脂肪族硫黄含有化合物、例えば3−メチルチオヘキサノール;3−メチルチオヘキシルアセテート;3−メルカプトヘキサノール;3−メルカプトヘキシルアセテート;3−メルカプトヘキシルブチレート;3−アセチルチオヘキシルアセテート;1−メンテン−8−チオール;
− 脂肪族ニトロ、例えば2−ノネンニトリル;2−トリデセネンニトリル(2−tridecenenenitrile);2,12−トリデセネン−ニトリル(2,12−tridecenene−nitrile);3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンニトリル;3,7−ジメチル−6−オクテンニトリル;
【0033】
− 脂肪族カルボン酸及びそれらのエステル、例えば(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルホルメート;エチルアセトアセテート;イソアミルアセテート;ヘキシルアセテート;3,5,5−トリメチルヘキシルアセテート;3−メチル−2−ブテニルアセテート;(E)−2−ヘキセニルアセテート;(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルアセテート;オクチルアセテート;3−オクチルアセテート;1−オクテン−3−イルアセテート;エチルブチレート;ブチルブチレート;イソアミルブチレート;ヘキシルブチレート;(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルイソブチレート;ヘキシルクロトネート;エチルイソバレレート;エチル 2−メチルペンタノエート;エチルヘキサノエート;アリルヘキサノエート;エチルヘプタノエート;アリルヘプタノエート;エチルオクタノエート;エチル(E,Z)−2,4−デカジエノエート;メチル2−オクチノエート;メチル2−ノニノエート;アリル−2−イソアミルオキシアセテート;メチル−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノエート;
− 非環式テルペンアルコール、例えばシトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンジュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール;2,6−ジメチルオクタン−2−オール;2−メチル−6−メチレン−7−オクテン−2−オール;2,6−ジメチル−5,7−オクタジエン−2−オール;2,6−ジメチル−3,5−オクタジエン−2−オール;3,7−ジメチル−4,6−オクタジエン−3−オール;3,7−ジメチル−1,5,7−オクタトリエン−3−オール;2,6−ジメチル−2,5,7−オクタトリエン−1−オール;及びこれらのフォルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、3−メチル−2−ブテノエート;
【0034】
− 非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばゲラニアール;ネラール;シトロネラール;7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール;7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール;2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール;ゲラニルアセトン;並びにゲラニアール、ネラール、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタール;
− 環状テルペンアルコール、例えばメントール;イソプレゴール;アルファ−テルピネオール;テルピネオール−4;メンタン−8−オール;メンタン−1−オール;メンタン−7−オール;ボルネオール;イソボルネオール;リナロールオキシド;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアイオール;及びこれらのフォルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート、3−メチル−2−ブテノエート;
【0035】
− 環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えばメントン;イソメントン;8−メルカプトメンタン−3−オン;カルボン;カンファー;フェンコン;アルファ−イオノン;ベータ−イオノン;アルファ−n−メチルイオノン;ベータ−n−メチルイオノン;アルファ−イソメチルイオノン;ベータ−イソメチルイオノン;アルファ−イロン;アルファ−ダマスコン;ベータ−ダマスコン;ベータ−ダマセノン;デルタ−ダマスコン;ガンマ−ダマスコン;1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン;1,3,4,6,7,8a−ヘキサヒドロ−1,1,5,5−テトラメチル−2H−2,4a−メタノナフタレン−8(5H)−オン;ヌートカトン;ジヒドロヌートカトン;アルファ−シネンサール;ベータ−シネンサール;アセチル化したセダー油(メチルセドリルケトン);
− 環状アルコール、例えば4−tert.−ブチルシクロヘキサノール;3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール;3−イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9−トリメチル−Z2,Z5,E9−シクロドデカトリエン−1−オール;2−イソブチル−4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;
【0036】
− 脂環式アルコール、例えばアルファ−3,3−トリメチルシクロヘキシルメタノール;2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)ブタノール;2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−2−ブテン−1−オール;2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−2−ブテン−1−オール;3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−ペンタン−2−オール;3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ペンタン−3−オール;1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オール;
− 環式及び脂環式エーテル、例えばシネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;アルファ−セドレンエポキシド;3a,6,6,9a−テトラメチル−ドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン;3a−エチル−6,6,9a−トリメチルドデカヒドロ−ナフト[2,1−b]フラン;1,5,9−トリメチル−13−オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ−4,8−ジエン;ローズオキサイド;2−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−5−メチル−5−(1−メチルプロピル)−1,3−ジオキサン;
【0037】
− 環状ケトン、例えば4−tert.−ブチルシクロヘキサノン;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;2−ヘプチルシクロペンタノン;2−ペンチルシクロペンタノン;2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−シス−2−ペンテン−1−イル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−4−シクロペンタデセノン;3−メチル−5−シクロペンタデセノン;3−メチルシクロペンタデカノン;4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン;4−tert.−ペンチルシクロヘキサノン;5−シクロヘキサデセン−1−オン;6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン;9−シクロヘプタデセン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノン;
− 脂環式アルデヒド、例えば2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;2−メチル−4−(2,2,6−トリメチル−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナール;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;4−(4−メチル−3−ペンテン−1−イル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;
【0038】
− 脂環式ケトン、例えば1−(3,3−ジメチルシクロヘキシル)−4−ペンテン−1−オン;1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2−ナフタレニルメチルケトン;メチル−2,6,10−トリメチル−2,5,9−シクロドデカトリエニルケトン;tert.−ブチル(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)ケトン;
− 脂環式アルコールのエステル、例えば2−tert.−ブチルシクロヘキシルアセテート;4−tert.−ブチル−シクロヘキシルアセテート;2−tert.−ペンチルシクロヘキシルアセテート;4−tert.−ペンチルシクロヘキシルアセテート;デカヒドロ−2−ナフチルアセテート;3−ペンチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテート;デカヒドロ−2,5,5,8a−テトラメチル−2−ナフチルアセテート;4,7−メタノ−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−5又は6−インデニルアセテート;4,7−メタノ−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−5又は6−インデニルプロピオネート;4,7−メタノ−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−5又は6−インデニルイソブチレート;4,7−メタノオクタヒドロ−5又は6−インデニルアセテート;
【0039】
− 脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3−シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;メチルジヒドロジャスモネート;メチルジャスモネート;メチル2−ヘキシル−3−オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2−エチル−6,6−ジメチル−2−シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6−テトラメチル−2−シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−アセテート;
− 芳香族炭化水素、例えばスチレン及びジフェニルメタン;
− アルアリファチックなアルコール、例えばベンジルアルコール;1−フェニルエチルアルコール;2−フェニルエチルアルコール;3−フェニルプロパノール;2−フェニルプロパノール;2−フェノキシエタノール;2,2−ジメチル−3−フェニルプロパノール;2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール;1,1−ジメチル−2−フェニルエチルアルコール;1,1−ジメチル−3−フェニルプロパノール;1−エチル−1−メチル−3−フェニルプロパノール;2−メチル−5−フェニルペンタノール;3−メチル−5−フェニルペンタノール;3−フェニル−2−プロペン−1−オール;4−メトキシベンジルアルコール;1−(4−イソプロピルフェニル)エタノール;
【0040】
− アルアリファチックなアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えばベンジルアセテート;ベンジルプロピオネート;ベンジルイソブチレート;ベンジルイソバレレート;2−フェニルエチルアセテート;2−フェニルエチルプロピオネート;2−フェニルエチルイソブチレート;2−フェニルエチルイソバレレート;1−フェニルエチルアセテート;アルファ−トリクロロメチルベンジルアセテート;アルファ,アルファ−ジメチルフェニルエチルアセテート;アルファ,アルファ−ジメチルフェニルエチルブチレート;シンナミルアセテート;2−フェノキシエチルイソブチレート;4−メトキシベンジルアセテート;アルアリファチックなエーテル、例えば2−フェニルエチルメチルエーテル;2−フェニルエチルイソアミルエーテル;2−フェニルエチル1−エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6−トリメチル−4−フェニル−1,3−ジオキサン;4,4a,5,9b−テトラヒドロインデノ[1,2−d]−m−ジオキシン;4,4a,5,9b−テトラヒドロ−2,4−ジメチルインデノ[1,2−d]−m−ジオキシン;
【0041】
− 芳香族及びアルアリファチックアルデヒド、例えばベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3−フェニルプロパナール;ヒドラトロプアルデヒド;4−メチルベンズアルデヒド;4−メチルフェニルアセトアルデヒド;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)プロパナール;2−メチル−3−(4−tert.−ブチルフェニル)プロパナール;3−(4−tert.−ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;アルファ−ブチルシンナムアルデヒド;アルファ−アミルシンナムアルデヒド;アルファ−ヘキシルシンナムアルデヒド;3−メチル−5−フェニルペンタナール;4−メトキシベンズアルデヒド;4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド;4−ヒドロキシ−3−エトキシベンズアルデヒド;3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4−ジメトキシ−ベンズアルデヒド;2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロパナール;2−メチル−3−(4−メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
【0042】
− 芳香族及びアルアリファチックなケトン、例えばアセトフェノン;4−メチルアセトフェノン;4−メトキシアセトフェノン;4−tert.−ブチル−2,6−ジメチルアセトフェノン;4−フェニル−2−ブタノン;4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン;1−(2−ナフタレニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6−ヘキサメチル−5−インダニルメチルケトン;6−tert.−ブチル−1,1−ジメチル−4−インダニルメチルケトン;1−[2,3−ジヒドロ−1,1,2,6−テトラメチル−3−(1−メチルエチル)−1H−5−インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’,−テトラヒドロ−3’,5’,5’,6’,8’,8’−ヘキサメチル−2−アセトナフトン;
− 芳香族及びアルアリファチックカルボン酸並びにこれらのエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸;メチルベンゾエート;エチルベンゾエート;ヘキシルベンゾエート;ベンジルベンゾエート;メチルフェニルアセテート;エチルフェニルアセテート;ゲラニルフェニルアセテート;フェニルエチルフェニルアセテート;メチルシンナメート;エチルシンナメート;ベンジルシンナメート;フェニルエチルシンナメート;シンナミルシンナメート;アリルフェノキシアセテート;メチルサリシレート;イソアミルサリシレート;ヘキシルサリシレート;シクロヘキシルサリシレート;シス−3−ヘキセニルサリシレート;ベンジルサリシレート;フェニルエチルサリシレート;メチル2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾエート;エチル3−フェニルグリシデート;エチル3−メチル−3−フェニルグリシデート;
【0043】
− 窒素含有芳香族化合物、例えば2,4,6−トリニトロ−1,3−ジメチル−5−tert.−ブチルベンゼン;3,5−ジニトロ−2,6−ジメチル−4−tert.−ブチルアセトフェノン;シンナモニトリル;5−フェニル−3−メチル−2−ペンテンニトリル;5−フェニル−3−メチルペンタンニトリル;メチルアンスラニラート;メチルN−メチルアンスラニラート;7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナールとメチルアンスラニラートのシッフ塩基;2−メチル−3−(4−tert.−ブチルフェニル)プロパナール又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;6−イソプロピルキノリン;6−イソブチルキノリン;6−sec.−ブチルキノリン;インドール;スカトール;2−メトキシ−3−イソプロピルピラジン;2−イソブチル−3−メトキシピラジン;
− フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えばエストラゴール;アネトール;オイゲノール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;ベータ−ナフチルメチルエーテル;ベータ−ナフチルエチルエーテル;ベータ−ナフチルイソブチルエーテル;1,4−ジメトキシベンゼン;オイゲニルアセテート;2−メトキシ−4−メチルフェノール;2−エトキシ−5−(1−プロペニル)フェノール;p−クレシルフェニルアセテート;
【0044】
− 複素環式化合物、例えば2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−2H−フラン−3−オン;2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−2H−フラン−3−オン;3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン;2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン;
− ラクトン、例えば1,4−オクタノリド;3−メチル−1,4−オクタノリド;1,4−ノナノリド;1,4−デカノリド;8−デセン−1,4−オリド;1,4−ウンデカノリド;1,4−ドデカノリド;1,5−デカノリド;1,5−ドデカノリド;1,15−ペンタデカノリド;シス及びトランス−11−ペンタデセン−1,15−オリド;シス及びトランス−12−ペンタデセン−1,15−オリド;1,16−ヘキサデカノリド;9−ヘキサデセン−1,16−オリド;10−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;11−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;12−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;エチレン1,12−ドデカンジオエート;エチレン1,13−トリデカンジオエート;クマリン;2,3−ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン。
【0045】
本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン又は(Z)−7−シクロヘキサデセノンを含む香油は、溶媒に希釈していないか又は希釈した液体の形態において、香り付与の目的で使用できる。有用な溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート;トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート等である。
(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン又は(Z)−7−シクロヘキサデセノンを含む香油の多くの適用において、製品における匂い物質の優れた分布、及び使用する間のそれらの制御された放出の両方を提供するキャリアー物質に吸収させることが有利である。該キャリアーは、多孔質の無機材料、例えばライトサルフェート(light sulphate)、シリカゲル、ゼオライト、せっこう、粘土、粒状粘土、ガスコンクリート等、又は有機材料、例えば木、セルロースベースの材料、糖又はプラスチック、例えばPVC、ポリビニルアセテート又はポリウレタンであり得る。
【0046】
他の適用のために、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン又は(Z)−7−シクロヘキサデセノンを含む香油については、マイクロカプセル化され、スプレードライされて包含複合体又は押し出し成型品の形態とされること、及びこの形態で香りを与えられるべき(出発)製品に添加されることが有利である。
この方法で変調された香油の特性は、時にはさらに最適化され、適切な材料、ワックス状のプラスチック、例えば好ましく使用されるポリビニルアルコールでコーティングされることにより、さらなる目標とする香りの放出を提供する。
【0047】
香油は、例えばポリウレタン様の材料又は柔らかいゼラチンから成るカプセル材料を用いたコアセルベーション法によりマイクロカプセル化できる。スプレードライされた香油は、例えば香油を含むエマルション又は分散物のスプレードライにより得ることができ、この目的のために加工デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物ガムをキャリアー材料として使用することができる。包接複合体は、例えば香油の分散物とシクロデキストリン又は尿素誘導体を適切な溶媒、例えば水に導入することにより調製できる。押し出し成型品は、任意で適切な溶媒、例えばイソプロパノール中で、香油を適切なワックス状材料と共に溶融させ、続いて押し出し成形し、続いて硬化させることにより得ることができる。
【0048】
本発明の化合物である、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン又は(Z)−7−シクロヘキサデセノンを含む香油は、濃縮形態、溶液又は例えば以下のものを調製するための変更したいかなる形態でも使用できる:香料抽出物、オーデパフューム(eaux de parfum)、オードトワレ、シェービングローション、オーデコロン、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン(splash cologne)及び香料拭き取り材(perfumed wipe)、同様に芳香性酸性、アルカリ性又は中性洗剤、例えば床洗剤、窓洗剤、食器洗い洗浄剤、浴槽洗剤及び殺菌剤、研磨クリーム、固形及び液状トイレ洗剤、粉末及びムースカーペット洗浄剤、液状洗剤、粉末洗剤、洗濯物前処理製品、例えば、漂白剤、浸漬製品及びシミ除去剤、柔軟剤、洗濯石けん、洗濯錠剤、消毒薬、硬質表面殺菌剤、同様に液体若しくはゲル状又は固形キャリアーに適用される空気向上剤、エアロゾルスプレー、ワックス及び光沢剤、例えば家具光沢剤、フロアーワックス、靴クリーム、同様にトイレタリー用品、例えば固形及び液状石けん、シャワージェル、シャンプー、ひげそり用石けん、シェービングフォーム、バスオイル、水中油、油中水、及び水中油中水型の化粧品エマルション、例えば、スキンクリーム及びローション、フェースクリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、アフターサンクリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛剤クリーム及びローション、アフターシェーブクリーム及びローション、日焼けクリーム及びローション、ヘアケア製品、例えばヘアースプレー、ヘアージェル、ヘアローション、ヘアーコンディショナー、持続性の又は半持続性の毛染め剤、ヘアシェイピング製品例えば、コールドウェービング及び髪クセ取り製品、ヘアートニック、ヘアークリーム及びローション、脱臭剤及び発汗抑制剤、例えば脇の下のスプレー、ロールオン、スティック脱臭剤、クリーム脱臭剤又は装飾用化粧品。
【0049】
香油組成物(=匂い物質混合物)において使用される(Z)−7−シクロヘキサデセノンの量は、香油組成物の合計量に基づいて計算して、通常は0.001から70質量%、好ましくは0.05から50質量%、より好ましくは0.5から25質量%の範囲である。
香油組成物において使用される(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン又は(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンの量は、香油組成物の合計量に基づいて計算して、通常は0.01から90質量%、好ましくは0.1から70質量%、より好ましくは1から40質量%の範囲である。
【0050】
本発明の材料と組み合わせることができる添加剤は、例えば以下のものである:
防腐剤、研磨剤、抗アクネ剤、抗皮膚老化剤、抗菌剤、抗セルライト剤、抗ふけ剤、抗炎症剤、刺激防止又は阻害剤、抗菌物質、抗酸化剤、収斂剤、発汗抑制剤、殺菌剤、静電気防止剤、結合材、緩衝材、キャリアー、キレート剤、細胞刺激物、洗浄剤、治療剤、脱毛剤、界面活性剤、脱臭剤、発汗抑制剤、柔軟剤、乳化剤、酵素、エッセンシャルオイル、繊維、フィルム形成剤、固定液、発泡剤、泡安定剤、泡抑制剤、泡促進剤、殺真菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェイピング剤、髪クセ取り剤、湿気剤、湿潤剤、湿潤剤、漂白剤、のり付け剤、シミ除去剤、光学光沢剤、防水剤、シミ防止剤、摩擦減少剤、潤滑剤、モイスチャークリーム、軟膏剤、曇り剤、可塑剤、乳白剤、光沢剤、つや出し剤、ポリマー、粉末、タンパク、リファッティング剤(refatting agent)、剥離剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚ライトニング剤、皮膚保護剤、皮膚ソフトニング剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加熱剤、皮膚加熱剤、安定剤、UV吸収剤、UVフィルター、洗濯洗浄剤、織物柔軟剤、懸濁剤、皮なめし剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ不飽和又は多価不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護材、顔料、抗腐食剤、フレーバー、フレーバー材料、脱臭材料、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体。
【0051】
(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン及び(Z)−7−シクロヘキサデセノンは、他のジャコウ匂い物質と共に使用して、さらなる組み合わせ及び興味ある嗅覚の効果を生成でき;さらにより多面的なジャコウのノートが、特に大環状のケトン、特にはジャコウの匂いを有するラクトンとの組み合わせにおいて得ることができる。ラクトンのうち、1,15−シクロペンタデカノリド、11−ペンタデセン−15−オリド、12−ペンタデセン−15−オリド、1,16−ヘキサデカノリド及びエチレンブラシレート又はこれらの混合物が好ましい。ケトンのうち、ムスコン、シベトン、ムスセノン、シクロペンタデカノン及びシクロヘキサデカノンが有利である。
【0052】
(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン及び(Z)−7−シクロヘキサデセノン化合物、並びに本発明に従った混合物、並びに本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−7−シクロ−ヘキサデセノン及び(Z)−7−シクロヘキサデセノンを含む匂い物質又は芳香剤混合物(上記で特徴づけたもの)は、良好な吸収性(基質に対する付着性)及び良好な直接性(相、通常は水性相から基質上に吸収され、かつ洗浄又は水洗の後に基質上に残る能力)により特徴づけられる。この効果は、特に基質、例えば皮膚、髪及び織られた繊維(例えば、ウール、綿、リネン、合成繊維)上で得られる。
従って、本発明に従って特に好ましい芳香を発する製品は、洗剤、トイレタリー用品及びケア製品、特にパーソナルケア、化粧品及び家庭用の分野におけるものである。
【0053】
組成物の強さを向上し(言い換えれば固定剤として作用し)又は嗅覚の強度を促進する(言い換えると促進剤として作用する)匂い物質は、香料組成物にとって相当な興味あるものでもある。
高い吸収性を有するだけでなく、(Z)−7−シクロヘキサデセノン及び本発明の混合物は、これらの固定特性によっても特徴づけられる。この種の固定剤は、それらの蒸気圧を低下させるか、又は臭気の強化により(例えば、閾値を低下させることにより)、他の匂い物質の強さを増加させる。従ってその結果、本発明は、固定剤としての(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物(上記で特徴づけたもの)の使用にも関する。
さらに、(Z)−7−シクロヘキサデセノン及び本発明の混合物は、固定剤としてだけでなく、促進剤又は強化剤としても作用し、換言すれば、それらは匂い物質、匂い物質の混合物及び香料組成物の匂い又は嗅覚を強める。従って結果として、本発明は、匂い物質又は匂い物質組成物の嗅覚を促進する手段として、(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質混合物(上記で特徴づけたもの)の使用にも関する。
【0054】
匂い物質組成物における(Z)−シクロヘキサデセノン及び本発明に従った混合物の上記記載の効果は、特に使用する間の匂いの変化の比較から明白である。
以下の例は、本発明を説明する;他に述べない限りは、全ての部及びパーセンテージは、質量による。
【0055】

例1:(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オンの調製
例1.1
3モル(758g)の、1,8及び1,9−シクロヘキサデカンジオン(異性体割合1:1)の混合物が、3質量%のラネーニッケルが存在する800mlのイソプロパノール中で、温度80℃及び水素圧力1,000,000(10バール)−2,000,000Pa(20バール)で水素化された。40%の理論量の水素を取り込んだ後、水素化を止め、該反応混合物を触媒から濾過し、溶媒を除去した。23%の8−/9−ジヒドロキシシクロヘキサデカン、53%の8−/9−ヒドロキシシクロヘキサデカノン及び23%の1,8−/1,9−シクロヘキサデカンジオンの組成物(GC含量)を有する、758gの粗生成物を得た。この粗生成物は、精製することなく続く脱水処理において使用された。
【0056】
例1.2
攪拌機、内部温度計、水分離器及びマントルヒーターを有する2−リットル三ツ口フラスコ中に、600gのトルエン中の例1.1.で得た混合物を負荷し、かつ20gの濃硫酸を添加した。該混合物を、水が形成しなくなるまで(分離された水の容積:約62ml)、攪拌を続けながら水分離器で沸点まで加熱した。室温まで冷却した後、250gの水、5gのAcOH及び15gのNaClを添加し、攪拌し及び該相を分離した。該有機相を、注意しながら250mlの飽和NaHCO3溶液を添加することにより中和し、結果得られた混合物を、良好な相分離のため70℃まで加熱し、その後はさらに600gのトルエンを添加して、該相を再度分離した。トルエンを除去した後、GC含量で22%のシクロヘキサデカジエン、53%の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン及び22%の1,8/1,9−シクロヘキサデカンジオンを有する574gの粗生成物を得た。7プレートのSiegwartカラムでの蒸留後、252gの(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセン−1−オン(B.P.117−120℃、40,000Pa(0.4バール))が得られ、これは以下の組成物を有していた(GC):19.8%の(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、8.4%の(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、40.6%の(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オン及び30.5%の(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オン。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ(ppm)=1.30−1.401(m,14H)、1.56−1.70(m,4H)、2.00−2.08(m,4H)、2.32−2.46(m,4H)、5.24−5.38(m,2H)。
【0057】
例2:(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン
1−ブロモ−9−デセン(10−ブロモ−デカ−1−エン):
250mlのジクロロメタン中の20g(0.14モル)のトリフェニルホスフィンの溶液を窒素雰囲気下で−10℃に冷却した。次いで、22.53g(0.14モル)の臭素を、注意しながら反応混合物が色彩においてちょうど黄色になるまで滴下した。次いで、少量のトリフェニルホスフィン結晶を、攪拌しながら該黄色の色彩が消滅するまで添加した。該無色の懸濁液に対して、20g(0.12モル)の10−デセン−1−オール(供給元:シグマ−アルドリッチ)を添加し、冷却バスを除去し、及び攪拌を20℃で2時間継続した。その後、50mlの飽和NaHCO3溶液を注意しながら添加し、該混合物を100mlのシクロヘキサンで希釈した。該相を分離し、かつ該水性相を50−ml部のシクロヘキサンで3回抽出した。該合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。該残渣をシクロヘキサンに溶解し、4℃に冷却した。該沈殿したトリフェニルホスフィンオキシドを濾取し、該濾過残渣を少量のシクロヘキサンで洗浄し、かつ濾液を再度濃縮した。結果得られた残渣のカラムクロマトグラフの画分が、淡黄色の油として24g(0.11モル)の1−ブロモ−9−デセンを与えた。
【0058】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.30−1.46(m、10H)、1.82−1.89(m,2H)、2.00−2.08(m,2H)、3,405(t,J=6,87Hz、2H)、4.93(ddt,J=10.1、4.9、2.23Hz,1H)、4.99(ddt,17.1,4.9,2.18Hz,1H)、5.8(ddt,17.1,10.1,6.56Hz,2H)。
13C−NMR(101MHz,CDCl3):δ(ppm)=28.16,28.72,28.87,29.00,29.27,32.83,33.77,34.00,114.19,139.13。
【0059】
7−オクテン酸のメトキシメチルアミド
1.10g(7.73ミリモル)の7−オクテン酸[J.Org.Chem.,1968,33,1550−1556]を35mlのジクロロメタン中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、1.75ml(10.05ミリモル)のエチル−ジイソプロピルアミン、935mg(9.6ミリモル)のN,O−ジメチルヒドロキシルアミンハイドロクロライド及び1.63g(8.50ミリモル)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを添加した。その後、該負荷を0℃に冷却し、触媒品質のN,N−ジメチルアミノピリジンを添加した。該反応混合物を室温で一晩攪拌した。該沈殿したウレア誘導体を濾取し、濾液を濃縮した。該残渣をペンタンに溶解させ、沈殿した全てのウレア誘導体を再度濾取した。該有機相を0.5Mの塩酸で2回、及び飽和NaHCO3溶液で1回洗浄し、乾燥して濃縮した。カラムクロマトグラフの画分が、1g(5.41ミリモル)のオクタ−7−エン酸のメトキシメチルアミドを与えた。
【0060】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.31−1.47(m,4H)、1.64(q,J=7.46Hz,2H)、2.05(dt,J=6.81,1.38Hz,2H)、2.41(t,7.58Hz,2H)、3.17(s,3H)、3.68(s,3H)、4.93(ddt,J=10.16,2.1,1.23Hz,1H)、4.99(ddt,J=17.1,2.1,1.5Hz,1H)、5.80(ddt,J=17.01,10.1,6.7Hz,1H)。
13C−NMR(101MHz,CDCl3):δ(ppm)=24.48,28.70,28.92,31.86,32.21,33.63,61.20,114.32,138.97,174.69。
【0061】
1,17−オクタデカジエン−8−オン
グリニャール溶液を、窒素環境下で、2.15g(8.53ミリモル)の10−ブロモデカ−1−エン及び249mg(10.22ミリモル)のマグネシウム粉末から、20mlのジエチルエーテル中で調製した。該新しいグリニャール溶液を、N2雰囲気下の0℃で、790mg(4.26ミリモル)のオクタ−7−エン酸のメトキシメチルアミドと10mlのジエチルエーテルの溶液に、ゆっくりと滴下して加えた。次いで攪拌を20℃で一時間継続した。該負荷をNH4Cl溶液で慎重に急冷し、次いでジエチルエーテルで2回抽出した。該有機相を再度水で洗浄し、乾燥し及び濃縮した。カラムクロマトグラフの画分が、820mg(3.11ミリモル)のオクタデカ−1,17−ジエン−8−オンを与えた。
【0062】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.25−1.44(m,14H)、1.53−1.61(m,4H)、2.0−2.08(m,4H)、2.37(t,J=7,4Hz,2H)、2.38(t,J=7.4Hz,2H)、4.92(ddt,J=10.2,2.8,1.2Hz,1H)、4.93(ddt,J=10.2,2.8,1.2Hz,1H)、4.98(ddt,J=17.1,2.2,1.6Hz,1H)、4.99(ddt,J=17.1,2.2,1.6Hz,1H)、5.79(ddt,J=17.1,10.3,6.7Hz,1H)、5.80(ddt,J=17.1,10.3,6.7Hz,1H)。
13C−NMR(101MHz,CDCl3):δ(ppm)=23.71,23.88,28.69,28.73,28.92,29.08,29.26,29.32,29.37,33.59,33.80,42.73,42.83,114.15,114.38,138.86,139.17,211.51。
【0063】
(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン/異性体の分離:
560mlのCH2Cl2中の820mg(3.11ミリモル)のオクタデカ−1,17−ジエン−17−オン溶液に対して、20mlのCH2Cl2に溶解させた200mg(0.243ミリモル)のベンジリデン−ビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)−ジクロロルテニウム(グラッブス触媒)を添加し、環流下で6−8時間加熱した。室温まで冷却した後、該反応溶液を100−ml部の1N塩酸で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、短いシリカゲルカラムで濾過した。溶媒を除去した後、670gの粗(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン((E):(Z)異性体の割合が、約3:1)を得た。
300mg(GC純度が約95%)の(E,Z)−7−シクロヘキサデセノンがHPLCによって予備的に分離された。97%を超えるGC純度を有する170mgの(E)−7−シクロヘキサデセノン、及び97%を超えるGC純度を有する55mgの(Z)−シクロヘキサデセノン、及び50mgの(E,Z)−7−シクロヘキサデセノン混合画分が得られた。
【0064】
HPLC条件:カラム:Saphir 110 Si,5μm,125×20mm,溶離剤:ヘプタン/tert.−ブチルメチルエーテル(v/v)99:01,流速:25ml/分、圧力:4,300,000Pa(43バール)、温度:20℃、検出:IR、付加的検出:285nmのUV。
(Z)−7−シクロヘキサデセノン:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.24−1.40(m,14H)、1.54−1.70(m,4H)、1.99−2.07(m,4H)、2.39(t,J=6,3Hz,2H)、2.41(t,J=6,3Hz,2H)、5.26−5.38(m,2H)。
13C−NMR(101MHz,CDCl3):δ(ppm)=23.44,24.43,26.85,27.00,27.01,27.68,27.93,28.06,28.48,28.68,29.25,41.78,42.00,130.07,130.15,212.36。
IR(cm-1):2997,2925,2853,1707,1459,1439,1404,1369,1207,844,718。
【0065】
(E)−7−シクロヘキサデセノン:
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.16−1.40(m、14H)、1.60−1.65(m,4H)、1.98−2.06(m,4H)、2.36−2.44(m,4H)、5.22−5.31(m,2H)。
13C−NMR(101MHz,CDCl3):δ(ppm)=23.71,24.21,26.53,27.23,27.77,28.12,28.29,28.31,29.10,31.96,32.48,42.13,42.59,130.92,131.08,212.10。
IR(cm-1):2981,2925,2851,1709,1457,1433,1363,1262,1210,1164,1132,1103,1052,964。
【0066】
例3
以下の香油は、実際の適用において使用され、幅広い種類の化粧製品を賦香する。






























組成物
【表2】

BA=ベンジルアルコール、IPM=イソプロピルミリステート、DEP=ジエチルフタレート
【0067】
a)55質量部の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン(例1.2の組成物:合計香油:700質量部)の添加は、組成物に対して、既存の大環状ジャコウ匂い物質では得ることができないわずかな催情性、透明なニトロムスクのノートを付与した。全体の組成物は、自然さと放散を獲得し、かつより丸くより優雅であった。
b)355質量部の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン(例1.2の組成物:使用された合計香油:1000質量部)の添加は、結果として組成物の明らかにかなりの調和を生じた。加えて、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンは、ジャコウアンブレットを暗示する効果を生成し、かつ該組成物は優雅さ、高められた、及び透明なジャコウの匂いを有していた。ここで特に、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンの価値ある特性は、通常の大環状ジャコウ匂い物質を有する組成物との比較により明らかである。(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンは、顕著な放散を付与し、かつこの組成物の強さを増加させた。
【0068】
例4から6:適用の例
以下で述べる比較試験において、本発明に従う(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン(例1.2の組成物)は、パーソナルケア及び洗浄製品における、本発明に従わない(E,Z)−8−シクロヘキサデセノン(組成物:(E)−8−:(Z)−8−シクロヘキサデセノン=2:1)との比較において、数名の専門家及び30人の素人の試験官(顧客試験)により試験され、匂いにおける実質的な差異が決定された。
【0069】
例4:粉末洗剤
80−g部の粉末洗剤(組成:9% C12−C13 直鎖状アルキルベンゼンスルフォネート、1.6%C14−C15 Naアルキルエトキシサルフェート(EO=0.6)、5.7%C12−C18 アルキルサルフェート、3.3%ポリアクリレート(分子量=4,500)、27%アルミノシリケート、0.6%ソディウムシリケート、28%ソディウムカーボネート、9%ソディウムサルフェート、0.2%光学増白剤、1.8%ポリエチレングリコール(分子量=4,000)、1%過ホウ酸塩、1.1%酵素(リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ)、水処方)が、(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン及び(E,Z)−8−シクロヘキサデセノンのイソプロピルミリステートの50%溶液の0.2gと混合され、該粉末洗剤は室温で24時間保持された。その後、2つのコットンタオル及び二つの混合織物タオルが別々に、80−g部の粉末洗剤を用いて40℃で機械的洗浄された(メーカー:Miele)。
【0070】
それによって得られた湿った洗濯物が嗅覚試験され、本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン混合物が顕著に優れた匂い強度を与えることが見出された。加えて、透明なニトロムスクのノートが、より顕著に表れることが見出された。
その後、個々のタオルは、24時間並べて乾燥された。専門家調査団による両タオルの香料評価は、本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン混合物に対する明白で顕著な香り強度に帰着した。ブラインド評価において、30人の素人の試験官は、本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン混合物を有するタオルを顕著に選好した(p<0.05)。
該濡れたタオルを市販の乾燥機で乾燥した場合、需要の多い“暖かい”ニトロムスクのノートが本発明のジャコウ匂い物質で観察され、より少ない量の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノンの混合物を使用した場合においてもそれと価値ある調和を生じた。
【0071】
例5:織物柔軟剤
40−g部の織物柔軟剤(3倍濃度、94%水道水、5.5%第4級エタノールアミンエステル(エステルクアット、第4級アンモニウムメトサルフェート)、0.2%アルキルジメチル−ベンジルアンモニウムクロライド(Preventol(登録商標)R50、バイエルAG)、及び0.3%の青染料溶液)が、ジャコウ匂い物質混合物である(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン、(E,Z)−8−シクロヘキサデセノン及び5−シクロヘキサデセノン((E)及び(Z)異性体の混合物)のイソプロピルミリステート中の50%溶液の0.12gと充分に混合され、該柔軟剤は室温で24時間保持された。該柔軟剤濃縮物のpHは、典型的には2−3の範囲であった。その後、3つのコットンタオル及び3つの混合織物タオルが、最初に80gの匂いのない標準的な洗剤粉末で、次いで別々に試験されるべき織物柔軟剤と共に、40℃で機械洗浄された(機械メーカー:Miele)。
それによって得られた湿った洗濯物が、24時間並べて乾燥された。乾いたタオルの匂い評価は、本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン混合物がより優れた香り強度を有することを示した。加えて、タオルにおけるこのジャコウのノートは、数日の間、より持続性でかつより著しく、これによりその良好な吸収性が証明された。
【0072】
以下の表は、1(=非常に弱い又は全く好ましくない)から9(=非常に強い又は非常に好ましい)の尺度を用いて、織物柔軟剤で処理した後の乾燥したタオルの評価に従った強度及び選好度の結果を述べる。両方の場合において、統計的な評価が有意であった(p<0.05)。
【表3】

【0073】
例6:シャンプー
30−g部のシャンプー(20%Plantacare(登録商標)PS10(コグニスGmbH、Na−Laureth sulphate and lauryl glycoside)、2%塩化ナトリウム、1.3%クエン酸、0.5%Dragocid(登録商標)Liquid(シムライズGmbH&Co.KG,フェノキシエタノール、メチル、エチル、プロピル、ブチルパラベンの混合物)、76.2%水)が、ジャコウ匂い物質(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン及び(E,Z)−8−シクロヘキサデセノンのイソプロピルミリステートの50%溶液の0.1gと充分に混合され、該シャンプーは室温で24時間保持された。シャンプーのpHは約6であった。
その後、20−gの髪(天然髪)の入れ毛を、2gの水中に泡立てた1gの各シャンプーをそれぞれ用い、1分間手によって洗浄した。最後に、両方の髪の入れ毛を、30℃に加熱した水で30秒間別々にリンスした。
【0074】
それにより得られた該湿った髪の入れ毛は、中間に設定した電気ヘアドライヤーを用いて1分間乾燥した。該髪の入れ毛の匂い評価は、本発明の(E,Z)−7,8−シクロヘキサデセノン混合物が、湿った髪及び乾燥した髪のいずれにおいてもより強くなることが認められ、かつその匂いが好ましいものであることを示した。
以下の表は、1(=非常に弱い又は好ましくない)から9(非常に強く又は非常に好ましい)の尺度における、乾燥した及び湿った髪入れ毛の評価において得られた強度及び選好度を述べる。全ての場合において、統計学的な評価が高い有意性であった(p<0.01)。
【0075】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン。
【請求項2】
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び一以上の他の匂い物質又は芳香剤を含む匂い物質又は芳香剤混合物。
【請求項3】
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン及び(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む、請求項2に記載の匂い物質又は芳香剤混合物。
【請求項4】
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの質量割合が、6:1から1:2、好ましくは4:1から1:1の範囲である、請求項3に記載の匂い物質又は芳香剤混合物。
【請求項5】
(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、
(E)−7−シクロヘキサデセン−1−オン、
(Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オン、及び
(E)−8−シクロヘキサデセン−1−オンを含む、請求項3又は4に記載の匂い物質若しくは芳香剤混合物。
【請求項6】
(E,Z)−8−シクロヘキサデセン−1−オンに対する(E,Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの質量割合が、10:1から1:10、好ましくは5:1から1:5、さらに好ましくは2:1から1:4の範囲である、請求項5に記載の匂い物質又は芳香剤混合物。
【請求項7】
ジャコウ匂い物質若しくは芳香剤として又はジャコウ匂い物質若しくは芳香剤混合物としての、請求項2から6のいずれか1項に記載する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物の使用。
【請求項8】
請求項2から6のいずれか1項に記載する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物の感覚活性量を製品に接触させ又は混合する、ジャコウの匂いを放出、強化又は変調する方法。
【請求項9】
請求項2から6のいずれか1項に記載する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物を含む芳香を発する製品。
【請求項10】
該製品が洗剤、トイレタリー用品又はケア調合物である、請求項9に記載の芳香を発する製品。
【請求項11】
請求項2から6のいずれか1項に記載する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質若しくは芳香剤混合物の、固定剤としての使用。
【請求項12】
請求項2から6のいずれか1項に記載する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オン又は(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンを含む匂い物質又は芳香剤混合物の、匂い物質又は匂い物質組成物の嗅覚促進の手段としての使用。
【請求項13】
以下の処理を有する(Z)−7−シクロヘキサデセン−1−オンの調製方法:
− 1,8−シクロヘキサデカンジオンの対応するヒドロキシケトンへの部分的な還元、及び
− 該ヒドロキシケトンの7−シクロヘキサデセン−1−オンへの脱水。

【公表番号】特表2007−519627(P2007−519627A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546143(P2006−546143)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053102
【国際公開番号】WO2005/063670
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】